説明

北米ブタ生殖及び呼吸症候群(PRRS)ウィルスの感染性cDNAクローン及びその使用

【課題】 ブタ生殖及び呼吸症候群(PRRS)からブタを保護するための手段に関する。
【解決手段】 北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成るプラスミド、及びそのようなプラスミドを用いてのワクチンに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は、動物の健康の分野に関し、そして陽性極性(positive polarity)RNAウィルスの感染性cDNAクローン、及びそのようなcDNAクローンを用いてのワクチン、特にブタワクチンの構成に向けられる。
【従来の技術】
【0002】
ブタ生殖及び呼吸症候群(PRRS)は、1987年に北米において、及び1990年にヨーロッパにおいて、最初に記載された、ブタに関する新規疾病である。この疾病はそれ以来、アジアに広がっており、そして世界のほとんどの主要ブタ生産国に影響を及ぼしている。一次症候群は、雌ブタ及び若い雌ブタにおける生殖問題、たとえば後期流産、死産及びミイラ化であり、そしてウィルス血症で生まれ、そしてしばしば、生存し得ない同腹子の弱い子ブタが存在する。さらに、前記症候は、水平的に広がり、そして発熱、無気力、苦しい呼吸、食欲不振、遅い成長、及びしばしば、他の呼吸病原体に関連しての死を引き起こす、若いブタにおける呼吸疾患として現われる。疾病はさらに、天然において又は人工受精により、感染された雄ブタの精液を通して雌ブタ及び若い雌ブタに伝達され得る。それらのために及び他の理由のために、PRRSは制御するのに困難な疾病であり、そして従って、ブタ産業に対して最とも経済的な損傷を与える疾病の1つであることがわかっている。
【0003】
PRRSの原因物質は、2種の遺伝学的及び血清学的に異なった型として存在するPRRSウィルスである(Murtaugh, M.P.など., 1995, Arch-Virol.
140,1451-1460 ; Suarez, P.など., 1996, Virus Research 42
: 159-165) 。前記2種の型は、1980年代、1つは北アメリカ及び他はヨーロッパにおいて、独立してブタ集団に、たぶん、げっ歯動物又は鳥類起原の未知の生物学的病原体保存体から最初に侵入したように思われる。原型“Lelystad, Virus ”により表わされるヨーロッパ型は、1991年オランダにおいて単離され、そして配列決定された(Terpstra, C.など., 1991, Vet. Quart. 13 :
131-136 ; Wensvoort, G.など., 1991, Vet. Quart. 13 :
121-130 ; Wensvoort, G. など., WO92/213751992 (PCT/NL
92/00096)、1992 ; Meulenberg, J.J.M. など., 1993, Virol. 192 : 62-72)。
【0004】
北米PRRSウィルス及びヨーロピアンPRRSウィルスの両者は、ウマ動脈炎ウィルス、乳酸デヒドロゲナーゼ−上昇性ウィルス及びサル出血性発熱ウィルスをまた包含するアルテリビリダエ(Arteriviridae)科内に分類される。動脈炎ウィルスは、コロナウィルス(corronaviruses)
及びトロウィルス(toroviruses)をまた包含するニドビラレス(Nidovirales)目内に分類される。ニドウィルス(nidoviruses)は、一本鎖の陽性極性RNAから成るゲノムを有する封入されたウィルスである。陽性−鎖のRNAウィルスのゲノムRNAは、遺伝子情報の貯蔵及び発現の両者において二重の役割を満たす。DNAはニドウィルスにおける複製又は転写に関与しない。従って、ニドウィルスのゲノムRNAの再生は、ゲノム複製及びmRNA転写の組合された工程である。さらに、いくつかのタンパク質が、ニドウィルスのゲノムRNAから直接的に翻訳される。アルテリビリダエ科の分子生物学が、最近、Snijder and Meulenberg(Snijder, E.J. and
Meulenberg, J.J.M., 1998, Journal of General Virology 79 : 961-979) により総説されている。
【0005】
最近入手できるPRRSに対する市販のワクチンは、従来の修飾された生存ウィルス(細胞培養物、弱毒化されている)、又は従来の殺されたウィルス(ビルレントウィルスの不活性化された細胞培養調製物)のいづれかである。それらのワクチンのいくつかは、安全性及び/又は効率に基づいて批評されている。従って、PRRSゲノムに対する特定の付加、欠失及び他の修飾に基づいての、PRRSワクチンの第二世代の開発が非常に所望される。しかしながら、PRRSウィルスはそれらの複製の間、いづれのDNA中間体も含まないので、そのようなワクチンは、DNAレベルでの分子生物学技法による操作のためのPRRSウィルスの十分な長さのcDNAクローンの構成を大切に待ち続けて来た。つい最近、ヨーロピアンPRRSウィルスの十分な長さの感染性cDNAクローンが報告されている(Meulenberg, J.J.M.など., 1998 、前記;Meulenberg, J.J.M.など., 1988, J. Virol. 72,
380-387) 。
【0006】
前述の出版物、及び本明細書において続いて論ぜられるすべての他の引例は、引用により本明細書に組込まれる。
【発明の要約】
【0007】
本発明は、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本発明はさらに、上記の単離されたポリヌクレオチド分子によりコードされる単離された感染性RNA分子、及びそれに対して相同の単離された感染性RNA分子を提供し、ここで前記単離された感染性RNA分子は北米PRRSウィルスをそれぞれコードする。
【0008】
本発明はさらに、感染性RNA分子をコードする上記の単離されたポリヌクレオチド分子を、ベクター、たとえばプラスミドの形で提供する。本発明はさらに、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるDNA配列を含んで成るウィルスベクターを提供する。本発明はさらに、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるDNA配列を含んで成る、コードされた北米PRRSウィルスを発現することができるトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0009】
本発明はさらに、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする本発明のDNA配列を突然変異誘発し、そして前記突然変異誘発に続いて、それらから、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを発現することを含んで成る、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを製造するための方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。好ましい態様において、PRRSウィルスは、それがブタ動物を感染する場合、それが、a)その動物においてPRRSを生成することがでないが、しかしb)動物において、PRRSウィルスによる感染に対しての効果的な免疫保護応答を誘発できるよう遺伝子的に修飾される。特定の態様において、前記DNA配列は、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるが、但しそれはPRRSを生成するその能力において、そのコードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含む。
【0011】
本発明はさらに、上記の単離されたポリヌクレオチド分子によりコードされる単離された感染性RNA分子、及びそれに対して相同の単離された感染性RNA分子を提供し、ここで前記単離された感染性RNA分子はPRRSを生成するその能力を無能にされた、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをそれぞれコードする。
【0012】
本発明はさらに、上記のような感染性RNA分子によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを提供し、ここで前記遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは、それがブタ動物を感染する場合、動物にPRRSを生成することができないよう無能にされているがまだ、動物においてPRRSウィルスによる感染に対しての効果的な免疫保護応答を誘発することができる。本発明はさらに、上記のような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成るウィルスベクターを提供する。本発明はさらに、上記のような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成るトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0013】
本発明はさらに、PRRSウィルスによる感染からブタ動物を保護するためのワクチンを提供し、ここで前記ワクチンは、上記のような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス;遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする上記のような感染性RNA分子;遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする、プラスミドの形での上記単離されたポリヌクレオチド分子;又は遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする上記ウィルスベクターを、PRRSウィルスによる感染に対する免疫保護を生成するのに有効な量で;及び獣医学的に許容できるキャリヤーを含んで成る。
【0014】
本発明はさらに、PRRSウィルスによる感染に対して免疫保護を生成するのに効果的である量の上記のワクチンによりブタ動物をワクチン接種することを含んで成る、PRRSウィルスによる感染からブタ動物を保護するための方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、異種抗原性エピトープをコードするヌクレオチド配列をさらに含んで成る前記ポリヌクレオチド分子、並びに対応する感染性RNA分子、ベクター、トランスフェクトされた宿主細胞、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス、ワクチン、及び哺乳類及び/又は鳥にそのようなワクチンを投与するための方法を提供する。そのような異種抗原性エピトープは、現在、当業界において知られているか、又は未来において決定されるいづれかの抗原性エピトープからであり得る。非制限的態様においては、そのような抗原性エピトープは、鳥、又はブタ動物以外の哺乳類、たとえばヒトを病理学的に感染せしめることができ、そして前記病原体に対する効果的な免疫保護応答を誘発することができる病原体からである。もう1つの非制限的態様においては、そのような抗原性エピトープは、北米PRRSウィルス以外のブタ病原体からであり、そして前記ブタ病原体に対する効果的な免疫保護応答を誘発することができる。もう1つの非制限的態様においては、そのような抗原性エピトープは、検出できる抗原性エピトープである。
【0016】
本発明はさらに、1又は複数の検出可能抗原性エピトープを欠いている前記ポリヌクレオチド分子のいづれか、並びに対応する感染性RNA分子、ベクター、トランスフェクトされた宿主細胞;遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス、ワクチン、及び哺乳類及び/又は鳥にそのようなワクチンを投与するための方法を提供する。
【0017】
本発明はさらに、北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は配列番号1又はそれに対して相同の配列である。本発明はさらに、北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成るトランスフェクトされた宿主細胞を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は配列番号1又はそれに対して相同の配列である。
【0018】
本発明はさらに、野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得、病原性感染を生成できないが、まだ、哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発できる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得るために、前記DNA配列を遺伝子的に突然変異誘発し、そしてそのようにして得られた、単離されたポリヌクレオチド分子から遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを発現することによって調製される、遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において免疫保護応答を誘発することができる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを提供する。
【0019】
本発明はさらに、遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において免疫保護応答を誘発できる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを調製するための方法を提供し、ここで前記方法は、野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性DNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得、病原性感染を生成できないが、まだ、哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発できる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得るために、前記DNA配列を遺伝子的に突然誘発し、そしてそのようにして得られた、単離されたポリヌクレオチド分子から遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを発現することを含んで成る。
【0020】
本発明はさらに、上記のような遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを、それらによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスウィルスに対して効果的な免疫保護応答を誘発するのに有効な量で、及び医薬又は獣医学的使用のために許容できるキャリヤーを含んで成る、ニドビラレスウィルスによる感染から哺乳類又は鳥を保護するためのワクチンを提供する。
【0021】
発明の特定の記載
本明細書に記載される単離されたポリヌクレオチド分子の生成及び操作は、当業者の範囲内であり、そして中でも、次に記載される組換え技法に従って実施され得る:Maniatis, など., 1989, Molecular Cloning, A
Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory Press, Cold Spring Harbor,
NY ; Ausubel, など., 1989, Current Protocols In
Molecular Biology, Geene Publishing Associates & Wiley Interscience, NY
; Sambrook, など., 1989, Molecular Cloning : A
Laboratory Manual, 2d, ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring
Harbor, NY ; Innlsなど. (eds), 1995, PCR Strategles,
Academic Press, Inc., San Diego, and Erlich (ed), 1992, PCR Technology,
OxfordUniversity Press, New York;それらのすべては、引用により本明細書に組込まれる。
【0022】
A.北米PRRSウィルスをコードする単離されたポリヌクレオチド分子及びRNA分子、並びに遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする単離されたポリヌクレオチド分子及びRNA分子:本発明は、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本発明はさらに、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0023】
特に、本発明は、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。好ましい態様においては、本発明は、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記DNA配列は配列番号1のヌクレオチド1で開始し、そしてそれから、ヌクレオチド15,416までを含む配列であるが、但し、配列番号1のヌクレオチド12,622に対応するヌクレオチドがアデニンの代わりにグアニンであり、そして配列番号1のヌクレオチド1,559に対応するヌクレオチドがシトシンの代わりにチミンである。前記DNA配列は、北米PRRS単離物P129のRNAゲノムである感染性RNA分子をコードする。
【0024】
核酸分子を言及する用語、たとえば“単離されたポリヌクレオチド分子”、“ヌクレオチド配列”、“オープンリーディングフレーム(ORF)”及び同様のものは、特にことわらない限り、DNA及びRNAの両分子を包含し、そして一本鎖及び二本鎖の両分子を包含する。また、本出願の“配列表”セクションからの特定の配列を言及する場合、特にことわらない限り、“配列表”のDNA、及びそのDNAに対応するRNAの両者を言及することが意図され、そしてDNA及びRNA配列に対して相補的な配列を包含する。本出願におけるそのような場合、“〜に対応する”とは、お互い同一であるDNA及びRNAの配列に言及するが、但し、RNA配列はチミンの代わりにウラシルを含み、そしてRNA分子の主鎖はデオキシリボースの代わりにリボースを含む事実を除く。
【0025】
たとえば、配列番号1は、北米PRRSウィルスのRNAゲノムに対応するDNA配列である。従って、配列番号1に示されるDNA配列に対して相補的なDNA配列は、北米PRRSウィルスのRNAゲノム(すなわち、北米PRRSウィルスをコードするRNA)のための鋳型であり、すなわちそれに対して相補的であり、又はそれを“コードする”。それにもかかわらず、配列番号1に関する言及は、配列番号1に対応するRNA配列及び配列番号1に対して相補的なDNA配列の両者を包含する。
【0026】
さらに、配列表における配列に対して相同の配列に言及する場合、配列表における配列に対応する配列に対して相同の配列、及び配列表における配列に対して相補的な配列に対して相同の配列がまた包含されることが理解されるべきである。本発明のための“感染性RNA分子”とは、適切な宿主細胞における機能的ビリオンへのウィルス複製、転写及び翻訳のための必要な要素をコードするRNA分子であるが、但し、必要なら、RNA分子においていづれかの遺伝子修飾、たとえば配列欠失を補正するペプチド又は複数のペプチドが存在する。
【0027】
“単離された感染性RNA分子”とは、そのようなRNA分子が天然に実際、存在する場合、その天然に存在する状態からいづれかの検出できる程度に精製された前記感染性RNA分子を含んで成る物質の組成物を意味する。同様に、“単離されたポリヌクレオチド分子”とは、存在するなら、その天然に存在する状態からいづれかの検出できる程度に精製された本発明のポリヌクレオチド分子を含んで成る物質の組成物を言及する。
【0028】
本発明のためには、第2ポリヌクレオチド分子(RNA又はDNAのいづれか)のヌクレオチド配列は次の場合には第1ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に“相同”である。すなわち、前記第2ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、遺伝子コードの縮重に基づいて第1ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列と同一のポリアミノ酸をコードする場合、又はそれが本発明の実施において有用であるように第1ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によりコードされるポリアミノ酸に十分に類似するポリアミノ酸をコードする場合である。本発明のためには、ポリヌクレオチド分子は本発明の実施において有用であり、ここでそれは、感染されたブタの流体又は組織サンプルにおける北米PRRSウィルスの存在を、標準的ハイブリダイゼーション又は増幅技法により検出するための診断用プローブとして使用され得る。
【0029】
ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によりコードされるポリアミノ酸は一群の複数のポリアミノ酸を含んで成ることができることが理解されるべきである。一般的に、第2ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、BLASTNアルゴリズムに基づいて、第1ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%のヌクレオチド配列同一性を有する場合、第1ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に対して相同である(National Center for Biotechnology Information (NCBI), (Bethesda,
Maryland, USA) of the United States National Institute of Health)。好ましくは、相同ヌクレオチド配列は、少なくとも約75%のヌクレオチド配列同一性、さらにより好ましくは、少なくとも約85%のヌクレオチド配列同一性を有する。遺伝子コードは縮重性であるので、相同ヌクレオチド配列は、いづれかの数の“サイレント”塩基変化、すなわち、それにもかかわらず同じアミノ酸をコードするヌクレオチド置換を包含することができる。
【0030】
相同ヌクレオチド配列はさらに、その配列が第1ヌクレオチド配列によりコードされるポリアミノ酸に対して少なくとも70%の同一性で存続し、又は他方では、本発の実施のために有用である限り、非−サイレント突然変異、すなわちコードされたポリアミノ酸におけるアミノ酸差異をもたらす、塩基置換、欠失又は付加を含むことができる。相同ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の比較により、たとえば、上記BLASTNを用いることによって決定され得る。あるいは、相同ヌクレオチド配列は、選択された条件下でのハイブリダイゼーションにより決定され得る。
【0031】
たとえば、第2ポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、それが中位の緊縮条件、たとえば0.5MのNaHPO4 ,7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTAの溶液における65℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション及び0.2×SSC/0.1%SDSにおける42℃での洗浄条件(Ausubel など.,上記を参照のこと)、又は下記で定義されるような北米PRRSウィルスをコードする配列のハイブリダイゼーションをもたらすであろう条件下で、配列番号1の相補体にハイブリダイズする場合、配列番号1に対して相同である。もう1つの態様において、第2のヌクレオチド配列は、それが、高い緊縮条件、たとえば0.5MのNaHPO4 ,7%のSDS,1mMのEDTAの溶液における65℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション及び0.1×SSC/0.1%SDSにおける68℃での洗浄条件(Ausubelなど.,上記)下で、配列番号1の相補体にハイブリダイズする場合、配列番号1に対して相同である。
【0032】
本発明の単離されたポリヌクレオチド分子及び単離されたRNA分子は、合成分子、及び組換え技法、たとえばインビトロクローニング及び転写により得られる分子の両者を包含することが、さらに理解されるべきである。本明細書において使用される場合、用語“PRRS”とは、PRRSウィルス感染により惹起されるブタにおける疾病症候群を包含する。そのような症候群の例は、妊娠した雌ブタにおける流産、及び若いブタにおける遅い成長、呼吸困難、食欲不振及び死亡を包含するが、但しそれらだけには限定されない。本明細書において使用される場合、“PRRSを生成することができない”PRRSウィルスは、ブタを感染することができるが、しかしブタにおけるPRRS感染と通常関連するいづれの疾病症候群も生成しないか、又はそのような症候群を生成するが、しかしより低い程度であるか、又は少数のそのような症候群を生成するか、あるいは両者であるウィルスを意味する。
【0033】
用語“ブタ”とは、スイダエ(Suidae)科のメンバーであるいづれかの動物、たとえばブタを意味する。“哺乳類”とは、ママアリア(Mammalia)綱のいづれかの温血脊椎動物、たとえばヒトを包含する。用語“PRRSウィルス”とは、本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、北米又は欧州PRRSウィルスのいづれかの株を意味する。
【0034】
用語“北米PRRSウィルス”とは、北米PRRSウィルス単離物、たとえば1990年代初期、アメリカ合衆国において最初に単離されたPRRSウィルス(たとえば、Collins, J.E.,など., 1992, J. Vet. Diagn.
Invest. 4 : 117-126 を参照のこと);北米PRRSウィルス単離物MN−1b(Kwang,
J. など.,1994, J. Vet. Diagn. Invest. 6 : 293-296);PRRSのQuebec IAF-exp91株(Mardassi, H.など., 1995, Arch. Virol. 140 : 1405-1418);及び北米PRRSウィルス単離物VR2385(Meng, X.-J. など., 1994, J. Gen. Virol. 75 : 1795-1801) (但し、それらだけには限定されない)に関連する遺伝子特徴を有するいづれかのPRRSウィルスを意味する。
【0035】
遺伝子特徴とは、北米PRRSウィルス株により共有されるゲノムヌクレオチド配列類似性及びアミノ酸配列類似性を意味する。本発明のためには、北米PRRSウィルスは、配列番号1と同じか又はそれに対して相同のRNA配列によりコードされるウィルスであり、ここで用語“相同”とは、前で定義された通りである。従って、北米PRRSウィルスの株は好ましくは、配列番号1と少なくとも約70%のゲノムヌクレオチド配列同一性、及びより好ましくは、配列番号1と少なくとも約75%のゲノムヌクレオチド配列同一性を有し、配列番号1との少なくとも約85%のゲノムヌクレオチド配列同一性がさらにより好ましい。
【0036】
用語“欧州PRRSウィルス”とは、1991年でさらにヨーロッパにおいて最初に単離されたPRRSウィルスに関連する遺伝子特徴を有するPRRSウィルスのいづれかの株を言及する(たとえば、Wensvoort, G.,など., 1991, Vet.Q. 13 : 121-130
を参照のこと)。“欧州PRRSウィルス”とはまた、時々、“Lelystadウィルス”として当業界において言及される。
【0037】
特にことわらない限り、北米PRRSウィルスは、その特徴が本明細書に示される北米PRRSウィルスの定義内にある場合、“本発明の実施において有用”である。たとえば、本発明の単離されたポリヌクレオチド分子の1つによりコードされるウィルスは、たとえばそれが、北米PRRSウィルスに関連する遺伝子特徴を有する場合、“本発明の実施において有用な北米PRRSウィルス”である。
【0038】
他のポリアミノ酸、たとえば北米PRRSウィルスORFに対して相同のポリヌクレオチド配列によりコードされるペプチドは、それらが、機能的なPRRSビリオンが細胞により生成されるように、トランスフェクトされた宿主細胞において機能的なPRRSビリオンを発現するために不可欠な遺伝子が不十分な、遺伝子的に修飾されたPRRSウィルスをコードするRNA分子を補足することができる場合、“本発明の実施において有用”である。用語“オープンリーディングフレーム”又は“ORF”とは、本明細書において使用される場合、介在性停止コドンを伴わないで、特定のPRRSウィルスタンパク質をコードするために必要とされる最小ヌクレオチド配列を意味する。
【0039】
用語“適切な宿主細胞”とは、特にことわらない限り、本発明のRNA分子(又はそのようなRNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子又はウィルスベクター)が形質転換され、又はトランスフェクトされ得る細胞を意味する。そのようなRNA分子、単離されたポリヌクレオチド分子、又はウィルスベクターによるトランスフェクトのための“適切な宿主細胞”は、哺乳類、特にブタ、及び鳥類細胞を包含し、そして下記にさらに詳細に記載される。
【0040】
“機能的ビリオン”は、PRRSウィルスを収容することができる細胞に侵入でき、そしてその細胞内で、その特定のRNAゲノム(本明細書に記載されるような、修飾されていないゲノム又は遺伝子的に修飾されたゲノム)の遺伝子を発現することができるウィルス粒子である。PRRSウィルスを収容することができる細胞は、ブタ肺胞マクロファージ細胞及びMARC145 サル腎細胞を包含する。他の哺乳類又は鳥類細胞、特に他のブタ細胞もまた、PRRSビリオンのための適切な宿主細胞として作用することができる。
【0041】
本発明の単離されたポリヌクレオチド分子は、下記においてさらに詳細に記載されるように、PRRSウィルスによる感染からブタを保護するためのよく知られている方法を用いて、生ワクチン、殺されたワクチン又は弱毒化されたワクチンを調製するために使用され得る北米PRRSウィルスをコードする。それらの単離されたポリヌクレオチド分子はまた、下記において詳細に記載されるように、ブタ又は鳥を包含する哺乳類中に異種遺伝子を供給するためのベクターとしても有用である。さらに、それらの単離されたポリヌクレオチド分子は、それらが中でも、PRRS感染からブタを保護するためのワクチンとして有用な、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードするよう分子生物学的技法を用いて突然変異誘発され得るので、有用である。そのような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス、及びそれらを含んで成るワクチンはまた、下記にさらに詳細に記載される。
【0042】
従って、本発明はさらに、遺伝子的修飾された北米PRRSウィルスを製造するための方法を提供し、ここで前記方法は、上記のような北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を突然変異誘発し、そして適切な発現系を用いて、前記遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを発現することを含んで成る。北米PRRSウィルス、すなわち野生型又は遺伝子的に修飾されたいづれかのPRRSウィルスは、当業界において一般的に知られている適切な発現系を用いて、単離されたポリヌクレオチド分子から発現され得、ここで前記発現系の例は本明細書に記載されている。たとえば、単離されたポリヌクレオチド分子は、下記にさらに詳細に記載されるように、適切な宿主においてコードされたウィルスを発現することができるプラスミドの形で存在することができる。
【0043】
用語“遺伝子的に修飾された”とは、本明細書において使用される場合、及び特にことわらない限り、遺伝子的に突然変異誘発されたことを意味し、すなわち置換され、欠失されそして/又は付加された1又は複数のヌクレオチドを有することを意味する。ポリヌクレオチド分子は、当業界者に知られている組換え技法、たとえば特定部位の突然変異誘発、又はランダム突然変異誘発、たとえば当業界において知られているような、化学的な突然変異誘発物質又は放射線への暴露により、遺伝子的に突然変異誘発され得る。
【0044】
1つの態様においては、本発明の北米PRRSウィルスの遺伝子修飾は、野生型ウィルスが効果的に複製する鳥又は哺乳類において、ウィルスの複製を効果的に無能にし、又は効果的に複製するその能力を低める。もう1つの態様においては、本発明の遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは、それらにより感染された鳥又は哺乳類において効果的に複製し続け得る。“効果的複製”とは、感染された動物において増殖し、そして子孫ウィルス(ビリオン)を生成する能力、すなわち動物を“生産的に感染する”能力を意味する。
【0045】
本発明はさらに、ブタ動物においてPRRSを生成することができない遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記DNA配列は配列番号1又はそれに対して相同の配列であるが、但しそれはPRRSを生成するその能力において、コードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含む。“遺伝子的に無能にされた”とは、PRRSウィルスがそれにより感染されたブタ動物においてPRRSを生成することができないことを意味する。
【0046】
1つの態様において、PRRSを引き起こすその能力を無能にされた、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは、ブタ動物においてPRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる。従って、本発明はまた、ブタ動物を感染する場合、a)動物においてPRRSを生成することができず、そしてb)動物においてPRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発できるよう遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記北米PRRSをコードするDNA配列は配列番号1又はそれに対して相同の配列であるが、但しPRRSを生成するその能力において、コードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含む。
【0047】
用語“免疫応答”とは、特定の抗原性エピトープ又は複数の特定の抗原性エピトープに対して向けられるか又はその分解又は阻害を助ける抗体及び/又は細胞(たとえばTリンパ球)の生成を意味する。本発明に関し、用語“効果的な免疫保護応答”、“免疫保護”、及び同様の用語は、ワクチン接種された動物において病原体による感染に対して保護するために病原体の1又は複数の抗原性エピトープに対して向けられる免疫応答を意味する。
【0048】
本発明のためには、病原体による感染に対する保護は、感染の絶対的な阻止のみならず、また病原体による感染の程度又は速度のいづれかの検出できる低下、又はワクチン接種されていない感染された動物に比較して、ワクチン接種された動物における病原体による感染に起因する疾病、又はいづれかの症状又は状態の重症度のいづれかの検出できる低下を包含する。効果的な免疫保護応答は、病原体によりこれまで感染されたことがない動物及び/又はワクチン接種の時点で病原体により感染されていない動物において誘発され得る。効果的な免疫応答はまた、ワクチン接種の時点で病原体によりすでに感染されている動物においても誘発され得る。
【0049】
“抗原性エピトープ”とは、特にことわらない限り、特定の動物又は種において免疫応答を誘発できる分子である。抗原性エピトープは、タンパク質性分子、すなわち非タンパク質基、たとえば炭水化物成分及び/又は脂質成分を任意に含んで成るポリアミノ酸配列である。本明細書において使用される用語“病原的に感染する”とは、動物を感染し、そして動物に疾病を引き起こす病原体の能力を意味する。例として、PRRSウィルスは、それがブタにおいてPRRSを引き起こすことができるので、ブタ動物を病原的に感染することができる。しかしながら、PRRSウィルスは鳥又は他の哺乳類、たとえばヒトを、生産的に又は非生産的に感染することができるが、それはブタ動物以外の動物においていづれの疾病も引き起こさないので、ブタ動物以外のいづれの動物も病原的に感染しない。
【0050】
上記単離されたポリヌクレオチド分子によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは、1つの態様においてPRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる。そのような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは好ましくは、欧州株及び北米株の両者を包含するPRRSウィルスのいづれかの株に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる。
【0051】
1つの態様において、遺伝子的に無能にされた北米PRRSウィルスをコードする単離されたポリヌクレオチド分子における突然変異は、非−サイレントであり、そして北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列の1又は複数のオープンリーディングフレームにおいて生じ;すなわち前記突然変異は配列番号1のORF1a,1b,2,3,4,5,6、又は7と同じか又は相同である、北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列内の1又は複数の配列において生じる。もう1つの態様においては、突然変異は、北米PRRSウィルスゲノムの1又は複数の非コード領域において、たとえば北米PRRSウィルスゲノムのリーダー配列において生じ;すなわち突然変異は配列番号1のヌクレオチド1〜191の配列と同じか又は相同である配列内に生じる。同じ単離されたポリヌクレオチド分子においては、突然変異はコード及び非コード領域において生じることができる。
【0052】
本明細書において使用される場合、北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列の“非コード領域”は、特にことわらない限り、タンパク質に翻訳されないそれらのRNA配列、及びそのようなRNA配列をコードするそれらのcDNA配列を意味する。コード領域は、北米PRRSウィルスタンパク質が発現されるそれらのRNA配列を意味し、そしてまた、そのようなRNA配列をコードするcDNAも意味する。同様に、“ORF”は、北米PRRSウィルスタンパク質をコードするRNA配列、及びそのようなRNA配列をコードするcDNA配列の両者を言及する。
【0053】
PRRSを生成できないが、まだ、PRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発できるよう、遺伝子的に無能につれた北米PRRSウィルスをコードするであろう突然変異についての適切な位置の決定は、本明細書に提供される配列番号1に基づいて行なわれ得る。当業者は、本発明により提供される北米PRRSウィルスの感染性cDNAクローンの配列を言及し、突然変異をもたらすであろう配列の変更を実施し、そしてブタにおいてPRRSを生成し、そしてPRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発するそれらの能力について、それらによりコードされるウィルスを試験することができる。そのようにすることで、当業者は、当業界において知られている技法、及びまた、本明細書に記載され、そして/又は例示されるそれらの技法を言及することができる。
【0054】
たとえば、北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする配列のORFが、突然変異誘発され得、そしてその得られる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスがPRRSを引き起こすその能力について試験される。北米PRRSウィルスのORFは、次のようなタンパク質をコードする:ORF1aはプロテアーゼ機能を含んで成るポリタンパク質をコードし;ORF1bはレプリカーゼ(RNAポリメラーゼ)及びヘリカーゼ機能を含んで成るポリタンパク質をコードし;ORF2,3及び4は小メンバー糖タンパク質をコードし;ORF5は主要エンベロープ糖タンパク質をコードし;ORF6はグリコシル化されていない膜内在性タンパク質をコードし;そしてORF7はヌクレオキャプシドタンパク質をコードする。1又は複数のそれらのORFの遺伝子突然変異が、下記に記載される遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの調製に使用され得る。
【0055】
本発明はまた、1又は複数の異種抗原性エピトープを含んで成るように遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスをコードするRNA分子をコードするDNA配列は、配列番号1又はそれに対して相同の配列であり、そしてさらに、異種抗原性エピトープをそれぞれコードする1又は複数の追加のヌクレオチド配列を含んで成り、そして前記個々の異種抗原性エピトープは哺乳類又は鳥において特定の病原体に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる。
【0056】
効果的な免疫保護応答が本発明の上記観点の手段により誘発され得る病原体は、哺乳類又は鳥において疾病を引き起こすことができるいづれかの病原体、たとえばウィルス、細菌、菌類又は原生動物であり、この病原体は哺乳類又は鳥において病原体に対して効果的な免疫保護応答を誘発するために使用され得る1又は複数の抗原性エピトープを含んで成り、又はそれと関連している。
【0057】
本発明のための用語“異種抗原性エピトープ”とは、野生型北米PRRSウィルスに通常見出されない、上記で定義されたような抗原性エピトープを意味する。異種抗原性エピトープをコードするヌクレオチド配列は、既知の組換え技法を用いて、北米PRRSウィルスゲノム中に挿入され得る。本発明のための異種抗原性エピトープとして有用な抗原性エピトープは、追加の北米PRRSウィルス抗原性エピトープ、欧州PRRSウィルスからの抗原性エピトープ、PRRSウィルス以外のブタ病原体からのエピトープ、又は鳥もしくはブタ以外の哺乳類、たとえばヒトを病原的に感染する病原体からの抗原性エピトープを包含する。
【0058】
そのような抗原性エピトープをコードする配列は、当業界において知られており、又は本明細書に提供される。たとえば、本明細書に記載される北米PRRSORF5によりコードされる、第2北米PRRSウィルスエンベロープタンパク質は、本発明の北米PRRSウィルスをコードするRNA分子をコードするDNA配列中に挿入され、異種抗原性エピトープとして追加のエンベロープタンパク質を含んで成る遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスが生成される。そのような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスは、それらによりワクチン接種されたブタ動物においてPRRSウィルスに対してより効果的な免疫保護応答を誘発するために使用され得る。
【0059】
北米PRRSウィルス以外のブタ病原体からの抗原性エピトープの例は次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:欧州PRRS、ブタパルボウィルス、ブタシルコウィルス(circovirus)、ブタロタウィルス、ブタインフルエンザ、仮性狂犬病ウィルス、感染性胃腸炎ウィルス、ブタ呼吸コロナウィルス、従来のブタ発熱ウィルス、フフリキャンブタ発熱ウィルス、脳心筋炎ウィルス、ブタパラミクソウィルス、アクチノバチルスフレウロプネウモニ(Actinobacillus pleuropneumoni)、バチルスアントラシ(Bacillus
anthraci)、ボルデテラブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、クロストリジウムハエモリチカム(Clotridium haemolyticum)、クロストリジウムペルフリンゲンス(Clostridium
perfringens)、クロストリジウムテタニ(Clostridiumtetani)、エシュリシアコリ(Escherichia coli) 、エリシペロトリクスルシオパチアエ(Erysipelothrix
rhusiopathiae) 、ハエモフィラスパラスイス(Haemophilus parasuis) 、レプトスピラspp.(Leptospira spp.)、マイコプラズマヒオペネウモニアエ(Mycoplasma
hyopneumoniae) 、マイコプラズマヒロリニス(Mycoplasma hyorhinis) 、パステウレラハエモリチカ(Pasteurella haemolytica)、パステウレラムルトシダ(Pasteurella
multocida)、サルモネラコレラエスイス(Salmonella choleraesuis)、サルモネラチピムリウム(Salmonella typhimurium) 、ストレプトコーカスエクイスミリス(Streptococcus
equismillis)及びストレプトコーカススイス(Streptococcus suis) から成る群から選択されたブタ病原体からの抗原性エピトープ。前記ブタ病原体からの抗原性エピトープをコードするヌクレオチド配列は、当業界において知られており、そして公開された遺伝子データベース、たとえばNCBIにより提供されるGenBank (http://www.ncbi.nim.nih.gov/Web/Genbank/index.html)
から入手できる。
【0060】
異種抗原性エピトープが1又は複数の他のブタ病原体からの抗原性エピトープである場合、単離されたポリヌクレオチド分子はさらに、PRRSを生成するその能力において、コードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含むことができる。そのような単離されたポリヌクレオチド分子及びそれらがコードするウィルスは、異種抗原性エピトープが由来するブタ病原体に対してブタを保護するためのワクチンを調製するために有用である。
【0061】
好ましい態様においては、遺伝子的に修飾された北米PRRSは、ブタ動物においてPRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる。そのような単離されたポリヌクレオチド分子及びそれらがコードするウィルスは、北米PRRSウィルス、及び異種抗原性エピトープが由来するブタ病原体の両者による感染に対してブタを保護するための二重機能ワクチンを調製するために有用である。もう1つの好ましい態様においては、二重機能ワクチンにおいて有用な、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスが遺伝子的に無能にされる。
【0062】
異種抗原性エピトープをコードするヌクレオチド配列を含んで成る本発明の単離されたポリヌクレオチド分子は、分子生物学において知られている技法を用いて、本明細書に記載される北米PRRSウィルスをコードする配列に基づいて、上記のようにして調製され得る。
【0063】
さらなる好ましい態様においては、本発明の遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの異種抗原性エピトープは、検出できる抗原性エピトープである。そのような単離されたポリヌクレオチド分子及びそれらがコードする北米PRRSウィルスは中でも、ブタにおけるPRRS感染を研究し、都合良くワクチン接種されたブタを決定し、そして/又は野生型PRRSウィルスにより感染されたブタとワクチン接種されたブタとを区別するために有用である。好ましくは、そのような単離されたポリヌクレオチド分子はさらに、PRRSを生成するその能力において、コードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含み、そしてより好ましくは、PRRSウィルスによる感染に対してブタ動物において効果的な免疫保護応答を誘発することができる。
【0064】
検出できる異種抗原性エピトープ、及びそれらをコードする配列はまた、当業界において知られている。そのような抗原性エピトープを検出するための技法はまた、当業界において知られており、そしてたとえばウェスターンブロット、ELISA、又は異種抗原性エピトープに対して特異的な抗体に結合することができる螢光ラベルされた抗体による、異種抗原性エピトープに対して特異的な抗体の血清学的検出を包含する。本発明の実施において有用な血清学的検出のための技法は、当業界において認識されるテキスト、たとえば引用により本明細書中に組込まれる、Coligan, J.E.,など. (eds), 1998, Current
Protocols in Immunology, John Willey & Sons, Inc., に見出され得る。他方では、異種抗原性エピトープ自体はたとえば、抗原性エピトープを実質的に含んで成るサンプルと、抗原性エピトープを特異的に結合する螢光ラベルされた抗体又は放射性ラベルされた抗体とを接触せしめることによって検出され得る。
【0065】
本発明はさらに、北米PRRSウィルス抗原性エピトープを検出可能に欠いている遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスをコードするRNA分子をコードするDNA配列は、配列番号1又はそれに対して相同の配列であるが、但し、それは検出できる北米PRRSウィルス抗原性エピトープをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を欠いている。そのよな単離されたポリヌクレオチド分子は、本発明の組換え北米PRRSウィルスにより感染されたブタと、野生型PRRSウィルスにより感染されたブタとの間を区別するために有用である。
【0066】
たとえば、そのような単離されたポリヌクレオチド分子によりコードされた、殺された、生存の又は弱毒化された北米PRRSウィルスによりワクチン接種された動物は、欠けた抗原性エピトープに対して特異的な抗体の不存在に基づいて、又は抗原性エピトープ自体の不存在に基づいて、野生型PRRSウィルスにより感染された動物から区別され得る。欠けた抗原エピトープに対して特異的な抗体、又は抗原性エピトープ自体が動物において検出される場合、動物は野生型PRRSウィルスに暴露され、又はそれにより感染された。
【0067】
抗原性エピトープ及びそれに対して特異的な抗体を検出するための手段は、上記で論ぜられたように、当業界において知られている。好ましくは、そのような単離されたポリヌクレオチド分子はさらに、PRRSを生成するその能力において、コードされたPRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の突然変異を含む。より好ましくは、そのコードされたウィルスは、PRRSウィルスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発できるまま存続する。
【0068】
B.北米PRRSウィルス又は遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードするプラスミド:本発明はまた、上記単離されたポリヌクレオチド分子のいづれかを、それによりコードされる北米PRRSウィルスを発現することができるプラスミドの形で提供する。
【0069】
本発明のプラスミドは、中でも、ワクチンを調製するために有用な本発明の北米PRRSウィルスを生成するために、生存生物の外部に、コードされた北米PRRSウィルスを発現することができる。1つの態様においては、生存生物の外部に北米PRRSウィルスを発現することができる本発明のプラスミドは、それからのウィルスRNAの転写がインビトロ(細胞外的に)で生じるプラスミドであり;その得られるウィルスRNA分子は、トランスフェクションの既知機構、たとえばエレクトロポレーション、リポフェクション(多くの場合、市販の試薬、たとえばLipofectinTM(Life Technologies
Inc., Rockville, Maryland, USA) を用いる)、又はDEAEデキストラン介在性トランスフェクションを用いて、適切な宿主細胞中にトランスフェクトされる。
【0070】
他のトランスフェクション方法は、当業界において知られており、そして本発明において使用され得る。北米PRRSウィルスRNAのインビトロ転写のためのそのようなプラスミドの例は、プラスミドpT7P129A(ATCC受託番号203488)
である。インビトロ転写のために有用ないづれかのプロモーターが、本発明のそのようなプラスミドに使用され得る。T7は1つのそのようなプロモーターであるが、しかし他のプロモーター、たとえばSP6プロモーター又はT3プロモーターが使用され得る。そのようなプロモーターの配列は、市販のプラスミドから人工的に合成され、又はクローン化され得る。
【0071】
北米PRRSウィルスを発現することができるそのようなプラスミドを調製するための適切なプラスミドは、一般的な目的のクローニングベクタープラスミド、たとえばpCR2.1(Invitrogen, Carlsbad, California,
USA),pBR322及びpUC18を包含するが、但しそれらだけには限定されない。北米PRRSウィルスをコードする本発明のヌクレオチド配列は、既知の組換え技法を用いて、それらのプラスミドのいづれか中に挿入され得る。本発明のポリヌクレオチド分子が挿入され得る他のプラスミドは、当業者により認識されるであろう。
【0072】
北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る上記組換えプラスミドのいづれかからのウィルスRNAのインビトロ転写のための適切な条件は、プラスミドの型、たとえばその特定のプロモーターに依存し、そして当業者により確かめられ得る。たとえば、本発明のプラスミドがT7プロモーターを含んで成るpCR2.1プロモーターに基づかれている場合、インヒトロ転写のための適切な条件の例は、プラスミドとT7 RNAポリメラーゼ及びリボヌクレオチドとを、標準の緩衝液において反応せしめ、そしてその反応を37℃で約30分間インキュベートすることを包含する。
【0073】
多くの場合、市販のキットが特定のプラスミドからRNAを転写するために利用でき、そしてそのようなキットが本発明において使用され得る。転写に続いて、反応混合物は、精製を伴わないで、適切な宿主細胞中に直接的にトランスフェクトされ得、又は転写された北米PRRSウィルスRNAは既知のRNA精製技法、たとえば有機物(たとえばフェノール)抽出及びアルコール(たとえば、エタノール又はイソプロパノール)沈澱により、トランスフェクションの前、精製され得る。
【0074】
実質的にいづれかの哺乳類又は鳥細胞培養物は、第1回目の北米PRRSウィルスを生成するために、上記のようにして得られた北米PRRSウィルスRNAによりトランスフェクトされ得る。それらの容易な利用性及び容易な使用性のために特に有用であることが見出されている細胞の例は、BHK(子供ハムスター腎臓)細胞である。しかしながら、北米PRRSビリオンの生成を維持できる細胞培養物を生成することが所望される場合、ブタ肺胞マクロファージ細胞又はMARC-145細胞(Kim, H.S.,など.,前記)が、それらの細胞はPRRSウィルス感染に続いて、高レベルの新規世代のPRRSビリオンを排出するので、好ましい。MA-104細胞系に由来する他の細胞系はまた、本発明の北米PRRSビリオンの維持された生成のためにも使用され得る。一次ブタ肺胞マクロファージ細胞は、ブタからの肺洗浄により得られ、そしてMARC-145サル腎細胞系はNVSLとしても知られているNational
veterinary Services Laboratories (Ames, Iowa, USA)から得られる。
【0075】
もう1つの態様においては、生存生物の外部で本発明の北米PRRSウィルスを発現することができるプラスミドは、たとえば、エレクトロポレーション又はリポフェクション、感染性RNA分子の転写、及びトランスフェクトされた宿主細胞内に生じる、それからの北米PRRSウィルスの発現により、適切な宿主細胞中にトランスフェクトされるプラスミドである。従って、トランスフェクトされた宿主細胞が北米PRRSビリオンを生成する。そのような完全な細胞的方法は、ニドビラレス目内のいづれのウィルスについても、これまで開示されたことも又は提案されたこともない。
【0076】
ニドビラレス目のウィルスのRNAゲノムに存在する可能性ある隠れたスプライシング及び終結配列のために、ニドビラレスウィルスを発現する完全な細胞性方法は見込みのないように思われた。隠れた配列は、RNA転写体の不適切なスプライシングを引き起こすRNAスプライスドナー及びスプライス受容体配列、及び細胞RNAポリメラーゼIIによる早熟終結を引き起こすポリアデニル化配列を包含する。しかしながら、本発明は、ニドウィルスのcDNAクローンを含んで成るプラスミドにおけるそのような配列の存在が、プラスミドが適切な宿主細胞中に直接的にトランスフェクトされる場合、ニドウィルスを発現するプラスミドの能力を妨げないことを示す。
【0077】
従って、本発明はまた、ニドビラレスウィルスを発現するためのプラスミド及び完全な細胞的方法を提供し、ここで前記プラスミドは、a)ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列;及びb)細胞において前記コード配列を転写することができるプロモーターを含んで成り、そして前記プロモーターは感染性RNA分子をコードするDNA配列と作用可能に関連して存在する。前記方法は、そのようなプラスミドにより適切な宿主細胞をトランスフェクトし、そのトランスフェクトされた宿主細胞を、そこにトランスフェクトされた遺伝子配列の発現のために適切な条件にゆだね、そしてそれから、発現されたニドビラレスウィルスを集めることを含んで成る。
【0078】
生存生物の外部での北米PRRSウィルスの完全な細胞性発現のために適切なプラスミドの例は、プラスミドpCMV-S-P129 (ATCC受託番号203489) である。好ましい態様においては、そのようなプラスミドのプロモーターは、CMVプロモーターである。好ましい態様においては、ニドビラレスウィルスを発現する完全な細胞性方法のために適切な本発明のプラスミドは、ニドビラレスウィルスをコードするヌクレオチド配列のすぐ上流に及びそれに隣接して真核プロモーター、たとえばCMVプロモーターを含んで成る。好ましい態様においては、ニドビラレスウィルスをコードするヌクレオチド配列は、欧州又は北米PRRSウィルスをコードする。
【0079】
上記完全な細胞性方法により発現され得るニドビラレスウィルスの他の例は、他のアルテリビルセス(Arterviruses)、たとえばウマ動脈炎ウィルス、乳酸デヒドロゲナーゼ−上昇ウィルス及びサル出血性発熱ウィルス;コロナビリダエ(Coronaviridae)属のメンバーであるウィルス、たとえばネコ感染性ペリチニチスウィルス、ネコ腸コロナウィルス、イヌコロナウィルス、ウシコロナウィルス、ブタ呼吸コロナウィルス、七面鳥コロナウィルス、ブタ伝染性胃腸炎ウィルス、ヒトコロナウィルス、ネズミ肝炎ウィルス、及び鳥類感染性気管支炎ウィルス(但し、それらだけには限定されない);及びトロビリダエ(Toroviridae)属のメンバー、たとえばベルン(Berne)ウィルス、ブレダ(Breda)ウィルス及びヒトトロビウィルス(但し、それらだけには限定されない)を包含する。従って、それらのウィルスの1つをコードするヌクレオチド配列を含んで成る完全な細胞性発現のために適切なプラスミドがまた、本発明により包含される。
【0080】
ニドビラレスウィルス、たとえばPRRSウィルスの生存生物の外部で完全な細胞性発現のための本発明の組換えプラスミドを調製するために使用され得る適切なプラスミドは、真核細胞におけるトランスフェクション及び発現のために有用ないづれかのプラスミドを包含する。ニドビラレスウィルスの完全な細胞性発現のための本発明の組換えプラスミドを調製するために適切なプラスミドの例は、プラスミドpCMVbeta(Clontech, Palo Alto, California,
USA) である。
【0081】
本発明のプラスミドを調製するために使用され得る。真核細胞において遺伝子をトランスフェクトし、そして発現することができる他のプラスミドは、pcDNA3.1、pRc/RSV 、及びpZeoSV2
(すべて、Invitrogenからである);並びにpCMV-Sprot3
及びpSV-Sport1(両者ともLife
Technologies Inc.からである)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。しかしながら、ほとんどいづれの真核発現ベクターでも、本発明のために作用するであろう。コスミドに基づく構造体がまた、ニドビラレスウィルスの完全な細胞性エクスビボ発現のために使用され得る。
【0082】
PRRSを発現するための本発明の完全な細胞性方法のための適切な宿主細胞は、上記ブタ肺胞マクロファージ及びMARC-145細胞を包含する。プラスミドによりそれらの細胞をトランスフェクトするための方法は、上記ウィルスDNAにより細胞をトランスフェクトするためのそれらの方法と基本的に同じである。そのような方法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、DEAEデキストラン介在性トランスフェクション、及びリン酸カルシウム同時沈澱を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0083】
宿主細胞、たとえばブタ肺胞マクロファージ細胞又はMARC-145細胞がウィルスRNAにより、又はウィルスをコードするヌクレオチド配列を含んで成るプラスミドにより、本発明に従ってトランスフェクトされるとすぐに、それらの細胞は数年間までの貯蔵のために約−80℃又はそれ以下で凍結され得る。より長い期間、すなわち10年間の貯蔵のためには、液体窒素による貯蔵が好ましい。コードされたウィルスの比較的頻繁な使用が想定される場合、ウィルスを収容する細胞はまた、短期間、既知の技法を用いて、培養物において維持され得る(凍結されないで)。
【0084】
さらに、そのような細胞により排泄されるウィルス粒子は、ウィルス源として、約−80℃又はそれ以下で凍結貯蔵され得る。ウィルスをコードするポリヌクレオチド分子によるそのような細胞系のトランスフェクションは、所望により、たとえば免疫螢光抗体試験を用いて、PRRSウィルス抗原について前記細胞系により排泄される消耗された培地を試験することによって確かめられ得る。PRRSウィルス抗原に対して特異的である抗体は当業界において知られている(たとえば、Collins, E.J.,など., WO93/03760 (March 4, 1993)
を参照のこと)。
【0085】
もう1つの態様において、北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列を含んで成る本発明のプラスミドは、北米PRRSウィルスのインビボ発現すなわち生存生物における発現のために適切である。北米PRRSウィルスのインビボ発現のための組換えプラスミドを調製するために使用され得るプラスミドは、上記真核細胞をトランスフェクトすることができるプラスミド、たとえばpCMVbetaを包含するが、但しこれだけには限定されない。
【0086】
本発明のプラスミドによりトランスフェクトされ得る動物は、哺乳類及び鳥類を包含する。動物がブタ動物以外、たとえばマガモである場合、プラスミドは動物を病原的に感染することができる病原体からの追加の抗原性エピトープを含んで成る北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列を含んで成り;そのような場合、プラスミドは、動物中にエピトープを輸送するためのベクターとして作用する北米PRRSウィルスをコードするであろう。動物がブタ動物である場合、プラスミドは通常、本明細書に記載される北米PRRSウィルスのいづれか、たとえば本明細書に記載される遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードすることができる。
【0087】
C.北米PRRSウィルスをコードするウィルスベクター、たとえば遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードするウィルスベクター:本発明はまた、本明細書に記載される北米PRRSウィルスのいづれか、たとえば本明細書に記載される遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成るウィルスベクターを提供する。そのようなウィルスベクターは、生存生物の外部で本発明のPRRSウィルスの生成のために真核細胞をトランスフェクトするために、又は本明細書における北米PRRSウィルスのインビボ発現のために、北米PRRSをコードする配列により、ブタ、又は他の哺乳類、又は鳥類をトランスフェクトするために有用である。
【0088】
本発明のウィルスベクターを調製するためのベクターとして使用され得るウィルスのいくつかのサンプルは、ブタウィルス、たとえばブタポックスウィルス、仮性狂犬病ウィルス、又はアフリキャンブタ発熱ウィルスを包含するが、但しそれらだけには限定されない。そのようなブタウィルスは、The National Veterinary Services Laboratories (Ames, Iowa, USA) of
the United States Department of Agriculture ; American Type Culture Collection
(ATCC) (Manassas,Virginia, USA) ;及び他の既知の源から得られる。適切なブタウィルス、たとえば前記ブタウィルスに基づく組換えウィルスベクターは、本発明の北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列によりブタ動物をトランスフェクトするために有用である。
【0089】
それらの及び他のウィルスに基づいての本発明の北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成るウィルスベクターは、テキスト、たとえば本明細書において前に引用された文献に記載される既知の組換え技法を用いて調製され得る。
【0090】
D.遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードするトランスフェクトされた宿主細胞:本発明はまた、本明細書に記載される北米PRRSウィルスのいづれか、たとえば本明細書に記載される遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る、その北米PRRSウィルスを発現することができるトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。そのようなトランスフェクトされた宿主細胞は、本発明の北米PRRSウィルスを生成するために有用である。本発明のトランスフェクトされた宿主細胞の例は、トランスフェクトされたブタ肺胞マクロファージ細胞及びトランスフェクトされたMARC-145細胞を包含する。
【0091】
本発明の他のトランスフェクトされた細胞は、次の細胞を包含するが、但しそれらだけには限定されない:トランスフェクトされたMA-104細胞及びトランスフェクトされるMA-104細胞の他の誘導体;トランスフェクトされた子供ハムスター腎臓(BHK)細胞;トランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びMA-104細胞又はMARC-145細胞以外のアフリキャンミドリザル腎臓細胞、たとえばVERO細胞。
【0092】
E.遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを包含する北米PRRSウィルス:本発明はまた、上記単離されたポリヌクレオチド分子、RNA分子、プラスミド、ウィルスベクター又はトランスフェクトされた宿主細胞のいづれかにより発現され、そして/又はコードされる、本明細書に記載されるような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを包含する、本明細書に記載されるような北米PRRSウィルスを提供する。
【0093】
一定の情況下で、たとえば北米PRRSウィルスがブタのためのワクチンに使用され、そして北米PRRSウィルスが、PRRSを引き起こすことができないように、上記のようにして遺伝子的に修飾されていない場合、北米PRRSウィルスを、たとえば、それが投与されるブタにおいてPRRSを引き起こすことができないように、それを不活性化し、又は弱毒化することによって処理することが所望される。既知の方法は、動物においてPRRSを引き起こさないように、本発明の北米PRRSウィルスを不活性化するために使用され得る。そのような方法の例は、ホルムアルデヒド、BEI(二元エチレンイシン)又はBPL(β−プロピオラクトン)による処理を包含するが、但しそれだけには限定されない。弱毒化の方法はまた当業界において知られており、そしてそのような方法は本発明の北米PRRSウィルスを弱毒化するために使用され得る。たとえば、本発明の北米PRRSウィルスは、細胞培養における一連の継代により弱毒化され得る。
【0094】
本発明の北米PRRSウィルスがブタ動物以外の動物において使用される場合、又はそれがブタ動物においてPRRSを生成できないように、本明細書に記載されるよう遺伝子的に修飾されている場合、それをワクチンに使用する前、前述のようにウィルスを処理する必要はない。
【0095】
F.ワクチン及びその用途:本発明はまた、本明細書に記載されるようなブタ動物においてPRRSを生成するそれらの能力において無能にされた遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを包含する、北米PRRSウィルス;本明細書に記載されるようなそのような北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子及びプラスミド;又は本明細書に記載されるようなそのような北米PRRSウィルス及び単離されたRNA分子をコードするウィルスベクターを含んで成るワクチンを提供する。本発明はまた、そのようなワクチンによるワクチン接種を含んで成る、感染から動物を保護するための方法も提供する。
【0096】
好ましい態様においては、本発明は、本明細書に記載されるような1又は複数の異種抗原性エピトープを含んで成る遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス、そのような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子、又はそのような遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする本明細書に記載されるようなプラスミドを、前記異種抗原性エピトープが由来する病原体による感染に対して免疫保護応答を誘発するのに効果的な量で、及び医薬的又は獣医学的使用のために許容できるキャリヤーを含んで成るワクチンを提供する。
【0097】
そのようなワクチンは、異種抗原性エピトープが由来する病原体により病原的に感染され得る哺乳類又は鳥類を感染から保護するために使用され得る。従って、本発明はまた、病原体による感染に対しての哺乳類又は鳥における免疫保護応答を誘発するのに効果的な量の前記ワクチンにより哺乳類又は鳥をワクチン接種することを含んで成る、病原体による感染から哺乳類又は鳥を保護するための方法を提供する。
【0098】
さらに好ましい態様においては、ワクチンは、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルス、又は北米PRRSウィルス以外のブタ病原体からの1又は複数の異種抗原性エピトープを含んで成るか又はそれをコードする、そのような遺伝子的に修飾されたPRRSウィルスをコードする感染性RNA分子又はプラスミドを含んで成る。それらのワクチンは、異種抗原性エピトープが由来するブタ病原体による感染からブタを保護するために有用である。そのようなワクチンが遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスを含んで成る場合、その北米PRRSウィルスの遺伝子修飾がブタにおける前記ウィルスによるPRRSの誘発を無能にする。
【0099】
もう1つの好ましい態様においては、ワクチンにおける遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスはPRRSウィルスによる感染に対する免疫保護応答を誘発することができ、従って、ブタに二重−ワクチンを供給し、異種抗原性エピトープが由来するブタ病原体による感染から、及びPRRSウィルスによる感染からブタを保護する。ワクチンがもう1つのブタ病原体からの1又は複数の異種抗原性エピトープを含んで成る遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子又はプラスミドを含んで成る場合、その遺伝子的に修飾されたPRRSウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする配列は好ましくは、PRRSを引き起こすことができないよう、そのコードされた北米PRRSウィルスを遺伝子的に無能にする1又は複数の追加の突然変異を含んで成る。
【0100】
もう1つの好ましい態様においては、コードされた遺伝子的に修飾され、無能にされた北米PRRSウィルスは、ブタ動物においてPRRS感染に対して免疫保護応答を誘発することができ、従って、ブタに二重−ワクチンを供給し、異種抗原性エピトープが由来するブタ病原体による感染から、及びPRRSウィルスによる感染からブタを保護することができる。すべてのそれらのワクチンはまた、さらに、獣医学的使用のために許容できるキャリヤーを含んで成る。
【0101】
本発明はさらに、北米PRRSウィルス以外のブタ病原体による感染からブタ動物を保護し、そして任意には、PRRSウィルスによる感染からブタ動物を同時に保護するための方法を提供し、ここで前記方法は、ブタ病原体及び任意には、PRRSウィルスによる感染に対してブタ動物における免疫保護応答を誘発するのに有効な量の前記ワクチンにより動物をワクチン接種することを含んで成る。
【0102】
本発明のワクチンは、許容される慣例に従って、動物、たとえばヒト(適用できるなら)のための許容できるキャリヤー、たとえば標準の緩衝液、安定剤、希釈剤、保存剤、及び/又は溶解剤を含むよう配合され得、そしてまた、持効性を促進するよう配合され得る。希釈剤は、水、塩溶液、デキストロース、エタノール、グリセロール及び同様のものを包含する。等張性のための添加剤は、中でも、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを包含する。溶解剤は中でも、アルブミンを包含する。他の適切なワクチン用ビークル及び添加剤、たとえば修飾された生存ワクチンの配合において特に有用であるものは、知られており、又は当業者に明らかであろう。たとえば、引用により本明細書に組込まれる、Rennington's Pharmacentical Science, 18th ed.,1990, Mack
Publishingを参照のこと。
【0103】
本発明のワクチンはさらに、1又は複数の追加の免疫調節成分、たとえば中でも、アジュバント又はサイトカインを含むことができる。本発明のワクチンに使用され得るアジュバントの非制限的例は、次のものを包含する:RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc., Hamilton, MT)、みょうばん、鉱物ゲル、たとえば水酸化アルミニウムゲル、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、たとえばフロイント完全及び不完全アジュバント、ブロックコポリマー(CytRx, AtlantaGA),QS-21 (Cambridge Biotech
Inc., Cambridye MA)、SAF-M (Chiron, Emeryville CA) 、AMPHIGEN登録商標アジュバント、サポニン、QuilA 又は他のサポニン画分、モノホスホリル脂質A及びAvridine−脂質−アミンアジュバント。
【0104】
本発明のワクチンにおいて有用な水中油エマルジョンの非制限的な例は、変性されたSEAM62及びSEAM1/2 配合物を包含する。変性されたSEAM62は、5%(v/v)のスクアレン(Sigma),1%(v/v)のSPAN登録商標85界面活性剤(ICI Surfactants),0.7%(v/v)のTween 登録商標80界面活性剤(ICI Surfactants),2.5%(v/v)のエタノール、200μg/mlのQuilA ,100μg/mlのコレステロール、及び0.5%(v/v)のレシチンを含む水中油エマルジョンである。変性されたSEAM12は、5%(v/v)のスクアレン、1%(v/v)のSPAN登録商標85界面活性剤、0.7%(v/v)のTween80界面活性剤、2.5%(v/v)のエタノール、100μg/mlのQuilA 及び50μg/mlのコレステロールを含む水中油エマルジョンである。ワクチンに含まれ得る他の免疫調節剤は、たとえば1又は複数のインターロイキン、インターフェロン、又は他の既知のサイトカインを包含する。
【0105】
本発明のワクチンは任意には、本発明のウィルス、感染性RNA、プラスミド又はウィルスベクターの持効性のために配合され得る。そのような持効性配合物の例は、ウィルス、感染性RNA分子、プラスミド、又はウィルスベクター、及び生物適合性ポリマーの複合材料、たとえば乳酸のポリマー、乳酸−グリコール酸のコポリマー、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン及び同様のものを包含する。薬物供給ビークルにおける分解性ポリマーの構造、選択及び使用は、いくつかの出版物、たとえば引用により本明細書に組込まれる、A. Domb など., 1992, Polymers for Advanced
Technologies 3 : 279-292 に再考されている。
【0106】
医薬製剤におけるポリマーの選択及び使用における追加の案内は、当業界において知られているテキスト、たとえば引用により本明細書に組込まれる、M. Chasin and R. Langer (eds), 1990,“Biodeyradable Polymers as Drug
DeliverySystems ”in Drugs and the Pharmaceutical Science, Vol. 45, M.
Dekker, NY に見出され得る。他方では、又はさらに、ウィルス、プラスミド、又はウィルスベクターは、投与及び効能を改良するためにマイクロカプセル封入され得る。抗原をマイクロカプセル封入するための方法は、当業界において知られており、そしてアメリカ特許第 3,137,631号;第 3,959,457号;第 4,205,060号;第 4,606,940号;第 4,744,933号;第 5,132,117号;及び国際特許出願WO95/28227(それらは引用により本明細書中に組込まれる)に記載される技法を包含する。
【0107】
リポソームはまた、ウィルス、プラスミド又はウィルスベクターの持効性を付与するために使用され得る。リポソーム配合物をいかにして製造し、そして使用するかに関しての詳細は、中でも、アメリカ特許第 4,016,100号;第 4,452,747号;第 4,921,706号;第 4,927,637号;第 4,944,948号;第 5,008,050号;及び第 5,009,956号(それらは引用により本明細書中に組込まれる)に見出され得る。
【0108】
上記いづれかのワクチンの有効量は、低い用量のウィルス、プラスミド又はウィルスベクターにより開始し、そして次に、効果をモニターしながら、その用量を高める従来の手段により決定され得る。有効量は、ワクチンの一回の投与の後、又はワクチンの複数回の投与の後、得られる。動物当たりの最適な用量を決定する場合、既知の要因が考慮され得る。それらは、動物の種、サイズ、年齢及び一般的な状態、動物における他の薬物の存在、及び同様のものを包含する。実際の投与量は好ましくは、他の動物研究からの結果の考慮の後、選択される。
【0109】
適切な免疫応答が達成されたかどうかを決定するための1つの方法は、ワクチン接種の後、動物における血清転換及び抗体力価を決定することである。ワクチン接種のタイミング及び追加免疫の数は好ましくは、すべての相当する要因(それらのいくつかは、上記に記載されている)の分析に基づいて、医者又は獣医により決定されるであろう。
【0110】
本発明のウィルス、感染性RNA分子、プラスミド、又はウィルスベクターの効果的用量は、当業者により決定され得る要因、たとえばワクチン接種されるべき動物の重量を考慮して、既知の技法を用いて決定され得る。本発明のワクチンにおける本発明のウィルスの用量は、好ましくは、約101 〜約109 pfu (プラーク形成単位)、より好ましくは約102 〜約108 pfu 、及び最とも好ましくは、約103 〜約107 pfu の範囲である。本発明のワクチンにおける本発明のプラスミドの用量は、約0.1μg〜約100mg、より好ましくは約1μg〜約10mg、さらにより好ましくは約10μg〜約1mgの範囲である。
【0111】
本発明のワクチンにおける本発明の感染性RNA分子の用量は、好ましくは約0.1μg〜約100mg、より好ましくは約1μg〜約10mg、さらにより好ましくは約10μg〜約1mgの範囲である。本発明のワクチンにおける本発明のウィルスベクターの用量は、好ましくは約101 〜109 pfu 、より好ましくは約102 〜約108 pfu 、及びさらにより好ましくは約103 〜約107 pfu の範囲である。適切な投与量サイズは、約0.5μl〜約10ml、及びより好ましくは約1ml〜約5mlの範囲である。
【0112】
本発明はさらに、本明細書に記載される北米PRRSウィルス、感染性RNA分子、プラスミド、又はウィルスベクターを含んで成るワクチンの調製方法を提供し、ここで前記方法は、有効量の本発明の北米PRRSウィルス、感染性RNA分子、プラスミド又はウィルスベクターと、医薬的又は獣医学的使用のために許容できるキャリヤーとを組合すことを含んで成る。用語“本発明の北米PRRSウィルス”及び同様の用語は、特にことわらない限り、本明細書に記載される遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスのいづれか、及び配列番号1又はそれに対して相同の配列によりコードされる修飾されていない北米PRRSウィルスを包含することが理解されるべきである。
【0113】
G.北米PRRSウィルスペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド分子及びトランスフェクトされた宿主細胞、及び機能的北米PRRSビリオンの製造方法:本発明はまた、北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は、配列番号1に対応するRNA分子と同じであるか又それに対して相同である。本明細書において使用される場合、用語“北米PRRSウィルスペプチド”とは、北米PRRSウィルスにより発現されるペプチドを意味する。そのようなペプチドは、北米PRRSウィルスに対して特異的であるが、しかし必ずしも必要ではない。
【0114】
好ましい態様においては、北米PRRSウィルスペプチドをコードする本発明の単離されたポリヌクレオチド分子は、配列番号2,3,4,5,6,7,8,9、及び前記配列のいづれかに対して相同の配列から独立して選択された配列を含んで成る。そのような単離されたポリヌクレオチド分子は、プラスミドにおいて、及び北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成る“ヘルパー”細胞を創造するために適切な宿主細胞をトランスフェクトするためのウィルスベクターを調製するために有用であり、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は配列番号1に対応するRNA配列と同じであるか又はそれに対して相同であり、前記ヘルパー細胞は本発明の遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンの調製において有用であり、前記ウィルスは、それらがヘルパー細胞によりコードされるペプチドをコードする配列をそれらのRNAゲノムからミッシングするよう、上記のようにして遺伝子的に修飾されている。
【0115】
従って、本発明はまた、北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成るプラスミド及びウィルスベクターを包含し、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は配列番号1に対応するRNA配列と同じであるか、又はそれに対して相同である。本発明のそのようなプラスミドは、北米PRRSウィルスをコードするヌクレオチド配列を含んで成るプラスミドの調製のために有用な上記のそれらのプラスミドに基づかれている。本発明のそのようなウィルスベクターは、たとえばレトロウィルスベクター又はアデノ−関連ウィルスベクターに基づかれ得る。それらのプラスミド及びウィルスベクターは、前記ヘルパー細胞の調製のために有用である。
【0116】
従って、本発明はまた、ヘルパー細胞、すなわち北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成るトランスフェクトされた宿主細胞を提供し、ここで前記北米PRRSウィルスのゲノム配列は配列番号1に対応するRNA配列と同じであるか又はそれに対して相同である。好ましい態様においては、そのトランスフェクトされた宿主細胞は配列番号2,3,4,5,6,7,8,9、及び前記配列のいづれかに対して相同の配列から独立して選択されたヌクレオチド配列を含んで成る。それらのヘルパー細胞は、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンが細胞により生成され得るように、ヘルパー細胞によりコードされるペプチドをコードする配列に欠失する感染性RNA分子を完全にするためのペプチドを供給するために有用である。
【0117】
本発明のこの観点のための適切な細胞は、北米PRRSウィルスを発現するために適切である上記細胞、たとえばブタ肺胞マクロファージ細胞及びMARC−145細胞を包含する。しかしながら、実質的にいづれの哺乳類又は鳥類細胞でも使用され得る。上記で論ぜられたように、PRRSビリオンによる再感染でき、そして従って遺伝子的に修飾された機能的北米PRRSビリオンの複数世代を生成できるトランスフェクトされた宿主細胞を得ることが所望される場合、ブタ肺胞マクロファージ細胞及びMARC-145細胞が好ましい。
【0118】
従って、さらに本発明は、1又は複数のペプチドコード配列を無能にする1又は複数の突然変異を含んで成る、配列番号1又はそれに対して相同の配列に対応するRNA配列によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンを生成するための方法を提供し、ここで前記方法は、遺伝子的修飾された北米PRRSウィルスをコードする、感染性分子、プラスミド又はウィルスベクターにより前記ヘルパー細胞をトランスフェクトすることを含んで成り、ここで前記ヘルパー細胞は遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの無能化されたペプチドコード配列の北米PRRSウィルスペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る。
【0119】
本発明はさらに、1又は複数のペプチドコード配列に1又は複数の突然変異を含んで成る、配列番号1又はそれに対して相同の配列に対応するRNA配列によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンを生成するための方法を提供し、ここで前記方法は、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする、感染性RNA分子、プラスミド又はウィルスベクター、及び修飾された北米PRRSウィルスの突然変異誘発されたペプチドコード配列の北米PRRSウィルスペプチドを細胞において発現するヘルパーウィルスの両者により適切な細胞をトランスフェクトし、そしてヘルパーウィルスから遺伝子的に修飾された北米PRRSビリオンを分離することを含んで成る。
【0120】
分離の方法は、当業界において知られており、そして発現された北米PRRSウィルスが殺されない一定の条件下でヘルパーウィルスを区別する(殺す)条件的致死ヘルパーウィルスの使用を包含する。他の既知の分離方法は、ヘルパービリオン及び北米PRRSビリオンの両者の発現に続いての物理的分離方法、たとえば密度グラジェント遠心分離を包含する。本発明のこの方法のための適切な細胞は、PRRSウィルスにより感染することができる細胞、たとえばブタ肺胞マクロファージ細胞及びMARC-145細胞を包含する。PRRSウィルスにより感染され得他の細胞は、本明細書において前で記載されており、たとえばMA-104細胞系、又はそれに由来する他の細胞系を包含する。ヘルパーウィルスの例は、PRRSウィルス、好ましくは北米PRRSウィルス単離物、たとえばP129である。PRRSペプチドを発現する、野生型、単離された又は組換えのいづれかのウィルスがヘルパーウィルスとして使用され得る。
【0121】
遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンを生成するための上記方法のいづれかにおいて有用な遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする、感染性RNA分子、プラスミド及びウィルスベクターは、本明細書に記載されるそれらの感染性RNA分子、プラスミド及びウィルスベクターである。
【0122】
H.遺伝子的に修飾された免疫保護性ニドビラレスウィルス及びそれらを含んで成るワクチン:本発明はさらに、遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において免疫保護を誘発することができるそれらの遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを提供し、ここで前記遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスは、野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得、哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得るために野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を遺伝子的に突然変異誘発し、そしてそのようにして得られた、単離されたポリヌクレオチド分子から前記遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを発現することによって調製される。
【0123】
本発明はさらに、遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において免疫保護を誘発することができるそれらの遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを調製するための方法を提供し、ここで前記方法は野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得、哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスによる感染に対して効果的な免疫保護応答を誘発することができる遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子を得るために野生型ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を遺伝子的に突然変異誘発し、そしてそのようにして得られた、単離されたポリヌクレオチド分子から前記遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを発現することを含んで成る。
【0124】
ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列は、北米PRRSウィルスをコードする、本明細書に記載される配列番号1と同じか又はそれに対して相同であるDNA配列を包含する。北米PRRSウィルス以外のニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列は、当業界において知られており、そして既知源、たとえば上記遺伝子データベースから得られる。
【0125】
本発明に使用され得るニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするいくつかのDNA配列の他の例は、Meulenberg, J.J.M., など., 1993 、前記に記載される、欧州PRRSウィルスをコードするDNA配列;van Dinten, L.D., など., 1997, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 94 (3) : 991-6 に記載される、ウマ動脈炎ウィルスをコードするDNA配列;及びden Boon, J.A.,など., 1991, J. Virol. 65 (6) :
2910-20 に記載される、ウマ動脈炎ウィルスをコードするDNA配列を包含する(前記文献は引用により本明細書中に組込まれる)。本発明の手段により遺伝子的に修飾され得るニドビラレスウィルスは、コードDNA配列が得られるいづれかのニドビラレスウィルスであり得る。ニドビラレスウィルスのいくつかの例は、本明細書の前のセクションに記載されている。
【0126】
ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列が得られると、ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子、たとえばプラスミドが、上記組換え技法を用いて合成され得る。
【0127】
ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードする配列は、遺伝子修飾、たとえばそれらにより感染された動物において疾病を引き起こす無能性、動物において免疫保護応答を誘発することができる異種抗原性エピトープの包含、検出できる異種抗原性エピトープの包含、及び検出できる抗原性エピトープの欠失を含んで成るニドビラレスを得るために、北米PRRSウィルスについて記載されるようにして遺伝子的に突然変異誘発され得る。そのような遺伝子修飾は上記に記載される。遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスをコードするための遺伝子突然変異は、ニドビラレスウィルスをコードする感染性RNA分子をコードするDNA配列のコード及び/又は非コード領域において生じ得る。1つの態様においては、1又は複数の遺伝子突然変異が、ニドビラレスウィルスのウィルスペプチドをコードするORFにおいて生じる。
【0128】
“野生型ニドビラレスウィルス”とは、本明細書において使用される場合、そのゲノムが意図的に、遺伝子突然変異誘発されていないニドビラレスウィルス、たとえば天然において存在するニドビラレスウィルス及びその単離物を意味する。本発明はさらに、ニドビラレスウィルスによる感染から哺乳類又は鳥を保護するためのワクチンを提供し、ここで前記ワクチンは、上記の遺伝子的に修飾されたニドビラレスウィルスを、それによりワクチン接種された哺乳類又は鳥において野生型ニドビラレスウィルスに対して効果的な免疫保護応答を誘発するのに効果的な量で、医薬的に又は獣医学的使用のために許容できるキャリヤーを含んで成る。本発明のそれらのワクチンは、上記ワクチンを配合するための技法を用いて配合され得る。次の例は本発明の観点を例示するに過ぎない。それらは本明細書に記載される本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0129】
例1北米PRRSウィルス単離物の感染性cDNAクローンの調製PRRSウィルス及びMARC-145細胞の源
P129と称する北米PRRSウィルス単離物を、Drs. Gregory W. Stevenson, William G. Van Alstine,及びCharles L. Kanitz of Purdne University's Animal Disease Diagnostic
Laboratory in West Lafayette, Indianaから得た。P129ウィルスを、重度のPRRS大発生を経験した南インディアナにおけるブタ集団から1995年、秋に最初に単離した。この農場は、PRRS問題又はPRRSワクチン接種のこれまでの歴史を有さなかった。
【0130】
P129単離物は、それが若いブタにおいてより重度で且つより一貫した呼吸疾患を生成することにおいて、同じ時期及び地理学的領域からのいくつかの他のフィールド単離物よりも毒性であった。このウィルスを最初に、一次ブタ肺胞マクロファージ(天然の宿主細胞)に基づいて単離し、そして続いて、MARC-145細胞(Kim, H.S. など., 1993, Arch. Virol. 133 : 477-483)に基づいて継代した。P129の構造タンパク質をコードする遺伝子は、対応する既知の北米PRRS遺伝子配列に対して相同であることが見出された。
【0131】
PRRSウィルスを増殖するために使用されたMARC-145細胞系は、MA-104 Rhesus Macaqne Monkey
Kidney 細胞系のクローンである。MARC-145細胞をUSDAのNational Veterinary Servlces Laboratories (NVSL, Ames, Iowa)から得た。それらの細胞は試験され、そしてマイコプラズマ及び通常のブタ異質剤に対して陰性であることが見出されている。MARC-145細胞を、2%のウシ胎児血清及び抗体を含むOpti MEM(Life Technologies Inc.) において37℃で通常通りに増殖する。
【0132】
5つの生物学的クローンを、P129ウィルスストックからプラーク精製し、そしてそれらを P129A〜P129E と命名した。プラーク精製を、P129ウィルスによりMARC-145細胞の単層を感染せしめ、1.25%のSeaPlaque アガロース(FMC BioProducts)、2%ウシ胎児血清、及び抗生物質を含むOptiMEM のオーバーレイを添加することによって実施した。5つの十分に単離されたプラークが取られ、そして新鮮なMARC-145単層上で継代される場合、7日間のインキュベーション後、透明になった。細胞障害効果(ウィルス誘発された細胞の死)が明らかになったなら、それらの培養物の個々からの子孫ウィルスをプラーク精製にゆだねた。5つのクローンの個々からの1つの十分に単離されたプラークを取り、そして拡張し、大きなストックを生成した。
【0133】
5つのクローンを若いブタにおいてビルレンスについて、それぞれ(クローンA及びE)、又は組合して(クローンB−D又はクローンA−E)、試験した。すべての場合、プラーク精製されたウィルスは、ブタにおいて十分に複製し、そして臨床学的疾病を引き起こした。臨床学的徴候の重症度は、すべての5つのクローンが一緒に使用される場合でさえ、クローン化されていないP129ウィルスにより引き起こされるその重症度よりも低かった。P129A を配列決定のために選択し、そして続く分子操作に使用した。
【0134】
P129A のゲノム配列の決定
プラーク精製されたウィルスP129A を、ブタからの10連続的継代(2つのプラーク精製及び1つの続く継代を包含する)の後、配列決定のために使用した。配列番号1は、P129A RNAゲノムに対応するcDNA配列を示す。ゲノムは、ATGACGTAで開始し、そしてCCGCAATTで終結する、長さ15,395のヌクレオチドである(ポリアデノシン末端を除外する)。55個の残基の典型的なポリアデノシン末端はまた、配列番号1に提供される。
【0135】
ゲノムの3’側20%を含んで成る、P129A の構造遺伝子(ORF2〜7)のために、種々のPCRプライマーを、公開されたDNA配列データベースGenBank から入手できる他の北米PRRSウィルス単離物(たとえばPRU00153)
のいくつかの部分DNA配列に基づいて選択した。精製されたウィルスRNAを、逆転写酵素及びランダムヘキサマープライマーを用いてcDNA中に逆転写した。次に、このcDNAを、遺伝子−特異的プライマーと共にPCRに使用した。PCR生成物をゲルから切り出し、そしてT/AをプラスミドpCR2.1 (Invitrogen)中にクローン化した。
【0136】
個々のプライマー対のために、複数のプラスミド(独立したPCR反応からの)を、DNA配列決定した。配列を、Lasergene パッケージ(DNASTAR, Inc.)からのSeqmanプログラムを用いてアセンブリーした。これは、P129A ゲノムの位置11,992〜15,347の配列の完結を可能にした。また、GenBank データベースにおいては、PRRSウィルスのいくつかの単離物のORF1b 遺伝子の一部を含んで成る一連の短い配列(合計約218個のヌクレオチド)が存在する。それらの1つ(PPSSEQB)を用いて、次のPCRプライマーを企画した:位置9063−9080に対応する前方向5'-ACAGTTTGGTGATCTATG-3'(配列番号10);位置9252−9268に対応する逆方向5'-CAGATTCAGATGTTCAA-3'
(配列番号11)。
【0137】
それらは、P129A ORF1b 遺伝子からの新規配列の171個のヌクレオチドを含み、位置9081〜9251に対応する206個のヌクレオチドフラグメントを増幅した。新規前方向プライマーをこの領域内で企画し(5'-ACCTCGTGCTGTATGCCGAATCTC-3'(配列番号12)、位置9201−9224)、そして適合するプライマーをORF2のすぐ上流のORF1b 内で企画した(5'-TCAGGCCTAAAGTTGGTTCAATGA-3'(配列番号13)、位置12,027−12,050)。それらのプライマーを、P129A ゲノムの位置9201−12,050に対応する、ORF1b の2850個のヌクレオチドフラグメントを増幅するためにRT-PCRに使用した。
【0138】
PRRSウィルスのもう1つの北米フィールド単離物のORF5のRT-PCR増幅の間、予測されるサイズよりも小さなマイナーなバンドが見られた。これを配列決定し、そしてLelystadウィルスのORF1a と限定された相同性(誤ったプライミングに起因する)を有することを見出した。この領域内の次の新規プライマーを選択し、P129A を増幅した(位置1587−1610に対応する前方向5'-GATGACTGGGCTACTGACGAGGAT-3'(配列番号14);位置1877−1897に対応する逆方向5'-AGAGCGGCTGGGATGACACTG-3' (配列番号15)。311個のヌクレオチドの生成物(位置1611−1876に対応するプライマー間の新規P129A 配列の266個のヌクレオチド)の他に、701個のヌクレオチドの大きなマイマーPCR生成物をクローン化し、そして配列決定した(位置1611−2264に対応するプライマー間の新規P129A 配列の656個のヌクレオチド)。より大きなバンドは、位置2265−2269での逆方向プライマーの誤ったプライミングに起因する。
【0139】
P129A のゲノムの最5’末端を、市販のキット(Life Technologies Inc.) を用いて、5'RACE(cDNA末端の急速な増幅)により決定した。次の2種の逆方向プライマーを、既知のORF1の配列内から選択した:“RACE2 ”5'-CCGGGGAAGCCAGACGATTGAA-3'(配列番号16)、位置1917−1938;及び“RACE3
”5'-AGGGGGAGCAAAGAAGGGGTCATC-3'(配列番号17)、位置1733−1756)。RACE2 を用いて、cDNA合成をプライムし、そしてRACE3 をPCRに使用した。その得られるPCR生成物をクローン化し、そして配列決定した。2種の最長生成物は、正確に同じ塩基(配列番号1における位置1)で終結した。
【0140】
ORF1a 及びORF1b
における既知の配列間の大きなギャップは、長いRT-PCRを用いて架橋された。次の2種の新規プライマーを用いた:前方向5'-AGCACGCTCTGGTGCAACTG-3'(配列番号18)、位置1361−1380;逆方向5'-GCCGCGGCGTAGTATTCAG-3' (配列番号19)、位置9420−9438)。得られる8078のヌクレオチドRT-PCR生成物をクローン化し、そして配列決定した。
【0141】
P129A のゲノムの最3’末端を、ウィルスRNAの3’及び5’末端を一緒に連結し、そして連結フラグメントを増幅するためにRT-PCRを用いることによって決定した。得られる連結フラグメントをクローン化し、そして配列決定した。手短に言及すると、ペレット化されたビリオンから抽出されたRNAを、タバコ酸ピロホスファターゼにより処理し(5’キャップ構造体を除去するために)、次にT4 RNAリガーゼにより自己連結せしめた(両者ともEpicentre Technologiesからである)。使用されるプライマーは次のものであった:5'-CGCGTCACAGCATCACCCTCAG-3'(配列番号20)(前方向、位置15,218−15,239)、及び5'-CGGTAGGTTGGTTAACACATGAGTT-3' (配列番号21)(逆方向、位置656−680)又は5'-TGGCTCTTCGGGCCTATAAAATA-3' (配列番号22)(逆方向、位置337−359)のいづれか。
【0142】
得られるすべてのクローンをゲノムの5’末端で切断した(最とも完全なものは、5’RACEにより示されるように、実際の5’末端の57個のヌクレオチド内に達する)。しかしながら、2種のそれらのクローンは、ポリアデノシン末端(長さ42及び55のアデノシン残基)を包含するゲノムの完全な3’末端を含んだ。これは、配列番号1に示されるように、ポリA末端を包含する、PRRS単離物P129A
のcDNA 15,450個の塩基のゲノムの配列決定を完結した。
【0143】
P129A の十分な長さの感染性cDNAクローンの創造
pT7P129Aと称する、P129A の十分な長さの感染性cDNAクローンを、4種のオーバーラップするクローン化されたRT-PCR生成物からアセンブルした。4種のRT-PCR生成物をまず、プラスミドpCR2.1中にT/Aクローン化し、そしてE.コリ株DH5-α中にトランスフェクトした。細菌コロニーをスクリーンし、そして“T7→M13”配向において予測されるサイズの挿入体を含むそれらを、配列決定及び追加の操作のために選択した。
【0144】
4種すべてのクローン化されたRT-PCR生成物は、1又は複数の非サイレント突然変異(コードされたORFのアミノ酸配列の変化をもたらす配列番号1のP129A のためのコンセンサスヌクレオチド配列からの偏差)を含んだ。それらの非サイレント突然変異(ORF2における位置12,622で1つを除いて)を、他のクローン化されRT-PCR生成物からのフラグメントをサブクローニングすることによって修復した。それらの4種の修復されたサブゲノムクローンを、段階的に、利用できる制限部位を用いて、十分な長さのクローン中にアセンブルした(図1を参照のこと)。pT7P129AにおけるP129A ゲノムに対応するcDNAの5’及び3’末端を、T7プロモーター及び適切な制限エンドヌクレアーゼ部位の付加により修飾した。pT7P129Aの構成は、次に、より詳細に記載されている。
【0145】
上記のように5'-RACE により生成され、そしてpCR2.1中にクローン化されるゲノム(位置1−1756)の5’末端を、P129A ゲノムに対応するcDNAのすぐ上流のT7プロモーター、及び後でのクローニングのためのPacI部位を含むよう修飾した。3−手段連結を、このプラスミドの1216bpのDsuI−BseR1 フラグメント(P129A の塩基27−1242を含む)、同じプラスミドの4407bpの BseRI−XbaIフラグメント(P129A の塩基1243−1756、及びXbaI部位までの全プラスミドベクターを含む)、及び次の合成二本鎖アダプター(配列番号23及び24)を用いて実施した:
【0146】
【化1】

【0147】
T7プロモーターからの予測される転写体は、ウィルスゲノムの最初の“A”のすぐ上流のプロモーターからの単一の“G”残基を含む。位置1230で非サイレント突然変異(A→G)を、906bp の AatII−SacII フラグメント(塩基 740−1645)を、もう1つのクローンの同じフラグメントにより置換することによって修飾した。このプラスミドを、“pT7R3A-Z”として命名した。
【0148】
上記8078個のヌクレオチドのPCR生成物を用いて、P129A ゲノムの塩基1361−9438をカバーした。58bpの欠失(位置2535−2592)、及び7つの非サイレント点突然変異を、他のクローン化されたRT-PCR生成物からのフラグメントをサブクローニングすることにより訂正し、プラスミド”pGAP10B-4
”を生成した。このプラスミドからの7837bpのBsu361−SpeIフラグメントを、pT7R3A-2からの5482bpのBsu361-SpeI フラグメントに連結した。その得られるプラスミド“pT7RG ”は、T7プロモーターの後ろに、P129A ゲノムの最初の9438個の塩基を含む。
【0149】
上記ORF1b の2850個のヌクレオチドフラグメント(ゲノム位置9201−12,050)を訂正し、非サイレント突然変異を修飾し、そして“p1B3A-2 ”として命名した。このプラスミドの2682bpのNdeI−SpeIフラグメントを、pT7RG の13,249bpのNdeI−SpeIフラグメントに連結し、P129A ゲノムの最初の12,050個の塩基を含むプラスミド“pT71A1B ”を生成した。
【0150】
P129A ゲノムの第4及び最終フラグメントは、3’非翻訳領域及びポリA末端の一部を含む、ORF2〜7のRT-PCRにより誘導された。前方向プライマーは、5'-ACTCAGTCTAAGTGCTGGAAAGTTATG-3' (配列番号25)(位置11,504−11,530)であり、そして逆方向プライマーは、5'-GGGATTTAAATATGCATTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTAATTGCGGCCGCATGGTTCTCG-3' (配列番号26)であった。逆方向プライマーは、P129A ゲノムの最後の22個の塩基(位置15,374−15,395)、21個の塩基のポリA末端、NsiI部位(ATGCAT) 及びSwaI部位(ATTTAAAT)
を含む。非サイレント点突然変異及び単一の塩基欠失は、他のクローンからのフラグメントをサブクローニングすることによって修飾された。位置12,622での追加の非サイレント点突然変異(A→G)を、この段階で、非意図的に導入した。
【0151】
これは、ORF2タンパク質のC−末端近くでグルタミンからアルギニンへの変化をもたらす(オーバーラップするORF3に影響を及ぼさない、ORF2における256個のアミノ酸のアミノ酸残基189)。この突然変異は、細胞培養物において又はブタにおいて、ウィルス増殖に対して明白な影響を有さず、そして修飾されなかった。この突然変異は、cDNAクローンに由来するウィルスと、親P129A 又は他のPRRSウィルスによる可能性ある汚染とを区別するための遺伝子マーカーとして作用した。このプラスミドは、“p2-7D-4 ”として命名された。P129A の構造遺伝子を、pT71A1B の16,635bpのEco47III−SpeIフラグメントに、p2-7D-4 の3678bpのEco47III−SpeIフラグメントを連結することによって、ゲノムの残りに付加した。
【0152】
これは、ユニーク制限酵素部位(PacI及びSwaI)間のpCR2.1ベクター中にクローン化された、T7プロモーターの後のP129A の全ゲノム(しかしながら、55個の塩基のポリA末端と対照的にわずか21個の塩基のポリA末端を有する)に対してほとんど同一的に対応するcDNAを含んで成る最終構造体“pT7P129A”を生成する。pT7P129Aの合計の長さは、19,313bpであり、そしてそれはE.コリ株DH5-αにおいて安定する。
【0153】
pT7P129Aは、グルタミン(配列番号1によりコードされるような)よりもむしろORF2の位置189でのアルギニンをもたらす位置12,622でのA→G非サイレント点突然変異、及び位置1559でのサイレントC→T突然変異を含む。それらの突然変異のいづれも、細胞培養物及びブタの両者において試験された条件下でのウィルス増殖に影響を及ぼさなかった。たとえば、pT7P129Aは、インビトロ転写のために使用され、そしてその得られるRNA転写体は、MARC-145細胞中にトランスフェクトされる場合、生存北米PRRSウィルスを生成し、従って、この十分な長さのクローンが感染性であることを示す。
【0154】
RNA転写体のインビトロ転写及びトランスフェクション
プラスミドpT7P129Aにおいては、ウィルスゲノムの上流にタンデムに2種のT7プロモーターが存在する。それらの1つは、ウィルスゲノムのすぐ上流に位置し、そして上記のようにしてPCRプライマー中に構築された。他の1つは、pCR2.1クローニングベクターに存在し、そして複数のクローニング部位の外側に位置する(ウィルスゲノムの44塩基上流で転写を開始する)。
【0155】
インビトロ転写の前、PacIを用いて、それらのT7プロモーター間を切断し、真のウィルスRNAにより接近した転写体を生成した(遠位T7プロモーターからの44個の特別な塩基に対立するものとして、ウィルスゲノムのすぐ上流の単一の特別な塩基)。さらに、pT7P129Aを、インビトロ転写の前、SwaIにより切断した。その得られる転写体は、21個の塩基の長さのポリA末端及び9個の非−PRRSヌクレオチド、たとえばNsiI部位(その部位はまた、ウィルスゲノムにおいて1度、生じているので、プラスミドを線状化するために使用されなかった)を包含する。消化されたプラスミドを、使用の前、フェノール抽出及びエタノール沈殿により精製した。
【0156】
市販のキット(T7
Cap-Scribe, Boehringer Mannheim) を、インビトロ転写のために使用した。約0.6μgのPacI/SwaI消化されたpT7P129Aを含む上記からのDNAペレットを、20μlのT7 Cap-Scribe 緩衝液/T7ポリメラーゼに再懸濁し、そして37℃で30分間インキュベートした。反応の一部を、アガロースゲル電気泳動により分析し、そして15,445bp及び3868bpの予測されるDNAバンドの他に、十分な長さのRNA転写体を含むことを示した。このインビトロ転写反応は、精製しないで、インキュベーションに続いてすぐに新たに使用された。
【0157】
MARC-145細胞の集密的単層をOptiMEM (血清を含まない)により1度洗浄し、そして500μg/mlのDEAEデキストラン(約500,000 の分子量、Pharmacia Biotech)を含むOptiMEM (血清を含まない)1ml(35mmのウェル当たり)により被覆した。インビトロ転写反応物(15ml)をすぐに添加した。37℃で1時間後、トランスフェクション混合物を除去し、単層細胞をPBSにより1度、洗浄し、そして2%ウシ胎児血清及び抗生物質を含むOptiMEM 中1.25%のSeaPlaque アガロース(FMC Corporation)により被覆した。37℃で5日後、単一のプラークが認識できた。このウィルスを“rP129A-1”として命名し、そしてMARC-145細胞上で拡張し、そして細胞培養物及びブタにおいて特徴づけた。DEAEデキストラン及びエレクトロポレーションの両者を用いての、pT7P129Aからのインビトロ転写されたRNAの続くトランスフェクションは、多くの追加のプラークを生成した。
【0158】
組換えウィルスrP129A-1の特性決定
cDNA−由来の組換えウィルスrP129A-1とその非組換え親P129A との間で、増殖運動学、収率又はプラーク形態学における明らかな差異は存在しない。上記で論ぜられたように、pT7P129Aのコード配列とP129A のコンセンサス配列(配列番号1に示される)との間でヌクレオチド配列における2つの差異が存在する。最初に、位置1559で、pT7P129AはTを含み、そしてP129A はCを含む(これはサイレント突然変異である)。
【0159】
第2に、位置12,622で、pT7P129AはGを含み、そしてP129A はAを含む(これは、上記ORF2におけるグルタミンからアルギニンへの変化である)。rP129A-1が実際、非組換えPRRSウィルス汚染物である可能性を除外するために、RT-PCR及び配列決定を、それらの2つの差異を取り囲む領域に対して実施した。両遺伝子マーカーの場合、rP129A-1は、プラスミドpT7P129Aと同一であり、そして親ウィルスP129A とは異なっており、従って、rP129A-1が感染性cDNAクローンに由来することを確かめた。
【0160】
ブタにおける組換えウィルスrP129A-1の特性決定
cDNA−由来のウィルスrP129A-1を、若いブタにおいて臨床学的疾病を引き起こすその能力について、その非組換え親P129A と比較した。PRRS−陰性群からのそれぞれ10匹のブタの3つのグループを、生後4週目で、P129A 又はrP129A-1により感染せしめ、又は細胞培養培地により凝似−感染せしめた。臨床学的徴候、腸温度及び体重をモニターした。血液を、血清ウィルス血症(MARC-145細胞に対するプラークアッセイ、図2)及び血清抗体(IDEXX
からのHerdChek PRRS を用いてのELISA による、図3)の決定のために、感染後、0,2,6,10、及び13日で採血した。肺の全体の及び顕微鏡的病変が検死に基づいて観察された。2種のウィルス感染されたグループ間で有意な差異は存在せず、このことは、rP129A-1がブタにおいて複製し、そしてその非組換え親ウィルスに定量的及び定性的に類似する臨床学的疾病を引き起こすことを示す。
【0161】
例II北米PRRSウィルスからのORF7(ヌクレオカプシド遺伝子)の欠失;負に標識された複製−欠失ワクチンのそれによる調製
ウィルスヌクレオカプシド遺伝子(ORF7)を、本発明のPRRSウィルスの感染性cDNAから部分的に欠失せしめた。その得られる修飾された組換えPRRSウィルスは、ブタにおいて複製−欠失することが予測される。この修飾された組換えPRRSウィルスは、臨床学的疾病、ワクチン接種されていない動物への広がり、又は弱毒化された生存ワクチンに関連する毒性への転換の危険性を伴わないで、他のPRRSウィルスタンパク質に対する免疫応答を誘発するためのワクチンとして使用され得る。
【0162】
非常に安全である他に、そのようなワクチンウィルスはまた、ワクチンウィルスに対する抗体の存在においてさえ、PRRSウィルスのフィールド単離物への暴露の血清学的決定を可能にする点において、“負に標識される”。ORF7タンパク質に対する抗体は通常、PRRSウィルス感染されたブタの血清に見出されるが、ところがORF7−欠失されたPRRSV によりワクチン接種されたブタはORF7タンパク質に対する抗体を欠いている。
【0163】
感染性クローンからのORF7の欠失は、次のようにして達成された:プラスミドp2-7D-4 (図1を参照のこと)を、ORF7の上流及び下流の5’及び3’フランキング領域を増幅するためにPCRにおいて鋳型として使用した。前記上流フランキング前方向プライマー(5'-ATTAGATCTTGCCACCATGGTGGGGAAATGCTTGAC-3'(配列番号27)(ORF5の開始近くのゲノム位置13,776−13,791に結合し、そして現クローニングに無関係である追加の反応部位を含む)、及び上流フランキング逆方向プライマー5'-CTTTACGCGTTTGCTTAAGTTATTTGGCGTATTTGACAAGGTTTAC-3'(配列番号28)(ORF6及び7の連結部でゲノム位置14,857−14,902に結合する)は、1147bpのフラグメントを増幅した。逆方向プライマーは、MluI及びAflII 部位及び位置14,874での単一の塩基変化を導入し、この変化は、オーバーラップするORF6にコードされるチロシンを変更しないでORF7のためのATG開始コドンを破壊する。
【0164】
下流フランキングに関しては、前方向プライマー5'-CAACACGCGTCAGCAAAAGAAAAAGAAGGGG-3' (配列番号29)(MluI部位を導入された、ORF7の5’末端近くの位置14,884−14,914)及び逆方向プライマー5'-GCGCGTTGGCCGATTCATTA-3'(配列番号30)(pCR2.1プラスミドにおけるウィルスゲノムの下流)は、462bpのフラグメントを増幅した。3−手段連結を、上流フランキングPCR生成物の611bpのBstEII−MluIフラグメント、下流フランキングPCR生成物の575bpのMluI−SpeIフラグメント、及びプラスミドp2-7D delta7+7023 からの6653bpのBstEII−SpeIフラグメントを用いて実施した(すべてのフラグメントは、消化に続いて、ゲル精製された)。得られるプラスミドp2-7D delta7+7023 は、ORF7の始めの7個のアミノ酸を欠失され、そして機能的ATG開始コドンを欠く。ウィルスゲノム及びプラスミド主鎖において不在である2つの新規制限部位AflII 及びMluIが、ORF7の5’末端によりこれまで支配されていた空間中への外来性遺伝子の直接的なクローニングを促進するために挿入されている。
【0165】
p2-7D デルタ7+7023において行なわれる変化が、p2-7D delta7+7023 の3683bpのEco47III−SpeIフラグメントとpCMV-S-p129 の15,214bpのEco47III−SpeIフラグメントとを連結することによって、十分な長さのゲノムクローン中に組込まれた。その得られるプラスミドpCMV-S-p129delta7+7023が、細胞をトランスフェクトするために使用された。
【0166】
ヌクレオカプシドはウィルス増殖のために必須であるので、ORF7−欠失PRRSウィルスの生成及び複製を可能にするために、このタンパク質を供給することが必要である。これは、たとえばヘルパーウィルス又は相補的細胞系を用いて達成され得る。ORF7−発現MARC-145細胞系は、P129A
からのORF7遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子の両者を含むプラスミドにより細胞を安定してトランスフェクトすることによって創造され得た。抗生物質G418を用いてネオマイシン耐性について選択した後、単一細胞コロニーを拡張し、そして特徴づけた。免疫螢光及びRT-PCRの両者によるORF7発現のために陽性であるクローンMARC-145−由来の細胞系を、ORF7−欠失P129A ウィルスを生成するために、pT7P129delta7 からのRNAによりトランスフェクトした。
【0167】
類似する手段を用いて、他の構造遺伝子(ORF
2,3,4,5又は6)を欠いているか、又は非構造遺伝子1a及び1bのすべて又は一部を欠いているPRRSウィルスを生成することができる。さらに、複数の欠失を単一のPRRSウィルス中に構築し、そしてそれらを、すべての必要な機能を提供する相補的細胞において増殖することができる。そのような遺伝子−欠失PRRSウィルスはたぶん、ブタにおいて、部分的に又は完全に弱毒化され、PRRSに対するワクチンとしてそれを有用にする。それらはまた、上記で論ぜられたように、及び/又は他のブタ病原体のエピトープにより動物にワクチン接種するためのワクチンとして、ワクチン接種された動物と野生型PRRSウィルスにより感染された動物とを区別するために使用され得る(下記例III を参照のこと)。
【0168】
例III
北米PRRSウィルスゲノム中への異種遺伝子の挿入;ベクターとしてのPRRSウィルスの使用、及び正しく標識された北米PRRSウィルス
上記例IIにおいては、AflII 及びMluI制限酵素部位が、ORF7の5’末端によりこれまで支配されている領域中に挿入された。それらの部位は、P129A ゲノムにおいて、及びpCR2.1及びpCMVプラスミドにおいて不在であり、そして発現のためにウィルスゲノム中への外来性(異種)遺伝子の直接的なクローニングに使用され得る。位置14,744−14,749(ATAACC)
及び14,858−14,863(TAAACC) でのORF7サブゲノムRNAの転写のための可能性あるリーダー連結部位は、ORF7コード肺胞の欠失により影響されず、そして外来性遺伝子の転写において機能することができる。
【0169】
外来性(異種)遺伝子は、他のPRRSウィルス単離物又は遺伝子型からの遺伝子、及び/又は他の非PRRS病原体、すなわちブタを感染する病原体又はブタ以外の哺乳類又は鳥を感染する病原体のいづれかからの遺伝子を含むことができる。さらに、それらの外来性遺伝子(又はその一部)は、ブタにおいて通常、見出されない抗原性エピトープを供給することができる。そのようなエピトープは、ワクチンを“陽性標識する”ために使用され得、その結果、好結果のワクチン接種が、PRRSウィルスのフィールド又は従来のワクチン株に対する抗体の存在下でさえ、血清学的にモニターされ得る。正のマーカーは、別の発現カセットを必要としない。抗原性エピトープは、PRRSウィルスの構造遺伝子に融合され得る。たとえば、上記例Iに記載される上流フランキング逆方向プライマーは、ORF6膜タンパク質への非PRRSウィルス抗原エピトープのカルボキシル−末端融合を付加するような手段で拡張され得る。ブタにおいてのこのエピトープに対する抗体の存在は、好結果のワクチン接種を示す。
【0170】
例IV細胞中へのcDNAの直接的トランスフェクションによるPRRSウィルスの細胞性発現
真核発現ベクターpCMV-MC1(配列番号31)は、NotI, EcoRV, AvrII, BglII,ClaI, KpnI, PacI, NheI, SwaI, SmaI, SpeI 及びNotI部位を含むリンカーにより、2つのNotI部位間のLacZコード配列を置換することによって、市販のプラスミドpCMVbeta
(Clontech) から誘導された。ヒトCMV即時初期プロモーターの修飾を、SacIとpCMV-MC1の第2NotI部位との間の配列を合成リンカー(下記に示される)により置換することによって達成した。
【0171】
前記リンカーは、PacI, SpeIに続いて、SacIのための半分の部位、及びNotIのための半分の部位を含む。2本の一本鎖オリゴヌクレオチドのアニーリングの後、リンカーを、SacIとNotI部位との間のpCMV-MC1中にクローン化し、そして選択されたクローンをpCMV-S1 として命名した。pCMV-S1 のSpeI部位は、たぶん、オリゴ配列における誤りのために、切断されなかった。従って、pCMV-S1
におけるPacIとHindIII との間のフラグメントを、pCMV-MC1からのPacI(位置877での)−HindIII (位置1162での)フラグメントにより置換した。従って、SpeI部位が再び得られた。この最終構造体(pCMV-S) を用いて、十分な長さのP129ゲノムをクローン化した。
【0172】
【化2】

【0173】
P129ゲノムの5’末端のすぐ上流の配列を修飾し、適切なスペーシング及び便利な制限酵素部位(PacI)を含むようにした。これは、pT7P129 からの増幅のための適切なPCRプライマー(配列番号34及び35)を消化することによって行なわれた。PacI及びAatII による消化の後、このPCRフラグメントを、pT7RG のPacI及びAatII 部位中にサブクローン化した(図1)。得られるプラスミドをpT7RG-deltaT7 と命名した。
【0174】
最終構成は、PacI及びNdeI部位でpT7RG-deltaT7 からのウィルス配列をpT7P129 中にサブクローニングし、pT7P129-deltaT7 を創造することによって完結した。十分な長さのP129ゲノムをPacI及びSpeIでpT7P129-deltaT7 から消化し、そしてPacI及びSpeI部位で、pCMV-S中にトランスファーした。この構造体を、pCMV-S-P129 と命名した。pCMV-S-P129 におけるCMVプロモーターTATAボックスとP129配列の5’末端との間の修飾の領域の配列は、配列番号36で示され、そして下記に図的に示される:
【0175】
【化3】

【0176】
細胞におけるPRRSウィルス感染を開始するためのCMVプロモーターの使用を試験するために、pCMV-S-P129 プラスミドDNA(0.5又は1.0μg)を、 LipofectamineTM(Life
Technologies Inc.) を用いて、リポフェクションによりMARC-145細胞中にトランスフェクトした。PRRSウィルス特異的細胞障害効果を、トランスフェクションの後に観察し、そしてPRRSウィルス抗原の存在を免疫螢光抗体試験により決定した。
【0177】
PRRSウィルスをpCMV-S-P129
から効果的に生成し、そしてその子孫ウィルスを、MARC-145細胞上で継代した。これは、PRRSウィルス感染が、インビトロ転写段階を伴わないで、PRRSウィルスをコードするプラスミドcDNAから直接的に開始され得ることを示す。さらに、pCMV-S-P129 は、pCMVプロモーターの3’末端が北米PRRSウィルスをコードする配列の開始の直前に存在しないプラスミドに比較して、多量の子孫ウィルスを生成した。
【0178】
例V北米PRRSウィルスからのORF4の欠失;それによる複製−欠失ワクチンの調製
膜糖タンパク質をコードする、ORF4のための遺伝子の一部を、本発明のPRRSウィルスの感染性cDNAクローンから欠失せしめた。その得られる修飾された組換えPRRSウィルスは、ブタにおいて複製−欠失性であり、そして臨床学的疾病、ワクチン接種されていない動物への広がり、又は弱毒化された生存ワクチンに関連する毒性への転換の危険性を伴わないで、他のPRRSウィルスタンパク質に対する免疫応答を誘発することが予測される。
【0179】
感染性クローンからのORF4の欠失は、次のようにして達成された:プラスミドp2-7D-4 (図1を参照のこと)を、ORF4の上流及び下流の5’及び3’フランキング領域を増幅するためにPCRにおいて鋳型として使用した。前記上流フランキング前方向プライマーは、AGGTCGACGGCGGCAATTGGTTTCACCTAGAGTGGCTGCGTCCCTTCT-3' (配列番号37)であった。このプライマーは、ORF4の開始近くの位置 13194−13241
でゲノムに結合し、そしてORF3のオーバーラップするアミノ酸配列を変更しないで、ORF4のATG開始コドンを破壊する突然変異を位置13225 で導入する。
【0180】
前記上流フランキング逆方向プライマーは、5'-TCTTAAGCATTGGCTGTGATGGTGATATAC-3'(配列番号38)であった。このプライマーは、ORF3の下流のORF4コード領域内の位置 13455−13477 でゲノムに結合し、そしてAflII 部位を導入する。下流フランキング領域に関しては、前方向プライマーは、5'-CTTCTTAAGTCCACGCGTTTTCTTCTTGCCTTTTCTATGCTTCT-3'(配列番号39)であった。このプライマーは、ORF4の中間において位置 13520−13545
でゲノムに結合し、そして外来性遺伝子の直接的なクローニングのためのAflII 及びMluI部位を導入する。逆方向プライマーは、5'-TGCCCGGTCCCTTGCCTCT3'(配列番号40)であった。このプライマーは、ORF7コード配列において位置 14981−14999 でゲノムに結合する。
【0181】
3−手段連結を、上流フランキングPCR生成物のSalI−AflII フラグメント、下流フランキングPCR生成物の AflII−BstEIIフラグメント、及びプラスミドp2-7D-4 からのSalI−BstEIIフラグメントを用いて実施した。その得られるp2-7D-4delta4Nは、欠失されたORF4の中央部分の42個の塩基を有し、そして15個の人工的クローニング部位により置換した。前記クローニング部位は、ウィルスゲノム及びプラスミド主鎖の両者を欠いている2つの制限部位(AflII 及びMluI)を含む。それらは、ORF4によりこれまで支配されていた空間中への外来性遺伝子の直接的なクローニングを促進するために使用され得る。クローニング部位はまた、ORF4とオープンリーディングフレームを整合して存在し、そして機能的ORF4タンパク質が生成されないことを確実にする停止コドン(TAA)を含む。
【0182】
ORF4コード配列のより広範な欠失が、下流のORF5エンベロープ遺伝子の発現を妨げないで行なわれ得ることが見出された。この場合、より短い下流のフランキング領域が、同じ鋳型及び逆方向プライマー、及び逆方向プライマー5'-GTTTACGCGTCGCTCCTTGGTGGTCG-3'(配列番号41)を用いて、PCRにより増幅した。このプライマーは、ORF4の3’末端近くの位置 13654−13669 でゲノムに結合し、そしてAflII 部位を含む。下流フランキングPCR生成物の AflII−BstEIIフラグメントとプラスミドp2-7D-4delta4Nからの AflII−BstEIIフラグメントとの間の2−手段連結は、新規プラスミドp2-7D-4delta4NS
を生成した。このプラスミドは、欠失され、そして15個の塩基のクローニング部位により置換されたORF4クローニング配列の176個の塩基を有する。
【0183】
p2-7D-4delta4N及びp2-7D
delta4NSにおいて行なわれた変化は、p2-7D-4delta4N及びp2-7D-4delta4NS からの修飾された BsrGI−SpeIフラグメントにより、pCMV-S-P129 からの BsrGI−SpeIフラグメントを置換することによって、十分な長さのゲノムクローン中に組込まれた。その得られるプラスミドpCMV-S-P129delta4N及びpCMV-S-P129delta4NS は、細胞をトランスフェクトするために使用された。
【0184】
pCMV-S-P129 に比較して、プラスミドpCMV-S-P129delta4N又はpCMV-S-P129delta4NS によるMARC-145細胞の感染はウィルスプラーク又は螢光集中をもたらさなかった。個々のトランスフェクトされた細胞は、ORF7ヌクレオカプシドタンパク質を生成することが見出されており、このことは、ORF4生成物がウィルス遺伝子のRNA複製又は発現のために必要とされないが、しかし感染性子孫ウィルスの開放のためには必須であることを示唆する。ORF4の欠失はウィルス複製に対して致死的であるので、このタンパク質を供給する必要はない。これは、相補的細胞系を用いることによって達成され得る。
【0185】
本発明者は、ORF4及びネオマイシン耐性遺伝子の両者を含むプラスミドにより細胞を安定してトランスフェクトすることによって、ORF4−発現MARC-145細胞系を創造した。抗生物質G418を用いてのネオマイシン耐性に対する選択の後、単一の細胞コロニーを拡張し、そして特徴づけた。pCMV-S-P129delta4NS による感染の後、3種のORF4−発現細胞クローンは、それらの細胞において増殖するが、しかしMARC-145細胞においては増殖しない生存ウィルスを生成した。それらの1つであるMARC400E9
をさらに特徴づけた。プラスミドpCMV-S-P129delta4NS によりトランスフェクトされたMARC400E9 細胞におけるウィルスヌクレオカプシドについての免疫螢光染色は、陽性であった。
【0186】
例VI外来性遺伝子の発現のためのベクターとしての遺伝子−欠失されたPRRSウィルスの使用
異種遺伝子が遺伝子−欠失されたPRRSウィルスから発現され得るかどうかを決定するために、本発明者は、プラスミドpCMV-S-P129delta4NにおけるORF4欠失の部位中に緑色螢光タンパク質(GFP)のコピーを挿入した。GFP遺伝子を、前記遺伝子の5’末端でAflII 部位及び前記遺伝子の3’末端でMluI部位を導入されたPCRプライマーを用いて、市販のプラスミドから増幅した。得られるプラスミドpCMV-S-P129delta4N-GFPを用いて、MARC-145及びMARC400E9 細胞をトランスフェクトした。
【0187】
予測されるように、MARC-145細胞はORF4−欠失ウィルスの複製を支持しなかった。一次トランスフェクションに起因する単一緑色細胞をUV範囲下で観察し、GFPが発現されたが、しかしウィルスは隣接する細胞には広がらず、そしてCPEは観察されなかったことが示された。対照的に、高い緑色集中が、トランスフェクトされたMARC400E9 細胞に観察された。単層細胞を破壊する目に見えるプラークが形成し、そして出現した。それらの結果は、外来性遺伝子がORF4−欠失PRRSウィルスから発現され、そして692個の塩基(4.5%)によるウィルスゲノムのサイズの上昇が感染性粒子中へのウィルスRNAのパッケージングを妨げないことを示す。
【0188】
例VII
外来性遺伝子の発現のためのベクターとしての遺伝子−コンピテントPRRSウィルスの使用
異種遺伝子が複製−コンピテントPRRSウィルスから発現され得るかどうかを決定するために、本発明者は、ORF1b とORF2との間の領域中にGFPのコピーを挿入した。ORF2のためのリーダー/連結(L/J)配列はORF1b 内に存在するので、このL/J配列を用いて、GFP遺伝子の発現を駆動し、そしてORF6 L/J配列のコピーを、ORF2の発現を駆動するためにGFPから下流に挿入した。
【0189】
プラスミドp2-7D-4 (図1を参照のこと)を、挿入部位の上流及び下流の5’及び3’フランキング領域を増幅するためにPCRにおいて鋳型として使用した。上流のフランキング前方向プライマーは、5'-AACAGAAGAGTTGTCGGGTCCAC-3' (配列番号42)であった。このプライマーは、ORF1b において位置 11699−11721
でゲノムに結合する。上流のフランキング逆方向プライマーは、5'-GCTTTGACGCGTCCCCACTTAAGTTCAATTCAGGCCTAAAGTTGGTTCA-3'
(配列番号43)であった。このプライマーは、ORF1b において位置 12031−12055 でゲノムに結合し、そしてORF1b とORF2との間に、外来性遺伝子の直接的なクローニングのためのAflII 及びMluI部位を付加する。
【0190】
下流のフランキング前方向プライマーは、5'-GCGACGCGTGTTCCGTGGCAACCCCTTTAACCAGAGTTTCAGCGGAACAATGAAATGGGGTCTATACAAAGCCTCTTCGACA-3'(配列番号44)であった。このプライマーは、ORF2において位置 12056−12089
でゲノムに結合し、そしてMluI部位、続いて、ORF6の開始の先に存在する40個の塩基(ORF6 L/J配列を含む)を含む。下流のフランキング逆方向プライマーは、5'-AACAGAACGGCACGATACACCACAAA-3'(配列番号45)であった。このプライマーは、ORF5における位置 13819−13844 でのゲノムに結合する。
【0191】
3−手段連結を、上流のフランキングPCR生成物のEco47III−MluIフラグメント、下流のフランキングPCR生成物からのMluI−BsrGI フラグメント、及びpCMV-S-P129
からのEco47III−BsrGI フラグメントを用いて実施した。その得られるプラスミドpCMV-S-P129-1bMCS2は、クローニング部位、及びORF1b とORF2との間の追加のL/J部位と共に完全なP129ゲノムを含む。このプラスミドは、MARC-145細胞中にトランスフェクトされる場合、機能的に正常なウィルスを生成する。
【0192】
市販のプラスミドからのGFP遺伝子を、前記遺伝子の5’末端にAflII 部位を、3’末端にMluI部位を付加するプライマーを用いてPCR増幅した。AflII及びMluIによるPCRフラグメント及びPCMV-SP129-1bMCS2 の消化の後、その挿入体をベクター中に連結し、プラスミドpCMV-SP129-1bMCS2 を生成した。このプラスミドは、MARC-145細胞中にトランスフェクトされる場合、緑色プラークを生成した。得られるウィルスをMARC-145細胞上で継代し、そしてUV範囲下で観察される場合、緑色プラークを生成し続けた。従って、外来性遺伝子は、複製−コンピテントPRRSウィルスベクターから発現され得る。P129-1bGFP2 ウィルスは、そのP129親のゲノムよりも774塩基(5%)長いが、まだ通常通りパッケージされるゲノムを含む。
【0193】
生物学的材料の寄託
次の生物学的材料が、1998年11月19日、10801 University Blvd., Manassas, Virginia, 20110−2209にあるAmerican Type Culture Collection
(ATCC) に寄託され、そして次の受託番号が割り当てられた:
プラスミド 受託番号
プラスミドpT7P129A
203488
プラスミドpCMV-S-P129
203489
上記に引用されたすべての特許、特許出願及び出版物は、引用により本明細書中に組込まれる。本発明は、本発明の個々の観点の単一の例示として意図される、本明細書に記載される特定の態様により発明の範囲を限定されず、そして機能的に同等の方法及び成分は、本発明の範囲内にある。実際、本明細書に示され、そして記載されている修飾の他に、本発明の種々の修飾は当業者に明らかである。そのような修飾は、本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】これは、北米PRRSウィルスの十分な長さの感染性cDNAクローン、pT7P129Aの構成のためのクローニング手段を示す。矢じりはT7プロモーター配列を示す。
【図2】これは、P129A、又は組換えPRRSウィルスrP129A-1による感染に続く血清性ウィルス血症を示す。MARC-145細胞に対するプラークアッセイにより決定された。検出の下限は、5 pfu/ml(又は対数尺度に基づいて0.7)である。
【図3】これは、P129A、又は組換えPRRSウィルスのP129A-1 による感染に続いての抗−PRRSウィルス血清抗体を示す。これは、HerdChek PRRS ELISA アッセイ(IDEXX (Westbrook,Maine, USA))により決定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをそれぞれコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子であって、前記北米PRRSウィルスのゲノム配列が配列番号1に対応するRNA分子であるポリヌクレオチド分子。
【請求項2】
北米PRRSウィルスによりコードされるペプチドをそれぞれコードする1又は複数のヌクレオチド配列を含んで成る、前記1又は複数のペプチドペプチドを発現することができるトランスフェクトされた宿主細胞であって、前記北米PRRSウィルスのゲノム配列が配列番号1に対応するRNA分子である、宿主細胞。
【請求項3】
1又は複数のペプチドコード配列に1又は複数の突然変異を含んで成ることを除いて、配列番号1に対応するRNA配列によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンを生成するための方法であって、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子、プラスミド又はウィルスベクターにより、請求項2記載のトランスフェクトされた宿主細胞をさらにトランスフェクトすることを含んで成り、ここで前記トランスフェクトされた宿主細胞の前記1又は複数のヌクレオチド配列によりコードされる1又は複数の北米PRRSウィルスペプチドが、前記遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの突然変異誘発された1又は複数のペプチドコード配列のペプチドを含んで成る方法。
【請求項4】
1もしくは複数のペプチドコード配列に1もしくは複数の突然変異を含んで成ることを除いて、配列番号1に対応するRNA配列によりコードされる遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの機能的ビリオンを生成するための方法であって、遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスをコードする感染性RNA分子、プラスミド又はウィルスベクターにより、及び前記遺伝子的に修飾された北米PRRSウィルスの突然変異誘発された1又は複数のペプチドコード配列によりコードされる1又は複数の北米PRRSウィルスペプチドを発現するヘルパーウィルスにより、適切な細胞をトランスフェクトし、そして前記ヘルパーウィルスから細胞により発現された遺伝子的に修飾された北米PRRSビリオンを分離することを含んで成る方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−289485(P2008−289485A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137495(P2008−137495)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2000−372087(P2000−372087)の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】