説明

包装袋及びロール製品パッケージ。

【課題】複数本の指を挿通しても指の痛みが生じず、持手部の破損を防止したスリットを有する包装袋及びロール製品パッケージを提供する。
【解決手段】ロール製品50を収納する本体部6と持手部4を備えた筒状フィルム包装体において、該持手部がチューブ状フィルムの左右両側にガセット8を対称的に折り込んで折り畳み固定した扁平形状であり、この持手部に複数本の指が挿通できる指同時掛け用スリット2を設け、スリットは、左右ガセットを結ぶ横方向Sに沿って延びるスリット主部2aと、スリット主部の両端からそれぞれ持手部の上端に向かい、外側に凸状に膨らみつつ内側に延びて終端する弧状スリット部2bとを連続してなり、横方向において、弧状スリット部の最外側同士の間隔Wと、弧状スリット部の最外側から終端2cまでの長さWとが、W=0.15×W〜0.25×Wの関係を満たす複数個のロール製品を収納する包装袋100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トイレットペーパー、ペーパータオルなどの薄葉紙のロール製品を複数個収納する包装袋、及び包装袋にロール製品を収納したロール製品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等の包装袋として、ポリエチレン等の筒状フィルムにガセットを対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで持手部を構成したものが用いられている。持手部には購入者が運搬するための指掛け穴が備えられているが、特に多数のロールを収納した包装袋では重量が過大となり、2穴の指掛け穴では指先が痛くなることがある。また1つ穴の場合、持ち運ぶ途中、持手部が千切れることがある。
このようなことから、本出願人は、複数本の指が挿通できる下向き弧状の指同時掛け用スリットを持手部に設けた包装袋を開発した(特許文献1参照)。又、上向きに非切抜部を有する長円で略C字状の切り込みを設けた手提げバッグが報告されている(特許文献2参照)。
【0003】
一方、包装袋から内容物を取出す際、開封を容易にするため、袋にミシン目を設ける技術が報告されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4350430号公報(図7)
【特許文献2】実用新案登録第1171230号公報
【特許文献3】実用新案登録第2591646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、複数本の指が挿通できるスリットを持手部に設ける際、その形状によっては指の痛みが生じたり、内容物の重量によって持手部が破損することが判明した。
従って、本発明は、複数本の指を挿通しても指の痛みが生じず、持手部の破損を防止したスリットを有する包装袋及びロール製品パッケージの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の包装袋は、複数個のトイレットペーパー等のロール製品を収納する本体部とこの本体部の上端側に持手部を備えた筒状フィルム包装体において、該持手部がチューブ状フィルムの左右両側にガセットを対称的に折り込んで平面状に折り畳み固定した扁平形状であり、この持手部に複数本の指が挿通できる指同時掛け用スリットを、上記左右ガセットの折り込み端縁を横切って設け、更にこのスリットを囲むシールラインを該持手部に施し、前記スリットは、前記左右ガセットを結ぶ横方向に沿って延びるスリット主部と、該スリット主部の両端からそれぞれ前記持手部の上端に向かい、外側に凸状に膨らみつつ内側に延びて終端する弧状スリット部とを連続してなり、前記横方向において、前記弧状スリット部の最外側同士の間隔Wと、前記弧状スリット部の最外側から前記終端までの長さWとが、W=0.15×W〜0.25×Wの関係を満たす。
【0007】
前記包装袋を構成する4つの側面のうち、いずれか1つの側面の両側端をなす側面山折り稜線をそれぞれ挟むよう、前記側面とそれに隣り合う他の側面とに開封用ミシン目が設けられ、
前記開封用ミシン目は、前記持手部の下部の所定位置から前記側面山折り稜線に沿って平行にかつ下方に延び、前記側面山折り稜線の上端からR×(1.0〜2.0)の長さ(但し、R1は前記ロール製品の直径)で終端することが好ましい。
【0008】
前記包装袋に前記複数個のロール製品を収納して前記横方向に直交する方向から見たとき、前記包装袋を構成する側面から前記持手部へ向かう切妻屋根状のパネル部の傾斜角が20〜50度であり、前記パネル部の稜線のうち前記横方向に垂直なパネル部山折り稜線の長さRに対し、前記開封用ミシン目が当該パネル部山折り稜線上でかつ前記持手部の下部から0.2×R〜0.6×Rの距離Rを始端とすることが好ましい。
【0009】
前記ロール製品の直径Rに対し、前記側面山折り稜線と前記開封用ミシン目との間隔Rは、0.3×R〜0.5×Rの関係を満たすことが好ましい。
【0010】
本発明のロール製品パッケージは、前記包装袋に前記複数個のロール製品を収納してなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数本の指を挿通しても指の痛みが生じず、持手部の破損を防止したスリットを有する包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る包装袋の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】包装袋に複数個のロール製品を上下方向に2個収納したロール製品パッケージを示す斜視図である。
【図5】包装袋を開封用ミシン目に沿って開封し、ロール製品を1個取り出す態様を示す図である。
【図6】図4の矢印Tの方向から見たときのロール製品パッケージを示す図である。
【図7】弧状スリット部の変形例を示す図である。
【図8】弧状スリット部の別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、包装袋100の持手部4側を「上端」側とし、その反対側を「下端」側とする。
図1は、本発明の実施形態に係る包装袋100の平面図を示す。包装袋100は、チューブ状フィルムからなる本体部6と、本体部6の上端側の持手部4を備えている。図1のA−A線に沿う断面図2に示すように、包装袋100は、チューブ状フィルムの左右両側をガセット8として内側に対称的に折り込み、各ガセット8の折り込み端縁8aが包装袋100の横方向S(図1の左右方向)中央付近で近接するように平面状に折り畳み、上端で折り畳み部分の適所をヒートシールしてシールライン4a〜4iが形成されている。このようにしてシールライン4a〜4iで一体化され固定された矩形の扁平部分が持手部4をなしている。
本体部6は下端が開口し、下端側からトイレットペーパー等のロール製品を収納し、開口端をヒートシールで封止するようになっている。又、ロール製品を収納した際に本体部6のガセットが展開され、本体部6は矩形断面の4つの側面を構成する。なお、図1においては、4つの側面のうち、側面21が表側に表れている。
【0014】
持手部4は、包装袋100の横方向Sに互いに平行に延びる上側シールライン4d及び下側シールライン4cの間の部分に形成されている。又、包装袋100の縦方向Lに沿う両端縁のうち上側シールライン4d及び下側シールライン4cで挟まれる領域は、それぞれ左側シールライン4e及び右側シールライン4fでヒートシールされている。
さらに、上側シールライン4d及び下側シールライン4cの間で、かつ左側シールライン4e及び右側シールライン4fの内側には矩形の補強フィルム4iが積層され、補強フィルム4iの横方向Sに沿う辺は上側シールライン4d及び下側シールライン4cで持手部4と一体化されている。一方、補強フィルム4iの縦方向Lに沿う辺のやや内側は、それぞれ縦方向Lに平行な内側シールライン4a、4bでヒートシールされ、持手部4と一体化されている。さらに、上側シールライン4dより下側で、かつ内側シールライン4a、4bの間には、上側シールライン4dと平行に中側シールライン4dがヒートシールされている。
【0015】
以上のようにして、中側シールライン4d及び下側シールライン4cの間で、かつ内側シールライン4a、4bの間で囲まれた矩形領域のほぼ中央に、上向きに非切抜部を有するほぼ長円のスリット2が設けられている。スリット2の詳細な構成については後述する。
さらに、この実施形態では、スリット2の下端と下側シールライン4cの間に、横方向Sに平行でスリット2より短い補助シールライン4hがヒートシールされている。
【0016】
一方、側面21の右側端は山折り稜線31をなし、山折り稜線(以下、「側面山折り稜線」と称する)31を挟んで側面21に隣接する側面(図示せず)は内側にガセット折りされている。そして、側面21の山折り稜線31寄りには、持手部4の下部の所定位置から側面山折り稜線31に沿って平行にかつ下方に延びる開封用ミシン目10が形成されている。
開封用ミシン目10は、持手部4の下部の所定位置の側面山折り稜線31上(但し、複数個のロール製品を包装袋100に収納したとき、後述するパネル部山折り稜線となる部分)を始端10aとし、始端10aから所定の曲率半径で湾曲して側面山折り稜線31と離れた後、側面山折り稜線31に平行に延び、終端10bに至る。終端10bは、複数個のロール製品を包装袋100に収納したとき、該複数個のロール製品が上から1個〜(n−1)個並ぶ位置とする。終端10bの位置の規定理由については後述する。
【0017】
次に、図1の部分拡大図3を用い、スリット2の詳細な構成について説明する。スリット2は、横方向Sに沿って延びるスリット主部2aと、スリット主部2aの両端からそれぞれ持手部4の上端(図3の上方)に向かい、外側に凸状に膨らむ略半円状をなすと共に内側に延びる終端2cを有する弧状スリット部2bとを連続してなる。そして、両弧状スリット部2bの終端2c同士の間が上向きの非切抜部をなしている。従って、購入者が運搬する際にスリット2を切抜くと、非切抜部を固定端とする片部2hが形成される。この状態で、非切抜部のうち終端2c同士を結ぶ線分2eで片部2hを上方に折り返すと、折り返し部がU字形に屈曲するので鋭い端面が生じず、指が痛くならない。
【0018】
横方向Sにおいて、各弧状スリット部2bの最外側同士の間隔Wと、個々の弧状スリット部2bの最外側から終端2cまでの長さWとが、W=0.15×W〜0.25×Wの関係を満たしている。
<0.15×W、つまり終端2cの内側への延び量が少ない(又は内側へ延びていない)と、スリット2を切抜き、片部2hを上方に折り返した際、がスリット2の切れ目にかかる横方向Sに垂直な縦方向への応力が大きくなり、包装袋100のフィルムが縦方向に裂けて持手部4が破損する。
一方、W>0.25×W、つまり終端2cの内側への延び量が多く、U字形に屈曲する折り返し部となる線分2eが短くなると、終端2c付近でスリット2を切り抜いた鋭い端面が指に当たり、持ち運び時に指が痛くなる。
【0019】
なお、図3では、スリット主部2aが下にわずかに凸状に膨らむ湾曲部となっているが、スリット主部2aが横方向Sに平行な直線であってもよい。又、スリット主部2aが直線であれば、スリット主部2aと弧状スリット部2bとの境界が明確であるが、図3の例ではスリット主部2aも弧状スリット部2bも共に弧状であるので、両者の境界が明確ではない。但し、両者は連続してスリット2を構成するので、境界が明確でなくても差し支えない。又、図3の例では、スリット主部2aの中央部、及び中央部から両外側に向かう位置には、スリットが形成されずに持手部4と繋がった合計3つの接続部2h、2g、2gが形成されている。このため、購入前は、スリット主部2aが持手部4と連結され、不用意にスリット2が切り抜かれることを防止する。そして、購入者が運搬する際には、スリット主部2aをミシン目のようにして切抜くことができる。
【0020】
又、Wの値は特に制限されず、複数本の指が挿通できる長さであればよいが、通常、50〜80mm程度とすればよい。横方向Sに垂直な方向のスリット2の高さも特に制限されず、指が挿通できればよいが、通常、10〜15mm程度とすればよい。
包装袋100のフィルムは特に制限されないが、ほぼ包装されるロール製品50の重量により厚みが決定し、包装されるロール製品50の合計重量が500g以上では、厚み20μm以上とするとよい。
【0021】
図4は、包装袋100に複数個のロール製品50を上下方向に2個収納したロール製品パッケージ200を示す斜視図である。この例では、包装袋100に上下方向に軸を揃えて2個重ねたロール製品50を縦横2列(合計で8個)収納している。又、包装袋100の下端開口からロール製品50を収納した後、開口端をヒートシールして封止部201が形成されている。
包装袋100の4つの側面21、23、25、27が展開され、各側面21、23、25、27の境界がそれぞれ側面山折り稜線31、33、35、37(37は図示せず)で規定されている。又、2つの対向する側面21、25から持手部4へ向かい、それぞれ切妻屋根状のパネル部41、51が傾斜して形成されている。
【0022】
パネル部41は、パネル部山折り稜線43、45を有し、パネル部山折り稜線45は横方向Sに平行で、かつ側面21の上部との境界をなしている。一方、パネル部山折り稜線43は横方向Sに垂直で、パネル部41の妻側の端縁を構成している。同様に、パネル部51は、パネル部山折り稜線53、55を有し、パネル部山折り稜線55は横方向Sに平行で、かつ側面25の上部との境界をなしている。一方、パネル部山折り稜線53は横方向Sに垂直で、パネル部51の妻側の端縁を構成している。なお、パネル部山折り稜線43、53は同じ向きに位置する。
そして、開封用ミシン目10は、各パネル部山折り稜線43、53上の位置を始端10aとし、各パネル部山折り稜線43、53に平行に下がりつつ、パネル部山折り稜線45、55を越えて側面山折り稜線31、33へ下がっている。
【0023】
図6は、横方向Sに直交する方向(図4の矢印Tの方向)から見たときのロール製品パッケージ200を示す。パネル部の傾斜角θを20〜50度とし、パネル部山折り稜線43、53の長さRに対し、開封用ミシン目10の始端10aがパネル部山折り稜線43、53上でかつ持手部4の下部から0.2×R〜0.6×Rの距離Rに位置することが好ましい。
このようにすると、妻側に突出するパネル部山折り稜線43、53の中央又は中央よりやや持手部4寄りに始端10aが位置するので、始端10aを指で掴みやすい。特に、片手で持手部4を持ち上げてパネル部山折り稜線43、53を立ち上げさせつつ、反対の手の指で始端10aを掴む際、両手が広がり過ぎないので、始端10aを引き剥がす力を有効に加えることができる。
【0024】
始端10aの位置が0.2×Rより持手部4寄りにあると、両パネル部山折り稜線43、53が持手部4で合流する位置に始端10aが近く、山折り稜線43、53の一方を掴み難くなる傾向にある。始端10aの位置が0.6×Rより下方寄りにあると、各パネル部山折り稜線43、53がそれぞれ側面21、25と合流する位置に始端10aが近く、同様に山折り稜線43、53の一方を掴み難くなる傾向にある。
又、パネル部の傾斜角θが20度未満の場合、各パネル部山折り稜線43、53が側面23の上辺に近くなり、同様に山折り稜線43、53の一方を掴み難くなる傾向にある。一方、パネル部の傾斜角θが50度を越えると、ロール製品パッケージ200が縦方向に長くなり過ぎ、包装がルーズになり、運搬がし難くなる傾向にある。
【0025】
図4に戻り、始端10aを掴んで下方に引き裂くと、開封用ミシン目10に沿って包装袋100が開かれるが、開封用ミシン目10の終端10bで開封が止まる。このとき、終端10bを側面山折り稜線31の上端からR×(1.0〜2.0)の長さ(但し、R1はロール製品50の直径)まで形成している。
このため、図5に示すように、包装袋100の開口長さRxもR×(1.0〜2.0)程度となり、例えば上側のロール製品50のみを図5の矢印B方向(例えば、側面山折り稜線31から上斜め約45度)から取り出すことができる。ここで、ロール製品50がトイレットロール等の場合、通常、その高さ(軸方向長さ)が直径Rとほぼ同一長さであるため、ロール製品50を2段以上積んで包装すれば、開封用ミシン目10の終端10bは側面山折り稜線31のほぼ1/2の高さに位置する(終端10bが側面山折り稜線31の上端からR×1.0の長さの場合)。
従って、取り出されなかった下方のロール製品50は包装されたままであるので、取り出されずに残ったロール製品50を衛生的に保管できる。又、包装袋100の底部まで開封されないので、下方のロール製品50が袋内でばらつくことなく、取り出されずに残ったロール製品50を安定して保管できる。
【0026】
又、ロール製品50を3段積んで包装すれば、開封用ミシン目10の終端10bは側面山折り稜線31の少なくとも1/3の高さに位置する(終端10bが側面山折り稜線31の上端からR×2.0の長さの場合)。従って、この場合も、少なくとも最下段のロール製品50は包装されたままであるので、取り出されずに残ったロール製品50を衛生的に保管できる。
【0027】
一方、ロール製品50がキッチンタオル等の場合、通常、その高さ(軸方向長さ)が直径R11の2倍以上あるため、ロール製品50を1段以上積んで包装しても、開封用ミシン目10の終端10bは側面山折り稜線31のほぼ1/2の高さに位置する(終端10bが側面山折り稜線31の上端からR×1.0の長さの場合)。
【0028】
ロール製品50の形状によらず、開封用ミシン目10の終端10bを側面山折り稜線31の1/3の高さより上方に位置させると好ましい。
【0029】
又、図6に示すように、ロール製品50の直径Rに対し、側面山折り稜線と開封用ミシン目との間隔Rが、0.3×R〜0.5×Rの関係を満たすことが好ましい。この場合、1つの側面山折り稜線を挟む2つの開封用ミシン目を開封したとき、開封部の幅が0.6×R〜Rとなるので、ロール製品50を丁度1個取り出すことができる。
が0.3×R未満であると開封部からロール製品50を取り出し難く、Rが0.5×Rを超えると開封部が広くなり過ぎ、取り出されずに残ったロール製品50が袋内でばらつき、安定して保管し難くなる傾向にある。また、開封用ミシン目10を破り易くするために、パネル部山折り稜線と、側面山折り稜線とでミシン目のカット/ボンドの比率及び/又はカット長を調整することができる。パネル部山折り稜線ではカット/ボンドの比を2.5〜1.0、カット長3.0〜0.5mmとし、側面山折り稜線ではカット/ボンドの比を2.0〜1.0、カット長2.0〜0.5mmとするのが望ましい。
【0030】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、弧状スリット部2bは半円に限らず、外側に凸状に膨らむ形状であればよい。さらに、図3では、終端2cが内側に向く角度は横方向Sに平行であるが、これに限定されず、終端2cが横方向Sに垂直でなければ、横方向Sと角度を持っていてもよい。
図7は、弧状スリット部2bの変形例を示す。弧状スリット部2bの終端2cが横方向Sと角度を持ちつつ、(ハの字状に)上側かつ内側に向いている。又、図8は、弧状スリット部2bの別の変形例を示す。弧状スリット部2bの終端2cが横方向Sと角度を持ちつつ、(逆ハの字状に)下側かつ内側に向いている。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
【0032】
厚み27μmの低密度ポリエチレンフィルムを用い、図1に示す包装袋100を作成した。但し、Wを90mmで一定とし、スリットのW(図3参照)を表1に示すように変化させた。さらに、持手部4に厚み70μmの低密度ポリエチレンフィルムを補強フィルム4iとして積層した。
比較例1として、それぞれほぼ指1つが入る径18×25mmの長円形状のスリットを、持手部4の横方向に2個並べて形成した。
比較例2として、U字形の横方向に長さ90mmのスリットを持手部4に形成した。このスリットは、W=0mmに相当する。
比較例3として、スリットのW=10mmに変更した。
比較例4として、比較例3のスリットを上下反対向きに形成した。
比較例5として、スリットのW=25mmに変更した。なお、比較例5の場合、弧状スリット部2bの終端2cが横方向よりやや上向きに向いている。
【0033】
得られた包装袋について、以下の評価を行った。
<指の痛み>
各パッケージについて、スリットを切り抜いて指を入れ、1.5kgの荷重を10分掛けたときの指の痛みを以下の基準で評価した。評価を5回行い、その平均を採用した。評価が○であれば実用上問題はない。
×:5回のうち1回でも指が痛くなり、指先に荷重の跡が著しく残る
△:5回のうち1回でも指が若干痛くなり、指先に荷重の跡が残る
○:5回とも指は痛くならず、指先に荷重の跡がわずかに残る
<振り下げ強度>
ロール製品50を600g分包装し、スリット2以外の持手部4を手で持ち、落差30cmで落下、停止、上昇を1回のサイクルとし、持手部4が破断するまでの回数を求めた。
【0034】
<切断荷重>
スリット2を切り抜いて開口部に所定の治具を引っ掛け、引張り試験機で包装袋100の引張り試験を行った。包装袋100が破断するときの引張り強度を切断荷重とし、破断時の包装袋100の伸びを測定した。
【0035】
得られた結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から明らかなように、各実施例の場合、スリットの切断荷重が高く、指の痛みが無く、振り下げ強度も優れていた。
一方、円形の2つ穴を形成した比較例1の場合、指の痛みが生じた。
スリットをU字形とした比較例2の場合、スリットの終端が縦に平行なため、これに沿って縦方向に袋が裂け、振り下げ強度が劣った。
=10mmとした比較例3の場合、W<0.15×Wとなり、スリットの終端付近で縦方向に袋が裂け、振り下げ強度が劣った。これは、スリットの終端の内側へのかえりが少ないため、終端付近で縦方向に応力が集中したものと考えられる。
スリットを上下反対向きとした比較例4の場合、スリットを切抜いた上側に鋭い端面が生じ、指の痛みが生じた。
=25mmとした比較例5の場合、W>0.25×Wとなり、スリットの折り返し部となる線分2eが短くなり、終端2c付近でスリット2を切り抜いた鋭い端面が指に当たり、指の痛みが若干生じた。
【符号の説明】
【0038】
2 スリット
2a スリット主部
2b 弧状スリット部
2c 弧状スリット部の終端
4 持手部
4a〜4h シールライン
6 本体部
8 ガセット
10 開封用ミシン目
10a 開封用ミシン目の始端
10b 開封用ミシン目の終端
21〜27 側面
31〜37 側面山折り稜線
41、51 パネル部
43、53 横方向に垂直なパネル部山折り稜線
50 ロール製品
100 包装袋
200 ロール製品パッケージ
S (左右ガセットを結ぶ)横方向
弧状スリット部の最外側同士の間隔
弧状スリット部の最外側から終端までの長さ
ロール製品の直径
横方向に垂直なパネル部山折り稜線の長さ
パネル部山折り稜線上で持手部の下部からの距離
側面山折り稜線と開封用ミシン目との間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のトイレットペーパー等のロール製品を収納する本体部とこの本体部の上端側に持手部を備えた筒状フィルム包装体において、該持手部がチューブ状フィルムの左右両側にガセットを対称的に折り込んで平面状に折り畳み固定した扁平形状であり、この持手部に複数本の指が挿通できる指同時掛け用スリットを、上記左右ガセットの折り込み端縁を横切って設け、更にこのスリットを囲むシールラインを該持手部に施し、
前記スリットは、前記左右ガセットを結ぶ横方向に沿って延びるスリット主部と、該スリット主部の両端からそれぞれ前記持手部の上端に向かい、外側に凸状に膨らみつつ内側に延びて終端する弧状スリット部とを連続してなり、
前記横方向において、前記弧状スリット部の最外側同士の間隔Wと、前記弧状スリット部の最外側から前記終端までの長さWとが、W=0.15×W〜0.25×Wの関係を満たす、複数個のロール製品を収納する包装袋。
【請求項2】
前記包装袋を構成する4つの側面のうち、いずれか1つの側面の両側端をなす側面山折り稜線をそれぞれ挟むよう、前記側面とそれに隣り合う他の側面とに開封用ミシン目が設けられ、
前記開封用ミシン目は、前記持手部の下部の所定位置から前記側面山折り稜線に沿って平行にかつ下方に延び、前記側面山折り稜線の上端からR×(1.0〜2.0)の長さ(但し、R1は前記ロール製品の直径)で終端する請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記包装袋に前記複数個のロール製品を収納して前記横方向に直交する方向から見たとき、前記包装袋を構成する側面から前記持手部へ向かう切妻屋根状のパネル部の傾斜角が20〜50度であり、
前記パネル部の稜線のうち前記横方向に垂直なパネル部山折り稜線の長さRに対し、前記開封用ミシン目が当該パネル部山折り稜線上でかつ前記持手部の下部から0.2×R〜0.6×Rの距離Rを始端とする請求項2記載の包装袋。
【請求項4】
前記ロール製品の直径Rに対し、前記側面山折り稜線と前記開封用ミシン目との間隔Rは、0.3×R〜0.5×Rの関係を満たす請求項1〜3のいずれか記載の包装袋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の包装袋に前記複数個のロール製品を収納してなるロール製品パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−189965(P2011−189965A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58116(P2010−58116)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】