説明

包装用シーラントフィルム及びその製造方法

【課題】ポリ乳酸を含む樹脂組成物からなり、強度、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性及び透明性に優れた、生分解性を有する包装用シーラントフィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】包装用シーラントフィルムは、ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物が高混練されて溶融樹脂が生成され、その揮発成分が真空脱揮処理された後、製膜された、ヘイズ25〜35%及びヒートシール強度10〜20N/15mmを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性を有する包装用シーラントフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製品の大半は、石油等の化学原料から作られる。特にプラスチック包装材料は、使用後にすぐ廃棄されることからその処理が問題となっている。特に埋め立て処理については、埋立地の問題、焼却については、CO2の環境への影響が大きく取り上げられている。
そこで、現在、土中で分解し、且つ安全であるものが望まれ、多くの研究が行なわれている。
その一例として、ポリ乳酸フィルムがある。ポリ乳酸は、引っ張ったときの延びが3〜8%程度しかなく、非常に脆い材料であることが知られている。そこで、耐衝撃性に優れた生分解性プラスチックフィルムとして、ポリ乳酸とガラス転移点Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステルを混合し生分解性プラスチックフィルムを製造することが提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリ乳酸重合体と他の脂肪族ポリエステルとを70:30〜30:70の重量割合で含有するフィルムにおいて、フィルム昇温したときのポリ乳酸重合体換算融解熱量△Hmlを35J/g以下に形成した、脆さが改良され、柔らかすぎない、実用上問題のない物性を持ち、経時的に安定したヒートシール性を有する生分解性プラスチックフィルムが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これらの従来の技術は、耐衝撃性、ヒートシール性を単独で改良するものであるが、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性及び透明性の全てを併せ持つものではない。
【特許文献1】特開平9−111107号公報
【特許文献2】特許第3463792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸を含む樹脂組成物からなり、強度、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性及び透明性に優れた、生分解性を有する包装用シーラントフィルム及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、包装用シーラントフィルムに関する課題を解決するもので、ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物が高混練されて溶融樹脂が生成され、その揮発成分が真空脱揮処理された後、製膜された、ヘイズ25〜35%及びヒートシール強度10〜20N/15mmを有することを特徴とする包装用シーラントフィルムを要旨とする。
【0005】
本発明においては、ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物が高混練されて溶融樹脂が生成されることにより、本発明の包装用シーラントフィルムは、混練ムラがなく、微分散化され、優れた透明性、強度、耐衝撃性、柔軟性を有するものである。
また、真空脱揮処理されているので、樹脂組成物に含まれる低分子量物、特にモノマー、ダイマー、トリマー等のオリゴマーが除かれ、強度の低下に起因する材料が選択的に除去される。更に本発明の包装用シーラントフィルムは、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去されており、包装用フィルムとして問題なく使用することができるものである。
【0006】
本発明において、ポリ乳酸20〜50重量%及びポリブチレンサクシネート50重量%〜80%に、さらにアジピン酸エステル10重量%以下を添加することが望ましい。このアジピン酸エステルを添加したものを、高混練した包装用シーラントフィルムは、優れた加工適性、柔軟性及び耐衝撃性を有する。
【0007】
本発明の包装用シーラントフィルムは、単独で農業用フィルム、生ごみを包む袋、肉、魚等の生鮮食品類の包装フィルムとして利用することができるほか、ポリエステル、ポリアミド等の基材、または紙基材のシーラントとして活用することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、包装用シーラントフィルムの製造方法に関する課題を解決するもので、L/D=30〜80の高混練タイプの二軸押出機を用いて、ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物を高混練して溶融樹脂を生成し、前記溶融樹脂を生成する過程で、前記二軸押出機のシリンダ内に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置を用いて、前記樹脂組成物に含まれる揮発成分を真空脱揮処理した後、前記押出機のノズルから前記溶融樹脂を押出し、製膜することを特徴とする包装用シーラントフィルムの製造方法を要旨とする。
【0009】
本発明の製造方法において、ポリ乳酸の耐衝撃性及び強度を改良するためにポリブチレンサクシネートを多量に添加する。また、L/D=30〜80の高混練タイプの二軸押出機によって、ポリ乳酸20〜50重量%と、ポリブチレンサクシネート50重量%〜80%が高混練されることにより、混練むらをなくし、ポリ乳酸重合体及びポリブチレンサクシネートが微分散化される。この微分散化によって、包装用シーラントフィルムに強度、耐衝撃性、柔軟性が付与される。また、比較的不透明であったポリ乳酸とポリブチレンサクシネートからなるドライブレンドのフィルムの透明性が、高混練によって劇的に高められる。
また、二軸押出機のシリンダ内に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置によって、真空脱揮処理するので、樹脂の低分子量物、特にモノマー、ダイマー、トリマー等のオリゴマーが除かれ、強度の低下に起因する材料が選択的に除去される。更にポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去される。
【0010】
本発明の製造方法において、ポリ乳酸20〜50重量%及びポリブチレンサクシネート50重量%〜80%のブレンド物に、柔軟可塑化を図るために、アジピン酸エステル0〜10%を加えることで、さらに柔軟可塑化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポリ乳酸を含む樹脂組成物からなり、強度、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性及び透明性に優れ、しかもポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去された、生分解性を有する包装用シーラントフィルム及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の包装用シーラントフィルムは、ポリ乳酸20〜50重量%と、ポリブチレンサクシネート50重量%〜80%を高混練して製膜し、且つポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートに含まれる揮発成分を真空脱揮処理してなる、ヘイズ25〜35%及びヒートシール強度10〜20N/15mmを有するものである。
【0013】
本発明の包装用シーラントフィルムにおいては、ポリ乳酸20〜50重量%と、ポリブチレンサクシネート50重量%〜80%が高混練されていることにより、本発明の包装用シーラントフィルムは、混練むらがなく、微分散化され、優れた透明性、強度、耐衝撃性、柔軟性を有するものである。
また、真空脱揮処理されているので、樹脂の低分子量物、特にモノマー、ダイマー、トリマー等のオリゴマーが除かれ、強度の低下に起因する材料が選択的に除去されている。更に本発明の包装用シーラントフィルムは、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去されており、包装用フィルムとして問題なく使用することができるものである。
【0014】
本発明の包装用シーラントフィルムにおいて、ポリ乳酸20〜50重量%及びポリブチレンサクシネート50重量%〜80%をブレンドし、さらにアジピン酸エステル10重量%以下を添加し、高混練した包装用シーラントフィルムは、優れた加工適性、柔軟性及び耐衝撃性を有する。
【0015】
本発明の包装用シーラントフィルムは、単独で農業用フィルム、生ごみを包む袋、肉、魚等の生鮮食品類の包装フィルムとして利用することができるほか、ポリエステル、ポリアミド等の基材、または紙基材のシーラントとして活用することができる。
【0016】
次に本発明の包装用シーラントフィルムの製造方法について説明する。
スクリュー径30mmφ、L/D=30〜80、好ましくは、L/D=40〜60の高混練タイプの二軸押出機を用いて、ポリ乳酸20〜50重量%と、ポリブチレンサクシネート50重量%〜80%の混合物を高混練して製膜し、二軸押出機のシリンダ内に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置によって、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートに含まれる揮発成分を真空脱揮処理する。
真空脱揮装置は、押出機の下流側に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置、又は押出機の中間に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置を用いることができる。
【0017】
本発明の製造方法において、ポリ乳酸の耐衝撃性及び強度を改良するために、ポリ乳酸20〜50重量%と、ポリブチレンサクシネート50重量%〜80%の混合物が高混練されることにより、混練むらをなくし、ポリ乳酸重合体及びポリブチレンサクシネートが微分散化される。この微分散化によって、包装用シーラントフィルムに強度、耐衝撃性、柔軟性が付与される。また、比較的不透明であったポリ乳酸とポリブチレンサクシネートからなるドライブレンドのフィルムの透明性が、高混練によって劇的に高められる。
また、真空脱揮装置により真空脱揮処理するので、樹脂の低分子量物、特にモノマー、ダイマー、トリマー等のオリゴマーが除かれ、強度の低下に起因する材料が選択的に除去される。更にポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去される。
【0018】
本発明の製造方法において、ポリ乳酸20〜50重量%及びポリブチレンサクシネート50重量%〜80%のブレンド物に、柔軟可塑化を図るために、アジピン酸エステル0〜10%を加えることで、さらに柔軟可塑化を図ることができる。
【0019】
次に本発明の製造方法において使用する材料について説明する。
(1)ポリ乳酸
一般的に、ポリ乳酸は、L−、D−またはDL−乳酸単位を主成分とする重合体であるが、本発明の製造方法において、ポリ乳酸は、L体中心のポリ乳酸に対するD体の組成比率が高まると、結晶化が阻害され、耐熱性や強度低下が懸念されるため、結晶性のD体が6%以下、融点が150℃以下のポリ乳酸を採用した。一方、フィルムの透明性の観点から見た場合、経時的な結晶化進行は障害となる。本発明においては、結晶性のD体を6%以下に抑え、フィルムの強度及びフィルムの透明性を優先した。
(2)ポリブチレンサクシネート
一般にポリ乳酸は、引っ張った時の伸びが3〜8%程度しかなく、非常に脆い材料であることが知られている。このポリ乳酸をフィルムに使うことは、耐衝撃性及び強度の問題がある。そこで耐衝撃性の改良のためにポリブチレンサクシネートを多量に添加する。
また、ポリブチレンサクシネートを、ポリ乳酸との構成比が逆転するまで多量に添加しても柔軟性が十分に得られない場合がある。その場合、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの混合物にアジピン酸エステルを10%以下添加することで柔軟可塑化を図ることができる。
【0020】
[製膜方法]
スクリュー径30mmφ、L/D=30〜80、好ましくは、L/D=40〜60の高混練タイプの、剪断の大きな形状のスクリューピースを有する二軸押出機を用いて、押出機のスクリュー回転数、シリンダ温度及び/または樹脂材料の供給量によって、溶融樹脂の圧力及び温度を調整して行なう。
剪断の大きな形状のスクリューピースによる樹脂材料の剪断及び高混練による微分散化によって、包装用シーラントフィルムに強度、耐衝撃性、柔軟性が付与される。また、比較的不透明であったポリ乳酸とポリブチレンサクシネートからなるドライブレンドのフィルムの透明性が、高混練によって劇的に高められる。
また、真空脱揮処理により、樹脂の低分子量物、特にモノマー、ダイマー、トリマー等のオリゴマーが除かれ、強度の低下に起因する材料が選択的に除去される。更にポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去され、食品包装用シーラントにおいて課題であったポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂の臭気を少なくすることが達成される。
【実施例1】
【0021】
先ず、下記の(イ)、(ロ)の樹脂を準備した。
(イ)ポリ乳酸(三井化学(株)製レイシアH400:密度=1.26g/cm3、Tg=60℃)
(ロ)ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製GSPlaAZ91T:密度1.26g/cm3、MFR=4.5g/10分、融点=110℃)
【0022】
上記樹脂(イ)の40%と樹脂(ロ)の60%の混合物を、高混練タイプの、スクリュー径30mmφ、L/D=59.5の二軸押出機((株)日本製鋼所製)に投入し、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数250rpm、樹脂材料の供給量20kg/hの条件で混練を行った。下流側の脱揮口から真空脱揮して臭気成分、低分子量物及びオリゴマーを除き、その後、ギアポンプを介して上吹きインフレーション製膜ダイスから50μmの包装用シーラントフィルムを作製した。
【0023】
製造された包装用シーラントフィルムの外観を目視で検査の結果、混練ムラが無く、樹脂の微分散化が行なわれた、透明感のある美麗なフィルムであることが分かった。
また、この包装用シーラントフィルムは、高い柔軟性を有し、且つ150℃、1kg/cm2、1秒でヒートシールしたときのヒートシール強度は十分あり、実用上問題のないことが分かった。
【実施例2】
【0024】
先ず、下記の(イ)、(ロ)の樹脂を準備した。
(イ)ポリ乳酸(三井化学(株)製レイシアH400:密度=1.26g/cm3、Tg=60℃)
(ロ)ポリブチレンサクシネート・アジペート(三菱化学(株)製GSPlaAZ92W:密度1.24g/cm3、MFR=4.5g/10分、融点=88℃)
【0025】
上記樹脂(イ)の40%と樹脂(ロ)の60%の混合物を、高混練タイプの、スクリュー径30mmφ、L/D=59.5の二軸押出機((株)日本製鋼所製)に投入し、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数250rpm、樹脂材料の供給量20kg/hの条件で混練を行った。下流側の脱揮口から真空脱揮して臭気成分、低分子量物及びオリゴマーを除き、その後、ギアポンプを介して上吹きインフレーション製膜ダイスから50μmの包装用シーラントフィルムを作製した。
【0026】
製造された包装用シーラントフィルムの外観を目視で検査の結果、混練ムラが無く、樹脂の微分散化が行なわれた、透明感のある美麗なフィルムであることが分かった。
また、この包装用シーラントフィルムは、高い柔軟性を有し、且つ150℃、1kg/cm2、1秒でヒートシールしたときのヒートシール強度は十分あり、実用上問題のないことが分かった。
【実施例3】
【0027】
先ず、下記の(イ)、(ロ)の樹脂を準備した。
(イ)ポリ乳酸(三井化学(株)製レイシアH400:密度=1.26g/cm3、Tg=60℃)
(ロ)ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製GSPlaAZ91T:密度1.24g/cm3、MFR=4.5g/10分、融点=88℃)
【0028】
上記樹脂(イ)の30%と樹脂(ロ)の70%の混合物を、高混練タイプの、スクリュー径30mmφ、L/D=59.5の二軸押出機((株)日本製鋼所製)に投入し、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数250rpm、樹脂材料の供給量20kg/hの条件で混練を行った。下流側の脱揮口から真空脱揮して臭気成分、低分子量物及びオリゴマーを除き、その後、ギアポンプを介して上吹きインフレーション製膜ダイスから50μmの包装用シーラントフィルムを作製した。
【0029】
製造された包装用シーラントフィルムの外観を目視で検査の結果、混練ムラが無く、樹脂の微分散化が行なわれた、透明感のある美麗なフィルムであることが分かった。
また、この包装用シーラントフィルムは、高い柔軟性を有し、且つ150℃、1kg/cm2、1秒でヒートシールしたときのヒートシール強度は十分あり、実用上問題のないことが分かった。
【0030】
[比較例1]
先ず、下記の(イ)、(ロ)の樹脂を準備した。
(イ)ポリ乳酸(三井化学(株)製レイシアH400:密度=1.26g/cm3、Tg=60℃)
(ロ)ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)製GSPlaAZ91T:密度1.26g/cm3、MFR=4.5g/10分、融点=110℃)
【0031】
上記樹脂(イ)の40%と樹脂(ロ)の60%の混合物を、スクリュー径30mmφ、L/D=24の短軸押出機((株)プラスチック工学研究所製)に投入し、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数50rpm、樹脂材料の供給量4kg/hの条件で混練を行った。下流側の脱揮口から真空脱揮して臭気成分、低分子量物及びオリゴマーを除き、その後、ギアポンプを介して上吹きインフレーション製膜ダイスから50μmの包装用シーラントフィルムを作製した。
【0032】
製造された包装用シーラントフィルムの外観を目視で検査の結果、透明感が低く、混練ムラが顕著に見られた。
また、この包装用シーラントフィルムは、150℃、1kg/cm2、1秒でヒートシールしたときのヒートシール強度が弱く、また柔軟性も低く、実用的でないことが分かった。
【0033】
実施例1〜3及び比較例1の包装用シーラントフィルムの物性評価を膜厚、ヒートシール強度及び透明性について行なった。
(1)膜厚:SONY(株)製μ−メータによって測定した。
(2)ヒートシール強度:150℃、1kg/cm2、1秒の条件下で包装用シーラントフィルムをヒートシールしたものを15mm幅に切り出してヒートシール強度を測定した。測定は引張り強度300mm/minで行った。
(3)透明性:ヘイズメータによってヘイズ(曇度)を測定した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示すように、実施例1〜3の包装用シーラントフィルムは、ヒートシール強度は十分あり、透明性も高い。それに対し比較例は、ヒートシール強度が低く、透明性も低い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の包装用シーラントフィルムは、強度、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性及び透明性に優れ、しかもポリ乳酸及びポリブチレンサクシネート樹脂特有の臭気が大幅に除去された、生分解性を有するもので、単独で農業用フィルム、生ごみを包む袋、肉、魚等の生鮮食品類の包装フィルムとして利用することができる。またポリエステル、ポリアミド等の基材、または紙基材のシーラントとして活用することができる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物が高混練されて溶融樹脂が生成され、その揮発成分が真空脱揮処理された後、製膜された、ヘイズ25〜35%及びヒートシール強度10〜20N/15mmを有することを特徴とする包装用シーラントフイルム。
【請求項2】
前記樹脂組成物にアジピン酸エステル10重量%以下が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用シーラントフイルム。
【請求項3】
L/D=30〜80の高混練タイプの二軸押出機を用いて、ポリ乳酸20〜50重量%とポリブチレンサクシネート50重量%〜80%からなる樹脂組成物を高混練して溶融樹脂を生成し、前記溶融樹脂を生成する過程で、前記二軸押出機のシリンダ内に設けられた脱揮口に接続された真空脱揮装置を用いて、前記樹脂組成物に含まれる揮発成分を真空脱揮処理した後、前記押出機のノズルから前記溶融樹脂を押出し、製膜することを特徴とする包装用シーラントフイルムの製造方法。
【請求項4】
前記前記樹脂組成物にアジピン酸エステル10重量%以下を添加することを特徴とする請求項3に記載の包装用シーラントフイルムの製造方法。


【公開番号】特開2010−70231(P2010−70231A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240966(P2008−240966)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】