説明

化学的及び電解的に加工物を処理する装置及び方法

化学的及び電解的に加工物(1)を処理する装置及び方法は、一方の面でのブリッジ(短絡)又は他方の面でのプリント回路基盤の開路だけでなく、微細導電性構造、パッド及びランドの不規則な外形の回避を図って提案される。装置は、加工物処理用の処理タンク(2)とその運搬用のコンベア装置を有する。コンベア装置は、少なくとも1つの運搬キャリッジ(18)、少なくとも1つの保持要素(14、25)及び運搬キャリッジと保持要素との間の少なくとも1つの接続手段(12、13、35)を有する。処理タンクはクリーンルームゾーン(3)と隣接している。加工物は、コンベヤ装置を使用してクリーンルームゾーンを通って運ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物、より好ましくはプリント回路基盤技術において均一な高感度加工物、より特定的には、例えば次世代フリップチップ基材に要求されるような平滑面又は微細構造を有することが不可欠な加工物を化学的及び電解的に処理する装置及び方法、及び前記装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、チップ製造者は、彼らが90ナノメートル構造と称するものを市場に投入する準備をしている。彼らは、それよりも小さな構造の70nmを計画している。しかしこれらの寸法でも、さらに小さな構造への単なる中間段階に過ぎない。半導体部品の微細化の増大を考慮して、チップキャリヤを有するプリント回路基板の製造者は、彼らの製品を新しい条件に適合させることによって彼らが対応しようとする新たな課題に向き合っている。このことは、彼らが、例えば、市場で生き残るために目下、パッドピッチが約150μm、及びランドが約75μmの構造寸法の要求を満たさなければならないことを意味している。微細化のこの傾向は近い将来も継続しそうであると予測されている。
【0003】
しかしながら、このような種類の微細構造は、もはや現在の方法や装置を使用して実現できない。構造の寸法を減少させようとする試みが、製造された回路構造、パッド及びランドの不規則形状、さらに一方の面のブリッジ(短絡)又は他方の面の開路となることが観察された。微細化構造の表面がしばしば不均一であることも分かっている。このような不均一性は、SMD技術におけるはんだ付けや半導体チップの直接接合を妨げる恐れがある。その結果、確立された接触が不十分となって、加工物を無駄にしてしまう。不規則形状も、製造された回路の電気的特性がゆえに前触れもなく損なわれ得るので受け入れられない。構造における開路や近隣構造間の短絡ももちろん、それらが後に修理できず、回路が不良品と判定されなければならないので受け入れられない。
【0004】
表面処理プラント、より詳しくは電気メッキプラントを使用することは特許文献1に記載されている。このプラントは、複数の処理タンク、及び一方のタンクから他方に加工物を移動するためのトランスジューサ、及び処理タンクに沿って水平方向、ならびに垂直方向にトランスジューサを駆動させるための駆動装置を有する。プラントは、タンクを覆い、トランスジューサの昇降アームが通過する開口部を備えた保護キャビンをさらに含む。保護キャビンはタンク内に不純物が落下するのを防止する働きをする、しかしながら、このプラントは上述の課題を解消することを実証していない。
【0005】
【特許文献1】DE 8328191 U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加工物上に微細回路構造及び特に平滑面を作製でき、それによって従来技術の装置の上述の問題を回避できる、加工物を処理するための、より特定的にはコーティングするための装置及び方法を提供することがゆえに本発明の目的である。さらに、回路構造の形状は、平滑であり、さらに可能な限り再現できるように調整可能である。装置や運転への投資費用が、採算の合う製造を確実にするために低く抑えられることが特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の装置によって、及び請求項25の方法によって、ならびに請求項24の装置の使用によって解決される。特に有利な実施形態は従属請求項に列挙される。
【0008】
明細書や請求項で指示された、これ以後の明細書及び請求項で使用されるときコンベヤ装置、運搬キャリッジ、動作駆動装置、運搬キャリッジシャーシ、昇降ギヤ、収容装置、キャリヤアーム、フライトバー、保持要素、クリーンルームハウジング、投入・取出ステーション、入口開口部及び配管システムのような単数形式の一定の用語もあるいは同じように複数形式の同用語を含むように取られても良い。明細書や請求項で指示された、加工物、把持要素、フライトバー、横断部材、昇降機構、昇降ピストン/シリンダ装置、貫通開口部、ブラシ、密封リップ、カバー、入口スロット、タンクの内部空間、及び処理槽のような複数形式の用語もあるいは同じように単数形式の同用語を含むように取られても良い。
【0009】
本発明の装置及び方法によって、例えば、ランド又はパッドピッチが75〜150μmの範囲又はそれ以下の、特に平滑面及び微細構造を、好ましくは均一加工物上に製造することができるか、又はこれらの構造を処理することができ、しかも半導体技術において、提供されることは知られているが、はるかに高コストであるクリーンルーム条件を加工物用に低コストで提供できる。
【0010】
試験によって、記載のフロー(金属化構造上の凹凸、回路構造の不規則形状ならびに開路又は短絡路)が、外気内の塵埃粒子によって又は他の微量不純物によって引き起こされることが発見された。構造の微細化のため、電気メッキ装置上の前記塵埃粒子又は微量不純物も加工物のクズとなる。
【0011】
塵埃粒子が構造上に堆積するであろうことが観察されているため、電気めっき工程中の不純物の含有の原因となる。このことは、加工物の短絡又は他の望ましくない不良の原因となる。微細化範囲の形状は、ゆえに望ましくなく変形される、例えば、不均一になり、SMD技術におけるはんだ付けや半導体チップの直接接合を妨げる。その結果、確立された接触が不十分となり、その加工物が無駄になる。
【0012】
より特定的に、塵埃又は他の微量周囲不純物のような物質は、処理中又は運搬中に加工物上への前記物質の堆積を妨害するために装置の処理空間内に入らないようにされるべきである。
【0013】
好ましくは電解的又は化学的に処理される加工物は、プリント回路基板やプリント回路基板上のチップキャリヤである。電解又は化学的処理は、銅、金、ニッケル、錫、銀又はそれらの合金のような金属を加工物上に堆積させるか、又は前記加工物から金属層を完全又は部分的に除去する働きをする。
【0014】
加工物を化学的又は電解的に処理する本発明の装置は、加工物を処理する少なくとも1つの処理タンクと加工物を運搬する少なくとも1つのコンベヤシステムとを含む。少なくとも1つの処理タンクは、少なくとも1つのクリーンルームゾーンと直接隣接しているので加工物が少なくとも1つのコンベヤシステムによって少なくとも1つのクリーンルームゾーンを通って案内される。装置は、大気圧に対し少なくとも1つのクリーンルームゾーン内に超過圧力(例えば、大気圧に対し高くても5Pa、より好ましくは高くても10Pa、最も好ましくは高くても50Paの超過圧力)を確立する手段をさらに含む。
【0015】
複数の処理タンクが準備される際に、これらのタンクは、同一又は異なる処理液を収容するか又は乾燥、焼き戻しに、又は充填又は排液に役立たせても良い。処理タンクは、横並び及び/又は前後に列配置されて処理ユニットを形成しても良い。これらのユニット内で、加工物、例えば、複数のプリント回路基板が、横並びで同時に処理される、ただし、好ましくは、別々の処理タンク内には同処理液を収容している。処理後、横並びに配置される、前記プリント回路基板は、更なる処理のために横並びに配置された複数のタンクを備えた次処理ステーションに運搬される。その結果、洗浄、電気メッキ、洗浄及びその後の乾燥のような処理ステップの全シーケンスが実行される。クリーンルームゾーンは、それによって全ての処理タンクにわたり拡張するか又は処理タンクのそれぞれに個別に関連付けられても良い。
【0016】
クリーンルームゾーンは、それぞれが少なくとも1つの貫通開口部を含むクリーンルームハウジングによって空間的に画定されることが好ましい。ハウジングは、より特定的に、側壁、前部壁、上部壁及び底部壁を含む。好ましい実施形態において、ハウジングは、一対の対面側壁、一対の対面前部壁、それぞれ一枚の頂部壁及び底部壁から成る。他の実施形態において、ハウジングの下側も、その直ぐ下に隣接する処理タンクによって形成されても良く、ここでクリーンルームゾーンとタンクとの間の移動が自由であるか又は加工物用の、狭い入口開口部、例えば、入口スロットを含む加工物用のカバーがそこにもたらされる。
【0017】
頂部壁は、それから離れて、処理タンクの上縁部で支えられる中間支持のような適当な補強によって貫通開口部間のハウジングの内部で支持されても良い。
【0018】
ハウジングは、好ましくは僅かに加圧されるその内部に収容されたガスが貫通開口部だけを通過してハウジングから流出できるように密封されるのが好ましい。貫通開口部は、部分的に閉鎖できるように設計されても良い。ブラシ又は弾性密封リップは、例えば、開口部を密封し、前記ブラシ又は密封リップはハウジングの外側に配置されるのが好ましい。
【0019】
ハウジング内の貫通開口部は、例えば投入・取出しドッキングステーションの領域の、例えば加工物用の入口開口部、ならびにフライトバー、昇降機構及び横断部材用のようなコンベヤシステム用の水平及び垂直貫通開口部であっても良い。貫通開口部は、それを通してコンベヤシステムの上述部品を送るのに適している狭いスロットとなるように構成されることが好ましい。ハウジングは、その内部に、清浄化された、例えば、濾過されたガスを導入することによって加圧されても良い。使用されるガスは、要求されるクリーンルーム水準に準拠する適当なフィルタによって清浄化される窒素又は圧縮空気のような不活性ガスであっても良い。
【0020】
本発明によれば、クリーンルームゾーン内で発生された超過圧力は、クリーンルームゾーンの外部にある塵埃又は他の微量不純物のような望ましくない物質がその内部に侵入するのを防ぐ。このような不純物は、例えば本発明の処理装置の磨耗くず、ならびに製造ショップが起源の普遍的に存在する塵埃が起源である。超過圧力がクリーンルームゾーン内で発生されるので、重力で上から落下したであろう粒子だけでなく、任意の空気の動きによって移動されてクリーンルームゾーンに到達したであろうようなそれほど小さな粒子も、クリーンルームゾーンに到達することが防がれる。
【0021】
ハウジング壁内の貫通開口部は、例えば、頂部壁及び/又は一方の側壁又は複数の側壁の領域に配置されても良い。貫通開口部は、例えば、側壁の上部領域において水平方向に向けられても良い。
【0022】
コンベヤシステムは、少なくとも1つの運搬キャリッジ、他の少なくとも1つの保持要素及び運搬キャリッジと保持要素との間の少なくとも1つの接続手段を含む。
【0023】
運搬キャリッジは、動作駆動装置と運搬キャリッジシャーシとを含むことが好ましい。動作駆動装置と移動ギヤとを備えた運搬キャリッジは、クリーンルームゾーンの外部に配置されるのが好ましい。一列のタンクの一方の長手側で移動可能である運搬キャリッジは、適当な連結手段を介してタンクのその列の他方の長手側のもう1つの運搬キャリッジに連結されても良いので2つの長手側を連結する「ブリッジ」を形成できる。
【0024】
動作駆動装置は例えば移動モータである。動作駆動装置は、例えば運搬キャリッジ上に配置され、運搬キャリッジを直接適当な伝動手段を介して駆動しても良い。しかしながら、固定動作駆動装置を、例えば、ラインの定点に取り付け、さらにそれを運搬キャリッジの移動ギヤに取り付けられたエンドレスチェイン又はケーブルによって前後に移動させることも考えられる。しかしながら、運搬キャリッジは又、例えば、前方運動中に張られるばね駆動装置によって後方に移動されても良いので、この場合、各運搬キャリッジにたった1つの駆動装置で済む。
【0025】
運搬キャリッジは又昇降ギヤを含む。このような昇降ギヤは例えばフライトバーを上昇又は下降させる働きをする。さらに、運搬キャリッジは上昇又は下降されるフライトバー用の収容装置、例えば上昇又は下降されるキャリヤアームをも又含む。前記キャリヤアームは、フライトバーを上昇されるための同バーの両端部の下で係合する働きをする。このため、それらは、フライトバーの端部が滑入する溝の形状に構成されても良い。キャリヤアームは、運搬キャリッジの昇降ギヤによって保持されるのが好ましい、ゆえに上下に移動される。
【0026】
試験は、例えば、動作駆動装置付き運搬キャリッジ、運搬キャリッジシャーシ及び昇降ギヤのような、コンベヤシステムの一定の部品が、使用時に、例えば、加工物を掴む把持要素のような装置の他の構成部品よりも重い機械的磨耗を受けることを示した。この望ましくない機械的磨耗は、加工物の汚染となり、上述のようにその品質を落とすことになる。したがって、コンベヤシステムは、最大可能数の部品、及び少なくとも磨耗発生動作駆動装置が、この汚染を回避するために、クリーンルームゾーンの外側に位置するように配置されるのが好ましい。運搬キャリッジの他の部品、すなわち運搬キャリッジシャーシや昇降ギヤもまた、クリーンルームゾーンの外側に配置されるのが好ましい。さらに、フライトバー用のキャリヤアームはクリーンルームゾーンの外側に配置されても良い。一般に、運搬キャリッジの前記部品の全てはクリーンルームゾーンの外側に配置されても良い。
【0027】
コンベヤシステムは、加工物を保持するための保持要素をさらに含むことが好ましい。保持要素は、少なくとも実質的にクリーンルームゾーン内に配置されるのが好ましい。保持要素は、より特定的には加工物用の把持要素及びフライトバーを含む群から選択されても良い。例えば1つのフライトバー及び前記バーを掴む少なくとも1つの把持要素又は加工物だけを掴む少なくとも1つの把持要素は、例えばコンベヤシステムに設けられても良い。
【0028】
把持要素は、グリッパ、クランプ、トング、吸着カップ等となるように構成されても良い。把持要素は、個々の加工物を直に掴んでも良い。このために、加工物は、その縁部で掴まれ、処理用のそれぞれの処理タンクに別々に投入されるのが好ましい。処理タンク内に置かれた加工物の処理中、コンベヤシステムは、他の処理タンクから加工物を収集し、それらを他のタンクに送っても良い。この運搬中に、第1のタンク内に置かれた加工物はそこに留まったままである。処理タンクにおいて、様々な加工物は、それぞれ別々に掴まれ、処理中保持される。
【0029】
加工物は次にフライトバーに締結され、そこでそれらが処理中留まり、さらに一方の処理タンクから他方に輸送される。この場合、加工物は、保持手段によって掴まれ、フライトバーで保持される。使用される保持手段は、把持要素のように、例えばグリッパ、クランプ、トング、吸着カップ等である。把持要素はまたフライトバーを運搬する働きをしても良い。このため、フライトバーは、把持要素によって掴まれ、それらがその内部に置かれ、そこからそれらが処理後に再び収集される、幾つかの処理タンクに供給される。処理中、コンベヤシステムは、他の処理タンク内に処理のために配置されたフライトバーを収集し、それらを他のタンクに輸送しても良い。
【0030】
さらに、連結手段は運搬キャリッジと保持要素との間に設けられる。前記連結手段は、クリーンルームゾーンの内部、外部又は部分的内部及び部分的外部に配置されるのが好ましい。連結手段は横断部材及び/又は昇降機構であっても良い。
【0031】
横断部材は上下方向に移動可能(高さ調整可能)である。フライトバーと同様、それらは処理タンクの一列又は数列にわたる。加工物が締結される、フライトバーとは対照的に、加工物は、横断部材に締結されないが、運搬のために単にそれらによって掴まれ、保持されるだけである。このため、把持要素は横断部材に取り付けられる。把持要素の支援で、横断部材は加工物を直接的又はフライトバーを介して保持し、運ぶ。様々な処理タンク間での運搬中、加工物は、横断部材によって掴まれ、目標タンク内に到着時に降ろされるので、加工物を解放した横断部材は、そこから加工物を収集するために他の処理ステーション(例えば横並びに配置された複数のタンクを有する)に移動されても良い。横断部材は、運搬キャリッジによって保持されるのが好ましい、より特定的に運搬キャリッジ上の昇降ギヤによって又は運搬キャリッジの昇降ギヤによってそこで保持されても良い。横断部材が昇降ギヤによって運搬キャリッジ上で保持される場合、それらは上下移動可能である。
【0032】
横断部材と同様、昇降機構は、連結手段であり、運搬キャリッジの昇降ギヤと同様、それぞれの処理タンクから加工物を上昇させ、それらをそれぞれの処理タンク内に下降させる働きをする。昇降機構は、上下に移動可能でなく、次に1つ又は複数の運搬キャリッジによって保持される横断部材によって保持できる。これらの横断部材はまた連結手段を構成する。昇降機構は好ましくは、昇降ピストン/シリンダシステムである。それらは、処理タンクから加工物を上昇させ、それらをそれらのタンク内に下降させるように働く。これらの昇降機構は、横断部材を介して運搬キャリッジによって保持される。保持要素である、把持要素は、次に昇降機構に配置される。
【0033】
昇降機構は、加工物、例えば、プリント回路基板を上昇及び下降させるために使用されても良い。使用される昇降機構上の移動システムは、運搬中に加工物を保持するための、昇降シリンダの下側に取り付けられる必須把持要素を備えた空気圧又は液圧作動式昇降ピストン/シリンダシステムである。
【0034】
簡易、低コスト昇降ピストン/シリンダシステムに加え、例えば昇降ベルト又はチェーンに関連してモータ駆動式昇降機構のような他の装置も利用できる。しかしながら、摩擦によって磨耗した不純物粒子がクリーンルームゾーンに入ることは許されない。このために、昇降ベルトは、この場合、摩擦によって磨耗した粒子がクリーンルームゾーンに入るのを防止できるように、例えば長方形状管となるように構成された昇降ロッド内で案内されても良い。
【0035】
本発明の変形において、コンベヤシステムは、一列のタンクの一方の長手側に運搬キャリッジを含んでも良い、それで連結手段及び加工物を保持する保持要素が、一列の処理タンクの反対側に位置する2つの運搬キャリッジによるのではなく、この一方の運搬キャリッジだけで保持される。例えば、横断部材は運搬キャリッジに締結され、昇降機構は横断部材に締結され、さらに加工物用の把持要素は次に前記昇降機構に締結されても良い。あるいは、1つの運搬キャリッジは一列のタンクの2つの長手側のそれぞれに締結され、横断部材は2つの運搬キャリッジ間に締結され、さらに把持要素は次に横断部材に締結されても良い。当然のことながら、2列のタンク間で移動可能である、他の運搬キャリッジが準備されても良い。
【0036】
当然のことながら、複数のコンベアシステムが、互いに衝突しないように気を付けながら、互いに独立して動作する一列の処理タンクに沿って準備されても良い。
【0037】
その結果として、運搬キャリッジ、保持要素及び連結手段を含むコンベヤシステムを有する処理ラインの次の構成概念が得られる:
1)第1の好ましい実施形態において、加工物に使用された保持要素は、加工物が投入ステーションで掴まれ、保持手段を介して保持(締結)される、フライトバーである。この場合、加工物は、直接又はラックを介してフライトバーに締結されても良い。フライトバーは、実質的にクリーンルームゾーンの内側に設けられ、その両端部においてクリーンルームゾーンから、クリーンルームハウジングの側壁内の、貫通開口部を通して、例えば水平及び垂直スロットを通して突き出ても良い。この実施形態において、フライトバーが上昇され、下降され、さらに一方のタンクから他方に運ばれるので、垂直スロットがフライトバーの上下運動用に、さらにその水平運動用に水平スロットが設けられ、水平スロットは、クリーンルームゾーンハウジングの側壁の上部領域内に配置されるのが好ましい。
【0038】
加工物の処理中、フライトバーは、クリーンルームゾーンの外側に位置する、例えばその両端部によって設置できる。運搬用に、フライトバーは、運搬キャリッジ上に設けられたキャリヤアームのような収容装置によって再びピックアップされる。前記収容装置は、クリーンルームゾーンの外側に位置するのが好ましい。フライトバーの両端部がクリーンルームゾーンの外側に留まるので、振動又は摩擦の結果又はフライトバーが移動され、対応する経路ガイドに設置されるときに離れる、微粒子が、クリーンルームゾーンに到達する危険性が回避される。これらの経路ガイドは個々の処理タンクと連動している。あるいは、フライトバーは、収容装置が貫通開口部を通してクリーンルームゾーン内に突き出ている場合前記ゾーン内に完全に位置しても良い。
【0039】
フライトバーは、クリーンルームゾーンの外側に位置する運搬キャリッジの昇降ギヤ(垂直)及び移動ギヤ(水平)によって移動されても良い。これらの昇降ギヤは、フライトバー用の収容装置を運ぶ。このために、キャリヤアームを上下に移動するガイド片と、その結果としての、フライトバーとが、例えば昇降ギヤ内に設けられても良い。
【0040】
フライトバー両端部は、クリーンルームゾーンの側壁内の垂直及び水平スロット内に延びる。フライトバーを上昇及び下降させるため、垂直スロットが設けられ、バーの両端部が通される。一方の処理タンクから他方へのフライトバーの運搬中、フライトバー両端部は、この場合、好ましくは側壁の上部領域に形成される水平スロット内に延びる。収容装置がクリーンルームゾーン内に突き出る場合、対応して、フライトバー両端部がそれから突き出ない場合、水平スロットも同様に収容装置の並進運動に役立つ。再び、前記スロットはハウジング壁の上部領域に設けられることが好ましい。出来るだけフライトバー無しで(空運転時)水平移動させるために、収容装置は可動となるように実施されるので、空状態での走行に対し、収容装置を下方位置においてクリーンルームゾーンから収納できる。
【0041】
2)他の実施形態において、保持要素は、完全にクリーンルームゾーンの内側にあるのが好ましい、再びフライトバーである。この場合、フライトバーは、クリーンルームゾーンの内側の把持要素によって掴まれ、保持される。フライトバーを処理タンク内に配置するために、経路ガイドが、クリーンルームゾーンの内側の上部タンク縁部に設けられる。
【0042】
把持要素は次に、連結手段、つまり昇降機構に締結される:
第1の変形において、昇降機構は、クリーンルームゾーンから突出する、ゆえにクリーンルームゾーンの部分的に内側及び部分的に外側に配置されても良い。昇降機構は、例えば伸縮自在に嵌合する昇降ピストン及びシリンダの形で構成されても良い。運搬キャリヤによる運搬中、昇降機構は、この場合では貫通開口部、本例の場合ではクリーンルームハウジングの頂部壁に形成された水平スロットを通される。昇降機構に関しては、それらが他の連結手段によって、つまり横断部材によって保持される。この場合、横断部材は、クリーンルームハウジング上のクリーンルームゾーンの外側に配置される。横断部材は運搬キャリッジに締結される。それらは、加工物に必要な上下運動が昇降機構によって実行されるので垂直方向に可動ではない。
【0043】
第2の変形において、昇降機構は完全にクリーンルームゾーンの内側に配置されても良い。クリーンルームハウジングの全高を制限するために、昇降機構は、再び例えば収縮自在に嵌合する昇降ピストン及びシリンダの形で構成されても良い。この変形において、昇降機構は、クリーンルームゾーンの少なくとも実質的に内側に配置される横断部材に締結される。その両端部において、横断部材は、クリーンルームゾーンから突き出る。このために、両端部は、クリーンルームハウジングの側壁の上部領域に形成された水平スロットを通して、クリーンルームゾーンから通される。この実施形態において、横断部材が垂直方向に可動でないので、側壁に垂直スロットを設ける必要がない。ハウジングの安定性を増すために、ハウジングの頂部壁は、この場合、ショップの天井に締結されるのが好ましい。
【0044】
加工物を運搬するために、昇降機構とそれに締結された把持要素とを有する横断部材を備えた運搬キャリッジは、処理タンク内に配置されたフライトバーまで移動され、それを掴む。フライトバーは、昇降機構によって処理タンクから上昇させられ、運搬キャリッジの並進運動によって上昇位置の他の処理タンクへ運ばれる。昇降機構によって新位置のフライトバーを下降させることによって、フライトバーは目標タンク内に配置される。フライトバーが前記処理タンク内に配置されると、横断部材、昇降機構及び把持要素を備えた運搬キャリッジは、他の処理タンクに移動されて他のフライトバーをそこから収集しても良い。
【0045】
3)他の実施形態において、保持要素は再びフライトバーである。フライトバーは、連結手段、つまり横断部材と、それに締結された把持要素との支援で掴まれ、次に一方の処理タンクから他方に運ばれる。フライトバー及び把持要素は、完全にクリーンルームゾーンの内側に配置され、フライトバーは、同様にクリーンルームゾーンの内側に配置される経路ガイド上に置かれる。あるいは、その両端に、フライトバーはまた、クリーンルームハウジングの側壁を通過し、経路ガイド上に配置されても良い。ここまでは、この実施形態は、前述のものと異ならない。この実施形態のいずれにしても、横断部材はまたクリーンルームゾーンの少なくとも実質的に内部に配置される。この実施形態において、それの両端はそれから突出している。上述の実施形態とは対照的に、横断部材は、上昇及び下降されても良い、ゆえに垂直方向に可動である。このために、横断部材は、クリーンルームゾーンの外側に配置される運搬キャリッジ上の昇降ギヤによって保持される。したがって、横断部材の両端は、この実施形態では運搬キャリッジの昇降ギヤにしっかりと連結される。フライトバーの両端がクリーンルームハウジングからその側壁を通過して突き出る場合、フライトバーを運搬するために、フライトバーと横断部材とが同水平スロット内を通過できるように、横断部材が位置決めされる高さがクリーンルームゾーンから突出するフライトバーのものと同じになることが必要である。そうでなければ側壁の異なる高さに2つの水平スロットが設けられなければならない。しかしながら、このことは重要な設計工学的課題を提起することになろう。
【0046】
上昇及び下降中に、横断部材は、クリーンルームハウジングの側壁に形成された垂直スロットに通される。横断部材が一方の処理タンクから他方に移動されると、それらは、側壁の上部領域の水平スロットに通される。フライトバーの両端もクリーンルームハウジングから突出する場合、それらもまた前記水平スロットに通される。
【0047】
4)他の好ましい実施形態において、保持要素は単なる加工物用の把持要素である。この場合、フライトバーは省略される。加工物は把持要素によって直接掴まれる。処理タンク内に加工物を置くために、タンク内の加工物をピックアップし、処理中これらを保持するのに適した保持装置がタンク内に設けられる。処理終了時に、これらの保持装置は加工物を解放する。このような種類の保持装置は、電解処理の場合、加工物に電流を供給する働きもする、例えば保持フレームであっても良い。
【0048】
把持要素は、上昇及び下降させられる横断部材(連結手段)に締結される。横断部材はクリーンルームゾーンの実質的に内側に配置される。その両端はそれから突出する。横断部材は、クリーンルームハウジングの側壁を介して水平スロット及び垂直スロットに通される。
【0049】
水平スロットは、把持要素を備えた横断部材及びそれに締結された加工物を一方の処理タンクから他方に運ぶ働きをする。各垂直スロットは、処理タンクの領域及びそれらの上に配置、横断部材、把持要素及び加工物を上昇及び下降させる働きをする。上述の実施形態における場合と同様、横断部材は再びクリーンルームゾーンの外側に配置された運搬キャリッジ上の昇降ギヤに締結される。横断部材はこれらの昇降ギヤで上昇及び下降させられてもよい。
【0050】
5)フライトバーを用いない、他の実施形態において、加工物は、直接把持要素によって掴まれ、処理タンク内に配置される。把持要素は完全にクリーンルームゾーンの内部に配置される。把持要素は、上昇及び下降され得ない横断部材に締結される。昇降機構は、加工物及び把持要素を上昇及び下降させるために準備される。横断部材及び昇降機構は連結手段である。横断部材は垂直方向に可動ではない。
【0051】
この実施形態の第1の変形において、横断部材は、クリーンルームゾーンの実質的に内側に配置され、その両端部においてだけそこから突出する。この場合、昇降機構はクリーンルームゾーンの実質的に内側に配置される。横断部材が移動可能となるようにするために、横断部材がそれを通って延びる水平スロットの形の貫通開口部は、クリーンルームハウジングの側壁の上部領域に設けられるのが好ましい。
【0052】
第2の変形において、横断部材は、クリーンルームハウジング上のクリーンルームゾーンの外側だけに移動させられる。この場合、昇降機構は、クリーンルームゾーンの部分的内側及び部分的外側に位置する。この場合、昇降機構が通される水平スロットは、ハウジングの頂部壁に設けられる。
【0053】
上述の実施形態の全てにおいて、加工物又はフライトバーは、運搬のために掴まれ、処理タンクから上昇させられ、他の処理タンクに運ばれる。そこで、加工物は処理される。加工物に関し、この手順は、加工物が全ての処理タンクを経由して運ばれ、及び加工物の処理が終了するまで繰り返されても良い。
【0054】
クリーンルームゾーンに加工物を投入するために、クリーンルームゾーンの外側に少なくとも1つの投入・取出しステーションが設けられ、それから加工物がハウジング内の入口開口部を経由してクリーンルームゾーンに運ばれる。入口開口部は閉口可能に実施されても良い。スクリーン、ゲート弁又はカバーのような閉口手段は、例えば加工物の処理中に入口開口部を閉じるために使用されても良い。閉口手段は、クリーンルームゾーン内でのその作動中の機械的磨耗を回避するためにハウジングの外側に配置されることが好ましい。投入・取出しステーションは、加工物の移動用のハウジングの入口開口部に一致する密閉部を含む。投入・取出しステーションは、加工物に始めに付着する塵埃粒子がクリーンルームゾーンに到達するのを防ぐように特定的に設計されるのが好ましい。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、コンベヤシステムは、ハウジングの外側に横方向に配置される2つの運搬キャリッジを含む。各運搬キャリッジは動作駆動装置と運搬キャリッジシャーシとを含む。運搬キャリッジは、タンクの列と平行に延びる、運搬路上を、例えば、レール上を移動しても良い。垂直方向に可動であるフライトバー又は横断部材が使用される実施形態において、運搬キャリッジシャーシに直接フランジ付けされる昇降ギヤが設けられても良い。昇降ギヤは、例えばガイド片を保有する垂直移動可能な昇降かごを含むのが好ましい。これによって、貫通開口部画から突出するフライトバーがクリーンルームゾーンの外部から上昇させられ、次に運ばれる、収容装置は、例えばガイド片に締結されても良い。あるいは、横断部材は、ガイド片に締結されても良い。加工物が尚も投入・取出しステーションにある場合、それらはそこで掴まれ、そこから処理タンクへ運ばれる。
【0056】
狭い溝状貫通開口部は、運搬用に側壁に設けられても良い。側壁に存在する垂直貫通開口部は、処理タンクから始まり、好ましくは垂直上方に向けられそこでそれらの開口部は、処理タンク上の運搬キャリッジの運搬経路の実質的に全長に沿って向けられる、水平貫通開口部、例えば、水平方向に向けられたスロットと合流する。フライトバーが例えば収容装置によってピックアップされ、運搬さらに再び下降させられる保持要素として使用される場合、フライトバーの両端は、加工物の運搬中スロットを介して係合する。昇降時、フライトバーの両端は、それらがその内部で垂直上方に移動する、側壁の垂直スロットを通って延びる。いったん上方位置、いわゆる移動位置に達すると、運搬キャリッジシャーシはフライトバーを前方又は後方に移動させる。上昇位置において、ハウジングの側壁を通して突出するフライトバーの両端は、上部領域に形成された水平スロット内に延びる。次処理ステップの目標処理タンクに到達すると、コンベアシステムはまさにこの場所においてフライトバーを下降させる。加工物と共にフライトバーの両端は、それによってそこに形成された垂直スロット内を下方に滑るように降りる。
【0057】
いかなる処理シーケンスも実行されなければならないので、フライトバー及び収容装置を備えたこのような種類の装置も空運転が可能である。このことは、運搬キャリッジが処理タンクに1つのフライトバーを置き、次にさらなる運搬のためのそこに配置されたフライトバーをピックアップする次の処理タンクまで空走行することを意味する。この実施形態において、運搬キャリッジはまた、運搬キャリッジの昇降ギヤにおける収容装置がクリーンルームゾーンの外側にある場合又は収容装置が運搬キャリッジの運動中にクリーンルームゾーンから引っ込められる場合に下方位置にある昇降ギヤと共に空で走行しても良い。この場合、ハウジングの側壁に下部スロットの必要がない。加工物を運搬する通常の可能性は尚も使用されても良い。しかしながら、側壁を底部で締結する可能性がないので、追加の下部水平スロットを形成することはほとんど不可能であろう。
【0058】
さらに、加工物は、その両側のハウジングの外部に動作駆動装置とその上に配置された昇降ギヤとを備えた1つの運搬キャリッジを含むコンベヤシステムによって運ばれても良く、加工物はいかなるフライトバーも無しに運搬される。このために、クリーンルームゾーン内に実質的に配置され、その両側でクリーンルームハウジングに沿って延びる運搬キャリッジの、2つの左及び右動作駆動装置又は昇降ギヤにそれぞれしっかりと連結される横断部材が設けられる。各加工物の個々の把持要素はこの横断部材上に配置され、前記把持要素は、横断部材が加工物を上部から直接掴むことができるように下降させられるので開いたままである。加工物を運搬するための、横断部材に搭載された各把持要素は、下方位置において閉じられるので、それぞれの加工物は、クランプによって確保され、処理タンクから上昇させられ、さらに次の処理タンクへ運搬される。
【0059】
クリーンルームゾーンのハウジングの側壁のスロットは、フライトバーを利用するすでに記述の実施形態に相当する。運搬キャリッジが空で走行することが望まれる場合、運搬キャリッジ上の横断部材は、側壁の頂部に配置された水平スロットを使用する問題の次処理タンクに到達するために、上方昇降位置にもたらされなければならない。横断部材は、開いた把持要素と共に下降させられ、加工物が下方位置で掴まえられる。加工物が掴まれると直ちに、次運搬行程が上部位置まで引き揚げられ、次に次処理タンクまでさらに移動される横断部材で実行される。
【0060】
最後の2つに記載の実施形態において、運搬キャリッジ又は運搬キャリッジの2つの昇降ギヤ及び運動ギヤをそれぞれ安定化させ、移動運動の改良された同期化のための他のX字筋違いは、コンベヤシステムの運搬キャリッジ間に設けられてそれらに剛性及び安定性を備えさせても良い。X筋違いの位置は、それによって、それらが両側に形成された側壁の水平スロット内で自在に移動できるように選択されなければならない。上部位置において、連結手段又はフライトバーとしての機能を果たす把持要素を備えた横断部材もまた、ゆえにこれらのスロット内で移動することが好ましい。昇降ギヤを使用して上昇及び下降させられる横断部材によって掴まれる、加工物も同様に運搬される。
【0061】
磨耗しそうな可動部品の全ての場所が、クリーンルームゾーンの外側に配置された主要部分用であるので、低清浄化空気消費量が低超過圧力(例えば大気圧に対し最大限5Pa、より好ましくは最大限10Pa、もっとも好ましくは最大限50Pa)において確実にされるので製造ラインが経済的に運転されることが確実となる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、クリーンルームゾーンの大きさは、それが処理タンクの全てにわたり同時に広がらない場合に低減される。このことは、処理タンクが処理中に閉じられ、投入・取出しのためだけに開かれる場合に可能となる。この場合、クリーンルームゾーンがまさに運転キャリッジだけに設けられれば十分である。このために、運転キャリッジは、頂部、前部、後部及び側部が閉じられているハウジングを備えている。底部において、ハウジングは少なくとも処理タンクが投入され、取出される間、開いている。しかしながら、ハウジングは、加工物がそこを通過する対応開口部を有する底部壁を備えていることが好ましい。再びこの場合、加工物を運搬する駆動装置の全ては、クリーンルームゾーンの外部に配置される。
【0063】
クリーンルームゾーンに適切な清浄化空気が供給されるようにするために、フィルタやファンのようなガス用の清浄化手段は、クリーンルームゾーンの上に配置される。ファンは、運搬キャリッジ上から未ろ過空気を引き込み、それを対応開口部を経てフィルタを通過させてクリーンルームゾーンに強制的に送る。このために、フィルタと一致する開口部が、頂部壁に設けられても良い。空気を導くとき、及び開口部を選択し、配置するときには、可能な限り層状の流れの達成が主要な関心事となるべきである。上から下方に流れる空気を支援するために、吸引手段が処理タンク上にも設けられ、前記吸引手段は槽内に発生した化学的蒸気の除去を同時に確実にする。
【0064】
頻繁に交換する必要のない清浄化空気を造る働きをするフィルタのために、事前に清浄化されたフレッシュエアを供給するための分配開口部を有するフレッシュエア用ダクトは、運搬キャリッジ上に直に取り付けられても良い。いったんハウジング付き運搬キャリッジがすでに処理された加工物を収集するか又は尚も処理されなければならない加工物を置くために処理ステーションに到達すると、運搬キャリッジは、ファンによってクリーンルームゾーンに供給された清浄化空気によってその直近の環境内の恐らく汚染された空気を交換するために処理タンク上で短期間留まる。次に、処理タンクのカバーが開かれ、処理済み加工物は入口開口部を通してクリーンルームゾーンのハウジング内に引き込まれるか又はタンク内に置かれる。
【0065】
処理タンクを充填するために、クリーンルームゾーン内の加工物は、処理タンクのカバーが開かれた後に入口開口部を通して下降されても良い。本発明のこの実施形態は、清浄化空気が極めて少量しか発生される必要がないという特定の利点をもたらす。
【0066】
清浄化空気を発生させ、このような清浄化された空気をクリーンルームゾーン内にもたらす上記規定は、処理タンク上に配置されたクリーンルームハウジングの固定配置に適用されも良い。
【0067】
上記の実施形態の全てにおいて、クリーンルームゾーンを追加的に密封し、問題の部品(例えば、昇降ピストン/シリンダシステムの昇降ロッド、フライトバー、横断部材)の通過時に脇に追いやられるだけである密封リップ又はブラシ列は、クリーンルームゾーンのハウジングの壁のスロットの片側又は両側に配置されても良い。このことは、高い費用を掛けてろ過されなければならない清浄化空気の消費量のさらなる削減に寄与する。
【0068】
移動ギヤと共に横方向に配置された運搬キャリッジの実施形態の特定の利益は、装置の全高が低いことにあるので、それも同様に天井の低い部屋に収容されても良い。
【0069】
処理が電解的であることになる場合、電流は、好ましくは従来の処理装置におけるようにフライトバーを介してではなく、加工物の縁部を掴む接触フレームを介するように槽内に固定して据え付けられた装置を介して加工物に供給されるのが好ましい。このような種類の接触フレームは、例えばDE−A10241619号明細書にさらに詳細に記載されており、この文書は参照することにより本書に含まれる。接触フレームは、加工物の実質的に反対側縁部で加工物と電気的に接触する接触片を含んでも良い。
【0070】
費用を低減するために、運搬キャリッジは、モジュラー式に製造されても良い。保守作業を可能にするために、窓がハウジング内の設備や必要な場合に処理タンクに速やか且つ容易にアクセスするためにクリーンルームゾーンのハウジング内に設けられても良い。
【0071】
加工物を化学的又は電解的に処理するための本発明の上記装置は、上下方向に運搬される化学的又は電解的メッキラインで使用されるのが好ましい。
【0072】
図面の全ては概略であり、実物大ではない。
【0073】
図を通して同部品を示すのに同参照記号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
図1は、加工物の表面を処理する従来形の装置を示す。このような種類の装置は、一列のタンクを形成するために前後に配置される一定数の処理タンク2から成る。タンクのその列に対し横方向にレール8が配置され、その上で移動モータ11によって駆動される移動ギヤ9付き運搬キャリッジ18が一方の処理タンクから他方に移動される。各運搬キャリッジは、昇降ビーム17を上昇及び下降させる横断部材に取り付けられた昇降ギヤ16を備えている。フライトバー(図示せず)は、前記フライトバーに取り付けられている加工物を保持するラックで又は加工物を直接締結するトングで昇降ビームに締結できる。昇降ギヤは、頂部に向かって開いている処理タンクから及び処理タンク内に加工物を上昇及び下降させる働きをする。
【0075】
図2は、本発明の装置の好ましい実施形態の前部断面図である。図2の底部において、それぞれが加工物1を包含する、横並びに配置された3つの処理タンク2が示されている。ここでは、加工物は把持要素14に締結される。数個の処理タンクが図1に示されるように、他の処理タンクは、3列のタンクが横並びで形成されるように図の面(図示せず)深くに広がる。加工物は、液面15より下になり、タンク内に収容された処理液で完全に覆われるように処理タンク内に下降させられる。その頂部において、処理タンクはクリーンルームゾーン3に隣接している。ゾーンは、ガス気密側壁4、前部壁(図示せず)及び頂部壁5から成るハウジングによって画定される。頂部壁は、タンクの列間で支えられた中間支持体6で支えられる。側壁、前部壁及び頂部壁はクリーンルーム3を外部からほとんど完全に密封する。底部において、壁は設けられないが、ハウジングは処理タンクで閉じられる。
【0076】
加工物1は、保護運搬容器(図3参照)の形で構成された投入・取出しステーション23によってクリーンルームゾーン3へ運ばれても良い。保護運搬容器は、加工物を汚染周囲空気から守ることを可能にする。加工物をクリーンルームゾーンに移動させるために、運搬容器は、処理タンクの傍らに押され、そこで加工物がコンベヤシステムによって運搬容器の閉鎖やハウジングの入口開口部/ロック24を経てクリーンルームゾーンに移動される前にそれはロックされる。
【0077】
運搬キャリッジ支持フレーム20と運搬キャリッジシャーシ9とを含む、運搬キャリッジ18(図2)は、クリーンルームゾーン3の横及び上に延びる。2つの運搬キャリッジは横断部材35で共に連結される。運搬キャリッジの移動方向はそれぞれ図の面に入り、それから出る。クリーンルームゾーンの両側に、運搬キャリッジシャーシに運搬キャリッジの移動を可能にするレールキャリヤ10及びレール8が設けられる。運搬キャリッジシャーシは、例えば運搬キャリッジシャーシを連結する軸43に動力を伝達する歯車ベルト19を介して、例えば動作駆動装置として採用される移動モータ11によって駆動される。
【0078】
垂直方向に可動でない、運搬キャリッジ18上の横断部材35は、クリーンルームゾーン3のハウジング上で移動される。昇降シリンダ12及び昇降ロッド13から成る、昇降ピストン/シリンダシステムはそれぞれ、横断部材を介して運搬キャリッジと連動される。昇降ロッドは、加工物1が上昇させられるとそれぞれの昇降シリンダの内部に収容される。把持要素14がその上に締結された昇降ロッドだけがクリーンルームゾーン内に突き出る。このために、昇降ロッドを通過させる貫通開口部7は頂部壁5に設けられる。ここでは、貫通開口部は、運搬キャリッジの移動方向に延びるスロットであるので水平スロットはハウジングの頂部壁に形成される。加工物が処理タンク2からクリーンルームゾーンに上昇させられた後、それらはクリーンルームゾーン内を一方の処理タンクから他方へ運ばれる。
【0079】
クリーンルームゾーン3内のクリーンルーム条件を維持するために、正規にろ過されたガス、例えば、圧縮空気が、ここでは図示されていないラインや接続を経由してクリーンルームゾーン内に超過圧力で常に吹き込まれる。この超過圧力で、不純物がもたらされた幾つかの狭い開口部を経てクリーンルームゾーンに達するのが防止されることが確実にされる。クリーンルームゾーンの内部に強すぎるガス運動が発生されるのを防ぐために、クリーンルームゾーンを通る均一な流れを確実にする分配管やノズルが設けられても良い。
【0080】
図3は、図2のA−A’で示された断面線と共に図2に示されるように本発明の装置の側面図を示す。様々な要素が図2を参照してすでに記述されているところについて、それらは図3を参照して再び記述しない。
【0081】
維持作業を可能にするために、窓22がクローンルームゾーンのハウジング内に設けられる。装置の右側に、保護運搬容器としてここでは示される、投入・取出しステーション23がある。それは車輪で移動されても良い。投入・取出しステーションの領域に、クリーンルームハウジングは底部壁も含む。この領域に、入口開口部/ロック24はクリーンルームゾーン3のハウジングに設けられ、さらに密閉部付きカバー(図示せず)は保護運搬容器に取り付けられ、これらは両方とも保護運搬容器がドックに収納された後に開かれても良い。次に、運搬キャリッジ18は、保護運搬容器の位置まで移動し、把持要素14で保護運搬容器内に収容された加工物1を掴み、それらを保護運搬容器から上昇させる。次に、加工物は、個々の処理タンク2に運ばれても良い。保護運搬容器は、投入・取出しが終了するまでクリーンルームゾーン内への密閉及び入口開口部を密封する。加工物が運搬容器から取り出されると直ちに、運搬容器の密閉部及びハウジング内の入口開口部が再び閉じられる(図示せず)。したがって、製造ショップ全体をクリーンルーム条件下に保つ必要はない。
【0082】
加工物1は昇降ロッド13によってクリーンルームゾーン内で上昇及び下降させられる。昇降ロッドは、圧縮空気によって横断部材35に配置された昇降シリンダ12内に押し返される。加工物は、それによって処理タンク2から、クリーンルームゾーン3内に上昇させられる。その後、運搬キャリッジ18は、他の処理タンクに移動し続け、加工物をそこで降下させる。把持要素14を開くことによって、加工物は設けられた経路ガイド(図示せず)内で解放され、置かれる。その後、運搬キャリッジは、他の処理タンクまで、又は保護容器23まで空で移動し、昇降シリンダ内の昇降ロッドは、他の処理タンク内に入れられた加工物と衝突しないように押し返される。
【0083】
清浄化されたガスは、連結タービン21を経由してクリーンルームゾーン3内に導入される。必要な配管は、図3に示されないフィルタ設備やファンに至る。クリーンルームゾーン内部での強い空気の動きを避けるために、ここでは図示されていない空気分配ラインが、運搬キャリッジの移動方向のクリーンルームゾーン内部に取り付けられても良い。
【0084】
加工物1が処理タンク内で電解的に処理されることになる場合、ここでは図示されず、それぞれのタンクに配置される接触フレームは、それらが処理タンク内に下降させられた後にその縁部で加工物を掴み、フレームに設けられた電気的接触によって、ここでも図示されない、電源にそれらを接触させる。
【0085】
加工物1が化学的に処理されることになる場合、それらは、例えばタンクの両側に取り付けられた溝状ガイド手段によって処理タンク2内の所定位置で保持される。
【0086】
図4は、図2と同様である本発明の装置の他の好ましい実施形態の正面図を示す。但しここでは、加工物1は、昇降ロッドや昇降シリンダを有する昇降ピストン/シリンダシステムを介して運ばれるのではなく、運搬キャリッジ18のそれぞれに取り付けられ、フライトバー25を移動させる2つの昇降ギヤ16によって運ばれる。加工物はフライトバーに締結される。
【0087】
本発明の装置のこの実施形態において、ハウジングの一部を形成する側壁4は、ハウジングの上部領域で互いに合流する複数の垂直スロット(垂直貫通開口部)26及び1本の水平スロット(水平貫通開口部)27を含む。それらの長さ及び位置に関し、側壁の垂直スロットは、昇降ギヤ16の昇降高さによって頂部及び底部において決まる。水平スロットは、運搬キャリッジ18の上昇位置及び移動距離の長さによって決まる。
【0088】
ここでは、移動ギヤ9は、それぞれ1つの移動モータ11によって駆動されるので、軸(参照番号43で図2に示された)は省略される。両側で、移動ギヤは、レールキャリヤ10に締結されるレール8上を走行する。他方で前記レールキャリヤは、脚によってショップの床に支えられる。
【0089】
加工物1は、保持手段44によってフライトバー25に締結される。把持要素と同じように、保持要素は、例えばクランプ又はクランプねじとなるように構成されても良い。いずれかの端部において、フライトバーはクリーンルームゾーン3から突き出て、クリーンルームゾーンの外側の運搬キャリッジ18に設けられたキャリヤアーム33上に載る。キャリヤアームは昇降ギヤ16のガイド片32で終わるので、フライトバー25が昇降ギヤによって上下に移動するようにされても良い。
【0090】
加工物1は、昇降ギヤ16内の昇降ベルトドラム30に巻き上がる昇降ベルト31によって上昇させられても良い。昇降ベルトドラムへの駆動軸と連結される昇降モータ29は、巻き上げる及び巻き出す働きをする。いったんフライトバー25が上部位置に達すると、すなわち、いったん加工物が処理タンクから、クリーンルームゾーン3内に完全に上昇させられると、加工物は処理シーケンスにしたがって次処理タンク2に移動ギヤ9を介して移動モータ11によって運ばれる。
【0091】
いったん保持位置がそこで達せられると、昇降ギヤ16はフライトバー25を加工物1と共に下降させる。フライトバーは経路ガイド(図示せず)内に配置される。処理時間の終了時に、運搬キャリッジ18は再び上述のようにフライトバーをピックアップしてそれを次処理タンク2に運ぶ。
【0092】
上昇中、側壁4を突き出るフライトバーの両端は、垂直スロット26内を移動するが、移動運動中、それらは水平スロット27内を移動する。互いに対し運搬キャリッジ18を支える、追加的に設けられたX字筋違い34もまた水平スロット内で案内されても良い。
【0093】
図5は、破線で示された(図の面の背後に位置する半分を示す)コンベヤシステムと共に図4の実施形態と同様の本発明の装置の他の実施形態の側部断面図を示す。図5の右側部分は、投入・取出しステーション23及び入口開口部/ロック24を示す。垂直スロット26は、クリーンルームハウジングに形成された入口開口部24まで直接延びている。
【0094】
部分断面の処理タンク2上に、図の面に延びるフライトバー25が見える。加工物1はフライトバーに吊り下げられる。その前方端及び後方端において、フライトバーは、クリーンルームゾーン3の外側の側壁4に形成された垂直スロット26を突き出る。フライトバーを保持する収容装置45は、フライトバーの下に示されている。明確化のためにここでは図示されなかった運搬キャリッジのキャリヤアームが上昇されると、保持手段44によって保持された加工物1と共にフライトバーは垂直スロット内を上部位置まで上方に移動する。この位置で、フライトバーの両端部は、そこで互いに合流する垂直及び水平スロット27内に同時に位置する。図4を参照して記載されたように、フライトバーの両端部が水平スロット内を水平方向に案内された状態で、加工物が次処理タンクへ運ばれても良い。
【0095】
図5の中央部分は、上昇及び下降され、運搬キャリッジ18と連動される横断部材35を有する代わりの実施形態を示す。フライトバー25の代わりに、それは、加工物1を上部移動位置に運ぶ横断部材を示し、前記横断部材は運搬キャリッジの両側で案内され、その上に取り付けられた加工物用の把持要素14を有する。フライトバーと対照的に、横断部材は、それが運搬キャリッジに強固に連結されるので、処理タンク2において降ろされない。加工物は、側壁4を通過して外部に突き出る横断部材上の処理タンクの上に配置される。この上昇位置において、横断部材は、運搬キャリッジの移動方向の右及び左へ水平スロット27内で自在に移動できる。さらに、2つのX字筋違い34が示されており、それらによってタンクの列の2つの長手側に配置された2つのそのような運搬キャリッジが追加的に相互に安定化される。X字筋違いは、突出横断部材の方向に見て、水平スロットの右側及び左側に案内される。このスロット内で、それらは、左及び右に移動することも自在である。水平スロット長の寸法を決めるために、運搬キャリッジのX字筋違いが外部処理タンクにおける水平スロット内で必要な追加的運動範囲が考慮に入れられなければならない。横断部材が昇降ギヤ(ここでは図示せず)の両側に締結され、クリーンルームゾーン3を通り、さらに側壁4を通って延びると、運搬キャリッジは、横断部材が水平スロットの内部の上部位置にあるときだけ移動することが許可される。このことは、特に運搬キャリッジが空走行し、何も加工物を運搬しないときに当てはまる。
【0096】
図6及び7は、本発明による加工物をクリーンルーム条件下で化学的及び電解的に処理する装置の好ましい実施形態を示し、図6は図4及び5と同様の実施形態の側面図を示す。図5と対照的に、この図におけるクリーンルームゾーン3は、1つの処理タンク2にわたるか、又は横並びに配置された3つの処理タンクにわたり広がるだけであり、1つ又は複数のタンク列にわたって広がらない。この場合、クリーンルームゾーンは、運搬キャリッジ18と関連付けられ、これらと共に一方の処理タンク2から他方に移動する。追加的に、運搬キャリッジは、X字筋違い34によって相互に安定化される。図7は図6に示されるように装置の正面図を示す。
【0097】
この例示的な実施形態において、処理タンク2はカバー41(例えばスライドカバー)を備えている。加工物用の開口部、例えば、入口スロット(図示せず)は、例えばカバーを滑動させることによって閉じられても良い。
【0098】
クリーンルームゾーン3に加え、処理タンク2は、僅かな超過圧力で圧縮され、ここでは例示されていない配管や接続管を介して供給されたろ過済みガスで加圧されても良い。その結果、加工物1用の処理タンクの上に形成された狭い入口スロットは、必要なときに、処理中開いたままにすることもできる。クリーンルームゾーンは、垂直スロット26を有する側壁4で、及び頂部壁5及び底部壁42で形成される。底部壁は、処理タンクのカバー41と反対に配置された1つ又は複数の貫通開口部、例えば入口開口部(図示せず)を含む。加工物は図4及び5において説明されたように運ばれる。
【0099】
図6の左の部分は、液高さ15まで処理液が満たされ、保持手段44を装備したフライトバー25で保持された加工物1を収容する断面状処理タンク2を示す。フライトバーは、処理タンク上に設けられた収容装置45の上に載り、ピックアップされ、さらにキャリアアーム(図示せず)によって運搬キャリッジで運搬される。処理タンク内のクリーンルーム条件を維持するために、処理タンクのカバー41内の加工物用の開口部は、処理液や加工物の汚染を防止するために処理中や、操作休止中には閉じられていることが好ましい。追加的に、処理タンクをその頂部から流出する蒸気を吸う吸引チャネルが設けられても良い(図示せず)。
【0100】
クリーンルームゾーン3内のクリーンルーム条件は、運搬キャリッジの上に配置されるフレッシュエア供給源によってもたらされる。このために、供給源は、頂部壁5に吸引開口部39を有するアセンブリを有し、それを通して、空気フィルタでろ過された空気がファン37及び空気フィルタハウジング36によって流入開口部40を経由してクリーンルームゾーン内に強制的に送られる。流出開口部38を有するフレッシュエアダクトは、運転キャリッジ18の停止位置におけるその通路の上に追加的に設けられても良い。開口部38は、運搬キャリッジがその停止位置で停止すると開くバルブフラップを備えても良い(図7)。流出開口部38を有するフレッシュエアのダクトとファンの吸引開口部39との間の距離は、汚染された二次空気が吸い込まれることを防ぐために限りなく小さくなるように選ばれるべきである。
【0101】
頂部から底部への層状空気流は、クリーンルームゾーン3のハウジングのフィルタハウジング36内及び頂部壁5内で同時に起こるように多数の開口部40が配置される結果としてクリーンルームゾーンの内部で発生される。清浄化空気は、それによってタンクカバー41とハウジングの底部壁42との間の空間ならびに側壁4に形成された垂直スロット26から流出しても良い。処理タンク2が吸引手段を備えている場合、そこで吹き込まれた清浄化空気の主要部分は、吸引チャネルを経由して排出される。クリーンルームゾーン環境に対するクリーンルームゾーン内の超過圧力は、未ろ過空気がクリーンルームゾーンに侵入するのを防ぐ。この場合もまた、加工物を運搬するための全ての駆動装置及び昇降ギヤは、クリーンルームゾーンの外部に配置される。密閉処理タンク2内の空気の質をさらに改良するために、ろ過清浄化空気は、上述のように処理タンクの頂上部分(液面高さより上の)に吹き込まれても良く、僅かな超過圧力は大気圧(図6及び7において;図示せず)に対して確立される。必要なときに追加的にもたらされるガスを排出する吸引チャネルは、超過圧力の結果として処理タンクから出て来るガスを収集するために処理タンクのカバー41の傍に取り付けられる。このことは、潜在的に有害な蒸気が処理タンクからルームに発散するのを防ぐ。
【0102】
ここに記述された例や実施形態は、例示だけを目的としたものであり、様々な修正や変更ならびにこの出願書に記載の特徴の組み合わせが、当業者に示唆され、さらに記載の発明の精神及び範囲内、さらに添付請求項の範囲内に包含されることは理解される。ここに挙げられた全ての公告、特許及び特許出願はこれにより参照することによって本書の一部と見なされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】従来技術の装置を示す。
【図2】図3の断面線A−A’についての本発明の装置の好ましい実施形態の正面図である。
【図3】図2の装置の側面図である。
【図4】図2と同様の本発明の装置の他の好ましい実施形態の前部断面図である。
【図5】破線で示されたコンベヤシステムと共に図4の実施形態と同様の本発明の装置の他の実施形態の側部断面図である。
【図6】図5と同様の本発明の特に好ましい実施形態の側部断面図である。
【図7】図6に示されるような本発明の装置の正面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 加工物
2 処理タンク
3 クリーンルームゾーン
4 壁、側壁
5 頂部壁
6 クリーンルームハウジングの頂部壁5の中間支持部
7 クリーンルームハウジングの頂部壁5の貫通開口部
8 運搬キャリッジレール
9 運搬キャリッジシャーシ
10 レールキャリヤ
11 移動モータ
12 昇降シリンダ
13 昇降ロッド
14 加工物1用の把持要素
15 液面高さ
16 昇降ギヤ
17 昇降ビーム
18 運搬キャリッジ
19 歯車ベルト
20 運搬キャリッジ支持フレーム
21 清浄化空気又はガス供給用連結管
22 保守用の窓
23 投入・取出しステーション(保護運搬容器)
24 入口開口部/ロック
25 フライトバー
26 垂直貫通開口部/垂直スロット
27 水平貫通開口部/水平スロット
29 昇降モータ
30 昇降ベルトドラム
31 昇降ベルト
32 ガイド片
33 フライトバー25用のキャリヤアーム
34 X字筋違い
35 横断部材
36 エアフィルタ付きエアフィルタハウジング
37 ファン
38 流出開口部付きフレッシュエアダクト
39 吸引開口部
40 流入開口部
41 カバー
42 底部壁
43 軸
44 保持手段
45 収容装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(1)を化学的又は電解的に処理する装置であって、加工物を処理するための少なくとも1つの処理タンク(2)と、加工物を運搬するための少なくとも1つのコンベヤシステムとを備えて構成され、上記少なくとも1つの処理タンクは、少なくとも1つのクリーンルームゾーン(3)と隣接しているので加工物は上記少なくとも1つのコンベヤシステムを利用して前記少なくとも1つのクリーンルームゾーンを通って運ばれること、さらに上記少なくとも1つのクリーンルームゾーン内に超過圧力を確立する手段を備える、装置。
【請求項2】
各コンベヤシステムが運搬キャリッジ(18)を有し、さらに該運搬キャリッジが上記クリーンルームゾーン(3)の外部に配される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記運搬キャリッジ(18)がそれぞれ動作駆動装置(11)と運搬キャリッジシャーシ(9)とを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記運搬キャリッジ(18)がそれぞれ昇降ギヤ(16)を有する、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
上記運搬キャリッジ(18)がそれぞれ、フライトバー(25)を保持するための垂直方向可動収容装置(33)を有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
上記少なくとも1つのコンベヤシステムが、加工物(1)を保持するための少なくとも1つの個別の保持要素を有し、前記少なくとも1つの保持要素が少なくとも実質的に上記クリーンルームゾーン(3)の内部に配される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの保持要素が把持要素(14)及びフライトバー(25)を有する群から選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記運搬キャリッジ(18)と上記少なくとも1つの保持要素との間に、クリーンルームゾーン(3)の内部、外部又は部分的的に内部で且つ部分的に外部に配置される少なくとも1つの連結手段が設けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの連結手段が横断部材(35)と昇降機構(12、13)とを有する群から選択される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
横断部材(35)が運搬キャリッジ(18)によって保持される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
横断部材(35)が個別の昇降ギヤ(16)によって保持される、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
昇降機構(12、13)が横断部材(35)によって保持される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
昇降機構が昇降ピストン/シリンダシステム(12、13)である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
クリーンルームゾーン(3)は、それぞれが少なくとも1つの貫通開口部(7、24、26、27)を有する少なくとも1つのクリーンルームハウジングによって空間的に画定され、前記少なくとも1つのクリーンルームハウジングは、清浄化ガスが供給されることで加圧可能である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの貫通開口部(7、24、26、27)がブラシ又は密封リップで密封される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
横断部材(35)が実質的にクリーンルームゾーン(3)の内部に配置され、少なくとも1つのハウジング内の少なくとも1つの貫通開口部(26、27)を通される、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
昇降機構が一部をクリーンルームゾーン(3)の内部且つ一部を外部に配置され、少なくとも1つのクリーンルームハウジング内の少なくとも1つの貫通開口部(7)を通される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
フライトバー(25)が少なくとも1つのハウジング内の少なくとも1つの貫通開口部(26、27)を通される、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの投入・取出しステーション(23)があり、そこから加工物(1)が少なくとも1つのクリーンルームハウジング内に形成された個別の入口開口部(24)を通してクリーンルームゾーン(3)内に移動させられる、請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
クリーンルームゾーン(3)を空間的に画定する1つのクリーンルームハウジングが1つ又は2つの運搬キャリッジ(18)と連動させられ、運搬キャリッジと共に一方の処理タンク(2)から他方に移動可能である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
カバーを備えた加工物(1)用の入口開口部が少なくとも1つの処理タンク(2)に設けられる、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
カバー(41)がタンク(2)の内部を大気から遮断するために密閉可能であり、超過圧力で清浄化ガスを少なくとも1つの処理タンク(2)に供給するための装置が設けられる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
ガスを清浄化するための清浄化手段(36、37)が運搬キャリッジ(18)上に配される、請求項14〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
化学的又は電解的にめっきする垂直搬送ラインで化学的又は電解的に加工物(1)を処理するために請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置を使用する方法。
【請求項25】
処理液を収容する少なくとも1つの処理タンク(2)内で加工物(1)を化学的又は電解的に処理する方法であって、前記方法は、加工物を一方の処理タンクから他方へ運搬する間、クリーンルームゾーン(3)内に加工物を保持し、クリーンルームゾーン内に超過圧力を確立することを有する、方法。
【請求項26】
クリーンルームゾーン(3)は、それぞれが少なくとも1つの貫通開口部(7、24、26、27)を有し且つ清浄化ガスが供給されることによって加圧される少なくとも1つのクリーンルームハウジングによって空間的に画定されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
加工物(1)が、それぞれが運搬キャリッジ(18)を有する少なくとも1つのコンベヤシステムによってクリーンルームゾーン(3)内で移動され、前記運搬キャリッジがクリーンルームゾーンの外部に配される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
加工物(1)が、少なくとも実質的にクリーンルームゾーン(3)の内部に配されている少なくとも1つの保持要素によって保持される、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
加工物(1)用の把持要素(14)及びフライトバー(25)を有する群から選択される少なくとも1つの保持要素が設けられる、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−504441(P2008−504441A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518554(P2007−518554)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007196
【国際公開番号】WO2006/002969
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(597075328)アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (33)
【Fターム(参考)】