説明

包装組立体

【課題】2つの包装体を互いに分離可能に接合し、かつ保管や使用のため分離して小分けできるようにする。
【解決手段】立方体状の包装体10の上面パネル10d及び底面パネル10eに所定長さの延長パネル12a、10bを設け、前記包装体10を二つ並べて配置した状態において、それぞれの包装体10の前記延長パネル12a、12bをその先端縁から所定幅で接合すると共に、前記延長パネル12a、12bの前記接合部分以外の部分に、前記延長パネルを切断するための切断線16a、16bを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮して束ねた物品を収納する包装体を対にして接合した包装組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮可能な物品、例えば、使い捨ておむつ、生理用パッド、失禁ブリーフなどの吸収性物品等は一般に複数個をまとめて一つの包装体内に収容した状態で出荷され販売されている。
ところで、これらの製品は肌に直接当たる等の理由から柔軟に形成されており、従って圧縮可能であるが実際には圧縮されていないか、若しくは弱圧状態で複数枚まとめて包装または収容されていた。そのため、倉庫に保管する場合だけではなく、運送、販売や家庭で使用する場合でもスペースを要し、コストが掛るだけではなく取り扱いが不便であった。
【0003】
そこで、これらの使い捨ておむつ、生理用パッド、失禁用ブリーフなどの比較的柔軟な物品を圧縮して多数収容する可撓性の袋が提案されている。
この可撓性の袋は、上面パネル、底面パネル、前面パネル、前面パネルと対向した後面パネル、前面パネル及び後面パネルに側端で連続する側面パネルとからなり、複数の物品をその厚さを圧縮して充填し、その圧縮力を前方及び側方パネルで支える六面体(直方体または立方体状)状をなし、前面パネルにはミシン目を設けて、このミシン目を切り開いて収容した物品の取出口を形成するようになっている。
この構成において、ミシン目を切り開くと、内蔵された圧縮物品の圧縮が一部解放され、物品が扇を開くようにその上半部が前記取出口から飛び出す仕掛けになっており、使用時には、このように飛び出した物品を一枚ずつ取り出して使用する(特許文献1)。
【0004】
この従来の可撓性の袋を用いると、物品を圧縮して収容できるから圧縮しないで収容する場合に比してより多くの物品をしかも省スペースで収納できるなどのメリットがある。
しかしながら、この構成では、一つの包装体により多くの物品が収容されるため開封後にその全量を消費するまでに時間がかかり、その間に埃などの付着により汚れる虞がある。そこで、従来は包装体の物品の汚れを防止するために蓋を設けているが、包装体に追加部品を必要し、そのため包装体の製造工程の工数も増加しコストが掛かるという問題がある。また、購入者が家庭で保管する場合、その包装体の大きさに見合ったスペースの確保が困難な場合があり不便である。
他方、包装体の容量を小さくして収容する物品の数を減らすことも考えられるが、そうすると収納物品数に比して包装体の数が増大し運搬等の取扱が不利になるという問題がある。
【特許文献1】特許第3009406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の物品収納用可撓性袋の前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、使い捨ておむつなどの物品を収納する包装体を運搬時にはまとめて扱うことができると共に、購入者が保管する場合には小分けして個々の包装体を小さなスペースに保管できるようにし、更に、開封後は物品を速やかに使い切ることができるようにして、物品の汚れを最小限に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、包装組立体であって、底面パネルと、上面パネルと、前記底面パネル及び上面パネルの一端に連続した前面パネルと、該前面パネルに対向する後面パネルと、前記前面パネル及び後面パネルにそれぞれ連続した側面パネルを備え、前記上面パネル及び底面パネルに所定長さの延長パネルを備えた包装体からなり、前記包装体を並べて配置した状態において、それぞれの包装体の前記延長パネルをその先端縁から所定幅で接合すると共に、前記延長パネルの前記接合部分以外の部分に、前記延長パネルを切断するための切断線を形成したことを特徴とする。
(作用)
複数の物品を収納した包装体を対にして接合しておくことで、搬送する場合の取扱を容易にすると共に、購入後の保管や使用時には個々の包装体に小分けできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2個の包装体を接合して一体としてあるため、搬送時には2個の包装体を一体に取り扱うことができ、かつ購入者が保管する場合は、必要に応じて2個の包装体に切り離して小分けして保管又は使用することができる。従って、狭い場所に収納することができると共に、開封後に早期に使い切ることができるため、従来のように、開封後の包装体に蓋を設ける等の手段を施すことなく、コストを掛けずに開封後の収納物品の衛生状態を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る包装組立体を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る包装組立体1を構成する2個の包装体10を並べた状態を示す斜視図である。
包装体10は、例えば、紙、ポリエチレンシートなどの可撓性材料から成り、前面パネル10aと、前面パネル10aに対向する後面パネル10bと、前面パネル10aと後面パネル10bと間でこれと一体に形成され、全体として筒状の容器又は袋を形成する左右の側面パネル10cと、前面パネル10a、後面パネル10b及び側面パネル10cの上縁及び下縁から一体に折り曲げ形成された上面パネル10d、及び底面パネル10eとからなる略六面体(直方体又は立方体)状を成している。
【0009】
包装体10の上面及び底面パネル10d、10eには、図1に示すように、その左右の側面パネル10cと一体に形成された上面パネル10dをそれぞれ延長して例えば接着剤やヒートシールなどの適当な接合手段で接合して形成した延長パネル12aが、図示のように前面パネル10a側から後面パネル10b側まで、所定の幅又は高さで上方に突出して形成されている。また、底面パネル10eにも、上面パネル10dと同様に形成された延長パネル12bが、底面パネル10eから下方に突出して、つまり前記延長パネル12aと逆方向に突出して形成されている。
ここで、前記上部の延長パネル12aの前記所定の幅は前記底部の延長パネル12bのそれよりも大きく、その先端縁近傍には取手となる切欠部14が形成されている。
【0010】
図2は、図1に示す包装体10から構成した本発明の包装組立体の1実施形態を示す斜視図である。
包装組立体1は、2個の包装体10を、図1に示すように並べた状態で、それぞれの上面パネル10d及び底面パネル10eそれぞれに形成された延長パネル12a,12bを互いに相手側に折り曲げて、その先端部近傍に形成された取手用切欠部分14を合わせた状態で所定幅に折り曲げかつその折り曲げ部を接着剤或いはヒートシール等により接合されている。
【0011】
前記延長パネル12a、12b同士の接合部分121a、121b以外の部分には図示のように、延長パネル12a、12bと上面パネル10d、底面パネル10eとの接合部と前記接合部分121a、121bとの略中間位置に、その延長パネル12a、12bの前面パネル10a側から後面パネル10b側まで延びた例えばミシン目からなる切断線16a、16bが形成されている。
【0012】
この切断線16a、16bは、それぞれ包装組立体1から左右の包装体10を切り離すためのものであり、ミシン目以外にその部分のみ他の部分より薄く形成して切り易くしたものでもよく、また、切断線16a,16bの位置は、前記中間位置に限らず、上面パネル10d、底面パネル10eとの接合部と前記接合部分121a、121bの間の位置であれば任意である。
【0013】
包装組立体1は、以上の構成から成るから、購入者は、保管時或いは使用時に必要に応じて前記切断線16a、16bに沿って延長パネル12a、12bを切断することで、二つの包装体10に分離することができる。
【0014】
次に、以上で説明した包装体10の実施形態について説明する。
図3に示すように、包装体10には、例えば上下2段に使い捨ておむつ20が収納されている。また、その前面パネル10aには、使い捨ておむつ20を取り出すための取出口30を形成するためのミシン目15が形成されており、前面パネル10aを前記ミシン目15に沿って引き裂くことで取出口となる開口30が出現する。この取出口30の大きさ(面積)は前記前面パネル10cの面積の60%以上となるようミシン目15が設定されている。比較的柔軟な使い捨ておむつ20を包装体10から取り出す場合は、使い捨ておむつ20を折り畳んだ状態の側面の60%以上の開口面積があると取出しを容易に行うことができ、好ましくは80%以上あればよい。
【0015】
取出口30を形成するときは、まず、最初に上段に収納された使い捨ておむつ30を取り出すために前面パネル10aのミシン目15を引き裂き、次に、上段の使い捨ておむつ20を出し終わったところで、前記ミシン目15を下段の使い捨ておむつ20のところまで前記ミシン目15を切断又は引き裂く。
【0016】
なお、本実施形態では、前記ミシン目15は上面パネル10dには達しておらず、前記取出口30は前記側面パネルの領域内に限定されているが、必要に応じて上面パネル10dの領域まで延在させて、上面パネル10dの一部を含めた取出口を形成することもできる。
【0017】
図4は前記取出口30の別の形状を示す。
この実施形態においては、取出口30は上下2段に収納された使い捨ておむつ30の位置に合わせて前記正面パネル10aに上下に2箇所別々に設けられている。取出口30の形状は任意であるが、ここでは湾曲した上部と矩形の下部とからなる形状であり、その上端部は上面パネル10dにまで達していない。
このような取出口30の形状にすると使い捨ておむつの上部が取出口30から露出することがないため、第1の実施形態のものよりも取り出し難いが、上段の使い捨ておむつ20の取出口30を誤って大きく明けすぎるようなことはない。
【0018】
次に、包装体10の第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態に係る包装体を示し、図5Aはその包装状態を、また図5Bは開封・展開した状態を示す斜視図である。
この実施形態に係る包装体10では、使い捨ておむつを上下2段に収容し、かつ切断線15となるミシン目は、図5Aに示すように、前面パネル10aとその左右の側面パネル10cの上下中央部を通り連続して設けられている。前面パネル10aの反対側、従って、図では左側になる裏面パネル10bを残して前記各パネルをミシン目15に沿って切断又は引き裂き、裏面パネル10bの部分で折り返して開封展開することにより、包装体10を、それぞれ使い捨ておむつを一段づつ収容し、かつ折り返した裏面パネル10bで横に繋がった2つの容器10X、10Yに変更することができる。
【0019】
図6は、第4実施形態に係る包装体を示し、図6Aはその包装状態の、また図6Bは開封・展開した状態を示す斜視図である。
この実施形態では、切断線となるミシン目15は、図6Aに示すように、前面パネル10aとその左右の側面パネル10cを所定の間隔tで帯状に切り取り可能に設けられており、前面パネル10aの反対側、従って、図では左側になる裏面パネル10bを残して切取線に沿って引き裂き、かつ図6Bに示すように、裏面パネル10bの部分で折り返して前記包装体10を開封展開することにより、包装体10を、それぞれ使い捨ておむつを一段づつ収容して裏面パネル10bで横に繋がった2つの容器10X、10Yに変更することができる。本実施形態では、とくに前記裏面パネル10bの前記切り残した部分を細長い矩形状部分15bとして残し、この部分に例えば、スリットを形成するか或いは切断線を形成してその切断線に沿って切り抜くことにより、取手15cを形成することができ、これにより開封・展開状態における包装体10の移動が容易になる。
【0020】
図7は、包装体の第5の実施形態に係る包装体10の斜視図である。この実施形態では、切断線となるミシン目15aはパネルを単に切断する部分15a(1)と帯状にパネルを切り取るように所定間隔を隔てて配置された部分15a(2)とからなっている。
このように、パネルの切断時に帯状パネルの一部を所定幅で切り取るようにすることで、単に切断線のみを設けた場合に比して開封がし易くなる。
なお、前記包装袋開封用の切断線も、ミシン目以外にその部分のみ他の部分より薄く形成して切断し易くしたものでもよい。
【0021】
以上の説明では、物品を使い捨ておむつに例を採って説明したが、圧縮可能な物品であればこれに限らず、例えば、生理用パッドその他の柔軟な伸縮性物品でもよいことは勿論である。
また、前記切断線は、細巾dを隔てて平行に形成し、切り取りを容易にするために一部切れ目を入れて細巾部の一部を引き手に形成しておくこともできる。また、ティアテープを切断すべきパネルの周りに貼り付けておき、そのティアテープを引き剥がし包装体のパネルを切断することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の包装組立体を構成する包装体を示す斜視図である。
【図2】包装組立体を示し、図2Aは斜め上方からみた斜視図、図2Bは斜め下方からみた斜視図である。
【図3】包装体の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図4】包装体の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図5】包装体の第3の実施形態を示す斜視図である。図5Aはその斜視図、図5Bは切断線に沿って切断(開封)した後の展開状態を示す図である。
【図6】包装体の第4の実施形態を示し、図6Aはその斜視図、図6Bは切断線に沿って切断(開封)した後の展開状態を示す図である。
【図7】包装体の第5の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1・・・包装組立体、10・・・包装体、10a・・・前面パネル、10b・・・後面パネル、10c・・・側面パネル、10d・・・上面パネル、10e・・・底面パネル、12a、12b・・・延長パネル、14・・・取手用切欠、15・・・切断線(ミシン目)、20・・・物品(使い捨ておむつ)、30・・・取出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面パネルと、上面パネルと、前記底面パネル及び上面パネルの一端に連続した前面パネルと、該前面パネルに対向する後面パネルと、前記前面パネル及び後面パネルにそれぞれ連続した側面パネルを備え、前記上面パネル及び底面パネルに所定長さの延長パネルを備えた包装体からなり、前記包装体を並べて配置した状態において、それぞれの包装体の前記延長パネルをその先端縁から所定幅で接合すると共に、前記延長パネルの前記接合部分以外の部分に、前記延長パネルを切断するための切断線を形成したことを特徴とする包装組立体。
【請求項2】
請求項1に記載された包装組立体において、
前記延長パネルの縦壁の接合部分に取手用切欠を設けたことを特徴とする包装組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された包装組立体において、
前記前面パネル、側面パネルのいずれかに物品取出し口を形成する切断線を備えていることを特徴とする包装組立体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された包装組立体において、
前記前面及び側面パネルには、前記包装体を二つの物品収納部に分離する切断線を設け、かつ、前記切断線を切断して前記後面パネルの周りで前記各物品収納部に展開可能としたことを特徴とする包組立装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−22636(P2007−22636A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211715(P2005−211715)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】