説明

医療機器用寝台装置および医療機器

【課題】寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体をベッドやストレッチャ等の台部材に移したり、逆に被検体を台部材から寝台装置側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる医療機器用寝台装置および医療機器を提供する。
【解決手段】医療機器に配置されて被検体を載置する医療機器用寝台装置30は、基台31と、基台31に配置される被検体載置部40とを備え、被検体載置部40は、医療機器用寝台装置30の近傍に配置されて被検体Mを載置するための台部分150の載置面151に達する被検体移載部材41を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用寝台装置および医療機器に関し、特に、被検体(患者)を載せるためのベッドやストレッチャ等の台部材の載置面との間で被検体を載せ替えるための医療機器用寝台装置および医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器、例えばX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの画像診断装置は、被検体の画像を撮像する撮像部を有する架台と、被検体を載せて架台の開口部内に挿入する寝台装置を備える。
【0003】
ところで、通常、被検体を撮像する際には、被検体はベッドやストレッチャ等の台部材から寝台装置の天板の上に載せ替える必要がある。そして、被検体を撮像が終了したら、逆に被検体は寝台装置の天板の上から台部材の上に載せ替える。
【0004】
この種の寝台装置としては、寝台装置への接近する方向が限られている場合であっても寝台装置を回転することで被検体を天板に載せることができる構造が提案されている。この寝台装置は、天板を上下移動可能な上下動フレームと、回転可能な回動軸を有している(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―289854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一般的な従来の寝台装置では、被検体をベッドやストレッチャ等の台部材から寝台装置の天板の上に載せ替えたり、逆に被検体を寝台装置の天板の上から台部材の上に載せ替える観点では設計されていないので、このような被検体の載せ替え作業は、もっぱら医師、看護師あるいは技師等の医療従事者によって行う必要がある。このため、医療従事者が1日に数十人の被検体の載せ替え作業を行わなければならず、かなりの重労働である。
【0007】
また、特許文献1に開示されている天板を含む寝台装置は、上下移動や回転を行い、ストレッチャは寝台装置に沿って配置して、被検体を載せた天板ごとストレッチャの載せ替えるようにしているだけである。従って、天板を被検体とともに常にストレッチャ上に載せ替える必要があり、しかも寝台装置自体が上下移動と回転を行う必要があり、被検体の載せ替えには広いスペースが必要になる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体をベッドやストレッチャ等の台部材に移したり、逆に被検体を台部材から寝台装置側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる医療機器用寝台装置および医療機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、医療機器用寝台装置において、医療機器に配置されて被検体を載置する医療機器用寝台装置であって、
基台と、
前記基台に配置される被検体載置部と、を備え、
前記被検体載置部は、前記医療機器用寝台装置の近傍に配置されて前記被検体を載置するための台部分の載置面に対して到達自在でありしかも前記載置面から離脱自在な被検体移載部材を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体をベッドやストレッチャ等の台部分に移したり、逆に被検体を台部分から寝台装置側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【0011】
請求項2の発明は、医療機器用寝台装置において、前記被検体載置部は、
前記被検体を載せて前記台部分の前記載置面に達する前記被検体移載部材としての天板と、
前記天板を移動して前記台部分の前記載置面に到達させる移動操作部と、
を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、天板を台部分の前記載置面に達するようにするので、天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0013】
請求項3の発明は、医療機器用寝台装置において、前記天板は、前記医療機器用寝台装置の一方の側と他方の側にそれぞれ配置された前記台部分の内の少なくとも一方の前記台部分の前記載置面に到達されることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、天板と一方の台部分の載置面と他方の台部分の載置面の少なくとも一方との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0015】
請求項4の発明は、医療機器用寝台装置において、前記天板が、前記天板保持部において、前記台部分の前記載置面に接するように傾斜させることを特徴とする。上記構成によれば、被検体は傾斜した天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0016】
請求項5の発明は、医療機器用寝台装置において、前記被検体載置部は、
前記被検体を載せる天板と、
前記天板から前記台部分の前記載置面との間で前記被検体を移載する際に、前記台部分の前記載置面に達する前記被検体移載部材としての補助天板と、
前記補助天板を、前記天板に位置決めししかも前記台部分の前記載置面に位置決めするために上下移動させる移動操作部と、
を有することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、補助天板を用いて、天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0018】
請求項6の発明は、医療機器用寝台装置において、前記補助天板を前記天板に対して傾斜させるモータと、
前記補助天板を傾斜した状態で位置決めする位置決め機構部と、
を有することを特徴とすることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、補助天板は、傾斜した状態を容易に維持することができ、補助天板から天板に対して、被検体を容易に安全に移載できる。
【0020】
請求項7の発明は、寝台装置を備える医療機器において、医療機器に配置されて被検体を載置する寝台装置を備える医療機器であって、
前記寝台装置は、
基台と、
前記基台に配置される被検体載置部と、を備え、
前記被検体載置部は、前記医療機器用寝台装置の近傍に配置されて前記被検体を載置するための台部分の載置面に対して到達自在でありしかも前記載置面から離脱自在な被検体移載部材を有することを特徴とする医療機器用寝台装置を備える。上記構成によれば、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体をベッドやストレッチャ等の台部分に移したり、逆に被検体を台部分から寝台装置側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体をベッドやストレッチャ等の台部分に移したり、逆に被検体を台部分から寝台装置側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる医療機器用寝台装置および医療機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の医療機器用寝台装置を備える医療機器の実施形態1であるX線CT装置を示す斜視図である。
【図2】X線CT装置の構造例と寝台装置の一部を示す図である。
【図3】寝台装置を示す斜視図である。
【図4】図3に示す寝台装置の構造と動作例を図である。
【図5】本発明の寝台装置の実施形態2を示す図である。
【図6】本発明の寝台装置の実施形態3を示す図である。
【図7】図6の実施形態3の動作を示す図である。
【図8】本発明の寝台装置の実施形態4を示す図である。
【図9】図8の実施形態4の動作例を示す図である。
【図10】図8の実施形態4の動作例等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の医療機器用寝台装置を備える医療機器の実施形態1であるX線CT装置を示す斜視図である。図2は、X線CT装置の構造例と寝台装置の一部を示す図である。
【0025】
図1に示すX線CT装置10は、架台(ガントリ)11と、寝台装置30を備えている。架台11と寝台装置30は、設置面12に設定されている。架台11の内部には、回転部13が設けられている。回転部13の中心部には、円形状の開口部14が設けられている。
【0026】
図1と図2に示す寝台装置30は、基台31と、上下動操作部32と、被検体載置部40と、被検体載置部の移動操作部50とを備えている。天板31の上には被検体Mを載置させる。上下動操作部32は、被検体載置部40と被検体載置部の移動操作部50T方向に沿って上下移動して高さ方向の位置決めをする。
【0027】
被検体載置部40の天板41は、被検体Mを載せた状態で、Z方向(開口部14の軸方向)に沿って開口部14内に挿入して位置決め可能である。T方向とZ方向は直交している。図2に示すように、このZ方向は被検体Mの体軸方向CLと平行である。
【0028】
図2を参照しながら、架台11の構成例を説明する。
【0029】
図2に示すように、架台11は、本体カバー15と基台16を有しており、本体カバー15は基台16の上に設けられている。基台16は設置面12に設置されている。
【0030】
図2に示すように、本体カバー15は、前面カバー部17と、背面カバー部18と、表面カバー部19を有している。これらの前面カバー部17と背面カバー部18と表面カバー部19は、回転部13を覆っている。前面カバー部17と背面カバー部18は、開口部14を形成している。
【0031】
図2に示すように、回転部13は、X線発生源であるX線管球20と、X線管球20のX線を検出する放射線検出装置50と、図示しない高電圧発生部を備えており、X線管球20と放射線検出装置50は、開口部14の中心軸を中心として対向して配置されている。
【0032】
図2に例示するように、開口部14内には、天板41とともに天板41に載せた被検体Mの例えば頭部HDが挿入される。そして、X線管球20は被検体Mの例えば頭部HDに対してX線を曝射して、頭部HDを透過したX線は放射線検出装置50で検出される。これにより、放射線検出装置50では、検出したX線量を一旦光に変換して、さらにこの光をアナログの電気信号に変換して、アナログの電気信号は、データ収集部(DAS:Data Acquisition System)により増幅されて、デジタルデータ(投影データ)に変換される。
【0033】
図2に示すデータ伝送部23は、放射線検出装置50からのコンソール24へデジタルデータを非接触で伝送するものであり、デジタルデータは、回転部13側の送信部23Aから架台11の固定部側の受信部23Bへ送信されることで、データ伝送部23を通じてコンソール24側に伝送される。これにより、コンソール24は被検体Mの断層像を取得する。
【0034】
また、回転部13には、スリップリング25が設けられており、スリップリング25はX線管球20に対して高電圧発生部から高電圧を供給する。
【0035】
次に、図3と図4を参照して、図1と図2に示す寝台装置30の構造を詳しく説明する。
【0036】
図3は、寝台装置30を示す斜視図であり、図4は、図3に示す寝台装置30の構造と動作例を示している。
【0037】
図3と図4(A)に示すように、寝台装置30は、基台31と、上下動操作部32と、被検体載置部40と、被検体載置部の移動操作部50とを備えている。
【0038】
寝台装置30の基台31は、設置面12に設置されている。上下動操作部32は基台31の上に設けられ、被検体載置部40と被検体載置部の移動操作部50は上下動操作部32の上に設けられている。被検体載置部40は被検体載置部の移動操作部50の上に設けられている。天板31の上には被検体Mを載置させる。上下動操作部32は、被検体載置部40と被検体載置部の移動操作部50からなるユニットを、T方向に沿って上下移動して高さ方向の位置決めをする。
【0039】
図3と図4(A)に示す被検体載置部40は、天板41と、天板保持部42を有する。天板保持部42はZ方向に沿ってガイド43を有している。天板41と天板保持部42は、被検体Mを載せて台部分150の載置面151に対して到達自在でありしかも前記載置面から離脱自在な被検体移載部材に相当する。
【0040】
駆動部44は制御部100の指令により動作すると、天板41は、天板保持部42の上をガイド43にガイドされながら、Z方向(図面垂直方向)に移動して位置決め可能である。駆動部44は、例えばステッピングモータと、このステッピングモータにより回転される送りねじにより構成できるが、特に限定されない。
【0041】
次に、図3と図4(A)に示す被検体載置部の移動操作部50について説明する。
【0042】
移動操作部50は、被検体載置部40をY1方向に移動し、逆にY2方向に復帰させることができる。すなわち、天板41と天板保持部42は、被検体Mを載せてY1方向に移動して台部分150の載置面151に対して到達自在であり、しかも載置面151からY2方向に離脱自在である。
【0043】
図4(A)に示すように、移動操作部50は、固定部54と、第1移動部51と、第2移動部52と、第3移動部53と、3つのアクチュエータ55,56,57を有し、これらの固定部54と第1移動部51と第2移動部52と第3移動部53は積層されている。固定部54は上下動操作部32の上面に固定されている。
【0044】
図4(A)に示すように、第1移動部51は、アクチュエータ55を作動することで、固定部54の上のガイド54Gに沿って、Y1方向に移動可能である。同様にして、第2移動部52は、アクチュエータ56を作動することで、第1移動部51の上のガイド51Gに沿って、Y1方向に移動可能である。第3移動部53は、アクチュエータ57を作動することで、第2移動部52の上のガイド52Gに沿って、Y1方向に移動可能である。これにより、移動操作部50は、被検体載置部40をY1方向に移動して、図4(A)の移動前の状態から図4(B)に示す移動完了状態にすることができる。図4(B)に示すように、この移動完了状態では、被検体載置部40の天板41の先端部41Sは、ベッドやストレッチャ等の台部分150の載置面151の上方まで到達している。
【0045】
また、被検体載置部40の天板保持部42と第3移動部53の間には、アクチュエータ59が設けられている。このアクチュエータ59は、図4(A)の移動前の状態から図4(B)に示す移動完了状態で示すように、天板41と天板保持部42を、移動操作部50に対して、支点軸58を中心として、台部分150の載置面151側に傾けることができる。これにより、天板41上に載っている被検体を載置面151側に容易にしかも安全に移し替えることでき、逆に載置面151に載っている被検体を天板41上に容易にしかも安全に移し替えることできる。
【0046】
なお、アクチュエータ55,56,57は例えば流体圧シリンダであり、流体圧源60に接続されている。流体圧源60は制御部100の指令により動作する。またアクチュエータ59は例えば電磁アクチュエータであり、制御部100の指令により動作する。しかし、アクチュエータの種類は特に限定されない。移動部51〜53の数は、特に限定されず、1つ、2つまたは4つ以上であっても良い。
【0047】

次に、上述した寝台装置30の動作例を説明する。
【0048】
図1と図3に示すように、被検体Mが天板41の上に載せられている。
【0049】
図4(A)に示す3つのアクチュエータ55,56,57が伸長作動して、被検体載置部40をY1方向に移動して、図4(A)の移動前の状態から図4(B)に示す移動完了状態にする。そして、アクチュエータ59が伸長作動して、図4(B)に示すように、天板41と天板保持部42を移動操作部50に対して、支点軸58を中心として、台部分150の載置面151側に傾ける。これにより、天板41の先端部41Sが台部分150の載置面151上に接触する。
【0050】
従って、医療従事者は、天板41に載っている被検体Mを、寝台装置30側から台部分150の載置面151上に簡単にしかも安全に移すことができる。
【0051】
被検体Mを載置面151上に移した後では、図4(B)に示すアクチュエータ59が収縮作動して、図4(B)に示す3つのアクチュエータ55,56,57が収縮作動して、被検体載置部40をY2方向に復帰して、図4(B)に示す移動完了状態から図4(A)の移動前の状態に戻すことができる。
【0052】
このように、上述した寝台装置30を配置することで、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体Mをベッドやストレッチャ等の台部分150に移したり、逆に被検体Mを台部分150から寝台装置30側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【0053】
上記構成によれば、図3と図4に示す寝台装置30の被検体載置部40は、寝台装置30の片側の近傍に平行に配置された台部分150に対して到達自在でありしかも載置面から離脱自在になっており、天板を台部分の載置面に達するので、天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。被検体は傾斜した天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0054】
次に、本発明の別の実施形態を説明する。
【0055】
なお、以下に説明する本発明の別の実施形態における構成要素が、図1〜図4に示す実施形態1の対応する構成要素と実質的に同じである場合には、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
【0056】
(実施形態2)
図5は、本発明の寝台装置の実施形態2を示している。
【0057】
図3と図4に示す寝台装置30の被検体載置部40は、寝台装置30の片側の近傍に平行に配置された台部分150に対して移動可能になっている。
【0058】
これに対して、図5に示す寝台装置30Aの被検体載置部40Aは、寝台装置30の両側の近傍に配置されたいずれの台部分150,160の載置面151,161に対しても到達自在でありしかも載置面151,161から離脱自在になっている被検体移載部材である。
【0059】
このようにすることで、天板41Aは、寝台装置30Aの一方の側と他方の側にそれぞれ配置された台部分150,160の内の少なくとも一方の台部分150,160の載置面151,161に到達できあるいは離脱できるので,寝台装置30のいずれの側にも被検体Mを移し替えることができる。
【0060】
図5に示すように、寝台装置30Aは、基台31と、上下動操作部32と、被検体載置部40Aと、被検体載置部40Aの移動操作部50Aとを備えている。
【0061】
被検体載置部40Aは、天板41Aと、天板保持部42Aを有する。天板保持部42AはZ方向に沿ったガイド43を有している。駆動部44は制御部100の指令により動作すると、天板41Aは、天板保持部42Aの上をガイド43にガイドされながら、Z方向に移動して位置決め可能である。
【0062】
被検体載置部の移動操作部50Aは、被検体載置部40AをY1方向とY2方向に移動させることができる。移動操作部50Aは、固定部54Aと、第1移動部51Aと、第2移動部52Aと、第3移動部53Aと、3つのアクチュエータ55A,56A,57Aを有する。これらの固定部54Aと第1移動部51Aと第2移動部52Aと第3移動部53Aは積層されている。固定部54Aは上下動操作部32の上面に固定されている。アクチュエータ55A,56A,57Aは、例えばリニアモータであるが、限定されない。
【0063】
制御部100がアクチュエータ55A,56A,57Aを作動すると、被検体載置部40Aは、台部分150の載置面151と台部分160の載置面161のいずれに向けても移動できる。また、アクチュエータ59Aを作動することで中心軸58Aを中心に天板41Aを傾けることができるので、天板41Aの先端部41Sは、台部分150の載置面151と台部分160の載置面161のいずれかに載せることができる。
【0064】
このように、上述した寝台装置30Aを配置することで、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体Mをベッドやストレッチャ等の台部分150,160に移したり、逆に被検体Mを台部分150,160から寝台装置30A側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【0065】
上記構成によれば、天板と一方の台部分の載置面と他方の台部分の載置面の少なくとも一方との間で、被検体を容易に安全に移載できる。被検体は傾斜した天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0066】
(実施形態3)
図6と図7は、本発明の寝台装置の実施形態3を示している。
【0067】
図6に示す寝台装置30Bの被検体載置部40Bの天板41Bは、寝台装置30Bの片側に位置された台部分150に対して移動可能になっている。被検体載置部40Bの天板41Bと天板保持部42Bは、台部分150の載置面151に対して到達自在でありしかも載置面151から離脱自在になっている被検体移載部材である。
【0068】
図6に示す寝台装置30Bは、基台31と、上下動操作部32と、被検体載置部40Bと、被検体載置部40Bの移動操作部50Bとを備えている
被検体載置部40Bは、天板41Bと、天板保持部42Bを有する。天板保持部42BはZ方向に沿ったガイド43を有している。駆動部44は制御部100の指令により動作すると、天板41Aは、天板保持部42Aの上をガイド43にガイドされながら、Z方向に移動して位置決め可能である。
【0069】
図6に示す被検体載置部の移動操作部50Bは、被検体載置部40BをY1方向に移動させることができる。移動操作部50Bは、固定部54Bと、移動部51Bと、アクチュエータ55Bを有している。固定部54Bは上下動操作部32の上面に固定されている。
【0070】
制御部100の指令により、流体圧源60Bがアクチュエータ55Bを作動すると、被検体載置部40Bは、図7(A)の移動前の状態から、移動部51Bとともに台部分150の載置面151に向けても移動して、アクチュエータ59Bをスプリング59Sの力に抗して作動する。これにより、図7(B)に示す移動完了状態になり、天板41Bを傾けて、天板41Bの先端部41Sは台部分150の載置面151に載せることができる。
【0071】
このように、上述した寝台装置30Bを配置することで、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体Mをベッドやストレッチャ等の台部分150に移したり、逆に被検体Mを台部分150から寝台装置30B側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【0072】
上記構成によれば、天板を台部分の前記載置面に達するようにするので、天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。被検体は傾斜した天板と台部分の載置面との間で、被検体を容易に安全に移載できる。
【0073】
(実施形態4)
図8〜図10は、本発明の寝台装置の実施形態4を示している。
【0074】
図8と図9(A)に示す寝台装置30Cでは、被検体載置部40Cの一部分である補助天板80が、寝台装置30Cの両側の近傍の少なくとも一方に配置された台部分150に対して移動可能になっている。図8の例では、被検体載置部40Cの補助天板80は寝台装置30Cの左右の位置にそれぞれ配置されている。
【0075】
被検体載置部40Cは、1つの天板41Cと、2枚の補助天板80を有しており、補助天板80は被検体Mを載せて台部分150の載置面151に達する被検体移載部材に相当し、被検体載置部40Cの一部分である。
【0076】
図8に示す駆動部44は制御部100の指令により動作すると、天板41Cは、天板保持部42Cの上をガイドされながら、Z方向に移動して位置決め可能である。
【0077】
図8と図9(A)に示すように、左右2組の移動操作部50Cは、左右の補助天板80をそれぞれ操作するために設けられている。移動操作部50Cは、補助天板80を、天板41Cの高さ位置に合わせて位置決めし、しかも台部分150の載置面151の高さ位置に位置決めするために、補助天板80を上下移動させる。
【0078】
2組の移動操作部50Cは、図8と図9(A)に示すように、左右対称形状の構造を有しており、2つの移動操作部50Cは一方の補助天板80の上下操作と回転操作を行い、残り2つの移動操作部50Cは他方の補助天板80の上下操作と回転操作を行う。
【0079】
図8と図9(A)に示すように、各移動操作部50は、ほぼL字型の保持部分90と、モータ91と、モータ92と送りねじ93と、補助天板の位置決め機構部94を有する。保持部分90は、支点軸81を中心にして補助天板80を回転可能に保持している。モータ91が制御部100の指令により作動すると、図10(A)に示すように、この補助天板80は支点軸81を中心として回転できる。
【0080】
また別のモータ92が制御部100の指令により作動すると、図10(A)に示すように、送りねじ93が回転するので、保持部部分90がT方向に沿って上下移動して位置決めできる。
【0081】
位置決め機構部94の構造例は、図10(A)と図10(B)に示している。図10(B)に示すように、位置決め機構部94は、アクチュエータ96と、保持部分90に形成された複数の位置決め穴97A,97Bを有している。アクチュエータ96が制御部100の指令により作動すると、アクチュエータ96の挿入部材98は、位置決め穴97A、97Bのいずれかに挿入される.これにより、図9に示す補助天板80が水平に保持された状態から、図10(A)に示すように、補助天板80を角度θで傾斜した状態に変える。
【0082】
次に、図9と図10を参照して、上述した寝台装置30の動作例を説明する。
【0083】
図9(A)の例示では、一方の補助天板80が水平に保持されて被検体Mの移載に用いられているが、他方の補助天板80は下向きに保持して収納されている。このように使用しない補助天板80を下向きに保持して収納しておくことで、使用しない補助天板が周辺スペースを無駄に占有することが無い。
【0084】
医療従事者が、天板41Cに載せられた被検体Mを一方の補助天板80の上に移す。
【0085】
そして、一方の補助天板80は、対応する台部分150の載置面151に載せるために、図9(B)に示すように、モータ92を作動して保持部材90とともに一方の補助天板80をT方向に沿って下げる。これにより、一方の補助天板80の先端部は載置面151に載るので、医療従事者は、一方の補助天板80の上の被検体Mを載置面151上に容易にしかも安全に移すことができる。
【0086】
再び、図9(B)の状態で、医療従事者が載置面151上の被検体Mを一方の補助天板80の上に移すと、図9(A)に示すようにモータ92を作動して保持部材90とともに一方の補助天板80をT方向に沿って上げる。
【0087】
そして、図10(B)に示すアクチュエータ96が作動して挿入部材98が位置決め穴97Aから抜かれて、一方の補助天板80がモータ91の作動によりH方向に持ち上がった時点で、再びアクチュエータ96が作動して挿入部材98が位置決め部材97Bに挿入される。これにより、一方の補助天板80は、水平から角度θで傾斜した状態で確実にしかも安全に保持できる。この補助天板80が傾斜した状態で、医療従事者は、傾斜した一方の補助天板80の上から被検体Mを天板41Cの上に容易にしかも安全に移すことができる。このような動作は、他方の補助天板80についても同様である。
【0088】
このように、上述した寝台装置30Cを配置することで、寝台装置自体を回転する必要がなく、限られたスペースであっても、被検体Mをベッドやストレッチャ等の台部分150に移したり、逆に被検体Mを台部分150から寝台装置30C側に簡単に載せ替えることができ、医療従事者の労働を軽減できる。
【0089】
補助天板80を用いて、天板41Cと台部分150の載置面151との間で、被検体を容易に安全に移載できる。モータ91と位置決め機構部94は、補助天板80を、傾斜した状態を容易にしかも安全に維持することができる。
【0090】
本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0091】
図示例では、医療機器の一例としては、画像診断装置のX線CT装置であるが、これに限らず、本発明の寝台装置は、例えばMRI装置等の他の種類の医療機器にも適用できる。
【0092】
本発明の各実施形態において、アクチュエータを使用するのに代えて、手動で操作するようにしても良い。
【0093】
さらに、本発明の実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、本発明の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 X線CT装置
11 架台
30、30A、30B、30C 医療機器用の寝台装置
31 寝台装置の基台
40、40A、40B、40C 被検体載置部
41 天板(被検体移載部材に相当)
42 天板保持部
50、50A、50B、50C 被検体載置部の移動操作部
80 補助天板(被検体移載部材に相当)
91 モータ
94 位置決め機構部
150,160 台部分
151,161 台部分の載置面
M 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器に配置されて被検体を載置する医療機器用寝台装置であって、
基台と、
前記基台に配置される被検体載置部と、を備え、
前記被検体載置部は、前記医療機器用寝台装置の近傍に配置されて前記被検体を載置するための台部分の載置面に対して到達自在でありしかも前記載置面から離脱自在な被検体移載部材を有することを特徴とする医療機器用寝台装置。
【請求項2】
前記被検体載置部は、
前記被検体を載せて前記台部分の前記載置面に達する前記被検体移載部材としての天板と、
前記天板を移動して前記台部分の前記載置面に到達させる移動操作部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の医療機器用寝台装置。
【請求項3】
前記天板は、前記医療機器用寝台装置の一方の側と他方の側にそれぞれ配置された前記台部分の内の少なくとも一方の前記台部分の前記載置面に到達されることを特徴とする請求項2に記載の医療機器用寝台装置。
【請求項4】
前記天板が、前記台部分の前記載置面に接するように傾斜させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の医療機器用寝台装置。
【請求項5】
前記被検体載置部は、
前記被検体を載せる天板と、
前記天板から前記台部分の前記載置面との間で前記被検体を移載する際に、前記台部分の前記載置面に達する前記被検体移載部材としての補助天板と、
前記補助天板を、前記天板に位置決めししかも前記台部分の前記載置面に位置決めするために上下移動させる移動操作部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の医療機器用寝台装置。
【請求項6】
前記補助天板を前記天板に対して傾斜させるモータと、
前記補助天板を傾斜した状態で位置決めする位置決め機構部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の医療機器用寝台装置。
【請求項7】
医療機器に配置されて被検体を載置する寝台装置を備える医療機器であって、
前記寝台装置は、
基台と、
前記基台に配置される被検体載置部と、を備え、
前記被検体載置部は、前記医療機器用寝台装置の近傍に配置されて前記被検体を載置するための台部分の載置面に対して到達自在でありしかも前記載置面から離脱自在な被検体移載部材を有することを特徴とする医療機器用寝台装置を備える医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−36456(P2011−36456A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187086(P2009−187086)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】