説明

区分された直線導体の最適な懸架によるアレイアンテナの利得の増大

本発明は、航空機通信システムなどに使用する、一般に厳しい空間的制限および利得要求が適用される、高性能で軽量の螺旋構造アンテナ素子およびそのアレイを提供する。アレイのRF性能は、アンテナ素子の支持構造体の誘電体容積を低減するのにリブおよび胴枠部を使用し、支持構造体の胴枠部内のそのリブ間に開口部を設けることにより、向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナの分野に関し、具体的には、螺旋構造アンテナ素子およびそのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋構造アンテナアレイは、通常、一連の螺旋構造アンテナ素子を備え、それらのアンテナ素子のそれぞれは、通電されたとき、円形またはほぼ円形の偏光ビームを発生させる、名目上の螺旋形状を有する、ワイヤ、テープ、成形導体、打抜導体、押出物、または印刷回路などの導体を備える。いくつかの実施形態では、螺旋構造体は、1つより多い巻線を有することができ、巻線は、同じまたは異なるピッチ、および同じまたは異なる開始位置を有することができる。構造的完全性を確保するのに、螺旋構造巻線は、通常、円筒などから構成される誘電性巻型により支持され、したがって、ほぼ円形の螺旋構造体断面を有する。螺旋構造アンテナアレイは、アンテナ素子のRF源に信号戻りまたは接地をもたらす大地面をさらに含むことができ、後方に伝播する、アンテナ素子により発生した電磁波の一部分をさらに反射することができ、すなわち大地面は、この電波を効果的に前方に向け直す。他方、RF源の活動端子は、場合によっては大地面に隣接し、または大抵は大地面の直上にある、アンテナの螺旋巻線の開始点に接続する。したがって、大地面は、アンテナを励振させる、通常は同軸ケーブルである入力伝送線に回路接続させることができる。例えば、同軸線の中心導体は、螺旋巻線の端部に接続する一方、同軸線の外側導体は、大地面に接続する。大地面は、平面を有するか、または代わりに米国特許第6,664,938号に示されるようなカップから構成することができる。いくつかの実施形態では、大地面が存在せず、波が、隣接する巻線間、または1つもしくは複数の巻線に沿った一点において放射される可能性がある。
【0003】
比較的小さい螺旋構造アンテナ素子の性能は、通常、5から12dBIcの範囲の利得パラメータにより少なくとも部分的に特徴付けることができる。場合によっては、より長い螺旋構造体を使用することにより、12dBIcを超えるより高い利得レベルを達成することができる一方、比較的小さい利得増加量を達成するのに、極めて大きい長さ増加量がしばしば必要とされる。したがって、螺旋構造アンテナは、通常、それが比較的短いとき、構造容積に対して達成される利得において、より効率的であると見なされる。多くの用途に対して、より高い利得を達成するのにより適切な解決策は、適度なサイズの螺旋構造体のアレイを組み立てることである。
【0004】
米国特許出願公開第2008/0012787号に示される用途などの、いくつかの用途では、螺旋構造アンテナ素子は、巻線の供給端部の巻線直径が放射端部の直径よりも大きい場合がある、円錐形状を有することができる。円錐螺旋構造体は、螺旋構造アンテナが広周波数帯域にわたって操作されるとき、有利である可能性がある。米国特許第6,172,655号および米国特許出願公開第2004/0135732号に示される用途などの他の用途では、螺旋構造体は、中央の最大値に向かって直線的に増加し、その後は直線的に減少する、変化する断面直径を有する巻型の周りに巻かれる。このタイプのアンテナ素子は、広帯域性能の向上をもたらすことが当技術分野で一般的に知られている。これらの例は、巻線が供給端部ではより小さいピッチを有し、放射端部ではより大きいピッチを有する、変化する螺旋構造巻線密度をさらに含むことができる。
【0005】
螺旋構造体は、通常、その巻線の脚部をRF源に接続することにより励振することが当業者には理解されよう。その際、電磁波は、巻線の周りに進行する。この波は、巻線の放射端部すなわち末端部の頂点に到達するとき、最終的に放射場を放射する。次いで、放射場の大部分は、前方に進行し、螺旋構造巻線に沿って主に波の位相分布により決定付けられた方向に進む。高利得の固定ビームアレイの設計では、通常、螺旋構造巻線の軸に沿った最大利得のために個々の螺旋構造体を設計するのが望ましい。
【0006】
多くの要素が、螺旋構造アンテナの利得の低減に影響を及ぼす可能性があり、すなわち、回路が開放したとき、アンテナの終端部は、電流を流さず、支持構造体の誘電性材料は、散逸損失または関連する不整合損失を伴う蓄積エネルギーを導く可能性があり、隣接する螺旋構造体間の相互結合は、ビームを広げる可能性があり、従来の螺旋構造体の軸構造により、アンテナを回転させることができる容積の使用が非効率になり、小さい巻線直径に由来する高放射インピーダンスは、下位の整合構造体をもたらす可能性がある。
【0007】
アレイを形成するために、いくつかの螺旋構造体が組み合わされるとき、隣接する螺旋構造体間に電磁結合が生じる可能性がある。均一な螺旋方向を有するアレイの従来の励振は、素子間の結合を最大化することにより、この問題を悪化させる。この結合の1つの影響は、個々の素子のパターンをアレイの中央に徐々に引き寄せることである。その際、アレイの個々の素子は、様々な方向に放射し、それにより、アレイの利得を低減させる。それに加えて、この結合は、インピーダンス帯域幅を狭め、不整合損失を増大させる可能性がある。例えば、非螺旋構造の素子を備える4素子アレイでは、このアレイを使用すれば、単一の素子の利得を超える約5dBの電力利得を達成することができる。しかし、螺旋構造体素子間の電磁結合を考えると、4素子螺旋構造アレイは、単一の螺旋構造体素子の利得よりも高い4dBの電力利得しかもたらさない可能性がより高い。
【0008】
米国特許第5,874,927号は、他の直線螺旋構造アンテナ素子を互いに離間させて傾斜させることにより、螺旋構造アンテナアレイの性能を改善する1つの解決策を提供し、それにより、そのように傾斜させることにより、アレイの有効口径が広がることが報告されている。この解決策は、並列実装部にわたり、いくつかの利点をもたらす一方、アレイの全掃過半径を増大させる効果も有し、空間的制限が極めて重大ないくつかの実施形態では、そうした構造の適用性を制限する可能性がある。
【0009】
例えば、螺旋構造アンテナアレイは、航空機などの衛星通信に一般に使用される。衛星通信の例は、限定はされないが、数例を挙げると、天気予報および/もしくは航空交通制御情報を受け取り、または、状況および緊急メッセージを交換するための、航空および/または地上ベースの通信を含むことができる。さらに、そうした衛星通信システムは、航空機乗客に対して、電話通信、インターネットサービス、および/またはデータ交換の他の形態などのサービスを提供するとき、有用である可能性もある。航空機通信に関して、螺旋構造アンテナアレイは、極めて狭くなる傾向があり、配備することができるアンテナアレイのサイズを制限する可能性がある、航空機の尾部などに一般に取り付けられる。したがって、航空機通信用螺旋構造アンテナアレイの設置および操作は、そうした用途に適したタイプのアンテナにいくつかの操作上および構造上の制限を与える可能性があることを当業者は理解するであろう。
【0010】
さらに、航空機通信システムは、通常、航空機から通信衛星へのリンクを介して通信を中継し、次いで、その通信は、別のリンクを介して接地源に中継され、そうしたシステムは、通常、地球の周りの航空機の位置に関係なく機能するように期待されるので、関連する航空機通信アンテナは、通常、その電波を常に選択する衛星の方に向けることができなくてはならない。したがって、アンテナビームは、航空機の局地緯度および経度、航空機の姿勢、ならびに航空機の機首方向に応じて、適当な手段により操縦されるべきである。いくつかの用途では、アンテナ構造体の機械的に動く、または回転する部品の数を低減するのに、電子操縦方法が使用される。しかし、そうした操縦方法は、通常、単一の螺旋構造体実施形態に適用されない。むしろ、機械的操縦方法を、単独で、または電子操縦と組み合わせて使用することができる。しかし、上述のように、航空機は、アンテナを設置し、それを操作(すなわち、操縦)することができる利用可能な空間に関するいくつかの制限を与える可能性がある。これらの制限は、アンテナ組立体のサイズ、およびアンテナ組立体が必要とする走査包絡面容積に関する極めて要求が厳しい制約を課す。例えば、所望の適用領域を走査するように航空機の尾部内のアンテナを機械的に操縦するために、通常、アンテナの方向に関係なく、空間的制限に配慮すべきであり、すなわち、アンテナは、操作中、航空機尾部およびアンテナの頂部を保護するレドームにより規定された走査半径または容積内で自由に動作すべきである。同様に、トラック、列車、船、機体、および他の乗物の頂部上のレドームは、小型であり、設置されたアンテナの掃過容積を制限する可能性がある。
【0011】
したがって、米国特許第5,874,927号により提供された解決策は、標準的なアレイを超えるいくつかの操作上の利点を提供する一方、空間的制限が適用されるか、または標準的な設置では通常、アレイ掃過半径の増大を調整することができない、上述の文脈において適合性が制限される可能性がある。
【0012】
したがって、既知のアンテナアレイの欠点のいくつかを克服し、または公衆に有用な代替手段を提供する、新しい螺旋構造アンテナ素子およびそのアレイに対する要求がある。
この背景情報は、本発明に関係がありそうなものと出願人が信じる情報を明らかにするのに提供される。先行する情報のいくつかが、本発明に対する先行技術を構成するものと認められることを必ずしも目的としておらず、そう解釈する必要もない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、螺旋構造アンテナ素子およびそのアレイを提供することである。本発明の一態様によれば、大地面、および螺旋構造アンテナ素子のアレイを備えるアンテナが提供され、螺旋構造アンテナ素子のそれぞれは、支持構造体およびそれにより螺旋状に支持される導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定し、螺旋構造アンテナ素子は、末端部を有し、大地面に取り付けられた基底端部を有し、少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の支持構造体は、内部中空誘電体円筒からほぼ半径方向外側に延びる一連の支持リブを備え、支持リブは、支持構造体を対称に取り囲む一連のほぼ平行な縦方向リブを含む。本発明のこの態様によれば、少なくとも1つの前記支持構造体は、支持リブの周りに配置される前記導体を有する肉薄の誘電体円筒からほぼ半径方向に延びる複数の支持リブを備える。
【0014】
本発明の別の態様によれば、大地面、および螺旋構造アンテナ素子のアレイを備えるアンテナが提供され、それらのアンテナ素子のそれぞれは、誘電性支持構造体、およびそれにより螺旋状に支持された導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定し、少なくとも1つの前記支持構造体は、前記導体を支持する複数のリブを有し、その中の前記リブ間に画定される開口部を有する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、大地面、および螺旋構造アンテナ素子のアレイを備えるアンテナが提供され、それらのアンテナ素子のそれぞれは、支持構造体、およびそれにより螺旋状に支持された導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定し、少なくとも1つの前記支持構造体は、前記導体が巻かれるほぼ縦方向の誘電体胴枠部を備え、前記胴枠部は、その中に画定される複数の開口部を有し、前記開口部の提供により、動作中に前記支持構造体により導かれる誘電性負荷および損失を低減しながら、前記構造体の構造的完全性を維持することができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、大地面、および螺旋構造アンテナ素子のアレイを備えるアンテナが提供され、それらのアンテナ素子のそれぞれは、支持構造体、およびそれにより螺旋状に支持された導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定し、前記それぞれの軸は、ほぼ円の周りに配置され、素子方向は、各隣接部に対して、それらの軸の周りに回転し、供給点間の空間の増大をもたらす。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上述のアンテナのいずれか1つは、航空機通信システムに使用することができる。
本発明の別の態様によれば、上述の螺旋構造アンテナ素子のいずれか1つは、螺旋構造アンテナアレイの製作に使用することができる。
【0018】
本発明の他の目的、目標、利点、および特徴は、例えば添付の図面のみを参照して考えながら、その特定の実施形態の以下の非限定的な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による螺旋構造アンテナアレイの斜視図である。
【図2】図1のアンテナアレイの構成要素およびそのアンテナ素子に関して示された任意選択の軸外導電性負荷板の下向き斜視図を示す、図1のアンテナアレイの分解図である。
【図3】図1のアンテナアレイの構成要素の上向き斜視図を示す、図1のアンテナアレイの分解図である。
【図4】図1のアンテナアレイのアンテナ素子の斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態による螺旋構造アンテナアレイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
別途定義されなければ、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
以下に、本発明の様々な実施形態により、螺旋構造アンテナアレイおよびそのアンテナ素子の説明を行う。概略的には、アレイは、大地面および螺旋構造アンテナ素子のアレイを備え、それらのアンテナ素子のそれぞれは、支持構造体、およびそれにより螺旋状に支持された導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定する。例えば、様々な実施形態は、アレイを提供することを目的とする実施形態および用途に応じて、ほぼ同一の素子、または構造上もしくは操作上異なる素子とすることができる、2つ、4つ、またはそれより多い螺旋構造アンテナ素子を含むことができる。
【0021】
様々な実施形態を、様々な用途のために設計および使用することができることが当業者には理解されよう。例えば、上述のように、螺旋構造アンテナアレイは、通常、限定はされないが、航空機通信に関して上述した、地上および/または航空の衛星通信を含むことができる衛星通信に使用される。明らかに、以下に説明する実施形態のいくつかは、特に航空機通信システムで使用できる可能性がある一方、これらの実施形態の特徴、ならびに操作上の改善および/またはそれによりもたらされる利点は、螺旋構造アンテナアレイが一般に使用される他の文脈に等しく適用できる可能性があるので、これらの実施形態を航空機通信システムに限定する意図はないことが当業者には理解されよう。しかし、以下の説明のために、本発明の実施形態は、航空機通信の文脈内で説明され、特に、アンテナアレイは、航空機の尾端部に一般に見られるレドームなどの限定的な空間領域内での操作のために通常取り付けられ、アンテナアレイの操作は、適当な適用範囲をもたらす適当な走査領域をアレイが掃過するのを可能にするとき、一定レベルの空間的自由度を必要とする。したがって、いくつかの実施形態により、同様の空間寸法または外形を有する従来のアレイに対して、このアンテナアレイの性能の改善が行われ、それにより、従来のアンテナの現行の空間的制限に変化を与えることなく、従来のアレイの交換の可能性をもたらす。
【0022】
例えば、本発明のいくつかの実施形態によれば、アンテナアレイは、単独で、または様々な組合せで、アレイの全利得を増大させ、アレイの散逸損失を低減し、またはアレイの生産性を改善することができる、以下に説明する変更形態の1つまたは複数を組み込むことができる。ビームが様々な方向に向くことができるように、螺旋構造アレイが、アレイおよびそのビームを傾斜させることにより連続的に向きが変わる可能性がある、航空機通信システム内の操縦可能アンテナに関して、これらの変更は、様々な実施形態により、アンテナアレイの全掃過容積を維持する一方、より高い利得を達成することができる可能性がある。さらに、アンテナ構造体は、通常、容積適用範囲を合成するために2つの直交軸のそれぞれの周りに回転することができる。いくつかの実施形態では、各軸は、アンテナ構造体の中央を通過し、それにより、アレイの走査包絡面、すなわちその様々な異なる走査方向すべてにアンテナ組立体を含む単一の包絡面を低減し、したがって、この走査包絡面は、アンテナ構成要素を収容することができるレドーム構造体の最小サイズを規定する。航空機では、アンテナを設置することができる利用可能な空間に関して、通常、多くの厳しい制限が存在し、したがって、全アンテナ構造体を大幅に増大させることなく、著しい動作利得を達成することにより、この分野における著しい利点をもたらすことができる。しかし、上述のように、本明細書に説明される発明の実施形態により達成された動作利得は、構造体サイズ制限が厳しくは適用されない他の文脈に等しく適用できる。
【0023】
以下に提供される例は、単独または組合せで螺旋構造アンテナアレイ性能を改善することができる可能性がある、本発明の様々な実施形態および様々な特徴により説明することが理解されよう。したがって、同じ例示的な実施形態を説明するとき、様々な特徴が組み合わされるが、これらの特徴は、単独または様々な組合せで、全体的な範囲および本発明の開示の性質から逸脱することなく様々な所望の効果をもたらすものと等しく見なすことができることを当業者は理解するであろう。
【0024】
ここで図1〜4を参照すれば、本発明の1つの例示的な実施形態により、番号100を使用して全体が参照される螺旋構造アンテナアレイをここで説明する。これらの図に示されるように、アレイ100は、概略的には、大地面102および4つのほぼ同一のアンテナ素子104を含み、それらのアンテナ素子のそれぞれは、大地面からほぼ垂直に延び、支持構造体106およびそれにより螺旋状に支持される導体108(例えば導電性ワイヤ)を含む。本明細書には4つのアンテナ素子が示されるが、全体的な範囲および本発明の開示の性質から逸脱することなく、本明細書で様々な数のアンテナ素子を考えることができることが理解されよう。すなわち、本明細書に説明される特徴は、2つ、3つ、4つ、またはそれより多いアンテナ素子を備えた他のアレイに等しく適用できる可能性があるので、本明細書に示される4つの素子の例は、例示のみを目的としている。
【0025】
さらに、一実施形態によれば、各支持リブ116は、導体108を受け、それにより、導体108を支持するための一連の切欠部または凹部122をさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、リブベースの巻型の提供は、誘電体容積の低減および螺旋構造巻線からの誘電体の移動により、質量の低減およびRF性能の改善をもたらすことができる。誘電体容積の低減は、巻線の周りの電磁場の他の伝播摂動をさらに緩和することができる。これらのプラスの効果を向上させるのに、胴枠部114内の支持リブ116間に一連の開口部(すなわち窓)124を設け、アンテナ素子の質量および誘電体容積をさらに低減させ、それにより、巻型の提供により導かれた誘電体負荷および損失を低減させることができる。
【0026】
ここで図1〜4を参照すれば、アンテナアレイ100は、本発明の一実施形態により、単独または組合せで、アレイ性能の改善を実現することができる、いくつかの追加の特徴をさらに含む。
【0027】
例えば、大地面102は、全体的に、アンテナ素子104が取り付けられる導体シート130などを含む。図1〜4に示されるように、大地シート130は、横方向に延び、アレイの基底部を画定し、隆起リップ132のその縁部に沿って終結する。大地面102は、大地面102上に提供されるアレイ取付構造体138に協調結合するために、適当な誘電性突出部136を導入することができる切欠部134を画定するように形成することができる。突出部は、アレイを、その回転軸の周りにアレイを回転させるように構成される駆動機構に協調結合することを可能にすることができる。例えば、本発明の実施形態は、アレイの幾何学的中心線を通って配置される横軸の周りにアレイが回転することを可能にし、その周りの回転は、アレイの掃過包絡面を外側に延ばさないようにする。本発明の実施形態は、アレイの対応する幾何学的中心線により画定された垂直軸の周りにアレイが縦方向に回転することも可能にする。縦方向回転は、突出部136が取り付けられる回転台140を通して実施することができる。したがって、組合機構は、螺旋構造アンテナ素子104の基底面102の直径および末端部のアレイの直径によりほぼ画定された所定の掃過包絡面内の直交軸の周りにアンテナアレイ100を回転させることを可能にする。このため、大地面の外側縁部は、走査機構と機械的に干渉せず、4つの螺旋構造アレイの回転を可能にするように適当に形成することができる。
【0028】
別の実施形態において、より大きい効率および利得を実現するのに、いくつかの実装形態では、単一の大地面ではなく、1つまたは複数の大地カップを使用することができる。
別の実施形態では、突出部136は、アレイ容積内の誘電性材料の量を低減し、したがって、突出部がアレイ性能に及ぼす場合がある、あり得る影響を低減するための手段として、1つまたは複数の空気ポケットを組み込む誘電性材料から製作される。
【0029】
別の実施形態では、基底面102は、その中に画定された、開口部142などの一連の開口部をさらに含むことができ、これらの開口部の寸法により、電磁場周波数の1つまたは複数の帯域は、そうした開口部を有しない同様の面と比べて減衰量が低減される、面102を通過することができる。
【0030】
図1〜4を参照すれば、本明細書に螺旋巻導体ワイヤ108として示される螺旋構造巻線は、容量性負荷を増大させる手段としてこれらのワイヤの一部分に沿って取り付けられ、それにより、インピーダンス整合を容易にする、それに電気結合する、それぞれの導体ストリップをさらに有することができる。例えば、この実施形態では、1つまたは複数の導体ストリップ152は、螺旋構造巻線の供給端部の方に設けられる。しかし、同様の効果をもたらすのに、螺旋構造巻線の周りに、追加または別の導電性部材を配置することができることを当業者は理解するであろう。
【0031】
依然として図1〜4を参照すれば、名目上の螺旋構造体軸は、さらに、互いに回転し、結合を低減させ、アレイ利得を増大させるために、それらのそれぞれの供給点間の空間を増大させるようにすることができる。
【0032】
ここで図5を参照すれば、本発明の別の実施形態により、別の螺旋構造アンテナアレイ500をここで説明する。ここでは、同様の参照番号が同様の部品を示すのに使用される。この実施形態では、4つの直線螺旋構造アンテナ素子504が設けられ、それらのアンテナ素子のそれぞれは、ワイヤ508などの導体が螺旋状に配置される、ほぼ直線の巻型506を備える。図1〜4の実施形態と同様に、巻型506は、巻線導体508が取り付けられる、半径方向に延びる一連のリブ516を有し、それにより、ほぼ区分された直線配置を画定する、名目上の円筒胴枠部514を備える。
【0033】
本発明の上述の実施形態は、例示であり、様々に変形することができることは明らかである。そうした現在および未来の変形は、本発明の技術的思想および範囲から逸脱するものと見なすべきでなく、当業者には明らかであろうが、そうした変更のすべては、以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大地面と、
螺旋構造アンテナ素子のアレイと
を備えるアンテナにおいて、各螺旋構造アンテナ素子は、支持構造体、およびそれにより螺旋状に支持された導体を備え、前記大地面からそれにほぼ垂直な方向に延びるそれぞれの素子軸を画定し、前記螺旋構造アンテナ素子は、末端部を有し、前記大地面に取り付けられた基底端部を有し、
少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記支持構造体は、内部中空誘電体円筒からほぼ半径方向外側に延びる一連の支持リブを備え、前記支持リブは、前記支持構造体を対称に取り囲む一連のほぼ平行な縦方向リブを含む、アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナにおいて、前記少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記導体は、ほぼ区分された直線導体螺旋構造体を画定するように、前記支持リブの周りに配置される、アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナにおいて、前記少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記導体は、複数の弓状部分を備える、アンテナ。
【請求項4】
請求項2に記載のアンテナにおいて、各支持リブは、前記少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記導体を受け、それにより、前記導体を支持するための複数の切欠部を備える、アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナにおいて、前記少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記支持構造体は、前記少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記導体を支持する複数のリブを有し、その中の前記リブ間に画定される開口部を有する、アンテナ。
【請求項6】
請求項2に記載のアンテナにおいて、前記ほぼ区分された直線導体螺旋構造体は、ほぼ多角形の素子断面を画定する、アンテナ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、少なくとも1つの螺旋構造アンテナ素子の前記導体は、導体ワイヤを含む、アンテナ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、前記螺旋構造アンテナ素子の1つまたは複数のそれぞれの軸は、互いに回転し、それにより、そのそれぞれの供給点を離間させ、前記螺旋構造アンテナ素子間の結合を低減させる、アンテナ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、少なくとも1つの回転軸の周りに前記アンテナを方向付けるアンテナ方向付機構をさらに含むアンテナであって、前記少なくとも1つの軸の周りの前記アンテナの掃過包絡面は、基底面寸法およびアンテナ素子末端部の組合寸法の少なくとも1つにより画定される、アンテナ。
【請求項10】
請求項9に記載のアンテナにおいて、前記アンテナ方向付機構はさらに、2つのほぼ直交する軸に関して前記アンテナを方向付けるためのものである、アンテナ。
【請求項11】
請求項10に記載のアンテナにおいて、前記アンテナの前記掃過包絡面がレドーム内に含まれるように、前記レドーム内に取り付けられるように寸法を決められる、アンテナ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、航空機通信システムに使用する、アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−507850(P2013−507850A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533438(P2012−533438)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000343
【国際公開番号】WO2011/044656
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512096115)イーエムエス・テクノロジーズ・カナダ,リミテッド (3)
【Fターム(参考)】