説明

医療排出物トレーサビリティシステム

【課題】 病院から排出された医療排出物が各業者によって滅菌および油化処理されたという確認手段が整備されたトレーサビリティ技術を提供する。
【解決手段】 第一識別子が貼付された空容器60に、病院1から出された医療排出物が排出され、排出用容器50となった空容器60を、減容処理装置21を積載した車両20で回収し、滅菌減容処理後に回収した排出用容器50を油化プラント2へ運搬し、油化処理装置70によって油化処理が実施されるシステムである。減容処理の際に排出用容器50に付与された第一識別子を読み込み、滅菌減容処理を実施したことを証明可能な滅菌減容証明用データを作成する。また、油化処理の際には、減容後容器に付与された第二識別子を読み込み、油化処理を実施したことを証明可能な油化処理証明用データを作成する。これらの証明用データは、病院1や排出物滅菌処理業者に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出物について回収し、減容処理し、油化処理するといった各段階についてのトレーサビリティを実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場で発生する感染性医療排出物は、当該排出物を収容するための所定の容器に入れられて収容される。滅菌処理には、焼却処理や薬物処理、若しくは高温、高圧の蒸気処理といった各種の処理方法が存在する。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されるような技術が開発された。この技術によれば、引火点及び発火点がプラスチックの溶融点よりも高い性質を持つ油を使用し、加熱したこの油の中にその殆どがプラスチックで占められている上記の感染性医療排出物を一定時間浸漬する。そのことによって、滅菌及び溶融した後、冷却して固相プラスチックとして回収することができる。そして、回収された固相プラスチックは油化プラントへ運搬されて油化され、資源の再利用が達成される。
【0004】
【特許文献1】特開2000−7820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、感染性医療排出物が排出および滅菌処理されてから油化処理されるまでの各過程は、それぞれ当業者のみによって処理される。したがって、処理が確実に行われたか、等の状況は、外部からは客観的に把握できない。
すなわち、病院が排出した医療排出物が確実に排出および滅菌処理されたか否かの確認手段が整備されていないため、病院側にとっての不安材料になっていた。
また、排出処理業者にとっても排出、滅菌処理を遂行したという証明手段がなかった。
さらに、排出処理業者は、滅菌処理した医療性排出物を油化処理業者に受け渡すのみであって、その後、油化処理業者によって確実に油化処理されたか否かの確認手段も整備されていなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、病院から排出された医療排出物が各業者によって滅菌および油化処理されたという確認手段が整備されたトレーサビリティ技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、第一識別子(30)が貼付された空容器(60)に、病院(1)から排出された医療排出物が排出され、排出用容器(50)となった空容器(60)を、滅菌減容処理を可能な減容処理装置(21)を積載した車両(20)で回収し、滅菌減容処理後に回収した排出用容器(50)を油化プラント(2)へ運搬し、油化処理装置(70)によって油化処理が実施される医療排出物トレーサビリティシステムである。
前記病院に設置された病院側端末装置と、前記減容処理装置(21)における業者側端末装置と、前記油化処理装置(70)におけるプラント側端末装置とが通信ネットワークによって接続されており、前記減容処理装置(21)は、前記排出用容器(50)に付与された第一識別子(30)を読み込む第一識別子読み込み手段(23)と、その読み込んだ第一識別子(30)から滅菌減容処理を実施したことを証明可能な滅菌減容証明用データを作成する滅菌減容証明用データ作成手段と、前記減容処理装置(21)が滅菌減容処理を実施した後に、前記業者側端末装置が前記病院側端末装置に対して滅菌減容証明用データを送信する滅菌減容証明用データ送信手段と、滅菌減容処理された減容後容器(50b)に対し、第二識別子(40)を貼付する第二識別子貼付手段(25)と、を備え、その第二識別子(40)が貼付された減容後容器(50b)を前記車両(20)にて油化プラント(20)へ運搬され、前記油化プラント(2)における油化処理装置(70)は、前記減容後容器(50b)に付与された第二識別子(40)を読み込む第二識別子読み込み手段(72)と、その読み込んだ第二識別子(40)から油化処理を実施したことを証明可能な油化処理証明用データを作成する油化処理証明用データ作成手段と、前記油化処理装置(70)が油化処理を実施した後に、前記プラント側端末装置が前記病院側端末装置に対して油化処理証明用データを送信する油化処理証明用データ送信手段と、を備え、前記病院側端末装置は、業者側端末装置から送信された滅菌減容証明用データと、プラント側端末装置から送信された油化処理証明用データとを受信する証明データ受信手段と、を備えた医療排出物トレーサビリティシステムに係る。
【0008】
(用語説明)
「第一識別子」とは、空容器の個体識別を可能とする管理コードや識別コードなどのことであり、例えば、一次元バーコード、二次元バーコードなどがある。なお、この第一識別子は予め空容器に貼付されており、別途、管理対照表などによって管理されている。
「空容器」とは、医療排出物が排出される前の状態の容器を示す。
「排出用容器」とは、空容器に医療排出物が排出された後の状態の容器を示す。
「減容後容器」とは、排出用容器が減容処理装置によって滅菌減容処理された後の状態の容器を示す。
「第二識別子」とは、滅菌減容後の空容器(減容後容器)を個体識別可能な識別コードなどのことである。例えば、IDによって管理されるICチップなどの形態がある。
「第一識別子読み込み手段」とは、第一識別子を読み込む機能を有するものであり、例えば、バーコードリーダなどがある。
「第二識別子読み込み手段」とは、第二識別子を読み込む機能を有するものであり、例えば、無線によって第二識別子を読み込むIDリーダなどがある。
【0009】
(作用)
減容処理装置の第一識別子読み込み手段が、排出用容器に付与された第一識別子を読み込む。
読み込んだ第一識別子から滅菌減容処理を実施したことを証明可能な滅菌減容証明用データを作成する。(減容処理の開始信号または終了信号などをトリガーとして滅菌減容証明用データを作成する。)
作成した滅菌減容証明用データは、業者側端末装置から病院側端末装置に送信する。
また、第二識別子貼付手段が滅菌減容処理された減容後容器に対し、第二識別子を貼付する。
油化処理装置の第二識別子読み込み手段が、減容後容器に付与された第二識別子を読み込む。
読み込んだ第二識別子から油化処理を実施したことを証明可能な油化処理証明用データを作成する。(油化処理の開始信号または終了信号などをトリガーとして油化処理証明用データを作成する。)
病院側端末装置は、業者側端末装置から送信された滅菌減容証明用データと、プラント側端末装置から送信された油化処理証明用データとを受信する。
すなわち、病院から排出された医療排出物が、第一識別子が貼付された空容器に入れられ、減容処理装置で滅菌減容処理されると、その滅菌減容処理を実施したという証明データを病院側端末装置に送信する。病院は、滅菌減容証明用データを受信することで、自らの病院から排出された医療排出物が確実に滅菌減容処理されたという証明データを保持することができる。
また、滅菌減容処理された減容後容器が、油化処理装置によって油化処理されると、その油化処理されたという証明データを病院側端末装置に送信する。病院は、油化処理証明データを受信することで、自らの病院から排出された医療排出物が滅菌減容処理後、確実に油化処理されたという証明データを保持することができる。したがって、病院にとっては、病院から排出された医療排出物が滅菌減容処理される過程と、その後に油化処理されるまでの過程を把握することができるため、安全かつ衛生的な管理体制を実施しているという証明を内外部に証明可能となる。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記第一識別子がバーコードであるとともに、そのバーコードが粘着シート状のバーコードシート(30)として形成され、前記第一識別子読み込み手段がバーコードリーダ(23)として形成され、そのバーコードリーダが読み込んだバーコードを記憶するバーコード記憶部(24)を備えたことを特徴とする。
「バーコード」とは、いわゆる二次元バーコードであってもよい。
【0011】
(作用)
請求項2記載の発明では、バーコードリーダが粘着シート状に形成されたバーコードシートのバーコードを読み込み、これをバーコード記憶部に記憶することで、空容器(排出用容器)の管理を容易にする。また、バーコードを粘着シート状に形成することで、容器に対して粘着シールによって貼付可能となるため、貼付性を高めることができる。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記第二識別子がROM領域にユニークIDが記憶されたICチップ(41)であって、そのICチップ(41)がシート状のICチップ埋設シート(40)として形成され、前記第二識別子読み込み手段が前記ユニークIDを取得可能なID取得部(72)として形成されていることを特徴とする。
【0013】
(用語説明)
「ユニークID」とは、他のオブジェクトや媒体と重複しないように生成されたIDのことである。
(作用)
請求項3記載の発明では、ID取得部がICチップのROM領域に記憶されたユニークIDを読み込む。読み込んだユニークIDは、予めID記憶部に記憶されており、その整合性や正当性をチェックする。すなわち、書き換え不可能なROM内のユニークIDを減容後容器の識別に使用することで、チェック機能を向上させることができる。これにより、トレーサビリティの証明能力を向上させるとともに、油化処理によってリサイクル委託料などを不正受領するなどの不正行為防止にも寄与する。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記油化処理証明用データ送信手段は、前記業者側端末装置に対しても前記油化処理証明データを送信することを特徴とする。
【0015】
(作用)
請求項4記載の発明では、業者側端末装置が油化処理証明データを受信可能とすることで、滅菌減容処理を実施した排出物処理業者は、その後の油化処理が確実に実施されたか否かの報告を受けることできる。したがって、安全な管理体制を実施している排出物処理業者としての社会的地位を確保することできるため好ましい。
なお、ICチップを使用する利点としては、ユニークIDと空容器を設置した病院とをサーバなどの端末装置で関連付けしておくことができるので、管理面で容易となるほか、非常に小型な形態であるため、減容後容器への埋設を容易とする。
【0016】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記滅菌減容証明データは、第一識別子、空容器の設置年月日、排出用容器の回収日、排出用容器の滅菌減容処理日およびサービス対象の病院名の各データを含んで構成されていることを特徴とする。
【0017】
(作用)
請求項5に記載の発明では、滅菌減容証明データに、トレーサビリティの証明に必要十分なデータが保持されていることで、公的機関や第三者機関などに対する証明能力が確保される。
【0018】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記油化処理証明データは、第一識別子、第二識別子、減容後容器の油化処理日および油化処理が実施されたプラント名の各データを含んで構成されていることを特徴とする。
【0019】
(作用)
請求項6に記載の発明では、油化処理証明データに、トレーサビリティの証明に必要十分なデータが保持されていることで、公的機関や第三者機関などに対する証明能力が確保される。
【0020】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記病院側端末装置、業者側端末装置およびプラント側端末装置のいずれかに接続されたWebサーバを備えるとともに、当該Webサーバに前記滅菌減容証明データおよび油化処理証明データを送信する証明データ送信手段と、その証明データをWebサイト上にて公開し、不特定多数のユーザからのアクセスを可能としたことを特徴とする。
【0021】
(作用)
請求項7に記載の発明では、本システムが管理運営するWebサイトに滅菌減容証明データおよび油化処理証明データを公開することで、インターネット上からも安全かつ衛生的な管理体制を実施しているという証明を実現することができる。
【0022】
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の医療排出物トレーサビリティシステムを限定したものであり、前記業者側端末装置は、前記空容器の在庫量が記憶された在庫量データベースと、前記車両に積載された空容器が搬入先の病院に設置された際に、その設置数量を送信可能な送信用端末装置から受信する空容器設置数量受信手段と、を備え、空容器設置数量受信手段が受信した空容器の設置数量と前記在庫量データベース内に記憶されている空容器の在庫量とを比較演算する在庫量確認手段と、その在庫量確認手段が予め定められた空容器の所定数量よりも、空容器の在庫量が減少していると判別した場合に、空容器製造業者に対して空容器が所定数量になるように空容器を発注する空容器発注送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
「送信用端末装置」とは、空容器に貼付されたバーコードを読み込むバーコードリーダや、携帯電話などのモバイル端末装置を用いて設置した空容器の数量を入力し、業者側端末装置に送信するような形態がある。
【0024】
(作用)
請求項8に記載の発明は、空容器の在庫量を管理する在庫管理システムである。すなわち、病院に空容器を搬入した業者が送信用端末装置(携帯電話)を用いて、その数量を業者側端末装置に送信する。業者側端末装置は送信用端末装置からの空容器の設置数量を受信する。そして、在庫量確認手段が空容器の設置数量と在庫量データベース内に記憶されている空容器の在庫量とを比較する。ここで、予め定められた空容器の所定数量よりも、空容器の在庫量が減少していると判別された場合に空容器製造業者に対して空容器が所定数量になるように空容器を発注する。
空容器の数量を予め設定しておけば、排出物処理業者にストックされるべく空容器の数量が増減しても、在庫増や供給不能にならない。したがって、効率的な運営に寄与する。
【発明の効果】
【0025】
請求項1から請求項8に記載の発明によれば、病院から排出された医療排出物が各業者によって滅菌および油化処理されたという確認手段が整備されたトレーサビリティ技術を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1から図12を参照して、本願発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の医療排出物トレーサビリティシステムの全体構成を示した概略図であり、図2は、バーコードシートおよびICチップ埋設シートの形態を示した概略図であり、図3は、空容器の設置箇所を把握するための管理対照表であり、図4は、減容処理装置の構成を示す概略図であり、図5は、滅菌減容処理証明書を示す図であり、図6は、油化処理装置の構成を示す概略図であり、図7および図8は、油化処理証明書を示す図であり、図9および図10は、医療排出物トレーサビリティシステムの一連の処理手順を示したフローチャートであり、図11は、本発明の医療排出物トレーサビリティシステムの他の形態を示した概略図であり、図12は、医療排出物トレーサビリティシステムの他の形態の処理を示したフローチャートである。
【0027】
図1に示すように、医療排出物トレーサビリティシステムは、医療排出物を排出する病院1と、排出された医療排出物を回収する排出物滅菌処理業者であるトラック20と、そのトラック20によって滅菌減容処理された医療排出物を油化処理する油化処理業者である油化プラント2とから構成され、医療排出物入りの排出用容器50を、医療排出物を滅菌および減容可能な減容処理装置21を積載したトラック20が回収し、減容処理装置21の滅菌減容機能によって排出用容器50が滅菌減容処理される。そして、固相プラスチック化された排出用容器50を油化プラント2の油化処理設備によって油化処理され、重油等の資源として再利用されるリサイクル機能を備えたシステムである。
【0028】
ここで、トレーサビリティシステムとは、医療排出物が排出されてから滅菌、減容および油化処理されるまでの各過程を明確にするためのシステムであり、本実施形態では、各処理によって異なる識別シートを排出用容器50および減容後容器50bに貼付することで、トレーサビリティシステムを実現している。以下、詳細に説明していく。
【0029】
(トラック)
トラック20は、病院1から排出された医療排出物を油化プラント2まで運搬する車両であって、トラック20の荷台には、医療排出物を滅菌および減容処理可能な減容処理装置21と、その減容処理装置21に稼働電力を供給する発電機22と、各病院に医療排出物を排出可能な空容器60および各病院から回収した排出用容器50とを載置する荷物スペースとを備えている。
【0030】
(バーコードシート)
図2(a)は、排出用容器50および空容器60に識別シートが貼付された形態を示している。この識別シートは、滅菌減容処理時に排出用容器50および空容器60を個体識別できるものであれば良いので、その形態を問うものではないが、例えば、裏面などの一部にシール状の接着部を有し、表面に所定の番号が表示された識別シート、当該識別シートに一次元バーコードを付与したもの、または二次元バーコードを付与したものなどがある。本実施形態では、一次元バーコード付きの識別シート(以下、バーコードシートと表示する)30を採用している。
【0031】
バーコードシート30は、複数の空容器60に予め貼付されており、後述するバーコードリーダで読み取り可能な一次元バーコード(第一識別子)および空容器60の外観からも識別可能な管理ナンバー(01,02,03・・・)が付与されている。そして、このバーコードシート30を貼付させた空容器60を、排出物滅菌処理業者が病院1に設置させていくわけだが、本実施形態では、いつ、どの病院にどの空容器60を設置したかを後からも把握可能とするための[管理対照表]を作成している。
【0032】
図3に管理対照表の一例を示す。この管理対照表には、管理ナンバー、設置年月日、回収予定日および設置病院名からなる各記載項目が用意されており、[No.01]から[No.03]は、2005年6月10日にAB病院に設置し、2週間後の6月24日に回収予定となっている。また、[No.04]から[No.06]は、2005年6月11日にCD病院に設置し、2週間後の6月25日に回収予定となっている。この管理対照表を作成しておくことで、空容器60の回収を容易に実施することができる。また、管理対照表のデータをパーソナルコンピュータ、ワークステーションおよびデータベースサーバ等に入力するとともに、インターネットやイントラネット等の電気通信回線で接続された他の端末装置にデータを送信するようにしても良い。
なお、病院1において回収予定日よりも早くに医療排出物が溜まってしまった場合には、排出物滅菌処理業者に回収依頼をすれば良い。すなわち、医療排出物入りの排出用容器50を回収するとともに、新しい空容器60を設置されることになる。
【0033】
(ICチップ埋設シート)
図2(b)は、滅菌減容処理された減容後容器50bに、ICチップ埋設シート40が付与された形態を示している。ICチップ埋設シート40は、その裏面に減容後容器50bに接着可能な接着部を有するシート状を形成し、シート内部に無線通信機能とROM機能を備えたICチップ41(第二識別子)が埋設されている。このICチップ41は、ROMにICチップ41の個体識別を可能とするユニークID(A-001、A-002・・・)のみが記憶されたシンプルなチップ構成となっている。なお、ユニークIDとは、他のオブジェクトや媒体と重複しないように生成されたIDのことである。
【0034】
ICチップ埋設シート40は、油化プラント2の油化処理装置70に設置されたID取得部72(第二識別子読み込み手段)によってROM内のユニークIDが読み出され、ID取得部72に接続されたID記憶部73にユニークIDが記憶される。なお、ICチップを使用する利点としては、ユニークIDと空容器を設置した病院とをサーバなどの端末装置で関連付けしておくことができるので、管理面で容易となるほか、非常に小型な形態であるため、減容後容器への埋設を容易とするため好ましい。
【0035】
(減容処理装置)
図4に示すように、減容処理装置21は、滅菌処理および減容処理を実施するための機能を有するとともに、排出用容器50を減容処理装置21に投入する投入口27に、排出用容器50のバーコードシート30のバーコードを読み取り可能なバーコードリーダ23(第一識別子読み込み手段)と、そのバーコードリーダ23が読み取ったバーコードを記憶するバーコード記憶部24を備えて構成されている。なお、バーコードデータの読み取り精度を上げるために、投入口28にバーコードリーダ23を複数備えていても良い。例えば、投入口の上下面や周面に設置する。このようにすれば、投入口27に排出用容器50が乱雑に投げ込まれた場合でも、バーコードの読み取りが容易になる
【0036】
また、減容処理後の減容後容器50bに対しての個体識別を可能とするICチップ埋設シート40を貼付可能なチップ貼付装置25を備えている。このチップ貼付装置25は、減容処理装置21の取り出し口28付近に設置され、減容処理された減容後容器50bに対して、順々にICチップ埋設シート40を貼付していく。減容後容器50bにICチップ埋設シート40を貼付する場所は任意で良いが、チップ貼付装置25が設置されている場所との関係で決定しても良い。例えば、チップ貼付装置25が図4の位置に設置されている場合は、減容後容器50bの上面が好ましい。もちろん、減容後容器50bの周面や下面などの所定箇所でも良い。
【0037】
ここで、排出用容器50と減容後容器50bとで、バーコードとICチップという識別子を二回貼付している理由について説明する。排出用容器50は、医療排出物が排出されない段階(空容器60)で、すでにバーコードシート30が貼付されている。これは、空容器60の個体識別のほか、製造数や病院関係者が管理番号を目視にて確認できるような状態にするために必要な識別子となっている。
一方、減容後容器50bでは、ICチップ埋設シート40が貼付されるわけだが、これは、滅菌減容処理による熱と圧縮作用によって、すでに貼付した排出用容器50のバーコードシート30が剥がれてしまい、バーコードが正常に機能しないことが理由である。
【0038】
また、バーコードとICチップ(ユニークID)という異なる種類の識別子としたのは、滅菌減容処理された減容後容器50bの形状が平面にならず、凹凸状に崩れていることを考慮し、埋設が容易なICチップを選択していることが理由である。また、ユニークIDという複製等の不正が困難な媒体を選択すれば、セキュリティ性を向上させることができることにもなるからである。
【0039】
減容処理装置21は、投入口27に排出用容器50が投入されると、バーコードリーダ23がバーコードシート30のバーコードを読み取り、これをバーコード記憶部24に記憶する。そして、投入口28から所定の滅菌処理および減容処理された減容後容器50bは、取り出し口28においてチップ貼付装置25によってICチップ埋設シート40が貼付される。
なお、バーコードリーダ23によって記憶されたバーコードは、滅菌減容処理が完了したという証明データや証明書(図1の滅菌減容処理証明書)として、病院1に通知または送信される。
【0040】
(滅菌減容処理証明書)
図5は、滅菌減容処理証明書の一例である。滅菌減容処理証明書は、トラック20が病院1から回収した排出用容器50を滅菌減容処理した処理年月日が記載されている。本実施形態では、前述した[管理対照表]に基づいて作成されており、AB病院に空容器60を設置した設置年月日、排出用容器50を回収した回収日および滅菌減容処理を実施した年月日が記載されている。病院側は、この滅菌減容処理証明書をもとに自らの病院から排出された医療性排出物が確実に滅菌減容処理されたという証書となる。
【0041】
なお、排出物滅菌処理業者は、コンピュータ(業者側端末装置)を用いて滅菌減容処理証明書をデジタルデータとして作成し、インターネット等で接続された病院側端末装置にデータを送信するようにしても良い。このようにすれば、公的機関に排出処理を実施したという証書をデジタルデータで証明したり、Web上に情報公開してユーザにアピールしたりすることができる。
【0042】
(油化プラント)
次に、ICチップ埋設シート40が貼付された減容後容器50bは、トラック20によって油化プラント2に運搬される。
図6に示すように、油化プラント2は、減容後容器50bを油化処理することで重油、カーボンブラックおよびLGPガスなどに生成可能とする油化処理機74を有する油化処理装置70が設置されている。この油化処理装置70の油化処理入り口71には、ICチップ埋設シート40のユニークIDを読み取るID取得部72と、その読み取ったICチップを記憶するID記憶部73と、油化処理証明書を出力するための証明書出力部80とを備えて構成される。
【0043】
ID取得部72は、ICチップ内に予め記憶されているユニークIDを読み取る機能を有し、この読み取りは、無線電波によって読み取っているため、減容後容器50bとの距離がある程度離れている場合でも読み取りを可能としている。
ID記憶部73は、予めチップ貼付装置25で貼付されたユニークIDが記憶されたIDデータベースである。これは、後述する油化処理証明書を出力する際に、ユニークIDの整合性を保持するためのものである。また、書き換え不可能なユニークIDを減容後容器50bの識別に使用することで、チェック機能を向上させることができる。
【0044】
証明書出力部80は、ID記憶部73に接続されており、ID取得部72が読み取ったユニークIDが、チップ貼付装置25で貼付されたICチップのIDと同等であるか否かの整合性を判別する正規ID判別手段81と、そのユニークIDが正規のものであると判別された場合に、油化処理証明書を発行する油化処理証書発行手段82と、を備えている。
すなわち、正規ID判別手段81がID記憶部73にアクセスし、ID取得部72が読み取ったユニークIDとID記憶部73に予め記憶されたユニークIDとを比較し、同じIDであるか否かを判別する。ここで、整合性が確認されたら、油化処理証書発行手段82が油化処理証明書を発行する。出力された油化処理証明書の一例を図7に示す。
【0045】
(油化処理証明書)
油化処理証明書は、管理No、ID、油化処理日およびプラント施設名の少なくとも4項目が記載されている。ここでは、ユニークID[A-001]は、2005年6月26日に[XYプラント]によって油化処理が実施された、というデータが記載されている。
すなわち、排出物滅菌処理業者にとっては、この油化処理証明書が、自らが滅菌減容処理して受け渡した減容後容器50bが確実に油化処理されたという証書となる。
【0046】
また、油化プラント業者は、コンピュータ(プラント側端末装置)を用いて油化処理証明書をデジタルデータとして作成し、インターネット等で接続された業者側端末装置にデータを送信するようにしても良い。このようにすれば、公的機関に滅菌減容処理を実施したという証書をデジタルデータで証明したり、Web上に情報公開してユーザに適切な処理を実施している業者であることを証明したりすることができる。
【0047】
また、図8は、病院用に特化した油化処理証明書の一例を示したものである。これは、空容器60の設置年月日、回収日、ID、減容滅菌処理日および油化処理日などの一連の処理を証明するためのデータ形式となっている。この油化処理証明書も滅菌減容処理証明書と同様に、デジタルデータとして作成され、インターネット等で接続された病院側端末装置でデータを受信するようにし、公的機関への証書や、Web上での情報公開に利用可能となる。
【0048】
なお、各証明書には年月日のほか、処理を実施した時間、排出用容器50および減容後容器50bの重量、プラント施設の地域や規模などの各種データを追加するようにしても良い。また、各証明書は、病院および排出物滅菌処理業者に電子メールやFAXなどの送信手段によって自動送信されるようにしても良い。
【0049】
さらに、上記の各証明書のデータは、公的機関や第三者機関などが運営するWebサーバに送信され、Webサイト上で公開されるようにしても良いし、病院側端末装置、業者側端末装置およびプラント側端末装置のいずれかに接続されたWebサーバに公開されるようにしても良い。
例えば、業者側端末装置に接続されたWebサーバであれば、当該Webサーバに滅菌減容証明書のデータおよび油化処理証明書のデータを送信する証明データ送信手段を備え、その証明データをWebサイト上にて公開し、不特定多数のユーザからのアクセスを可能となっている。
すなわち、排出物滅菌処理業者が管理運営するWebサイトに滅菌減容証明データおよび油化処理証明データを公開することで、インターネット上からも安全かつ衛生的な管理体制を実施しているという証明を実現することができる。
【0050】
なお、ICチップ埋設シート40に替えて、バーコードシート30を減容後容器50bに貼付するようにしても良い。ただし、ユニークIDが記憶されたICチップ41が埋設されたICチップ埋設シート40を減容後容器50bに貼付することで、以下のような効果がある。すなわち、書き換え不可能なROM内のユニークIDを減容後容器50bの識別に使用すれば、セキュリティ性およびチェック機能に好適となる。これにより、トレーサビリティの証明能力を向上させるとともに、例えば、油化処理によってリサイクル委託料などを不正受領するなどの不正行為防止にも寄与する。
【0051】
図9および図10は、本システムの一連の処理手順および各証明書をデジタルデータにて送受信可能な実施形態を示したフローチャートである。
ここで、病院1には、病院側端末装置を備え、排出物滅菌処理業者には、業者側端末装置(減容処理装置21)を備え、油化プラント2には、プラント側端末装置を備え、各端末装置には通信手段を備えるとともに、それぞれがインターネット回線で接続されてデータの送受信が可能なネットワークシステムが構築されているものとする。
【0052】
まず、排出物滅菌処理業者は、空容器60にバーコードシート30を貼付する(S101)。
トラック20にバーコードシート30が貼付された空容器60所定数積載し、依頼先の病院に設置する(S102)。
病院1では、病院職員が医療性排出物を空容器60に排出していく(S103)。
排出物滅菌処理業者は、回収予定日になるか空容器60が満タンになって病院からの回収依頼を受けると、トラック20で排出用容器50を回収するとともに、新しい空容器60を病院に設置する(S104)。
回収した排出用容器50は、減容処理装置21の投入口27から投入され、この際、バーコードリーダ23がバーコードシート30のバーコードを読み込む(S105)。
読み込んだバーコードデータは、バーコード記憶部24に記憶されるとともに(S106)、取得済バーコードデータを作成する(S107)。
減容処理装置21で滅菌減容処理が行われ(S108)、正常に処理が完了したか否かを判別する(S109)。正常に処理が終了していれば、病院側端末装置に取得済バーコードデータを送信する(S110)。
病院側端末装置は、取得済バーコードデータを受信し(S111)、そのデータを滅菌減容処理された証明データとして利用可能となる。
また、滅菌減容処理された減容後容器50bは、取り出し口28においてチップ貼付装置25がICチップ埋設シート40を貼付させる(S112)。
トラック20は、ICチップ埋設シート40が貼付された減容後容器50bを油化プラント2に運搬する(S113)。
【0053】
油化プラント2に運搬された減容後容器50bは、油化処理入り口71を通過する際に、ID取得部72がICチップ埋設シート40のユニークIDを読み込む(S114)。
読み込んだユニークIDは、ID記憶部73に記憶されるとともに(S115)、取得済IDデータを作成する(S116)。
油化処理機74で油化処理が行われ(S117)、正常に処理が完了したか否かを判別する(S118)。正常に処理が終了していれば、業者側端末装置に取得済IDデータを送信する(S119)。業者側端末装置は、取得済IDデータを受信する(S120)。排出物滅菌処理業者は、そのデータを油化処理された証明データとして利用可能となる。
また、病院側端末装置に対しても取得済IDデータを送信する(S121)。病院側端末装置は、取得済IDデータを受信する(S122)。病院は、そのデータを滅菌減容処理された証明データとして利用可能となる。
【0054】
(油化処理後の再利用)
なお、滅菌減容処理された減容後容器50bは、油化プラント2によって油化処理される。すなわち、排出物である減容後容器50bをゴミとして扱わずリサイクル資源として利用されることになる。
また、油化処理された油は、油化プラント2から病院1に運搬されて各種燃料に利用されるようにしても良い。例えば、油化処理された油を病院の焼却炉の燃料に利用するなどが考えられる。このようにすれば、病院から発生した医療排出物が、滅菌、減容および油化処理され、最終的に病院施設の燃料として再利用されるスキームが構築されることになる。このようにすれば、非常にエコロジーかつ半永久的な循環機能を発揮できる優れたリサイクル構造が形成されるため好ましい。
【0055】
なお、本実施形態では減容後容器50bの油化処理を、油化処理業者(油化プラント2)によって油化処理されるように説明しているが、これに限定されることはない。例えば、排出物滅菌処理業者が、油化処理設備を備えており、当該油化処理設備によって減容後容器の油化処理を実施されるようにしても良い。つまり、医療排出物を病院から回収し、滅菌し、減容し、そして油化処理までの一連のリサイクル処理を実現可能な機能設備を備えることで、同一業者によって処理可能なシステムが構築される。
【0056】
(空容器の在庫管理)
図11に示すには、上述した医療排出物トレーサビリティシステムにおける他の形態であり、病院に設置する空容器を製造する空容器製造業者に対して、排出物滅菌処理業者にストックされている空容器の在庫増減に応じて発注されるようにしたシステムである。
【0057】
すなわち、業者側端末装置は、空容器60の在庫量が記憶された在庫量データベースと、トラック20に積載された空容器60が搬入先の病院1に設置された際に、その設置数量を送信可能な携帯電話(送信用端末装置)から受信する空容器設置数量受信手段と、空容器設置数量受信手段が受信した空容器の設置数量と在庫量データベース内に記憶されている空容器の在庫量とを比較演算する在庫量確認手段と、その在庫量確認手段が予め定められた空容器の所定数量よりも、空容器の在庫量が減少していると判別した場合に、空容器製造業者に対して空容器が所定数量になるように空容器を発注する空容器発注送信手段と、を備えて構成される。
ここで、「携帯電話」とは、排出物滅菌処理業者が空容器に貼付されたバーコードを読み込む機能(バーコードリーダ機能)を備えた端末装置である。
【0058】
図12を参照して空容器の在庫管理手法を説明する。なお、排出物滅菌処理業者内の在庫数は、現在[40コ]とし、病院に設置する空容器は[15コ]とし、在庫数が[30コ]以下となった場合に、空容器製造業者へ発注されるようになっている。
排出物滅菌処理業者は、病院1に空容器60を[15コ]設置する(S201)。
排出物滅菌処理業者は、送信用端末装置を用いて、業者側端末装置に病院1に[15コ]の空容器を設置したデータを送信する(S202)。
業者側端末装置は送信用端末装置からの空容器60の設置数量[15コ]を受信する(S203)。
そして、在庫量確認手段が空容器の設置数量[15コ]と在庫量データベース内に記憶されている空容器の在庫量[40コ]とを比較する(S204)。ここで、予め定められた空容器の所定数量[30コ]よりも、空容器60の在庫量が減少していると判別する(S205)。
現在の在庫数は、[25コ]であるため、空容器製造業者に対して空容器が所定数量[30コ]になるように空容器を[5コ]発注する(S206)。
空容器製造業者は、空容器を[5コ]受注する(S207)。
【0059】
すなわち、空容器60の数量を予め設定しておけば、排出物滅菌処理業者にストックされるべく空容器の数量が増減しても、在庫増や供給不能にならないため、効率的な運営に寄与するため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
「排出物」について、特に医療現場で発生する注射器や点滴器具といった各種の要滅菌性排出物(感染性医療排出物)を主に想定して記述してきたが、回収、減容処理、油化処理という各段階を経る排出物であれば、採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の医療排出物トレーサビリティシステムの全体構成を示した概略図である。
【図2】バーコードシートおよびICチップ埋設シートの形態を示した概略図である。
【図3】空容器の設置箇所を把握するための管理対照表である。
【図4】減容処理装置の構成を示す概略図である。
【図5】滅菌減容処理証明書を示す図である。
【図6】油化処理装置の構成を示す概略図である。
【図7】油化処理証明書を示す図である。
【図8】油化処理証明書(病院用)を示す図である。
【図9】医療排出物トレーサビリティシステムの一連の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】医療排出物トレーサビリティシステムの一連の処理手順を示したフローチャートである。
【図11】医療排出物トレーサビリティシステムの他の形態を示した概略図である。
【図12】医療排出物トレーサビリティシステムの他の形態の処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 病院 2 油化プラント
20 トラック 21 減容処理装置
22 発電機 23 バーコードリーダ
24 バーコード記憶部 25 チップ貼付装置
27 投入口 28 取り出し口
30 バーコードシート
40 ICチップ埋設シート 41 ICチップ
50 排出用容器 50b 減容後容器
60 空容器
70 油化処理装置 71 油化処理入り口
72 ID取得部 73 ID記憶部
74 油化処理機
80 証明書出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一識別子が貼付された空容器に、病院から排出された医療排出物が排出され、排出用容器となった空容器を、滅菌減容処理を可能な減容処理装置を積載した車両で回収し、滅菌減容処理後に回収した排出用容器を油化プラントへ運搬し、油化処理装置によって油化処理が実施される医療排出物トレーサビリティシステムであって、
前記病院に設置された病院側端末装置と、前記減容処理装置における業者側端末装置と、前記油化処理装置におけるプラント側端末装置とが通信ネットワークによって接続されており、
前記減容処理装置は、前記排出用容器に付与された第一識別子を読み込む第一識別子読み込み手段と、
その読み込んだ第一識別子から滅菌減容処理を実施したことを証明可能な滅菌減容証明用データを作成する滅菌減容証明用データ作成手段と、
前記減容処理装置が滅菌減容処理を実施した後に、前記業者側端末装置が前記病院側端末装置に対して滅菌減容証明用データを送信する滅菌減容証明用データ送信手段と、
滅菌減容処理された減容後容器に対し、第二識別子を貼付する第二識別子貼付手段と、を備え、
その第二識別子が貼付された減容後容器を前記車両にて油化プラントへ運搬され、
前記油化プラントにおける油化処理装置は、前記減容後容器に付与された第二識別子を読み込む第二識別子読み込み手段と、
その読み込んだ第二識別子から油化処理を実施したことを証明可能な油化処理証明用データを作成する油化処理証明用データ作成手段と、
前記油化処理装置が油化処理を実施した後に、前記プラント側端末装置が前記病院側端末装置に対して油化処理証明用データを送信する油化処理証明用データ送信手段と、を備え、
前記病院側端末装置は、業者側端末装置から送信された滅菌減容証明用データと、プラント側端末装置から送信された油化処理証明用データとを受信する証明データ受信手段と、を備えたことを特徴とする医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項2】
前記第一識別子はバーコードであるとともに、そのバーコードが粘着シート状のバーコードシートとして形成され、
前記第一識別子読み込み手段はバーコードリーダとして形成され、そのバーコードリーダが読み込んだバーコードを記憶するバーコード記憶部を備えたことを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項3】
前記第二識別子はROM領域にユニークIDが記憶されたICチップであって、
そのICチップはシート状のICチップ埋設シートとして形成され、
前記第二識別子読み込み手段は前記ユニークIDを取得可能なID取得部として形成されていることを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項4】
前記油化処理証明用データ送信手段は、前記業者側端末装置に対しても前記油化処理証明データを送信することを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項5】
前記滅菌減容証明データは、第一識別子、空容器の設置年月日、排出用容器の回収日、排出用容器の滅菌減容処理日およびサービス対象の病院名の各データを含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項6】
前記油化処理証明データは、第一識別子、第二識別子、減容後容器の油化処理日および油化処理が実施されたプラント名の各データを含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項7】
前記病院側端末装置、業者側端末装置およびプラント側端末装置のいずれかに接続されたWebサーバを備えるとともに、
当該Webサーバに前記滅菌減容証明データおよび油化処理証明データを送信する証明データ送信手段と、
その証明データをWebサイト上にて公開し、不特定多数のユーザからのアクセスを可能としたことを特徴とする請求項1記載の医療排出物トレーサビリティシステム。
【請求項8】
前記業者側端末装置は、前記空容器の在庫量が記憶された在庫量データベースと、
前記車両に積載された空容器が搬入先の病院に設置された際に、その設置数量を送信可能な送信用端末装置から受信する空容器設置数量受信手段と、を備え、
空容器設置数量受信手段が受信した空容器の設置数量と前記在庫量データベース内に記憶されている空容器の在庫量とを比較演算する在庫量確認手段と、
その在庫量確認手段が予め定められた空容器の所定数量よりも、空容器の在庫量が減少していると判別した場合に、空容器製造業者に対して空容器が所定数量になるように空容器を発注する空容器発注送信手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の医療排出物トレーサビリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−34558(P2007−34558A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215318(P2005−215318)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(500380402)株式会社オズ (1)
【Fターム(参考)】