説明

医療用、特に歯科用器具を、消毒、殺菌、および/または保守するための装置

【課題】医療用、特に歯科用器具が完全に自動で、信頼性と再現性の高い方法で調整することができるような装置を提供する。
【解決手段】医療用、特に歯科用器具(100)を、消毒、殺菌、および/または保守(維持)するための装置(1)であって、調整すべき器具を受け入れるための保守および清浄室と、連続するステップにおいて、器具を清浄、消毒あるいは殺菌、および/または保守するために異なる清浄あるいは保守媒体を供給する手段と、を有する、装置(1)において、異なる器具のための調整サイクルの開始時間がずれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用器具を消毒、殺菌、および/または保守(維持)するために提供される装置に関する。特に、歯科用器具はその装置を伴って調整される。
【背景技術】
【0002】
医療用あるいは歯科用ハンドピースは、医者が治療(処置)中に医者が把手(ハンドル)として保持する管状の部品(パーツ)である。歯科治療において従来から使用されているハンドピースは、いわゆるドリルハンドピースであって、処置具、特にドリルを、その前端部で支持し、後端部で継手によって供給ホースと結合される。処置具を駆動するための電力を供給するためのラインだけではなく、処理媒体、たとえば空気および/または水用の流体ラインがハンドピースを通って延びている。圧縮空気が前方端領域に配置されたタービンに供給するために提供されるいわゆるタービンハンドピースと、駆動ユニットとして電動モータを有するいわゆるモータハンドピースとの間で、しばしば区別がなされる。
【0003】
ハンドピースの機能を維持するために、保守、特に回転可能に搭載される駆動要素の保守が、随時必要となる。さらに、これまでに歯科診療における衛生要求が高まっていることは、ハンドピースは一定の間隔で調整しなければならないことを意味している。成功した調整および対応する要件への準拠は、歯科医によって完全に文書化されなければならず、これは、人員や組織の面で少なからぬ出費を伴う。
【0004】
歯科用ハンドピースのマニュアルでの再調整は、これまで第1に患者に使用した後に、外部からスプレー(吹きかけ)および洗浄することにより器具を消毒することによって行われてきた。一方、器具の内部の清浄は、一般的に行われなかった。その一方で、しかしながら、器具が油を伴う保守を受ける前に調整される装置の清浄および消毒は市場で利用可能となっている。機械(マシン)調整は器具のマニュアルの保守(メインテナンス)より明らかに利点を有している。その理由は、唯一機械プロセスが信頼性と再現性の清浄および保守を可能とするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これでまでに知られている装置(デバイス)は、一般的に、個々の調整ステップにのみ使用でき、そのため、清浄、保守(メインテナンス)、および殺菌はそれぞれ個別に行わなければならない。そのため必要なすべての装置は、空間(スペース)が比較的多くの量を取り、電気、空気、流体の接続が装置ごとに必要とされる。その結果、個々の装置による歯科用器具の完全な機械調整の実行は非常に面倒であり、コストの面で高い出費を伴う。
【0006】
さらなる不利益は、個々の装置が相互にリンクされていないことから、装置間のデータ交換があり得ないということである。このことは、次に操作要員のために余分な作業につながる。その理由は、器具調整の完全な自動文書を準備することはできないからである。さらに、器具は中間ステップで装置から装置に手動で移動する必要がある。これらは、集中的な人員の使用や大きな時間の要求を伴う。
【0007】
本発明の基礎となる目的は、したがって、上述した不利益を回避しつつ、医療用、特に歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための、あるいは一般に調整するための新規な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴を持つ装置によって達成される。本発明の有利なさらなる進展は、従属請求項の主題である。
【0009】
したがって、本発明に係る装置(デバイス)が提案されており、装置は、医療用、特に歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守(維持)するための装置であって、調整すべき器具を受け入れる保守および清浄室のみならず、連続するステップにおいて、清浄、消毒、あるいは殺菌、および/または保守(維持)のために異なる清浄あるいは保守(維持)媒体を供給する手段を有する。異なる器具のための調整サイクルの開始時間がずれていることが本発明により提供される。
【0010】
本発明に係る方法は、器具の調整のために要求される媒体は複数の器具に同時に供給されてはならないという成果を有する。これは媒体の量をそれぞれの場合に正確に計量することができるようにする。同時に、しかしながら、全ての器具の調整の時間系列(タイムシーケンス)はずらすことができる。その理由は、調整サイクルが時間的に重なっているからである。最終的に、装置は、それによって、器具の調整のために要求さされるすべてのステップ(手順)を実施できると同時に、調整の質が媒体の正確な計量の可能性により非常に高く、他方複数の器具の調整は比較的少ない時間がかかるということともに作製される。
【0011】
本発明の第1の好適な実施形態によれば、器具の清浄および消毒は過熱蒸気によって行われる。この場合、器具の調整サイクルは6つの連続したステップのそれぞれケースで構成されていることが提供される。すなわち、6つのステップは、過熱蒸気による内部清浄、過熱蒸気による外部清浄、過熱蒸気による消毒、含油圧縮空気による油保守、圧縮空気の吹き込み、および、さらなら過熱蒸気による外部清浄である。器具のための調整サイクルは、好適には、前の機器が含油圧縮空気により保守されているときに、開始される。
【0012】
第2の好適な実施形態においては、器具の消毒は消毒剤を、特にスプレー(噴霧)で供給し、それを作用させることにより行われ、作用時間はその後の器具のために増加される。一つの器具のための調整サイクルは、好ましくはこの場合以下のステップで構成されている:清浄剤を供給しそれを作用させることによる内部清浄、消毒剤を供給しそれを作用させることによる消毒、油保守剤を供給することによる油保守、および器具を通した空気の吹き込みである。
【0013】
第3の好適な実施形態においては、器具の内部清浄は、清浄剤を、特に清浄スプレーで供給し、それを作用させることにより行われ、作用時間はその後の器具のために増加される。一つの器具のための調整サイクルは、この場合以下のステップで構成されている:清浄剤を供給しそれを作用させることによる内部清浄、油保守剤を供給することによる油保守、および器具を通した圧縮空気の吹き込みである。説明した変形においておよび上述した変形例において、器具のための調整サイクルは、好ましくは前の器具のための清浄剤の作用期間が始まるときに開始される。
【0014】
本発明の他の有効なさらなる進展によれば、清浄あるいは保守媒体の供給に先立って、器具が高いパルス圧力の下で冷水で洗浄されるように、さらに提供できる。今回の処置の結果として、上記した発明の概念を独立して使用することができ、特に、器具の効果的な清浄が可能であることが示されている。
【0015】
最終的に、したがって、装置は、特に歯科用器具が完全に自動で、信頼性と再現性の高い方法で調整することができるように提案される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第1の実施形態を概略的に示す。
【図2】図1の実施形態における4つの器具の再調整の時間系列(タイムシーケンス)を示す。
【図3】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第2の実施形態を示す。
【図4】図3の実施形態における4つの器具の再調整の時間系列(タイムシーケンス)を示す。
【図5】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第3の実施形態を示す。
【図6】図5の実施形態における4つの器具の再調整の時間系列(タイムシーケンス)を示す。
【図7】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第4の実施形態を示す。
【図8】図8aから8cは過熱蒸気を供給するためのスプレーアームを示す図である。
【図9】過熱蒸気を適用するためのノズルの好ましい環状構造を示す図である。
【図10】過熱蒸気を適用するためのノズルの好ましい環状構造を示す図である。
【図11a】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第5の実施形態を示す。
【図11b】歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守するための本発明に係る装置の第5の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明は、添付図面により以下さらに詳細に説明される。
【0018】
図1は、まず、医療用、特に歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守(維持)するための本発明に係る装置の第1の実施形態の構成を概略的に示す。装置は以下では一般的に参照符号1で提供される。
【0019】
本発明に係る保守(維持)装置1の中心的な要素は保守および清浄室(チャンバ)である。この室は清浄しあるいは保守すべき器具が配置され、その処理が行われる。器具の配置は器具キャリアにより実行され、そこには、いくつかのプラグインの位置あるいは継手5が配置される。異なる継手5は、好適には、異なるメーカーの継手システムと器具が調整できるように提供される。
【0020】
器具の清浄あるいは保守はこの第1の変形において、一方で清浄剤によって、他方で油保守剤によって行われる。両媒体は、対応する貯蔵容器10と11に貯蔵される。貯蔵容器10,11はスプレー缶の形態である。これは装置1の接続手段において置換可能な方法で配置され、適宜必要に応じて交換できるように配置される。接続手段は、ここではスプレー缶10,11の上側に位置する弁(バルブ)が対応する作用剤を除去するために選択的に開放できる(いわゆる缶オープナ)特に特別に構成された手段を含む。問題となる媒体の正確な計量は、フローセンサ14と15によって補助され、フローセンサ14,15は電子制御ユニット20に接続されている。これは分配器ユニット(ディストリビュータユニット)18も制御する。分配器ユニット18は保守継手5に配置されており、それを介して対応する媒体は次に個々の継手5に意図したプロセスシーケンス(処理順序)に従って搬送することができる。調整処理は、操作ディスプレイ21を介して開始することができる。操作ディスプレイは、たとえばタッチ画面の形態にすることができる。ディスプレイ21を介して調整すべき器具の数および位置を手動で入力することも可能である。しかしながら、代わりに、自動的にその情報を取得することも考えられる。
【0021】
すべてのプラグインの位置5が占有されている場合、図2の模式図に応じて、以下の時間系列(タイムシーケンス)が得られる。
【0022】
調整のために提供される歯科用器具(たとえばハンドピースとアングルピースあるいはタービン)は装置の保守継手5上にオペレータによって配置される。そして調整操作が開始される。
【0023】
まず第1に、第1缶10に配置された清浄剤は、器具の駆動チャネルおよびスプレーチャネルを通してパルス状にフラッシュされる(どっと流される)。そのようにして、蛋白質、唾液、および他の有機不純物が器具から流し出される。作用期間が過ぎると、器具は缶12に貯蔵されている油保守剤を用いて内部で処理される。この操作の間、機械的な不純物によって形成されているゴミ(デブリ)が、主にベアリングから除去され、新鮮な油が提供される。調整中に缶の中身を監視するために、前述したフローセンサ14と15がスプレー缶10,11の下流(ダウンストリーム)に配置されている。処理を完了するために、余分な油や残留清浄剤が圧縮空気を用いてスプレー配管と器具の駆動チャネルから噴出される(吹き出される)。
【0024】
この調整サイクルは、全ての器具のために同時に行われていない。その代わりに、前の器具のために清浄剤の作用期間が開始されたときに、後続の器具の内部清浄を開始する。その結果、対応する媒体は、より正確で精密な媒体の計量を可能にする特定の時間で個別に、貯蔵容器から継手に供給されなければならない。図2から明らかなように、器具のための作用期間は増加する。このようにして、次には、さらに媒体(油および圧縮空気)も器具に個別に供給されることが保証される。
【0025】
上述した方法の代わりに、清浄剤10を含むスプレー缶を、液体の形態で清浄剤を含む容器に交換することも可能である。これは、ポンプ、たとえばプランジャーポンプのよって対応する器具を通して送り込まれる(押し出される)。同じ方法は油にも採用できる。油は、空気流に少量で供給され、保守されるべき器具の軸受(ベアリング)にその空気流によって運ばれる(搬送される)。
【0026】
別の好ましい代替案では、清浄剤は器具のギアやスプレーチャネルに霧状に処理された方法で導入される。霧化(噴霧化)は、圧縮空気が続いて吹き出される焼結フィルタの含浸により行うことができ、霧の状態で器具内に搬送される。作用期間中に、清浄液は圧縮空気パルスによって移動させることができる。作用期間の終わりに、水がポンプ、たとえばマグネットポンプで搬送され、器具のギアおよびスプレーチャネルが洗浄される。そのとき、水は圧縮空気によって吹き出される。そのシーケンスは、時間、パルス、清浄剤の量と繰り返しで最適化することができる。ところが、個々の器具のサイクルはずれた(食い違った)方法で開始され、すなわち各器具は個別に清浄され、その結果目的にかなっているというように再び提供される。その後の油保守についても同様である。この油保守では、油が好ましくは霧状に噴霧されてギアチャネルに順次に導入され、たとえば時間制御で油の計量が行われる。油を霧状にする噴霧化は上述した方法により行われる。油潤滑は各器具のために個別に行われる。余分な(過剰な)油が器具から除去され、ギアおよびスプレーチャネルが圧縮空気で洗浄(フラッシュ)される。またこれは、特に、余分な油の払拭性を向上させるために、パルス状に行うことができる。
【0027】
図3は、図1の装置のさらなる進展を示し、同一の要素には同じ参照符号が提供されている。図3の装置1は、調整すべき器具の消毒が付加的に行われることが異なる。そのために、改めてスプレー缶25に提供される消毒剤が用いられる。2つの缶10と11のように、スプレー缶25は弁26を開放するための手段およびフローセンサ27の下流に配置されている。
【0028】
図4に示される処理シーケンスは実質的に図2のシーメンスに対応する。しかしこの場合、器具の消毒は、清浄剤を作用させた後、行われ、対応する消毒剤は、3秒に一度器具を通して噴霧される。これは、少なくとも2分の作用の期間続き、図4に示すように、個々の機器のそれぞれのために増加する。清浄剤のための作用期間は、この場合、全ての器具で同じである。
【0029】
図5による第3の変形例においては、過熱蒸気が器具の清浄および消毒のために使用あされる変形例が提供される。過熱蒸気は、非常にエネルギーが豊富で、その物理的性質のために、また本変形例で使用されて、非常によく、かつ迅速に熱を伝達する。同一の要素は、改めて同じ参照符号が提供される。
【0030】
装置1は、それに応じて第1に、新鮮な水の容器30を有する。その水、好ましくは脱イオン水は、ポンプ31によって蒸気生成器32に圧送される。蒸気生成器32において、水は加熱されて、摂氏120°C以上の温度を有する過熱蒸気に変換される。
【0031】
開始パルスの後、過熱蒸気は、継手5の一つの上に配置された調整すべき器具を通して、約20秒間、流れる。蒸気は、内部清浄を行うために、スプレーチャネルとギアチャネルの両方を通して流れる。この処理中、器具は約98°Cまで加熱される。器具の外部の清浄は、過熱蒸気を噴霧する同じ方法で行われる。
【0032】
よく知られているように、消毒の効果は、約摂氏100°の温度に基づく。消毒操作をより効果的にするために、装置1の清浄室を密閉することができ、それにより過剰圧力が生成される。これは達成すべき摂氏100°Cを超える温度とすることができる。消毒時間はこの場合、数秒に短縮することができる。
【0033】
次のステップにおいて(図6参照)、油保守が行われ、油保守剤は、上述した変形例のように、改めてスプレー缶11から除去されて、器具を通して噴霧される。スプレーの使用は、低温が、加熱された器具を冷却する噴射ガスの緩和の結果として生成されるという利点がある。余分な油は、ろ過された圧縮空気を介して器具の内部から押し出す(追い出す)ことができる。最後に、外部の清浄は、好ましくは器具の上を案内された可動環状ノズルによって行われ、可動環状ノズルは以下により詳細に記載されている。この操作中に、流出した油は特に、過熱蒸気によって器具の表面から清浄される。
【0034】
種々の器具のための調整サイクルは、ずらす方法で改めて行われ、一つの器具のためのサイクルは、前の器具が油により保守されているときに、開始される。
【0035】
上述した装置の変形例が図7に示されている。この変形例の利点は、同時消毒作用を伴う徹底的かつ迅速な清浄である。
【0036】
この装置において、器具の冷水による内部清浄は、まず血液とその他の残基を除去するために行われる。電磁弁(ソレノイドバルブ)MV1およびポンプ31がここに活性化される。そして、冷水が器具に勢い良く流される。水は血液残基が可能な限り溶解することができるようにするために、冷却ユニット35によって冷却される。ポンプ31は好ましくはマグネットポンプであり、それは高パルス圧を生成する。冷却ユニット35は、たとえばペルチェ素子、コンプレッサ、あるいはサイクロンチューブの形態とすることができる。ホースまたは線は圧力パルスの良好な伝送のために、可能な限り安定していなければならない。インターバルの後、このサイクルは、清浄作用を高めるために、複数回繰り返すことができる。
【0037】
冷水による清浄は、油の不純物を切り離し、内部消毒を達成するために、蒸気による内部清浄の後に続いている。そのために、弁MV2が開放される。ポンプ31によって、水が過熱容器36に注入され、気相(蒸気相)に変換される。そして、蒸気は器具を通して流、それを清浄し消毒する。電磁弁MV4がその後開放される。圧縮空気が器具に流れ、水の出を駆動し、同時にそれを冷却する。同時に器具を保守(維持)するために、圧縮空気に貯蔵容器11から油を添加(追加)することも可能である。
【0038】
器具のための種々の清浄および保守ステップは、より正確な計量を達成し、それに従って器具を清浄するために、ずらす(異なる)方法で改めて開始される。
【0039】
特に、器具を清浄するために過熱蒸気を使用するときは、清浄剤、つまり過熱蒸気を器具の外部表面に効果的に導くようにすることが必要である。これは、たとえば図8aから8bに示されるように、特別に構成されたスプレーアームによって行うことができる。ここで特定の特徴は、スプレーアーム40は回転し、Z軸において移動させることができることである。さらに、蒸気が出現するいくつかのノズル41〜44を有する。アーム40が回転するにつれて、蒸気放出がノズル41からさらなるノズル42,43および44に切り替わる。器具の全高さにわたって清浄することができるようにするため、個々のノズル41〜44が器具に沿って移動するか、またはストリップ状(短冊状)に配置された複数のノズルが存在する。
【0040】
図8bおよび8cは、ノズルを配置するための様々な可能性を示し、図8bにおける変形例は図8cの変形例に対して、蒸気の噴流が器具に0°〜45°をもって当たる(衝突する)という利点を有する。図8cの変形例においては、他方、角度は180°あってもすることができる。
【0041】
最後に、図9および図10は、過熱蒸気によって器具の外面を清浄するためのさらなる可能性を示している。この構成の基本的な構成要素は、それぞれの場合にリング50であり、このリング50はすべての3軸で移動可能である。それはノズルと同様にその内側に複数の接触セグメントを有しており、そこから蒸気を放出する。ノズルが内リングに回転可能に取り付けることができ、後方の押し(プッシュ)がノズルを回転させることができる。外側の半径は、少なくともアングルピース(角片)の偏心に対応している。
【0042】
この構成の使用は次のようである。対応するアームが、図9に模式的に示されているように、アームがリング50を器具100上に移動させる。リング50はその後下げられる。器具100が中央にない場合には、リング50のスイッチ53が事を始めさせる。それによって、リング50が移動すべき方向がわかる。処理はリング50の全てのスイッチが解放されるまで行われる。リング50は、スイッチの一つが再び事を始めさせるまで皿下げられている。この処理中、過熱蒸気は器具100の外面に連続的に噴霧される。
【0043】
そしてリング50を再び上側に移動するために、スイッチあるいはセンサも同様にリングの上側に配置されている。代わりに、下方への移動および上方への移動のために逆方向に再び横断する間に決定される輪郭を保存するように考えることもできる。最終的に、この特別なリング50の使用は、蒸気の清浄および消毒特性を有向に活用するために、器具に過熱蒸気を効果的に適用することができる。
【0044】
最後に、歯科用器具を消毒、殺菌、および/または保守(維持)するための本発明に係る装置のさらなる実施形態が、図11aおよび図11bによって説明される。図11aおよび図11bは、個々の器具が6つの連続する個々のセクションで調整される装置の概略的な構成を示している。これらは特に以下の作業ステップ(作業手順)である:洗浄、油保守、十分なすすぎ(clear rinsing)、殺菌、乾燥および冷却である。以下に説明するように、各個々のステップはさらなるステップに分割することができる。様々な器具における調整の処理は以下の通りである。
【0045】
a)初期化
器具の再調整は、まず装置の初期化から始まる。様々な貯蔵容器の充填レベルおよび圧力がチェックされ、保守室61における継手5が占有のために調べられる。これは保守室61に過度の圧力を通過させ、そして弁(MV11〜MV16)を開放することによって実施される。過度の圧力は、対応する弁、たとえばMV11とMV31を介し、必要に応じて占有されている継手5を介して大気中に逃げる。特定時間における圧力損失は、問題となる保守継手5が、すなわち、対応する弁に関連付けられている保守継手5が占有されているか解放されているかを判断するために使用される。
【0046】
b)洗浄
再調整すべき器具100は、キャリア62上に配置され、それと同時にキャリア61は保守室61の蓋を形成し、保守室61内、保守室61上に配置される。モータ駆動閉鎖装置により、蓋は保守室61にしっかりと接続され、それによって、そこが密封される。ベンチュリ(絞り)ノズル63の助けを借りて、保守室61において真空が生成され、室61につながる弁MV03が弁ブロック”水“64において開放される。そして、洗浄水が容器65から保守室61内に流れる。充填後、MV03が切り離され、循環ポンプ66が起動される。水は、弁MV22,洗浄ノズル、弁MV5を経由して再び循環ポンプ66に戻る経路をたどる。器具100のコールド(冷たい)外部清浄後、コールド(冷たい)内部清浄が行われる。そのため、弁MV10および関連する保守カップリングの対応する弁MV11〜MV16が順次開放される。保守室61における洗浄水はMV5を経由して再び循環ポンプ66に案内される。
コールド洗浄後、液体清浄剤が弁MV30を経由して洗浄水に加えられ、加熱手段67が洗浄水を過熱するためにスイッチオンされる。ウォーム(暖かい)洗浄は、加熱手段67、循環ポンプ66および弁MV22,MV10およびMV5をスイッチオフすることによって終了する。弁MV6が開放され、洗浄水は排水収集容器68に導入することができる。内容排出の処理は、弁MV8および分配器ユニット69を経由して保守室61内に圧縮空気を供給することによって補助することができる。保守室61の底部における放電画面は、配管系への粗い不純物の侵入を防止する。プログラミングの観点から、説明した処理(手順)に代わるものとして、まず内部の清浄を行って外部の清浄を行うことも可能である。
【0047】
c)保守
器具100の油保守は連続して行われる。これは保守(維持)すべき各器具100が正しい量の油を受け取ることを保証する。油貯蔵容器11、好ましくは2室の缶の形態である油貯蔵容器は、圧縮空気が施され、それは弁MV04を開放することによって実施される。保守油を含む油缶11の内バッグは、対応する外部圧力下にある。弁MV29を開放することによって、油はベンチュリノズルを経由して空気流に流れ込む。それによって、油の量は、弁MV29の開放時間とその後のスロットルの自由断面に依存する。空気流は、弁MV19を開放されることよって放出されるが、その空気流は、今噴霧された油を搬送し、油は保守すべき器具100に接続された電磁弁(MV11〜MV16)を経由して噴霧される。缶11の内バッグに油がもはや存在しない場合、その中でいずれかに優先される圧力は存在しない。圧力センサ71はこの圧力低下を検出し、適切な場合に、油缶が空であることを報告する。
【0048】
d)十分なすすぎ
後続の十分なすすぎのステップは、保守(維持)される器具100の表面の油を洗い流すため、および器具上に水スポットが形成されることを防止するために必要とされる。
このために、すでに上述したように保守室61は水で満たされている。十分なリンス(クリアリンス)が弁MV29を経由してそれに供給される。クリアリンスの作用を利用するために、水が加熱手段67によって約70°に加熱されて、循環ポンプおよび洗浄ノズルを介して器具をきれいにすすぐ。その操作が完了すると、液体は、すでに説明したと同様に、保守室61から排水収集容器68に通される(排出される)。
【0049】
e)殺菌
クラス“B”あるいは”S”殺菌、または代わりに消毒のみを行うことが可能である。クラス“B”の最も複雑なプロセスについて説明する。本実施形態において、クラス”B”に必要な保守室61の二重または三重の排気は、真空ノズルを介して達成される。そのため、保守室61に通じるすべての弁が閉じられる。弁MV9のみが開放される。続いて弁MV01を開放することによって、必要な真空が、ベンチュリノズル63を経由して保守室61に生成される。ベンチュリノズル63の無駄な(廃棄物の)空気は排水収集容器68に通される(渡される)。
殺菌に必要な蒸気は、保守室61のベースプレートを加熱し、このベースプレート上に水を噴霧(噴射)することにより生成される。殺菌のために必要なパラメータ(圧力、温度)が達したときに、この設定は、殺菌(滅菌)時間全体の間、一定に保たれる。
圧力は弁MV6を介して放免される(排水収集容器68に放免される)。圧力等化が弁MV18およびその上流に配置される細菌フィルタ(バクテリアフィルタ)72を介して行われる。
クラス“S”の殺菌プロセスあるいは消毒プロセスは同様な方法で進行する。ただし、クラス“B”の場合における真空は生成されず、消毒プロセスにおいて温度はより低い。
【0050】
f)乾燥および冷却
各殺菌の後、器具100は、内側と外側が蒸気により濡れている。器具100を乾燥するために、本装置においては凝縮プロセスが用いられ、それにより、保守室61の内側の室と外側の室間の空間は、冷水で満たされている。そのために、冷水は開いている弁VM23を介しポンプ66によって、弁MV7を介して壁間の空間に供給される(送り込まれる)。それによって、保守室61は冷却され、保守室内の蒸気は冷えている内壁上で凝縮される。器具100の乾燥および冷却を補助するため、フィルタリングされた圧縮空気を、空気を動かすため保守室61内に導入することができる。容器間の空間が加熱された水で満たされている場合、温水は水道管を介して排水収集容器に供給される。乾燥し器具100の温度が許容温度に達したとき、再調整操作が完了する。
【0051】
全体的に、したがって、本発明は、効率的にかつ簡便な歯科用器具の再調整の可能性を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用、特に歯科用器具(100)を、消毒、殺菌、および/または保守するための装置(1)であって、
調整すべき器具を受け入れるための保守および清浄室と、
連続するステップにおいて、器具を清浄、消毒あるいは殺菌、および/または保守するために異なる清浄あるいは保守媒体を供給する手段と、を有する、
装置(1)において、
異なる器具のための調整サイクルの開始時間がずれている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記器具の清浄および消毒は過熱蒸気によって行われる
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
器具のための調整サイクルは,それぞれの場合において、以下の連続するステップにより構成される:
・過熱蒸気による内部清浄;
・過熱蒸気による外部清浄;
・過熱蒸気による消毒;
・含油圧縮空気による油保守;
・圧縮空気の吹き込み;および、
・過熱蒸気によるさらなら外部清浄
であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
器具のための調整サイクルは、前の器具が含油圧縮空気によって保守されているときに開始される
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の装置であって、
前記過熱蒸気を前記器具(100)の外部に適用するために、当該装置は回転要素、特に、それにノズルが配置されているアーム(40)あるいはリング(50)を有する
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
器具の消毒は消毒剤を、特に消毒剤スプレーで供給し、それを作用させることにより行われ、作用時間はその後の器具のために増加される
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
器具のための調整サイクルは,それぞれの場合において、以下の連続するステップにより構成される:
・清浄剤を供給しそれを作用させることによる内部清浄;
・消毒剤を供給しそれを作用させることによる消毒;
・油保守剤を供給することによる油保守;および
・器具を通した空気の吹き込み
であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
器具の内部清浄は、清浄剤を、特に清浄スプレーで供給し、それを作用させることにより行われ、作用時間はその後の器具のために増加される
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
器具のための調整サイクルは,それぞれの場合において、以下の連続するステップにより構成される:
・清浄剤を供給しそれを作用させることによる内部清浄;
・油保守剤を供給することによる油保守;および
・器具を通した圧縮空気の吹き込み
であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7または請求項9に記載の装置であって、
器具のための調整サイクルは、前の器具のための清浄剤の作用期間が始まるときに開始される
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
先行請求項のいずれか一に記載の装置であって、
清浄あるいは保守媒体の供給に先立って、器具が高いパルス圧力の下で冷水で洗浄される
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
医療用、特に歯科用器具(100)を、消毒、殺菌、および/または保守するための装置(1)であって、
調整すべき少なくとも一つの器具を受け入れるための保守および清浄室と、
連続するステップにおいて、器具を清浄、消毒あるいは殺菌、および/または保守するために異なる清浄あるいは保守媒体を供給する手段と、を有する、
装置(1)において、
清浄あるいは保守媒体の供給に先立って、器具が高いパルス圧力の下で冷水で洗浄される
ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2013−519477(P2013−519477A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553312(P2012−553312)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052326
【国際公開番号】WO2011/101396
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(305039194)カルテンバッハ ウント ホイクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (36)
【氏名又は名称原語表記】Kaltenbach & Voigt GmbH
【Fターム(参考)】