説明

化学的硬化固定用の充填組成物

【課題】気密性容器内においても、また光の存在下においても、化学的硬化固定用の充填組成物の充分に長い貯蔵安定性を保証し得る、またセメントを含有する特殊な実施態様においても禁止剤作用が阻害されない禁止剤を提供すること。
【解決手段】(I)0.0005から2重量%のピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルニトロオキシドを禁止剤として含有する、フリーラジカル硬化性の反応性合成樹脂と、(II)空間的にこれと隔離されて存在する硬化剤とを含有する、アンカーボルト、ねじ刻設中空管状体、螺杆などを穿孔中において化学的に固定するための充填組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、岩石などの基盤に形成された穿孔中に、アンカーボルト、ねじ刻設中空管体、螺杆などを化学的に固定するための、充填組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的硬化固定を行うための結合剤として、反応性合成樹脂組成物を使用することは周知である。この反応性樹脂組成物は、2組成分混合物であって、例えば一方の組成物は反応性合成樹脂であり、他方の組成分は硬化剤である。これら組成分の一方または両方は、その他の慣用組成分、例えば充填剤、促進剤、安定剤、溶媒(反応性溶媒、すなわち溶媒作用し得るコモノマーを含む)を含有していてもよい。両組成分の混合により、フリーラジカルが形成され、合成樹脂を熱硬化させる反応が開始される。
【0003】
コンクリート、堅固な岩石などの基盤に、例えばドリルにより形成された穿孔中に在るアンカーボルトを固定するために、両組成分を隔離状態において収納する2劃室から成るカプセルないしカートリッジを使用するのが一般的である(例えばヨーロッパ特願公開150555号公報参照)。このカプセル自体は、褐色ガラスから形成されるのが好ましいが、また対紫外線安定化フィルム、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、またはこれに類する複合材料製のフィルムから形成されたカプセルを使用することもできる。このようなカプセルを、まず穿孔中に挿入し、次いで回転推進装置により、破壊用部材を穿孔中に導入、推進し、カプセル、その両劃室を破砕する。これにより両組成分が混合され、反応が開始する。硬化される合成樹脂組成物は横方向に膨張圧力を及ぼすことなく、基盤内に侵入する力を誘起し得る。このようなアンカー固定は、厳しい条件が附された固定用にことに適する。
【0004】
2劃室カートリッジは、多孔質の、または空洞を有する基盤、例えば発泡コンクリート、キャビティーブロックにおけるアンカー固定、中実の岩石、ブリックにおけるアンカー固定にも使用され得る(例えば西独特願公開3617702号公開公報参照)。充填組成物の両組成分は、また適当な手段、例えば螺杆により、カートリッジから同時に駆出され、穿孔中に圧入され得る。次いで直ちに、任意、適宜の横断面形状を有するアンカー固定部材が穿孔中に挿入され、合成樹脂の硬化と共に穿孔中に固定される。あるいはまた、内周面にねじが刻設されている中空管体がまず穿孔中に挿入され、合成樹脂の硬化により固定され、次いでボルトをねじ込むこともできる。またキャビティブリックの場合、プラスチックないし金属製の、網目を有する中空管体を穿孔中に挿入し、次いで2劃室カートリッジから樹脂組成物をその中に圧入し、次いで内周面にねじが刻設されている中空管体を圧入して、充填組成物を網目中空管体の網目からその周囲に押出し、その固化により強固なアンカー固定をもたらすこともできる。
【0005】
リジプス(Rigips)板背面に、または空洞れんが内にアンカー固定を行う場合、これに使用されるカートリッジは、例えばヨーロッパ特願公開338983号公報に記載されているような発泡性接着組成物を収納している。この充填組成物の一方の組成分は、無機炭酸塩、例えばチョークから成り、他方の組成分はポリアクリル酸、燐酸のような酸から成る。穿孔中には、まず内周面にねじが刻設された中空管体または多孔性中空管体が挿入され、これに発泡性組成物が圧入される。その両組成分が混合すると、CO2が発生して充填組成物を発泡させて空間部分を充満させ、あるいは板体背面にマッシュルーム状アンカーを形成し、充填組成物の硬化によりアンカー固定が行われる。
【0006】
このような化学的アンカー固定用に適する反応性合成樹脂は、例えばヨーロッパ特願公開150555号、199671号、508183号、534201号各公報に記載されているような、ビニルエステル、ビニルエステルウレタン樹脂である。これら合成樹脂は、過早の硬化を阻止し、これに対する安定化のための禁止剤、例えばヒドロキノン、置換ヒドロキノン、ベンゾキノン、t−ブチルピロカテコール、フェノチアジンを慣用的に含有する。しかしながら、これらの禁止剤は、樹脂中に混在する僅かな酸素の存在下において、その貯蔵安定期間を数か月にさせる。樹脂組成物を空気の不存在下に貯蔵するならば、反応は数日間で開始される。この理由から、充填組成物の一方の組成分である合成樹脂は、空気と接触するような状態で容器中に収納されていた。しかしながら、気密性容器の方がより強固であり、また製造もより簡単である。
【0007】
なお化学的硬化によるアンカー固定の特殊な実施態様が、西独特願公開4231161号公報に記載されている。この公知技術において、反応性合成樹脂組成分は、附加的にさらに水硬性の、もしくは重縮合性組成分を、また硬化剤は附加的にさらに水を含有する。しかるに、慣用のフェノール性禁止剤の作用は、このアルカリ性セメントにより阻害される。このために合成樹脂は過早に硬化し、従って両組成分が混合された時に生起する実際の硬化は非均斉的に行われ、不満足な硬化部分がアンカー固定部分中に生起する。その結果、当然にアンカーボルトの引き抜き抵抗は悪化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この分野の技術的課題ないし本発明の目的は、気密性容器内においても、また光の存在下においても、化学的硬化固定用の充填組成物の充分に長い貯蔵安定性を保証し得る、またセメントを含有する特殊な実施態様においても禁止剤作用が阻害されない禁止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに、上述の課題ないし目的は、禁止剤として、ピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルニトロオキシドを使用することにより解決ないし達成され得ることが本発明者らにより見出された。
【0010】
すなわち、本発明によりI.0.0005から2重量%のピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルニトロオキシドを禁止剤として含有する、フリーラジカル硬化性の反応性合成樹脂と、II.空間的にこれと隔離されて存在する合成樹脂用硬化剤とを含有する、アンカーボルト、ねじ刻設中空管状体、螺杆などを、穿孔中において化学的に固定するための充填組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
適当な反応性合成樹脂としては、ビニルエステル樹脂、ビニルエステルウレタン樹脂が使用される。
【0012】
(1)非置換ビニルエステル樹脂(エポキシアクリラート)は、ポリエポキシドと、不飽和モノカルボン酸、ことにメタクリル酸との付加生成物である。このような樹脂は、例えば米国特許3066112号および同3179623号明細書に記載されており、ことにビスフェノールAを基礎とするビニルエステル樹脂が好ましい。これは高い靭性と良好な化学品耐性と共に限定された熱耐性を兼備する。これに対して、米国特許3256226号明細書に記載されているような、エポキシノボラック樹脂と、(メタ)アクリル酸から得られるビニルエステル樹脂は、高い熱耐性を有するが、靭性は低い。
【0013】
この種のビニルエステル樹脂の特徴は、以下の基を有することである。
【0014】
【化1】


ただし、式中のRはHまたはCH3を意味する。
【0015】
このビニルエステル樹脂の他の類形は、アルコキシル化されていてもよいビスフェノールAと(メタ)アクリル酸とのエステル化生成物であって、これはヨーロッパ特願公開534201号公報に記載されている。
【0016】
(2)不飽和ビニルエステルウレタン樹脂(ウレタンアクリラート)は、一般的に下記の基を有する。
【0017】
【化2】


ただし、式中のRはHまたはCH3を意味する。
【0018】
【化3】


ただし、R2は炭素原子数4から40の脂肪族、芳香族または脂環式基、ことに炭素原子数6から20の芳香族基を意味する。
【0019】
さらに選択的に以下の基を有する。
【0020】
(c) −O−R3−O−
ただし、R3は炭素原子数2から100の脂肪族、脂環式または芳香族基を意味する。
【0021】
好ましいビニルエステルウレタン樹脂は、イソシアナートの(アルコール+アミン)に対する重量割合が100:0から100:300、反応生成物中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの遊離イソシアナート基に対する当量割合が3:1から1:2である、多官能性イソシアナート、選択的な多価アルコール、選択的な多価アミンおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの反応生成物である。
【0022】
反応性樹脂は、10から80重量%、ことに30から60重量%のコモノマーを重合含有する。
【0023】
好ましいコモノマーは、2−エチルヘキシルメタクリラート、フェニルエチルメタクリラート、テトラヒドロフルフリルメタクリラート、エチルトリグリコールメタクリラート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリラート、1,4−ブタンジオールジメタクリラート、アセトカルボキシアルキルメタクリラート、アセトアセトキシエチルメタクリラート、1,2−エタンジオールジメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリラート、トリメチルシクロヘキシルメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、2−ヒドロキシルエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、ジシクロペンチルオキシエチルメタクリラートのようなメタクリル酸エステルである。ことにブタンジオールジメタクリラートが好ましい。
【0024】
アクリル酸エステルは、一般的に皮膚刺激作用を有し、加水分解耐性が低いので余り好ましくない。
【0025】
原則として、他の慣用のコモノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、アルキル化スチレン、例えばt−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、アリル化合物を単独で、あるいはメタクリル酸エステルと混合して使用し得る。
【0026】
本発明による充填組成物は、禁止剤として、0.0005から2重量%、ことに0.1から1重量%のピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルニトリキシドを含有する。これらは、以下の式
【0027】
【化4】


で表され、式中のE1、E3が相互に関係なく、それぞれC1−C5アルキルまたはフェニルを、E2、E4が相互に関係なく、それぞれC1−C5アルキルを意味し、あるいはE1とE2が、またはE2とE4が合体してテトラメチレンまたはペンタメチレンを形成し、Tが窒素原子または2個の3級炭素原子と合体して、置換もしくは非置換の5員もしくは6員環を形成する2価の基を意味するニトロキシル(ニトロキシド遊離基)である。
【0028】
ことに4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシが好ましい。
【0029】
好ましい実施態様において充填組成物は、0.005から2重量%、ことに0.05から1重量%の慣用の禁止剤、ことにフェノール、キノリンまたはフェノチアジン、例えば2,6−t−ブチル−p−クレゾールを追加的に含有する。
【0030】
反応性合成樹脂のための補強充填材として、石英、ガラス、コランダム、陶土、石器粘土、パライト、ライトスパー、石膏、タルク、チョークなどが使用され得る。これら充填剤は、粉末状、粒状、特定形状体(筒体、球体)で、樹脂溶液および/または硬化剤(開始剤)と混合される。充填剤はまた繊維状(繊維充填剤)でも使用され得る。ことに補強作用が強く、好ましいのは球状体である。
【0031】
過酸化物硬化剤は、従来から促進剤と共に使用されており、これは空間的に樹脂と共に、すなわち硬化剤と隔離されるのが好ましい。適当な促進剤は、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような芳香族アミン、N,N−ジイソプロパノールパラトルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−キシリジン、−トルイジンのようなトルイジン、キシリジン、さらにはコバルト、マンガン、錫、セリウムの塩、例えばコバルトオクトアートまたはナフテナートである。
【0032】
反応性樹脂は、23℃において30から5000mPa・sの範囲の粘度を示すのが好ましい。
【0033】
本発明の充填組成物において、硬化剤は空間的に樹脂と隔離して収納される。好ましい硬化剤は、貯蔵安定性の良い有機過酸化物であって、ジベンゾイル過酸化物、メチルエチルケトン過酸化物、さらにはt−ブチルペルベンゾアート、シクロヘキサノン過酸化物、ラウロイル過酸化物、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノアートがことに好ましい。これら過酸化物は、反応性樹脂に対して、0.5から10重量%、ことに3から7重量%の量で使用するのが好ましい。
【0034】
硬化剤は石英砂のような不活性充填剤と混和し、鈍感化して使用されるのが好ましい。
【0035】
本発明のことに好ましい実施態様において、組成分Iは、反応性樹脂のほかに、追加的に水硬性の、または重縮合し得る無機化合物、ことにセメントを含有し、組成分IIは、硬化剤のほかに、追加的に水を含有する。このような充填組成物は、西独特願公開4231161号公報に詳細に記載されている。
【0036】
本発明充填組成物用容器としては、慣用の2劃室カプセルが使用される。好ましいのは慣用のガラス製カプセルである。両組成分混合の過程において細かく粉砕され、次いで硬化される結合剤マトリックス中に埋没して補強作用するからである。例えば西独特願公開3929603.2公報に記載されているような、セラミック材料から成る多劃室カプセル、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタラートまたは積層材料のシートから形成されたカプセルも使用され得る。
【0037】
ことに好ましいのは、2劃室カートリッジであって、大きい方の劃室には樹脂が装填され、小さい方の劃室には硬化剤が収納される形式のものである。いずれも充填剤が混合される。発泡性、接着性組成物の場合には、樹脂組成分に炭酸塩を添加し、酸組成分は硬化剤と共に同じ劃室内に、または別の劃室内に収納されるのが有利である。
【0038】
反応性樹脂は、本発明禁止剤と共に、何ら特別の手段を講ずることなく、化学的アンカー固定作業に使用され得る。これによりもたらされるアンカー固定体は、良好な亀裂伝播特性、低い容積収縮性、良好な加水分解耐性、良好な耐熱性、さらには鉱物質材料、例えばコンクリート、天然岩石、さらには発泡ブロック、多孔質ブロックに対しても良好な接着性を示す。本発明による充填組成物は、ことに雰囲気酸素から完全に遮断されても、極めて良好な安定貯蔵性を示す点において特徴的である。さらに本発明による禁止剤を含有する充填組成物は、均斉に硬化し得る。
【実施例】
【0039】
実験例1a(実施例)
ジフェニルメタンジイソシアナート異性体混合物300gを、ジブチル錫ジラウラート1ミリリットルと混合し、これに37gのジプロピレングリコールを40℃において、滴下添加した。この混合物を1時間攪拌した後、これに280gのヒドロキシプロピルメタクリラートを滴下添加し、反応温度は80℃に上昇した。次いで90℃においてこの混合物を攪拌し、残存イソシアナート分が0.01%以下になるまでこれを継続した(100℃における溶融粘度約750mPa・s)。禁止剤として6.7gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシおよび2.7gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを樹脂に添加し、さらに反応希釈剤として、535gの1,4−ブタンジオールジメタクリラートおよび133gのアセトアセトキシエチルメタクリラートを添加した。さらに芳香族アミンを添加してゲル化時間を約3.5分に調整した。生成樹脂は約250mPa・sの粘度を示した。昼光下、約80℃において、空気遮断下に貯蔵し、3週間を経過してもなお樹脂は安定であった。Heraeus社のSuntestCPSPlusを使用した光線下貯蔵テストにおいても、試料は3週間にわたり安定性を維持した。
【0040】
実験例1b(対比例)
禁止剤として、5.1gのt−ブチルピロカテコールおよび0.13gのフェノチアジンを使用したほかは、実施例1aと同様の処理を反覆した。空気の遮断下、80℃においてこの樹脂を貯蔵したところ、わずか5時間でゲル化した。Suntestを使用してテストしたところ、同じ試料は3時間でゲル化した。
【0041】
実験例2(実施例)
1286gの4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナートを基礎とするジイソシアナートプレポリマー1475gを、40℃において1320gのスチレンに溶解させた。これに1.3ミリリットルのジブチル錫ジラウラートを添加し、次いで125gのジプロピレングリコールと74gのポリプロピレングリコール(OH価250)を滴下添加した。発熱反応終結後、反応混合物を1時間攪拌し、次いで1195gのヒドロキシプロピルメタクリラートを滴下添加した。添加終結後、さらに1.3ミリリットルのジブチル錫ジラウラートを添加して、残存イソシアナート分が0.01%以下となるまで、80℃で攪拌した。樹脂に禁止剤として16.8gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシを添加した。さらに、芳香族アミンを添加してゲル化時間を3.5分にした。樹脂は約460mPa・sの粘度を示した。
【0042】
実験例3(実施例)
300gのビスフェノールAジグリシジル(シェル社のSpikote828)に、1.3gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールおよび0.36gのジメチルペンジルアミンを添加し、次いでこれに85℃において136gのメタクリル酸を滴下添加し、内部温度は110℃に上昇した。これを大気下において、酸価が1.5単位以下の転換値に達するまで攪拌した。次いで樹脂に、禁止剤として3.4gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシを添加し、さらに170gの1,4−ブタンジオールジメタクリラートおよび68gのアセトアセトオキシエチルメタクリラートを反応希釈剤として添加した。さらに芳香族アミンを添加して、ゲル化時間を3.5分に調整した。
【0043】
実験例4(実施例)
ほとんどビスエトキシル化されたビスフェノールAとメタクリル酸のエステル化生成物1000gを50℃に加熱し、得られた樹脂に、禁止剤として、5gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシを添加し、芳香族アミンを添加してゲル化時間を約3.5分に調整した。樹脂は約1600mPa・sの粘度を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)0.0005から2重量%のピペリジニルまたはテトラヒドロピロリルニトロオキシドを禁止剤として含有する、フリーラジカル硬化性の反応性合成樹脂と、
(II)空間的にこれと隔離されて存在する硬化剤とを含有する、アンカーボルト、ねじ刻設中空管状体、螺杆などを穿孔中において化学的に固定するための充填組成物。
【請求項2】
反応性樹脂が、コモノマーとしてメタクリル酸エステルを重合含有する、請求項1記載の充填組成物。
【請求項3】
反応性樹脂が、硬化剤用促進剤、ことに有機3級アミンを含有する、請求項1記載の充填組成物。
【請求項4】
反応性樹脂が、追加的に慣用の禁止剤を含有する、請求項1記載の充填組成物。
【請求項5】
反応性樹脂が、追加的にフェノール、キノリンまたはフェノチアジンを含有する、請求項4記載の充填組成物。
【請求項6】
反応性樹脂に対して0.5から10重量%の量で、硬化剤として、有機過酸化物が使用されている、請求項1記載の充填組成物。
【請求項7】
組成分(I)が、樹脂のほかに追加的に水硬性のもしくは重縮合し得る無機化合物を、組成分(II)が、硬化剤のほかに追加的に水をそれぞれ含有する、請求項1記載の充填組成物。
【請求項8】
2個もしくはそれより多い、相互に隔離された劃室を有し、それぞれ樹脂と硬化剤を収納している、請求項1記載の充填組成物を収納しているカプセル、カートリッジあるいはフィルムバッグ。

【公開番号】特開2007−197730(P2007−197730A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24535(P2007−24535)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【分割の表示】特願平8−226536の分割
【原出願日】平成8年8月28日(1996.8.28)
【出願人】(597042973)デー・エス・エム・レジンス・ベスローテン・フエンノートシヤツプ (1)
【Fターム(参考)】