説明

医療情報処理システムおよび医療情報処理方法

【課題】所定の期日に基づく読影状況を自動で管理することが可能な医療情報処理システムを提供する。
【解決手段】医療情報処理システムにおいて、判定手段22bで、画像アーカイブに記憶された医用画像が、読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎても読影レポートが存在しない場合には、この医用画像が未読影であるものと判定する。また、判定手段22bにより医用画像が未読影であると判定されたときに、レポート管理手段22aで、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に、未読影であると判定された医用画像が未読影であることを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医師らが依頼する読影依頼が適切に処理されるように管理するための医療情報処理システムおよび医療情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CR(Computed Radiography:コンピュータ放射線画像)装置が撮影した人体等の被写体の放射線画像や、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴映像)装置等が再構成した断層画像は、医師等による読影診断に供するために、写真フイルムにハードコピーとして再生されていた。
【0003】
また、近年では、デジタル技術の進歩によりそれらの医用画像をデジタルデータとして生成する画像形成装置が開発されている。このデジタルデータとして取り込まれた医用画像は、CRT等の画像表示装置に表示され、この画像表示装置上で読影作業が行われるようになってきている。
【0004】
これらのデジタルデータの医用画像を管理する方法として、PACS(Picture Archive and Communication System:医用画像保管通信システム)が提案されている。このPACSは、データベースに医用画像を登録、管理、保存し、データベースで管理されている画像が、画像表示装置上へ表示されて読影される(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようなPACSでは、管理する医用画像が膨大な量になるため、データベースに登録されている画像を所定の条件で検索し、検索結果得られた画像の一覧表を画像表示装置上に表示して、読影医はその一覧表から所望の画像を選択し読影するようにしている。
【0006】
これらの医用画像を扱うために、一般的にDICOM(Digital and Communication in Medicine)と呼ばれる規格(医療におけるデジタル画像と通信の規格)に準拠して保存され、このフォーマットは階層構造になっている。
【0007】
一般的に、医用画像の読影は、読影レポートを作成する対象となる検査を一覧表示したワークリストに基づいて行われる。読影医は、ワークリストに含まれている複数の検査の内から、次に読影を行うべき検査を選択することにより、これらの検査についての読影を順次行っていく。しかしながら、ワークリストから読影が行なわれたか未読影であるかという情報を把握することは著しく困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、データベースが管理する医用画像の検索結果をワークリストに表示する際、前記医用画像に対する読影レポートが入力されている場合には、そのことを表すマークを表示することにより、読影医は前記医用画像の読影状況(未読影であるか否か)を容易に把握し、医用画像を読影すべきかどうかを直感的に知ることができるようにしたものがある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−175874号公報
【特許文献2】特開2004−287732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、読影医が医用画像を読影するのは、いつでもよいわけではなく依頼医は次の診察や検査の前に読影をしたレポートを参考にしたいと思っている。特許文献2記載の発明では、医用画像が読影済みであるかを把握することはできるが、読影期限が管理されていないため、読影医はいつまでに読影すればよいかを把握することができない。
【0010】
本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたものであり、所定の期日までに医用画像が読影されたか否かを管理することが可能な医療情報処理システムおよび医療情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による医療情報処理システムは、医用画像を記憶する画像データベースと、
前記医用画像の読影期限に関する情報を記憶する依頼情報記憶手段と、
前記画像データベースに記憶されている医用画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段で表示した医用画像の読影レポートを入力する読影レポート入力手段と、
前記読影レポート入力手段で入力した読影レポートを前記表示した医用画像に対応付けてレポートデータベースへ記憶させる読影レポート保存手段と、
前記医用画像の読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎても該医用画像に対応する読影レポートが前記レポートデータベースに存在しない場合には、該医用画像が未読影であるものと判定する判定手段と、
前記判定手段により前記医用画像が未読影であると判定されたときに、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に、該医用画像が未読影であることを通知するレポート管理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明による医療情報処理方法は、医用画像を記憶する画像データベースに記憶されている医用画像の読影期限に関する情報を依頼情報記憶手段に記憶する依頼情報記憶ステップと、
前記画像データベースに記憶されている医用画像を表示する画像表示ステップと、
前記画像表示手段で表示した医用画像の読影レポートを入力する読影レポート入力ステップと、
前記読影レポート入力手段で入力した読影レポートを前記表示した医用画像に対応付けてレポートデータベースへ記憶させる読影レポート保存ステップと、
前記医用画像の読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎても該医用画像に対応する読影レポートが前記レポートデータベースに存在しない場合には、該医用画像が未読影であるものと判定する判定ステップと、
前記判定手段により前記医用画像が未読影であると判定されたときに、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に、該医用画像が未読影であることを通知するレポート管理ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
ここで、「読影期限に関する情報」とは、撮影された医用画像を読影をして読影レポートを作成する期限の日付や日時に関する情報をいい、「読影期限に関する情報から定められる警告日」とは、読影期限の警告を通知する基準となる日である。また、警告日は読影期限の当日、読影期限より前の日、読影期限を過ぎた日のいずれであってもよい。
【0014】
「読影医」および「読影管理者」はそれぞれ1人に限られるものではなく複数人であってもよい。また、「読影管理者」とは、読影レポートの作成状況を管理するものであり、例えば、ネットワークシステムを管理する者が読影管理者となってもよい。
【0015】
「あて先」とは、医用画像が未読影であることの通知を送信する送信先をいい、例えば、コンピュータのネットワークアドレスやメールアドレスである。また、「依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に通知する」とは、依頼医、読影医および読影管理者が個別に通知を受取ることが可能なPCなどのコンピュータに警告を送信するものであってもよいし、複数人が受信を確認できる装置、例えば、掲示板のようなディスプレイに警告を送信するものであってもよい。
【0016】
また、前記依頼情報記憶手段が、読影を依頼された前記医用画像の読影依頼情報を記憶するものであり、
前記画像表示手段が、前記読影依頼情報が記憶された医用画像を表示するものであり、
前記判定手段が、前記読影依頼情報が記憶された医用画像について判定するものであり、
前記レポート管理手段が、前記判定手段により未読影であると判定された医用画像の読影依頼情報を削除し、前記依頼医のあて先へ該読影依頼情報を送信するものが望ましい。
【0017】
さらに、前記レポート管理手段が、前記未読影の医用画像を優先的に前記画像表示手段に表示させるものが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明による医療情報処理システムでは、所定の期日を過ぎても読影レポートが存在しない未読影の医用画像が存在する場合には、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に未読影の医用画像があることを通知するレポート管理手段が設けられたことにより、依頼医、読影医および読影管理者のいずれかには、未読影の医用画像が画像データベース内に存在することを通知することによって、所定の期日を過ぎても未読影の医用画像があることを容易に把握することができる。
【0019】
これにより、読影医に未読影の医用画像があることが通知され、読影医は読影期限日を過ぎることなく読影することが可能となる。
【0020】
また、依頼医や読影管理に未読影の医用画像があることの通知がなされれば、依頼医や読影管理者が、読影医に対して未読影の医用画像に対する読影を要求する等、読影医に対して適切な働きかけをすることが可能となる。
【0021】
また、特に上記のレポート管理手段が前記画像データベース内に記憶された未読影の医用画像の読影依頼情報を削除する場合は、依頼医は受信したその読影依頼情報の医用画像が読影されていないことがわかる。そのため、未読影の医用画像に対する読影を至急で要求する等、読影医に対して適切な働きかけをすることができる。
【0022】
さらに、特に上記のレポート管理手段が、未読影の医用画像を優先的に画像表示手段に表示させる場合は、読影医は優先的に該医用画像の読影を行うこととなる。そのため、読影医は読影期限を過ぎることなく読影することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態による医療情報処理システムを含んだメディカルネットワークシステムを示すものである。
【0025】
メディカルネットワークシステム1は、放射線科情報システム(RIS)11と、画像収録モダリティ12および13と、医用画像サーバ装置としての画像検索サーバ14と、端末の一つである放射線科ワークステーション16と、レポートサーバ(レポートデータベース)15と、診断用ワークステーション17と、画像アーカイブ装置18および19(画像データベース)と、レーザプリンタ20と、レポート管理装置22がネットワークを介して接続される。
【0026】
ネットワーク10は、例えばイーサネット(登録商標)、FDDIなど、病院構内に配線されたローカルエリアネットワーク(LAN)である。このLANは、専用回線あるいはISDNなどの公衆回線を介して、インターネットに接続されてもよい。
【0027】
画像収録モダリティ12および13は、例えばCT、MRI、CR、RI(Radio Isotope:核医学画像)、US(Ultrasound−imaging:超音波画像)など、患者の画像をデジタルデータとして収録するための装置あるいはシステムである。これは、例えば撮影により取得したアナログの画像信号をデジタル変換してそのまま収録するものであってもよいし、撮影時に一旦フイルムなどに記録された画像を読み取ってデジタルデータを取得するものであってもよい。
【0028】
放射線科情報システム(RIS:Radiology Information System)11は、放射線科内や、放射線科に画像収録を依頼して来る内科や外科等の依頼料に設置されている端末(不図示)と接続され、各依頼科からの患者の撮影を放射線科に依頼する検査オーダや、画像収録モダリティ12、13の撮影状況などの情報伝達を行う情報処理を行うシステムである。
【0029】
検査オーダには、依頼医が収録した医用画像の読影を依頼したことを表す読影依頼情報と、依頼医が入力した読影期日などの読影期限に関する情報を含む。読影期限に関する情報は、読影期限の当日、警告を行なう日、読影期限が過ぎたことを知らせる日など読影期限を管理するための日付や日時を表すものであればよい。
【0030】
画像アーカイブ装置18、19は、画像収録モダリティ12や13により収録された多数の医用画像を記憶するデータベースである。また、医用画像は検査オーダと対応付けて記憶される。本実施の形態では、医用画像の付帯情報に検査オーダのシリアル番号が記録して、検査オーダと対応付ける場合について説明する。
【0031】
レポートサーバ15は、読影医により作成された読影レポートが保存される。本実施の形態では、読影レポートは電子情報としてレポートサーバ15のハードディスク15aに蓄積される場合について説明するが、読影レポートは、フラッシュメモリやMOディスク等の電子情報記録媒体に蓄積するようにしてもよい。
【0032】
放射線科ワークステーション16は、読影医が医用画像を参照しながら読影レポートを作成するために使用する端末である。また、必要に応じて診断に適した画像になるように医用画像に画像処理を施し、処理済画像を参照しながら読影レポートを作成する。
【0033】
診断用ワークステーション17は、依頼医が、医用が画像を参照して診断を行うために使用する端末である。また、必要に応じて画像処理パラメータを変更するなどして診断に適した画像となるように医用画像に画像処理を施し、処理済画像を参照しながら依頼医は診断を行なう。また、この診断用ワークステーション17から放射線科に撮影依頼をする検査オーダを入力してRIS11に送信する。検査オーダを入力する際、依頼医は撮影された医用画像を読影医に読影依頼するか否かを入力し、読影依頼する場合には、さらに読影期限の日付や日時などを入力して、読影依頼情報と読影期限に関する情報を検査オーダに含めて送信する。
【0034】
レーザプリンタ20は、処理済の画像データを可視画像として出力する。レーザプリンタ20への画像の出力は、診断用ワークステーション17から画像検索サーバ14に対して指示を出すことにより実行される。
【0035】
レポート管理装置22は、医用画像のうち読影を依頼された医用画像の読影依頼情報と読影期限に関する情報を記憶する依頼情報記憶手段22cと、読影依頼情報が記憶されている医用画像の読影レポートが、前記依頼情報に含まれる読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎてもレポートデータベースに記憶されない場合は、該医用画像が未読影であると判定する判定手段22bと、判定手段22bにより医用画像が未読影であると判定されたときに、依頼医、読影医、あるいは、検査オーダ情報を管理する読影管理者のあて先に未読影の医用画像があることを通知するレポート管理手段22aとを備える。
【0036】
依頼情報記憶手段22cには、読影依頼情報と読影期限に関する情報を記憶するが、具体的には、医用画像の撮影と撮影した医用画像の読影依頼を行うために出された検査オーダを記憶する。
【0037】
判定手段22bは、依頼情報記憶手段22cに検査オーダが記憶されている医用画像の読影レポートが、警告日を過ぎても医用画像のレポートサーバ15に存在しない場合には、医用画像が未読影であると判定する。具体的には、読影依頼情報を含む検査オーダのシリアル番号をRIS11に入力して撮影された医用画像に対応する読影レポートが存在するか否かを確認する。あるいは、読影レポートがレポートサーバ15に記憶されると、医用画像の付帯情報に読影済みのフラグを付すようにし、判定手段22bでは、この医用画像の付帯情報のフラグを確認して判定を行うようにしてもよい。
【0038】
レポート管理手段22aは、判定手段22bで未読影の医用画像があると判定された場合、読影医のあて先に、医用画像が未読影であることをネットワーク10を経由して通知する。読影医のあて先は放射線科ワークステーション16のネットワークアドレスや、読医師のメールアドレス、電子掲示板のアドレス、携帯端末のメールアドレスなど、読影医が通知を受取ることが可能なものであればよい。本実施の形態では、以下、読影医のあて先を、放射線科ワークステーション16のネットワークアドレスとして説明する。なお、本実施の形態にでは、未読影の医用画像があることを、読影医に通知する場合について説明するが、読影医、依頼医、読影管理者のうちいずれかに通知されればよい。また、読影管理者は画像の読影状況を管理する者であるが、メディカルネットワークシステムのネットワーク管理者などが読影管理者となってもよい。
【0039】
画像検索サーバ14は、放射線科ワークステーション16や診断用ワークステーション17からの医用画像の検索要求があると、画像アーカイブ装置18、19から検査オーダを用いて検索し、その検索結果並びに検索で得た医用画像を放射線科ワークステーション16や診断用ワークステーション17に転送する。
【0040】
次に、放射線科ワークステーション16および診断用ワークステーション17について詳細に説明する。
【0041】
まず、診断用ワークステーション17について、図2を参照してその構成について説明する。診断用ワークステーション17は、画像処理などの種々の処理を実行する中央処理装置(CPU)23と、CRT表示装置等からなる画像表示装置24と、一時的な演算処理結果等を記憶する記憶部25と、キーボードやマウス等からなるマニュアル操作部26とから構成されている。
【0042】
また、プログラムが中央処理装置23により実行され、診断用ワークステーション17を、画像アーカイブ装置18、19に記憶されている医用画像を画像表示装置24上に表示する画像表示手段27と、レポートサーバ15に記憶されている読影レポートを表示する読影レポート表示手段28として機能させる。
【0043】
画像表示手段27は、画像アーカイブ装置18、19から読み出された医用画像を画像表示装置24に表示する。その際、その画像データに対して所定の画像処理を施して表示することもできる。この画像処理の種類および、各種類の処理におけるパラメータは、マニュアル操作部26でなされる操作によって選択することができ、読影診断に適した画像処理やそのパラメータが医師等の経験に基づいて選択される。診断用ワークステーション17を操作している医師等は、こうして表示される原画像や、あるいはそれに画像処理が施された画像を読影して、その被写体について診断を下す。
【0044】
また、読影レポート表示手段28は、レポートサーバ15に記憶されている読影レポートを画像表示装置24に表示させる。依頼医は診断用ワークステーション17に表示されている医用画像を読影して診断を下す他、放射線科から提出される読影レポートを参照して、それに基づいて診断を下す。
【0045】
次に、放射線科ワークステーション16について、図3を参照してその構成について説明する。放射線科ワークステーション16は、画像処理などの種々の処理を実行する中央処理装置(CPU)30と、CRT表示装置等の画像表示装置31と、中央処理装置30に接続されて演算処理結果等を一時的に記憶する記憶部32と、キーボードやマウス等からなるマニュアル操作部33とを備える。
【0046】
また、プログラムが中央処理装置30により実行され、放射線科ワークステーション16を、画像アーカイブ装置18、19に記憶されている医用画像を画像表示装置31上に表示する画像表示手段34と、表示した医用画像の読影レポートを入力する読影レポート入力手段35と、入力した読影レポートを前記表示した医用画像に対応付けて前記データベースへ記憶させる読影レポート保存手段36として機能させる。
【0047】
画像表示手段34は、画像アーカイブ装置18、19から読み出された医用画像を画像表示装置31に表示する。その際、この医用画像に所定の画像処理を施して、その画像処理済みの画像を表示することもできる。この画像処理の種類および、各種類の処理におけるパラメータは、マニュアル操作部33でなされる操作によって選択することができ、読影診断に適した画像処理やそのパラメータが読影医の経験に基づいて選択される。
【0048】
読影レポート40は、図4に示すように、画像表示装置31に医用画像50とともに表示され、この医用画像50を観察しながら作成されるもので、例えば、テキスト形式で記述された読影レポート文41、検査オーダのシリアル番号42、操作情報43a、43b、43cなどが併記される。
【0049】
操作情報43a、43b、43cには、読影のために画像表示装置31に医用画像が表示されていた間に、マニュアル操作部33で、医用画像に画像処理を施すために行なわれた操作などが記録される。
【0050】
マニュアル操作部33では、画像処理の種類を選択する操作や、選択された各画像処理においてパラメータを選択する操作等が行なわれる。また、パラメータの設定により、例えば、ウィンドニング(階調処理)や周波数処理等の条件、MPR(Multi Planar Reconstruction)における断面座標(すなわち任意断面としてどこを選ぶかということ)、複数画像をスタック表示する際のスタック表示速度、拡大処理の選択座標、MIP(Maximum Intensity Projection)処理における投影方向、キーフィルムのタイル表示のフォーマット、各種マーキングの位置、3D処理の閾値や投影方向さらには着色情報等が変えられる。
【0051】
読影レポート入力手段35は、画像表示装置31に表示された医用画像に対する読影レポートを入力する。読影レポート入力手段35は、例えば、図4に示すように、画像表示装置31に医用画像50とともに読影レポート40の入力欄を表示し、読影医が表示された医用画像50を観察しながら、マニュアル操作部33から読影レポートを入力する。
【0052】
読影レポート保存手段36は、読影レポート40の作成が終了すると、医用画像と対応付けて読影レポート40をレポートサーバ15のハードディスク15aに記憶させる。具体的には、例えば、検査オーダのシリアル番号を読影レポート40に付帯して記憶させることで、医用画像と対応付ける。
【0053】
また、本実施の形態では、放射線科ワークステーション16と診断用ワークステーション17とが別個に設けられているが、これらのワークステーション16、17が行う処理を1台のコンピュータによって実行させるようにしても構わない。
【0054】
また、本実施の形態では、ネットワーク10が病院内に設けられているが、このネットワーク10は病院外部と繋がれていても構わない。
【0055】
図5を用いて本実施の形態における処理の流れを説明する。
【0056】
依頼医は、診断用ワークステーション17の端末からRIS11を通して各患者に対して行う検査の検査オーダを出す(STEP1)。
【0057】
検査オーダは、RIS11経由で放射線科ワークステーション16の端末で受信され、技師らは検査オーダに従った画像収録モダリティ12、13で患者の所定の部位を撮影する(STEP2)。
【0058】
撮影された患者の医用画像は、付帯情報に検査オーダのシリアル番号などを記録して画像アーカイブ装置17、18に記憶される。また、読影依頼情報を含む検査オーダは読影依頼が出ているので、撮影が終わると検査オーダがレポート管理装置22に送信されて依頼情報記憶手段22cに記憶される。さらに、判定手段22bで撮影された医用画像が未読影であるか否かを判定するための警告日を、検査オーダの読影期限から定める(STEP3)。
【0059】
放射線科ワークステーション16は、レポート管理装置22の依頼情報記憶手段22cより読影依頼の出ている医用画像の検査オーダの一覧を読み出して、ワークリストとして表示する。画像表示手段34により画像表示装置31に表示されたワークリスト上の医用画像を読影医は読影し、読影レポート入力手段35により読影レポート40を入力する(STEP4)。入力された読影レポート40は、読影レポート保存手段36で、医用画像と読影レポート40とを対応付けてレポートサーバ15のハードディスク15aに保存する。
【0060】
レポート管理装置22の判定手段22bは、依頼情報記憶手段22cに検査オーダが記憶されている医用画像の読影レポートが、警告日を過ぎてもレポートサーバ15に記憶されていない場合は、医用画像が未読影であると判定する(STEP5)。未読影の医用画像がある場合には、レポート管理手段22aより放射線科ワークステーション16(あるいは、読影医のメールアドレス)に未読影の医用画像があることを通知する(STEP6)。この通知により、読影医はSTEP4に戻って読影レポート40を作成する。
【0061】
なお、未読影の通知は読影医ではなく依頼医、読影管理者でもよい。また、彼らを経由して読影医に未読影の医用画像が存在することを通知するようにしてもよい。
【0062】
作成された読影レポート40は、読影レポート保存手段36により医用画像と対応付けられた上でレポートサーバ15のハードディスク15aに記憶される。また同時に、医用画像は画像アーカイブ装置17,18に記憶される(STEP7)。
【0063】
依頼医は、診断用ワークステーション17を使用してある患者について診断する際に、検査オーダのシリアル番号や患者のID番号などを用いて、RIS11を経由で、その患者を撮影した医用画像を画像アーカイブ装置18、19から読み出し、さらに、その医用画像の読影レポート40をレポートサーバ15から読み出して、医用画像50と読影レポート40を画像表示装置24に図4に示すように表示させる(STEP8)。
【0064】
また、依頼医が、表示された読影レポート40を見て、操作情報43a、43b、43cにカーソルを合わせてマウスをクリックする等の操作を行うと、読影レポート40の作成時に行なわれた操作に従った画像処理が再現され、依頼医は、どのような表示画像に基づいて読影レポート40が作成されたのかを把握して、正確な判断を行なうことができる。
【0065】
なお、上述のように読影レポート40の中の操作情報43a、43bあるいは43cや画像識別データ42にリンクを張っておくことは必ずしも必要ではなく、診断用ワークステーション17の操作者が、表示された画像識別データ42を見てそれが示す画像データの取得要求を別途の操作で出すようにしたり、表示された操作情報43a、43bあるいは43cを見て、それらの各々が示す操作を別途マニュアル操作で行うようにしてもよい。
【0066】
以上説明したように、医用画像の読影状況を管理することが可能な医療情報処理システムが提供される。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の医療情報処理システムおよびメディカルネットワークシステムは、前述した第1の実施の形態と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
ここで、図6を用いて本実施の形態における処理の流れを説明する。
【0069】
STEP1からSTEP4は第1の実施例と同様である。
【0070】
判定手段22bは、警告日に基づいて医用画像が未読影であるか否かを判定し(STEP5)、未読影の医用画像であると判定した場合、レポート管理手段22aは依頼情報記憶手段22cに記憶された未読影の医用画像の検査オーダを削除し、診断用ワークステーション17(あるいは、依頼医のメールアドレス)へその検査オーダを送信する(STEP16)。検査オーダを受信した依頼医は読影医に対して再度読影の依頼をすることで、読影医はSTEP4に示したワークフローで読影レポート40を作成する。
【0071】
なお、検査オーダは読影医、読影管理者のメールアドレスに送信してもよい。読影管理者に送信された場合、読影管理者は読影医に未読影の医用画像が存在することを通知すればよい。
【0072】
STEP7からSTEP8は第1の実施例と同様である。
【0073】
以上説明したように、医用画像の読影状況を所定の期日で管理することが可能な医療情報処理システムが提供される。また、システム障害等による原因で読影されなかった場合、検査オーダが依頼医のあて先へ送信されることで、依頼医は読影医に直接依頼をする等、適切な処理を行うことが可能となる。
【0074】
次に、本発明の第3の実施の形態を詳細に説明する。なお、なお、本実施の形態の医療情報処理システムおよびメディカルネットワークシステムは、前述した第1の実施の形態と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
図7を用いて本実施の形態における処理の流れを説明する。
【0076】
STEP1からSTEP4は第1の実施例と同様である。
【0077】
判定手段22bは、警告日に基づいて医用画像が未読影であるか否かを判定し(STEP5)、未読影の医用画像であると判定した場合、レポート管理手段22aは未読影の医用画像を優先的に画像表示手段34に表示させることで、画像表示装置31に表示されたワークリストにはその未読の医用画像が優先的に表示される(STEP26)。その結果、読影医はSTEP4に示したワークフローで読影レポート40を作成する。
【0078】
なお、優先表示においては、未読影の検査の表示サイズを大きくする等、該未読影の検査の表示に特徴をつけることの他、他の検査にマスキング処理を行うことで該未読影の検査のみ表示することが好ましい。
【0079】
STEP7からSTEP8は第1の実施例と同様である。
【0080】
以上説明したように、所定の期日に基づく読影状況を自動で管理することが可能な医療情報処理システムが提供される。また、未読影の医用画像をワークリスト上で優先的に表示することにより、読影医は読影期限が迫ったものをはっきりと認識でき、適切に読影の処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施例の形態によるメディカルネットワークシステムを示す概略構成図
【図2】診断用ワークステーションの概略構成図
【図3】放射線科ワークステーションの概略構成図
【図4】読影レポートの表示状態を示す概略図
【図5】第1の実施例の形態のワークフロー
【図6】第2の実施例の形態のワークフロー
【図7】第3の実施例の形態のワークフロー
【符号の説明】
【0082】
12、13 画像収録モダリティ
14 画像検索サーバ
15 レポートサーバ
16 放射線科ワークステーション
17 診断用ワークステーション
18、19 画像アーカイブ装置
22 レポート管理装置
40 読影レポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を記憶する画像データベースと、
前記医用画像の読影期限に関する情報を記憶する依頼情報記憶手段と、
前記画像データベースに記憶されている医用画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段で表示した医用画像の読影レポートを入力する読影レポート入力手段と、
前記読影レポート入力手段で入力した読影レポートを前記表示した医用画像に対応付けてレポートデータベースへ記憶させる読影レポート保存手段と、
前記医用画像の読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎても該医用画像に対応する読影レポートが前記レポートデータベースに存在しない場合には、該医用画像が未読影であるものと判定する判定手段と、
前記判定手段により前記医用画像が未読影であると判定されたときに、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に、該医用画像が未読影であることを通知するレポート管理手段とを備えたことを特徴とする医療情報処理システム。
【請求項2】
前記依頼情報記憶手段が、読影を依頼された前記医用画像の読影依頼情報を記憶するものであり、
前記画像表示手段が、前記読影依頼情報が記憶された医用画像を表示するものであり、
前記判定手段が、前記読影依頼情報が記憶された医用画像について判定するものであり、
前記レポート管理手段が、前記判定手段により未読影であると判定された医用画像の読影依頼情報を削除し、前記依頼医のあて先へ該読影依頼情報を送信するものであることを特徴とする請求項1記載の医療情報処理システム。
【請求項3】
前記レポート管理手段が、前記未読影の医用画像を優先的に前記画像表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2記載の医療情報処理システム。
【請求項4】
医用画像を記憶する画像データベースに記憶されている医用画像の読影期限に関する情報を依頼情報記憶手段に記憶する依頼情報記憶ステップと、
前記画像データベースに記憶されている医用画像を表示する画像表示ステップと、
前記画像表示手段で表示した医用画像の読影レポートを入力する読影レポート入力ステップと、
前記読影レポート入力手段で入力した読影レポートを前記表示した医用画像に対応付けてレポートデータベースへ記憶させる読影レポート保存ステップと、
前記医用画像の読影期限に関する情報から定められる警告日を過ぎても該医用画像に対応する読影レポートが前記レポートデータベースに存在しない場合には、該医用画像が未読影であるものと判定する判定ステップと、
前記判定手段により前記医用画像が未読影であると判定されたときに、依頼医、読影医および読影管理者のあて先のうち少なくとも一つのあて先に、該医用画像が未読影であることを通知するレポート管理ステップとを備えたことを特徴とする医療情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−272698(P2007−272698A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99375(P2006−99375)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】