説明

包装装置

【課題】包装装置について、大型化やコスト高騰を伴うことなく作業トラブルの生じにくいものとして効率的な包装作業が行えるものとする。
【解決手段】ヒータ板31Aを有した溶着切断部30Aとその上流側で軸支され閉鎖方向に付勢されたシャッター板21A及びこれを閉鎖方向に押圧するソレノイド23を有したシャッター部20Aとを備え、センサ27の出力信号で品物200が所定位置に進んだのを検知した制御手段が溶着切断部30Aを作動させて少なくとも溶着作業開始から所定の間はシャッター板21Aの閉鎖状態を維持するものとし、シャッター板21Aは当接した品物200の進行により先端側を下流方向に回動して開き、制御手段は前記出力信号で品物200後端部がシャッター部20Aを通過するタイミングを検知又は判定し、このタイミングを基にソレノイド23を作動させて次の品物200の溶着切断部30Aへの侵入を阻止するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入された品物を樹脂フィルムの間に挟みながらその後端側で樹脂フィルムの溶着及びカットを行って連続的に包装を行う包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雨天の配達の際に新聞が濡れてしまうのを防止するため、新聞店においてポリエチレン等の樹脂フィルム(樹脂シート)で新聞を一部ずつパック詰めして防水性を高めることが一般に行われており、斯かる包装作業を短時間で効率的に完了させるための装置として特許第4084708号公報に記載されているような包装装置が知られている。
【0003】
この包装装置では、挿入口に挿入された品物を1対のロール体から供給された帯状の樹脂フィルムで挟みながら搬送し、品物後端側の樹脂フィルムを溶着切断部で溶着・切断して送り出すようになっており、その溶着・切断の際に、溶着切断部のヒータ板が溶着位置に移動する動作に伴って押圧力を増すシャッター板で溶着切断部上流側の樹脂フィルムを押圧することにより、樹脂フィルムが張った状態にて溶着作業を行うとともに切断作業をスムースに行えるようにした点を特徴としている。
【0004】
しかし、包装対象である品物が、短時間で多くの部数を処理することが求められる配達用の新聞の場合、先に挿入した新聞の後端側でヒータ板が溶着位置に達する前に次の新聞を挿入してしまうケースも多々あることから、シャッター板が閉鎖状態で充分に押圧される前に次の新聞がこれを押し開けて侵入し、ヒータ板のカット刃を損傷したり装置の中で新聞が重なって詰まりを生じたりする畏れもある。
【0005】
また、挿入された品物の後端側の樹脂フィルムをクッション材上面に押圧するシャッター板の開閉動作を、品物の侵入を検知した制御手段が溶着切断部の動作とは別個の駆動装置を介して行うものとした包装装置が特許第4418791号公報に提案されており、先に挿入した品物の後端側の樹脂フィルムをシャッター板で適切なタイミングにて押圧して樹脂フィルムの溶着・切断作業をスムースに行うことを可能としている。しかしながら、この包装装置の場合、シャッター板の押圧動作はバネで行われる構成であるため、次の品物の侵入阻止機能を想定したものではない。
【0006】
これに対し、特許第4453861号公報には、溶着切断部のすぐ上流側に樹脂フィルムの溶着作業期間中は次の品物が当接しても回動せずに包装部への侵入を阻止するシャッター板を配置することに加え、その上流側で品物の挿入を検知した制御手段が開閉制御を行う開閉部材をさらに設けたものとして、後続の品物の侵入をシャッター板の上流側でも制限できるようにした包装装置が提案されている。
【0007】
この包装装置により、先の品物後端側の樹脂フィルムの溶着・切断作業中は後続の品物が包装部に侵入することを防止できるとともに、装置内で品物が重なって詰まりを生じることも回避することができる。ところが、開閉制御されるシャッター板に加えその上流側で制御装置により開閉動作を行う開閉部材を配置することにより、製造コストの高騰と装置の大型化を招く結果となってしまう。
【0008】
また、上述した従来の包装装置に共通して、待機時において通常の厚さ・重量の品物であればその挿入動作によりシャッター板を回動させてスムースに溶着切断部まで侵入することが可能であるが、例えば単葉のチラシのように軽く薄いもの、或いは通常よりも大幅に厚いものなど、通常と異なる態様のものが侵入した場合には、シャッター板を回動させられなかったり搬送路に詰まりを生じたりするという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4084708号公報
【特許文献2】特許第4418791号公報
【特許文献3】特許第4453861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、所定の品物を樹脂フィルムで連続的に包装する包装装置について、大型化やコストの高騰を伴うことなく作業トラブルの発生しにくいものとして、効率的な包装作業が行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、挿入口と排出口の間に包装対象である品物の搬送路が形成され、挿入された品物を一対のロール体から延出した帯状の樹脂フィルムで両側から挟みながら品物周囲の樹脂フィルムを重ねた部分を溶着することで包装を行うものであって、その搬送路の途中に、品物後端側で樹脂フィルムを幅方向に溶着してその位置で切断させるヒータ板を進退動作可能に配置した溶着切断部と、その上流側で搬送路を開閉するように軸支されて閉鎖方向に付勢されたシャッター板及びこれを閉鎖方向に押圧する駆動手段を配置したシャッター部とを備えており、搬送路中に配置したセンサ手段の出力信号で挿入した品物が搬送路の所定位置まで進んだのを検知した制御手段が、溶着切断部を作動させるとともに少なくとも溶着作業を開始してから所定の間はシャッター板の閉鎖状態を維持させるものとした包装装置において、そのシャッター板は、基端側を搬送路近傍で軸支され先端側を下流側に向けながらバネで閉鎖方向に付勢されており、品物が先端を当接してバネの付勢力に抗して進むことで先端側を下流方向に回動しながら押し開かれるものとされ、その制御手段は、出力信号の入力により品物の後端部がシャッター部を通過するタイミングを検知または判定し、このタイミングに基づいて駆動手段を作動させて次の品物が溶着切断部に侵入するのを阻止する、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、シャッター板をバネで閉鎖方向に付勢しながら先端側が下流側に逃げて開くように配置し、挿入した品物がシャッター部を通過するのを検知又は判定した制御装置が溶着切断部を駆動させるとともにバネで閉鎖したシャッター板をソレノイド等の駆動手段でさらに押圧して次の品物が侵入しないように閉鎖状態を維持するものとしたことにより、比較的簡易な構成でありながら、溶着の際に品物後端側で重ねられた樹脂フィルムがシャッター板で押圧されてたるみのない状態で溶着されることに加え、ヒータ板が溶着位置に近づくに従って押圧力が増す構成の従来例とは異なり、実際に溶着を行っている期間だけではなく溶着切断部の作動開始時点と同時またはその直後から押圧を開始し、次の品物の進入を阻止したい期間の総てに亘ってシャッター板の閉鎖状態を押圧力で維持することが可能となり、次の品物がタイミングを逸脱して早期に溶着切断部に侵入することで生じるトラブルを一層確実に回避できるものとなる。
【0013】
また、この場合、そのシャッター板は、その閉鎖方向の動作で先端部を近接させる対向側のシャッター当接面に対し、バネによる待機時の閉鎖位置で先端部との間に所定幅の隙間が形成され、駆動手段が作動することにより先端部が当接した完全閉鎖位置となる、ことを特徴としたものとすれば、例えば新聞の包装作業の際に通常の新聞よりも薄くシャッター板を回動させる力のない単葉チラシ等の薄物が混入した場合でも、そのシャッター部の通過を許容出来るものとなる。
【0014】
さらに、上述した包装装置において、その駆動手段とシャッター板との連結部分には、シャッター板先端側の揺動を所定範囲で許容する隙間が形成されており、品物のシャッター部通過時に生じたシャッター板基端側における所定レベル以下の振動を吸収して駆動手段まで伝達しないものとされ、且つ、品物のシャッター部通過及びバネの付勢力による所定範囲の開閉動作に伴うシャッター板基端側における動きを吸収して駆動手段への伝達を軽減又は無くす方向に作用する、ことを特徴としたものとすれば、駆動手段及びその連結部分の耐久性を確保しやすくなるとともに、駆動手段によらないシャッター板の通常の開閉動作をスムースに行いやすいものとなる。
【0015】
さらにまた、上述した包装装置において、そのヒータ板には、シャッター板の先端側がヒータ板の進行軌道上に停止している状態でヒータ板が進行動作をした場合に、ヒータ板の刃先よりも先にシャッター板の下流側面又はシャッター板と一体に回動する部材の下流側に当接してヒータ板の刃先がシャッター板に抵触するのを防止する防護部材が、その上流側所定位置でシャッター板又は前記部材への当接部分が支持された状態でヒータ板とともに進退動作するように配置されている、ことを特徴としたものとすれば、例えば品物が詰まってシャッター部に挟み込んだこと等を原因として、ヒータ板の進行軌道上で停止したシャッター板に抵触することによるヒータ板の損傷を、確実に回避できるものとなる。
【0016】
加えて、上述した包装装置において、シャッター板の基端側にはシャッター板の開き動作の大きさに応じたシャッター板の開度を検出して制御装置に検出信号を出力するマイクロスイッチが設けられており、制御装置がその検出信号を基にシャッター板を通過した品物の厚さを検知してその厚さに応じた各種の調整を行うことを特徴としたものとすれば、異なる厚さの種々の品物に対応して良好な包装作業を実現しやすいものとなる。
【0017】
また加えて、上述した包装装置において、駆動手段によるシャッター板の押圧は、少なくとも溶着作業中の品物に後から挿入した次の品物が追突しない状態となるタイミングまで継続されることを特徴としたものとすれば、溶着作業中のヒータ板に次の品物が衝突することを回避しながら良好な包装状態を確保しやすいものとなる。
【0018】
そして、上述した包装装置において、シャッター板の先端部分には、回転軸を樹脂フィルムの幅方向に対し平行に配置したローラーが設けられており、上下両側を樹脂フィルムで覆われた品物がシャッター板を押し広げてシャッター部を通過する際に、当接した樹脂フィルムの上面でローラーを回転させながら品物が進行することを特徴としたものとすれば、樹脂フィルム上面とこれに当接するシャッター板先端部分との相対速度を低下させて摩擦による抵抗及び静電気の発生を軽減させることができ、樹脂フィルムにたるみや皺が生じるのを防止して良好な包装状態を確保しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
品物後端部がシャッター部を通過することで閉鎖したシャッター板を駆動手段でさらに押圧することにより、溶着切断部の作動開始時点から次の品物の進入を阻止したい期間の総てに亘ってシャッター板による閉鎖状態を維持可能とした本発明によると、大型化やコストの高騰を伴うことなく作業トラブルの発生しにくいものとして、効率的に包装作業を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における実施の形態の主要部分の構成を示す部分縦断面図。
【図2】(A),(B)は図1の包装装置の動作を説明するための部分縦断面図。
【図3】(A),(B)は図2に続いて図1の包装装置の動作を説明するための部分縦断面図。
【図4】シャッター板と駆動手段の連結状態を示す拡大した部分縦断面図。
【図5】(A),(B),(C)はシャッター板の動作を説明するための拡大した部分縦断面図。
【図6】(A),(B)は図1の包装装置の溶着切断ヒータの応用例を示す拡大した部分縦断面図。
【図7】図1の包装装置のシャッター板の応用例を示す拡大した部分縦断面図。
【図8】図1の包装装置のシャッター板基端側にマイクロスイッチを連結した応用例を示す拡大した部分縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、以下の包装装置は、品物の進行方向に沿う方向の樹脂フィルム端部側も溶着する機能も有しているが、その構成部分は従来例と同様であるためその説明は省略する。また、本発明において、駆動手段とは、バネのように先に外力を入力することを要する受動的な出力手段ではなく、ソレノイドやモータのように能動的な出力が可能な手段を指すものとする。
【0022】
図1は、本実施の形態である包装装置の主要部分の構成を説明するために一部を省略して示した部分縦断面図である。この包装装置は、包装対象である品物として配達用の新聞を想定しており、新聞の防水性を高める目的でポリエチレン等の樹脂フィルムでパック詰めを行うことを主たる用途としているが、例えば雑誌の包装など、他の品物の包装作業に使用することも可能である。
【0023】
その構成は、装置上面に図の奥行き方向に延びた挿入口11が開口し、図示しない排出口まで斜め下向きの品物の搬送路10が形成されており、この搬送路10に上から挿入されて下降していく品物を、装置上部側に配置した一対のロール体100a,100bから中央方向に延出された帯状の樹脂フィルム(樹脂シート)で挟みながら、品物周囲の樹脂フィルムが重ねられた部分を溶着することによりパック詰めして包装を行うようになっている。
【0024】
斜め下向きに形成された搬送路10の途中には、挿入口11の下方で上面と下面に樹脂フィルムを密着した状態で下降する品物の進行を制限するシャッター部20Aが配置されている。このシャッター部20Aは、搬送路10を開閉するようにその近傍で軸21aにより軸支されるとともに基端側に接続したバネ25で閉鎖方向に付勢された状態で溶着フィルムの幅方向に幅方向を一致しながら先端側を下流側に向けた状態で開閉可能に配置されたシャッター板21Aと、これを閉鎖方向に押圧するようにリンクプレート22を介して連結された駆動手段としてのソレノイド23を有している。
【0025】
シャッター部20Aのすぐ下方には、品物の包装を行うための溶着切断部30Aが配置されている。この溶着切断部30Aは、挿入された品物の後端側で重ねられた樹脂フィルムを幅方向に線状に溶着してその溶着位置で切断させるためのヒータ板31Aを、駆動手段で回動するディスク43及びこれに連結されたシャフト47で品物の進行方向に対し直角方向に進退動作可能な状態で有しているとともに、ヒータ板31A先端側のカット刃が搬送路10を横断して樹脂フィルムを挟んで当接するシャッター当接面となるスポンジ状のクッション材32を有している。
【0026】
この溶着切断部30Aのすぐ下方には、搬送レール13に平行した状態でローラー駆動式の搬送ベルト41,42が互いに対向するように設けられた搬送部40が配置されている。この搬送ベルト41,42は図示しない駆動手段で作動するとともに図示しない制御装置で作動を制御されている。また、搬送ベルト41,42は互いに近接・離間動作可能とされており、樹脂フィルムで包装された品物をその厚さに応じて両側から挟み込んで、下流側の図示しない排出口に繋がる滑り台状のシュート板14に搬送するようになっている。
【0027】
本発明においては、搬送路10途中のシャッター部20Aの位置と溶着切断部30の位置にセンサ27,44が配置されており、挿入された品物の後端部がシャッター部20Aを通過したことを示す検出信号を出力するものとされ、図示しない電子的制御装置がこれを入力された時点又はその時点から所定の時間が経過した時点を品物後端部がシャッター部20Aを通過した時点として、この時点と同時または僅かに遅れた所定のタイミングで溶着切断部30A及びシャッター部20Aを作動させるようになっている。
【0028】
即ち、品物がシャッター部20Aを通過すると、バネ25で閉鎖方向に付勢されたシャッター板21Aが閉じて品物後端側の樹脂フィルムを挟み込むが、これとほぼ同時にソレノイド23が作動を開始して、シャッター板21A先端部をクッション材32における溶着位置の上方で強く押圧するようになっており、ヒータ板が溶着位置に近づくに従って押圧力が増しヒータ板で実際に溶着を開始する時点で押圧力が最大になる従来例とは異なり、溶着作業中だけではなく溶着切断部30Aの作動開始直後から次の品物が溶着切断部30Aに進入するのを阻止したい期間の総てに亘ってシャッター板21Aによる完全閉鎖状態を維持可能とした点を特徴としており、次の品物の溶着切断部30Aへの侵入が早すぎることによるトラブルの発生をさらに確実に回避できるようにしたものである。
【0029】
尚、ソレノイド23の駆動軸が連結しているリンクプレート22の先端側には戻し用のバネ26が配置されており、ソレノイド23の作動後に駆動軸が元の位置に戻るようになっている。また、搬送路10においてセンサ27,44の下流側にもセンサ46が配置されており、挿入した品物の搬送位置を制御手段が適宜検知しながら制御を行うようになっている。
【0030】
図2、図3を参照しながら本実施の形態の包装装置による動作を説明すると、例えば新聞等の品物200を挿入口11から搬送路10中に挿入すると(図2(A))、品物200の先端部は左右両側のロール体100a,100bから各々中央方向に延出された樹脂フィルムが互いに溶着された接合部分に向かって下降する。
【0031】
品物200の先端部は、シャッター部20Aのシャッター板21A上流側面に当接しながら、バネ25の付勢力に抗してその先端側を下流側に逃がすように回動させてシャッター板21Aを押し開き、樹脂フィルムが溶着された先端側部分に先端面を一致させながら溶着切断部30Aを通過し、樹脂フィルムとともに搬送路10を下降して搬送部40を押し開く(図2(B))。
【0032】
すると、品物200は樹脂フィルムで覆われた状態で搬送部40の搬送動作により送られ、その後端部がシャッター部20Aを通過したことをセンサ27又はセンサ44の検出信号により制御装置が検知することにより、品物200の包装位置にて搬送部40による搬送動作を停止させるのとほぼ同時に、溶着切断部30Aのヒータ板31Aを下降させるとともにソレノイド23を作動させてバネ25で閉鎖しているシャッター板21Aをさらに押圧して、品物200後端側の樹脂フィルムを挟みながらヒータ板31A及びシャッター板21Aの先端側を各々クッション材44に押圧した状態として樹脂フィルムの溶着作業を実施する(図3(A))。
【0033】
そして、図3(B)に示すように、この溶着作業中に次の品物200を挿入した場合、シャッター板21Aはソレノイド23で押圧されて先端をクッション材44に強く押し付けた状態となっているため、品物200の先端がシャッター板21Aの上流側面に当接することでその進行を停止され、その先端部分が溶着切断部30Aに侵入することを回避している。仮に、ヒータ板31Aが溶着位置に達する前に品物200が挿入された場合でも、先の品物200がシャッター部20Aを通過した後の比較的早い時点でシャッター板21Aにはソレノイド23による押圧力が作用するようになっているため、シャッター板21Aが押し開かれることは殆ど生じ得ない。
【0034】
そして、このシャッター板21Aに対する押圧は、少なくともヒータ板31Aによる溶着作業中の品物に後から挿入した品物が追突しない状態となるタイミングまで継続することがヒータ板31A保護の観点から推奨され、さらに、少なくとも樹脂フィルムが充分に溶けてヒータ板31Aよりも下流側の樹脂フィルムを搬送することにより切断可能となった時点以降とすることが一層好ましい。
【0035】
この場合、制御手段が、センサ27又はセンサ44による出力信号で品物200後端部のシャッター部20A通過を検知した時点を基準にして所定時間経過後を溶着位置に達した時点とし、良好なカットが可能な状態になったものとして、カット及び搬送を開始するとともに押圧を解除する制御として、少なくともパックした品物の搬送(排出)を開始する直前まではシャッター板21Aを押圧し続けるように設定すればよい。
【0036】
本実施の形態の包装装置は、上述したように比較的簡易な構成からなり、シャッター部の上流側に開閉部材をさらに配置する構成の従来例と比べてコストアップや装置の大型化を伴うことがなく、さらに使用者に対して特別の熟練度を求めることもなく短時間で多くの品物を包装でき、比較的容易な手順で良好な包装状態を実現可能なものとしている。
【0037】
図4は、本実施の形態におけるシャッター部20Aのソレノイド23とシャッター板21Aとの連結状態の詳細を示しており、ソレノイド23の駆動軸先端側に連結したリンクプレート22を介して、軸21aで軸支されたシャッター板21A基端側で突設された連結軸21bに連結され、駆動軸を引く動作でシャッター板21Aの先端側を閉鎖方向に付勢して押圧するようになっており、このリンクプレート22とシャッター板21A上の連結軸21bとの連結状態に特徴を有したものとなっている。
【0038】
即ち、リンクプレート22において連結軸21bを挿通して連結する連結孔22aが、リンクプレート22の動作方向に延びた長円とされており、その中で連結軸21bがリンクプレート22の動作方向所定範囲で摺動できるように隙間が形成されて、シャッター板21A先端側の揺動を所定範囲で許容するものとされ、品物200通過時に生じたシャッター板21Aにおける所定レベル以下の振動を吸収して駆動手段まで伝達しないようになっている。
【0039】
また、この構成により品物200の通過及びバネ25の付勢力によるシャッター板21Aにおける所定範囲の開閉動作に伴う動きを吸収して、ソレノイド23の駆動軸に対する動きの伝達を軽減又は無くす方向に作用するようになっている。したがって、ソレノイド23及びそのシャッター板21Aとの連結部分の耐久性を確保しやすくなるとともに、ソレノイド23によらないシャッター板21Aの通常の開閉動作をスムースに行いやすいものとしている。
【0040】
図5は、上述した包装装置の応用例についての特徴部分を示している。この例では、その完全閉鎖時にシャッター板21Aが、搬送路10を横切って先端側を当接させるシャッター当接面であるクッション材32表面に対し、図5(A)に示すバネ25による待機時の閉鎖状態において、その先端部との間に通常の品物の厚さよりも小さい所定幅の隙間Xを形成して支持されるようになっている点を特徴としている。
【0041】
この状態から、図5(B)に示すように品物200の挿入によりシャッター板21Aが押し広げられた後、図5(C)に示すように品物200が溶着位置に達した時点で、ソレノイド23の押圧による完全閉鎖状態では先端部がクッション材32に当接して押し付けられるようになっている。このような構成としたことで、例えば新聞の包装作業時に、単葉チラシのような通常の新聞よりも薄くシャッター板を回動させる力のない薄物が混入された場合でも、斯かる品物のシャッター部20Aの通過を許容しながら包装作業を進めることができる。
【0042】
図6は、上述した応用例を含む包装装置における他の応用例についての特徴部分を示している。この例では、シャッター板21Aが先端側を下流側に向けたまま停止した状態でヒータ板31Bが溶着位置に向かって下降した場合にヒータ板31Bの刃先よりも先にシャッター板21A下流側面に当接して、ヒータ板31Bの刃先がシャッター板21Aに抵触するのを防止するための防護部材310がヒータ板31Bに併設されている点を特徴としている。
【0043】
即ち、この防護部材310は、溶着切断部30Bのヒータ板31B上流側所定位置で、シャッター板21Aに対する当接部分310bがアーム310aで支持された状態でヒータ板31Bとともに進退動作を行うように併設されたものとなっている。これにより、図6(A)に示すように、何らかのトラブルで先端側を下流側に向けたまま停止したシャッター板21Aに、ヒータ板31Bの刃先が抵触してこれを破損する事態を確実に回避することができる。
【0044】
また、仮にシャッター板21Aに対するソレノイド23の押圧力を超えた力で品物200が挿入された場合でも、図6(B)に示すように防護部材310の当接部分310bがシャッター板21Aの下流側面に当接することにより、これが押し開かれて品物200が溶着切断部30Bに侵入するのを止めることができる。尚、防護部材310がシャッター板21Aに衝突することでシャッター板21Aを損傷又は変形させてしまうことを回避するため、その当接部分310bを弾性素材製または軟質素材製としたり、ヒータ板31Bとその駆動手段との間に衝撃吸収能を有した弾性部材を介装したりすることが推奨される。
【0045】
図7は、上述した応用例を含む包装装置における別の応用例の特徴部分を示している。この例では、シャッター板21Bの先端部に回転軸を樹脂フィルムの幅方向に対し平行に配置したローラー21cが設けられており、上下両側を樹脂フィルムで覆われた品物200がシャッター板21Bを押し広げてシャッター部20Bを通過する際に、これが当接する樹脂フィルム上面でローラー21cを回転させながら品物200が進行するようにした点を特徴としている。
【0046】
これにより、樹脂フィルム上面とこれに当接するシャッター板21B先端部分との相対速度を低下させることができるため、摩擦による抵抗及び静電気の発生を軽減させる効果を発揮して、樹脂フィルムにたるみや皺が生じるのを防止することができ、良好な包装状態を確保しやすいものとなる。
【0047】
図8は、上述した応用例を含む包装装置においてさらに異なる応用例の特徴部分を示している。この例では、シャッター板21C基端側にその開き動作の大きさに応じた開度を検出して制御装置に検出信号を出力するマイクロスイッチ29が設けられており、制御装置がその検出信号を基にシャッター板21Cを通過した品物200の厚さを検知して、品物200毎の厚さに応じた各種の調整を行うようにした点を特徴としている。
【0048】
これにより、異なる厚さの様々な品物に対応して良好な包装作業を実施やすいものとなり、殊に、新聞を複数部重ねてパック詰めする場合等、厚さと搬送重量が通常よりも顕著に大きくなった場合に、厚物モードの制御に切り替える際に便利なものとなる。尚、この例においても前述同様にシャッター板21Cの先端部にローラー21dを設けてあり、前述と同様の機能を発揮するようになっている。
【0049】
さらにこの応用として、品物の位置をセンサで検出した制御装置がシャッター部の作動を制御する従来例とは異なり、シャッター板基端側にマイクロスイッチを設け、所定厚さ以上の品物がシャッター板を押し広げた後、品物の通過でシャッター板が閉鎖する動作によりスイッチがONとなり、このONと同時または所定の時間経過後に駆動手段が機械的に作動してシャッター板を所定時間押圧する構成としてもよい。これにより、品物の通過を検出するセンサとこれを検知して駆動手段を作動させる制御手段を省略することができる。
【0050】
以上、述べたように、所定の品物を樹脂フィルムで連続的に包装する包装装置について、本発明により、大型化やコストの高騰を伴うことなく作業トラブルの発生しにくいものとして、効率的な包装作業が容易に行えるようになった。
【符号の説明】
【0051】
10 搬送路、11 挿入口、20A,20B,20C シャッター部、21A,21B,21C シャッター板、21a 軸、21b 連結軸、21c,21d ローラー、22 リンクプレート、22a 連結孔、23 ソレノイド、25,26 バネ、27,44,46 センサ、29 マイクロスイッチ、30A,30B 溶着切断部、31A,31B ヒータ板、32 クッション材、40 搬送部、100a,100b ロール体、200 品物、310 防護部材、310a 当接部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口と排出口の間に包装対象である品物の搬送路が形成され、挿入された前記品物を一対のロール体から延出した帯状の樹脂フィルムで両側から挟みながら前記品物周囲の前記樹脂フィルムを重ねた部分を溶着することで包装を行うものであって、前記搬送路の途中に、前記品物後端側で前記樹脂フィルムを幅方向に溶着して該溶着位置で切断させるヒータ板を進退動作可能に配置した溶着切断部と、該溶着切断部の上流側で前記搬送路を開閉するように軸支されて閉鎖方向に付勢されたシャッター板及び該シャッター板を閉鎖方向に押圧する駆動手段を配置したシャッター部とを備えており、前記搬送路中に配置したセンサ手段の出力信号で前記品物が前記搬送路の所定位置まで進んだのを検知した制御手段が、前記溶着切断部を作動させるとともに少なくとも溶着作業の開始から所定の間は前記シャッター板の閉鎖状態を維持させるものとした包装装置において、
前記シャッター板は、基端側を前記搬送路近傍で軸支され先端側を下流側に向けながらバネで閉鎖方向に付勢されており、前記品物が先端を当接して前記バネの付勢力に抗して進むことで先端側を下流方向に回動しながら押し開かれるものとされ、前記制御手段は、前記出力信号の入力により前記品物の後端部が前記シャッター部を通過するタイミングを検知または判定し、該タイミングに基づいて前記駆動手段を作動させて次の品物が前記溶着切断部に侵入するのを阻止する、ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記シャッター板は、その閉鎖方向の動作で先端部を近接させる対向側のシャッター当接面に対し、前記バネによる待機時の閉鎖位置で前記先端部との間に所定幅の隙間が形成され、前記駆動手段が作動することにより前記先端部が当接した完全閉鎖位置となる、ことを特徴とする請求項1に記載した包装装置。
【請求項3】
前記駆動手段と前記シャッター板との連結部分には、前記シャッター板先端側の揺動を所定範囲で許容する隙間が形成されており、前記品物の前記シャッター部通過時に生じた前記シャッター板基端側における所定レベル以下の振動を吸収して前記駆動手段まで伝達しないものとされ、且つ、前記品物の前記シャッター部通過及び前記バネの付勢力による所定範囲の開閉動作に伴う前記シャッター板基端側における動きを吸収して前記駆動手段への伝達を軽減又は無くす方向に作用する、ことを特徴とする請求項1または2に記載した包装装置。
【請求項4】
前記ヒータ板には、前記シャッター板の先端側が前記ヒータ板の進行軌道上に停止している状態で前記ヒータ板が進行動作をした場合に、前記ヒータ板の刃先よりも先に前記シャッター板の下流側面又はシャッター板と一体に回動する部材の下流側に当接して前記ヒータ板の刃先が前記シャッター板に抵触するのを防止する防護部材が、前記ヒータ板の上流側所定位置で前記シャッター板又は前記部材への当接部分が支持された状態で前記ヒータ板とともに進退動作するように配置されている、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した包装装置。
【請求項5】
前記シャッター板の基端側には、該シャッター板の開き動作の大きさに応じた前記シャッター板の開度を検出して前記制御装置に検出信号を出力するマイクロスイッチが設けられており、前記制御装置が前記検出信号を基に前記シャッター板を通過した前記品物の厚さを検知して該厚さに応じた各種の調整を行うことを特徴とする、請求項1,2,3または4に記載した包装装置。
【請求項6】
前記駆動手段による前記シャッター板の押圧は、少なくとも溶着作業中の前記品物に後から挿入した次の品物が追突しない状態となるタイミングまで継続される、ことを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載した包装装置。
【請求項7】
前記シャッター板の先端部分には、前記回転軸を前記樹脂フィルムの幅方向に対し平行に配置したローラーが設けられており、上下両側を前記樹脂フィルムで覆われた前記品物が前記シャッター板を押し広げて前記シャッター部を通過する際に、当接した前記樹脂フィルムの上面で前記ローラーを回転させながら前記品物が進行する、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載した包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−126406(P2012−126406A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277555(P2010−277555)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(594041391)株式会社丸山機械製作所 (11)
【Fターム(参考)】