説明

包装用支持枠

【課題】液晶用ガラス基板その他の板状の物品を仕切り状態に支持して包装するための包装用支持枠として、天板を安定性よく保持でき、天板の脱着操作の際に包装物品を傷つける虞のない包装用支持枠を提供する。
【解決手段】底板2と、底板2の両側にヒンジ部2aを介して折曲起立可能に連設された側板3,3を有する本体を備え、底板2及び両側板3,3には、それぞれヒンジ部延在方向に支持用凸部22,32により画された物品収納部21,31が並設され、これとは別に形成された天板4を備える包装用支持枠において、天板4は、両側板3,3の前後両端の支持用凸部32F,32Bに載接する支持用凸部42F,42Bを前後両端に有し、この天板4の支持用凸部42F,42Bと、両側板の支持用凸部32F,32Bとに、それぞれ上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部51,61と凸部52,62による嵌合部50,60を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液晶用バックライトに使用されるガラス基板、パソコンに内蔵されるハードディスク、CD−ROMを挿入するドライブ等の電子機器部品、その他の板状部品等を包装箱内に収納し梱包する際に、収納される複数の物品を、相互に接触しないように支持して緩衝材として保護するための仕切り兼用の包装用支持枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイの液晶用バックライトに使用されるガラス基板、パソコン用のハードディスクやドライブ等の電子機器部品その他の各種の板状部品等を輸送する場合、これらの包装対象の物品(以下、包装物品という)は帯電防止用の包装材またはフィルム材で個々に包装された上で、各包装物品が相互に接触しないように支持されて、段ボール箱等の包装箱等に収容して梱包される。
【0003】
従来、このような板状やパネル状の包装物品を包装する場合に、合成樹脂の発泡シートまたは非発泡シートから一体形成され、それぞれ支持用凸部により画された溝状の物品収納部を有する底板とその両側に連設された折曲起立自在な両側板とからなる包装用支持枠を用い、フィルム材等により包装した包装物品を相互に接触させないように支持し、これを段ボール箱等の包装箱に収容して梱包していた。前記の包装用支持枠には、底板や側板からなる本体とは別に、蓋としての天板を備えており、該天板により収納された包装物品の上部を被うようにしている(例えば、特許文献1)。
【0004】
前記天板は、通常、両側板の物品収納部に対応して支持用凸部により画された物品収納部を有しており、被着状態においては、両側板の支持用凸部の傾斜状の側端部の上に、該天板に有する支持用凸部の傾斜状の両側端部を当接させるようにして載置されるものであるが、前記天板が前記のように単に載置されているだけであると前後方向に位置ずれし易く、この位置ずれのために支持用凸部間に収納されている包装物品を損傷する虞がある。
【0005】
このため、特許文献1では、両側板の支持用凸部の側端部の斜面と、この上に載接する天板の各支持用凸部の側端部の斜面とに、凹部と凸部による嵌合部を設けておいて、この凹部と凸部の嵌合により位置ずれを防止することが提案されている。具体的には、前記凹部と凸部が、包装物品の収納部を画成する支持用凸部の側端部の斜面において、収納部と交互に位置するように形成されている。
【0006】
しかしながら、前記凹部と凸部の嵌合が比較的浅いために、天板を取り外す際に、凹部と凸部の嵌合がすぐに外れてしまい、天板が自由に動く状態になって前後方向に位置がずれ、このため天板が包装物品に干渉し包装物品を傷める虞がある。すなわち、前記の凹部と凸部の嵌合は、包装物品が天板の支持用凸部間の収納部から抜け出した状態になるまでは可動範囲を限定するように位置決めすることは考慮されていないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4097875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、液晶用のガラス基板、パソコン用のハードディスクやドライブ等の電子機器部品その他の板状部品等を仕切り状態に支持して包装するための包装用支持枠として、蓋としての天板を嵌合状態にして安定性よく保持でき、しかも天板の脱着操作の際に収納された包装物品を傷つける虞のない包装用支持枠を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記の課題を解決するものであり、合成樹脂のシート材より成形され、包装物品の下部を支持する底板と、底板の左右両側にヒンジ部を介して折曲起立可能に連設され包装物品の両側部を支持する側板を有し、前記底板および両側板には、それぞれヒンジ部延在方向に支持用凸部により画された物品収納部が並設されており、さらに、起立した前記両側板間の上部に嵌合されて蓋として被着される別体の天板を備えてなる包装用支持枠において、前記天板は、前記両側板の前後両端の支持用凸部に載接する支持用凸部を前後両端に有し、この天板の前後両端の支持用凸部と、前記両側板の前後両端の支持用凸部とに、それぞれ上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部と凸部による嵌合部が設けられてなることを特徴とする。
【0010】
この包装用支持枠によれば、例えばガラス基板等の板状部品その他の物品(包装物品)を包装する際に、底板に対して両側板を折曲起立させて相対向させた状態で包装箱内にセットし、包装物品を底板および両側板に有する仕切兼用の支持用凸部間に収納して相互に接触させないように支持する。そして、両側板間の上部に別体の天板を嵌合して蓋として被せる。この際、前記天板の前後両端の支持用凸部と、両側板の前後両端の支持用凸部とに有する凹部と凸部による嵌合部を嵌合することにより、前後方向の位置決めをした状態に保持する。これにより、両側板間に嵌合した天板の前後方向等の水平方向の動きを抑制できる。
【0011】
前記の包装用支持枠において、前記天板における前後両端の支持用凸部の間が、包装物品の上部が入り込む収納凹部として形成され、前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の収納凹部に対して包装物品が入り込む深さより大きいものとする。
【0012】
これにより、前記天板は、安定性のよい被着状態に保持される上、天板の脱着操作の際、包装物品の上部が天板の前記両端の支持用凸部間の収納凹部に入り込んでいる間は、前記の嵌合部により天板の前後方向等の水平方向の可動範囲が制限されることになる。このため、天板の脱着操作の際に天板が包装物品に対し当接干渉することがなく、干渉による包装物品の損傷を防止できる。また、前後両端の支持用凸部間を収納凹部として形成したことにより、上部に突出部を有する包装物品も収納できる。
【0013】
また、前記天板における前後両端の支持用凸部の間に、包装物品の上部が入り込む溝状の物品収納部が支持用凸部により画されて並設されている場合においても、前後両端の支持用凸部におけ.前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の物品収納部に対し包装物品が入り込む深さより大きいものとすることができる。この場合も、前記同様に、包装物品の上部が各物品収納部に入り込んでいる間は、前記の嵌合部により天板の前後方向等の水平方向の可動範囲が制限され、天板の脱着操作の際に天板が包装物品に対し当接干渉することがなく、干渉による包装物品の損傷を防止できることになる。
【0014】
前記の包装用支持枠において、前記天板の前後両端の支持用凸部の側端部と、前記両側板における前後両端部の支持用凸部の側端部とに、前記凹部と凸部による嵌合部が天板の前後両端部で対称形をなすように設けられてなるものが好ましい。
【0015】
すなわち、この場合、天板を被着する際には、前記凹部と凸部による嵌合部を確認し位置合わせしながら容易に嵌合操作でき、しかも前後方向等の水平方向の動きを制限できるように被着できる。また、前記凹部と凸部による嵌合部を前後両端部の支持用凸部の部分に設定したことにより、請求項4のように、前記天板及び両側板の前後両端の支持用凸部の前後方向幅を、内方の各物品収納部間の支持用凸部の前後方向幅より大きく形成し、該前後両端の支持用凸部の幅内において、前記嵌合部の凹部や凸部を充分な寸法を持って設定できることになる。
【0016】
また、本発明は、前記同様の包装用支持枠において、前記天板は、前記両側板の物品収納部に対応して、下面側への膨出部分において包装物品の上部が嵌り込む物品収納部が支持用凸部により画されて並設されてなり、該膨出部分の側端部と、これに対応する両側板の物品収納部及び支持用凸部を含む膨出部分の側端部とに、それぞれ、上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部と凸部による嵌合部が設けられてなるものとすることができる。
【0017】
この発明の場合も、両側板間の上部に蓋としての別体の天板を被せる際、該天板に有する物品収納部に包装物品の上部を収納するとともに、該天板の各物品収納部及び支持用凸部を含む膨出部分の側端部と、両側板の物品収納部及び支持用凸部を含む膨出部分の側端部とにおける前記凹部と凸部による嵌合部を嵌合することにより、前後方向の位置決めをした状態に保持する。これにより、両側板間に嵌合した天板の前後方向等の水平方向の動きを抑制でき、前記天板を安定性のよい被着状態に保持できる。
【0018】
特に、前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の物品収納部に対し包装物品が入り込む深さより大きいものされていることにより、また天板の脱着操作の際、包装物品の上部が天板の物品収納部に嵌り込んでいる状態のときは、前記の嵌合部により天板の前後方向の可動範囲が制限されることになる。このため、天板の脱着操作の際に天板が包装物品に対し当接したり干渉するのを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
上記したように本発明の包装用支持枠によれば、液晶用のガラス基板、パソコン用のハードディスクやドライブ等の電子機器部品その他の板状部品等を仕切り状態に支持して包装するための包装用支持枠として、蓋としての天板を嵌合状態にして安定性よく保持でき、しかも天板の脱着操作の際に収納された包装物品を傷つける虞がなく、包装物品の保護を良好になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の包装用支持枠の第1の実施例を示す本体の展開状態の平面図である。
【図2】同上の本体の半部縦断正面図である。
【図3】同上の本体のIII−III線の断面図である。
【図4】同上の包装用支持枠の天板の下面側からみた平面図である。
【図5】同上の天板の半部縦断正面図である。
【図6】同上の組み立て状態の本体と天板を分離して示す一部の拡大斜視図である。
【図7】同上の組み立て状態の本体と天板を分離して示す半部縦断正面図である。
【図8】同上の天板を被着した状態の半部縦断正面図である。
【図9】同上のIX−IX線の一部を省略した断面図である。
【図10】本発明の包装用支持枠の第2の実施例を示す本体の展開状態の平面図である。
【図11】同上の本体の正面図である。
【図12】同上の包装用支持枠の天板の下面側からみた平面図である。
【図13】同上の天板の正面図である。
【図14】同上の組み立て状態の本体と天板を分離して示す半部縦断正面図である。
【図15】同上の天板を被着した状態の断面図である。
【図16】本体の側板の起立状態の保持構造を備える実施例を示す展開状態の一部の拡大平面図である。
【図17】同上の本体の組み立て途中の一部の拡大斜視図である。
【図18】同上の組み立て完了状態の一部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基いて説明する。
【0022】
図1〜図9は本発明の包装用支持枠の第1の実施例を示している。図において、符号Aは包装用支持枠を示し、符号1は包装用支持枠Aの本体である。本体1は、適度の剛性と弾性を有し比較的曲げ強度のある合成樹脂のシート材、特に好ましくは後述するように、合成樹脂の発泡シートから真空成形、圧空成形等の成形加工の手段により一体に展開状態に成形されてなり、底板2と、この底板2の左右両側に、例えば加熱押圧によるV溝状のヒンジ部2aを介して折曲起立可能に連設された側板3,3とを有している。本発明の包装用支持枠Aは、後述するように、前記同様の合成樹脂のシート材から同様の成形加工手段により成形された別体の蓋としての天板4を前記本体1と組み合わせてなる。
【0023】
前記本体1における底板2には、ガラス基板等の包装対象の板状部品その他の包装物品Bの厚みに応じて設定される幅の左右方向の溝状の物品収納部21が、前記シート材から表面(内面)側に膨出形成された仕切兼用の支持用凸部22により画されて、前後方向つまり前記ヒンジ部2aの延在方向に一定間隔に並設されている。すなわち、前記物品収納部21とこれを画する支持用凸部22とが交互に並列している。
【0024】
前記各物品収納部21及び各支持用凸部22は、左右方向に連続状をなすもののほか、左右方向の中央部等の1個所もしくは複数個所に非膨出部23を残存させて非連続状に形成することもできる。
【0025】
第1の実施例においては、前後両端部の支持用凸部22は左右方向に連続状に、これより内方の物品収納部21及び支持用凸部22は中央部に非膨出部23を残存させて非連続状に形成されている。図の場合、前記非膨出部23以外の全体が膨出形成されるとともに、この膨出部分20に前記物品収納部21及び支持用凸部22が形成されており、前記物品収納部21の底部が前記支持用凸部22と段差をなして連続する受支用段部24として形成され、包装物品Bを弾力的に受支できるように設けられている。この受支用段部24を物品収納部21の長さ方向の一部に設けて実施することもできる。
【0026】
また、前記両側板3,3には、それぞれ、前後方向つまりヒンジ部2aの延在方向に、前記底板2の物品収納部21及び支持用凸部22と同列、同間隔に溝状の物品収納部31及び支持用凸部32が交互に並設されている。この側板3の各物品収納部31及び各支持用凸部32についても、左右方向つまり起立時の上下方向に連続状をなすもののほか、一部に非膨出部33を残存させて非連続状に形成することもできる。第1の実施例においては、前後両端部の支持用凸部32は左右方向に連続状に、これより内方の物品収納部31及び支持用凸部32は中央部に非膨出部33を残存させて非連続状に形成されている。図の場合、前記非膨出部33以外の全体が膨出形成されるとともに、この膨出部分30に前記物品収納部31及び支持用凸部32が形成されており、前記物品収納部31は、その底部が前記支持用凸部32と段差をなして連続する受支用段部34として形成され、包装物品Bを弾力的に受支できるように形成されている。
【0027】
前記両側板3,3の起立状態における支持用凸部32の下端部32aと、底板2の支持用凸部22の両側端部22aとは、側板3の折曲起立状態において弾力的に当接するように傾斜状に形成され、両側板3,3が一定以上内方には傾倒しないようになっている。図の場合は、底板2の膨出部分20における受支用段部24の側端部は支持用凸部22の側端部22aと同一面に形成され、両側板3,3の膨出部分30における受支用段部34の下端部は支持用凸部32の下端部32aと同一面に形成されている。
【0028】
前記両側板3,3の起立状態における支持用凸部32の上端部については、天板4に支持用凸部を有する場合、前記下端部32aと同様に傾斜状に形成して、天板の支持用凸部を当接させて支持するように設けることもできるが、図の場合は、前後両端部の支持用凸部32F,32Bを除く内方の支持用凸部32及び受支用段部34については、被着される天板4との間に間隙を保有できるように、両側板12の起立状態において略水平もしくは僅かな傾斜状をなすように形成されている。
【0029】
図中の符号11は前記底板2および両側板3,3よりなる本体1のフランジ状の縁部を示す。
【0030】
前記本体1に組み合わされる別体の天板4は、その左右両側部に、起立した前記両側板3,3の上部内側に嵌り込むように下方側に膨出した断面凹形の凸状部40,40を有し、また、前後両端部には、前記両側板3,3の前後両端部の支持用凸部32F,32Bに載接する支持用凸部42F,42Bを有しており、前記本体1に対する被着状態においては、前記凸状部40,40が起立した前記両側板3,3の上部内側に嵌り込み、かつ、前後両端部の支持用凸部42F,42Bが前記両側板3,3の前後両端部の支持用凸部32F,32Bの側端部に載接するように形成されている。前記凸状部40,40は、前記支持用凸部42F,42Bと段差をなして連続しており、該凸状部40,40と支持用凸部42F,42Bにより囲まれた内方部が、包装物品Bの上部が入り込む収納凹部45として形成されている。
【0031】
本発明の場合、前記天板4の前後両端部の支持用凸部42F,42Bと、前記両側板3,3の前後両端部の支持用凸部32F,32Bには、それぞれ上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする互い違いの凹部と凸部による嵌合部50,60が設けられており、この嵌合により、両側板3,3間に嵌合した天板4の前後方向の動きを抑制して位置決めできるようになっている。
【0032】
すなわち、前記天板4の支持用凸部42F,42Bにおける嵌合部50は、該支持用凸部42F,42Bの表面形状に対して凹入した凹部51及び/又は突出した凸部52が、また前記両側板3、3の支持用凸部32F,32Bの側端部における嵌合部60は、前記天板4における嵌合部50に対応して、該支持用凸部32F,32Bの表面形状に対し突出した凸部61及び/又は凹入した凹部62が、前後両端部で対称形をなすように形成されており、前後方向の動きを抑制できるように形成されている。
【0033】
前記天板4及び両側板3,3の嵌合部50及び60の凹部51及び61と凸部52び62の凹凸配置を逆にすることもできる。また、天板4の支持用凸部42F,42Bと、両側板3,3の支持用凸部32F,32Bの一方に凹部、他方に凸部を設けて実施することもできる。
【0034】
いずれにしても、前記嵌合部50,60の上下方向の嵌合深さd1は、例えば5mm以上、好ましくは10mm以上として、天板の4の動き抑制の効果、可動範囲の制限の効果等を考慮して適宜設定することができるが、実施上は、前記天板4の収納凹部45に対して包装物品Bが入り込む深さd2よりも大きくなるように形成しておくのが、天板4の脱着操作の際に、該天板4が包装物品Bに対して当接干渉するのを防止する上で特に好ましい。
【0035】
また、図1〜図9に示す第1の実施例の場合は、前記天板4の前後両端部の支持用凸部42F,42B及び前記両側板3,3の前後両端部の支持用凸部32F,32Bの前後方向幅W1が、側板3における内方の各物品収納部31、31間の支持用凸部32の前後方向幅W2より大きく形成され、この支持用凸部42F,42B及び32F,32Bの幅内で前記凹部51,61と凸部52,62による嵌合部50,60が形成されている。これにより、内方部の物品収納部31の間隔、つまり包装物品Bの収納間隔を過度に大きくすることなく、前記嵌合部50,60の凹部51,61や凸部52,62を充分な寸法を持って設定することができる。
【0036】
上記の構成の包装用支持枠Aは、使用までの取扱いにおいては、本体1を展開状態にして多数枚を重ねて嵩低くして取扱うことができ、また、天板4も、入れ子に重ねて嵩低くして取り扱うことができる。
【0037】
そして、例えばディスプレイ用のガラス基板またはハードディスク等の包装物品Bを段ボール箱等の包装箱内に収納して梱包する際は、底板2に対して両側板3,3を折曲起立させて相対向させた状態で包装箱C内にセットし、帯電防止用の包装材で個々に包装された各包装物品Bを、底板2及び両側板3,3の支持用凸部22及び32間の物品収納部21及び31に収納する。この後、上部に別体の天板4を被せて梱包する。この際、前記天板4は、前後両端の支持用凸部42F,42Bと、両側板3,3の前後両端の支持用凸部32F,32Bとに有する凹部51,61と凸部52,62による嵌合部50,60を嵌合することにより、前後方向の位置決めをした状態に保持する。これにより、両側板3,3間に嵌合した天板の前4の前後方向等の水平方向の動きを抑制できる。
【0038】
特に、前記嵌合部50,60の上下方向の嵌合深さd1を前述のように設定したことにより、前記天板4は、安定性のよい被着状態に保持される上、天板4の脱着操作の際、包装物品Bの上部が天板4の収納凹部45に入り込んでいる間は、前記の嵌合部50,60により水平方向の可動範囲が制限されることになり、天板4の脱着操作の際に天板4が包装物品に対し当接干渉することがなく、干渉による包装物品の損傷を防止できる。なお、前記天板4の収納凹部45を利用して、上部に突出部を有する包装物品Bを収納し包装することができる。
【0039】
なお、前記天板4における前後両端の支持用凸部42F,42Bの間に、両側板3,3の物品収納部31及び支持用凸部32に対応して同間隔で、包装物品Bの上部が入り込む溝状の物品収納部が支持用凸部により画されて並設されている場合においても、天板4の前後両端の支持用凸部42F,42Bと、側板3の前後両端の支持用凸部32F,32Bに、前記実施例と同様の嵌合部50,60を設けて同様に実施することができる。この場合も、前記の嵌合部50,60の配置や嵌合深さは、上記同様に設定でき、例えば、上下方向の嵌合深さを、前記天板4の物品収納部に対し包装物品が入り込む深さより大きいものとするのが、天板4の可動範囲制限の効果、天板4の脱着操作時の包装物品Bに対する干渉防止の効果の点から好ましい。
【0040】
図10〜図15は本発明の包装用支持枠Aの第2の実施例を示している。
この第2の実施例2おいて、第1の実施例と同構成部分、同構成部材については同符号を付して詳しい説明を省略し、第1の実施例と異なる構成を中心に説明する。
【0041】
この第2の実施例において、本体1の両側板3,3の構成において、物品収納部31と支持用凸部32を含む膨出部分30の側板起立時の上端部、すなわち第1の実施例と同様に、物品収納部31、支持用凸部32,32F,32B及び受支用段部34を含む膨出部分30の全体の側板起立時の上端部30aが傾斜状に形成されている。
【0042】
また、天板4は、上記実施例の両側の凸状部40,40に変えて、前後両端部の支持用凸部42F,42B間の部分の全体が中央部に非膨出部43を残余させて下面側への膨出部分140として膨出形成され、該膨出部分140に、被着状態における側板3の物品収納部31及び支持用凸部32に対応して、包装物品Bの上部が嵌り込む溝状の物品収納部41が支持用凸部42により画されて並設されている。
【0043】
前記天板4は、物品収納部41及び支持用凸部42,42F,42Bを含む前記膨出部分140の全体の側端部140aが、前記両側板3,3の起立状態における膨出部分30すなちわ物品収納部31及び支持用凸部32,32F,32Bを含む膨出部分30の上端側の側端部30aに対応した傾斜状をなしており、傾斜面で受支されるように形成されている。
【0044】
そして、前記天板4の膨出部分140の側端部140aと、これに対応する前記両側板3,3の膨出部分30の側端部30aの任意の個所に、上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部と凸部による嵌合部150、150が設けられている。
【0045】
図示する実施例の場合は、側板3の膨出部分30の傾斜した側端部30aに、前後方向に間隔をおいて複数個所(例えば3個所)に、上下方向の嵌合部160となる凹部161が形成され、また、天板4の膨出部分140の傾斜した側端部140aには、被着状態において前記凹部161と対応する複数個所に、前記凹部161に嵌合する嵌合部150となる凸部152が設けられている。
【0046】
前記の凹部161と凸部152による嵌合160,150についても、上下方向の嵌合深さについては、前記天板4の物品収納部41に対し包装物品Bが入り込む深さと同程度若しくはやや大きくなるように形成しておくのが、天板4の脱着操作の際に、該天板4が包装物品Bに対して当接干渉するのを防止する上で好ましい。
【0047】
なお、前記嵌合部150、160の凹部と凸部を前記とは反対にして、天板4の膨出部分140に凹部、側板の膨出部分30に凸部を設けておくこともできる。
【0048】
この第2の実施例の場合も、両側板3,3間の上部に蓋としての別体の天板4を被せる際、該天板4に有する物品収納部41に包装物品Bの上部を収納するとともに、該天板4の各物品収納部41及び支持用凸部42,42F,42Bを含む膨出部分140の側端部140aと、両側板3,3の物品収納部31及び支持用凸部32,32F,32Bを含む膨出部分30の側端部30aとにおける前記凹部161と凸部152による嵌合部160,150を嵌合することにより、前後方向の位置決めをした状態に保持する。これにより、上記下実施例両側板間に嵌合した天板の前後方向等の水平方向の動きを抑制でき、前記天板を安定性のよい被着状態に保持できる。また、天板4の脱着操作の際、包装物品Bの上部が天板4の物品収納部41に嵌り込んでいる状態のときは、前記の嵌合部160,150により天板4の前後方向の可動範囲を制限でき、天板4の脱着操作の際に天板4が包装物品Bに対し当接したり干渉するのを防止できる。
【0049】
上記した第1及び第2のいずれの実施例の場合も、起立した両側板3,3を所定の起立状態に保持する手段として、図16〜図18に示すように、前記底板2及び両側板3,3における前記ヒンジ部2aの延在方向の両端すなわち前後両端に、それぞれ加熱押圧によるV溝状のヒンジ25,35を介して前記支持用凸部22,32の突出側に折曲可能に延出するフラップ状の連結片26,36を連設し、この底板2の連結片26と側板3の連結片36とに、側板3,3が起立しかつ前記各連結片26,36を折曲した状態において互いに係止可能な係止手段を設け、前記連結片26,36同士を係止し連結することにより前記両側板3,3を起立状態に保持するように設けて実施することができる。
【0050】
この連結片26,36同士の係止連結する係止手段としては、例えば図16〜図18のように、両側板3,3の起立状態において底板2の連結片26と側板3の連結片36とが重なる部分に、それぞれ相互にかみ合わせ可能な切込み27,37を側端部に係止部28,38を残余させるように形成しておき、前記切込み27,37同士のかみ合わせにより両者の係止部28,38を係止し連結するように設けて実施する等、相互に係止し連結できる種々の係止構造による実施が可能である。前記切込み27,37による場合、係止部28,38に係合操作を容易にする屈曲用の折れ線部29,39を設けておくのが好ましい。
【0051】
上記の包装用支持枠Aの本体1及び天板4の構成素材である合成樹脂のシート材としては、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂その他の適度の剛性および弾性を有して比較的曲げ強度のある合成樹脂の発泡シート、あるいは前記の合成樹脂の発泡シートの片面もしくは両面に非発泡樹脂を積層し、ヒンジ強度を持たせた合成樹脂発泡シートを用いることが好ましい。さらに好ましくは、適度に剛性および弾性がありかつ強靭性があって、ヒンジ強度や補形強度、緩衝性、深絞り成形性に優れ、しかも微粉が発生し難い点より、ポリエステル系樹脂の発泡シートが用いられる。ポリエステル系樹脂の発泡シートの片面もしくは両面に非発泡ポリエステル系樹脂を積層した発泡シートを用いてもよい。
【0052】
ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸に、二価アルコールを反応させて得られる高分子量の鎖状ポリエステルであり、中でも耐熱性等の機械的特性や経済性の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするものが好適に用いられる。このポリエステル系樹脂は、結晶性であり、この結晶化度を高くするほうが、耐熱性等の物性は向上する。したがって、結晶化度は15%〜35%程度、好ましくは20%〜30%程度とするのがよい。
【0053】
前記の合成樹脂発泡シートの厚みは、使用素材によっても異なるが、ポリエステル系樹脂発泡シートの場合、0.5〜8.0mm程度、好ましくは1.0〜3.0mm程度であり、発泡倍率は5〜50倍程度のものが好適である。厚みが前記より小さくなると、充分な支持強度が得られなくなり、また厚みが前記より大きくなると、ポリエステル系樹脂発泡シートからの成形が困難になる上に嵩高になる。また発泡倍率が5倍より小さいと、緩衝性が劣ることになる上、使用樹脂量が多くなり不経済であり、また発泡倍率が50倍より大きくなると、材料強度上問題がある。もちろん包装物品の種類または包装物品の使用素材によっては前記以外のものを使用することもできる。
【0054】
さらに、包装対象の物品の種類によっては、前記の合成樹脂の非発泡シートを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、液晶用バックライトに使用されるガラス基板、パソコンに内蔵されるハードディスク、CD−ROMを挿入するドライブ等の電子機器部品、その他の板状部品等を包装箱内に収納し梱包するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
A…包装用支持枠、B…包装物品、1…本体、2…底板、2a…ヒンジ部、3…側板、4…天板、11…縁部、20…膨出部分、21…物品収納部、22…支持用凸部、23…非膨出部、24…受支用段部、25…ヒンジ、26…連結片、27…切込み、28…係止部、29…折れ線部、30…膨出部分、30a…側端部、31…物品収納部、32…支持用凸部、32F,32B…前後利用端部の支持用凸部、33…非膨出部、34…受支用段部、35…ヒンジ、36…連結片、37…切込み、38…係止部、39…折れ線部、40…凸状部、41…物品収納部、42…支持用凸部、42F,42B…前後利用端部の支持用凸部、45…収納凹部、50,60…嵌合部、51,61…凹部、52,62…凸部、140…膨出部分、140a…側端部、150,160…嵌合部、152…凸部、161…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂のシート材より成形され、包装物品の下部を支持する底板と、底板の左右両側にヒンジ部を介して折曲起立可能に連設され包装物品の両側部を支持する側板とよりなる本体を備え、前記底板および両側板には、それぞれヒンジ部延在方向に支持用凸部により画された物品収納部が並設されており、さらに、起立した前記両側板間の上部に嵌合されて蓋として被着される別体の天板を備えてなる包装用支持枠において、
前記天板は、前記両側板の前後両端の支持用凸部に載接する支持用凸部を前後両端に有し、この天板の前後両端の支持用凸部と、前記両側板の前後両端の支持用凸部とに、それぞれ上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部と凸部による嵌合部が設けられてなることを特徴とする包装用支持枠。
【請求項2】
前記天板における前後両端の支持用凸部の間が、包装物品の上部が入り込む収納凹部として形成され、前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の収納凹部に対して包装物品が入り込む深さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の包装用支持枠。
【請求項3】
前記天板における前後両端の支持用凸部の間に、包装物品の上部が入り込む溝状の物品収納部が支持用凸部により画されて並設され、前後両端の支持用凸部におけ.前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の物品収納部に対し包装物品が入り込む深さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の包装用支持枠。
【請求項4】
前記天板の前後両端の支持用凸部の側端部と、前記両側板における前後両端部の支持用凸部の側端部とに、前記凹部と凸部による嵌合部が天板の前後両端部で対称形をなすように設けられてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用支持枠。
【請求項5】
前記天板及び両側板の前後両端の支持用凸部の前後方向幅が、内方の各物品収納部間の支持用凸部の前後方向幅より大きく形成され、該前後両端の支持用凸部の幅内において、前記凹部と凸部による嵌合部が形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装用支持枠。
【請求項6】
合成樹脂のシート材より成形され、包装物品の下部を支持する底板と、底板の左右両側にヒンジ部を介して折曲起立可能に連設され包装物品の両側部を支持する側板とよりなる本体を備え、前記底板および両側板には、それぞれヒンジ部延在方向に支持用凸部により画された物品収納部が並設されており、さらに、起立した前記両側板間の上部に嵌合されて蓋として被着される別体の天板を備えてなる包装用支持枠において、
前記天板は、前記両側板の物品収納部に対応して、下面側への膨出部分において包装物品の上部が嵌り込む物品収納部が支持用凸部により画されて並設されてなり、該膨出部分の側端部と、これに対応する両側板の物品収納部及び支持用凸部を含む膨出部分の側端部とに、それぞれ、上下方向に嵌合して前後方向の位置決めをする凹部と凸部による嵌合部が設けられてなることを特徴とする包装用支持枠。
【請求項7】
前記嵌合部の上下方向の嵌合深さが、前記天板の物品収納部にに対し包装物品が入り込む深さより大きいことを特徴とする請求項6に記載の包装用支持枠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−16556(P2011−16556A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162924(P2009−162924)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】