化粧カバー及び化粧カバー構造
【課題】施行現場での作業性を高めながら第1被取付け面から第3被取付け面までの段差に対する適用範囲を拡大する。
【解決手段】出隅部を構成する二つの第1・第2被取付け面の少なくとも一方に固定される第1取付け基材2と、入隅部を構成する二つの第2・第3被取付け面の少なくとも一方に固定される第2取付け基材3と、第1取付け基材2との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第1取付け基材2に外方側から脱着可能に取付けられる第1カバー4と、第2取付け基材3との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第2取付け基材3に外方側から脱着可能に取付けられる第2カバー5とが備えられ、第1カバー4と第2カバー5との相対向する接続端部の少なくとも一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバー4に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6が形成されている。
【解決手段】出隅部を構成する二つの第1・第2被取付け面の少なくとも一方に固定される第1取付け基材2と、入隅部を構成する二つの第2・第3被取付け面の少なくとも一方に固定される第2取付け基材3と、第1取付け基材2との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第1取付け基材2に外方側から脱着可能に取付けられる第1カバー4と、第2取付け基材3との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第2取付け基材3に外方側から脱着可能に取付けられる第2カバー5とが備えられ、第1カバー4と第2カバー5との相対向する接続端部の少なくとも一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバー4に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物の壁面に沿って配設される冷媒管やドレン管、ケーブル等の長尺体を覆う化粧カバーで、詳しくは、交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化粧カバーでは、前記出隅部を構成する第1・第2被取付け面に固定される第1取付け基材と、出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で前記第1取付け基材に脱着可能に取付けられる第1カバーとをもって出隅用化粧カバーが構成されているとともに、前記入隅部を構成する第2・第3被取付け面に固定される第2取付け基材と、入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で前記第2取付け基材に脱着可能に取付けられる第2カバーとをもって入隅用化粧カバーが構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、前記第2被取付け面において出隅用化粧カバーと入隅用化粧カバーとが相対向する両接続口部にわたって、第1・第2取付け基材に対して長尺体配設経路の長手方向から嵌合接続可能な直線状の中間接続用の第3取付け基材と、該第3取付け基材に対して脱着自在で、かつ、第1・第2カバーに対して長尺体配設経路の長手方向から嵌合接続可能な直線状の中間接続用の第3カバーとをもって構成される直線用化粧カバーが設けられている(特許文献2参照)。
【0004】
前記出隅用化粧カバーの第1取付け基材及び入隅用化粧カバーの第2取付け基材には、これに嵌合される直線用化粧カバーの第3取付け基材の端面との当接によって設定接続深さに規制する当り部が設けられているとともに、前記出隅用化粧カバーの第1カバー及び入隅用化粧カバーの第2カバーにも、これに嵌合される直線用化粧カバーの第3カバーの端面との当接によって設定接続深さに規制する当り部が設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−292002号公報
【特許文献2】特開2006−300151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の化粧カバーでは、出隅用化粧カバーと入隅用化粧カバー及び直線用化粧カバーとの組み合わせで構成されているため、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差が施工現場において変化すると、その都度、この段差である第2被取付け面での長尺体配設経路長さに応じて直線用化粧カバーを構成する第3取付け基材及び第3カバーの長さを変更する必要があり、作業性の低下を招来していた。
【0007】
特に、従来では、出隅用化粧カバー及び入隅用化粧カバーとして単独で使用できるように、第1取付け基材及び第1カバーにおける第1・第2被取付け面での各長さと、第2取付け基材及び第2カバーにおける第2・第3被取付け面での各長さがそれぞれ同一に構成されているため、出隅用化粧カバー及び入隅用化粧カバーにおける第2被取付け面での張り出し量が多くなり、前記段差が小さい施工現場では使用できない事態が発生していた。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差に対する適用範囲が広く且つ施行現場での作業性に優れた化粧カバーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第1取付け基材に脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第2取付け基材に脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている。
【0010】
上記構成によれば、第1・第2被取付け面の少なくとも一方に固定された第1取付け基材に対して第1カバーを取付け、第2・第3被取付け面の少なくとも一方に固定された第2取付け基材に対して第2カバーを取付けることにより、長尺体配設経路の出隅側及び入隅側を覆うことができるとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方に形成された延長カバー部により、第1カバーと第2カバーとの対向面間に位置する長尺体配設経路部分を覆うことができる。
【0011】
しかも、前記延長カバー部は、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合しているため、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差が異なる場合でも、前記両カバーを両取付け基材に取付けた時点で延長カバー部と相手側カバーとの嵌合位置関係が自動的に変更されるため、段差の相違による特別な操作は不要となる。
【0012】
従って、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差を、延長カバー部と相手側カバーとの伸縮で吸収することができるばかりでなく、そのための特別な操作が不要になるから、施行現場での作業性を高めながら長尺体配設経路の段差に対する適用範囲を拡大することができる。
【0013】
前記第1取付け基材と第2取付け基材との相対向する部位に、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って両取付け基材を伸縮移動自在に係合する伸縮係合手段が設けられている。
【0014】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段により、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材と第2取付け基材とを伸縮移動させることができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差に関係なく、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く的確に行うことができる。
【0015】
前記第1取付け基材と第2取付け基材との相対向する部位に、伸縮移動自在に係合された両取付け基材の抜け出し移動を係止によって阻止する抜け止め係止手段が設けられている。
【0016】
上記構成によれば、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材と第2取付け基材とを伸縮移動自在に構成しながらも、両取付け基材の抜け出し移動を阻止することができるから、両取付け基材を一体物として便利に取り扱うことができる。
【0017】
前記第1カバーの接続端部は、第1被取付け面を通る平面に沿って形成されているとともに、前記第2カバーの接続端部は、第3被取付け面と平行な第2カバーの天井面と略等しい高さ位置又はそれよりも高い位置で第3被取付け面と略平行に形成され、さらに、前記第2カバーの接続端部に、第1カバーの接続端部を通して伸縮移動自在に嵌合する前記延長カバー部が一体形成されている。
【0018】
上記構成によれば、前記両カバーの第2被取付け面での長尺体配設経路に沿う方向での高さを低く抑えるこができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差に対する吸収調節機能を充分確保しながらも、使用可能な最小段差側への適用範囲を拡大することができる。
【0019】
前記第1取付け基材が、第1被取付け面に当接する第1取付け板部と第2被取付け面に当接する第2取付け板部とを一体形成して構成されているとともに、前記第2取付け基材が、第2被取付け面に当接する第1取付け板部と第3被取付け面に当接する第2取付け板部とを一体形成して構成され、前記伸縮係合手段が、第1取付け基材の第2取付け板部と第2取付け基材の第1取付け板部との相対向する部位に設けられている。
【0020】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段により、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材の第2取付け板部と第2取付け基材の第1取付け板部とを伸縮移動させることができるとともに、両取付け基材を第1・第2被取付け面及び第2・第3被取付け面に当て付けることができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差に関係なく、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く正確に行うことができる。
【0021】
前記伸縮係合手段を構成するに、前記第2取付け基材の第1取付け板部の底面に、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿う係合溝を形成するとともに、前記第1取付け基材の第2取付け板部には、前記係合溝に対して長尺体配設経路の長手方向から摺動自在に嵌合する下側ガイド板と、前記第2取付け基材の第1取付け板部の上面に沿って長尺体配設経路の長手方向に摺動する上側ガイド板とが形成されている。
【0022】
上記構成によれば、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く正確に行うことができるばかりでなく、前記第2取付け基材の第1取付け板部の底面に形成された係合溝に嵌合する下側ガイド板と、第2取付け基材の第1取付け板部の上面に沿って摺動する上側ガイド板とにより、第2取付け基材の第1取付け板部を挟み込み保持することができ、取り扱いの容易化と取付け精度の向上とを図ることができる。
【0023】
前記抜け止め係止手段が、前記第1取付け基材の上側ガイド板の先端に設けた係止部と、前記第2取付け基材の第1取付け板部の上面における前記係止部の移動経路上に設けられた被係止部とから構成されている。
【0024】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段の上側ガイド板を利用して抜け出し阻止手段を構造面及び製造コスト面で有利に構成することができる。
そして、本発明による第1の特徴構成は、交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記第1取付け基材との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第1取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記第2取付け基材との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第2取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている点にある。
本発明による第2の特徴構成は、前記延長カバー部が、前記第1カバーの接続端部と相対向する前記第2カバーの接続端部に形成されている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記第1取付け基材と前記第2取付け基材とが、前記第2被取付け面の長尺体配設経路に沿って摺動状態で伸縮移動自在に構成されている点にある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の第1実施形態を示す空調設備の化粧カバー構造の断面側面図
【図2】本願発明の出入隅用化粧カバーの側面図
【図3】図2におけるII-II線視における平面図
【図4】図2におけるIV-IV線視における底面図
【図5】図2におけるV-V線断面図
【図6】第1取付け基材と第2取付け基材との連結状態を示す底面図
【図7】第1取付け基材と第2取付け基材との連結状態を示す平面図
【図8】第1取付け基材の拡大側面図
【図9】第1取付け基材の拡大右側面図
【図10】第2取付け基材の拡大側面図
【図11】第2取付け基材の拡大右側面図
【図12】第2取付け基材の拡大左側面図
【図13】第1カバーの拡大断面側面図
【図14】第1カバーの拡大右側面図
【図15】第2カバーの拡大断面側面図
【図16】第2カバーの拡大右側面図
【図17】第2カバーの拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、建物の室内側壁面のうち、出隅部を形成する状態で直交(交差の一例)する二つの第1・第2壁面(第1・第2被取付け面の一例)W1,W2と、入隅部を形成する状態で前記第2壁面W2に直交(交差の一例)する第3壁面(第3被取付け面の一例)W3のうち、第3壁面W3に形成された貫通孔1を通して室外側から導入された長尺体の一例である可撓性のある空調用配管Pを入隅及び出隅に沿って第1壁面W1に取付けられた空調用室内機Aにまで配設してある空調設備の一例を示す。
【0027】
この空調設備においては、前記空調用配管Pのうち、出隅部から入隅部にかけてのクランク状の配管部分を覆う合成樹脂製の出入隅用化粧カバーBと、前記貫通孔1から室内側に導出された曲がり配管部分を覆う合成樹脂製のコーナー用化粧カバーCと、このコーナー用化粧カバーCと出入隅用化粧カバーBとの間の直線状の配管部分及び出入隅用化粧カバーBと空調用室内機Aとの間の直線状の配管部分をそれぞれ覆う合成樹脂製の直線用化粧カバーDとが配設されている。
【0028】
前記出入隅用化粧カバーBは、図2〜図5に示すように、前記第1壁面W1に当接する第1取付け板部2Aと第2壁面W2に当接する第2取付け板部2BとをL字状に一体成形してある合成樹脂製の第1取付け基材2と、前記第2壁面W2に当接する第1取付け板部3Aと第3壁面W3に当接する第2取付け板部3BとをL字状に一体成形してある合成樹脂製の第2取付け基材3と、前記出隅部側の配管配設経路(長尺体配設経路の一例)を覆う状態で第1取付け基材2に脱着可能に取付けられる合成樹脂製の第1カバー4と、前記入隅部側の配管配設経路を覆う状態で第2取付け基材3に脱着可能に取付けられる合成樹脂製の第2カバー5とから構成されている。
【0029】
前記第1カバー4の両接続端部4a,4bと第2カバー5の両接続端部5a,5bとのうち、第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bと相対向する第2カバー5の接続端部5aには、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第1カバー4に伸縮移動自在に嵌合(内嵌)する延長カバー部6が一体形成されているとともに、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位には、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿って両取付け基材2,3を伸縮移動自在に係合する伸縮係合手段Eと、伸縮移動自在に係合された両取付け基材2,3の抜け出し移動を係止によって阻止する抜け止め係止手段Fが設けられている。
【0030】
前記伸縮係合手段Eを構成するに、図3、図5〜図7に示すように、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの底面(第2壁面W2に対面する裏面)3aにおける幅方向中央部に、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿う係合溝7が内方側に窪み形成されているとともに、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bには、前記係合溝7に対して配管配設経路の長手方向から摺動自在に嵌合する下側ガイド板8と、該下側ガイド板8の幅方向両側脇において、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面(配管配設経路に臨む表面)3bに沿って配管配設経路の長手方向に摺動する左右一対の上側ガイド板9が形成されている。
【0031】
換言すれば、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bは、幅方向中央に位置する下側ガイド板8と左右一対の上側ガイド板9とから構成され、そのうち、前記下側ガイド板8の底面8aが第2壁面W2に当接するように構成されている。
【0032】
前記抜け止め係止手段Fは、前記第1取付け基材2の両上側ガイド板9の先端から幅方向外方側に突出する状態で一体形成された係止部10と、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面3bの端部側における前記両係止部10の移動経路上に一体形成された逆L字状の一対の被係止部11とから構成されている。
【0033】
図8、図9に示すように、前記第1取付け基材2の第1取付け板部2Aの幅方向両側部に形成された台形状の側板部2Cには、幅方向外方側及び第1壁面W1側に向かって開口する係合凹部2aが形成されているとともに、前記第1取付け板部2Aの端面の左右中央位置には、直線用化粧カバーDの取付け基材(図示せず)の底面における幅方向中央位置に形成されている溝部に対して配管配設経路長手方向から係合可能な位置合せ用突起2bが形成され、さらに、前記第1取付け板部2Aの左右中央位置を通る中間位置には、第1壁面W1にビス止めするための取付け孔2dが形成されている。
【0034】
前記第1カバー4は、図13、図14に示すように、前記第1壁面W1に沿う第1天井板部4Aと第2壁面W2に沿う第2天井板部4B及びこれらの左右両側縁に連続する一対の側板部4Cとを一体成形して構成され、前記両側板部4Cの内面には、該側板部4Cの弾性変形により前記第1取付け基材2の係合凹部2aに対して弾性的に係合可能な三つの三角状板部からなる係合凸部4dと、該係合凸部4dと係合凹部2aとの上下方向での相対離脱移動を側板部4Cとの接当によって阻止する離脱規制部4eとが形成されているとともに、前記第1カバー4の両接続端部4a,4bのうち、第2カバー5の第2壁面W2側の接続端部5aと相対向する接続端部4bが第1壁面W1を通る平面に沿って形成されている。
【0035】
図6、図7、図10〜図12に示すように、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面3bには、前記係合溝7を形成するために配管配設経路側に突出する断面コの字状の突条3eが隆起形勢され、この突条3dの左右両側面3eと前記両被係止部11との間に、第1取付け基材2の第2取付け板部2Bに形成された両上側ガイド板9が摺接移動自在に配置され、前記両被係止部11の脚部分が、前記両上側ガイド板9の摺接移動を案内するガイド面に構成されているとともに、前記第1取付け板部3Aの幅方向両側部及び第2取付け板部3Bの幅方向両側部に連続形成された側板部3Cの配管配設経路長手方向における両端部には、幅方向外方側及び第2・第3壁面W2・3側に向かって開口する係合凹部3fが形成されている。
【0036】
また、前記第2取付け板部3Bの端面の左右中央位置には、直線用化粧カバーDの取付け基材(図示せず)の底面における幅方向中央位置に形成されている溝部に対して配管配設経路長手方向から係合可能な位置合せ用突起3gが形成され、さらに、前記第2取付け板部3Bの左右中央位置を通る中間位置には、第3壁面W3にビス止めするための取付け孔3hが形成されている。
【0037】
前記第2カバー5は、図15〜図17に示すように、第2壁面W2の一部及び第3壁面W3に沿う天井板部5Aとこれの左右両側縁に連続する一対の側板部5Bとを一体成形して構成され、この天井板部5A及び前記両側板部5Bの第2壁面W2側に回り込む弧状角部分の端縁となる前記接続端部5aは、天井板部5Aよりも少し高い位置で第3壁面W3と略平行に形成されているとともに、この接続端部5aに、第1カバー4の内面形状が外面形状となる前記延長カバー部6が、第1カバー4の板厚分だけ段落ち状態で一体形成されている。
【0038】
また、前記第2カバー5の両側板部5Bの内面には、該側板部5Bの弾性変形により前記第2取付け基材3の係合凹部3fに対して係脱自在に係合可能な係合凸部5cが形成されているとともに、前記延長カバー部6が、第2壁面W2に沿う天井板部6Aとこれの左右両側縁に連続する一対の側板部6Bとを一体成形して構成されている。
【0039】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記第1取付け基材2の第1取付け板部2Aに、第1壁面W1にビス止めするための取付け孔2dを形成したが、この取付け孔2dを第2取付け板部2Bにのみに形成してもよく、又は、両取付け板部2A,2Bに取付け孔2dを形成してもよい。
更に、上述の第1実施形態では、前記第1取付け基材2を、前記第1壁面W1に当接する第1取付け板部2Aと第2壁面W2に当接する第2取付け板部2BとをL字状に一体成形して構成したが、前記第1取付け板部2A又は第2取付け板部2Bの何れか一方から構成してもよい。
【0040】
(2)上述の第1実施形態では、前記第2取付け基材3の第2取付け板部3Bに、第3壁面W3にビス止めするための取付け孔3hを形成したが、この取付け孔3hを第1取付け板部3Aにのみに形成してもよく、又は、両取付け板部3A,3Bに取付け孔3hを形成してもよい。
更に、上述の第1実施形態では、前記第2取付け基材3を、前記第2壁面W2に当接する第1取付け板部3Aと第3壁面W3に当接する第2取付け板部3BとをL字状に一体成形して構成したが、第1取付け板部3A又は第2取付け板部3Bの何れか一方から構成してもよい。
【0041】
(3)上述の第1実施形態では、前記第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bと相対向する第2カバー5の接続端部5aに、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第1カバー4に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6を形成したが、前記第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bに、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第2カバー5に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6を形成してもよい。
【0042】
(4)前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位に設けられる伸縮係合手段Eとしては、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿って両取付け基材2,3を伸縮移動自在に係合案内することのできるものであれば、いかなる係合構造に構成してもよい。
【0043】
(5)前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位に設けられる抜け止め係止手段Fとしては、伸縮移動自在に係合された両取付け基材2,3の抜け出し移動を係止によって阻止することのできるものであれば、いかなる係合構造に構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
E 伸縮係合手段
F 抜け止め係止手段
P 長尺体(空調用配管)
W1 第1被取付け面(第1壁面)
W2 第2被取付け面(第2壁面)
W3 第3被取付け面(第3壁面)
2 第1取付け基材
2A 第1取付け板部
2B 第2取付け板部
3 第2取付け基材
3A 第1取付け板部
3B 第2取付け板部
4 第1カバー
5 第2カバー
6 延長カバー部
7 係合溝
8 下側ガイド板
9 上側ガイド板9
10 係止部
11 被係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物の壁面に沿って配設される冷媒管やドレン管、ケーブル等の長尺体を覆う化粧カバーで、詳しくは、交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化粧カバーでは、前記出隅部を構成する第1・第2被取付け面に固定される第1取付け基材と、出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で前記第1取付け基材に脱着可能に取付けられる第1カバーとをもって出隅用化粧カバーが構成されているとともに、前記入隅部を構成する第2・第3被取付け面に固定される第2取付け基材と、入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で前記第2取付け基材に脱着可能に取付けられる第2カバーとをもって入隅用化粧カバーが構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
さらに、前記第2被取付け面において出隅用化粧カバーと入隅用化粧カバーとが相対向する両接続口部にわたって、第1・第2取付け基材に対して長尺体配設経路の長手方向から嵌合接続可能な直線状の中間接続用の第3取付け基材と、該第3取付け基材に対して脱着自在で、かつ、第1・第2カバーに対して長尺体配設経路の長手方向から嵌合接続可能な直線状の中間接続用の第3カバーとをもって構成される直線用化粧カバーが設けられている(特許文献2参照)。
【0004】
前記出隅用化粧カバーの第1取付け基材及び入隅用化粧カバーの第2取付け基材には、これに嵌合される直線用化粧カバーの第3取付け基材の端面との当接によって設定接続深さに規制する当り部が設けられているとともに、前記出隅用化粧カバーの第1カバー及び入隅用化粧カバーの第2カバーにも、これに嵌合される直線用化粧カバーの第3カバーの端面との当接によって設定接続深さに規制する当り部が設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−292002号公報
【特許文献2】特開2006−300151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の化粧カバーでは、出隅用化粧カバーと入隅用化粧カバー及び直線用化粧カバーとの組み合わせで構成されているため、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差が施工現場において変化すると、その都度、この段差である第2被取付け面での長尺体配設経路長さに応じて直線用化粧カバーを構成する第3取付け基材及び第3カバーの長さを変更する必要があり、作業性の低下を招来していた。
【0007】
特に、従来では、出隅用化粧カバー及び入隅用化粧カバーとして単独で使用できるように、第1取付け基材及び第1カバーにおける第1・第2被取付け面での各長さと、第2取付け基材及び第2カバーにおける第2・第3被取付け面での各長さがそれぞれ同一に構成されているため、出隅用化粧カバー及び入隅用化粧カバーにおける第2被取付け面での張り出し量が多くなり、前記段差が小さい施工現場では使用できない事態が発生していた。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差に対する適用範囲が広く且つ施行現場での作業性に優れた化粧カバーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第1取付け基材に脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で第2取付け基材に脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている。
【0010】
上記構成によれば、第1・第2被取付け面の少なくとも一方に固定された第1取付け基材に対して第1カバーを取付け、第2・第3被取付け面の少なくとも一方に固定された第2取付け基材に対して第2カバーを取付けることにより、長尺体配設経路の出隅側及び入隅側を覆うことができるとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方に形成された延長カバー部により、第1カバーと第2カバーとの対向面間に位置する長尺体配設経路部分を覆うことができる。
【0011】
しかも、前記延長カバー部は、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合しているため、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差が異なる場合でも、前記両カバーを両取付け基材に取付けた時点で延長カバー部と相手側カバーとの嵌合位置関係が自動的に変更されるため、段差の相違による特別な操作は不要となる。
【0012】
従って、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差を、延長カバー部と相手側カバーとの伸縮で吸収することができるばかりでなく、そのための特別な操作が不要になるから、施行現場での作業性を高めながら長尺体配設経路の段差に対する適用範囲を拡大することができる。
【0013】
前記第1取付け基材と第2取付け基材との相対向する部位に、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って両取付け基材を伸縮移動自在に係合する伸縮係合手段が設けられている。
【0014】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段により、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材と第2取付け基材とを伸縮移動させることができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差に関係なく、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く的確に行うことができる。
【0015】
前記第1取付け基材と第2取付け基材との相対向する部位に、伸縮移動自在に係合された両取付け基材の抜け出し移動を係止によって阻止する抜け止め係止手段が設けられている。
【0016】
上記構成によれば、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材と第2取付け基材とを伸縮移動自在に構成しながらも、両取付け基材の抜け出し移動を阻止することができるから、両取付け基材を一体物として便利に取り扱うことができる。
【0017】
前記第1カバーの接続端部は、第1被取付け面を通る平面に沿って形成されているとともに、前記第2カバーの接続端部は、第3被取付け面と平行な第2カバーの天井面と略等しい高さ位置又はそれよりも高い位置で第3被取付け面と略平行に形成され、さらに、前記第2カバーの接続端部に、第1カバーの接続端部を通して伸縮移動自在に嵌合する前記延長カバー部が一体形成されている。
【0018】
上記構成によれば、前記両カバーの第2被取付け面での長尺体配設経路に沿う方向での高さを低く抑えるこができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差に対する吸収調節機能を充分確保しながらも、使用可能な最小段差側への適用範囲を拡大することができる。
【0019】
前記第1取付け基材が、第1被取付け面に当接する第1取付け板部と第2被取付け面に当接する第2取付け板部とを一体形成して構成されているとともに、前記第2取付け基材が、第2被取付け面に当接する第1取付け板部と第3被取付け面に当接する第2取付け板部とを一体形成して構成され、前記伸縮係合手段が、第1取付け基材の第2取付け板部と第2取付け基材の第1取付け板部との相対向する部位に設けられている。
【0020】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段により、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿った配置関係を維持したまま第1取付け基材の第2取付け板部と第2取付け基材の第1取付け板部とを伸縮移動させることができるとともに、両取付け基材を第1・第2被取付け面及び第2・第3被取付け面に当て付けることができるから、前記第1被取付け面から第3被取付け面までの段差寸法の差に関係なく、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く正確に行うことができる。
【0021】
前記伸縮係合手段を構成するに、前記第2取付け基材の第1取付け板部の底面に、前記第2被取付け面での長尺体配設経路に沿う係合溝を形成するとともに、前記第1取付け基材の第2取付け板部には、前記係合溝に対して長尺体配設経路の長手方向から摺動自在に嵌合する下側ガイド板と、前記第2取付け基材の第1取付け板部の上面に沿って長尺体配設経路の長手方向に摺動する上側ガイド板とが形成されている。
【0022】
上記構成によれば、被取付け面の出隅部及び入隅部に対する両取付け基材の取付けを能率良く正確に行うことができるばかりでなく、前記第2取付け基材の第1取付け板部の底面に形成された係合溝に嵌合する下側ガイド板と、第2取付け基材の第1取付け板部の上面に沿って摺動する上側ガイド板とにより、第2取付け基材の第1取付け板部を挟み込み保持することができ、取り扱いの容易化と取付け精度の向上とを図ることができる。
【0023】
前記抜け止め係止手段が、前記第1取付け基材の上側ガイド板の先端に設けた係止部と、前記第2取付け基材の第1取付け板部の上面における前記係止部の移動経路上に設けられた被係止部とから構成されている。
【0024】
上記構成によれば、前記伸縮係合手段の上側ガイド板を利用して抜け出し阻止手段を構造面及び製造コスト面で有利に構成することができる。
そして、本発明による第1の特徴構成は、交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記第1取付け基材との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第1取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記第2取付け基材との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第2取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている点にある。
本発明による第2の特徴構成は、前記延長カバー部が、前記第1カバーの接続端部と相対向する前記第2カバーの接続端部に形成されている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記第1取付け基材と前記第2取付け基材とが、前記第2被取付け面の長尺体配設経路に沿って摺動状態で伸縮移動自在に構成されている点にある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の第1実施形態を示す空調設備の化粧カバー構造の断面側面図
【図2】本願発明の出入隅用化粧カバーの側面図
【図3】図2におけるII-II線視における平面図
【図4】図2におけるIV-IV線視における底面図
【図5】図2におけるV-V線断面図
【図6】第1取付け基材と第2取付け基材との連結状態を示す底面図
【図7】第1取付け基材と第2取付け基材との連結状態を示す平面図
【図8】第1取付け基材の拡大側面図
【図9】第1取付け基材の拡大右側面図
【図10】第2取付け基材の拡大側面図
【図11】第2取付け基材の拡大右側面図
【図12】第2取付け基材の拡大左側面図
【図13】第1カバーの拡大断面側面図
【図14】第1カバーの拡大右側面図
【図15】第2カバーの拡大断面側面図
【図16】第2カバーの拡大右側面図
【図17】第2カバーの拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、建物の室内側壁面のうち、出隅部を形成する状態で直交(交差の一例)する二つの第1・第2壁面(第1・第2被取付け面の一例)W1,W2と、入隅部を形成する状態で前記第2壁面W2に直交(交差の一例)する第3壁面(第3被取付け面の一例)W3のうち、第3壁面W3に形成された貫通孔1を通して室外側から導入された長尺体の一例である可撓性のある空調用配管Pを入隅及び出隅に沿って第1壁面W1に取付けられた空調用室内機Aにまで配設してある空調設備の一例を示す。
【0027】
この空調設備においては、前記空調用配管Pのうち、出隅部から入隅部にかけてのクランク状の配管部分を覆う合成樹脂製の出入隅用化粧カバーBと、前記貫通孔1から室内側に導出された曲がり配管部分を覆う合成樹脂製のコーナー用化粧カバーCと、このコーナー用化粧カバーCと出入隅用化粧カバーBとの間の直線状の配管部分及び出入隅用化粧カバーBと空調用室内機Aとの間の直線状の配管部分をそれぞれ覆う合成樹脂製の直線用化粧カバーDとが配設されている。
【0028】
前記出入隅用化粧カバーBは、図2〜図5に示すように、前記第1壁面W1に当接する第1取付け板部2Aと第2壁面W2に当接する第2取付け板部2BとをL字状に一体成形してある合成樹脂製の第1取付け基材2と、前記第2壁面W2に当接する第1取付け板部3Aと第3壁面W3に当接する第2取付け板部3BとをL字状に一体成形してある合成樹脂製の第2取付け基材3と、前記出隅部側の配管配設経路(長尺体配設経路の一例)を覆う状態で第1取付け基材2に脱着可能に取付けられる合成樹脂製の第1カバー4と、前記入隅部側の配管配設経路を覆う状態で第2取付け基材3に脱着可能に取付けられる合成樹脂製の第2カバー5とから構成されている。
【0029】
前記第1カバー4の両接続端部4a,4bと第2カバー5の両接続端部5a,5bとのうち、第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bと相対向する第2カバー5の接続端部5aには、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第1カバー4に伸縮移動自在に嵌合(内嵌)する延長カバー部6が一体形成されているとともに、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位には、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿って両取付け基材2,3を伸縮移動自在に係合する伸縮係合手段Eと、伸縮移動自在に係合された両取付け基材2,3の抜け出し移動を係止によって阻止する抜け止め係止手段Fが設けられている。
【0030】
前記伸縮係合手段Eを構成するに、図3、図5〜図7に示すように、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの底面(第2壁面W2に対面する裏面)3aにおける幅方向中央部に、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿う係合溝7が内方側に窪み形成されているとともに、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bには、前記係合溝7に対して配管配設経路の長手方向から摺動自在に嵌合する下側ガイド板8と、該下側ガイド板8の幅方向両側脇において、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面(配管配設経路に臨む表面)3bに沿って配管配設経路の長手方向に摺動する左右一対の上側ガイド板9が形成されている。
【0031】
換言すれば、前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bは、幅方向中央に位置する下側ガイド板8と左右一対の上側ガイド板9とから構成され、そのうち、前記下側ガイド板8の底面8aが第2壁面W2に当接するように構成されている。
【0032】
前記抜け止め係止手段Fは、前記第1取付け基材2の両上側ガイド板9の先端から幅方向外方側に突出する状態で一体形成された係止部10と、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面3bの端部側における前記両係止部10の移動経路上に一体形成された逆L字状の一対の被係止部11とから構成されている。
【0033】
図8、図9に示すように、前記第1取付け基材2の第1取付け板部2Aの幅方向両側部に形成された台形状の側板部2Cには、幅方向外方側及び第1壁面W1側に向かって開口する係合凹部2aが形成されているとともに、前記第1取付け板部2Aの端面の左右中央位置には、直線用化粧カバーDの取付け基材(図示せず)の底面における幅方向中央位置に形成されている溝部に対して配管配設経路長手方向から係合可能な位置合せ用突起2bが形成され、さらに、前記第1取付け板部2Aの左右中央位置を通る中間位置には、第1壁面W1にビス止めするための取付け孔2dが形成されている。
【0034】
前記第1カバー4は、図13、図14に示すように、前記第1壁面W1に沿う第1天井板部4Aと第2壁面W2に沿う第2天井板部4B及びこれらの左右両側縁に連続する一対の側板部4Cとを一体成形して構成され、前記両側板部4Cの内面には、該側板部4Cの弾性変形により前記第1取付け基材2の係合凹部2aに対して弾性的に係合可能な三つの三角状板部からなる係合凸部4dと、該係合凸部4dと係合凹部2aとの上下方向での相対離脱移動を側板部4Cとの接当によって阻止する離脱規制部4eとが形成されているとともに、前記第1カバー4の両接続端部4a,4bのうち、第2カバー5の第2壁面W2側の接続端部5aと相対向する接続端部4bが第1壁面W1を通る平面に沿って形成されている。
【0035】
図6、図7、図10〜図12に示すように、前記第2取付け基材3の第1取付け板部3Aの上面3bには、前記係合溝7を形成するために配管配設経路側に突出する断面コの字状の突条3eが隆起形勢され、この突条3dの左右両側面3eと前記両被係止部11との間に、第1取付け基材2の第2取付け板部2Bに形成された両上側ガイド板9が摺接移動自在に配置され、前記両被係止部11の脚部分が、前記両上側ガイド板9の摺接移動を案内するガイド面に構成されているとともに、前記第1取付け板部3Aの幅方向両側部及び第2取付け板部3Bの幅方向両側部に連続形成された側板部3Cの配管配設経路長手方向における両端部には、幅方向外方側及び第2・第3壁面W2・3側に向かって開口する係合凹部3fが形成されている。
【0036】
また、前記第2取付け板部3Bの端面の左右中央位置には、直線用化粧カバーDの取付け基材(図示せず)の底面における幅方向中央位置に形成されている溝部に対して配管配設経路長手方向から係合可能な位置合せ用突起3gが形成され、さらに、前記第2取付け板部3Bの左右中央位置を通る中間位置には、第3壁面W3にビス止めするための取付け孔3hが形成されている。
【0037】
前記第2カバー5は、図15〜図17に示すように、第2壁面W2の一部及び第3壁面W3に沿う天井板部5Aとこれの左右両側縁に連続する一対の側板部5Bとを一体成形して構成され、この天井板部5A及び前記両側板部5Bの第2壁面W2側に回り込む弧状角部分の端縁となる前記接続端部5aは、天井板部5Aよりも少し高い位置で第3壁面W3と略平行に形成されているとともに、この接続端部5aに、第1カバー4の内面形状が外面形状となる前記延長カバー部6が、第1カバー4の板厚分だけ段落ち状態で一体形成されている。
【0038】
また、前記第2カバー5の両側板部5Bの内面には、該側板部5Bの弾性変形により前記第2取付け基材3の係合凹部3fに対して係脱自在に係合可能な係合凸部5cが形成されているとともに、前記延長カバー部6が、第2壁面W2に沿う天井板部6Aとこれの左右両側縁に連続する一対の側板部6Bとを一体成形して構成されている。
【0039】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記第1取付け基材2の第1取付け板部2Aに、第1壁面W1にビス止めするための取付け孔2dを形成したが、この取付け孔2dを第2取付け板部2Bにのみに形成してもよく、又は、両取付け板部2A,2Bに取付け孔2dを形成してもよい。
更に、上述の第1実施形態では、前記第1取付け基材2を、前記第1壁面W1に当接する第1取付け板部2Aと第2壁面W2に当接する第2取付け板部2BとをL字状に一体成形して構成したが、前記第1取付け板部2A又は第2取付け板部2Bの何れか一方から構成してもよい。
【0040】
(2)上述の第1実施形態では、前記第2取付け基材3の第2取付け板部3Bに、第3壁面W3にビス止めするための取付け孔3hを形成したが、この取付け孔3hを第1取付け板部3Aにのみに形成してもよく、又は、両取付け板部3A,3Bに取付け孔3hを形成してもよい。
更に、上述の第1実施形態では、前記第2取付け基材3を、前記第2壁面W2に当接する第1取付け板部3Aと第3壁面W3に当接する第2取付け板部3BとをL字状に一体成形して構成したが、第1取付け板部3A又は第2取付け板部3Bの何れか一方から構成してもよい。
【0041】
(3)上述の第1実施形態では、前記第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bと相対向する第2カバー5の接続端部5aに、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第1カバー4に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6を形成したが、前記第1カバー4の第2壁面W2側の接続端部4bに、第2壁面W2での配管配設経路に沿って相手側の第2カバー5に伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部6を形成してもよい。
【0042】
(4)前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位に設けられる伸縮係合手段Eとしては、前記第2壁面W2での配管配設経路に沿って両取付け基材2,3を伸縮移動自在に係合案内することのできるものであれば、いかなる係合構造に構成してもよい。
【0043】
(5)前記第1取付け基材2の第2取付け板部2Bと第2取付け基材3の第1取付け板部3Aとの相対向する部位に設けられる抜け止め係止手段Fとしては、伸縮移動自在に係合された両取付け基材2,3の抜け出し移動を係止によって阻止することのできるものであれば、いかなる係合構造に構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
E 伸縮係合手段
F 抜け止め係止手段
P 長尺体(空調用配管)
W1 第1被取付け面(第1壁面)
W2 第2被取付け面(第2壁面)
W3 第3被取付け面(第3壁面)
2 第1取付け基材
2A 第1取付け板部
2B 第2取付け板部
3 第2取付け基材
3A 第1取付け板部
3B 第2取付け板部
4 第1カバー
5 第2カバー
6 延長カバー部
7 係合溝
8 下側ガイド板
9 上側ガイド板9
10 係止部
11 被係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記第1取付け基材との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第1取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記第2取付け基材との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第2取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている化粧カバー。
【請求項2】
前記延長カバー部が、前記第1カバーの接続端部と相対向する前記第2カバーの接続端部に形成されている請求項1記載の化粧カバー。
【請求項3】
前記第1取付け基材と前記第2取付け基材とが、前記第2被取付け面の長尺体配設経路に沿って摺動状態で伸縮移動自在に構成されている請求項1又は2記載に化粧カバー。
【請求項1】
交差する二つの第1・第2被取付け面で構成される出隅部及びこの出隅部の一方の第2被取付け面とこれに交差する第3被取付け面とで構成される入隅部に沿って配設される長尺体を覆う化粧カバーであって、
前記出隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第1取付け基材と、前記入隅部を構成する少なくとも一方の被取付け面に固定される第2取付け基材と、前記第1取付け基材との間で出隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第1取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第1カバーと、前記第2取付け基材との間で入隅側の長尺体配設経路を覆う状態で当該第2取付け基材に対して外方側から脱着可能に取付けられる第2カバーとが備えられているとともに、前記第1カバーと第2カバーとの相対向する接続端部の一方には、第2被取付け面での長尺体配設経路に沿って相手側のカバーに伸縮移動自在に嵌合する延長カバー部が形成されている化粧カバー。
【請求項2】
前記延長カバー部が、前記第1カバーの接続端部と相対向する前記第2カバーの接続端部に形成されている請求項1記載の化粧カバー。
【請求項3】
前記第1取付け基材と前記第2取付け基材とが、前記第2被取付け面の長尺体配設経路に沿って摺動状態で伸縮移動自在に構成されている請求項1又は2記載に化粧カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−57403(P2013−57403A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243501(P2012−243501)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2008−88061(P2008−88061)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2008−88061(P2008−88061)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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