説明

包装用容器

【課題】包装媒体を包装用容器に挿入する際に、抑止片が邪魔にならない包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体2は、容器本体2の前面板11の裏面側に折り返し可能な折返片17を有し、折返片17と、前面板11と、が接着しており、折返片17には、抑止片40が形成されており、前面板11には、押片11’が形成されており、押片11’を介して抑止片40に外力を与え、抑止片40を折返片17から分離し、該分離した抑止片40を包装媒体Rの振動を抑止するために機能させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回された包装媒体、例えば、ラップフィルムに代表される樹脂製フィルムや紙、アルミホイル等を包装するための包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に知られているラップフィルム等の包装媒体を収容する包装用容器は、包装媒体を収納する容器本体と、当該容器本体に一体的に設けられた容器蓋と、を有して構成しており、当該容器本体内に、円筒状の紙管にロール状に巻回された包装媒体を収納することになる。
【0003】
なお、従来の包装用容器は、容器本体内に収納した包装媒体がずれてしまい、その包装媒体のずれに起因して、包装媒体の巻き戻りが発生してしまう虞があった。
【0004】
この上述した包装媒体の巻き戻りの防止策としては、例えば、容器本体の前面板の密着ニスや容器内部に設ける摩擦剤等が挙げられる。
【0005】
しかし、何れも包装媒体のずれを抑制するものではなく、効果的な巻き戻りの防止策とはならなかった。
【0006】
このようなことから、本発明より先に出願された技術文献として、ロール物の振動を抑止するための振動抑止片を箱体内に設け、ロール物の振動を抑止し、ロール物の巻きのゆるみ及びロール物先端部の巻き戻りを防止したロール物収納箱について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平3−15333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に開示された振動抑止片は、箱体内で仮止めされることはなく、ロール物(包装媒体)を箱体内(包装用容器)に挿入する際に、その振動抑止片が邪魔になり、ロール物を箱体内に挿入することが困難となる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、包装媒体を包装用容器に挿入する際に、抑止片が邪魔にならない包装用容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。なお、以下に説明する『』の中の記載は、『特許請求の範囲』と、『発明の実施の形態』と、の対応関係を明らかにするために付加したものであり、『特許請求の範囲』に記載されている発明の技術的範囲の解釈を意識的に限定するものではない。
【0010】
<包装用容器>
本発明にかかる包装用容器『1』は、ロール状に巻回された包装媒体『R』を収納する容器本体『2』と、前記容器本体『2』の開口部を被包する容器蓋『3』と、前記包装媒体『R』を切断する切断部『8』と、を有し、前記容器蓋『3』は、前記容器本体『2』の一頂縁『i』に連接し、前記一頂縁『i』を軸として前記容器本体『2』に対して回動可能な包装用容器『1』であって、
前記容器本体『2』は、前記容器本体『2』の前面板『11』の裏面側に折り返し可能な折返片『17』を有し、当該折返片『17』と、前記前面板『11』と、が接着しており、前記折返片『17』には、抑止片『40』が形成されており、
前記前面板『11』には、押片『11'』が形成されており、
前記押片『11'』を介して前記抑止片『40』に外力を与え、前記抑止片『40』を前記折返片『17』から分離し、該分離した抑止片『40』を前記包装媒体『R』の振動を抑止するために機能させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる包装用容器『1』において、
前記抑止片『40』は、前記折返片『17』に破断線『B、B'』を施して形成されており、
前記押片『11'』を介して前記抑止片『40』に外力を与え、前記破断線『B、B'』に沿って前記抑止片『40』を前記折返片『17』から分離することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる包装用容器『1』において、
前記押片『11'』は、前記前面板『11』に破断線『A』を施して形成されており、
前記破断線『A』に沿って前記押片『11'』を前記前面板『11』から分離し、該分離した押片『11'』を介して前記抑止片『40』に外力を与えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる包装用容器『1』において、
前記抑止片『40』は、切欠部『50』を有し、
前記切欠部『50』の少なくとも一部分の外形形状が、前記押片『11'』の外形形状よりも小さい形状で形成されてなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる包装用容器『1』において、
前記前面板『11』から分離した押片『11'』が前記前面板『11』と連接する部分『A'』は、前記容器本体『2』の開口部側に位置するように形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、包装媒体を包装用容器に挿入する際に、抑止片が邪魔にならないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、図5〜図7を参照しながら、本実施形態の包装用容器の概要について説明する。
【0017】
本実施形態における包装用容器(1)は、図7(c)に示すように、ロール状に巻回された包装媒体(R)を収納する容器本体(2)と、容器本体(2)の開口部を被包する容器蓋(3)と、包装媒体(R)を切断する切断部(8)と、を有して構成する。なお、容器蓋(3)は、容器本体(2)の一頂縁(i)に連接し、その一頂縁(i)を軸として容器本体(2)に対して回動可能な状態を構成する。
【0018】
そして、容器本体(2)は、図5に示すように、容器本体(2)の本体前面板(11)の裏面側に折り返し可能な折返片(17)を有しており、当該折返片(17)には、抑止片(40)が形成されている。また、本体前面板(11)には、押片(11')が形成されている。なお、本体前面板(11)と、抑止片(40)が形成された折返片(17)と、は、図6(b)に示すように接着して固定されている。このため、図6(c)に示すように、包装媒体(R)を包装用容器(1)に挿入する際に、抑止片(40)が邪魔にならないようにすることが可能となる。
【0019】
そして、図7(b)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え、抑止片(40)を折返片(17)から分離し、該分離した抑止片(40)を包装媒体(R)の振動を抑止するために機能させることになる。これにより、包装媒体(R)を包装用容器(1)に挿入する際に、抑止片(40)が邪魔にならず、包装媒体(R)を使用する際は、抑止片(40)として機能させることが可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の包装用容器(1)について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
<包装用容器:1の構成>
まず、図1〜図4を参照しながら、本実施形態における包装用容器(1)の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態における包装用容器(1)の外観斜視図である。図2は、開封片(5)を切取線(4)に沿って切除している状態の包装用容器(1)の外観斜視図である。図3は、開封片(5)を切除し、容器蓋(3)を開蓋した状態の外観斜視図である。図4は、容器蓋(3)を閉蓋した状態の外観斜視図である。
【0021】
本実施形態における包装用容器(1)は、図1に示すように、容器本体(2)と、当該容器本体(2)と連接した容器蓋(3)と、を有して構成している。
【0022】
なお、本実施形態における包装用容器(1)は、例えば、厚紙、ボール紙などの紙素材により形成することが可能である。また、包装用容器(1)は、複数枚、または、1枚の紙素材から形成することも可能である。また、本実施形態における包装用容器(1)を構成する容器本体(2)は、少なくとも、1度折り曲げても元に戻ろうとする復元性を有していることが好ましい。
【0023】
また、容器蓋(3)の掩蓋片(6)には、包装用容器(1)を使用する際に切除する開封片(5)が設けられており、図2に示すように、切取線(4)に沿って開封片(5)を切除することで、開封片(5)と容器本体(2)との接着部分である接着部(7)が層間剥離し、開封片(5)を容器本体(2)から剥離することで、図3に示すように、容器蓋(3)が容器本体(2)の一頂縁(i)を軸として容器本体(2)に対して回動可能な状態を構成することになる。
【0024】
そして、図4に示すように、容器本体(2)の開口部を容器蓋(3)で閉蓋した際に、包装用容器(1)が略直方体形状となるように構成している。なお、図1に示す切取線(4)は、開封片(5)を切取線(4)に沿って容易に切除することが可能な形状のミシン目が施されていることが好ましい。
【0025】
また、本実施形態における包装用容器(1)は、図2〜図4に示すように、容器蓋(3)の前面の掩蓋片(6)には、ロール状包装媒体(R)を切断するための切断部となる鋸刃状のカッター(8)が設けられている。
【0026】
なお、カッター(8)の形状は、特に限定するものではなく、あらゆる形状で構成することが可能であり、例えば、直線形状や、略中央部分が他の部分よりも突出する形状(V字形状)で構成することが可能である。また、カッター(8)の刃の種類としては、材質が金属、プラスチック、紙、バルカナイズド硬化紙等で、その端縁を、鋸刃状に加工したもの、砥粒を塗布加工したもの、或いは、両者の加工を併用したものが適用可能である。また、カッター(8)の配備方法としては、カッター(8)を掩蓋片(6)の適所に対しカシメ具や接着剤などで固定する方法などを採用することが可能である。なお、本実施形態における包装用容器(1)は、ロール状包装媒体(R)を切断することが可能であれば、カッター(8)に限定するものではなく、あらゆる構成の切断部を設けるようにすることが可能である。また、切断部の位置も特に限定するものではなく、ロール状包装媒体(R)を切断可能な任意の位置に設けることが可能である。
【0027】
<包装用容器:1の展開図>
次に、図5を参照しながら、本実施形態における包装用容器(1)の概略展開図について説明する。なお、図5は、本実施形態における包装用容器(1)を展開したものである。
【0028】
本実施形態における包装用容器(1)は、ロール状包装媒体(R)を収納する容器本体(2)の部分と、容器本体(2)の開口部を被包する容器蓋(3)の部分と、から構成している。
【0029】
<容器本体:2>
容器本体(2)の部分は、本体前面板(11)と、本体底面板(12)と、本体後面板(13)と、が順次、折線(a)、(b)を介して連接している。
【0030】
また、本体前面板(11)の両側辺には、本体折込片(14)、(14')がそれぞれ折線(c)、(c')を介して連接している。
【0031】
また、本体底面板(12)の両側辺には、本体側面板(15)、(15')がそれぞれ折線(d)、(d')を介して連接している。
【0032】
また、本体後面板(13)の両側辺には、本体折込片(16)、(16')がそれぞれ折線(e)、(e')を介して連接している。
【0033】
また、本体前面板(11)の上辺には、折返片(17)が折線(f)を介して連接している。
【0034】
なお、本実施形態における本体前面板(11)には、押片(11')が形成されている。また、折返片(17)には、抑止片(40)が形成されている。
【0035】
なお、押片(11')を形成するための破断線(A)の形状は、特に限定するものではなく、あらゆる形状で形成することが可能であり、例えば、ミシン目等で形成することが可能である。また、抑止片(40)を形成するための破断線(B、B')の形状も、特に限定するものではなく、あらゆる形状で形成することが可能である。なお、破断線(A)は、人手操作により、押片(11')が破断線(A)に沿って本体前面板(11)から容易に分離する形状で構成することが好ましい。同様に、破断線(B、B')は、抑止片(40)が破断線(B、B')に沿って折返片(17)から容易に分離する形状で構成することが好ましい。
【0036】
<容器蓋:3>
容器蓋(3)の部分は、蓋体蓋板(21)が本体後面板(13)に折線(i)を介して連接している。
【0037】
また、蓋体蓋板(21)には、掩蓋片(6)が折線(j)を介して連接している。
【0038】
また、蓋体蓋板(21)の両側辺には、蓋体側面板(23)、(23')がそれぞれ折線(k)、(k')を介して連接している。
【0039】
また、掩蓋片(6)の両側辺には、蓋体折込片(24)、(24')がそれぞれ折線(l)、(l')を介して連接している。
【0040】
また、掩蓋片(6)には、図2に示すように、カッター(8)を露出させるための開封片(5)が切取線(4:図1、図2参照)で区画されている。
【0041】
<包装用容器:1の製造工程>
次に、図5、図6を参照しながら、図5に示す板紙製のブランクを組み立てて、図1に示すような包装用容器(1)を構成するまでの製造工程について説明する。なお、以下に説明する製造工程は一例であり、本実施形態の包装用容器(1)を構成することが可能であれば、当業者が適宜修正、変更を加え、様々な製造工程を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0042】
本実施形態の包装用容器(1)を構成する製造工程の概略としては、図5に示す板紙製のブランクの必要な箇所に糊付を行い、図5に示す折線(f,a,i)に沿って折り曲げ、図6(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器(1)を作製し、その後、図6(a)に示す包装用容器(1)の中に、ロール状に巻回されたロール状包装媒体(R)を収納し、図6(c)に示す状態の包装用容器(1)を構成することになる。
【0043】
まず、図5に示す折返片(17)を折線(f)に沿って本体前面板(11)側に折り返す。なお、本実施形態における包装用容器(1)は、折返片(17)に形成された抑止片(40)以外の領域(例えば、図5に示す41)に接着剤等を塗布し、折返片(17)と、本体前面板(11)と、を貼り付ける。これにより、折返片(17)と、本体前面板(11)と、が接触した状態を構成することになる。なお、本実施形態における包装用容器(1)は、折返片(17)と、抑止片(40)と、が破断線(B、B')を介して連接して構成している。このため、抑止片(40)は、上述した折返片(17)と同様に、抑止片(40)と、本体前面板(11)と、が接触した状態を構成することになる。
【0044】
次に、折返片(17)を折線(f)に沿って本体前面板(11)側に折り返した状態で、折線(a)に沿って、本体前面板(11)を内側に折り曲げ、更に、蓋体蓋板(21)を折線(i)に沿って折り曲げ、掩蓋片(6)を本体前面板(11)の上に重ね、掩蓋片(6)の開封片(5)と、本体前面板(11)と、を貼り合せる。
【0045】
これにより、図5に示す板紙製のブランクを折り畳んだ図6(a)に示す状態の包装用容器(1)を構成することになる。
【0046】
なお、本実施形態の包装用容器(1)は、図6(a)に示す状態で、保管、輸送等を行うことになる。図6(a)に示す状態の包装用容器(1)は、開封片(5)と、本体前面板(11)と、が接着した状態を構成する。また、本体前面板(11)と、折返片(17)と、が接着した状態を構成する。
【0047】
次に、図6(a)に示す状態に折り畳んだ包装用容器(1)に対し、ロール状包装媒体(R)を収納することになる。
【0048】
まず、図6(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器(1)を起こし、図6(b)に示すように、包装用容器(1)を四角柱形状に構成し、一方の側面の開口部からロール状包装媒体(R)を挿入する。
【0049】
なお、本実施形態における包装用容器(1)は、図6(b)に示すように、抑止片(40)が形成された折返片(17)が、本体前面板(11)と接着して固定されているため、ロール状包装媒体(R)を包装用容器(1)に挿入する際に、抑止片(40)が邪魔になることがない。このため、ロール状包装媒体(R)を包装用容器(1)に容易に挿入することが可能となる。
【0050】
なお、図6(c)に示すように、ロール状包装媒体(R)を包装用容器(1)内に挿入した後は、本体折込片(14)、(16)を折り曲げ、その上に本体側面板(15)を折り曲げ、本体折込片(14)、(16)と本体側面板(15)とを貼り合わせる。
【0051】
次に、蓋体折込片(24)を折り曲げ、その上に、蓋体側板(23)を折り曲げ、蓋体折込片(24)と蓋体側板(23)とを貼り合わせる。
【0052】
これにより、一方の側面を形成することになる。
【0053】
また、もう一方の側面についても同様に形成し、包装用容器(1)を構成することになる。これにより、図1に示す包装用容器(1)を構成することが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態の包装用容器(1)を使用する際には、図2、図7(a)に示すように、掩蓋片(6)の開封片(5)を本体前面板(11)から剥がしながら切取線(4)に沿って切り取って除去する。
【0055】
そして、図7(b)に示すように、人手操作で、押片(11')に外力を与え、押片(11')を形成する破断線(A)(図5参照)に沿って押片(11')を本体前面板(11)から分離する。そして、その分離した押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与えることになる。これにより、抑止片(40)を形成する破断線(B、B')(図5参照)に沿って抑止片(40)を折返片(17)から分離することになる。
【0056】
その結果、折返片(17)から分離した抑止片(40)だけが、図7(b)に示すようにロール状包装媒体(R)に当接し、当該ロール状包装媒体(R)を容器本体(2)の本体後面板(13)側に押し付け、抑止片(40)と、本体後面板(13)と、でロール状包装媒体(R)を押さえ、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止することになる。
【0057】
そして、図3、図7(c)に示すように容器蓋(3)を開き、その容器蓋(3)を開いた状態で、ロール状包装媒体(R)の先端部を摘んで所望の長さだけ引き出し、その引き出したロール状包装媒体(R)をカッター(8)で切断することになる。
【0058】
この時、抑止片(40)は、ロール状包装媒体(R)を容器本体(2)の本体後面板(13)側に押し付け、抑止片(40)と、本体後面板(13)と、でロール状包装媒体(R)を押さえ、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止することになるため、ロール状包装媒体(R)の巻きのゆるみや、ロール状包装媒体(R)の先端部の巻き戻りを防止することが可能となる。
【0059】
このように、本実施形態における包装用容器(1)は、折返片(17)には、抑止片(40)が形成されており、本体前面板(11)には、押片(11')が形成されている。なお、前面板(11)と、抑止片(40)が形成された折返片(17)と、は、接着して固定されている。そして、図7(b)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え、破断線(B、B')に沿って抑止片(40)を折返片(17)から分離し、該分離した抑止片(40)をロール状包装媒体(R)の振動を抑止するために機能させることになる。
【0060】
これにより、本実施形態の包装用容器(1)は、製造工程時に、ロール状包装媒体(R)を包装用容器(1)に挿入する際に、抑止片(40)が邪魔になることがないため、ロール状包装媒体(R)を包装用容器(1)に容易に挿入することが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態における包装用容器(1)は、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え、破断線(B、B')に沿って抑止片(40)を折返片(17)から分離することになる。このため、破断線(B、B')は、例えば、図5に示すように、抑止片(40)の先端部分(42)の箇所だけが折返片(17)と連接し、他の箇所は、折返片(17)と分離している形状で構成することが好ましい。詳細には、図5に示すように、抑止片(40)の先端部から所定の値だけ内側部分の箇所で折返片(17)と連接するように設計することが好ましい。これにより、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与えた際に、その抑紙片(40)が破断線(B、B')に沿って折返片(17)から容易に分離することが可能となる。なお、上述した所定の値は、任意に設計変更することが可能である。
【0062】
また、本実施形態における包装用容器(1)は、抑止片(40)の機能(ロール状包装媒体(R)の振動を抑止するための機能)を向上させるため、破断線(B、B')は、図5に示すように、折線(f)に接するように設計することが好ましい。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0064】
第2の実施形態における包装用容器(1)は、図8に示すように、抑止片(40)は、切欠部(50)を有して構成し、その切欠部(50)の形状は、図9(a)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与える際には、押片(11')と抑止片(40)とが接触する形状であり、且つ、抑止片(40)を折返片(17)から分離した後は、図9(b)に示すように、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い形状からなることを特徴とする。これにより、折返片(17)から分離した抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の振動を抑止するために機能させた後に、その抑止片(40)の機能を維持させることが可能となる。以下、図8、図9を参照しながら、第2の実施形態の包装用容器(1)について詳細に説明する。
【0065】
第2の実施形態における包装用容器(1)は、図8に示すように、抑止片(40)は、切欠部(50)を有して構成する。
【0066】
なお、切欠部(50)の形状は、図9(a)に示すように、人手操作で、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与える際に、押片(11')と、抑止片(40)と、が接触する形状で構成する。更に、抑止片(40)を折返片(17)から分離した後は、図9(b)に示すように、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い形状で構成する。これにより、折返片(17)から分離した抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止するための片として維持させることが可能となる。
【0067】
例えば、抑止片(40)に切欠部(50)を設けない構成の場合には、図9(c)に示す状態となった場合に、押片(11')と、抑止片(40)と、が接触することになる。この状態の場合には、図9(c)に示す矢印方向に力が加わることになり、抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止するために機能させることができないことになる。このため、本実施形態における包装用容器(1)は、抑止片(40)に切欠部(50)を設け、その切欠部(50)は、図9(b)に示すように、抑止片(40)を折返片(17)から分離した後は、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い形状で構成することで、抑止片(40)の機能を維持させることが可能となる。
【0068】
なお、図9(a)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与える際には、押片(11')と抑止片(40)とが接触し、且つ、抑止片(40)を折返片(17)から分離した後は、図9(b)に示すように、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い形状で切欠部(50)を構成するためには、例えば、図10に示すように切欠部(50)を構成することが好ましい。
【0069】
図10では、切欠部(50)の幅(50a)が、押片(11')の幅(11'a)よりも短くなるように構成している(50a<11'a)。また、切欠部(50)の高さ(50b)が、押片(11')の高さ(11'b)よりも短くなるように構成している(50b<11'b)。なお、図10では、切欠部(50)の幅(50a)と、高さ(50b)と、の両方が、押片(11')よりも短くなるように構成したが、切欠部(50)の幅(50a)と、高さ(50b)と、の少なくとも一方が、押片(11')よりも短くなるように構成することも可能である。要するに、切欠部(50)の少なくとも一部分の外形形状が、押片(11')の外形形状よりも小さい形状となるように構成すればよい。これにより、図9(a)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与える際には、押片(11')と抑止片(40)とが接触し、抑止片(40)を分離し易い状態を構成することが可能となる。また、抑止片(40)を分離した後は、図9(b)に示すように、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い状態を構成することが可能となる。その結果、折返片(17)から分離した抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の振動を抑止するための片として維持させることが可能となる。
【0070】
なお、切欠部(50)の形状は、上述した構成に限定するものではなく、図9(a)に示すように、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与える際には、押片(11')と抑止片(40)とが接触し、且つ、抑止片(40)を折返片(17)から分離した後は、図9(b)に示すように、抑止片(40)と押片(11')とが接触し難い状態を構成することが可能であれば、あらゆる形状で構成することが可能である。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0072】
第3の実施形態における包装用容器(1)は、図12(a)〜(c)に示すように、本体前面板(11)から分離した押片(11')が本体前面板(11)と連接する部分(A')が、容器本体(2)の開口部側に位置するように形成されていることを特徴とする。これにより、本体前面板(11)から分離した押片(11')が、折返片(17)から分離した抑止片(40)に引っ掛かるような状態を構成することがない。その結果、第2の実施形態のように、切欠部(50)を設けなくとも、折返片(17)から分離した抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の振動を抑止するための片として維持させることが可能となる。以下、図11、図12を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
【0073】
第3の実施形態における包装用容器(1)は、本体前面板(11)から押片(11')を分離した際に、その分離した押片(11')が本体前面板(11)と連接する部分(A')が、折返片(17)側に位置するように、破断線(A)が図11に示すように形成されている。
【0074】
このため、第3の実施形態における包装用容器(1)は、図11に示す板紙製のブランクの必要な箇所に糊付を行い、図11に示す折線(f,a,i)に沿って折り曲げ、図12(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器(1)を作製した場合、図12(a)〜(c)に示すように、本体前面板(11)から分離した押片(11')が本体前面板(11)と連接する部分(A')は、容器本体(2)の開口部側に位置することになる。
【0075】
そして、図12(b)に示すように、人手操作で、押片(11')に外力を与え、押片(11')を形成する破断線(A)(図11参照)に沿って押片(11')を本体前面板(11)から分離する。そして、その分離した押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与えることになる。これにより、抑止片(40)を形成する破断線(B、B')(図11参照)に沿って抑止片(40)を折返片(17)から分離することになる。
【0076】
その結果、折返片(17)から分離した抑止片(40)だけが、図12(b)に示すようにロール状包装媒体(R)に当接し、当該ロール状包装媒体(R)を容器本体(2)の本体後面板(13)側に押し付け、抑止片(40)と、本体後面板(13)と、でロール状包装媒体(R)を押さえ、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止することになる。
【0077】
また、本実施形態における包装用容器(1)は、図12(a)〜(c)に示すように、本体前面板(11)から分離した押片(11')が本体前面板(11)と連接する部分(A')は、容器本体(2)の開口部側に位置することになる。このため、本体前面板(11)から分離した押片(11')が、折返片(17)から分離した抑止片(40)に引っ掛かるような図9(c)に示す状態を構成することがない。その結果、第2の実施形態のように、抑止片(40)に切欠部(50)を設けなくとも、折返片(17)から分離した抑止片(40)を、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止するための片として維持させることが可能となる。
【0078】
なお、押片(11')と、本体前面板(11)と、が連接する部分(図11に示すA')については、ミシン目や押し型が施されていることが好ましい。これにより、押片(11')を本体前面板(11)から分離した後に、その分離した押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え易いようにすることが可能となる。
【0079】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0080】
例えば、上述した包装用容器(1)において、折返片(17)と、本体前面板(11)と、は図5に示す41の部分で接着することにしたが、抑止片(40)が形成された領域以外であれば、図5に示す41に示す部分に限定するものではなく、あらゆる位置で、折返片(17)と、前面板(11)と、が接着するように構成することが可能である。
【0081】
また、上述した包装用容器(1)において、本体前面板(11)に設けた押片(11')の位置は、上述した図5に示す位置に限定するものではなく、例えば、図11に示すように、掩蓋片(6)で隠れる位置に設けるように設計することも可能である。図11に示すように、掩蓋片(6)で隠れる位置に押片(11')を設けるように設計することで、押片(11')から異物が混入する虞を回避することが可能となる。また、押片(11')を、図5に示すように、本体底面板(12)側ではなく、図11に示すように、折返片(17)側に設けるように構成することで、本体前面板(11)から分離した押片(11')が、折返片(17)から分離した抑止片(40)の機能を妨害することがないように構成することが可能となる。なお、押片(11')の位置は、折返片(17)から抑止片(40)を分離し易くする点、本体前面板(11)から分離した押片(11')が、折返片(17)から分離した抑止片(40)の機能を妨害することがないようにする点等の諸条件等を考慮し、適宜決定することが好ましい。
【0082】
また、上述した包装用容器(1)において、折返片(17)に設ける抑止片(40)と、本体前面板(11)に設ける押片(11')と、の対の組み合わせは、図5に示すように、1つに限定するものではなく、例えば、図13に示すように、複数設けることも可能である。また、折返片(17)に設ける抑止片(40)と、本体前面板(11)に設ける押片(11')と、の位置関係も特に限定するものではなく、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え、抑止片(40)を折返片(17)から分離することが可能であれば、任意の位置に設けることが可能である。なお、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与え、抑止片(40)を折返片(17)から分離するためには、押片(11')と、抑止片(40)と、が接するように構成することが好ましいことは言うまでもない。
【0083】
また、上述した包装用容器(1)において、折返片(17)から分離した抑止片(40)が、ロール状包装媒体(R)に当接する箇所(例えば、図14に示す43(但し、43は、図14に示す抑止片40の裏側の位置を示す)には、粘着ニスや、摩擦剤等を形成することが好ましい。これにより、ロール状包装媒体(R)の遊動を更に抑止し易くすることが可能となるため、ロール状包装媒体(R)の巻きのゆるみや、ロール状包装媒体(R)の先端部の巻き戻りを更に防止することが可能となる。
【0084】
また、上述した包装用容器(1)は、例えば、図15に示すように、折返片(17)自体を上述した抑止片(40)として機能させるように設計することも可能である。この場合には、折返片(17)と押片(11')とを任意の箇所(例えば、図15に示す44)で接着するように構成する。これにより、図7(b)に示すように、人手操作で、押片(11')に外力を与え、押片(11')を介して抑止片(40)に外力を与えた際に、押片(11')と抑止片(40)とが接着した箇所(図15に示す44)が分離し、抑止片(40)が、図7(b)に示すようにロール状包装媒体(R)に当接し、当該ロール状包装媒体(R)を容器本体(2)の本体後面板(13)側に押し付け、抑止片(40)と、本体後面板(13)と、でロール状包装媒体(R)を押さえ、ロール状包装媒体(R)の遊動を抑止することが可能となる。
【0085】
また、上述した包装用容器(1)は、本体前面板(11)に押片(11')を形成することになるため、その押片(11')を形成する位置によっては、押片(11')から異物が混入する虞がある。このため、包装用容器(1)の任意の箇所に再貼付可能なテープ等を設け、そのテープを用いて押片(11')を塞ぐように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明にかかる包装用容器は、ロール状に巻回された包装媒体、例えば、ラップフィルムに代表される樹脂製フィルムや紙、アルミホイル等を包装するための容器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態における包装用容器(1)の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における包装用容器(1)の外観を示す斜視図であり、開封片(5)を切取線(4)に沿って切除している状態を示す図である。
【図3】本実施形態における包装用容器(1)の外観を示す図であり、開封片(5)を切除し、容器蓋(3)を開蓋した状態を示す図である。
【図4】本実施形態における包装用容器(1)の外観を示す図であり、容器蓋(3)を閉蓋した状態を示す図である。
【図5】第1の実施形態における包装用容器(1)の概略展開図を示す図である。
【図6】第1の実施形態における包装用容器(1)を構成する際の製造工程を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態における包装用容器(1)を使用した際の包装用容器(1)の構成を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態における包装用容器(1)の概略展開図を示す図である。
【図9】第2の実施形態における包装用容器(1)を使用した際の包装用容器(1)の構成を説明するための図である。
【図10】切欠部(50)の形状と、押片(11')の形状と、の関係を説明するための図である。
【図11】第3の実施形態における包装用容器(1)の概略展開図を示す図である。
【図12】第3の実施形態における包装用容器(1)を使用した際の包装用容器(1)の構成を説明するための図である。
【図13】本実施形態の包装用容器(1)の変形例を示す第1の図である。
【図14】本実施形態の包装用容器(1)の変形例を示す第2の図である。
【図15】本実施形態の包装用容器(1)の変形例を示す第3の図である。
【符号の説明】
【0088】
1 包装用容器
2 容器本体
3 容器蓋
4 切取線
5 開封片
6 掩蓋片
7 接着部
8 カッター
11 本体前面板
11' 押片
12 本体底面板
13 本体後面板
14、14' 本体折込片
15、15' 本体側面板
16、16' 本体折込片
17 折返片
21 蓋体蓋板
23、23' 蓋体側面板
24、24' 蓋体折込片
40 抑止片
41 接着部
42 先端部分
50 切欠部
R ロール状包装媒体
A、B、B' 破断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された包装媒体を収納する容器本体と、前記容器本体の開口部を被包する容器蓋と、前記包装媒体を切断する切断部と、を有し、前記容器蓋は、前記容器本体の一頂縁に連接し、前記一頂縁を軸として前記容器本体に対して回動可能な包装用容器であって、
前記容器本体は、前記容器本体の前面板の裏面側に折り返し可能な折返片を有し、当該折返片と、前記前面板と、が接着しており、前記折返片には、抑止片が形成されており、
前記前面板には、押片が形成されており、
前記押片を介して前記抑止片に外力を与え、前記抑止片を前記折返片から分離し、該分離した抑止片を前記包装媒体の振動を抑止するために機能させることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記抑止片は、前記折返片に破断線を施して形成されており、
前記押片を介して前記抑止片に外力を与え、前記破断線に沿って前記抑止片を前記折返片から分離することを特徴とする請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記押片は、前記前面板に破断線を施して形成されており、
前記破断線に沿って前記押片を前記前面板から分離し、該分離した押片を介して前記抑止片に外力を与えることを特徴とする請求項1または2記載の包装用容器。
【請求項4】
前記抑止片は、切欠部を有し、
前記切欠部の少なくとも一部分の外形形状が、前記押片の外形形状よりも小さい形状で形成されてなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記前面板から分離した押片が前記前面板と連接する部分は、前記容器本体の開口部側に位置するように形成されてなることを特徴とする請求項3記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−113840(P2009−113840A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289914(P2007−289914)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】