説明

包装用袋

【課題】 包装用袋を構成する積層フィルムのヒートシール層から内部に滲出する微粒子や液状体がなく、内容物を変質させたりすることのないクリーンな包装を可能とし、染毛剤用の第2液に含まれる過酸化水素のような、分解によってガスを発生する内容物を収納しても、速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、積層フィルムの層間剥離が防止できるとともに、内容物の蒸散を少なくすることの可能な包装用袋を提供する。
【解決手段】 ヒートシール層、該ヒートシール層に積層された中間層、該中間層に積層された基材層を有する積層フィルムの前記ヒートシール層を最内層としてヒートシールし形成された包装用袋であって、前記ヒートシール層がシングルサイト系触媒を重合触媒とする直鎖状低密度ポリエチレンであり、前記積層フィルムとしての水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上であること特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装用袋に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、例えば、染毛剤用の第2液のように過酸化水素を含む薬液を充填し、過酸化水素の分解により発生する酸素ガスの透過を可能とするとともに、ヒートシール強度が良好であって、膨張、破袋等が防止できるとともに、第2液中の水分の透過・蒸散による内容物の減容が少なく、また、内容物の変質等を引き起こす恐れのない包装用袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
染毛剤用の第2液は、過酸化水素を含むものであり、第2液をアルミ箔を含む積層フィルムにより形成された袋に密封しておくと、過酸化水素の分解により発生する酸素ガスによって、袋が膨張しヒートシール部が剥離したり、破裂したりする。また、染毛剤成分が袋を構成する積層フィルム内に浸透し、バリア層であるアルミ箔面にまで到達し、アルミ箔と接するヒートシール層等との界面の剥離、いわゆる、デラミネーションが生じたりする。
【0003】
シリカ蒸着層等をバリア層とする延伸PETフィルムと延伸NYとを基材層とし、LLDPE等をヒートシール層とし、基材層とヒートシール層とをドライラミネートし、水蒸気透過度を2g/m・24hr以下、気体透過度を0.5cc/m・24hr以上とした積層フィルムを用いた包装用袋とすることで、過酸化水素に由来するガスは速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、デラミネーションが防止できるとともに、内容物の蒸散を少なくすることができるといったことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、バリア層としてシリカ蒸着層等を使用していることから、例えば、基材層としての延伸PETフィルムにシリカ蒸着層等を蒸着さ
せるには、コストが高くつく。また、ヒートシール層としてのLLDPE等には各種の添加剤が用いられており、包装用袋としての使用中に、微粒子や液状体として内容物内に滲出したりして、内容物である第2剤の成分を変質させたりする欠点がある。
【特許文献1】特開2003−116632号公報(第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたものであり、包装用袋を構成する積層フィルムのヒートシール層から内部に滲出する微粒子や液状体がなく、袋内に収納された内容物を変質させたりすることのないクリーンな包装を可能とし、しかも、染毛剤用の第2液に含まれる過酸化水素のような、分解によってガスを発生する内容物を収納しても、速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、積層フィルムの層間剥離(デラミネーション)が防止できるとともに、内容物の蒸散を少なくすることの可能な包装用袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明の包装用袋は、(1)ヒートシール層、該ヒートシール層に積層された中間層、該中間層に積層された基材層を有する積層フィルムの前記ヒートシール層を最内層としてヒートシールし形成された包装用袋であって、前記ヒートシール層がシングルサイト系触媒を重合触媒とする直鎖状低密度ポリエチレンであり、前記積層フィルムとしての水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上であること特徴とする。
そして、(2)前記中間層が2軸延伸ナイロンであり、前記基材層が2軸延伸ポリエステルであることが好ましい。
また、(3)前記ヒートシール層と中間層、中間層と基材層がドライラミネートされたものであることが好ましい。
そして、(4)過酸化水素を含む染毛剤用の第2液を収容するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、この発明においては、ヒートシール層に使用されているシングルサイト系触媒を重合触媒とする直鎖状低密度ポリエチレン(以下、特に断らない限り「SLLDPE」を使用する。)は、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を一切有しないものである。すなわち、シングルサイト系触媒は、重合触媒中に塩素等のハロゲン成分を有していないことから、ハロゲン成分を中和するための脂肪酸金属塩等のハロゲンキャッチャー(中和剤)を添加する必要がなく、また、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等を含有する必要のないものである。従って、添加剤、または、添加剤に起因する物質がヒートシール層自体から内容物内へ微粒子や液状体として内部に滲出することがなく、包装用袋内に収納された内容物を変質させることがない。そのため、この発明の包装用袋は、染毛剤用の第2液を始め、医療用品、食品、電子部品等の保存において清浄性を必要とする商品の包装用袋に適する。とりわけ、シングルサイト系触媒を重合触媒とする気相法による直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0008】
また、積層フィルムのヒートシール層として使用されているSLLDPEは、耐熱性を付与する高融点部と低温ヒートシール性に寄与する低融点部といった特殊な融点部を構成しており、そのため、従来のチーグラー系触媒を重合触媒とするLLDPE等に比べ、低温でのヒートシール性やシール強度に優れ、製袋時におけるヒートシールが容易で、経済的であり、袋のヒートシールした箇所での剥離や破壊の恐れが少ない。また、この発明の包装用袋に内容物を収納した後、袋の開口部をヒートシールする際、低温でのヒートシールでよく、ヒートシールにおける熱で内容物を損傷したり、変質したりする恐れが少ない。
そして、袋を構成する積層フィルムの水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上であることから、例えば、染毛剤用の第2液に含まれる過酸化水素のような、分解によってガスを発生する内容物を収納しても、速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、フィルムの層間剥離(デラミネーション)が防止できるとともに、内容物に含まれる水の蒸散を少なくすることが可能となる。そのため、シリカ蒸着層等を基材層に蒸着させたようなコスト高の積層フィルムを使用することなく、所望とする水蒸気透過度と酸素透過度を有する安価な積層フィルムを使用することができることから、袋の単価を低減させることができる。
【0009】
前記中間層が2軸延伸ナイロンであり、前記基材層が2軸延伸ポリエステルであると、中間層と基材層の厚さ、延伸倍率の選定、配向方向の組合せ等とヒートシール層の厚さ等を適宜設定することによって、水蒸気透過度4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上の内の所望値に設定することが容易であるとともに、シリカ蒸着層を蒸着させた高価なフィルムを使用する必要がなく安価であり、また、例えば、PVDCをガスバリア層とした袋では、燃焼廃棄時に塩素ガス等の有害物質が放出され環境への負荷が大きいが、この積層フィルムの構成では、廃棄時の環境負荷が少ないといった利点がある。そして、中間層を2軸延伸ナイロン、基材層を2軸延伸ポリエステルとすることで、袋として必要とされる強度、耐突刺性、耐ピンホール性、保香性、寸法安定性、印刷適性等において良好な特性を得ることができる。
【0010】
また、前記ヒートシール層と中間層、中間層と基材層がドライラミネートされることで、水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上の条件のうち、所定の水蒸気透過度、酸素ガス透過度を有する袋を安価にかつ容易に製造することができる。
【0011】
そして、過酸化水素を含む染毛剤用の第2液を収容する包装用袋では、染毛剤用の第2液に含まれる過酸化水素の分解によってガスを発生する内容物を収納しても速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、フィルムの層間剥離(デラミネーション)が防止できるとともに、内容物に含まれる水分の積層フィルムからの蒸散が少なく、内容物の濃度等による第2液の変質等が生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明を実施するための最良の形態を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は、以下の実施の形態によって限定されるものではない。
【0013】
この発明の包装用袋のヒートシール層に使用されるSLLDPEとしては、シングルサイト系触媒を重合触媒とし、気相法によって重合したエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。このSLLDPEの密度は、0.890〜0.940g/cmであり、このうち、0.890〜0.930g/cmであることが、耐熱性、ヒートシール強度等の点から好ましい。また、メルトフローレイトとしては、1〜50g/10minであることが好ましい。このようなSLLDPEのうち、日本ポリエチレン(株)のハーモレックスNF544N(商品名)は、シングルサイト系触媒を使用した気相法重合によるもので、αオレフィンとしてヘキサン(C6)との共重合体であって、密度0.912g/cm、メルトフローレイト3.5g/10minであり、そのフィルムは、高強度であって、低温ヒートシール性を有し、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等を含有しておらず、添加剤、または、添加剤に起因する物質がヒートシール層自体から内容物内へ微粒子や液状体として内部に滲出することがないものであって好ましい。
【0014】
積層フィルムの基材層としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等が採用でき、未延伸であっても、一軸または2軸延伸されたものであってもよい。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66との共重合体、ナイロン6とナイロン12との共重合体、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、または、これらのナイロンの混合物が例示できる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネートが例示できる。このうち、2軸延伸ポリエステルが好ましい。基材層は、単層であっても多層であってもよい。
【0015】
中間層としても、基材層と同様にポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等が採用でき、未延伸であっても、一軸または2軸延伸されたものであってもよい。このうち、2軸延伸ナイロンが好ましい。中間層は、単層であっても多層であってもよい。
【0016】
基材層や中間層には、所望により添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、無機質微粒子等が添加されていてもよい。
基材層や中間層に印刷適性を付与するためオーバーコート剤を適用してもよい。
【0017】
この発明の積層フィルムの水蒸気透過度は、JIS Z0208、酸素ガス透過度は、JIS K7126に基づくものである。積層フィルムの水蒸気透過度4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度40cc/m・24hr以上であることが、例えば、染毛剤用の第2液に含まれる過酸化水素のような分解によってガスを発生する内容物を収納しても速やかに袋の外に放散でき、袋の膨張、破裂、フィルムの層間剥離(デラミネーション)が防止できるとともに、内容物の蒸散を少なくすることが可能となる。水蒸気透過度が4.5g/m・24hrを超えると、内容物に含まれる水の蒸散が多く、水分濃度等が所望値以下となることから好ましくない。酸素ガス透過度が40cc/m・24hr未満では、分解によって発生するガスの袋の外への放散が速やかに行われ難く、袋の膨張、破裂、フィルムの層間剥離(デラミネーション)を引き起こすことになり好ましくない。
【0018】
この発明の積層フィルムは、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、押出ラミネート法、ウエットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法等により、または、これらの積層方法を適宜組み合わせて行うことによって得ることができる。積層に際しては、各層となるフィルムに適宜、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理をしてもよい。これらの積層方法のうちドライラミネーションによることが、水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上の条件を満たす所定の水蒸気透過度、酸素ガス透過度を有する積層フィルムを安価にかつ容易に得ることが可能であり好ましい。積層のための接着剤としては、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリブタジエン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤が使用される。
【0019】
この発明において、基材層として2軸延伸ポリエステル(A層)、中間層として2軸延伸ナイロン(B層)、ヒートシール層としてSLLDPE(C層)を使用した場合、A層の厚さ、延伸倍率、B層の厚さ、延伸倍率、A層、B層の配向方向の組合せ、C層の厚さ等を適宜設定することによって、水蒸気透過度4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上の所望値に設定することが容易である。
【0020】
基材層として2軸延伸ポリエステル(A層)、中間層として2軸延伸ナイロン(B層)、ヒートシール層としてSLLDPE(C層)を用い、ドライラミネートした積層フィルムにおいては、A層が5〜25μm、B層が8〜25μm、C層が80〜250μmであることが好ましい。A層が5μm未満では、保香性や、寸法安定性が不十分となり好ましくなく、25μmを超えるとコストアップに繋がり、加工適性が劣ることから好ましくない。B層が8μmでは、強度、耐突刺性、耐ピンホール性が不十分となり好ましくなく、25μmを超えるとコストアップに繋がり、加工適性が劣ることから好ましくない。C層が80未満では、十分な袋のシール強度が得にくく、落下した場合、破袋し易いことから好ましくなく、250μmを超えると、製袋時のヒートシールに長時間を必要とし、製造効率が低下し、コストアップに繋がり好ましくない。
【0021】
図1は、積層フィルム1の断面図であり、A層2、B層3、C層4の3層がドライラミネートされた状態を示す。
図1に示すように、A層2とB層3は接着剤層5を介して接着しており、B層3とC層4は接着剤層6を介して接着している。
【0022】
図1に示す積層フィルムを用いた包装用袋としては、平袋、スタンディングパウチ、サイドガゼットパウチ等各種のものが可能であり、液体を収納するものにおいて、内容物を小出しにする場合は、注出具を備えた袋とすればよい。
【0023】
図2は、図1に示す積層フィルム1を用いた包装用袋10の一例であって、表フィルム11と裏フィルム12とからなり、内容物の充填用の開口部13を除き、3方がシールされた平袋として示されている。
【0024】
図3は、図1に示す積層フィルム1を用いた包装用袋20の他例であって、表フィルム21、裏フィルム22の間に山折りされた底フィルム23が挟み込まれ、内容物の充填用の開口部24を除き、周縁がヒートシールされたスタンディングパウチを示している。
【0025】
図4に示す包装用袋30は、スタンディングパウチであって、左隅部を斜めに切り欠き、斜辺において、表フィルム31と裏フィルム32の間に注出具33を挟み込み、内容物の充填用の開口34を除きヒートシールしたものである。
【0026】
図5に示す包装用袋40は、スタンディングパウチであって、その上辺において、表フィルム41と裏フィルム42の間に注出具43を挟み込み、内容物の充填用の開口44を除きヒートシールしたものである。
【0027】
図6に示す包装用袋は、注出具51付きのサイドガゼット袋50である。該サイドガゼット袋50は、図7に示すように表フィルム52と裏フィルム53の間に側方から山折りされた左方フィルム54、右方フィルム55を、また、下方から注出具51を挟み込み、上辺の内容物の充填用の開口56を除きヒートシールすることで製造される。このサイドガゼット袋50は、内容物を充填後、開口56をヒートシールし、係止孔57、57を利用して吊り下げて使用する。
【実施例】
【0028】
次に、実施例を比較例とともに示し、さらに詳しく説明する。もちろん、この発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
基材層として厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム、中間層として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム、ヒートシール層として厚さ180μmの気相法によるSLLDPE(商品名;ハーモレックスNF544N、日本ポリエチレン(株)製)フィルムを、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネートし、積層フィルムを得た。
【0030】
得られた積層フィルムの水蒸気透過度をJIS Z0208、酸素ガス透過度をJIS K7126に基づき測定した。
結果は、水蒸気透過度3.5g/m・24hr、酸素ガス透過度45cc/m・24hrであった。
【0031】
得られた積層フィルムを用いて、図4に示すようなポリエチレン製の注出具付きのスタンディングパウチを製造した。スタンディングパウチのヒートシール温度は、注出具を取着する斜辺のヒートシール温度を180℃とした以外は、140℃で行った。
得られたスタンディングパウチに市販の染毛剤用の第2液を注入し、開口を140℃でヒートシールした。
【0032】
染毛剤用の第2液を充填したスタンディングパウチを恒温槽中で60℃、相対湿度75%にて1ヶ月間促進試験を行った。
促進試験において評価した測定項目、および、試験方法は、以下の通りである。
【0033】
[減量測定]
試験開始時の重量に対する減量を測定した。
【0034】
[外観測定]
漏れ、変色の有無を目視で確認した。
【0035】
[シール強度]
試験開始から2週間経過時、1ヶ月経過時でのスタンディングパウチのサイドシール部、ボトムシール部、注出具とのシール部をそれぞれ15mm幅に切り取り、引張試験機により引張スピード300mm/minで引張試験を行い、シール強度を測定した。
【0036】
[ラミネート強度]
試験開始から2週間経過時、1ヶ月経過時でのスタンディングパウチの表裏フィルムの略中央部において、15mm幅の試験片を切り取り、引張試験機により引張スピード100mm/minでT型剥離して接着強度を測定した。接着強度の測定は、基材層と中間層、中間層とヒートシール層について、TD方向、MD方向それぞれについて行った。
【0037】
なお、スタンディングパウチ製造時(すなわち、ブランク)のもののシール強度、ラミネート強度を比較のために測定した。
【0038】
減量測定、外観測定の結果は、以下の通りである。
減量測定結果;染毛剤用の第2液充填時の重量に対し、2週間経過時1.09%減量し、1ヶ月経過時では2.09%減量した。
外観測定結果;2週間経過時でも、1ヶ月経過時でも漏れ、変色は認められなかった。だた、1ヶ月経過時にややスタンディングパウチの膨張が認められた。
【0039】
シール強度、ラミネート強度の測定結果は表1の通りである。
【0040】
【表1】

【0041】
(比較例1)
基材層として厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム、中間層として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム、ヒートシール層として厚さ180μmの市販の液相法によるLLDPE(商品名;モアテック、出光石油化学(株)製)フィルムをウレタン系接着剤を使用してドライラミネートし、積層フィルムを得た。
【0042】
得られた積層フィルムの水蒸気透過度を実施例1と同様にして測定した。結果は、水蒸気透過度4.5g/m・24hr、酸素ガス透過度30cc/m・24hrであった。
得られた積層フィルムを用いて、実施例1と同様に図4に示すような注出具付きのスタンディングパウチを製造した。スタンディングパウチのヒートシール温度は、180℃で行った。
【0043】
得られたスタンディングパウチに実施例2と同一の市販の染毛剤用の第2液を注入し、開口を180℃でヒートシールした。
【0044】
この染毛剤用の第2液を充填したスタンディングパウチを、実施例1と同様に恒温槽中で60℃、相対湿度75%にて1ヶ月間促進試験を行った。
【0045】
減量測定、外観測定の結果は、以下の通りである。
減量測定結果;染毛剤用の第2液充填時の重量に対し、2週間経過時1.21%減量し、1ヶ月経過時では2.41%減量した。
外観測定結果;2週間経過時でも、1ヶ月経過時でも、漏れ、変色は特には認められなかったが、1ヶ月経過時にややスタンディングパウチの膨張が認められるとともに、図4のXで示す底フィルム、表フィルム31、裏フィルム32の三者を重ね合わせてヒートシールした箇所近傍であって、充填された染毛剤用の第2液が充填されて底フィルムが舟底形に広がり、染毛剤用の第2液の重量が舟底形となった底フィルムの両端の上部において、スタンディングパウチが屈曲した屈曲箇所(図4では屈曲状態は明示していない。)において剥離が見られた。
【0046】
シール強度、ラミネート強度の測定結果は表2の通りである。
【0047】
【表2】

【0048】
そのほか、実施例1で使用した積層フィルムを用いて各種の袋を製袋し、袋に輸液等の医療用品、酒、乳幼児用ミルク等の食品、電子部品等を収納して実験したところ、いずれも水蒸気の透過、酸素ガスの透過による内容物に対する弊害はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の積層フィルムの一実施の形態を示す断面図である。
【図2】この発明の積層フィルムを用いた包装用袋の1例である。
【図3】この発明の積層フィルムを用いた包装用袋の他例である。
【図4】この発明の積層フィルムを用いた包装用袋の更に他例である。
【図5】この発明の積層フィルムを用いた包装用袋の更に他例である。
【図6】この発明の積層フィルムを用いた包装用袋の更に他例である。
【図7】図6に示す包装用袋の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 積層フィルム
2 A層
3 B層
4 C層
5、6 接着剤層
10、20、30、40、50 包装用袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール層、該ヒートシール層に積層された中間層、該中間層に積層された基材層を有する積層フィルムの前記ヒートシール層を最内層としてヒートシールし形成された包装用袋であって、
前記ヒートシール層がシングルサイト系触媒を重合触媒とする直鎖状低密度ポリエチレンであり、
前記積層フィルムとしての水蒸気透過度が4.5g/m・24hr以下、酸素ガス透過度が40cc/m・24hr以上であること特徴とする包装用袋。
【請求項2】
前記中間層が2軸延伸ナイロンであり、前記基材層が2軸延伸ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の包装用袋。
【請求項3】
前記ヒートシール層と中間層、中間層と基材層がドライラミネートされたものであることを特徴とする請求項1または2記載の包装用袋。
【請求項4】
過酸化水素を含む染毛剤用の第2液を収容するものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の包装用袋。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−62153(P2006−62153A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245940(P2004−245940)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(393015184)カウパック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】