説明

化合物

式(I)の化合物およびそれらの医薬的に許容できる塩類を記載する。それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、医薬としてのそれらの使用、および細菌感染症の処置におけるそれらの使用も記載する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、抗菌活性を示す化合物、それらの製造方法、それらを有効成分として含有する医薬組成物、医薬としてのそれらの使用、およびヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための医薬の製造におけるそれらの使用に関する。具体的には、本発明はヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに有用な化合物、より具体的には、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための医薬の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0002】
国際微生物学会(The international microbiological community)は、抗生物質耐性の進化の結果、現在利用できる抗菌薬が無効な菌株が生じる可能性があるという重大な懸念を表明し続けている。一般に病原性細菌はグラム陽性またはグラム陰性病原菌に分類できる。グラム陽性とグラム陰性の両方の病原菌に対して有効な活性をもつ抗菌性化合物は、一般に広域活性スペクトルをもつとみなされる。本発明化合物は、グラム陽性病原菌と特定のグラム陰性病原菌の両方に対して有効であると考えられる。
【0003】
グラム陽性病原菌、たとえばブドウ球菌属(Staphylococci)、腸球菌属(Enterococci)、連鎖球菌属(Streptococci)およびマイコバクテリア(mycobacteria)は、いったん樹立すると処置が困難であり、かつ院内環境から根絶するのが困難である耐性菌株を発現するので、特に重大である。そのような菌株の例は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)(MRSA)、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)および多剤耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)である。
【0004】
そのような耐性グラム陽性病原菌の最後の処置手段として好ましい臨床有効抗生物質は、バンコマイシンである。バンコマイシンは糖ペプチドであり、腎毒性を含めた種々の毒性を伴う。さらに、きわめて重大なことに、バンコマイシンその他の糖ペプチドに対する抗菌薬耐性も出現している。この耐性は定常的速度で増加しつつあり、このためこれらの薬剤はグラム陽性病原菌の処置における効力が次第に低下している。同様にインフルエンザ菌(H. influenzae)およびモラクセラ・カタラーリス(M. catarrhalis)を含めた特定のグラム陰性菌株により起きる上気道感染症の処置に用いられているβ-ラクタム類、キノロン類およびマクロライド類に対しても、耐性の出現が現在増加しつつある。
【0005】
したがって、多剤耐性菌拡大の脅威を克服するために、新たな抗生物質、特に新たな作用機序をもつもの、および/または新たなファーマコフォア基(pharmacophoric group)を含むものを開発することが現在求められている。
【0006】
デオキシリボ核酸(DNA)ジャイレースは、細胞中のDNAの位相状態を制御するトポイソメラーゼのII型ファミリーのメンバーである(Champoux, J. J.; 2001. Ann. Rev. Biochem. 70: 369-413)。II型トポイソメラーゼはアデノシン三リン酸(ATP)加水分解からの自由エネルギーを利用して、DNAに一時的に二本鎖切断部を導入し、切断部を鎖が通過するのを触媒し、そしてDNAを再結合することにより、DNAの位相を変化させる。DNAジャイレースは細菌に必須である保存された酵素であり、DNAに負の超らせんを導入できる点でトポイソメラーゼのうち独特のものである。この酵素は、gyrAおよびgyrBによりコードされる2つのサブユニットからなり、A2B2テトラマー複合体を形成している。ジャイレースのAサブユニット(GyrA)はDNA切断と再結合に関与し、保存されたチロシン残基を含み、これが鎖通過中のDNAへの一時的な共有結合を形成する。Bサブユニット(GyrB)はATPの加水分解を触媒し、Aサブユニットと相互作用して加水分解からの自由エネルギーをこの酵素のコンホメーション変化に変換し、これにより鎖の通過およびDNAの再結合を可能にする。
【0007】
細菌に保存された他の必須のII型トポイソメラーゼはトポイソメラーゼIVと呼ばれ、主に、複製に際して生成する連結した閉鎖環状の細菌染色体の分離に関与する。この酵素はDNAジャイレースと近縁であり、Gyr AおよびGyr Bと相同なサブユニットから形成された類似のテトラマー構造をもつ。異なる細菌種において、ジャイレースとトポイソメラーゼIVの全体的な配列同一性は高い。したがって、細菌のII型トポイソメラーゼを標的とする化合物は、細胞中の2つの標的、すなわたDNAジャイレースとトポイソメラーゼIVを阻害する可能性をもつ;これは既存のキノロン系抗菌薬の場合と同様である(Maxwell, A. 1997, Trends Microbiol. 5: 102-109)。
【0008】
DNAジャイレースは、キノロン類およびクマリン類を含めて、十分に確証された抗菌薬標的である。キノロン類(たとえばシプロフロキサシン(ciprofloxacin))は広域抗菌薬であり、この酵素のDNA切断と再結合の活性を阻害し、DNAとの共有結合により複合体形成した状態でGyrAサブユニットを捕獲する(Drlica, K., and X. Zhao, 1997, Microbiol. Molec. Biol. Rev. 61: 377-392)。このクラスの抗菌薬のメンバーはトポイソメラーゼIVをも阻害し、その結果、これらの化合物の主な標的は種間で異なる。キノロン類は有効な抗菌薬であるが、主に標的(DNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIV)の変異により生じる耐性が、黄色ブドウ球菌および肺炎連鎖球菌を含めた幾つかの菌において問題となりつつある(Hooper, D. C., 2002, The Lancet Infectious Diseases 2: 530-538)。さらに、化学物質クラスとしてのキノロン類は関節障害を含めた毒性副作用をもち、このため小児におけるそれらの使用は妨げられる(Lipsky, B. A. and Baker、C. A., 1999, Clin. Infect. Dis. 28: 352-364)。さらに、QTc間隔の延長により推定されるように、心毒性の可能性がキノロン類に関する毒性問題として引用されている。
【0009】
GyrBサブユニットの結合に対してATPと競合する既知の天然物DNAジャイレース阻害薬が幾つかある(Maxwell. A. and Lawson, D.M. 2003, Curr. Topics in Med. Chem. 3: 283-303)。クマリン類はストレプトミセス属(Streptomyces)菌種から単離された天然物であり、その例はノボビオシン(novobiocin)、クロロビオシン(chlorobiocin)およびクメルマイシンA1(coumermycin A1)である。これらの化合物はDNAジャイレースの有効な阻害薬であるが、真核細胞における毒性およびグラム陰性菌への浸透性の乏しさのため、それらの療法有用性は制限される(Maxwell, A. 1997, Trends Microbiol. 5: 102-109)。GyrBサブユニットを標的とする他の天然物クラスの化合物は、ストレプトミセス・フィリペンシス(Streptomyces filipensis)から単離されたシクロチアリジン(cyclothialidine)類である(Watanabe, J. et al 1994, J. Antibiot. 47: 32-36)。シクロチアリジンは、DNAジャイレースに対して有効な活性をもつにもかかわらず貧弱な抗菌薬であり、若干の真性細菌種に対して活性を示すにすぎない(Nakada, N., 1993, Antimicrob. Agents Chemother. 37: 2656-2661)。
【0010】
DNAジャイレースのBサブユニットおよびトポイソメラーゼIVを標的とする合成阻害薬が当技術分野で知られている。たとえばクマリン含有化合物が特許出願WO 99/35155に記載され、5,6-二環式ヘテロ芳香族化合物が特許出願WO 02/060879に記載され、ピラゾール化合物が特許出願WO 01/52845 (USP 6,608,087)に記載されている。
【0011】
本発明者らは、DNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVの阻害に有用な新規クラスの化合物を見いだした。
【0012】
発明の概要
したがって本発明は、式(I)の化合物:
【0013】
【化1】

【0014】
またはその医薬的に許容できる塩を提供する:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
Wは、-O-、-N(R6)-または-C(R7)(R8)-であり;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
Xは、直接結合、-CH2-、-C(O)-またはS(O)q-(qは1または2である)であり;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0015】
式(IA)の化合物:
【0016】
【化2】

【0017】
またはその医薬的に許容できる塩も提供される:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
Xは、直接結合、-CH2-、-C(O)-またはS(O)q-(qは1または2である)であり;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0018】
式(IB)の化合物:
【0019】
【化3】

【0020】
またはその医薬的に許容できる塩も提供される:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0021】
式(IC)の化合物:
【0022】
【化4】

【0023】
またはその医薬的に許容できる塩も提供される:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
環Dは、ヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0024】
式(ID)の化合物:
【0025】
【化5】

【0026】
またはその医薬的に許容できる塩も提供される:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0027】
式(IE)の化合物:
【0028】
【化6】

【0029】
またはその医薬的に許容できる塩も提供される:
式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
R4、R5aおよびR5bは、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0030】
本発明は下記の化合物をも提供する:
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル;
シス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル;
3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)イソフタル酸ジメチル;
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸;
シス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸;
3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)イソフタル酸;
3-(トランス-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
3,4-ジクロロ-N-(4-{3-[(メトキシアミノ)カルボニル]フェニル}シクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3-((3,4-シス)-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
3-(トランス-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル;
3,4-ジクロロ-N-(トランス-2-メトキシ-4-{3-[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}シクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3,4-ジクロロ-N-{トランス-2-メトキシ-4-[3-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル]シクロヘキサ-3-エン-1-イル}-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3,4-ジクロロ-N-{トランス-2-メトキシ-4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]シクロヘキサ-3-エン-1-イル}-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
またはその医薬的に許容できる塩。
【0031】
本発明は、式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる希釈剤またはキャリヤーを含む、医薬組成物をも提供する。
本発明は、その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置する方法であって、該動物に有効量の式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法をも提供する。
【0032】
本発明は、その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースを阻害する方法であって、該動物に有効量の式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法をも提供する。
【0033】
本発明は、医薬として使用するための、式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物およびその医薬的に許容できる塩をも提供する。
本発明は、ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための医薬の製造における、式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用をも提供する。
【0034】
本発明は、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための医薬の製造における、式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用をも提供する。
【0035】
式I、IA、IB、IC、IDもしくはIEの化合物またはその医薬的に許容できる塩を製造するための、下記を含む方法をも提供する:
方法a) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(II)の化合物:
【0036】
【化7】

【0037】
(式中:Raはシアノであり、Rbはジメチルアミノまたはジエチルアミノであり;あるいはRaおよびRbは独立してC1-4アルキルチオから選択され;あるいはRaとRbは一緒に1,3-ジチアニルまたは1,3-ジチオラニルを形成している)を式(I)の化合物に変換する;
方法b) 式(I)においてWが-O-である化合物について;式(III)の化合物:
【0038】
【化8】

【0039】
を式(IV)の化合物:
【0040】
【化9】

【0041】
と反応させる;
方法c) 式(I)においてWが-N(R6)-である化合物について;式(V)の化合物:
【0042】
【化10】

【0043】
を式(IV)の化合物またはその活性酸誘導体と反応させる;
方法d) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VI)の化合物;
【0044】
【化11】

【0045】
(式中:Lは置換可能な基である)を式(VII)の化合物:
【0046】
【化12】

【0047】
と反応させる;
方法e) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VIII)の化合物;
【0048】
【化13】

【0049】
(式中:Mは有機金属基である)を式(IX)の化合物:
【0050】
【化14】

【0051】
(式中:Lは置換可能な基である)と反応させる;
方法f) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(X)の化合物:
【0052】
【化15】

【0053】
を式(XI)の化合物;
【0054】
【化16】

【0055】
(式中:YおよびZのうち一方は有機金属基であり、他方は置換可能な基である)と反応させる;
方法g) 式(I)において環Aがシクロヘキシルである化合物について;式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物を還元する;
方法h) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(XII)の化合物:
【0056】
【化17】

【0057】
を脱水する;
次いで必要ならば:
i)式(I)の化合物を式(I)の他の化合物に変換する;
ii)保護基を除去する;
iii)医薬的に許容できる塩を形成する。
【0058】
発明の詳細な説明
本明細書において、用語アルキルは直鎖および分枝鎖両方のアルキル基を含む。たとえば“C1-4アルキル”はメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびt-ブチルを含む。しかし、個々のアルキル基、たとえばプロピルという表記は直鎖形のみに特定される。同様な取決めを他の用語に適用する。
【0059】
任意置換基が1以上の基から選択される場合、この定義はすべての置換基が特定群のうちの1つから選択されるか、あるいは置換基が特定群のうちの2以上から選択されることを含むと理解すべきである。
【0060】
“ヘテロサイクリル”は、4〜12個の原子を含み、それらのうち少なくとも1個の原子が窒素、硫黄または酸素から選択される、飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または二環式環であり、これらは別途特定しない限り炭素結合または窒素結合し、その際、-CH2-基は-C(O)-で交換されていてもよく、環窒素原子および/または環硫黄原子は酸化されてN-オキシドまたはS-オキシドを形成していてもよい。本発明の1観点において、“ヘテロサイクリル”は、5または6個の原子を含み、それらのうち少なくとも1個の原子が窒素、硫黄または酸素から選択される、飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または二環式環であり、これらは別途特定しない限り炭素結合または窒素結合し、-CH2-基は-C(O)-で交換されていてもよく、環硫黄原子は酸化されてS-オキシドを形成していてもよい。本発明の他の観点において、“ヘテロサイクリル”は、5または6個の原子を含み、それらのうち少なくとも1個の原子が窒素、硫黄または酸素から選択される、不飽和の炭素結合した単環式環である。用語“ヘテロサイクリル”の例および適切な意味は、モルホリノ、ピペリジル、ピリジル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリル、チエニル、1,3-ベンゾジオキソリル、チアジアゾリル、ピペラジニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、チオモルホリノ、ピロリニル、ホモピペラジニル、3,5-ジオキサピペリジニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、イソオキサゾリル、N-メチルピロリル、4-ピリドン、1-イソキノロン、2-ピロリドン、4-チアゾリドン、ピリジン-N-オキシドおよびキノロン-N-オキシドである。
【0061】
“カルボサイクリル”は、3〜12個の原子を含む、飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または二環式炭素環であり;その際、-CH2-基は-C(O)-で交換されていてもよい。特に、“カルボサイクリル”は5もしくは6個の原子を含む単環式環または9もしくは10個の原子を含む二環式環である。“カルボサイクリル”の適切な意味には、シクロプロピル、シクロブチル、1-オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニルまたは1-オキソインダニルが含まれる。“カルボサイクリル”の格別な例はフェニルである。
【0062】
“C1-4アルカノイルオキシ”の例は、アセトキシである。“C1-4アルコキシカルボニル”の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-およびt-ブトキシカルボニルが含まれる。“C1-4アルコキシカルボニルアミノ”の例には、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n-およびt-ブトキシカルボニルアミノが含まれる。“C1-4アルコキシ”の例には、メトキシ、エトキシおよびプロポキシが含まれる。“C1-4アルカノイルアミノ”の例には、ホルムアミド、アセトアミドおよびプルピオニルアミノが含まれる。“C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)”の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシルおよびエチルスルホニルが含まれる。“C1-4アルカノイル”の例には、プルピオニルおよびアセチルが含まれる。“N-(C1-4アルキル)アミノ”の例には、メチルアミノおよびエチルアミノが含まれる。“N,N-(C1-4アルキル)2アミノ”の例には、ジ-N-メチルアミノ、ジ-(N-エチル)アミノおよびN-エチル-N-メチルアミノが含まれる。“C2-4アルケニル”の例は、ビニル、アリルおよび1-プロペニルである。“C2-4アルキニル”の例は、エチニル、1-プロピニルおよび2-プロピニルである。“N-(C1-4アルキル)スルファモイル”の例は、N-(メチル)スルファモイルおよびN-(エチル)スルファモイルである。“N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル”の例は、N,N-(ジメチル)スルファモイルおよびN-(メチル)-N-(エチル)スルファモイルである。“N-(C1-4アルキル)カルバモイル”の例は、メチルアミノカルボニルおよびエチルアミノカルボニルである。“N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル”の例は、ジメチルアミノカルボニルおよびメチルエチルアミノカルボニルである。“N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル”の例は、メトキシアミノカルボニルおよびイソプロポキシアミノカルボニルである。“N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル”の例は、N-メチル-N-メトキシアミノカルボニルおよびN-メチル-N-エトキシアミノカルボニルである。“C3-6シクロアルキル”の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルおよびシクロヘキシルである。“N'-(C1-4アルキル)ウレイド”の例は、N'-メチルウレイドおよびN'-イソプロピルウレイドである。“N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド”の例は、N'N'-ジメチルウレイドおよびN'-メチル-N'-イソプロピルウレイドである。“N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル”の例は、N'-メチルヒドラジノカルボニルおよびN'-イソプロピルヒドラジノカルボニルである。“N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル”の例は、N'N'-ジメチルヒドラジノカルボニルおよびN'-メチル-N'-イソプロピルヒドラジノカルボニルである。“C1-4アルキルスルホニルアミノ”の例には、メチルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノおよびt-ブチルスルホニルアミノが含まれる。“C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル”の例には、メチルスルホニルアミノカルボニル、イソプロピルスルホニルアミノカルボニルおよびt-ブチルスルホニルアミノカルボニルが含まれる。“C1-4アルキルスルホニル”の例には、メチルスルホニル、イソプロピルスルホニルおよびt-ブチルスルホニルが含まれる。
【0063】
式(I)の化合物は、安定な酸塩または塩基塩を形成することができ、そのような場合、化合物を塩として投与するのが適切な可能性があり、医薬的に許容できる塩類は、たとえば下記の常法により製造できる。
【0064】
医薬的に許容できる適切な塩類には、酸付加塩、たとえばメタンスルホン酸塩、トシル酸塩、α-グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、および(これらより好ましくはないが)臭化水素酸塩が含まれる。同様に適切なものは、リン酸および硫酸を用いて形成される塩類である。他の観点において、適切な塩類は塩基塩、たとえばアルカリ金属塩、たとえばナトリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえばカルシウム塩またはマグネシウム塩、有機アミン、たとえばトリエチルアミン、モルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン、トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、N-メチル-d-グルカミン、およびアミノ酸、たとえばリシンの塩である。荷電した官能基の数およびカチオンまたはアニオンの原子価に応じて、1より多いカチオンまたはアニオンがあってもよい。医薬的に許容できる好ましい塩はナトリウム塩である。
【0065】
しかし、製造中に塩の単離を容易にするためには、医薬的に許容できるか否かにかかわらず、選択した溶媒中での溶解度がより低い塩類が好ましい。
本発明において、式(I)の化合物またはその塩は互変異性現象を示す場合があり、本明細書中の式の表記は可能な互変異性形のうち1つを表わしうるにすぎないことを理解すべきである。本発明はDNAジャイレースを阻害する互変異性形をいずれも包含し、式の表記に用いたいずれか1つの互変異性形にのみ限定されないことを理解すべきである。本明細書中の式の表記は可能な互変異性形のうち1つを表わしうるにすぎず、本明細書は本明細書に具体的に示すことができた形だけでなく、表記した化合物の可能な互変異性形をすべて包含すると理解すべきである。同じことを化合物名に適用する。
【0066】
特定の式(I)の化合物が不斉置換された炭素原子および/または硫黄原子を含み、したがって光学活性形およびラセミ形で存在し、単離される可能性があることは、当業者には認識されるであろう。若干の化合物は多形現象を示す可能性がある。本発明は、DNAジャイレースの阻害に有用な特性をもつラセミ、光学活性、多形もしくは立体異性体の形またはその混合物をいずれも包含すると理解すべきである。光学活性形を製造する方法(たとえば、再結晶法によるラセミ形の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、酵素による分割、生物変換、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフィーによる分離)、およびDNAジャイレースの阻害効率を後記の標準試験法により測定する方法は、当技術分野で周知である。
【0067】
特定の式(I)の化合物およびその塩類が溶媒和した形および溶媒和していない形、たとえば水和形で存在することができるのも理解すべきである。本発明はDNAジャイレースを阻害するそのような溶媒和形をすべて包含すると理解すべきである。
【0068】
本明細書中に述べる特定の置換基および基について具体的な適切な意味を以下に示す。これらの意味は、適切な場合、前記および後記の定義および態様のいずれについても使用できる。誤解を避けるために、記載した種はそれぞれ本発明の具体的な独立した観点を表わす。
【0069】
R1は、C1-4アルキルである;
R1は、メチルである;
R2は、ハロである;
R2は、クロロである;
R3は、ハロである;
R3は、クロロである;
Wは、-O-である;
Wは、-N(R6)-である;
Wは、-NH-である;
Wは、-C(R7)(R8)-である;
環Aは、シクロヘキシルであり、この場合、点線は単結合である;
環Aは、シクロヘキセニルであり、この場合、点線は二重結合である;
Xは、直接結合である;
Xは、-CH2-である;
Xは、-C(O)-である;
Xは、S(O)q-(qは1または2である)である;
環Dは、ヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよい;
環Dは、ピリジル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、ピリミジニルまたはチアゾリルである;
環Dは、カルボサイクリルである;
環Dは、フェニルである;
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシまたはC1-4アルコキシから選択される;
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシまたはメトキシから選択される;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R11は-C(O)-である;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはモルホリノ-R11-から選択され;その際、R11は-C(O)-である;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(メトキシ)カルバモイル、メシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メシルアミノまたはモルホリノカルボニルから選択される;
R6は、水素である;
R6は、C1-4アルキルである;
nは、0または1である;
mは、1または2であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよい。
【0070】
したがって本発明の他の観点においては、式(I)(前記)の下記の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される:
R1は、C1-4アルキルであり;
R2は、ハロであり;
R3は、ハロであり;
Wは、-N(R6)-であり;
環Aは、シクロヘキシルまたはシクロヘキセニルであり、その際、点線は単結合または二重結合であり;
Xは、直接結合であり;
環Dは、カルボサイクリルであり;
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシまたはC1-4アルコキシから選択され;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R11は-C(O)-であり;
R6は、水素であり;
nは、0または1であり;
mは、1または2であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよい。
【0071】
したがって本発明の他の観点においては、式(I)(前記)の下記の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される:
R1は、メチルであり;
R2は、クロロであり;
R3は、クロロであり;
Wは、-NH-であり;
環Aは、シクロヘキシルまたはシクロヘキセニルであり、その際、点線は単結合または二重結合であり;
Xは、直接結合であり;
環Dは、フェニルであり;
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシまたはメトキシから選択され;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(メトキシ)カルバモイル、メシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メシルアミノまたはモルホリノカルボニルから選択され;
nは、0または1であり;
mは、1または2であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよい。
【0072】
本発明の他の観点においては、式IAの化合物である式Iの化合物:
【0073】
【化18】

【0074】
またはその医薬的に許容できる塩が提供される:
式中:
R1は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
R2は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
R3は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
Xは、直接結合、-CH2-、-C(O)-またはS(O)q-(qは1または2である)であり;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される。
【0075】
本発明の他の観点においては、式IBの化合物である式IAの化合物が提供される:
【0076】
【化19】

【0077】
式中:
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニルまたはC1-4アルキルスルホニルアミノから選択され;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-C(O)-から選択される。
【0078】
本発明の他の観点においては、式ICの化合物である式IBの化合物が提供される:
【0079】
【化20】

【0080】
式中:
環Dはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよい。
【0081】
本発明の他の観点においては、式IDの化合物である式ICの化合物が提供される:
【0082】
【化21】

【0083】
式中:
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R11は-C(O)-であり;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはモルホリノ-C(O)-から選択される。
【0084】
式IEの化合物も提供される:
【0085】
【化22】

【0086】
式中:
R5aは、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはモルホリノ-C(O)-から選択され;
R5bは、HまたはR5aについて定めたものである。
【0087】
本発明の具体的な化合物は実施例の化合物であり、それらはそれぞれ本発明の他の独立した観点を提供する。他の観点において本発明は、いずれか2以上の実施例の化合物をも含む。
【0088】
本発明の1態様においては式(I)の化合物が提供され、他の態様においては式(I)の化合物の医薬的に許容できる塩が提供される。
他の観点において本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩の製造方法を提供する。
【0089】
したがって本発明は、下記の方法により式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を製造する方法をも提供する(これらにおいて、別途記載しない限り可変基は前記に定めたものである):
方法a) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(II)の化合物:
【0090】
【化23】

【0091】
(式中:Raはシアノであり、Rbはジメチルアミノまたはジエチルアミノであり;あるいはRaおよびRbは独立してC1-4アルキルチオから選択され;あるいはRaとRbは一緒に1,3-ジチアニルまたは1,3-ジチオラニルを形成している)を式(I)の化合物に変換する;
方法b) 式(I)においてWが-O-である化合物について;式(III)の化合物:
【0092】
【化24】

【0093】
を式(IV)の化合物:
【0094】
【化25】

【0095】
と反応させる;
方法c) 式(I)においてWが-N(R6)-である化合物について;式(V)の化合物:
【0096】
【化26】

【0097】
を式(IV)の化合物またはその活性酸誘導体と反応させる;
方法d) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VI)の化合物;
【0098】
【化27】

【0099】
(式中:Lは置換可能な基である)を式(VII)の化合物:
【0100】
【化28】

【0101】
と反応させる;
方法e) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VIII)の化合物;
【0102】
【化29】

【0103】
(式中:Mは有機金属基である)を式(IX)の化合物:
【0104】
【化30】

【0105】
(式中:Lは置換可能な基である)と反応させる;
方法f) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(X)の化合物:
【0106】
【化31】

【0107】
を式(XI)の化合物;
【0108】
【化32】

【0109】
(式中:YおよびZのうち一方は有機金属基であり、他方は置換可能な基である)と反応させる;
方法g) 式(I)において環Aがシクロヘキシルである化合物について;式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物を還元する;
方法h) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(XII)の化合物:
【0110】
【化33】

【0111】
を脱水する;
次いで必要ならば:
i)式(I)の化合物を式(I)の他の化合物に変換する;
ii)保護基を除去する;
iii)医薬的に許容できる塩を形成する。
【0112】
Lは置換可能な基である。Lに適切な意味には、たとえばクロロおよびブロモ、ペンタフルオロフェノキシおよび2,5-オキソピロリジン-1-イルオキシが含まれる。
Mは有機金属基であり、Mに適切な意味には、有機銅酸塩、たとえばCuLi、有機亜鉛、Zn、またはグリニャール試薬、たとえばMgGが含まれ、ここでGはハロ、たとえばクロロである。
【0113】
XおよびYのうち一方は有機金属基であり、この有機金属基に適切な意味には有機ホウ酸塩、たとえばB(ORa)(Raは水素またはC1-4アルキルである)、有機銅酸塩、たとえばCuLi、有機亜鉛、Zn、またはグリニャール試薬、たとえばMgGが含まれ、ここでGはハロ、たとえばクロロである。
【0114】
XおよびYのうち一方は置換可能な基であり、この置換可能な基に適切な意味にはハロ、たとえばクロロおよびブロモ、トシルまたはメシラートが含まれる。
前記反応のための具体的な反応条件は下記のものである:
方法a) 式(II)の化合物を式(I)の化合物に変換することができる:
(i) Raがシアノであり、Rbがジメチルアミノまたはジエチルアミノである場合;塩基、たとえば水酸化ナトリウムの存在下に、適切な溶媒、たとえば水性メタノール中、室温で;
(ii) RaおよびRbが独立してC1-4アルキルチオから選択される場合;あるいはRaとRbが一緒に1,3-ジチアニルまたは1,3-ジチオラニルを形成している場合;水銀、銅または銀の塩、たとえばHg(ClO4)2、CuCl2またはAgNO3/Ag2Oなどの試薬の存在下に、適切な溶媒、たとえばメタノール、アセトンまたはエタノールの存在下で、室温から還流までの範囲の温度において;
式(II)の化合物はスキーム1に従って製造できる:
【0115】
【化34】

【0116】
ここでPgは後記に定めるヒドロキシ保護基であり;YおよびZのうち一方は前記に定めた有機金属基であり、他方は前記に定めた置換可能な基であり;Dは置換可能な基である。Dに適切な意味には、たとえばクロロ、ブロモおよびヨード、トシラートおよびメシラートが含まれる。
【0117】
ヒドロキシ保護基の脱保護は当技術分野で周知である。そのような脱保護法の例を後記に示す。
FGIは官能基相互変換(Functional Group Interconversion)を表わす。前記スキームにおいて、ヒドロキシ基とD基の間のそのような変換は当技術分野で周知であり、当業者が容易になしうる。
【0118】
式(IIa)および(IId)の化合物は文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
方法b) 式(III)の化合物と式(IV)の化合物を、結合剤、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミドまたはEDCの存在下に、適切な溶媒、たとえばジクロロメタン、THFまたはジエチルエーテル中で互いに反応させることができる。
【0119】
式(III)の化合物はスキーム2に従って製造できる:
【0120】
【化35】

【0121】
ここでPgは後記に定めるヒドロキシ保護基であり;YおよびZのうち一方は前記に定めた有機金属基であり、他方は置換可能な基である。
ヒドロキシ保護基の脱保護は当技術分野で周知である。そのような脱保護法の例を後記に示す。
【0122】
式(IIIa)および(IV)の化合物は市販化合物であり、あるいはそれらは文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
方法c) 式(V)の化合物と式(IV)の化合物を、適切な結合試薬の存在下で互いに結合させることができる。適切な結合試薬として、当技術分野で既知の標準的なペプチド結合試薬、またはたとえばカルボニルジイミダゾールおよびジシクロヘキシルカルボジイミドを、触媒、たとえばジメチルアミノピリジンまたは4-ピロリジノピリジンの存在下に、所望により塩基、たとえばトリエチルアミン、ピリジン、または2,6-ジ-アルキル-ピリジン、たとえば2,6-ルチジンもしくは2,6-ジ-t-ブチルピリジンの存在下で使用できる。適切な溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドが含まれる。この結合反応は、-40〜40℃の温度で実施するのが好都合である。
【0123】
適切な活性酸誘導体には、酸ハロゲン化物、たとえば酸塩化物、および活性エステル、たとえばペンタフルオロフェニルエステルが含まれる。これらのタイプの化合物とアミンの反応は当技術分野で周知である。たとえば、それらをたとえば前記の塩基の存在下に、たとえば前記の適切な溶媒中で反応させることができる。この結合反応は、-40〜40℃の温度で実施するのが好都合である。
【0124】
式(V)の化合物はスキーム3に従って製造できる:
【0125】
【化36】

【0126】
ここでPgは後記に定めるアミノ保護基であり;YおよびZのうち一方は前記に定めた有機金属基であり、他方は置換可能な基である。R6が水素である場合、この水素も適切な保護基で保護する必要があることは、当業者に認識されるであろう。
【0127】
アミノ保護基の脱保護は当技術分野で周知である。そのような脱保護法の例を後記に示す。
式(Va)の化合物は市販化合物であり、あるいはそれらは文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
【0128】
方法d) 式(VI)の化合物と式(VII)の化合物を、適切な溶媒、たとえばDCMまたは1,2-ジクロロエタン中で、所望によりルイス酸、たとえばAlCl3の存在下に、0℃ないし室温で反応させることができる。
【0129】
式(VI)の化合物はスキーム4に従って製造できる:
【0130】
【化37】

【0131】
ここでRaOC(O)はエステル基であり;YおよびZのうち一方は前記に定めた有機金属基であり、他方は置換可能な基である。
Raに適切な意味には、C1-6アルキルが含まれる。Raカルボキシ保護基の脱保護は標準条件下で、たとえば後記に示す条件下での酸または塩基加水分解により達成できる。
【0132】
FGIは官能基相互変換を表わす。前記スキームにおいて、酸基と-C(O)L基の間のそのような変換は当技術分野で周知であり、当業者が容易になしうる。
式(VIa)および(VII)の化合物は市販化合物であり、あるいはそれらは文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
【0133】
方法e) 式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物を、適切な非プロトン溶媒、たとえばTHFまたはエーテル中で、-78〜0℃の温度において反応させることができる。
式(VIII)の化合物は式(IIc)の化合物から、当技術分野で既知の標準条件下で製造できる。たとえばMが有機銅(I)試薬である場合、そのような化合物はスキーム5に従って製造できる:
【0134】
【化38】

【0135】
式(IX)の化合物は市販化合物であり、あるいはそれらは文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
方法f) 式(X)の化合物と式(XI)の化合物を、適切な非プロトン溶媒、たとえばTHFまたはエーテル中で、-78〜0℃の温度において反応させることができる。
【0136】
式(X)の化合物はスキーム6に従って製造できる:
【0137】
【化39】

【0138】
ここでMは前記に定めた有機金属基である。
式(Xa)、(Xb)および(XI)の化合物は市販化合物であり、あるいはそれらは文献中に知られており、あるいはそれらは当技術分野で既知の標準法により製造される。
【0139】
方法g) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物を、標準的な還元条件下で、たとえばパラジウム触媒による水素化により、還元することができる。
方法h) 式(XII)の化合物を酸性条件下で、たとえばトリフルオロ酢酸もしくは塩酸により、または塩基性条件下で、たとえば水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて、25〜50℃の温度で脱水することができる。
【0140】
式(XII)の化合物は、前記の方法a)〜e)のいずれかにより製造できる。
医薬的に許容できる塩の形成は当業者が標準法を用いて容易になしうる。
本発明化合物中の種々の環置換基のうちあるものを、前記方法の前または直後に、標準的な芳香族置換反応により導入でき、あるいは一般的な官能基修飾により形成でき、したがって本発明の方法観点に含まれることは、認識されるであろう。そのような環置換基を導入するために用いる試薬は市販されており、あるいは当技術分野で既知の方法で製造できる。
【0141】
環への置換基の導入により、式(I)のある化合物を式(I)の他の化合物に変換できる。そのような反応および修飾には、たとえば芳香族置換反応による置換基導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、置換基の酸化、置換基のエステル化、置換基のアミド化、ヘテロアリール環の形成が含まれる。そのような方法のための試薬および反応条件は、化学技術分野で周知である。芳香族置換反応の具体例には、アルコキシドの導入、ジアゾ化反応、続いてチオール基、アルコール基、ハロゲン基の導入が含まれる。修飾の例には、アルキルチオからアルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルへの酸化が含まれる。
【0142】
有機化学の専門家は、前記の参考文献に記載および引用された情報、ならびにそれに含まれる例、ならびに本明細書中の実施例を利用および適用して、必要な出発物質および生成物を得ることができるであろう。前記方法に必要な出発物質が市販されていない場合、標準的な有機化学的方法、既知の構造類似化合物の合成と同様な方法、または前記方法もしくは実施例に記載する方法と同様な方法から選択される方法により、それらを製造することができる。前記の合成法のための出発物質の多くは市販されており、および/または科学文献中に広く報告されており、または科学文献中に報告された方法を適用して市販化合物から製造できることを留意されたい。さらに、反応条件および試薬に関する一般的指針については、Advanced Organic Chemistry, 第4版, Jerry March著, John Wiley & Sons出版, 1992を参照されたい。
【0143】
本明細書に述べるある反応において化合物中のいずれかの感受性基を保護するのが必要/望ましいことも認識されるであろう。保護が必要または望ましい例は当業者に既知であり、そのような保護に適切な方法も既知である。一般的な保護基を標準法に従って使用できる(説明についてはT.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991を参照)。
【0144】
ヒドロキシ基に適切な保護基の例は、たとえばアシル基、たとえばアルカノイル基、たとえばアセチル、アロイル基、たとえばベンゾイル、シリル基、たとえばトリメチルシリル、またはアリールメチル基、たとえばベンジルである。これらの保護基の脱保護条件は、選択する保護基に応じて必然的に異なるであろう。たとえばアルカノイル基またはアロイル基などのアシル基は、たとえば適切な塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを用いる加水分解により除去できる。あるいはシリル基、たとえばトリメチルシリルは、フッ化物または酸水溶液により除去できる;あるいはアリールメチル基、たとえばベンジル基は、たとえば触媒、たとえばカーボン上パラジウムの存在下での水素化により除去できる。
【0145】
アミノ基に適切な保護基は、たとえばアシル基、たとえばアルカノイル基、たとえばアセチル、アルコキシカルボニル基、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルもしくはt-ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、たとえばベンジルオキシカルボニル、またはアロイル基、たとえばベンゾイルである。これらの保護基の脱保護条件は、選択する保護基に応じて必然的に異なるであろう。たとえばアルカノイル基またはアルコキシカルボニル基またはアロイル基などのアシル基は、たとえば適切な塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを用いる加水分解により除去できる。あるいはt-ブトキシカルボニル基などのアシル基は、たとえば適切な酸、たとえば塩酸、硫酸もしくはリン酸またはトリフルオロ酢酸による処理により除去でき、アリールメトキシカルボニル基、たとえばベンジルオキシカルボニル基は、たとえば触媒、たとえばカーボン上パラジウムによる水素化、またはルイス酸、たとえばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素を用いる処理により除去できる。第一級アミノ基に適切な他の保護基は、たとえばフタロイル基であり、これはアルキルアミン、たとえばジメチルアミノプロピルアミンもしくは2-ヒドロキシエチルアミンによる処理、またはヒドラジンによる処理により除去できる。
【0146】
カルボキシ基に適切な保護基は、たとえばエステル化基、たとえばメチルまたはエチル基であり、これらはたとえば塩基、たとえば水酸化ナトリウムを用いる加水分解により除去でき、あるいはたとえばt-ブチル基であり、これはたとえば酸、たとえば有機酸、たとえばトリフルオロ酢酸を用いる処理により除去でき、あるいはたとえばベンジル基であり、これはたとえば触媒、たとえばカーボン上パラジウムによる水素化により除去できる。
【0147】
保護基は、合成中のいずれか好都合な段階において化学技術分野で周知の常法により除去でき、あるいはその後の反応工程または仕上げ処理中に除去できる。
光学活性形の本発明化合物が必要な場合、それは光学活性出発物質(たとえば適切な反応工程の不斉導入により形成)を用いて前記のいずれかの方法を実施することにより、あるいはラセミ形の化合物または中間体を常法によって分割することにより、あるいはジアステレオ異性体(生成した場合)のクロマトグラフィー分離により、得ることができる。酵素法も、光学活性化合物および/または中間体の製造に有用な場合がある。
【0148】
同様に、本発明化合物の純粋なレギオ異性体が必要な場合、それは純粋なレギオ異性体を出発物質として用いて前記のいずれかの方法を実施することにより、あるいはレギオ異性体または中間体の混合物を標準法で分割することにより、得ることができる。
【0149】
酵素力価試験法
モリブデン酸アンモニウム/マラカイトグリーンをベースとするリン酸検出アッセイにより、化合物をGyrB ATPase活性の阻害について試験した(Lanzetta, P. A., L. J. Alvarez, P. S. Reinach, and O. A. Candia, 1979, 100: 95-97)。マルチウェルプレート内で下記のものを含有する反応物100μl中においてアッセイを実施した:50 mMのTRIS緩衝液 pH 7.5、75 mMの酢酸アンモニウム、5.5 mMの塩化マグネシウム、0.5 mMのエチレンジアミン四酢酸、5%のグリセロール、1 mMの1,4-ジチオ-DL-トレイトール、200 nMのウシ血清アルブミン、16μg/mlの剪断したサケ精子DNA、4 nMの大腸菌(E. coli) GyrA、4 nMの大腸菌GyrB、250μMのATP、およびジメチルスルホキシド中の化合物。1.2 mMの塩酸マラカイトグリーン、8.5 mMのモリブデン酸アンモニウム4水和物、および1 Mの塩酸を含有するモリブデン酸アンモニウム/マラカイトグリーン検出試薬150μlで反応を停止した。プレート吸光度リーダーにより625 nmでプレートを読み取り、ジメチルスルホキシド(2%)含有反応物を0%阻害対照とし、ノボビオシン含有(2μM)反応物を100%阻害対照として、阻害率%の値を計算した。前記のGyrBについての記載に従い、ただし下記のものを含有する反応物100μl中において、トポイソメラーゼIV ATPase活性の阻害について試験した:20 mMのTRIS緩衝液 pH 8、50 mMの酢酸アンモニウム、8 mMの塩化マグネシウム、5%のグリセロール、5 mMの1,4-ジチオ-DL-トレイトール、0.005%のBrij-35、5μg/mlの剪断したサケ精子DNA、10 nMの大腸菌GyrA、10 nMの大腸菌GyrB、160μMのATP、およびジメチルスルホキシド中の化合物。化合物の力価は、異なる10種類の濃度の化合物の存在下で実施した反応から判定したIC50測定値に基づくものであった。
【0150】
実施例の化合物は一般に<20μg/mlのIC50をもっていた。
【0151】
細菌感受性試験法
化合物を液体培地中での感受性試験法により抗菌活性について試験した。化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、10回の二倍希釈により感受性アッセイ法で試験した。アッセイに用いる菌を適切な寒天培地上で一夜増殖させ、次いでその菌の増殖に適切な液体培地に懸濁した。この懸濁液は0.5マックファーランド(McFarland)であり、同じ液体培地中にさらに10中1希釈を行って、100μL中の菌最終懸濁液を調製した。プレートを適切な条件下に37℃で24時間インキュベートした後、読み取った。増殖を80%以上低下させることができる最少薬物濃度として、最小阻止濃度を判定した。
【0152】
実施例16は肺炎連鎖球菌に対して1μg/mlのMICをもっていた。他の例を次表に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
本発明の他の観点によれば、その処置を必要とするヒトなどの温血動物において抗菌効果を得る方法であって、該動物に有効量の本発明化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法が提供される。
【0155】
本発明の他の観点によれば、その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースおよび/またはトポイソメラーゼIVを阻害する方法であって、該動物に有効量の前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法が提供される。
【0156】
本発明の他の観点によれば、その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置する方法であって、該動物に有効量の前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法が提供される。
【0157】
本発明の他の観点は、医薬として使用するための、式(I)の化合物およびその医薬的に許容できる塩である。適切には、医薬は抗菌薬である。
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0158】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースおよび/またはトポイソメラーゼIVを阻害するのに使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0159】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩の使用が提供される。
【0160】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される。
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースおよび/またはトポイソメラーゼIVを阻害するのに使用するための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される。
【0161】
したがって本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される。
【0162】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩(医薬組成物に関連するこのセクションにおいては、以下“本発明化合物”)を、ヒトを含めた哺乳類の療法(予防を含む)処置、特に感染症の処置に使用するためには、普通は医薬標準法に従ってこれを医薬組成物として配合する。
【0163】
したがって他の観点において本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる希釈剤またはキャリヤーを含む、医薬組成物を提供する。
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0164】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースおよび/またはトポイソメラーゼIVを阻害するのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0165】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0166】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩(医薬組成物に関連するこのセクションにおいては、以下“本発明化合物”)を、ヒトを含めた哺乳類の療法(予防を含む)処置、特に感染症の処置に使用するためには、普通は医薬標準法に従ってこれを医薬組成物として配合する。
【0167】
したがって他の観点において本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる希釈剤またはキャリヤーを含む、医薬組成物を提供する。
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0168】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースを阻害するのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0169】
本発明の他の観点によれば、ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための、前記に定めた式(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を医薬的に許容できる賦形剤またはキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。
【0170】
本発明組成物は、下記に適切な形であってよい:経口用(たとえば錠剤、トローチ剤、硬または軟カプセル剤、水性または油性懸濁液剤、乳剤、分散性の散剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所用(たとえばクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性の液剤もしくは懸濁液剤として)、吸入による投与(たとえば微細に分割した粉末または液体エアゾル剤として)、吹入による投与(たとえば微細に分割した粉末として)、または非経口投与(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内もしくは筋肉内投与用の無菌の水性もしくは油性液剤として、または直腸投与用の坐剤として)。
【0171】
本発明組成物は、常法により、当技術分野で周知の一般的な医薬賦形剤を用いて得ることができる。たとえば経口用組成物は1種類以上の着色剤、甘味剤、着香剤および/または保存剤を含有することができる。
【0172】
錠剤配合に適切な医薬的に許容できる賦形剤には、たとえば不活性希釈剤、たとえば乳糖、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム;造粒剤および崩壊剤、たとえばトウモロコシデンプンまたはアルゲン酸(algenic acid);結合剤、たとえばデンプン;滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク;保存剤、たとえばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピル;ならびに酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸が含まれる。錠剤配合物には、その崩壊およびその後の消化管内での有効成分の吸収を改変するために、あるいはそれらの安定性および/または外観を改善するために、いずれの場合も当技術分野で周知のコーティング剤およびコーティング法を用いてコーティングを施してもよく、施さなくてもよい。
【0173】
経口用組成物は、有効成分を不活性固体希釈剤、たとえば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合した硬ゼラチンカプセルの形であってもよく、あるいは有効成分を水、または油、たとえばラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセルであってもよい。
【0174】
水性懸濁液剤は一般に、微細に分割した形の有効成分を下記のもの1種類以上と共に含有する:懸濁化剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム;分散剤または湿潤剤、たとえばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(たとえばポリオキシエチレンステアレート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物、たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物、たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物、たとえばポリエチレンソルビタンモノオレエート。水性懸濁液剤は、1種類以上の保存剤(たとえばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピル)、酸化防止剤(たとえばアスコルビン酸)、着色剤、着香剤および/または甘味剤(たとえばショ糖、サッカリンまたはアスパルテーム)を含有してもよい。
【0175】
油性懸濁液剤は、有効成分を植物油(たとえばラッカセイ油、オリーブ油またはヤシ油)または鉱油(たとえば流動パラフィン)に懸濁することにより配合できる。油性懸濁液剤は、増粘剤、たとえば密ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してもよい。美味な経口製剤を得るために、甘味剤、たとえば前記のもの、および着香剤を添加してもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸の添加により保存することができる。
【0176】
水の添加により水性懸濁液剤を調製するのに適切な分散性の散剤および顆粒剤は、一般に有効成分を分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種類以上の保存剤と共に含有する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は既に前記に例示されている。他の賦形剤、たとえば甘味剤、着香剤および着色剤が存在してもよい。
【0177】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形であってもよい。油相は、植物油、たとえばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、たとえば流動パラフィン、またはこれらのいずれかの混合物であってよい。適切な乳化剤は、たとえば天然のゴム、たとえばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、たとえば大豆、レシチン、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されたエステルまたは部分エステル(たとえばソルビタンモノオレエート)、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。乳剤は、甘味剤、着香剤および保存剤を含有してもよい。
【0178】
シロップ剤およびエリキシル剤には、甘味剤、たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはショ糖を配合することができ、粘滑剤、保存剤、着香剤および/または着色剤を含有させてもよい。
【0179】
本発明の医薬組成物は注射用の無菌水性または油性懸濁液剤の形であってもよく、これらは既知の方法に従い、前記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を1種類以上用いて配合できる。注射用無菌製剤は、非経口用として許容できる無毒性の希釈剤または溶剤中における注射用無菌液剤または懸濁液剤の形、たとえば1,3-ブタンジオール中の液剤であってもよい。
【0180】
吸入により投与するための組成物は、微細に分割された固体または液滴を含有するエーロゾルとして有効成分を分配するように調整された一般的な加圧エアゾル剤の形であってもよい。一般的なエアゾル噴射剤、たとえば揮発性のフッ素化炭化水素または炭化水素を使用でき、計量された量の有効成分を分配するようにエアゾル器具を調整することが好都合である。
【0181】
配合物の詳細な情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; 編集長), Pergamon Press 1990, Vol. 5, 25.2章を参照されたい。
1種類以上の賦形剤と混和して単一剤形を製造するための有効成分の量は、処置されるホストおよび個々の投与経路に応じて必然的に異なるであろう。たとえばヒトに経口投与するための配合物は、一般にたとえば0.5 mg〜2 gの有効成分を適切かつ好都合な量の賦形剤と配合したものを含有する。賦形剤は全組成物の約5〜約98 %であってよい。単位剤形は、一般に約1〜約500 mgの有効成分を含有するであろう。投与経路および投与量の詳細な情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; 編集長), Pergamon Press 1990, Vol. 5, 25.3章を参照されたい。
【0182】
本発明の医薬組成物は、本発明化合物のほかに、臨床的に有用な他の抗菌薬(たとえばマクロライド類、キノロン類、β-ラクタム類またはアミノグリコシド類)および/または他の抗感染症薬(たとえば抗真菌性トリアゾールまたはアンホテリシン)から選択される1種類以上の既知薬物を含有するか、あるいはそれらと共投与してもよい(同時、逐次または別個に)。これらには、療法有効性を拡張するためのカルバペネム(carbapenem)類、たとえばメロペネム(meropenem)またはイミペネム(imipenem)を含めることができる。本発明化合物は、グラム陰性菌および抗菌薬耐性菌に対する活性を改善するために、殺菌性/透過増強性タンパク質(bactericidal/permeability-increasing protein、BPI)製剤または流出ポンプ(efflux pump)阻害薬を含有するか、あるいはそれらと共投与してもよい。
【0183】
前記のように、個々の疾患状態の治療処置または予防処置に必要な投与量は、処置されるホスト、投与経路、および処置する疾患の重症度に応じて、必然的に異なるであろう。好ましくは1〜50 mg/kgの1日量を用いる。ただし1日量は、処置されるホスト、個々の投与経路、および処置する疾患の重症度に応じて、必然的に異なるであろう。したがって、最適投与量は個々の患者を処置する専門家が決定することができる。
【0184】
式(I)の化合物およびその医薬的に許容できる塩類は、療法薬としての使用のほかに、新規療法薬探索の一部として実験動物、たとえばネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスにおいてDCMジャイレース阻害薬の効果を評価するためのインビトロおよびインビボ試験系の開発および規格化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0185】
以上における他の医薬組成物、プロセス、方法、使用および医薬製造の観点にも、本明細書に記載する本発明化合物の別態様および具体的態様を適用できる。
【0186】
実施例
本発明を限定ではない以下の実施例により説明する。実施例において別途記載しない限り下記のとおりである:
(i)温度を摂氏(℃)で示す;操作を室温または周囲温度、すなわち18〜25℃で行った;
(ii)有機溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた;溶媒の蒸発はロータリーエバポレーターにより減圧下に(600〜4000パスカル; 4.5〜30 mmHg)、最高60℃の浴温で行われた;
(iii)一般に反応経過をTLCにより追跡し、反応時間は説明のために示したものにすぎない;
(iv)最終生成物は満足すべきプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび/または質量スペクトルデータを示した;
(v)収率は説明のために示したものにすぎず、必ずしも綿密なプロセス開発により得ることができるものではない;より多量の物質が必要な場合は製造を繰り返した;
(vii) NMRデータを示した場合、それらは主診断プロトンに関するデルタ値の形であり、別途指示しない限り、300 MHzでペルジュウテリオジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を溶媒として用いて測定した、内標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示される;
(vii)化学記号はそれらの通常の意味をもつ;SI単位および記号を用いる;
(viii)溶媒比を容量:容量(v/v)で示す;
(ix)質量分析は、70電子ボルトの電子エネルギーにより化学イオン化(CI)モードで直接照射プローブを用いて行われた;イオン化と指示した場合、それは電子衝撃(EI)、高速原子衝突(FAB)またはエレクトロスプレー(ESP)により行われた; m/z値を示す;一般に親質量を示すイオンのみを報告する;別途記載しない限り、引用した質量イオンは(M+H)+である;
(x)合成が前記例に記載したものと同様であると記載した場合、使用量はその前記例で用いたものと同等なミリモル比である;
(xi)下記の略号を用いた:
THF テトラヒドロフラン;
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;
EDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド;
TFA トリフルオロ酢酸;
DCM ジクロロメタン;
DMF N,N-ジメチルホルムアミド;および
DMSO ジメチルスルホキシド。
【0187】
実施例1
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル
トランス-3-(4-アミノシクロヘキシル)安息香酸エチル(中間体12; 280 mg, 0.911 mmol)、3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸(中間体28; 172 mg, 0.911)、HOBt (123 mg, 0.911 mmol)およびN-メチルモルホリン(0.5 ml, 4.56 mmol)の、塩化メチレン(5 ml)中における撹拌溶液に、EDC (314 mg, 1.64 mmol)を添加した。反応混合物を一夜撹拌し、次いでDCMと水の間で分配した。有機層を1 N HCl、飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1.5:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、表題化合物(117 mg, 30%)を得た。NMR: 1.32 (t, 3H), 1.51 (m, 4H), 1.83 (br d, 2H), 1.99 (br d, 2H), 2.13-2.30 (m, 4H), 2.63 (m, 2H), 3.84 (m, 1H), 4.31 (q, 2H), 7.14 (d, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.70-7.94 (m, 2H), 11.99 (br s, 1H); MS m/z 423, 425。
【0188】
実施例2〜4
実施例1の方法により、3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸(中間体28)および指示した出発物質(SM)から出発して下記の化合物を製造した。
【0189】
【表2】

【0190】
実施例5
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル(実施例1; 90 mg, 0.213 mmol)の、2:1:1 THF/エタノール/水(6 ml)中における撹拌溶液に、水酸化リチウム(11 mg, 0.255 mmol)を添加した。反応混合物を一夜撹拌し、次いで酢酸エチルと水の間で分配した。10% HClの添加により水層をpH 3の酸性にした。生成した固体を濾過により採集して、表題化合物(36 mg, 43%)を得た。NMR: 1.31-1.72 (m, 4H), 1.88 (br d, 2H), 2.01 (br d, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.61 (t, 1H), 3.85 (dd, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.42 (t, 1H), 7.46-7.63 (m, 1H), 7.64-7.93 (m, 2H), 12.00 (s, 1H), 12.92 (br s, 1H); MS m/z 396, 398。
【0191】
実施例6〜8
実施例5の方法により、指示した出発物質(SM)から出発して下記の化合物を製造した。
【0192】
【表3】

【0193】
実施例10
3,4-ジクロロ-N-(4-{3-[(メトキシアミノ)カルボニル]フェニル}シクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸(実施例16; 37 mg, 0.09 mmol)、メトキシアミン塩酸塩(6 mg, 0.09 mmol)、HOBt (12 mg, 0.09 mmol)およびN-メチルモルホリン(0.3 ml, 0.27 mmol)の、DCM (3 ml)中における溶液に、EDC (31 mg, 0.16 mmol)を添加した。反応混合物を一夜撹拌し、次いで酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を1 N HCl、飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して、表題化合物(19 mg, 48%)を得た。NMR: 1.61-1.82 (m, 4H), 2.07-2.10 (m, 4H), 2.24 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 4.16 (m, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.47-7.55 (m, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.97 (s, 1H), 11.80 (s, 1H), 12.11 (s, 1H); MS m/z441, 443。
【0194】
実施例11
3-((3,4-シス)-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸
N-[(1,2)-シス-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル]-3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド(中間体26; 100 mg, 0.262 mmol)、(3-エトキシカルボニルフェニル)ボロン酸(61 mg, 0.31 mmol)、PS-PPh3-Pd (樹脂, 0.11 mmol/g, 240 mg, 0.026 mmol)および炭酸カリウム(127 mg, 0.92 mmol)を、密閉試験管内でDME/EtOH/H2O混合物(2:2:1, 4 ml)に懸濁した。反応混合物をマイクロ波条件下で150℃に加熱し、室温に冷却し、濾過した。濾過ケークを酢酸エチル(10 ml)および水(5 ml)で洗浄し、水層を合わせて2M HClでpH 2の酸性にし、酢酸エチル(2回,10 ml)で抽出し、有機層を合わせて乾燥させ、真空濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル中、5% - 15%のMeOHの勾配)により精製して、表題化合物を灰白色固体(6 mg)として得た。M.p. 255℃。NMR: 1.87 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.51 (m, 2H), 3.42 (s, 3H), 4.05 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 6.31 (m, 1H), 7.12 (d, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.98 (s, 1H), 12.17 (br s, 1H), 13.05 (br s, 1H). MS (ESN): 423.24 (M-) C20H20Cl2N2O4について。
【0195】
実施例12〜15
実施例11の方法により、指示した出発物質(SM)から出発して下記の化合物を製造した。
【0196】
【表4】

【0197】
実施例16
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸
3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸(実施例7; 40 mg, 0.972 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1 ml)を添加した。反応混合物を45分間撹拌し、水で希釈し、生成した固体を濾過により採集して、表題化合物(25 mg, 60%)を得た。NMR: 1.83 (m, 2H), 1.98 (m, 2H), 2.09-2.36 (m, 5H), 4.10 (m, 1H), 6.19 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.47 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.97 (s, 1H), 12.03 (s, 1H); MS m/z 394, 396。
【0198】
出発物質の製造
中間体1
3-(8-ヒドロキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-8-イル)安息香酸エチル
3-ヨード安息香酸エチル(3.31 g, 12.00 mmol)の、THF (17 ml)中における-20℃の溶液(ドライアイス, 2-プロパノール)に、2-プロピルマグネシウムクロリド(6.18 ml, THF中2.0 M, 12.36 mmol)を徐々に添加した。反応混合物を30分間撹拌し、次いで1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(1.50 g, 9.60 mmol)を添加した。反応混合物を0℃に高め、3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウムの間で分配した。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、表題化合物(1.05 g, 36%)を得た。NMR (CDCl3): 1.79 (m, 1H), 1.40 (t, 3H), 1.79 (m, 1H), 2.01 (m, 2H), 2.18 (m, 1H), 2.52 (m, 2H), 4.00 (m, 2H), 4.04 (s, 4H), 4.38 (q, 2H), 7.41 (t, 1H), 7.93 (m, 1H), 7.96 (dt, 1H), 8.21 (t, 1H)。
【0199】
中間体2
中間体1の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0200】
【表5】

【0201】
中間体3
3-(4-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル
3-(8-ヒドロキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-8-イル)安息香酸エチル(中間体1; 1.05 g, 3.43 mmol)の0℃の溶液に、TFA (10 ml)を徐々に添加した。氷浴を取り除き、反応混合物を40℃に20分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いでクロロホルムと水の間で分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、表題化合物(395 mg, 50%)を得た。NMR (CDCl3): 1.37 (t, 3H), 2.77 (m, 2H), 2.98 (m, 2H), 3.33 (m, 2H), 4.42 (q, 2H), 6.34 (s, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.72 (d, 1H), 7.98 (d, 1H), 8.23 (s, 1H)。
【0202】
中間体4
中間体3の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0203】
【表6】

【0204】
中間体5
3-(4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル
3-(4-オキソシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル(中間体3; 487 mg, 2.10 mmol)の、2-プロパノール(5 ml)中における溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(87 mg, 2.31 mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、メタノールを添加し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、表題化合物(236 mg, 48%)を得た。NMR (CDCl3): 1.40 (t, 3H), 1.88 (m, 1H), 2.04 (m, 1H), 2.26 (m, 1H), 2.58 (m, 3H), 4.09 (m, 1H), 4.39 (q, 2H), 6.07 (s, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.91 (d, 1H), 8.06 (s, 1H)。
【0205】
中間体6
中間体5の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0206】
【表7】

【0207】
中間体7および中間体8
シス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチルおよびトランス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル
3-(4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル(中間体5; 236 mg, 1.00 mmol)、ギ酸アンモニウム(635 mg, 10.00 mmol)および10% Pd/C (10 mg)の、エタノール(10 ml)中における混合物を、50℃に1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ケイソウ土により濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1.5:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、シス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル(100 mg, 42%)およびトランス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル(57 mg, 25%)を得た;
シス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル:NMR (CDCl3): 1.40 (t, 3H), 1.70 (m, 4H), 1.91 (m, 4H), 2.61 (dt, 1H), 4.15 (m, 1H), 4.37 (q, 2H), 7.45-7.36 (m, 3H), 7.88 (d, 1H), 7.93 (s, 1H);
トランス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル:NMR (CDCl3): 2.14 (br d, 2H), 2.57 (dt, 1H), 3.73 (dt, 1H), 4.37 (q, 2H), 7.41-7.38 (m, 2H), 7.89-7.86 (m, 2H)。
【0208】
中間体9
トランス-3-(4-アジドシクロヘキシル)安息香酸エチル
シス-3-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル(中間体7; 318 mg, 1.29 mmol)の、DCM (5 ml)およびピリジン(0.15 ml)中における0℃の溶液に、塩化メシル(0.14 ml, 1.81 mmol)を添加した。反応混合物を20分間撹拌し、次いでDCMと1 N HClの間で分配した。有機層を水および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をDMSO (3 ml)に溶解し、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(219 mg, 0.65 mmol)およびナトリウムアジド(252 mg, 3.87 mmol)で処理した。反応混合物を50℃に72時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1.5:1 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、表題化合物(251 mg, 71%)を得た。NMR (CDCl3): 1.29-1.46 (m, 3H), 1.46-1.72 (m, 4H), 1.91-2.09 (m, 2H), 2.08-2.25 (m, 2H), 2.46-2.69 (m, 1H), 3.26-3.50 (m, 1H), 4.38 (q, 2H), 7.32-7.50 (m, 2H), 7.80-7.97 (m, 2H)。
【0209】
中間体10〜11
中間体9の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0210】
【表8】

【0211】
中間体12
トランス-3-(4-アミノシクロヘキシル)安息香酸エチル
3-(4-アジドシクロヘキシル)安息香酸エチル(中間体9; 251 mg, 0.912 mmol)、10% Pd/C (25 mg)および酢酸(0.5 ml)の、エタノール(5 ml)中における混合物を、40 psiの水素雰囲気下で30時間振とうした。反応混合物をケイソウ土により濾過し、減圧濃縮して、表題化合物(274 mg, 98%)を得た。NMR (CDCl3): 1.40 (m, 5H), 1.60 (m, 2H), 1.98 (m, 2H), 2.02 (m, 2H), 2.60 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 4.37 (q, 2H), 6.41 (br s, 2H), 7.37 (m, 2H), 7.87 (m, 2H)。
【0212】
中間体13
中間体12の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0213】
【表9】

【0214】
中間体14
3-(1-ヒドロキシ-4-オキソシクロヘキシル)安息香酸エチル
3-(8-ヒドロキシ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-8-イル)安息香酸エチル(中間体1; 1.51 g, 4.93 mmol)の、エタノール(10 ml)中における溶液を、10% HCl (5 ml)で処理した。反応混合物を3日間撹拌し、次いで減圧濃縮して、表題化合物(1.0g, 77%)を得た。NMR (CDCl3): 1.38 (t, 3H), 1.56-1.88 (m, 2H), 2.34-2.46 (m, 4H), 2.88-3.02 (m, 2H), 4.43 (q, 2H), 7.43 (m, 1H), 7.78 (m, 1H), 7.99 (m, 1H), 8.24 (m, 1H)。
【0215】
中間体15
3-(4-アミノ-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル
3-(1-ヒドロキシ-4-オキソシクロヘキシル)安息香酸エチル(中間体14; 1.0 g, 3.81 mmol)の、メタノール(9 ml)中における溶液に、ギ酸アンモニウム(2.4 g, 38.12 mmol)および水(1 ml)を添加した。混合物を10分間撹拌し、続いて10% Pd/C (400 mg)を添加した。反応混合物を一夜撹拌し、ケイソウ土により濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(9:1:0.1 クロロホルム/メタノール/濃水酸化アンモニウム)により精製して、表題化合物(312 mg, 31%)を得た。NMR (CDCl3): 1.40 (t, 3H), 1.65-1.72 (m, 4H), 2.02-2.07 (m, 2H), 2.32-2.43 (m, 2H), 3.16-3.20 (m, 1H), 4.40 (q, 2H), 7.41-7.46 (m, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 8.22 (s, 1H); MS m/z 264。
【0216】
中間体16
3-(4-アミノシクロヘキシル)安息香酸エチル
5-(4-アジドシクロヘキシル)イソフタル酸ジメチル(中間体10; 170 mg, 0.536 mmol)の、THF (15 ml)、水(1.5 ml)および2 N水酸化ナトリウム(0.1 ml)中における0℃の溶液に、トリメチルホスフィン(THF中の1 M溶液0.75 ml, 0.749 mmol)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌し、次いで減圧濃縮した。粗製残留物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物をメタノールに溶解し、ジエチルエーテル中のHClを添加した。生成した固体を濾過により採集して、表題化合物の塩酸塩(56 mg, 31%)を得た。MS m/z 340。
【0217】
中間体17
酢酸4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル
水素化ナトリウム(484 mg, 20.16 mmol)の、乾燥DMF (20 ml)中における懸濁液に、0℃で臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム(542 mg, 1.68m mol)およびヨードメタン(4.78 g, 33.6 mmol)を添加した。得られた混合物を、酢酸(1,2-トランス-)4-ブロモ-2-ヒドロキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル(3.95 g, 16.8 mmol) (Aust. J. Chem., 1991, 44, 939-950)の、DMF (10 ml)中における溶液で、滴加処理し、次いで混合物を0℃で3時間撹拌し、次いで4℃の冷蔵庫内に一夜保持した。これを飽和NH4Cl水溶液(10 ml)で反応停止し、得られた混合物を5% HCl溶液(100 ml)に0℃で注入し、酢酸エチル(100 ml, 2回)で抽出し、乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の50% DCM)により精製して、表題化合物を黄色の油(ジアステレオマー混合物, 2.17 g)として得た。NMR (CDCl3) (ジアステレオマー): 1.82 (m, 2H), 2.08 (m, 2H), 2.08 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.54 (m, 2 x 2H), 3.43 (s, 2 x 3H), 3.72 (m, 1H), 3.86 (m, 1H), 5.12 (m, 1H), 5.15 (m, 1H), 6.11 (m, 1H), 6.13 (m, 1H)。
【0218】
中間体18および19
(1,2-トランス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-オールおよび(1,2-シス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-オール
酢酸4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル(中間体17; 2.15 g, 8.64 mmol)をTHF/MeOH (1:1; 20 ml)に溶解し、次いでこれを0℃に冷却した。1 N水酸化ナトリウム(17.2 ml)を添加し、得られた混合物を0℃で20分間撹拌し、続いて5% HCl (10 ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(30ml, 2回)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると油が得られた。この粗製試料をさらにフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン/DCM, 1;5:2)により精製すると2種類のジアステレオマーが得られ、相対コンホメーションをNOEプロトンNMR実験により確認した。極性の低い方のものはシス異性体(551 mg)であり、一方、極性のものは対応するトランス異性体(460 mg)であった;
(1,2-トランス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-オール:NMR (CDCl3): 1.80 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 2.30 (m, 1H), 2.55 (m, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.67 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 6.08 (m, 1H);
(1,2-シス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-オール:NMR (CDCl3): 1.78 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 2.42 (m, 2H), 2.63 (m, 1H), 3.46 (s, 3H), 3.72 (m, 1H), 3.97 (m, 1H), 6.10 (m, 1H)。
【0219】
中間体20
メタンスルホン酸(1,2-トランス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル
(1,2-トランス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-オール(中間体18; 460 mg, 2.22 mmol)を乾燥DCM (10 ml)に溶解し、0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(382 mg, 3.33 mmol)およびトリエチルアミン(448 mg, 4.44 mmol)で処理した。混合物を0℃で10分間撹拌し、次いで室温に高め、さらに30分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(25 ml)で希釈し、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、目的生成物として油が得られた。生成物の重量を測定せず、さらに精製せずにこれを次の工程に使用した。NMR (CDCl3): 1.80 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 2.30 (m, 1H), 2.55 (m, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.67 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 6.08 (m, 1H)。
【0220】
中間体21
中間体20の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0221】
【表10】

【0222】
中間体22
(1,6-シス)-6-アジド-3-ブロモシクロヘキサ-2-エン-1-イルメチルエーテル
メタンスルホン酸(1,2-トランス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル(中間体20; 粗製)をジメチルスルホキシド(5 ml)に溶解し、ナトリウムアジド(519 mg, 7.98 mmol)で処理し、65℃で10日間撹拌した。反応はまだ完了していなかったが、これを室温に冷却し、DCM (30 ml)で希釈し、水およびブラインで洗浄し、有機層を採集し、乾燥させた。次いでこれをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン/DCM, 1:2:4)により精製して、目的生成物を油(157 mg)として得た。NMR (CDCl3): 1.85 (m, 1H), 2.13 (m, 1H), 2.50 (m, 1H), 2.62 (m, 1H), 3.49 (s, 3H), 3.67 (m, 1H), 3.85 (m, 1H), 6.16 (m, 1H)。
【0223】
中間体23
中間体22の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0224】
【表11】

【0225】
中間体24
(1,2-シス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-アミン
(1,6-シス)-6-アジド-3-ブロモシクロヘキサ-2-エン-1-イルメチルエーテル(中間体22; 157 mg, 0.68 mmol)の、THF/H2O (12:1, 13 ml)中における溶液に、2M水酸化ナトリウム(0.5 ml)を添加し、混合物を0℃に冷却し、続いてトリメチルホスフィン(77 mg, 1.02 mmol)を添加した。得られた混合物を0℃で撹拌し、室温に高め、一夜撹拌した。DCM (50 ml)を添加し、混合物を5分間撹拌し、水層をDCM (2回,20 ml)で抽出し、有機相を合わせて乾燥させ、減圧濃縮して、表題化合物を油(127 mg)として得た。NMR (CDCl3): 1.70 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 2.50 (m, 2H), 3.05 (m, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.63 (m, 1H), 6.17 (m, 1H)。
【0226】
中間体25
中間体24の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0227】
【表12】

【0228】
中間体26
N-[(1,2)-シス-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-イル]-3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド
(1,2-シス)-4-ブロモ-2-メトキシシクロヘキサ-3-エン-1-アミン(中間体24; 125 mg, 0.61 mmol)、5-メチル-3,4-ジクロロピロリルカルボン酸(141 mg, 0.73 mmol)、HOBt (262 mg, 1.94 mmol)およびN-メチル-モルホリン(216 mg, 2.14 mmol)を、乾燥DCM (10 ml)中で混合し、0℃に冷却した。1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(175 mg, 0.92 mmol)を添加し、混合物を10分間撹拌した。3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸(中間体28; 125 mg, 0.61 mmol)を添加し、混合物を一夜撹拌し、50 mlのDCMで希釈し、5% HClおよびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ、真空濃縮した。残留物をDCM (6 ml)に溶解し、加熱し、ヘキサンを添加し、生成した沈殿を濾過して、目的生成物(220 mg)として採集した。NMR (CDCl3): 1.87 (m, 1H), 2.04 (m, 1H), 2.26 (s, 3H), 2.59 (m, 2H), 3.45 (s, 3H), 3.73 (m, 1H), 4.28 (m, 1H), 6.31 (m, 1H), 7.27 (m, 1H), 9.83 (br, 1H). MS (ESN): 381.16 (M-1) C14H15Cl2N2O2Brについて。
【0229】
中間体27
中間体26の方法により、指示した出発物質を用いて下記の化合物を製造した。
【0230】
【表13】

【0231】
中間体28
3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸
3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル(中間体29, 7.765 g, 0.03496 mol)をMeOH (80 ml)およびDCM (10 ml)に溶解し、70℃の2 N LiOH溶液(105 ml, 0.21 mol)に徐々に添加した。2時間後、反応混合物を室温に冷却し、続いて氷浴に入れ、続いて2 N HClで酸性にした。混合物を0℃で1時間撹拌し、紫色固体を濾過し、水で洗浄し、一夜凍結乾燥して、4.314 g (0.0222 mol, 収率64%)の目的生成物を得た。NMR: 2.17 (s, 3H); MS (ES-): 192.13, 194.13 (M-H)- C6H5Cl2NO2について。
【0232】
中間体29
3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル
5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル(中間体30; 7.00 g, 0.0457 mol)の、テトラクロロメタン(30 ml)中における溶液を、窒素下で0℃に冷却した。装置に用いたゴム隔壁に針で孔を開け、次いでSO2Cl2(7.8 ml, 0.096 mol)を25分間かけて滴加した。1時間以内に反応混合物はスラリーを形成した。固体を吸引濾過により採集し、冷テトラクロロメタンで洗浄し、真空下で一夜乾燥させて、表題化合物を桃色固体(7.84 g, 0.0353 mol, 収率77%)として得た。NMR: 1.34-1.40 (t, 3H), 2.28 (s, 3H), 4.32-4.38 (m, 2H); MS (ES-): 222.00, 224.00 (M-H)- C8H9Cl2NO2について。
【0233】
中間体30
5-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸エチル
ナトリウム(2.79 g, 0.121 mmol)を無水EtOH (100 ml)に溶解し、次いで2,2,2-トリクロロ-1-(5-メチル-1H-ピロール-2-イル)エタノン(中間体31; 22.5 g, 0.099 mmol)を少量ずつ添加した。この暗褐色溶液を室温で30分間撹拌し、次いで真空濃縮して小容量にした。混合物を氷浴で冷却し、3 N HClを徐々に添加し、ジエチルエーテル(3回,100 ml)で抽出した。エーテル抽出液を10% NaHCO3、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮して、表題化合物を褐色固体(15.04 g)として得た。NMR: 1.32 (t, 3H), 2.10 (s, 3H), 4.37 (q, 2H), 5.96 (dd, 1H), 6.78 (dd, 1H), 11.67 (s, 1H)。
【0234】
中間体31
2,2,2-トリクロロ-1-(5-メチル-1H-ピロール-2-イル)エタノン
無水ジエチルエーテル(30 ml)中の2-メチル-1H-ピロール(中間体32, 10 g, 0.123 mmol)を、塩化トリアセチル(29 g, 0.16 mmol)の、無水Et2O (100 ml)中における撹拌溶液に、1時間かけて滴加した。混合物をさらに1時間撹拌し、次いでK2CO3(10 g/30 ml)を滴下ろうとで徐々に添加した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、脱色用木炭(3 g)により30分間、室温で処理した。得られた紫色溶液を濃縮し、n-ヘキサンで摩砕処理して、表題化合物を紫色固体(16.72 g)として得た。NMR (CDCl3): 2.36 (s, 3H), 6.04 (dd, 1H), 7.45 (dd, 1H), 10.34 (s, 1H)。
【0235】
中間体32
2-メチル-1H-ピロール
水酸化カリウム(50 g, 0.89 mmol)を、エチレングリコール(750 ml)および1H-ピロール-2-カルボアルデヒド(50 g,0.53 mmol)の溶液に添加した。ヒドラジン水和物(37 ml, 0.745 mmol)を15分間かけて徐々に添加した。反応混合物を90℃で90分間還流した。混合物を室温に冷却し、冷水(250 ml)を添加した。この水性混合物をDCM (250 ml)で抽出した。有機相を水(250 ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮した。クーゲルロール(Kugelrohr)蒸留により表題化合物を透明な無色液体(29.75 g)として得た。NMR: 2.14 (s, 3H), 5.77 (s, 1H), 5.93 (dd, 1H), 6.25 (dd, 1H), 10.54 (s, 1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

またはその医薬的に許容できる塩
[式中:
R1は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R1は炭素において1個以上のハロまたはシクロプロピルで置換されていてもよく;
R2は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R2は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
R3は、水素、ニトロ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)およびC3-6シクロアルキルから選択され;その際、R3は炭素において1個以上のハロまたはC3-6シクロアルキルで置換されていてもよく;
Wは、-O-、-N(R6)-または-C(R7)(R8)-であり;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
Xは、直接結合、-CH2-、-C(O)-またはS(O)q-(qは1または2である)であり;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される]。
【請求項2】
式IAの化合物である、請求項1の化合物:
【化2】

またはその医薬的に許容できる塩
[式中:
R1は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
R2は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
R3は、水素、ハロまたはC1-4アルキルから選択され;
“--”は、結合であるか、または存在せず;
Xは、直接結合、-CH2-、-C(O)-またはS(O)q-(qは1または2である)であり;
環Dは、カルボサイクリルまたはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよく;
R4およびR5は、炭素上の置換基であり、独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、スルホ、ホルミル、ウレイド、ヒドロキシイミノメチル、N-ヒドロキシホルムアミド、ヒドラジノカルボニル、N-ヒドロキシエタンイミドイル、アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、N'-(C1-4アルキル)ウレイド、N',N'-(C1-4アルキル)2ウレイド、N-(C1-4アルキル)-N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルキルスルホニルアミノカルボニル、N'-(C1-4アルキル)ヒドラジノカルボニル、N',N'-(C1-4アルキル)2ヒドラジノカルボニル、カルボサイクリル-R10-またはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R4およびR5は互いに独立して炭素において1個以上のR12で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR13から選択される基で置換されていてもよく;
R6、R7およびR8は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され;
nは、0〜4であり;その際、R4の意味は同一でも異なってもよく;
mは、0〜4であり;その際、R5の意味は同一でも異なってもよく;
R12は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、C1-4アルカノイルオキシ、N-(C1-4アルキル)アミノ、N,N-(C1-4アルキル)2アミノ、C1-4アルカノイルアミノ、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)2カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは0〜2である)、C1-4アルコキシカルボニル、N-(C1-4アルキル)スルファモイル、N,N-(C1-4アルキル)2スルファモイル、C1-4アルキルスルホニルアミノ、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、カルボサイクリル-R14-またはヘテロサイクリル-R15-から選択され;その際、R12は互いに独立して炭素において1個以上のR16で置換されていてもよく;ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR17から選択される基で置換されていてもよく;
R9、R13およびR17は、独立してC1-4アルキル、C1-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C1-4アルキル)カルバモイル、N,N-(C1-4アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルから選択され;
R10、R11、R14およびR15は、独立して直接結合、-O-、-N(R18)-、-C(O)-、-N(R19)C(O)-、-C(O)N(R20)-、-S(O)p-、-SO2N(R21)-または-N(R22)SO2-から選択され;その際、R18、R19、R20、R21およびR22は、独立して水素またはC1-4アルキルから選択され、pは0〜2であり;
R16は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、エテニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイルまたはN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択される]。
【請求項3】
式IBの化合物である、請求項1または2の化合物:
【化3】

[式中:
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニルまたはC1-4アルキルスルホニルアミノから選択され;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-C(O)-から選択される]。
【請求項4】
式ICの化合物である、請求項1〜3の化合物:
【化4】

[式中:
環Dはヘテロサイクリルであり;その際、ヘテロサイクリルが-NH-部分を含む場合、その窒素はR9から選択される基で置換されていてもよい]。
【請求項5】
式IDの化合物である、請求項1〜4の化合物:
【化5】

[式中:
R4は、炭素上の置換基であり、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはヘテロサイクリル-R11-から選択され;その際、R11は-C(O)-であり;
R5は、炭素上の置換基であり、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはモルホリノ-C(O)-から選択される]。
【請求項6】
式IEの化合物である、請求項1〜5の化合物:
【化6】

[式中:
R5aは、カルボキシ、N-(C1-4アルコキシ)カルバモイル、C1-4アルキルS(O)a(aは2である)、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルスルホニルアミノまたはモルホリノ-C(O)-から選択され;
R5bは、HまたはR5aについて定めたものである]。
【請求項7】
下記の化合物
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル;
シス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸エチル;
3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸エチル;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)イソフタル酸ジメチル;
トランス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸;
シス-3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキシル)安息香酸;
3-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-1-ヒドロキシシクロヘキシル)安息香酸;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)イソフタル酸;
3-(トランス-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
3,4-ジクロロ-N-(4-{3-[(メトキシアミノ)カルボニル]フェニル}シクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3-((3,4-シス)-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
3-(トランス-4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メトキシシクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸エチル;
3,4-ジクロロ-N-(トランス-2-メトキシ-4-{3-[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}シクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3,4-ジクロロ-N-{トランス-2-メトキシ-4-[3-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル]シクロヘキサ-3-エン-1-イル}-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
3,4-ジクロロ-N-{トランス-2-メトキシ-4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]シクロヘキサ-3-エン-1-イル}-5-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド;
5-(4-{[(3,4-ジクロロ-5-メチル-1H-ピロール-2-イル)カルボニル]アミノ}シクロヘキサ-1-エン-1-イル)安息香酸;
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項8】
請求項1〜7の化合物またはその医薬的に許容できる塩、および医薬的に許容できる希釈剤またはキャリヤーを含む、医薬組成物。
【請求項9】
その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置する方法であって、該動物に有効量の請求項1〜7の化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
【請求項10】
その処置を必要とするヒトなどの温血動物において細菌性DNAジャイレースを阻害する方法であって、該動物に有効量の請求項1〜7の化合物またはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1〜7の化合物およびその医薬的に許容できる塩。
【請求項12】
ヒトなどの温血動物において抗菌効果を得るのに使用するための医薬の製造における、請求項1〜7の化合物またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項13】
ヒトなどの温血動物において細菌感染症を処置するのに使用するための医薬の製造における、請求項1〜7の化合物またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項14】
請求項1〜7の化合物を製造するための、下記を含む方法:
方法a) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(II)の化合物:
【化7】

(式中:Raはシアノであり、Rbはジメチルアミノまたはジエチルアミノであり;あるいはRaおよびRbは独立してC1-4アルキルチオから選択され;あるいはRaとRbは一緒に1,3-ジチアニルまたは1,3-ジチオラニルを形成している)を式(I)の化合物に変換する;
方法b) 式(I)においてWが-O-である化合物について;式(III)の化合物:
【化8】

を式(IV)の化合物:
【化9】

と反応させる;
方法c) 式(I)においてWが-N(R6)-である化合物について;式(V)の化合物:
【化10】

を式(IV)の化合物またはその活性酸誘導体と反応させる;
方法d) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VI)の化合物;
【化11】

(式中:Lは置換可能な基である)を式(VII)の化合物:
【化12】

と反応させる;
方法e) 式(I)においてWが-C(R7)(R8)-である化合物について;式(VIII)の化合物;
【化13】

(式中:Mは有機金属基である)を式(IX)の化合物:
【化14】

(式中:Lは置換可能な基である)と反応させる;
方法f) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(X)の化合物:
【化15】

を式(XI)の化合物;
【化16】

(式中:YおよびZのうち一方は有機金属基であり、他方は置換可能な基である)と反応させる;
方法g) 式(I)において環Aがシクロヘキシルである化合物について;式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物を還元する;
方法h) 式(I)において環Aがシクロヘキセニルである化合物について;式(XII)の化合物:
【化17】

を脱水する;
次いで必要ならば:
i)式(I)の化合物を式(I)の他の化合物に変換する;
ii)保護基を除去する;
iii)医薬的に許容できる塩を形成する。

【公表番号】特表2008−530193(P2008−530193A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555694(P2007−555694)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000537
【国際公開番号】WO2006/087548
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】