説明

医療用液体アプリケータシステム

【課題】比較的多量の医療用液体を塗布するためのアプリケータを提供する。
【解決手段】アプリケータグリップアセンブリと、軟質貯液部と、アプリケータヘッドとを含む医療用液体アプリケータシステムを提供する。アプリケータグリップアセンブリは、第1及び第2部分と、長手方向軸線と、第1及び第2部分の境界をなしかつ長手方向軸線に垂直な折曲軸線と、該折曲軸線上に設けられかつ折り曲げられたとき開口する折曲げ作動式吐出スリットとから構成されている。軟質貯液部は、アプリケータグリップアセンブリの裏面に結合されており、折曲げ作動式吐出スリットと液体連通する。アプリケータヘッドは、折曲軸線においてアプリケータグリップアセンブリの表面に結合されており、吐出スリットと液体連通する。アプリケータグリップアセンブリを折り曲げることにより、流動性医療用液体を、吐出開口を通ってアプリケータヘッド内へ押し進めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用液体を塗布するためのアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
折曲式スワブ型、折曲式カード型及び、折曲式でその他の型の、使い捨ての液体吐出用アプリケータが知られている。これらのアプリケータの例は、米国特許第3,369,267号明細書(特許文献1)、米国特許第4,084,910号明細書(特許文献2)、米国特許第4,140,409号明細書(特許文献3)、米国特許第4,430,013号明細書(特許文献4)、米国特許第4,493,574号明細書(特許文献5)、米国特許第5,316,400号明細書(特許文献6)、米国特許第7,121,409号明細書(特許文献7)、米国特許公開第2005/0047846号公報(特許文献8)及び米国特許公開第2006/0283727号公報(特許文献9)に見ることができる。
【0003】
これらの使い捨てのアプリケータは、吐出における種々の利点を提供し、一般的には、少量の液体(例えばハンドサニタイザーなど)を吐出するために単回使用し、その後に廃棄することが経済的であると考えられている。しかし、これらのアプリケータに関して、比較的多量の医療用液体(特に手術前処置用溶液)を吐出及び塗布することは、未だ一般的ではない。これらの使い捨てのアプリケータに関する1つの問題は、これらのアプリケータが少量の液体を吐出するように設計されていることである。液体の量は通常、0.5ml未満である。これらの現行の従来設計のアプリケータは、2本または3本の指で掴むように構成されている。現行の従来設計のアプリケータのいくつかには、吐出された液体の塗布に役立つスワブ、フェルトまたは発泡体のアプリケータチップも開示されている。
【0004】
現行の従来設計のアプリケータのいくつかは、様々な大きさで提供可能であることが示唆されているが、比較的多量の液体(例えば手術前処置用溶液など)を扱うべくアプリケータを一定比率で拡大したとしても、それだけでは不十分であろう。例えば、物品を大きくすると、指で掴むことが問題になるであろう。というのも、大きなアプリケータは指で保持しづらいからであり、液体の量の増加に伴って重量が増加するからである。これらの多量の液体は、勢いよく流れ出るかまたはアプリケータヘッドを過度に飽和させ、均一な量の液体の正確な吐出及び塗布を困難にしたり、無駄を生じさせたりすることがある。発泡体またはスワブのアプリケータヘッドは、より大きくなると、ディスペンサを作動させるために通常必要とされる折曲げの間に変形及び圧縮される可能性がある。変形または圧縮されたアプリケータヘッドは、吐出液体の量を減少させ、吐出液体の速度及び均一性に対する制御を低下させ、液体分配に悪影響を与える可能性がある。カードを大きくすると、片手で吐出を作動させかつ開始するように物品を折り曲げることが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,369,267号明細書
【特許文献2】米国特許第4,084,910号明細書
【特許文献3】米国特許第4,140,409号明細書
【特許文献4】米国特許第4,430,013号明細書
【特許文献5】米国特許第4,493,574号明細書
【特許文献6】米国特許第5,316,400号明細書
【特許文献7】米国特許第7,121,409号明細書
【特許文献8】米国特許公開第2005/0047846号公報
【特許文献9】米国特許公開第2006/0283727号公報
【特許文献10】米国特許第6,878,320号明細書
【特許文献11】米国特許第6,765,035号明細書
【特許文献12】米国特許第6,433,034号明細書
【特許文献13】米国特許第6,288,134号明細書
【特許文献14】米国特許第4,668,557号明細書
【特許文献15】PCT公開第WO1999025530 A1号公報
【特許文献16】米国特許第5,284,703号明細書
【特許文献17】米国特許第5,427,845号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、従来の使い捨ての折曲式カード型アプリケータよりも比較的多量の液体(限定されるものではないが手術前処置用溶液を含む)を保持し、さらに、1回使っただけで廃棄することができるように安価であるような医療用液体アプリケータシステムに対するニーズが満たされていない。従来の使い捨ての折曲式カード型アプリケータよりも比較的多量の液体を保持し、片手で容易に作動させることもでき、液体を正確かつ簡単に吐出することもできるような医療用液体アプリケータシステムに対するニーズも満たされていない。さらに、そのような医療用液体アプリケータシステムとともに用いられ、液体の流量を増やしかつより均一に分配できるようにするアプリケータヘッドアセンブリに対するニーズも満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
医療用液体アプリケータシステムを含む本発明により、上記した問題に対処する。
【0008】
医療用液体アプリケータシステムは、アプリケータグリップアセンブリと、軟質貯液部と、アプリケータヘッドとを含む、単回使用使い捨ての手持型システムである。
【0009】
アプリケータグリップアセンブリは、第1遠位端を有する第1部分と、第2遠位端を有する第2部分と、長手方向軸線と、表面と、裏面と、所定のグリップ長さと、所定のグリップ幅と、第1部分と第2部分との境界をなしかつ長手方向軸線に垂直な折曲軸線と、該折曲軸線上に設けられかつ折り曲げられたとき開口する折曲げ作動式吐出スリットとから構成される、実質的に硬質、平坦(非曲面的)かつ平面的(平滑)であるアプリケータグリップアセンブリである。折曲軸線は、アプリケータグリップアセンブリの第1遠位端及び第2遠位端から等距離にあってよい。あるいは、折曲軸線は、アプリケータグリップアセンブリの第1遠位端と第2遠位端との間に非対称的に配置されてもよい。アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方は、片手でのアプリケータグリップアセンブリの折曲げを強化するためのグリップエンハンサー及び/または機構を含み得る。
【0010】
軟質貯液部は、アプリケータグリップアセンブリの裏面に結合されている。貯液部は、軟質容器であってよく、少なくとも1ml(より望ましくは1〜30ml)の流動性医療用液体(例えば手術前処置用溶液など)を保持すべきである。軟質貯液部は、折曲げ作動式吐出スリットと液体連通する。
【0011】
アプリケータヘッドは、折曲軸線においてアプリケータグリップアセンブリの表面に結合されており、吐出スリットと液体連通する。アプリケータヘッドは、流動性医療用液体を受容するようにかつ流動性医療用液体を被塗布面に放出するように適合された多孔性材料で作られることが望ましい。アプリケータヘッドは、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料であり得る。本発明の或る態様では、アプリケータヘッドは、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられていないときには折曲軸線において概ね非平面的な断面輪郭形状を有し得、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられているときには折曲軸線において概ね平面的な断面輪郭形状を有し得る。本発明のさらに別の態様では、アプリケータヘッドの形状は、平面的なグリップアセンブリが折曲軸線で折り曲げられたときに、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、アプリケータヘッドの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることができる。
【0012】
本発明によれば、アプリケータグリップアセンブリは折曲軸線で折り曲げられることにより、第1部分の第1遠位端の少なくとも一部の裏面と第2部分の第2遠位端の少なくとも一部の裏面とが合わさり、所定のグリップ長さ及び所定のグリップ幅を有するグリップハンドルを画定する。アプリケータグリップアセンブリの折曲げは、折曲げ作動式吐出スリットを破裂させることになり、それによって吐出開口を画定することになり、また、吐出スリットと液体連通している軟質貯液部構成要素に圧力を印加して、流動性医療用液体を、吐出開口を通ってアプリケータヘッド内へ押し進めることにもなる。
【0013】
アプリケータグリップアセンブリは、プラスチック、ボール紙、強化紙、金属及びそれらの組合せから選択される実質的に硬質の材料から形成される。アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分の少なくとも一方は、長手方向軸線に沿って凹状の曲線をなす断面を有し得る。アプリケータグリップアセンブリの所定のグリップ長さは約7cm〜約20cmであり得、所定のグリップ幅は約2cm〜約10cmであり得る。
【0014】
軟質貯液部の少なくとも一部は、折曲軸線と重なっている。軟質貯液部は、少なくとも約1ml〜約30mlの流動性医療用液体を収容することが望ましい。
【0015】
本発明の或る態様では、アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分の少なくとも一方は、第1部分の第1遠位端の裏面と第2部分の第2遠位端の裏面との完全な接触を阻止するために、長手方向軸線に沿って少なくとも1つの耐圧力性ストッパを有し得る。
【0016】
本発明の別の態様では、医療用液体アプリケータシステムは、軟質貯液部とアプリケータヘッドとの間に配置され得る液体分配層をさらに含み得る。例えば、液体分配部は、軟質貯液部とアプリケータヘッドとの間に配置された不織材料であり得る。代替的及び/または追加的に、医療用液体アプリケータシステムは、第1遠位端と第2遠位端とが合わさってグリップハンドルを画定するときに両遠位端を係合するための締結システムをさらに含み得る。締結システムは、機械的及び/または接着性締結システムであってよい。
【0017】
本発明によれば、アプリケータシステムは、アプリケータグリップアセンブリの第1部分と第2部分の中間にあるスペーサ部分と、第1部分とスペーサ部分との間にある第1折曲軸線及び、第2部分とスペーサ部分との間にある第2折曲軸線(各折曲軸線は長手方向軸線に垂直であり、スペーサ部分は第1部分及び第2部分よりもずっと短い長さを有する)と、少なくとも1つの折曲軸線上に位置する少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリットとをさらに含み得る。
【0018】
この構造により、アプリケータグリップアセンブリは、各折曲軸線で折り曲げられて、グリップハンドルを画定する。アプリケータグリップアセンブリを折り曲げることにより、少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリットを破裂させ、それによって少なくとも1つの吐出開口を画定することになり、また、吐出スリットと液体連通している軟質貯液部構成要素に圧力を印加して、流動性医療用液体を、吐出開口を通ってアプリケータヘッド内へ押し進めることになる。
【0019】
本発明には、単回使用使い捨ての手持型折曲式液体ディスペンサのためのアプリケータヘッドアセンブリも含まれる。アプリケータヘッドアセンブリは、1)アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分を結合している少なくとも1つの折曲軸線に跨って配置された多孔性アプリケータヘッドと、2)多孔性アプリケータヘッドと連通する液体分配部及びアプリケータグリップアセンブリ内の液体貯液部とを含む。
【0020】
アプリケータグリップアセンブリは、第1部分及び第2部分が折曲軸線で折り曲げられることによって液体貯液部からの液体の吐出を開始するタイプのものである。液体分配部は、アプリケータグリップアセンブリと多孔性アプリケータヘッドとの間にあり、さらに、アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分を結合している折曲軸線、または複数の折曲軸線がある場合には少なくとも1つの折曲軸線に跨って配置されている。本発明によれば、アプリケータグリップアセンブリを折り曲げることが、液体分配部を作り出すかまたは変更する。
【0021】
本発明の一実施形態では、折曲軸線でのアプリケータグリップアセンブリの折曲げにより、構造を有するアプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分の少なくとも1つのエッジが露出されて、アプリケータアセンブリと多孔性アプリケータヘッドとの間の液体分配チャネルを画定することになり得る。本発明の別の実施形態では、アプリケータグリップアセンブリを折曲軸線で折り曲げると、アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分の少なくとも1つのエッジが、押しつぶせるかまたは壊れやすい材料を押しつぶすかまたは分離させ、それによって、アプリケータアセンブリと多孔性アプリケータヘッドとの間の液体分配チャネルを画定することになり得る。本発明のさらに別の実施形態では、アプリケータグリップアセンブリを折曲軸線で折り曲げると、アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方の裏面に取り付けられたセパレータが、アプリケータグリップアセンブリの第1部分と第2部分とを互いに分離し、アプリケータアセンブリと多孔性アプリケータヘッドとの間の液体分配チャネルを画定することになり得る。
【0022】
本発明の或る態様では、アプリケータヘッドは、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられていないときには折曲軸線において概ね非平面的な断面輪郭形状を有し得、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられているときには折曲軸線において概ね平面的な断面輪郭形状を有し得る。
【0023】
本発明のさらに別の態様では、アプリケータヘッドの形状は、平面的なグリップアセンブリが折曲軸線で折り曲げられたときに、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、アプリケータヘッドの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることができる。
【0024】
本発明のこれら及びその他の機能及び利点は、添付の図面を考慮して、以下の説明及び請求項に記載されている内容を読めば、当業者にとってより明らかになるであろう。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照して本発明の詳細な説明を読むことによって、よりよく理解されるであろう。図中の同様の符号は、図面全体にわたって、類似の構造を示し、同様の構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】例示的な医療用液体アプリケータシステムを示す上面図。
【図1B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す上面図。
【図2A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す上面図。
【図2B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す上面図。
【図3】例示的な医療用液体アプリケータシステムを示す底面図。
【図4】例示的な医療用液体アプリケータシステムを示す断面図。
【図5A】例示的な、折り曲げられた状態にある医療用液体アプリケータシステムを示す斜視図。
【図5B】使用者の手に握られている、例示的な、折り曲げられた状態にある医療用液体アプリケータシステムを示す斜視図。
【図5C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの断面図。
【図5D】例示的な医療用液体アプリケータシステムの断面図。
【図5E】例示的な医療用液体アプリケータシステムの断面図。
【図6】例示的な医療用液体アプリケータシステムの断面図。
【図7A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図7B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図7C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図8A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す上面図。
【図8B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図9A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図9B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図9C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの複数の特徴部を強調して示す断面図。
【図10A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図10B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図11A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図11B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図12A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図12B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図13A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図13B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図13C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図13D】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図14A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す上面図。
【図14B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図14C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す断面図。
【図15A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図15B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図16A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図16B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図17A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図17B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図18A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図18B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図18C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図19A】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図19B】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【図19C】例示的な医療用液体アプリケータシステムの或る特徴部を強調して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
【0028】
「オーセチック(auxetic)発泡体」なる語は、負のポアソン比を示す発泡体構造を指す。具体的には、「オーセチック発泡体」は、引っ張られたときに1若しくは複数の方向に広がる材料または材料の集合体である。それゆえ、オーセチック発泡体は、伸ばされたときに、1若しくは複数の方向に大きくなることができる。例示的なオーセチック発泡体材料は、例えば、米国特許第6,878,320号明細書(特許文献10)、米国特許第6,765,035号明細書(特許文献11)、米国特許第6,433,034号明細書(特許文献12)、米国特許第6,288,134号明細書(特許文献13)に開示されている。オーセチック発泡体または類似のオーセチック材料は、その固有の構造に起因して、負のポアソン比を有する材料から製造され得るか、または、元来は負のポアソン比を有しないが、そのような負のポアソン比が与えられるようにさらに処理された(例えば、オーセチック材料と組み合わされたり、処理された材料がオーセチックな挙動を有する(縦方向伸張時に横方向に膨張する)ように或るパターンで結合されたり、オーセチックマクロ構造に形成されるなどした)材料から製造され得る。
【0029】
「使い捨て」なる語は、非常に安価なので1回だけ使用した後に廃棄しても経済的であり得る製品を指す。「使い捨て」製品は、通常は単回使用のためのものであるが、複数回使用のためのものであってもよい。
【0030】
「複数回使用」なる語は、同一人物がある期間にわたって少数回使用した後に廃棄されるよう意図されている製品を指す(すなわち、単回使用に限定されないが、少数回使用した後に、製品が汚れたり、洗浄が必要になったり、または別な方法で修復することが必要になった場合に、消費者が製品を経済的に廃棄することができる程度に比較的安価な製品も指す)。
【0031】
「長手(方向)」なる語は、折り曲げられていないアプリケータグリップアセンブリの第1遠位端から反対側の遠位端までに及び、物品の最大長さ寸法に概ね平行である方向を指す。長手方向の25°以内の方向は、「長手(方向)」であると考える。
【0032】
「医療用液体」なる語は、表面または被塗布面、例えば哺乳動物の皮膚などに塗布して該表面または被塗布面を前処置、処置、洗浄、殺菌するための液体、発泡体、ゲル及びそれらの組合せを指す。医療用液体の1つの限定されない例は、手術部位前処置用液体、発泡体またはゲルである。医療用液体の別の限定されない例は、手術前または手術後に皮膚に塗布される皮膚用シーラントである。
【0033】
「ポアソン比」なる語は、伸縮力または圧縮力から生じるひずみに対する直交方向のひずみの比を指す。
【0034】
「単回使用」なる語は、たった1回だけ使用されるよう意図されており、使用後に、再使用、再調整、修復または修理されるよう意図されていない製品を指す。
【0035】
実施例
【0036】
図に示しかつ/または本明細書に記載されているような本発明の様々な実施形態を説明する際に、明確さのために、特定の用語が用いられている。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されるものではなく、各特定構成要素は、類似の機能を達成するために同様に機能する全ての技術的等価物を含むことを理解されたい。
【0037】
このように、本明細書では本発明の例示的な実施形態を示している。しかし、本発明は、当業者に明らかであるように、様々な代替形態で具体化されることができる。本発明の理解を容易にするために、そして請求項に記載されている内容の根拠を与えるために、説明には様々な図を含めている。図面は縮尺通りに描かれておらず、関連構成要素は本発明の新規な特徴部を強調するために省略されているものがある。図面に示されている構造及び機能の詳細は、本発明の実施を当業者に教示する目的のために提供されているものであり、制限を目的としていない。左、右、前、後などの方向に関する用語は、本発明の理解を助けるために提供されているものであり、制限を目的としていない。
【0038】
ここで図1Aを参照すると、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の一実施形態の上面平面図が示されている。医療用液体アプリケータシステム10は、折曲げ前に実質的に硬質、平坦かつ平面的であるアプリケータグリップアセンブリ15を含む。アプリケータグリップアセンブリ15は、第1遠位端25を有する第1部分20及び第2遠位端35を有する第2部分30と、長手方向軸線40と、表面45と、裏面50と、所定のグリップ長さ「L」と、所定のグリップ幅「W」と、第1部分20と第2部分30との境界をなしかつ長手方向軸線40に垂直な折曲軸線55と、折曲軸線55上に設けられた折曲げ作動式吐出スリット60とから構成されている。アプリケータグリップアセンブリの上面図では、折曲軸線55と重なっているアプリケータヘッド65が見える。
【0039】
折曲軸線55は、図1Aに示されているように、アプリケータグリップアセンブリ15の第1遠位端25及び第2遠位端35から等距離にあってよい。あるいは、図1Bの例示的なアプリケータグリップアセンブリの上面図に示されているように、折曲軸線55は、アプリケータグリップアセンブリ15の第1遠位端25と第2遠位端35との間に非対称的に配置されてもよい。アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方は、グリップ長さ及びグリップ幅の少なくとも一部に沿って配置されたグリップエンハンサーを含み得る。グリップエンハンサーは、粗面、ノブまたは隆起部、粘着性樹脂、ストライプ状の材料または粘着性樹脂、または同種のものであり得る。
【0040】
ここで図2Aを参照すると、長手方向軸線40に対して、より対称な構造を示すような、例示的なアプリケータグリップアセンブリ15の上面図が示されている。この例示的な構造では、折曲軸線55は、アプリケータグリップアセンブリ15の第1遠位端25及び第2遠位端35から等距離にあるものとして示されており、折曲軸線55で折り曲げることによって遠位端同士を合わせることにより、グリップハンドルを作り出すことができる。図2Bは、同様に長手方向軸線40に対して対称である構造を示すような、例示的なアプリケータグリップアセンブリ15の上面図である。この例示的な構造では、折曲軸線55は、アプリケータグリップアセンブリ15の第1遠位端25、25’及び第2遠位端35、35’から等距離にあるものとして示されており、折曲軸線55で折り曲げることによって遠位端同士を合わせることにより、複数のグリップハンドルを作り出すことができる。
【0041】
図3は、例示的なアプリケータグリップアセンブリ15の底面図であり、アプリケータグリップアセンブリ15の裏面50に結合されかつ折曲軸線55と重なっている軟質貯液部70が示されている。貯液部70は、軟質容器であってよく、少なくとも1mlの、例えば手術前処置用溶液などの流動性医療用液体を収容すべきである。軟質貯液部70は、折曲軸線55上に設けられた折曲げ作動式吐出スリットと液体連通する。
【0042】
ここで図4を参照すると、折り曲げられていない状態にある例示的なアプリケータグリップアセンブリ15の断面図が示されている。アプリケータヘッド65は、折曲軸線55においてアプリケータグリップアセンブリ15の表面45に結合されており、吐出スリットと液体連通する。アプリケータヘッド65は、流動性医療用液体を受容しかつ流動性医療用液体を被塗布面に放出するように適合された多孔性材料でできていることが望ましい。アプリケータヘッド65は、例えば、多孔性スポンジ材料、多孔性発泡体材料、多孔性オープンセル発泡体などの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料及び/または、多孔性オーセチック発泡体などの液体透過性オーセチック材料であり得る。
【0043】
アプリケータグリップアセンブリ15は、第1部分20の第1遠位端25の少なくとも一部の裏面50と、第2部分30の第2遠位端35の少なくとも一部の裏面50とを合わせるために、特定の詳細に関係なく図4中の矢印によって示されている方向に、折曲軸線55で折り曲げられる。これらの遠位端は、特定の詳細に関係なく図5A(例示的な、折り曲げられた状態にあるアプリケータグリップアセンブリ15の斜視図)に示されているように、所定のグリップ長さ「L」及び所定のグリップ幅「W」を有する1つのグリップハンドル75を画定する。図5Bは、使用者の手に握られているときの、例示的な医療用液体アプリケータシステムの、折り曲げられた状態にあるアプリケータグリップアセンブリ15を示している斜視図である。アプリケータグリップアセンブリの所定のグリップ長さは約7cm〜約20cmであり得、所定のグリップ幅は約2cm〜約10cmであり得る。例えば、アプリケータグリップアセンブリの所定のグリップ長さは約8cm〜約18cmであり得、所定のグリップ幅は約3cm〜約8cmであり得る。本発明の或る実施形態では、アプリケータグリップアセンブリの所定のグリップ長さは約9cm〜約16cmであり得、所定のグリップ幅は約4cm〜約6cmであり得る。医療用液体アプリケータシステムの全長は、所定のグリップ長さのグリップハンドルを含めて約15cm〜約35cmの範囲内にあることが望ましい。例えば、医療用液体アプリケータシステムの全長は、約20cm〜約30cmであり得る。
【0044】
図5Bから分かるように、折り曲げられたアプリケータグリップアセンブリにおいて貯液部70が結合される部分の幅80は、所定のグリップ幅「W」よりも大きい。より大きな幅は、より多量の医療用液体(例えば手術前処置用溶液など)を適所に保持するために必要な比較的大きな軟質貯液部に有用であり、そうすることにより、軟質貯液部70の少なくとも一部が折曲軸線55と重なる。幅80は、約3cm〜約15cmの範囲内にあり得る。幅80は、約5cm〜約11cmの範囲内にあり得ることが望ましい。グリップハンドルの所定のグリップ幅「W」は、アプリケータグリップアセンブリの幅80より小さいことが望ましいであろう。軟質貯液部70は、少なくとも約1ml〜約30mlの流動性医療用液体を収容することが望ましい。軟質貯液部70は、少なくとも約2ml〜約20mlの流動性医療用液体を収容することが、より望ましい。本発明の或る実施形態では、軟質貯液部70は、少なくとも約3ml〜約15mlの流動性医療用液体(例えば手術前処置用溶液)を収容する。より多量の液体が用いられるので、軟質貯液部のより大きな部分が折曲軸線55から離れたところに位置し得、軟質貯液部70の僅かな部分または相対的に狭小な部分が、折曲軸線及び吐出スリットと重なるチャネルを形成し得る。そのような構造によりアプリケータグリップアセンブリの折曲げが可能になり、ハンドル同士は、液体を吐出する初期段階中に、軟質貯液部に過量の圧力を印加することなく比較的近接して合わせられる。
【0045】
軟質貯液部に含まれ得る手術前処置用溶液の例には、例えば、よく使われている手術前処置用溶液体でありかつコネチカット州スタンフォードのパデュー・プロダクツ社(Purdue Products, L. P.)から入手可能なベタジン(登録商標)溶液(ポビドンヨード10%の水溶液)などのポビドンヨードベースの製剤が含まれるが、これに限定されるものではない。他の例には、例えばオハイオ州ダブリンのカーディナルヘルス社から入手可能なクローラ・プレップ(ChloraPrep)(登録商標)患者用術前皮膚前処置用溶液などのグルコン酸クロルヘキシジンベースの製剤が含まれる。
【0046】
言うまでもなく、他の医療用液体、ゲル、発泡体、皮膚用シーラント及び/または接着剤を医療用液体アプリケータシステムと併用することもできる。医療用液体アプリケータシステムの重要な側面は、液体を受容する皮膚または表面から望ましくは医療従事者の手を遠ざけると同時に、比較的多量の液体の、より満足のいく吐出を提供することである。本発明によれば、医療用液体アプリケータシステムのグリップハンドルは、液体を受容する皮膚または表面から使用者の手を少なくとも約6〜約10cmまたはそれ以上遠ざけることになる。この距離は通常、垂直距離である。医療用液体アプリケータシステムのグリップハンドルは、液体を受容する皮膚または表面から使用者の手を少なくとも約7または8〜約10cm遠ざけることになることが望ましい。別の態様は、医療従事者が、(より大きな体積から)より大きな重量の液体を収容しているアプリケータを適切に保持し、アプリケータを迅速に塗布及び操作することができるように、本発明が、グリップハンドルを提供することである。この点において、グリップハンドル、軟質貯液部及びアプリケータヘッドの組合せは、取扱いが容易で、液体を表面に塗布するのに適している一種の「ペンキ刷毛」または棒状道具として機能する。本発明の別の態様は、液体の量が多くなると、より大きなアプリケータヘッドを適切に飽和させるための液体分配の向上と、作動(すなわち折曲げ)中及び液体の初期塗布中にアプリケータヘッドを過度に飽和させることを回避するための計量の向上とが必要とされることである。
【0047】
図5C、図5D、図5Eは、折曲げ前及び折曲げ中のアプリケータグリップアセンブリ15の断面図である。これらの図から分かるように、アプリケータグリップアセンブリ15を折り曲げることにより、折曲げ作動式吐出スリット60を破裂させるかまたは別な方法で開き、それによって吐出開口95を画定することになる。アプリケータグリップアセンブリ15を折り曲げることで、吐出スリット60と液体連通している軟質貯液部70に圧力が印加され、流動性医療用液体85を、吐出開口95を通ってアプリケータヘッド65内へ押し進めることにもなる。
【0048】
アプリケータグリップアセンブリは、プラスチック、ボール紙、強化紙、金属及びそれらの組合せから選択される実質的に硬質の材料から形成される。様々な材料を用いることができ、材料の硬さは、確実な折曲げ及び吐出を提供するのに十分であるようにすべきである。すなわち、流動性液体の体積(及び重量)並びにアプリケータグリップアセンブリの大きさのため、材料は、軟質すぎることなく、液体を軟質貯液部からアプリケータヘッド内へ押し進めるかまたはオス込むように圧力を印加するのに十分に硬くなくてはならない。アプリケータグリップアセンブリの材料が軟質すぎれば、満足のいく吐出のための適切な圧力を生じさせることが難しくなる。アプリケータグリップアセンブリは、物品を強固にするために、補強リブまたは他の機構を含み得る。折曲軸線55を取り巻いているアプリケータグリップアセンブリの部分は、グリップアセンブリを折り曲げるのに必要な力を小さくするために、任意の任意選択の補強機構のうちの一部または全部がないことが望ましい場合がある。
【0049】
本発明の或る態様では、アプリケータグリップアセンブリの第1及び/または第2部分の少なくとも一方は、長手方向軸線に沿って凹状の曲線をなす断面を有し得る。すなわち、アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方は、折曲軸線55から当該部分の遠位端まで延在する軸線方向に湾曲し、それによって、遠位端同士を合わせる効果を増幅し、アプリケータグリップアセンブリを形成するために用いられる材料に存在し得る少なくともある程度の柔軟性を埋め合わせることができる。図6を参照すると、折り曲げられている状態にあり、グリップアセンブリ15の第1部分20及び第2部分30がそれぞれ概ね平坦で平面的な断面構造を有するような、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の断面図が示されている。
【0050】
図7Aは、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の断面図であり、ここで、グリップアセンブリ15は、折り曲げられていない状態にあるときに、長手方向軸線40全体に沿って概ね凹状の曲線をなす断面を有する。すなわち、折曲軸線55で分けられているグリップアセンブリ15の第1部分20及び第2部分30は、それぞれ概ね凹状の曲線をなす断面構造を有し得る。使用中、第1遠位端25及び第2遠位端35は、図中の矢印の方向に折り畳まれる。図7Bは、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の断面図であり、ここで、グリップアセンブリ15は、折り曲げられていない状態にあるときに、長手方向軸線40の一部のみに沿って概ね凹状の曲線をなす断面を有する。すなわち、グリップアセンブリの第1部分20は概ね平らな断面を有し、折曲軸線55で分けられているグリップアセンブリ15の第2部分30は概ね凹状の曲線をなす断面を有する。使用中、第1遠位端25及び第2遠位端35は、図中の矢印の方向に折り畳まれる。言うまでもなく、鏡像構造も考えられる。すなわち、グリップアセンブリの第1部分20が概ね凹状の曲線をなす断面を有するようにし、グリップアセンブリ15の第2部分30が概ね平らな断面を有するようにしてもよい。図7Cは、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の断面図であり、ここで、折り曲げられている状態にある間に、グリップアセンブリの第1部分20は概ね平らな断面を有し、折曲軸線55で分けられているグリップアセンブリ15の第2部分30は概ね凹状の曲線をなす断面を有する。そのような凹形構造が用いられるときには、アプリケータアセンブリの少なくとも一部の材料は、凹形構造が用いられないときにアプリケータグリップアセンブリを構築するために用いられる材料よりも、僅かに大きな柔軟性を有し得ることが考えられる。
【0051】
図8Aは、アプリケータグリップアセンブリ15を片手で折り曲げることを可能にする折曲補助機構100を含む例示的な医療用液体アプリケータシステム10の実施形態の上面図である。折曲補助機構100は、特定の詳細に関係なく図8Aに示されているような、アプリケータグリップアセンブリによって画定される1若しくは複数の開口部105(例えば1対の指穴)であり得る。例えば、アプリケータグリップアセンブリ15の第1部分20内及び第2部分30内に指用開口部105が画定され得る。医療用液体アプリケータシステム10を作動させるようにアプリケータグリップアセンブリ15を折り曲げるために、使用者は、各開口部105に指を挿入し、アプリケータグリップアセンブリ15の第1部分20及び第2部分30を一緒につまむかまたは圧迫する。特定の詳細に関係なく図8Bに示されているように親指及び人差し指が用いられ得ることが望ましいが、他の指の組合せのための他の構造も考えられる。指用開口部は、折曲補助機構100の一実施形態でしかない。アプリケータグリップアセンブリの第1及び第2の各部分に取り付けられかつ/または各部分から延出するループ状の材料、布帛または糸状体;アプリケータグリップアセンブリの一部内に形成されかつ/またはアプリケータグリップアセンブリの一部をなすノッチまたは溝;アプリケータグリップアセンブリ内に形成されかつ/またはアプリケータグリップアセンブリに結合された容器またはポケット;及び同様のものを含む他の構造が考えられるが、これらに限定されるものではない。これらの構造の組合せを用いることもできる。
【0052】
本発明の或る態様では、第1部分の第1遠位端の裏面と第2部分の第2遠位端の裏面との完全な接触に対する抵抗を増大させるように、アプリケータグリップアセンブリの第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方が、長手方向軸線に沿って少なくとも1つの耐圧力性ストッパを有していてもよい。耐圧力性ストッパは、アプリケータグリップアセンブリ内に形成されるかまたは多孔性アプリケータグリップアセンブリに取り付けられた押しつぶせる構成要素であってよい。一般的に言えば、アプリケータを飽和させるように作動させたときに、使用者が貯液部から所定量の医療用液体を放出するように、抵抗を設定することができる。当該初期量の液体が吐出された後、使用者は、耐圧力性ストッパによって提供される抵抗に対抗するように、アプリケータグリップアセンブリ内に形成されたシェルまたは気泡を押しつぶしたり、或る構成要素を折り曲げ、曲げたり、押しつぶせる発泡体(例えば押しつぶせるフォームタイプ耳栓に用いられる発泡体など)を圧迫したりするなど、追加の圧力を印加する必要がある。
【0053】
ここで図9Aないし図9Cを参照すると、アプリケータグリップアセンブリ15の第1部分20の遠位端25に取り付けられている第1ストッパ115及び第2部分30の遠位端35に取り付けられている第2ストッパ120の形で耐圧力性ストッパ110を取り入れている、例示的な医療用液体アプリケータシステム10の断面図が示されている。図9Aに示すように、第1ストッパ115は、第2ストッパ120と接触して抵抗を提供する。ストッパ115及び120の寸法及び位置は、初期量の液体が吐出された後にグリップハンドルを圧迫する使用者から軟質貯液部70に印加される圧力に抵抗を提供するように構成されている。第1部分20及び第2部分30をより近付けてより多くの液体を軟質貯液部70から吐出するように、より多くの圧力が印加されると、第1ストッパ115及び第2ストッパ120のうちの一方または両方がへこみ、特定の詳細に関係なく図9Bに示されているように追加の液体が軟質貯液部から吐出されることになる。各ストッパ(または唯1つのストッパ)は、1つの崩壊圧または1つのステージまたは1つの抵抗レベルを有するように設計されることができ、あるいは、複数の崩壊圧または複数のステージまたは複数の抵抗レベルを有するように設計されることができる。複数のストッパをアプリケータグリップアセンブリの長手方向軸線に沿って連続して配置するか、または1つのストッパをアプリケータグリップアセンブリ上の1つの位置に配置することができる。ストッパは、アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分のうちの一方または両方に結合され得る。追加の圧力が印加されると、第1ストッパ115及び第2ストッパ120のうちの一方または両方が再びへこみ、特定の詳細に関係なく図9Cに示されているようにさらに多くの液体が軟質貯液部から吐出されることになる。
【0054】
ここで図10Aを参照すると、均一かつ平面的な断面を有する例示的な多孔性かつ液体透過性のアプリケータヘッド130の断面図が示されている。典型的な使用法では、アプリケータヘッド130はアプリケータグリップアセンブリの折曲軸線55に沿って折り曲げられる。折曲軸線55のそれぞれの側でアプリケータヘッド130がアプリケータグリップアセンブリに接着されているので、アプリケータヘッド130を折り曲げると、特定の詳細に関係なく図10Bに示されているように折曲軸線55において多孔性かつ液体透過性の材料を圧縮する傾向がある。この現象は、アプリケータヘッド130内への液体の流れ及びアプリケータヘッド130を通過する液体の流れを減少させるかまたは阻害する傾向にある。これは、アプリケータヘッド130の厚さが増加するときに(例えばアプリケータヘッドの高さがZ軸線方向に増加するときに)特に顕著である。本発明の或る態様では、特定の詳細に関係なく図11A及び図12Aの断面図に示されているように、アプリケータヘッド130は、図11B及び図12Bの断面図に示されているように、アプリケータグリップアセンブリに取り付けられているアプリケータヘッドが折り曲げられていない状態のときには折曲軸線55において概ね非平面的な断面輪郭形状135を有し得、アプリケータグリップアセンブリに取り付けられているアプリケータヘッドが折り曲げられているときには折曲軸線55において概ね平面的な断面輪郭形状140を有し得る。この説明及び図から理解されるように、アプリケータヘッドにおける折曲軸線55の部分は、該折曲軸線に隣接する部分と比較して相対的に薄いので、アプリケータヘッドの形状は、平面的なグリップアセンブリが折曲軸線で折り曲げられたときに、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、アプリケータヘッドの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることを可能にする。
【0055】
アプリケータヘッド130の材料は、平面的なグリップアセンブリが折曲軸線で折り曲げられたときに、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、アプリケータヘッドの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることができることも考えられる。例えば、アプリケータヘッドは、オーセチック発泡体などのオーセチック材料で製造されてもよいし、あるいはオーセチック材料を含んでいてもよい。そのような発泡体は、標準的なオープンセル発泡体(例えばポリウレタン発泡体)を加熱し、それを高温で3次元全てにおいて圧縮することによって製造され得る。発泡体はその後、圧縮下で冷却される。理論にとらわれることなく、そのような処理は、発泡体を、発泡体セルを画定するリブ/壁が内向きに曲げられて凹状セル構造を形成する発泡体に変えると考えられている。そのような凹状発泡体を長手方向に広げると、横方向にも広がる(すなわち、そのような発泡体はオーセチック材料である)。このタイプのオーセチック材料は米国特許第4,668,557号明細書(特許文献14)に記載されており、そのような材料の規模を拡大した製造工程は、PCT公開第WO1999025530 A1号公報(特許文献15)に記載されている。
【0056】
図13Aを参照すると、液体分配層150は、アプリケータグリップアセンブリ15とアプリケータヘッド130との間に配置され得るので、軟質貯液部からの液体は、アプリケータヘッド130上により均一に存在し得る。例えば、アプリケータグリップアセンブリ15とアプリケータヘッド130の間に配置されている液体分配層は、不織液体分配材料であり得る。例示的な不織液体分配材料は、キンバリークラーク・コーポレーションから入手可能な低坪量スパンボンドポリオレフィン材料、またはキンバリークラーク・コーポレーションから入手可能な水流絡合不織構造または複合不織構造であり得る。例として、米国特許第5,284,703号明細書(特許文献16)及び米国特許第5,427,845号明細書(特許文献17)に記載されている材料が含まれる。これらの材料は、液体分配層150が容易に曲がり得るように、非常に低い密度及び非常に低いレベルの結合を有することができ、特定の詳細に関係なく図13Bに示されているようにアプリケータヘッド130が多孔性を残しかつ非圧縮状態のままであるように、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられたときに変形することが望ましい。
【0057】
図13Cは、第1部分20の第1遠位端25の裏面50及び第2部分30の第2遠位端35の裏面50にある締結システム500を強調している医療用液体アプリケータシステムの或る態様の断面図を示している。締結システム500は、第1遠位端25及び第2遠位端35が合わさるときに遠位端同士を係合し、特定の詳細に関係なく図13D(アプリケータグリップアセンブリ15の斜視図)に示されているようにグリップハンドル75を画定するように構成されている。締結システム500は、機械的締結システムであり得る。例示的な機械的締結システムには、フックアンドループ締結システム(例えば、ベルクロ(登録商標)という名称で入手可能な機械的締結システム);スナップ留め具;遠位端内に形成またはエンボス処理されたオスメスの要素などのインタロック留め具;磁気留め具;ループ状のプラスチック、布帛または他の材料;ゴムバンドまたは他の弾性留め具;あるいはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの締結システム500を、第1遠位端25及び/または第2遠位端35の平面的な表面を超えて延出するように構成し、グリップハンドルを握る手がグリップハンドルの遠位端からすり抜けないようにするのに役立つグリップストップ、グリップノブまたは他の類似の機構を提供することができる。
【0058】
ここで図14Aないし図14Cを参照すると、医療用液体アプリケータシステムは、アプリケータヘッド130の有効表面積を増加させるために、スペーサ部分160をさらに含み得る。図14Aは、スペーサ部分160を示しているアプリケータグリップアセンブリ15の上面図である。図14Bは、スペーサ部分160を示しているアプリケータグリップアセンブリ15の斜視図である。図14Cは、スペーサ部分160を示しているアプリケータグリップアセンブリ15の断面図である。スペーサ部分160は、アプリケータグリップアセンブリ15の第1部分20と第2部分30の中間にある。すなわち、第1折曲軸線55は第1部分20とスペーサ部分160の間にあり、第2折曲軸線55’は第2部分30とスペーサ部分160の間にある。折曲軸線55及び55’はそれぞれ、長手方向軸線40に垂直である。図14Aないし図14Cに示すように、スペーサ部分160は、第1部分20及び/または第2部分30の長さ(アプリケータグリップアセンブリ15の長手方向軸線40に沿って測定される長さ)よりもずっと短い長さ(アプリケータグリップアセンブリ15の長手方向軸線40に沿って測定される長さ)を有する。本発明によれば、複数の折曲軸線うちの少なくとも1つの折曲軸線上に、少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリット60が配置される。
【0059】
この構造により、アプリケータグリップアセンブリ15は、各折曲軸線55及び55’で折り曲げられて、グリップハンドル75を画定する。アプリケータグリップアセンブリ15を折り曲げると、少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリットを破裂させることになり、それによって少なくとも1つの吐出開口を画定することになり、また、吐出スリットと液体連通している軟質貯液部構成要素に圧力を印加して、流動性医療用液体を、吐出開口を通ってアプリケータヘッド内へ押し進めることにもなる。
【0060】
本発明には、単回使用使い捨ての手持型折曲式液体ディスペンサのためのアプリケータヘッドアセンブリも含まれる。概括的に図15A、図15B、図16A、図16B、図17A、図17B、図18A、図18B、図18Cを参照すると、アプリケータヘッドアセンブリ200には、アプリケータグリップアセンブリ215の第1部分220及び第2部分230を結合している少なくとも1つの折曲軸線255に跨って配置された多孔性アプリケータヘッド265と、アプリケータグリップアセンブリ215の多孔性アプリケータヘッド265及び液体貯液部270と液体連通する液体分配部300とが含まれている。
【0061】
アプリケータグリップアセンブリ215は、第1部分220及び第2部分230が折曲軸線255で折り曲げられることによって軟質液体貯液部270からの液体の吐出を開始するタイプである。液体分配部300は、アプリケータグリップアセンブリ215と多孔性アプリケータヘッド265との間にあり、さらに、アプリケータグリップアセンブリの第1部分220及び第2部分230を結合している折曲軸線、または複数の折曲軸線がある場合には少なくとも1つの折曲軸線に跨って配置されている。本発明によれば、アプリケータグリップアセンブリを折り曲げることにより、液体分配部300を作り出すかまたは液体分配部300を変更するようにした。
【0062】
図15Aの斜視図に示されているように、液体分配部300は、押しつぶせるか、伸縮可能であるか、そうでなければ壊れやすい材料305であってよく、第1エッジ310、第2エッジ315及び内部320を有する。材料305は、例えば、低い密度及び非常に低レベルの結合を有する非常に弱い多孔性発泡体材料または不織材料層であり得る。材料305は、アプリケータグリップアセンブリ215が折り曲げられていない状態にあるときにコヒーレント構造を有するべきである。材料305は、アプリケータグリップアセンブリ215及び多孔性アプリケータヘッド265に接着または結合されており、折曲軸線255と重なっている。図15Bを参照すると、アプリケータグリップアセンブリを折曲軸線255で折り曲げると、折曲げの結果として多孔性アプリケータヘッド265の変形が比較的小さいように、液体分配部305の少なくとも第1エッジ310及び/または第2エッジ315が伸びるかまたは広がることが望ましいことが、斜視図で示されている。本発明によれば、材料305は、アプリケータグリップアセンブリ215を折り曲げることによって生じる力を吸収し、変形または変更されるので、多孔性アプリケータヘッド265は、比較的そのままの状態を保つことができ、このことは、アプリケータヘッドの多孔性、非圧縮性を維持し、同様にアプリケータグリップアセンブリ215を折り曲げることによって仮に多孔性アプリケータヘッド265が変形されたとした場合に期待される吐出よりも満足のいく吐出を提供するのに役立つ。代替的及び/または追加的に、アプリケータグリップアセンブリ215の吐出開口と多孔性アプリケータヘッド265との間で液体分配チャネル320を画定するように材料305を分離するために、アプリケータグリップアセンブリ215の第1部分220または第2部分220のエッジは、伸びるかまたは別な方法で広がることができる。液体分配チャネル320は、一般に、多孔性アプリケータヘッド265上への液体の分配を強化すると考えられる。
【0063】
図16Aに示されている斜視図を参照すると、アプリケータヘッドアセンブリ200の別の態様が示されており、ここで、液体分配部300は、吐出スリット260で多孔性アプリケータヘッド265内に画定されかつ吐出スリット260に概ね平行な空洞部またはチャネル330であり得る。多孔性アプリケータヘッド265は、空洞部またはチャネル330が折曲軸線255と重なるようにアプリケータグリップアセンブリ215に接着または結合されている。図16Bを参照すると、アプリケータグリップアセンブリを折曲軸線255で折り曲げることにより、折曲げの結果として空洞部またはチャネルが変更されるように多孔性アプリケータヘッド265が空洞部またはチャネル330を少なくとも部分的に塞ぐかまたは埋めるようにして、多孔性アプリケータヘッドが伸びるかまたは広がることが望ましいことが、斜視図に示されている。本発明によれば、空洞部またはチャネル330の変更は、アプリケータグリップアセンブリ215の折曲げによって生じる多孔性アプリケータヘッド365の材料の変位を許容し、圧縮または圧密化は比較的小さいので、多孔性アプリケータヘッド265が比較的そのままの状態を保つことができ、このことが、アプリケータヘッドの多孔性を維持しかつ、より満足のいく吐出を提供するのに役立つ。
【0064】
図17Aを参照すると、アプリケータヘッドアセンブリ200の別の態様が斜視図で示されており、ここで、液体分配部300は、折曲軸線255に位置する吐出スリットにおいて、多孔性アプリケータヘッド265の過剰な材料を一団にするかまたは寄せ集めて、材料を圧縮するかまたは吐出スリットの平面及び折り曲げられていない状態にあるアプリケータグリップアセンブリ215に概ね垂直な方向に上向きに延出するひだを作るかいずれかによって画定される空洞部またはチャネル330であってよい。多孔性アプリケータヘッド265は、折曲軸線255と重なっている空洞部またはチャネル330を作り出すような方法で、アプリケータグリップアセンブリ215に接着または結合される。図17Bを参照すると、アプリケータグリップアセンブリを折曲軸線255で折り曲げることにより、折曲げの結果として空洞部またはチャネルが変更されるように空洞部またはチャネル330を少なくとも部分的に塞ぐかまたは埋めるような方法で、多孔性アプリケータヘッド265の過剰な材料を移動させることが望ましいことが、斜視図に示されている。本発明によれば、アプリケータグリップアセンブリ215を折り曲げることによって生じる多孔性アプリケータヘッド365の過剰な材料の変位による多孔性アプリケータヘッド265の圧縮または圧密化は比較的小さいので、多孔性アプリケータヘッド265は比較的そのままの状態を保つことができ、このことが、アプリケータヘッドの多孔性を維持しかつ、より満足のいく吐出を提供するのに役立つ。
【0065】
概括的に図18A、図18B、図18Cを参照すると、アプリケータグリップアセンブリ215を折曲軸線255で折り曲げると、波形または凹凸の構造410を有するアプリケータグリップアセンブリ215の第1部分220及び/または第2部分230の少なくとも1つのエッジ405を露出し、それによって、アプリケータグリップアセンブリ215とアプリケータグリップアセンブリ215に波形部または凹凸部の上に直接取り付けられている多孔性アプリケータヘッド(図示せず)との間に液体分配チャネル415を画定することになるように、折曲軸線255においてアプリケータグリップアセンブリ215に波形部または凹凸(エンボス)部400が形成され得ることが斜視図に示されている。
【0066】
図19A、図19B、図19Cを参照すると、アプリケータグリップアセンブリ215は、折曲軸線255の片側または両側において、アプリケータグリップアセンブリの裏面250に取り付けられた少なくとも1つのセパレータ450を有し得ることが、斜視図に示されている。セパレータ450は、軟質貯液部270内にあってよく、より望ましくは、折曲軸線255に非常に近接して、かつ軟質貯液部270の邪魔にならないように配置されることができる。アプリケータグリップアセンブリ215を折曲軸線255で折り曲げると、アプリケータグリップアセンブリ215の第1部分220または第2部分230のうちの少なくとも一方の裏面250に取り付けられているセパレータ450が、互いに接触する。アプリケータグリップアセンブリの各部分に、より多くの圧力が加えられるので、これらの部分は、アプリケータグリップアセンブリ215と多孔性アプリケータヘッド(図示せず)との間に液体分配チャネル460を画定するべく、折曲軸線255で分離してアプリケータグリップアセンブリの第1部分220と第2部分230とを切り離すことが望ましい。これらのセパレータ450は、液体の流れを促進するために、アプリケータグリップアセンブリの裏面に沿って互いから離れているべきであり、連続的であるべきではない。
【0067】
アプリケータヘッドアセンブリの他の態様では、アプリケータヘッドアセンブリのアプリケータヘッドは、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられていないときには折曲軸線において概ね非平面的な断面輪郭形状を有し得、アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられているときには折曲軸線において概ね平面的な断面輪郭形状を有し得る。アプリケータヘッドアセンブリのアプリケータヘッドは、平面的なグリップアセンブリが折曲軸線で折り曲げられたときに、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、アプリケータヘッドの多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることができることが考えられる。
【0068】
本発明のこれら及びその他の機能及び利点は、添付の図面を考慮して、以下の説明及び請求項に記載されている内容を読めば、当業者にとってより明らかになるであろう。
【0069】
本明細書において本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、変形及び変更をなすことができることは、当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単回使用使い捨ての手持型医療用液体アプリケータシステムであって、
第1遠位端を有する第1部分、第2遠位端を有する第2部分、長手方向軸線、表面、裏面、所定のグリップ長さ、所定のグリップ幅、前記第1部分と前記第2部分との境界をなしかつ前記長手方向軸線に垂直な折曲軸線及び、該折曲軸線上に設けられかつ折り曲げられたとき開口する折曲げ作動式吐出スリットを有する、実質的に硬質、平坦かつ平面的であるアプリケータグリップアセンブリと、
前記アプリケータグリップアセンブリの前記裏面に結合された軟質容器からなり、少なくとも1mlの流動性医療用液体を収容し、かつ前記折曲げ作動式吐出スリットと液体連通する軟質貯液部と、
前記折曲軸線において前記アプリケータグリップアセンブリの前記表面に結合されており、前記吐出スリットと液体連通し、前記流動性医療用液体を受容するようにかつ前記流動性医療用液体を被塗布面に放出するように適合された多孔性材料からなるアプリケータヘッドとを含み、
前記アプリケータグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられることにより、前記第1部分の前記第1遠位端の少なくとも一部の前記裏面と前記第2部分の前記第2遠位端の少なくとも一部の前記裏面とが合わさり、前記所定のグリップ長さ及び前記所定のグリップ幅を有するグリップハンドルが画定されるように適合されており、さらに、前記折曲げ作動式吐出スリットを破裂させ、それによって吐出開口を画定し、かつ前記吐出スリットと液体連通している前記軟質貯液部に圧力を印加し、それによって、前記流動性医療用液体を、前記吐出開口を通って前記アプリケータヘッド内へ押し進めるように適合されていることを特徴とするアプリケータシステム。
【請求項2】
前記アプリケータグリップアセンブリが、プラスチック、ボール紙、強化紙、金属及びそれらの組合せから選択される実質的に硬質の材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項3】
前記所定のグリップ長さが約7cmないし約20cmであり、前記所定のグリップ幅が約2cmないし約10cmであることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項4】
前記軟質貯液部の少なくとも一部が、前記折曲軸線と重なっていることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項5】
前記軟質貯液部が、少なくとも約1mlないし約30mlの前記流動性医療用液体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項6】
前記折曲軸線が、前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1遠位端及び前記第2遠位端から等距離にあり、前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分のうちの少なくとも一方が、グリップエンハンサーまたは折曲補助機構を含むことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項7】
前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記長手方向軸線に沿って凹状の曲線をなす断面を有することを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項8】
前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記第1部分の前記第1遠位端の前記裏面と前記第2部分の前記第2遠位端の前記裏面との完全な接触を阻止するために、前記長手方向軸線に沿って少なくとも1つの耐圧力性ストッパを有することを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項9】
前記軟質貯液部と前記アプリケータヘッドとの間に配置された液体分配層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項10】
前記第1遠位端と前記第2遠位端とを合わせてグリップハンドルを画定するときに前記両遠位端を係合するための締結システムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項11】
前記アプリケータヘッドが、多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料であることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項12】
前記アプリケータヘッドが、前記アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられていない状態のときには前記折曲軸線において概ね非平面的な断面輪郭形状を有し、前記アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられているときには前記折曲軸線において概ね平面的な断面輪郭形状を有するようにしたことを特徴とする請求項11に記載のアプリケータシステム。
【請求項13】
前記アプリケータヘッドの形状が、前記平面的なグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられたときに、前記多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、前記アプリケータヘッドの前記多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることを可能にする形状であることを特徴とする請求項11に記載のアプリケータシステム。
【請求項14】
前記アプリケータグリップアセンブリの第1部分と第2部分の中間にあり、前記第1部分及び前記第2部分よりもずっと短い長さを有するスペーサ部分と、
前記第1部分と前記スペーサ部分の間にあり、前記長手方向軸線に垂直な第1折曲軸線及び、前記第2部分と前記スペーサ部分の間にあり、前記長手方向軸線に垂直な第2折曲軸線と、
少なくとも1つの折曲軸線上に位置する少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリットとをさらに含み、
前記アプリケータグリップアセンブリが、各折曲軸線で折り曲げられることにより、グリップハンドルを画定するように適合されており、さらに、前記少なくとも1つの折曲げ作動式吐出スリットを破裂させ、それによって少なくとも1つの吐出開口を画定し、かつ前記吐出スリットと液体連通している前記軟質貯液部構成要素に圧力を印加し、それによって、前記流動性医療用液体を、前記吐出開口を通って前記アプリケータヘッド内へ押し進めるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータシステム。
【請求項15】
単回使用使い捨ての手持型折曲式液体ディスペンサのためのアプリケータヘッドアセンブリであって、
アプリケータグリップアセンブリの第1部分及び第2部分を結合している少なくとも1つの折曲軸線に跨って配置された多孔性アプリケータヘッドと、
前記アプリケータグリップアセンブリの前記多孔性アプリケータヘッド及び前記液体貯液部と連通し、前記アプリケータグリップアセンブリと前記多孔性アプリケータヘッドとの間に位置し、前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分及び前記第2部分を結合している前記少なくとも1つの折曲軸線に跨って配置された液体分配部とを含み、
前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分及び前記第2部分が前記折曲軸線で折り曲げられることにより、液体貯液部からの液体の吐出が開始されるようにし、
前記アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられることにより、前記液体分配部を作り出すかまたは変更するようにしたことを特徴とするアプリケータヘッドアセンブリ。
【請求項16】
前記アプリケータグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられることにより、波形構造を有する前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分の少なくとも1つのエッジが露出され、それによって前記アプリケータアセンブリと前記多孔性アプリケータヘッドとの間に液体分配チャネルを画定するようにしたことを特徴とする請求項15に記載のアプリケータヘッドアセンブリ。
【請求項17】
前記アプリケータグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられることにより、前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分の少なくとも1つのエッジが、押しつぶせるかまたは壊れやすい材料を押しつぶすかまたは分離させ、それによって、前記アプリケータアセンブリと前記多孔性アプリケータヘッドとの間に液体分配チャネルを画定するようにしたことを特徴とする請求項15に記載のアプリケータヘッドアセンブリ。
【請求項18】
前記アプリケータグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられることにより、アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分または前記第2部分のうちの少なくとも一方の裏面に取り付けられたセパレータが、前記アプリケータグリップアセンブリの前記第1部分と前記第2部分とを互いに分離し、それによって、前記アプリケータアセンブリと前記多孔性アプリケータヘッドとの間に液体分配チャネルを画定するようにしたことを特徴とする請求項15に記載のアプリケータヘッドアセンブリ。
【請求項19】
前記アプリケータヘッドが、前記アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられていないときには前記折曲軸線において概ね非平面的な断面輪郭形状を有し、前記アプリケータグリップアセンブリが折り曲げられているときには前記折曲軸線において概ね平面的な断面輪郭形状を有することを特徴とする請求項15に記載のアプリケータヘッドアセンブリ。
【請求項20】
前記アプリケータヘッドの前記形状が、前記平面的なグリップアセンブリが前記折曲軸線で折り曲げられたときに、前記多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の前記密度に実質的な変化が生じないようにしつつ、前記アプリケータヘッドの前記多孔性、液体透過性及び通気性を有する材料の位置を変えることができる形状であることを特徴とする請求項19に記載のアプリケータヘッドアセンブリ。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図13D】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図19C】
image rotate


【公表番号】特表2012−513810(P2012−513810A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542954(P2011−542954)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055674
【国際公開番号】WO2010/076718
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】