説明

医用画像処理システムおよび医用画像保管装置

【課題】DICOM画像データの再構成条件を事後的に特定することを課題とする。
【解決手段】医用画像診断装置と医用画像保管装置とを含む医用画像処理システムにおいて、医用画像診断装置は、RawデータとDICOM画像データとを医用画像保管装置に送信する。一方、医用画像保管装置は、RawデータとDICOM画像データとを受信すると、受信したDICOM画像データからDICOM−UIDと再構成条件とを抽出し、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とを対応づけて記憶部に格納する。なお、医用画像保管装置は、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とが記憶部に格納された後に、DICOM画像データを記憶部から削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理システムおよび医用画像保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの医用画像診断装置や、医用画像を保管する医用画像保管装置は、PACS(Picture Archiving and Communication System)のネットワークを介して相互に接続され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って医用画像等の情報を送受信している。
【0003】
医用画像診断装置は、まず、被検体を撮影することで投影データ(Rawデータ)を収集し、次に、所定の再構成条件を用いて逆投影処理をすることで、投影データから断面像データを再構成する。さらに、医用画像診断装置は、再構成した断面像データからDICOM規格に則ったDICOM画像データを生成する。その後、医用画像診断装置は、生成したDICOM画像データを医用画像保管装置に送信する。すると、医用画像保管装置は、図17に示すように、医用画像診断装置から送信されたDICOM画像データを記憶部に格納し、保管する。なお、図17は、従来の医用画像保管装置を説明するための図である。
【0004】
もっとも、DICOM画像データを保管する手法では、医用画像保管装置において膨大な記憶容量が必要になる。すなわち、1シリーズ分のDICOM画像データだけでも膨大な画像数である上、1つの検査で複数シリーズのDICOM画像データが生成されることもあるので、DICOM画像データの容量は膨大になり、膨大な記憶容量が必要になるのである。
【0005】
このようなことから、従来、図18に示すように、Rawデータと再構成条件との対応づけを記憶部に記憶する手法が提案されている。この手法では、サーバが、Rawデータとシリーズごとの再構成条件とを対応づけて記憶部に記憶しており、クライアントが、シリーズを指定してDICOM画像データの送信要求をサーバに送信すると、サーバが、指定されたシリーズに該当する再構成条件を用いてRawデータからDICOM画像データを生成し、クライアントに送信する。なお、図18は、従来の技術を説明するための図である。
【0006】
【特許文献1】特開2006−110071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した従来の技術では、画像データの再構成に用いられた再構成条件を事後的に特定することが難しいという課題があった。例えば、過去画像と現在画像とを比較する比較読影にあたり、比較対象となる過去のDICOM画像データの再構成条件を特定し、特定した再構成条件を用いて現在のDICOM画像データの撮影条件を計画することがある。しかしながら、Rawデータと再構成条件との対応づけを記憶部に記憶する手法では、比較対象となるDICOM画像データの再構成条件がどの再構成条件であったのかを事後的に特定することが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来の技術の課題を解決するためになされたものであり、画像データの再構成に用いられた再構成条件を事後的に特定することが可能な医用画像処理システムおよび医用画像保管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、医用画像を処理する医用画像処理装置と当該医用画像処理装置によって処理された医用画像を保管する医用画像保管装置とを含む医用画像処理システムであって、前記医用画像処理装置は、医用画像に再構成される前の再構成前データと当該再構成前データから所定の再構成条件を用いて医用画像に再構成された後の再構成画像データとを前記医用画像保管装置に送信するデータ送信手段を備え、前記医用画像保管装置は、前記データ送信手段によって送信された再構成前データと再構成画像データとを受信すると、受信した当該再構成画像データの再構成に用いられた再構成条件を取得する再構成条件取得手段と、前記再構成前データと、前記再構成画像データを一意に識別する再構成画像識別情報と、前記再構成条件取得手段によって取得された再構成条件とを対応づけて記憶部に格納するデータ格納手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項7に係る発明は、医用画像を保管する医用画像保管装置であって、医用画像に再構成される前の再構成前データから所定の再構成条件を用いて再構成された後の再構成画像データについて、当該再構成条件を取得する再構成条件取得手段と、前記再構成前データと、前記再構成画像データを一意に識別する再構成画像識別情報と、前記再構成条件取得手段によって取得された再構成条件とを対応づけて記憶部に格納するデータ格納手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1または7の発明によれば、画像データの再構成に用いられた再構成条件を事後的に特定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る医用画像処理システムおよび医用画像保管装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、まず、実施例1おける医用画像保管装置の概要を説明し、続いて、実施例1に係る医用画像処理システムの構成、処理手順、実施例1の効果を順に説明する。次に、他の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
[実施例1における医用画像保管装置の概要]
図1を用いて、実施例1における医用画像保管装置の概要を説明する。図1は、実施例1における医用画像保管装置の概要を説明するための図である。
【0014】
まず、DICOM画像データについて簡単に説明すると、DICOM画像データは、医用画像データの通信規格であるDICOM規格に則って生成された画像データのことである。ここで、医用画像データは、参照されるに過ぎない通常の画像データとは異なり、読影などの医療行為に利用されたり、所見などの医用情報と連携して利用されるものである。このため、DICOM規格は、医用画像データの付帯情報として各種情報を設定することを規定している。具体的には、DICOM規格は、付帯情報として、患者情報の下位に、スタディ、シリーズ、イメージの3段階の情報を設定することを規定している。
【0015】
以下の実施例において、患者情報とは、患者を識別する患者IDのことであり、スタディとは、検査を識別する検査IDのことであり、シリーズとは、モダリティを識別する装置IDと当該モダリティによる1回の撮影を識別するシリーズIDとの組合せのことであり、イメージとは、再構成条件ごとに分類された医用画像データを識別する画像IDのことである。
【0016】
例えば、患者ID「987654321」の患者に対し、CT装置による撮影が、頭部および腹部について行われたとする。この時、2回の撮影に、検査ID「100-234」および装置ID「CT10」が付与され、また、頭部の撮影にシリーズID「S1」が付与され、腹部の撮影にシリーズID「S2」が付与される。
【0017】
また、以下の実施例において、スタディ(検査ID)とシリーズ(装置IDとシリーズIDとの組合せ)とイメージ(画像ID)との組合せをDICOM−UIDと呼ぶ。すなわち、DICOM−UIDは、再構成条件ごとに分類されたDICOM画像データを一意に識別する識別情報である。例えば、図1に示すように、シリーズID「シリーズ1」には、DICOM−UID「100-234.CT10S1.1-a」で識別されるDICOM画像データや、「100-234.CT10S1.1-b」で識別されるDICOM画像データ、「100-234.CT10S1.1-c」で識別されるDICOM画像データなどが含まれる。
【0018】
さて、実施例1における医用画像保管装置は、図1に示すように、DICOM画像データからDICOM−UIDを抽出する。また、医用画像保管装置は、DICOM画像データから、DICOM画像データの再構成に用いられた再構成条件を抽出する。そして、医用画像保管装置は、図1に示すように、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とを対応づけて記憶部に格納する。
【0019】
このように、実施例1における医用画像保管装置は、再構成条件ごとに分類されたDICOM画像データを一意に識別する識別情報と、再構成条件とを対応づけて記憶するので、DICOM画像データの再構成条件を事後的に特定することが可能になる。
【0020】
[実施例1に係る医用画像処理システムの構成]
次に、図2〜図8を用いて、実施例1に係る医用画像処理システムの構成を説明する。図2は、実施例1に係る医用画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、実施例1に係る医用画像処理システムにおいては、医用画像診断装置20と医用画像保管装置10と医用画像表示装置30とが、PACSのネットワーク1を介して相互に接続され、DICOM規格に則って医用画像等の情報を送受信している。以下、医用画像診断装置20、医用画像保管装置10、医用画像表示装置30について順に説明する。
【0021】
[医用画像診断装置]
図3〜図5を用いて、実施例1における医用画像診断装置20の構成を説明する。図3は、実施例1における医用画像診断装置の構成を示すブロック図であり、図4は、Rawデータ記憶部を説明するための図であり、図5は、DICOM画像データ記憶部を説明するための図である。
【0022】
図3に示すように、医用画像診断装置20は、特に、記憶部として、Rawデータ記憶部21と、DICOM画像データ記憶部22とを備え、制御部として、医用画像撮影部23と、DICOM画像データ生成部24と、データ送信部25とを備える。
【0023】
Rawデータ記憶部21は、Rawデータを記憶する。具体的には、Rawデータ記憶部21は、医用画像撮影部23とDICOM画像データ生成部24とデータ送信部25と接続され、医用画像撮影部23によって撮影されたRawデータを記憶する。また、Rawデータ記憶部21が記憶するRawデータは、DICOM画像データ生成部24やデータ送信部25による処理に利用される。例えば、Rawデータ記憶部21は、図4に示すように、患者ID、患者名、検査ID、装置IDなどの付帯情報とともに、Rawデータを記憶する。
【0024】
DICOM画像データ記憶部22は、DICOM画像データを記憶する。具体的には、DICOM画像データ記憶部22は、DICOM画像データ生成部24とデータ送信部25とに接続され、DICOM画像データ生成部24によって生成されたDICOM画像データを記憶する。また、DICOM画像データ記憶部22が記憶するDICOM画像データは、データ送信部25による処理に利用される。
【0025】
例えば、DICOM画像データ記憶部22は、図5に示すように、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID、画像ID、再構成条件などの付帯情報とともに、DICOM画像データを記憶する。ここで、検査IDと装置IDとシリーズIDと画像IDとの組合せをDICOM−UIDと呼ぶ。すなわち、図5に示すように、DICOM−UIDによって識別されるDICOM画像データは、再構成条件ごとに分類されたDICOM画像データである。
【0026】
医用画像撮影部23は、被検体を撮影することでRawデータを収集する。具体的には、医用画像撮影部23は、Rawデータ記憶部21とDICOM画像データ生成部24とに接続され、収集したRawデータをRawデータ記憶部21に格納する。また、医用画像撮影部23は、Rawデータ記憶部21にRawデータを格納したことをDICOM画像データ生成部24に通知する。
【0027】
DICOM画像データ生成部24は、RawデータからDICOM画像データを生成する。具体的には、DICOM画像データ生成部24は、Rawデータ記憶部21と、DICOM画像データ記憶部22と、医用画像撮影部23と、データ送信部25とに接続される。DICOM画像データ生成部24は、Rawデータ記憶部21にRawデータを格納したことを医用画像撮影部23から通知されると、Rawデータ記憶部21から該当するRawデータを取得し、所定の再構成条件を用いて逆投影処理をすることで、取得したRawデータから断面像データを再構成する。また、DICOM画像データ生成部24は、再構成した断面像データからDICOM規格に則ったDICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データをDICOM画像データ記憶部22に格納する。また、DICOM画像データ生成部24は、DICOM画像データ記憶部22にDICOM画像データを格納したことをデータ送信部25に通知する。
【0028】
データ送信部25は、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信する。具体的には、データ送信部25は、Rawデータ記憶部21と、DICOM画像データ記憶部22と、DICOM画像データ生成部24と接続される。データ送信部25は、DICOM画像データ記憶部22にDICOM画像データを格納したことをDICOM画像データ生成部24から通知されると、Rawデータ記憶部21からRawデータを読み出し、DICOM画像データ記憶部22からDICOM画像データを読み出す。また、データ送信部25は、読み出したRawデータおよびDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信する。
【0029】
[医用画像保管装置]
図6〜図8を用いて、実施例1における医用画像保管装置10の構成を説明する。図6は、実施例1における医用画像保管装置の構成を示すブロック図であり、図7は、再構成条件記憶部を説明するための図であり、図8は、登録情報記憶部を説明するための図である。
【0030】
図6に示すように、医用画像保管装置10は、特に、記憶部として、Rawデータ記憶部11と、DICOM画像データ記憶部12と、再構成条件記憶部13と、登録情報記憶部14とを備え、制御部として、データ受信部15と、関連検査登録部16と、再構成条件抽出部17と、DICOM画像データ削除部18とを備える。
【0031】
Rawデータ記憶部11は、Rawデータを記憶する。具体的には、Rawデータ記憶部11は、関連検査登録部16とDICOM画像データ削除部18とに接続され、関連検査登録部16によって格納されることでRawデータを記憶する。また、Rawデータ記憶部11が記憶するRawデータは、DICOM画像データ削除部18による処理に利用される。なお、Rawデータ記憶部11は、医用画像診断装置20のRawデータ記憶部21が記憶するRawデータと同様にRawデータを記憶する(図4を参照)。
【0032】
DICOM画像データ記憶部12は、DICOM画像データを記憶する。具体的には、DICOM画像データ記憶部12は、関連検査登録部16と再構成条件抽出部17とDICOM画像データ削除部18とに接続され、関連検査登録部16によって格納されることでDICOM画像データを記憶する。また、DICOM画像データ記憶部12が記憶するDICOM画像データは、再構成条件抽出部17やDICOM画像データ削除部18による処理に利用される。なお、DICOM画像データ記憶部12は、医用画像診断装置20のDICOM画像データ記憶部22が記憶するDICOM画像データと同様にDICOM画像データを記憶する(図5を参照)。
【0033】
再構成条件記憶部13は、再構成条件を記憶する。具体的には、再構成条件記憶部13は、再構成条件抽出部17とDICOM画像データ削除部18とに接続され、再構成条件抽出部17によって格納されることで再構成条件を記憶する。また、再構成条件記憶部13が記憶する再構成条件は、DICOM画像データ削除部18による処理に利用される。
【0034】
例えば、再構成条件記憶部13は、図7に示すように、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID、画像ID、および再構成条件を記憶する。ここで、再構成条件とは、例えば、図7に示すように、再構成関数やスライス厚であったり、その他、スライス数や再構成ピッチなどのことである。
【0035】
登録情報記憶部14は、Rawデータ、DICOM画像データや再構成条件が記憶部に格納された位置を示す位置情報を記憶する。具体的には、登録情報記憶部14は、関連検査登録部16と再構成条件抽出部17とDICOM画像データ削除部18とに接続され、関連検査登録部16や再構成条件抽出部17によって格納されることで位置情報を記憶する。また、登録情報記憶部14が記憶する位置情報は、DICOM画像データ削除部18による処理に利用される。
【0036】
例えば、登録情報記憶部14は、図8に示すように、患者ID、患者名、検査ID、装置ID、シリーズIDなどの付帯情報とともに、Rawデータの位置情報、DICOM画像データの位置情報、再構成条件の位置情報を記憶する。ここで、位置情報とは、図8に示すように、例えば、「\\raw-data\987654321\100-234\CT10\S1-SN」といったパス情報である。
【0037】
データ受信部15は、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像診断装置20から受信する。具体的には、データ受信部15は、関連検査登録部16と接続され、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像診断装置20から受信すると、受信したことを関連検査登録部16に通知する。
【0038】
関連検査登録部16は、RawデータとDICOM画像データとを関連づけて記憶部に格納する。具体的には、関連検査登録部16は、Rawデータ記憶部11と、DICOM画像データ記憶部12と、登録情報記憶部14と、データ受信部15と、再構成条件抽出部17と接続される。
【0039】
関連検査登録部16は、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像診断装置20から受信したことをデータ受信部15から通知されると、RawデータとDICOM画像データとから付帯情報を抽出し、共通の付帯情報を統合するなどして、登録情報記憶部14に格納する。次に、関連検査登録部16は、データ受信部15において受信されたRawデータを付帯情報とともにRawデータ記憶部11に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。また、関連検査登録部16は、データ受信部15において受信されたDICOM画像データを付帯情報とともにDICOMデータ記憶部12に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。そして、関連検査登録部16は、RawデータとDICOM画像データとを関連づけて記憶部に格納したことを再構成条件抽出部17に通知する。
【0040】
再構成条件抽出部17は、RawデータおよびDICOM画像データに関連づけて再構成条件を記憶部に格納する。具体的には、再構成条件抽出部17は、DICOM画像データ記憶部12と再構成条件記憶部13と登録情報記憶部14と関連検査登録部16とDICOM画像データ削除部18と接続される。
【0041】
再構成条件抽出部17は、RawデータとDICOM画像データとを関連づけて記憶部に格納したことを関連検査登録部16から通知されると、DICOM画像データ記憶部12に格納されたDICOM画像データから付帯情報を抽出する。すなわち、この時、再構成条件抽出部17は、検査ID、装置ID、シリーズID、画像IDを抽出することでDICOM−UIDを抽出し、また、再構成条件も抽出する。次に、再構成条件抽出部17は、抽出したDICOM−UIDや再構成条件などを再構成条件記憶部13に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。そして、再構成条件抽出部17は、RawデータおよびDICOM画像データに関連づけて再構成条件を記憶部に格納したことをDICOM画像データ削除部18に通知する。
【0042】
DICOM画像データ削除部18は、DICOM画像データを記憶部から削除する。具体的には、DICOM画像データ削除部18は、Rawデータ記憶部11とDICOM画像データ記憶部12と再構成条件記憶部13と登録情報記憶部14と接続される。DICOM画像データ削除部18は、RawデータおよびDICOM画像データに関連づけて再構成条件を記憶部に格納したことを再構成条件抽出部17から通知されると、一定期間経過後、DICOM画像データをDICOM画像データ記憶部12から削除する。
【0043】
この時、DICOM画像データ削除部18は、登録情報記憶部14に記憶されている位置情報を参照して、Rawデータ記憶部11に、削除対象のDICOM画像データに対応するRawデータが記憶されているかを確認し、また、再構成条件記憶部13に、削除対象のDICOM画像データに対応するDICOM−UIDと再構成条件とが記憶されているかを確認する。そして、DICOM画像データ削除部18は、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とが関連づけて記憶されていることを確認すると、DICOM画像データをDICOM画像データ記憶部12から削除する。
【0044】
[医用画像表示装置]
医用画像表示装置30は、医用画像保管装置10によって保管されている医用画像をPACSのネットワークを介して受信し、出力部に出力する。
【0045】
[実施例1に係る医用画像処理システムによる処理手順]
次に、図9および図10を用いて、実施例1に係る医用画像処理システムによる処理手順を説明する。図9は、実施例1における医用画像診断装置による処理手順を示すフローチャートであり、図10は、実施例1における医用画像保管装置による処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
図9を用いて、医用画像診断装置による処理手順を説明する。まず、医用画像撮影部23が、被検体を撮影することでRawデータを収集し、収集したRawデータをRawデータ記憶部21に格納する(ステップS101)。
【0047】
次に、DICOM画像データ生成部24が、Rawデータから断面像データを再構成し、再構成した断面像データからDICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データをDICOM画像データ記憶部22に格納する(ステップS102)。
【0048】
続いて、データ送信部25が、データを送信するタイミングであるか否かを判定し(ステップS103)、データを送信するタイミングであると判定すると(ステップS103肯定)、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信する(ステップS104)。
【0049】
そして、データ送信部25は、RawデータおよびDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信した後、一定期間が経過したか否かを判定し(ステップS105)、一定期間経過したと判定すると(ステップS105肯定)、続いて、Rawデータ送信要求を医用画像保管装置10から受信したか否かを判定する(ステップS106)。
【0050】
Rawデータ送信要求を受信している場合には(ステップS106肯定)、初期設定などの関係でステップS104においてRawデータが送信されなかった場合であると想定されるので、データ送信部25は、Rawデータを送信する(ステップS107)。
【0051】
Rawデータ送信要求を受信していない場合(ステップS106否定)や、ステップS107においてRawデータを送信した後に、データ送信部25は、Rawデータ記憶部21から該当するRawデータを削除し、DICOM画像データ記憶部22から該当するDICOM画像データを削除する(ステップS108)。
【0052】
次に、図10を用いて、医用画像保管装置による処理手順を説明する。まず、データ受信部15が、DICOM画像データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。
【0053】
DICOM画像データを受信したと判定すると(ステップS201肯定)、次に、データ受信部15は、関連検査のRawデータを受信したか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、データ受信部15は、先に受信したDICOM画像データの付帯情報から患者ID、検査ID、装置ID、シリーズIDなどを取得し、同一の情報を付帯情報とするRawデータを受信したか否かを判定する。
【0054】
関連検査のRawデータを受信していない場合には(ステップS202否定)、初期設定などの関係で医用画像診断装置20においてRawデータが送信されなかった場合であると想定されるので、データ受信部15は、Rawデータ送信要求を医用画像診断装置20に送信する(ステップS203)。
【0055】
一方、関連検査のRawデータを受信している場合には(ステップS202肯定)、関連検査登録部16が、RawデータとDICOM画像データとを関連づけて記憶部に格納する(ステップS204)。具体的には、関連検査部16は、RawデータとDICOM画像データとから付帯情報を抽出し、共通の付帯情報を統合するなどして、登録情報記憶部14に格納する。次に、関連検査登録部16は、データ受信部15において受信されたRawデータを付帯情報とともにRawデータ記憶部11に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。また、関連検査登録部16は、データ受信部15において受信されたDICOM画像データを付帯情報とともにDICOM画像データ記憶部12に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。
【0056】
続いて、再構成条件抽出部17が、再構成条件を別途受信しているか否かを判定する(ステップS205)。実施例1において、再構成条件は、DICOM画像データから抽出されることが原則であるが、例外的に、再構成条件が別のDICOMデータとして送信されている場合も想定され得るので、再構成条件抽出部17は、例外的に再構成条件を受信しているか否かを判定する。
【0057】
再構成条件を別途受信していない原則的な場合には(ステップS205否定)、再構成条件抽出部17は、DICOM画像データ記憶部12に格納されたDICOM画像データから付帯情報を抽出する(ステップS206)。すなわち、この時、再構成条件抽出部17は、検査ID、装置ID、シリーズID、画像IDを抽出することでDICOM−UIDを抽出し、また、再構成条件も抽出する。
【0058】
そして、再構成条件抽出部17は、RawデータおよびDICOM画像データに関連づけて再構成条件を記憶部に格納する(ステップS207)。具体的には、再構成条件抽出部17は、抽出したDICOM−UIDや再構成条件などを再構成条件記憶部13に格納し、格納した記憶部の位置情報を取得して、登録情報記憶部14に格納する。
【0059】
その後、DICOM画像データ削除部18が、一定期間経過したか否かを判定し(ステップS208)、一定期間経過した場合には(ステップS208肯定)、DICOM画像データをDICOM画像データ記憶部12から削除する(ステップS209)。
【0060】
[実施例1の効果]
上記してきたように、実施例1に係る医用画像処理システムにおいて、医用画像診断装置20は、RawデータとDICOM画像データとを医用画像保管装置10に送信し、医用画像保管装置10は、RawデータとDICOM画像データとを受信すると、受信したDICOM画像データからDICOM−UIDと再構成条件とを抽出し、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とを対応づけて記憶部に格納する。このようなことから、実施例1によれば、再構成条件ごとに分類されたDICOM画像データを一意に識別するDICOM−UIDと、再構成条件とを対応づけて記憶するので、DICOM画像データの再構成条件を事後的に特定することが可能になる。
【0061】
また、上記してきたように、実施例1に係る医用画像処理システムにおいて、医用画像保管装置10は、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とが記憶部に格納された後に、DICOM画像データを記憶部から削除する。このようなことから、実施例1によれば、医用画像保管装置において必要となる記憶容量を抑制することが可能になる。すなわち、従来のDICOM画像データを保管する手法では、医用画像保管装置は、膨大な容量のDICOM画像データを保管するための膨大な記憶容量が必要であった。しかしながら、実施例1によれば、DICOM画像データは記憶部から削除されるので、必要となる記憶容量を抑制することが可能になる。
【実施例2】
【0062】
ところで、実施例1の効果でも説明したように、本発明によれば、DICOM画像データの再構成条件を事後的に特定することが可能になる。そこで、実施例2では、事後的に特定したDICOM画像データの再構成条件を流用する手法を説明する。
【0063】
[実施例2における医用画像保管装置の構成]
まず、図11を用いて、実施例2における医用画像保管装置の構成を説明する。図11は、実施例2における医用画像保管装置の構成を示すブロック図である。
【0064】
なお、以下では、医用画像保管装置が、医用画像表示装置からのDICOM画像データ再構成依頼を受信し、医用画像保管装置が、DICOM画像データの再構成を実行するものとして説明するが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、医用画像診断装置がDICOM画像データ再構成依頼を受信し、医用画像診断装置が、医用画像保管装置から必要なデータを受信して、DICOM画像データの再構成を実行してもよい。再構成依頼の伝達経路や再構成の実行装置などは、任意に変更することができる。
【0065】
実施例2における医用画像保管装置10は、図11に示すように、DICOM画像データ再構成部19をさらに備える。DICOM画像データ再構成部19は、DICOM画像データを再構成することを依頼する再構成依頼を医用画像表示装置30から受け付ける。具体的には、DICOM画像データ再構成部19は、Rawデータ記憶部11と、DICOM画像データ記憶部12と、再構成条件記憶部13と、登録情報記憶部14と接続される。
【0066】
DICOM画像データ再構成部19は、DICOM−UIDを指定することでDICOM画像データを送信することを要求する再構成依頼を医用画像表示装置30から受け付けると、再構成依頼にて指定されたDICOM−UIDを用いて再構成条件記憶部13を検索し、DICOM−UIDに対応づけて記憶されている再構成条件を取得する。そして、DICOM画像データ再構成部19は、取得した再構成条件を用いてDICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データを医用画像表示装置30に送信する。
【0067】
ここで、図12および図13を用いてDICOM画像データの再構成を説明する。図12および図13は、DICOM画像データの再構成を説明するための図である。例えば、過去画像と現在画像とを比較する比較読影にあたり、比較対象となる過去のDICOM画像データの再構成条件を特定し、特定した再構成条件を用いて現在のDICOM画像データの撮影条件を計画することがある。例えば、図12に示すように、過去のDICOM画像データ(2008/5/1)の再構成条件を特定して、現在のDICOM画像データ(2008/6/1)の撮影条件を計画する事例を想定する。
【0068】
このような場合、まず、医用画像表示装置30は、過去のDICOM画像データ(2008/5/1)から当該DICOM画像データを識別する情報として、DICOM−UIDを指定することができる。医用画像保管装置10は、指定されたDICOM−UIDを用いて再構成条件記憶部13を検索する。すると、医用画像保管装置10は、指定されたDICOM−UIDに対応づけて記憶されている再構成条件を特定することができる。特定した再構成条件は、まさに、過去のDICOM画像データ(2008/5/1)の再構成に用いられた再構成条件である。
【0069】
こうして、過去のDICOM画像データ(2008/5/1)の再構成条件が特定されるので、再び、医用画像保管装置10は、新たに撮影されたRawデータから、特定された再構成条件を用いて現在のDICOM画像データ(2008/6/1)を生成する。こうして、過去のDICOM画像データ(2008/5/1)と、新たに撮影されたRawデータから生成された現在のDICOM画像データ(2008/6/1)との比較読影が実現する。
【0070】
また、例えば、図13に示すように、所見と対応づけて記憶されていた過去のDICOM画像データが、所定期間を経過したことなどを契機に削除されたとする。そして、例えば、同じ患者が再び診察に訪れるなどしたことで、DICOM画像データが削除された後に、当該DICOM画像データの復元が必要になった事例を想定する。
【0071】
このような場合、まず、医用画像表示装置30は、所見と対応づけて記憶されていたDICOM画像データを識別する情報として、DICOM−UIDを指定することができる。医用画像保管装置10は、指定されたDICOM−UIDを用いて再構成条件記憶部13を検索する。すると、医用画像保管装置10は、指定されたDICOM−UIDに対応づけて記憶されているRawデータと再構成条件とを取得することができる。取得したRawデータは、まさに、削除されたDICOM画像データに対応するRawデータであり、取得した再構成条件は、まさに、削除されたDICOM画像データの再構成に用いられた再構成条件である。
【0072】
こうして、Rawデータと再構成条件とが取得されるので、医用画像保管装置10は、再び、取得したRawデータから、取得した再構成条件を用いてDICOM画像データを生成することができ、削除されたDICOM画像データの復元を実現することができる。
【0073】
[実施例2の効果]
上記してきたように、実施例2における医用画像保管装置10は、過去のDICOM画像データと同じ再構成条件で再構成されたDICOM画像データを送信することを要求する再構成依頼を医用画像表示装置30から受け付けると、指定されたDICOM−UIDを用いて再構成条件記憶部13を検索し、DICOM−UIDに対応づけて記憶されている再構成条件を取得する。そして、医用画像保管装置10は、取得した再構成条件を用いてDICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データを医用画像表示装置30に送信する。このようなことから、実施例2によれば、過去の再構成条件を流用して、適切な比較読影をすることができる。
【0074】
また、実施例2における医用画像保管装置10は、DICOM画像データを復元して送信することを要求する再構成依頼を医用画像表示装置30から受け付けると、指定されたDICOM−UIDを用いて再構成条件記憶部13を検索し、DICOM−UIDに対応づけて記憶されているRawデータおよび再構成条件を取得する。そして、医用画像保管装置10は、取得したRawデータおよび再構成条件を用いてDICOM画像データを生成し、生成したDICOM画像データを医用画像表示装置30に送信する。このようなことから、実施例2によれば、削除されてしまったDICOM画像データを復元することもできる。
【実施例3】
【0075】
さて、これまで実施例2では、事後的に特定されたDICOM画像データの再構成条件を流用する手法について説明してきた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、本発明に係る医用画像保管装置は、Rawデータを保管しているので、例えば、比較読影にあたり、過去の再構成条件に最適な再構成条件がなかった場合にも、新たな再構成条件を用いてRawデータからDICOM画像データを生成することが可能である。以下、実施例3に係る医用画像処理システムとして、新たな再構成条件を用いる手法について説明する。
【0076】
[実施例3に係る医用画像処理システムによる処理手順]
図14および図15を用いて、実施例3に係る医用画像処理システムによる処理手順を説明する。図14は、実施例3における医用画像診断装置による処理手順を示すフローチャートであり、図15は、実施例3における医用画像保管装置による処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
なお、以下では、実施例2と異なり、医用画像保管装置が、医用画像表示装置からのDICOM画像データ送信依頼を受信し、医用画像診断装置が、DICOM画像データの再構成を実行するものとして説明するが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、医用画像診断装置がDICOM画像データ送信依頼を受信してもよいし、医用画像保管装置が、DICOM画像データの再構成を実行してもよい。すなわち、実施例2でも説明したように、送信依頼の伝達経路や再構成の実行装置などは、任意に変更することができる。
【0078】
図14を用いて、医用画像診断装置による処理手順を説明する。まず、医用画像診断装置20は、医用画像保管装置10からDICOM画像データの再構成依頼を受信したか否かを判定している(ステップS301)。
【0079】
再構成依頼を受信したと判定した場合には(ステップS301肯定)、続いて、医用画像診断装置20は、Rawデータを受信したか否かを判定する(ステップS302)。Rawデータを受信したと判定した場合には(ステップS302肯定)、次に、医用画像診断装置20は、再構成条件を受信したか否かを判定する(ステップS303)。
【0080】
なお、再構成条件を受信した場合とは、後述するように、過去の再構成条件を流用する場合であり、流用する過去の再構成条件を医用画像保管装置10が送信してきた場合である。一方、再構成条件を受信しない場合とは、後述するように、過去の再構成条件が流用できない場合であり、再構成依頼の依頼内容のみを医用画像保管装置10が送信してきた場合である。
【0081】
そこで、医用画像診断装置20は、いずれも受信した場合に(ステップS302肯定、ステップS303肯定)、Rawデータと過去の再構成条件とを用いてDICOM画像データを生成し(ステップS305)、生成したDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信する(ステップS306)。
【0082】
一方、医用画像診断装置20は、再構成条件を受信していない場合には(ステップS302肯定、ステップS303否定)、依頼内容に従って新たな再構成条件を生成する(ステップS304)。そして、医用画像診断装置20は、Rawデータと新たな再構成条件とを用いてDICOM画像データを生成し(ステップS305)、生成したDICOM画像データを医用画像保管装置10に送信する(ステップS306)。
【0083】
次に、図15を用いて、医用画像保管装置による処理手順を説明する。まず、医用画像保管装置10は、医用画像表示装置30からDICOM画像データ送信依頼を受信したか否かを判定している(ステップS401)。ここで、DICOM画像データ送信依頼とは、例えば、過去のDICOM画像データを識別するDICOM−UIDと、再構成条件との組合せであるとする。
【0084】
送信依頼を受信した場合には(ステップS401肯定)、医用画像保管装置10は、登録情報記憶部14に記憶されている登録情報を用いて、DICOM画像データ記憶部12および再構成条件記憶部13を検索する(ステップS402)。DICOM−UIDによって識別されるDICOM画像データが未だDICOM画像データ記憶部12から削除されていない場合で、かつ、過去のDICOM画像データの再構成に用いられた再構成条件と送信依頼の再構成条件とが一致する場合には、送信依頼されたDICOM画像データが検索されるはずである。
【0085】
送信依頼されたDICOM画像データが検索された場合には(ステップS403肯定)、DICOM画像データ再構成部19は、DICOM画像データ記憶部12から該当するDICOM画像データを取得し(ステップS404)、医用画像表示装置30に送信する(ステップS409)。
【0086】
一方、送信依頼されたDICOM画像データが検索されない場合としては、DICOM−UIDによって識別されるDICOM画像データがすでにDICOM画像データ記憶部12から削除されてしまっている場合と、過去のDICOM画像データの再構成に用いられた再構成条件と送信依頼の再構成条件とが一致しない場合とが考えられる。そこで、送信依頼されたDICOM画像データが検索されない場合には(ステップS403否定)、医用画像保管装置10は、送信依頼の再構成条件と一致する再構成条件が記憶されているか否か、再構成条件記憶部13を検索する(ステップS405)。
【0087】
送信依頼の再構成条件と一致する再構成条件が記憶されている場合には(ステップS405肯定)、単に、DICOM画像データがDICOM画像データ記憶部12から削除されてしまっている場合であるので、医用画像保管装置10は、Rawデータ記憶部11に記憶されているRawデータと再構成条件とを医用画像診断装置20に送信する(ステップS406)。
【0088】
一方、送信依頼の再構成条件と一致する再構成条件が記憶されていない場合には(ステップS405否定)、そもそも過去の再構成条件を流用できない場合である。このため、医用画像保管装置10は、Rawデータおよび依頼内容を医用画像診断装置20に送信する(ステップS407)。
【0089】
その後、医用画像保管装置10は、医用画像診断装置20からDICOM画像データを受信したか否かを判定し(ステップS408)、受信した場合には(ステップS408肯定)、受信したDICOM画像データを医用画像表示装置30に送信する(ステップS409)。
【0090】
[実施例3の効果]
DICOM画像データのみを保管し、Rawデータを保管しない従来の手法では、例えば、比較読影にあたり、過去の再構成条件に最適な再構成条件がなかった場合には、再び被検体を撮影してRawデータを収集し直す必要があった。しかしながら、上記してきたように、実施例3によれば、医用画像保管装置10がRawデータを保管していることから、再構成条件を新規に作成したり修正することで、Rawデータを収集し直すことなく、過去に収集したRawデータから新たなDICOM画像データを生成することができる。
【実施例4】
【0091】
[他の実施例]
さて、これまで本発明の実施例1〜実施例3について説明してきたが、本発明は上記の実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0092】
[DICOMデータオブジェクト]
まず、上記の実施例において説明したように、DICOM画像データは、医用画像表示装置によって表示されるものである。ここで、医用画像表示装置は、DICOM画像データを表示した際に、DICOM規格に則った様々なDICOMデータオブジェクトを生成する。例えば、階調など画像の表示に関する情報を示すGSPS(Grayscale Softcopy Presentation State)や、キー画像を示すKey Image Object、あるいは、レポートの規格を示すSR(Structured Report)などである。このようなDICOMデータオブジェクトは、医用画像表示装置から医用画像保管装置に送信され、医用画像保管装置において、DICOM画像データと関連づけて保管されることが有効である。しかしながら、上記の実施例において説明したように、DICOM画像データ自体は、一定期間経過後削除されてしまう。そうであるとすると、DICOM画像データとの関連づけを失ったDICOMデータオブジェクトが、医用画像保管装置に保管されることになってしまう。
【0093】
そこで、本発明に係る医用画像保管装置は、DICOM−UIDに対応づけてDICOMデータオブジェクトを保管することで、DICOM画像データとの関連づけを維持したままDICOMデータオブジェクトを保管することもできる。この点について、図16を用いて説明する。図16は、DICOMデータオブジェクトの保管について説明するための図である。
【0094】
図16に示すように、医用画像表示装置は、DICOM画像データを表示した際に、DICOM画像データからDICOM−UIDを抽出し、抽出したDICOM−UIDと生成したDICOMデータオブジェクトとを対応づけて、医用画像保管装置に送信する。この時、医用画像保管装置は、すでに、RawデータとDICOM−UIDと再構成条件とを対応づけて記憶部に保管している。このため、医用画像保管装置は、受信したDICOM−UIDを用いて記憶部を検索し、検索したDICOM−UIDに対応づけて、受信したDICOMデータオブジェクトを格納する。こうして、医用画像保管装置は、DICOM画像データとの関連づけを維持したままDICOMデータオブジェクトを保管することができる。
【0095】
なお、DICOMデータオブジェクトは、医用画像保管装置において生成される場合もある。このような場合、例えば、医用画像保管装置は、DICOM画像データからDICOMデータオブジェクトを生成すると、DICOM画像データを識別するDICOM−UDIを用いて記憶部を検索し、すでに記憶部に保管しているRawデータとDICOM−UIDと再構成条件とに対応づけてDICOMデータオブジェクトを格納する。こうして、DICOM画像データ自体が一定期間経過後削除されてしまったとしても、医用画像保管装置は、DICOM画像データとの関連づけを維持したままDICOMデータオブジェクトを保管することができる。
【0096】
[システム構成等]
また、上記の実施例においては、医用画像保管装置と医用画像診断装置と医用画像表示装置とが物理的に異なる装置によって構成される事例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。医用画像保管装置と医用画像診断装置とが物理的に同じ装置によって構成されたり、医用画像保管装置と医用画像表示装置とが物理的に同じ装置によって構成されるなど、物理的な構成は任意である。
【0097】
また、上記の実施例においては、医用画像保管装置の記憶部が、医用画像保管装置に内蔵されるハードディスクによって実現される事例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。医用画像保管装置の記憶部は、例えば、NAS(Network Attached Storage)によって構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明に係る医用画像処理システムおよび医用画像保管装置は、医用画像を保管することに有用であり、特に、DICOM画像データの再構成条件を事後的に特定することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施例1における医用画像保管装置の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る医用画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における医用画像診断装置の構成を示すブロック図である。
【図4】Rawデータ記憶部を説明するための図である。
【図5】DICOM画像データ記憶部を説明するための図である。
【図6】実施例1における医用画像保管装置の構成を示すブロック図である。
【図7】再構成条件記憶部を説明するための図である。
【図8】登録情報記憶部を説明するための図である。
【図9】実施例1における医用画像診断装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施例1における医用画像保管装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例2における医用画像保管装置の構成を示すブロック図である。
【図12】DICOM画像データの再構成を説明するための図である。
【図13】DICOM画像データの再構成を説明するための図である。
【図14】実施例3における医用画像診断装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図15】実施例3における医用画像保管装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図16】DICOMデータオブジェクトの保管について説明するための図である。
【図17】従来の医用画像保管装置を説明するための図である。
【図18】従来の技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0100】
1 ネットワーク
10 医用画像保管装置
11 Rawデータ記憶部
12 DICOM画像データ記憶部
13 再構成条件記憶部
14 登録情報記憶部
15 データ受信部
16 関連検査登録部
17 再構成条件抽出部
18 DICOM画像データ削除部
19 DICOM画像データ再構成部
20 医用画像診断装置
21 Rawデータ記憶部
22 DICOM画像データ記憶部
23 医用画像撮影部
24 DICOM画像データ生成部
25 データ送信部
30 医用画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を処理する医用画像処理装置と当該医用画像処理装置によって処理された医用画像を保管する医用画像保管装置とを含む医用画像処理システムであって、
前記医用画像処理装置は、
医用画像に再構成される前の再構成前データと当該再構成前データから所定の再構成条件を用いて医用画像に再構成された後の再構成画像データとを前記医用画像保管装置に送信するデータ送信手段を備え、
前記医用画像保管装置は、
前記データ送信手段によって送信された再構成前データと再構成画像データとを受信すると、受信した当該再構成画像データの再構成に用いられた再構成条件を取得する再構成条件取得手段と、
前記再構成前データと、前記再構成画像データを一意に識別する再構成画像識別情報と、前記再構成条件取得手段によって取得された再構成条件とを対応づけて記憶部に格納するデータ格納手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像処理システム。
【請求項2】
前記医用画像保管装置は、
前記データ格納手段によって再構成前データと再構成画像識別情報と再構成条件とが記憶部に格納された後に、当該再構成前データから当該再構成条件を用いて再構成された再構成画像データを記憶部から削除するデータ削除手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理システム。
【請求項3】
前記医用画像処理システムは、医用画像を表示部に表示する医用画像表示装置を含むものであって、
再構成画像識別情報によって一意に識別される再構成画像データと同じ再構成条件で再構成された再構成画像データを送信することを要求する送信要求を前記医用画像表示装置から受け付けると、当該送信要求にて指定された再構成画像識別情報を用いて前記医用画像保管装置の記憶部を検索し、当該再構成画像識別情報に対応づけて記憶されている再構成条件を取得する第一の再構成条件取得手段と、
前記第一の再構成条件取得手段によって取得された再構成条件と前記医用画像処理装置から新たに送信された再構成前データとを用いて再構成画像データを生成する第一の再構成画像生成手段と、
前記第一の再構成画像生成手段によって生成された再構成画像データを前記医用画像表示装置に送信する第一の再構成画像送信手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像処理システム。
【請求項4】
前記医用画像処理システムは、医用画像を表示部に表示する医用画像表示装置を含むものであって、
再構成画像識別情報によって一意に識別される再構成画像データを送信することを要求する送信要求を前記医用画像表示装置から受け付けると、当該送信要求にて指定された再構成画像識別情報を用いて前記医用画像保管装置の記憶部を検索し、当該再構成画像識別情報に対応づけて記憶されている再構成前データおよび再構成条件を取得する第二の再構成条件取得手段と、
前記第二の再構成条件取得手段によって取得された再構成前データおよび再構成条件を用いて再構成画像データを生成する第二の再構成画像生成手段と、
前記第二の再構成画像生成手段によって生成された再構成画像データを前記医用画像表示装置に送信する第二の再構成画像送信手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像処理システム。
【請求項5】
前記医用画像保管装置は、
前記再構成画像データに関連する関連情報を生成する第一の関連情報生成手段と、
前記データ格納手段によって記憶部に格納された再構成前データと再構成画像識別情報と再構成条件とに対応づけて、前記第一の関連情報生成手段によって生成された関連情報を記憶部に格納する第一の関連情報格納手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像処理システム。
【請求項6】
前記医用画像処理システムは、医用画像を表示部に表示する医用画像表示装置を含むものであって、
前記医用画像表示装置は、
前記再構成画像データに関連する関連情報を生成する第二の関連情報生成手段と、
前記第二の関連情報生成手段によって生成された関連情報を前記医用画像保管装置に送信する関連情報送信手段とを備え、
前記医用画像保管装置は、
前記関連情報送信手段によって送信された関連情報を受信すると、前記データ格納手段によって記憶部に格納された再構成前データと再構成画像識別情報と再構成条件とに対応づけて、前記関連情報送信手段によって送信された関連情報を記憶部に格納する第二の関連情報格納手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像処理システム。
【請求項7】
医用画像を保管する医用画像保管装置であって、
医用画像に再構成される前の再構成前データから所定の再構成条件を用いて再構成された後の再構成画像データについて、当該再構成条件を取得する再構成条件取得手段と、
前記再構成前データと、前記再構成画像データを一意に識別する再構成画像識別情報と、前記再構成条件取得手段によって取得された再構成条件とを対応づけて記憶部に格納するデータ格納手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−22428(P2010−22428A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184107(P2008−184107)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】