説明

化合物又は金属から酸素を除去するための方法及び装置

酸素含有化合物、又は溶解した酸素を含有する金属を含むカソードを、アルカリ金属の水酸化物を含む溶融物と接触させて配置する。ニッケルを有利に含む不活性アノードも、溶融物と接触させて配置し、アノードとカソードとの間に、化合物又は金属から酸素が除去される電位を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解法によって、金属及び酸素を含む化合物、又は金属若しくは合金から酸素を除去するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体化合物の電気分解又は電気的還元は、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される国際特許出願PCT/GB99/01781号、並びにD. J. Fray 及びG. Z. Chen著「Extraction of titanium from solid titanium dioxide in molten salts」(TMS (The Minerals, Metals and Materials Society) 2004, pp. 9-17)に記載されている。FFCプロセスとしても既知のこのプロセスでは、金属(この用語は、本明細書において金属及び半金属の両方を含むように使用される)と、別の物質(例えば、酸素)との固体化合物が、電気分解的に還元される。固体化合物を含むか又は該化合物と接触するカソードは、融解塩中に浸漬されるか又は該塩と接触し、カソードと、同様に塩と接触するアノードとの間に電圧が印加されて、物質が塩に溶解する。このプロセスは、例えば固体金属化合物から金属を抽出する際に使用され得る。固体金属化合物の混合物、又は1つ若しくは複数の化合物と、1つ若しくは複数の金属との混合物を含むか、或いは該混合物と接触するカソードもまた加工されて、合金又は金属間化合物を形成し得る。
【0003】
このプロセスは、本明細書において電気分解と称するが、電気的脱酸又は電気的還元を含む他の用語によっても既知である。
【0004】
塩化カルシウムは、カルシウムが非常に電気的に陽性であることから、電気分解プロセスにおいて電解質として一般に使用されている。融解塩は、電気分解プロセスにおいて電解質として作用する。融解塩という用語は、例えば、電解質、溶融塩、及び溶融物等、当該技術分野において一般的に使用されている他の用語と交換可能に使用され得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
殆どの金属酸化物は、CaClベースの溶融物を使用する電気分解により、還元することが可能である。しかしながら、CaClベースの溶融物中で十分に不活性なアノード材料を提供する際に問題が生じる。
【0006】
現時点では、例えば塩化カルシウムのような塩化物の溶融物中の不活性アノードとして使用し得るのに適切な材料は全く存在せず、したがって、炭素アノードが一般に使用されている。電気分解プロセスにおいて炭素アノードを使用すると、CO及び/又はCOが発生する。更に、炭素アノードが消費されると、電気分解生成物は、炭素で汚染され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、参照される添付の独立請求項に定義されているような、金属及び酸素を含有する化合物、又は金属若しくは合金から酸素を除去するための方法及び装置、並びに電気分解プロセスのためのアノードを提供する。本発明の好ましい特徴又は有利な特徴は、従属請求項に定義されている。
【0008】
本発明の第一の態様では、金属及び酸素を含有する化合物から酸素を除去する方法を有利に提供し得る。該方法は、化合物を含むか又は該化合物と接触するカソードを、アルカリ金属の水酸化物を含む溶融物と接触させて配置するステップを含む。アノードも溶融物と接触させて配置され、アノードとカソードとの間に、固体化合物から酸素を除去するのに十分な電位が印加される。化合物は、金属間化合物であり得る。同様の方法において、カソードは、溶解酸素を含有する金属若しくは合金を含むか又は該金属若しくは合金と接触し、印加される電位は、金属又は合金から酸素を除去するのに十分である。化合物、金属又は合金は、固体が好ましい。
【0009】
溶融物は、アルカリ金属の酸化物を更に含むことが好ましく、この酸化物は、水酸化物中に可溶であることが特に好ましい。アルカリ金属水酸化物中に溶解しているアルカリ金属酸化物を含む溶融物は、酸素イオン伝導性を有利に支持し得る溶融物系である。良好な酸素イオン伝導性は、カソードにおいて、溶融物を介して固体化合物から酸素を効率的に移動させ、アノードにおいて放出する際に有利であり得る。
【0010】
電気分解中のカソードにおける電位は、水素の連続的な発生、又は溶融物からのアルカリ金属の連続的な析出のための電位と比較して低い(大きさにおいて)ことが好ましい。カソードとアノードとの間の電位(印加される電圧)は、溶融物の連続的な分解のための電位と比較して低いことが好ましい。
【0011】
アルカリ金属水酸化物は、任意のアルカリ金属水酸化物であってもよいが、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムであり且つアルカリ金属はナトリウムであるか、又は水酸化物は水酸化カリウムであり且つアルカリ金属はカリウムであることが好ましい。ひいては、酸化物は、各々、酸化ナトリウム又は酸化カリウムが好ましい。異なるカチオンを含む水酸化物及び/又は酸化物の混合物を使用してもよい。
【0012】
固体化合物は、アルカリ金属の酸化物よりも不安定な、金属及び酸素を含有する任意の固体化合物であってもよいが、本発明は、鉄酸化物、又はコバルト、ニッケル、銅、亜鉛若しくは鉛の酸化物のような安定性が低い酸化物の還元に使用する際に、又はそのような金属を含む金属若しくは合金からの酸素の除去に使用する際に特に有利であり得る。
【0013】
カソードにおける前駆体材料が、金属化合物の混合物、又は1つ若しくは複数の金属化合物と、1つ若しくは複数の金属との混合物を含む場合、前駆体材料中の金属種を含む合金又は金属間化合物が生成され得る。
【0014】
溶融物は、2つ以上のアルカリ金属の水酸化物又は酸化物の混合物を含み得るが、他のアニオン種又はカチオン種を更に含んでいてもよい。しかしながら、そのような化学種は、好ましくは、不活性アノードを腐食させるようなものでないべきである。
【0015】
水酸化ナトリウムの融点は、約320℃である。このことは、塩化カルシウム溶融物中の電気分解と比較して低温での電気分解プロセスの実施を有利に可能にし得る。例えば、反応は、650℃未満又は500℃未満の温度で進行し得る。電気分解は、電解質が溶融する任意の温度にて特に有利に進行し得る。
【0016】
有利には、水酸化ナトリウムの融点は、少量のヨウ化ナトリウム又は臭化ナトリウムを添加することにより低下し得る。このことは、更により低い温度での電気分解の進行を可能にし、それにより溶融物を作動温度に維持するために要するエネルギーを低下させることができ、また電気分解装置内の腐食の問題を低減することができる。
【0017】
カソードにおける化合物(複数可)、金属(複数可)又は合金(複数可)からの酸素の除去は、拡散を含み得る。このプロセスは、温度を上昇させることにより促進され、それにより反応速度は、低温での作動により、含まれる材料に応じて、また使用する材料の構造に応じて(例えば、カソードにおける材料の粒度)、不都合に低下し得る。したがって、有利には500℃より高いか又は550℃の温度が使用され得る。NaOHの沸点は、例えば1390℃であり、したがって、得られる任意の反応速度上昇が、より高温における装置の腐食の任意の増大に対して適切にバランスする限りは、原則として500℃よりも高い温度が使用され得る。
【0018】
好ましくは、アノードは、作動条件下で、溶融物に関して実質的に不活性である。例えば、電気分解が、小さい割合の酸化ナトリウムが溶解している水酸化ナトリウム溶融物を使用して、650℃で実施される場合、アノードは、この温度において、この溶融物に対して実質的に不活性であるべきである。ニッケル又は酸化ニッケルを含むアノードは、溶融水酸化ナトリウムのような腐食性の溶融物中で、実質的に不活性であると想定される。アノードは、ニッケル、例えば酸化ニッケル、又はニッケル合金、若しくはニッケルに富んだ合金を含む材料から作製されることが好ましい。インコネルTMが適切であり得る。一般に、不活性な酸化物層を形成する金属は、水酸化物の溶融物中で不活性アノードとして適切であり得る。
【0019】
本明細書中で、不活性アノードに対する参照は、当業者が解釈し得るように、実質的に不活性なアノードを包含するものとして解釈すべきである。したがって、不活性アノードは、適切に延長された時間長に関して実際に使用可能であるように、十分不活性であるべきである。
【0020】
したがって、本発明の更なる態様は、金属及び酸素を含有する固体化合物から酸素を除去する方法を有利に提供し得る。該方法は、固体化合物を含むか又は該化合物と接触するカソードを、アルカリ金属水酸化物を含む溶融物と接触させて配置するステップを含む。アノードも、溶融物と接触させて配置され、アノードとカソードとの間に、固体化合物から酸素を除去するのに十分な電位が印加され、アノードは、不活性な酸化物層を形成する金属若しくは合金を含むか、又はニッケル、酸化ニッケル若しくはニッケル合金を含む。
【0021】
不活性なアノード又は実質的に不活性なアノードは、電気分解プロセスに従来使用されている炭素アノードと比較した場合に、多数の有利な特徴を提供し得る。電気分解中に不活性なアノードにおいて発生する気体は、実質的に純粋な酸素であり得る。炭素アノードは、一般に、二酸化炭素又は一酸化炭素を発生し、これらの気体は、商業的な工業プラントが生産するような体積で大気中に排出された場合、環境に有害な影響を与え得る。生産される任意の酸素は、大気中に排出され得るか、又は電気分解プロセスの産物として収集され得る。
【0022】
不活性なアノードは、電気分解中に反応しないため、プロセスにより消費されないか、又は有利に緩やかな速度で消費される。このことにより、プロセスを実施する電池の駆動時間を延長し、電池の設計を単純化し、またアノードの総コストを低下させることが可能であり得る。加えて、溶融物及び生成した金属は、アノードからの材料により汚染され得ず、これにより溶融物の寿命を延長することができ、また生成物に必要な加工後のステップ数を低減することができる。
【0023】
有利には、本方法は、十分な時間稼働される場合に、その最終生成物として金属を有し;例えばFeが固体化合物である場合、生成物はFeである。固体化合物の、酸化物から純粋な金属への電気分解は、多数の中間化合物を経由して行われ得る。これらのいずれの中間化合物も、プロセスが金属を完全に還元するのを可能にするのに十分な時間稼働されない場合、プロセスの生成物として除去され得る。
【0024】
アルカリ金属がカソードにおいて金属形態で生成され、且つ/又は溶融物中に溶解する場合、溶融物の電子伝導度が増大し得る。このことは、プロセスの電気的効率を不都合に低下させ得る。プロセスは、水酸化物からのアルカリ金属が、カソードにおける金属のように連続的に析出しない条件下で有利に稼働する。溶融物は、2つ以上のアルカリ金属種を含んでもよく、その場合、アノードとカソードとの間に印加される電位は、溶融物中に存在する任意のアルカリ金属が、カソードにおける金属として連続的に析出するのに十分ではないことが好ましい。溶融物中の溶解アルカリ金属の不在は、溶融物の電子伝導度を有利に低下させるか、又は実質的に排除すると考えられる。
【0025】
水酸化物溶融物における電気分解中、溶融物中に存在するアルカリ金属イオンのアルカリ金属への還元に必要であり得る電位よりも低いカソード電位において、カソード上で水素が発生する可能性があると考えられる。カソードで生成されるそのような任意のアルカリ金属は、溶融物中に溶解する可能性があり、そして例えばその電子伝導度を増大させることによって、溶融物の特性を不都合に変化させ得る。水素の優先的な発生は、アルカリ金属イオンの還元を有利に防止し得る。
【0026】
カソードでの反応は、カソード電位を参照電極と対照して測定することにより監視し得る。この例は、例えばAg/AgCl電極等の真の参照電極、又は例えばサイクリック・ボルタンメトリーのような方法により調整された擬似参照電極、又は例えば溶融物中のアルカリ金属種と同じ金属を含む電極のような動的参照電極(dynamic reference electrode)を含む。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態によるプロセスを稼働するための電池は、幾分かの酸化ナトリウムを含む水酸化ナトリウム溶融物と、ニッケルを含むアノードとを有するであろう。
【0028】
一実施形態において、鉄酸化物は、水酸化ナトリウム中に溶解した酸化ナトリウムを含む溶融物中で電気分解され得る。この実施の形態を参照して、以下の反応方程式及び標準電気化学的電位は、開示される手法の適切さを示す。
【0029】
様々な鉄酸化物の分解反応のための理論的標準電気化学的電位を、以下に纏める。以下に示す数字は、一覧にした熱力学的データから計算され、温度600℃及び単位活性に関し;負の電位は、正の自由エネルギーに対応し、左側から右側への反応の進行を可能にするために、エネルギー投入が必要であることを示す。
【0030】
1. Fe=2Fe+1.5O=−1.022V
2. Fe=3Fe+2O=−1.075V
3. FeO=Fe+0.5O=−1.074V
4. Fe=2FeO+0.5O=−0.919V
5. 3Fe=2Fe+0.5O=−0.601V
6. Fe=3FeO+0.5O=−1.077V
電気分解中、ナトリウム、鉄及び酸素を含む混合酸化物が、化学的に又は電気化学的に、且つ電気分解前又は電気分解中に形成される場合、以下の反応方程式及び標準電気化学的電位を考慮する必要がある。
【0031】
7. NaFe=2Fe+1.5O+NaO E=−1.351V
電解質の安定性は、以下の反応方程式及び標準電気化学的電位により決定されると考えられる。数字は、600℃及び単位活性を参照する。
【0032】
8. NaO=2Na+0.5O=−1.434V
9. 2NaOH=NaO+0.5O+H=−1.650V
10. 2NaOH=2Na+0.5O+HO E=−2.050V
11. 2NaOH=2Na+O+H=−3.084V
この実施形態において、酸化ナトリウムは水酸化ナトリウムにより希釈されるため、その実際の分解電位は、標準条件に関して計算されるものよりも低い(より負)。数量的には、酸化ナトリウムの分解電位は、各オーダーの大きさに関して、600℃において173mVだけより負となり、濃度は飽和濃度未満に低下している。この実施形態において、濃度は、飽和の1オーダー以内の大きさにあると想定され、したがって、分解電位は、−1.434−0.173=−1.607Vのオーダーにあるであろう。
【0033】
水酸化ナトリウムに関して、最も好適な分解反応は、水素ガスの生成を誘導する(反応9)が、金属ナトリウムの析出を含む分解反応(反応10及び反応11)は、有意により負の電位を必要とする。
【0034】
上記から明らかなように、水酸化ナトリウム溶融物中の鉄酸化物の電気分解により、鉄が形成されると思われ、これは好ましくは鉄酸化物から酸素を除去する(反応1〜6)のに十分であるが、カソードにおいて水素又はナトリウムの連続的発生又は析出を生じさせる(反応8及び反応9)のに十分でない電池電圧を印加することによる。そのような水素又はナトリウムの連続的発生又は析出を生じさせるために、電池電圧は、反応8又は反応9に対応する電圧を、電池内で電圧損失を克服するために十分な分だけ超える必要があることに注目すべきである。
【0035】
鉄生成物は、以下の反応のための標準自由エネルギーが正であることから、水酸化ナトリウムと反応しないと考えられる。
【0036】
12. Fe+2NaOH=FeO+NaO+H ΔG=+111kJ/mol
13. 3Fe+8NaOH=Fe+4NaO+4H ΔG=+444kJ/mol
14. 2Fe+6NaOH=Fe+3NaO+3H ΔG=+363kJ/mol
一般に、本発明を具体化する方法は、溶融物中で酸素とカチオンとの間で形成される化合物が、化合物、金属又は合金中の酸素又は酸化物よりも安定である限り、化合物、金属又は合金から酸素を除去するのに有利に使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の特定の実施形態を、図面を参照して、例として記載する。
【0038】
図1は、98%の水酸化ナトリウム及び2%の酸化ナトリウムの組成の溶融物20を含む、電気分解のための電池10を示す。Fe粒子50を含む鉄バスケット40の形態のカソード30が、溶融物中に浸漬されている。商業的に純粋なニッケルから成るアノード60も、溶融物中に浸漬され、アノード及びカソードの両方は、電源70に接続されている。
【0039】
稼働中、溶融物は、その作動温度、例えば400℃まで加熱される。アノードとカソードとの間に、例えば、2.5V〜3.0Vの作動電位が印加される。作動電位において、Fe中の酸素は溶融物に移動し、そしてアノードに輸送され、そこで酸素は酸素ガスとして発生する。
【0040】
第2の実施形態において、溶融物は550℃の作動温度に加熱される。他の全反応条件は、上述したとおりである。本実施形態では、第1の実施形態と比較して速い速度で、FeがFeに還元される。これは、カソードにおける材料の拡散速度の増大によるものと考えられる。
【0041】
固体金属化合物又は固体金属を含むカソードを形成するためには、例えば粉末形態の化合物又は金属を注入成型(及び必要に応じて焼成)することにより、化合物又は金属を、多孔体構造に調製することが有利であり得る。そのような構造では、カソードにおける材料は、溶融物の貫通を可能にする連続多孔を含み、また粒度は、酸素の拡散を可能にするのに十分小さいと考えられる。実際には、カソードにおける材料は、任意の方法で、且つ任意の構造で調製され得るが、不都合に厚い断面の材料を使用する場合、反応速度は、材料中の酸素の拡散速度により制限され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による電気分解プロセスのための電池を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物、金属又は合金から酸素を除去する方法であって、
前記化合物、前記金属又は前記合金を含むカソードを、アルカリ金属の水酸化物を含む溶融物と接触させて配置するステップと、
不活性アノードを前記溶融物と接触させて配置するステップ(該アノードはニッケルを含む)と、
前記アノードと前記カソードとの間に、前記化合物、前記金属又は前記合金から酸素を除去するのに十分な電位を印加するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記アノードが、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルを含む金属間化合物、又は酸化ニッケルのようなニッケル化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アノードが、前記溶融物中で該アノードを実質的に不活性にするのに十分な割合のニッケルを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アノードが、作動条件下で前記溶融物に関して実質的に不活性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カソードにおける前記電位が、前記溶融物からの水素の連続的な発生のための電位よりも低い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カソードにおける前記電位が、前記アルカリ金属の連続的な析出のための電位よりも低い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融物が、アルカリ金属の酸化物を更に含み、該酸化物は、好ましくは前記水酸化物中に溶解している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属が鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛又は鉛である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
その生成物として前記金属を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸素が除去される前記化合物又は前記金属は、固体化合物又は固体金属である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酸素が除去される前記化合物は、金属及び酸素を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物、前記金属又は前記合金が、前記カソードにおいて前駆体材料の一部を形成し、該前駆体材料は、2つ以上の金属又は金属化合物を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
その生成物として、前記前駆体材料中に存在する前記金属の合金又は金属間化合物を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶融物が、作動中、650℃未満の温度にある、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融物が、作動中、500℃を超える温度にある、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記カソード及び/若しくは前記アノードの前記電位、並びに/又は該アノードと該カソードとの間に印加される前記電位若しくは電圧を制御するために、参照電極を前記溶融物と接触させて配置するステップを更に含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アノードと前記カソードとの間の前記電位が、前記アルカリ金属水酸化物の連続的な分解のための電位よりも低い、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アノードと前記カソードとの間の前記電位が、前記アルカリ金属酸化物の連続的な分解、又は前記溶融物からの前記アルカリ金属酸化物の連続的な除去のための電位よりも低い、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
作動中、前記溶融物中に電子伝導性は実質的に全く存在しない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
作動中、前記溶融物中にアルカリ金属は金属種として実質的に全く溶解しない、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化合物、金属又は合金から酸素を除去する方法であって、
前記化合物、前記金属又は前記合金を含むカソードを、アルカリ金属の水酸化物を含む溶融物と接触させて配置するステップと、
不活性アノードを前記溶融物と接触させて配置するステップと、
前記アノードと前記カソードとの間に、前記固体化合物から酸素を除去するのに十分な電位を印加するステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記不活性アノードがニッケルを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物、前記金属又は前記合金が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛又は鉛のうちの1つ又は複数を含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶融物が、水酸化ナトリウム及び酸化ナトリウムを含むか、又は水酸化カリウム及び酸化カリウムを含む、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
電気分解のための装置であって、
アルカリ金属の水酸化物を含む溶融物のための容器と、
不活性アノードと、
電気分解のために、前記不活性アノードと、固体化合物を含むカソードとの間に電気分解電圧を印加するための電源と
を備える、電気分解のための装置。
【請求項27】
前記アノードがニッケルを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の電気分解のための装置用のアノード。
【請求項29】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法に使用するためのアノード。
【請求項30】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される金属、金属間化合物又は合金。

【図1】
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【公表番号】特表2008−531854(P2008−531854A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557592(P2007−557592)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000765
【国際公開番号】WO2006/092615
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(500341551)ケンブリッジ エンタープライズ リミティッド (8)
【Fターム(参考)】