説明

化粧料

【課題】劈開性を有する薄片状シリカおよび含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を化粧料に含有することにより、肌に密着し、テカリだけでなく、よれ、とれ等の化粧崩れを防止する事ができ、化粧持ちに優れた化粧料を提供する。
【解決手段】(a)下記式(1)で表される劈開性パラメーターCが2以上であることを特徴とする薄片状シリカ、および(b)含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を化粧料に含有する。C=d1/d2 (1)ただし、式1中、d1は薄片状シリカ二次粒子の厚み、d2は薄片状シリカ一次粒子の厚みである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧持続性に優れた化粧料に関する。さらに詳しくは、劈開性を有する薄片状シリカおよび含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を含有することにより、肌に密着し、化粧持続性に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を配合する化粧料形態として、ファンデーション、ほほ紅、アイブロウ、アイシャドウ、ボディパウダー、日焼け止め化粧料等がある。近年、これらの化粧料について、化粧持続効果、日焼け止め持続効果に対する要求が非常に高まっている。
【0003】
化粧崩れは主に肌上に生じた汗、皮脂によってもたらされる。メカニズムとしては、(1)化粧膜が汗や皮脂になじんでテカリを生じ、(2)さらに生じた汗や皮脂によって化粧膜が肌から浮き上がり、(3)化粧膜がよれたり、衣服の接触等による物理的要因によってとれる、の3段階からなっている。
【0004】
そのため、従来より、化粧崩れを防止するために、(a)吸油量の大きい粉体を化粧料に含有して、肌上に生じた汗や皮脂を吸収する(特許文献1〜7)、(b)粉体表面を含フッ素化合物で表面処理して、粉体に撥水撥油性を付与し、汗や皮脂になじまないようにする(特許文献8〜12)ことが検討されている。
【0005】
【特許文献1】特開平04−117315
【特許文献2】特開平04−187612
【特許文献3】特開平04−305511
【特許文献4】特開平11−349430
【特許文献5】特開平11−349444
【特許文献6】特開平11−349445
【特許文献7】特開2001−261547
【特許文献8】特公昭61−55481
【特許文献9】特公昭61−48803
【特許文献10】特公平05−86984
【特許文献11】特開平02−218603
【特許文献12】特開平04−193816
【0006】
しかしながら、高吸油性粉体を化粧料に含有しても、ある程度のテカリを抑制することはできるものの、これらの粉体は概して肌への付着性や密着性が低く、よれやとれ等の化粧崩れを防止する効果は十分ではない。また、特許文献8〜12で示されているように含フッ素化合物で表面処理した粉体を化粧料に含有しても、汗や皮脂になじまないものの、肌への付着性、密着性が低いため、よれやとれ等が生じやすいという問題点があった。
【0007】
すなわち、従来の手法では、テカリはある程度抑制することが出来るものの、よれ、とれ等の化粧崩れを十分に防止することはできないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、テカリやよれ、とれ等の化粧崩れを防止することができ、化粧持ちに優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、劈開性を有する薄片状シリカおよび含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を化粧料に含有すれば、テカリやよれ、とれ等の化粧崩れを防止することが出来ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(a)下記式(1)で表される劈開性パラメーターCが2以上であることを特徴とする薄片状シリカ、および(b)含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を含有することにより、テカリやよれ、とれ等の化粧崩れを防止する効果に優れた化粧料を提供するものである。
【0011】
C=d1/d2 (1)
ただし、式1中、d1は薄片状シリカ二次粒子の厚み、d2は薄片状シリカ一次粒子の厚みである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料の考え方を応用すれば、テカリだけでなく、よれ、とれ等の化粧崩れを十分に防止できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明は、(a)下記式(1)で表される劈開性パラメーターCが2以上であることを特徴とする薄片状シリカ、および(b)含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を含有することを特徴とした化粧料である。
【0014】
C=d1/d2 (1)
ただし、式1中、d1は薄片状シリカ二次粒子の厚み、d2は薄片状シリカ一次粒子の厚みである。
【0015】
本発明での薄片状シリカは、一次粒子が層状に積層して二次粒子を形成しており、上記式(1)で表される劈開性パラメーターCが2以上であることを特徴としている。ここでd1、d2の求め方は、薄片状シリカ粒子の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、シリカ一次粒子の厚みd2、および二次粒子の厚みd1を測定することによって行う。なお劈開性パラメーターCを求める際には、ばらつきを避けるため、無作為に抽出した10個のサンプルについて測定を行い、その平均値を求める。このようにして求めた劈開性パラメーターCが2以上であれば、この薄片状シリカを配合した化粧料を肌に塗布した際、薄片状シリカが劈開性を示し、肌に均一に付着することができる。そのため、肌への密着性が向上し、よれ、とれ等の化粧崩れを防止することができる。
【0016】
薄片状シリカの厚みは、機械的強度や化粧料に配合した際の仕上がりの観点から、二次粒子の厚みが0.01〜2μmが好ましい。二次粒子の厚みが0.01μm未満では、機械的強度が十分ではなく、化粧料に配合した際に破砕されやすい。また2μmよりも大きくなると、肌に塗布した際に白浮きを生じやすく、不自然な仕上がりとなる。
【0017】
薄片状シリカの大きさは、肌に塗布した際の密着性の観点から、下記式(3)で表されるアスペクト比Dが20以上が好ましい。ここでd1、d3の求め方は、劈開性パラメーターCを求める場合と同様に、薄片状シリカ粒子の面および断面を走査型電子顕微鏡で観察し、薄片状シリカ二次粒子の厚みd1および薄片状シリカ二次粒子の面方向の長さd3を測定することによって行う。なおアスペクト比Dを求める際には、ばらつきを避けるため、無作為に抽出した10個のサンプルについて測定を行い、その平均値を求める。このようにして求めたアスペクト比Dが20未満では、肌への密着性が劣るため好ましくない。
【0018】
D=d3/d1 (3)
ただし、式3中、d1は薄片状シリカ二次粒子の厚み、d3は薄片状シリカ二次粒子の面方向の長さである。
【0019】
さらに、本発明の薄片状シリカにおいて、肌上に生じた汗や皮脂によるテカリを防止する観点から、吸油量は大きいほうが良い。その目安として、JIS K5101による測定において、アマニ油をスクワランに置換した場合、吸油量が100ml/100g以上であることが好ましい。吸油量が100ml/100g以上であれば、汗や皮脂によるテカリを効果的に防止することができる。
【0020】
この薄片状シリカの化粧料への配合量としては、0.5〜10重量%が好ましい。0.5重量%未満では化粧崩れ防止効果が十分ではなく、10重量%を越えて配合しても効果の増強は望めず、逆に化粧料中のバインダーを吸収することにより化粧料の安定性が損なわれる。
【0021】
本発明の(b)成分に用いられる粉体としては、通常化粧料として用いられるものであれば全て適用できる。例えばタルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、ケイ酸、無水ケイ酸、アルミナ、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、金属石鹸、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青などの無機粉体、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、セルロース、アセチル化セルロース、ポリウレタン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂、シルクパウダーなどの樹脂粉末、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、青色1号、緑色3号などの有機系色素およびそのレーキ塩が挙げられる。また、2種以上の粉体およびこれらの複合体を用いても構わない。同様に粉体の形状、粒径に関しても、特に限定されない。
【0022】
これらの粉体は、公知の方法により事前に表面処理されていてもいなくても構わない。表面処理の方法としては例えば、油剤処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、アミノ酸処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理などが挙げられる。
【0023】
本発明の(b)成分で用いられる含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル類およびその塩類、パーフルオロアルキルシラン類、パーフルオロアルキルシラザン類、パーフルオロポリエーテル類、パーフルオロポリエーテルリン酸類およびその塩類、パーフルオロアクリレート類、四フッ化エチレン樹脂、パーフルオロアルコール、パーフルオロ硫酸塩、パーフルオロカルボン酸塩、含フッ素シリコーン類等が挙げられる。
【0024】
その中でも、一般式(2)[式中、R1は同種または異種の炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基、R2は−R5−Rf(式中、R5は炭素数2〜6の二価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を示す。)、R3は−R5−SiX(式中、Xは炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲンを示す。)、R4はR1またはR2またはR3のいずれかであり、l、m、nは整数であって、l=0〜500、m=1〜500、n=1〜500である。]で表される含フッ素シリコーンが好ましい。なお、一般式(1)で表される含フッ素シリコーンの構造単位の配列は、交互でもブロックでもランダムでもよい。具体的には、R1としては、CH、C、C、CH(CH、C、CHCH(CH)CH、C(CH、C13、Cなどが、R5としては、C、C、C、CHCH(CH)CH、CHCHCH(CH)、C12などが、Rfとしては、CF、C、C、C13、C17、C1225などが、Xとしては、OCH、OC、OC、OCH(CH、OC、OCHCH(CH)CH、OC(CH、Cl、Brなどが挙げられる。
【0025】
(式2)

【0026】
本発明で用いる含フッ素化合物処理において、含フッ素化合物の添加量は、粉体および含フッ素化合物の種類によって異なるが、基材粉体の重量に対して1〜50重量%が好ましい。1重量%未満では化粧崩れ防止効果が十分ではなく、50重量%を越えて処理しても効果の増強は望めない。
【0027】
本発明の(b)成分で用いられる表面処理の手法としては、湿式法、乾式法などが挙げられる。本発明でいう湿式法とは、粉体を適当な溶剤に分散させ、含フッ素化合物および必要に応じて酸またはアルカリを添加し、撹拌混合後溶剤を除去し、乾燥、場合によっては粉砕して得られる手法を指す。溶剤の例としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン、環状シリコーン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、水などが挙げられる。また、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などが、アルカリとしては、アンモニア、ピリジン、アミンなどが挙げられる。また、乾式法とは、ヘンシェルミキサー、ジェットミル、ボールミル、スーパーミキサーなどの撹拌混合装置で粉体を混合しながら、含フッ素化合物をそのまま、または適当な溶剤に希釈して添加し、撹拌混合後乾燥、場合によっては粉砕して得られる手法を指す。含フッ素化合物を希釈する溶剤としては、湿式法による処理で挙げた溶剤を用いることができる。その他、スプレードライ法、流動造粒法などが挙げられるが、いかなる方法であれ、含フッ素化合物が基材粉体表面に被覆されていれば構わない。
【0028】
(b)成分の処理粉体は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。化粧料への配合量としては、1〜85重量%が好ましい。1重量%未満では本発明の効果である化粧持続効果が十分ではなく、85重量%を越えて配合しても効果の増強は望めない。
【0029】
本発明の化粧料のその他の成分としては、目的とする化粧料の形態に応じて、通常の化粧料に配合される成分から選択して用いることができる。これらの成分としては、例えば油分としては、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、軽質イソパラフィン、重質流動イソパラフィンなどの各種炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのロウ類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、オレイン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、イソノナン酸イソデシル、コハク酸ジオクチル、乳酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソステアリル、ステアリン酸コレステリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリットなどのエステル類、オリーブ油、ホホバ油、水添ホホバ油、アボガド油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、ラノリンなどの油脂類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、架橋型メチルシロキサン、架橋型メチルフェニルシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどのシリコーン、フルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロアルコールなどのフッ素化合物などが挙げられる。
【0030】
その他の成分としては、各種ポリマー、(a)成分、(b)成分以外の無機粉体および有機粉体、界面活性剤、多価アルコール、エタノール、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、香料、紫外線吸収剤、殺菌剤、保湿剤、制汗剤、水などが挙げられ、本発明の目的を損なわない範囲内で配合可能である。
【0031】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
(表面処理1)
セリサイト100gをトルエン200gに分散させた後、式(3)に示す構造を有する含フッ素シリコーン5gを加え、80℃で2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去し、乾燥、粉砕して表面処理セリサイトを得た。同様にして、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタンを表面処理した。
【0033】
(式3)

【0034】
(表面処理2)
セリサイト100gをキシレン200gに分散させた後、式(4)に示す構造を有する含フッ素シリコーン10gを加え、100℃で2時間撹拌した。その後、キシレンを減圧留去し、乾燥、粉砕して表面処理セリサイトを得た。同様にして、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタンを表面処理した。
【0035】
(式4)

【0036】
(表面処理3)
セリサイト100gをトルエン200gに分散させた後、式(5)に示す構造を有するパーフルオロアルキルシラン5gを加え、80℃で2時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去し、乾燥、粉砕して表面処理セリサイトを得た。同様にして、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタンを表面処理した。
【0037】
17Si(OC (5)
【0038】
(表面処理4)
大東化成工業製のパーフルオロアルキルリン酸エステル塩処理セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタンをもって表面処理4とした。
【0039】
(表面処理5)
東色ピグメント製のメチルハイドロジェンポリシロキサン処理セリサイト、タルク、マイカ、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタンをもって表面処理5とした。
【0040】
次に、本発明の劈開性シリカおよび含フッ素化合物処理粉体を配合した化粧料の実施例について説明する。なお、成分の配合割合は重量%である。
【実施例1】
【0041】
(パウダーファンデーション)
表面処理1の処理粉体を使用し、表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。製法は次の通りである。
【0042】
(製法)
表1の粉体をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、残りの成分を混合したものを添加、混合した後、再び粉砕してふるいに通した。これを金皿に圧縮成型してパウダーファンデーションを得た。
【実施例2】
【0043】
(パウダーファンデーション)
表面処理2の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【実施例3】
【0044】
(パウダーファンデーション)
表面処理3の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【実施例4】
【0045】
(パウダーファンデーション)
表面処理4の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【0046】
(比較例1)
(パウダーファンデーション)
表面処理1の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【0047】
(比較例2)
(パウダーファンデーション)
表面処理1の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【0048】
(比較例3)
(パウダーファンデーション)
表面処理5の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【0049】
(比較例4)
(パウダーファンデーション)
表面処理5の処理粉体を使用し、実施例1と同様の方法で表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
【0050】
【表1】

薄片状シリカ*1:劈開性パラメーターC 10、吸油量190ml/100g
薄片状シリカ*2:劈開性パラメーターC 2、吸油量110ml/100g
薄片状シリカ*3:劈開性パラメーターC 6、吸油量145ml/100g
薄片状シリカ*4:劈開性パラメーターC 1、吸油量125ml/100g
球状シリカ*5 :吸油量70ml/100g
【0051】
次に、上記のようにして得られた実施例1〜4および比較例1〜4のパウダーファンデーションについて、女性パネラー10名に塗布してもらい、2時間後にテカリの評価を、4時間後によれの評価を行った。また、よれの評価を行った後にティッシュで肌を軽く押さえ、とれの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0052】
(評価方法)
<テカリ、よれ、とれの抑制効果>
10人の専門パネラーにより官能評価を行い、(1)の評価基準を用いて7段階に評価し、その平均値を(2)に示す基準で評価した。
(1)
7点:抑制効果が非常に高い
6点:抑制効果が高い
5点:抑制効果がやや高い
4点:普通
3点:抑制効果がやや低い
2点:抑制効果が低い
1点:抑制効果が非常に低い
(2)
◎:6点以上
○:4点以上6点未満
△:3点以上4点未満
×:3点未満
【0053】
【表2】

【0054】
表2から明らかなように、本発明のパウダーファンデーション(実施例1〜4)は、本発明の薄片状シリカおよび含フッ素化合物処理粉体を配合することにより、化粧持ちが極めて良好なものであった。特に、特定の含フッ素シリコーンで表面処理した粉体を使用した実施例1および実施例2はテカリ、よれの抑制効果に非常に優れていた。それに対して、比較例1および2のパウダーファンデーションはよれ、とれの抑制効果に劣った。また、比較例3および4のパウダーファンデーションはテカリ、よれ、とれともに抑制効果が不十分であった。このことから、本発明の薄片状シリカおよび含フッ素化合物処理粉体を合わせて配合することの必然性が明らかとなった。
【0055】
実施例5 乳化型ファンデーション
表面処理1の処理粉体を使用し、目的の乳化型ファンデーションを得た。
(製法)
油相を室温にて均一溶解した後、これに粉体を添加し、ホモミキサーで分散させる。これに水相を撹拌しながら添加して乳化し、乳化型ファンデーションを得た。
組成(重量%)
1 表面処理タルク 2.0
2 表面処理酸化チタン 5.0
3 表面処理ベンガラ 0.4
4 表面処理黄酸化鉄 1.4
5 表面処理黒酸化鉄 0.2
6 薄片状シリカ*6 0.5
7 ポリメチルメタクリレート 3.5
8 メチルフェニルポリシロキサン 14.0
9 デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
10 ポリエーテル変性シリコーン 2.0
11 ポリオキシエチレンエーテルリン酸 0.2
12 エタノール 6.0
13 水 44.4
14 防腐剤 0.3
15 香料 0.1
薄片状シリカ*6:劈開性パラメーターC 5、吸油量145ml/100g
【0056】
実施例6 ほほ紅
表面処理1の処理粉体を使用し、実施例1と同様にして目的のほほ紅を得た。
組成(重量%)
1 表面処理タルク 55.6
2 表面処理マイカ 20.0
3 表面処理酸化チタン 5.0
4 表面処理ベンガラ 2.0
5 薄片状シリカ*7 5.0
6 スクワラン 8.0
7 ジメチルポリシロキサン 1.0
8 メチルフェニルポリシロキサン 3.0
9 防腐剤 0.3
10 香料 0.1
薄片状シリカ*7:劈開性パラメーターC 5、吸油量145ml/100g
【0057】
実施例7 パウダーアイシャドウ
表面処理1の処理粉体を使用し、実施例1と同様にして目的のパウダーアイシャドウを得た。
組成(重量%)
1 表面処理タルク 28.0
2 表面処理マイカ 42.6
3 シリコーン処理セリサイト 10.0
4 シリコーン処理ベンガラ 1.0
5 シリコーン処理黄酸化鉄 2.0
6 薄片状シリカ*8 2.0
7 トリオクタン酸グリセリル 6.0
8 メチルフェニルポリシロキサン 8.0
9 防腐剤 0.3
10 香料 0.1
薄片状シリカ*8:劈開性パラメーターC 6、吸油量170ml/100g
【0058】
実施例8 プレストパウダー
表面処理1の処理粉体を使用し、実施例1と同様にして目的のプレストパウダーを得た。
組成(重量%)
1 表面処理セリサイト 20.0
2 表面処理タルク 47.9
3 表面処理ベンガラ 0.2
4 表面処理黄酸化鉄 0.5
5 表面処理酸化チタン 3.0
6 薄片状シリカ*9 10.0
7 雲母チタン 5.0
8 ポリメチルシルセスキオキサン 5.0
9 トリオクタン酸グリセリル 4.0
10 ジメチルポリシロキサン 4.0
11 防腐剤 0.3
12 香料 0.1
薄片状シリカ*9:劈開性パラメーターC 8、吸油量180ml/100g
【0059】
実施例5〜8で得られた化粧料はいずれも化粧持ちが極めて良好なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上の説明のように、本発明によれば、肌への化粧料の密着性を上げることができ、テカリだけでなく、よれ、とれ等の化粧崩れを防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(1)で表される劈開性パラメーターCが2以上であることを特徴とする薄片状シリカ、および(b)含フッ素化合物で表面処理して得られる粉体を含有する化粧料。
(式1)
C=d1/d2 (1)
ただし、式1中、d1は薄片状シリカ二次粒子の厚み、d2は薄片状シリカ一次粒子の厚みである。
【請求項2】
薄片状シリカの吸油量測定(JIS K5101測定法による)において、アマニ油をスクワランに置換した場合、吸油量が100ml/100g以上である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
含フッ素化合物が一般式(2)[式中、R1は同種または異種の炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基、R2は−R5−Rf(式中、R5は炭素数2〜6の二価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基を示す。)、R3は−R5−SiX(式中、Xは炭素数1〜4のアルコキシル基またはハロゲンを示す。)、R4はR1またはR2またはR3のいずれかであり、l、m、nは整数であって、l=0〜500、m=1〜500、n=1〜500である。]で表される含フッ素シリコーンである請求項1または2記載の化粧料。
(式2)


【公開番号】特開2006−206512(P2006−206512A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21572(P2005−21572)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】