説明

包装食品の製法

【課題】ご飯の味や種類にバラエティーをもたせ、白米飯を炊き込みご飯や混ぜご飯などの好みの飯米にしたり、精白米に玄米や胚芽米のほか、麦や粟、稗等の雑穀の混ざったご飯を作ることの出来ることにより健康を維持し増進をはかることのできる食品を製造することの出来る方法を提供する。
【解決手段】玄米や胚芽米、麦その他の穀類や粟、稗等の雑穀及び、野菜や鶏肉などの材料を、単独で又は適宜に混合して数グラム〜数十グラムずつを小形の耐熱通水性の袋状容器に充填し、次いでその袋状容器を加熱槽に入れ、数分〜数十分間煮沸して炊き上げたのち、加熱槽から取り出し、一個又は数個ずつを耐熱性の密閉袋に密封し加熱による殺菌処理をして保存性の高い製品とすることを特徴とする包装食品とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一食分もしくはそれより少量の、副飯米を中心とする包装食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は食生活が多様化して主食の種類が多くなったことや、食事をすることにより健康を維持し増進しようとする観点などから、食事には白米飯を食べるだけでなく炊き込みご飯や混ぜご飯などの好みの飯米を食べたり、精白米に玄米や胚芽米のほか、麦や粟、稗等の雑穀の混ざった飯米を摂取しようとする傾向が高まっている。
そのため近年は精白米のほかに玄米や胚芽米のほか、麦や粟、稗等の雑穀が「ご飯の素」として販売されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、上記した玄米や雑穀などのご飯の素は、所定量を予め精白米と混ぜて炊くようになっている点である。
即ち玄米や雑穀などは精白米とは炊く条件が異なっているので精白米と一緒に炊きあげるのは本来は無理である。例えば玄米は精白米よりも水漬け時間や炊き上げ時間が長いので、精白米が適正に炊けたときは玄米は炊き不足となるし、玄米が適正に炊ける条件では精白米が炊き過ぎとなっていずれにしても好ましい飯米にはならない。
また、精白米に麦などを混ぜて炊いた飯米、所謂麦飯などは家族の間でも好き嫌いがあるので、家庭の炊飯器で炊くのは好ましくない、と云う問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、玄米や胚芽米などの雑穀を一食分もしくはそれより少量ずつを予め炊いて副飯米とし、これを白米飯に混ぜたり、またはそのまゝ食べるようにしたものであり、材料の玄米や胚芽米などの雑穀は先ず耐熱通水性の袋に充填して炊き上げ、しかる後その袋を耐熱性の密閉袋に密封して殺菌処理を行なうことにより
保存性を高め、常温での流通、販売を可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の包装食品は、予め炊いてあって、これを白米飯に混ぜたり、またはそのまゝ食べたりするようになっており、しかも一食分もしくはそれより少量ずつが個包装されているので、ひとり一人が好みのものを何時でも食べることが出来る利点がある。
また、これを別に炊いたご飯に混ぜたり、ご飯が炊き上がる前の炊飯器に加えるなどすることにより混ぜご飯や炊き込みご飯を作ることも出来、ご飯を一段とバラエティーを高くすることが出来て食生活の向上が計られる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の包装食品を製造するには、1) 先ず玄米や胚芽米、麦その他の穀類や粟、稗等の雑穀及び、野菜や鶏肉などの材料を、穀類や雑穀などの粒状物は、洗ったものは水切りをし、野菜や鶏肉などの塊状物は適宜な大きさに細断し、表面の水分や粘着成分を除去して互いの密着性をなくし、又は乾燥させることにより袋状容器への充填性を高くして、それぞれを単独で又は適宜に混合して数グラム〜数十グラムずつを小形の耐熱通水性の袋状容器に充填する。
2) 次にこの小包装を加熱槽に入れ、数分〜数十分間煮沸して炊き上げる。
この操作で小包装内の穀類は浸透する煮沸液を吸収して膨化するので、袋状容器は充填物の体積の増加を吸収することの出来る大きさのものを用いることが必要である。一例として4面体の袋を利用する。
材料が穀類を主体としたものであるときこれを熱水で煮沸すれば製品は副飯米となり、材料が野菜であるときは製品は茹で野菜となる。
また、材料を調味液で煮沸したときは、それが穀類を主体としたものであれば製品は味付け副飯米となり、材料が野菜であるときは製品は煮野菜となる。
尚、野菜は煮沸をすることにより見掛けの容積が著しく減少しないものがよい。 この点からして野菜は根菜類が適当である。
3) 続いてこの小包装を加熱槽から取り出し、一個又は数個ずつを耐熱性の密閉袋に密封し加熱による殺菌処理をして保存性の高い(常温で市場に流通させることの出来る)製品とする。
殺菌処理の方式については特に限定はしない。
例えばレトルトパック方式と同じように、これを蒸気釜に入れて、70〜120℃程度の温度で数分〜数十分間加熱して殺菌する。
尚、2)の加熱槽で煮沸する工程で炊かれた小包装内の材料はこの操作で再加熱されるので、2)の工程では加熱殺菌処理の分だけ煮沸時間を短くし、加熱殺菌をすることにより所定の炊き上がりとなるようにするのが好ましい。
また、密閉袋内に酸素が存在すると材料が変質したり味が落ちたりするものである場合は、酸素を窒素と置換しておくのがよい。
【実施例1】
【0007】
胚芽米25gを容量が40mlの網製の袋に充填してピロー包装し、これを2000mlの水に醤油を50mlを混合した調味液を入れた加熱槽に投入して30分間煮沸したのち、加熱槽から取り出して水切りをし、しかる後6袋ずつを窒素ガスと共に耐熱性の密閉袋に入れて密封し、これを蒸気釜により105℃で20分間加熱して殺菌処理を行なった。
密封袋内の胚芽米は、胚芽飯米となり、6ヶ月経過した後も変質せず、味が落ちることもなかった。
また、この胚芽飯米を電子レンジで加熱して炊き立ての白米飯と混ぜたところ、白米飯は味のよい混ぜご飯になった。
【産業上の利用可能性】
【0008】
この製法により製造された包装食品は、包装袋から取り出してそのままの状態で食べことが出来るし、ご飯に混ぜても食べることも出来る。 しかも適当量ずつが個包装されているので個人が家庭で用いるだけでなく、営業用としての用途にも適用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米や胚芽米、麦その他の穀類や粟、稗等の雑穀及び、野菜や鶏肉などの材料を、単独で又は適宜に混合して数グラム〜数十グラムずつを小形の耐熱通水性の袋状容器に充填し、次いでその袋状容器を加熱槽に入れ、数分〜数十分間煮沸して炊き上げたのち、加熱槽から取り出し、一個又は数個ずつを耐熱性の密閉袋に密封し加熱による殺菌処理をして保存性の高い製品とすることを特徴とする包装食品の製法。


【公開番号】特開2006−296276(P2006−296276A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121859(P2005−121859)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(392026420)東海農産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】