説明

医療機器からの差次的薬物放出

【課題】本発明は、2種以上の治療薬を患者の体組織に送達するために有用な静脈内ステント等の医療機器、並びに該医療機器の製造方法及び使用方法に関する。
【解決手段】本医療機器は、複数の細孔を有する基体及び/又はコーティングを含み、前記細孔内には複数の第1及び第2治療薬が分散している。そこで、前記第1治療薬は第1材料の1つ以上の分子に結合し、かつ前記第2治療薬は第2材料の1つ以上の分子に結合しており、医療機器が使用中(例えば、血管等の体管腔内に移植されている)、結合した第1治療薬は、結合した第2治療薬が医療機器から放出される速度より遅い速度で医療機器から放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、一般的に、異なる速度で、2種以上の治療薬を血管腔などの体組織に送達するために有用な医療機器に関する。特に、本発明は、異なる治療薬を異なる速度で放出する移植可能な医療機器、好ましくは血管内ステントに関する。さらに詳しくは、本発明は、第1治療薬が第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、かつ第2治療薬が第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成している、多孔性基体及び/又はコーティング組成物を含む移植可能又は挿入可能な医療機器であって、結合型第1治療薬は、サイズ(例えば、平均径、体積)、質量及び/又は性質が、結合型第2治療薬より大きく、かつ結合型第2治療薬は、結合型第1治療薬より速い速度及び/又は多い量で医療機器から放出される、医療機器に関する。本発明の医療機器の製造方法及び使用方法をも提供する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
血管グラフトとステントグラフトの組合せを含め、異なるタイプの内部人工器官を生物活性薬と共に与えて、体導管内における最小限の侵襲的処置のために使用することができる。これらの内部人工器官は、特有の機能を果たすように設計される。例えば、ステントの場合、血管の処置で使用されるだけでなく、ステントは、癌の成長又は腫瘍によって妨害されている通路を開けることによって、体通路(例えば、とりわけ、食道、胆管、気管、腸、脈管構造及び尿道)の内部の癌性妨害を治療するために使用される。
血管処置では、ワイヤーメッシュ管の形態のステントが、血管形成術を用いて最近きれいにされた動脈を押さえて開けておく。通常、ステントは動脈内に永久的に留まり、動脈を開けておき、心筋への血流を促し、症状を緩和する。ステント処置はかなり一般的であり、種々のタイプのステントが開発され、使用されている。
再狭窄の可能性を低減するため及び生物学的活性物質を患者の管腔に局所的に送達するため、種々のタイプの生物学的活性物質をコーティングしたステントが提案されている。例えば、Yangらに対する米国特許第6,258,121号は、含まれるパクリタキセル等の活性薬を制御放出して、血管形成術後の再狭窄を阻害するためのポリマーコーティングを有するステントを開示している。
しかしながら、体組織の周囲への医療機器からの治療薬の放出速度を制御する必要がある。治療薬があまり速く体組織に放出されると、治療薬の効果は、所望より大きいか又はより突然だろう。逆に、治療薬が体組織にあまり遅く放出されると、治療薬の効果が損なわれるか又は所望より低いだろう。さらに、複数の治療薬の送達が必要な場合、治療薬の異なる放出速度が望ましいことがある。なぜなら、例えば、ある状況を治療、管理又は緩和するためには短時間の治療薬の即時放出が必要であり、一方、別の状況を治療、管理又は緩和するためには長時間にわたる治療薬の放出が必要なことがあり得るからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、移植可能な医療機器からの複数の治療薬の標的体組織への放出を制御する必要がある。特に、同一医療機器から複数の治療薬を別々の放出速度で送達できる移植可能な医療機器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
3.発明の概要
上記目的を達成するため、発明者らは、2種以上の治療薬を含む移植可能又は挿入可能な薬物放出医療機器であって、治療薬の放出速度が異なる装置を発明した。例えば、第1治療薬が第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、第2治療薬が第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成しており、結合型第1治療薬の平均径は結合型第2治療薬の平均径より大きい。
特定の実施形態では、本発明は、結合型第1治療薬と結合型第2治療薬とを含む基体を含む医療機器であって、医療機器を使用中(例えば、血管などの体管腔内に移植されている)、結合型第1治療薬は医療機器から第1速度で放出され、結合型第2治療薬は医療機器から、前記第1速度より速い第2速度で放出される、医療機器に関する。
特定の実施形態では、本発明は、基体と、この基体の少なくとも一部の上に配置されたコーティング組成物とを含む医療機器であって、コーティング組成物が結合型第1治療薬と結合型第2治療薬を含み、医療機器を使用中(例えば、血管などの体管腔内に移植されている)、結合型第1治療薬は医療機器から第1速度で放出され、かつ結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で医療機器から放出される、医療機器に関する。
【0005】
特有の実施形態では、第2速度は、第1速度の約10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、4倍、3倍又は2倍速い。
一実施形態では、基体が多孔性である。別の実施形態では、コーティング組成物が多孔性である。別の実施形態では、基体とコーティング組成物が両方とも多孔性である。
特定の実施形態では、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径が約0.01ミクロン(μm)〜約200μm、約0.1μm〜約180μm、約0.5μm〜約160μm、約1μm〜約140μm、約10μm〜約120μm、約20μm〜約100μm、約30μm〜約80μm、又は約40μm〜約60μmの範囲内である。特定の実施形態では、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径が約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、約120μm、約140μm、約160μm、又は約200μmである。特有の実施形態では、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径が約10μm未満である。
特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径の約1/2〜約2/3倍であり、第2材料の分子の平均径は、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径の約1/10〜約1/4倍である。
特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は第2材料の分子の平均径より大きい。
特定の実施形態では、第1及び/又は第2材料は、シリカ、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリラクチド、アルミナ、又はその組合せを含む。
特定の実施形態では、第1及び/又は第2材料は生体吸収性である。特有の実施形態では、結合型第1治療薬は、第1材料が吸収された後に医療機器から放出され、かつ結合型第2治療薬は、第2材料が吸収された後に医療機器から放出される。
一実施形態では、前記医療機器は、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物をさらに含む。ポリマーコーティング組成物を基体又はコーティング組成物の一部の上に配置することができる。
特定の実施形態では、基体は金属を含む。特有の実施形態では、金属はステンレススチール、アルミナフィルム、白金、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、又はその組合せを含む。
特定の実施形態では、基体はポリマーを含む。特有の実施形態では、ポリマーはポリエチレン、ポリスチレン、ポリラクチド、又はその組合せを含む。
【0006】
特有の実施形態では、第1治療薬及び/又は第2治療薬は、ラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、又はその組合せを含む抗増殖薬;ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジンを含む抗血栓薬;アスピリン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、グルココルチコイド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、ロシグリタゾン、ミコフェノール酸、メサラミン、又はその組合せを含む抗炎症薬;抗再狭窄薬;又は1種以上の抗増殖薬、抗血栓薬、抗炎症薬、及び/又は抗再狭窄薬の組合せである。好ましい実施形態では、第1治療薬及び/又は第2治療薬は、ラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、又はその組合せを含む。
【0007】
本発明は、狭窄若しくは再狭窄の治療又は予防が必要な対象の狭窄若しくは再狭窄を治療又は予防するための方法であって、前記対象、好ましくはヒト対象に本発明の医療機器を挿入又は移植する工程を含む方法にも関する。
特定の実施形態では、医療機器はステント、例えば静脈内ステントである。
本発明は、さらに本発明の医療機器を製造する方法に関する。一実施形態では、本方法は以下の工程:(a)表面を有する基体を含む医療機器を準備する工程、(b)前記基体に複数の細孔を生じさせる工程、(c)第1材料の1つ以上の分子に第1治療薬を結合させて、結合型第1治療薬を形成する工程、(d)第2材料の1つ以上の分子に第2治療薬を結合させて、結合型第2治療薬を形成する工程、及び(e)前記結合型第1及び第2治療薬を前記基体の前記複数の細孔中に分散させる工程を含む。関連実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。
別の関連実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)前記結合型第1及び第2治療薬が中に分散しているコーティング組成物を調製する工程、及び(g)前記コーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。関連実施形態では、本方法はさらに以下の工程:(h)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記コーティング組成物の一部の上に適用する工程を含む。
別の実施形態では、本発明の医療機器を、以下の工程:(a)表面を有する基体を含む医療機器を準備する工程、(b)第1材料の1つ以上の分子に第1治療薬を結合させて、結合型第1治療薬を形成する工程、(c)第2材料の1つ以上の分子に第2治療薬を結合させて、結合型第2治療薬を形成する工程、(d)前記結合型第1及び第2治療薬が中に分散しているコーティング組成物を調製する工程、及び(e)前記コーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。関連実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記コーティング組成物の一部の上に適用する工程を含む。
【0008】
3.1 定義
本明細書で使用する場合、用語「約(about)」は、用語「約(approximately)」と同義であり、述べた値より少し大きいか又は小さいこと意味する。
本明細書で使用する場合、用語「類似体」は、多くの場合、単一要素(例えば、1つの原子の別の原子による置換又は官能基の付加/欠失)で親化合物と異なる親化合物の構造誘導体を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「誘導体」は、親化合物から誘導されるか又は得られ、かつ本発明の化合物の必須要素を含む化合物を意味する。
これらの定義のさらなる詳細のため、例えば、その内容全体が本明細書に組み込まれるMerriam Webster's Collegiate Dictionary, Tenth Edition, 1997;及びThe American Heritage(登録商標) College Dictionary, Third Edition, 2000を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の結合型治療薬の異なる実施形態を示す。
【図1B】本発明の結合型治療薬の異なる実施形態を示す。
【図1C】本発明の結合型治療薬の異なる実施形態を示す。
【図2A】複数の結合型第1及び第2治療薬を含む多孔性基体を含む本発明のステントの部分断面図を示す。
【図2B】基体上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含む、図2Aのステントを示す。
【図3A】基体と、複数の結合型第1及び第2治療薬を含む多孔性コーティング組成物とを含む本発明のステントの部分断面図を示す。
【図3B】コーティング組成物の一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含む、図3Aのステントを示す。
【図4A】第1の複数の結合型第1及び第2治療薬を含む多孔性基体と、第2の複数の結合型第1及び第2治療薬を含む多孔性コーティング組成物とを含む本発明のステントの部分断面図を示す。
【図4B】コーティング組成物の一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含む、図4Aのステントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
5.発明の詳細な説明
本発明は、使用中(例えば、血管などの体管腔内に移植されている)、異なる治療薬を異なる速度で放出する、移植可能な医療機器、好ましくはステントに関する。さらに詳しくは、本発明は、第1治療薬が第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、かつ第2治療薬が第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成している、多孔性の基体及び/又はコーティング組成物を含む移植可能又は挿入可能な医療機器に関する。第1の結合型治療薬は、第2の結合型治療薬が医療機器(例えば、静脈内ステント)から放出される速度と異なる速度で医療機器(例えば、静脈内ステント)から放出される。
いずれの理論又は機構によっても制限されないが、発明者らは、異なるサイズ、形状、重量、質量、材料、及び/又は性質の分子を治療薬に結合させることによって、治療薬のサイズ、形状、重量、質量、材料、及び/又は性質(例えば、疎水性対親水性、アニオン性対カチオン性等)を変えることによって、異なる治療薬を異なる速度で、請求した医療機器から放出させ得ると考える。例えば、第1治療薬を第1材料の1つ以上の分子に結合させて、結合型第1治療薬を形成することができ、かつ第2治療薬を第2材料の1つ以上の分子に結合させて、結合型第2治療薬を形成することができる。医療機器を使用中(例えば、血管等の体管腔内に移植されている)には、より大きい結合型薬剤は、より小さい結合型薬剤より遅い速度で医療機器から放出される。当業者に周知の方法で結合型薬剤のサイズを測定することができる。例えば、平均径(すなわち、非球形物について測定した全ての直径の算術平均)、体積などによって、結合型薬剤のサイズを測定することができる。原子間力顕微鏡検査法(AFM)を利用して、局所的性質、例えば高さ、光吸収、又は磁性によって、結合型薬剤のサイズを決定することもできる。
【0011】
図1Aに示すように、特有の実施形態では、第1治療薬1が第1材料3の分子に結合して結合型第1治療薬5を形成し、第2治療薬2が第2材料4の分子に結合して結合型第2治療薬6を形成している。治療薬のサイズが無視できるか又は治療薬がそれぞれ結合している分子のサイズより有意に小さいと仮定すると、第1材料3の分子の平均径(d1)は、第2材料4の分子の平均径(d2)より大きい場合、結果として生じた結合型第1治療薬5の平均径は、結合型第2治療薬6の平均径より大きく、結果として生じた結合型第1治療薬5は、結合型第2治療薬6よりサイズ(例えば、体積)が大きい。
別の特有の実施形態では、図1Bに示すように、第2治療薬2が第2材料4の2つの分子に結合して結合型第2治療薬6aを形成している。治療薬のサイズが無視できるか又は治療薬がそれぞれ結合している分子のサイズより有意に小さいと仮定すると、第1材料3の分子の平均径(d1)は、第2材料4の分子の平均径(d2)の2倍であり、結果として生じた結合型第1治療薬5の最長径(すなわち、非球形物について測定した最長径)は、結合型第2治療薬6の平均径に等しいが、結果として生じた結合型第1治療薬5は、結合型第2治療薬6よりサイズ(例えば、体積)が小さい。
さらに別の特有の実施形態では、図1Cに示すように、第2治療薬2が第2材料4の4つの分子に結合して結合型第2治療薬6bを形成している。治療薬のサイズが無視できるか又は治療薬がそれぞれ結合している分子のサイズより有意に小さいと仮定すると、第1材料3の分子の平均径(d1)は、第2材料4の分子の平均径(d2)の2倍であり、結果として生じた結合型第1治療薬5の最長径は、結合型第2治療薬6の平均径に等しいが、結果として生じた結合型第1治療薬5は、結合型第2治療薬6よりサイズ(例えば、体積)が大きい。
【0012】
一実施形態では、本発明の医療機器は、複数の結合型第1治療薬と複数の結合型第2治療薬とを含む基体を含み、前記医療機器が使用中(例えば、血管等の体管腔内に移植されている)、結合型第1治療薬は第1速度で放出され、かつ結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で放出される。特有の実施形態では、第2速度が第1速度の約10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、4倍、3倍、又は2倍速いだろう。
図2Aは、第1治療薬24が第1材料23の分子に結合して結合型第1治療薬25を形成し、かつ第2治療薬27が第2材料26の分子に結合して結合型第2治療薬28を形成している、多孔性基体22を含むステントス支柱の断面図を示す。図2Aに示すように、結合型第1又は第2治療薬は、基体の表面22a及び22bを越えて広がり得る。
特定の実施形態では、医療機器は、基体の一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含む。好ましくは、ポリマーコーティング組成物は、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含み、結合型第1治療薬は、第1速度と異なる第3速度で医療機器から放出され、かつ結合型第2治療薬は、第2速度と異なる第4速度で医療機器から放出される。
例えば、図2Bに示すように、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物29を基体22の一部の上に配置することができる。このポリマーコーティング組成物29は、結合型第1及び第2の両治療薬の放出を、例えば該両治療薬の放出の量及び/又は速度を減らす(例えば、いわゆる「バースト効果」を減らす)ことによって変えることができる。
別の実施形態では、本発明の医療機器は、基体と、基体の少なくとも一部の上に配置されたコーティング組成物とを含み、コーティング組成物は、複数の結合型第1治療薬と結合型第2治療薬を含み、医療機器を使用中(例えば、血管等の体管腔内に移植されている)、結合型第1治療薬は第1速度で放出され、かつ結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で放出される。
【0013】
図3Aは、平均径D1を有する複数の結合型第1治療薬25と、平均径D2を有する複数の結合型第2治療薬28とを含む多孔性コーティング組成物47でコーティングされた基体49を含むステントを示す。図3Aに示すように、結合型第1又は第2治療薬はコーティング組成物の表面を越えて広がり得る。図3Bに示すように、コーティング組成物47の一部の上にポリマーコーティング29を配置して、結合型治療薬の放出を変えることができる。
さらに別の実施形態では、本発明の医療機器は、基体と、基体の少なくとも一部の上に配置されたコーティング組成物とを含み、基体は、第1の複数の結合型第1治療薬及び結合型第2治療薬を含み、かつコーティング組成物は、第2の複数の結合型第1治療薬及び結合型第2治療薬を含み、医療機器を使用中(例えば、血管等の体管腔内に移植されている)、結合型第1治療薬は第1速度で放出され、かつ結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で放出される。
【0014】
図4Aは、多孔性基体22と、多孔性基体22の一部の上に配置された多孔性コーティング組成物47とを含むステントを示し、基体22とコーティング組成物47は両方とも、平均径D1を有する結合型第1治療薬25と、平均径D2を有する結合型第2治療薬28とを含む。図4Aに示すように、結合型第1又は第2治療薬は、基体及び/又はコーティング組成物の表面を越えて広がり得る。図4Bに示すように、ポリマーコーティング29をコーティング組成物47の一部の上に配置して、結合型治療薬の放出を変えることができる。
【0015】
下記セクション5.1で本発明の医療機器についてさらに詳細に論じる。それぞれ、下記セクション5.2及び5.3で本発明の医療機器の製造方法及び使用方法について論じる。開示の明瞭さのため、また限定の目的でなく、本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分ける。
【0016】
5.1 医療機器
5.1.1. 結合型治療薬
本発明の医療機器は、多孔性基体及び/又は多孔性コーティング組成物の細孔内に分散した結合型治療薬を含む。医療機器が患者の体内に移植又は挿入されると、結合型治療薬は、医療機器の細孔から放出される。結合型治療薬の平均径が、基体及び/又はコーティング組成物の細孔の平均径と相まって、結合型治療薬が医療機器から放出される速度を決定する。
【0017】
5.1.1.1 治療薬
特定の実施形態では、治療薬は、細胞の増殖、収縮、移動、活動過多を阻害するため、又は他の状況に取り組むために有用である。本明細書で使用する場合、用語「治療薬」は、薬物、遺伝的物質及び生物学的物質を包含する。好適な治療薬の非限定例として、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン(PPack)、エノキサプリン、アンギオペプチン、ヒルジン、アセチルサリチル酸、タクロリムス、エベロリムス、ラパマイシン(シロリムス)、アムロジピン、ドキサゾシン、グルココルチコイド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、スルファサラジン、ロシグリタゾン、ミコフェノール酸、メサラミン、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、メトトレキセート、アザチオプリン、アドリアマイシン、ムタマイシン、エンドスタチン、アンギオスタチン、チミジンキナーゼインヒビター、クラドリビン、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジンインヒビター、血小板インヒビター、トラピジル、リプロスチン、ダニ抗血小板ペプチド、5-アザシチジン、血管内皮成長因子、成長因子受容体、転写活性化因子、翻訳プロモーター、抗増殖薬、成長因子インヒビター、成長因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製インヒビター、抑制抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒から成る二機能性分子、抗体と細胞毒から成る二機能性分子、コレステロール低減薬、血管拡張薬、内因性血管作用機構を妨げる薬剤、抗酸化薬、プロブコール、抗生物質製剤、ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラナイシン(tobranycin)、血管形成物質、線維芽細胞成長因子、エストロゲン、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、17-ベータエストラジオール、ジゴキシン、ベータブロッカー、カプトプリル、エナロプリル、スタチン、ステロイド、ビタミン、タキソール、パクリタキセル、2'-スクシニル-タキソール、2'-スクシニル-タキソールトリエタノールアミン、2'-グルタリル-タキソール、2'-グルタリル-タキソールトリエタノールアミン塩、N-(ジメチルアミノエチル)グルタミンとの2'-O-エステル、N-(ジメチルアミノエチル)グルタミド塩酸塩との2'-O-エステル、ニトログリセリン、亜酸化窒素、一酸化窒素、抗生物質、アスピリン、ジギタリス、エストロゲン、エストラジオール及びグリコシドが挙げられる。好ましい実施形態では、治療薬はタキソール(例えば、Taxol(登録商標))、又はその類似体若しくは誘導体である。別の好ましい実施形態では、治療薬はパクリタキセルである。さらに別の好ましい実施形態では、治療薬は抗生物質であり、限定するものではないが、エリスロマイシン、アンホテリシン、ラパマイシン、アドリアマイシンが挙げられる。
【0018】
用語「遺伝的物質」は、DNA又はRNAを意味し、限定ではなく、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターを含め、ヒト体内に挿入することを意図した、後述する有用なタンパク質をコードするDNA/RNAが挙げられる。
【0019】
用語「生物学的物質」には、細胞、酵母菌、細菌、タンパク質、ペプチド、サイトカイン及びホルモンが含まれる。ペプチド及びタンパク質の例として、限定するものではないが、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子(TGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、軟骨組織成長因子(CGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨格成長因子(SGF)、骨芽細胞由来成長因子(BDGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、サイトカン成長因子(CGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、低酸素症誘導因子-1(HIF-1)、幹細胞由来因子(SDF)、幹細胞因子(SCF)、内皮細胞成長サプリメント(ECGS)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、成長分化因子(GDF)、インテグリン調節因子(IMF)、カルモジュリン(CaM)、チミジンキナーゼ(TK)、腫瘍壊死因子(TNF)、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)(例えば、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6(Vgr-1)、BMP-7(PO-1)、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-14、BMP-15、BMP-16など)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織インヒビター(TIMP)、サイトカイン、インターロイキン(IL)(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15など)、リンホカイン、インターフェロン、インテグリン、コラーゲン(全型)、エラスチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、トランスフェリン、サイトタクチン、細胞結合ドメイン(例えば、RGD)、及びテネイシンが挙げられる。現在好ましいBMPは、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7である。これらの二量体タンパク質を同質二量体、異質二量体、又はその組合せとして、単独又は他の分子と共に供給することができる。細胞はヒト起源のもの(自己又は同種異系)又は動物起源由来(異種)でよく、所望により、細胞を遺伝子操作して問題のタンパク質を移植部位に送達することができる。必要に応じて送達媒体を調製して、細胞の機能及び生存能力を維持することができる。細胞として、限定するものではないが、前駆細胞(例えば、表皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間充組織、造血、ニューロン)、間質細胞、実質細胞、未分化細胞、線維芽細胞、マクロファージ、衛星細胞が挙げられる。
【0020】
他の治療薬として、以下のものが挙げられる:
・抗血栓形成薬、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン);
・抗増殖薬、例えばエノキサプリン、アンギオペプチン、又は平滑筋細胞増殖を遮断できるモノクロナール抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸、タクロリムス、エベロリムス、アムロジピン及びドキサゾシン;
・抗炎症薬、例えばグルココルチコイド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、ロシグリタゾン、ミコフェノール酸、及びメサラミン;
・抗新生物/抗増殖/抗有糸分裂薬、例えばパクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、メトトレキセート、アザチオプリン、アドリアマイシン、ムタマイシン、エンドスタチン、アンギオスタチン、チミジンキナーゼインヒビター、クラドリビン、タキソールとその類似体又は誘導体;
【0021】
・麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカイン、及びロピバカイン;
・抗凝固薬、例えばD-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン(アスピリンは鎮痛薬、解熱薬及び抗炎症薬としても分類される)、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジンインヒビター、血小板インヒビター、抗血小板薬、例えばトラピジル又はリプロスチン及びダニ抗血小板ペプチド;
・血管細胞成長プロモーター、例えば成長因子、血管内皮成長因子(FEGF、VEGF-2を含む全ての型)、成長因子受容体、転写活性化因子、及び翻訳プロモーター;
・DNA脱メチル化薬、例えば5-アザシチジン(特定の癌細胞内で細胞の成長を阻害し、アポトーシスを誘発する、RNA又はDNA代謝物としても分類される);
・血管細胞成長インヒビター、例えば抗増殖薬、成長因子インヒビター、成長因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製インヒビター、抑制抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒から成る二機能性分子、抗体と細胞毒から成る二機能性分子;
【0022】
・コレステロール低減薬;血管拡張薬;及び内因性血管作用機構を妨げる薬剤;
・抗酸化薬、例えばプロブコール;
・抗生物質製剤、例えばペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラマイシン;
・マクロライド、例えばシロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、タクロリムス、ピメクロリムス、及びゾタロリムス;
・血管形成物質、例えば酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子、エストロゲン、例えばエストラジオール(E2)、エストリオール(E3)及び17-ベータエストラジオール;並びに
・心不全用の薬物、例えばジゴキシン、ベータ-ブロッカー、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、例えばカプトプリル及びエナロプリル、スタチン及び関連化合物。
【0023】
好ましい治療薬として、抗増殖薬、例えばステロイド、ビタミン、及び再狭窄阻害薬が挙げられる。好ましい抗再狭窄薬として、微小管安定化薬、例えばTaxol(登録商標)、パクリタキセル(すなわち、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、又はパクリタキセル誘導体、及びその混合物)が挙げられる。例えば、本発明で使うのに適した誘導体として、2'-スクシニル-タキソール、2'-スクシニル-タキソールトリエタノールアミン、2'-グルタリル-タキソール、2'-グルタリル-タキソールトリエタノールアミン塩、N-(ジメチルアミノエチル)グルタミンとの2'-O-エステル、及びN-(ジメチルアミノエチル)グルタミド塩酸塩との2'-O-エステルが挙げられる。
【0024】
他の好ましい治療薬として、ニトログリセリン、亜酸化窒素、一酸化窒素、抗生物質、アスピリン、ジギタリス、エストロゲン誘導体、例えばエストラジオール及びグリコシドが挙げられる。
好ましい実施形態では、治療薬はラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、又はその組合せを含む。
当業者に周知の方法で治療薬を合成することができる。或いは、化学会社及び製薬会社から治療薬を購入することができる。
【0025】
5.1.1.2 第1及び第2材料
治療薬が結合している分子のサイズ(例えば、平均径、体積)、質量及び/又は性質に基づいて、本発明の医療機器から放出される治療薬の速度を調整することができる。
特定の実施形態では、治療薬と結合している分子は、シリカ、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリラクチド、アルミナ、又はその組合せを含む材料の分子でよい。
【0026】
特定の実施形態では、この材料は少なくとも部分的に(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、又は99%)又は完全に(すなわち、100%)生体吸収性なので、体組織にさらされると、該材料は分解し、管壁などの組織と相互作用するための治療薬を後に残す。特有の実施形態では、該材料が吸収された後に治療薬が医療機器から放出される。
特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は第2材料の分子の平均径より大きい。
【0027】
特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径の約1/2〜約2/3倍であり、第2材料の分子の平均径は、基体及び/又はコーティング組成物中の細孔の平均径の約1/10〜約1/4倍である。
特有の実施形態では、材料の分子の平均径は0.001μm〜130μmの範囲である。特有の実施形態では、第1材料の分子の平均径は約0.001μm〜約100μm、約0.01μm〜約80μm、約0.1μm〜約60μm、約1μm〜約40μm、約10μm〜約30μmの範囲であり、第2材料の分子の平均径は約0.001μm〜約40μm、約0.01μm〜約30μm、約0.1μm〜約20μm、約1μm〜約10μmの範囲である。特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は約0.001μm、約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、又は約130μmであり、第2材料の分子の平均径は約0.001μm、約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、又は約50μmである。
【0028】
当業者に既知のいずれの方法によっても材料の直径を測定することができ、方法としては、限定するものではないが、National Institute of Standards and Technologyの標準的な微粒子測定技術で概要が述べられているように、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡、及び粒子サイズ分析計を含む微粒子測定技術が挙げられる。
当業者に周知の方法で該材料を合成することができる。或いは、該材料を化学会社及び製薬会社から購入することができる。
【0029】
5.1.2. 医療機器のタイプ
患者の体内に本発明の医療機器を移植又は挿入することができる。本発明に適した医療機器として、限定するものではないが、ステント、外科用ステープル、カテーテル、例えばバルーンカテーテル、中心静脈カテーテル、及び動脈カテーテル、ガイダワイヤー、カニューレ、心臓ペースメーカーリード又はリードチップ、細動除去器リード又はリードチップ、移植可能血管アクセスポート、血液貯蔵バッグ、血液用チューブ、血管又は他の移植片、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、心血管縫合糸、全人工心臓及び心室補助ポンプ、及び体外装置、例えば血液酸素付加装置、血液フィルター、中隔欠損用装置、血液透析ユニット、血液灌流ユニット及び血漿分離交換ユニットが挙げられる。
【0030】
本発明に適した医療機器には、限定するものではないが、管状又は円筒様部分を有するものが含まれる。例えば、医療機器の管状部分は完全に円筒状である必要はない。管状部分の断面は、正確な円形でなく、長方形、三角形などのいずれの形状でもよい。該装置として、限定するものではないが、ステント、バルーンカテーテル、及び移植片が挙げられる。分岐ステントも本発明の方法で製作できる医療機器に含まれる。一実施形態では、医療機器は、複数の開口を画定する複数の支柱を含む側壁を有するステントである。いくつかの実施形態では、ステントは、開口と支柱で構成される開格子側壁ステント構造を有する。この医療機器は、体管腔の曝露に適合する外面、内面、及び外面と内面の間の少なくとも1つの側面を有する。
【0031】
さらに、医療機器の環状部分は、複数の開口を画定する複数の支柱を含み得る側壁でよい。側壁が管腔を画定する。いずれの適切な配置で支柱を配列させてもよい。また、支柱は、全て同一の形状又は幾何的配置を持たなければならないわけではない。医療機器が、複数の支柱を含むステントの場合、表面は支柱上にある。それぞれ個々の支柱は、患者の体組織への曝露に適合した外面、内面、及び外面と内面との間の少なくとも1つの側面を有する。
【0032】
本発明に特に適した医療機器は、当業者に既知の医療目的用のいずれの種類のステントをも包含する。好ましくは、ステントは、患者の血管に永久移植するために設計される静脈内ステントである。特定の実施形態では、ステントは開格子側壁ステント構造を含む。好ましい実施形態では、本発明に適したステントはエクスプレス(Express)ステントである。さらに好ましくは、エクスプレスステントは、ExpressTMステント又はExpress2TMステント(Boston Scientific, Inc. Natick, Mass.)である。他の好適なステントとして、例えば、血管ステント、例えば自己拡張型ステント及びバルーン拡張式ステントが挙げられる。本発明で有用な自己拡張型ステントの例は、Wallstenに発行された米国特許第4,655,771号及び第4,954,126号並びにWallstenらに発行された米国特許第5,061,275号に例示されている。適切なバルーン拡張式ステントの例は、Pinchasikらに発行された米国特許第5,449,373号に示されている。
【0033】
当技術分野で既知の種々の方法によって、好適なステントの枠組を形成することができる。枠組を溶接し、型に入れて作り、レーザーカットし、電気鋳造することができ、或いは枠組は、一緒に巻くか又は編んで連続構造を形成するフィラメント又は繊維から成ってもよい。
本発明の医療機器(例えば、ステント)の好適な基体は、金属材料、セラミック材料、ポリマー若しくは非ポリマー材料、又はその組合せから製作され得る(下記セクション5.1.2.1〜5.1.2.4参照)。好ましくは、材料は生体適合性である。材料は多孔性又は非多孔性でよく、多孔性構造要素はミクロポーラス又はナノポーラスでよい。
【0034】
5.1.2.1 装置形成用金属材料
特定の実施形態では、本発明の医療機器は金属性の基体を含む。基体を作製するために有用な好適な金属材料として、限定するものではないが、チタンを基礎とする金属及び合金(例えばニチノール、ニッケルチタン合金、熱記憶合金材料)、ステンレススチール、金、白金、イリジウム、モリブデン、ニオビウム、パラジウム、クロム、タンタル、ニッケルクロム、又は特定のコバルト合金、例えばElgiloy(登録商標)及びPhynox(登録商標)等のコバルトクロムニッケル合金、又はその組合せが挙げられる。他の金属材料として、クラッド複合材フィラメント、例えばWO 94/16646に開示されているものが挙げられる。
【0035】
特定の実施形態では、基体は金属酸化物を含む。好適な金属酸化物として、限定するものではないが、遷移金属酸化物、酸化白金、酸化タンタル、酸化チタン、二酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ニオビウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化ロージウム、又はその組合せが挙げられる。好ましくは、金属又は金属酸化物は、生体適合性である。
【0036】
好ましくは、金属又は金属酸化物領域は放射線不透過性材料を含む。医療機器がX線又はX線透視検査下で目に見えるように、放射線不透過性材料を含めることが望ましい。放射線不透過性の好適な材料として、限定するものではないが、金、タンタル、白金、ビスマス、イリジウム、ジルコニウム、ヨウ素、チタン、バリウム、銀、スズ、これら金属の合金、又はその組合せが挙げられる。
【0037】
さらに、単一タイプの金属を用いて本発明を実施して基体を形成できるが、金属の種々の組合せを利用することもできる。金属の適切な混合物を調和させて、基体内に組み込むときに所望の効果を生じさせることができる。
【0038】
5.1.2.2 装置形成用セラミック材料
特定の実施形態では、本発明の医療機器は、セラミックである基体を含む。基体を作製するための好適なセラミック材料として、限定するものではないが、遷移元素の酸化物、炭化物、又は窒化物、例えば酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、又はその組合せが挙げられる。シリコンベース材料、例えばシリカも使用し得る。
さらに、単一タイプのセラミックを用いて本発明を実施して基体を形成できるが、セラミックの種々の組合せを利用することもできる。セラミックの適切な混合物を調和させて、基体内に組み込むときに所望の効果を生じさせることができる。
【0039】
5.1.2.3 装置形成用ポリマー材料
特定の実施形態では、本発明の医療機器は、ポリマーである基体を含む。医療機器の構成要素を形成するために有用なポリマーは生体適合性であり、かつ体組織への刺激を避けるものでなければならない。ポリマーは生物学的安定性又は生体吸収性でよい。基体を作製するために有用な好適なポリマー材料として、限定するものではないが、イソブチレンベースポリマー、ポリスチレンベースポリマー、ポリアクリレート、及びポリアクリレート誘導体、酢酸ビニルベースポリマーとそのコポリマー、ポリウレタンとそのコポリマー、シリコーンとそのコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、アクリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシドコポリマー、セルロース、コラーゲン、キチン、又はその組合せが挙げられる。
【0040】
基体を作製するための材料として有用な他のポリマーとして、限定するものではないが、ダクロンポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリアルキレンオキサレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ナイロン、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリシアノアクリレート、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、エチレングリコールIジメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレンポリ(HEMA)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリ(グリコリド-ラクチド)コポリマー、ポリ乳酸、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリジオキサノン、ポリ(γ-エチルグルタメート)、ポリイミノカーボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、スチレンイソブチレンスチレン、ポリエーテルオキシド、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリ-2-ヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチック-コ-グリコール(lactic-co-clycolic)酸、テフロン(登録商標)(Teflon)、アルギネート、デキストラン、キチン、綿、ポリグリコール酸、ポリウレタン、その誘導体化した変形(すなわち、その構造の完全性を保持しながら、タンパク質及び/又は核酸などの細胞及び分子の付着を可能にする、例えば、付着部位又は架橋基を含むように修飾されたポリマー、例えばアルギニン-グリシン-アスパラギン酸RGD)、又はその組合せが挙げられる。
ポリマーを乾燥させて、その機械的強度を高めることができる。そして、ポリマーを基礎材料として用いて基体の全部又は一部を形成することができる。
さらに、単一タイプのポリマーを用いて本発明を実施して基体を形成できるが、ポリマーの種々の組合せを利用することもできる。ポリマーの適切な混合物を調和させて、基体内に組み込むときに所望の効果を生じさせることができる。
【0041】
5.1.2.4 装置形成用非ポリマー材料
特定の実施形態では、本発明の医療機器は、非ポリマーである基体を含む。基体を作製するために有用な好適な非ポリマー材料として、限定するものではないが、ステロール、例えばコレステロール、スチグマステロール、β-シトステロール、及びエストラジオール;コレステリルエステル、例えばステアリン酸コレステリル;C12-C24脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキド酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸;C18-C36モノ-、ジ-及びトリアシルグリセリド、例えばグリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノドコサノエート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノジセノエート、グリセリルジパルミテート、グリセリルジドコサノエート、グリセリルジミリステート、グリセリルジデセノエート、グリセリルトリドコサノエート、グリセリルトリミリステート、グリセリルトリデセノエート、グリセロールトリステアレート及びその混合物;スクロース脂肪酸エステル、例えばスクロースジステアレート及びスクロースパルミテート;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート及びソルビタントリステアレート;C16-C18脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、及びセトステアリルアルコール;脂肪アルコールと脂肪酸のエステル、例えばパルミチン酸セチル及びパルミチン酸セテアリル;脂肪酸の無水物、例えば無水ステアリン酸;リン脂質、例えばホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、及びそのリゾ誘導体;スフィンゴシンとその誘導体;スフィンゴミエリン、例えばステアリル、パルミトイル、及びトリコサニルスフィンゴミエリン;セラミド、例えばステアリル及びパルミトイルセラミド;グリコスフィンゴ脂質;ラノリン及びラノリンアルコール;又はその組合せが挙げられる。好ましい非ポリマーとして、コレステロール、グリセリルモノステアレート、グリセロールトリステアレート、ステアリン酸、無水ステアリン酸、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノリノレート、及びアセチル化モノグリセリドが挙げられる。
さらに、単一タイプの非ポリマーを用いて本発明を実施して基体を形成できるが、非ポリマーの種々の組合せを利用することもできる。非ポリマーの適切な混合物を調和させて、基体内に組み込むときに所望の効果を生じさせることができる。
【0042】
5.1.2.5 多孔性基体
特定の実施形態では、本発明の医療機器の基体は多孔性であり、上記セクション5.1.1で論じた結合型治療薬を多孔性基体の細孔内に分散させることができる。特有の実施形態では、基体を形成する組成物は、質量で少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%以上の結合型治療薬を含む。基体中の細孔が基体の外面と連結又は連絡され得る。また、細孔は分離し、相互連結され又はあるパターンで配置されていてよい。さらに、細孔はいずれの形状又はサイズを有していてもよく、チャネル、ボイド経路又は微視導管のような形状の細孔が挙げられる。基体中の細孔の平均径は約0.01μm〜約200μm、約0.1μm〜約180μm、約0.5μm〜約160μm、約1μm〜約140μm、約10μm〜約120μm、約20μm〜約100μm、約30μm〜約80μm、約40μm〜約60μmの範囲内である。特定の実施形態では、基体中の細孔の平均径は約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、約120μm、約140μm、約160μm、約200μmである。一実施形態では、基体の細孔の平均径は約10μm未満である。
【0043】
5.1.3 コーティング組成物
特定の実施形態では、本発明の医療機器は、コーティング組成物及び/又はポリマーコーティング組成物を含む。1種以上のポリマーを用いてコーティング組成物又はポリマーコーティング組成物を形成することができる。ポリマーは生体適合性であり、かつ体組織に対する刺激を回避しなければならない。ポリマーは生物学的安定性又は生体吸収性のどちらかでよい。好適なポリマーとして、本発明の医療機器を製作するために使用される上記セクション5.1.2.3で論じたものが挙げられる。
コーティング組成物及び多孔性コーティング組成物を作製するために有用な他の好適なポリマーとして、限定するものではないが、イソブチレンスチレンコポリマー、一般的な熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、エチレンαオレフィンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ビニルハライドポリマー及びコポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル、ポリビニリデンハライド、例えばポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、芳香族ポリビニル、例えばポリスチレン、ポリビニルエステル、例えばポリ酢酸ビニル、ビニルモノマーのコポリマー、ビニルモノマーとオレフィンのコポリマー、例えばエチレンメチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、例えばナイロン66及びポリカプロラクトン、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、レーヨントリアセテート、セルロース、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、セルロースニトレート、セルロースプロピオネート、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、キチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸ポリエチレンオキシドコポリマー、EPDM(エチレンプロピレンジエン)ゴム、フルオロシリコーン、ポリエチレングリコール、多糖、リン脂質、又はその組合せが挙げられる。
【0044】
機械的課題(例えば、拡張及び収縮)を受ける医療機器にとって、好ましくは、ポリマーは、シリコーン(例えば、ポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、及びEPDMゴムなどの弾性ポリマーから選択されるべきである。これらポリマーの弾力性のため、コーティング組成物及びポリマーコーティング組成物は、装置が力、応力又は機械的課題を受けたとき、降伏点下で変形を受けることができる。
好ましい接着性ポリマーの例として、限定するものではないが、スチレンとイソブチレン、シアノアクリレート若しくはエチレン酢酸ビニルンのコポリマー、イソブチレンベースポリマー、アクリレートベースポリマー、フィブリン、又はその組合せが挙げられる。
ヒドロゲルポリマー、例えばポリヘマ(polyhema)、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、及び他のアクリルヒドロゲルも使用できる。使用し得る他のヒドロゲルポリマーは、参照によってその全体が本明細書に組込まれる、Sahatjianに対する米国特許第5,304,121号、Bergらに対する米国特許第5,464,650号、Zhongらに対する米国特許第6,368,356号、Sahatjianに対するPCT公開WO 95/03083、及びDavisらに対する米国特許第5,120,322号で開示されている。
【0045】
コーティング組成物及びポリマーコーティング組成物を調製するために使用する溶媒として、該ポリマー材料を溶解又は懸濁させて溶液にできるものが挙げられる。好適な溶媒の例として、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、クロロホルム、トルエン、アセトン、イソオクタン、1,1,1-トリクロロエタン、ジクロロメタン、イソプロパノール、IPA、又はその組合せが挙げられる。
【0046】
5.1.3.1 多孔性コーティング組成物
特定の実施形態では、コーティング組成物は多孔性であり、多孔性コーティング組成物の細孔内に上記セクション5.1.1で論じた結合型治療薬を分散させることができる。特有の実施形態では、コーティング組成物を形成する組成物は、質量で少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%以上の結合型治療薬を含む。コーティング組成物中の細孔は、コーティング組成物の外面と連結又は連絡され得る。また、細孔は分離し、相互連結され又はあるパターンで配置されていてよい。さらに、細孔はいずれの形状又はサイズを有していてもよく、チャネル、ボイド経路又は微視導管のような形状の細孔が挙げられる。コーティング組成物中の細孔の平均径は約0.01μm〜約200μm、約0.1μm〜約180μm、約0.5μm〜約160μm、約1μm〜約140μm、約10μm〜約120μm、約20μm〜約100μm、約30μm〜約80μm、約40μm〜約60μmの範囲内である。特定の実施形態では、コーティング組成物中の細孔の平均径は約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、約120μm、約140μm、約160μm、約200μmである。一実施形態では、コーティング組成物の細孔の平均径は約10μm未満である。
【0047】
5.1.3.2 ポリマーコーティング組成物
特定の実施形態では、本発明の医療機器は、基体又はコーティング組成物の一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物を含む。好ましい実施形態では、ポリマーコーティング組成物は、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含む。ポリマーコーティング組成物の存在は、ポリマーコーティング組成物がない医療機器から結合型治療薬が放出される速度と異なる速度で医療機器から結合型治療薬が放出されるように、結合型治療薬の放出速度を変える(例えば、いわゆる「バースト効果」を減らす)ことができる。
特定の実施形態では、ポリマーコーティング組成物を形成するために使用するポリマーは、コーティング組成物を形成するために使用するポリマーと同一又は異なってよい。
【0048】
5.2 医療機器に製造方法
本発明は、本発明の医療機器の製造方法にも関する。特定の実施形態では、本方法は、以下の工程:(a)表面を有する基体を含む医療機器を準備する工程、(b)前記基体に複数の細孔を生じさせる工程、(c)第1材料の1つ以上の分子に第1治療薬を結合させて、結合型第1治療薬を形成する工程、(d)第2材料の1つ以上の分子に第2治療薬を結合させて、結合型第2治療薬を形成する工程、及び(e)前記結合型第1及び第2治療薬を前記基体の前記複数の細孔中に分散させる工程を含む。別の実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。別の関連実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)前記結合型第1及び第2治療薬が中に分散しているコーティング組成物を調製する工程、及び(g)前記コーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。本方法は、さらに以下の工程:(h)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記コーティング組成物の一部の上に適用する工程を含む。
特定の他の実施形態では、本方法は、(a)第1材料の1つ以上の分子に第1治療薬を結合させて、結合型第1治療薬を形成する工程、(b)第2材料の1つ以上の分子に第2治療薬を結合させて、結合型第2治療薬を形成する工程、及び(c)前記結合型第1及び第2治療薬を組成物と混合して基体を形成する工程を含む。関連実施形態では、本方法はさらに以下の工程:(d)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。別の関連実施形態では、本方法はさらに以下の工程:(d)前記結合型第1及び第2治療薬が中に分散しているコーティング組成物を調製する工程、及び(e)前記コーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む。本方法は、さらに以下の工程:(f)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記コーティング組成物の一部の上に適用する工程を含むことができる。
特定の他の実施形態では、以下の工程:(a)表面を有する基体を含む医療機器を準備する工程、(b)第1材料の1つ以上の分子に第1治療薬を結合させて、結合型第1治療薬を形成する工程、(c)第2材料の1つ以上の分子に第2治療薬を結合させて、結合型第2治療薬を形成する工程、(d)前記結合型第1及び第2治療薬が中に分散しているコーティング組成物を調製する工程、及び(e)前記コーティング組成物を前記基体の前記表面の一部の上に適用する工程を含む方法で医療機器を調製する。関連実施形態では、本方法は、さらに以下の工程:(f)生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含むポリマーコーティング組成物を前記コーティング組成物の一部の上に適用する工程を含む。
【0049】
5.2.1 結合型治療薬の調製方法
上記セクション5.1.1.1で論じた治療薬を上記セクション5.1.1.2で論じた材料の1つ以上の分子に、当業者に既知のいずれの方法によっても結合させることができる。この方法として、限定するものではないが、イオン結合、水素結合、共有又は非共有化学的会合(すなわち、ファデルワールス力又は電荷-電荷相互作用を介してのように疎水的)、又はその組合せが挙げられる。当業者に既知のいずれの方法によっても結合強度を測定できる。
特有の実施形態では、材料の分子の平均径は0.001μm〜130μmの範囲である。特有の実施形態では、第1材料の分子の平均径は約0.001μm〜100μm、約0.01μm〜約80μm、約0.1μm〜約60μm、約1μm〜約40μm、約10μm〜約30の範囲であり、第2材料の分子の平均径は約0.001μm〜約40μm、約0.01μm〜約30μm、約0.1μm〜約20μm、約1μm〜約10μmの範囲内である。特定の実施形態では、第1材料の分子の平均径は約0.001μm、約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、又は約130μmであり、第2材料の分子の平均径は約0.001μm、約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、又は約50μmである。
【0050】
5.2.2. 結合型治療薬を含む多孔性基体の調製方法
本発明の基体は多孔性でよく、上記セクション5.1.1で論じた結合型治療薬を含む。基体中の細孔のサイズと数は、結合型治療薬の放出速度に影響を与え得る。例えば、より大きい細孔を有する基体は、より小さい細孔を有する基体より速く結合型治療薬を放出させるだろう。多孔性が高い基体は、多孔性が低い基体より多数の結合型治療薬を放出させるだろう。
当業者に既知のいずれの方法によっても基体の細孔を生じさせることができ、この方法として、限定するものではないが、焼結、共蒸着、ミクロ荒仕上げ(micro-roughing)、又はその組合せが挙げられる。例えば、スパッタリング及び蒸着条件を調整することなどの蒸着プロセス、反応性プラズマを利用するミクロ荒仕上げ、イオン衝撃電解質エッチング、又はその組合せによって、多孔性構造を作ることができる。他の方法として、限定するものではないが、合金めっき、物理的蒸着、化学的蒸着、焼結、又はその組合せが挙げられる。
当業者に既知のいずれの方法によっても結合型治療薬を基体の細孔内に分散させることができる。この方法として、限定するものではないが、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、プラズマ蒸着、凝縮、電気化学的、静電気的、エバポレーション、プラズマ蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、イオン注入法、流動床の使用、又はその組合せが挙げられる。本発明の基体に結合型治療薬を分散させるのに適した方法は、好ましくは治療薬の治療特性を変えず、又は有害な影響を及ぼさない。
【0051】
5.2.3 結合型治療薬を含む多孔性コーティング組成物の調製方法
本発明のコーティング組成物は多孔性でよく、上記セクション5.1.1で論じた結合型治療薬を含む。コーティング組成物中の細孔のサイズは、結合型治療薬の放出速度に影響を与え得る。例えば、より大きい細孔を有するコーティング組成物は、より小さい細孔を有するコーティング組成物より速く結合型治療薬を放出させるだろう。多孔性が高いコーティング組成物は、多孔性が低いコーティング組成物より多数の結合型治療薬を放出させるだろう。
当業者に既知のいずれの方法によってもコーティング組成物の細孔を生じさせることができ、この方法として、限定するものではないが、第1金属を含むコーティング上の真空プラズマ噴霧法(多孔性の形成を促進するプロセスパラメーターで)が挙げられる。細孔サイズは、コーティング内に捕捉されるガスの量によって変わるだろう。
いずれの適切な方法によっても結合型治療薬を基体の細孔内に分散させ得る。この方法として、限定するものではないが、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、プラズマ蒸着、凝縮、電気化学的、静電気的、エバポレーション、プラズマ蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、イオン注入法、流動床の使用、又はその組合せが挙げられる。本発明のコーティング組成物に結合型治療薬を分散させるのに適した方法は、好ましくは治療薬の治療特性を変えず、又は有害な影響を及ぼさない。
【0052】
5.2.4 コーティング組成物の適用方法
当業者に既知のいずれの方法によっても医療機器の表面の少なくとも一部にコーティング組成物を適用することができる。この方法として、限定するものではないが、浸漬、噴霧(例えば通常のノズル又は超音波ノズルによって)、積層、プレス加工、ブラッシング、塗布、浸漬、ローリング、静電蒸着、ペインティング、電気めっき、エバポレーション、プラズマ蒸着、バッチ法、例えばエアサスペンション、パンコーティング又は超音波ミスト噴霧、陰極アーク蒸着、スパッタリング、イオン注入法、静電気的、静電めっき、電気化学的、及び生物分子の、表面への固定化の全ての最近の化学的手段、又はその組合せが挙げられる。好ましくは、噴霧、ローリング、積層、プレス加工、又はその組合せによって、コーティング組成物を適用する。
【0053】
複数のコーティング方法を用いてコーティング組成物を適用することができる。複数のコーティング組成物を適用する場合、同一又は異なる方法でコーティング組成物を適用することができる。このような方法は当業者に一般に知られている。
【0054】
6.等価物
本発明は、本発明の個々の局面の単なる例示のつもりで述べた特有の実施形態によって範囲を制限されるものでなく、機能的に等価な方法及び成分は本発明の範囲内である。実際に、本明細書で示し、述べたものに加え、前述の説明及び添付図面から、日常的な実験だけを用いて、本発明の種々の変形が当業者には明らかになるだろう。このような変形及び等価物は、添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
【0055】
この明細書で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的かつ個々に参照によって本明細書に組込まれると示したのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書における参考文献の引用又は議論は、該参考文献が本発明に対する先行技術であるとの承認と解釈すべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1治療薬及び第2治療薬を含む基体を含む静脈内ステントであって、
前記第1治療薬は、第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、かつ前記第2治療薬は、第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成しており、
前記結合型第1治療薬は、前記結合型第2治療薬よりサイズが大きく、かつ
前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記ステントから第1速度で放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で前記ステントから放出される、前記ステント。
【請求項2】
前記基体が、ステンレススチール、アルミナフィルム、白金、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、又はその組合せを含む、請求項1のステント。
【請求項3】
前記基体が、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリラクチド、又はその組合せを含む、請求項1のステント。
【請求項4】
前記基体が多孔性である、請求項1のステント。
【請求項5】
前記第1又は第2材料の少なくとも1つが、シリカ、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリラクチド、アルミナ、又はその組合せを含む、請求項1のステント。
【請求項6】
前記第1材料及び前記第2材料が生体吸収性であり、かつ前記結合型第1治療薬は、前記第1材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出される、請求項1のステント。
【請求項7】
前記第1材料の分子の平均径が、前記第2材料の分子の平均径より大きい、請求項1のステント。
【請求項8】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、抗増殖薬、抗血栓形成薬、抗炎症薬、又はその組合せを含む、請求項1のステント。
【請求項9】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、ラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、又はその組合せを含む、請求項1のステント。
【請求項10】
前記基体上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含み、
前記ポリマーコーティング組成物が、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含み、かつ前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記第1速度と異なる第3速度で前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2速度と異なる第4速度で前記ステントから放出される、請求項1のステント。
【請求項11】
基体と、
第1治療薬及び第2治療薬を含む、前記基体の少なくとも一部の上に配置されたコーティング組成物とを含む静脈内ステントであって、
前記第1治療薬は、第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、かつ前記第2治療薬は、第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成しており、
前記結合型第1治療薬は、前記結合型第2治療薬よりサイズが大きく、かつ
前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記ステントから第1速度で放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で前記ステントから放出される、前記ステント。
【請求項12】
前記基体が、ステンレススチール、アルミナフィルム、白金、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、又はその組合せを含む、請求項11のステント。
【請求項13】
前記基体が、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリラクチド、又はその組合せを含む、請求項11のステント。
【請求項14】
前記基体又はコーティング組成物の少なくとも1つが多孔性である、請求項11のステント。
【請求項15】
前記第1又は第2材料の少なくとも1つが、シリカ、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリラクチド、アルミナ、又はその組合せを含む、請求項11のステント。
【請求項16】
前記第1材料及び前記第2材料が生体吸収性であり、かつ前記結合型第1治療薬は、前記第1材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出される、請求項11のステント。
【請求項17】
前記第1材料の分子の平均径が、前記第2材料の分子の平均径より大きい、請求項11のステント。
【請求項18】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、抗増殖薬、抗血栓形成薬、抗炎症薬、又はその組合せを含む、請求項11のステント。
【請求項19】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、ラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、又はその組合せを含む、請求項11のステント。
【請求項20】
前コーティング組成物の少なくとも一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含み、
前記ポリマー組成物が、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含み、かつ前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記第1速度と異なる第3速度で前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2速度と異なる第4速度で前記ステントから放出される、請求項11のステント。
【請求項21】
基体と、この基体の少なくとも一部の上に配置されたコーティング組成物とを含む静脈内ステントであって、
前記基体が、第1の複数の第1治療薬及び第2治療薬を含み;
前記コーティング組成物が、第2の複数の前記第1治療薬及び前記第2治療薬を含み;
前記第1治療薬は、第1材料の1つ以上の分子に結合して結合型第1治療薬を形成し、かつ前記第2治療薬は、第2材料の1つ以上の分子に結合して結合型第2治療薬を形成しており;
前記第1治療薬は、抗増殖薬、抗血栓形成薬、抗炎症薬、又はその組合せを含み;
前記結合型第1治療薬は、前記結合型第2治療薬よりサイズが大きく;かつ
前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記ステントから第1速度で放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第1速度より速い第2速度で前記ステントから放出される、前記ステント。
【請求項22】
前記基体が、ステンレススチール、アルミナフィルム、白金、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、マグネシウム、又はその組合せを含む、請求項21のステント。
【請求項23】
前記基体が、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリラクチド、又はその組合せを含む、請求項21のステント。
【請求項24】
前記基体又はコーティング組成物の少なくとも1つが多孔性である、請求項21のステント。
【請求項25】
前記第1又は第2材料の少なくとも1つが、シリカ、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリラクチド、アルミナ、又はその組合せを含む、請求項21のステント。
【請求項26】
前記第1材料及び前記第2材料が生体吸収性であり、かつ前記結合型第1治療薬は、前記第1材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2材料が少なくとも部分的に吸収された後に前記ステントから放出される、請求項21のステント。
【請求項27】
前記第1材料の分子の平均径が、前記第2材料の分子の平均径より大きい、請求項21のステント。
【請求項28】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、抗増殖薬、抗血栓形成薬、抗炎症薬、又はその組合せを含む、請求項21のステント。
【請求項29】
前記第1又は第2治療薬の少なくとも1つが、ラパマイシン、ダウノマイシン、ミトマイシン、デキサメタゾン、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ヘパリン、アスピリン、ワルファリン、チクロピジン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、プリオキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、セルコキシブ、又はその組合せを含む、請求項21のステント。
【請求項30】
前記コーティング組成物の少なくとも一部の上に配置されたポリマーコーティング組成物をさらに含み、
前記ポリマー組成物が、生物学的安定性の非血栓形成性ポリマー材料を含み、かつ前記ステントが血管内に移植されると、前記結合型第1治療薬は、前記第1速度と異なる第3速度で前記ステントから放出され、かつ前記結合型第2治療薬は、前記第2速度と異なる第4速度で前記ステントから放出される、請求項21のステント。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2010−514496(P2010−514496A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544013(P2009−544013)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/025346
【国際公開番号】WO2008/088536
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】