説明

化学的に活性化された固相支持体材料の滅菌のための方法

本件発明は、特に繊細な材料、例えば、化学的に活性化した固相支持体材料など、の様々な材料を滅菌するための方法に関する。化学的に活性化した固相支持体材料の滅菌のための本発明の方法は、約121℃〜約135℃の範囲の温度で、固相支持体材料を加圧蒸気に対して曝露することを含む。同様に、本発明の方法により製造されたクロマトグラフィー分離媒体を含め、本発明の方法により製造された滅菌された活性化固相支持体材料もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、2007年12月21日に出願された米国仮出願No. 61/015,686に基づく優先権を主張する;その開示を、その全体を参考文献として取り込む。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、様々な材料、特に繊細な材料、の滅菌のための方法に関する。特に、本発明は、化学的に活性化された固相支持体材料の滅菌のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物医薬品、特にタンパク質、ペプチドおよび核酸などの生物活性分子に基づく薬品の製造には、産業スケールでこれらの分子を製造しそして精製することが必要とされる。特に、生物医薬品製品としてのモノクローナル抗体(MAb)についての需要の高まりは、高い発現レベルを伴う細胞培養の開発を促進し、そして結果として、より効率的な精製プロセスについての需要が高まった。例えば、モノクローナル抗体は、多数の病気の治療に革命をもたらし、そしてそれらは、指向性薬物治療主要な指標の一つとなっている。ヨーロッパのモノクローナル抗体治療薬市場の最近の推定は、2011年までに114億ドル(87億ユーロ)という数字に到達する。この様な増大する需要には、SEPHAROSETM、MABSELECTTM、SOURCETM、およびCAPTOTM(GE Healthcare)などの分離媒体をパッキングしたカラムを含む大型の先進的クロマトグラフィーシステムを使用することが必要とされた。
【0004】
生物医薬品のクロマトグラフィー分離のあいだ、このプロセスを滅菌条件下で行い、そして潜在的に有害なコンタミネーション物質が、使用前にシステムから取り除かれることを確実にすることが、極めて重要である。細菌およびその他の微生物によるコンタミネーションは、多数の生物工学的用途および生物医学的用途においてしばしば直面する問題である。例えば、水酸化ナトリウム、過酢酸、リン酸、エチレンオキシド、二酸化塩素、およびベンジルアルコール等の様々な物質が、微生物個体群を不活性化しおよび/または破壊する能力について、既知である。しかしながら、カラムおよびクロマトグラフィー媒体の殺菌は、タンパク質性媒体の殺菌、すなわち、様々な親和性クロマトグラフィー媒体などの、タンパク質性リガンドとともに提供されるクロマトグラフィー媒体の殺菌は、面倒なものである。強酸またはアルカリ、第4級アンモニウム化合物、ハロゲン-含有化合物、酸化剤、およびフェノール、および関連する化合物などの最も効果的な殺菌剤および衛生試薬は、ほとんどのクロマトグラフィー媒体に対して、特にタンパク質性親和性媒体に対して、有害であると考えられている。さらに、ガンマ線照射およびオートクレーブなどの滅菌方法もまた、それらの媒体に対して、大きな有害作用を有すると考えられている。さらに、酸またはアルカリ、第4級アンモニウム化合物、ハロゲン-含有化合物、酸化剤、およびフェノール、および関連する化合物が関連する多数の消毒方法または滅菌方法は、有害でありおよび/または有毒である。
【0005】
US 5817528(Bohm, W. et al)は、タンパク質が結合されるマトリクス材料を含有する、滅菌かつ発熱物質-フリーのカラムを製造する方法を記載する。適切には、カラムに対して結合されたタンパク質は、Staphylococcus aureusプロテインA、またはStreptococcusプロテインGであり、またはタンパク質は、抗-ヒトLDL免疫グロブリンまたは抗-ヒトIg免疫グロブリンなどの抗体であってもよい。この方法は、CNBr/トリエチルアミンを使用してまたは1,1'-カルボニルジイミダゾールを使用して化学的に活性化されるアガロース等のカラムマトリクス材料を提供する。しかしながら、アガロースをまず滅菌し、そしてそれに続く活性化工程および結合工程を、滅菌条件下で行わなければならないため、この方法は非常に煩雑である。
【0006】
このように、事前-活性化クロマトグラフィー媒体などの繊細な材料の効率的な滅菌のための方法が必要とされ、それによりリガンド結合ステップのみが、無菌条件下または滅菌条件下で行われるために必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 5817528
【発明の概要】
【0008】
本発明は、活性化固相支持体材料の、特に、生物医薬品材料の精製において使用されるクロマトグラフィー分離媒体における細菌および/またはウィルスコンタミネーションに対する、新たな滅菌方法を提供する。本発明の発明者らは、特定の化学基を有する事前-活性化固相支持体が、驚くべきことに、オートクレーブによる滅菌による変性に耐性であることを見出した。
【0009】
このように、第1の側面において、約121℃〜約135℃の範囲の温度で、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露することを含む、アルデヒド活性化固相支持体を滅菌するための方法を提供する。
【0010】
一態様において、2バール〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する。好ましくは、30〜35バールの範囲の圧力下、より好ましくは34〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する。
【0011】
一態様において、10〜60分の範囲の期間、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する。
具体的な態様において、アルデヒド活性化固相支持体を、121℃の温度で、そして34バールで、15分間、加圧蒸気に対して曝露することにより滅菌する。
【0012】
一態様において、滅菌すべき固相支持体は、クロマトグラフィーマトリクスである。場合により、クロマトグラフィーマトリクスは、クロマトグラフィーカラム中に含有されるか、またはフィルタ上に支持化される。
【0013】
一態様において、固相支持体は、アルデヒド活性化アガロースマトリクスを含む。
別の側面において、(a)アルデヒド活性化固相支持体を提供する工程;および(b)約121℃〜約135℃の範囲の温度で、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する工程;を含むプロセスにより製造される、滅菌アルデヒド活性化固相支持体が提供される。
【0014】
具体的な一態様において、固相支持体は、アルデヒド活性化アガロースマトリクスを含む。
別の態様において、固相支持体は、クロマトグラフィーマトリクスである。
【0015】
さらに別の側面において、本発明の態様により製造された滅菌クロマトグラフィーマトリクスに対して結合されるリガンドを含む、滅菌クロマトグラフィー分離媒体が提供される。
【0016】
さらに別の側面において、無菌条件下、リガンドを本発明の態様により製造された滅菌クロマトグラフィーマトリクスに対して結合させる工程を含む、滅菌クロマトグラフィー分離媒体を製造するための方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な記載
本発明は、事前-活性化固相支持体材料を滅菌するための新規かつ効率的な方法を提供する。これらの材料は、クロマトグラフィー媒体としてまたは医療機器用の構成要素として、特に有用である。特に、本発明は、アルデヒド活性化アガロースマトリクスなどのアルデヒド基により事前に活性化された固相支持体材料の、細菌の不活性化およびウィルス不活性化のための方法に関する。この方法は、約121℃〜約135℃の範囲の温度で、より具体的には、約121℃〜約123℃の範囲の温度で、固相支持体材料を加圧蒸気に対して曝露することに基づく。特に好ましい態様において、固相支持体材料を、121℃の温度で、加圧蒸気に対して曝露する。
【0018】
一般的には、オートクレーブによる湿式加熱滅菌は、オートクレーブ(例えば、重力変位装置(gravity displacement apparatus))中で少なくとも2バールの圧力下にて材料を加熱して、約121℃〜約135℃の範囲の温度を達成することをいう。滅菌プロセスにおいて、微生物は、水分および加圧の存在下で加熱されることにより殺される。例えば、“Understanding the Operation & Validation of Autoclaves: A Practical Approach”, Reeks, B., BDR Publishing (September 1999)を参照。必要とされる滅菌期間は、滅菌されるサンプルの温度およびサイズに依存し、そして10〜60分の範囲であってもよい。表1に示されるように、温度および圧力が増加するにつれて、完全な滅菌を達成するために必要とされる時間は通常減少する。
【0019】
【表1】

【0020】
従来より、クロマトグラフィーマトリクスを含む事前に活性化された固相支持体材料は、湿式加熱滅菌条件の下で不安定であると考えられているため、オートクレーブにより滅菌されない。従って、これらの固相支持体材料は、完全な消毒によるのではなく、通常は消毒される(微生物コンタミナントの数を許容可能なレベルまで減少させる)。本明細書中で記載されるこれらの固相支持体材料の滅菌のための方法を試験するため、本発明の発明者らは、PACS 2000ソフトウェアを備えたGetinge GE EC-1オートクレーブを用いて得ることができる高い温度および圧力を利用した。装置は、温度、時間および圧力についてプログラムすることができる。121,1〜123度の範囲の温度を15分間用いる標準的条件の下で、滅菌を行った。本明細書中で使用される場合、
用語“クロマトグラフィーマトリクス(単数または複数)”は、選択された移動相条件の下で、標的材料を結合し(すなわち、吸着し)、そしてその他の選択された移動相条件の下で標的材料を放出するために有効な静止相または粒子相のことをいう。用語“事前に活性化されたクロマトグラフィーマトリクス(単数または複数)”は、リガンドの結合のための特定の化学基を含有するクロマトグラフィーマトリクスのことをいう。本明細書中で記載されるプロセスは、事前に活性化されたクロマトグラフィーマトリクスを滅菌するために特に適切である。好ましいクロマトグラフィーマトリクスは、SEPHAROSETMまたはCAPTOTMなどの、アルデヒド活性化アガロースマトリクスである。
【0021】
本発明に従う固相支持体材料は、いずれかの適切な周知の種類のものであってもよい。最も好ましい態様において、固相支持体は、多孔性アガロースビーズである。一態様において、固相支持体材料は、医療機器用の構成要素として有用である。別の態様において、固相支持体は、クロマトグラフィーマトリクスである。
【0022】
従来型のクロマトグラフィーマトリクスは、しばしば、有機的な性質のものであり、そして使用される水性媒体に対して親水性表面を曝露するポリマーに基づくもの、すなわち、ヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、カルボキサミド(-CONH2、場合によりN-置換型のもの)、アミノ(-NH2、場合により置換型のもの)、オリゴエチレンオキシ基またはポリエチレンオキシ基をその外側に曝露し、そして存在する場合には、内部表面上にも曝露するポリマーに基づくものである。一態様において、ポリマーは、例えば、多糖(例えば、デキストラン、スターチ、セルロース、プルラン(pullulan)、アガロースなど)に基づくものであってもよく、このことは有利にも、例えば、bis-エポキシド、エピハロヒドリン、1,2,3-トリハロ-置換低級炭化水素を用いて架橋して、適切な多孔性および厳密性を提供する。
【0023】
あるいは、固相支持体は、合成ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなど)に基づくものである。ジビニル-およびモノビニル-置換ベンゼンに基づく材料などの疎水性ポリマーの場合、マトリクスの表面は、しばしば親水化されて、上述した親水性基を周囲の水溶液に対して曝露する。
【0024】
さらに別の代替法において、固相支持体は、例えば、シリカ、ジルコニウムオキシドなどの、無機の性質のものであってもよい。
さらなる態様において、固相支持体は、表面、チップ、キャピラリ、またはフィルタなどの別の形態のものである。
【0025】
固相支持体マトリクスは、一般に活性化工程を必要とし、その後従来型の結合技術を使用することを介して、支持体上にリガンドを結合させる。エポキシド基、CNBr基、NHS基およびアルデヒド基を介したリガンドの結合は、全て、周知の方法である。Hermanson, G.T., A.K. Mallia, and P.K. Smith, Immobilization of ligands, in Immobilized Affinity Ligand Techniques. 1992, Academic Press。スペーサー基を、支持体とリガンドとの間に導入することができ、それによりリガンドの利用可能性を向上し、そしてリガンドの支持体に対する化学的結合を促進する。
【0026】
本発明の発明者らは、特定のCNBrおよびNHS活性化固相支持体材料がオートクレーブによる滅菌に耐えることができないのに対して、アルデヒド活性化材料は安定であり、そしてオートクレーブにより悪影響を受けないことを、予期せず見出した。
【0027】
従って、この方法は、アルデヒド基、例えばアルデヒド活性化アガロースマトリクス、により事前に活性化された固相支持体材料の滅菌のために、特に適切である。アルデヒド活性化およびリガンド結合のレビューについては、以下の文献を参照:Hermanson, G.T., A.K. Mallia, and P.K. Smith, Immobilization of Ligands, in Immobilized Affinity Ligand Techniques. 1992, Academic Press, pages 110-118。この方法は、中でもカルボン酸、アミノ基およびヒドラジド基により活性化された固相支持体材料の滅菌のために適切であろう。
【0028】
滅菌の後、事前に活性化された固相支持体材料を、使用者の具体的なニーズに基づいて、さらに修飾することができる。例えば、クロマトグラフィーマトリクスに対して、目的とする生体分子に対するリガンドを、無菌条件下、従来型の結合技術を介して、結合させることができる。アルデヒド基を有する滅菌固相支持体材料を、例えば、還元的アミノ化を使用して、さらに反応させることができる。あるいは、アルデヒド基を有する滅菌固相支持体材料を、例えば、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、またはセミカルバジド等のアルデヒド反応基を含有するいずれかの分子を使用して反応させることができる。
【0029】
滅菌方法は幅広く適用可能であり、そして抗体(特にモノクローナル抗体)、核酸(例えば、ゲノムDNA、RNA)を含む生物活性分子の単離等のいずれかの目的、そして生物学的サンプルからの細胞の単離および分離の目的、を意図して、クロマトグラフィー媒体を含む固体マトリクスを滅菌するために使用することができる。あるいは、滅菌の事前活性化された固体マトリクスは、医療機器産業のために、または特定の清掃用途のために、有用な材料を提供する。
【0030】
本明細書中で使用される場合、生物学的サンプルという用語は、核酸またはモノクローナル抗体などのポリペプチドを含有するかまたは含有することが疑われるin vivoまたはin situで得られそして回収される生物学的組織または細胞のサンプルを含む、いずれかの生物学的供給源から得られるサンプルのことをいう。
【0031】
本発明はまた、上述した方法により滅菌された、クロマトグラフィーマトリクス、特にアルデヒド活性化アガロースマトリクスを提供する。無菌条件または滅菌条件下にて、リガンドを滅菌クロマトグラフィーマトリクスに対して結合して、滅菌クロマトグラフィー分離媒体を作製することができる。
【0032】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の実施例および請求の範囲から明らかであろう。
【実施例】
【0033】
以下の実施例は、説明の目的のためにのみ提供され、そして添付の請求の範囲により規定される発明を限定するものとは解釈すべきではない。本明細書中の以下およびその他の場所に提示される全ての参照文献は、参照を介して本明細書中に援用される。
【0034】
オートクレーブは、滅菌のための標準的手順である、121.1〜123度で15分間の手順を使用して、行われた。各サンプルについて、半量をオートクレーブのために使用し、もう半量(参照フラスコ)を、対照として冷蔵庫中にて維持した。温度記録用に、同様量のゲルおよび蒸留水を有するもう一本追加のフラスコを使用した。
【0035】
アルデヒドSEPHAROSE 4 Fast Flow:
SEPHAROSE 4 Fast Flow(50 ml)を、蒸留水を用いて6回洗浄した。ゲルを乾燥させ、100 ml E-フラスコに移し、そして総量を75 mlに調整した。0.80 gの過ヨウ素酸ナトリウムを添加し、そして酸化を15分間進行させた。酸化ゲルを蒸留水を用いて洗浄し、そしてその後全量100 mlに希釈した。ゲルスラリーを半量ずつに分け(2×50 ml)、そしてSchottフラスコに移した。A)オートクレーブ用、B)参照用。Aのオートクレーブの後、両方のゲルを吸引して乾燥させ、そしてE-フラスコに移し、そしてリン酸バッファーpH 6.2(20 ml)中0.73グラムのn-ブチルアミンを各フラスコに添加し、次いで、容量をバッファーを用いて50 mlに調整した。その後、0.170 gのNaCNBH3を各フラスコに添加し、そして反応物を一晩攪拌させた。
【0036】
水を用いて10回洗浄することにより、反応を終了させた。Clイオン容量を、標準的手順に従って、AおよびBの両方ともについて測定した:ゲルを0.5 M HClを使用して4回洗浄し、その後、1 mM HClを用いて4回洗浄した。1 mlのゲルを10 mlの0.5 M KNO3を含むビーカーに移し、その後蒸留水を用いて40 mlにまで希釈した。1滴の濃HNO3を添加した後、Cl含量を硝酸銀を用いた電位差滴定により測定した。
【0037】
NHS SEPHAROSE 4 Fast Flow:
NHS SEPHAROSE 4 Fast Flow、75 mlゲルを、1 mM HClを用いて6回洗浄した。用量を1mM HClを用いて150 mlに調整し、そして3個のSchottフラスコに分注した:C)オートクレーブ用、D)参照用、そしてオートクレーブ温度測定のために1個のフラスコ。Cのオートクレーブの後、ゲルを1 mM HClを用いて洗浄し、そしてNHS含量を以下のプロトコルに従って測定した:1 mlサンプルを、100 mlのE-フラスコに移し、そして37 mlの0.1 M水酸化アンモニウムをそれぞれ添加した。加水分解を5分間行わせ、その後サンプルを濾過した。260 nmでの吸光度を測定した;0.1 Mの水酸化アンモニウムをブランクとして使用した。励起係数9700 M-1cm-1を使用することにより、NHS含量を算出した。
【0038】
CNBr SEPHAROSE 4B:
15 gの凍結乾燥したCNBr SEPHAROSE 4Bを、15分間、75 mlの冷1 mM HCl中で膨潤させた。1 mM HClを用いて6回洗浄した後、用量を100 mlに調整した。各50 mlを2個の別個のSchottフラスコに分注した:E)オートクレーブ用、およびF)参照用。
【0039】
オートクレーブ後、EおよびFの両方からのゲルを吸引乾燥させた。ゲルをそれぞれ20 ml重炭酸塩バッファーおよび重炭酸塩バッファー中に溶解した1.3 gの6-AKSとともに、100 mlのE-フラスコに移した。用量を37.5 mlに調整した。反応を3時間進行させた。反応を蒸留水を用いて10回洗浄することにより終了させた。ゲルを蒸留水中37.5 mlの用量に調整し、そしてサンプルをカルボン酸含量滴定のために取り出した:EおよびF由来の5 mlのゲルを1.0 M KClを用いて5回洗浄した。ゲル用量を測定し、そして滴定フラスコに移し、そして10 mlの1.0 M KCl溶液を用いて希釈した。カルボン酸含量をNaOH滴定を使用して測定した。
【0040】
結果:
アルデヒド:
A) オートクレーブにより、20.44および20.47 umol/mlのゲルがもたらされた
B) 参照により、19.44および21.92 umol/mlのゲルがもたらされた
NHS:
C) オートクレーブされたゲル
=0.5μmol/ml
D) 参照ゲル17μmol/ml
【0041】
CNBr:
E) オートクレーブにより、1.6μmol/molのゲルがもたらされた
F) 参照により、13.5μmol/mlのゲルがもたらされた。
【0042】
これらの実験から、NHS活性化アガロースゲルおよびCNBr活性化アガロースゲルの両方とも、オートクレーブに耐えないことが示される。しかしながら、アルデヒド活性化アガロースゲルはオートクレーブに耐える。
【0043】
本明細書中で言及される全ての特許、特許公開、および公開参考文献は、それぞれが個別にそして具体的に本明細書中に参照により援用されているかのように、それらの全体が参照により援用される。本発明の好ましい説明的な態様が記載される一方で、当業者であれば、記載された態様以外の態様により本発明を実施することができることを理解するが、それらは説明の目的のみであり、限定を目的としたものではない。本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約121℃〜約135℃の範囲の温度で、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露することを含む、アルデヒド活性化固相支持体を滅菌するための方法。
【請求項2】
2バール〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
30〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
34〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
10〜60分の範囲の期間、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
34.4バールの圧力下、そして約121℃の温度で、固相支持体を蒸気に対して曝露する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
滅菌すべき固相支持体が、アルデヒド活性化クロマトグラフィーマトリクスである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
固相支持体がアガロースマトリクスである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
クロマトグラフィーマトリクスが、SEPHAROSE 4 Fast FlowまたはCAPTOである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(a) アルデヒド活性化固相支持体を提供する工程;そして
(b) 約121℃〜約135℃の範囲の温度で、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する工程;
を含むプロセスにより製造される、滅菌アルデヒド活性化固相支持体。
【請求項11】
2バール〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項12】
30〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項13】
34〜35バールの範囲の圧力下、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項14】
10〜60分の範囲の期間、固相支持体を加圧蒸気に対して曝露する、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項15】
34.4バールの圧力下、そして約121℃の温度で、固相支持体を蒸気に対して曝露する、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項16】
固相支持体がクロマトグラフィーマトリクスである、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項17】
固相支持体がアガロースである、請求項10に記載の滅菌固相支持体。
【請求項18】
請求項10に記載の滅菌固相支持体に結合されたリガンドを含む、滅菌クロマトグラフィー分離媒体。
【請求項19】
固相支持体が、アルデヒド活性化SEPHAROSE 4FFまたはCAPTOマトリクスである、請求項18に記載の滅菌クロマトグラフィー分離媒体。
【請求項20】
無菌条件下、リガンドを請求項16に記載の滅菌クロマトグラフィーマトリクスに対して結合させる工程を含む、滅菌クロマトグラフィー分離媒体を製造するための方法。

【公表番号】特表2011−508622(P2011−508622A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539533(P2010−539533)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/074366
【国際公開番号】WO2009/082515
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(509088240)ジーイー・ヘルスケア・バイオ−サイエンシズ・アーベー (22)
【Fターム(参考)】