説明

化粧有効成分の製造方法

式I


[式中、Rは、水素であるか、または、鎖もしくは環のどこかに酸素、窒素もしくはイオウのようなヘテロ原子を含有するかまたは非含有の直鎖状、分枝状または環状のC1−6アルキル基である]の化合物を製造するために、式IIの化合物と、水素または水から選択された水素源とを、ニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択された少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下、3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体中、7.0よりも低いpHで反応させる式Iの化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【0002】
【化3】

[式中、Rは、水素であるか、または、鎖もしくは環のどこかにヘテロ原子(酸素、窒素もしくはイオウ)を含有するかまたは非含有の直鎖状、分枝状または環状の炭素原子数1−6のアルキル基である]
の化合物を高収率及び高純度で製造するための、式II
【0003】
【化4】

【0004】
の化合物を出発材料とする新規な方法に関する。
【0005】
本発明は、化粧組成物の製造に役立つ化合物の製造に特に有用である。
【背景技術】
【0006】
レゾルシノール及びその誘導体は多様な用途を有している。レゾルシノールの最大消費量はタイヤ産業にあり、タイヤに好ましい硬化樹脂がレゾルシノールを基材とする。レゾルシノール及びその誘導体の別の価値付加用途は化粧品にある。2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのようないくつかの化合物は日光防御用途でまたは日光防御効果のある組成物に使用されている。
【0007】
アルキル及びアリールレゾルシノールは治療剤及び防腐剤として有効な特性を有すると報告されている。特に、4−アルキルレゾルシノールは、ヒトの皮膚に塗布されたときに低毒性及び低炎症性でありながら皮膚美化効果を有していると報告されている。4−n−ブチルレゾルシノールのようなアルキルレゾルシノールは、皮膚用のクリーム及びローションに使用され、良好な漂白効果及び抗菌効果を有すると主張されている。2−アルキルレゾルシノール(そのアルキル基は線状である)は皮膚の色素沈着防止性を有すると報告されている。
【0008】
Synthetic Communications 15(14),1315−24(1985)は、メタノール媒体中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノンとボロシアノ水素化ナトリウムとの反応による4−エチルレゾルシノールの製造方法を記載している。この方法は工業規模で実用化することが難しく、また、費用効果もよくない。その理由は、ボロシアノ水素化ナトリウムが触媒でなく反応体の1つなので反応によって大量の副生物が産生し、これらを環境的に安全なやり方で処分するのが難しいからである。
【0009】
式IIの化合物を出発材料として式Iの化合物を製造するために亜鉛及び水銀の化合物を使用することについては多くの刊行物が記載している。J.Am.Chem.Soc.,52,4866−82(1930)は、塩酸溶液中で2,4−ジヒドロキシアセトフェノンをZn及び塩化水銀と反応させることによって4−エチルレゾルシノールを82%の収率で製造した方法を報告している。Rec.trav.Chim.50,848−50(1931)は、式中のRが炭素鎖長5の直鎖状アルキル基を表す式Iの化合物がZn及び希塩酸の存在下の対応するケトンの反応によって84%の収率で製造されたことを記載している。Acad.Rep.Populare Romine.Studii cercetari chim.,3,13−18(1955)は、Zn及び塩化水銀を触媒として使用することによって同じ生成物が収率71%で製造されたと報告している。上記の諸方法は工業的に実用化ができない。その理由は、方法が、環境に悪く処分が難しい有毒な水銀含有化学物質の使用を含むからである。
【0010】
Tr.Tallin.Politekhn.In−ta(543)78−83(1983)は、塩酸の存在下で2,4−ジヒドロキシアセトフェノンから4−エチルレゾルシノールを製造することを報告している。これは無触媒反応である。報告された最高収率は42%でしかなく、従って工業化の採算が合わない。
【0011】
Australian Journal of Chemistry,22(3),601−5(1969)は、2,4−ジヒドロキシアセトフェノンと水素化ホウ素ナトリウムとの反応による4−エチルレゾルシノールを製造することを記載している。これは無触媒反応である。この反応は工業的に実用化できない。その理由は大量の水素化ホウ素ナトリウムを使用する必要があり、下流で精製の問題が生じるからである。
【0012】
Journal of Medicinal Chemistry 29(5),606−11(1986)には、14という極めて長い炭素鎖長をもつ式Iの化合物がパラジウムを触媒として使用し対応する式IIの化合物と水素ガス及び酢酸とをエタノール媒体中で反応させることによって製造できると報告されている。この反応では所望の生成物の産生収率が不十分であり、また、反応速度が時間の経過に伴って次第に低下する。
【0013】
J.Am Chem.Soc.(1939),61,249−54は、パラジウム触媒によるジヒドロキシアセトフェノンの還元では4−エチルレゾルシノールが不十分な収率でしか産生されないのでこの研究が伸展しなかったことを記載している。
【0014】
従って当業界では、式Iの化合物を高収率及び高純度で製造する方法、従って工業的実用化が可能な方法を開発する必要性が痛感されている。本発明の発明者らは、ニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択された少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下で式IIの化合物を水素源と反応させることによって式Iの化合物を極めて高い収率及び純度で製造できることを知見した。
【発明の開示】
【0015】
従って本発明の目的は、式Iの化合物を高収率及び高純度で製造することである。
【0016】
本発明の別の目的は、一段階反応で、従って反応容器が1つだけ必要で、式Iの化合物を高収率及び高純度で製造することである。
【0017】
本発明の別の目的は、経済的な価格で容易に入手できかつ容易にリサイクルできるのでより経済的な化学物質/原料を使用することによって式Iの化合物を製造することである。
【0018】
本発明のまた別の目的は、経済的な価格で容易に入手できる化学物質/原料を使用し、分離し難いまたは環境に不都合な副生物を発生させない方法によって式Iの化合物を製造することである。
【0019】
本発明の基本的な特徴によれば、上述したような式Iの化合物を製造するために、上述したような式IIの化合物と水素または水から選択された水素源とを、パラジウム含量が触媒の10重量%以下となるようにニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択した少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下、3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体中、7.0よりも低いpHで反応させる段階を含む方法が提供される。
【0020】
本発明の好ましい特徴によれば、上述したような式Iの化合物を製造するために、上述したような式IIの化合物と300−750psigの範囲の圧力の水素ガスとを、パラジウム含量が触媒の10重量%以下となるようにニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択した少なくとも2種類の触媒の存在下、3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体中、7.0よりも低いpHで反応させる段階を含む方法が提供される。
【0021】
本発明の別の好ましい特徴によれば、上述したような式Iの化合物を製造するために、上述したような式IIの化合物と3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体に混合した水とを、パラジウム含量が触媒の10重量%以下となるようにニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択した少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下、7.0よりも低いpHで反応させる段階を含む方法が提供される。
【0022】
反応を4.0−7.0の範囲のpHで行わせるのが特に好ましい。
【0023】
本発明は式IIの化合物を出発材料とする式Iの化合物の新規な製造方法を提供する。
一般式Iに対応する化合物は構造
【0024】
【化5】

【0025】
を有しており、式中の、Rは、水素であるか、または、鎖もしくは環のどこかにヘテロ原子(酸素、窒素もしくはイオウ)を含有するかまたは非含有の直鎖状、分枝状または環状の炭素原子数1−6のアルキル基である。
【0026】
方法は一段階反応であり、式IIの化合物と水素または水から選択された水素源とを、パラジウム含量が触媒の10重量%以下となるようにニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択した少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下、3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体中、7.0よりも低いpHで反応させる段階を含む。
一般式IIに対応する化合物は構造
【0027】
【化6】

【0028】
を有しており、式中の、Rは、水素であるか、または、鎖もしくは環のどこかに酸素、窒素もしくはイオウのようなヘテロ原子を含有するかまたは非含有の直鎖状、分枝状または環状の炭素原子数1−6のアルキル基である。
【0029】
本発明の原料は一般式IIに対応する化合物であるが、一般式IIの化合物の前駆体を出発物質として方法を行うこともでき、その場合には当業界に公知の反応を使用して先ず前駆体から式IIの化合物を製造し次いで本発明の方法を実施し得る。
【0030】
反応は本質的にニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択された2種以上の触媒の存在下で行う。ニッケル触媒はそのままで使用してもよく、担体例えばシリカに支持させて使用してもよい。パラジウムを使用するときはパラジウムが炭素に付けたパラジウムの形態であるのが好ましい。使用される2種類の触媒がニッケル及びラネーニッケルであるときは、これらをいかなる比で使用してもよい。触媒の一方がパラジウムであるときは、パラジウムは触媒の0.01−10重量%、より好ましくは0.01−2重量%、最も好ましくは触媒の0.01−1重量%の範囲で存在する。触媒は式IIの化合物の0.1−40重量%の範囲、より好ましくは式IIの化合物の5−30重量%の範囲で使用される。
【0031】
水素源は水素または水である。水素源として水素を使用するとき、好ましい水素圧の範囲は150−750psigである。水素源として水を使用してもよい。水を溶媒媒体の50重量%よりも多い量で使用するとき、反応を大気圧で行わせることができる。本発明の方法は75%までの水を含む溶媒媒体を用いて行うことが可能である。
【0032】
反応は3までの炭素鎖長をもつアルコールを含む溶媒媒体中で行わせる。溶媒媒体は、アルコール以外の溶媒を含んでもよく、このような溶媒の好適例は1,2−ジクロロエタン及びテトラヒドロフランである。使用されるアルコールは100%純度でもよくまたは水/水分を含んでいてもよい。式IIの化合物が溶媒媒体に完全に溶解することは必須でない。水素源が水であるときは溶媒媒体に水を混合するとよい。アルコールは好ましくはメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールである。反応は7.0よりも低いpH、好ましくは4.0−7.0の範囲のpHで行わせる。反応媒体を適正pHにするために酸性材料を使用するとよい。使用し得る酸性材料は、メタンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、塩化亜鉛、及び、Amberlyst(Rohm & Hassから入手可能)、Dowex(Dow chemicals社製)のような酸性イオン交換樹脂である。1種類または複数の酸を反応に使用できる。
【0033】
本発明による反応は20−80℃で行うのが好ましい。
【0034】
反応の終了後、公知の分離方法のいずれかを使用した溶媒の分離によって所望生成物を精製し得る。溶媒から所望生成物を分離する好ましい方法は溶媒の蒸留と触媒の濾過とを順次に行う方法である。溶媒媒体が水とアルコールとを含有しているとき、アルコールは反応の終了後に蒸留によって分離する。生成物はバランス水に可溶性であるが、式Iの化合物の未反応の反応体は水に不溶性なので、次いでこれを分離して以後の反応にリサイクルし得る。
次に、以下の非限定例を用いて本発明を説明する。
【実施例】
【0035】
方法及び材料
ガスクロマトグラフィー/質量分光法(GC−MS)
GC−MSは、A200S Autosampler Series PlusガスクロマトグラフとFinigen MAT質量分光器とをGCQ 2.0 MS/MSソフトウェアに接続して行った。DB−1カラム(60メーター)を使用した。
【0036】
ガスクロマトグラフィー(GC)
GCは、BP1毛管カラム(30メーター×0.25mm)を使用するChemito 2000ガスクロマトグラフィー装置(フレームイオン化)で行った。噴射温度は250℃に設定した。
【0037】
赤外法(IR):
IRスペクトルはNaClセルを使用するShimutzu FT−IR−8101A分光計で記録した。ピーク位置をcm−1でvs(very strong),s(strong),m(medium),w(weak)またはbr(broad)として表す。
【0038】
陽子磁気共鳴法(NMR)
NMRスペクトルはBruker 200 MHz計器に記録した。内部標準となるテトラメタンシランからの化学シフトをppmで記録する。スピン多重度は以下の記号で表す:s(singlet),d(doublet),t(triplet),m(multiplet)及びbr(broad)。ジュウテリウム化NMR溶媒は指定位置に99.00−99.9%のジュウテリウムを含有している。
すべての溶媒は試薬銘柄で、入手したものを使用した。すべての試薬はAldrichまたはSigma Chemical Companiesから購入し、特に注釈がなければ入手したままで使用した。
【0039】
(実施例1)
水素化反応装置(1リットル)に、76gの2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(0.5モル)、メタノール(300ml)及び7.6gのラネーニッケル(Kallin社のtype F)を導入した。反応装置を窒素で数回掃気した。水素圧を500psiに調整し、反応混合物を75−85℃に加熱して12時間まで維持した。暗褐色の反応混合物(pH>8.0)を室温に冷却して濾過した。回転蒸発器(60℃よりも低温)で溶媒を除去し、粘性の褐色液体残渣を、GC、NMR及び質量分光法で特性決定した。分光データは、4−エチルレゾルシノールが2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのダイマーを含む数種類の副生物と共に低収率(<30%)で形成されたことを示した。
【0040】
(実施例2)
水素化反応装置(1リットル)に、76gの2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(0.5モル)、メタノール(300ml)及び15.2gのラネーニッケル(Kallin社のtype F、pH8−9)を導入した。反応装置を窒素で数回掃気した。水素圧を400psiに調整し、反応混合物を75−85℃に加熱して10時間まで維持した。暗褐色の反応混合物(pH>8.0)を室温に冷却して濾過した。回転蒸発器(60℃よりも低温)で溶媒を除去し、粘性の褐色残渣を、GC、NMR及び質量分光法で特性決定した。分光データは、エチルレゾルシノールが2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのダイマーを含む数種類の副生物と共に低収率(<30%)で形成されたことを示した。
【0041】
(実施例3)
1リットル容のオートクレーブ反応装置に2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(76g,0.5モル)をメタノール(300ml)及びラネーニッケル(15.2g − 水及び水/メタノールで数回洗浄しpH7.0に調整)、及び、750mgのPd/Cと共に充填した。100−200psiの窒素でオートクレーブの漏れを点検した。オートクレーブを水素で300psiに加圧し、70℃で8時間撹拌した。この時間中に水素の理論値の95%が消費された。反応装置を排気し、内容物をミリポアフィルターで濾過すると、淡黄色溶液が得られた。この溶液を真空下で濃縮して固体とした。この固体を1,2−ジクロロエタンから結晶化させると4−エチルレゾルシノールが70%の単離収率で得られた。未反応の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(?27%)を反応混合物から回収し、リサイクルした。4−エチルレゾルシノールの構造をNMR、ガスクロマトグラフィー、IR及び質量分光法を使用して特性決定した。
【0042】
(実施例4)
1リットル容のオートクレーブ反応装置に2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(76g,0.5モル)をメタノール(300ml)、酢酸(5ml)、ラネーニッケル(15.2g − 水及び水/メタノールで数回洗浄)、及び、750mgのPd/Cと共に充填した。系のpHは5.0であった。オートクレーブの漏れを窒素で点検した。オートクレーブを水素で500psiに加圧し、70−75℃で8時間まで撹拌した。この時間中に水素の理論値の97%が消費された。反応装置を排気し、内容物をミリポアフィルターで濾過すると、黄色溶液が得られた。この溶液を真空下で濃縮して固体とした。この固体を1,2−ジクロロエタンから結晶化させると4−エチルレゾルシノールが85%の単離収率で得られた。未反応の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(?13%)を反応混合物から回収し、リサイクルした。4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンの構造をNMR(図1参照)、ガスクロマトグラフィー(図2参照)、IR(図3参照)及び質量分光法を使用して特性決定した。質量分光法は質量が138であることを示した。
【0043】
(実施例5)
(凝縮器と添加漏斗と機械的撹拌器とを備えた)三つ口丸底フラスコに、シリカに付けた15.2gのラネーニッケルとNi(50:50)との組合せを導入した。100mlのエタノール:水50:50混合物を添加し、反応混合物を還流条件で加熱した。100mlの水:エタノール及び10mlの酢酸中の15.2gの2,4−ジヒドロキシアセトフェノンを添加漏斗に入れ、混合物にゆっくりと添加した(滴下)。反応混合物をミリポアフィルターで濾過すると、淡黄色溶液が得られた。この溶液を真空下で濃縮して固体とした。この固体を1,2−ジクロロエタンから結晶化させると4−エチルレゾルシノールが80%の単離収率で得られた。未反応の2,4−ジヒドロキシアセトフェノン(?17%)を反応混合物から回収し、リサイクルした。4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンの構造をNMR、ガスクロマトグラフィー、IR及び質量分光法を使用して特性決定した。
【0044】
(実施例6−16)
実施例6−16の実施条件を表1にまとめる。これらの実験の実施手順も表1に示す。これらの手順を以下に手順1及び手順2として示す。
【0045】
手順1
水素化反応装置(1リットル)に、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、アルコール(300ml)及び触媒または触媒の組合せを導入する。反応装置を窒素で掃気する。水素圧を100−500psiに調整し、反応混合物を70−80℃に加熱して12時間まで維持する。触媒を濾過し、回転蒸発器(60℃よりも低温)を使用して溶媒を除去する。残渣を、GC、NMR及び質量分光法で特性決定する。
【0046】
手順2
(凝縮器と添加漏斗と機械的撹拌器とを備えた)三つ口丸底フラスコに、触媒または触媒の組合せを導入した。100mlのエタノール:水50:50混合物を添加し、反応混合物を還流条件まで加熱した。酸を添加または不添加の100mlの水:エタノール混合物中の2,4−ジヒドロキシアセトフェノンを添加漏斗に入れ、混合物に添加した(2−4時間で滴下)。反応混合物をミリポアフィルターで濾過し、濃縮して固体とした。この固体を1,2−ジクロロエタンから結晶化させて4−エチルレゾルシノールを得た。未反応の2,4−ジヒドロキシアセトフェノンを媒体から回収し、リサイクルする。4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンの構造をNMR、ガスクロマトグラフィー、IR及び質量分光法を使用して特性決定した。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例3−5及び実施例11−16は、本発明の方法を使用すると式Iの化合物を高収率で製造できることを証明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのNMRを表わす図である。
【図2】4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのガスクロマトグラフィーを表わす図である。
【図3】4−エチルレゾルシノール及び2,4−ジヒドロキシアセトフェノンのIRを表わす図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Rは、水素であるか、または、鎖もしくは環のどこかに酸素、窒素もしくはイオウのようなヘテロ原子を含有するかまたは非含有の直鎖状、分枝状または環状のC1−6アルキル基である]
の化合物を製造するために、式II:
【化2】

の化合物と、水素または水から選択された水素源とを、ニッケル、ラネーニッケル及びパラジウムから選択された少なくとも2種類の触媒の混合物の存在下、3以下の炭素鎖長を有しているアルコールを含む溶媒媒体中、7.0よりも低いpHで反応させる式Iの化合物の製造方法。
【請求項2】
パラジウム含量が触媒の10重量%以下である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラジウム含量が触媒の0.01−1重量%の範囲である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水素源が300−750psigの範囲の圧力の水素ガスである請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
水素源が水である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒媒体の75%までが水である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
反応を4.0−7.0の範囲のpHで行わせる請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒を式IIの化合物の5−30重量%の範囲の量で使用する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
反応を20−80℃で行わせる請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
パラジウムが炭素に付けたパラジウムの形態である請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式IIの化合物を製造するために式IIの化合物の前駆体を反応させる第一追加段階を含む請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−513503(P2009−513503A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518046(P2006−518046)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006980
【国際公開番号】WO2005/005355
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】