説明

化粧料組成物

【課題】保湿効果及び使用感に優れ、経時的に臭気が発生せず、エマルジョン製剤としたときには長期にわたって安定なエマルジョンを保持する化粧料組成物を提供する。
【解決手段】下記の成分A)を、組成物全量に対し0.01〜50重量%の割合で含有することを特徴とする化粧料組成物。
A) 式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル


(式中、Zは炭素数5以上、かつ水酸基を5個以上有する多価アルコール残基、aは5≦aを満たし、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基あるいは水素原子で、エステル化率は15〜85%である。m及びnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦10、m/(m+n)≧0.8を満たす。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿効果及び使用感に優れ、経時的に臭気が発生せず、エマルジョン製剤としたときには長期にわたって安定なエマルジョンを保持する化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、皮膚や毛髪に潤いを与えるための保湿剤、滑らかさやしっとり感など、優れた感触を付与するための、炭化水素類、エステル類などのエモリエント剤、保湿剤、洗浄成分としても機能する、アニオン性、カチオン性、両性、あるいは非イオン性などの各種界面活性剤、さらには、必要に応じて、粉体類、ビタミン類、紫外線吸収剤、水溶性高分子物質、金属イオン封鎖剤、増粘剤、防腐剤、色素、顔料、香料などが配合されている。
また、例えば、これら成分と水からなるエマルジョン系化粧料としては、 油中水型(W/O型)、水中油型(O/W型)、あるいは複合エマルジョン型(W/O/W型)化粧料があるが、配合された各種成分が分離・分散することなく、均一性を安定に保持するためには、適宜の界面活性剤ないし乳化剤もしくは可溶化剤が必要不可欠な成分である。
【0003】
化粧料用の乳化剤もしくは可溶化剤として汎用されるのは、酸性、アルカリ性のいずれの系でも安定度が高い非イオン性界面活性剤であり、その中でも、多価アルコールアルキレンオキシド誘導体の脂肪酸エステルが乳化ないし可溶化能の高さから、特に汎用されている。
この多価アルコールアルキレンオキシド脂肪酸エステル系の乳化剤としては、これまでに、ポリオキシエチレンソルビトールラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステルなどのポリオキシエチレンソルビトールの脂肪酸エステル(特許文献1、5)、ポリオキシエチレンソルビタンイソステアリン酸エステルなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特許文献2)、あるいは、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリンなどのポリオキシエチレン脂肪酸グリセリン(特許文献3、4、5)、あるいは、ポリエチレングリコールモノイソステアリン酸エステル、ジイソステアリン酸エステル、ジオレイン酸エステルなどのポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(特許文献6)などが提案されている。
【0004】
しかし、これらの非イオン性界面活性剤のうち、オレイン酸のエステルは使用感に劣り経時とともに臭気が発生しやすく、ラウリン酸エステルでは皮膚刺激性がありつっぱり感が生じるなど使用感の面で劣る。ステアリン酸エステルはハンドリングの面で劣るばかりか、さっぱりとした使用感が得られない。また、直鎖のポリエチレングリコール骨格を持つジエステルでは、乳化可溶化能力に劣り、保湿効果も得られない。さらに、グリセリン骨格を持つエステルでは、充分な保湿効果が得られず、ソルビタン骨格を持つエステルでは、べたつき感が生じ易く、良好な使用感が得られないなど、多価アルコールアルキレンオキシド誘導体の脂肪酸エステルが汎用の乳化剤であるとはいえ、化粧料の配合成分としての観点からは、必ずしも満足のいくものは得られていない。
【特許文献1】特許第3575721号公報
【特許文献2】特開平8−301725号公報
【特許文献3】特開平8−92032号公報
【特許文献4】特開2005−239587号公報
【特許文献5】特開2005−97284号公報
【特許文献6】特開2005−104854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、長期にわたる乳化安定性に優れ、化粧料など各種製剤への配合成分として好適な非イオン性界面活性剤を見出し、この界面活性剤を配合することによって、保湿効果及び使用感に優れ、経時的に不快な臭気を発生せず、さらに化粧料がエマルジョン系である場合には、長期にわたる乳化安定性に優れる化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
(1) 下記の成分A)を、組成物全量に対し0.01〜50重量%の割合で含有することを特徴とする化粧料組成物。
A) 式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Zは炭素数5以上、かつ水酸基を5個以上有する多価アルコール残基、aは5≦aを満たし、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基又は水素原子で、エステル化率は15〜85%である。m及びnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦10、m/(m+n)≧0.8を満たす。)
(2)式(I)中、Zがソルビトール残基、n=0である、上記(1)に記載の化粧料組成物。
(3)下記B)及びC)を、組成物全量に対しB)0.01〜90重量%、及びC)0.01〜30重量%含有する、上記(1)又は(2)に記載の化粧料組成物。
B) エモリエント剤
C) 多価アルコール
(4)スキンケア化粧料組成物である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の化粧料組成物。
(5)メークアップ化粧料組成物である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の化粧料組成物。
【発明の効果】
【0009】
式(I)で表される非イオン性界面活性剤は、優れた乳化ないし可溶化能を有し、形成されるエマルジョンは長期にわたって安定であり、経時的に不快な臭気が発生することもないためとくに化粧料への使用に適する。この非イオン性界面活性剤を配合した化粧料は、優れた保湿効果と良好な使用感を有し、経時的に不快な臭気が発生することもなく、とくに該非イオン性界面活性剤を配合した化粧料がO/W型などのエマルジョン系である場合には、長期にわたって安定なエマルジョン系が保持されるなど、極めて有用である。
さらに、化粧料落とし時には、本発明の非イオン性界面活性剤が化粧料中の油性成分や皮脂とのなじみがよいため、洗浄前に拭き取りをしないでも水で容易に洗い流すことができ、洗浄後にべたつきが残らずさっぱりとした使用感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の非イオン性界面活性剤は、以下の式(I)、
【0011】
【化2】

【0012】
によって表されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルである。
式中、Zは炭素数5以上、かつ水酸基を5個以上有する多価アルコール残基を意味する。炭素数の好ましい範囲は5〜12、水酸基数の好ましい範囲は5〜12個であり、具体的には、例えばペンチトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトールなどの多価アルコールの残基が挙げられ、 その中でもソルビトール残基が好ましい。
直鎖のポリエチレングリコール、グリセリン、あるいはソルビタンのような、炭素数又は水酸基数が5より少ない場合は化粧料に配合したときに充分な保湿効果が得られず、グルコースやスクロースなど水酸基以外の酸素原子を含有する炭化水素は、べたつき感が生じ易く、好ましくない。
EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基である。
Rはイソステアリン酸残基又は水素原子である。 本発明においてイソステアリン酸とは、16−メチルへプタデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−オクチルデカン酸など主鎖の任意位置に分岐構造を有する炭素数18の脂肪酸を意味し、Rはこれら脂肪酸のうち1種由来でも2種以上の脂肪酸由来であってもよい。
Rをイソステアリン酸以外の脂肪酸の残基、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、あるいはステアリン酸などの残基に変えると、 化粧料に配合したときに、べたつき感やつっぱり感が生じ易く、使用感も優れず、オレイン酸残基に変えると、臭気の経時安定性に欠けるなどのため好ましくない。
多価アルコールの全水酸基に対してエステル化される水酸基の個数の割合(エステル化率)は、15〜85%程度のものがよく、30〜80%程度が好ましい。85%より高いと、保湿効果が劣る傾向にあり、15%より低いと、可溶化性能が劣る傾向にある。
【0013】
aは5≦aを満たし、5≦a≦12が好ましい。
m及びnは1水酸基あたりのオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数であり、1≦m+n≦10、m/(m+n)≧0.8、好ましくは1≦m+n≦8、かつn=0である。したがって、式(I)のポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル中のオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の総付加モル数は5以上である。
m+nが1より少ない場合、又は10より多い場合、所期の使用感が得られない。また、m/(m+n)が0.8より小さいと油性が強くなるため、水中油型製剤への配合において好ましくない。オキシエチレン基とオキシプロピレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。
式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルはオキシアルキレン基の付加モル数及びエステル化率によりHLBを調整でき、HLBによって、乳化剤とも可溶化剤ともなり得る。
【0014】
式(I)のポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルは、常法によって製造することができる。例えば、ポリオールにアルキレンオキシドを付加反応して得られたポリオキシアルキレンポリオールとイソステアリン酸とのエステル化反応や、低級アルコールのイソステアリン酸エステルとのエステル交換反応で得ることができる。供給原料のモル比などの変動によってエステル化の割合を調整することにより、任意のHLBとすることができる。
反応温度、時間、触媒などの反応条件は、ポリオールとアルキレンオキシドの付加反応やエステル交換反応における公知の条件をいずれも採用することができる。
【0015】
本発明の化粧料組成物は、式(I)で表される非イオン性界面活性剤をA成分として、化粧料組成物全量に対し0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%含有する。0.01重量%より少ないと、エマルジョン製剤としたときの安定性が必ずしも良好でなく、50重量%を超えると、使用感を損なうことがあるため好ましくない。式(I)の界面活性剤は1種又は2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
本発明の化粧料組成物におけるB成分であるエモリエント剤は、炭化水素、合成トリグリセリド、油脂、合成エステル油、もしくは長鎖一価アルコールから選択される。炭化水素としては、例えば、ワセリン、スクワラン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、流動イソパラフィン、パラフィンワックス、ポリイソブテン、水添ポリブテン、セレシン、ミネラルオイルなどが挙げられる。合成トリグリセリドとしては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、べヘン酸、アラキドン酸、エルカ酸などの炭素数6以上の高級脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。また、油脂としては、例えば、ラノリン、キャンデリラノロウ、ミツロウ、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、オリーブ油、トウモロコシ油、落花生油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、ホホバ油、ひまわり油、マカダミアナッツ油、ツバキ油、茶実油、綿実油、シソ油、サフワラー油、キョウニン油、カルナウバロウ、牛脂、豚脂などが挙げられる。合成エステル油としては、例えば、セバシン酸ジエチル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸コレステリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、ラノリン脂肪酸イソプロピル、乳酸ミリスチルなどが挙げられる。さらに、長鎖一価アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、べヘニルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロールなどの、炭素数14以上の長鎖一価アルコールが挙げられるが、これら1種又は2種以上用いてもよい。この中でも炭化水素又は油脂が好ましい。
【0017】
エモリエント剤の、化粧料組成物全量に対する配合量は0.01〜90重量%、好ましくは1〜80重量%である。より好ましくは5〜50重量%、0.01重量%より少ないと、良好な使用感と保湿効果が得られず、90重量%より多いと安定なエマルジョンが得られない場合があり、好ましくない。
【0018】
本発明の化粧料組成物におけるC成分である多価アルコールは、分子内に水酸基を2個以上有する水溶性の化合物であり、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチルー1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、キシリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、トレハロース、グルコース、メチルグルコシド、アルキルグルコシド及びこれらのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。好ましくは、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、メチルグルコシド及びこれらのエチレンオキシド付加物である。また、これらを1種又は2種以上用いてもよい。
多価アルコールの、化粧料組成物全量に対する配合量は0.01〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。0.01重量%より少ないと、良好な保湿効果が得られず、30重量%より多いと安定なエマルジョンが得られない場合があり、好ましくない。
【0019】
本発明の化粧料組成物においては、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記A、B、C成分のほかの、化粧品、医薬品などに一般的に用いられている各種成分、すなわち、前記以外の各種油性成分、多価アルコール類以外の保湿剤、増粘剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、式(I)以外の非イオン界面活性剤、金属イオン封鎖剤、エタノール、水溶性高分子物質、紫外線吸収剤、殺菌剤、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、有機・無機色素ないし顔料、などを適宜に配合することができる。
【0020】
そのうち、多価アルコール類以外の保湿剤としては、アスパラギン酸・アルギン酸・アラニン・グリシン・シスチン・システイン・セリン・アルギニン・リシン等のアミノ酸類、尿素、乳酸塩、リボ核酸塩、ムコ多糖類、ヒアルロン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、キトサン、アシタバ・アルテア・アロエ・カリン・キイチゴ・キュウリ・クインスシード・ゼニアオイ・ヘチマ・ユリ・リンゴ・海藻等の植物エキス、オイスターエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー、ラクトフェリンなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を適宜に組み合わせて配合することができる。
【0021】
増粘剤としては、カラギーナン、アルギン酸又はその塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を適宜に組み合わせて配合することができる。
その他の配合成分も、目的とする化粧料の種類ないし機能に応じて、適宜の成分を適宜の配合量で使用することができる。
【0022】
本発明の化粧料組成物は、例えば、化粧水、乳液、クリーム、マッサージ料、美容液、リップクリーム、パック、日焼け止め料等のスキンケア化粧料; 化粧下地、ファンデーション、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料;マニキュア、ペディキュア、除光液等のネイルケア化粧料;ヘアローション、ヘアクリーム、トニック、養毛・育毛剤、リンス、トリートメント、カラーリング剤などのヘアケア化粧料;ボディペインティング剤、制汗剤等のボディケア化粧料;フレグランス化粧料などの形態を適宜選択することができ、その剤型は、液状、乳液状、固形状、ペースト状、ゲル状等のいずれでもよい。
各化粧料組成物は、常法によって製造することができる。
【0023】
以下に、実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
各実施例において使用するA(A’)成分において、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数は、化合物中の総付加モル数を示す。
【実施例1】
【0024】
<合成例 テトライソステアリン酸POE(30)ソルビトールの合成例>
ソルビトール182gと触媒として水酸化カリウム4.5gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド1320gを滴下させ、2時間撹拌した。その後オートクレーブから反応組成物を取り出し、リン酸で中和してポリオキシエチレン(30)ソルビトールを得た。水酸基価は225であった。
得られたポリオシエチレン(30)ソルビトール1500gとイソステアリン酸(EMERSOL874;コグニス社製)1140gを200℃にて6時間反応させ、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビトールを得た。水酸基価45であることからエステル化率66.7%であった。
合成例に準じて本発明例のポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル及び比較物質を合成した。
【実施例2】
【0025】
本発明の化粧料1〜7、比較例1〜11
表1に示すとおりに、A成分として請求項1記載の化合物、A’成分として比較物質、及びB成分、C成分を選定して、乳液を調製した。
油相部:
(A)及び(A’)成分 表1参照
(B)成分 表1参照
香料 0.1重量%
防腐剤 0.1重量%
水相部:
(C)成分 表1参照
カルボキシビニルポリマー 0.1重量%
水 残部
【0026】
<乳液調製方法>
油相部、及び本発明の非イオン性界面活性剤もしくは比較物質を70℃に加温し均一に溶解した後、撹拌しながら水相部を同温度で添加した。
【0027】
<評価方法及び評価基準>
(1)乳液の安定性
50℃で1週間保管後の乳化状態を下記基準にて、目視で測定を行った。評価結果は表1に示す。
◎:エマルジョンが細かく安定な状態
○:安定な状態
△:やや不均一な状態
×:多少分離している状態
平均値から、○以上を安定性に優れていると判断した。
【0028】
(2)使用感
使用感について、男女計20名の専門パネルによる官能評価を行った。上腕部を石鹸で洗浄した後に、調製した乳液を塗布している間の感触を、下記評価点基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
5:のびが非常によく、非常に軽い感触
4:のびがよく、軽い感触
3:のびがやや悪く、少しひっかかる感触
2:のびが悪く、重い感触
1:のびが非常に悪く、非常にひっかかる感触
平均値から3.5以上を感触に優れていると判断した。
【0029】
(3)保湿効果
保湿効果について、男女計20名の専門パネルによる官能評価を行った。前述の使用感の評価に引き続き、塗布後1時間後の保湿感について、下記評価点基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
5:かさつきが全くなく、十分にうるおっている状態
4:かさつきがなく、うるおっている状態
3:かさつきが若干あり、うるおいが少したりない状態
2:かさつきがあり、うるおいがたりない状態
1:かさつきがひどく、うるおいが十分にたりない状態
平均値から3.5以上を保湿効果に優れていると評価した。
【0030】
(4)臭気の経時安定性
40℃にて3ヶ月間放置し、その臭気の安定性を下記の基準で評価した。10名の官能評価から、○以上を経時安定性に優れていると評価した。
◎:10名中、8名以上が劣化臭がないと評価。
○:10名中、6〜7名が劣化臭がないと評価。
△:10名中、3〜5名が劣化臭がないと評価。
×:10名中、2名以下が劣化臭ないと評価。
【0031】
【表1】

【0032】
実験結果から、本発明の非イオン性界面活性剤を用いた製剤は、洗浄効果、使用感、保湿効果、臭気の経時安定性すべての性能を満足していたが、比較例の製剤、すなわちA成分における脂肪酸がイソステアリン酸以外のもの(比較例1、2)、POEの総付加モル数が5より少ないもの(比較例8)、多価アルコールが分子中に水酸基以外の酸素原子を有するもの(比較例3、4)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系のもの(比較例5)、多価アルコールの炭素数が3であるもの(比較例6、7、9)、 及びA成分の配合量が50重量%を超えるもの(比較例10、11)は、いずれもこれらの性能の全てを満たすものではないことが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分A)を、組成物全量に対し0.01〜50重量%の割合で含有することを特徴とする化粧料組成物。
A) 式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル

(式中、Zは炭素数5以上、かつ水酸基を5個以上有する多価アルコール残基、aは5≦aを満たし、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基又は水素原子で、エステル化率は15〜85%である。m及びnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦10、m/(m+n)≧0.8を満たす。)
【請求項2】
式(I)中、Zがソルビトール残基、n=0である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
下記B)及びC)を、組成物全量に対しB)0.01〜90重量%、及びC)0.01〜30重量%含有する、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
B) エモリエント剤
C) 多価アルコール
【請求項4】
スキンケア化粧料組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
メークアップ化粧料組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2007−99649(P2007−99649A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289335(P2005−289335)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】