説明

化学療法の強化方法

CXCR4受容体とそのリガンドとの相互作用に対するアンタゴニストは、骨髄性又は造血系悪性腫瘍に罹患した患者における化学療法の有効性を強化する。

【発明の詳細な説明】
【関連する出願】
【0001】
本願は、2005年8月19日に出願された米国特許仮出願第60/709978号及び2005年11月8日に出願された第米国特許仮出願第60/734736号の利益を主張するものである。これらの文献の中身は全て参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、造血系関連の癌治療の分野に属する。より具体的には、本発明は当該病状の化学療法を強化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
骨髄性白血病やリンパ性白血病等の造血系関連の癌に対する一般的なアプローチとして、一定期間に亘り、自家又は同種異系のいずれかの造血系前駆細胞の移植と組み合わせて、悪性細胞を破壊するための化学療法が行われている。この治療レジメンが成功することが少ないのは、化学療法が悪性の造血細胞又はその前駆細胞を完全に排除することができないためだと考えられている。本発明は、残留する悪性細胞又は前悪性細胞に対する化学療法の効果を増強させる化合物の投与を化学療法と組み合わせることにより、化学療法の効果を改善するものである。
【0004】
本発明の方法で用いられる化合物は、サイトカイン・間質細胞由来因子1(SDF−1)との相互作用を妨害する、CXCR4受容体のアンタゴニストである。当該技術分野ではこのような薬剤が多く知られている。このような薬剤は、例えば、本願に参照により組み込まれる米国特許第5021409号、米国特許第6001826号、米国特許第5583131号、米国特許第5698546号、米国特許第5817807号、及び、米国特許第6506770号、並びに、同様に参照により本願に組みこまれる国際公開公報WO92/16494、WO93/12096、WO95/18808、WO00/02870、WO00/56729、WO01/44229、WO02/22600、WO02/22599、WO02/34745、WO03/055876、WO04/091518、及び、WO04/093217に開示されている。
【0005】
我々はこれまで、特定のCXCR4アンタゴニスト、特にAMD3100、が白血球の数を上昇させる効果を有することを見出し、国際公開公報WO02/58653で開示している。また、我々は、これらのアンタゴニストが、前駆細胞及び/又は幹細胞を骨髄から循環血液へと移行させる効果を有することを見出し、国際公開公報WO03/011277で開示している。
【0006】
ケモカイン受容体CXCR4及びその天然のリガンドSDF−1は、造血の過程において重要であると考えられている(文献としては、Maekawa,T.ら、Internal Med.(2000)
39:90−100;Nagasawa,T.ら、Int.J.Hematol.(2000)72:408−411を参照)。例えば、CXCR4又はSDF−1のノックアウトマウスは造血障害を示す(Ma,Q.ら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1998)95:9448−9453)。SDF−1は、CXCR4受容体を有する細胞について、その細胞が幹細胞(つまり、CD34+である細胞)であるか前駆細胞(特定の刺激に応答して特殊な型のコロニーを形成する)であるかに関わらず、その位置及び分化を制御することが可能であると考えられている。
【0007】
骨髄の微小環境内において、SDF−1は、未成熟及び成熟造血細胞に対して強力な化学誘引物質として機能すると考えられており、このため、白血病前駆細胞及び白血病細胞上におけるCXCR4の発現は、これらの細胞の骨髄微小環境へのホーミングに寄与している可能性がある。慢性Bリンパ性白血病(B−CLL)患者から得られた白血病細胞では、CXCR4レベルの上昇が検出されている(Mohle,R.ら、Leukemia(1999)13:1954−1959)。また、慢性リンパ性白血病(CLL)において、血液由来接着性ナース様細胞によるSDF−1のオートクリン分泌は、白血病B細胞を自発的なアポトーシスから保護していると考えられている(Burger,J.A.ら、Blood(2000)96:2655−2663)。上記のMohleらの文献;Voermans,C.ら、Leukemia(2002)16:650−657;Bradstock,K.F.ら、Leukemia(2000)14:882−888;Dialynas,D.P.ら、Stem Cells(2001)19:443−452;及び、Shen,W.ら、Exp.Hematol.(2001)29:1439−1447によれば、T−ALLの患者から採取した白血病細胞やAMLの患者から採取した白血病細胞上では、CXCR4レベルの上昇は検出されていない。しかし、Rombouts,E.J.ら、Blood(2004)104:550−557;Fukuda,S.ら、Blood(2005)105:3117−3126により報告されているように、CXCR4の発現レベルはAMLの様々なタイプにより異なると考えられる。また、他の因子も関与しているかもしれないが、前駆B−ALL細胞及びAML細胞の骨髄へのホーミングと生着を、CXCR4が媒介することが報告されている(上記のShenら;Tavor,S.ら、Cancer Res.(2004)64:2817−2824)。近年、インビトロによる結果として、AMD3100が、SDF−1誘導による前駆B−ALL細胞の骨髄間質層への走化性を阻害し、ビンクリスチン及びデキサメタゾンの細胞毒性及び抗増殖効果を促進させることが示された(Juarez,J.ら、Leukemia(2003)17:1294−1300)。これらの報告は、白血病細胞の微小環境内における制御にSDF−1/CXCR4の相互作用が関与し、化学療法後のAMLの更に異なる化学療法剤への曝露の際に残留細胞が備える抵抗性に該相互作用が関与していることを示唆している。
【0008】
末梢血液系では前癌細胞及び癌細胞を化学療法剤へと曝露することが可能となることから、前癌細胞及び癌細胞を骨髄から末梢血液系へと移行させることが求められている。本発明は、このような要望にCXCR4受容体阻害剤を使用することで応えるものであり、化学療法による治療前、治療中、又は、治療後に骨髄の微小環境から循環血液へと前白血病細胞及び白血病細胞を放出及び/又は急速に移動させることにより、標準的な化学療法剤の効果を増強するものである。
【0009】
本発明は、移植を必要とする又は必要としない患者の治療に使用することができる。
【0010】
上記文献の引用は、上記記載がいずれも関連する先行技術であると認めることを意図するものではない。これらの文献の日付に関する記述及び内容に関する表現は、出願人が入手可能な情報に基づいたものであり、これらの文献の日付又は内容の正確さについて承認するものではなく、また、これらの文献に記載されたいかなる理論又は仮説によっても制限されることを意図するものではない。更に、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、動物、特に家畜及びヒトを、化学療法の効果を高めるCXCR4アンタゴニストの投与と組み合わせた化学療法で治療する方法に関する。
【0012】
従って、一の態様において、本発明はリンパ腫、骨髄腫、白血病等の血液癌に罹患している患者を治療するための方法であり、本方法は1以上のCXCR4アンタゴニスト及び1以上の化学療法剤を投与することを含む。CXCR4アンタゴニストは、化学療法前、化学療法中、及び/又は、化学療法後に投与してもよい。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明の方法で使用するための、CXCR4アンタゴニストを含む医薬組成物又は動物用医薬に関するものである。これらの組成物は、適切な薬学的又は獣医学的に許容可能な添加物と共に1以上のCXCR4アンタゴニストを含む。
【0014】
本発明で利用可能なアンタゴニストとしては、参照により本願に組み込まれる米国特許第5021409号;米国特許第6001826号;米国特許第5583131号;米国特許第5698546号;米国特許第5817807号及び米国特許第6506770号、並びに、同様に参照により本願に組み込まれる国際公開公報WO92/16494;WO93/12096;WO95/18808;WO00/02870;WO00/56729;WO01/44229;WO02/22600;WO02/22599;WO02/34745;WO03/055876;WO04/091518及びWO04/093817に開示されたものが挙げられる。ペプチド系のアンタゴニストとしては、WO2001/85196;WO2000/09152及びWO99/47158に記載されたものが挙げられる。CXCR4のリガンドと相互作用し、CXCR4の阻害剤である抗体の使用については、WO99/50461に開示されている。その他の化合物としては、T22(Murakami,T.ら、J.Exp.Med.、186:1389−1393 (1997))、ALX40−4C(Doranz,B.J.ら、J.Exp.Med.、186、1395−1400(1997));Donzella,G.A.、Nat.Med.、4、72−77(1998))等が含まれる。これらの物質を調製する方法については、例えば、J.Exp.Med.、186、1189−1191(1997)に記載された方法に適宜慣用の改変を加えて行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、SDF−1のCXCR4への結合を阻害する化合物(CXCR4アンタゴニスト)を使用するものである。理論により限定されるべきではないが、SDF−1のCXCR4への結合を阻害する化合物は、当該阻害により、悪性細胞又は前悪性細胞の骨髄間質細胞による保護を失わせることで化学療法の強化を行う。
【0016】
本願において、「前悪性細胞」という用語は、悪性の造血又は骨髄性細胞を形成することが可能な細胞を示す。悪性の造血又は骨髄性細胞とは、骨髄腫、白血病及びリンパ腫の病態を特徴付ける細胞である。これらの疾患の具体的な態様には、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、多発性骨髄種(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び、様々なリンパ腫が含まれる。
【0017】
本発明の方法において使用することができ、また、本発明の方法により効果が増強される化学療法用化合物又は薬剤としては、カルボプラチン、カルマスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、プロカルバジン、ペントスタチン、(2´−デオキシコホルマイシン)、エトポシド、テニポシド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、オールトランス型レチノイン酸、亜ヒ酸、インターフェロンα、リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標))、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、メシル酸イマチニブ、シタラビン(シトシンアラビノシド、Ara−C、Cytosar−U)、メルファラン、ブスルファン(Myleran(登録商標))、チオテパ、ブレオマイシン、プラチナ(シスプラチン)、シクロホスファミド、シトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、5−アザシチジン、クラドリビン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、6−チオグアニンその他多くの化合物が含まれる。
【0018】
本技術分野では多様な化学療法が利用可能である。本願発明は、これらの標準的な方法又はその変形を用いるが、それに加えて当該方法の効果を強化するためにCXCR4アンタゴニストを投与するものである。好ましくは、これらのアンタゴニストは、当該治療法を患者に施す前及び/又は同時に投与する。必要に応じて、投与を治療が終了した後も継続してもよい。投与量及び投与方法は互いに依存し、例えば、皮下投与の場合、投与量は50μg/kg〜1mg/kgの範囲内であり、好ましくは200μg/kg〜500μg/kgである。経口投与における投与量はこれより増やしてもよく、静脈内投与の場合はこれよりも減らしてもよい。
【0019】
ある実施形態において、CXCR4アンタゴニストは次式(1)
Z−リンカー−Z´ (1)
で表され、ここで、Zは、2−8個の窒素原子を含む9−32員環の環状ポリアミンであって、前記窒素原子は少なくとも2個の炭素原子を介して互いに離れた位置にあり、かつ、前記複素環は更に窒素以外のヘテロ原子を含み、及び/若しくは、別の環系へと縮合されていてもよく;
又は、Zは次式:
【0020】
【化3】

で表される基であって、ここで、Aは、少なくとも1つの窒素原子を含む単環式又は二環式の縮合環系を含み、Bは、水素原子又は1−20個の原子の有機部分であり;
Z´は、上記のZとして定義された基、あるいは、式:
−N(R)−(CR−X
で表される基であってもよく、ここで、各Rは、独立して、水素原子又は直鎖、分枝若しくは環式のC1−6アルキル基であり、
nは、1又は2であり、
Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環、又は、メルカプタンであり;
あるいは、Z´は、存在せず、式(1)の化合物が以下においてリンカーとして定義される部分で終端してもよく;
「リンカー」は、結合、又は、C1−6アルキレンを表し、アリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでいてもよく、あるいは、ケト基又は窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい。
【0021】
以下、式(1)の化合物の具体的な形態を説明する。
式(1)の化合物のZ及びZ´は、ある実施形態において、3−5個の窒素原子を含み9−24個の炭素原子を有する環状ポリアミン基であり、例えば、1,5,9,13−テトラアザシクロヘキサデカン;1,5,8,11,14−ペンタアザシクロヘキサデカン;1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン;1,5,9−トリアザシクロドデカン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン等を挙げることができる。また、式(1)の化合物のZ及びZ´は、これらの環状ポリアミンが、別の芳香環若しくはヘテロ芳香環と縮合した化合物、及び/又は、窒素以外の別のヘテロ原子を環内に含む化合物を含む。別の縮合環系又は1以上の別のヘテロ原子を含む環状ポリアミンの実施形態は、参照により本願に組み込まれる米国特許第5698546号及びWO01/44229に記載されている。その他の実施形態としては、3,7,11,17−テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエン;4,7,10,17−テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエン;1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン;1,4,7−トリアザシクロテトラデカン;及び4,7,10−トリアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエンを挙げることができる。
【0022】
式(1)の化合物は、ある実施形態において、2,2´−バイサイクラム(2,2´−bicyclam);6,6´−バイサイクラム(6,6´−bicyclam);米国特許第5021409号及び米国特許第6001826号に記載の実施形態、特に米国特許第5583131号に記載され本願にてAMD3100とする、1,1´−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンを包含する。
【0023】
ある実施形態において、Zは、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンであり、リンカーは、1,3−又は1,4−フェニレン−ビス(アルキレン)、特に1,4−フェニレン−ビス(メチレン)であり、かつ、Z´は、−NR(CR−Xであり、ここでXはピリジンであり、特にZ´は、NHCHCH−ピリジンである。ある実施形態において、化合物はN−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノアルキルピリジンであるAMD3465又はその置換体である。
【0024】
Z´がZで定義された環状ポリアミン以外の基である場合、その実施態様は、同様に参照により本願に組み込まれる米国特許第5817807号及び米国特許第6506770号に記載されたものが挙げられる。
Zが式
【0025】
【化4】

で表され、ここで、Aは、少なくとも1つの窒素原子を含む単環式又は二環式の縮合環系を含み、Bは、水素原子又は1−20個の原子の有機部分である態様は、上述において引用されかつ参照により本願に組み込まれる、WO00/56729;WO02/22600;WO02/34745;WO02/22599;及び、WO03/55876に開示されている。
【0026】
WO03/55876に記載されるように、一の実施態様において、Aは、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−8−イルであり、Bは、1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチルである。これらの実施態様の一部において、Z´が存在せず、リンカーはオメガアミノアルキル基である。化合物の一例として、N−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−8−イル)ブタン−1,4−ジアミンであるAMD11070を挙げることができる。重要な実施態様として、AMD11070及びその置換体が含まれる。
【0027】
リンカー部の形態としては、リンカーが結合であるもの、又は、リンカーにアルキレン基、好ましくはメチレン基、が隣接する芳香族を含むものが包含される。連結基には1,3−フェニレン、2,6−ピリジン、3,5−ピリジン、2,5−チオフェン、4,4´−(2,2´−ビピリミジン);2,9−(1,10−フェナントロリン)等のメチレンで囲まれた結合が含まれる。好ましくは、リンカーは、1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)である。
【0028】
CXCR4アンタゴニストであるその他の化合物としては、参照により本願に組み込まれる2004年4月12日に出願された米国特許出願第10/823494号、2004年4月22日に出願された米国特許出願第10/831098号、及び、2004年12月13日に出願された米国特許出願第11/012002号に開示された化合物を挙げることができる。
【0029】
本発明の方法において使用することができるCXCR4阻害剤は、CTCE−0214;CTCE−9908;CP−1221(直鎖ペプチド、環状ペプチド、天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びペプチド模倣化合物);T140及びその類縁体;4F−ベンゾイル−TN24003;KRH−1120;KRH−1636;KRH−2731;ポリフェムシン類縁体;ALX40−4C;又は、それぞれ参照により本願に組み込まれるWO01/85196;WO99/50461;WO01/94420;WO03/090512に記載された化合物が含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の方法において使用される化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれる米国特許第6489472号及び2005年3月11日に出願された米国特許出願第11/077896号、及び、前記米国特許及び特許出願に記載されている。その他のCXCR4阻害剤は付録Aに記載されている。
【0031】
上述の通り、AMD3100はCXCR4ケモカイン受容体の典型的なアンタゴニストである(Gerlachら、J.Biol.Chem.(2001)276:14153−14160)。当該化合物は、骨髄間質細胞由来のSDF−1が幹細胞上のCXCR4と結合することを阻害し、そのことにより造血幹細胞を骨髄から循環系へと放出させry(Broxmeyerら、Blood(2001)98:811a(要旨))。
【0032】
本発明の化合物はプロドラッグ、すなわち患者へ投与された後に本発明の化合物を放出するような保護形態として調製することができる。典型的には、保護基は、血流等の体液中で加水分解され活性化合物を放出し、又は、in vivoで酸化又は還元されて活性化合物を放出する。プロドラッグについての考察は、Smith and Williams Introduction to the Principles of Drug
Design、Smith,H.J.;Wright,第2版、London(1988)に記載されている。
【0033】
アミンである本発明で用いられる化合物は、その酸付加塩又は金属錯体として投与又は調製することができる。適切な酸付加塩は、例えばシュウ酸、グルタル酸、アジピン酸等の1以上のカルボキシル基を含む酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸の塩、及び、HCl、HBr、硫酸、リン酸等を含む生体適合性のある無機酸の塩を含む。典型的には、本発明の化合物は、生理的pHにおいて酸付加塩である。
【0034】
カルボン酸又はその他の酸である本発明で用いられる化合物は、生理学的に適合可能な無機塩基又は有機塩基と形成した塩として投与又は調製することができる。従って、これらの化合物は、必要に応じてナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、又は、マグネシウム塩として調製することができ、あるいは、カフェイン又はエチルアミン等の有機塩基との塩として調整することもできる。また、これらの化合物は金属錯体であってもよい。
【0035】
精製物として調製する場合、化合物を水和物又はその他の溶媒和物として結晶化させることができる。キラル中心を含む本発明で使用する化合物は、光学的に純粋であってもよく、又は、ラセミ混合物若しくは様々な光学純度の混合物を含む立体異性体の混合物を含有していてもよい。
【0036】
CXCR4アンタゴニストは、当該技術分野において周知であり一般的に理解された処方技術を用いて動物への投与用として処方することができる。特定の投与方法及び本発明で使用される化合物に適した処方については、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAを参照することができる。
【0037】
CXCR4アンタゴニストは、好ましくは注射により投与される。最も好ましくは静脈注射であるが皮下又は腹腔内注射等も同様に好ましい。他の非経口投与経路としては、筋肉内及び関節内注射が含まれる。静脈内又は非経口的に投与する場合、化合物は、必要に応じて添加物と共に適切な液体として処方される。当該組成物は、リポソーム又は他の適切な担体を含んでいてもよい。静脈内に注射する場合、当該溶液は、ハンクス溶液のような標準的な製剤を用いて等張にする。
【0038】
注射以外に、他の投与経路も用いることができる。当該化合物は、錠剤、カプセル、シロップ、粉末、又は、経口投与に適した他の剤形として処方してもよい。適当な添加物を用いることによって、坐薬又は鼻孔内スプレーにより当該化合物を粘膜から投与することもできる。適切な浸透剤を用い、放出の速度を制御することによって、経皮投与を行うこともできる。
【0039】
選択した処方及び投与経路は、個々の患者、患者において治療すべき症状の状態、及び、一般的には、主治医の判断に従って調整される。
【0040】
CXCR4アンタゴニストに適した投与量の範囲は前記検討事項により異なるが、一般的には、化合物は、体重の約0.1μg/kg〜5mg/kgの範囲で投与され;好ましくは、当該範囲は体重の約1μg/kg〜500μg/kgから1mg/kgまでである。よって、典型的な70kgのヒトの患者では、投与量の範囲は約0.7μg〜350mgである。投与量は、化合物を経口又は経皮投与する場合には、例えば静脈内投与と比較して、より多くなることがある。
【0041】
CXCR4アンタゴニストは、単回注射投与、静脈内又は経皮投与の場合のような経時的投与、又は、複数回投与により投与してもよい。CXCR4アンタゴニストは、移行を助けるその他の因子、又は、栄養的又は治療上有益なその他の因子と共に投与してもよい。追加される因子は、同一組成物として、同時に投与される異なる組成物として、又は、CXCR4アンタゴニスト投与との二段階プロトコルとして投与することができる。本発明の組成物に含めることが可能な追加因子には、抗生物質、ビタミン、薬草抽出物、抗炎症薬、栄養剤、解熱剤、鎮痛剤、シクロホスファミド等のみならず、組み換えG−CSF(Neupogen(登録商標)、Granocyte(登録商標)/Neutrogin(登録商標)、及び、Stemgen(登録商標))、組み換えG−CSFの共有結合複合体(Neulasta(登録商標))、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(Leukine(登録商標)、及び、Leucomax(登録商標)等)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−8(IL−8)、PIXY−321(GM−CSF/IL−3融合タンパク質)、マクロファージ炎症性タンパク質、幹細胞因子、トロンボポイエチンが含まれる。
【0042】
上述したように、当該化合物は、化学療法と連動して投与される。これらの方法は、本発明の方法による治療の対象となる造血系又は骨髄系悪性腫瘍の治療において、一般的に用いられるものである。当該方法の多くの種類が、当該技術分野において知られている。
【0043】
本発明の方法が好適に効果を示す患者は、ヒト患者を含めた一般の医学的及び獣医学的な患者を含む。本発明の方法が有用である他の患者としては、実験用マウス、ウサギ、又は、ラット等の標準的な研究用げっ歯類の他、ネコ、イヌ、大型動物、ニワトリ等の鳥類等を挙げることができる。一般的に、造血系又は骨髄系の悪性腫瘍を示す患者は、いずれも本発明の方法が有益である。
【0044】
多種多様な化学療法プロトコルが用いられており、該プロトコルの多くは同時又は多段階で投与される薬剤を組合せて使用する。CXCR4アンタゴニストは、同時又は多段階プロトコルの様々な時点で投与することができる。例えば、AMLに対する一つのプロトコルにおいては、ブスルファンとフルダラビンを組合せて使用する。これらの薬剤は、静脈内に投与される。CXCR4アンタゴニストは、数日間に亘って繰り返される当該薬剤の投与のうち、第一回目の投与の数時間前に投与することができる。フルダラビンの投与前若しくは投与中にCXCR4アンタゴニストを毎日投与してもよいし、又は、単に典型例としては、ブスルファンを数日間に亘ってフルダラビンに続いて投与し、ブスルファンの投与と共に、投与前に、又は、投与後にCXCR4アンタゴニストを毎日投与してもよい。治療の前、治療中、又は、治療の後に1回の投与が必要であり得る。
【0045】
上記の薬剤の様々な組み合わせが上述のプロトコルにより使用され、CXCR4投与のタイミングや頻度は、当業者に周知の通常の最適化方法に従うことができる。
【0046】
以上が本発明についての一般的な説明であり、本発明は、以下の実施例を参照することにより、更に容易に理解され得る。当該実施例は、実例として挙げたものであり、特に指定されない限り、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0047】
本実施例においては、ヒト急性前骨髄球性白血病(APL)マウスモデルを使用した、APL細胞の末梢血液への移行に対するCXCR4アンタゴニストの効果、及び、当該細胞の増殖に作用することが知られている化学療法剤への感受性に対するCXCR4アンタゴニストの効果の測定について記載する。マウスAPL細胞は、ヒトAPL由来のPML−RARα cDNAをマウスカテプシンG遺伝子座に「ノックイン」することで生成され(Westerveltら、PubMed(2003)102(5):1857−1865)、マウス前骨髄球性コンパートメントにおいて過剰発現させた。マウスAPL細胞は、同系のマウスに注入後、ヒトAMLで観察されるのと同様に骨髄微小環境へと選択的にホーミングし、多数が末梢血液内を循環したのちに骨髄で20から30日間に亘って増殖する。これは最終的には、50から80日後におけるマウスの死亡につながる。
【0048】
APLマウスモデルを用いることにより、AMD3100、AMD3465、AMD11070及び本願に記載されたその他の化合物等の被験化合物による治療後、白血病細胞が正常な幹細胞と同様に「移行」させられるかを測定することができる。一例として、APL細胞の注入と同時に迅速にAMD3100(5mg/kg)を注射した場合、正常な骨髄幹細胞又は白血病細胞のいずれの生着(短期又は長期)にも影響が見られなかった。しかし、APLを注入してから11日後にAMD3100を投与した場合、白血病細胞の迅速な移行が観察された。APL注入から11日後にAMD3100を単回投与されたマウスの40%(2/5)は、AMD3100の投与後2から4時間後に死亡した。11日後のAMD3100の投与は、総白血球(WBC)数を3倍に増加させ、末梢血液内へ移行する白血病芽球を10倍増加させることが観察された。
AMD3100をシタラビン(Cytarabin)(200mg/kg)と併用して11日後にマウスに投与した場合、マウスの総生存期間は、シタラビンだけで治療したマウスと比較して著しく延長された。当該観察結果から、腫瘍細胞を骨髄から末梢血液へと移行させ、化学療法薬の効果を高めることで、腫瘍の抵抗性の問題を克服できる可能性が示された。
【実施例2】
【0049】
(臨床試験)
CXCR4アンタゴニストAMD3100のインビボでの効果を、G−CSF及び/又はCytoxan(登録商標)を用いた自己幹細胞移植ではCD34+の移行が不十分であった3人のAML患者で観察した。G−CSF及びAMD3100を組合せて使用し(3〜4日間)、フローサイトメトリ法及び各細胞遺伝学的異常を間期FISH分析法により測定したところ、時間に依存した白血病細胞の循環系への大量の移行が確認された。
【0050】
【表1】

【実施例3】
【0051】
(インビトロ・データ)
過去に行われた研究で、間質/白血病の相互作用が、化学療法誘導アポトーシスから白血病細胞を保護することを仲介していることが示されている(Konopleva、M.、Leukemia(2002):1713−1724)。AML細胞と間質細胞をin vitroで共培養することにより、間質細胞が白血病細胞を顕著に保護することが示された(p<0.01)。AMD3465の適用は、AraC及びブスルファンによるアポトーシスから間質に媒介された保護を低下させ、AML細胞におけるAKTシグナル伝達を下方制御させた。
【実施例4】
【0052】
(動物モデル)
ルシフェラーゼ標識Baf−FLT3ITD白血病のマウスモデルにおいて、AMD3465は、白血病の広範な拡散を誘発し、これは強力なFLT3ITD阻害剤であるソラフェニブ(sorafenib)を用いた治療により排除された(Zhang、ASH2006)。
【0053】
(付録A)
式(1)のCXCR4アンタゴニストの例としては、式(1A):
V−CR−Ar−CrNR−(CR−Ar (1A)
で表される化合物が含まれ、ここで、Vは、置換されていてもよい2個以上の炭素原子を介して互いに離れた位置にある、置換されていてもよい2−4個のアミン窒素原子を含む9−24員の置換複素環であり、当該複素環は、縮合芳香環又はヘテロ芳香環を含んでいてもよく、ここで
(a)前記複素環は、少なくとも1個の酸素原子又は硫黄原子を含み、前記酸素原子若しくは硫黄原子は少なくとも2個の炭素原子を介して隣接するヘテロ原子と互いに離れた位置にあり、ここで前記硫黄原子は任意で酸化されており、
(b)前記環内の少なくとも1個の炭素原子が電子求引置換基によって置換されており、又は、
(c)(a)及び(b)の双方であり;
ここで、各Rは、独立して水素原子、又は、直鎖、分岐若しくは環状のC1−6アルキル基であり;
xは、0−4であり;
Arは、置換されていない又は置換された芳香環又はヘテロ芳香環であり;かつ、
Arは、置換されていない又は置換された芳香環又は複素環である。
【0054】
式(1)の他の態様において、CXCR4アンタゴニストは式:
V−CH−Ar−CHNR−CH−Ar
で表され、ここで、Vは、式(1A)で定義された複素環であり、また、ここで:
(a)前記複素環は、ハロゲン原子、又は、=Oで置換されており;
(b)前記複素環は、酸素原子又は硫黄原子を含み;又は、
(c)(a)及び(b)の双方であり、
ここで、Arは、置換されていない1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンであり、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基であり、Arは、置換されていないフェニル基又はピリジニル基である。xの例として好ましくは、0−2、及び、1−2である。
【0055】
複素環Vは、少なくとも1個のフルオロ基で置換された複素環内に、3個の窒素原子と少なくとも1個の炭素原子を含んでいてもよい。Rは、独立して、水素原子又はメチル基であってもよい。(CR基の数は、0−4、0−2、又は、1−2であってもよい。Arは、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンであってもよい。Arは、フェニル基又はピリジル基であってもよい。複素環Vは、12−16員の複素環であってもよく、又は、酸素原子若しくは硫黄原子を環員に含んでいてもよい。また、複素環Vは、酸化硫黄を環員に含んでいてもよい。一例において、複素環V中の少なくとも1個の炭素原子は、=Oによって置換されている。
【0056】
式(1A)の化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO01/44229に記載されている。
【0057】
式(1B):
V−CR−Ar−CR−N(R)−(CR−R (1B)
で表される化合物において、
Vは、置換されていてもよい、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラ−デカニル基、4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル基、1,4,7−トリアザシクロテトラ−デカニル基、4,7,10−トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル基、1,7−ジアザシクロテトラデカニル基、又は、4,10−ジアザビシクロ[13.31.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル基であり;
からRは、同一又は異なって、それぞれ、水素、又は、直鎖、分岐若しくは環状C1−6アルキル基から選択され;
は、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、チオフェン−イル基、チオフェニル基、アミノベンジル基、ピペリジニル基、プリン基、ピペラジニル基、フェニルピペラジニル基、又は、メルカプタンであり;
Arは、アルキ基ル、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、及び/又は、カルボキシアミド基で1又は複数の位置で置換されていてもよいフェニレン環であり;
xは、1又は2である。
【0058】
上記の式(1B)において、Vは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、チオール基、チオアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、アミド基、スルホン酸基、及び/又は、リン酸塩で置換されていてもよい。
【0059】
式(1B)の化合物、その薬学的に許容可能な塩又はその金属錯体、及び、これらの化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO00/02870に記載されている。
【0060】
その他のCXCR4阻害剤は、式(1C):
−CR10−Ar (1C)
で表され、ここで、Vは、置換されていてもよい、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラ−デカニル基、又は、4,7,10,17−テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ−1(17),13,15−トリエニル基であり、
及びR10は、同一又は異なって、独立して、水素原子、又は、直鎖、分岐若しくは環状のC1−6アルキル基から選択され、
Arは、1又は複数の位置で、電子供与基若しくは求引基、及び/又は、芳香環及び複素環基及びそのアルキル誘導体でそれぞれ置換されていてもよい、芳香環又は複素環であり、並びに、その酸付加塩及び金属錯体である。
【0061】
上記の式(1C)において、Arは、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、及び/又は、カルボキシアミド基で置換されていてもよい。特に、Arは、アルコキシ基、アルキル基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0062】
式(1C)で表される化合物、及び、その合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO00/02870に記載されている。
【0063】
別のCXCR4アンタゴニストは、式(1D):
V−R−A−R´−W (1D)
で表され、ここで、V及びWは、独立して、2個以上の炭素原子を介して互いに離れた位置にある3−8個のアミン窒素原子を含む9−32員の環状ポリアミンを有し、かつ、それと縮合した1以上の芳香環又はヘテロ芳香環を有し、
Aは、V及びWが1以上の芳香環若しくはヘテロ芳香環と縮合している場合、窒素原子以外の追加のヘテロ原子が環内に存在し若しくは存在しない、芳香環又はヘテロ芳香環であり、あるいは、Aは、V及びWが環内に窒素以外のヘテロ原子を含み、1以上の芳香環又はヘテロ芳香環と縮合していない場合、芳香環又はヘテロ芳香環である。
R及びR´は、環状ポリアミンとAとの間をあける、それぞれ、置換された又は置換されていないアルキレン鎖、又は、ヘテロ原子含有鎖である。
【0064】
上記の式(1D)において、R及びR´は、それぞれメチレンであってもよい。一例において、Aは、1,3−フェニレン、又は、1,4−フェニレンである。他の例において、各V及びWは、環内に炭素原子と窒素原子のみを含む、置換されていない又は置換された三環式又は二環式環系である。環系の1つは3−6個のアミン窒素原子を有する10−20員のポリアミン環であってもよく、当該環系は、縮合ベンジル又はピリジニル環系である。
【0065】
式(1D)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれる米国特許第5698546号に記載されている。
【0066】
他のCXCR4アンタゴニストは、式(1E):
Z−R−A−R´−Y (1E)
で表され、ここで、Z及びYは、同一の、2個以上の炭素原子により互いに離れた位置にある3−6個のアミン窒素原子を環内に含む、10−15員の環状ポリアミンであって、前記アミン窒素原子が環内で唯一のヘテロ原子であり、
Aは、キノリン以外の芳香環又はヘテロ芳香環であり、
R及びR´は、それぞれ、Z及びYの他に置換されてないアミン窒素原子に結合したメチレンである。
【0067】
上記の式(1E)において、各Z及びYは、環内に4個のアミン窒素原子を有する14環員であってもよい。式(1E)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれる米国特許第5583131号に記載されている。
【0068】
CXCR4アンタゴニストは、式(1F):
Z−(A)−Y (1F)
で表されてもよく、ここで、Z及びYは、独立して、環内に3−8個のアミン窒素原子を含む、9−32員の環状ポリアミンであり、
Aは、結合原子又は結合基であり、nは、0又は1−6の整数である。
【0069】
上記の式(1F)において、各Z及びYは、10−24員又は12−18員であってもよい。また、各Z及びYは、環内に4−6個のアミン窒素原子を有していてもよい。一例において、nは0である。他の例において、Aはメチレンである。
【0070】
式(1F)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれる米国特許第5021409号に記載されている。
【0071】
その他のCXCR4アンタゴニストは、式(2A):
【0072】
【化5】

(2A)
で表され、ここで、Wが窒素原子でありかつYが存在しないか、又は、Wが炭素原子でありかつYが水素原子であり;
からRは、同一又は異なって、独立して、水素原子、又は、直鎖、分岐若しくは環状のC1−6アルキル基であり;
は、置換されていてもよい複素環基、又は、置換されていてもよい芳香環基であり、
Arは、1又は複数の非結合部位において電子供与基又は求引基で置換されていてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環であり;
n及びn´は、独立して0−2であり;
Xは、式:
【0073】
【化6】

で表される基であり、ここで、環Aは、置換されていてもよい飽和又は不飽和の5又は6員環であり、Pは、置換されていてもよい窒素原子であり、ここで、環AにおいてPに加えて存在するヘテロ原子は全て窒素原子であり;
ここで、環Bは、置換されていてもよい5−7員環であり;
ここで、環A又は環Bは、V基を介していずれの位置でW基と結合してもよく;
ここで、Vは、化学結合であるか、Vは、(CHn”基(ここで、n”は、1−2である)であるか、又は、Vは、C=O基であり;
ここで、Zは、水素原子;置換されていてもよいC1−6アルキル基;置換されていてもよい、芳香環基又は複素環基;置換されていてもよいアミノ基;置換されていてもよいC1−6アルキルアミノ基若しくはC3−7シクロアルキルアミノ基;及び、置換カルボニル基から成る群から選択され;
あるいは、薬学的に許容可能なその酸付加塩であり;
ここで、前記化合物はいずれの立体異性体であってもよく、又は、その立体異性体の混合物であってもよく;
ここで、環Bは、ベンゼン及び5−7員シクロアルキル環;並びに、その任意の置換体から成る群から選択される。
【0074】
また、CXCR4アンタゴニストは、式(2B):
【0075】
【化7】

の化合物を含み、ここで、Wは、窒素原子でありYは存在せず;
からRは、同一又は異なって、独立して、水素原子、又は、直鎖、分岐若しくは環状のC1−6アルキル基であり;
は、置換されていてもよい複素環基、又は、置換されていてもよい芳香環基であり、
Arは、1又は複数の非結合部位で電子供与基又は求引基で置換されていてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環であり;
n及びn´は、独立して0−2であり;
Xは、式:
【0076】
【化8】

で表される基であり、ここで、環Aは、置換されていてもよい、飽和又は不飽和の5又は6員環であり、Pは、置換されていてもよい窒素原子であり、ここで、環A又は環Bにおいて存在するヘテロ原子は全て窒素原子であり;
ここで、環Bは、置換されていてもよい5−7員環であり;
ここで、環A又は環Bは、V基を介していずれの位置でW基と結合してもよく;
ここで、Vは、化学結合であるか、Vは、(CHn”基(ここで、n”は1−2である)であるか、又は、Vは、C=O基であり;
ここで、Zは、水素原子;置換されていてもよいC1−6アルキル基;置換されていてもよい、芳香環基又は複素環基;置換されていてもよいアミノ基;置換されていてもよい、C1−6アルキルアミノ基又はC3−7シクロアルキルアミノ基;及び、置換カルボニル基から選択され;あるいは、薬学的に許容可能なその酸付加塩であり;
ここで、前記化合物はいずれの立体異性体であってもよく、又は、その立体異性体の混合物であってもよい。
【0077】
式(2A)及び(2B)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO00/56729に記載されている。
【0078】
その他のCXCR4アンタゴニストは、式(3):
【0079】
【化9】

で表される化合物、又は、その塩、プロドラッグ及び立体化学形であり、ここで:
環Aは、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子から選択されたヘテロ原子を含んでいてもよく;
点線は、不飽和であってもよいことを示し;
は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、置換されていてもよいアミノ基、カルボン酸塩、カルボキサミド基、スルホン酸塩、スルホンアミド基、C2−4アルカノイル基、アルキルスルホニル基、又は、アロイル基であり;
及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、置換されていてもよいアリール基、若しくは、複素環基であり、又は、RとRは環Eと一緒になって置換された又は置換されていない5−7員環を形成してもよく;
kは、0−4であり;
mは、0−2であり;
は、窒素原子又は酸素原子を含んでいてもよいC1−6アルキルの共有結合であり;
Xは、置換されていない若しくは置換された炭素原子若しくは窒素原子;又は、酸素原子若しくは硫黄原子であり;
Arは、フェニレンであり;
各nは、独立して、0−2であり;
各Rは、独立して、水素原子、又は、C1−6アルキル基であり;
Yは、縮合若しくは非縮合の芳香環基若しくはヘテロ芳香環基、又は、5−6員複素環基である。
【0080】
また、CXCR4アンタゴニストは、式(3A):
【0081】
【化10】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体化学形であってもよく、ここで:
R、m、n、Ar及び各Yは、式(3)で定義されたものと同じであり;
は、共有結合、又は、窒素原子若しくは酸素原子を含んでいてもよいC1−6アルキル基であり;
各Zは、2個だけのZがCR以外であり得る条件で、独立して、CR、NR、酸素原子、又は、硫黄原子である。
【0082】
上記の式(3A)において、Lは、メチレン基、又は、エチレン基であってもよい。一例において、mは1であり、かつ、全てのZはCR、特にはCHである。
【0083】
上記の式(3A)において、各Yは、ピリミジル基、ピリジル基、フェニル基、ベンズイミダゾール基、又は、ベンゾオキサゾール基である。
【0084】
別のCXCR4アンタゴニストは、式(3B):
【0085】
【化11】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体化学形であり、ここで:
は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、置換されていない又は置換された、単環式(5−6員)又は縮合二環式(8−12員)環であり;
は、水素原子であるか、又は、置換されていてもよいC1−6アルキル基;置換されていてもよい芳香環若しくは複素環基で置換された、C0−6アルキル基;置換されていてもよい、C0−6アルキルアミノ基若しくはC3−7シクロアルキルアミノ基;及び、置換されていてもよいカルボニル基若しくはスルホニル基、から成る群から選択され;
Ar、R及びnは、式(3)で定義されたものと同じであり;
【0086】
【化12】

で表される基は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される、1−2個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の5員環である。
【0087】
その他のCXCR4アンタゴニストは、式(3C):
【0088】
【化13】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ又は立体異性体であり、ここで:
は、フェニル基、ピリジル基、ピリジミル基、イミダゾリル基、チオフェニリル基、並びに、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい縮合環基であり;
は、水素原子であり;
Ar、R及びnは、式(3)で定義されたものと同じであり;
【0089】
【化14】

で表される基は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1又は2個のヘテロ原子を含む10員の縮合環基を表わす。
【0090】
式(3)及び(3A)−(3C)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO02/22600に記載されている。
【0091】
他のCXCR4アンタゴニストは、式(4):
【0092】
【化15】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、ここで:
Xは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、置換されていない又は置換された、単環式(5−6員)又は縮合二環式(9−12員)環系であり;
Zは、水素原子であるか、又は、窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を含む、置換されていてもよい、5−6員の単環式又は9−12員の縮合二環式環系であり;
Arは、置換されていてもよい、芳香環、又は、ヘテロ芳香環であり;
各L、L及びLは、独立して、結合、CO、SO、又は、CHであり、ここで、L及びLの少なくとも1つはCO又はSOを含み;ここで、Lは、1又は2個の炭素原子が窒素原子と置き換わっていてもよいC2−5アルキレン基であってもよく、かつ、当該アルキレン基はそれ自体が架橋C3−4アルキレン基で置換されていてもよく;また、L及びLは、独立して、SONH、CONH、SONHCH、又は、CONHCHであってもよく;
nは、0、1又は2であり;
各R及びRは、独立して、水素原子、又は、置換されていてもよい、直鎖、分岐若しくは環状のC1−6アルキル基であり、ここで、Rは、Yにカップリングされたアルキレン基であってもよく;
Yは、Lに直接的にカップリングされた、少なくとも1つの、置換された又は置換されていない、芳香環、ヘテロ芳香環若しくはその他の複素環を含む。
【0093】
上記の式(4)において、Xは、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ピラノピリジン、ジヒドロピラノピリジン、チアピラノピリジン、ジヒドロチアピラノピリジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、又は、ベンゾオキサゾリル基であってもよい。
【0094】
上記の式(4)において、Lは、1個の炭素原子が窒素原子と置き換わっていてもよいC2−5アルキレン基であってもよく、当該アルキレン基は架橋C3−4アルキレン基で置換されていてもよい。例えば、Lは、アルキレン基、CO、又は、SOであってもよく、Xは、置換されていてもよい、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、又は、ベンゾオキサゾール基である。または、Lは、結合であってもよく、Xは、置換された又は置換されていない、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ピラノピリジン、ジヒドロピラノピリジン、チアピラノピリジン、ジヒドロチアピラノピリジン、ジヒドロナフチリジン、又は、テトラヒドロナフチリジンである。
【0095】
上記の式(4)において、Zは水素原子であってもよい。
【0096】
上記の式(4)において、Yは、置換されていてもよい、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、ピリジン、ピリジン、ピリミジン、又は、フェニル基であってもよく、ここで環上の窒素原子は酸化されていてもよい。例えば、Yは、ハロゲン原子、ニトリル基、アルキル基、−OR、−SR、−NR、−NRCOR、−OOCR、−COR、−CONR、−COOR、−NO、−NOH、−CFで置換されていてもよく、ここで、Rは水素原子又はC1−6アルキル基である。
【0097】
上記の式(4)において、各X又はZは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、アシル基、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、カルボキサミド、スルホンアミド、あるいは、水素原子に結合し又はC1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−7シクロアルキル基若しくは5−6員の単環式芳香環基で置換されていてもよいカルボニル基又はスルホニル基で置換されていてもよく;あるいは、X又はZは、5−6員の単環式芳香環基、ナフチル基、又は、5−6員複素環基で置換されていてもよい。
【0098】
別のCXCR4アンタゴニストは、式(4A):
【0099】
【化16】

又は式(4B):
【0100】
【化17】

で表され、ここで、lは、0−3であり、R´は、OH、MeO、SH、SMe、CN、COMe、F、Cl、Br、NO、CHCO、NH、NHCH、N(CH、CHCONH、CHSONH、CONH、SONH、CF、又は、Meであり;
各Z、Z及びZは、独立して、CH、CR´又は窒素原子であり、ここで、前記Z、Z及びZのうち2つだけが窒素原子であることができ;
及びLは、式(4)で定義されたものと同じである。
【0101】
上記の式(4A)又は(4B)において、Z、Z及びZは、全てCH又はCR´であってもよい。一例において、Zは窒素原子であり、LはCOである。更に、L及びLの一方はSOであってもよく、もう一方は結合又はCHである。または、L及びLの一方はCOであり、もう一方は結合又はCHである。
【0102】
別の実施形態において、本発明の方法において使用する化合物は、式(4C):
【0103】
【化18】

で表され、ここで、lは、0−3であり、R´は、OH、MeO、SH、SMe、CN、COMe、F、Cl、Br、NO、CHCO、NH、NHCH、N(CH、CHCONH、CHSONH、CONH、SONH、CF、又は、Meであり;
kは、0−2であり;
各Z、Z及びZは、独立して、CH、CR´又は窒素原子であり、ここで、前記Z、Z及びZの2つだけが窒素原子であることができ;
X、L及びLは、式(4)で定義されたものと同じである。
【0104】
上記の式(4C)において、Z、Z及びZは全てCH又はCR´であってもよい。一例において、Zは窒素原子であり、LはCOである。更に、L及びLはSOであってもよく、もう一方は結合又はCHである。または、L及びLの一方はCOであってもよく、もう一方は結合又はCHである。
【0105】
式(4)、(4A)−(4C)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO02/22599に記載されている。
【0106】
別のCXCR4アンタゴニストは、式(5):
【0107】
【化19】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり;
環Aは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択されたヘテロ原子を含み;
点線は、不飽和であってもよいことを示し;
、R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換された又は置換されていないアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、又は、アシル基であり;又は、R及びRが一緒になってベンゾ環を形成してもよく;
kは、0−4であり;
lは、0、1又は2であり;
Xは、置換されていない若しくは置換された炭素原子若しくは窒素原子であるか;又は、酸素原子若しくは硫黄原子であり;
Arは、芳香環基又はヘテロ芳香環基であり;
各nは、独立して、0−2であり;
各Rは、独立して、水素原子又はC1−6アルキル基であり;
jは、0−3であり;
各Yは、独立して、ハロゲン原子;OR;SH;SO;SO;置換されていてもよいフェニル基;
−(CROR;
−(CRCOR;
−(CRCOOR;
−(CRN=CH−NR
−(CRCONHNHR;
−(CRCN;
−(CRNR
−(CRNR(CRNRR
−(CRNR(CRNR(CRNR
−(CRCO(CRNR
−(CRCO(CRNR(CRNRR
−(CRCO(CRNR(CRNR(CRNR
−(CRNRCO(CRNRR
−(CRNRCO(CRNR(CRNR;
−(CRNRCO(CRNR(CRNR(CRNR(CRNR
−(CRNROH;
−(CRCONROH;
−(CRCR=NOH;
−NHNHR;
−CH=N−Z;及び、
−グアニジノ基又はアミジノ基、から成る群から選択され、各基は(CR部を介してYと結合していてもよく、
ここで、Rは、水素原子又はC1−6アルキル基であり、各mは、独立して、0−4であり、各R及び各Rは、独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、又は、C1−6アシル基であり、それぞれ1以上の非芳香環かつ非複素環の置換基で置換されていてもよく、ここで、2つのRは、連結されて、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個以上の追加のヘテロ原子を含んでいてもよい環状アミンを形成してもよく;
aは、環Aと窒素原子との間のリンカーを示し;
bは、環Eと窒素原子との間のリンカーを示し;かつ、
ここで、Zは、5−12員の芳香環又はヘテロ芳香環である。
【0108】
上記の式(5)において、 Arは、5−6員の単環又は9−12員の縮合環であってもよい。例えば、Arは、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、フラン、ベンゾフラン、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ピロール、インドール、イミダゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ピラゾール、チオフェン、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イミダゾリン、及び、ベンゾピランであってもよい。特に、Arは、ベンゼン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンズトリアゾール、チアゾール、ピリジン、又は、ピリミジンである。一の実施形態において、少なくとも1つのYは、−(CRNRである。
【0109】
上記の式(5)において、R及びRは、一緒になってベンゾ置換基を形成してもよい。一の実施形態において、Xは窒素原子であり、環Eは1個の窒素原子とカップリングしたπ結合を含む。一の実施形態において、環Eは2位において、分子の他の部分と結合している。
【0110】
上記の式(5)において、環Aは飽和していてもよく、lは1である。一例において、kは0−1である。他の例において、Aを含む環はテトラヒドロキノリン又はその置換体である。
【0111】
上記の式(5)において、(CR及び(CRはCHであってもよく、もう一方は結合である。例えば、(CRは結合であってもよく、(CRがCHである。
【0112】
式(5)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO02/34745に記載されている。
【0113】
他のCXCR4アンタゴニストは、式(6):
【0114】
【化20】

で表され、又はその塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここで、X及びYは、独立して、窒素原子又はCRであり;
Zは、硫黄原子、酸素原子、NR又はCRであり;
各R−Rは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、O(C=O)R、NR(C=O)R、OR、SR、NR、COOR、CONRであり、ここで、Rは、水素原子又は置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基であか;又は、
各R−Rは、それぞれ、置換されていてもよく、かつ、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含んでいてもよい、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C5−12アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又は、アリールアルキニル基;又は、置換されていてもよく、かつ、各アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール部分が酸素原子、酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい、アシル基、アリールアシル基、アルキル−、アルケニル−、アルキニル−、若しくは、アリールスルホニル基であり;
n1は、0−4であり;
n2は、0−1であり、ここで、は、CR=CRがC≡Cで置き換わっていてもよいことを意味し;
n3は、0−4であり;
ここで、n1+n2+n3は2より大きいか又は2であり;
bは、0−2であり;
ここで、以下の組合せのR基は、カップリングして環を形成してもよく、当該環は飽和又は不飽和であってもよく:
+R
1つのR+R
+1つのR
+R
1つのR+他のR
1つのR+1つのR、及び、
+R
ここで、2つのRが環形成に関わる場合、当該環は芳香環でなくてもよく;かつ、
ここで、n2が1の場合、n1及びn3のいずれも0ではない。
【0115】
別のCXCR4アンタゴニストは、式(6A):
【0116】
【化21】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここで、R−R及びn1−n3は、式(6)で定義されたものと同じである。
【0117】
他のアンタゴニストは、式(6B)又は式(6C):
【0118】
【化22】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここで、nは、0−1であり;
dは、0−3であり;点線は、π結合であってもよいことを示し;
−Rは、式(6)で定義されたものと同じである。
【0119】
更に別の実施形態において、本発明の方法で使用する化合物は、式(6D):
【0120】
【化23】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここでR−Rは、式(6)で定義されたものと同じであり、n4は、2−6である。
【0121】
上記の式(6)又は(6A)−(6D)において、各Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は、CFであってもよい。一の実施形態において、各Rは、水素原子又はアルキル基である。別の実施形態において、各Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、又は、アリール基である。
【0122】
上記の式(6)又は(6A)−(6D)において、各Rは、水素原子、アルキル基、又は、アリール基であってもよい。または、2つのRは、一緒になって、置換されていてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。例えば、2つのRは、一緒になって、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよい、フェニル基又はピリジル環基を形成してもよい。
【0123】
上記の式(6)又は(6A)−(6D)において、各Rは、水素原子、アルキル基、又は、アルケニル基であってもよく、ここで、前記アルキル基又はアルケニル基は置換されていてもよい。一の実施形態において、一の炭素又は非隣接若しくは隣接する複数の炭素における、当該アルキル置換基又はアルケニル置換基は、飽和又は不飽和環を形成する。一例において、置換基は、非芳香環を形成する。別の実施形態において、1つのRは、オキシム基、アルキル化オキシム基、アルキル化ヒドロキルアミン基、ヒドロキシルアミン基、又は、ハロゲン原子である。
【0124】
上記の式(6)又は(6A)−(6D)において、各Rは、独立して、水素原子、アリールアルキル基、又は、アリールスルホニル基であってもよく、ここで、当該アリール部は、ヘテロ原子を含んでいてもよく;あるいは、2つのRは、グアニジル基、カルボニル基、又は、カルバミノ基を含んでいてもよい。一の実施形態において、2つのRが一緒になって、又は、1つのRと1つのRが一緒になって、飽和、不飽和又は芳香族の環を形成してもよく、ここで、各環は窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を含んでいてもよい。
【0125】
式(6)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO03/055876に記載されている。
【0126】
CXCR4アンタゴニストは、式(7):
【0127】
【化24】

で表されていてもよく、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここで、Xは、(CR−(CR=CR−(CR−NR;(CR−R;又は、置換されていてもよいベンジル基、又は、窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい単環若しくは二環式の環であり;
Yは、窒素原子を含む、置換されていてもよい5−12員の複素環であり、前記複素環は、単環又は縮合環であってもよく、かつ、芳香族又は部分的に芳香族であり;
A及びRは、独立して、ハロゲン原子、CF、シアノ基、ニトロ基、OR、SR、NR、COOR、CONR、NSOR、OSOR、又は、OSONRであり、ここで、各Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アリール基であり;あるいは、A及びRは、独立して、置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい、C1−10アルコキシ基、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、5−12員アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又は、アリールアルキニル基であり;
及びRは、独立して、水素原子、又は、置換されていてもよいアルキルであり;
は、置換されていてもよい、複素環又はヘテロアリールであり;あるいは、Rは、複素環で置換されていてもよい、尿素、ヒドロキシウレア、スルファミド、アセトアミド、グアニジン、シアナミド、ヒドロキシアミン、シアナミド、イミダゾリジン−2−オン、又は、ニコチンアミドを含み;
は、水素原子又はアルキル基であり;
l及びnは、独立して0−4であり;
pは、0−1であり;
o及びqは、独立して、1−4であり;
rは、1−6である。
【0128】
上記の式(7)において、R及びRの少なくとも1つは、水素原子でなくてもよく、連結されてアリール又はヘテロアリール等の追加の環を形成してもよい。一例において、2つのAは、追加の環を形成しなくてもよい。別の例において、Xは(CR−Rであり、rは少なくとも2であり、かつ、Rは2−ピリジニル基、キノリニル基、イミダゾリル基又はフランである。
【0129】
上記の式(7)において、Xは(CR−(CR=CR−(CR−NRであってもよく、ここで、各R及びRは、独立して、水素原子であり、pはゼロであってもよい。特にある実施形態において、o及びqは、共に2−6である。または、Xは(CR−Rであってもよく、ここで、Rは、いずれも窒素原子を含む、複素環又はヘテロアリールである。例えば、Rは、アゼチジン基、ピロリジニル基、ピリジニル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、又は、ベンズイミダリル基であってもよい。または、Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい、単環又は二環式の環であってもよく、例えば、シクロヘキシル基、ピペリジン基、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、又は、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンである。更に別の実施形態において、Xは置換されていてもよいベンジル基であり、特に二置換ベンジル基である。
【0130】
上記の式(7)において、Yは、分子の他の部分と結合した原子と隣接した窒素原子を含む5−6員の複素環であってもよい。当該5−6員の複素環は、別の環と縮合してもよい。例えば、Yはピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、イソキノリン、テトラヒドロキノリン、ピリダジン、チアゾール、又は、ベンゾイミダゾールであってもよい。ある例において、Yはテトラヒドロキノリン、特に、分子の他の部分と8位で結合した5,6,7,8−テトラヒドロキノリンである。
【0131】
上記の式(7)において、置換されていてもよい基は、ヘテロ原子、ハロゲン原子、CF、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、シアノ基、スルホニル基;又は、それぞれ窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい、C1−6アルキル若しくはC2−6アルケニル基で置換されていてもよく;あるいは、それぞれが同様の置換基で更に置換されていてもよい、アリール基、ヘテロアリール基、炭素環基、又は、複素環基で置換されていてもよい。
【0132】
式(7)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、参照により本願に組み込まれるWO04/091518に記載されている。
【0133】
CXCR4アンタゴニストは、式(8):
【0134】
【化25】

で表され、又は、その塩、プロドラッグ及び立体異性体であり、
ここで、各環A及びBは、独立して、置換されていてもよい、5−6員のヘテロアリール単環であり;
環Cは、置換されていてもよく、窒素原子に加えてヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和又は部分的に飽和した5−7員環であり、ここで、前記へテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり;
Yは、水素原子、又は、それぞれ置換されていてもよい、1個以上のヘテロ原子を含むC1−6アルキル基、若しくは、環状基であり;
及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよいアルキル基であり;
Lは、(CR又はNR(CRであり、ここで、アルキル結合は、アルケニル結合又はアルキニル結合と置き換えられていてもよく;
lは、1−6であり;
各Rは、水素原子又はアルキル基である。
【0135】
上記の式(8)において、環Cがピペリジニル基又は1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル基であり、かつ、環A及び環Bがピリジニル基である場合、R及びRの少なくとも1つは水素原子でなくてもよい。他の実施形態において、環Cがピペリジニル基であり、かつ、環A及び環Bがピリジニル基である場合、R及びRは共にナフタレニル基でない。更に他の実施形態において、L−YがCHである場合、環Cは4−オキソーピペリジン−3,5−ジカルボン酸ではなく;L−Yがベンジル基である場合、環Cは4−ヒドロキシ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エステルではない。
【0136】
上記の式(8)において、R及びRは、環Cへの結合部位と隣接した位置にあってもよい。一例において、R及びRは、独立して、例えばメチル基のような、置換されていないアルキル基であってもよい。
【0137】
上記の式(8)において、環A及び環Bは、それぞれ、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、1,2,3−ベンゾトリアジン、1,2,4−ベンゾトリアジン、インドール、ベンズイミダゾール、1H−インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズ[d]イソオキサゾール、ベンズ[d]イソチアゾール、又は、プリンであってもよい。特にある例において、各環A及び環Bは、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、又は、ベンズイミダゾールであり、また、各環A及び環Bは同一であってもよい。また、環A及び環Bは、それぞれ、当該環の環Cとの結合部位に隣接した位置に、同一であってもよい1の置換基を含んでいてもよい。
【0138】
上記の式(8)において、環Cは、飽和環であってもよく、又は、二重結合を含んでいてもよい。例えば、環Cは、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサヒドロ−1H−アゼピン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパン、アゾカン、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン、3−ピロリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、イソインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[c]アゼピン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、オキセパン、チエパン、オキソカン、又は、チオカンであってもよい。特にある例において、環Cは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、又は、ヘキサヒドロ−1H−アゼピンである。環Cは、置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、オキシム基、OR、又は、C=N−ORで置換されていてもよく、ここで、Rは、置換されていてもよいアルキル基である。
【0139】
上記の式(8)において、Yは
−(CRNR
−(CRNR(CR)、
−(CRNR(CR)NR
−(CRNR(CR)NR(CR)NR
−(CROR、
−(CRCO(CR)OR、
−(CRCO(CRNR
−(CRCO(CRNR(CRNR
−(CRNRCO(CRNR
−(CRNR(CRCOR、
−(CRNR(CRCOR、
−(CRNR(CRSOR、
−(CRNRCO(CRNR(CRNR
−(CRNRCO(CRNR(CRNR(CRNR(CRNR
−(CRNR(CROR、
−(CRCR=NOH、
−(CRCONR(CROR、
−(CRN[(CRCOR]
−(CRONRCONR
−(CR−Z、
−(CRNR−(CO)Z、
−(CRNR−(CRZ、及び、
−(CR−CR=N=Z
から成る群から選択されてもよく、
ここで、各Rは、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基であり、
各mは、独立して、0−4であり;
Zは、置換されていてもよい5−12員の芳香環又はヘテロ芳香環基である。
【0140】
特にある実施形態において、Yは、(CHNRであり、lは、1−10である。または、Yは、単環又は縮合環の、5−12員の芳香環、ヘテロ芳香環、又は、複素環基であってもよい。例えば、Yは、フェニル、イミダゾール、ピリジン、チオフェン、ピロリジン、ピラゾール、ピペリジン、アゼチジン、ベンズイミダゾール、ベンゾ[d]イソオキサゾール、又は、チアゾールであってもよい。更に、Yは、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;アルコキシ基;ハロゲン化アルキル基;置換されたカルボニル基;5−12員のアリール基、又は、窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を含む5−12員のヘテロアリール基等の環状基;あるいは、それぞれ、置換されていてもよく、かつ、酸化物であってもよい、アルキル基、アルケニル基、又は、1個以上の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含むヘテロアルキル基、で置換されていてもよい。特にある例において、Yは、ピリジン、フェニル、ピペリジン、又は、2H−テトラゾールで置換されている。
【0141】
上記の式(8)において、それぞれ置換されていてもよい基は、ヘテロ原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又は、スルホニル基等の無機部分によって置換されていてもよく;あるいは、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、5−12員アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、又は、アリールアルキニル基で置換されていてもよく、当該基は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよく、かつ、それぞれ、更に同様な置換基で置換されていてもよい。例えば、それぞれ置換されていてもよいアルキル基は、窒素原子、酸素原子若しくは硫黄原子等のヘテロ原子、又は、炭素環、複素環、アリール若しくはヘテロアリール置換基で置換されていてもよい。
【0142】
式(8)で表される化合物、及び、当該化合物の合成方法は、それぞれ参照により本願に組み込まれる、WO04/093817、及び、米国特許公開公報第2005/0154201号として公開された米国特許出願に記載されている。
【0143】
上記の詳細な説明及び付随する実施例は単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものと捉えられるべきではない。本願で参照した米国特許及び公開公報は参照により本願に組み込まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血系又は骨髄性悪性腫瘍に罹患した患者における化学療法の効果を高める方法であって、
前記患者に化学療法を施すと共に、
前記化学療法の有効性を高める効果がある、ある量の少なくとも1つのCXCR4アンタゴニストを投与する
ことを備える方法。
【請求項2】
CXCR4アンタゴニストが、式
Z−リンカー−Z´ (1)
で表され、又は、その薬学的に許容可能な塩若しくはプロドラッグであり、
ここで、Zは、2−8個の窒素原子を含む9−32員の環状ポリアミンであり、前記窒素原子は少なくとも2個の炭素原子を介して互いに離れた位置にあり、前記複素環は窒素原子以外の追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、及び/又は、別の環と縮合されていてもよく;
又は、Zは、式:
【化1】

で表され、ここで、Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式又は二環式の縮合環を含み、Bは、水素原子又は1−20個の原子の有機部分であり;
Z´は、上記のZとして定義された基、又は、式:
−N(R)−(CR−X
で表される基であってもよく、ここで、各Rは、独立して、水素原子、又は、直鎖、分枝若しくは環状のC1−6アルキル基であり、nは、1又は2であり、Xは、ヘテロ芳香環を含む芳香環であるか、又は、メルカプタンであり;
あるいは、Z´は存在せず;
「リンカー」は、結合若しくはC1−6アルキレンを表し、又は、アリール、縮合アリール、アルキレン鎖に含まれる酸素原子を含んでいてもよく、あるいは、ケト基又は窒素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Z及びZ´が、共に環状ポリアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(1)の化合物が、1,1´−[1,4−フェニレン−ビス(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(AMD3100)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Zが環状ポリアミンであり、Z´がN(R)−(CR−Xである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
各Rが水素原子であり、nが2であり、Xは置換された又は置換されていないピリジル基である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(1)の化合物が、N−[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−(1,4−フェニレン−ビス−(メチレン)]−2−アミノエチル−2−ピリジン(AMD3465)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Zが、式
【化2】

で表される基であり、ここで、Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式又は二環式の縮合環を含み、Bは、水素原子又は1−20個の原子の有機部分である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Aが、5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−8−イルであり、Bが、1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Z´が存在せず、リンカーがオメガアミノアルキル置換基である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(1)の化合物が、N−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−N−(5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−8−イル)ブタン−1,4−ジアミン(AMD11070)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(1)の化合物が、体重の約0.1μg/kg〜5mg/kgの投与量範囲で前記患者に投与される、請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
患者における化学療法の有効性を高めるために、有効量のCXCR4アンタゴニストを単位用量に含む医薬組成物。

【公表番号】特表2009−504788(P2009−504788A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527219(P2008−527219)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/032668
【国際公開番号】WO2007/022523
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(500579888)ジェンザイム・コーポレーション (34)
【Fターム(参考)】