説明

化学発熱剤発熱装置及び化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器

【課題】化学発熱剤発熱装置において、保護シートを開裂した際、水が漏出するのを防止する。
【解決手段】発熱用トレー2の底壁7に、化学発熱剤パック3とティアーテープ4と水パック5を、この順序で密着重合し、発熱用トレー2の上面開口部を保護シート6で密封して、外部から、ティアーテープ4の引き抜きにより、保護シート6と水パック5を同時に開裂させるタイプの発熱装置において、水パック5の一方の端部14の中央に形成したノッチ15を挟む左右の断片16を発熱用トレー2の底壁7に固着し、かつティアーテープ4の端部11を底壁7に固着し、その延長部分を発熱剤パック3と水パック5の間を介挿させ、ノッチ15を経て発熱用トレー2の上端縁部8と保護シート6の間から引出し、残余を反転屈曲して自由端12とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学発熱剤発熱装置及び化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器に関し、特に、駅弁等の調理済み食品を、場所、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる化学発熱剤を発熱させるための発熱装置と、それを組み込んだ携帯食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非常食若しくは日本酒等、液状食品或いは調理済み食品を、加熱機能付き容器に封入し、場所や、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる簡便な携帯食品の需要が増えてきている。
【0003】
携帯食品用容器には、各種の形状、容量のものがあるが、小さいものでは、日本酒の瓶が、大きなものでは駅弁がある。前者は、約200cm3、後者は、約2000cm3である。加温食品の内容にもよるが、たとえば、駅弁の場合、主食と副食の両方を適度に加熱するには、90℃近傍、好ましくは、90℃以上、100℃以下に加熱しなければならない。さらに、加熱調理容器自体の材料の熱容量は小さいので、加熱調理容器に保温効果を期待することはできない。従って、化学発熱剤発熱装置に使用する発熱剤自体に、発熱反応を起こして最高温度に到達し、少なくとも室温にまで降下するまでの時間、即ち温度保持時間を最大限にする機能を持たせることが必要である。
【0004】
従来、化学物質の発熱反応を利用した、いわゆる化学発熱剤が各種提案されている。代表的なものとしては、第1世代として、酸化カルシウム(生石灰)単品を利用するタイプ、第2世代として、酸化カルシウム(生石灰)と発熱抑制用の無機塩との混合物を利用するタイプ、第3世代として、酸化カルシウム(生石灰)とアルミニウムとの混合物を利用するタイプ、第4世代として、酸化カルシウム(生石灰)と特定の粒度分布を有するアルミニウとの混合物を利用するタイプ等が主流である。
【0005】
第1世代の酸化カルシウム(生石灰)単品を利用するタイプのものは、酸化カルシウムと水の反応によって発生した熱を利用するものである。第3世代以上のものは、酸化カルシウムと水の第1段階反応によって発生した熱と、酸化カルシウムと水の反応によって生成した水酸化カルシウムと、アルミニウムとの第2段階反応によって発生した熱を利用するものである。化学反応論上は、これらの反応挙動は異なるが、いずれも水を媒体としているので、「加水発熱剤」ということもある。本明細書では、化学発熱剤および加水発熱剤は同義である。
【0006】
このように、化学発熱剤の種類、性能が豊富になるにつれて、化学発熱剤を組み込んだ携帯食品用容器の開発も盛んになってきた。その代表的なものに、調理済み食品を入れた容器と、化学発熱剤と発熱反応に必要な水を収容した発熱装置を組み込み、発熱装置の外部から、ティアテープを引っ張って発熱反応を起こさせる、いわゆる「ティアテープ型容器」がある。ティアテープ型容器に使用される発熱装置に要求される絶対的条件は、容積が小さく、軽量で、発熱効率がよく、100%の確立で水袋を開裂し、安価でなければならないことである。
【0007】
近年の駅弁は、その副食の種類も量も豊富になってきており、勢い食品用容器も大型化の傾向にある。加熱すべき食品の量が2倍になると、単純計算で、発熱剤及び発熱反応に必要な水の量も2倍にしなければならない。しかしながら、加熱すべき食品の量に合わせて、発熱装置の容積を大きくすること、即ち、容積の異なる数種類の発熱装置を用意することは、前記絶対的条件を満たさないので、不可能である。従って、ティアテープ型容器に使用する発熱装置の開発で最も難しい点は、1種類に限定された発熱装置に、量が異なる発熱剤及び発熱反応に必要な水を、どのように収容すれば、発熱効率がよく、100%の確率で水袋を開裂することができるかということである。
【0008】
以下、前記絶対的条件という観点から、幾つかの従来技術を考察する。
特許文献1は、酸化カルシウムと水との水和反応を利用する発熱剤を利用した加熱容器を開示している。この加熱容器は、厚紙で製造した台紙の上に、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に生石灰を充填した発熱袋と、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に水を充填した水袋を、この順序で重ね合わせて、発熱袋と水袋の両方を破断する破断用紐を台紙の一端に係止し、さらに破断用紐を発熱袋と水袋の両端部に固着させ、加熱容器に収容して、破断用紐を加熱容器の側面に設けた引き出し孔へ貫通させ、外部から破断用紐を引き抜くことにより、発熱袋と水袋を破断するようになっている。
【0009】
酸化カルシウムと水との反応による発熱量は、15.2kcalと小さいので、反応後、速やかに90℃以上100℃以下に昇温し、喫食に要する、少なくとも20分間、60℃以上に保持させるためには、多量の酸化カルシウムを必要とする。特許文献1に記載された加熱容器をもって、標準型の携帯食品を加熱するには、60〜100gの酸化カルシウムを必要とする。
【0010】
ところで、発熱剤を包装するポリエチレンフィルムは、(イ)プラスチックフィルムの中でも最も安価である、(ロ)容易にヒートシールが可能で、完全密閉ができる、(ハ)耐水性、耐湿性がよい、(ニ)軽くて、しかも引裂強さが大きいという特徴がある。
【0011】
ポリエチレンフィルムは、引裂強さが大きい反面、引き裂き難いという特徴もあり、そのことは、ティアテープ型の加熱容器の場合には欠点になる。その理由は、酸化カルシウムは極めて吸湿性が高く、放置しておくと、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収して、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムに変化し、その後水と接触しても、発熱反応を起こさなくなるからである。
【0012】
特に、特許文献1に記載された加熱容器に使用する発熱剤が、100gという多量の酸化カルシウムの単品から成る場合、その一部が、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収すると、その反応は連鎖的に移行し、全体が失活することになる。従って、ポリエチレンフィルムの厚さをできるだけ厚くして、空気中の湿気と二酸化炭素の吸収を完全に防止しなければならない。
【0013】
ポリエチレンフィルムの厚さを50μとした場合、その引裂強さは、エレメンドルフASTMD1922で測定して、低密度ポリエチレンフィルムが200〜800g/25μ、中密度ポリエチレンフィルムが100〜600g/25μ,高密度ポリエチレンフィルムが30〜600g/25μである。この引裂強さは、破断用紐引き抜き型の加熱容器の場合、年少者や女性では、引き裂き難い強さであり、破断用紐が、途中で切れることがある。
【0014】
また、特許文献1に記載されている加熱容器の場合、水袋と発熱袋の両方を同時に破断しなければ、発熱反応起こさない構造になっている。従って、不良品が発生するリスクが大きい。
【0015】
特許文献2は、概略、開口部を有するケース内に、水和反応により発熱する発熱剤と、水が封入された水袋とを収容し、前記水袋を破断するための破断用紐と、前記ケース内に収容され、前記破断用紐の一端を支持する破断用支持材とを具備する加熱ユニットであって、前記ケースの前記開口部に防湿シートを貼着するとともに、前記破断用紐の他端が、前記水袋の水が封入されていない部分を通り、前記防湿シートを貫通して前記ケースの外部に引き出され、前記ケースの外部に引き出された前記破断用紐の他端を引っ張ることにより、前記防湿シートと水袋とを同時に破断する加熱ユニットを開示している。
【0016】
特許文献2に記載されている加熱ユニットの欠点は、水袋を支持し、且つ水袋破断用紐を固定するために、破断用支持材を使用している点である。破断用支持材は、硬質の材料で、水袋より小さな形状に製造されており、その一方の端部は、水袋の端部に固定され、他方の端部の中央部には、破断用紐の一端を係止するための切り込み部が形成されている。水袋と破断用支持材をセットするには、予め、破断用紐の一端に、前記切り込み部の最大開口径よりも大きな結び目を形成し、次いで、ステープラー等の固定具により、水袋の熱溶接部に、破断用支持材の一方の端部を固定し、破断用支持材の他方の端部の中央に形成された切り込み部に、破断用紐の一端を通し、前記結び目で係止するという、自動化が不可能な煩雑な手順を必要とする。
【0017】
このように、特許文献2に記載されている加熱ユニットは、水袋を破断するための破断用支持材という付帯部材を必要とし、さらに水袋と破断用支持材をセットするのに煩雑な手順を必要とするので、材料コストと、取付に要する人件費等が上乗せされ、本来安価でなければならない加熱ユニットの全体のコストを大きく引き上げている。
【0018】
特許文献ではないが、発熱用トレーの側壁のほぼ中央部の内面に張出し部を設け、この張出し部に、発熱用の水を容れた水パックの端部裏面を鳩目、或いはホットメルトで接合し、発熱用トレーの上面開口部を非透湿性の保護シートで密封した化学発熱剤発熱装置も提案されている。
【0019】
この従来技術の大きな特徴は、発熱用トレーの側壁の内面に、所定の幅の張出し部を設け、水パックの一方の端部の裏面と、前記張出部とを接合して固定し、その下に発熱剤パックを載置しただけの簡単な構造であるので、水パックが張出し部に、安定して座りよく納まり、従来技術が必要としていた発熱剤パックを固定する固定板が不要となり、製造工程が簡単になり、製造コストが大幅に低減されるという長所がある。
【0020】
他方、この構造の場合、発熱用トレーにおいて、張り出し部より上方が占める容積、即ち、水パックに当てられる容積が小さくなる。その結果、水パックの上面が保護シートと極めて近接した状態になり、次のような現象が発生することがある。ティアーテープを引っ張ると、先ず保護シートが開裂され、次いで水パックが開裂されるが、その際、ティアーテープの一方の端部を固着している水パック開裂用機構が、保護シートの開裂面より上方に立ち上がることがある。
【0021】
発熱剤の量が少なく、従って、水パックの容積が小さい場合は、この現象が起こる頻度は低いが、発熱剤の量が多くなり、水パックの容積が大きくなるに従って、この現象が起こる頻度が高くなる。その結果、水パックの中の水の一部が、保護シートを伝わって発熱用トレーの外側に流れ出す。化学発熱剤の反応用の水の量は、化学量論に従って、ほぼ正確に秤量してあるので、水の量が少なくなると、発熱剤の一部が未反応のまま残り、発熱効率が低下する。
【特許文献1】特開平11−292155号公報
【特許文献2】特開2000−360439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
発明が解決しようとする課題は、発熱剤を透水性不織布袋に充填した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアーテープと一緒にヒートシールしたタイプの化学発熱剤発熱装置において、従来使用していた発熱剤パックを固定する台紙、或いは水パックを支持する支持材等の付帯部材を不要とすることにより、簡単な構造にして発熱不完全のリスクの発生を軽減し、製造工程を容易にし、製造コストを引き下げることである。
【0023】
発明が解決しようとする別の課題は、発熱剤を透水性不織布袋に充填した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアーテープと一緒にヒートシールしたタイプの化学発熱剤発熱装置において、ティアーテープを引っ張って保護シートと水パックを同時に開裂する際に、水パック開裂用機構が、保護シートの開裂面より上方に立ち上がることを防止し、それにより、水パックに充填されている水の全量を発熱用トレーに落下させて発熱剤と反応させ、発熱効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題は、下記の各項に記載した構成により解決される。
1.上面開口する発熱用トレーに、化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、ティアーテープと、水パックとが発熱用トレーの底壁にこの順序で密着重合して、発熱用トレーの上面開口部を非透湿性の保護シートで密封し、容器外部から、ティアーテープの引き抜きにより、保護シートと水パックを同時に開裂させるタイプの化学発熱剤発熱装置であって、水パックの一方の端部の中央にノッチを形成し、ノッチを挟む左右の断片を、発熱用トレーの底壁または側壁に固着し、かつティアーテープの一方の端部を発熱用トレーの底壁に固着し、その上に発熱剤パックを載置し、ティアーテープの延長部分を発熱剤パックの表面に密着させて、水パックを重合し、ティアーテープを、前記ノッチを経て、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引出して、保護シートと一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、延長残部を自由端とした化学発熱剤発熱装置。
【0025】
2.化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器で、底部に前記1に記載した化学発熱剤発熱装置を組み込み、化学発熱剤発熱装置の上部に食品トレーを載置し、携帯食品用容器の側壁に設けた小孔から、前記化学発熱剤発熱装置のティアーテープの自由端を貫通させた化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によると、下記に例示する効果を奏することができる。
1.水パック自体を発熱用トレーの底壁または側壁に固着させているので、従来必要としていた水パックを支持する支持材等の付帯部材が不要となり、簡単な構造にして製造工程を容易にし、製造コストを引き下げることができる。
【0027】
2.水パックの一方の端部のほぼ中央にノッチを形成し、ノッチを挟んだ左右の断片を、発熱用トレーの底壁または側壁に固着させているので、水パックと発熱用トレーの底壁または側壁との固着面積が大きく、化学発熱剤発熱装置を移動したり、或いは使用時に、水パックと発熱用トレーの底壁または側壁との固着箇所が動くことはない。従って、ティアーテープをノッチを挿通して、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引出して、保護シートと一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、延長残部を自由端とした簡単な構造で、水パックと保護シートの両方を同時に開裂することができる。
【0028】
3.水パック自体を、発熱用トレーの底壁または側壁に固着させ、水パックを発熱用トレーの底壁近傍の低位置で完全に固定してあるので、ティアーテープを引っ張って保護シートと水パックを同時に開裂した際に、水パックが、保護シートの開裂面より上方に立ち上がることが全くなくなり、それにより、水パックに充填されている水の全量を発熱用トレーに落下させることができ、発熱効率を高めることができる。
【0029】
4.水パック自体を発熱用トレーの底壁に固定してあるので、発熱剤パックと水パックを収容する容積が大きくなり、有効に利用でき、かつ多様な量の発熱剤と水に対応することができ、発熱用トレーの汎用性が拡大する。
【0030】
請求項2の発明によると、携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生保持性等が向上し、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の構成を示す分解断面図、図2は断面図、図3は平面図、図4は、化学発熱剤発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器の断面図である。
【0032】
本発明の化学発熱剤発熱装置1は、主として、発熱用トレー2と、発熱剤パック3と、ティアーテープ4と、水パック5と、保護シート6とから構成されている。
【0033】
発熱用トレー2は、その底壁7に発熱剤パック3と水パック5が、この順序で重合して載置することができる広さと深さを備えている。発熱用トレー2の上端周縁部8は、保護シート6と一緒に接合、たとえばヒートシールするためのシール部である。この幅は、特段に数値限定されないが、少なくとも5mmは必要である。この幅が小さいとシール強度が弱く、大きいと強くなる。特に、シール幅が小さすぎると、同部が汚染された場合、弱くなる。逆にシール幅が大きすぎると、しわが発生しやすくなる。従って、上端周縁部8の幅は、適切に選択することが必要である。
【0034】
発熱用トレー2と保護シート6の、最も信頼性がおける接合方法は、熱融着(ヒートシ−ル)である。従って、発熱用トレー2と保護シート6をヒートシールできるように、それぞれの材料を選択しなければならない。
【0035】
発熱用トレー2にPPを使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM/PET/PE/CMPS007, PET/DL/VM/PET/DL/CMPS008C, PET/DL/VM/PET/PE/DL/CMPS011C, PET/DL/VM-PET/PE/CMPS017C, ONY/DL/CMPS017C, PET/PE/CMPS006, PET/PE/CMPS006等が好ましい。
【0036】
発熱用トレー2にPVCを使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS006, PETPE/CMPS009, PET/DL/ONY/PE/CMPS009等が好ましい。
【0037】
発熱用トレー2にPP/EVOH/PPを使用した場合は、保護シート6は、ONY/DL/EVOH/DL/CMPS013C, PET/PE/AL/PE/CMPS009等が好ましい。
【0038】
発熱用トレー2にA-PETを使用した場合は、保護シート6は、ONY/DL/ONY/DL/ABF65C, PET/DL/ABF65C等が好ましい。
【0039】
発熱用トレー2にPSを使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS009, PET/PE/CMPS009等が好ましい。
【0040】
ここに、PETは、ポリエチレンテレフタレート、 DLは、ドライラミネーション、VMは、アルミ蒸着、 PEは、ポリエチレン、 CMPSは、カルボキシメチル化ポリスチレン、 ONYは, 延伸ナイロン、EVOHは、エチレンビニルアルコール、 PPは、ポリプロピレン、ABSは、アクリルーブタジエン樹脂、 ALは、アルミ箔、A-PETは、非晶質ポリエステルを表している。
【0041】
本発明は、発熱装置の構造に特徴を有するので、発熱剤パック3に充填する発熱剤10は、水と反応して発熱する物質であれば、特段に限定されない。即ち、第1世代発熱剤である酸化カルシウム(生石灰)単品を利用するタイプ、第2世代発熱剤である酸化カルシウム(生石灰)と発熱抑制用の無機塩との混合物を利用するタイプ、第3世代発熱剤である酸化カルシウム(生石灰)とアルミニウムとの混合物を利用するタイプ、第4世代発熱剤である酸化カルシウム(生石灰)と特定の粒度分布を有するアルミニウとの混合物を利用するタイプ等、任意に選択することができる。然しながら、容積が限定された小さな発熱用トレー2に収容する発熱剤パック3は、できるだけ容積が小さく、且つ熱効率が高い方が理想的である。その観点からは、第3世代以上の発熱剤を使用することが好ましい。
【0042】
発熱剤パック3は、たとえば、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合し、透水性の紙または布の袋に充填して製造する。無論、発熱剤パック3を流通させる段階、即ち、発熱用トレー2にセットする前は、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋に完全密封しておき、発熱用トレー2にセットする直前に、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋から出して、発熱用トレー2にセットするが、最終的には、非透湿性の保護シート6で密封されるので、保護シート6が開裂されるまで、発熱剤パック3が吸湿することはない。
【0043】
本発明のティアーテープ4は、その一方の端部11が、発熱用トレー2の底壁7に固着して固着点12を形成しており、他方の端部は、後述する手順を経て自由端13となっている。本発明で使用する用語「ティアーテープ」は、凧糸状のストリング、モノフィラメント等の紐、或いは糸状のものも含むものとする。
【0044】
ティアーテープ4の一方の端部11を発熱用トレー2の底壁7に固着する方法は、特段に限定されない。たとえば、接着剤、両面粘着テープによる接着、ヒートシール等、任意の方法を選択することができる。但し、大量生産の点及び接着強度の点からは、ヒートシールが好ましい。ヒートシールの場合は、ティアーテープ材料と発熱用トレー2の最外表面の材料に、同じものを使用することが好ましい。
【0045】
水パック5は、化学発熱剤発熱装置1の外部から適当な力で引っ張ることにより、開裂して、中の水が速やかに流出するような構成、いわゆるイージーオープンタイプ或いはイージーピールタイプである。
【0046】
発熱剤パック3に充填されている粉体酸化カルシウムは、空気中の湿度を吸収しただけで、直ちに反応する性質を有しているので、水パック5の材料は、非透湿性でなければならない。
【0047】
以下、本発明の水パック5に適する材料に関して説明する。
厚さL、表面積Aのフィルムの両側の水蒸気(湿度)の分圧が、それぞれP1,P2の場合、定常状態で時間tに透過する湿度の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・A・t}/L (1)
Q={P・ΔP・A・t}/L (2)
(2)式を変形して、
Q/{A・t}={P・ΔP}/L=q (3)
ある特定条件下におけるフィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを透湿度(WVTR)の単位は、g・m-2・24h-1である。即ち、表面積1m2のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
【0048】
本発明の水パック5に適する材料の透湿度は、15以下、好ましくは0.3〜15の範囲、より好ましくは0.3〜7の範囲、最も好ましくは0.3〜3の範囲である。
【0049】
本発明の水パック5に適するフィルムとしては、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(高密度=0.960)、ポリエチレン(中密度=0.93)、ポリプロピレン(密度=0.907)、ポリエチレン(低密度=0.922)、ポリビニルクロライド、ポリ(ビニルクロライドービニルアセテト)、ポリ(スチレンーブタジエン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ブタジエンーアクリロニトリル)等が例示される。
【0050】
本発明の水パック5に適するラミネートフィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレンン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレンービニルアセテート、 2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリプロピレン、ポリカーボネート/ポリプロピレン、スチール箔/ポリプロピレン等が例示される。
【0051】
水パック5に適したフィルムは、開裂メカニズムの面からは、界面剥離タイプを利用したもの、層間剥離タイプを利用したもの、凝集剥離タイプを利用したもの等任意に選択できる。ただし、シールの安定性の点からは、凝集剥離タイプが、また線シール性の点からは、界面剥離タイプが、さらに剥離面の状態からは、界面剥離タイプが好ましい。
【0052】
本発明の水パック5は、上記に例示したフィルムで製造した一方の端部が開口となっている袋に、化学量論に基づいて正確に計算して秤量した水を充填し、ヒートシールして製造する。
【0053】
本発明の水パック5は、水パック5の一方の端部14のほぼ中央にティアーテープ4を挿通するためのノッチ15を形成する。ノッチ15を挟んだ両端部16.17は、発熱用トレー2の底壁7または一方の側壁9に固着する。固着方法は特段に限定されない。たとえば、接着剤、両面粘着テープによる接着、ヒートシール等任意の方法を選択することができる。但し、大量生産及び接着強度の面からはヒートシールが好ましい。ヒートシールの場合は、水パック5の最外表面と、発熱用トレー2の最外表面の材料に、同じものを使用することが好ましい。
【0054】
水パック5の、ノッチ15を挟んだ両端部16.17の裏面と、発熱用トレー2の底壁7または側壁9にヒートシールするには、溶融点と溶融時の流動性が重要である。ポリエチレン(高圧)の融点は105〜115℃、ポリエチレン(低圧)の融点は132℃、ポリプロピレンの融点は160〜170℃、ポリ塩化ビニル(硬質)の融点は170℃、ポリ塩化ビニルデンの融点は190℃、6−ナイロンの融点は223℃、ポリカーボネートの融点は222〜230℃、ポリスチレンの融点は230℃、ポリエチレンテレフタレートの融点は260℃、66−ナイロンの融点は265℃である。シール温度が低いほどシール時間が長くなり、その許容時間の範囲が広くなる。逆に、シール温度が高いほどシール時間が短くなり、その許容時間の範囲が狭くなる。従って、これらの溶融点と、製造コストを勘案して、水パック5の材料と発熱用トレー2の材料を選定することが重要となる。
【0055】
このようにして製造した発熱剤パック3を、ティアーテープ4の一方の端部11と、発熱用トレー2の底壁7との固着点12を覆うように、発熱用トレー2の底壁7にセットする。次いで、発熱剤パック3の上にティアーテープ4を密着させて、その上に水パック5を重合する。次いで、ティアーテープ4をノッチ15へ挿通して、発熱用トレー2の上端縁部8と保護シート6の間から引出し、保護シート6と一緒に発熱用トレー2に接合し、残余を反転屈曲して、その端部12は自由端としておく。
【0056】
図4は、本発明の化学発熱剤発熱装置1を組み込んだ携帯食品用容器18の断面図である。図4において、図1〜図3におけるのと同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
容器本体19には、下方から、化学発熱剤発熱装置1と、食品トレー20が収容されている。容器本体19の断面形状は、食品の種類によって異なる。たとえば、赤飯、白飯、五目飯、ちらし寿司等の炊飯類、各種調理済み食品、総菜類、カレー、ビーフシチュー、グラタン、ピラフ等、ご飯及び各種総菜類が詰め合わされた駅弁、仕出し弁当などの場合は、トレー型が好ましい。うどん、ラーメン、おでん、スープ類、酒等の液状食品には、カップ型が適している。
【0058】
容器本体19を、透明単層タイプにしたい場合には、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、ポリプロピレンで、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンで製造することが好ましい。
【0059】
蓋21は、容器本体19の開口部全体を覆って、内容物を保護するとともに、発生する熱水蒸気が外部に漏出するのを防止するためのものである。駅弁或いは仕出し弁当のような形態食品の場合には、容器本体19と蓋21を、包装した上で、紐或いは輪ゴムで縛るだけでも十分である。
【0060】
一方、カレー、シチュー、液状食品、ラーメンやうどん等の麺類は、加熱が完了するまでは完全密閉が要求され、加熱終了後は、簡単に蓋がはずせる、いわゆるイージーオープン(イージーピール性)が要求される。このような場合には、EVAをベースとし、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂或いはジペンテン重合体、或いはアルミ箔などの基材に押し出しコーティングしたものが好ましい。
【0061】
化学発熱剤発熱装置1は、容器本体19の底壁22上に載置されている。
【0062】
食品トレー20は、化学発熱剤発熱装置1の上面に密着させて重合されている。そのことにより、化学発熱剤発熱装置1から発生する熱が伝導及び対流の両方で食品トレー20に伝達されるので、熱効率がよくなる。
【0063】
容器本体19の側壁23には小孔24が設けられており、化学発熱剤発熱装置1のティアーテープ4の先端12が引き出されている。このティアーテープ4の先端12を引き抜くと、先ず、化学発熱剤発熱装置1の保護シート6が開裂され、次いで水袋5が開裂される。
【0064】
本発明は、水パックの一方の端部とティアーテープを結紐する従来技術と異なり、水パック5は、ノッチ15を挟んだ両端部16、17が.発熱用トレー2の底壁7または一方の側壁9に固着されているので、水パック5が保護シート6の開裂と共に、その裂け目から立ち上がることがなく、発熱用トレー2の中で完全に開裂され、水パック5に充填された水の全量が発熱剤と反応する。
【0065】
本発明で使用するプラスチックスの全部或いは一部を、加水分解性基を主鎖中に有する易加水分解性プラスチックス、高光感受性基を主鎖中に有する易光分解性プラスチックス等を使用すると、使用廃棄後、自然環境中で、生分解、光分解、加水分解するので、省資源化、環境汚染の防止に資する。
【0066】
本発明で使用に適する易分解性プラスチックスを例示すると、脂肪族ポリエステル、ポリオキシ酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリアンハイドライド、ポリ(アミドーエナミン)、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアジピン酸エステル、ポリエチレンデカメチレン、ポリアジピン酸テトラメチレン、ポリプロラクトン、ポリオルトエステルポ、ポリシアノアクリル酸エステル、ポリカプロラクタン等である。
【実施例】
【0067】
次に、図に示した容器の各部の実際の製造要領について、例をあげて具体的に説明する。
〔携帯食品容器本体19の製造〕
ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレンの3層ラミネートフィルムを使用して、深さ12cm、開口部の直径が15cm、底部の直径が10cmのカップ状容器本体19を、深絞り真空成形機で成形した。
【0068】
〔携帯食品容器の蓋21の製造〕
ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示す形状の蓋21を真空成形機で成形した。
【0069】
〔食品トレー20の製造〕
未延伸ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示すように、容器本体19の内壁に密着する形状の食品トレー20を真空成形機で成形した。この食品トレー20の底面には、化学発熱剤発熱装置1から上昇してくる水蒸気が入る小孔を複数個形成し、御飯25と調理済み魚、野菜、こんぶ、卵焼き、ハンバーグ26を入れた。
【0070】
〔化学発熱剤発熱装置1の製造〕
〔発熱用トレー2の製造〕
PPで、深さ18mm、縦140mm、横140mmの質量7.7gの発熱用トレー2を真空成形法で製造した。
【0071】
〔発熱剤パック3の製造〕
使用した粉体アルミニウム:山石金属株式会社製、商品名「アトマイズアルミ VA-185」)
使用した粉体生石灰:秩父石灰工業株式会社製(200メッシュ、JIS 特号品)
使用した不織布:目付量 60g/m2, 厚さ 0.14mm、通気量 20cc/cm2,sec、ヒートシール強度 6.0kg
粉体アルミニウム15グラム、粉体生石灰10グラムを秤量して均一に混合し、長さ8cm、幅6cm、厚さ4mm、質量0.9gの不織布製の袋に充填して、発熱剤パック3を製造した。
【0072】
〔水パック5の製造〕
PPフィルムで、幅9cm、長さ14cm、厚さ4mm、質量0.9gで一方の端部が開口した袋を製造し、水40mlを充填した。端部14の幅20mmをヒートシ−ルして固着し、密封した。固着部分14のほぼ中央にノッチ15を形成した。
【0073】
〔保護シート5の製造〕
発熱用トレー2にPPを使用したので、ONY/AL/CPPで1.1gの保護シート6を真空成形により製造した。
【0074】
〔化学発熱剤発熱装置1の製造〕
このようにして製造した発熱用トレー2の底壁7に、ティアーテープ4の一方の端部11をヒートシールで固着して、固着点12を形成した。次いで、ティアーテープ4の端部11と発熱用トレー2の底壁7とのヒートシールによる固着点12を被せるようにして、発熱剤パック3を置き、その上にティアーテープ4の延長部分を乗せ、水パック5を重合した。次いで、ティアーテープ4を水パック5のノッチ15から挿通させ、ノッチ15を挟んだ両方の端部16,17を発熱用トレー2の底壁7にヒートシールで固着した。
【0075】
ティアーテープ4の残余の部分を、発熱用トレー2の上端縁部8から突出させて、保護シート6と一緒に発熱用トレー2の上端縁部8に熱融着させ、残余のティアーテープ4を反転屈曲させて、残余の約15cmの端部12をフリー状態にした。このようにして製造した化学発熱剤発熱装置の1個の全質量は79.1gであった。
【0076】
〔化学発熱剤発熱装置付き携帯食品の製造〕
このようにして製造した化学発熱剤発熱装置1を、携帯食品容器本体19の底部に収容し、ティアーテープ4の他方の端部12を、携帯食品容器本体19の側壁23に形成した小孔24から貫通させた。次いで、化学発熱剤発熱装置1の保護シート6に接して食品トレー20を乗せ、蓋21で携帯食品容器本体19を密閉した。
【0077】
このようにして製造した化学発熱剤発熱装置1を、1000個製造し、駅弁を利用する年齢層のなかで、6〜10歳の低年齢の利用者20名、11歳〜20歳の利用者20名、21〜50歳の利用者20名、51〜70歳の利用者20名、71〜90歳の利用者20名を男女の別なくランダムに選んで、ティアーテープを引かせるテストを10回行った。この結果、水パックを破断できなかったケースおよび水パックが保護シートの開裂面から上方に立ち上がったケースもゼロであった。
【0078】
この開裂テストでは、駅弁を利用する低年齢層から高年齢層までほぼまんべんなく網羅しているので、本発明の化学発熱剤発熱装置1が、ティアテープ型容器に使用する発熱装置に要求される絶対的条件である、出来るだけ容積が小さく、軽量で、発熱効率がよく、100%の確立で水袋を開裂し、安価でなければならないことを全て満足していることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の化学発熱剤発熱装置は、上面開口する発熱用トレーに、化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、ティアーテープと、水パックとが、発熱用トレーの底壁にこの順序で密着重合されており、発熱用トレーの上面開口部を非透湿性の保護シートで密封して、容器の外部から、ティアーテープの引き抜きにより、保護シートと水パックを同時に開裂させるタイプの化学発熱剤発熱装置において、水パックの一方の端部のほぼ中央にノッチを形成し、ノッチを挟んだ左右の断片を発熱用トレーの底壁または側壁に固着させ、ティアーテープの一方の端部を発熱用トレーの底壁に固着し、ティアーテープの延長部分を発熱剤パックと水パックの間を介挿させ、前記ノッチを挿通して発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引出して、保護シートと一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、延長残部を発熱用トレーに設けた小孔から突出して自由端としただけの簡単な構造にも拘わらず、下記に例示する効果を奏することができる。
【0080】
1.水パックの一方の端部とティアーテープを結紐する従来技術とは異なり、水パックは、ノッチを挟んだ両端部が.発熱用トレーの底壁または一方の側壁に固着されているので、水パックが保護シートの開裂と共に、その裂け目から立ち上がることがなく、発熱用トレーの中で完全に開裂され、水パックに充填された水の全量が発熱剤と反応するので、発熱効率が向上する。
【0081】
2.従来技術が必要としていた発熱剤パックを固定する固定板が不要となり、製造工程が簡略になり、製造コストが大幅に低減される。
【0082】
3.発熱用容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、発熱用トレー内では水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する構造の従来技術に比べて、構造が簡単であり、従来のものに比べて、不良品の発生率が大幅に低減するか、またはほぼ完全になくなる。
【0083】
4.従って、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。
【0084】
また、本発明の化学発熱剤発熱装置は、発携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生保持性等を向上させるので、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の化学発熱剤発熱装置の一実施の形態の構成を示す分解断面図。
【図2】本発明の化学発熱剤発熱装置の一実施の形態の構成を示す断面図。
【図3】本発明の化学発熱剤発熱装置の一実施の形態の構成を示す平面図。
【図4】本発明の化学発熱剤発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器の断面図。
【符号の説明】
【0086】
1 化学発熱剤発熱装置
2 発熱用トレー
3 発熱剤パック
4 ティアーテープ
5 水パック
6 非透湿性保護シート
7 発熱用トレー底壁
8 発熱用トレー上端縁部
9 発熱用トレー側壁
9 発熱剤
10 発熱剤
11 ティアーテープの一方の端部
12 ティアーテープの他方の端部
13 ティアーテープと発熱用トレー底壁との固着点
14 水パックの一方の端部
15 水パックのノッチ
16 水パックのノッチに隣接した一方の断片
17 水パックのノッチに隣接した他方の断片
18 化学発熱剤発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器本体
19 携帯食品用容器本体
20 食品トレー
21 蓋
22 容器本体19の底壁
23 容器本体19の側壁
24 小孔
25 調理済み御飯
26 惣菜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口する発熱用トレー(2)に、化学発熱剤(10)を透水性の袋に充填した発熱剤パック(3)と、ティアーテープ(4)と、水パック(5)とが発熱用トレー(2)の底壁(7)にこの順序で密着重合して、発熱用トレー(2)の上面開口部を非透湿性の保護シート(6)で密封し、容器外部から、ティアーテープ(4)の引き抜きにより、保護シート(6)と水パック(5)を同時に開裂させるタイプの化学発熱装置であって、
水パック(5)の一方の端部(14)の中央にノッチ(15)を形成し、ノッチ(15)を挟む左右の断片(16,17)を、発熱用トレー(2)の底壁(7)または側壁(9)に固着し、かつ
ティアーテープ(4)の一方の端部(11)を発熱用トレー(2)の底壁(7)に固着し、その上に発熱剤パック(3)を載置し、ティアーテープ(4)の延長部分を発熱剤パック(3)の表面に密着させて、水パック(5)を重合し、ティアーテープ(4)を、前記ノッチ(15)を経て、発熱用トレー(2)の上端縁部(8)と保護シート(6)の間から引出して、保護シート(6)と一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、延長残部を自由端とした化学発熱剤発熱装置。
【請求項2】
化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器(18)で、底部に請求項1に記載した化学発熱剤発熱装置(1)を組み込み、化学発熱剤発熱装置の上部に食品トレー(20)を載置し、携帯食品用容器(18)の側壁(23)に設けた小孔(24)から、前記化学発熱剤発熱装置(1)のティアーテープ(4)の自由端(12)を貫通させた化学発熱剤発熱装置付き携帯食品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−302049(P2008−302049A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152385(P2007−152385)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(391040733)株式会社小池風流軒 (4)
【出願人】(000205498)オー・ジー株式会社 (12)
【Fターム(参考)】