説明

化学物質

ケモカイン受容体に特異的に結合するという方式で標的細胞をHIV感染から保護する効果を示し、標的細胞のCXCR4および/またはCCR5などの受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を与える新規化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケモカイン受容体に特異的に結合するという方式で標的細胞をHIV感染から保護する効果を示し、標的細胞のCXCR4および/またはCCR5などの受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を与える新規の化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
HIVはCD4受容体および細胞膜の表面上に発現される少なくとも1つの共受容体により宿主細胞に侵入する。HIVのマクロファージ指向性株はケモカイン受容体CCR5を利用するのに対して、HIVのT細胞指向性株は共受容体として主にCXCR4を使用する。HIV共受容体の使用は、ウイルスエンベロープタンパク質gp120上に位置するV3ループの超可変領域に大きく依存する。gp120がCD4および適切な共受容体と結合すると、コンホメーションの変化およびgp41と呼ばれる第2のウイルスエンベロープタンパク質のアンマスキングが起こる。次に、タンパク質gp41が宿主の細胞膜と相互作用して、ウイルスエンベロープと細胞との融合をもたらす。それに続くウイルスの遺伝子情報の宿主細胞への転移により、ウイルスの複製の継続が可能になる。このように、HIVによる宿主細胞の感染は、通常、CCR5またはCXCR4、CD4、およびgp120の三重複合体の形成による細胞の中へのウイルスの侵入を伴う。
【0003】
gp120のCCR5/CD4またはCXCR4/CD4のいずれかとの相互作用を阻害する薬剤は、単独または併用療法のいずれかで、それぞれマクロファージ指向性またはT細胞指向性株の感染を特徴とする疾病、障害、または状態の治療に有用な治療薬となり得る。
【0004】
選択的CXCR4アンタゴニストの投与が有効な治療をもたらし得るという証拠は、細胞にCXCR4に選択的なリガンドならびにCXCR4中和抗体を加えることによりHIVウイルス/宿主細胞の融合を遮断することができることを証明したin vitroの研究によりもたらされた。さらに、選択的CXCR4アンタゴニストであるAMD-3100を用いたヒトにおける研究により、前記化合物が二重細胞指向性である患者またはウイルスのT細胞指向性型のみが存在する患者におけるT細胞指向性HIVウイルスの取り込みを顕著に減少させることができることが証明された。
【0005】
HIVの侵入の補因子として作用するほかに、最近、HIVウイルスタンパク質gp120とCXCR4との直接の相互作用が、CD8+ T細胞アポトーシス、および神経細胞アポトーシスの誘導によるAIDS関連認知症の原因である可能性が示唆されている。
【0006】
CXCR4に結合したSDF-1により提供されるシグナルは、腫瘍細胞の増殖および腫瘍の成長に関連する血管形成の調節に重要な役割を果たしている可能性がある。公知の血管形成成長因子VEG-FおよびbFGFは内皮細胞におけるCXCR4のレベルを上昇させ、SDF-1はin vivoにおいて血管新生を誘導し得る。それに加えて、CXCR4を発現する白血病細胞はリンパ節およびSDF-1を発現する骨髄間質細胞に遊走し、接着する。
【0007】
また、SDF-1のCXCR4への結合はアテローム性動脈硬化、腎臓同種移植の拒絶、ぜんそくおよびアレルギー性気道炎症、アルツハイマー病、ならびに関節炎の発病にも関与している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はケモカイン受容体の活性をモジュレートする薬物として作用し得る化合物を目的とする。前記のケモカイン受容体には、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5が含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
本発明は、ケモカイン受容体に特異的に結合するという方式で標的細胞をHIV感染から保護する効果を示し、標的細胞のCXCR4および/またはCCR5などの受容体への天然のリガンドまたはケモカインの結合に影響を与える新規の化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明は、式(I)
【化1】

【0011】
[式中、
tは1または2であり;
それぞれのRは独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR10、または-RaS(O)qR10であり;
それぞれの R1は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
nは0、1、または2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaOR5、または-RaS(O)qR5から選択され、そこにおいて、R2はアミンまたはアルキルアミンを含まず;
それぞれのR4は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
mは0、1、または2であり;
それぞれの R5は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルであり;
pは0または1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、または-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、または-HetRaHetであり;
それぞれのRa は独立して、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたアルキレン、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたシクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、またはアルキニレンであり;
それぞれのR6およびR7は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR10、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、または-S(O)qR10から選択され;
それぞれのR8およびR9は独立してHまたはアルキルから選択され;
それぞれのR10は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、または-RaHetであり;
それぞれのqは独立して0、1、または2であり;
それぞれのAyは独立して、無置換または置換アリール基を表し;
それぞれのHetは独立して、無置換または置換4-、5-、または6-員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を表す]
の化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体を含む。
【0012】
本発明の一態様は、-Hetが場合により少なくとも1個のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、またはアルキルアミノにより置換されている式(I)の化合物を含む。さらに別の実施形態において、-Hetは少なくとも1個のC1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルにより置換されている。本発明の一態様は、-Ayが場合により少なくとも1個のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、またはアルキルアミノにより置換された式(I)の化合物を含む。さらに別の実施形態において、-Ayは少なくとも1個のC1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルにより置換されている。
【0013】
式Iに示されるように、Yp-Xはイミダゾピリジンのいずれの位置を置換されていてもよい。
【0014】
好ましくはtは1である。
【0015】
一実施形態において、RはHまたはアルキルである。好ましくはRはHである。
【0016】
一実施形態において、nは0である。
【0017】
一実施形態において、nは1であり、R1はハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、またはシアノである。
【0018】
一実施形態において、R2はH、アルキル、ハロアルキル、またはシクロアルキルである。好ましくは、R2はアルキルまたはシクロアルキルである。より好ましくは、R2はアルキルである。
【0019】
一実施形態において、mは0である。
【0020】
一実施形態において、mは1または2である。好ましくは、mは1である。
【0021】
mが0でない場合、R4は好ましくは1個以上のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、RaOR10、NR6R7、CO2R10、C(O)NR6R7、またはシアノである。一実施形態において、mは1であり、R4はRaOR10またはC(O)NR6R7である。
【0022】
一実施形態において、pは0であり、Xは、-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である。好ましくは、Xは-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である。より好ましくは、XはRaN(R10)2、-Het、-RaHet、または-HetN(R10)2である。
【0023】
一実施形態において、pは1であり;Yは-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、または-S(O)qNR10-であり;Xは-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である。好ましくは、Yは-N(R10)-、-O-、-CONR10-、-NR10CO-であり、Xは-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、または-HetN(R10)2である。
【0024】
好ましくは、Hetはピペリジン、ピペラジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾール、ピリジン等である。
【0025】
一実施形態において、pは0であり、Xは-Hetである。 好ましくは、-Hetは無置換であるか、1個以上のC1〜C6アルキルまたはシクロアルキルにより置換されている。
【0026】
Ayは、無置換または置換アリール基である。
【0027】
好ましくは、置換基-Yp-Xは、式(I’):
【化2】

【0028】
[式中、
tは1または2であり;
それぞれのRは独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR10、または-RaS(O)qR10であり;
それぞれのR1は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
nは0、1、または2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaOR5、または-RaS(O)qR5から選択され、そこにおいて、R2はアミンまたはアルキルアミンを含まず;
それぞれのR4は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
mは0、1、または2であり;
それぞれのR5は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルであり;
pは0または1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、または-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、または-HetRaHetであり;
それぞれのRaは独立して、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたアルキレン、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたシクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、またはアルキニレンであり;
それぞれのR6およびR7は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR10、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、または-S(O)qR10から選択され;
それぞれのR8およびR9は独立して、Hまたはアルキルから選択され;
それぞれのR10は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、または-RaHetであり;
それぞれのqは独立して、0、1、または2であり;
それぞれのAyは独立して、無置換または置換アリール基を表し;
それぞれのHetは独立して、無置換または置換4-、5-、または6-員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を表す]
に記載される通りのイミダゾピリジン環ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理機能を有する誘導体上に位置する。
【0029】
本発明の好ましい化合物には、
N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-{[5-(1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;および
N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン
が含まれる。
【0030】
本発明の一態様には次の化合物:
N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-{[5-(1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン;
(4S)-N-メチル-N-({5-[4-(1-メチルエチル)-1-ピペラジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-({5-[3-(ジメチルアミノ)-1-ピロリジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-{[5-(4-アミノ-1-ピペリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-{[5-(3-アミノ-1-ピロリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-({5-[メチル(1-メチル-3-ピロリジニル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;および
[2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]メタノール
が含まれる。
【0031】
本発明の一態様には、下記にいずれか1つの実施例を参照して実質的に定義される通りの化合物が含まれる。
【0032】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物が含まれる。
【0033】
本発明の一態様には、活性治療物質として使用するための1種以上の本発明の化合物が含まれる。
【0034】
本発明の一態様には、CXCR4の不適切な活性により引き起こされる疾病および状態の治療または予防に使用するための1種以上の本発明の化合物が含まれる。
【0035】
本発明の一態様には、CCR5の不適切な活性により引き起こされる疾病および状態の治療または予防に使用するための1種以上の本発明の化合物が含まれる。
【0036】
本発明の一態様には、HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎(autoimmune throiditis)、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitus)、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎(eoosinophilic myotis)、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌の治療または予防に使用するための1種以上の本発明の化合物が含まれる。好ましくは、前記状態または疾病は、HIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌である。
【0037】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物を、ケモカイン受容体によりモジュレートされる状態または疾病の治療または予防に使用するための医薬品の製造に使用することが含まれる。好ましくは、ケモカイン受容体はCXCR4またはCCR5である。
【0038】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物を、HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患 (ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎(autoimmune throiditis)、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌の治療または予防に使用するための医薬品の製造に使用することが含まれる。好ましくは、前記使用は、状態または障害がHIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌である医薬品に関する。
【0039】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物を投与することを含む、ケモカイン受容体によりモジュレートされる状態または疾病の治療または予防の方法が含まれる。好ましくは、ケモカイン受容体はCXCR4またはCCR5である。
【0040】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物を投与することを含む、HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患 (ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎(autoimmune throiditis)、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌を治療または予防する方法が含まれる。
【0041】
本発明の一態様には、1種以上の本発明の化合物を投与することを含む、HIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌を治療または予防する方法が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
発明の詳細な説明
用語はその一般に認められた意味の範囲内で使用する。以下の定義は明確にするために記載するものであって、定義された用語を限定するためのものではない。
【0043】
本明細書において、「アルキル」という用語は、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。本明細書において使用される「アルキル」の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書全体において、炭素原子などの原子の好ましい数は、たとえば、「Cx〜Cyアルキル」という表現で表され、これは特定された数の炭素原子を有する本明細書に定義された通りのアルキル基を指す。他の好ましい用語および範囲にも同様の語法を適用する。
【0045】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指す。例には、ビニル、アリル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、1個以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指す。例には、エチニル等が含まれるが、これに限定されない。
【0047】
本明細書において、「アルキレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、場合により置換された2価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。本明細書において使用される「アルキレン」の例には、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、オキソまたはヒドロキシルが含まれる。
【0048】
本明細書において、「アルケニレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する2価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。例には、ビニレン、アリレンまたは2-プロペニレン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、「アルキニレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、1個以上の炭素-炭素三重結合を有する2価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。例には、エチニレン等が含まれるが、これに限定されない。
【0050】
本明細書において、「シクロアルキル」という用語は、場合により置換された非芳香族炭化水素環を指す。「シクロアルキル」基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書において「シクロアルキル」という用語は、場合により置換された縮合多環式飽和または芳香族炭化水素環系、すなわち最大数よりも少ない非累積二重結合を有する多環式炭化水素、たとえば、飽和炭化水素環(たとえば、シクロペンチル環)が芳香環(ここではベンゼン環などの「アリール」)と縮合して、たとえばインダンなどの基を形成する場合を含む。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが含まれる。
【0051】
本明細書において、「シクロアルケニル」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する場合により置換された非芳香族炭化水素環を指し、場合によりそれを介してシクロアルケニルが結合するアルキレンリンカーを有する。「シクロアルケニル」基の例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルが含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが含まれる。
【0052】
本明細書において、「シクロアルキレン」という用語は、場合により置換された二価の非芳香族炭化水素環を指す。「シクロアルキレン」基の例には、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、およびシクロヘプチレンが含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、オキソまたはヒドロキシルが含まれる。
【0053】
本明細書において、「シクロアルケニレン」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する、場合により置換された二価の非芳香族炭化水素環を指す。「シクロアルケニレン」の例には、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、およびシクロヘプテニレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書において、「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、1以上の不飽和度を有し、且つ1個以上のヘテロ原子を有する、場合により置換された単環または多環系を指す。好ましいヘテロ原子には、N、O、および/またはSが含まれ、これにはN-オキシド、酸化硫黄、およびジオキシドも含まれる。より好ましくは、ヘテロ原子はNである。
【0055】
好ましくは、ヘテロシクリル環は3〜12員であり、完全に飽和しているか、1以上の不飽和度を有する。前記の環は、場合により1個以上の別の「複素環」またはシクロアルキル環と縮合していてもよい。「複素環」基の例には、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、アジリジン、アゼチジンおよびテトラヒドロチオフェンが含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが含まれる。
【0056】
本明細書において、「アリール」という用語は、場合により置換されたベンゼン環または場合により置換された縮合ベンゼン環系、たとえば、アントラセン、フェナントレン、またはナフタレン環系を指す。「アリール」基の例には、フェニル、2-ナフチル、および1-ナフチルが含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが含まれる。
【0057】
本明細書において、「ヘテロアリール」という用語は、場合により置換された5〜7員単環式芳香族環、または2個の前記芳香族環を含む、場合により置換された縮合二環式芳香族環系を指す。これらのヘテロアリール環は、1個以上の窒素、硫黄、および/または酸素原子を含み、そこにおいてN-オキシド、酸化硫黄、およびジオキシドはヘテロ原子置換と認められる。好ましくは、ヘテロ原子はNである。
【0058】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」基の例には、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、およびピラゾロピリミジニルが含まれるが、これらに限定されない。好ましい置換基には、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、およびアルキルアミノが含まれる。
【0059】
本明細書において、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0060】
本明細書において、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲンにより置換された、本明細書に定義された通りのアルキル基を指す。本発明に有用な分枝鎖または直鎖「ハロアルキル」基の例には、独立して1個以上のハロゲン、たとえば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素により置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルが含まれるが、これらに限定されない。「ハロアルキル」という用語はパーフルオロアルキル基等の置換基を含むものと解釈されるべきである。
【0061】
本明細書において、「アルコキシ」という用語は、基-OR’を指し、そこにおいて、R’は定義された通りのアルキルである。
【0062】
本明細書において、「シクロアルコキシ」という用語は、基-OR’を指し、そこにおいて、R’は定義された通りのシクロアルキルである。
【0063】
本明細書において、「アルコキシカルボニル」という用語は、
【化3】

【0064】
の通りの基を指し、そこにおいて、R’は本明細書において定義された通りのアルキル基を表す。
【0065】
本明細書において、「アリールオキシカルボニル」という用語は、
【化4】

【0066】
の通りの基を指し、そこにおいて、Ayは本明細書において定義された通りのアリール基を表す。
【0067】
本明細書において、「ニトロ」という用語は、基-NO2を指す。
【0068】
本明細書において、「シアノ」という用語は、基-CNを指す。
【0069】
本明細書において、「アジド」という用語は、基-N3を指す。
【0070】
本明細書において、アミノという用語は、基-NR’R”を指し、そこにおいて、R’およびR”は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールを表す。同様に、「アルキルアミノ」という用語は、それを介してアミノ基が結合するアルキレンリンカーを含む。本明細書において使用される「アルキルアミノ」の例には、-(CH2)xNH2 [式中、xは好ましくは1〜6である]などの基が含まれる。
【0071】
本明細書において、「アミド」という用語は、基-C(O)NR’R”を指し、そこにおいてR’およびR”は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールを表す。本明細書において使用される「アミド」の例には、-C(O)NH2、-C(O)NH(CH3)、-C(O)N(CH3)2等の基が含まれる。
【0072】
本明細書全体を通して、「場合により置換された」または類似の表現は、1個以上の置換基による、多重置換を含む、場合による置換を表す。前記の表現は、本明細書に記載される、または具体的に記載される置換パターンを曖昧にするまたは繰り返すためのものであると解釈されるべきではない。むしろ、当業者は、前記の表現は添付された特許請求の範囲に含まれる明らかな変更を提供するために含まれることを理解するであろう。
【0073】
式(I)の化合物は、多形として知られる性質である2つ以上の形で結晶化する可能性があり、このような多形は式(I)の範囲に含まれる。一般的に、多形性は温度、圧力、またはその両方の変化に反応して生じ得る。また、多形性は結晶化過程の違いの結果としても生じ得る。多形は、X線回折パターン、溶解度、および融点などの当業者に公知の種々の物理的性質により識別することができる。
【0074】
本明細書に記載されるある種の化合物は、1個以上のキラル中心を有し、または別の方法により複数の立体異性体として存在することが可能である。本発明の範囲には、立体異性体の混合物ならびに精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーが富化された混合物が含まれる。また、本発明の範囲には、式(I)により表される化合物の個々の異性体、ならびにそれらの完全にまたは部分的に平衡化した混合物が含まれる。本発明はまた、上記の式により表される化合物の個々の異性体を、それらの1個以上のキラル中心が反転した異性体との混合物として含む。
【0075】
典型的には、必ずというわけではないが、本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩とは、本発明の化合物の無毒の塩を指す。本発明の化合物の塩には、酸付加塩が含まれる。代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、トリメチルアンモニウム、および吉草酸塩が含まれる。製薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物を調製するために有用である可能性があり、これらは本発明の別の態様を形成すると見なされる。
【0076】
本明細書において、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明においては、式Iの化合物、またはその塩もしくは生理機能を有する誘導体)および溶媒により形成されたさまざまな化学量論の複合体を指す。本発明の目的のためには、前記の溶媒は溶質の生物学的活性に干渉してはならない。好適な溶媒の非限定的な例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、使用される溶媒は製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の非限定的な例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される最も好ましい溶媒は水である。
【0077】
本明細書において、「生理機能を有する誘導体」という用語は、哺乳類に投与された場合に本発明の化合物またはその活性代謝物を(直接または間接的に)提供することが可能な本発明の化合物の製薬上許容される誘導体を指す。前記の誘導体、たとえばエステルおよびアミドは、過度の説明をしなくても当業者には明白であろう。「Burger の医化学および薬物の発見(Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」、第5版、第1巻:原理および実践(Principles and Practice)の教示を参照されたい。この文献を生理機能を有する誘導体の記載の範囲内で参照により本明細書に組み入れる。
【0078】
本明細書において、「有効量」という用語は、たとえば研究者または医師が求める組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出すような薬物または医薬品の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、その量を与えられていない対応する被験体と比較して、疾病、障害、または副作用の治療、治癒、予防、または緩和の改善、または疾病または傷害の進行速度の減少が得られるような量を意味する。前記用語の範囲には、正常な生理機能を促進するのに有効な量も含まれる。
【0079】
本明細書において使用される「モジュレーター」という用語は、アンタゴニスト、アゴニスト、逆アゴニスト、部分的アゴニストまたは部分的アンタゴニスト、阻害剤および活性化剤を包含することが意図されている。本発明の一つの好ましい実施形態において、化合物は、標的細胞のCXCR4および/またはCCR5などのケモカイン受容体へのHIVの結合を阻害することによりHIV感染に対する保護効果を示す。本発明は、標的細胞を、ケモカイン受容体へのウイルスの結合を阻害するのに有効な量の化合物と接触させることを含む方法を包含する。
【0080】
ケモカイン受容体がHIV感染において果たす役割に加えて、この受容体のクラスはさまざまな疾病に関与している。そこで、CXCR4モジュレーターは、化学療法の副作用の制御、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および火傷の治療の促進、ならびに白血病における細菌感染の消滅を含むがこれらに限定されない、造血に関連する病気の治療においても治療上の役割を有し得る。それに加えて、化合物は、炎症性またはアレルギー性疾患、たとえば喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患 (ILD)(たとえば特発性肺線維症、または関節リウマチに伴うILD、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎);全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー;自己免疫疾患、たとえば関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病;糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、同種移植片拒絶または移植片対宿主病を含む移植片拒絶;炎症性腸疾患、たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎;脊椎関節症;強皮症;乾癬(T-細胞仲介乾癬を含む)および炎症性皮膚疾患、たとえば皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎(たとえば壊死性、皮膚、および過敏性血管炎);抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および癌を含むがこれらに限定されない炎症に関連する病気においても治療上の役割を有し得る。
【0081】
治療に使用するために、治療上有効な量の式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体をそのままの化学物質として投与してもよい。さらに、活性成分を医薬組成物として提供してもよい。
【0082】
したがって、本発明はさらに、有効量の式(I)の化合物、およびその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体、ならびに1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体は本明細書に記載される通りである。担体、希釈剤または賦形剤は製剤の他の成分と共存可能であるという意味で、また医薬組成物の受容者に害がないという意味で許容されるものでなければならない。
【0083】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む医薬製剤の製造方法が提供される。
【0084】
本発明の化合物の治療上有効な量は多くのファクターに依存する。たとえば、受容者の種、年齢、および体重、治療を必要とする正確な状態およびその重篤度、製剤の性質、および投与経路はすべて考慮すべきファクターである。治療上有効な量は、最終的には治療する医師の裁量に任される。それにもかかわらず、脆弱性に冒されているヒトの治療に対する式(I)の化合物の有効量は、一般的に、1日あたり0.1〜100 mg/受容体(哺乳類)の体重kgの範囲である。より普通には、有効量は1日あたり0.1〜10 mg/体重kgの範囲である。そこで、70 kgの成体の哺乳類に対する1日あたりの実際の投与量の一つの例は通常7〜700 mgである。この量を、1日1回で与えてもよいし、または1日あたりの総投与量が同じになるように複数回(2、3、4、5回、またはそれ以上)の分割量として与えてもよい。式(I)の化合物の塩、溶媒和物、または生理機能を有する誘導体の有効量は、式(I)の化合物それ自体の有効量との比から決定される。同様の投与量が、本明細書に挙げられた他の状態の治療にも適切である。
【0085】
医薬製剤は、単位用量あたりにあらかじめ決められた量の活性成分を含有する単位剤形で提供してもよい。前記の単位は、非限定的な例として、治療される状態、投与経路、および患者の年齢、体重、および状態に応じて、0.5 mg〜1 gの式(I)の化合物を含有する。好ましい単位製剤は、上記に説明した通りの1日あたりの投与量またはその分割量、またはそれらの適切な分割量の活性成分を含有するものである。このような医薬製剤は製薬業界において公知のいかなる方法により調製してもよい。
【0086】
医薬製剤は、すべての適切な経路、たとえば、経口(口腔または舌下を含む)、直腸、鼻内、局所(口腔、舌下または経皮を含む)、腟内、または非経口(皮下、筋内、静脈内または皮内を含む)経路による投与に合わせて作ることができる。このような製剤は製薬業界において公知のいかなる方法によっても、たとえば、活性成分を担体または賦形剤と混合することにより調製してもよい。例として、本発明を限定する意図はないが、本発明の化合物が有用であると考えられる特定の状態および障害に関して、ある経路が他の経路よりも好ましいであろう。
【0087】
経口投与に適した医薬製剤は、カプセルまたは錠剤などの個別の単位;粉末もしくは顆粒;それぞれ水性もしくは非水性の液体を用いた溶液もしくは懸濁液;食用の泡もしくはホイップ;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提供することができる。たとえば、錠剤またはカプセルの剤形による経口投与のために、活性薬物成分を、エタノール、グリセロール、水等の、経口用の無毒の製薬上許容される不活性担体と混合する。一般的に、粉末は、化合物を好適な微細な粒径に粉砕して、食用炭水化物、たとえばデンプンまたはマンニトールなどの適切な医薬担体と混合することにより調製される。香料、保存剤、分散剤、および着色剤を加えてもよい。
【0088】
カプセルは、粉末、液体、または懸濁液混合物を調製し、ゼラチンまたは他の適切な外殻材料によりカプセル化することにより作る。カプセル化の前に、コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤を混合物に加えることができる。カプセルが摂取された時の薬物のアベイラビリティーを改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えることもできる。さらに、所望または必要に応じて、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み入れることもできる。好適な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはベータラクトースなどの天然糖、トウモロコシ甘味料、アラビアゴム、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろう等が含まれる。これらの剤形に有用な滑沢剤には、たとえば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれる。崩壊剤には、これらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が含まれる。
【0089】
錠剤は、たとえば、粉末混合物を調製し、顆粒またはスラッグを作り、滑沢剤および崩壊剤を加え、錠剤に圧縮することにより製剤する。粉末混合物は、化合物を、好適に粉砕して、上記の希釈剤または基剤と混合することにより調製される。場合により、カルボキシメチルセルロース、アリギン酸塩、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウムなどの吸着剤などの成分を加えてもよい。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液(acadia mucilage)、またはセルロースまたはポリマー材料の溶液などの結合剤を加え、スクリーンを通すことにより湿式顆粒化することができる。別の顆粒化法として、粉末混合物を打錠機に通した後、得られた不完全に形成されたスラッグを顆粒に粉砕することができる。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより滑沢化して、打錠型に粘着するのを防ぐことができる。次に滑沢化した混合物を錠剤に圧縮する。また、本発明の化合物は、流動性の不活性担体と混合して、顆粒化またはスラッグ化の段階を経ずに直接錠剤に圧縮することもできる。セラックのシーリングコート、糖またはポリマー材料のコーティング、およびろうのつや出しコーティングからなる透明または不透明な保護コーティングを施すことができる。異なる単位剤形を識別するためにこれらのコーティングに染料を加えることができる。
【0090】
溶液、シロップ、およびエリキシルなどの経口用の液体は、与えられた量にあらかじめ決定された量の化合物を含有するように投薬単位の形で調製することができる。シロップは、たとえば、化合物を好適に香味を付けた水性溶液に溶解することにより調製することができる。一方、エリキシルは無毒のアルコール性媒体を使用することにより調製される。懸濁液は、一般的に、化合物を無毒の媒体に分散することにより製剤することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤;ペパーミント油などの香味添加物、または天然甘味料、サッカリン、もしくは他の人工甘味料等を加えることもできる。
【0091】
適切な場合には、経口投与のための投薬単位製剤はマイクロカプセル化することができる。また、製剤は、たとえば粒子材料をポリマーまたはろう等によりコーティングする、またはそれらに埋め込むことにより放出を延長または持続するように調製することができる。
【0092】
また、式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体は、小さい単層ベシクル、大きい単層ベシクル、および多層ベシクルなどのリポソーム送達システムの形で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
【0093】
また、式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体は、個別の担体として、化合物分子を結合したモノクローナル抗体を使用することにより送達してもよい。
【0094】
また、化合物は、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーに結合させてもよい。上記のポリマーには、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが含まれる。さらに、化合物を、薬物の制御放出を達成するのに有用なある種の生物分解性ポリマー、たとえば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合してもよい。
【0095】
経皮投与に適した医薬製剤は、長時間に渡って受容者の表皮に緊密な接触を維持することを意図した分離したパッチとして提供することができる。たとえば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されるようなイオン導入法によりパッチから送達することができる。前記の文献をこの送達系に関して参照により本明細書に組み入れる。
【0096】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油として製剤される。
【0097】
目または他の外部組織、たとえば口および皮膚の治療には、製剤は局所用軟膏またはクリームとして適用することができる。軟膏に製剤する場合、活性成分をパラフィン軟膏基剤または水混和性軟膏基剤のいずれかと共に使用する。あるいは、活性成分を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリームに製剤してもよい。
【0098】
目に局所投与するのに適した医薬製剤には点眼剤が含まれ、そこにおいて、活性成分は好適な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁される。
【0099】
口の中に局所投与するのに適した医薬製剤には、ロゼンジ、トローチ、およびマウスウォッシュが含まれる。
【0100】
鼻内投与に適した医薬製剤には、担体が固体である場合には、たとえば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末が含まれる。前記粗末は、かぎタバコを吸う時の方法で、すなわち鼻の近くに持ち上げた粗末の容器から鼻腔を通して素早く吸入することにより投与される。担体が液体である場合の、鼻内スプレーまたは点鼻薬としての投与に好適な製剤には、活性成分の水または油溶液が含まれる。
【0101】
吸入による投与に適した医薬製剤には、種々のタイプの定量加圧エアロゾル、ネブライザー、またはインサフレーターにより生成された微粒子のダストまたはミストが含まれる。
【0102】
直腸投与に適した医薬製剤は、坐剤または浣腸剤として提供される。
【0103】
腟内投与に適した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状、またはスプレー製剤として提供される。
【0104】
非経口投与に適した医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を想定される受容者の血液と等張にするための溶質を含有してもよい水性および非水性の無菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。製剤は、単回投与用または複数回投与用の容器、たとえば密閉したアンプルおよびバイアル瓶に入れて提供してもよく、また、使用の直前に無菌の液体担体、たとえば注射用水を加えるのみでよい凍結乾燥した状態で保存してもよい。その場で作る注射溶液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。
【0105】
上に特に記載した成分に加えて、製剤は、使用する製剤のタイプを考慮して、当業者により従来使用される他の物質を含んでもよい。たとえば、経口投与に適した製剤に香味料または着色剤を加えてもよい。
【0106】
本発明の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理機能を有する誘導体は単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。式(I)の化合物および他の薬理活性物質は一緒にまたは別々に投与してよく、別々に投与する場合、投与は同時にまたは順次、いかなる順序でおこなってもよい。式(I)の化合物および他の薬理活性物質の量および投与の相対的なタイミングは所望の併用治療効果を達成するように選択する。式(I)の化合物、その塩、溶媒和物、または生理機能を有する誘導体と他の治療薬との併用による投与は、(1)両方の化合物を含む単一の医薬組成物;または(2)それぞれ一方の化合物を含む別々の医薬組成物を同時に投与することにより組み合わせることができる。あるいは、組合せは、まず一方の治療薬を投与した後に他方を投与する、またはその逆の順序により、順次別々に投与してもよい。このような順次投与は短い時間内におこなわれても、離れた時間でおこなわれてもよい。
【0107】
本発明の化合物は種々の障害および状態の治療に使用することができるので、本発明の化合物はそれらの障害または状態の治療または予防に有用なさまざまな他の好適な治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物は、併用療法がケモカイン受容体の活性をモジュレートするのに有用であり、それにより炎症性および/または免疫調節疾患を予防および治療する場合には、いかなる他の医薬組成物と併用してもよい。
【0108】
本発明は、HIVの予防または治療に有用な1種以上の薬物と併用することができる。このような薬物の例には、次のものが含まれる。すなわち、
ジドブジン(zidovudine)、ジダノシン(didanosine)、ラミブジン(lamivudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、アバカビル(abacavir)、スタビジン(stavidine)、アデフォビル(adefovir)、アデフォビル・ジピボキシル(adefovir dipivoxil)、フォジブジン(fozivudine)、トドキシル(todoxil)および類似の薬物などのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;
ネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)、ロビリド(loviride)、イムノカル(immunocal)、オルチプラズ(oltipraz)、および類似の薬物などの非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(イムノカル、オルチプラズ等などの抗酸化活性を有する薬物を含む);
サキナビル(saquinavir)、リトナビル(ritonavir)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、フォサンプレナビル(fosamprenavir)、ブレカナビル(brecanavir)、パリナビル(palinavir)、ラシナビル(lasinavir)、および類似の薬物などのプロテアーゼ阻害剤;
T-20、T-1249、PRO-542、PRO-140、TNX-355、BMS-806、5-ヘリックス(5-Helix)、および類似の薬物などの侵入阻害剤;
L-870,180および類似の薬物などのインテグラーゼ阻害剤;
PA-344およびPA-457、および類似の薬物などの簇出(budding)阻害剤;および
Sch-C、Sch-D、TAK779、UK 427,857、TAK449、ならびにWO 02/74769、PCT/US03/39644、PCT/US03/39975、PCT/US03/39619、PCT/US03/39618、PCT/US03/39740、およびPCT/US03/39732に記載されるもの、および類似の薬物などの他のCXCR4および/またはCCR5阻害剤である。
【0109】
本発明の化合物のHIV薬との併用の範囲は上記のものに限定されず、原則的に、HIVの治療に有用ないかなる医薬組成物とのいかなる組合せも含まれる。前記のように、このような組合せにおいて、本発明の化合物および他のHIV薬は別々に、または一緒に投与することができる。さらに、一方の薬物を他方の薬物よりも先に、同時に、または後に投与することができる。
【0110】
本発明の化合物は、公知の標準的な合成法を含む種々の方法により製造することができる。下に一般的な合成法の例を記載した後、実施例において本発明の特定の化合物を調製する。
【0111】
下に記載するすべての実施例において、合成化学の一般的な原則に従って、必要な場合には、感受性または反応性の基に対する保護基を使用する。保護基は有機合成の標準的な方法に従って取り扱う(T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts (1991)「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley & Sons、この文献を保護基に関して参照により本明細書に組み入れる)。これらの保護基は、化合物の合成の都合の良い段階で当業者に公知の方法を用いて除去される。方法ならびに反応条件およびその実施の順番は、式(I)の化合物の調製と整合するように選択しなければならない。
【0112】
当業者は式(I)の化合物に立体中心が存在するかどうかを認識することができるであろう。したがって、本発明の範囲はすべての可能な立体異性体を含み、また、ラセミ化合物のみでなく、個々のエナンチオマーをも含む。化合物が1つのエナンチオマーであることが望まれる場合には、これは立体特異的な合成により、最終生成物もしくは都合の良い中間物質の分割により、または当業者に公知のキラルクロマトグラフィー法により得ることができる。最終生成物、中間物質、または出発物質の分割は、当業者に公知のいかなる好適な方法により実施してもよい。たとえば、E. L. Eliel、S. H. Wilen、およびL. N. Manderによる「有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)」(Wiley-Interscience, 1994)を参照されたい。この文献を立体化学に関して参照により本明細書に組み入れる。
【0113】
実験の部
略語
本明細書において、これらの方法、スキームおよび実施例において使用される記号および慣例は、現代の科学文献、たとえば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致する。特に、次の略語を実施例において、および明細書全般を通して使用する。
【0114】
g (グラム); mg (ミリグラム);
L (リットル); mL (ミリリットル);
μL (マイクロリットル); psi (平方インチあたりのポンド);
M (モル); mM (ミリモル);
Hz (ヘルツ); MHz (メガヘルツ);
mol (モル); mmol (ミリモル);
RT (室温); h (時間);
min (分); TLC (薄層クロマトグラフィー);
mp (融点); RP (逆相);
Tr (保持時間); TFA (トリフルオロ酢酸);
TEA (トリエチルアミン); THF (テトラヒドロフラン);
TFAA (無水トリフルオロ酢酸); CD3OD (重水素化メタノール);
CDCl3 (重水素化クロロホルム); DMSO (ジメチルスルホキシド);
SiO2 (シリカ); atm (気圧);
EtOAc (酢酸エチル); CHCl3 (クロロホルム);
HCl (塩酸); Ac (アセチル);
DMF (N,N-ジメチルホルムアミド); Me (メチル);
Cs2CO3 (炭酸セシウム); EtOH (エタノール);
Et (エチル); tBu (tert-ブチル);
MeOH (メタノール); p-TsOH (p-トルエンスルホン酸);
MP-TsOH (Argonaut Technologies製のポリスチレン樹脂に結合したp-TsOHの等価物)
他に指示されない限り、すべての温度を℃(セ氏温度)により表す。他に記載されない限り、すべての反応を室温で実施した。
【0115】
1H NMRスペクトルは、Varian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置またはGeneral Electric QE-300により記録した。化学シフトは100万分の1(ppm、δ単位)により表す。カップリング定数はヘルツ(Hz)の単位で表す。分裂パターンは明らかな多重度で記載され、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、またはb(ブロード)として示す。
【0116】
質量分析は、Micromass Ltd.(Altricham, UK)製のMicromass PlatformまたはZMD質量分析計により、大気圧化学イオン化(APCI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)のいずれかを用いて実施した。
【0117】
単離することができない、または不安定で完全に解析できない中間物質の純度を確認するため、ならびに反応の進行を確認するために分析用薄層クロマトグラフィーを使用した。
【0118】
化合物の絶対配置は、非経験振動円二色性(Ab Initio Vibrational Circular Dichroism)(VCD)分光法により決定することができる。実験的VCDスペクトルは、CDCl3中で、Bomem Chiral RTM VCD分光計を用いて、2000〜800 cm-1の間で操作して得ることができる。Gaussian 98 SuiteコンピュータープログラムをモデルVCDスペクトルを計算するために使用することができる。立体化学配置は、この実験的スペクトルを(R)-または(S)-立体配置のモデル構造について計算したVCDスペクトルと比較することにより決定することができる。前記のような分光学に関して次の文献を参照により組み入れる:J.R. Chesseman, M.J. Frisch, F.J. DevlinおよびP.J. Stephens, Chem. Phys. Lett. 252 (1996) 211; P.J. StephensおよびF.J. Devlin, Chirality 12 (2000) 172; およびGaussian 98, Revision A.11.4, M.J. Frischら、Gaussian, Inc., Pittsburgh PA, 2002。
【0119】
すべての可変基が本明細書に定義した通りである式(I)の化合物は、スキーム1に従って調製することができる。
【0120】
スキーム1
【化5】

【0121】
より具体的には、式(I)の化合物は、還元的条件下で、式(II)の化合物を式(IV)の化合物と反応させることにより、または式(III)の化合物を式(V)の化合物と反応させることにより調製することができる。還元的アミノ化は、式(II)または(III)の化合物を、不活性溶媒中、還元剤の存在下で式(IV)または(V)の化合物で処理することにより実施することができる。反応は50〜150℃に加熱して、または室温でおこなう。好適な溶媒には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等が含まれる。還元剤は、典型的には水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等である。場合により、反応を酢酸、トルエンスルホン酸等などの酸の存在下で実施することができる。
【0122】
式(II)の化合物は、文献(J. Org. Chem., 2003, 68, 3546、WO2002022600、US2004019058、これらの文献をこの合成に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載された通りに調製することができる。また、式(II)の化合物は、3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イルアセテート(Heterocycles, 1979, 12, 493、この文献をこの合成に関して参照により本明細書に組み入れる)を、アセチル保護アルコールの脱保護の後、酸化することにより調製することもできる。式(III)の化合物は、式(II)の化合物を、有機合成の分野において当業者に公知の方法を用いて還元的アミノ化することにより調製することができる。式(V)の化合物は、文献(J. Heterocyclic Chemistry, 1992, 29, 691-697、この文献をこの合成に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載されたものと類似の方法により調製することができる。式(IV)の化合物は式(V)の化合物を当業者に公知の方法を用いて還元的アミノ化することにより調製することができる。
【0123】
スキーム2
【化6】

【0124】
式(I)の化合物は、式(III)の化合物を式(VI) [式中、LVは脱離基(たとえば、ハロゲン、メシレート、トシレート等)である]の化合物と反応させることにより調製することができる。この縮合は典型的には、好適な溶媒中で、場合により塩基の存在下、場合により加熱しておこなう。好適な溶媒には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド等が含まれる。好適な塩基には、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等が含まれる。反応は室温で、または場合により30〜200℃に加熱して実施することができる。場合により反応を電子レンジ中でおこなうことができる。場合により、ヨウ化カリウム、ヨウ化tert-ブチルアンモニウム等などの触媒を反応混合物に加えることができる。式(VI)の化合物は、文献(Chem. Pharm. Bull. 2000, 48, 935; Tetrahedron, 1991, 47, 5173; Tetrahedron Lett. 1990, 31, 3013; J. Heterocyclic Chemistry, 1988, 25, 129; Chemistry of Heterocyclic Compounds, 2002, 38, 590; これらの文献をこの合成に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載されたものと同様の方法により調製することができる。
【0125】
スキーム3
【化7】

【0126】
より具体的には、式(I-A)の化合物は、式(X)の化合物を求核試薬で処理することにより調製することができる。反応は、式(X)の化合物を無溶媒で、または場合により不活性溶媒の存在下で好適な求核試薬で処理することにより実施することができる。反応は50〜200℃に加熱して、または室温でおこなうことができる。場合により反応を電子レンジ中でおこなってもよい。式(X)の化合物は、式(IX)の化合物および式(III)の化合物を還元的アミノ化することにより調製することができる。式(IX)のアルデヒドは文献(たとえば、J. Heterocyclic Chemistry, 1992, 29, 691-697、この文献をこの合成に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載されるものと同様の方法により調製することができる。
【0127】
あるいは、スキーム4に記載されるように、式(X)の化合物および式(XI)の化合物のカップリングにより式(X)の化合物を式(I-B)の化合物に変換することができる。下に記載したカップリング反応は鈴木カップリングであるが、有機化学の分野において当業者に公知の他のカップリング反応(たとえば、スティルカップリング)も式(1-B)の化合物を製造するために使用することができる。これらのカップリング反応は有機合成の分野において当業者に公知である。
【0128】
スキーム4
【化8】

【0129】
場合により、スキーム5に記載されるように、式(X)の化合物を式(XIII)の化合物とカップリングして式(XII)の化合物を形成することができる。式(XII)の化合物の還元により式(I-C)の化合物が得られる。
【0130】
スキーム5
【化9】

【0131】
場合により、式(I-D) [式中、Ypは-C(O)NH-であり、Prはカルボン酸に適した保護基である]の化合物は、スキーム6に示される通りに式(XIV)の化合物から形成することができる。式(XVI)の化合物を脱保護した後、得られた酸を式(XVII)のアミン化合物とカップリングさせる。このカップリングは有機合成の分野において当業者に公知の種々のカップリング剤(たとえば、EDC, HOBt/HBTu; BOPCl)を使用して実施することができる。反応は加熱して、または室温でおこなうことができる。この反応に好適な溶媒にはアセトニトリル、テトラヒドロフラン等が含まれる。
【0132】
スキーム6
【化10】

【実施例】
【0133】
実施例1:N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(中間物質)
【化11】

【0134】
2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オン(900 mg、6.04 mmol)の1,2-ジクロロエタン溶液に、メチルアミン(6.05 mL、2 Mテトラヒドロフラン溶液、12.1 mmol)、酢酸(432μL、7.55 mmol)、およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.56 g、12.1 mmol)をそれぞれ加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をシリカゲルの詰め物により濾過し、アセトニトリル中の10%濃度水酸化アンモニウム水溶液により洗浄した。濾液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル中、0〜10% [メタノール中の2Mアンモニア溶液])により精製して、N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(205 mg、21%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.14 (dd, J = 4.2, 1.7 Hz, 1 H), 7.13-7.06 (m, 2 H), 4.32 (m, 1 H), 4.20 (m, 1 H), 3.75 (t, J = 5.6 Hz, 1 H), 2.55 (s, 3 H), 2.16 (m, 1 H), 2.05 (m, 1 H)。
【0135】
実施例2:N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(中間物質)
【化12】

【0136】
N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(156 mg、0.950 mmol)のアセトニトリル(2 mL)溶液に、2-(クロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン (本明細書参照、175 mg、0.950 mmol)、ヨウ化カリウム(173 mg、1.05 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(331μL、1.90 mmol)をそれぞれ加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により洗浄した。有機層を食塩水により洗浄し、Na2SO4により乾燥した。濾過および濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中、0〜10% [メタノール中の2Mアンモニア溶液])により精製して、N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(180 mg、61%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.22 (apparent t, J = 3.0 Hz, 1 H), 7.70 (s, 1 H), 7.35 (d, J = 9.1 Hz, 1 H), 7.13 (m, 1 H), 7.07-7.05 (m, 2 H), 6.39 (dd, J = 7.5, 4.9 Hz, 1 H), 4.43 (m, 1 H), 4.16 (m, 1 H), 4.05 (dd, J = 7.3, 5.2 Hz, 1 H), 3.97 (m, 2 H), 2.39 (s, 3 H), 2.32 (m, 1 H), 2.13 (m, 1 H);MS m/z 313 (M+H)+
【0137】
実施例3:N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化13】

【0138】
N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(60 mg、0.19 mmol)、N-メチルピペラジン(125μL、1.13 mmol)およびN-メチルピロリジノン(500μL)の混合物を電子レンジ中で200℃に20分間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルおよび水に分配した。有機層を水および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥した。濃縮後、分取HPLCにより精製して、N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(8 mg、11%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.23 (dd, J = 4.2, 1.6 Hz, 1 H), 7.54 (s, 1 H), 7.28 (d, J = 8.9 Hz, 1 H), 7.12-7.02 (m, 3 H), 6.25 (d, J = 7.1 Hz, 1 H), 4.42 (m, 1 H), 4.21-4.09 (m, 2 H), 3.94 (m, 2 H), 3.13 (br, 4 H), 2.66 (br, 4 H), 2.40 (s, 3 H), 2.33 (s, 3 H), 2.30 (m, 1 H), 2.16 (m, 1 H);MS m/z 393 (M+H)+
【0139】
実施例4:N-メチル-N-{[5-(1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化14】

【0140】
N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(60 mg、0.19 mmol)、1-Boc-ピペラジン(150 mg、0.805 mmol)およびN-メチルピロリジノン(500μL)の混合物を電子レンジ中で200℃に20分間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルおよび水に分配した。有機層を水および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥した。濃縮により粗物質が得られ、これをトリフルオロ酢酸:ジクロロメタンの1:1混合物に溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、窒素蒸気下で濃縮した。粗物質を酢酸エチルおよび水に分配した。有機層を水および食塩水により洗浄した後、Na2SO4により乾燥した。濃縮後、フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中の0〜10%濃度水酸化アンモニウム水溶液)により精製して、N-メチル-N-{[5-(1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(26 mg、36%)を橙色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3 /CD3OD)δ8.13 (dd, J = 3.4, 2.5 Hz, 1 H), 7.87 (s, 1 H), 7.29-7.21 (m, 2 H), 7.11-7.10 (m, 2 H), 6.42 (d, J = 6.8 Hz, 1 H), 4.39 (m, 1 H), 4.24 (m, 1 H), 4.12 (m, 1 H), 4.06 (m, 2 H), 3.38 (m, 4 H), 3.30 (m, 4 H), 2.34 (s, 3 H), 2.28 (m, 2 H); MS m/z 379 (M+H)+
【0141】
実施例5:N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン
【化15】

【0142】
本明細書に記載されたものと同様の方法により、N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(60 mg、0.19 mmol)およびN,N,N’-トリメチルエチレンジアミン(150μL、1.15 mmol)から、N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン(30 mg、40%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.22 (dd, J = 3.8, 2.2 Hz, 1 H), 7.72 (s, 1 H), 7.27 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 7.14-7.06 (m, 3 H), 6.27 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 4.46 (m, 1 H), 4.17 (m, 1 H), 4.06 (m, 1 H), 4.00 (m, 2 H), 3.18 (t, J = 7.1 Hz, 2 H), 2.86 (s, 3 H), 2.55 (t, J = 7.1 Hz, 2 H), 2.38 (s, 3 H), 2.33 (m, 1 H), 2.23 (s, 6 H), 2.13 (m, 1 H); MS m/z 395 (M+H)+
【0143】
実施例6:(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(中間物質):
【化16】

【0144】
A) 2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オン:
4-(ヒドロキシメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オール(5.86 g、32.3 mmol)の水(45 mL)溶液を冷却し(0℃)、3倍の分量の過ヨウ素酸ナトリウム(13.8 g、64.7 mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。 反応混合物を酢酸エチルにより希釈して、10分間撹拌した。層を分離し、水層をジクロロメタンにより抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および濃縮して、2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オンを粗固体(4.5 g)として得て、これを精製することなく次の段階に使用した。
【0145】
B) (4S)-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン:
粗2,3-ジヒドロ-4H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-オン(2.43 g)の1,2-ジクロロエタン溶液に、{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}アミン(2.49 g、16.5 mmol)および酢酸(1.4 mL、24.5 mmol)を加えた。反応混合物を1時間攪拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(5.18 g、24.4 mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、ジクロロメタンにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により反応を止めた。有機層を分離して硫酸ナトリウムにより乾燥した。濾過および濃縮の後、フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜10% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(1.90 g、2段階の収率38%)を褐色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.15 (dd, J = 3.0, 3.0 Hz, 1 H), 7.35 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.07 (d, J = 2.8 Hz, 2 H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 4.19 (ddd, J = 11.0, 7.7, 3.3 Hz, 1 H), 4.07 (q, J = 6.5 Hz, 1 H), 4.00 (ddd, J = 11.1, 7.3, 3.5 Hz, 1 H), 3.91 (t, J = 5.7 Hz, 1 H), 3.80 (s, 3 H), 2.32 (br, 1 H), 1.70 (m, 2 H), 1.44 (d, J = 6.6 Hz, 3 H)。
【0146】
C) (4S)-N-メチル-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン:
(4S)-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(1.50 g、5.27 mmol)の1,2-ジクロロエタン(15 mL)溶液に、ホルムアルデヒド(1.28 mL、37%水溶液、15.8 mmol)および酢酸(453μL、7.91 mmol)を加えた。反応混合物を15分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.68 g、7.91 mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、ジクロロメタンにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により反応を止めた。有機層を分離して硫酸ナトリウムにより乾燥した。濾過および濃縮により、(4S)-N-メチル-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(1.17 g、75%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.20 (dd, J = 3.0, 3.0 Hz, 1 H), 7.39 (d, J = 8.2 Hz, 2 H), 7.04 (m, 2 H), 6.84 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 4.39-4.32 (m, 2 H), 4.07-4.02 (m, 2 H), 3.78 (s, 3 H), 2.21 (m, 1 H), 2.03 (s, 3 H), 1.90 (m, 1 H), 1.40 (d, J = 6.6 Hz, 3 H)。
【0147】
D) (4S)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン:
(4S)-N-メチル-N-{(1S)-1-[4-(メチルオキシ)フェニル]エチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(1.17 g、3.92 mmol)のジクロロメタン(5 mL)溶液を冷却し(0℃)、トリフルオロ酢酸(5 mL、64.9 mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタンおよび水に分配した後、0℃に冷却した。固体の炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて塩基性にした。混合物を4:1のクロロホルム:イソプロパノール溶液により抽出した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および濃縮した。粗残渣をクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜7% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(548 mg、85%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.12 (m, 1 H), 7.12-7.05 (m, 2 H), 4.31 (m, 1 H), 4.18 (m, 1 H), 3.78 (m, 1 H), 3.01 (br, 1 H), 2.56 (s, 3 H), 2.17 (m, 1 H), 2.07 (m, 1 H)。
【0148】
E) 2-(クロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン:
6-フルオロ-2-ピリジンアミン(6.7 g、60 mmol)の酢酸エチル(30 mL)溶液を、1,3-ジクロロアセトン(15 g、120 mmol)の酢酸エチル(15 mL) 溶液により処理して、65℃で15時間加熱した。反応液を室温に冷却し、沈殿を濾過し、アセトンおよびエーテルにより洗浄し、乾燥して黄褐色の固体を得た。この中間物質を水に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により処理してpH = 7とした。濾過により沈殿を収集して乾燥し、2-(クロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン(1.9 g、収率77%)を黄褐色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ7.68 (s, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.26-7.20 (m, 1H), 6.47 (dd, 1H), 4.76 (s, 2H)。
【0149】
F) (4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン:
(4S)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(400 mg、2.44 mmol)の溶液に、2-(クロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン(450 mg、2.44 mmol)、ヨウ化カリウム(446 mg、2.68 mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(850μL、4.88 mmol)をそれぞれ加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜7% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(215 mg、28%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.26 (app t, J = 3.0 Hz, 1 H), 7.76 (s, 1 H), 7.41 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 7.19 (m, 1 H), 7.13-7.12 (m, 2 H), 6.44 (dd, J = 7.4, 4.9 Hz, 1 H), 4.45 (m, 1 H), 4.40-4.15 (m, 4 H), 2.48 (s, 3 H), 2.40-2.29 (m, 2 H); MS m/z 313 (M+H)+
【0150】
実施例7: 4-(2-{[(4S)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-2-ピペラジノン
【化17】

【0151】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン(200μL)溶液に、2-ピペラジノン(150 mg、1.50 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で100℃に40分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜10% NH4OH水溶液)により精製して、4-(2-{[(4S)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-2-ピペラジノン(11 mg、16%)を淡黄色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.16 (dd, J = 3.0, 3.0 Hz, 1 H), 7.77 (br, 1 H), 7.30 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.16 (dd, J = 8.9, 7.3 Hz, 1 H), 7.09-7.04 (m, 2 H), 6.29 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 4.40 (ddd, J = 10.8, 6.6, 3.8 Hz, 1 H), 4.13 (ddd, J = 11.2, 8.6, 2.8 Hz, 2 H), 4.00 (m, 2 H), 3.80 (s, 2 H), 3.57 (m, 2 H), 3.36 (m, 2 H), 2.34 (s, 3 H), 2.30 (m, 1 H), 2.17 (m, 1 H); MS m/z 393 (M+H)+
【0152】
実施例8: (4S)-N-メチル-N-({5-[4-(1-メチルエチル)-1-ピペラジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化18】

【0153】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン (200μL)溶液に、1-イソプロピルピペラジン(200μL、1.40 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で85℃に50分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜7% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-メチル-N-({5-[4-(1-メチルエチル)-1-ピペラジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(26 mg、36%)を淡黄色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.24 (dd, J = 3.7, 2.2 Hz, 1 H), 7.65 (s, 1 H), 7.27 (m, 1 H), 7.15-7.07 (m, 3 H), 6.25 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 4.43 (ddd, J = 10.9, 6.9, 3.7 Hz, 1 H), 4.19-4.11 (m, 2 H), 4.01 (m, 2 H), 3.15 (br, 4 H), 2.80 (m, 1 H), 2.78 (br, 4 H), 2.38 (s, 3 H), 2.17 (m, 2 H), 1.13 (d, J = 6.3 Hz, 6 H); MS m/z 421 (M+H)+
【0154】
実施例9:(4S)-N-({5-[3-(ジメチルアミノ)-1-ピロリジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化19】

【0155】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン(200μL)溶液に、3-(ジメチルアミノ)ピロリジン(200μL、1.75 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で、85℃に50分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜7% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-({5-[3-(ジメチルアミノ)-1-ピロリジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(22 mg、31%)を淡褐色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.23 (dd, J = 3.8, 2.2 Hz, 1 H), 7.69 (s, 1 H), 7.20 (d, J = 8.7 Hz, 1 H), 7.12-7.05 (m, 3 H), 6.14 (d, J = 7.1 Hz, 1 H), 4.43 (ddd, J = 10.8, 7.2, 3.5 Hz, 1 H), 4.19-4.09 (m, 2 H), 4.05-3.94 (m, 2 H), 3.56 (app q, J = 8.2 Hz, 1 H), 3.45 (ddd, J = 9.4, 6.7, 2.9 Hz, 1 H), 3.36-3.29 (m, 2 H), 2.91 (app quint, J = 7.6 Hz, 1 H), 2.36 (s, 3 H), 2.31 (s, 3 H), 2.30 (s, 3 H), 2.27 (m, 2 H), 2.15 (m, 1 H), 1.94 (m, 1 H); MS m/z 407 (M+H)+
【0156】
実施例10:(4S)-N-{[5-(4-アミノ-1-ピペリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化20】

【0157】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン (200μL)溶液に、4-アミノピペリジン(200μL、2.09 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で85℃に40分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜10% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-{[5-(4-アミノ-1-ピペリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(14 mg, 21%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.24 (dd, J = 3.7, 1.8 Hz, 1 H), 7.54 (s, 1 H), 7.31 (d, J = 8.9 Hz, 1 H), 7.16-7.05 (m, 3 H), 6.25 (d, J = 7.1 Hz, 1 H), 4.44 (ddd, J = 10.6, 6.7, 3.7 Hz, 1 H), 4.20-4.13 (m, 2 H), 3.99 (m, 2 H), 3.46 (d, J = 11.7 Hz, 2 H), 3.07 (br, 2 H), 2.78 (m, 2 H), 2.36 (m, 1 H), 2.32 (s, 3 H), 2.20-2.09 (m, 4 H), 1.77 (m, 2 H); MS m/z 393 (M+H)+
【0158】
実施例11:(4S)-N-{[5-(3-アミノ-1-ピロリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化21】

【0159】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン(200μL)溶液に、3-アミノピロリジン(200μL、2.29 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で85℃に40分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜10% NH4OH水溶液)により精製して、(4S)-N-{[5-(3-アミノ-1-ピロリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (30 mg、46%)を透明なオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.22 (dd, J = 3.9, 2.0 Hz, 1 H), 7.69 (d, J = 3.9 Hz, 1 H), 7.18 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.11-7.04 (m, 3 H), 6.12 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 4.41 (ddd, J = 10.8, 7.0, 3.6 Hz, 1 H), 4.17-4.09 (m, 2 H), 3.96 (m, 2 H), 3.77 (m, 1 H), 3.62-3.51 (m, 2 H), 3.35 (app q, J = 7.8 Hz, 1 H), 3.18 (m, 1 H), 2.36-2.28 (m, 2 H), 2.33 (s, 3 H), 2.13 (m, 1 H), 1.85 (m, 1 H); MS m/z 379 (M+H)+
【0160】
実施例12:N-メチル-N-({5-[メチル(1-メチル-3-ピロリジニル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化22】

【0161】
(4S)-N-[(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メチル]-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(54 mg、0.173 mmol)のN-メチルピロリジノン(200μL)溶液にN,N’-ジメチル-3-アミノピロリジン(150μL、1.31 mmol)を加えた。反応混合物を電子レンジ中で150℃に40分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および食塩水によりそれぞれ洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥した後、濾過および減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(アセトニトリル中、0〜10% NH4OH水溶液)により精製して、N-メチル-N-({5-[メチル(1-メチル-3-ピロリジニル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン (30 mg, 43%)を淡褐色のオイルとして得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ8.24 (dd, J = 2.9, 2.9 Hz, 1 H), 7.67 (d, J = 2.9 Hz, 1 H), 7.30 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.14-7.05 (m, 3 H), 6.28 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 4.45 (ddd, J = 10.8, 7.2, 3.5 Hz, 1 H), 4.18 (ddd, J = 11.0, 8.5, 2.7 Hz, 1 H), 4.12 (app t, J = 6.4 Hz, 1 H), 4.06-3.94 (m, 3 H), 2.83 (app t, J = 8.7 Hz, 1 H), 2.76 (s, 3 H), 2.71-2.59 (m, 3 H), 2.40 (s, 3 H), 2.38 (d, J = 2.7 Hz, 3 H), 2.34 (m, 1 H), 2.20-2.12 (m, 2 H), 1.91 (m, 1 H); MS m/z 407 (M+H)+
【0162】
実施例13:(4S)-N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン
【化23】

【0163】
A) 6-フルオロ-2-ピリジンアミン:
2,6-ジフルオロピリジン(50 g、434 mmol)の水酸化アンモニウム(200 mL、28.0〜30.0%)中の溶液をスチール製のボンベ中で105℃に15時間加熱した。反応液を氷浴で冷却し、沈殿を濾過し、冷水により洗浄し、乾燥して、6-フルオロ-2-ピリジンアミン(45.8 g、収率94% )を白色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ7.53 (m, 1H), 6.36 (dd, 1H), 6.26 (dd, 1H), 4.56 (s, 2H)。
【0164】
B) 2-(ジクロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン:
6-フルオロ-2-ピリジンアミン(67 g、0.60 mol)のエチレングリコールジメチルエーテ(570 mL)溶液を1,1,3-トリクロロアセトン(190 mL、1.80 mol)により処理し、85℃に15時間加熱した。反応液を氷浴で冷却し、沈殿を濾過し、ヘキサンにより洗浄し、乾燥して、2-(ジクロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン(85 g、収率65%)をオリーブグリーンの固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ8.18 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.54-7.46 (m, 2H), 6.93 (m, 1H)。
【0165】
C) 5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド:
2-(ジクロロメチル)-5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン(103 g、470 mmol)のエタノール(300 mL)および水(600 mL)中の溶液を酢酸ナトリウム(96 g、1.17 mol)により処理して、60℃に2時間加熱した。反応液を冷却し、セライトにより濾過し、減圧濃縮してエタノールを除去した。水相をクロロホルムにより2回抽出し、有機相を合わせて水および食塩水により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した。残渣をシリカのパッドにより濾過し、ジクロロメタンおよび酢酸エチルにより洗浄し、濃縮し、ヘキサンを加えて粉砕し、濾過し、乾燥して、5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(40 g、収率52%)を黄褐色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ10.17 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.38-7.32 (m, 1H), 6.60 (m, 1H); TLC (メチルアルコール-酢酸エチル中、10% 2Mアンモニア) Rf = 0.60。
【0166】
D) (5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メタノール:
5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(80 g、490 mmol)のメタノール (1 L)溶液に、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(24 g、640 mmol)を少しずつ加えた。反応液をゆっくりと室温に戻し、2時間攪拌し、水により反応を止め、濃縮し、ジクロロメタンおよびイソプロピルアルコールの3:1混合物に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により洗浄した。有機層を分離し、水層を3:1ジクロロメタン-イソプロピルアルコールにより4回抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮し、ヘキサンを加えて粉砕し、濾過して、(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メタノール(76 g、収率93%)を褐色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ7.59 (s, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.21-7.15 (m, 1H), 6.43 (m, 1H), 4.85 (s, 2H), 4.45 (s, 1H)。
【0167】
E) [5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メタノール:
(5-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)メタノール(76 g、460 mmol)の1-メチルピペラジン(150 mL)溶液を70℃に15時間加熱した。反応混合物を冷却し、1.3 Lの食塩水中に注ぎ、3:1 クロロホルム-イソプロピルアルコールにより抽出した。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムにより乾燥し、減圧濃縮し、ヘキサンと共沸し、ジエチルエーテルを加えて粉砕して、[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メタノール(101 g、収率90%)を黄褐色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ7.51 (s, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.21-7.17 (m, 1H), 6.31 (m, 1H), 4.87 (s, 2H), 3.17 (s, 4H), 2.68 (s, 4H), 2.42 (s, 3H)。
【0168】
F) 5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド:
[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メタノール(101 g、410 mmol)のクロロホルム(1650 mL)溶液を二酸化マンガン(360 g、4100 mmol)により処理して、室温で72時間攪拌した。反応混合物をセライトにより濾過し、クロロホルムにより洗浄し、濃縮して、5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(82 g、収率82%)を金色の固体として得た。1H-NMR (CDCl3):δ10.17 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.31-7.27 (m, 1H), 6.40 (m, 1H), 3.16 (s, 4H), 2.68 (s, 4H), 2.42 (s, 3H)。
【0169】
あるいは、5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒドは、下記のようにして調製することができる。
【0170】
反応器に2-アミノ-6-ブロモピリジン(3.0 Kg、17.3 mol)およびジメトキシエタン(12 L)を入れ、窒素雰囲気下で撹拌する。25℃の溶液に1,1,3-トリクロロアセトン(5.6 Kg、30.3 mol)を一度に加え、反応溶液を65℃のジャケット温度に温めて、反応が完了したと判断されるまでおよそ2〜4時間維持する。反応液を10℃に冷却しておよそ1時間置き、濾過する。固体をジメトキシエタン(6 L)により洗浄する。固体を反応器に戻し、ジメトキシエタン(12 L)および2N HCl(12 L)により処理して、16〜20時間、または反応が完了したと判断されるまでおよそ75℃に温める。反応液をおよそ10℃に冷却して、3 N NaOHを加えてpHをおよそ8に調節する。得られた固体を濾過して水により洗浄する。固体を50℃で16時間乾燥して、5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(2.81 Kg、収率72%)を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-D6)δppm 10.05 (s, 1 H) 8.66 (s, 1 H) 7.72 (s, 1 H) 7.42 (s, 1 H) 7.35 (s, 1 H). 反応器にN-メチルピペラジン(3.1 Kg、31 mol )およびテトラヒドロフラン(10 L)を入れ、窒素雰囲気下で−20℃に冷却しながら撹拌する。反応液にn-ブチルリチウム(10.4 L、26.0 mol)を、−20℃の温度を維持する速度で加え、内容物を15〜30分間撹拌する。5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(2.79 Kg、12.4 mol)のテトラヒドロフラン(10 L)中のスラリーを、反応液の温度が0℃以下に維持される速度で加える。スラリーを別のテトラヒドロフラン (6 L)を用いて洗い入れる。反応液を30分間撹拌し、およそ−10℃に温める。15℃以下の温度を維持しながら6N HCl溶液を加えてpH 4.0とすることにより反応を止める。反応液をヘプタン(14 L)により希釈し、層を分離させる。下の水層を抜き取り、上の有機層を1N HCl (2×1.5 L)により洗浄する。水層を合わせて20℃で撹拌し、4N NaOH溶液を加えてpH 9に調節する。水層を10% iPrOH/CH2Cl2 (3×28 L)により抽出し、有機層を合わせて飽和NaHCO3溶液(14 L)により洗浄し、25℃よりも低い温度で蒸発させ、およそ3体積とする。イソプロパノール(28 L)を加え、反応液を再度減圧濃縮しておよそ8.5 Lとする。イソプロパノール(17 L)を加えて、反応液にシュウ酸(1.0 Kg、11.1 mol)のイソプロパノール(7 L)溶液を、十分な撹拌およびおよそ25〜40℃の温度が維持される速度で加える。反応液を30分間撹拌し、固体を収集してイソプロパノール(8.5 L)により洗浄する。固体を50℃で乾燥して、5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(2.25 Kg、収率54%)を得る。1H NMR (400 MHz, DMSO-D6)δppm 10.01 (s, 1 H) 8.47 (s, 1 H) 7.41 (m, 2 H) 6.65 (m, 1 H) 3.34 (s, 8 H) 2.78 (s, 3 H)。
【0171】
G) (4S)-N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン:
(4S)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(215 mg、1.31 mmol)の1,2-ジクロロエタン(2.5 mL)溶液に、5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルバルデヒド(479 mg、1.96 mmol)、および酢酸(112μL、1.96 mmol)を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(415 mg、1.96 mmol)を加えて一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンにより希釈し、水により洗浄した。水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて塩基性にして、ジクロロメタンにより抽出した。有機層を合わせて食塩水により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。濾過および濃縮して粗残渣を得て、これを半分取逆相HPLCにより精製して、(4S)-N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(87 mg、11%)をTFA塩として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ8.46 (dd, J = 5.3, 0.8 Hz, 1 H), 8.29 (s, 1 H), 7.94 (app t, J = 8.3 Hz, 1 H), 7.83 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 7.75-7.71 (m, 2 H), 7.13 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 4.74 (t, J = 8.5 Hz, 1 H), 4.64 (dt, J = 11.6, 3.6 Hz, 1 H), 4.43-4.26 (m, 3 H), 3.72 (br, 4 H), 3.56 (br, 2 H), 3.39 (br, 2 H), 3.04 (s, 3 H), 2.46-2.39 (m, 2 H), 2.44 (s, 3 H); MS m/z 393 (M+H)+
【0172】
実施例14:[2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]メタノール
【化24】

【0173】
N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン(44 mg、0.112 mmol)の1,2-ジクロロエタン(100μL)溶液に、ホルムアルデヒド(113μL、37%水溶液、1.39 mmol)および酢酸(40μL、0.70 mmol)を加えた。反応混合物を70℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。有機層を食塩水により洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。濾過および濃縮して粗残渣を得て、これを半分取逆相HPLCにより精製して、[2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]メタノール(6 mg、8%)をTFA塩(白色の固体)として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ8.18 (dd, J = 3.0, 3.0 Hz, 1 H), 7.45-7.38 (m, 2 H), 7.25-7.24 (m, 2 H), 6.85 (d, J = 6.7 Hz, 1 H), 5.27 (s, 2 H), 4.50-4.45 (m, 2 H), 4.26-4.18 (m, 3 H), 3.60-3.09 (m, 7 H), 2.85 (s, 4 H), 2.45 (s, 3 H), 2.43-2.37 (m, 2 H); MS m/z 445 (M+Na+)。
【0174】
生物学の部
融合アッセイ
プラスミド作製
HIV-1 tat (GenBank登録番号X07861)およびrev (GenBank登録番号M34378)の完全なコード配列を、G418およびヒグロマイシン耐性遺伝子をそれぞれ含有するpcDNA3.1発現ベクターにクローン化した。HIV-1 (HXB2株) gp160エンベロープ遺伝子(GenBank登録番号K03455のヌクレオチド塩基6225〜8795)の完全なコード配列をプラスミドpCRII- TOPOにクローン化した。さらに、3つのHIV遺伝子を、CMVプロモーターの転写制御下でバキュロウイルスシャトルベクター、pFastBacMam1にインサートした。ルシフェラーゼレポーター遺伝子に結合した突然変異NFkB配列を含有するpHIV-I LTRの構築を、G418耐性遺伝子を含有するpcDNA3.1をNru IおよびBam HIにより消化してCMVプロモーターを除去することにより準備した。次に、LTR-lucをプラスミドベクターのNru I/Bam HI部位にクローン化した。プラスミドを大腸菌(Escherichia coli)株DH5-アルファ中で増幅した後にプラスミドの調製を実施した。インサートした配列の忠実度は、ABI Prism Model 377自動シークエンサーを用いる二本鎖ヌクレオチド配列決定により確認した。
【0175】
BacMamバキュロウイルスの形成
組み替えBacMamバキュロウイルスを、細菌細胞ベースのBac-to-Bacシステムを用いて、pFastBacMamシャトルプラスミドから構築した。ウイルスを、確立されたプロトコールに従って、10% (v/v)ウシ胎仔血清および0.1% (v/v)プルロニック(pluronic)F-68を補足したHinkのTNM-FH昆虫培地中で培養したSf9(ヨトウガ(Spodoptera frugiperda))細胞中で増殖させた。
【0176】
細胞培養
天然にヒトCXCR4を発現するヒト骨肉腫(HOS)細胞に、FuGENE 6トランスフェクション試薬を用いて、ヒトCCR5、ヒトCD4およびpHIV-LTR-ルシフェラーゼプラスミドをトランスフェクトした。一つの細胞を単離して、安定なHOS (hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼ)クローン細胞系を形成するために、選択条件下で増殖させた。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)、G418 (400ug/ml)、ピューロマイシン(puromycin) (1ug/ml)、ミコフェノール酸(40ug/ml)、キサンチン(250ug/ml)およびヒポキサンチン(13.5ug/ml)を補足したDulbeccos修正Eagles培地中で培養して、LTR-ルシフェラーゼ、hCCR5およびhCD4をそれぞれ発現する細胞への選択圧を維持した。安定にトランスフェクトしてヒトマクロファージスカベンジング受容体(クラスA、タイプ1; GenBank登録番号D90187)を発現するヒト胎児腎(HEK-293)細胞を、10% FCSおよび1.5ug/mlのピューロマイシンを補足したDMEM/F-12培地(1:1)中で培養した。HEK-293細胞によるこの受容体の発現は、それらの組織培養処理プラスチック容器に接着する能力を増大する。
【0177】
HEK-293細胞の形質導入
HEK-293細胞を酵素を含まない細胞解離緩衝液を用いて収集した。細胞を10% FCSおよび1.5ug/mlを補足したDMEM/F-12培地に再懸濁して計数した。BacMamバキュロウイルスを含有する昆虫細胞培地を細胞に直接加えることにより形質導入を実施した。細胞を、HIV-1 tat、HIV-1 revおよびHIV-1 gp160(HXB2 HIV株由来)を発現するBacMamバキュロウイルスで同時に形質導入した。通常どおり、それぞれのウイルスをMOI = 10で、細胞を含有する培地に加えた。また、形質導入された細胞におけるタンパク質の発現を増加させるために、この段階で細胞に2mM酪酸を加えた。次に、細胞を混合し、T225あたり3000万個の細胞で、フラスコに播種した。細胞を37℃、5% CO2、湿度95%で、24時間インキュベートして、タンパク質を発現させた。
【0178】
細胞/細胞融合アッセイフォーマット
HEKおよびHOS細胞を、それぞれ2% FCSを含有するDMEM/F-12培地および2% FCSを含有するDMEM培地中で選択剤を加えずに収集した。化合物を96-ウェルCulturPlateプレート上に100% DMSO中の1 ulスポットとして置いた。まずHOS細胞(50ul)をウェルに加えた直後に、HEK細胞(50ul)を加えた。それぞれの細胞型の最終濃度はウェルあたり20,000細胞であった。これらを加えた後、細胞をさらに24時間組織培養インキュベーター(37℃、5% CO2/95%空気)に戻した。
【0179】
ルシフェラーゼ産生の測定
24時間のインキュベーションの後、総細胞ルシフェラーゼ活性をLucLite Plusアッセイキット(Packard, Meridien, CT)を用いて測定した。簡単に述べると、100 ulのこの試薬をそれぞれのウェルに加えた。プレートを密閉して混合した。プレートをおよそ10分間暗順応させた後、Packard TopCountにより発光を測定した。
【0180】
機能アッセイ
細胞培養
ヒト胎児腎(HEK-293)細胞を上記の通りに維持および収集した。細胞を、ポリリシンコーティングした、黒色で底の透明な96-ウェルプレートに、ウェルあたり40,000細胞の濃度で、ヒトCXCR4 BacMam (MOI = 25)およびGqi5 BacMam (MOI = 12.5)を含有し、最終体積が100 ulとなるように置いた。細胞を、37℃、5% CO2、湿度95%で24時間インキュベートしてタンパク質を発現させた。
【0181】
機能FLIPRアッセイ
必要なインキュベーション時間の後、細胞を、プロベニシドを含有する血清を含まない新鮮なDMEM/F12培地50ulにより1回洗浄した。次に50 ulの染料溶液を細胞に加えて(Calcium Plus Assay Kit Dye; Molecular Devices)、200 mlの上記のプロベニシド/BSA含有培地に溶解し、1時間インキュベートした。細胞プレートをFluorometric Imaging Plate Reader (FLIPR)に移した。化合物を添加して、[Ca2+]iの変化に対する化合物の効果を試験して、化合物がCXCR4受容体においてアゴニストまたはアンタゴニスト(SDF-1アルファ活性を遮断する能力)であるかを決定した。IC50値を決定し、pKb値をLeffおよびDougallの等式:KB = IC50 / (( 2 + ( [アゴニスト] / EC50^b)^1/b - 1)(式中、IC50はアンタゴニスト濃度-反応曲線により定義され、[アゴニスト]は使用したアゴニストのEC80濃度であり、EC50はアゴニスト濃度-反応曲線により定義され、bはアゴニスト濃度-反応曲線の傾きである)を用いて計算する。
【0182】
HOS HIV-1感染性アッセイ
HIVウイルスの調製
化合物を2つのHIV-1ウイルス、マクロファージ指向性(CCR5利用)Ba-L株およびT細胞指向性(CXCR4利用)IIIB株に対してプロファイルした。両方のウイルスをヒト末梢血リンパ球中で増殖させた。化合物を、それらのHIV-1 Ba-LまたはHIV-1 IIIBのいずれかによるHOS細胞系(hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼを発現する)の感染を遮断する能力について試験した。また、ウイルスを加えずに、化合物の細胞毒性も試験した。
【0183】
HOS HIV-1感染性アッセイフォーマット
HOS細胞(hCXCR4/hCCR5/hCD4/pHIV-LTR-ルシフェラーゼを発現する)を収集して、2% FCSおよび非必須アミノ酸を補足したDulbeccos修正Eagles培地中に60,000細胞/mlの濃度に希釈した。細胞を96-ウェルプレートに置き(ウェルあたり100 ul)、プレートを組織培養インキュベーター中(37℃、5%CO2/95%空気)に24時間置いた。
【0184】
次に、50 ulの所望の薬物溶液(最終濃度の4倍)をそれぞれのウェルに加えて、プレートを組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2/95%空気)に1時間戻した。このインキュベーションの後、50 ulの希釈したウイルスをそれぞれのウェルに加えた(ウェルあたりおよそ200万RLUのウイルス)。プレートを組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2/95%空気)に戻し、さらに96時間インキュベートした。
【0185】
このインキュベーションの後、Steady-Gloルシフェラーゼアッセイシステム試薬(Promega, Madison, WI)を加え、次いでウイルス感染した培養の終点を定量した。細胞の生存率または感染していない培養を、CellTiter-Glo発光細胞生存率アッセイシステム(Promega, Madison, WI)を用いて測定した。すべての発光の読み出しは、Topcount発光検出器(Packard, Meridien, CT)を用いておこなった。
【0186】
【表1】

【表2】




*“A”は、HOS HIV抗感染性アッセイにおいて100 nM未満の活性レベルを示す。
【0187】
“B”は、HOS HIV抗感染性アッセイにおいて100 nM〜500 nMの活性レベルを示す。
【0188】
“C”は、HOS HIV抗感染性アッセイにおいて500 nM〜10μMの活性レベルを示す。
【0189】
本発明の化合物は、約1 nM〜約50μMのIC50の範囲の抗HIV活性を示す。本発明の一態様において、本発明の化合物は約100 nMまでの範囲の抗HIV活性を有する。本発明の別の態様において、本発明の化合物は約100 nM〜約500 nMの範囲の抗HIV活性を有する。本発明の別の態様において、本発明の化合物は約500 nM〜約10μMの範囲の抗HIV活性を有する。本発明の別の態様において、化合物は約10μM〜約50μMの範囲の抗HIV活性を有する。
【0190】
本発明の化合物は望まれる効力を有する。さらに、本発明の化合物は望まれる薬物動態学的プロファイルを提供すると考えられる。また、本発明の化合物は望まれる二次的生物学的プロファイルを提供すると考えられる。
【0191】
試験化合物は遊離または塩の形で使用した。
【0192】
すべての研究は、実験動物飼育の原則(the principles of laboratory animal care) (NIH publication No. 85-23, 1985改訂)および動物の使用に関するGlaxoSmithKlineの方針に従った。
【0193】
本明細書に本発明の特定の実施形態を例示し、詳細に説明したが、発明はそれらに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例として提供したものであって、いかなる意味でも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。変更は当業者には明白であり、本発明の趣旨を逸脱しないすべての変更は、添付した特許請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
tは1または2であり;
それぞれのRは独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR10、または-RaS(O)qR10であり;
それぞれの R1は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
nは0、1、または2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaOR5、または -RaS(O)qR5であり、そこにおいて、R2はアミンまたはアルキルアミンを含まず;
それぞれのR4は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
mは0、1、または2であり;
それぞれのRa は独立して、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたアルキレン、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたシクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、またはアルキニレンであり;
それぞれの R5は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルであり;
pは0または1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、または-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、または-HetRaHetであり;
それぞれのR6およびR7は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR10、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、または-S(O)qR10から選択され;
それぞれのR8およびR9は独立してHまたはアルキルから選択され;
それぞれのR10は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、または-RaHetであり;
それぞれのqは独立して0、1、または2であり;
それぞれのAyは独立して、無置換または置換アリール基を表し;
それぞれのHetは独立して、無置換または置換4、5、または6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を表す]
の化合物、またはその製薬上許容される塩またはエステル。
【請求項2】
-Hetが、場合により少なくとも1個のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、またはアルキルアミノにより置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
-Hetが、場合により少なくとも1個のC1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルにより置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
-Ayが場合により少なくとも1個のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シアノ、アミド、アミノ、またはアルキルアミノにより置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
-Ayが場合により少なくとも1個のC1〜C6アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルにより置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
tが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
RがHまたはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
nが1であり、R1がハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、またはシアノである、請求項1の化合物。
【請求項10】
R2がH、アルキル、ハロアルキル、またはシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R2がアルキルまたはシクロアルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R2がアルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
mが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R4が1個以上のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、OR10、NR6R7、CO2R10、CONR6R7、またはシアノである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
pが0であり、Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Xが-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
XがRaN(R10)2、-Het、-RaHet、または-HetN(R10)2である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
pが1であり;Yが-N(R10)-、-O-、-S-、-CONR10-、-NR10CO-、または-S(O)qNR10-であり;Xが-RaN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、または-HetRaN(R10)2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Yが-N(R10)-、-O-、-CONR10-、-NR10CO-であり、Xが-RaN(R10)2、-Het、-RaHet、または-HetN(R10)2である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
Hetがピペリジン、ピペラジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾール、またはピリジンである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
pが0であり、Xが-Hetである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
-Hetが無置換であるか、または1個以上のC1〜C6アルキルまたはシクロアルキルにより置換されている、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
-Hetがピペリジン、ピペラジン、またはアゼチジンである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
-Hetがメチルピペラジンである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式(I’)
【化2】

[式中、
tは1または2であり;
それぞれのRは独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、-RaAy、-RaOR10、または-RaS(O)qR10であり;
それぞれのR1は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
nは0、1、または2であり;
R2は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、-RaOR5、または-RaS(O)qR5であり、そこにおいて、R2はアミンまたはアルキルアミンを含まず;
それぞれのR4は独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Ay、-NHAy、-Het、-NHHet、-OR10、-OAy、-OHet、-RaOR10、-NR6R7、-RaNR6R7、-RaC(O)R10、-C(O)R10、-CO2R10、-RaCO2R10、-C(O)NR6R7、-C(O)Ay、-C(O)Het、-S(O)2NR6R7、-S(O)qR10、-S(O)qAy、シアノ、ニトロ、またはアジドであり;
mは0、1、または2であり;
それぞれのRaは独立して、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたアルキレン、場合により1個以上のアルキル、オキソもしくはヒドロキシルにより置換されたシクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、またはアルキニレンであり;
それぞれのR5は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルであり;
pは0または1であり;
Yは、-NR10-、-O-、-C(O)NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR10C(O)N(R10)2-、-S(O)q-、S(O)qNR10-、または-NR10S(O)q-であり;
Xは、-N(R10)2、-RaN(R10)2、-AyN(R10)2、-RaAyN(R10)2、-AyRaN(R10)2、-RaAyRaN(R10)2、-Het、-RaHet、-HetN(R10)2、-RaHetN(R10)2、-HetRaN(R10)2、-RaHetRaN(R10)2、-HetRaAy、または-HetRaHetであり;
それぞれのR6およびR7は独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR10、-RaNR8R9、-Ay、-Het、-RaAy、-RaHet、または-S(O)qR10から選択され;
それぞれのR8およびR9は独立して、Hまたはアルキルから選択され;
それぞれのR10は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、-Raシクロアルキル、-RaOH、-RaOR8、-RaNR8R9、または-RaHetであり;
それぞれのqは独立して、0、1、または2であり;
それぞれのAyは独立して、無置換または置換アリール基を表し;
それぞれのHetは独立して、無置換または置換4、5、または6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を表す]
の化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびエステル。
【請求項27】
N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-{[5-(1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-(2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)-N,N',N'-トリメチル-1,2-エタンジアミン;
(4S)-N-メチル-N-({5-[4-(1-メチルエチル)-1-ピペラジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-({5-[3-(ジメチルアミノ)-1-ピロリジニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-{[5-(4-アミノ-1-ピペリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-{[5-(3-アミノ-1-ピロリジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-N-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
N-メチル-N-({5-[メチル(1-メチル-3-ピロリジニル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル}メチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
(4S)-N-メチル-N-{[5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル]メチル}-3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-アミン;
[2-{[3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[3,2-b]ピリジン-4-イル(メチル)アミノ]メチル}-5-(4-メチル-1-ピペラジニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]メタノール
からなる群より選択される化合物、およびその製薬上許容される塩またはエステル。
【請求項28】
いずれか1つの実施例を参照することにより明細書中に実質的に定義される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項30】
前記組成物が、ジドブジン、ジダノシン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、スタビジン、アデフォビル、アデフォビル・ジピボキシル、フォジブジン、トドキシルおよび類似の薬物などのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、ロビリド、イムノカル、オルチプラズ、および類似の薬物などの非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(イムノカル、オルチプラズ等などの抗酸化活性を有する薬物を含む);サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アプレナビル、パリナビル、ラシナビル、および類似の薬物などのプロテアーゼ阻害剤;T-20、T-1249、PRO-542、PRO-140、TNX-355、BMS-806、5-ヘリックス、および類似の薬物などの侵入阻害剤;L-870,180および類似の薬物などのインテグラーゼ阻害剤;PA-344およびPA-457、および類似の薬物などの簇出阻害剤;およびSch-C、Sch-D、TAK779、UK 427,857、TAK449、および類似の薬物などの他のCXCR4および/またはCCR5阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種の別の治療薬を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
活性治療物質として使用するための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
CXCR4の不適切な活性により引き起こされる疾病および状態の治療または予防に使用するための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌の治療または予防に使用するための請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
状態または疾病が、HIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
状態または疾病がHIV感染である、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
ケモカイン受容体によりモジュレートされる状態または疾病の治療または予防に使用するための医薬品の製造における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項37】
ケモカイン受容体がCXCR4である、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌の治療または予防に使用するための医薬品の製造における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項39】
状態または障害が、HIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌である、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
状態または障害がHIV感染である、請求項38に記載の使用。
【請求項41】
請求項1〜27の化合物の1種以上を投与することを含む、ケモカイン受容体によりモジュレートされる状態または疾病の治療または予防の方法。
【請求項42】
ケモカイン受容体がCXCR4である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、HIV感染、造血に関連する疾病、化学療法の副作用の抑制、骨髄移植の成功の促進、傷の治癒および熱傷の治療の促進、白血病における細菌感染の消滅、炎症、炎症性またはアレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎または皮膚筋炎、全身性アナフィラキシーまたは過敏性応答、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、移植片拒絶、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、T-細胞仲介乾癬、炎症性皮膚疾患、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんましん、血管炎、壊死性、皮膚、過敏性血管炎、抗酸球性筋炎、抗酸球性筋膜炎、および脳、乳、前立腺、肺、または造血組織癌の治療または予防の方法。
【請求項44】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、HIV感染、関節リウマチ、炎症、または癌の治療または予防の方法。
【請求項45】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、HIV感染の治療または予防の方法。
【請求項46】
少なくとも1種のHIVの予防または治療のための薬物と組み合わせた請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物であって、前記薬物が、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、侵入阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、簇出阻害剤、CXCR4阻害剤、およびCCR5阻害剤からなる群より選択される、前記化合物。

【公表番号】特表2008−524255(P2008−524255A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547010(P2007−547010)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/045994
【国際公開番号】WO2006/076131
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】