説明

医療情報管理システム

【課題】 特定の作業画面を呼び出すことなく、種々の患者情報を簡単に取得できる医療情報管理システムを提供すること。
【解決手段】 医療情報を電子データにて管理する医療情報管理システムにおいて、モニタに前記医療情報を作成するための複数の作業画面を切り換え表示する表示制御手段であって、患者の名前を含む識別情報の表示欄を前記各作業画面に形成させるとともに前記識別情報に用いられない患者の付加情報をアイコン形式にて前記識別情報表示欄に表示させる表示制御手段と、前記識別情報表示欄に表示される前記アイコンを指定する指定手段と、該指定手段による前記アイコンの指定に応じて対応する前記患者付加情報を画面上に表示させる付加情報表示手段と、を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療情報を電子データとして管理する医療情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子カルテ等の電子化した医療情報をネットワーク上で管理する医療情報管理システムにおいて、患者に関連する詳細情報を医用画像に合わせて表示する技術が知られている(特許文献1 参照)。また、患者の受付から診察、会計に到るまでの診療行為を管理する医療情報管理システムが知られている(特許文献2 参照)。
【特許文献1】特開2004−305387号公報
【特許文献2】特開2003−6328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のシステムにおいては、来院した患者の諸情報(例えば、病歴、診療状況等)を得るためには、電子カルテを表示する作業画面や、患者の検査・診療の状況が判る作業画面等の特定の作業画面を各々呼び出して、そこから患者の情報を得ることとなる。このため、別の作業画面を開いた状態で患者の諸情報を得たい場合には、作業画面を切り換える必要があり、作業効率が悪い。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、特定の作業画面を呼び出すことなく、種々の患者情報を簡単に取得できる医療情報管理システムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を持つことを特徴とする。
【0006】
(1) 医療情報を電子データにて管理する医療情報管理システムにおいて、モニタに前記医療情報を作成するための複数の作業画面を切り換え表示する表示制御手段であって、患者の名前を含む識別情報の表示欄を前記各作業画面に形成させるとともに前記識別情報に用いられない患者の付加情報をアイコン形式にて前記識別情報表示欄に表示させる表示制御手段と、前記識別情報表示欄に表示される前記アイコンを指定する指定手段と、該指定手段による前記アイコンの指定に応じて対応する前記患者付加情報を画面上に表示させる付加情報表示手段と、を有することを特徴とする。
(2) (1)の医療情報管理システムは、該医療情報管理システムを使用する使用者の権限を設定するためのログイン画面を有し、前記表示制御手段は前記ログイン画面にてログインした使用者の権限に基づいて前記識別情報表示欄への前記患者付加情報の表示/非表示を行うことを特徴とする。
(3) (2)の医療情報管理システムにおいて、前記患者付加情報は患者の身体情報,病歴情報,コメント情報,初診日情報,アレルギー情報、禁忌情報の少なくとも一つであることを特徴とする。
(4) (1)の医療情報管理システムにおいて、前記識別情報表示欄に表示する前記患者付加情報は該患者に対して行う項目において未済の項目であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の作業画面を呼び出すことなく、種々の患者情報を簡単に取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に図面を用いて本発明の医療情報管理システムの実施形態を説明する。図1は医療情報管理システムの概要を示す図である。本発明の実施形態である医療情報管理システムは医療情報を電子化し、サーバによって、一括管理するものであり、病院内LANによりに構築される。10は管理サーバを示し、11はサーバ本体を示す。12はサーバ本体11に搭載されたCPUであり、医療情報管理システムの主要な演算処理を担う。13はサーバに搭載されたハードディスクであり、システムの全データと医療情報の全データが蓄積される。それらのデータはすべて管理サーバ10で一元管理される。後述する管理サーバ10に接続される各クライアントはデータの表示のみを行う。14はハードディスク13に保存されているプログラムで、医療情報管理システムを統合、制御する。
【0009】
20はクライアントであり、ハブ15を介して管理サーバ10と接続されている。クライアント20には以下のようなものがある。来院した患者の受付等の手続きを行う受付用クライアント、患者の検査データ等を管理する検査用クライアント、カルテの記載や管理、閲覧等をする診察用クライアント。診察の済んだ患者の医療費を算出したり、次回診察等の予約等をする会計用クライアント、である。実際上は、受付用クライアントと会計用クライアントは共用されてもよい。
【0010】
それぞれのクライアント20は管理サーバ10と接続され、患者の情報等を管理、閲覧をするパーソナルコンピュータ(以下PCと略す)を本体に持つ。このような一般的に用いられるPCを医療情報処理装置として用いることができる。22はPC21に接続され、後述する各種の作業画面を表示するためのモニタである。23と24はPC21に接続された入力手段で、23はキーボード、24はマウスである。25はLANケーブルであり、管理サーバ10と各クライアント20をハブ15を介してそれぞれ接続し、ネットワークを形成する。21aは、PC21に内臓され、本システムのプログラムの実行や各種の処理(判定、保存、呼出等)、表示等の制御を行う制御手段であり、CPU、メモリ等から構成される。21bは、PC21に内臓され、本システムのプログラムやデータ等が記憶されるハードディスクである。制御手段21aとハードディスク21bは他のクライアントのPC21にもそれぞれ用意されている。これらのプログラムは管理サーバ10と連携し、管理サーバ10に保存されている医療情報をPC21上で仮想的に管理、閲覧、変更しているかのようなサーバ・クライアントシステムを構築している。
【0011】
検査用クライアントにおいて、PC21は各種検査機器と接続され、検査機器で得られた患者の検査データはハードディスク21bに保存される。検査機器としては、例えば、眼底カメラ30で被検眼の眼底写真を撮影する。検査機器で得られたデータはPC21を介して管理サーバ10のハードディスク13へと送られる。
【0012】
診察用クライアントにある24aは、PC21に接続されるもう1つのモニタである。デュアルモニタ表示に対応したPCであれば、1つのPCで2つのモニタを同時に使うことができる。デュアルモニタ表示とは、それぞれのモニタに別々の情報を表示させるものを言う。例えば、カルテ画面をモニタ24、検査画面をモニタ24aに表示させたり、また、カルテ画面とインフォームドコンセント用画面をそれぞれのモニタに表示させたりできる。さらに、同じ画面をそれぞれのモニタに表示したり、同じ画面を分割してそれぞれのモニタに表示させることもできる。
【0013】
以上の説明では、サーバ・クライアント間をLANケーブルにより接続し、医療情報管理システムをLANで構築したが、これに限るものではない。WANにより構築してもよい。例えば、インターネット回線により、病院間を接続し、病院間の一元的医療情報管理や遠隔医療に用いてもよい。また、LANをLANケーブルによる接続に限定しなくてもよい。医療機器に影響のない電波を用いた無線LAN、例えばPHSを用いた無線のLANを構築して用いてもよい。
【0014】
次に本発明の実施形態である医療情報管理システムの画面構成を順を追って説明する。以下に説明する医療情報管理システムの操作は、各作業画面上に表示されているカーソルをマウス等のポインティングデバイスで移動させ、画面上のボタンやアイコン等を選択(クリック)して行う。また、同様にしてカーソルを移動させ、入力欄を選択して、キーボード等の文字入力装置により文字やコードを入力して操作をする。
【0015】
図2は医療情報管理システムの複数の権限グループのアクセス権限を設定する権限設定画面(メンテナンス画面)を示す図である。医療情報管理システムの設定用プログラムを起動する。図2(a)において、100は本実施形態の医療情報管理システムのメンテナンスを行うマスタメンテナンスウインドウであり、各部署、部屋及びそれらの対応付け、ユーザグループ、各個人の権限レベルや各ユーザの認証情報(ログイン名やパスワード等)を、このウインドウを用いて設定することができる。図示するように、ウインドウ100には、部署や部屋等の設定項目がツリー表示101にてつり下がっている。例えば、このツリー表示101から部署を新規登録したい場合には、マウス24を操作して画面上に表示されているカーソルを移動させて、「部署」を選択することにより、部署を設定することができる部署設定ウインドウ120を画面上に開くことができる。このようにして、複数の第1権限グループである部署を設定する。
【0016】
部署設定ウインドウ120は、眼科、内科、耳鼻科等の診療科や医事、薬局等の病院内の部署が予め複数用意されており、これらを部署設定ウインドウ120に用意されている各種のボタンアイコン(追加、更新、削除等)を用いて必要とする部署を新規に登録する。同様にツリー表示101から「部屋」を選択すると、図示なき部屋設定ウインドウが表示され、各種の部屋を新規に登録することができる。部屋としては、例えば、受付、診察室、検査室、会計等が用意されている。このようにして、第1権限グループである部署に対して下位の位置付けとなる複数の第2権限グループである部屋を設定する。
【0017】
次に、前述で設定した部署と部屋の関連付けを行う。前述の設定方法と同様にツリー表示101から「部署・部屋関連付け」を選択すると図示なき部署・部屋関連付けウインドウが表示される。このウインドウでは先に設定した部署と部屋のリストがそれぞれ表示されており、各部署に対して登録したい部屋をマウス24で選択し、ボタンアイコン(追加、削除等)を用いて関連付けの登録を確定させる。関連付けの例としては、眼科という部署に対し、診察室、検査室、暗室等を関連付けることや、医事という部署に受付と会計を関連付ける例が挙げられる。このようにして、第1権限グループである部署と第2権限グループである部屋とを関連付ける。
【0018】
次に、ツリー表示101の「ユーザグループ」を選択すると、図示なきユーザグループ設定ウインドウが起動される。前述の部署等の設定と同様にユーザグループの名称(分類)やその権限を設定できる。図2(b)は、図示なきユーザグループ設定ウインドウにより設定された権限を示し、本システムの作業画面(受付画面、診察画面、検査画面等)に対する各ユーザグループの権限を示す表である。なお、図2(b)において、「○」は読み書き可能、「△」は参照のみ可能、「×」はアクセス不可を示す。
【0019】
なお、本実施形態では、図示するように、ユーザグループの名称を「医師」とした場合には、カルテ作成画面及び検査画面において読み書きできる設定としている。また、ユーザグループの名称を「医師(診察)」とした場合には、このユーザグループであれば、カルテ作成画面において読み書き可、検査画面にはアクセス不可の設定としている。
【0020】
このような設定は、医師に限らず、必要に応じてユーザグループの名称を追加し、対応する権限を各ユーザグループ毎で設定することにより、システムの使用権限を任意に設定できる。作業画面における権限の変更は、各項目をクリックすることにより、その項目の権限状態を変えて行う。また、各項目にプルダウンメニューを設けて、権限を選択する変更方法でもよい。
【0021】
部署と部屋の関連付けと、ユーザグループを確定させた後に、ユーザの登録と権限の設定を行う。ツリー表示101で「スタッフ」を選択すると、スタッフ(ユーザ)設定画面130が起動される。スタッフ各個人の名前とログイン名、パスワードの登録は登録欄131を用いて登録する。職員種別欄132ではプルダウンメニューから予め設定したスタッフの種別を選択する。職員種別はユーザグループで先に設定したものとは異なり、後に分類し易くするための項目である。133は前述のユーザグループの選択欄である。プルダウンメニューにより、ユーザグループを選択する。これらの設定をボタンアイコン(確定、適用、取消等)を押すことにより登録させる。これにより、ユーザ毎にシステム上の権限を細かく割り当てることができる。例えば、ユーザグループ上の「医師」であっても設定により、検査の権限を制限できることで、検査室を利用できる医師と利用できない医師を分けてユーザ登録できる。
【0022】
部署及び部屋関連付けとユーザグループの対応は、ツリー表示101に形成される部署・部屋設定項目102を選択することにより表示される図示なき部署・部屋設定ウインドウによって行う。このウインドウには先に登録したユーザグループと、関連付けをした部署・部屋のリストがそれぞれ表示されている。ユーザグループのリストから設定したいユーザグループを選択し、部署・部屋のリストから対応させたい部署と部屋の組み合わせを選択し、図示なきボタンアイコン(追加、削除等)により登録用リストを編集して、さらに、図示なきボタンアイコン(保存、取消、適用等)により対応設定を確定させる。対応の例としては、例えば、ユーザグループ「医師」に部署「眼科」で部屋「診察室」と、部署「眼科」で部屋「暗室」を対応させることが挙げられる。以上説明した操作により、各個人(ユーザ)に部署や部屋の権限を付加して医療情報管理システムに登録する。
【0023】
これによりユーザグループで付与される権限に部署・部屋毎の制限をかけることができる。例えば、あるユーザが職員種別を「医師」、部署を「眼科」、部屋を「診察室」及び「暗室」と登録された場合、そのユーザは医師であっても、他部署である「耳鼻科」のカルテを参照するだけで、書き込むことはできない。眼科のカルテにのみフルアクセス(読み書き)可能であり、また、診察室と暗室しかログインする権限を持たない(後述)。従来では医師の権限を持つユーザであれば、どのような診療科であっても患者のカルテにフルアクセスすることができたが、本発明によれば、部署と部屋でも権限が制限されるため、カルテ等の個人情報は無闇に編集されることがなく、システムのセキュリティが向上する。
【0024】
また、同じ部署に所属する医師であっても、検査室へのアクセスレベルに差が付加されるために、無用に検査室が利用されることがない。例えば、医師2名が共に眼科と内科に所属する場合、一方の医師は眼科、内科の双方とも検査室にアクセス可能とするが、もう一方の医師は内科の検査室にのみアクセス可能で、眼科の検査室にはアクセス不可と設定することができる。カルテのアクセスに関しても同様で、同じ診療科に所属する医師であっても、カルテの権限が、読み書き可能なのか参照のみなのかを設定できる。
【0025】
以上、説明したようにそれぞれのユーザに対して「ユーザグループ」で権限を細かく割り当て、さらに「部署」「部屋」を割り当てることによって、医師や看護師等の職員種別毎の細かい権限設定に加えて、部署や部屋毎に権限の設定ができる。これによって、カルテ等の個人情報の閲覧を細かく制限することにより医療情報管理システムのセキュリティレベルが向上する。
【0026】
次に医療情報雄管理システムで用いられる各作業画面構成を説明する。図3はログイン画面を示す図である。このログイン画面を用いて各ユーザがログイン名(ユーザ名、ユーザIDもしくはアカウント)とパスワードを入力することで、ログインし、システムの機能を利用する。図3はログイン画面を示す図である。200はログインウインドウを示す。201はログイン名とパスワードを入力する入力欄である。202は部署を、203は部屋を、それぞれのプルダウンメニューにより選択する選択欄である。選択欄202、203では予め設定されたアクセス可能な権限グループのみが選択可能に表示されている。その制御は制御手段21aにより行われる。つまり、ログインでは先に述べたシステム設定により予め登録されたユーザしかログインできない。
【0027】
図3(a)はログインにおいてログイン名を入力する画面を示している。図示するようにログイン名のみを入力欄201に入力しただけでは、選択欄202、203は非アクティブ状態で操作を受け付けない。ここで、図3(b)に示されるように、登録されているログイン名とパスワードを入力欄201に入力すると、図3(b)で示されるように選択欄202、203が操作を受け付けるアクティブ状態となり、プルダウンメニューから各ユーザに対して先に設定した部署と部屋を選択できるようになる。つまり、ログイン名とパスワードという認証情報の入力によってアクセス可能な権限グループのみを選択可能に表示する。
【0028】
部署と部屋の選択肢は、先に述べたシステム設定においてユーザグループと部署・部屋の対応で登録した項目しか表示されない。例えば、ユーザグループ「医師」で、対応する部署と部屋の登録が、部署「眼科」で部屋「診察室」と、部署「眼科」で部屋「暗室」である場合は、ログイン時に選択欄202には眼科のみが、選択欄203には診察室と暗室のみが表示される。
【0029】
ログイン画面がこのような構成を取ることによって、ログインする部署や部屋を簡単に選択できる。また、ログインできる部署や部屋しか選択肢に表示されないため、ログインにおける選択の煩雑さが低減する。さらに、ユーザは権限の与えられていない部署、部屋にはログインできないため、医療情報管理システムのセキュリティレベルが向上する。
【0030】
次に各部署において、医療情報管理システムにログインした時の受付画面の構成を説明する。部署「受付」の権限を持つユーザがログインすると、図4で示される受付ウインドウ300が起動される。301はナビゲータボタンであり、医療情報管理システムに共通して表示され、受付や検査、診察、会計といったそれぞれの画面に対応して備わる機能の変化するランチャーとなる。受付や検査といった作業画面は、それぞれが複数の表示画面を持っており、ナビゲータボタン等で切り換え表示される。この画面上におけるナビゲータボタン301は特に受付管理に特化したものである。患者一覧を表示する等の機能がボタンのクリックだけで起動できる。これらの作業画面の表示や、画面に表示されているボタンの使用による画面の切り換え、つまり、表示制御は制御手段21aによって行われる。
【0031】
310は患者リストであり、受付処理の済んだ患者が順番にリストに登録される。311は患者リスト310の各項目が表示されている。項目の例としては、例えば、患者番号や患者名、年齢といった個人情報や、予約の有無や、受付、検査、診察、会計等といった診療行為の進捗状況を示す患者ステータス等が挙げられる。患者番号は患者のカルテ作成時に、患者毎に付与される識別情報である。800は患者リスト311で選択された患者の識別情報や詳細情報を表示する患者情報表示部である。患者の識別情報としては、例えば、名前や性別、生年月日等で、詳細情報としては、例えば、主治医、初診日、最終来院日等である。この患者情報表示部800は、各作業画面の上部に共通して設けられている。
【0032】
312は患者の現在の状況を示す患者ステータスである。313はステータスマークリストであり、図示するようにシンボルマークである「丸(円)」図形の塗り潰し度合いで、患者の今の状態が「受付中」なのか「中断」しているのか等が、簡単にわかるようになっている。例えば、患者311aの欄の312aは「受付」を表すステータスマークであり、患者ステータス312の「診察」の欄にあるため、患者312aの診療状況は「診察受付」であると判る。患者ステータス312は後述する検査や診察の画面にもこれと同様に表示される。患者ステータスはシステムで一元管理されており、例えば、受付の状態から検査に入ると、ステータスは検査中となる。検査中となった患者ステータスは、その患者を参照しているすべての画面に反映され、患者ステータスの検査の項目にあるステータスマークが「検査中」を表す図形になる。患者ステータス変更には自動トリガと手動トリガがある。自動トリガとしては、例えば、診察においてカルテを保存する操作や検査において検査データを保存する操作、割り当てるものが考えられる。手動トリガとしては、例えば、検査において視力検査をした後に、検査者が患者ステータスをクリックすることによって変更するものが考えれれる。つまり、トリガは診察や検査等の医療行為を確定させる操作を割り当てる。患者ステータスを変更する権限は先に設定した部署と部屋によって制限されている。
【0033】
以上の説明では、ステータスマークを丸(円)の図形をシンボルマークとし、その図形の塗り潰し度合いでステータスを表現したが、これに限るものではない。シンボルマークは三角や四角等の多角形や楕円等であってもよい。また、シンボルマークによるステータスの変化は形や色の変化で表してもよい。例えば、検査中だと赤丸、検査済みだと黒丸としてもよいし、検査中だと三角、検査済だと丸としてもよい。さらに、ステータスマークを視覚的に把握しやすいようなグラフィックとしてもよい。例えば、診察の受付中なら人が椅子に座った「待ち」を模擬する様子としたり、診察済みなら椅子だけで人がいない「終了」を模擬する様子としてもよい。
【0034】
このように患者ステータスがシステムで一元管理され、それぞれの部屋で相互にリンクすることにより、患者の現在の状況が他の部署からも簡単に把握できる。
【0035】
900は受付画面において選択された患者の診療状況を示すステータスアイコンである。ステータスアイコン900は、受付、検査、診察、会計等の診療に関する画面にはすべて表示されるもので、上述した患者情報表示部800の一部の領域に形成されており、患者診療の進行状況に基づいて、まだ残っている(未だ診療していない未済の)診療行為を示すアイコンである。ステータスアイコンの表示例としては、会計アイコン900a、診察アイコン900b、視力検査アイコン900c、散瞳アイコン900d、眼底撮影アイコン900e等である。これらのアイコンは診療行為を視覚的に掴み易い図表、例えば、会計アイコン900aであれば「財布」、散瞳アイコン900dであれば「瞳」となっている。ステータスアイコン900にカーソルを重ねる又はクリックすると、そのアイコンのタイトルがポップアップで表示される機能がある。
【0036】
ステータスアイコン900は診療行為が決定されるとそれに準じたアイコンが表示され、診療行為が進むにつれて、アイコンが表している診療行為が終わると削除される。このトリガは先で述べた患者ステータス312の場合と同様である。つまり、ステータスアイコン900は患者ステータス312とリンクして表示されることとなる。ステータスアイコン900は患者情報表示部800の付近に配置される。このため、患者リスト311をわざわざ見なくても、患者情報表示部800に表示されている患者の残りの診療行為(患者ステータス)が簡単にわかる。
【0037】
なお、ステータスアイコン900は診療行為の途中で追加される場合もある。その例としては、診療行為が途中で変更となる場合、例えば、診察中に再検査や追加検査となる場合である。その際の追加のトリガは追加検査項目の保存である。また、散瞳アイコン900dが表示されると散瞳の目安となる時間のカウントダウンが患者リスト311に表示される。そして、カウントダウンが散瞳するであろう所定の時間に達すると、散瞳アイコン900dは点滅し、患者リスト311でも散瞳の表示色が変わり(例えば、赤色)になり、検査者等に時間を知らせる。
【0038】
このステータスアイコンにより、患者の診療状況の残りが表示されるため、視覚的に簡単に分かる。また、患者ステータスをアイコンで表示することにより、患者リストを開くことなく患者のステータスを知ることができる。特に、カルテや検査データ等を開いている時、つまり、患者リストを開いていない時にも簡単に患者のステータスがわかる。
【0039】
910は画面において選択された患者の付加情報を記載、表示できる情報アイコンである。情報アイコン910の例としては、患者メモアイコン910a、身体情報アイコン910b、初診日一覧アイコン910c、アレルギー他情報アイコン910d、病歴アイコン910eである。情報アイコン910には診療時、例えば、患者のカルテを記載する際や検査時等において、カルテ、検査取込ウインドウ等の作業画面を開いている時に患者の一号紙や二号紙を開かなくとも、詳細な情報を取得できる。情報アイコン910は患者の識別情報や詳細情報が表示されている画面(受付ウインド等)で、そこには表示されない患者の詳細な情報を付加的に表示する。情報アイコン910の身体情報アイコン910b、アレルギー他情報アイコン910d等は患者カルテの一号紙からのリンクにより、また、病歴アイコン910e初診日一覧アイコン910cは二号紙からのリンクに情報が更新され取得される。患者メモアイコン910aには医師や検査者等が任意に情報を書き込む。情報アイコン910のいずれかをカーソル等で選択すると患者の詳細情報の記載されたウインドウが表示される。ウインドウ内にはそれぞれのアイコン910a〜eに対応した情報が得られる。なお、アレルギー他情報アイコン910dには感染症や禁忌情報が付加される。
【0040】
情報アイコン910により表示される患者の情報は、読むだけでなく、書き込むこともできる。読み書きに関しては患者カルテと同様に権限によって、読むだけなのか、読み書きの両方ができるのか、全く閲覧できないのかが制限される。例えば、医師や検査技師等の権限では詳細情報の読み書きが可能であるが、看護師の権限では読み取りしかできない。また、事務職員の権限では閲覧できないという制限である。この制限には先で説明したログイン時の権限に基づく。患者付加情報である情報アイコンの識別情報表示欄への表示/非表示は、ログインしたユーザ(使用者)の権限に基づいて行われる。
【0041】
情報アイコン910は、情報の重要度によって、他人にチェックをできるアラート機能を有している。例えば、患者メモアイコン910aによって表示されたウインドウには患者に関するあらゆる情報をメモすることができ、その上、その情報が重要であるならば、ウインドウ内の重要チェックボックスをカーソルでチェックできる。チェックボックスをチェックしてからメモを保存すると、患者メモアイコン910aが点滅して、患者メモのチェックを他人に促すことができるようになる。
【0042】
このような情報アイコンによって、患者の詳細な情報を簡単に共有化でき、個人情報のセキュリティも向上する。
【0043】
以上、説明したステータスアイコンや情報アイコンは、近くに配置されるのが好ましい。近くに配置されることによって、患者のステータスや詳細情報が、ウインドウの一部分を見るだけで把握できる。
【0044】
なお、以上説明した実施形態ではステータスアイコンや情報アイコンにおいて、注意の促し方を点滅としたが、これに限るものではない。アイコンの色の反転や、PCにスピーカを設けて、アラームを鳴らすことで注意を促してもよい。
【0045】
次に検査画面の説明をする。図5は検査室にログインした時の画面を示す図である。部署「検査」の権限でユーザがログインすると検査ウインドウ400が起動される。401はナビゲータボタンであり、先に説明したものと同様である。ナビゲータボタン401は検査に特化した構成となっている。410は患者リスト、411は患者リスト410の各項目、412は患者ステータス、413はステータスマークリストであり、受付ウインドウ300の310〜313と同様である。800は患者情報表示部、900はステータスアイコン、910は情報アイコンである。これらは先に説明したものと同様の構成、機能を持つ。
【0046】
ここでナビゲータボタン401の説明をする。検査ウインドウ400のナビゲータボタン401には、診療室トップや受付トップ等の各部屋が項目となっているプルダウンメニュー402、各種ボタン403が備えられる。各種ボタン403には、患者一覧ボタン403aやイメージングボタン403b等のランチャー機能を持つボタンがある。プルダウンメニュー402で各部屋を選択すると、各部屋に応じた設定のナビゲータボタンの配置になる。例えば、患者一覧ボタン403aをカーソルで選択すると、患者リストが表示され、イメージングボタン403bを選択すると、イメージング画面(取り込み画面)が表示される。
【0047】
なお、各種ボタン403にはシステム設定によりファイル操作や詳細情報表示の機能を割り当てることができる。例えば、ツールバーアイコン451の機能をナビゲータボタン401に割り当てるのが好ましい。この場合には後述のイメージング画面上部のツールバーアイコンの表示が必要なくなるため、イメージング画面をツールバーアイコン451がある位置まで拡大することができる。また、ツールバーアイコンのような画面上に配置されたアイコンの機能をナビゲータボタンに付加することに限らない。ウインドウにあるメニューの機能を割り当てることもできる。またさらに、診察室等でのデュアルモニタ表示ではプライマリモニタとセカンダリモニタでナビゲータボタンの配置が異なるように設定することもできる。
【0048】
ナビゲータボタン401のカスタマイズは図示なきシステム設定画面で行う。受付や診察室等の部屋毎に図示なきナビゲータボタン設定ウインドウを起動し、画面上でナビゲータボタンに付加する機能をウインドウ内のリストから選択し、図示なき追加ボタンや削除ボタンで追加、削除を行い、設定が決まれば、図示なき確定ボタンでその設定を保存する。
【0049】
従来のボタン配置が変更できなかったランチャー機能を持つナビゲータボタンでは、ボタンのカスタマイズができないために、ボタンに付加されない機能はツールバーや別のアイコンから起動するしかなかった。しかし、このようなナビゲータボタンの設定機能により、配置されるアイコンの機能を画面の邪魔にならない位置に移動させることができ、画面を広く使うことができる。
【0050】
検査ウインドウには、前述した受付画面と同様に、患者情報表示部800にはステータスアイコン900情報アイコン910が形成されている。
【0051】
440は検査リストであり、選択された患者の検査項目が表示される。検査リスト440では検査名やその数量が表示される。検査名としては、例えば、眼底撮影、NCT(非接触眼圧測定)がある。
【0052】
図6は検査ウインドウ400のナビゲータボタン401の「イメージング」ボタンを選択すると起動されるイメージングウインドウ450である。このウインドウには患者情報表示部800の下部にツールアイコン451が配置されている。ツールアイコン451は、保存アイコン451aや符号なき削除アイコン、印刷アイコン等のファイル操作をするアイコンで構成される。保存アイコン451aをクリックする操作をトリガとして、検査データの転記がなされる(後述)。
【0053】
検査画面では、患者の検査を行った後に検査結果を取り込む。例えば、眼底カメラ30で眼底写真を撮影し、その画像データを検査画面を表示している検査クライアントのPC21へと取り込む。取り込んだ検査データはカルテ(診察画面)が表示されている診察クライアントのPC21へと転記される。
【0054】
次に診察画面(カルテ作成画面)の構成を説明する。部屋「診察室」の権限を持つユーザがログインすると、図7で示される診察ウインドウ600が起動される。601は診察用のナビゲータボタンである。800は患者情報表示部、900はステータスアイコン、910は情報アイコンである。これらは先に説明したものと同様の構成、機能を持つ。640はカルテであり、641〜643の3つの画面で構成されている。641は新規カルテ表示であり、診察当日の患者の諸情報や、SOAP(主訴、理学的所見、評価、計画)を記載、閲覧する。642は過去カルテ表示であり、患者の過去のカルテを参照することができる。643は診療履歴であり、過去のカルテから抽出した、日付とその時の所見や病名等がリストとして表示される。カルテ640において、過去のカルテを変更する場合には変更履歴が残るようになっており、必要に応じて変更履歴の表示、ナビゲータボタンの図示なき切換ボタンで表示/非表示を切り替えられる。カルテ640はカーソルやキーボードの入力により、縦スクロールにより表示画面を切り換える。なお、新規カルテ表示641はスクロールにより過去のカルテを見ることができる。カルテ640には実際のカルテのバインダ(止め具)を模擬するグラフィックを表示して、視覚的にカルテと分かり易いようにしている。
【0055】
カルテ640は、以上説明したようなレイアウトだけでなく、他のレイアウトも利用できる。新規カルテ表示641のみを全画面表示させたり、新規カルテ表示641を見開き表示にさせたりできる。見開き表示では、実際のカルテと同様な使用感覚を得ることができ、カーソル等によって、擬似的に見開きページをめくるように見せることができる。ページのめくりはナビゲータボタン601の次ページボタンや前ページボタンで行う。この時バインダ表示644がカルテの見開き表示を視覚的に掴み易くする。カルテ640には記載される患者の検査データは検査室からのデータ転記によって成される。転記に伴うカルテ記載の承認システムについては後述する。
【0056】
カルテを記載する上での記入アシスト機能について説明する。診察画面において、ナビゲータボタン601の「メニュー」から図示なきアイコン「入力アシスト」を選択すると、図8で示される入力テンプレートウインドウ700が起動される。ウインドウ700にはSOAPから記入項目を選択する項目アイコン701と、カルテを記載する上での記載フォーマット(どこが、いつから、どのように等)欄702が表示されている。例えば、項目アイコン701から「主訴」を選択すると、図にあるように記載フォーマット欄に主訴に相応しい語句が表示され、主訴のある部位や時期、程度等の項目にそれぞれ選択肢が現れる。これらの中から適宜組み合わせて選択すると、記載欄703に組み合わせた語句からなる文章が記入される。記入する文章が決定すれば、ウインドウ700内にあるボタンアイコン(確定等)でカルテへの記載を確定する。この入力テンプレート機能によって、カルテ記載時の記入漏れが低減できる。
【0057】
このようなカルテ記載のテンプレートが、処方薬を決定する上でも利用される。診察ウインドウ600において、ナビゲータボタン601の「SPセット選択」ボタンを選択すると、図示なきSPセットウインドウが起動し、医師の診断に応じた処方薬のテンプレートのリストが表示される。テンプレートのリストの例としては、緑内障治療セットとして、眼圧降下剤と血流改善薬の組み合わせ等が挙げられる。このテンプレートリストはユーザ側でカスタマイズできる。
【0058】
次に会計画面の構成について説明する。部署「会計」の権限を持つユーザでログインすると、図示なき会計ウインドウが起動される。この会計ウインドウは受付ウインドウ300と実質的に同じである。会計ウインドウでも他のウインドウと同様に患者リスト、ナビゲータボタン、患者情報表示部、ステータスアイコン、情報アイコン等を持っている。会計では患者ステータスの中で「診察」の項目が「確認済」となったものの医療費を計算する。診療日当日に記載されたカルテにある検査や診察、治療にそれぞれ付された保険点を基に計算する。
【0059】
「診察」が「確認済」となるトリガは、例えば、医師がカルテの保存をする操作とするのが適している。また、このような自動トリガでなくてもよい。患者ステータスをカーソル等の手動で「確認済」と変更してもよい。
【0060】
次に本発明の実施形態である医療情報管理システムの動作を、先に述べた構成に基づいて各項目毎に説明する。
【0061】
はじめに医療情報管理システムの各クライアントを利用するためのログインについて説明する。図3のログインウインドウ200は各クライアントにそれぞれ同じものとして表示される。ログインするユーザはログインウインドウ200に、先の説明で登録したログイン名(ユーザ名)とパスワードを入力欄201に入力する。入力されたものが予め登録されてユーザ名とパスワードであるかの認証が行われる。認証適合となれば、部署の選択欄202、部屋の選択欄203をアクティブ(選択可能)にし、認証不適合となれば、図示なきエラーダイアログが表示される。
【0062】
選択欄202、203がアクティブとなると、そこには、ユーザの権限に基づいて、選択できる部屋や部署しか表示されない。ユーザはこの中からログインしたい部署と部屋を選択して、ログインウインドウ200の「OK」ボタンをクリックして、医療情報管理システムにログインする。各クライアントにログインする場合に、選択欄202、203の組合せとして考えられるのは、例えば、受付クライアントであれば、「部署」が医事で「部屋」が受付、検査クライアントであれば、「部署」が眼科で「部屋」が検査室、診察クライアントであれば、「部署」が眼科で「部屋」が診察室、会計クライアントであれば、「部署」が医事で「部屋」が会計といったものが挙げられる。選択欄202、203の表示はユーザの権限によって異なる。
【0063】
以上説明した実施形態のシステム設定及びログインであると、医療情報管理システムにおいてのユーザ権限を部署と部屋を関連付けて権限を付加できる。また、各個人毎にも簡単に権限が設定できる。それに加えて、このような権限の細分化をしつつも、ログイン時の部署や部屋の選択で煩雑さが低減できる。
【0064】
なお、以上説明した本実施形態では、ログイン(個人認証)をユーザ名とパスワードの入力としたがこれに限るものではない、本システムの各クライアントにIDカードや無線ICチップ(RFID)等のデバイスリーダや、指紋や声紋、または、網膜、虹彩、掌等の血管パターンや署名時の筆圧、速度等を用いたバイオメトリック認証(生体認証)用リーダ等を設けて、個人認証をさせてもよい。また、本実施形態ではログイン名とパスワード入力欄に入れることにより、部署や部屋の選択欄には権限のある項目しか表示されないとしたが、これに限るものではない。権限のないものも表示させてもよい。その場合は、権限のない項目は非アクティブ状態とし、選択できなかったり、権限のある項目と比べて表示の色や濃度が異なっていればよい。
【0065】
「部署」が医事で「部屋」が受付のユーザがログインすると、図4の受付ウインドウ300が起動される。受付では来院した患者を医療情報管理システムに登録し、検査や診察等の診療を受けるための手続きをとる。患者は患者リスト310に追加登録され、患者ステータス311のステータスマーク312が表示される。それとリンクして、ステータスアイコン900には患者の受診するべき診療行為が表れる。例えば、この患者は眼科を受診し、受付時点で視力検査と眼底撮影と診察の3つを受診する予定となったとする。患者ステータス311の「診察」「視力検査」「散瞳」「眼底撮影」「会計」にステータスマーク312が「受付」の状態で表示される。それとリンクしてステータスアイコン900には会計アイコン900a、診察アイコン900b、視力検査アイコン900c、散瞳アイコン900d、眼底撮影アイコン900eが表れるとする。ここで、散瞳は患者の瞳孔を開くために処置で、眼底撮影の為に不可欠であるために眼底撮影の前に行われる。
【0066】
次に患者は検査室に入る。検査室で「部署」が眼科で「部屋」が検査室のユーザ(検査者、検査技師や看護師)がログインすると検査ウインドウ400が起動される。ユーザである検査者は検査ウインドウ400の患者リスト410と患者ステータス411を見ると、患者の検査項目が視力検査と眼底撮影であることがわかる。検査クライアントであるPC21は検査室の検査機器、一例として眼底カメラ30等と接続されており、検査データをイメージング機能によりハードディスク21bに取り込むことができる。写真等の画像を取り込むイメージング機能はナビゲータボタン403のイメージングボタン403bを押すことによって起動されるイメージングウインドウ450により実現される。
【0067】
検査者は患者の視力を視力表等で測定し、その結果を検査ウインドウ400の図示なきテンプレートウインドウに記入される。テンプレートウインドウはナビゲータボタン401の「テンプレート」ボタンをカーソルで選択することで起動される。検査者が患者の視力検査の結果を記入した後に、患者ステータス412の「視力検査」の項目のステータスマーク413をカーソルで選択して、確認済みとする。この操作をトリガとして、ステータスアイコン900の視力検査アイコン900cが削除される。
【0068】
続いて、検査者は患者の眼底撮影に入る。眼底撮影の前に患者の瞳孔を開くために、散瞳剤を点眼する。検査者は患者ステータス412の「散瞳待ち」をカーソルでクリックすると所定時間(15〜30分)のカウントダウンが開始される。所定時間が経過すると、患者の「散瞳待ち」が点滅し、検査者に注意を促す。同時に、散瞳アイコン900dも点滅して注意を促す。検査者が散瞳を確認して、ステータスマーク413をカーソルでクリックすると、「散瞳待ち」は済みとなり、それをトリガとして、散瞳アイコン900dは削除される。
【0069】
患者の散瞳が終わると、眼底撮影を行う。眼底カメラ30で撮影された眼底写真は、検査ウインドウ400のイメージングウインドウ450に表示される。検査者が眼底写真をツールバーアイコン451の保存アイコン451aをカーソルでクリックすると、眼底写真のデータは管理サーバ10上のハードディスク13に保存され、後述する診察クライアント上で開いているカルテ640上には検査データの転記承認ダイアログ480が表示される。検査データの保存に関わる操作が転記のトリガとなる。眼底写真を保存する操作をトリガとして、患者ステータス412の「眼底カメラ」項目のステータスマーク413が確認済みへと変更される。同様に、眼底撮影アイコン900eが削除される。
【0070】
検査データを保存すると、検査データには、システムで用いる識別情報(患者コード)が制御手段21aにより付与される。患者コードには前述の患者番号と患者が検査した検査日が含まれる。検査機器により得られた検査データは一時的に検査クライアントのPC21に保存されるが、保存操作によってハードディスク13上の中間ファイル(フォルダ)に保存される。
【0071】
なお、以上の説明では、検査データの取り込みを眼底写真と視力検査としたが、これ以外の場合、例えば、レフラクトメータ等による他覚的な視力検査の場合は検査ウインドウのバックグラウンドで起動されている図示なきレフラインウインドウに自動的に結果が記載される。また、視野等の手書きデータは、ナビゲータボタンのスキャナボタンで起動される図示なきスキャナウインドウにより取り込まれる。スキャナウインドウでもイメージングウインドウと同様の操作で検査データを保存、転記する。また、検査データを検査クライアントのPCに一時的に保存した後に、管理サーバのハードディスク上に保存したが、これに限るものではない。管理サーバ11に検査データを一時(又は長期)保存するデータベースを設けてもよい。
【0072】
患者は次に診察室へと入る。「部署」眼科で「部屋」診察室の権限を持つユーザ(医師)が診察クライアントへとログインすると診察ウインドウ600が起動される。医師は診察する患者を図示なき患者リストから選択し、ナビゲータボタン601のSOAPボタンをクリックすると、カルテ640が表示される。カルテには一号紙と二号紙があり、一号紙には患者の基本情報、例えば、名前、性別や身長等の身体情報、アレルギーや禁忌等が記載され、二号紙には患者の診療記録や検査データ、所見等が記載される。また、カルテにも前述と同様の患者コードが付与される。
【0073】
カルテ640を開くと、先程検査した検査データの転記承認を依頼する図9に示す転記承認ダイアログ480が表示される。ダイアログ480は取得した検査データをカルテに転記するか否かの選択ウインドウであり、検査データの項目を示すデータリスト481と検査データを読み込むための読込ボタン482がついている。医師は取り込みたい検査データを項目毎についているチェックボックスで選択し、取込ボタン482を押すことで、転記の承認を行う。転記承認により検査データはハードディスク13上の中間ファイルからカルテファイルに転記され、カルテ640上に画像として表示される。転記されなかった検査データは参照用データとしてハードディスク13に保存され、参照データとしてカルテ640上から参照できる。制御手段21aが参照用検査データ保存手段として働く。参照データはカルテ二号紙からの図示なき参照ボタンから起動する図示なき参照ウインドウにより閲覧できる。参照ボタンが参照用検査データ呼出手段として機能する。このとき、カルテに転記された検査データも参照ウインドウで見ることができる。
【0074】
ダイアログ480には、現在開いている患者のカルテに関する検査データしか表示されない。つまり、複数の患者の検査データが転記待ちであっても、転記の承認がされるのは、現在開いている(もしくは開く)カルテの患者についてのみである。この検査データとカルテとの適合は、先に述べた患者コードに基づいて、判定手段である制御手段21aが行う。
【0075】
なお、以上の実施形態では検査データの転記において、診察画面に承認ダイアログを表示し、ユーザの承認を得た上で転記を行っていたが、これに限るものではない。デュアルモニタで診察画面(診察ウインドウ)と検査画面(検査ウインドウ)がそれぞれ表示させている場合、転記承認ダイアログを表示しないようにしてもよい。上記のようにデュアルモニタを使用している場合は医師が検査も診察も行っている場合が想定されるため、転記承認のダイアログを出すことなく、カルテへの転記を自動的にしてもよい。これにより、転記承認が省略でき、作業効率を上げられる。
【0076】
転記の一連の動作をフローチャートを用いて説明する。図10(a)は検査データ保存時に診察画面でカルテが開かれていた場合の転記フローチャートで、(b)はカルテが開かれていなかった場合の転記フローチャートである。検査クライアントのPC21の検査画面に表示されている検査データが保存されると、検査データはハードディスク13上の中間ファイルに保存される。その信号に基づいて、検査クライアントの制御手段21aは、診察クライアントの制御手段21aに検査実施を通知する。つまり、検査データを中間ファイルに保存したことを通知する。次に診察クライアントの制御手段21aは、今開いているカルテの患者コードと検査データの患者コードが一致するかを判定する。不一致の場合には、検査データは転記されず、転記動作が終了される。一致する場合は、カルテに検査データをロードし、ダイアログ480を表示する。転記の承認があれば、制御手段21aは検査データをカルテに転記し、転記動作を終える。
【0077】
検査データの保存時に、カルテが開かれていない場合は、診察クライアントの診察画面でカルテが開かれると、診察クライアントの制御手段21aがハードディスク13上の中間ファイルがチェックする。制御手段21aは、中間ファイル内に実施済みの検査データがあるか否かを判断し、なければ転記動作をせずに終わる。検査データがあれば、そのデータと今開いたカルテとの患者コードを制御手段21aが比較し、患者識別情報である患者コードが一致するか否かを判定する。一致しなければ転記動作をせずに終了し、一致すれば先程と同様に中間ファイルからデータをロードし、ダイアログ480を表示する。転記の承認があれば、検査データをカルテに転記し、動作を終える。なお、検査実施通知はカルテ画面に表示することもできるし、非表示にすることもできる。また、検査データは転記されても、されなくても、ダイアログ480で転記するかしないかの選択を受けると、参照用データとしてハードティスク13に保存される。
【0078】
このようにして、的確に患者の検査データがカルテに転記又は参照される。医師が転記した主要な検査データはわざわざ参照ウインドウを起動しなくても、カルテ640上で確認できる。また、検査されたすべての検査データはすべて参照データとして閲覧できる。これにより、効率的な診療が行える。
【0079】
以上の説明では、転記のトリガを検査クライアント側での検査データの保存によるものとし、自動的な転記としたが、これに限るものではない。手動トリガとしてもよい。その場合は転記を促すダイアログにより、転記する又はしないや転記する検査データが選択できてもよい。
【0080】
以上説明したような検査データのカルテへの転記方法にすることで、検査データを扱う検査クライアント側の保存をトリガとして自動的にカルテへの転記がなされるため、カルテ転記の煩雑さが軽減される。
【0081】
なお、以上説明したカルテにおいて、検査データとカルテとをリンクさせて、さらに、患者情報の整合性を高める。整合税の取り難い問題としては、例えば、医療行為名称が眼底カメラ撮影である検査は、検査は何回してもよいが、月に一回の実施に対してしか医療費の請求ができない。この為、同日に右眼と左眼の眼底写真を別々に撮ると(例えば、右眼の眼底写真を撮った後に、医師が追加で左眼の眼底写真を撮るような場合)、医療行為名称「眼底写真(片)」が2つできてしまう。このため、会計では最初に撮影した片眼についてのみ、医療費の請求ができない。
【0082】
本発明の実施形態では以下のような方法で上記の問題を解消する。眼底カメラ撮影において、検査オーダが片眼(例えば、右眼)のみであり、検査データがカルテに転記されたとする。その際の医療行為名称は「眼底カメラ撮影(片)」となる。この状態で新たに検査オーダを発行し、もう一方の眼(左眼)の眼底写真を撮り、カルテに転記すると、診察クライアントの制御手段21aが検査済みの情報をチェックして、カルテ上の眼底写真検査の記載を「眼底カメラ撮影(両)」とする。逆に、カルテ上に転記された両眼の眼底写真のうち片眼を削除すると、カルテの記載が「眼底カメラ写真(片)」と変更される。これにより、検査項目の変更が正確に記載される。なお、以上の説明は医療行為名称が眼底カメラ撮影の場合としたが、これに限るものではない。医療行為名称が片眼と両眼とでは医療行為名称が異なるもの、例えば、視野検査や精密視野検査等であってもよい。
【0083】
以上説明したように、検査データの変更がカルテに反映されると共に、検査クライアントの制御手段21aは検査済みの内容を会計クライアント側に送信する。会計クライアントの制御手段21aは変更された実施済み検査の保険点数に即して、医療費の計算を行う。
【0084】
このため、カルテの転記ミスが減少する。また、実施済み検査により会計時の医療費を計算するため、医療費計算での間違いが低減される。
【0085】
カルテにSOAPを記載する際に、先に述べた入力テンプレートウインドウ700の記入アシスト機能が利用される。医師は患者の検査データや所見や処置などをカルテに記載していき、診断を下す。また、必要に応じて治療薬などを処方する。治療薬の処方においても、先に述べた図示なきSPセットウインドウにて処方する。
【0086】
医師が診察を終え、ナビゲータボタン601の「診察終了」を選択すると、カルテの内容は保存され、その操作をトリガとして、患者ステータスの「診察」項目のステータスマークが確認済みのものに変更される。それに伴って、診察アイコン900bが削除される。
【0087】
患者の検査や診察が終了すると、ステータスアイコン900には会計アイコン900aしか表示されていない。この状態になると、会計での医療費計算が行われる。会計では「部署」医事で「部屋」が会計の権限を持つユーザが会計クライアントにログインし、患者の会計処理を行う。患者の医療費はカルテに記録されている検査や診察等に付与された保険点数により自動的に計算され、患者に請求される。患者が医療費を支払うと、会計クライアントのユーザは図示なき会計ウインドウにおいて、患者ステータスの「会計」項目を確認済みとし、この患者の一連の診療を終える。
【0088】
なお、本実施形態では、受付時に患者が行くべき診療行為のすべて(検査、診察、会計)を検者ステータスとステータスアイコンに表示したが、これに限るものではない。会計のステータスは診療が終わった後に表示させてもよい。診察が終われば、会計になるため、このような表示方法にすると、患者ステータスやステータスアイコンが見やすくなる。
【0089】
会計計算の際に、会計クライアントの制御手段21aは前述の中間ファイルをチェックする。中間ファイルには患者の検査データが保存されており、データがカルテに転記されるか、参照データとなるはずである。しかし、会計クライアントの制御手段21aが中間ファイルの中にどちらの処理もなされていない検査データを発見すると、医療費請求できない検査とみなし、エラーを診察クライアントの制御手段21aに送る。それに伴って、診察クライアントの制御手段21aは診察画面に医師にチェックを促す表示をする。これにより、医療費請求漏れや検査データのカルテへの転記漏れが低減できる。
【0090】
会計では必要に応じて次回の予約をする。予約については、医師の指示により、カルテに大体の予定が記載される。会計では、患者の予定と、医師の記載した予約情報(例えば、次回にどのような検査をするか等の予定)を摺り合せる。会計担当者は、医師や検査技師の予定や、検査機器の使用予定を管理する図示なき予約スケジューラを起動し、患者の予定をきいて、次回の予約日や来院時間等を決める。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の医療情報管理システムの概要を示す図である。
【図2】医療情報管理システム設定をする画面を示す図である。
【図3】医療情報管理システムへログインする為のログイン画面を示す図である。
【図4】受付ウインドウを示す図である。
【図5】検査ウインドウを示す図である。
【図6】イメージングウインドウを示す図である。
【図7】診察ウインドウを示す図である。
【図8】入力テンプレートウインドウを示す図である。
【図9】転記承認ダイアログを示す図である。
【図10】転記フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0092】
10 管理サーバ
12 CPU
13 ハードディスク
20 クライアント
21 PC
21a 制御手段
21b ハードディスク
30 眼底カメラ
100 マスタメンテナンスウインドウ
200 ログインウインドウ
300 受付ウインドウ
301、401、601 ナビゲータボタン
400 検査ウインドウ
450 イメージングウインドウ
600 診察ウインドウ
640 カルテ
480 転記承認ウインドウ
800 患者情報表示部
900 ステータスアイコン
910 情報アイコン







【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療情報を電子データにて管理する医療情報管理システムにおいて、モニタに前記医療情報を作成するための複数の作業画面を切り換え表示する表示制御手段であって、患者の名前を含む識別情報の表示欄を前記各作業画面に形成させるとともに前記識別情報に用いられない患者の付加情報をアイコン形式にて前記識別情報表示欄に表示させる表示制御手段と、前記識別情報表示欄に表示される前記アイコンを指定する指定手段と、該指定手段による前記アイコンの指定に応じて対応する前記患者付加情報を画面上に表示させる付加情報表示手段と、を有することを特徴とする医療情報管理システム。
【請求項2】
請求項1の医療情報管理システムは、該医療情報管理システムを使用する使用者の権限を設定するためのログイン画面を有し、前記表示制御手段は前記ログイン画面にてログインした使用者の権限に基づいて前記識別情報表示欄への前記患者付加情報の表示/非表示を行うことを特徴とする医療情報管理システム。
【請求項3】
請求項2の医療情報管理システムにおいて、前記患者付加情報は患者の身体情報,病歴情報,コメント情報,初診日情報,アレルギー情報、禁忌情報の少なくとも一つであることを特徴とする医療情報管理システム。
【請求項4】
請求項1の医療情報管理システムにおいて、前記識別情報表示欄に表示する前記患者付加情報は該患者に対して行う項目において未済の項目であることを特徴とする医療管理情報システム。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−338521(P2006−338521A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164340(P2005−164340)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】