医用画像診断装置
【課題】血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】医用画像診断装置は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像を生成する。また透視マスク像を記憶するマスク像記憶部を有する。また、時系列毎にリアルタイム透視像を収集する。また、透視マスク像とリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成する。また、透視マスク像からコイル画像を生成する。また、各画像を合成した画像を生成する画像合成部を有する。
【解決手段】医用画像診断装置は、ボリュームデータからボリュームレンダリング画像を生成する。また透視マスク像を記憶するマスク像記憶部を有する。また、時系列毎にリアルタイム透視像を収集する。また、透視マスク像とリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成する。また、透視マスク像からコイル画像を生成する。また、各画像を合成した画像を生成する画像合成部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置などを使用した医用画像技術は、急速な進歩を遂げている。動脈瘤の治療法の一つであるインターベンション治療(血管内治療)などにおいて、医師は、例えば足の付け根等から挿入したカテーテルを、カテーテル内を通したガイドワイヤーを用いて患部まで導く。
【0003】
そして、カテーテルの先端からコイルのような閉塞物質を動脈瘤の中に留置する。このコイルの留置により血流を妨害し、その結果動脈瘤内で血液を凝固させて治療する。この場合、造影剤を注入してX線透視画像上で血管を視認することができる。
【0004】
一方、造影剤を注入し続けると患者の負荷が大きくなりすぎる問題がある。そこで、一度造影剤を流して撮影されたX線画像とリアルタイムのX線透視像と重ね合わせて表示した2次元ロードマップが用いられる。
【0005】
しかし、この2次元ロードマップは、寝台移動、撮影方向の変更、患者の身動などにより、作成し直す必要がある。煩雑な2次元ロードマップの作成し直しは、検査時間の増加と造影剤使用量の増加を招来する問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、ボリュームレンダリング画像を用いてロードマップ画像を作成し、リアルタイム透視像と重ねて表示する3次元ロードマップは、検査時間の短縮と造影剤量の低減に効果があると期待されている。
【0007】
しかし、リアルタイム透視像とボリュームレンダリング画像とを重ね合わせて表示する3次元ロードマップでは、ガイドワイヤーやカテーテル等のデバイスと骨などの人体組織構造とが重なって表示されるため、デバイスの像が非常に見え難いと言う課題が存在する。
【0008】
デバイスの像の視認性を向上させるために、リアルタイム透視像と透視マスク像とをサブトラクション処理することでデバイス情報を抽出し、そのデバイス情報をボリュームレンダリング画像と重ね合わせる技術が特許文献1で公開されている。しかし当該技術では撮影角度が変更されたときに、改めて収集し直す透視マスク像にもコイルが存在するため、既に留置されているコイルを表示できないと言う課題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−39521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたものであって、デバイス(カテーテル、ガイドワイヤー、コイル等)の視認性を向上させることが可能な医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態の医用画像診断装置は、ボリュームレンダリング画像生成部と、マスク像記憶部と、リアルタイム透視像生成部と、サブトラクション画像生成部と、コイル画像生成部と、画像合成部と、を有する。ボリュームレンダリング画像生成部は、ボリュームデータから被検体内部の血管の情報を表したボリュームレンダリング画像を生成する。マスク像記憶部は、透視マスク像を記憶する。リアルタイム透視像生成部は、デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を収集する。サブトラクション画像生成部は、前記マスク像記憶部により記憶された透視マスク像と、前記時系列毎に収集されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成する。コイル画像生成部は、前記透視マスク像からコイル画像を生成する。画像合成部は、前記ボリュームデータ、前記サブトラクション画像、前記コイル画像を合成した画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】第1実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る画像処理装置の機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図5】第1実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図6】第1実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図7】第2実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る画像処理装置の機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図9】第2実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図10】第3実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図11】第2実施形態の画像処理装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜11を参照して、第1実施形態〜第3実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
(動作の概要)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1およびX線撮影機構10の動作の概要を説明する。図1は、第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すX線撮影機構10は、一例として次のようにボリュームデータ(3次元血管画像データ)を得る。ボリュームデータはボリュームレンダリング画像Vを生成するためのデータである。
【0015】
第1実施形態に係るX線撮影装置は、被検体の周りでX線撮影機構10を高速に回転させながら2次元のマスク像の投影データを複数フレーム収集する。次に造影剤が注入された被検体の周りで、再びX線撮影機構を高速に回転させながら2次元のコントラスト画像の投影データを複数フレーム分収集する。
【0016】
ある角度で収集されたマスク像と、同じ角度で収集されたコントラスト画像とをサブトラクション処理する。サブトラクション処理によって、DSA(Digital Subtraction Angiography)データを得る。
【0017】
次にDSAデータの再構成を行い、血管像が強調されたボリュームデータを得る。再構成されたボリュームデータは、3次元画像メモリに格納される。
【0018】
次にX線撮影装置は、例えば次のようにしてボリュームレンダリング画像Vを生成して透視サブトラクション画像との合成画像を生成する。
【0019】
X線撮影装置は、ユーザによる操作に基づき透視撮影を開始する。X線撮影装置は透視撮影の開始後、透視マスク像データを収集する。また、X線撮影装置はリアルタイム透視像データを収集する。さらにX線撮影装置は、サブトラクション処理によって、透視サブトラクションデータを生成する。X線撮影装置は、これらの処理と併せて、(1)被検体内のガイドワイヤー、カテーテルなどを強調して表示させる。また、(2)3Dロードマップ生成指示があるかを判断する。さらに(3)撮影における条件変更があるかを判断する。以下、これら(1)〜(3)の処理の概要について説明する。
【0020】
(1)透視撮影の開始後、医師等は透視像を参照しながら、ガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを被検体内に挿入する。このとき画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す。その結果、透視サブトラクションデータにおいてガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを示す部分以外、すなわちノイズが抑制される。その結果、透視サブトラクションデータにおいて、デバイスを示す部分が、他の部分と比較して相対的に強調されて表示される。
【0021】
(2)X線撮影装置は、例えば被検体内へのデバイス挿入後に、3Dロードマップ生成指示があるか判断する。この指示は医師等の操作に基づく。当該生成指示を受けた場合、X線撮影装置は3次元画像メモリからボリュームデータを取得する。またX線撮影装置は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、例えば、観察している角度・視野・拡大率・位置などの情報によって示される状況に対応して実行される。
【0022】
さらにX線撮影装置は、上記(1)の透視サブトラクションデータと、(2)のボリュームレンダリング画像等に基づいて3Dロードマップ画像を生成し、表示する。
【0023】
(3)X線撮影装置は、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等によって撮影における条件変更があるかを判断する。また、透視マスク像Mの再生成の指示があるかを判断する。条件変更または指示があったと判断した場合、X線撮影装置は、ボリュームデータを取得してボリュームレンダリング画像Vを条件変更に合わせて生成し直す。X線撮影装置は、さらに条件変更に合わせて透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rを生成する。
【0024】
次に図2を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。
【0025】
《コイル抽出画像の生成》
図2に示すように、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、再取得した透視マスク像Mからコイルを抽出し、コイル抽出画像Cを生成する(S101)。
【0026】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、再取得した透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S102)。図2において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S103)。
【0027】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される(S104)。
【0028】
《マスク処理》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。この処理により、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。(S105)。
【0029】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、コイル抽出画像C、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS106)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0030】
このように、第1実施形態に係るX線撮影装置は、リアルタイム透視像Rとボリュームレンダリング画像V、デバイス強調画像Dなどを合成して表示する。これにより、血管と、被検体の体内の構造の位置関係をユーザが把握できる。したがって、被検体と撮影機構の相対的位置が変位してもユーザが把握することが可能である。さらに、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、コイル抽出画像Cが生成される。したがって、改めて3Dロードマップ画像Sを生成するときに、画像内のコイルが消失してしまうという事態を回避できる。
【0031】
(X線撮影装置の全体構成)
次に、図1を参照して、第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を説明する。図1に示すように、第1実施形態に係るX線撮影装置は、X線撮影機構10と、画像処理装置1と、ディスプレイ39とを含んで構成される。またX線撮影装置は、図示しないシステム制御部を備える。
【0032】
図示しないシステム制御部は、画像処理装置1、X線撮影機構10等のX線撮影装置全体を制御する。
【0033】
入力デバイス28は、例えばキーボード、マウスと、さらにロードマップスイッチを有する。ロードマップスイッチは現在の透視画像に対して血管のロードマップ(3Dロードマップ画像S)を合成する旨の指示を入力するためのものである。
【0034】
ディスプレイ39は、画像処理装置1から各画像データ受け、透視像、デバイス強調画像D、3Dロードマップ画像S等を表示する。
【0035】
(X線撮影機構の構成)
次に、図1を参照して、第1実施形態に係るX線撮影機構10の構成を説明する。X線撮影機構10は、図示しないシステム制御部と、機構制御部と、寝台と、X線高電圧発生装置とを有する。図示しないX線高電圧発生装置は、X線制御部と高電圧発生部とを有する。また、X線撮影機構10は、図示しないX線源装置と、アーム11と、X線検出器14とを有する。X線源装置は、X線管球12と図示しないX線絞り装置とを有する。
【0036】
アーム11は、X線源装置(X線管球12)およびX線検出器14を支持する。例えばC型のアーム11は、土台に設けられたモータでプロペラのように高速回転する。寝台は、被検体が横たわる。寝台は機構制御部に制御されて被検体が載置されたまま被検体を移動させることが可能である。
【0037】
X線管球12は、X線高電圧発生装置によって供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線絞り装置は、X線管球12によって発生されたX線の一部を遮蔽することで照射野を制御する。
【0038】
X線検出器14は、被検体を透過したX線を電荷に変換して検出する。X線検出器14として、平面型X線検出器(Flat Panel Detector)やイメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせから構成されるものを使用することができる。X線検出器14によって検出された電荷は、2次元の投影データとして、画像処理装置1に送られる。後述のように、2次元の投影データは、A/D(Analog/Digital)変換器26によってデジタル信号に変換され、2次元画像メモリ30に格納される。
【0039】
図示しないシステム制御部は、ボリュームデータ収集の指示を受ける。X線撮影機構10は当該指示に基づいて、造影剤注入前の投影データ(マスク像)を収集する。すなわち、システム制御部は、機構制御部を介して、血管に造影剤が被検体に注入される前に、例えば秒間50度でアーム11をプロペラのように高速回転させる。
【0040】
これに合わせてX線制御部は、高電圧発生部を制御することで、X線管球12によって発生されるX線を制御する。高電圧発生部は、X線管球12に供給する高電圧を生成する。さらにシステム制御部は、機構制御部を介して、X線絞り装置によりX線の照射野を制御する。これにより、X線撮影機構10は、例えば2度間隔で撮影を行い、X線検出器14により例えば100フレームの2次元の投影データを収集する。
【0041】
次にX線撮影機構10の機構制御部は、アーム11を駆動してマスク撮影開始位置に戻す。その後、システム制御部は、機構制御部およびX線制御部を介して、マスク像の投影データの収集と同じように、造影剤注入後のコントラスト画像の投影データを収集する。造影剤が造影剤注入器(Injector)によって被検体に注入され、一定時間経過すると、X線撮影機構10は、例えば2度間隔で撮影を行い、X線検出器14により例えば100フレームの2次元の投影データを収集する。
【0042】
収集されたマスク像およびコントラスト画像の2次元投影データは、後述の画像処理装置1の造影剤注入前に収集された2次元投影データと同様、画像処理装置1における後述のA/D変換器26でデジタル信号に変換され、2次元画像メモリ30に格納される。
【0043】
(画像処理装置の構成)
次に、図1および図3を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る画像処理装置1の機能的な構成を示す概略ブロック図である。画像処理装置1は、A/D変換器26を介してX線撮影機構10のX線検出器14に接続される。
【0044】
図3に示すように画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、コイル画像生成部48、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。
【0045】
《2次元画像メモリ、フィルタリング部、アフィン変換部》
2次元画像メモリ30は、X線撮影機構10で発生され、A/D変換器26によりデジタル信号に変換された2次元の投影データ(X線画像データ)を格納する。2次元画像メモリ30に記憶される投影データには、フィルタリング部31で高周波強調等のフィルタリングを受けた2次元のX線画像データが含まれる。また記憶される投影データとしてアフィン変換部32で画像拡大・移動等のアフィン変換を受けた投影データ等が含まれる。
【0046】
《サブトラクション処理部》
サブトラクション処理部34は、2次元画像メモリ30に格納されたコントラスト画像の投影データから、マスク像の投影データをサブトラクション処理する。この処理を説明するにあたり、1〜Nフレーム目のマスク像と、1〜Nフレーム目のコントラスト画像とが、それぞれ順に同じ角度で撮影されているものとする。
【0047】
例えば、サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。サブトラクション処理部34はそのうえでサブトラクション処理を施す。その結果、サブトラクション処理部34は、あるマスク像から、そのマスク像と投影方向が同じであるコントラスト画像をサブトラクション処理することになる。このように、サブトラクション処理部34は、同じ角度同士のマスク画像からコントラスト画像をサブトラクション処理する。なお、このサブトラクション処理は双方自然対数に変換した後に行われる。以下、サブトラクション処理された投影データを「DSA(Digital Subtraction Angiography)データ」と記載する。
【0048】
サブトラクション処理部34は、Nフレーム(例えば100フレーム)分のDSAデータを再構成部47に送る。
【0049】
《再構成部》
再構成部47は、サブトラクション処理部34からNフレーム分のDSAデータを受ける。再構成部47は、この複数の2次元のDSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成法としては、Feldkamp等によって提案されたフィルタードバックプロジェクション法等がある。フィルタードバックプロジェクションの場合を示すと、例えば100フレームのDSAデータに対して、適当なコンボリューションフィルターをかける。コンボリューションフィルターとしては、例えばShepp&LoganやRamachandranのようなものがある。
【0050】
再構成部47は次に逆投影演算を行うことによりボリュームデータ(再構成データ)を得る。ここで、再構成領域は、X線管球の全方向へのX線束に内接する円筒として定義される。この円筒内は、例えば、X線検出器14の1検出素子の幅に投影される再構成領域中心部での長さdで3次元的に離散化され、離散点のデータの再構成像を得る必要がある。但し、ここでは離散間隔の一例を示したが、装置によって定義された離散間隔を用いればよい。
【0051】
再構成部47は、ボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納する。なお、上記ではサブトラクション処理されたDSAデータを再構成することによりボリュームデータを生成した。しかし、この構成に限られず、次のような構成をとることも可能である。例えば、画像処理装置1は、再構成部47によりマスク像の投影データから再構成したボリュームデータを生成する。また、画像処理装置1は再構成部47によりコントラスト画像から再構成したボリュームデータを生成する。サブトラクション処理部34は、マスク像のボリュームデータと、コントラスト画像のボリュームデータとをサブトラクション処理してもよい。
【0052】
《3次元画像メモリ》
3次元画像メモリ29は、再構成部47から受けたボリュームデータを格納する。
【0053】
また、この再構成部47から受けたボリュームデータの代わりに外部の装置から取得したボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納してもよい。外部の装置としては、例えば、X線CT装置、MRI装置などの医用画像診断装置やPACS等がある。X線CT装置からはCTA(Computed Tomography Angiography)を取得する。MRI装置からはMRA(Magnetic Resonance Angiography)、非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)等を取得する。また、外部の装置から取得したボリュームデータを取得する場合は、3次元画像取得部36が、例えばネットワークを経由して、外部からのボリュームデータを取得することができる。
【0054】
また、外部からのボリュームデータに血管情報以外の人体情報が含まれる場合には、別途、血管情報抽出部43によって閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法を用いて血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成する。もしくは、閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法の組み合わせなどにより血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0055】
《透視マスク像生成部》
透視マスク像生成部42は、制御部27から透視マスク像Mの生成の指示を受ける。例えば操作者が入力デバイス28を介して透視撮影の開始を指示する操作を行ったことに応じてこの指示がなされる。すなわち、X線撮影装置は透視撮影の開始の指示を受けて、X線撮影機構10により被検体を撮影する。その撮影により投影データが数フレーム分収集される。投影データはデジタル信号に変換され、画像処理装置1に送られる。画像処理装置1の制御部27は、透視マスク像生成部42に、透視マスク像Mの生成の指示を行う。
【0056】
透視マスク像生成部42は、透視撮影により収集された数フレーム分の当該投影データを取得し、例えば1秒間加算平均された透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0057】
なお、図示しない動画像生成部は、透視マスク像Mの生成に対応して、リアルタイム透視像Rを生成する。すなわち、X線撮影装置は、X線撮影機構10により被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により投影データが順次収集される。順次収集された投影データは画像処理装置1に送られる。画像処理装置1は、投影データを受けてデジタル信号に変換する。また、画像処理装置1の制御部27は、動画像生成部に、リアルタイム透視像Rの生成の指示を行う。動画像生成部は、透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。リアルタイム透視像収集フェーズに移行すると、X線撮影装置からの指示により、カテーテル、ガイドワイヤーなどのデバイス操作が開始される。
【0058】
《サブトラクション画像生成部》
透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rが2次元画像メモリ30に格納されると、制御部27は、サブトラクション画像生成部41に透視サブトラクションデータを生成させる。すなわち、制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出す。制御部27はこれらのデータをサブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。なお、被検体内へガイドワイヤーやカテーテルなどのデバイスが挿入されており、かつ透視マスク像Mの収集時からデバイスが移動していれば、この透視サブトラクション画像には、デバイスを示すデータが含まれる。
【0059】
また透視サブトラクション画像には、カテーテルやガイドワイヤー等の被検体内へ挿入されたデバイスを強調する処理が施されることが好ましい。透視サブトラクション画像においてデバイスを強調する処理を行うことによりデバイス強調画像D(図2参照)が生成される。例えば、デバイスを強調する処理としてノイズ低減処理が施される。かかるノイズ低減処理として、中央値フィルタ処理を採用することができる。
【0060】
また、さらなるデバイスの強調処理として、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dに、線状成分の検出処理が施すことが可能である。線状成分の検出処理を施すことにより、画像における線状成分を劣化させずにノイズ成分が低減される。その結果、画像において相対的にガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスの部分を強調することができる。
【0061】
図2において、リアルタイム透視像と透視マスク画像の間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、図2においては、透視サブトラクション画像に対し、ノイズ抑制処理とワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する工程を示している。ガイドワイヤー強調処理としては、例えば透視サブトラクション画像における高周波成分を強調する処理などがある。
【0062】
なお、これらの透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像(ボリュームレンダリング画像V等)と合成されてから、ディスプレイ39に送られる場合がある。また、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像と合成されずにディスプレイ39に送られることもある。
【0063】
《ボリュームレンダリング画像生成部》
ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出し、ボリュームレンダリング画像Vを生成する。すなわち、操作者が3Dロードマップスイッチを押下すると、画像処理装置1の制御部27は、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vの生成を指示する。
【0064】
ボリュームレンダリング画像生成部40は、制御部27からボリュームレンダリング画像Vの生成の指示を受けると、ボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像(3次元血管表示画像)を生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置(医用画像診断装置)の状況を示す情報に応じて行われる。つまり、ボリュームレンダリング画像生成部40は、X線撮影装置の状況、例えば、観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように上記処理を行う。
【0065】
《コイル画像生成部》
コイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。このコイル抽出処理により、透視マスク像Mにおいて、被検体内に載置されたコイルを示す部分を抽出してコイル抽出画像Cを生成する。かかるコイル抽出処理として、透視マスク像Mに対するローパスフィルター処理を採用できる。コイル画像生成部48のローパスフィルター処理により、透視マスク像Mから低周波成分を除去した画像を得る。コイル画像生成部48は、この画像をサブトラクション処理部34に送り、サブトラクション処理部34に、この画像と透視マスク画像とのサブトラクション処理を行わせる。
【0066】
コイル画像生成部48は、サブトラクション処理部34にサブトラクション処理させた画像データまたはデバイス強調処理等が施された画像データを受ける。また、コイル画像生成部48はこの画像データに対し、閾値処理を施す。すなわち、コイル画像生成部48は、この画像データにおける画素値に基づいて、画像中におけるコイルを示す部分とその他の部分に分ける処理を行う。
【0067】
コイルのX線吸収率は、他の部位に比較して明らかに高いため、他の部位の画素値とは相異する。したがって、コイル画像生成部48は、ローパスフィルター処理を施した画像から元の透視マスク像Mをサブトラクション処理することにより、背景を圧縮することが可能となる。そして、コイル画像生成部48がサブトラクション処理後の画像データに対し閾値処理を施すことによって、画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出することが可能となる。このようにしてコイル画像生成部48は、コイル抽出画像Cを生成する。
【0068】
《画像合成部》
画像合成部35は、図2に示すように透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、ボリュームレンダリング画像Vと、リアルタイム透視像Rと、コイル抽出画像Cとの任意の組み合わせを累積的に合成する。なお図2に表示される記号「+」は、合成処理を意味する。
【0069】
さらに画像合成部35は、各画像の合成比率を図示しない合成比率変更部により変更することができる。すなわち、入力デバイス28により各画像の合成比率を変更する操作がなされると、合成比率変更部は各画像(レイヤー)の透明度を操作に応じて変更する。
例えばガイドワイヤー等の動きを把握するため、透視撮影開始時には、3Dロードマップ画像Sにおいて抽出されたデバイス強調画像D(ガイドワイヤー画像等)のレイヤーの透明度を下げ不透明に近くする。その条件において画像合成部35が各画像を合成すると、ガイドワイヤー等のデバイスの部分が画像において強調されデバイスの視認性が高まる。同じようにして、合成比率変更部は、3Dロードマップ画像Sにおける他の部分(リアルタイム透視像R等)のレイヤーを透明に近くして、相対的にデバイスの部分を強調することができる。
【0070】
言い換えれば、画像合成部35は、各画像の合成比率の初期値(デフォルト値)に基づいて各画像を合成表示し、合成比率変更部により合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することができる。例えば、ボリュームデータ収集時から透視開始時間の被検体の動きを把握するため、透視開始時(デフォルト値)にはリアルタイム透視像のレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像画像のレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0071】
これらの処理によって、画像合成部35は、3Dロードマップ画像Sを生成する。また、コイル抽出画像Cを、背景やデバイス強調画像D、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vと異なる色で表示するように合成することができる。画像合成部35は、LUT37を用いて、この合成画像のロードマップ部分に特異な色を割り当てることができ、又、階調変換を行うことができる。
【0072】
なお、操作者が、透視撮影開始の指示、デバイスの挿入、ロードマップスイッチの押下、コイルの載置の順で、インターベンション治療等を行う場合は、画像合成部35は次のように動作する。
【0073】
画像処理装置1が入力デバイス28を介して透視撮影開始の指示を受けると、画像合成部35は、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0074】
操作者が、被検体にガイドワイヤーおよびカテーテルを挿入し、入力デバイス28を介し、これらデバイスを強調する旨の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0075】
操作者が、ロードマップスイッチを押下すると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0076】
操作者が、被検体の動脈瘤等にコイルを載置し、入力デバイス28を介して、再撮影の指示およびコイル抽出の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vと、コイル抽出画像Cを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0077】
(画像処理装置の動作)
次に図2を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図4から図6のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
《ボリュームデータの生成》
図4を参照して本実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する工程について説明する。図4は、第1実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0079】
(S111)
まず操作者による入力デバイス28の操作に応じ、X線撮影機構10は、ボリュームデータ収集の指示を受ける。X線撮影機構10のシステム制御部は当該指示に基づき機構制御部を介して、造影剤注入前に、例えば秒間50度でアーム11をプロペラのように高速回転させ、被検体をX線撮影する。これによってX線撮影装置は、造影剤注入前のマスク像の投影データを収集する。この投影データは、画像処理装置1に送信される。画像処理装置1は、A/D変換器26によってこの投影データをデジタル信号に変換し、2次元画像メモリ30に格納する。
【0080】
(S112)
マスク像の投影データが収集されると、被検体に造影剤が注入される。造影剤注入後に、X線撮影機構10のシステム制御部は機構制御部を介して、マスク像と同じ様に被検体をX線撮影する。これによってX線撮影装置は、コントラスト画像の投影データを収集する。この投影データは、画像処理装置1に送信される。画像処理装置1は、A/D変換器26によってこの投影データをデジタル信号に変換し、2次元画像メモリ30に格納する。
【0081】
(S113)
サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。その上でサブトラクション処理部34はこれら同じ角度の画像同士をサブトラクション処理する。この処理により、DSAデータが生成される。サブトラクション処理部34はこの処理を所定数のフレーム分繰り返す。サブトラクション処理部34は所定数のフレーム分の処理が完了したら、DSAデータを再構成部47に送信する。
【0082】
(S114)
再構成部47はDSAデータを受ける。再構成部47は、DSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成部47はこの処理により再構成されたボリュームデータを生成する。ボリュームデータは、3次元画像メモリ29に格納される。
【0083】
《透視撮影》
X線撮影装置においてボリュームデータの収集が終わると次は治療フェーズに移行される。まず被検体に挿入されるデバイスを示すデバイス強調画像Dの生成工程について図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0084】
(S201)
ガイドワイヤー、カテーテル等を被検体内の動脈瘤近辺まで挿入するため、医師等は入力デバイス28における透視撮影スイッチ(不図示)を押下する。X線撮影機構10は、透視撮影スイッチの押下を受付けたか判断する。
【0085】
(S202)
X線撮影機構10は、透視撮影スイッチの押下を受付けたと判断した場合(S201;Yes)、被検体を数フレーム撮影する。画像処理装置1はX線検出器14が検出した数フレーム分の投影データを受け、デジタル信号に変換した後、透視マスク像生成部42に送る。透視マスク像生成部42は、マスク像の投影データを加算平均して透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0086】
(S203)
X線撮影機構10は、被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により順次収集された投影データは画像処理装置1でデジタル信号に変換され、図示しない動画像生成部に送られる。動画像生成部は透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0087】
(S204)
制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出し、サブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。
【0088】
(S205)
またサブトラクション画像生成部41は必要に応じて、透視サブトラクション画像に対し、デバイスを強調する処理を施す。例えば、デバイスを強調する処理として中央値フィルタ処理などのノイズ低減処理が施される。さらにサブトラクション画像生成部41は、線状成分の検出処理などのノイズ低減処理を施す。サブトラクション画像生成部41が透視サブトラクション画像においてノイズ抑制処理を行うことによりノイズ抑制画像(不図示)が生成される。
【0089】
(S206)
サブトラクション画像生成部41は、ノイズ抑制画像において高周波成分を強調する処理などのワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する。なお、デバイス強調画像Dは、3Dロードマップ画像Sの生成の指示がなされるまでは、ボリュームレンダリング画像Vと合成されずに、ディスプレイ39に送られる場合がある。
【0090】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0091】
(S207)
透視撮影スイッチを押下し透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0092】
(S208)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S207;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0093】
(S209)
画像処理装置1は、ステップ206の後、X線撮影装置(X線撮影機構10)における撮影条件の変更があったか判断する。撮影条件の変更とは、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等である。これらの情報は、X線撮影機構10からの情報に基づくか、または透視像等に基づき制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図6において記載の便宜上ステップ207やステップ208の後に記載されているが、判断のタイミングは図6のパターンに限られない。また、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0094】
(S210)
画像処理装置1は、撮影条件の変更があったと判断した場合(S209;Yes)、X線撮影機構10に、被検体を数フレーム撮影させる。画像処理装置1はX線検出器14が検出した数フレーム分の投影データを受け、デジタル信号に変換した後、透視マスク像生成部42に送る。透視マスク像生成部42は、マスク像の投影データを加算平均して透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0095】
(S211)
コイル画像生成部48は、2次元画像メモリ30から透視マスク像Mを読み出す。コイル画像生成部48は読み出した透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。例えばコイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対してローパスフィルター処理により低周波成分を除去する。また、この画像と透視マスク像Mをサブトラクション処理する。さらにコイル画像生成部48は閾値処理を施すことによって、コイルの画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出する。これによりコイル画像生成部48はコイル抽出画像Cを生成する。
【0096】
(S212)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S207;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0097】
撮影条件の変更があるまで(S209;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0098】
コイル抽出画像Cが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vおよびコイル抽出画像Cを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0099】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0100】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像やデバイス強調画像等を表示する。
【0101】
以上のように、第1実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【0102】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。
【0103】
(動作の概要)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1およびX線撮影機構10の動作の概要を説明する。図1に示すX線撮影機構10は、一例として次のようにボリュームデータ(3次元血管画像データ)を得る。ボリュームデータはボリュームレンダリング画像Vを生成するためのデータである。
【0104】
第2実施形態に係るX線撮影装置は、被検体の周りでX線撮影機構10を高速に回転させながら2次元のマスク像の投影データを複数フレーム収集する。次に造影剤が注入された被検体の周りで、再びX線撮影機構を高速に回転させながら2次元のコントラスト画像の投影データを複数フレーム収集する。
【0105】
ある角度で収集されたマスク像と、同じ角度で収集されたコントラスト画像とをサブトラクション処理する。サブトラクション処理によって、DSA(Digital Subtraction Angiography)データを得る。
【0106】
次にDSAデータの再構成を行い、血管像が強調されたボリュームデータを得る。再構成されたボリュームデータは、3次元画像メモリに格納される。
【0107】
次にX線撮影装置は、例えば次のようにしてボリュームレンダリング画像Vを生成して透視サブトラクション画像との合成画像を生成する。
【0108】
X線撮影装置は、ユーザによる操作に基づき透視撮影を開始する。X線撮影装置は透視撮影の開始後、透視マスク像データを収集する。また、X線撮影装置はリアルタイム透視像データを収集する。さらにX線撮影装置は、サブトラクション処理によって、透視サブトラクションデータを生成する。X線撮影装置は、これらの処理と併せて、(1)被検体内のガイドワイヤー、カテーテルなどを強調して表示させる。また、(2)3Dロードマップ生成指示があるかを判断する。さらに(3)撮影における条件変更があるかを判断する。(4)リアルタイム透視像Rの合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。以下、これら(1)〜(4)の処理の概要について説明する。
【0109】
(1)透視撮影の開始後、医師等は透視像を参照しながら、ガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを被検体内に挿入する。このとき画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す。その結果、透視像においてガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを示す部分以外、すなわちノイズが抑制される。その結果、透視サブトラクションデータにおいて、デバイスを示す部分が、他の部分と比較して相対的に強調されて表示される。
【0110】
(2)X線撮影装置は、例えば被検体内へのデバイス挿入後に、3Dロードマップ生成指示があるか判断する。この指示は医師等の操作に基づく。当該生成指示を受けた場合、X線撮影装置は3次元画像メモリからボリュームデータを取得する。またX線撮影装置は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、例えば、観察している角度・視野・拡大率・位置などの情報によって示される状況に対応して実行される。
【0111】
さらにX線撮影装置は、上記(1)の透視サブトラクションデータと、(2)のボリュームレンダリング画像等に基づいて3Dロードマップ画像を生成し、表示する。
【0112】
(3)X線撮影装置は、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等によって撮影における条件変更があるかを判断する。また、透視マスク像Mの再生成の指示があるかを判断する。条件変更または指示があったと判断した場合、X線撮影装置は、ボリュームデータを取得してボリュームレンダリング画像Vを条件変更に合わせて生成し直す。X線撮影装置は、さらに条件変更に合わせて透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rを生成する。
【0113】
(4)X線撮影装置は、リアルタイム透視像の合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。これにより3次元の血管像と、デバイス強調画像Dが強調され、ガイドワイヤー等が視認しやすくなる。
【0114】
次に図7を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。図7は、第2実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像Sが生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【0115】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S301)。図7において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S302)。
【0116】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される(S303)。
【0117】
《マスク処理・合成比率の調整》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。この処理により、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。(S304)。画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rに対して視認性係数kを掛けて、リアルタイム透視像Rの合成比率を経時的減少させ、合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させる(S305)。
【0118】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS306)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0119】
このように、第2実施形態に係るX線撮影装置は、リアルタイム透視像Rとボリュームレンダリング画像V、デバイス強調画像Dなどを合成して表示する。これにより、血管と、被検体の体内の構造の位置関係をユーザが把握できる。したがって、被検体と撮影機構の相対的位置が変位してもユーザが把握することが可能である。さらに、画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rの合成比率を経時的に減少させる。それにより合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させることが可能である。
【0120】
(X線撮影装置の全体構成)
次に、図1を参照して、第2実施形態に係るX線撮影装置の構成を説明する。図1に示すように、第2実施形態に係るX線撮影装置は、X線撮影機構10と、画像処理装置1と、ディスプレイ39とを含んで構成される。またX線撮影装置は、図示しないシステム制御部を備える。
【0121】
図示しないシステム制御部は、画像処理装置1、X線撮影機構10等のX線撮影装置全体を制御する。
【0122】
入力デバイス28は、例えばキーボード、マウスと、さらにロードマップスイッチを有する。ロードマップスイッチは現在の透視画像に対して血管のロードマップ(3Dロードマップ画像S)を合成する旨の指示を入力するためのものである。
【0123】
ディスプレイ39は、画像処理装置1から各画像データ受け、透視像、デバイス強調画像D、3Dロードマップ画像S等を表示する。
【0124】
なお、X線撮影装置の具体的な内容については、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0125】
(画像処理装置の構成)
次に、図1および図8を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を説明する。図8は、第2実施形態に係る画像処理装置1の機能的な構成を示す概略ブロック図である。画像処理装置1は、A/D変換器26を介してX線撮影機構10のX線検出器14に接続される。
【0126】
図8に示すように画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。なお、第2実施形態においては、コイル画像生成部48を含まない。
【0127】
《2次元画像メモリ、フィルタリング部、アフィン変換部》
2次元画像メモリ30は、X線撮影機構10で発生され、A/D変換器26によりデジタル信号に変換された2次元の投影データ(X線画像データ)を格納する。2次元画像メモリ30に記憶される投影データには、フィルタリング部31で高周波強調等のフィルタリングを受けた2次元のX線画像データが含まれる。また記憶される投影データとしてアフィン変換部32で画像拡大・移動等のアフィン変換を受けた投影データ等が含まれる。
【0128】
《サブトラクション処理部》
サブトラクション処理部34は、2次元画像メモリ30に格納されたコントラスト画像の投影データから、マスク像の投影データをサブトラクション処理する。この処理を説明するにあたり、1〜Nフレーム目のマスク像と、1〜Nフレーム目のコントラスト画像とが、それぞれ順に同じ角度で撮影されているものとする。
【0129】
例えば、サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。サブトラクション処理部34はそのうえでサブトラクション処理を施す。その結果、サブトラクション処理部34は、あるマスク像から、そのマスク像と投影方向が同じであるコントラスト画像をサブトラクション処理することになる。このように、サブトラクション処理部34は、同じ角度同士のマスク画像からコントラスト画像をサブトラクション処理する。なお、このサブトラクション処理は双方自然対数に変換した後に行われる。以下、サブトラクション処理された投影データを「DSA(Digital Subtraction Angiography)データ」と記載することがある。
【0130】
サブトラクション処理部34は、Nフレーム(例えば100フレーム)分のDSAデータを再構成部47に送る。
【0131】
《再構成部》
再構成部47は、サブトラクション処理部34からNフレーム分のDSAデータを受ける。再構成部47は、この複数の2次元のDSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成法としては、Feldkamp等によって提案されたフィルタードバックプロジェクション法等がある。フィルタードバックプロジェクションの場合を示すと、例えば100フレームのDSAデータに対して、適当なコンボリューションフィルターをかける。コンボリューションフィルターとしては、例えばShepp&LoganやRamachandranのようなものがある。
【0132】
再構成部47は次に逆投影演算を行うことによりボリュームデータ(再構成データ)を得る。ここで、再構成領域は、X線管球の全方向へのX線束に内接する円筒として定義される。この円筒内は、例えば、X線検出器14の1検出素子の幅に投影される再構成領域中心部での長さdで3次元的に離散化され、離散点のデータの再構成像を得る必要がある。但し、ここでは離散間隔の一例を示したが、装置によって定義された離散間隔を用いればよい。
【0133】
再構成部47は、ボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納する。なお、上記ではサブトラクション処理されたDSAデータを再構成することによりボリュームデータを生成した。しかし、この構成に限られず、次のような構成をとることも可能である。例えば、画像処理装置1は、再構成部47によりマスク像の投影データから再構成したボリュームデータを生成する。また、画像処理装置1は再構成部47によりコントラスト画像から再構成したボリュームデータを生成する。サブトラクション処理部34は、マスク像のボリュームデータと、コントラスト画像のボリュームデータとをサブトラクション処理してもよい。
【0134】
《3次元画像メモリ》
3次元画像メモリ29は、再構成部47から受けたボリュームデータを格納する。
【0135】
また、この再構成部47から受けたボリュームデータの代わりに外部の装置から取得したボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納してもよい。外部の装置としては、例えば、X線CT装置、MRI装置などの医用画像診断装置やPACS等がある。X線CT装置からはCTA(Computed Tomography Angiography)を取得する。MRI装置からはMRA(Magnetic Resonance Angiography)、非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)等を取得する。また、外部の装置から取得したボリュームデータを取得する場合は、3次元画像取得部36が、例えばネットワークを経由して、外部からのボリュームデータを取得することができる。
【0136】
また、外部からのボリュームデータに血管情報以外の人体情報が含まれる場合には、別途、血管情報抽出部43によって閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法を用いて血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成する。もしくは、閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法の組み合わせなどにより血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0137】
《透視マスク像生成部》
透視マスク像生成部42は、制御部27から透視マスク像Mの生成の指示を受ける。例えば操作者が入力デバイス28を介して透視撮影の開始を指示する操作を行ったことに応じてこの指示がなされる。すなわち、X線撮影装置は透視撮影の開始の指示を受けて、X線撮影機構10により被検体を撮影する。その撮影により投影データが数フレーム分収集される。投影データはデジタル信号に変換され、画像処理装置1に送られる。画像処理装置1の制御部27は、透視マスク像生成部42に、透視マスク像Mの生成の指示を行う。
【0138】
透視マスク像生成部42は、透視撮影により収集された数フレーム分の当該投影データを取得し、例えば1秒間加算平均された透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0139】
なお、図示しない動画像生成部は、透視マスク像Mの生成に対応して、リアルタイム透視像Rを生成する。すなわち、X線撮影装置は、X線撮影機構10により被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により投影データが順次収集される。順次収集された投影データは画像処理装置1に送られる。画像処理装置1は、投影データを受けてデジタル信号に変換する。また、画像処理装置1の制御部27は、動画像生成部に、リアルタイム透視像Rの生成の指示を行う。動画像生成部は、透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0140】
《サブトラクション画像生成部》
透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rが2次元画像メモリ30に格納されると、制御部27は、サブトラクション画像生成部41にDSAデータを生成させる。すなわち、制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出す。制御部27はこれらのデータをサブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。なお、被検体内へガイドワイヤーやカテーテルなどのデバイスが挿入されていれば、この透視サブトラクション画像には、デバイスを示すデータが含まれる。
【0141】
また透視サブトラクション画像には、カテーテルやガイドワイヤー等の被検体内へ挿入されたデバイスを強調する処理が施されることが好ましい。透視サブトラクション画像においてデバイスを強調する処理を行うことによりデバイス強調画像D(図2参照)が生成される。例えば、デバイスを強調する処理としてノイズ低減処理が施される。かかるノイズ低減処理として、中央値フィルタ処理を採用することができる。
【0142】
また、さらなるデバイスの強調処理として、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dに、線状成分の検出処理が施すことが可能である。線状成分の検出処理を施すことにより、画像における線状成分を劣化させずにノイズ成分が低減される。その結果、画像において相対的にガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスの部分を強調することができる。
【0143】
図7において、リアルタイム透視像と透視マスク画像の間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、図7においては、透視サブトラクション画像に対し、ノイズ抑制処理とワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する工程を示している。ガイドワイヤー強調処理としては、例えば透視サブトラクション画像における高周波成分を強調する処理などがある。
【0144】
なお、これらの透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像(ボリュームレンダリング画像V等)と合成されてから、ディスプレイ39に送られる場合がある。また、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像と合成されずにディスプレイ39に送られることもある。
【0145】
《ボリュームレンダリング画像生成部》
ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出し、ボリュームレンダリング画像Vを生成する。すなわち、操作者が3Dロードマップスイッチを押下すると、画像処理装置1の制御部27は、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vの生成を指示する。
【0146】
ボリュームレンダリング画像生成部40は、制御部27からボリュームレンダリング画像Vの生成の指示を受けると、ボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像(3次元血管表示画像)を生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置(医用画像診断装置)の状況を示す情報に応じて行われる。つまり、ボリュームレンダリング画像生成部40は、X線撮影装置の状況、例えば、観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように上記処理を行う。
【0147】
《画像合成部》
画像合成部35は、図2に示すように透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、ボリュームレンダリング画像Vと、リアルタイム透視像Rとの任意の組み合わせを累積的に合成する。なお図2に表示される記号「+」は、合成処理を意味する。また、図2において、記号「k」は透視画像の視認性を意味する。kを一定レベルから時間経過とともに小さくし、一定時間経過後に、0または最初の値より小さい値にすることもできる。時間及び視認性については、適宜設定され得る。
【0148】
さらに画像合成部35は、各画像の合成比率を図示しない合成比率変更部により変更することができる。すなわち、入力デバイス28により各画像の合成比率を変更する操作がなされると、合成比率変更部は各画像(レイヤー)の透明度を操作に応じて変更する。
例えばガイドワイヤー等の動きを把握するため、透視撮影開始時には、3Dロードマップ画像Sにおいて抽出されたデバイス強調画像D(ガイドワイヤー画像等)のレイヤーの透明度を下げ不透明に近くする。その条件において画像合成部35が各画像を合成すると、ガイドワイヤー等のデバイスの部分が画像において強調されデバイスの視認性が高まる。同じようにして、合成比率変更部は、3Dロードマップ画像Sにおける他の部分(リアルタイム透視像R等)のレイヤーを透明に近くして、相対的にデバイスの部分を強調することができる。
【0149】
言い換えれば、画像合成部35は、各画像の合成比率の初期値(デフォルト値)に基づいて各画像を合成表示し、合成比率変更部により合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することができる。例えば、ボリュームデータ収集時から透視開始時間の被検体の動きを把握するため、透視開始時(デフォルト値)にはリアルタイム透視像のレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像画像のレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0150】
また、合成比率変更部は、各画像のレイヤーの透明度を時系列に沿って変化させることもできる。例えば合成比率変更部が、段階的にリアルタイム透視像R像の透明度を高めていくと、3Dロードマップ画像Sにおけるデバイスの視認性が向上される。デバイスが挿入されていくにつれて、3Dロードマップ画像Sにおけるデバイスの周囲の部分(背景部分)の合成比率を減少させていき、3次元の血管の画像と、デバイスを強調させた画像を主として表示させるようにすれば、相対的にデバイス等の視認性が向上する。
【0151】
すなわち、合成比率変更部は、リアルタイム透視像Rにマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。例えば、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合、相対的にボリュームレンダリング画像Vの合成比率が下がる。その結果、ボリュームレンダリング画像Vにおいて血管を示す部分の合成比率が下がる。これによって、表示される3Dロードマップ画像Sにおけるボリュームレンダリング画像の中で血管を示す部分の視認性が低下する事態が生じうる。そこで、上述のマスク処理が行われる。それにより、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。
【0152】
また合成比率変更部は、透視撮影開始、またはデバイス強調画像Dの生成を契機として、合成比率を変化させるまでの時間を計り始める。この時間は予め設定されている。合成比率変更部は、時間を計り始めてから前記した設定時間が経過したときに、合成比率を変更し始める。すなわち、合成比率変更部がさらにリアルタイム透視像Rの合成比率に対して視認性係数kを掛ける。合成比率の変化については、予め変化曲線が設定されており、時間あたりの視認性の係数kの減少率が定まっている。さらに合成比率変更部は、合成比率を変更し始めてから、合成比率の変更を終了するまでの時間を計り始める。この時間も予め設定されている。
【0153】
このように合成比率変更部は、時間を計測しつつ、所定の時間および所定の変化曲線に基づいて、リアルタイム透視像Rの合成比率に対して積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させていく。その結果、透視撮影の進行状況に合わせて、合成画像が変化していき、画像中におけるデバイスの視認性が相対的に強調される。
【0154】
視認性の係数kの値を経時的に減少させていくタイミングは、上述のように透視撮影の開始から所定の時間が経過することによってもよい。ただし、操作者による入力デバイス28の操作を契機としてもよい。また、視認性の係数kの値は経時的に減少していくことが好ましいが、操作者による入力デバイス28の操作によって段階的に減少させてもよい。
【0155】
これらの処理によって、画像合成部35は、3Dロードマップ画像Sを生成する。また、背景やデバイス強調画像D、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vをそれぞれ異なる色で表示するように合成することができる。画像合成部35は、LUT37を用いて、この合成画像のロードマップ部分に特異な色を割り当てることができ、又、階調変換を行うことができる。
【0156】
なお、操作者が、透視撮影開始の指示、デバイスの挿入、ロードマップスイッチの押下、コイルの載置の順で、インターベンション治療等を行う場合は、画像合成部35は次のように動作する。
【0157】
画像処理装置1が入力デバイス28を介して透視撮影開始の指示を受けると、画像合成部35は、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0158】
操作者が、被検体にガイドワイヤーおよびカテーテルを挿入し、入力デバイス28を介し、これらデバイスを強調する旨の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0159】
操作者が、ロードマップスイッチを押下すると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0160】
操作者が、被検体の動脈瘤等にコイルを載置し、入力デバイス28を介して、再撮影の指示およびコイル抽出の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0161】
(画像処理装置の動作)
次に図7を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図9のフローチャートを参照して説明する。
【0162】
《ボリュームデータの生成》
第2実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する工程については、第1実施形態で説明した内容(図4/S111〜S114)と同様である。したがって、説明を割愛する。
【0163】
《透視撮影》
第2実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成工程については、第1実施形態で説明した内容(図5/S201〜S206)と同様である。したがって、説明を割愛する。
【0164】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0165】
(S251)
透視撮影スイッチを押下し透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0166】
(S252)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S251;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0167】
(S253)
画像処理装置1は、透視撮影開始後またはデバイス強調画像Dの生成の後、所定時間が経過したか判断する。この所定時間とは、リアルタイム透視像R視認性の係数kの減少を開始する時間である。この時間は、画像処理装置1の制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図9において記載の便宜上ステップ251やステップ252の後に記載されているが、判断のタイミングは図9のパターンに限られない。又、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0168】
(S254)
画像処理装置1は、所定時間が経過したと判断した場合(S253;Yes)、合成比率変更部(不図示)は、リアルタイム透視像Rの合成比率に積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させる。この係数kの減少率は、適宜設定される。これにより画像合成部35によって合成される合成画像中におけるデバイスの部分が相対的に強調される。
【0169】
(S255)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S251;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0170】
3Dロードマップスイッチが押下され、ボリュームレンダリング画像Vが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0171】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0172】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像Sやデバイス強調画像D等を表示する。
【0173】
以上のように、第2実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【0174】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態と重複する部分について、適宜の説明を割愛する。
【0175】
第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、透視撮影中に撮影における条件変更があると、コイル抽出画像Cの生成を行い3Dロードマップ画像Sの生成に反映させる。また、第3実施形態においては、第2実施形態と同様にリアルタイム透視像の合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。
【0176】
次に図10を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。図10は、第3実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像Sが生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【0177】
《コイル抽出画像の生成》
図10に示すように、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、再取得した透視マスク像Mからコイルを抽出し、コイル抽出画像Cを生成する(S401)。
【0178】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、再取得した透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S402)。図10において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S403)。
【0179】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される。
【0180】
《マスク処理・合成比率の調整》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す(S405)。画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rに対して視認性係数kを掛けて、リアルタイム透視像Rの合成比率を経時的減少させ、合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させる(S406)。
【0181】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS407)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0182】
このように、第3実施形態に係るX線撮影装置は、第1実施形態におけるコイル抽出画像Cの生成を行う。また、第2実施形態におけるリアルタイム透視像Rの合成比率を経時的に変化させる。これらの処理によって、透視撮影下においてガイドワイヤー、カテーテル、コイル等のデバイスの視認性が向上する。
【0183】
第3実施形態におけるX線撮影装置の全体構成および各部の具体的な構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0184】
第3実施形態における画像処理装置1の構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、コイル画像生成部48、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。なお、第3実施形態においては、第2実施形態と異なりコイル画像生成部48を含む。
【0185】
第3実施形態における画像処理装置1の各部の具体的な構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0186】
(画像処理装置の動作)
次に図10を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図11のフローチャートを参照して説明する。
【0187】
第3実施形態における画像処理装置1のボリュームデータの生成工程は、第1実施形態および第2実施形態と同様である(図4/S111〜S114参照)。
【0188】
第3実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成工程については、第1実施形態で説明した内容(図5/S201〜S206)と同様である。
【0189】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図11を参照して説明する。図11は、第3実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0190】
(S271)
透視撮影スイッチを押下し、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0191】
(S272)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S271;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0192】
(S273)
画像処理装置1は、透視撮影開始後またはデバイス強調画像Dの生成の後、所定時間が経過したか判断する。この所定時間とは、リアルタイム透視像R視認性の係数kの減少を開始する時間である。この時間は、画像処理装置1の制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図11において記載の便宜上ステップ271やステップ272の後に記載されているが、判断のタイミングは図11のパターンに限られない。又、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0193】
(S274)
画像処理装置1は、所定時間が経過したと判断した場合(S273;Yes)、合成比率変更部(不図示)は、リアルタイム透視像Rの合成比率に積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させる。この係数kの減少率は、適宜設定される。これにより画像合成部35によって合成される合成画像中におけるデバイスの部分が相対的に強調される。
【0194】
(S275)
画像処理装置1は、デバイス強調画像Dの生成の後、X線撮影装置(X線撮影機構10)における撮影条件の変更があったか判断する。撮影条件の変更とは、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等である。これらの情報は、X線撮影機構10からの情報に基づくか、または透視像等に基づき制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図11において記載の便宜上ステップ271〜ステップ274の後に記載されているが、判断のタイミングは図11のパターンに限られない。
【0195】
(S276)
画像処理装置1は、撮影条件の変更があったと判断した場合(S275;Yes)、コイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。例えばコイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対してローパスフィルター処理により低周波成分を除去する。また、この画像と透視マスク像Mをサブトラクション処理する。さらにコイル画像生成部48は閾値処理を施すことによって、コイルの画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出する。これによりコイル画像生成部48はコイル抽出画像Cを生成する。
【0196】
(S277)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S271;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0197】
3Dロードマップスイッチが押下され、ボリュームレンダリング画像Vが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0198】
コイル抽出画像Cが生成されると(S275;Yes)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vおよびコイル抽出画像Cを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0199】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0200】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像Sやデバイス強調画像D等を表示する。
【0201】
以上のように、第3実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【符号の説明】
【0202】
1 画像処理装置
10 X線撮影機構
12 X線管球
14 X線検出器
26 A/D変換器
27 制御部
28 入力デバイス
29 3次元画像メモリ
30 2次元画像メモリ
31 フィルタリング部
32 アフィン変換部
34 サブトラクション処理部
35 画像合成部
36 3次元画像取得部
37 ルックアップテーブル(LUT)
38 D/A変換器(ディジタルアナログ変換器)
39 ディスプレイ
40 ボリュームレンダリング画像生成部
41 サブトラクション画像生成部
42 透視マスク像生成部
43 血管情報抽出部
47 再構成部
48 コイル画像生成部
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置などを使用した医用画像技術は、急速な進歩を遂げている。動脈瘤の治療法の一つであるインターベンション治療(血管内治療)などにおいて、医師は、例えば足の付け根等から挿入したカテーテルを、カテーテル内を通したガイドワイヤーを用いて患部まで導く。
【0003】
そして、カテーテルの先端からコイルのような閉塞物質を動脈瘤の中に留置する。このコイルの留置により血流を妨害し、その結果動脈瘤内で血液を凝固させて治療する。この場合、造影剤を注入してX線透視画像上で血管を視認することができる。
【0004】
一方、造影剤を注入し続けると患者の負荷が大きくなりすぎる問題がある。そこで、一度造影剤を流して撮影されたX線画像とリアルタイムのX線透視像と重ね合わせて表示した2次元ロードマップが用いられる。
【0005】
しかし、この2次元ロードマップは、寝台移動、撮影方向の変更、患者の身動などにより、作成し直す必要がある。煩雑な2次元ロードマップの作成し直しは、検査時間の増加と造影剤使用量の増加を招来する問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、ボリュームレンダリング画像を用いてロードマップ画像を作成し、リアルタイム透視像と重ねて表示する3次元ロードマップは、検査時間の短縮と造影剤量の低減に効果があると期待されている。
【0007】
しかし、リアルタイム透視像とボリュームレンダリング画像とを重ね合わせて表示する3次元ロードマップでは、ガイドワイヤーやカテーテル等のデバイスと骨などの人体組織構造とが重なって表示されるため、デバイスの像が非常に見え難いと言う課題が存在する。
【0008】
デバイスの像の視認性を向上させるために、リアルタイム透視像と透視マスク像とをサブトラクション処理することでデバイス情報を抽出し、そのデバイス情報をボリュームレンダリング画像と重ね合わせる技術が特許文献1で公開されている。しかし当該技術では撮影角度が変更されたときに、改めて収集し直す透視マスク像にもコイルが存在するため、既に留置されているコイルを表示できないと言う課題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−39521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたものであって、デバイス(カテーテル、ガイドワイヤー、コイル等)の視認性を向上させることが可能な医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態の医用画像診断装置は、ボリュームレンダリング画像生成部と、マスク像記憶部と、リアルタイム透視像生成部と、サブトラクション画像生成部と、コイル画像生成部と、画像合成部と、を有する。ボリュームレンダリング画像生成部は、ボリュームデータから被検体内部の血管の情報を表したボリュームレンダリング画像を生成する。マスク像記憶部は、透視マスク像を記憶する。リアルタイム透視像生成部は、デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を収集する。サブトラクション画像生成部は、前記マスク像記憶部により記憶された透視マスク像と、前記時系列毎に収集されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成する。コイル画像生成部は、前記透視マスク像からコイル画像を生成する。画像合成部は、前記ボリュームデータ、前記サブトラクション画像、前記コイル画像を合成した画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】第1実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る画像処理装置の機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図4】第1実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図5】第1実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図6】第1実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図7】第2実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る画像処理装置の機能的な構成を示す概略ブロック図である。
【図9】第2実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【図10】第3実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像が生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【図11】第2実施形態の画像処理装置による3Dロードマップ画像の生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜11を参照して、第1実施形態〜第3実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
(動作の概要)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1およびX線撮影機構10の動作の概要を説明する。図1は、第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すX線撮影機構10は、一例として次のようにボリュームデータ(3次元血管画像データ)を得る。ボリュームデータはボリュームレンダリング画像Vを生成するためのデータである。
【0015】
第1実施形態に係るX線撮影装置は、被検体の周りでX線撮影機構10を高速に回転させながら2次元のマスク像の投影データを複数フレーム収集する。次に造影剤が注入された被検体の周りで、再びX線撮影機構を高速に回転させながら2次元のコントラスト画像の投影データを複数フレーム分収集する。
【0016】
ある角度で収集されたマスク像と、同じ角度で収集されたコントラスト画像とをサブトラクション処理する。サブトラクション処理によって、DSA(Digital Subtraction Angiography)データを得る。
【0017】
次にDSAデータの再構成を行い、血管像が強調されたボリュームデータを得る。再構成されたボリュームデータは、3次元画像メモリに格納される。
【0018】
次にX線撮影装置は、例えば次のようにしてボリュームレンダリング画像Vを生成して透視サブトラクション画像との合成画像を生成する。
【0019】
X線撮影装置は、ユーザによる操作に基づき透視撮影を開始する。X線撮影装置は透視撮影の開始後、透視マスク像データを収集する。また、X線撮影装置はリアルタイム透視像データを収集する。さらにX線撮影装置は、サブトラクション処理によって、透視サブトラクションデータを生成する。X線撮影装置は、これらの処理と併せて、(1)被検体内のガイドワイヤー、カテーテルなどを強調して表示させる。また、(2)3Dロードマップ生成指示があるかを判断する。さらに(3)撮影における条件変更があるかを判断する。以下、これら(1)〜(3)の処理の概要について説明する。
【0020】
(1)透視撮影の開始後、医師等は透視像を参照しながら、ガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを被検体内に挿入する。このとき画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す。その結果、透視サブトラクションデータにおいてガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを示す部分以外、すなわちノイズが抑制される。その結果、透視サブトラクションデータにおいて、デバイスを示す部分が、他の部分と比較して相対的に強調されて表示される。
【0021】
(2)X線撮影装置は、例えば被検体内へのデバイス挿入後に、3Dロードマップ生成指示があるか判断する。この指示は医師等の操作に基づく。当該生成指示を受けた場合、X線撮影装置は3次元画像メモリからボリュームデータを取得する。またX線撮影装置は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、例えば、観察している角度・視野・拡大率・位置などの情報によって示される状況に対応して実行される。
【0022】
さらにX線撮影装置は、上記(1)の透視サブトラクションデータと、(2)のボリュームレンダリング画像等に基づいて3Dロードマップ画像を生成し、表示する。
【0023】
(3)X線撮影装置は、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等によって撮影における条件変更があるかを判断する。また、透視マスク像Mの再生成の指示があるかを判断する。条件変更または指示があったと判断した場合、X線撮影装置は、ボリュームデータを取得してボリュームレンダリング画像Vを条件変更に合わせて生成し直す。X線撮影装置は、さらに条件変更に合わせて透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rを生成する。
【0024】
次に図2を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。
【0025】
《コイル抽出画像の生成》
図2に示すように、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、再取得した透視マスク像Mからコイルを抽出し、コイル抽出画像Cを生成する(S101)。
【0026】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、再取得した透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S102)。図2において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S103)。
【0027】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される(S104)。
【0028】
《マスク処理》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。この処理により、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。(S105)。
【0029】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、コイル抽出画像C、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS106)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0030】
このように、第1実施形態に係るX線撮影装置は、リアルタイム透視像Rとボリュームレンダリング画像V、デバイス強調画像Dなどを合成して表示する。これにより、血管と、被検体の体内の構造の位置関係をユーザが把握できる。したがって、被検体と撮影機構の相対的位置が変位してもユーザが把握することが可能である。さらに、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、コイル抽出画像Cが生成される。したがって、改めて3Dロードマップ画像Sを生成するときに、画像内のコイルが消失してしまうという事態を回避できる。
【0031】
(X線撮影装置の全体構成)
次に、図1を参照して、第1実施形態に係るX線撮影装置の構成を説明する。図1に示すように、第1実施形態に係るX線撮影装置は、X線撮影機構10と、画像処理装置1と、ディスプレイ39とを含んで構成される。またX線撮影装置は、図示しないシステム制御部を備える。
【0032】
図示しないシステム制御部は、画像処理装置1、X線撮影機構10等のX線撮影装置全体を制御する。
【0033】
入力デバイス28は、例えばキーボード、マウスと、さらにロードマップスイッチを有する。ロードマップスイッチは現在の透視画像に対して血管のロードマップ(3Dロードマップ画像S)を合成する旨の指示を入力するためのものである。
【0034】
ディスプレイ39は、画像処理装置1から各画像データ受け、透視像、デバイス強調画像D、3Dロードマップ画像S等を表示する。
【0035】
(X線撮影機構の構成)
次に、図1を参照して、第1実施形態に係るX線撮影機構10の構成を説明する。X線撮影機構10は、図示しないシステム制御部と、機構制御部と、寝台と、X線高電圧発生装置とを有する。図示しないX線高電圧発生装置は、X線制御部と高電圧発生部とを有する。また、X線撮影機構10は、図示しないX線源装置と、アーム11と、X線検出器14とを有する。X線源装置は、X線管球12と図示しないX線絞り装置とを有する。
【0036】
アーム11は、X線源装置(X線管球12)およびX線検出器14を支持する。例えばC型のアーム11は、土台に設けられたモータでプロペラのように高速回転する。寝台は、被検体が横たわる。寝台は機構制御部に制御されて被検体が載置されたまま被検体を移動させることが可能である。
【0037】
X線管球12は、X線高電圧発生装置によって供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線絞り装置は、X線管球12によって発生されたX線の一部を遮蔽することで照射野を制御する。
【0038】
X線検出器14は、被検体を透過したX線を電荷に変換して検出する。X線検出器14として、平面型X線検出器(Flat Panel Detector)やイメージインテンシファイアとTVカメラとの組み合わせから構成されるものを使用することができる。X線検出器14によって検出された電荷は、2次元の投影データとして、画像処理装置1に送られる。後述のように、2次元の投影データは、A/D(Analog/Digital)変換器26によってデジタル信号に変換され、2次元画像メモリ30に格納される。
【0039】
図示しないシステム制御部は、ボリュームデータ収集の指示を受ける。X線撮影機構10は当該指示に基づいて、造影剤注入前の投影データ(マスク像)を収集する。すなわち、システム制御部は、機構制御部を介して、血管に造影剤が被検体に注入される前に、例えば秒間50度でアーム11をプロペラのように高速回転させる。
【0040】
これに合わせてX線制御部は、高電圧発生部を制御することで、X線管球12によって発生されるX線を制御する。高電圧発生部は、X線管球12に供給する高電圧を生成する。さらにシステム制御部は、機構制御部を介して、X線絞り装置によりX線の照射野を制御する。これにより、X線撮影機構10は、例えば2度間隔で撮影を行い、X線検出器14により例えば100フレームの2次元の投影データを収集する。
【0041】
次にX線撮影機構10の機構制御部は、アーム11を駆動してマスク撮影開始位置に戻す。その後、システム制御部は、機構制御部およびX線制御部を介して、マスク像の投影データの収集と同じように、造影剤注入後のコントラスト画像の投影データを収集する。造影剤が造影剤注入器(Injector)によって被検体に注入され、一定時間経過すると、X線撮影機構10は、例えば2度間隔で撮影を行い、X線検出器14により例えば100フレームの2次元の投影データを収集する。
【0042】
収集されたマスク像およびコントラスト画像の2次元投影データは、後述の画像処理装置1の造影剤注入前に収集された2次元投影データと同様、画像処理装置1における後述のA/D変換器26でデジタル信号に変換され、2次元画像メモリ30に格納される。
【0043】
(画像処理装置の構成)
次に、図1および図3を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る画像処理装置1の機能的な構成を示す概略ブロック図である。画像処理装置1は、A/D変換器26を介してX線撮影機構10のX線検出器14に接続される。
【0044】
図3に示すように画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、コイル画像生成部48、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。
【0045】
《2次元画像メモリ、フィルタリング部、アフィン変換部》
2次元画像メモリ30は、X線撮影機構10で発生され、A/D変換器26によりデジタル信号に変換された2次元の投影データ(X線画像データ)を格納する。2次元画像メモリ30に記憶される投影データには、フィルタリング部31で高周波強調等のフィルタリングを受けた2次元のX線画像データが含まれる。また記憶される投影データとしてアフィン変換部32で画像拡大・移動等のアフィン変換を受けた投影データ等が含まれる。
【0046】
《サブトラクション処理部》
サブトラクション処理部34は、2次元画像メモリ30に格納されたコントラスト画像の投影データから、マスク像の投影データをサブトラクション処理する。この処理を説明するにあたり、1〜Nフレーム目のマスク像と、1〜Nフレーム目のコントラスト画像とが、それぞれ順に同じ角度で撮影されているものとする。
【0047】
例えば、サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。サブトラクション処理部34はそのうえでサブトラクション処理を施す。その結果、サブトラクション処理部34は、あるマスク像から、そのマスク像と投影方向が同じであるコントラスト画像をサブトラクション処理することになる。このように、サブトラクション処理部34は、同じ角度同士のマスク画像からコントラスト画像をサブトラクション処理する。なお、このサブトラクション処理は双方自然対数に変換した後に行われる。以下、サブトラクション処理された投影データを「DSA(Digital Subtraction Angiography)データ」と記載する。
【0048】
サブトラクション処理部34は、Nフレーム(例えば100フレーム)分のDSAデータを再構成部47に送る。
【0049】
《再構成部》
再構成部47は、サブトラクション処理部34からNフレーム分のDSAデータを受ける。再構成部47は、この複数の2次元のDSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成法としては、Feldkamp等によって提案されたフィルタードバックプロジェクション法等がある。フィルタードバックプロジェクションの場合を示すと、例えば100フレームのDSAデータに対して、適当なコンボリューションフィルターをかける。コンボリューションフィルターとしては、例えばShepp&LoganやRamachandranのようなものがある。
【0050】
再構成部47は次に逆投影演算を行うことによりボリュームデータ(再構成データ)を得る。ここで、再構成領域は、X線管球の全方向へのX線束に内接する円筒として定義される。この円筒内は、例えば、X線検出器14の1検出素子の幅に投影される再構成領域中心部での長さdで3次元的に離散化され、離散点のデータの再構成像を得る必要がある。但し、ここでは離散間隔の一例を示したが、装置によって定義された離散間隔を用いればよい。
【0051】
再構成部47は、ボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納する。なお、上記ではサブトラクション処理されたDSAデータを再構成することによりボリュームデータを生成した。しかし、この構成に限られず、次のような構成をとることも可能である。例えば、画像処理装置1は、再構成部47によりマスク像の投影データから再構成したボリュームデータを生成する。また、画像処理装置1は再構成部47によりコントラスト画像から再構成したボリュームデータを生成する。サブトラクション処理部34は、マスク像のボリュームデータと、コントラスト画像のボリュームデータとをサブトラクション処理してもよい。
【0052】
《3次元画像メモリ》
3次元画像メモリ29は、再構成部47から受けたボリュームデータを格納する。
【0053】
また、この再構成部47から受けたボリュームデータの代わりに外部の装置から取得したボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納してもよい。外部の装置としては、例えば、X線CT装置、MRI装置などの医用画像診断装置やPACS等がある。X線CT装置からはCTA(Computed Tomography Angiography)を取得する。MRI装置からはMRA(Magnetic Resonance Angiography)、非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)等を取得する。また、外部の装置から取得したボリュームデータを取得する場合は、3次元画像取得部36が、例えばネットワークを経由して、外部からのボリュームデータを取得することができる。
【0054】
また、外部からのボリュームデータに血管情報以外の人体情報が含まれる場合には、別途、血管情報抽出部43によって閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法を用いて血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成する。もしくは、閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法の組み合わせなどにより血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0055】
《透視マスク像生成部》
透視マスク像生成部42は、制御部27から透視マスク像Mの生成の指示を受ける。例えば操作者が入力デバイス28を介して透視撮影の開始を指示する操作を行ったことに応じてこの指示がなされる。すなわち、X線撮影装置は透視撮影の開始の指示を受けて、X線撮影機構10により被検体を撮影する。その撮影により投影データが数フレーム分収集される。投影データはデジタル信号に変換され、画像処理装置1に送られる。画像処理装置1の制御部27は、透視マスク像生成部42に、透視マスク像Mの生成の指示を行う。
【0056】
透視マスク像生成部42は、透視撮影により収集された数フレーム分の当該投影データを取得し、例えば1秒間加算平均された透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0057】
なお、図示しない動画像生成部は、透視マスク像Mの生成に対応して、リアルタイム透視像Rを生成する。すなわち、X線撮影装置は、X線撮影機構10により被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により投影データが順次収集される。順次収集された投影データは画像処理装置1に送られる。画像処理装置1は、投影データを受けてデジタル信号に変換する。また、画像処理装置1の制御部27は、動画像生成部に、リアルタイム透視像Rの生成の指示を行う。動画像生成部は、透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。リアルタイム透視像収集フェーズに移行すると、X線撮影装置からの指示により、カテーテル、ガイドワイヤーなどのデバイス操作が開始される。
【0058】
《サブトラクション画像生成部》
透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rが2次元画像メモリ30に格納されると、制御部27は、サブトラクション画像生成部41に透視サブトラクションデータを生成させる。すなわち、制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出す。制御部27はこれらのデータをサブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。なお、被検体内へガイドワイヤーやカテーテルなどのデバイスが挿入されており、かつ透視マスク像Mの収集時からデバイスが移動していれば、この透視サブトラクション画像には、デバイスを示すデータが含まれる。
【0059】
また透視サブトラクション画像には、カテーテルやガイドワイヤー等の被検体内へ挿入されたデバイスを強調する処理が施されることが好ましい。透視サブトラクション画像においてデバイスを強調する処理を行うことによりデバイス強調画像D(図2参照)が生成される。例えば、デバイスを強調する処理としてノイズ低減処理が施される。かかるノイズ低減処理として、中央値フィルタ処理を採用することができる。
【0060】
また、さらなるデバイスの強調処理として、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dに、線状成分の検出処理が施すことが可能である。線状成分の検出処理を施すことにより、画像における線状成分を劣化させずにノイズ成分が低減される。その結果、画像において相対的にガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスの部分を強調することができる。
【0061】
図2において、リアルタイム透視像と透視マスク画像の間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、図2においては、透視サブトラクション画像に対し、ノイズ抑制処理とワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する工程を示している。ガイドワイヤー強調処理としては、例えば透視サブトラクション画像における高周波成分を強調する処理などがある。
【0062】
なお、これらの透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像(ボリュームレンダリング画像V等)と合成されてから、ディスプレイ39に送られる場合がある。また、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像と合成されずにディスプレイ39に送られることもある。
【0063】
《ボリュームレンダリング画像生成部》
ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出し、ボリュームレンダリング画像Vを生成する。すなわち、操作者が3Dロードマップスイッチを押下すると、画像処理装置1の制御部27は、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vの生成を指示する。
【0064】
ボリュームレンダリング画像生成部40は、制御部27からボリュームレンダリング画像Vの生成の指示を受けると、ボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像(3次元血管表示画像)を生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置(医用画像診断装置)の状況を示す情報に応じて行われる。つまり、ボリュームレンダリング画像生成部40は、X線撮影装置の状況、例えば、観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように上記処理を行う。
【0065】
《コイル画像生成部》
コイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。このコイル抽出処理により、透視マスク像Mにおいて、被検体内に載置されたコイルを示す部分を抽出してコイル抽出画像Cを生成する。かかるコイル抽出処理として、透視マスク像Mに対するローパスフィルター処理を採用できる。コイル画像生成部48のローパスフィルター処理により、透視マスク像Mから低周波成分を除去した画像を得る。コイル画像生成部48は、この画像をサブトラクション処理部34に送り、サブトラクション処理部34に、この画像と透視マスク画像とのサブトラクション処理を行わせる。
【0066】
コイル画像生成部48は、サブトラクション処理部34にサブトラクション処理させた画像データまたはデバイス強調処理等が施された画像データを受ける。また、コイル画像生成部48はこの画像データに対し、閾値処理を施す。すなわち、コイル画像生成部48は、この画像データにおける画素値に基づいて、画像中におけるコイルを示す部分とその他の部分に分ける処理を行う。
【0067】
コイルのX線吸収率は、他の部位に比較して明らかに高いため、他の部位の画素値とは相異する。したがって、コイル画像生成部48は、ローパスフィルター処理を施した画像から元の透視マスク像Mをサブトラクション処理することにより、背景を圧縮することが可能となる。そして、コイル画像生成部48がサブトラクション処理後の画像データに対し閾値処理を施すことによって、画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出することが可能となる。このようにしてコイル画像生成部48は、コイル抽出画像Cを生成する。
【0068】
《画像合成部》
画像合成部35は、図2に示すように透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、ボリュームレンダリング画像Vと、リアルタイム透視像Rと、コイル抽出画像Cとの任意の組み合わせを累積的に合成する。なお図2に表示される記号「+」は、合成処理を意味する。
【0069】
さらに画像合成部35は、各画像の合成比率を図示しない合成比率変更部により変更することができる。すなわち、入力デバイス28により各画像の合成比率を変更する操作がなされると、合成比率変更部は各画像(レイヤー)の透明度を操作に応じて変更する。
例えばガイドワイヤー等の動きを把握するため、透視撮影開始時には、3Dロードマップ画像Sにおいて抽出されたデバイス強調画像D(ガイドワイヤー画像等)のレイヤーの透明度を下げ不透明に近くする。その条件において画像合成部35が各画像を合成すると、ガイドワイヤー等のデバイスの部分が画像において強調されデバイスの視認性が高まる。同じようにして、合成比率変更部は、3Dロードマップ画像Sにおける他の部分(リアルタイム透視像R等)のレイヤーを透明に近くして、相対的にデバイスの部分を強調することができる。
【0070】
言い換えれば、画像合成部35は、各画像の合成比率の初期値(デフォルト値)に基づいて各画像を合成表示し、合成比率変更部により合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することができる。例えば、ボリュームデータ収集時から透視開始時間の被検体の動きを把握するため、透視開始時(デフォルト値)にはリアルタイム透視像のレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像画像のレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0071】
これらの処理によって、画像合成部35は、3Dロードマップ画像Sを生成する。また、コイル抽出画像Cを、背景やデバイス強調画像D、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vと異なる色で表示するように合成することができる。画像合成部35は、LUT37を用いて、この合成画像のロードマップ部分に特異な色を割り当てることができ、又、階調変換を行うことができる。
【0072】
なお、操作者が、透視撮影開始の指示、デバイスの挿入、ロードマップスイッチの押下、コイルの載置の順で、インターベンション治療等を行う場合は、画像合成部35は次のように動作する。
【0073】
画像処理装置1が入力デバイス28を介して透視撮影開始の指示を受けると、画像合成部35は、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0074】
操作者が、被検体にガイドワイヤーおよびカテーテルを挿入し、入力デバイス28を介し、これらデバイスを強調する旨の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0075】
操作者が、ロードマップスイッチを押下すると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0076】
操作者が、被検体の動脈瘤等にコイルを載置し、入力デバイス28を介して、再撮影の指示およびコイル抽出の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vと、コイル抽出画像Cを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0077】
(画像処理装置の動作)
次に図2を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図4から図6のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
《ボリュームデータの生成》
図4を参照して本実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する工程について説明する。図4は、第1実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0079】
(S111)
まず操作者による入力デバイス28の操作に応じ、X線撮影機構10は、ボリュームデータ収集の指示を受ける。X線撮影機構10のシステム制御部は当該指示に基づき機構制御部を介して、造影剤注入前に、例えば秒間50度でアーム11をプロペラのように高速回転させ、被検体をX線撮影する。これによってX線撮影装置は、造影剤注入前のマスク像の投影データを収集する。この投影データは、画像処理装置1に送信される。画像処理装置1は、A/D変換器26によってこの投影データをデジタル信号に変換し、2次元画像メモリ30に格納する。
【0080】
(S112)
マスク像の投影データが収集されると、被検体に造影剤が注入される。造影剤注入後に、X線撮影機構10のシステム制御部は機構制御部を介して、マスク像と同じ様に被検体をX線撮影する。これによってX線撮影装置は、コントラスト画像の投影データを収集する。この投影データは、画像処理装置1に送信される。画像処理装置1は、A/D変換器26によってこの投影データをデジタル信号に変換し、2次元画像メモリ30に格納する。
【0081】
(S113)
サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。その上でサブトラクション処理部34はこれら同じ角度の画像同士をサブトラクション処理する。この処理により、DSAデータが生成される。サブトラクション処理部34はこの処理を所定数のフレーム分繰り返す。サブトラクション処理部34は所定数のフレーム分の処理が完了したら、DSAデータを再構成部47に送信する。
【0082】
(S114)
再構成部47はDSAデータを受ける。再構成部47は、DSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成部47はこの処理により再構成されたボリュームデータを生成する。ボリュームデータは、3次元画像メモリ29に格納される。
【0083】
《透視撮影》
X線撮影装置においてボリュームデータの収集が終わると次は治療フェーズに移行される。まず被検体に挿入されるデバイスを示すデバイス強調画像Dの生成工程について図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0084】
(S201)
ガイドワイヤー、カテーテル等を被検体内の動脈瘤近辺まで挿入するため、医師等は入力デバイス28における透視撮影スイッチ(不図示)を押下する。X線撮影機構10は、透視撮影スイッチの押下を受付けたか判断する。
【0085】
(S202)
X線撮影機構10は、透視撮影スイッチの押下を受付けたと判断した場合(S201;Yes)、被検体を数フレーム撮影する。画像処理装置1はX線検出器14が検出した数フレーム分の投影データを受け、デジタル信号に変換した後、透視マスク像生成部42に送る。透視マスク像生成部42は、マスク像の投影データを加算平均して透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0086】
(S203)
X線撮影機構10は、被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により順次収集された投影データは画像処理装置1でデジタル信号に変換され、図示しない動画像生成部に送られる。動画像生成部は透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0087】
(S204)
制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出し、サブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。
【0088】
(S205)
またサブトラクション画像生成部41は必要に応じて、透視サブトラクション画像に対し、デバイスを強調する処理を施す。例えば、デバイスを強調する処理として中央値フィルタ処理などのノイズ低減処理が施される。さらにサブトラクション画像生成部41は、線状成分の検出処理などのノイズ低減処理を施す。サブトラクション画像生成部41が透視サブトラクション画像においてノイズ抑制処理を行うことによりノイズ抑制画像(不図示)が生成される。
【0089】
(S206)
サブトラクション画像生成部41は、ノイズ抑制画像において高周波成分を強調する処理などのワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する。なお、デバイス強調画像Dは、3Dロードマップ画像Sの生成の指示がなされるまでは、ボリュームレンダリング画像Vと合成されずに、ディスプレイ39に送られる場合がある。
【0090】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0091】
(S207)
透視撮影スイッチを押下し透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0092】
(S208)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S207;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0093】
(S209)
画像処理装置1は、ステップ206の後、X線撮影装置(X線撮影機構10)における撮影条件の変更があったか判断する。撮影条件の変更とは、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等である。これらの情報は、X線撮影機構10からの情報に基づくか、または透視像等に基づき制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図6において記載の便宜上ステップ207やステップ208の後に記載されているが、判断のタイミングは図6のパターンに限られない。また、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0094】
(S210)
画像処理装置1は、撮影条件の変更があったと判断した場合(S209;Yes)、X線撮影機構10に、被検体を数フレーム撮影させる。画像処理装置1はX線検出器14が検出した数フレーム分の投影データを受け、デジタル信号に変換した後、透視マスク像生成部42に送る。透視マスク像生成部42は、マスク像の投影データを加算平均して透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0095】
(S211)
コイル画像生成部48は、2次元画像メモリ30から透視マスク像Mを読み出す。コイル画像生成部48は読み出した透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。例えばコイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対してローパスフィルター処理により低周波成分を除去する。また、この画像と透視マスク像Mをサブトラクション処理する。さらにコイル画像生成部48は閾値処理を施すことによって、コイルの画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出する。これによりコイル画像生成部48はコイル抽出画像Cを生成する。
【0096】
(S212)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S207;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0097】
撮影条件の変更があるまで(S209;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0098】
コイル抽出画像Cが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vおよびコイル抽出画像Cを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0099】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0100】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像やデバイス強調画像等を表示する。
【0101】
以上のように、第1実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【0102】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。
【0103】
(動作の概要)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1およびX線撮影機構10の動作の概要を説明する。図1に示すX線撮影機構10は、一例として次のようにボリュームデータ(3次元血管画像データ)を得る。ボリュームデータはボリュームレンダリング画像Vを生成するためのデータである。
【0104】
第2実施形態に係るX線撮影装置は、被検体の周りでX線撮影機構10を高速に回転させながら2次元のマスク像の投影データを複数フレーム収集する。次に造影剤が注入された被検体の周りで、再びX線撮影機構を高速に回転させながら2次元のコントラスト画像の投影データを複数フレーム収集する。
【0105】
ある角度で収集されたマスク像と、同じ角度で収集されたコントラスト画像とをサブトラクション処理する。サブトラクション処理によって、DSA(Digital Subtraction Angiography)データを得る。
【0106】
次にDSAデータの再構成を行い、血管像が強調されたボリュームデータを得る。再構成されたボリュームデータは、3次元画像メモリに格納される。
【0107】
次にX線撮影装置は、例えば次のようにしてボリュームレンダリング画像Vを生成して透視サブトラクション画像との合成画像を生成する。
【0108】
X線撮影装置は、ユーザによる操作に基づき透視撮影を開始する。X線撮影装置は透視撮影の開始後、透視マスク像データを収集する。また、X線撮影装置はリアルタイム透視像データを収集する。さらにX線撮影装置は、サブトラクション処理によって、透視サブトラクションデータを生成する。X線撮影装置は、これらの処理と併せて、(1)被検体内のガイドワイヤー、カテーテルなどを強調して表示させる。また、(2)3Dロードマップ生成指示があるかを判断する。さらに(3)撮影における条件変更があるかを判断する。(4)リアルタイム透視像Rの合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。以下、これら(1)〜(4)の処理の概要について説明する。
【0109】
(1)透視撮影の開始後、医師等は透視像を参照しながら、ガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを被検体内に挿入する。このとき画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す。その結果、透視像においてガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスを示す部分以外、すなわちノイズが抑制される。その結果、透視サブトラクションデータにおいて、デバイスを示す部分が、他の部分と比較して相対的に強調されて表示される。
【0110】
(2)X線撮影装置は、例えば被検体内へのデバイス挿入後に、3Dロードマップ生成指示があるか判断する。この指示は医師等の操作に基づく。当該生成指示を受けた場合、X線撮影装置は3次元画像メモリからボリュームデータを取得する。またX線撮影装置は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、例えば、観察している角度・視野・拡大率・位置などの情報によって示される状況に対応して実行される。
【0111】
さらにX線撮影装置は、上記(1)の透視サブトラクションデータと、(2)のボリュームレンダリング画像等に基づいて3Dロードマップ画像を生成し、表示する。
【0112】
(3)X線撮影装置は、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等によって撮影における条件変更があるかを判断する。また、透視マスク像Mの再生成の指示があるかを判断する。条件変更または指示があったと判断した場合、X線撮影装置は、ボリュームデータを取得してボリュームレンダリング画像Vを条件変更に合わせて生成し直す。X線撮影装置は、さらに条件変更に合わせて透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rを生成する。
【0113】
(4)X線撮影装置は、リアルタイム透視像の合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。これにより3次元の血管像と、デバイス強調画像Dが強調され、ガイドワイヤー等が視認しやすくなる。
【0114】
次に図7を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。図7は、第2実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像Sが生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【0115】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S301)。図7において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S302)。
【0116】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される(S303)。
【0117】
《マスク処理・合成比率の調整》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。この処理により、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。(S304)。画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rに対して視認性係数kを掛けて、リアルタイム透視像Rの合成比率を経時的減少させ、合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させる(S305)。
【0118】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS306)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0119】
このように、第2実施形態に係るX線撮影装置は、リアルタイム透視像Rとボリュームレンダリング画像V、デバイス強調画像Dなどを合成して表示する。これにより、血管と、被検体の体内の構造の位置関係をユーザが把握できる。したがって、被検体と撮影機構の相対的位置が変位してもユーザが把握することが可能である。さらに、画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rの合成比率を経時的に減少させる。それにより合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させることが可能である。
【0120】
(X線撮影装置の全体構成)
次に、図1を参照して、第2実施形態に係るX線撮影装置の構成を説明する。図1に示すように、第2実施形態に係るX線撮影装置は、X線撮影機構10と、画像処理装置1と、ディスプレイ39とを含んで構成される。またX線撮影装置は、図示しないシステム制御部を備える。
【0121】
図示しないシステム制御部は、画像処理装置1、X線撮影機構10等のX線撮影装置全体を制御する。
【0122】
入力デバイス28は、例えばキーボード、マウスと、さらにロードマップスイッチを有する。ロードマップスイッチは現在の透視画像に対して血管のロードマップ(3Dロードマップ画像S)を合成する旨の指示を入力するためのものである。
【0123】
ディスプレイ39は、画像処理装置1から各画像データ受け、透視像、デバイス強調画像D、3Dロードマップ画像S等を表示する。
【0124】
なお、X線撮影装置の具体的な内容については、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0125】
(画像処理装置の構成)
次に、図1および図8を参照して、第1実施形態に係る画像処理装置1の構成を説明する。図8は、第2実施形態に係る画像処理装置1の機能的な構成を示す概略ブロック図である。画像処理装置1は、A/D変換器26を介してX線撮影機構10のX線検出器14に接続される。
【0126】
図8に示すように画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。なお、第2実施形態においては、コイル画像生成部48を含まない。
【0127】
《2次元画像メモリ、フィルタリング部、アフィン変換部》
2次元画像メモリ30は、X線撮影機構10で発生され、A/D変換器26によりデジタル信号に変換された2次元の投影データ(X線画像データ)を格納する。2次元画像メモリ30に記憶される投影データには、フィルタリング部31で高周波強調等のフィルタリングを受けた2次元のX線画像データが含まれる。また記憶される投影データとしてアフィン変換部32で画像拡大・移動等のアフィン変換を受けた投影データ等が含まれる。
【0128】
《サブトラクション処理部》
サブトラクション処理部34は、2次元画像メモリ30に格納されたコントラスト画像の投影データから、マスク像の投影データをサブトラクション処理する。この処理を説明するにあたり、1〜Nフレーム目のマスク像と、1〜Nフレーム目のコントラスト画像とが、それぞれ順に同じ角度で撮影されているものとする。
【0129】
例えば、サブトラクション処理部34は、Nフレーム目に撮影したマスク像と、Nフレーム目に撮影したコントラスト画像とを2次元画像メモリ30から読み出す。また、サブトラクション処理部34は、これらを自然対数に変換する。サブトラクション処理部34はそのうえでサブトラクション処理を施す。その結果、サブトラクション処理部34は、あるマスク像から、そのマスク像と投影方向が同じであるコントラスト画像をサブトラクション処理することになる。このように、サブトラクション処理部34は、同じ角度同士のマスク画像からコントラスト画像をサブトラクション処理する。なお、このサブトラクション処理は双方自然対数に変換した後に行われる。以下、サブトラクション処理された投影データを「DSA(Digital Subtraction Angiography)データ」と記載することがある。
【0130】
サブトラクション処理部34は、Nフレーム(例えば100フレーム)分のDSAデータを再構成部47に送る。
【0131】
《再構成部》
再構成部47は、サブトラクション処理部34からNフレーム分のDSAデータを受ける。再構成部47は、この複数の2次元のDSAデータからボリュームデータの再構成を行う。再構成法としては、Feldkamp等によって提案されたフィルタードバックプロジェクション法等がある。フィルタードバックプロジェクションの場合を示すと、例えば100フレームのDSAデータに対して、適当なコンボリューションフィルターをかける。コンボリューションフィルターとしては、例えばShepp&LoganやRamachandranのようなものがある。
【0132】
再構成部47は次に逆投影演算を行うことによりボリュームデータ(再構成データ)を得る。ここで、再構成領域は、X線管球の全方向へのX線束に内接する円筒として定義される。この円筒内は、例えば、X線検出器14の1検出素子の幅に投影される再構成領域中心部での長さdで3次元的に離散化され、離散点のデータの再構成像を得る必要がある。但し、ここでは離散間隔の一例を示したが、装置によって定義された離散間隔を用いればよい。
【0133】
再構成部47は、ボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納する。なお、上記ではサブトラクション処理されたDSAデータを再構成することによりボリュームデータを生成した。しかし、この構成に限られず、次のような構成をとることも可能である。例えば、画像処理装置1は、再構成部47によりマスク像の投影データから再構成したボリュームデータを生成する。また、画像処理装置1は再構成部47によりコントラスト画像から再構成したボリュームデータを生成する。サブトラクション処理部34は、マスク像のボリュームデータと、コントラスト画像のボリュームデータとをサブトラクション処理してもよい。
【0134】
《3次元画像メモリ》
3次元画像メモリ29は、再構成部47から受けたボリュームデータを格納する。
【0135】
また、この再構成部47から受けたボリュームデータの代わりに外部の装置から取得したボリュームデータを3次元画像メモリ29に格納してもよい。外部の装置としては、例えば、X線CT装置、MRI装置などの医用画像診断装置やPACS等がある。X線CT装置からはCTA(Computed Tomography Angiography)を取得する。MRI装置からはMRA(Magnetic Resonance Angiography)、非造影MRA(Magnetic Resonance Angiography)等を取得する。また、外部の装置から取得したボリュームデータを取得する場合は、3次元画像取得部36が、例えばネットワークを経由して、外部からのボリュームデータを取得することができる。
【0136】
また、外部からのボリュームデータに血管情報以外の人体情報が含まれる場合には、別途、血管情報抽出部43によって閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法を用いて血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成する。もしくは、閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイングなどの方法の組み合わせなどにより血管情報を抽出し、ボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0137】
《透視マスク像生成部》
透視マスク像生成部42は、制御部27から透視マスク像Mの生成の指示を受ける。例えば操作者が入力デバイス28を介して透視撮影の開始を指示する操作を行ったことに応じてこの指示がなされる。すなわち、X線撮影装置は透視撮影の開始の指示を受けて、X線撮影機構10により被検体を撮影する。その撮影により投影データが数フレーム分収集される。投影データはデジタル信号に変換され、画像処理装置1に送られる。画像処理装置1の制御部27は、透視マスク像生成部42に、透視マスク像Mの生成の指示を行う。
【0138】
透視マスク像生成部42は、透視撮影により収集された数フレーム分の当該投影データを取得し、例えば1秒間加算平均された透視マスク像Mを生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0139】
なお、図示しない動画像生成部は、透視マスク像Mの生成に対応して、リアルタイム透視像Rを生成する。すなわち、X線撮影装置は、X線撮影機構10により被検体を所定間隔で撮影する。その撮影により投影データが順次収集される。順次収集された投影データは画像処理装置1に送られる。画像処理装置1は、投影データを受けてデジタル信号に変換する。また、画像処理装置1の制御部27は、動画像生成部に、リアルタイム透視像Rの生成の指示を行う。動画像生成部は、透視撮影により順次収集された当該投影データを取得し、リアルタイム透視像Rを順次生成して2次元画像メモリ30に格納する。
【0140】
《サブトラクション画像生成部》
透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rが2次元画像メモリ30に格納されると、制御部27は、サブトラクション画像生成部41にDSAデータを生成させる。すなわち、制御部27は2次元画像メモリ30から透視マスク像Mと継続的に収集されているリアルタイム透視像Rの画像データまたは投影データを読み出す。制御部27はこれらのデータをサブトラクション画像生成部41に送る。サブトラクション画像生成部41は。透視マスク像Mからリアルタイム透視像Rをサブトラクション処理し、透視撮影による透視サブトラクション画像を生成する。なお、被検体内へガイドワイヤーやカテーテルなどのデバイスが挿入されていれば、この透視サブトラクション画像には、デバイスを示すデータが含まれる。
【0141】
また透視サブトラクション画像には、カテーテルやガイドワイヤー等の被検体内へ挿入されたデバイスを強調する処理が施されることが好ましい。透視サブトラクション画像においてデバイスを強調する処理を行うことによりデバイス強調画像D(図2参照)が生成される。例えば、デバイスを強調する処理としてノイズ低減処理が施される。かかるノイズ低減処理として、中央値フィルタ処理を採用することができる。
【0142】
また、さらなるデバイスの強調処理として、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dに、線状成分の検出処理が施すことが可能である。線状成分の検出処理を施すことにより、画像における線状成分を劣化させずにノイズ成分が低減される。その結果、画像において相対的にガイドワイヤー、カテーテルなどのデバイスの部分を強調することができる。
【0143】
図7において、リアルタイム透視像と透視マスク画像の間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、図7においては、透視サブトラクション画像に対し、ノイズ抑制処理とワイヤー強調処理を施して、デバイス強調画像Dを作成する工程を示している。ガイドワイヤー強調処理としては、例えば透視サブトラクション画像における高周波成分を強調する処理などがある。
【0144】
なお、これらの透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像(ボリュームレンダリング画像V等)と合成されてから、ディスプレイ39に送られる場合がある。また、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dは、他の画像と合成されずにディスプレイ39に送られることもある。
【0145】
《ボリュームレンダリング画像生成部》
ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出し、ボリュームレンダリング画像Vを生成する。すなわち、操作者が3Dロードマップスイッチを押下すると、画像処理装置1の制御部27は、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vの生成を指示する。
【0146】
ボリュームレンダリング画像生成部40は、制御部27からボリュームレンダリング画像Vの生成の指示を受けると、ボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像(3次元血管表示画像)を生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置(医用画像診断装置)の状況を示す情報に応じて行われる。つまり、ボリュームレンダリング画像生成部40は、X線撮影装置の状況、例えば、観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように上記処理を行う。
【0147】
《画像合成部》
画像合成部35は、図2に示すように透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、ボリュームレンダリング画像Vと、リアルタイム透視像Rとの任意の組み合わせを累積的に合成する。なお図2に表示される記号「+」は、合成処理を意味する。また、図2において、記号「k」は透視画像の視認性を意味する。kを一定レベルから時間経過とともに小さくし、一定時間経過後に、0または最初の値より小さい値にすることもできる。時間及び視認性については、適宜設定され得る。
【0148】
さらに画像合成部35は、各画像の合成比率を図示しない合成比率変更部により変更することができる。すなわち、入力デバイス28により各画像の合成比率を変更する操作がなされると、合成比率変更部は各画像(レイヤー)の透明度を操作に応じて変更する。
例えばガイドワイヤー等の動きを把握するため、透視撮影開始時には、3Dロードマップ画像Sにおいて抽出されたデバイス強調画像D(ガイドワイヤー画像等)のレイヤーの透明度を下げ不透明に近くする。その条件において画像合成部35が各画像を合成すると、ガイドワイヤー等のデバイスの部分が画像において強調されデバイスの視認性が高まる。同じようにして、合成比率変更部は、3Dロードマップ画像Sにおける他の部分(リアルタイム透視像R等)のレイヤーを透明に近くして、相対的にデバイスの部分を強調することができる。
【0149】
言い換えれば、画像合成部35は、各画像の合成比率の初期値(デフォルト値)に基づいて各画像を合成表示し、合成比率変更部により合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することができる。例えば、ボリュームデータ収集時から透視開始時間の被検体の動きを把握するため、透視開始時(デフォルト値)にはリアルタイム透視像のレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像画像のレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0150】
また、合成比率変更部は、各画像のレイヤーの透明度を時系列に沿って変化させることもできる。例えば合成比率変更部が、段階的にリアルタイム透視像R像の透明度を高めていくと、3Dロードマップ画像Sにおけるデバイスの視認性が向上される。デバイスが挿入されていくにつれて、3Dロードマップ画像Sにおけるデバイスの周囲の部分(背景部分)の合成比率を減少させていき、3次元の血管の画像と、デバイスを強調させた画像を主として表示させるようにすれば、相対的にデバイス等の視認性が向上する。
【0151】
すなわち、合成比率変更部は、リアルタイム透視像Rにマスク処理を施す。例えば、画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vにおける血管が存在する部分とが重畳する部分についてのみ、リアルタイム透視像Rの合成比率を下げる処理を行う。例えば、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合、相対的にボリュームレンダリング画像Vの合成比率が下がる。その結果、ボリュームレンダリング画像Vにおいて血管を示す部分の合成比率が下がる。これによって、表示される3Dロードマップ画像Sにおけるボリュームレンダリング画像の中で血管を示す部分の視認性が低下する事態が生じうる。そこで、上述のマスク処理が行われる。それにより、リアルタイム透視像Rの合成比率を高めた場合でも、ボリュームレンダリング画像Vの視認性が低下する事態を回避可能である。
【0152】
また合成比率変更部は、透視撮影開始、またはデバイス強調画像Dの生成を契機として、合成比率を変化させるまでの時間を計り始める。この時間は予め設定されている。合成比率変更部は、時間を計り始めてから前記した設定時間が経過したときに、合成比率を変更し始める。すなわち、合成比率変更部がさらにリアルタイム透視像Rの合成比率に対して視認性係数kを掛ける。合成比率の変化については、予め変化曲線が設定されており、時間あたりの視認性の係数kの減少率が定まっている。さらに合成比率変更部は、合成比率を変更し始めてから、合成比率の変更を終了するまでの時間を計り始める。この時間も予め設定されている。
【0153】
このように合成比率変更部は、時間を計測しつつ、所定の時間および所定の変化曲線に基づいて、リアルタイム透視像Rの合成比率に対して積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させていく。その結果、透視撮影の進行状況に合わせて、合成画像が変化していき、画像中におけるデバイスの視認性が相対的に強調される。
【0154】
視認性の係数kの値を経時的に減少させていくタイミングは、上述のように透視撮影の開始から所定の時間が経過することによってもよい。ただし、操作者による入力デバイス28の操作を契機としてもよい。また、視認性の係数kの値は経時的に減少していくことが好ましいが、操作者による入力デバイス28の操作によって段階的に減少させてもよい。
【0155】
これらの処理によって、画像合成部35は、3Dロードマップ画像Sを生成する。また、背景やデバイス強調画像D、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vをそれぞれ異なる色で表示するように合成することができる。画像合成部35は、LUT37を用いて、この合成画像のロードマップ部分に特異な色を割り当てることができ、又、階調変換を行うことができる。
【0156】
なお、操作者が、透視撮影開始の指示、デバイスの挿入、ロードマップスイッチの押下、コイルの載置の順で、インターベンション治療等を行う場合は、画像合成部35は次のように動作する。
【0157】
画像処理装置1が入力デバイス28を介して透視撮影開始の指示を受けると、画像合成部35は、透視サブトラクション画像またはデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0158】
操作者が、被検体にガイドワイヤーおよびカテーテルを挿入し、入力デバイス28を介し、これらデバイスを強調する旨の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0159】
操作者が、ロードマップスイッチを押下すると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vを受ける。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0160】
操作者が、被検体の動脈瘤等にコイルを載置し、入力デバイス28を介して、再撮影の指示およびコイル抽出の指示をすると、画像合成部35がデバイス強調画像Dと、リアルタイム透視像Rと、ボリュームレンダリング画像Vとを受ける。合成比率変更部は、これらの画像の透明度を上述のように調整する。画像合成部35は、これらを合成してディスプレイ39に表示させる。
【0161】
(画像処理装置の動作)
次に図7を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図9のフローチャートを参照して説明する。
【0162】
《ボリュームデータの生成》
第2実施形態のX線撮影装置によるボリュームデータを生成する工程については、第1実施形態で説明した内容(図4/S111〜S114)と同様である。したがって、説明を割愛する。
【0163】
《透視撮影》
第2実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成工程については、第1実施形態で説明した内容(図5/S201〜S206)と同様である。したがって、説明を割愛する。
【0164】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0165】
(S251)
透視撮影スイッチを押下し透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0166】
(S252)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S251;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0167】
(S253)
画像処理装置1は、透視撮影開始後またはデバイス強調画像Dの生成の後、所定時間が経過したか判断する。この所定時間とは、リアルタイム透視像R視認性の係数kの減少を開始する時間である。この時間は、画像処理装置1の制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図9において記載の便宜上ステップ251やステップ252の後に記載されているが、判断のタイミングは図9のパターンに限られない。又、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0168】
(S254)
画像処理装置1は、所定時間が経過したと判断した場合(S253;Yes)、合成比率変更部(不図示)は、リアルタイム透視像Rの合成比率に積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させる。この係数kの減少率は、適宜設定される。これにより画像合成部35によって合成される合成画像中におけるデバイスの部分が相対的に強調される。
【0169】
(S255)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S251;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0170】
3Dロードマップスイッチが押下され、ボリュームレンダリング画像Vが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0171】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0172】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像Sやデバイス強調画像D等を表示する。
【0173】
以上のように、第2実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【0174】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかるX線撮影装置について説明する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態と重複する部分について、適宜の説明を割愛する。
【0175】
第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、透視撮影中に撮影における条件変更があると、コイル抽出画像Cの生成を行い3Dロードマップ画像Sの生成に反映させる。また、第3実施形態においては、第2実施形態と同様にリアルタイム透視像の合成比率を透視開始時間の経過に伴って、自動的に減少させる。
【0176】
次に図10を参照し、撮影における条件変更、透視マスク像Mの再生成の指示に応じた画像処理装置1の動作の概要について説明する。なお、この動作は動脈瘤に対するコイル塞栓術の例による。図10は、第3実施形態のX線撮影装置によって3Dロードマップ画像Sが生成される工程を模式的に示す概略ブロック図である。
【0177】
《コイル抽出画像の生成》
図10に示すように、撮影における条件変更または透視マスク像Mの再生成の指示があると、X線撮影機構10が透視マスク像Mおよびリアルタイム透視像Rを再度取得する。さらに、再取得した透視マスク像Mからコイルを抽出し、コイル抽出画像Cを生成する(S401)。
【0178】
《デバイス強調画像の生成》
画像処理装置1は、再取得した透視マスク像Mとリアルタイム透視像Rとをサブトラクション処理することによって、透視サブトラクションデータを得る(S402)。図10において、リアルタイム透視像Rと透視マスク像Mの間に表示される記号「−」は、サブトラクション処理を意味する。また、画像処理装置1は、透視サブトラクションデータに対し、ノイズ抑制処理を施す(S403)。
【0179】
画像処理装置1は、ノイズ制御処理を施された透視サブトラクションデータに対し、線状成分の検出処理等を施す(ワイヤー強調)。その結果、透視像においてガイドワイヤー等のデバイスが相対的に強調されたデバイス強調画像Dが生成される。
【0180】
《マスク処理・合成比率の調整》
画像処理装置1は、リアルタイム透視像Rに対してマスク処理を施す(S405)。画像処理装置1は、さらにリアルタイム透視像Rに対して視認性係数kを掛けて、リアルタイム透視像Rの合成比率を経時的減少させ、合成画像中におけるデバイスを相対的に強調させる(S406)。
【0181】
《3Dロードマップ画像》
画像処理装置1は、デバイス強調画像D、マスク処理されたリアルタイム透視像Rの合成処理が行われる(ステップS407)。さらにボリュームレンダリング画像Vと当該合成処理が行われた画像データとを更に合成処理し、3Dロードマップ画像Sが生成される。また、画像処理装置1は3Dロードマップ画像Sをディスプレイ39に表示させる。
【0182】
このように、第3実施形態に係るX線撮影装置は、第1実施形態におけるコイル抽出画像Cの生成を行う。また、第2実施形態におけるリアルタイム透視像Rの合成比率を経時的に変化させる。これらの処理によって、透視撮影下においてガイドワイヤー、カテーテル、コイル等のデバイスの視認性が向上する。
【0183】
第3実施形態におけるX線撮影装置の全体構成および各部の具体的な構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0184】
第3実施形態における画像処理装置1の構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、画像処理装置1は、A/D変換器26、制御部27、3次元画像メモリ29、2次元画像メモリ30、フィルタリング部31、アフィン変換部32、サブトラクション処理部34、画像合成部35、3次元画像取得部36、LUT(Look−up Table)37、ボリュームレンダリング画像生成部40、サブトラクション画像生成部41、透視マスク像生成部42、血管情報抽出部43、再構成部47、コイル画像生成部48、D/A変換器(Digital/Analog)38、を含んで構成される。画像処理装置1には、D/A変換器38を介してディスプレイ39が接続される。また、画像処理装置1には、ロードマップスイッチを含む入力デバイス28が接続される。制御部27は、画像処理装置1の各部の制御を行う。なお、第3実施形態においては、第2実施形態と異なりコイル画像生成部48を含む。
【0185】
第3実施形態における画像処理装置1の各部の具体的な構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0186】
(画像処理装置の動作)
次に図10を参照して上述した画像処理装置1の処理の詳細を図11のフローチャートを参照して説明する。
【0187】
第3実施形態における画像処理装置1のボリュームデータの生成工程は、第1実施形態および第2実施形態と同様である(図4/S111〜S114参照)。
【0188】
第3実施形態のX線撮影装置によるデバイス強調画像Dの生成工程については、第1実施形態で説明した内容(図5/S201〜S206)と同様である。
【0189】
《画像の合成(3Dロードマップ画像の生成)》
次に、治療フェーズにおける、3Dロードマップ画像Sの生成工程について図11を参照して説明する。図11は、第3実施形態のX線撮影装置による3Dロードマップ画像Sの生成処理の工程を示す概略フローチャートである。
【0190】
(S271)
透視撮影スイッチを押下し、透視サブトラクション画像やデバイス強調画像Dが表示されることに前後して、医師等は当該表示された画像を参照しつつガイドワイヤー、カテーテル等を動脈瘤近辺まで挿入する。動脈瘤近辺までデバイスが挿入されると、操作者が、動脈瘤の位置を正確に把握するために、また動脈瘤へのコイルの挿入状況を確認するために入力デバイス28における3Dロードマップスイッチを押下する。画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたか判断する。
【0191】
(S272)
画像処理装置1は、3Dロードマップスイッチが押下されたと判断した場合(S271;Yes)、ボリュームレンダリング画像生成部40にボリュームレンダリング画像Vを生成させる。すなわち、ボリュームレンダリング画像生成部40は、3次元画像メモリ29からボリュームデータを読み出す。ボリュームレンダリング画像生成部40は、ボリュームデータにボリュームレンダリング等の処理を実施してボリュームレンダリング画像Vを生成する。このボリュームレンダリング等の処理は、X線撮影装置における観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するように行われる。
【0192】
(S273)
画像処理装置1は、透視撮影開始後またはデバイス強調画像Dの生成の後、所定時間が経過したか判断する。この所定時間とは、リアルタイム透視像R視認性の係数kの減少を開始する時間である。この時間は、画像処理装置1の制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図11において記載の便宜上ステップ271やステップ272の後に記載されているが、判断のタイミングは図11のパターンに限られない。又、撮影条件の変更は、入力デバイス28を介して指示される場合もある。
【0193】
(S274)
画像処理装置1は、所定時間が経過したと判断した場合(S273;Yes)、合成比率変更部(不図示)は、リアルタイム透視像Rの合成比率に積算する視認性の係数kの値を経時的に減少させる。この係数kの減少率は、適宜設定される。これにより画像合成部35によって合成される合成画像中におけるデバイスの部分が相対的に強調される。
【0194】
(S275)
画像処理装置1は、デバイス強調画像Dの生成の後、X線撮影装置(X線撮影機構10)における撮影条件の変更があったか判断する。撮影条件の変更とは、観察角度や拡大率あるいは寝台の移動や患者の動き等である。これらの情報は、X線撮影機構10からの情報に基づくか、または透視像等に基づき制御部27等により判断される。なお、上記条件の変更についての判断は、図11において記載の便宜上ステップ271〜ステップ274の後に記載されているが、判断のタイミングは図11のパターンに限られない。
【0195】
(S276)
画像処理装置1は、撮影条件の変更があったと判断した場合(S275;Yes)、コイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対しコイル抽出処理を施す。例えばコイル画像生成部48は、透視マスク像Mに対してローパスフィルター処理により低周波成分を除去する。また、この画像と透視マスク像Mをサブトラクション処理する。さらにコイル画像生成部48は閾値処理を施すことによって、コイルの画素値に対応した閾値によりコイルが示す部分を抽出する。これによりコイル画像生成部48はコイル抽出画像Cを生成する。
【0196】
(S277)
3Dロードマップスイッチが押下されるまで(S271;No)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)およびリアルタイム透視像Rを累積的に合成する。
【0197】
3Dロードマップスイッチが押下され、ボリュームレンダリング画像Vが生成されると、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像Rおよびボリュームレンダリング画像Vを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0198】
コイル抽出画像Cが生成されると(S275;Yes)、画像合成部35は、デバイス強調画像D(サブトラクション画像)、リアルタイム透視像R、ボリュームレンダリング画像Vおよびコイル抽出画像Cを累積的に合成する。これにより3Dロードマップ画像Sが生成される。
【0199】
なお、画像合成部35はそれぞれの画像を異なる色で表示するように合成することができる。また、各画像の合成比率を合成比率変更部により変更することができる。各画像の合成比率の変更により各画像(レイヤー)の透明度を異なったものとすることができる。各画像の透明度は、適宜変更することができる。つまり、透視開始時の透視開始時(デフォルト値)には、被検体の動きを把握するため、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を高くして表示する。そして、被検体の動きがないと確認された後は合成比率変更部により、リアルタイム透視像Rのレイヤーの比率を低くし、ガイドワイヤー等のデバイス画像やボリュームレンダリング画像の視認性を向上させることもできる。
【0200】
合成された画像データは、D/A変換器38によって、アナログに変換されディスプレイ39に送られる。なお、ディスプレイ39によっては、アナログ変換の処理を行わなくてもよい場合がある。ディスプレイ39は、画像処理装置1から受けたアナログ又はデジタルの画像データに基づき、3Dロードマップ画像Sやデバイス強調画像D等を表示する。
【0201】
以上のように、第3実施形態は、医療行為の支援に使用される装置に有用であり、特に、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤー、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行う場合に適している。
【符号の説明】
【0202】
1 画像処理装置
10 X線撮影機構
12 X線管球
14 X線検出器
26 A/D変換器
27 制御部
28 入力デバイス
29 3次元画像メモリ
30 2次元画像メモリ
31 フィルタリング部
32 アフィン変換部
34 サブトラクション処理部
35 画像合成部
36 3次元画像取得部
37 ルックアップテーブル(LUT)
38 D/A変換器(ディジタルアナログ変換器)
39 ディスプレイ
40 ボリュームレンダリング画像生成部
41 サブトラクション画像生成部
42 透視マスク像生成部
43 血管情報抽出部
47 再構成部
48 コイル画像生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームデータから被検体内部の血管の情報を表したボリュームレンダリング画像を生成するボリュームレンダリング画像生成部と、
透視マスク像を記憶するマスク像記憶部と、
デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を収集するリアルタイム透視像生成部と、
前記マスク像記憶部により記憶された透視マスク像と、前記時系列毎に収集されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成するサブトラクション画像生成部と、
前記透視マスク像からコイル画像を生成するコイル画像生成部と、
前記ボリュームレンダリング画像、前記サブトラクション画像、前記コイル画像を合成した画像を生成する画像合成部とを有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記コイル画像生成部は、透視マスク像に対しローパスフィルタ処理を施し、透視マスク像とフィルタリング画像とをサブトラクション処理することによりコイルを抽出することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記画像合成部は、コイル画像、サブトラクション画像、ボリュームレンダリング画像の一つもしくは二つに残りの画像の色とは異なる色相あるいは彩度の色を付して表示させることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記サブトラクション画像生成部は、リアルタイム透視像から透視マスク像をサブトラクション処理して生成された画像に対し、ノイズ低減処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記ノイズ低減処理は、中央値フィルタ処理であることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記サブトラクション画像生成部は、リアルタイム透視像から透視マスク像をサブトラクション処理して生成された画像に対し、線状成分の検出処理を施すことを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記画像合成部は、ボリュームレンダリング画像と、リアルタイム透視画像と透視マスク像とのサブトラクション処理により生成されるサブトラクション画像と、コイル画像の各画像の合成比率を変更する合成比率変更部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記画像合成部は、予め設定された合成比率に基づいて各画像を合成表示し、前記合成比率変更部により該合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することを特徴とする請求項7に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
ボリュームデータに基づいて、医用画像診断装置の状態に応じたボリュームレンダリング画像を生成するボリュームレンダリング画像生成部と、
透視マスク像を生成する透視マスク像生成部と、
デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を生成するリアルタイム透視画像生成部と、
前記透視マスク像生成部により生成された透視マスク像と、前記時系列毎に生成されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成するサブトラクション画像生成部と、
前記ボリュームレンダリング画像、リアルタイム透視像、前記サブトラクション画像を合成して表示させる画像合成部と、
前記リアルタイム透視像の合成比率を経時的に変化させる合成比率変更部と、を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項10】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、予め設定された合成比率の初期値、合成比率の最終値、合成比率の変化開始時間、合成比率の変化終了時間、合成比率の変化曲線のうちの複数の組み合わせ、または、これら全てを因子として変更することを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、透視像収集時間によって変化させることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、観察領域の変更に伴い、変更後の透視像収集時間によって変化させることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項1】
ボリュームデータから被検体内部の血管の情報を表したボリュームレンダリング画像を生成するボリュームレンダリング画像生成部と、
透視マスク像を記憶するマスク像記憶部と、
デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を収集するリアルタイム透視像生成部と、
前記マスク像記憶部により記憶された透視マスク像と、前記時系列毎に収集されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成するサブトラクション画像生成部と、
前記透視マスク像からコイル画像を生成するコイル画像生成部と、
前記ボリュームレンダリング画像、前記サブトラクション画像、前記コイル画像を合成した画像を生成する画像合成部とを有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記コイル画像生成部は、透視マスク像に対しローパスフィルタ処理を施し、透視マスク像とフィルタリング画像とをサブトラクション処理することによりコイルを抽出することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記画像合成部は、コイル画像、サブトラクション画像、ボリュームレンダリング画像の一つもしくは二つに残りの画像の色とは異なる色相あるいは彩度の色を付して表示させることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記サブトラクション画像生成部は、リアルタイム透視像から透視マスク像をサブトラクション処理して生成された画像に対し、ノイズ低減処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記ノイズ低減処理は、中央値フィルタ処理であることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記サブトラクション画像生成部は、リアルタイム透視像から透視マスク像をサブトラクション処理して生成された画像に対し、線状成分の検出処理を施すことを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記画像合成部は、ボリュームレンダリング画像と、リアルタイム透視画像と透視マスク像とのサブトラクション処理により生成されるサブトラクション画像と、コイル画像の各画像の合成比率を変更する合成比率変更部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記画像合成部は、予め設定された合成比率に基づいて各画像を合成表示し、前記合成比率変更部により該合成比率が変更された後は、変更後の合成比率に基づいて各画像を合成することを特徴とする請求項7に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
ボリュームデータに基づいて、医用画像診断装置の状態に応じたボリュームレンダリング画像を生成するボリュームレンダリング画像生成部と、
透視マスク像を生成する透視マスク像生成部と、
デバイス挿入に伴う時系列毎にリアルタイム透視像を生成するリアルタイム透視画像生成部と、
前記透視マスク像生成部により生成された透視マスク像と、前記時系列毎に生成されるリアルタイム透視像とのサブトラクション処理を行ってサブトラクション画像を生成するサブトラクション画像生成部と、
前記ボリュームレンダリング画像、リアルタイム透視像、前記サブトラクション画像を合成して表示させる画像合成部と、
前記リアルタイム透視像の合成比率を経時的に変化させる合成比率変更部と、を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項10】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、予め設定された合成比率の初期値、合成比率の最終値、合成比率の変化開始時間、合成比率の変化終了時間、合成比率の変化曲線のうちの複数の組み合わせ、または、これら全てを因子として変更することを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、透視像収集時間によって変化させることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記合成比率変更部は、リアルタイム透視像の合成比率を、観察領域の変更に伴い、変更後の透視像収集時間によって変化させることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−61307(P2012−61307A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178359(P2011−178359)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]