包装用袋、これを用いた包装体及び包装体の製造方法
【課題】外部からの衝撃を和らげる緩衝機能を有すると共に袋内に被収容物を密封できる包装用袋を提供すること。
【解決手段】本発明に係る包装用袋10は、延伸フィルム1a及びその一方面に形成されたポリオレフィン層1bを有する積層フィルム1と、ポリオレフィンフィルム2とを重ね合わせ、積層フィルム1が外袋11をなしポリオレフィンフィルム2が内袋12をなすように熱融着によって製袋されたものである。熱融着された部分S1,S2において外袋11と内袋12が一体化しており、包装用袋10の開口部10aにおいて内袋12の縁部によって被収容物Gを入れるための第1の開口10bが画成され且つ内袋12の縁部12a及び外袋11の縁部11aによってガス供給用ノズルN1を挿入するための第2の開口10cが画成されている。
【解決手段】本発明に係る包装用袋10は、延伸フィルム1a及びその一方面に形成されたポリオレフィン層1bを有する積層フィルム1と、ポリオレフィンフィルム2とを重ね合わせ、積層フィルム1が外袋11をなしポリオレフィンフィルム2が内袋12をなすように熱融着によって製袋されたものである。熱融着された部分S1,S2において外袋11と内袋12が一体化しており、包装用袋10の開口部10aにおいて内袋12の縁部によって被収容物Gを入れるための第1の開口10bが画成され且つ内袋12の縁部12a及び外袋11の縁部11aによってガス供給用ノズルN1を挿入するための第2の開口10cが画成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被収容物を包装するための袋に関する。また、本発明は被収容物を袋にパックした状態の包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックや飛行機で輸送される物品は、振動による破損を防止するために梱包材で保護された状態でダンボールなどに収容される。特許文献1〜4には緩衝機能を有する包装用の袋やフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4243092号公報
【特許文献2】実開平3−52146号公報
【特許文献3】特開昭64−84869号公報
【特許文献4】特開2009−274224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献に記載の包装用袋は逆止弁などを必要としていたため、構造が複雑でありこれに伴ってコスト高となりやすく、また包装用袋の製造及び物品の包装作業が煩雑であるという問題があった。また、空気による酸化を防ぐべき物品(例えば、食料品や化学材料)などを収容する場合には緩衝機能に加えて高い密閉性が要求される。上記文献に記載の包装用袋は密閉性の点において改善の余地があった。
【0005】
本発明は、外部からの衝撃を和らげる緩衝機能を有すると共に袋内に被収容物を密封できる包装用袋を提供することを目的とする。また、本発明は、被収容物を当該包装用袋に密閉してなる包装体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用袋は、延伸フィルム及びその一方面に形成されたポリオレフィン層を有する積層フィルムと、ポリオレフィンフィルムとを、ポリオレフィン層の表面にポリオレフィンフィルムが配置されるように重ね合わせ、積層フィルムが外袋をなしポリオレフィンフィルムが内袋をなすように熱融着によって製袋されたものである。熱融着された部分において外袋と内袋が一体化しており、当該包装用袋の開口部において内袋の縁部によって被収容物を入れるための第1の開口が画成され且つ内袋の縁部及び外袋の縁部によって外袋と内袋の間にガス供給用ノズルを挿入するための第2の開口が画成されている。
【0007】
上記包装用袋によれば、外袋と内袋の間にガスを充填することで内袋の外側にガス層を設けることができ、このガス層が緩衝機能を発揮する。また、外袋と内袋の間にガスを充填して外袋が膨らむと外袋に押されて被収容物を入れた内袋内のガスが第1の開口から排出されると同時に、内袋が被収容物の外表面に沿うようにはり付いた状態となる。この状態で包装用袋の開口部を熱融着によって密閉すると、包装用袋内において被収容物の位置を固定でき、被収容物を安定的に保持できる。
【0008】
上記包装用袋によれば、積層フィルム(外袋)にポリオレフィン層を設け、内袋としてポリオレフィンフィルムを採用したことで、上記のとおり、当該包装用袋の開口部を熱融着によって密閉することができる。
【0009】
ガスの圧力によって外袋が延びてしまうのを抑制する、さらには外力によるフィルム切れや穴あきを低減する観点から、外袋として延伸フィルムを有する積層フィルムを採用している。これに対し、内袋は、被収容物の形状に追従できるように外袋よりも柔らかい材質からなるものが好ましい。内袋をなすポリオレフィンフィルムとして、例えば、無延伸フィルムが好適である。
【0010】
本発明は、上記包装用袋を用いて包装体を製造する方法を提供する。この方法は、上記包装用袋の第1の開口から内袋内に被収容物を入れる工程と、第2の開口にガス供給用のノズルを挿入する工程と、柔軟性を有する一対のパッドによって包装用袋の開口部を挟んだ状態でノズルから外袋と内袋の間にガスを供給することによって外袋を膨らますと共に内袋内のガスを押し出す工程と、第2の開口からノズルを引き抜いた後、包装用袋の開口部を熱融着して密封する工程とを備える。この際、上記一対のパッドは、加圧時にフィルムが外れない程度の把持力を持ちつつ、内袋からの空気の排出を阻害しない程度の柔軟性を有することが好ましい。この方法によれば、優れた緩衝性及び密閉性の両方を高度に達成できる包装体を効率的に製造できる。
【0011】
本発明は、上記包装用袋に被収容物を入れ、当該包装用袋の開口部を熱融着して密封した包装体であり、外袋は外袋と内袋の間に充填されたガスによって膨らんでおり、内袋は被収容物の外表面に沿うようにはり付いている。
【0012】
上記包装体は優れた緩衝性及び密閉性を有する。また、内袋が被収容物の外表面に沿うようにはり付いた状態であることで、包装用袋内において被収容物の位置を固定でき、被収容物を安定的に保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部からの衝撃を和らげる緩衝機能を有すると共に袋内に被収容物を密封できる包装用袋、これを用いた包装体及び包装体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る包装用袋の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る包装用袋をなすフィルムの構成を示す模式断面図である。
【図4】第1実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す斜視図である。
【図5】包装用袋10の外袋11と内袋12の間にガスを供給している様子を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係る包装用袋の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す側面図である。
【図9】本発明に係る包装用袋の第3実施形態を示す平面図である。
【図10】第3実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図11】包装用袋30を使用して包装体300を製造する場合に適したノズルを示す斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
<第1実施形態>
(包装用袋)
図1に示す包装用袋10は、積層フィルム1とポリオレフィンフィルム2とを重ね合わせ、積層フィルム1が外袋11をなしポリオレフィンフィルム2が内袋12をなすように熱融着によって製袋されたものである(図2,3参照)。包装用袋10は、一般に「合掌袋」と称されるものであり、底辺において横方向に延びるヒートシール部S1及び裏面において縦方向に延びるヒートシール部S2を有する。ヒートシール部S1,S2において外袋11と内袋12は一体化している。
【0017】
なお、包装用袋10の形状は図1に示すような矩形に限定されないが、製袋及び使用のし易さの面から矩形とすることが好ましい。寸法は被収容物のサイズや種類に応じて適宜設定すればよいが、図1の横方向の長さは50〜600mm程度であることが好ましく、縦方向の長さは50〜600mm程度であることが好ましい。
【0018】
図2に示すように、ヒートシール部S2において外袋11及び内袋12は一体化している。包装用袋10は開口部10aにおいて内袋12の縁部12aによって被収容物Gを入れるための第1の開口10bが画成され、他方、内袋12の縁部12a及び外袋11の縁部11aによって外袋11と内袋12の間にガス供給用ノズルN1を挿入するための第2の開口10cが画成されている(図5参照)。
【0019】
図3を参照しながら、包装用袋10をなすフィルムの構成について説明する。外袋11をなす積層フィルム1は、延伸フィルム1aとポリオレフィンフィルム(ポリオレフィン層)1bとを、接着剤層1cを介して積層したものである。延伸フィルム1aを有する積層フィルム1を採用することで、ガスの圧力によって外袋11が延びてしまうのを抑制できる。これに加え、外袋11が外力によって切れたり穴が開いたりするのを低減できる。
【0020】
延伸フィルム1aとしては、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフィルムを用いることができる。二軸延伸ナイロンフィルムとしては、例えば、ナイロン−6(カプロラクタムの重合物)、ナイロン−66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合物)、MXD−6(メタキシリレンジアミンとアジピン酸の重合物)及びこれらの共重合物などのTダイ法やチューブラー法による単独又は共押出しの同時又は逐次二軸延伸フィルムが主として用いられる。中でも、ナイロン−6フィルムがコスト、製膜のし易さの面から好ましい。
【0021】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸とエチレングリコールの重合物)、ポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸とブチレングリコールの重合物)等の単独又は共重合物のTダイ法による二軸延伸フィルムが用いられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの単独又は共重合物が、コストの面から好ましい。
【0022】
延伸フィルム1aに高いガスバリア性を付与するため、無機酸化物の蒸着膜、あるいは、塩化ビニリデン又はポリビニルアルコールに無機物を混合した材料の塗布膜を延伸フィルム1aの表面に形成してもよい。なお、被収容物Gを包装用袋10に収容した状態で被収容物Gを視認できるようにするには、包装用袋10をなすフィルムは全体として透明又は半透明であることが好ましい。
【0023】
積層フィルム1は、延伸フィルム1aの一方の面にポリオレフィンフィルム1bを積層することで作製される。ポリオレフィンフィルム1bは、外袋11と内袋12を一体的に熱融着可能とするためのものであり、積層フィルム1の一方面(内袋12をなすポリオレフィンフィルム2と面する側)上に設けられている。ポリオレフィンフィルム1bと内袋12をなすポリオレフィンフィルム2を別々に準備してもよいが、2枚のポリオレフィンフィルムがブロッキング接着したフィルムを準備し、ブロッキング接着を剥がすことによってポリオレフィンフィルム1b及びポリオレフィンフィルム2を得てもよい。
【0024】
2枚のポリオレフィンフィルムがブロッキング接着したフィルムは、以下に示す方法を用いて作製することができる。まず、インフレーション方式のチューブ状フィルム製造装置を用いて、溶融したポリオレフィンをチューブ状に押し出し、チューブ内に一定量の圧縮ガスを吹き込み、圧力でチューブが膨張して薄いチューブ状のフィルムを形成する。次いで、得られたチューブ状のフィルムを2つに折り畳んで重ね、引取り用ニップロール又は引取り用ニップロールの後に新たに設けた圧着ロールを用いて加圧しながら圧着して、フィルムの内面同士がブロッキング接着したポリエチレンフィルムが得られる。
【0025】
ポリオレフィンフィルム1b,2の材料の好適例として、線状低密度ポリエチレンが挙げられる。線状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、一般に中・低圧下の気相又は液相重合法、高圧改良下のイオン重合法で合成される。線状低密度ポリエチレンの物理的強度、機械的強度、熱的特性等のバランスを向上する観点から、共重合するα−オレフィンの炭素数は、3〜13であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。α−オレフィンとして、例えば、ブテン−1、オクテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1及びへプテン−1を用いることができる。
【0026】
線状低密度ポリエチレンは、0.870〜0.945g/cm3の密度を有することが好ましい。また、線状低密度ポリエチレンのメルトインデックスは、1〜10g/10分程度であることが好ましい。
【0027】
内袋12をなすポリオレフィンフィルム2は、被収容物Gの形状に追従できるように外袋11よりも柔らかい材質からなるものが好ましい。ポリオレフィンフィルム2の好適例として、無延伸フィルムが挙げられる。
【0028】
上記のようにして得たポリオレフィンフィルムと、延伸フィルム1aとの積層方法としては、例えば、接着剤層1cを介して接着するドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、ホットメルトラミネーション法及び押出しラミネーション法が挙げられる。ドライラミネーション法としては、具体的には、1液性又は2液性のポリウレタン系接着剤を用いて、ポリオレフィンフィルムと延伸フィルム1aとを積層することができる。また、押出しラミネーション法として、溶融したポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂を接着剤として用いてポリオレフィンフィルムと延伸フィルム1aとを積層するサンドラミネーション法を用いることができる。
【0029】
2枚のブロッキング接着されたポリオレフィンフィルム(ポリオレフィンフィルム1b,2)と延伸フィルム1aとを上記のようにして積層した後、ポリオレフィンフィルム1bからポリオレフィンフィルム2を剥がすことによって、包装用袋10の製造に使用する2枚のフィルムを得ることができる。
【0030】
なお、延伸フィルム1aの厚みは、8〜60μm程度であることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。ポリオレフィンフィルム1b,2の厚みは、それぞれ30〜80μm程度であることが好ましく、40〜60μmであることがより好ましい。接着剤層1cの厚みは、1〜5μm程度であることが好ましく、2〜4μmであることがより好ましい。
【0031】
包装用袋10によれば、外袋11と内袋12の間にガスを充填することで内袋12の外側にガス層を設けることができ、このガス層が緩衝機能を発揮する。また、外袋11と内袋12の間にガスを充填して外袋11が膨らむとこのガスに押されて被収容物Gを入れた内袋12内のガスが第1の開口10bから排出される(図5参照)。内袋12内のガスが十分に排出されると、内袋12が被収容物Gの外表面に沿うようにはり付いた状態となる(図4参照)。この状態で包装用袋10の開口部10aを熱融着によって密閉すると、包装用袋10内において被収容物Gの位置を固定でき、被収容物Gを安定的に保持できる。
【0032】
(包装体)
図4に示す包装体100は、包装用袋10に被収容物Gを入れ、包装用袋10の開口部10aを熱融着して密封したものである。同図に示すとおり、外袋11はガス層(外袋11と内袋12の領域)のガスによって膨らんでおり、内袋12は複数の物品からなる被収容物Gの外表面に沿うようにはり付いている。包装体100はガス層を有することで優れた緩衝性を有し、また熱融着によって開口部10aにヒートシール部Sを形成するため優れた密閉性を有する。更に被収容物Gの周りのガス層は断熱性の向上に寄与する。例えば、被収容物Gが冷凍食品等である場合、ガス層があることで包装用袋10の表面が結露の発生を十分に抑制できる。
【0033】
図4に示す被収容物Gのように複数の物品からなるものを包装する場合、包装用袋内における各パーツの固定が不十分であると、輸送時の振動や衝撃によって物品同士が擦れ合ったり衝突し合ったりして破損するおそれがある。包装体100によれば、内袋12が被収容物Gの外表面に密着しているので、各物品をしっかりと固定でき、上記のような物品同士が接触することによる破損の発生を十分に抑制できる。なお、図4には被収容物Gとして複数の球体とこれらが載せられたトレーとからなるものを図示したが、物品は球体に限定されず、またトレーも必須のものではない。
【0034】
包装体100の製造に用いた包装用袋10は、合掌袋と称されるものであり、裏面にヒートシール部S2を有し、この部分で外袋11と内袋12が一体化している。このため、図4に示すとおり、被収容物Gはシートシール部S2がある裏面側に配置されることとなる。包装体100から被収容物Gを取り出す際にはハサミなどを用いて外袋11及び内袋12をカットして開封すればよい。
【0035】
なお、通常、物品のサイズに応じた多数のダンボールを準備することは困難であるため、通信販売等によって注文された物品を発送する業者は、比較的大きめのダンボールに小さい物品を入れてその周りに緩衝材を充填していた。これに対し、包装体100は、被収容物Gが小さいものであっても一定のサイズとすることができるため、特定のサイズのダンボールを準備し、そのダンボールに緩衝材を使用することなく包装体100をそのまま入れて発送することもできる。
【0036】
(包装体の製造方法)
包装体100は、図5に示す構成を有するシーリング装置を使用し、以下の工程を経ることによって製造することができる。すなわち、包装体100の製造方法は、包装用袋10の第1の開口10bから内袋12内に被収容物Gを入れる工程と、第2の開口10cにガス供給用のノズルN1を挿入する工程と、柔軟性を有する一対のパッドP1,P2によって包装用袋10の開口部10aを挟んだ状態でノズルN1から外袋11と内袋12の間にガスを供給することによって外袋11を膨らますと共に内袋12内のガスを押し出す工程と、第2の開口10cからノズルN1を引き抜いた後、包装用袋10の開口部10aを一対の加熱部H1,H2で挟むことによって熱融着して密封する工程とを備える。
【0037】
図5に示すように、シーリング装置は、扁平なノズルN1、一対のパッドP1,P2及びヒートシール用の一対の加熱部H1,H2を備える。なお、当該シーリング装置は、ノズルN1を通じてガス層にガス(例えば、空気、窒素ガス、炭酸ガス、酸素又はこれらの混合ガス)を供給するためのガス源、圧力・温度調整器及び圧力計等(図示しない)を適宜備えたものである。ガス源としては、エアコンプレッサ、使用するガスが充填されたガスボンベなどを使用できる。シーリング装置としては、例えば、富士インパルス株式会社製のV−301シリーズやG−301シリーズを使用することができる。シーリング装置として、熱融着作業時に内袋12内の空気を他のガス(例えば、窒素ガス、炭酸ガス、酸素又はこれらの混合ガス)に置換する機構を有するものを使用してもよい。
【0038】
本実施形態に係る製造方法によれば、優れた緩衝性及び密閉性を有する包装体100を効率的に製造できる。
【0039】
<第2実施形態>
図6〜8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図6に示す包装用袋20は、ヒートシール部の位置が異なる点において包装用袋10と相違し、これ以外の構成は包装用袋10と同様である。同図に示すように、包装用袋20は底辺において横方向に延びるヒートシール部S1及び側部において縦方向に延びるヒートシール部S3を有する。
【0040】
上記のとおり、ヒートシール部の位置が異なることで、包装用袋20の開口部20aは図7に示すような態様となる。すなわち、ヒートシール部S3において内袋22及び外袋21が一体化しており、内袋22の縁部22aによって被収容物Gを入れるための第1の開口20bが画成されている。他方、内袋22の縁部22a及び外袋21の縁部21aによって第2の開口20cが画成されている。
【0041】
包装用袋20を使用する場合、包装用袋10と同様、図5に示すノズルN1を有するシーリング装置を用いて包装体200を製造することができる。なお、包装用袋20は側部にヒートシール部S3を有するため、熱融着によって開口部20aにヒートシールSを形成すると、矩形の包装用袋20の三辺において外袋21と内袋22が一体的に熱融着されることとなる。このため、図8に示すように、包装体200を立てた状態にすると、内袋22内の被収容物Gは包装体200の中心部分に配置される。なお、図8はヒートシール部が形成されていない側の側面を図示したものである。
【0042】
<第3実施形態>
図9〜12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図9に示す包装用袋30は、ヒートシール部の位置が異なる点において包装用袋10,20と相違し、これ以外の構成は包装用袋10と同様である。同図に示すように、包装用袋30は、一般に「三方シール袋」と称されるものであり、矩形の包装用袋30の三辺にヒートシール部S1,S3,S4を有する。
【0043】
上記のとおり、ヒートシール部の位置が異なることで、包装用袋30の開口部30aは図10に示すような態様となる。すなわち、ヒートシール部S3,S4において内袋32及び外袋31が一体化しており、内袋32の縁部32aによって被収容物Gを入れるための第1の開口30bが画成されている。他方、内袋32の縁部32a及び外袋31の縁部31aによって2つの第2の開口30c,30dが画成されている。
【0044】
第1実施形態に係る包装用袋10においては、ヒートシール部S2を起点として第1の開口10bを取り囲むように第2の開口10cが画成されている。第2実施形態に係る包装用袋20においても同様にヒートシール部S3を起点として第1の開口20bを取り囲むように第2の開口20cが画成されている。これに対し、図10に示すとおり、本実施形態に係る包装用袋30においては、第1の開口30bを挟むように二つの第2の開口30c,30dが画成される。2つの第2の開口30c,30dをそれぞれ入口とするガス層は連通していない。このため、包装用袋30を使用して包装体300を製造する場合にあっては、例えば、図11に示すような態様のノズルN2を有するシーリング装置を用いる必要がある。ノズルN2は二つに分岐した扁平な先端部N2a,N2bを有する。先端部N2a,N2bは、2つの第2の開口30c,30dにそれぞれ挿入しやすいように包装用袋30の厚さ方向(図11における矢印Aの方向)に位置がずれていることが好ましい。
【0045】
包装用袋30は、両方の側部にヒートシール部S3,S4を有するため、熱融着によって開口部30aにヒートシールSを形成すると、矩形の包装用袋20の四辺において外袋31と内袋32が一体的に熱融着されることとなる。このため、図12に示すように、包装体300を立てた状態にすると、内袋32内の被収容物Gは包装体300の中心部分に配置される。なお、第2の開口30c,30dをそれぞれ入口とする2つの領域の両方に必ずしもガスを充填する必要はない。例えば、上記実施形態のように、物品をトレー上に載せた状態で内袋32内に収容した場合、トレー側の領域にはガスを充填せず、物品側の領域のみにガスを充填してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…積層フィルム、1a…延伸フィルム、1b…ポリオレフィンフィルム(ポリオレフィン層)、2…ポリオレフィンフィルム、10,20,30…包装用袋、10a,20a,30a…包装用袋の開口部、10b,20b,30b…第1の開口、10c,20c,30c,30d…第2の開口、11,21,31…外袋、11a,21a,31a…外袋の縁部、12,22,32…内袋、12a,22a,32a…内袋の縁部、100,200,300…包装体、G…被収容物、N1,N2…ガス供給用ノズル、P1,P2…パッド、S,S1,S2,S3,S4…ヒートシール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は被収容物を包装するための袋に関する。また、本発明は被収容物を袋にパックした状態の包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックや飛行機で輸送される物品は、振動による破損を防止するために梱包材で保護された状態でダンボールなどに収容される。特許文献1〜4には緩衝機能を有する包装用の袋やフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4243092号公報
【特許文献2】実開平3−52146号公報
【特許文献3】特開昭64−84869号公報
【特許文献4】特開2009−274224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献に記載の包装用袋は逆止弁などを必要としていたため、構造が複雑でありこれに伴ってコスト高となりやすく、また包装用袋の製造及び物品の包装作業が煩雑であるという問題があった。また、空気による酸化を防ぐべき物品(例えば、食料品や化学材料)などを収容する場合には緩衝機能に加えて高い密閉性が要求される。上記文献に記載の包装用袋は密閉性の点において改善の余地があった。
【0005】
本発明は、外部からの衝撃を和らげる緩衝機能を有すると共に袋内に被収容物を密封できる包装用袋を提供することを目的とする。また、本発明は、被収容物を当該包装用袋に密閉してなる包装体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用袋は、延伸フィルム及びその一方面に形成されたポリオレフィン層を有する積層フィルムと、ポリオレフィンフィルムとを、ポリオレフィン層の表面にポリオレフィンフィルムが配置されるように重ね合わせ、積層フィルムが外袋をなしポリオレフィンフィルムが内袋をなすように熱融着によって製袋されたものである。熱融着された部分において外袋と内袋が一体化しており、当該包装用袋の開口部において内袋の縁部によって被収容物を入れるための第1の開口が画成され且つ内袋の縁部及び外袋の縁部によって外袋と内袋の間にガス供給用ノズルを挿入するための第2の開口が画成されている。
【0007】
上記包装用袋によれば、外袋と内袋の間にガスを充填することで内袋の外側にガス層を設けることができ、このガス層が緩衝機能を発揮する。また、外袋と内袋の間にガスを充填して外袋が膨らむと外袋に押されて被収容物を入れた内袋内のガスが第1の開口から排出されると同時に、内袋が被収容物の外表面に沿うようにはり付いた状態となる。この状態で包装用袋の開口部を熱融着によって密閉すると、包装用袋内において被収容物の位置を固定でき、被収容物を安定的に保持できる。
【0008】
上記包装用袋によれば、積層フィルム(外袋)にポリオレフィン層を設け、内袋としてポリオレフィンフィルムを採用したことで、上記のとおり、当該包装用袋の開口部を熱融着によって密閉することができる。
【0009】
ガスの圧力によって外袋が延びてしまうのを抑制する、さらには外力によるフィルム切れや穴あきを低減する観点から、外袋として延伸フィルムを有する積層フィルムを採用している。これに対し、内袋は、被収容物の形状に追従できるように外袋よりも柔らかい材質からなるものが好ましい。内袋をなすポリオレフィンフィルムとして、例えば、無延伸フィルムが好適である。
【0010】
本発明は、上記包装用袋を用いて包装体を製造する方法を提供する。この方法は、上記包装用袋の第1の開口から内袋内に被収容物を入れる工程と、第2の開口にガス供給用のノズルを挿入する工程と、柔軟性を有する一対のパッドによって包装用袋の開口部を挟んだ状態でノズルから外袋と内袋の間にガスを供給することによって外袋を膨らますと共に内袋内のガスを押し出す工程と、第2の開口からノズルを引き抜いた後、包装用袋の開口部を熱融着して密封する工程とを備える。この際、上記一対のパッドは、加圧時にフィルムが外れない程度の把持力を持ちつつ、内袋からの空気の排出を阻害しない程度の柔軟性を有することが好ましい。この方法によれば、優れた緩衝性及び密閉性の両方を高度に達成できる包装体を効率的に製造できる。
【0011】
本発明は、上記包装用袋に被収容物を入れ、当該包装用袋の開口部を熱融着して密封した包装体であり、外袋は外袋と内袋の間に充填されたガスによって膨らんでおり、内袋は被収容物の外表面に沿うようにはり付いている。
【0012】
上記包装体は優れた緩衝性及び密閉性を有する。また、内袋が被収容物の外表面に沿うようにはり付いた状態であることで、包装用袋内において被収容物の位置を固定でき、被収容物を安定的に保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部からの衝撃を和らげる緩衝機能を有すると共に袋内に被収容物を密封できる包装用袋、これを用いた包装体及び包装体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る包装用袋の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る包装用袋をなすフィルムの構成を示す模式断面図である。
【図4】第1実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す斜視図である。
【図5】包装用袋10の外袋11と内袋12の間にガスを供給している様子を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係る包装用袋の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す側面図である。
【図9】本発明に係る包装用袋の第3実施形態を示す平面図である。
【図10】第3実施形態に係る包装用袋の開口部を示す斜視図である。
【図11】包装用袋30を使用して包装体300を製造する場合に適したノズルを示す斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る包装用袋に複数の物品を入れて密閉してなる包装体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
<第1実施形態>
(包装用袋)
図1に示す包装用袋10は、積層フィルム1とポリオレフィンフィルム2とを重ね合わせ、積層フィルム1が外袋11をなしポリオレフィンフィルム2が内袋12をなすように熱融着によって製袋されたものである(図2,3参照)。包装用袋10は、一般に「合掌袋」と称されるものであり、底辺において横方向に延びるヒートシール部S1及び裏面において縦方向に延びるヒートシール部S2を有する。ヒートシール部S1,S2において外袋11と内袋12は一体化している。
【0017】
なお、包装用袋10の形状は図1に示すような矩形に限定されないが、製袋及び使用のし易さの面から矩形とすることが好ましい。寸法は被収容物のサイズや種類に応じて適宜設定すればよいが、図1の横方向の長さは50〜600mm程度であることが好ましく、縦方向の長さは50〜600mm程度であることが好ましい。
【0018】
図2に示すように、ヒートシール部S2において外袋11及び内袋12は一体化している。包装用袋10は開口部10aにおいて内袋12の縁部12aによって被収容物Gを入れるための第1の開口10bが画成され、他方、内袋12の縁部12a及び外袋11の縁部11aによって外袋11と内袋12の間にガス供給用ノズルN1を挿入するための第2の開口10cが画成されている(図5参照)。
【0019】
図3を参照しながら、包装用袋10をなすフィルムの構成について説明する。外袋11をなす積層フィルム1は、延伸フィルム1aとポリオレフィンフィルム(ポリオレフィン層)1bとを、接着剤層1cを介して積層したものである。延伸フィルム1aを有する積層フィルム1を採用することで、ガスの圧力によって外袋11が延びてしまうのを抑制できる。これに加え、外袋11が外力によって切れたり穴が開いたりするのを低減できる。
【0020】
延伸フィルム1aとしては、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフィルムを用いることができる。二軸延伸ナイロンフィルムとしては、例えば、ナイロン−6(カプロラクタムの重合物)、ナイロン−66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合物)、MXD−6(メタキシリレンジアミンとアジピン酸の重合物)及びこれらの共重合物などのTダイ法やチューブラー法による単独又は共押出しの同時又は逐次二軸延伸フィルムが主として用いられる。中でも、ナイロン−6フィルムがコスト、製膜のし易さの面から好ましい。
【0021】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸とエチレングリコールの重合物)、ポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸とブチレングリコールの重合物)等の単独又は共重合物のTダイ法による二軸延伸フィルムが用いられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの単独又は共重合物が、コストの面から好ましい。
【0022】
延伸フィルム1aに高いガスバリア性を付与するため、無機酸化物の蒸着膜、あるいは、塩化ビニリデン又はポリビニルアルコールに無機物を混合した材料の塗布膜を延伸フィルム1aの表面に形成してもよい。なお、被収容物Gを包装用袋10に収容した状態で被収容物Gを視認できるようにするには、包装用袋10をなすフィルムは全体として透明又は半透明であることが好ましい。
【0023】
積層フィルム1は、延伸フィルム1aの一方の面にポリオレフィンフィルム1bを積層することで作製される。ポリオレフィンフィルム1bは、外袋11と内袋12を一体的に熱融着可能とするためのものであり、積層フィルム1の一方面(内袋12をなすポリオレフィンフィルム2と面する側)上に設けられている。ポリオレフィンフィルム1bと内袋12をなすポリオレフィンフィルム2を別々に準備してもよいが、2枚のポリオレフィンフィルムがブロッキング接着したフィルムを準備し、ブロッキング接着を剥がすことによってポリオレフィンフィルム1b及びポリオレフィンフィルム2を得てもよい。
【0024】
2枚のポリオレフィンフィルムがブロッキング接着したフィルムは、以下に示す方法を用いて作製することができる。まず、インフレーション方式のチューブ状フィルム製造装置を用いて、溶融したポリオレフィンをチューブ状に押し出し、チューブ内に一定量の圧縮ガスを吹き込み、圧力でチューブが膨張して薄いチューブ状のフィルムを形成する。次いで、得られたチューブ状のフィルムを2つに折り畳んで重ね、引取り用ニップロール又は引取り用ニップロールの後に新たに設けた圧着ロールを用いて加圧しながら圧着して、フィルムの内面同士がブロッキング接着したポリエチレンフィルムが得られる。
【0025】
ポリオレフィンフィルム1b,2の材料の好適例として、線状低密度ポリエチレンが挙げられる。線状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、一般に中・低圧下の気相又は液相重合法、高圧改良下のイオン重合法で合成される。線状低密度ポリエチレンの物理的強度、機械的強度、熱的特性等のバランスを向上する観点から、共重合するα−オレフィンの炭素数は、3〜13であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。α−オレフィンとして、例えば、ブテン−1、オクテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1及びへプテン−1を用いることができる。
【0026】
線状低密度ポリエチレンは、0.870〜0.945g/cm3の密度を有することが好ましい。また、線状低密度ポリエチレンのメルトインデックスは、1〜10g/10分程度であることが好ましい。
【0027】
内袋12をなすポリオレフィンフィルム2は、被収容物Gの形状に追従できるように外袋11よりも柔らかい材質からなるものが好ましい。ポリオレフィンフィルム2の好適例として、無延伸フィルムが挙げられる。
【0028】
上記のようにして得たポリオレフィンフィルムと、延伸フィルム1aとの積層方法としては、例えば、接着剤層1cを介して接着するドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、ホットメルトラミネーション法及び押出しラミネーション法が挙げられる。ドライラミネーション法としては、具体的には、1液性又は2液性のポリウレタン系接着剤を用いて、ポリオレフィンフィルムと延伸フィルム1aとを積層することができる。また、押出しラミネーション法として、溶融したポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂を接着剤として用いてポリオレフィンフィルムと延伸フィルム1aとを積層するサンドラミネーション法を用いることができる。
【0029】
2枚のブロッキング接着されたポリオレフィンフィルム(ポリオレフィンフィルム1b,2)と延伸フィルム1aとを上記のようにして積層した後、ポリオレフィンフィルム1bからポリオレフィンフィルム2を剥がすことによって、包装用袋10の製造に使用する2枚のフィルムを得ることができる。
【0030】
なお、延伸フィルム1aの厚みは、8〜60μm程度であることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。ポリオレフィンフィルム1b,2の厚みは、それぞれ30〜80μm程度であることが好ましく、40〜60μmであることがより好ましい。接着剤層1cの厚みは、1〜5μm程度であることが好ましく、2〜4μmであることがより好ましい。
【0031】
包装用袋10によれば、外袋11と内袋12の間にガスを充填することで内袋12の外側にガス層を設けることができ、このガス層が緩衝機能を発揮する。また、外袋11と内袋12の間にガスを充填して外袋11が膨らむとこのガスに押されて被収容物Gを入れた内袋12内のガスが第1の開口10bから排出される(図5参照)。内袋12内のガスが十分に排出されると、内袋12が被収容物Gの外表面に沿うようにはり付いた状態となる(図4参照)。この状態で包装用袋10の開口部10aを熱融着によって密閉すると、包装用袋10内において被収容物Gの位置を固定でき、被収容物Gを安定的に保持できる。
【0032】
(包装体)
図4に示す包装体100は、包装用袋10に被収容物Gを入れ、包装用袋10の開口部10aを熱融着して密封したものである。同図に示すとおり、外袋11はガス層(外袋11と内袋12の領域)のガスによって膨らんでおり、内袋12は複数の物品からなる被収容物Gの外表面に沿うようにはり付いている。包装体100はガス層を有することで優れた緩衝性を有し、また熱融着によって開口部10aにヒートシール部Sを形成するため優れた密閉性を有する。更に被収容物Gの周りのガス層は断熱性の向上に寄与する。例えば、被収容物Gが冷凍食品等である場合、ガス層があることで包装用袋10の表面が結露の発生を十分に抑制できる。
【0033】
図4に示す被収容物Gのように複数の物品からなるものを包装する場合、包装用袋内における各パーツの固定が不十分であると、輸送時の振動や衝撃によって物品同士が擦れ合ったり衝突し合ったりして破損するおそれがある。包装体100によれば、内袋12が被収容物Gの外表面に密着しているので、各物品をしっかりと固定でき、上記のような物品同士が接触することによる破損の発生を十分に抑制できる。なお、図4には被収容物Gとして複数の球体とこれらが載せられたトレーとからなるものを図示したが、物品は球体に限定されず、またトレーも必須のものではない。
【0034】
包装体100の製造に用いた包装用袋10は、合掌袋と称されるものであり、裏面にヒートシール部S2を有し、この部分で外袋11と内袋12が一体化している。このため、図4に示すとおり、被収容物Gはシートシール部S2がある裏面側に配置されることとなる。包装体100から被収容物Gを取り出す際にはハサミなどを用いて外袋11及び内袋12をカットして開封すればよい。
【0035】
なお、通常、物品のサイズに応じた多数のダンボールを準備することは困難であるため、通信販売等によって注文された物品を発送する業者は、比較的大きめのダンボールに小さい物品を入れてその周りに緩衝材を充填していた。これに対し、包装体100は、被収容物Gが小さいものであっても一定のサイズとすることができるため、特定のサイズのダンボールを準備し、そのダンボールに緩衝材を使用することなく包装体100をそのまま入れて発送することもできる。
【0036】
(包装体の製造方法)
包装体100は、図5に示す構成を有するシーリング装置を使用し、以下の工程を経ることによって製造することができる。すなわち、包装体100の製造方法は、包装用袋10の第1の開口10bから内袋12内に被収容物Gを入れる工程と、第2の開口10cにガス供給用のノズルN1を挿入する工程と、柔軟性を有する一対のパッドP1,P2によって包装用袋10の開口部10aを挟んだ状態でノズルN1から外袋11と内袋12の間にガスを供給することによって外袋11を膨らますと共に内袋12内のガスを押し出す工程と、第2の開口10cからノズルN1を引き抜いた後、包装用袋10の開口部10aを一対の加熱部H1,H2で挟むことによって熱融着して密封する工程とを備える。
【0037】
図5に示すように、シーリング装置は、扁平なノズルN1、一対のパッドP1,P2及びヒートシール用の一対の加熱部H1,H2を備える。なお、当該シーリング装置は、ノズルN1を通じてガス層にガス(例えば、空気、窒素ガス、炭酸ガス、酸素又はこれらの混合ガス)を供給するためのガス源、圧力・温度調整器及び圧力計等(図示しない)を適宜備えたものである。ガス源としては、エアコンプレッサ、使用するガスが充填されたガスボンベなどを使用できる。シーリング装置としては、例えば、富士インパルス株式会社製のV−301シリーズやG−301シリーズを使用することができる。シーリング装置として、熱融着作業時に内袋12内の空気を他のガス(例えば、窒素ガス、炭酸ガス、酸素又はこれらの混合ガス)に置換する機構を有するものを使用してもよい。
【0038】
本実施形態に係る製造方法によれば、優れた緩衝性及び密閉性を有する包装体100を効率的に製造できる。
【0039】
<第2実施形態>
図6〜8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図6に示す包装用袋20は、ヒートシール部の位置が異なる点において包装用袋10と相違し、これ以外の構成は包装用袋10と同様である。同図に示すように、包装用袋20は底辺において横方向に延びるヒートシール部S1及び側部において縦方向に延びるヒートシール部S3を有する。
【0040】
上記のとおり、ヒートシール部の位置が異なることで、包装用袋20の開口部20aは図7に示すような態様となる。すなわち、ヒートシール部S3において内袋22及び外袋21が一体化しており、内袋22の縁部22aによって被収容物Gを入れるための第1の開口20bが画成されている。他方、内袋22の縁部22a及び外袋21の縁部21aによって第2の開口20cが画成されている。
【0041】
包装用袋20を使用する場合、包装用袋10と同様、図5に示すノズルN1を有するシーリング装置を用いて包装体200を製造することができる。なお、包装用袋20は側部にヒートシール部S3を有するため、熱融着によって開口部20aにヒートシールSを形成すると、矩形の包装用袋20の三辺において外袋21と内袋22が一体的に熱融着されることとなる。このため、図8に示すように、包装体200を立てた状態にすると、内袋22内の被収容物Gは包装体200の中心部分に配置される。なお、図8はヒートシール部が形成されていない側の側面を図示したものである。
【0042】
<第3実施形態>
図9〜12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図9に示す包装用袋30は、ヒートシール部の位置が異なる点において包装用袋10,20と相違し、これ以外の構成は包装用袋10と同様である。同図に示すように、包装用袋30は、一般に「三方シール袋」と称されるものであり、矩形の包装用袋30の三辺にヒートシール部S1,S3,S4を有する。
【0043】
上記のとおり、ヒートシール部の位置が異なることで、包装用袋30の開口部30aは図10に示すような態様となる。すなわち、ヒートシール部S3,S4において内袋32及び外袋31が一体化しており、内袋32の縁部32aによって被収容物Gを入れるための第1の開口30bが画成されている。他方、内袋32の縁部32a及び外袋31の縁部31aによって2つの第2の開口30c,30dが画成されている。
【0044】
第1実施形態に係る包装用袋10においては、ヒートシール部S2を起点として第1の開口10bを取り囲むように第2の開口10cが画成されている。第2実施形態に係る包装用袋20においても同様にヒートシール部S3を起点として第1の開口20bを取り囲むように第2の開口20cが画成されている。これに対し、図10に示すとおり、本実施形態に係る包装用袋30においては、第1の開口30bを挟むように二つの第2の開口30c,30dが画成される。2つの第2の開口30c,30dをそれぞれ入口とするガス層は連通していない。このため、包装用袋30を使用して包装体300を製造する場合にあっては、例えば、図11に示すような態様のノズルN2を有するシーリング装置を用いる必要がある。ノズルN2は二つに分岐した扁平な先端部N2a,N2bを有する。先端部N2a,N2bは、2つの第2の開口30c,30dにそれぞれ挿入しやすいように包装用袋30の厚さ方向(図11における矢印Aの方向)に位置がずれていることが好ましい。
【0045】
包装用袋30は、両方の側部にヒートシール部S3,S4を有するため、熱融着によって開口部30aにヒートシールSを形成すると、矩形の包装用袋20の四辺において外袋31と内袋32が一体的に熱融着されることとなる。このため、図12に示すように、包装体300を立てた状態にすると、内袋32内の被収容物Gは包装体300の中心部分に配置される。なお、第2の開口30c,30dをそれぞれ入口とする2つの領域の両方に必ずしもガスを充填する必要はない。例えば、上記実施形態のように、物品をトレー上に載せた状態で内袋32内に収容した場合、トレー側の領域にはガスを充填せず、物品側の領域のみにガスを充填してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…積層フィルム、1a…延伸フィルム、1b…ポリオレフィンフィルム(ポリオレフィン層)、2…ポリオレフィンフィルム、10,20,30…包装用袋、10a,20a,30a…包装用袋の開口部、10b,20b,30b…第1の開口、10c,20c,30c,30d…第2の開口、11,21,31…外袋、11a,21a,31a…外袋の縁部、12,22,32…内袋、12a,22a,32a…内袋の縁部、100,200,300…包装体、G…被収容物、N1,N2…ガス供給用ノズル、P1,P2…パッド、S,S1,S2,S3,S4…ヒートシール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋及び内袋を有する包装用袋であって、
延伸フィルム及びその一方面に形成されたポリオレフィン層を有する積層フィルムと、ポリオレフィンフィルムとを、前記ポリオレフィン層の表面に前記ポリオレフィンフィルムが配置されるように重ね合わせ、前記積層フィルムが前記外袋をなし前記ポリオレフィンフィルムが前記内袋をなすように熱融着によって製袋され、
熱融着された部分において前記外袋と前記内袋が一体化しており、当該包装用袋の開口部において前記内袋の縁部によって被収容物を入れるための第1の開口が画成され且つ前記内袋の縁部及び前記外袋の縁部によって前記外袋と前記内袋の間にガス供給用ノズルを挿入するための第2の開口が画成されている包装用袋。
【請求項2】
前記ポリオレフィンフィルムは無延伸フィルムである、請求項1に記載の包装用袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装用袋を用いた包装体の製造方法であり、
前記第1の開口から前記内袋内に被収容物を入れる工程と、
前記第2の開口にガス供給用のノズルを挿入する工程と、
柔軟性を有する一対のパッドによって前記包装用袋の開口部を挟んだ状態で前記ノズルから前記外袋と前記内袋の間にガスを供給することによって前記外袋を膨らますと共に前記内袋内のガスを押し出す工程と、
前記第2の開口から前記ノズルを引き抜いた後、前記包装用袋の開口部を熱融着して密封する工程と、
を備える包装体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の包装用袋に被収容物を入れ、当該包装用袋の開口部を熱融着して密封した包装体であり、
前記外袋は、前記外袋と前記内袋の間に充填されたガスによって膨らんでおり、前記内袋は、前記被収容物の外表面に沿うようにはり付いている包装体。
【請求項1】
外袋及び内袋を有する包装用袋であって、
延伸フィルム及びその一方面に形成されたポリオレフィン層を有する積層フィルムと、ポリオレフィンフィルムとを、前記ポリオレフィン層の表面に前記ポリオレフィンフィルムが配置されるように重ね合わせ、前記積層フィルムが前記外袋をなし前記ポリオレフィンフィルムが前記内袋をなすように熱融着によって製袋され、
熱融着された部分において前記外袋と前記内袋が一体化しており、当該包装用袋の開口部において前記内袋の縁部によって被収容物を入れるための第1の開口が画成され且つ前記内袋の縁部及び前記外袋の縁部によって前記外袋と前記内袋の間にガス供給用ノズルを挿入するための第2の開口が画成されている包装用袋。
【請求項2】
前記ポリオレフィンフィルムは無延伸フィルムである、請求項1に記載の包装用袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装用袋を用いた包装体の製造方法であり、
前記第1の開口から前記内袋内に被収容物を入れる工程と、
前記第2の開口にガス供給用のノズルを挿入する工程と、
柔軟性を有する一対のパッドによって前記包装用袋の開口部を挟んだ状態で前記ノズルから前記外袋と前記内袋の間にガスを供給することによって前記外袋を膨らますと共に前記内袋内のガスを押し出す工程と、
前記第2の開口から前記ノズルを引き抜いた後、前記包装用袋の開口部を熱融着して密封する工程と、
を備える包装体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の包装用袋に被収容物を入れ、当該包装用袋の開口部を熱融着して密封した包装体であり、
前記外袋は、前記外袋と前記内袋の間に充填されたガスによって膨らんでおり、前記内袋は、前記被収容物の外表面に沿うようにはり付いている包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−176770(P2012−176770A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40536(P2011−40536)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000116828)旭化成パックス株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000116828)旭化成パックス株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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