説明

包装材

【課題】移動の際の衝撃に対して、付属物を保持するため、包装材の他に防止部材等のような特殊な部材を用いることなく、包装材のみで付属物を保持することが可能な包装材を提供する。
【解決手段】電子機器を梱包箱200に固定する包装材202であって、包装材の下面に、電子機器を保持する第1の凹部と、包装材の上面に、付属物を保持する第2の凹部とを備え、第2の凹部は、少なくともその一部が曲面により構成される領域を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の内包物と合わせて、紙媒体等の付属物を同梱する場合の包装材に関するものである。特に、付属物を収納する包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器(例えば、表示装置等)を保管或いは移送する際の包装材については、さまざまな形状のものが知られている。例えば、特許文献1においては、液晶表示装置を保管あるいは輸送する際の吸湿による品質の劣化を防止することが可能な包装材について開示されている。
【0003】
また、このような包装材に対して、表示装置等の電子機器を保護する以外に、表示装置等の電子機器の使用方法を記載した説明書やマニュアル等の付属物を保持する付加的機能を持たせる試みも行われている。
【0004】
図4は、以前より知られている、付属物を保持することが可能な包装材である。図4において、100は、通常ダンボール等により構成されている、電子機器を保持する梱包箱を示しており、102は、電子機器を保護する包装材を示しており、104は、表示装置等の電子機器の使用方法を記載した説明書やマニュアル等の付属物を示しており、106は、ダンボール等により構成されており、付属物104の転落防止のため防止部材を示している。なお、この図4において、電子機器(図示せず)は、包装材102の下部に配置されている。
【0005】
このような構成により、従来の包装材においては、包装材102に凹部を設けることにより、その凹部に付属物104を配置し、さらに、防止部材106で上側から押さえることにより、包装材102が付属物104を格納することが可能になる。
【特許文献1】特開2007−69922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の包装材においては、移動の際の衝撃に対して、包装材のみで付属物を保持することが困難なため、防止部材のような構成を持たせることが必要となり、この防止部材の製造コストが増加し、さらに、防止部材を製造する工数が増加することとなる。
【0007】
本願発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、防止部材等のような特殊な部材を用いることなく、包装材のみで付属物を保持することが可能な包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の包装材は、電子機器を梱包箱に固定する包装材であって、前記包装材の下面に、前記電子機器を保持する第1の凹部と、前記包装材の上面に、付属物を保持する第2の凹部とを備え、前記第2の凹部は、少なくともその一部が曲面により構成される領域を有することを特徴とする包装材である。
【0009】
本発明は、この構成により、包装材以外の構成を要することなく、また、梱包材が移動により衝撃をうけた場合であっても、第2の凹部に設けられた曲面の領域により付属物の転落・落下を防止することが可能になるものである。
また、本発明の包装材は、前記第2の凹部は、略平面により形成される第1の領域と曲面により形成される第2の領域とにより構成され、前記第1の凹部は、前記第1の領域の下側に形成されることを特徴とする包装材である。
本発明は、この構成により、上記の効果に加えて、包装材自体の厚みを薄く維持することが可能となり、運送コストを削減することが可能になるものである。
また、前記第2の凹部の曲面は、R=A〜Bであることを特徴とする包装材である。
本発明は、この構成により、上記の効果に加えて、第2の凹部に設けられた曲面により、付属物に曲がり等が発生することにより、品質の低下を防止することが可能になるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記の構成により、包装材以外の構成を要することなく、付属物の自重を利用して、付属物の転落・落下を防止することが可能になるものである。
また、本発明は、上記の構成により、さらに、包装材自体の厚みを薄く維持することが可能となり、運送コストを削減することが可能になるものである。
また、本発明は、上記の構成により、さらに、付属物に曲がり等による品質低下を防止することが可能になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
<1、包装材の構成>
本発明の第1の実施の形態における包装材について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における包装材の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す包装材の側面図である。また、図3は、図1に示す包装材と凹部が平面により構成された包装材とを比較した断面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明は、通常ダンボール等により構成されている、電子機器を保持する梱包箱200と、電子機器を保護する包装材202と、表示装置等の電子機器の使用方法を記載した説明書やマニュアル等の付属物204とにより構成されている。
なお、この図1において、電子機器(図示せず)は、包装材202の下部に配置されている形態について説明している。本発明はこれに限定されるものではなく、包装材202の上面及び下面の位置関係が維持されている限り、包装材202は、梱包箱200のいずれの場所に配置することも可能である。
この図1から明らかなように、包装材202の上面には凹部が設けられており、その凹部には曲面の領域が設けられている。この構成により、付属物204は、凹部内に保持されており、梱包箱200が衝撃を受けた場合であっても、落下・転落を防止することが可能になるものである。
具体的には、図1におけるA方向に衝撃が加わった場合には、包装材202に設けられた壁面A(206)により付属物204を保持することが可能になり、B方向に衝撃が加わった場合には、梱包箱200の壁面B(208)により付属物204を保持することが可能になり、C方向に衝撃が加わった場合には、包装材202に設けられた壁面C(210)により付属物204を保持することが可能になり、D方向に衝撃が加わった場合には、包装材202に設けられた壁面D(212)により付属物204を保持することが可能になるものである。
<1−2、第1の凹部の構成>
次に、図2を参照しながら、包装材202についてより詳細に説明する。図2に示すように、包装材202は、包装材202の上面に設けられた第1の凹部に、略平面により形成される第1の領域300と曲面により形成される第2の領域302を設ける構成となっている。ここで、第1の領域300と第2の領域302上に配置された斜線部は、付属物204を示している。この図2に示すように、付属物204は、第1の領域及び第2の領域に配置されており、その付属物204の自重により、第1の凹部内に固定することが可能になり、また、第2の曲面を設けたことにより、さらに、付属物204の落下・脱落を防止することが可能になるものである。
<1−3、第2の凹部の構成>
次に、包装材202の下面に設けられた第2の凹部304について説明する。図2に示すように、第2の凹部304は、上述した第1の凹部の略平面により形成される第1の領域300の下方に配置されている。これは、第2の凹部304には、電子機器等の精密機械が格納されるため、梱包箱200に衝撃が加わった場合であっても、電子機器を保護する必要があることから、包装材202の厚みが厚い領域に第2の凹部304を配置したものである。
仮に、第1の凹部の曲面により形成される第2の領域302の下方に第2の凹部306が形成されている場合には、図2に示すように、包装材202の厚みがβしかなく(上述した第1の領域300の下方にある場合には、αとなる。図2から明らかなように、β<αとなっている。)、電子機器を上部からの衝撃に対して十分に保護することができない。
以上のように、電子機器を保持する第2の凹部304を、包装材202の厚みの厚い領域である平面領域(第1の領域300)の下方に配置することにより、上述したように、付属物204の落下・脱落を防止しながら、電子機器を十分に保護することが可能になるものである。
なお、本実施の形態においては、第1の領域300について略平面であることを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の凹部304の厚みが確保できる場合には、角度をつけることも可能である。
【0013】
<2、平面包装材と局面包装材との比較>
ここで、上述した電子機器の保護を考慮した場合には、第1の凹部全体を平面で形成することも考えられる。しかしながら、この場合には、包装材の高さが高くなり、結果として、梱包材200の高さが高くなってしまい、運送コストが高くなる。以下、この点について、図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
図3には、(A)として、本発明の包装材を図示しており、一方、(B)としては、第1の凹部全体が平面で形成された場合の側面図を示している。なお、この図においては、上述した第2の凹部304には電子機器(この実施の形態においては表示装置)を格納した状態を示している。
【0015】
この図3に示すように、本発明の包装材(A)も第1の凹部全体が平面で形成された包装材(B)のいずれも電子機器を格納している位置までは、同じ高さとなっている(点線1)。次に、本発明の包装材(A)も包装材(B)のいずれも、第1の凹部内に平面で形成された領域については、同じ高さとなっている(点線2)。次に、本発明の包装材(A)と包装材(B)との包装材の高さを点線3で比較すると、図から明らかなように、包装材(B)の包装材の高さが高くなっている。その差は、矢印4で示す高さの差となっている。
【0016】
これは、図3の包装材(A)においては、上述したように、第1の凹部の第2の領域が曲面により構成されていることから、第1の凹部内の壁面に距離をかせぐことが可能となるため、包装材(A)自体の高さを低くすることが可能になるものである。
【0017】
以上のように、本実施の形態においては、付属物204の落下・転落を防止しつつ、包装材の高さを低く設計することが可能になるものである。
【0018】
<3、第1の凹部の曲面の角度>
ここで、第1の凹部内の第2の領域302の曲面の角度について図5を参照しながら説明する。ここで、第1の凹部内の第2の領域302の曲面において、角度が必要な角度以下の場合には、付属物204を安定して固定することができず(さらに、上述したように、包装材202の高さが高くなってしまう)、一方、角度が必要な角度以上に大きい場合には、付属物204にそりが残り、付属物204自体の品位が低下することとなる。
ここで、発明者は、付属物204の重量が200gと400gについて試験を行った。その結果によると、R=50、100で行った場合には、付属物204の重量が200g、400gのいずれの場合であっても付属物204にそりが残ってしまうことが分かった。
また、R=150の場合には、付属物204が200gの場合には付属物204にそりが残らず、一方、付属物204が400gの場合には付属物204にそりが残ってしまうことが分かった。
さらに、R=200の場合には、付属物204が200gの場合及び400gの場合のいずれの場合においても、付属物204にそりは残らないという結果となった。
以上の結果より、付属物204の重量に応じて、第1の凹部内の第2の領域302の曲面の角度を変化させることが必要であることが分かった。
以上のように、本発明においては、第1の凹部内の第2の領域302の曲面の角度を変化させることにより、付属物204にそりが残り、付属物204自体の品位が低下することを防止しつつ、付属物204を安定して固定することができ、さらに、包装材202の高さを低く設定することが可能になるものである。
なお、上述した実施の形態においては、内包物の一例として、表示装置等の電子機器について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、包装材が必要となる内包物であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、電子機器等と合わせて、紙媒体等の付属物を同梱する場合の包装材に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の包装材の構成を示す斜視図
【図2】本発明の包装材の構成を示す側面図
【図3】本発明の包装材と凹部が平面により構成された包装材との比較した図
【図4】従来の包装材の構成を示す斜視図
【図5】本発明の第2の曲面の角度と付属物の重量との関係図
【符号の説明】
【0021】
100 梱包箱
102 包装材
104 付属物
106 防止部材
200 梱包箱
202 包装材
204 付属物
206 包装材の壁面A
208 梱包箱の壁面B
210 包装材の壁面C
212 包装材の壁面D
300 包装材の第1の凹部の第1の領域
302 包装材の第1の凹部の第2の領域
304 第2の凹部
306 第2の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内包物を梱包箱に固定する包装材であって、
前記包装材の上面に、付属物を保持する第1の凹部と
前記包装材の下面に、前記内包物を保持する第2の凹部とを備え、
前記第1の凹部は、少なくともその一部が曲面により構成される領域を有することを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記第1の凹部は、略平面により形成される第1の領域と曲面により形成される第2の領域とにより構成され、前記第2の凹部は、前記第1の領域の下方に形成されることを特徴とする請求項1記載の包装材。
【請求項3】
前記第1の凹部の曲面は、前記付属物の重量に応じて変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−173680(P2010−173680A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17551(P2009−17551)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】