医療用器具及び管腔臓器連通用キット
【課題】容易に2つの管腔臓器の内腔を連通させることができる医療用器具及び医療用キットを提供する。
【解決手段】穿刺針先端やカテーテル先端を管腔臓器内にとどめてワイヤを挿入するという操作なく、2つの管腔臓器を容易に連通させることができるガイド糸と、筒状のデリバリシースと、先端にテーパ状の縮径部が形成されており、縮径部がデリバリシースの先端から突出するようデリバリシース内に挿入されているダイレータと、縮径部の突出方向にダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、ダイレータはデリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である、医療用器具。
【解決手段】穿刺針先端やカテーテル先端を管腔臓器内にとどめてワイヤを挿入するという操作なく、2つの管腔臓器を容易に連通させることができるガイド糸と、筒状のデリバリシースと、先端にテーパ状の縮径部が形成されており、縮径部がデリバリシースの先端から突出するようデリバリシース内に挿入されているダイレータと、縮径部の突出方向にダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、ダイレータはデリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である、医療用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用器具及びこの医療用器具を含む管腔臓器連通用キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、血液透析アクセスや、血管閉塞や、消化管閉塞、門脈体循環シャント等の治療のために、2つの管腔臓器の内腔を連通させる処置を行うことがある。この処置は外科的な手法で行われる場合が多いが、経皮的な手法としては、例えば、transjugular intrahepatic portosystemic shunt(TIPS)が知られている(例えば、非特許文献1又は2参照)。この手法においては、まず、穿刺針の先端部が一方の管腔臓器を通過して外に出た後もう一方の管腔臓器の内腔に留まるよう、専用の穿刺針で2つの管腔臓器を穿刺する。この穿刺針内にガイドワイヤを通して穿刺針のみを取り除くと、ガイドワイヤにより2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路が作成される。次に、ダイレータをガイドワイヤに追従させながら押し進めることで上記経路を拡張する。続いて、デリバリシースをガイドワイヤに追従させながら押し進め、拡張された経路内において2つの管腔臓器に跨るように配置した後にガイドワイヤを取り除く。そして、このデリバリシースを介してステントを経路内に留置し、デリバリシースを取り除くと、このステントにより2つの管腔臓器の内腔が連通される。ここで、上記手法で用いる穿刺針は、処置を行う管腔臓器毎に、その管腔臓器の位置や形状に適合する長さやカーブを有するよう形成されている。よって、処置を行う管腔臓器に応じて穿刺針を変える必要があり、さまざまな管腔臓器に対して同一の穿刺針を使用することはできなかった。
【0003】
これに対し、例えば非特許文献3〜5においては、直線状の穿刺針を用いるgun-sight approachと呼ばれる手法が提案されている。この手法においては、まず、2つの管腔臓器において連通させる部分が一直線上に位置するように管腔臓器の位置を調整した後、穿刺針の先端部が手前側の管腔臓器を貫通するとともに奥側の管腔臓器の内腔に留まるよう、穿刺針で2つの管腔臓器を穿刺する。次に、この穿刺針にガイドワイヤを通してガイドワイヤの先端部を穿刺針の先端から奥側の管腔臓器の内腔に挿入し、この管腔臓器の内腔を通過させて皮膚表面に露出させた後、ガイドワイヤを残して穿刺針を取り除く。残されたガイドワイヤの先端側からカテーテルを追従させ、このカテーテルの先端が手前側の管腔臓器の内腔に到達するまで押し進めた後、このカテーテル内に新たなガイドワイヤを通し、このガイドワイヤの先端部をカテーテルの先端から手前側の管腔臓器の内腔に挿入する。そして、1本目のガイドワイヤ及びカテーテルを取り除くと、2本目のガイドワイヤにより2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路が作成される。その後、上述したTIPSと同じ手順で、ダイレータにより経路を拡張し、この経路内において2つの管腔臓器間にデリバリシースを配置し、さらにステントを留置する。この手法であれば、2つの管腔臓器が一直線上に位置するよう調整するため、管腔臓器を真っ直ぐに穿刺することができ、処置を行う管腔臓器全てに対して同一の穿刺針を使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Richter GM, Noeldge G, Palmaz JC, et al. Transjugular intrahepatic portacaval stent shunt: preliminary clinical results. Radiology 1990; 174:1027-1030.
【非特許文献2】Rossle M, Haag K, Ochs A, Sellinger M, Noldge G, Perarnau JM, et al. The transjugular intrahepatic portosystemic stent-shunt procedure for variceal bleeding. N Engl J Med, 330: 165-171, 1994.
【非特許文献3】Haskal ZJ, Duszak R, Jr., FurthEE. Transjugular intrahepatic transcaval portosystemic shunt: the gun-sight approach. J Vasc Interv Radiol 1996; 7:139-142
【非特許文献4】Aytekin C, Boyvat F, Firat A, Coskun M, Boyacioglu S. Portacaval shunt creation using the percutaneous transhepatic-transjugular technique. Abdom Imaging 2003; 28:287-292.
【非特許文献5】Nyman UR, Semba CP, Chang H, Hoffman C, Dake MD. Percutaneous creation of a mesocaval shunt. J Vasc Interv Radiol 1996; 7:769-773.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような手法においては、ガイドワイヤにより作成した経路を拡張するためにはダイレータを押し進める必要がある。現在の方法ではガイドワイヤに通したダイレータ後部を押して体内にある先端部に進む力を与える。しかしながら、処置を行う管腔臓器の形状やダイレータの材質等によってはダイレータがたわみの先端部に力が伝わりにくく、経路内にダイレータを押し進め拡張するのは容易ではない。
【0006】
そこで、本発明は、容易に2つの管腔臓器の内腔を連通させることができる医療用器具及び医療用キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医療用器具は、上記課題を解決するためになされたものであり、筒状のデリバリシースと、先端にテーパ状の縮径部が形成されており、前記縮径部が前記デリバリシースの先端から突出するよう前記デリバリシース内に挿入されているダイレータと、前記縮径部の突出方向に前記ダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、前記ダイレータは、前記デリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である。
【0008】
本発明に係る医療用器具は、あらかじめ2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路に上記医療器具の牽引ワイヤを通過させて使用する。この状態で牽引ワイヤの先端部を引くと、ダイレータは、縮径部の突出方向に牽引され、縮径部により上記経路を拡張しながら経路内を通過する。ダイレータはデリバリシースの先端側から引き抜くことができないよう構成されているため、ダイレータに続いてデリバリシースが拡張された経路内に引き込まれる。このデリバリシースが2つの管腔臓器に跨る位置まで引き込まれたら牽引ワイヤを引くのを停止し、デリバリシースの後端側からダイレータ及び牽引ワイヤを引き抜いて取り除く。これにより、経路内にはデリバリシースのみが残留し、2つの管腔臓器の内腔はデリバリシースにより連通される。このように、本発明に係る医療器具は、ダイレータを牽引して経路を通過させるため、ダイレータの先端部に力が伝わりやすく、容易に2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路を拡張することができる。
【0009】
上記医療用器具は、筒状に形成されたダイレータの後端側から牽引ワイヤが挿入され、牽引ワイヤの先端部から2つの管腔臓器を連通させるための十分な長さがダイレータの一方端から通し出される。牽引ワイヤには先端から上記の長さの位置にダイレータの先端部の内径よりも外径が大きい大径部を形成する。この構成によれば、牽引ワイヤの先端を引いてもダイレータから牽引ワイヤが抜けきることなく、ダイレータを牽引することができる。
【0010】
上記医療用器具は、ダイレータの先端に牽引ワイヤが接続されていてもよい。
【0011】
また、上記医療用器具を含んだ管腔臓器連通用キットを構成することもできる。この管腔臓器連通用キットは、上記医療用器具以外に、筒状の第1及び第2の挿入シース、開閉可能なループ状の第1のスネア部を有する第1のスネアワイヤ、ループ状の第2のスネア部を有する第2のスネアワイヤ、筒状の第1の穿刺針、及び第1のガイド糸を備えており、以下のように使用される。まず、第1の管腔臓器の内腔に第1の挿入シースの先端部を経皮的に挿入し、この第1の挿入シース内に第1のスネアワイヤを貫通させて、第1のスネア部を第1の管腔臓器の内腔に配置する。同様に、第2の管腔臓器の内腔に第2の挿入シースの先端部を経皮的に挿入し、この第2の挿入シース内に第2のスネアワイヤを貫通させて、第2のスネア部を第2の管腔臓器の内腔に配置する。次に、第1の穿刺針が第1及び第2の管腔臓器を貫通するとともに第1及び第2のスネア部内を通るよう、第1の穿刺針で穿刺する。続いて、この第1の穿刺針内に第1のガイド糸を貫通させ、第1の穿刺針を取り除くと、第1のガイド糸が第1及び第2の管腔臓器を貫通し第1及び第2のスネア部内を通った状態で残される。第1のスネア部を閉じることで第1のスネア部で第1のガイド糸の一方端部を把持し、この状態で第1のスネアワイヤの後端部を引いていくと、第1の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の一方端部が第1の管腔臓器内に引き込まれ、第1の管腔臓器の内腔及び第1の挿入シース内を通過して、第1の挿入シースの後端より引き出される。引き出された第1のガイド糸の一方端部を保持し、第2のスネアワイヤの後端部を引いていくと、第2の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の他方端部が第2の管腔臓器内に引き込まれ、第2の管腔臓器の内腔及び第2の挿入シース内を通過して、第2の挿入シースの後端より引き出される。その後、引き出された第1のガイド糸の一方端部又は他方端部のいずれか一方を上述した医療用器具の牽引ワイヤに連結する。このように、上記管腔臓器連通用キットによれば、第1又は第2の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の端部を管腔臓器の内側に引き込むことが可能であるため、第1のガイド糸が通される第1の穿刺針は2つの管腔臓器を貫通していればよく、第1の穿刺針の先端部を第1又は第2の管腔臓器の内腔に留める必要がない。これにより、2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路を容易に作成することができる。
【0012】
また、2つの管腔臓器の内腔を連通させる方法としては、筒状の第1の挿入シースの先端部を第1の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入する工程と、第1のスネアワイヤの先端に形成された開閉可能なループ状の第1のスネア部を前記第1の挿入シースを介して前記第1の管腔臓器の内腔に配置する工程と、筒状の第2の挿入シースの先端部を第2の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入する工程と、第2のスネアワイヤの先端に形成されたループ状の第2のスネア部を前記第2の挿入シースを介して前記第2の管腔臓器の内腔に配置する工程と、筒状の第1の穿刺針で前記第1及び第2のスネア部内を通るよう前記第1及び第2の管腔臓器を貫通する工程と、前記第1の穿刺針内を貫通するよう前記第1の穿刺針内に第1のガイド糸を挿入し、その後前記第1のガイド糸を残して前記第1の穿刺針を取り除く工程と、前記第1のスネア部で前記第1のガイド糸を把持しながら前記第1のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第1の挿入シースの後端から前記第1のガイド糸の一方端部を引き出す工程と、前記第2のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第2の挿入シースの後端から前記第1のガイド糸の他方端部を引き出す工程と、前記第1のガイド糸の一方端部又は他方端部に上述した医療用器具の牽引ワイヤを連結する工程と、を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に2つの管腔臓器の内腔を連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係る医療用器具の正面断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る管腔臓器連通用キットの概略図である。
【図3】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図4】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図5】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図6】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図7】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図8】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図9】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図10】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図11】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図12】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図13】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る管腔臓器連通用キットの概略図である。
【図15】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図16】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図17】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図18】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図19】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図20】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図21】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図22】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図23】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る医療用器具及びこれを含む管腔臓器連通用キットの実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図における各種器具のサイズ比は実寸比と異なる。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る医療用器具及びこれを含む管腔臓器連通用キットの第一実施形態について図1〜図13を参照しつつ説明する。
【0017】
まず、第1実施形態に係る医療用器具1について説明する。図1に示すように、医療用器具1は筒状に形成されたデリバリシース11を備えており、このデリバリシース11内にはダイレータ12が挿入されている。ダイレータ12は先端に向かって縮径するテーパ状の縮径部121を有しており、この縮径部121はデリバリシース11の先端側から突出している。ダイレータ12の後端にはフランジ部122が形成されており、このフランジ部122がデリバリシース11の後端に引っ掛かることでダイレータ12をデリバリシース11の先端側から引き抜くことができないようになっている。また、ダイレータ12は筒状であり、この内部には牽引ワイヤ13が貫通している。この牽引ワイヤ13は、先端にループ部131が形成されており、中間部にはダイレータ12の先端の内径よりも外径が大きい大径部132が取り付けられている。この大径部132が縮径部121の内側に引っ掛かることで牽引ワイヤ13をダイレータ12の先端側から引き抜くことができないようになっている。
【0018】
上記医療用器具1は、2つの管腔臓器の内腔を連通させるために使用する管腔臓器連通用キットに含まれる。この管腔臓器連通用キットは、図2に示すように、上記医療用器具1以外に筒状の第1及び第2の挿入シース2、3や、先端にループ状のスネア部41、51をそれぞれ有する第1及び第2のスネアワイヤ4、5、筒状の第1の穿刺針6、第1のガイド糸7を備えている。
【0019】
次に、上記管腔臓器連通用キットを使用して、2つの管腔臓器H1、H2の内腔を連通させる方法について説明する。なお、各図における符号Sは皮膚面を表す。
【0020】
まず、図3に示すように、皮膚面Sにおける第1の挿入位置I1より第1の挿入シース2を経皮的に挿入し、第1の管腔臓器H1の内腔に第1の挿入シース2の先端部を留置する。この第1の挿入シース2の後端から第1のスネアワイヤ4を挿入して押し進め、X線透視下で視認しながら、第1の管腔臓器H1の内腔における第1の連通位置P1に第1のスネア部41を配置する。同様に、第2の挿入位置I2より第2の挿入シース3を経皮的に挿入して第2の管腔臓器H2の内腔にその先端部を留置し、第2の挿入シース3の後端から第2のスネアワイヤ5を挿入して、第2の管腔臓器H2の内腔における第2の連通位置P2に第2のスネア部51を視認しながら配置する。そして、X線透視下で、第1の穿刺針6により第1及び第2のスネア部41、51内を穿刺し、第1及び第2の管腔臓器H1、H2をも貫通させる。なお、第1の穿刺針6としては、市販のものでは23〜18ゲージのサイズのものが好ましい。
【0021】
次に、図4に示すように、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通する第1の穿刺針6の後端から第1のガイド糸7を挿入し、この第1のガイド糸7の先端部(一方端部)7aを第1の穿刺針6の先端から突出させる。その後、第1の穿刺針6のみを取り除くと、図5に示すように、第1のガイド糸7は第1及び第2のスネア部41、51内を通るとともに第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通した状態で残される。なお、第1のガイド糸7は直径0.3mm〜0.9mmの太さのものが好ましい。また、第1のガイド糸7の材料としては、弾性及び可撓性を有し、塑性変形が生じにくく、かつ引張破断強度が大きいものが好ましく、例えば、共重合体ナイロンやニッケルチタン、ステンレス鋼、白金等が挙げられる。
【0022】
次に、図6に示すように、第1のスネア部41を閉じて第1のガイド糸7を把持し、第1のスネアワイヤ4の後端部を引くと、第1の管腔臓器H1の外側にあった第1のガイド糸7の先端部7aが第1の管腔臓器H1内に引き込まれる。第1のスネアワイヤ4をさらに引くと、第1のガイド糸7の先端部7aは、第1のスネア部41とともに第1の管腔臓器H1の内腔を通過して第1の挿入シース2内に入り、第1の挿入シース2の後端から引き出される。この引き出された第1のガイド糸7の先端部7aを保持し、第2のスネア部51を閉じずに第2のスネアワイヤ5の後端部を引くと、図7に示すように、第1のガイド糸7は第2のスネア部51の内側を滑りながら引っ張られ、第1のガイド糸7の後端部(他方端部)7bが第2の管腔臓器H2内に引き込まれる。第2のスネアワイヤ5の後端部を引き続けると、第1のガイド糸7の後端部7bは第2のスネア部51とともに第2の管腔臓器H2の内腔及び第2の挿入シース3内を通過して第2の挿入シース3の後端から引き出される。これにより、図8に示すように、第1の挿入シース2を介して皮膚面Sから第1の管腔臓器H1の内腔に入り、第1及び第2の連通位置P1、P2、第2の管腔臓器H2の内腔を順に通過し、第2の挿入シース3を介して皮膚面Sの外側へ出る、第1のガイド糸7による経路が作成される。
【0023】
次に、図9に示すように、第2の挿入シース3を取り除き、第1のガイド糸7の後端部7bを医療用器具1における牽引ワイヤ13のループ部131に結びつける。そして、第1の挿入シース2の後端部から引き出されている第1のガイド糸7の先端部7aを引っ張ると、図10に示すように、牽引ワイヤのループ部131は、第2の挿入位置I2から第2の管腔臓器H2内に引き込まれ、第2の管腔臓器H2の内腔、第2の連通位置P2及び第1の連通位置P1、第1の管腔臓器H1の内腔を順に通過し、第1の挿入シース2の後端から引き出される。引き出された牽引ワイヤ13を引くと、図11に示すように、ダイレータ12及びデリバリシース11は、牽引ワイヤ13に牽引され、第2の連通位置P2及び第1の連通位置P1を通過していく。デリバリシース11が第1及び第2の連通位置P1、P2に跨る位置に到達したのをX線透視により確認した時点で牽引ワイヤ13を引くのを停止し、デリバリシース11の後端側からダイレータ12及び牽引ワイヤ13を引き抜くと、図12に示すように、デリバリシース11のみが留置され、第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔は、デリバリシース11により、第1及び第2の連通位置P1、P2において連通される。
【0024】
以上のようにして留置されたデリバリシース11内にステント8を押し棒等で押し進めて配置し、この押し棒等でステント8を押さえてデリバリシース11のみを第2の挿入位置I2から引き抜くと、図13に示すように、ステント8が留置され、第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔は、ステント8により、第1及び第2の連通位置P1、P2において連通される。
【0025】
以上のように、上記第1実施形態に係る管腔臓器連通用キットによれば、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通するよう第1の穿刺針6で穿刺し、その第1の穿刺針6に第1のガイド糸7を貫通させる。これにより、第1のガイド糸7も第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通するが、第1のガイド糸7の両端部7a、7bを第1及び第2の管腔臓器H1、H2内に引き込むことが可能であるため穿刺針先端やカテーテル先端を管腔臓器H1、H2内にとどめてワイヤを挿入するという操作なく、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を容易に連通させることができる。また、医療用器具1におけるダイレータ12は、牽引ワイヤ13により牽引されることで第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔を進むように構成されているため、先端部に力が伝わりやすく、第1及び第2の管腔臓器H1、H2内腔をスムーズに通過することができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る管腔臓器連通用キットの第2実施形態について図14〜図23を参照しつつ説明する。なお、各図における符号Sは皮膚面を表す。
【0027】
上記第2実施形態に係る管腔臓器連通用キットは、第1実施形態と同様の医療用器具1を備えるとともに、図14に示すように、第3〜第6の挿入シース101、102、103、104、スネア部2011、2021、2031、2041を有する第3〜第6のスネアワイヤ201、202、203、204、第2〜第4の穿刺針301、302、303、及び第2〜第4のガイド糸401、402、403を備えている。
【0028】
次に、上記管腔臓器連通用キットを用いて、第3及び第4の管腔臓器H3、H4の内腔を連通させる方法について説明する。
【0029】
まず、図15に示すように、第3の挿入シース101を皮膚面Sにおける挿入位置I3から経皮的に挿入して第3の挿入シース101の先端部を第3の管腔臓器H3の内腔に留置した後、この第3の挿入シース101に第3のスネアワイヤ201を挿入し、X線透視下で視認しながら、第3のスネア部2011を第3の連通位置P3に配置する。同様に、第4の挿入シース102を挿入位置I4から第4の管腔臓器H4の内腔に経皮的に挿入し、この第4の挿入シース102を介して第4のスネアワイヤ202の第4のスネア部2021を第4の連通位置P4に視認しながら配置する。さらに、第5及び第6の挿入シース103、104をそれぞれ挿入位置I5、I6から経皮的に挿入する。そして、この第5及び第6の挿入シース103、104内に第5及び第6のスネアワイヤ203、204をそれぞれ挿入し、第5及び第6のスネア部2031、2041を第5及び第6の連通位置P5、P6に視認しながら配置する。
【0030】
次に、図16(a)に示すように、第2の穿刺針301により、X線透視下で確認しながら第5及び第3のスネア部2031、2011を穿刺し、第3の管腔臓器H3を貫通させる。この第2の穿刺針301に第2のガイド糸401を貫通させた後、図16(b)に示すように第2の穿刺針301を取り除く。同様に、図17(a)に示すように第3の穿刺針302により第6及び第4のスネア部2041、2021を確認しながら穿刺して第4の管腔臓器H4を貫通させ、第3の穿刺針302に第3のガイド糸402を貫通させた後、図17(b)に示すように第3の穿刺針302を取り除く。さらに、図18(a)に示すように、第4の穿刺針303により第5及び第6のスネア部2031、2041を確認しながら穿刺し、第4の穿刺針303に第4のガイド糸403を通過させた後、図18(b)に示すように第4の穿刺針303を取り除く。
【0031】
次に、図19に示すように、第3のスネア部2011を閉じて第2のガイド糸401を把持し、第3のスネアワイヤ201の後端部を引くと、ガイド糸401の先端部401aは第3の管腔臓器H3内に引き込まれ、この先端部401aが第3のスネア部2011とともに第3の挿入シース101の後端から引き出される。引き出された第2のガイド糸401の先端部401aを保持して第5のスネアワイヤ203の後端部を引くと、図20に示すように、第2及び第4のガイド糸401、403が第5の挿入シース103内に引き込まれ、第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bが第5の挿入シース103の後端から引き出される。その後、図21に示すように、引き出された第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bを互いに結びつける。同様に、第4のスネアワイヤ202により第4の挿入シース102から第3のガイド糸402の先端部402aを引き出し、この先端部402aを保持して第6のスネアワイヤ204を引くことで第3のガイド糸402の後端部402b、及び第4のガイド糸403の先端部402aを第6の挿入シース104から引き出す。そして、図22に示すように第3及び第4のガイド糸401、403を互いに結びつける。この状態で第2のガイドワイヤ401の先端部401aを引くと、互いに結び付けられた第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bが第5の挿入シース103を介して皮膚面S下に引き込まれる。また、第3のガイド糸402の後端部402b、及び第4のガイド糸403の先端部402aも第6の挿入シース104を介して皮膚面S下に引き込まれ、図23に示すように第3〜第6の連通位置P3〜P6を通過する経路が作成される。
【0032】
その後、第3のガイド糸402の先端部402aを医療用器具1の牽引ワイヤ13に結びつけ、第2のガイド糸401の先端部401aを引いて医療用器具1を牽引する。これにより、第1実施形態と同様に、ダイレータ12及びデリバリシース11が経路内に引き込まれる。そして、第1実施形態と同様にして、デリバリシース11を第3及び第4の管腔臓器H3、H4に跨るように留置し、このデリバリシース11を介してステント8を留置する。
【0033】
以上のように、上記第2実施形態によれば、複数のガイド糸401、402、403を使用することにより、第3及び第4の管腔臓器H3、H4間に直線状でない経路を作成することができる。これにより、治療の内容に応じて、連通させる2つの管腔臓器間に存在する臓器等を迂回する経路や皮膚面近傍を通る経路等を作成することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に係る医療用器具1においては、牽引ワイヤ13がダイレータ12内に挿入され、牽引ワイヤの中間部に大径部131が形成されていたが、牽引ワイヤによりダイレータを牽引することが可能であればよく、例えば、ダイレータの先端に牽引ワイヤが接続されていてもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、大径部132の形状はダイレータのテーパ状の縮径部121内腔の形状に合わせたテーパ状でもよい。
【0036】
また、上記第1実施形態においては、第1のガイド糸7の後端部7bに医療用器具1の牽引ワイヤ13を結びつけていたが、これに限定されず、第1のガイド糸の先端部に牽引ワイヤを結びつけて逆方向に牽引することもできる。同様に、第2実施形態においては、第3のガイド糸402の先端部402aに牽引ワイヤ13を結びつけていたが、これに限定されず、第2のガイド糸の先端部に牽引ワイヤを結びつけてもよい。
【0037】
また、上記第1の実施形態において、ガイド糸7を牽引ワイヤ13のループ部131とループ・トゥ・ループで結び付けることができるようガイド糸7の先端部7aまたは後端部7bの形状をループにしてもよい。同様に、上記第2実施形態において、第2〜第4のガイド糸の先端部または後端部の形状をループにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 医療用器具
11 デリバリシース
12 ダイレータ
121 縮径部
13 牽引ワイヤ
132 大径部
2、3 第1及び第2の挿入シース
4、5 第1及び第2のスネアワイヤ
41、51 第1及び第2のスネア部
6 第1の穿刺針
7 第1のガイド糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用器具及びこの医療用器具を含む管腔臓器連通用キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、血液透析アクセスや、血管閉塞や、消化管閉塞、門脈体循環シャント等の治療のために、2つの管腔臓器の内腔を連通させる処置を行うことがある。この処置は外科的な手法で行われる場合が多いが、経皮的な手法としては、例えば、transjugular intrahepatic portosystemic shunt(TIPS)が知られている(例えば、非特許文献1又は2参照)。この手法においては、まず、穿刺針の先端部が一方の管腔臓器を通過して外に出た後もう一方の管腔臓器の内腔に留まるよう、専用の穿刺針で2つの管腔臓器を穿刺する。この穿刺針内にガイドワイヤを通して穿刺針のみを取り除くと、ガイドワイヤにより2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路が作成される。次に、ダイレータをガイドワイヤに追従させながら押し進めることで上記経路を拡張する。続いて、デリバリシースをガイドワイヤに追従させながら押し進め、拡張された経路内において2つの管腔臓器に跨るように配置した後にガイドワイヤを取り除く。そして、このデリバリシースを介してステントを経路内に留置し、デリバリシースを取り除くと、このステントにより2つの管腔臓器の内腔が連通される。ここで、上記手法で用いる穿刺針は、処置を行う管腔臓器毎に、その管腔臓器の位置や形状に適合する長さやカーブを有するよう形成されている。よって、処置を行う管腔臓器に応じて穿刺針を変える必要があり、さまざまな管腔臓器に対して同一の穿刺針を使用することはできなかった。
【0003】
これに対し、例えば非特許文献3〜5においては、直線状の穿刺針を用いるgun-sight approachと呼ばれる手法が提案されている。この手法においては、まず、2つの管腔臓器において連通させる部分が一直線上に位置するように管腔臓器の位置を調整した後、穿刺針の先端部が手前側の管腔臓器を貫通するとともに奥側の管腔臓器の内腔に留まるよう、穿刺針で2つの管腔臓器を穿刺する。次に、この穿刺針にガイドワイヤを通してガイドワイヤの先端部を穿刺針の先端から奥側の管腔臓器の内腔に挿入し、この管腔臓器の内腔を通過させて皮膚表面に露出させた後、ガイドワイヤを残して穿刺針を取り除く。残されたガイドワイヤの先端側からカテーテルを追従させ、このカテーテルの先端が手前側の管腔臓器の内腔に到達するまで押し進めた後、このカテーテル内に新たなガイドワイヤを通し、このガイドワイヤの先端部をカテーテルの先端から手前側の管腔臓器の内腔に挿入する。そして、1本目のガイドワイヤ及びカテーテルを取り除くと、2本目のガイドワイヤにより2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路が作成される。その後、上述したTIPSと同じ手順で、ダイレータにより経路を拡張し、この経路内において2つの管腔臓器間にデリバリシースを配置し、さらにステントを留置する。この手法であれば、2つの管腔臓器が一直線上に位置するよう調整するため、管腔臓器を真っ直ぐに穿刺することができ、処置を行う管腔臓器全てに対して同一の穿刺針を使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Richter GM, Noeldge G, Palmaz JC, et al. Transjugular intrahepatic portacaval stent shunt: preliminary clinical results. Radiology 1990; 174:1027-1030.
【非特許文献2】Rossle M, Haag K, Ochs A, Sellinger M, Noldge G, Perarnau JM, et al. The transjugular intrahepatic portosystemic stent-shunt procedure for variceal bleeding. N Engl J Med, 330: 165-171, 1994.
【非特許文献3】Haskal ZJ, Duszak R, Jr., FurthEE. Transjugular intrahepatic transcaval portosystemic shunt: the gun-sight approach. J Vasc Interv Radiol 1996; 7:139-142
【非特許文献4】Aytekin C, Boyvat F, Firat A, Coskun M, Boyacioglu S. Portacaval shunt creation using the percutaneous transhepatic-transjugular technique. Abdom Imaging 2003; 28:287-292.
【非特許文献5】Nyman UR, Semba CP, Chang H, Hoffman C, Dake MD. Percutaneous creation of a mesocaval shunt. J Vasc Interv Radiol 1996; 7:769-773.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような手法においては、ガイドワイヤにより作成した経路を拡張するためにはダイレータを押し進める必要がある。現在の方法ではガイドワイヤに通したダイレータ後部を押して体内にある先端部に進む力を与える。しかしながら、処置を行う管腔臓器の形状やダイレータの材質等によってはダイレータがたわみの先端部に力が伝わりにくく、経路内にダイレータを押し進め拡張するのは容易ではない。
【0006】
そこで、本発明は、容易に2つの管腔臓器の内腔を連通させることができる医療用器具及び医療用キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医療用器具は、上記課題を解決するためになされたものであり、筒状のデリバリシースと、先端にテーパ状の縮径部が形成されており、前記縮径部が前記デリバリシースの先端から突出するよう前記デリバリシース内に挿入されているダイレータと、前記縮径部の突出方向に前記ダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、前記ダイレータは、前記デリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である。
【0008】
本発明に係る医療用器具は、あらかじめ2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路に上記医療器具の牽引ワイヤを通過させて使用する。この状態で牽引ワイヤの先端部を引くと、ダイレータは、縮径部の突出方向に牽引され、縮径部により上記経路を拡張しながら経路内を通過する。ダイレータはデリバリシースの先端側から引き抜くことができないよう構成されているため、ダイレータに続いてデリバリシースが拡張された経路内に引き込まれる。このデリバリシースが2つの管腔臓器に跨る位置まで引き込まれたら牽引ワイヤを引くのを停止し、デリバリシースの後端側からダイレータ及び牽引ワイヤを引き抜いて取り除く。これにより、経路内にはデリバリシースのみが残留し、2つの管腔臓器の内腔はデリバリシースにより連通される。このように、本発明に係る医療器具は、ダイレータを牽引して経路を通過させるため、ダイレータの先端部に力が伝わりやすく、容易に2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路を拡張することができる。
【0009】
上記医療用器具は、筒状に形成されたダイレータの後端側から牽引ワイヤが挿入され、牽引ワイヤの先端部から2つの管腔臓器を連通させるための十分な長さがダイレータの一方端から通し出される。牽引ワイヤには先端から上記の長さの位置にダイレータの先端部の内径よりも外径が大きい大径部を形成する。この構成によれば、牽引ワイヤの先端を引いてもダイレータから牽引ワイヤが抜けきることなく、ダイレータを牽引することができる。
【0010】
上記医療用器具は、ダイレータの先端に牽引ワイヤが接続されていてもよい。
【0011】
また、上記医療用器具を含んだ管腔臓器連通用キットを構成することもできる。この管腔臓器連通用キットは、上記医療用器具以外に、筒状の第1及び第2の挿入シース、開閉可能なループ状の第1のスネア部を有する第1のスネアワイヤ、ループ状の第2のスネア部を有する第2のスネアワイヤ、筒状の第1の穿刺針、及び第1のガイド糸を備えており、以下のように使用される。まず、第1の管腔臓器の内腔に第1の挿入シースの先端部を経皮的に挿入し、この第1の挿入シース内に第1のスネアワイヤを貫通させて、第1のスネア部を第1の管腔臓器の内腔に配置する。同様に、第2の管腔臓器の内腔に第2の挿入シースの先端部を経皮的に挿入し、この第2の挿入シース内に第2のスネアワイヤを貫通させて、第2のスネア部を第2の管腔臓器の内腔に配置する。次に、第1の穿刺針が第1及び第2の管腔臓器を貫通するとともに第1及び第2のスネア部内を通るよう、第1の穿刺針で穿刺する。続いて、この第1の穿刺針内に第1のガイド糸を貫通させ、第1の穿刺針を取り除くと、第1のガイド糸が第1及び第2の管腔臓器を貫通し第1及び第2のスネア部内を通った状態で残される。第1のスネア部を閉じることで第1のスネア部で第1のガイド糸の一方端部を把持し、この状態で第1のスネアワイヤの後端部を引いていくと、第1の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の一方端部が第1の管腔臓器内に引き込まれ、第1の管腔臓器の内腔及び第1の挿入シース内を通過して、第1の挿入シースの後端より引き出される。引き出された第1のガイド糸の一方端部を保持し、第2のスネアワイヤの後端部を引いていくと、第2の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の他方端部が第2の管腔臓器内に引き込まれ、第2の管腔臓器の内腔及び第2の挿入シース内を通過して、第2の挿入シースの後端より引き出される。その後、引き出された第1のガイド糸の一方端部又は他方端部のいずれか一方を上述した医療用器具の牽引ワイヤに連結する。このように、上記管腔臓器連通用キットによれば、第1又は第2の管腔臓器の外側にある第1のガイド糸の端部を管腔臓器の内側に引き込むことが可能であるため、第1のガイド糸が通される第1の穿刺針は2つの管腔臓器を貫通していればよく、第1の穿刺針の先端部を第1又は第2の管腔臓器の内腔に留める必要がない。これにより、2つの管腔臓器の内腔を結ぶ経路を容易に作成することができる。
【0012】
また、2つの管腔臓器の内腔を連通させる方法としては、筒状の第1の挿入シースの先端部を第1の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入する工程と、第1のスネアワイヤの先端に形成された開閉可能なループ状の第1のスネア部を前記第1の挿入シースを介して前記第1の管腔臓器の内腔に配置する工程と、筒状の第2の挿入シースの先端部を第2の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入する工程と、第2のスネアワイヤの先端に形成されたループ状の第2のスネア部を前記第2の挿入シースを介して前記第2の管腔臓器の内腔に配置する工程と、筒状の第1の穿刺針で前記第1及び第2のスネア部内を通るよう前記第1及び第2の管腔臓器を貫通する工程と、前記第1の穿刺針内を貫通するよう前記第1の穿刺針内に第1のガイド糸を挿入し、その後前記第1のガイド糸を残して前記第1の穿刺針を取り除く工程と、前記第1のスネア部で前記第1のガイド糸を把持しながら前記第1のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第1の挿入シースの後端から前記第1のガイド糸の一方端部を引き出す工程と、前記第2のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第2の挿入シースの後端から前記第1のガイド糸の他方端部を引き出す工程と、前記第1のガイド糸の一方端部又は他方端部に上述した医療用器具の牽引ワイヤを連結する工程と、を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に2つの管腔臓器の内腔を連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係る医療用器具の正面断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る管腔臓器連通用キットの概略図である。
【図3】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図4】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図5】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図6】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図7】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図8】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図9】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図10】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図11】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図12】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図13】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る管腔臓器連通用キットの概略図である。
【図15】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図16】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図17】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図18】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図19】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図20】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図21】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図22】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【図23】同管腔臓器連通用キットの使用方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る医療用器具及びこれを含む管腔臓器連通用キットの実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図における各種器具のサイズ比は実寸比と異なる。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る医療用器具及びこれを含む管腔臓器連通用キットの第一実施形態について図1〜図13を参照しつつ説明する。
【0017】
まず、第1実施形態に係る医療用器具1について説明する。図1に示すように、医療用器具1は筒状に形成されたデリバリシース11を備えており、このデリバリシース11内にはダイレータ12が挿入されている。ダイレータ12は先端に向かって縮径するテーパ状の縮径部121を有しており、この縮径部121はデリバリシース11の先端側から突出している。ダイレータ12の後端にはフランジ部122が形成されており、このフランジ部122がデリバリシース11の後端に引っ掛かることでダイレータ12をデリバリシース11の先端側から引き抜くことができないようになっている。また、ダイレータ12は筒状であり、この内部には牽引ワイヤ13が貫通している。この牽引ワイヤ13は、先端にループ部131が形成されており、中間部にはダイレータ12の先端の内径よりも外径が大きい大径部132が取り付けられている。この大径部132が縮径部121の内側に引っ掛かることで牽引ワイヤ13をダイレータ12の先端側から引き抜くことができないようになっている。
【0018】
上記医療用器具1は、2つの管腔臓器の内腔を連通させるために使用する管腔臓器連通用キットに含まれる。この管腔臓器連通用キットは、図2に示すように、上記医療用器具1以外に筒状の第1及び第2の挿入シース2、3や、先端にループ状のスネア部41、51をそれぞれ有する第1及び第2のスネアワイヤ4、5、筒状の第1の穿刺針6、第1のガイド糸7を備えている。
【0019】
次に、上記管腔臓器連通用キットを使用して、2つの管腔臓器H1、H2の内腔を連通させる方法について説明する。なお、各図における符号Sは皮膚面を表す。
【0020】
まず、図3に示すように、皮膚面Sにおける第1の挿入位置I1より第1の挿入シース2を経皮的に挿入し、第1の管腔臓器H1の内腔に第1の挿入シース2の先端部を留置する。この第1の挿入シース2の後端から第1のスネアワイヤ4を挿入して押し進め、X線透視下で視認しながら、第1の管腔臓器H1の内腔における第1の連通位置P1に第1のスネア部41を配置する。同様に、第2の挿入位置I2より第2の挿入シース3を経皮的に挿入して第2の管腔臓器H2の内腔にその先端部を留置し、第2の挿入シース3の後端から第2のスネアワイヤ5を挿入して、第2の管腔臓器H2の内腔における第2の連通位置P2に第2のスネア部51を視認しながら配置する。そして、X線透視下で、第1の穿刺針6により第1及び第2のスネア部41、51内を穿刺し、第1及び第2の管腔臓器H1、H2をも貫通させる。なお、第1の穿刺針6としては、市販のものでは23〜18ゲージのサイズのものが好ましい。
【0021】
次に、図4に示すように、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通する第1の穿刺針6の後端から第1のガイド糸7を挿入し、この第1のガイド糸7の先端部(一方端部)7aを第1の穿刺針6の先端から突出させる。その後、第1の穿刺針6のみを取り除くと、図5に示すように、第1のガイド糸7は第1及び第2のスネア部41、51内を通るとともに第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通した状態で残される。なお、第1のガイド糸7は直径0.3mm〜0.9mmの太さのものが好ましい。また、第1のガイド糸7の材料としては、弾性及び可撓性を有し、塑性変形が生じにくく、かつ引張破断強度が大きいものが好ましく、例えば、共重合体ナイロンやニッケルチタン、ステンレス鋼、白金等が挙げられる。
【0022】
次に、図6に示すように、第1のスネア部41を閉じて第1のガイド糸7を把持し、第1のスネアワイヤ4の後端部を引くと、第1の管腔臓器H1の外側にあった第1のガイド糸7の先端部7aが第1の管腔臓器H1内に引き込まれる。第1のスネアワイヤ4をさらに引くと、第1のガイド糸7の先端部7aは、第1のスネア部41とともに第1の管腔臓器H1の内腔を通過して第1の挿入シース2内に入り、第1の挿入シース2の後端から引き出される。この引き出された第1のガイド糸7の先端部7aを保持し、第2のスネア部51を閉じずに第2のスネアワイヤ5の後端部を引くと、図7に示すように、第1のガイド糸7は第2のスネア部51の内側を滑りながら引っ張られ、第1のガイド糸7の後端部(他方端部)7bが第2の管腔臓器H2内に引き込まれる。第2のスネアワイヤ5の後端部を引き続けると、第1のガイド糸7の後端部7bは第2のスネア部51とともに第2の管腔臓器H2の内腔及び第2の挿入シース3内を通過して第2の挿入シース3の後端から引き出される。これにより、図8に示すように、第1の挿入シース2を介して皮膚面Sから第1の管腔臓器H1の内腔に入り、第1及び第2の連通位置P1、P2、第2の管腔臓器H2の内腔を順に通過し、第2の挿入シース3を介して皮膚面Sの外側へ出る、第1のガイド糸7による経路が作成される。
【0023】
次に、図9に示すように、第2の挿入シース3を取り除き、第1のガイド糸7の後端部7bを医療用器具1における牽引ワイヤ13のループ部131に結びつける。そして、第1の挿入シース2の後端部から引き出されている第1のガイド糸7の先端部7aを引っ張ると、図10に示すように、牽引ワイヤのループ部131は、第2の挿入位置I2から第2の管腔臓器H2内に引き込まれ、第2の管腔臓器H2の内腔、第2の連通位置P2及び第1の連通位置P1、第1の管腔臓器H1の内腔を順に通過し、第1の挿入シース2の後端から引き出される。引き出された牽引ワイヤ13を引くと、図11に示すように、ダイレータ12及びデリバリシース11は、牽引ワイヤ13に牽引され、第2の連通位置P2及び第1の連通位置P1を通過していく。デリバリシース11が第1及び第2の連通位置P1、P2に跨る位置に到達したのをX線透視により確認した時点で牽引ワイヤ13を引くのを停止し、デリバリシース11の後端側からダイレータ12及び牽引ワイヤ13を引き抜くと、図12に示すように、デリバリシース11のみが留置され、第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔は、デリバリシース11により、第1及び第2の連通位置P1、P2において連通される。
【0024】
以上のようにして留置されたデリバリシース11内にステント8を押し棒等で押し進めて配置し、この押し棒等でステント8を押さえてデリバリシース11のみを第2の挿入位置I2から引き抜くと、図13に示すように、ステント8が留置され、第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔は、ステント8により、第1及び第2の連通位置P1、P2において連通される。
【0025】
以上のように、上記第1実施形態に係る管腔臓器連通用キットによれば、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通するよう第1の穿刺針6で穿刺し、その第1の穿刺針6に第1のガイド糸7を貫通させる。これにより、第1のガイド糸7も第1及び第2の管腔臓器H1、H2を貫通するが、第1のガイド糸7の両端部7a、7bを第1及び第2の管腔臓器H1、H2内に引き込むことが可能であるため穿刺針先端やカテーテル先端を管腔臓器H1、H2内にとどめてワイヤを挿入するという操作なく、第1及び第2の管腔臓器H1、H2を容易に連通させることができる。また、医療用器具1におけるダイレータ12は、牽引ワイヤ13により牽引されることで第1及び第2の管腔臓器H1、H2の内腔を進むように構成されているため、先端部に力が伝わりやすく、第1及び第2の管腔臓器H1、H2内腔をスムーズに通過することができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る管腔臓器連通用キットの第2実施形態について図14〜図23を参照しつつ説明する。なお、各図における符号Sは皮膚面を表す。
【0027】
上記第2実施形態に係る管腔臓器連通用キットは、第1実施形態と同様の医療用器具1を備えるとともに、図14に示すように、第3〜第6の挿入シース101、102、103、104、スネア部2011、2021、2031、2041を有する第3〜第6のスネアワイヤ201、202、203、204、第2〜第4の穿刺針301、302、303、及び第2〜第4のガイド糸401、402、403を備えている。
【0028】
次に、上記管腔臓器連通用キットを用いて、第3及び第4の管腔臓器H3、H4の内腔を連通させる方法について説明する。
【0029】
まず、図15に示すように、第3の挿入シース101を皮膚面Sにおける挿入位置I3から経皮的に挿入して第3の挿入シース101の先端部を第3の管腔臓器H3の内腔に留置した後、この第3の挿入シース101に第3のスネアワイヤ201を挿入し、X線透視下で視認しながら、第3のスネア部2011を第3の連通位置P3に配置する。同様に、第4の挿入シース102を挿入位置I4から第4の管腔臓器H4の内腔に経皮的に挿入し、この第4の挿入シース102を介して第4のスネアワイヤ202の第4のスネア部2021を第4の連通位置P4に視認しながら配置する。さらに、第5及び第6の挿入シース103、104をそれぞれ挿入位置I5、I6から経皮的に挿入する。そして、この第5及び第6の挿入シース103、104内に第5及び第6のスネアワイヤ203、204をそれぞれ挿入し、第5及び第6のスネア部2031、2041を第5及び第6の連通位置P5、P6に視認しながら配置する。
【0030】
次に、図16(a)に示すように、第2の穿刺針301により、X線透視下で確認しながら第5及び第3のスネア部2031、2011を穿刺し、第3の管腔臓器H3を貫通させる。この第2の穿刺針301に第2のガイド糸401を貫通させた後、図16(b)に示すように第2の穿刺針301を取り除く。同様に、図17(a)に示すように第3の穿刺針302により第6及び第4のスネア部2041、2021を確認しながら穿刺して第4の管腔臓器H4を貫通させ、第3の穿刺針302に第3のガイド糸402を貫通させた後、図17(b)に示すように第3の穿刺針302を取り除く。さらに、図18(a)に示すように、第4の穿刺針303により第5及び第6のスネア部2031、2041を確認しながら穿刺し、第4の穿刺針303に第4のガイド糸403を通過させた後、図18(b)に示すように第4の穿刺針303を取り除く。
【0031】
次に、図19に示すように、第3のスネア部2011を閉じて第2のガイド糸401を把持し、第3のスネアワイヤ201の後端部を引くと、ガイド糸401の先端部401aは第3の管腔臓器H3内に引き込まれ、この先端部401aが第3のスネア部2011とともに第3の挿入シース101の後端から引き出される。引き出された第2のガイド糸401の先端部401aを保持して第5のスネアワイヤ203の後端部を引くと、図20に示すように、第2及び第4のガイド糸401、403が第5の挿入シース103内に引き込まれ、第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bが第5の挿入シース103の後端から引き出される。その後、図21に示すように、引き出された第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bを互いに結びつける。同様に、第4のスネアワイヤ202により第4の挿入シース102から第3のガイド糸402の先端部402aを引き出し、この先端部402aを保持して第6のスネアワイヤ204を引くことで第3のガイド糸402の後端部402b、及び第4のガイド糸403の先端部402aを第6の挿入シース104から引き出す。そして、図22に示すように第3及び第4のガイド糸401、403を互いに結びつける。この状態で第2のガイドワイヤ401の先端部401aを引くと、互いに結び付けられた第2及び第4のガイド糸401、403の後端部401b、403bが第5の挿入シース103を介して皮膚面S下に引き込まれる。また、第3のガイド糸402の後端部402b、及び第4のガイド糸403の先端部402aも第6の挿入シース104を介して皮膚面S下に引き込まれ、図23に示すように第3〜第6の連通位置P3〜P6を通過する経路が作成される。
【0032】
その後、第3のガイド糸402の先端部402aを医療用器具1の牽引ワイヤ13に結びつけ、第2のガイド糸401の先端部401aを引いて医療用器具1を牽引する。これにより、第1実施形態と同様に、ダイレータ12及びデリバリシース11が経路内に引き込まれる。そして、第1実施形態と同様にして、デリバリシース11を第3及び第4の管腔臓器H3、H4に跨るように留置し、このデリバリシース11を介してステント8を留置する。
【0033】
以上のように、上記第2実施形態によれば、複数のガイド糸401、402、403を使用することにより、第3及び第4の管腔臓器H3、H4間に直線状でない経路を作成することができる。これにより、治療の内容に応じて、連通させる2つの管腔臓器間に存在する臓器等を迂回する経路や皮膚面近傍を通る経路等を作成することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に係る医療用器具1においては、牽引ワイヤ13がダイレータ12内に挿入され、牽引ワイヤの中間部に大径部131が形成されていたが、牽引ワイヤによりダイレータを牽引することが可能であればよく、例えば、ダイレータの先端に牽引ワイヤが接続されていてもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、大径部132の形状はダイレータのテーパ状の縮径部121内腔の形状に合わせたテーパ状でもよい。
【0036】
また、上記第1実施形態においては、第1のガイド糸7の後端部7bに医療用器具1の牽引ワイヤ13を結びつけていたが、これに限定されず、第1のガイド糸の先端部に牽引ワイヤを結びつけて逆方向に牽引することもできる。同様に、第2実施形態においては、第3のガイド糸402の先端部402aに牽引ワイヤ13を結びつけていたが、これに限定されず、第2のガイド糸の先端部に牽引ワイヤを結びつけてもよい。
【0037】
また、上記第1の実施形態において、ガイド糸7を牽引ワイヤ13のループ部131とループ・トゥ・ループで結び付けることができるようガイド糸7の先端部7aまたは後端部7bの形状をループにしてもよい。同様に、上記第2実施形態において、第2〜第4のガイド糸の先端部または後端部の形状をループにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 医療用器具
11 デリバリシース
12 ダイレータ
121 縮径部
13 牽引ワイヤ
132 大径部
2、3 第1及び第2の挿入シース
4、5 第1及び第2のスネアワイヤ
41、51 第1及び第2のスネア部
6 第1の穿刺針
7 第1のガイド糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のデリバリシースと、
先端にテーパ状の縮径部が形成されており、前記縮径部が前記デリバリシースの先端から突出するよう前記デリバリシース内に挿入されているダイレータと、
前記縮径部の突出方向に前記ダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、
前記ダイレータは、前記デリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である、医療用器具。
【請求項2】
前記ダイレータは、筒状に形成されており、
前記牽引ワイヤは、一部が前記ダイレータの先端から突出するよう前記ダイレータ内に挿入され、前記ダイレータの先端の内径よりも外径の大きい大径部が形成されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項3】
前記牽引ワイヤが前記ダイレータの先端に接続されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項4】
2つの管腔臓器の内腔を連通させるために使用する管腔臓器連通用キットであって、
先端部を第1の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入するよう構成された筒状の第1の挿入シースと、
開閉可能なループ状の第1のスネア部が先端に形成されており、前記第1の挿入シース内を介して前記第1のスネア部を前記第1の管腔臓器の内腔に配置させる前記第1のスネアワイヤと、
先端部を第2の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入するよう構成された筒状の第2の挿入シースと、
ループ状の第2のスネア部が先端に形成されており、前記第2の挿入シースを介して前記第2のスネア部を前記第2の管腔臓器の内腔に配置させるよう構成された前記第2のスネアワイヤと、
前記第1の管腔臓器の内腔に配置された前記第1のスネア部内を通るよう前記第1の管腔臓器を貫通するとともに、前記第2の管腔臓器の内腔に配置された前記第2のスネア部内を通るよう前記第2の管腔臓器を貫通するよう構成された筒状の前記第1の穿刺針と、
前記第1及び第2のスネア部内を通るように前記第1及び前記第2の管腔臓器を貫通した前記第1の穿刺針内を貫通し、前記第1の穿刺針を取り除き、前記第1のスネアワイヤの後端部を引くことで閉じた状態となる前記第1のスネア部に一方端部が把持されて前記第1の挿入シースの後端から引き出されるとともに、前記第2のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第2の挿入シースの後端から他方端部が引き出されるように構成された第1のガイド糸と、
前記第1のシースの後端から引き出された前記第1のガイド糸の一方端部、又は前記第2のシースの後端から引き出された前記第1のガイド糸の他方端部に牽引ワイヤが連結されるよう構成された、請求項1〜3のいずれかに記載の医療用器具と、を備える前記管腔臓器連通用キット。
【請求項1】
筒状のデリバリシースと、
先端にテーパ状の縮径部が形成されており、前記縮径部が前記デリバリシースの先端から突出するよう前記デリバリシース内に挿入されているダイレータと、
前記縮径部の突出方向に前記ダイレータを牽引するための牽引ワイヤと、を備え、
前記ダイレータは、前記デリバリシースの後端側からのみ引き抜き可能である、医療用器具。
【請求項2】
前記ダイレータは、筒状に形成されており、
前記牽引ワイヤは、一部が前記ダイレータの先端から突出するよう前記ダイレータ内に挿入され、前記ダイレータの先端の内径よりも外径の大きい大径部が形成されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項3】
前記牽引ワイヤが前記ダイレータの先端に接続されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項4】
2つの管腔臓器の内腔を連通させるために使用する管腔臓器連通用キットであって、
先端部を第1の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入するよう構成された筒状の第1の挿入シースと、
開閉可能なループ状の第1のスネア部が先端に形成されており、前記第1の挿入シース内を介して前記第1のスネア部を前記第1の管腔臓器の内腔に配置させる前記第1のスネアワイヤと、
先端部を第2の管腔臓器の内腔に経皮的に挿入するよう構成された筒状の第2の挿入シースと、
ループ状の第2のスネア部が先端に形成されており、前記第2の挿入シースを介して前記第2のスネア部を前記第2の管腔臓器の内腔に配置させるよう構成された前記第2のスネアワイヤと、
前記第1の管腔臓器の内腔に配置された前記第1のスネア部内を通るよう前記第1の管腔臓器を貫通するとともに、前記第2の管腔臓器の内腔に配置された前記第2のスネア部内を通るよう前記第2の管腔臓器を貫通するよう構成された筒状の前記第1の穿刺針と、
前記第1及び第2のスネア部内を通るように前記第1及び前記第2の管腔臓器を貫通した前記第1の穿刺針内を貫通し、前記第1の穿刺針を取り除き、前記第1のスネアワイヤの後端部を引くことで閉じた状態となる前記第1のスネア部に一方端部が把持されて前記第1の挿入シースの後端から引き出されるとともに、前記第2のスネアワイヤの後端部を引くことで前記第2の挿入シースの後端から他方端部が引き出されるように構成された第1のガイド糸と、
前記第1のシースの後端から引き出された前記第1のガイド糸の一方端部、又は前記第2のシースの後端から引き出された前記第1のガイド糸の他方端部に牽引ワイヤが連結されるよう構成された、請求項1〜3のいずれかに記載の医療用器具と、を備える前記管腔臓器連通用キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−36467(P2011−36467A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187216(P2009−187216)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(500409219)学校法人関西医科大学 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(500409219)学校法人関西医科大学 (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]