説明

医療装置のための生体適合性ポリマー

本発明は、請求項および明細書中で定義された式(I)の化合物に由来する繰り返し単位を少なくとも1つ含む、新しい種類の生体適合性ポリマーに関する。これらのポリマーは、生分解性および生体吸収性でありうるが、これらに限定されるものではなく、放射線−不透過性に適合しうるものであり、医療装置用途および制御放出治療製剤にとって有用である。したがって、これらのポリマー、およびこれらから作成される医療装置を製造する方法もまた、この開示に包含される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2009年7月31日に出願された米国特許仮出願第61/230,558号に対して米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものであり、当該出願は、すべての目的で全体として参照により本明細書中に援用される。
【0002】
<連邦政府による委託研究に関する報告>
本明細書中に記載された発明は、全体または一部において、国立衛生研究所からの助成金(助成番号EB001046)による支援を受けた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
<発明の分野>
本発明は、新規な生分解性および生体吸収性ポリマーならびにコポリマーを形成するために重合されうる、新しい種類の単量体化合物に関する。これらのポリマーおよびコポリマーは、特に限定されないが、放射線不透過性に適合しうるものであり、医療装置用途および制御放出治療製剤に有用である。
【0004】
本発明は、移植可能な医療装置における使用に適する新しい生体適合性ポリマー、およびこのようなポリマーのためのモノマーにも関する。特に、本発明は、ヒトの体内で自然発生すると共に、調製されるポリマーに対し、合成、加工および材料特性に有益な寄与をもたらす化合物のモノマー類縁体を重合して得られたポリマーに関する。
【0005】
<発明の背景>
ジフェノール化合物は、ポリカーボネート、ポリアミノ−カーボネート、ポリアリレート等の出発物質となる単量体である。共有に係る米国特許第5,099,060号には、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸およびL−チロシンアルキルエステル(デスアミノチロシル−チロシンアルキルエステル)に基づくジフェノールモノマーが開示されている。これに続く関連特許は、米国特許公開第2006/0034769号に記載の3,5−ジ−ヨードデスアミノチロシル−チロシンエステル(IDTX、ここで、Xはエステル基であり、例えば、Eはエチル、Hはヘキシル、Oはオクチル等である)といった、ハロゲン化された放射線不透過性のジフェノールモノマーを含む、基本的なモノマー構造の変種に関するものである。双方の公報の開示は、参照により援用される。さまざまな生体工学用途に適した他のポリマーの例としては、米国特許第5,665,831号;米国特許第5,916,998号および米国特許第6,475,477号に記載のポリマー、ならびに米国特許公開第2006/0024266号に記載のポリマーが挙げられ、これらすべての文献の開示もまた、参照により援用される。
【0006】
これらのモノマーは、多くの医療移植用途に適したポリマーの合成において有用であるが、生体工学の分野の急速な進化により、物理的および機械的性質のさまざまな選択肢を提示する、異なったタイプのポリマーの種々のライブラリが求められるようになってきている。特定のポリマーの特性を、開発中の特定用途に求められる必要条件に対し、最適に適合させることが可能となるように、多くの異なる材料のライブラリが利用可能となることが求められている。
【発明の概要】
【0007】
<発明の概要>
本発明は、これらのニーズに対応するものである。様々な実施形態によれば、新規なモノマーから派生したポリマー組成物、このような組成物を含む医療装置、ならびにこのようなポリマー組成物および医療装置をを使用する方法が提供される。
【0008】
新しい種類の単量体化合物が提供され、この単量体化合物は、新規なポリマーおよびコポリマーを形成するために重合されうるが、これらに限定されるものではなく、放射線−不透過性に適しうるものであり、さらに、医療装置用途および放出制御治療製剤に有用であるが、これらに限定されるものではない。特に、本発明は新規な種類のモノマーを提案するものであり、このモノマーは、ヒトの体内で自然発生する化合物の類縁体である、芳香族繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するポリマーおよびコポリマーを形成するために重合される。
【0009】
本発明の一形態によれば、式(I)の構造を有する新規なモノマーが提供される:
【0010】
【化1】

【0011】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
左方のフェニル環上の−Xおよび−OH基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある。
【0012】
本発明の一形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0013】
【化2】

【0014】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【0015】
【化3】

【0016】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIa)の第2繰り返し単位:
【0017】
【化4】

【0018】
式中:
およびXは独立してO、SおよびNRからなる群から選択され、ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択され;
Arはハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0019】
【化5】

【0020】
からなる群から選択され;
は置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択される;
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0021】
本発明の他の形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0022】
【化6】

【0023】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【0024】
【化7】

【0025】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキ、;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIIa)の第2繰り返し単位:
【0026】
【化8】

【0027】
式中:
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0028】
【化9】

【0029】
からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
はカルボニル基である;
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0030】
本発明の他の形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0031】
【化10】

【0032】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IVa)の第2繰り返し単位:
【0033】
【化11】

【0034】
式中:
fは0または1であり;
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロ−メチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0035】
【化12】

【0036】
からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
Bはカルボキシ基および
【0037】
【化13】

【0038】
(ここで、Bは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群から選択されるか、または、
【0039】
【化14】

【0040】
がキャップマクロマー(capped macromer)構造を示すように、B、X、X、XおよびXが選択される)
の構造を有する基からなる群から選択され;
はそれぞれ独立して
【0041】
【化15】

【0042】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択される;
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0043】
本発明の他の形態によれば、本明細書中に開示された、多様な吸収性医療装置または他の移植可能な装置を製造において、好適に用いられるポリマーを含む医療装置が提供される。装置の代表的な実施形態としては、ステント、ディスク、プラグ、縫合糸、ステープル、クリップ、外科用接着剤、ネジ、アンカー等が挙げられる。これらの装置や、他の類似した移植可能な医療装置は、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり、多様な生体吸収の時間を有している。この目的を達成するために、このポリマーは、吸収性であり、移植可能であると共に、治療剤を伴う装置、および伴わない装置における使用や、他の医療システムにおいて、治療剤を伴う装置部品および/または被膜、および伴わない装置部品および/または被膜における使用に対してさらに適したものであってもよい。
【0044】
本明細書中に開示されたポリマーから有利に形成することが可能であり、有用な医療装置の代表的な実施形態としての機能を果たす、他の吸収性装置としては、本明細書中で考察されるような、組織工学に用いられる装置、歯科用途に用いられる装置、腫瘍や血管奇形を治療するための一時的および治療的な血液供給の制限または阻害のための塞栓術用製品、および放出制御治療剤の運搬装置(delivery devices)が挙げられる。
【0045】
本発明の他の形態によれば、本発明の医療装置としての実施形態によるステントを、身体の内腔内に配置することにより身体の内腔の治療方法が提供される。上記に基づいて、本明細書中において、本発明の化合物、モノマー、およびポリマーのさらに他の実施形態が考察されると共に、本発明の他の実施形態は、当業者にとって明確となるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<発明の詳細な説明>
新しい種類の化合物、モノマー、芳香族化合物の少なくとも1以上の反復可能な単位から重合されるポリマーおよびコポリマーが提供され、芳香族化合物としては、ヒトの体内で自然発生する化合物および化合物類縁体が挙げられる。
【0047】
[略語および名称]
以下の項は、本明細書中で使用されるさまざまな用語の定義を与えるものである。
【0048】
本明細書中、「マクロマー」、「マクロマー(性)の」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがって前記マクロマーが他のモノマーと共重合しうるように選択される末端基で官能基化されたオリゴマーおよびポリマー材料を指して用いられうる。広範な様々なマクロマーおよびこれらを作製する方法は当業者に公知である。好適なマクロマーの例としては、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸マクロマー、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸マクロマー、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)マクロマー、ヒドロキシエンドキャップポリカプロラクトンマクロマー、ポリ(アルキレンジオール)マクロマー、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンオキシド)マクロマー、およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンマクロマーが挙げられる。
【0049】
本明細書中、「ポリマー」、「ポリマーの」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがって単独重合体、共重合体(例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)およびこれらの混合物を指して用いられうる。
【0050】
「熱転移温度(thermal transition temperature)」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって1次熱転移および2次熱転移の両方を意味して用いられうる。ポリマーまたはその相の1次熱転移は、本明細書中で「融点」または「Tm」と表され、ポリマーまたはその相の2次熱転移は、本明細書中で「ガラス転移温度」または「Tg」と表されうる。当業者であれば、ポリマー材料またはその相がいずれか、または両方の型の熱転移およびさらに高次の熱転移を示しうることを理解するであろう。熱転移温度はDSC、DMA、DEAおよびTMAなどの当業者に公知の方法によって決定されうる。
【0051】
本明細書中、「破壊靱性」の用語は、静的または動的荷重(またはひずみ)下でのガラスまたは半結晶相中の亀裂伝播からの脆性破壊に対するポリマーの耐性を指すものである。
【0052】
「放射線不透過性の」、「放射線−不透過性の」、「放射線不透過性」、「放射線−不透過性」、「放射線不透過化」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがってポリマー組成物中に重原子が組み込まれ、医療用イメージング技術(例えばX線によって、および/または蛍光透視中に)を用いてより検出しやすくなったポリマー組成物を意味して用いられうる。このような組み込みは混合による;例えば、有効量のバリウム塩または錯体などの放射線不透過化添加剤の混合による、および/または有効量の重原子のポリマー組成物中の1以上のポリマーへの結合による。例えば、重原子を十分な量でポリマーに結合させると、ポリマーを多様な医療用イメージング技術によって有利により検出しやすくすることができる。本明細書中、「重原子」の用語は、原子番号が17以上の原子を意味して用いられる。好ましい重原子は原子番号が35以上であり、臭素、ヨウ素、ビスマス、金、白金、タンタル、タングステン、およびバリウムを含む。特定の形態においては、前記ポリマー組成物は本質的に放射線不透過性でありうる。本明細書中、「本質的に放射線不透過性」の用語は、十分な数の重原子が共有結合またはイオン結合によって結合し、放射線不透過性にしたポリマーを意味して用いられる。この意味は、当業者の理解と一致する。例えば、特に放射線不透過性ポリマー材料を記載する目的を含むすべての目的で参照により本明細書中に援用される、米国特許公開第2006/0
024266号を参照。
【0053】
「アルキル」、「アルキレン」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって、直鎖または分岐の完全に飽和した(二重結合または三重結合を有さない)炭化水素基を指して用いられうる。例えば一般式−C2n+1の末端アルキル基は、本明細書中で「アルキル」基と表され、例えば一般式−(CH−の連結アルキル基は、本明細書中で「アルキレン」基と表されうる。アルキル基は、1〜50の炭素原子をうる(本明細書中で記載される場合、「1〜50」のような数値範囲は、与えられた範囲のそれぞれの整数を意味する;例えば「1〜50の炭素原子」は、前記アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、50個までの炭素原子を含んで構成されてもよいことを意味するが、本発明での定義は数値範囲の示されていない「アルキル」の用語の存在も包含する)。前記アルキル基は、1〜30の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。前記アルキル基は、1〜5の炭素原子を有する低分子アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C−Cアルキル」または同様の表記で表されうる。例えば、「C−Cアルキル」はアルキル鎖に1〜4の炭素原子があることを意味する、すなわち、前記アルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、いかようにも制限されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0054】
前記アルキル基は置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、置換基はそれぞれ独立して、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヒドロキシアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から選択される1以上の基である。
【0055】
「アルケニル」、「アルケニレン」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって直鎖または分岐の炭化水素鎖中に1以上の二重結合を有するアルキルまたはアルキレン基を指して用いられうる。アルケニル基は置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、特にことわりのない限り置換基はアルキル基の置換に関して上に開示された同様の基から選択されうる。
【0056】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがって本明細書中に記載のアルキル基またはアルキレン基であって、アルキル基またはアルキレン基の骨格中の1以上の炭素原子が窒素、硫黄、および/または酸素などのヘテロ原子に置き換えられたものを指して用いられうる。同様に、「ヘテロアルケニレン」の用語は、アルキル基またはアルキレン基の骨格中の1以上の炭素原子が窒素、硫黄、および/または酸素などのヘテロ原子に置き換えられた、アルケニル基またはアルケニレン基を指して用いられうる。
【0057】
「アリール」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって完全に非局在化されたπ電子系を有する炭素環式(すべて炭素)単環式または多環式芳香族環系を指して用いられうる。アリール基の例としては、特に制限されないが、ベンゼン、ナフタレンおよびアズレンが挙げられる。前記アリール基の環は、5〜50の炭素原子を有しうる。アリール基は置換されていても非置換であってもよい。置換される場合、置換基が特に示されていない限り、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置き換えられる。本明細書中、アルキルで置換されたアリール基は「アルキルアリール」と表されうる。
【0058】
「ヘテロアリール」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって1以上のヘテロ原子(すなわち炭素以外の元素であり、特に制限されないが窒素、酸素、および硫黄などが挙げられる)を含む、単環式または多環式芳香族環系(完全に非局在化されたπ電子系を有する環系)を指して用いられうる。前記ヘテロアリール基の環は5〜50の原子を有しうる。前記ヘテロアリール基は置換されていても非置換であってもよい。ヘテロアリール環の例としては、特に制限されないが、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、ベンゾ−チアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、およびトリアジンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。置換される場合、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置き換えられる。
【0059】
「結晶性(crystallizable)」の用語は当業者に公知の通常の意味を有する。すべての目的で、特に結晶性基を記載する目的で参照により本明細書中に援用される米国特許公開第20060024266号を参照。ポリマーの側鎖に結合した結晶性基を含むポリマーは、側鎖結晶性(SCC)ポリマーまたは「くし状」ポリマーとして知られ、公知である。その開示が参照により本明細書中に援用される、N.A.Plate and V.P.Shibaev,J.ポリmer Sci:Macromol.Rev.8:117−253(1974)を参照。一実施形態においては、本明細書中に記載のポリマーは結晶性側基を含み、したがってSCCポリマーと考えられうる。SCCポリマーの結晶性側鎖は、好ましくは互いに結晶化し結晶質領域を形成するように選択され、例えば、−(CH−および/または−((CH−O−)x基を含みうることが理解されるであろう。前記側鎖は、好ましくは、結晶化を容易にするように直鎖である。結晶性側鎖に−(CH−基を含むSCCポリマーでは、xは好ましくは約6約30であり、より好ましくは約20〜約30である。結晶性側鎖に−((CH−O−)x基を含むSCCポリマーでは、xは好ましくは約6〜約30であり、yは好ましくは約1〜約8である。より好ましくは、xおよびyは、((CH−O−)x基が、約6〜約30の炭素原子、さらにより好ましくは約20〜約30の炭素原子を有するように選択される。側鎖間の間隔ならびに側鎖の長さおよび型は、好ましくは、生成されるSCCポリマーが所望の融点を与えるように選択される。側鎖間の間隔が増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が減少する傾向にある。同様に、側鎖の柔軟性が増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が減少する傾向にある。一方、側鎖の長さが増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が増加する傾向にある。多くの場合において、結晶性側鎖の長さは、SCCポリマーの結晶性側鎖間の平均距離の約2倍〜約10倍の範囲でありうる。
【0060】
基が「置換されていてもよい」と記載される場合、基は非置換であるか、または1以上の表示された置換基で置換されうる。同様に、基が「非置換または置換」と記載される場合、置換されていれば、置換基は1以上の表示された置換基から選択されうる。
【0061】
特にことわりのないかぎり、置換基が「置換されていてもよい」または「置換された」とみなされる場合、前記置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体からそれぞれ独立して選択される1以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。同様に、「環ハロゲン化されていてもよい」の用語は、任意で1以上(例えば1、2、3、または4)のハロゲン置換基をアリールおよび/またはヘテロアリール環上に含む基を意味して用いられうる。上記の置換基の保護誘導体を形成しうる保護基は、当業者に公知であり、Greene and Wuts,Protective 基s in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999などの文献に記載されており、全体として参照により本明細書中に援用される。
【0062】
本明細書中に記載の1以上のキラル中心を有する任意の化合物は、絶対立体化学が明確に示されていない場合、各中心は独立してR−立体配置またはS−立体配置またはこれらの混合物でありうると理解される。したがって、本明細書中に与えられる化合物は光学異性体として純粋であってもよく、立体異性体の混合物であってもよい。加えて、EまたはZとして定義されうる幾何異性体を生成する1以上の二重結合を有する任意の化合物において、各二重結合は独立してEまたはZまたはこれらの混合物でありうると理解される。同様に、すべての互変異性型(tautomeric form)もまた含まれることを意図する。
【0063】
本明細書中、任意の保護基、アミノ酸および他の化合物についての略語は特にことわりのない限り、一般的な用法、認識された略語、または生化学命名法に関するIUPAC−IUPコミッション(Biochem.11:942−944(1972)を参照)に従う。
【0064】
[ポリマー組成物および方法]
本発明の一形態によれば、以下の一般構造(A)を有する新規なモノマーが提供される:
【0065】
【化16】

【0066】
式中:
は−R−C(=O)−NR−CHR−R−の構造を有し;XおよびXは臭素またはヨウ素であり;ならびにyおよびyは0、1、2、3および4から独立して選択された値を有し;
は1〜8の炭素原子およびO、NRおよびSから独立して選択される3以下のヘテロ原子を含むヘテロアルキル基であり;
は水素または1〜6の炭素原子を含む低級アルキル基であり;
はCOORであり(ここで、Rは水素または30以下の炭素原子を含むアルキルアリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、前記ヘテロアルキル基は、O、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基は、O、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含む);
は単結合または−CH−である。
【0067】
本発明に係るジフェノール化合物は、Rが−O−CH−C(=O)−または−NR−CH−C(=O)−である化合物を含む。この形態において、本発明は、式(I)の構造を有する新しいモノマーを提供する:
【0068】
【化17】

【0069】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−OH基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある。
【0070】
本発明の一形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0071】
【化18】

【0072】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【0073】
【化19】

【0074】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIa)の第2繰り返し単位:
【0075】
【化20】

【0076】
式中:
およびXは独立してO、SおよびNRからなる群から選択され、ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択され;
Arはハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0077】
【化21】

【0078】
からなる群から選択され;
は置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択される;
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0079】
ヘテロアルキル基としては、オキシアルキル、アミノアルキルおよびチオアルキルが挙げられる。ヘテロアルケニル基は、オキシアルケニル、アミノアルケニルおよびチオアルケニルが挙げられる。
【0080】
本態様の一実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、式(IIa)のXおよびXはいずれも酸素原子である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0081】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Arは少なくとも1つのハロゲン原子が置換したフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0082】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Arは、Xに対してオルト位に2つのヨウ素原子が置換したフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0083】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは、1〜10の炭素原子を含むオキシアルキル、アミノアルキルまたはチオアルキル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0084】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは、2つの炭素原子を含むオキシアルキル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0085】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Aは、構造:
【0086】
【化22】

【0087】
を有するカルボニルである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0088】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、iは1であり、−O−基はo−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0089】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、iは1であり、−O−基はm−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0090】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、iは1であり、−O−基はp−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0091】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0092】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0093】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にあり、Aはカルボニル−C(=O)−である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0094】
本態様における本発明の生体適合性ポリマーは、以下の合成スキーム(1)および(2)(図示のみであり、詳細な条件は省略する)を用いて、式(I)のモノマー化合物と式(II)のモノマー化合物とをカップリングすることにより調製することができる:
【0095】
【化23】

【0096】
ここで、Aは上記で定義されたものであり、Yは、例えばハロゲンである。詳細な条件は実施例において記載し、それ以外の事項は、本明細書中の以下の開示により、当業者によって理解される範囲内である。
【0097】
上記に基づき、Arの環は、好ましくはXに対してオルト位において、2つのハロゲン元素(例えば、ヨウ素または臭素)により置換されうるものであるが、これに限定されるものではない。
【0098】
本発明の他の形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0099】
【化24】

【0100】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【0101】
【化25】

【0102】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIIa)の第2繰り返し単位:
【0103】
【化26】

【0104】
式中:
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0105】
【化27】

【0106】
からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
はカルボニル基である;
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0107】
本態様の一実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、それぞれのX、X、X、X、X、およびXは酸素原子である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0108】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0109】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、ArおよびArはいずれも、2つのヨウ素原子で置換されたフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0110】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜10の炭素原子を含むオキシアルキレン基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0111】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、RおよびRはいずれも、オキシメチレン基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0112】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであることを特徴とする。
【0113】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであり、前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含むことを特徴とする。
【0114】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであり、上記の通り、前記アルキレンジオールはヘキサンジオ−ルであることを特徴とする。
【0115】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、上記の通り、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであり、前記ヒドロキシ−キャップマクロマーに対する前記ポリマーの重量比は、約25:75〜約99:1である。
【0116】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、(IIIb)の構造を有する少なくとも1つの繰り返し単位を含む:
【0117】
【化28】

【0118】
ここで、HX−D−XHは24以下の炭素原子を含むアルキレンジオール、24以下の炭素原子を含むアルキレンジアミン、24以下の炭素原子を含むアルキレンジメルカプタン、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミンエンドキャップマクロマーを定義する。
【0119】
式(IIIb)を含む前記モノマー化合物は、PCT国際公開特許第2010/042918号において開示されており、全体として参照により本明細書中に援用される。
【0120】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位、および式(IIIb)の第3繰り返しを含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む。
【0121】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、o−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0122】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、m−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0123】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0124】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、iは1である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0125】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0126】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0127】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IIIa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にあり、Aはカルボニル−C(=O)−である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0128】
本発明の他の形態によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位:
【0129】
【化29】

【0130】
式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IVa)の第2繰り返し単位:
【0131】
【化30】

【0132】
式中:
fは0または1であり;
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【0133】
【化31】

【0134】
からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
Bはカルボキシ基および、
【0135】
【化32】

【0136】
(ここで、Bは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群から選択されるか、または、
【0137】
【化33】

【0138】
がキャップマクロマー構造を示すように、B、X、X、XおよびXが選択される)
の構造を有する基からなる群から選択され;
はそれぞれ独立して
【0139】
【化34】

【0140】
から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択される、
を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0141】
本態様の一実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記キャップマクロマー構造はマクロマージカルボキシレートである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0142】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、それぞれのX、X、X、X、X、およびXは酸素原子である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0143】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、ArおよびArはそれぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0144】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、ArおよびArはいずれも、2つのヨウ素原子で置換されたフェニル環である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0145】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜10の炭素原子を含むオキシアルキル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0146】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、RおよびRはいずれも、オキシメチルである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0147】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Bは18以下の炭素原子を含むアルキル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0148】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Bは3つの炭素原子、5つの炭素原子および6つの炭素原子からなる群から選択されるいずれかの数の炭素原子を含むアルキル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0149】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記マクロマージカルボキシレートはポリ乳酸マクロマーブロックを含む)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0150】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記マクロマージカルボキシレートはポリグリコール酸マクロマーブロックを含む)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0151】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記マクロマージカルボキシレートはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)マクロマーブロックを含む)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0152】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記マクロマージカルボキシレートはポリ−カプロラクトンマクロマーブロックを含む)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0153】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記マクロマージカルボキシレートはヒドロキシエンドキャップポリアルキレンジオール、ポリアルキレンオキシドおよびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0154】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および上記の式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、前記アルキレンジオールはヘキサンジオールである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0155】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであることを特徴とする。
【0156】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、上記の通り、前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む。
【0157】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、上記の通り、前記アルキレンジオールはヘキサンジオールである。
【0158】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、上記の通り、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位を含む生体適合性ポリマーが提供され、前記ヒドロキシ−キャップマクロマーに対する前記ポリマーの重量比は、約25:75〜約99:1である。
【0159】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Aは、以下の構造:
【0160】
【化35】

【0161】
を有するカルボニル基である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0162】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Aは、構造:
【0163】
【化39】

【0164】
を有する基であり:
ここで、R12は、1〜18の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択される)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0165】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、o−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0166】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、m−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0167】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、式(Ia)の左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0168】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、iは1である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0169】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルである)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0170】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にある)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0171】
本態様の他の実施形態において、本発明によれば、式(Ia)の第1繰り返し単位および式(IVa)の第2繰り返し単位(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルであり、RはHまたはC1−18アルキルであり、左方のフェニル環上の−O−基は、p−位にあり、Aはカルボニル−C(=O)−である)を含む生体適合性ポリマーが提供される。
【0172】
一実施形態において、「X」基およびRは、前記モノマーおよびポリマーが、ヒドロキシ−アリールオキシアルカン酸、ヒドロキシ−アリールアミノアルカン酸、ヒドロキシ−アリールチオアルカン酸、ヒドロキシ−アリールオキシアルケン酸、ヒドロキシ−アリール−アミノアルケン酸およびヒドロキシ−アリールチオアルケン酸(ここで、前記アリール基はフェニル、フェノキシフェニルまたはインドール環である)の誘導体となるように選択される。
【0173】
このような酸の例としては、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン酸、3−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロパン酸、4−(4−ヒドロキシフェノキシ)ブタン酸、5−ヒドロキシ−lH−インドール−3−イル−カルボン酸、2−(5−ヒドロキシ−lH−インドール−3−イル)エタン酸、3−(5−ヒドロキシ−lH−インドール−3−イル)プロパン酸(5−ヒドロキシ−デスアミノ−トリプトファン)、4−(5−ヒドロキシ−lH−インドール−3−イル)ブタン酸、4−ヒドロキシ−フェノキシ安息香酸、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ−フェノキシ)エタン酸、3−(4−ヒドロキシフェノキシ−フェノキシ)プロパン酸、4−(4−ヒドロキシ−フェノキシ−フェノキシ)ブタン酸等が挙げられる。モノマーおよびポリマーの由来となりうるヒドロキシ−アリールアルカン酸およびヒドロキシ−アリールアルケン酸は、式(II)の構造を有し、「X」基がすべて酸素である化合物は、構造:
【0174】
【化37】

【0175】
を有しており、ここで、ArおよびRならびにこれらの好ましい種は、式(II)に関する上記の記載と同様である。
【0176】
上述に基づき、生体適合性ポリマーのある実施形態において、Aは以下の構造:
【0177】
【化38】

【0178】
を有するカルボニル基であり、ここで、前記カルボキシ基は出発物質のホスゲンに由来する。本方法は、基本的に、ジオールを重合してポリカーボネートとする標準的な方法である。適当な工程、関連する触媒および溶媒は公知であり、Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates(Interscience,New York 1964)に教示されており、その教示もまた参照により本明細書中に組み込まれる。XおよびXは独立してO、SおよびNRから選択されるため、式IIIのモノマーとホスゲンとの反応は、ウレタン結合(−NR−(C=O)−NR−)、炭素−ジチオエート結合(−S−(C=O)−S−)、カルバメート結合(−0−(C=O)−NR−)、チオカーボネート結合(−S−(C=O)−O−)およびチオカルバメート結合(−S−(C=O)−NR−)もまた生成しうる。本明細書中に開示されるポリカーボネートおよび他のホスゲン誘導ポリマーの調製に使用するために適した他の方法は米国特許第6,120,491号および第6,475,477号に開示されており、その開示は特にこのような方法を記載するために参照により本明細書中に援用される。
【0179】
他の実施形態において、Aは構造:
【0180】
【化39】

【0181】
を有する基であり、出発物質のカルボン酸に由来する。式(IIa)のモノマーがジフェノールであるとき、式(IIc)のポリマーは、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸塩(DPTS)を触媒として使用する、米国特許第5,216,115号に開示された、カルボジイミドを介在する工程において、当該ジフェノールと、脂肪族または芳香族ジカルボン酸との反応により調製される。米国特許第5,216,115号の開示は、参照により援用される。
【0182】
上述の工程によって、−O−C(=O)−R12−C(=O)−O−結合を有するポリマーが調製される。R12は、出発物質として使用されるジカルボン酸が、有用な自然発生する代謝物、あるいは生体適合性の高い化合物となるように選択される。したがって、出発物質である脂肪族ジカルボン酸としては、クレブス回路(Krebs Cycle)として知られる細胞呼吸経路を仲介するジカルボン酸が挙げられる。前記ジカルボン酸としては、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、およびオキサロ酢酸(R12は、それぞれ、−CH−CH−C(=O)−、−CH−CH−、−CH=CH−および−CH−C(=O)−でありうる)が挙げられる。
【0183】
さらに、他の自然発生する脂肪族ジカルボン酸は、ビートの絞り汁中に見られるアジピン酸(R12が(−CH−)である)である。さらに他の生体適合性の脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸(R12が(−CH−)である)であり、このセバシン酸は、広範に研究されており、Laurencinらによって、ポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン−コ−セバシン酸無水物)の臨床評価の一端として、無毒性であることが見出されている(J.Biomed.Mater.Res.,24,1463−81(1990))。
【0184】
他の生体適合性である脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸(R12が単結合である)、マロン酸(R12が−CH−である)、グルタル酸(R12が(−CH−)である)、ピメリン酸(R12が(−CH−)である)、スベリン酸(R12が(−CH−)である)、およびアゼライン酸(R12が(−CH−)である)が挙げられる。このように、R12は、(−CH−)を表すことができ、Qは0〜8である。適当な芳香族ジカルボン酸の中には、テレフタル酸、イソフタル酸およびビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパンといったビス(p−カルボキシフェノキシ)アルカンがある。
【0185】
12は、構造:
【0186】
【化40】

【0187】
もまた有していてもよい。
【0188】
ここで、aは1、2または3を含みであり、mは1〜500,000であり、さらにR13は水素または1〜4の炭素原子を含む低級アルキル基である。R13は、好ましくは水素であり、aは、好ましくは1であり、mは、好ましくは約10〜約100であり、さらに好ましくは約10〜約50である。
【0189】
12は、構造:
【0190】
【化41】

【0191】
もまた有していてもよい。
【0192】
ここで、a、mおよびR14ならびにこれらの好ましい種は、上記の記載と同様である。R15は、単結合または18以下の炭素原子を含む直鎖および分岐のアルキルおよびアルキルアリール基から選択される。
【0193】
本発明のポリマーとしては、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーが挙げられる。たとえば、ヒドロキシエンドキャップマクロマーは、ポリカーボネートマクロマーブロックコポリマーを調製するため、ジフェノールおよびホスゲンの反応に添加されてもよいし、または、ポリアリーレートマクロマーブロックコポリマーを調製するため、ジフェノールおよびジカルボン酸の反応に添加されてもよい。
【0194】
マクロマー単位のモル分率は、0より大きく、1より小さい範囲であり、通常、0より大きく、約0.5以下である。マクロマーモル分率が、約0.10〜約0.25である実施形態も挙げられる。
【0195】
ペンダントを含まないカルボン酸基を有するポリマーを、遊離カルボン酸基とコモノマーとの交差反応を用いずに、対応するモノマーとペンダントを含まないカルボン酸基との重合によって調製することは難しい。したがって、ペンダントを含まないカルボン酸基を有するポリマーは、好ましくは対応するベンジルおよびt−ブチルエステルポリマー(Rはベンジルまたはt−ブチル基である)から調製される。
【0196】
ベンジルエステルポリマーは、米国特許第6,120,491号(その開示は、特にこのような方法を記載する目的で参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されたパラジウム接触水素化分解法によって、ベンジル基の選択的除去を介して対応する遊離カルボン酸ポリマーに変換されうる。tert−ブチルエステルポリマーは、米国特許公開第20060034769号(同様に特にこのような方法を記載する目的で参照により本明細書中に組み込まれる)に開示された酸分解法によって、tert−ブチル基の選択的除去を介して対応する遊離カルボン酸ポリマーに変換されうる。ポリマー骨格の不安定性により過酷な加水分解技術の採用が阻まれる傾向にあるため、接触水素化分解または酸分解が好ましい。
【0197】
本明細書中に記載のポリマーの遊離カルボン酸ユニットのモル分率は、このようなポリマーから作製される装置の分解(degradation)を修正するように調整されうる。例えば、遊離カルボン酸の量のより少ないポリマーは、体内でより長い寿命を有する傾向がある。さらに、好ましいモル分率の範囲にわたってポリマー中の遊離カルボン酸の量を調整することによって、得られるポリマーは異なる装置の寿命を要求する多様な用途における使用に適しうる。一般に、遊離カルボン酸ユニットのモル分率が高いほど、体内での装置の寿命は短くなり、このような装置は、より短い寿命が望ましいか、あるいは要求される用途により適している。
【0198】
ヨウ素または臭素で十分に置換された、十分な数の芳香族環を有するポリマーは、本質的に放射線不透過性である。第1ポリマー相および第2ポリマー相の双方における多様な芳香族環は、ヨウ素または臭素で置換されうる。たとえば、任意の特定のポリマーの実施形態から独立して、化学式(I)、(IIa)、(IIIa)、または(IVa)の繰り返し単位の芳香族環は、少なくとも1つのヨウ素または臭素原子で、少なくとも1つ、好ましくは両方の環の位置で置換されうる。一実施形態においては、ポリマー組成物の化学式(I)、(IIa)、(IIIa)、または(IVa)の繰り返し単位の芳香族環の少なくとも50%が2〜4のヨウ素または臭素原子で置換される。
【0199】
前記放射線不透過性モノマーは、米国特許第6,475,477号の開示、または米国
特許公開第2006/0034769号の開示(双方の開示は、特にこのようなモノマーおよびこれらを作製する方法を記載する目的で参照により本明細書中に援用される)に従って調製されうる。本明細書中に記載のヨウ素化および臭素化フェノールモノマーはまた、本明細書中に提供されるように、生体適合性ポリマー組成物の放射性不透過化、生体適合性、無毒の添加剤として採用されうる。ヨウ素化および臭素化ポリマーは、ヨウ素化および臭素化モノマーから重合されうるか、あるいはポリマーは重合後にヨウ素化または臭素化してもよい。
【0200】
他の放射線不透過性ポリマーの実施形態において、ポリマーの放射線不透過性を向上させるために、メチレン水素は臭素またはヨウ素で置き換えられる。このような置換は、上述したハロゲン置換されたフェニル基とともに、またはハロゲン置換されたフェニル基の代わりに行われうる。したがって、十分な数のメチレン水素を臭素、ヨウ素または両方で置き換えることにより、放射線不透過性のポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ乳酸−コ−グリコール酸が提供される。好ましい放射線不透過性のポリ乳酸は、ペンダントトリヨードメチル基を有する乳酸単位を含むものである。
【0201】
上述のいずれかの化合物またはモノマーの重合後、種々の有用な製品を生産するため、ポリマー合成の分野において一般に用いられる公知の種々の方法のいずれかにより、本発明の好ましい実施形態に基づくポリマーの適当な処理が行われうる。
【0202】
(医学的な用途)
本明細書中に記載されるポリマー組成物の多様な実施形態、好ましくは組織適合性モノマーから誘導されるものは、有益な物理的および化学的特性を有する多様な有用な製品の製造に用いられうる。前記有用な製品は、前記ポリマーの分解温度がガラス転移温度または結晶溶融温度よりも高い場合、押出および射出成形などの通常のポリマー熱形成技術によって成形されうる。または、圧縮成形、射出成形、溶媒キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸などの通常の非熱的技術が用いられうる。2以上の方法の組み合わせが用いられうる。前記ポリマーから調製される成形品は、とりわけ医療用インプラントの応用のための生体適合性、生分解性および/または生体吸収性の生体材料に有用である。
【0203】
一実施形態において、前記医療装置はステントである。ステントが多くの異なる型の形態を含みうることが考慮される。例えば、前記ステントは、拡張型ステントでありうる。他の実施形態において、前記ステントは、シートステント、ブレードステント、自己拡張型ステント、織布ステント、変形可能ステント、またはスライドアンドロックステントの形態を有するように構成されうる。ステント製造工程は、レーザー切断、エッチング、機械的切断、または他の方法によってポリマーの押し出しシートを切断するなどの二次元的製造方法および得られた切断部分をステントに組み立てること、または、固体形態から装置を製造する同様の三次元的製造方法をさらに含みうる。
【0204】
他の特定の実施形態において、前記ポリマーは、本発明のポリマーまたは金属などの他の材料で作製される埋め込み型装置、特にステントの表面のコーティングに形成される。このようなコーティングは、ディッピング、スプレーコーティング、これらの組み合わせなどの技術によってステント上に形成されうる。さらに、ステントは、少なくとも1種の繊維材料、硬化性材料、積層材料および/または織布材料から形成されうる。前記医療装置はまた、塞栓治療に用いられるステントグラフトまたは装置でありうる。
【0205】
本明細書中に記載のポリマーが採用されうるステント製品および製造の詳細は、米国特許公開第20060034769号(その開示は、参照により援用される)に開示されている。ステントは、好ましくは本発明の放射線不透過性ポリマーから製造され、装置の蛍光透視ポジショニングを可能にする。
【0206】
本明細書中に記載のポリマーに関連する特性の非常に有益な組み合わせは、これらのポリマーが、ステントに加えて多様な吸収性医療装置、特に、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり多様な回数の生体吸収を有する埋め込み型医療装置の製造における使用に非常に適していることを意味する。例えば、前記ポリマーは、他の医療系、例えば、筋骨格または整形外科系(例えば、腱、靭帯、骨、骨格軟骨、平滑筋);神経系(例えば、脊髄、脳、目、内耳);呼吸器系(例えば、鼻腔および副鼻腔、気管、咽頭、肺);生殖器系(例えば、男性または女性生殖器);泌尿系(例えば、腎臓、膀胱、尿道、尿管);消化器系(例えば、口腔、歯、唾液腺、咽頭、食道、胃、小腸、結腸);外分泌機能(胆道、胆嚢、肝臓、虫垂、直腸−肛門管);内分泌系(例えば、膵臓/膵島、下垂体、副甲状腺、甲状腺、副腎および松果体);造血系(例えば、血液および骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、リンパ管);ならびに、外皮系(例えば、皮膚、毛髪、爪、汗腺、皮脂腺)において使用するための、治療剤を含む、もしくは含まない吸収性埋め込み型装置;治療剤を含む、もしくは含まない装置の部品および/またはコーティングにおける使用に適する。
【0207】
したがって、本明細書中に記載されるポリマーは、創傷閉鎖装置、ヘルニア修復メッシュ、胃のラップバンド、薬剤運搬インプラント、心臓装置の埋め込みのためのエンベロープ、他の心臓血管用途の装置;胆管ステント、食道ステント、膣ステント、肺−気管/気管支ステントなどの非心臓血管ステントの製造に用いられうる。
【0208】
加えて、前記吸収性ポリマーは、埋め込み型の放射線不透過性ディスク、プラグ、および組織除去(例えば、癌組織の除去および器官除去における)の領域をトラックするために用いられる他の装置、ならびに創傷の閉鎖、組織を骨および/または軟骨に接着させること、出血停止(ホメオスタシス)、卵管結紮、外科接着防止などにおける使用に適したステープルおよびクリップの製造における使用に適する。出願人はまた、本明細書中に記載される吸収性ポリマーが、医療装置、特に埋め込み型医療装置の多様なコーティングの製造における使用に適していることを認識した。
【0209】
いくつかの好ましい実施形態において、開示されたポリマーは、例えば、前十字靭帯(ACL)、回旋筋腱板/回旋筋カップ、および他の骨格の変形の矯正、防止、再建ならびに修復を含む用途において使用される、放射線不透過性生分解性ねじ(締まりねじ)、放射線不透過性生分解性縫合糸アンカーなどを含む多様な吸収性整形外科用装置の作製に有利に使用されうる。
【0210】
本明細書中に記載されるポリマーの好ましい実施形態から有利に形成されうる他の装置としては、組織工学(tissue engineering)において使用される装置が挙げられる。適当な吸収性装置の例としては、組織工学の足場およびグラフト(例えば血管グラフト、神経再生に用いられるグラフトまたはインプラントなど)が挙げられる。本発明の吸収性ポリマーはまた、内部創傷の閉鎖における使用に有効な多様な装置の形成に用いられうる。例えば、多様な外科手術、化粧品用途、および心創傷の閉鎖において使用される、生分解性吸収性の縫合糸、クリップ、ステープル、有刺またはメッシュの縫合糸、埋め込み型器官支持体などが形成されうる。
【0211】
歯科用途に有用な多様な装置が、開示されたポリマーの実施形態に従って有利に形成されうる。例えば、組織再生誘導のための装置、義歯装着者のための歯茎差し替え、および上顎の顔面の骨の再生のための装置は、放射線不透過性であることから、外科医または歯科医が簡単なX線画像によってこのようなインプラントの配置および連続的な機能を確かめることができるという利益が得られうる。
【0212】
本明細書中に記載されるポリマーの好ましい実施形態はまた、腫瘍および血管奇形、例えば、子宮筋腫、腫瘍(すなわち、化学塞栓術)、出血(例えば、出血を伴う外傷の間)および動静脈奇形、ろう管および動脈瘤の治療のための、血液供給の一時的なおよび治療上の制限または遮断のための、カテーテルまたはシリンジによって運搬される生体吸収性、本質的に放射線不透過性のポリマー塞栓治療製品の製造に有用である。本明細書中に記載されるポリマーが採用されうる塞栓治療製品および製造方法の詳細は、米国特許公開第2005/0106119号(その開示は、参照により援用される)に開示されている。塞栓治療の治療方法は、その全身よりも局所的な性質によるものであり、前記製品は、運搬および治療の蛍光透視モニタリングを可能にするように、好ましくは本明細書中に記載される放射線不透過性ポリマーといった放射線不透過性ポリマーから作製される。
【0213】
本明細書中に記載されるポリマーは、幅広い治療剤運搬装置の製造にさらに有用である。このような装置は、多様な治療剤;例えば、医薬品(すなわち、薬剤)および/または生物学的因子(上記で定義され、生体分子、遺伝物質および処理生体物質などを含む)を含む;を含む使用に適しうる。癌、血管内の問題、歯科的な問題、肥満、感染などの治療における治療剤運搬のための装置を含む、治療剤を身体に運搬することができるいくつもの輸送システムが作製されうる。
【0214】
ポリマー材料を含む医療装置は、意図する用途に応じて、1以上のさらなる成分、例えば、可塑剤、充填剤、結晶化核形成剤、保存料、安定剤、光活性化剤などを含みうる。例えば、一実施形態においては、医療装置は、少なくとも1つの治療剤および/または磁気共鳴増強剤の有効量を含む。好ましい治療剤の非制限的な例としては、化学療法剤、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、および創傷治癒剤が挙げられる。治療剤はポリマー材料と共に投与されうる。好ましい実施形態においては、治療剤の少なくとも一部がポリマー材料中に含まれる。他の実施形態においては、治療剤の少なくとも一部が医療装置の表面上のコーティング中に含まれる。
【0215】
好ましい化学療法剤の非制限的な例としては、タキサン類、タキシニン類、タキソール類、パクリタキセル、ドキソルビシン、cis−プラチン、アドリアマイシン、およびブレオマイシンが挙げられる。好ましい非ステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、アスピリン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、およびCox−2阻害剤(例えば、Rofexcoxib、CelecoxibおよびValdecoxib)が挙げられる。好ましいステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾンが挙げられる。1以上の治療剤を含む混合物を用いてもよい。好ましい磁気共鳴増強剤の非制限的な例としては、炭酸ガドリニウム、酸化ガドリニウム、塩化ガドリニウムなどのガドリニウム塩およびこれらの混合物が挙げられる。
【0216】
前記医療装置中に存在するさらなる成分の量は、好ましくは、意図する用途に有効であるように選択される。例えば、治療剤は、好ましくは、前記医療装置が投与された、または埋め込まれた患者において所望の治療効果を達成するために有効な量で、前記医療装置中に存在する。このような量は通常の実験によって決定されうる。特定の実施形態においては、所望の治療効果は、生物学的応答である。一実施形態において、前記医療装置中の治療剤は、少なくとも1つの生物学的応答、好ましくは、血栓症、細胞接着、細胞増殖、炎症細胞の誘引、マトリックスタンパク質の沈着、血栓形成の阻害、細胞接着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害、およびマトリックスタンパク質の沈着の阻害からなる群から選択される生物学的応答を促進するように選択される。医療装置中の磁気共鳴増強剤の量は、好ましくは、放射線学的イメージングを容易にするために有効な量であり、通常の実験によって決定されうる。
【0217】
本明細書中、「医薬品(pharmaceutical agent)」の用語は、特定の生理的(代謝)応答を刺激する疾患の緩和、治療または予防を意図した物質を含む。本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、生体系において構造的および/または機能的活性を有する任意の物質を含み、特に制限されないが、器官、組織または細胞ベースの誘導体、細胞、ウイルス、ベクター、天然、組み換え、および合成起源であり、任意の配列およびサイズの核酸(動物、植物、微生物、およびウイルス)、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、cDNA、癌遺伝子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、リポタンパク質、糖タンパク質、脂質、炭水化物、多糖、脂質、リポソーム、または、例えば受容体およびリガンドなどの他の細胞成分もしくは細胞小器官が挙げられる。さらに、本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、人の疾患もしくは損傷の予防、治療、または治癒に適用可能な、ウイルス、血清、毒素、抗毒素、ワクチン、血液、血液成分、または誘導体、アレルギー産物または類似体産物、あるいはアルスフェナミンまたはその誘導体(または任意の三価の有機ヒ素化合物)を含む(公衆衛生法(42U.S.C.262(a)のセクション351(a))。さらに、「生物学的因子」の用語は、1)「生体分子」;本明細書中で用いられる場合、天然もしくは組み換え生物、抗体、組織もしくは細胞株またはこのような分子の合成類似体から製造されるおよび精製される、生物活性ペプチド、タンパク質、炭水化物、ビタミン、脂質、または核酸を含む;2)「遺伝物質」;本明細書中で用いられる場合、核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA))、遺伝要素、遺伝子、因子、対立遺伝子、オペロン、構造遺伝子、調節遺伝子、オペレーター遺伝子、遺伝子相補体、ゲノム、遺伝子コード、コドン、アンチコドン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソーム染色体外遺伝要素、細胞質遺伝子、プラスミド、トランスポゾン、遺伝子突然変異、遺伝子配列、エクソン、イントロンを含む;および3)「処理生体物質」;本明細書中で用いられる場合、マニピュレーションを受けた細胞、組織または器官などを含む;を含みうる。前記治療剤はまた、ビタミンまたは無機物、または他の天然要素を含みうる。
【0218】
例えばステントなどの血管系に設置される装置では、治療剤の量は、好ましくは、再狭窄もしくは血栓症を阻害する、またはステント装着組織の他のいくつかの状態に影響を与える(例えば不安定プラークを治す、および/または破裂を防ぐ、または内皮形成を刺激する)のに十分な量である。本発明の好ましい実施形態によれば、前記薬剤は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗マトリックスメタロプロテイナーゼ、脂質低下、コレステロール調節、抗血栓症および抗血小板剤からなる群から選択されうる。ステントのいくつかの好ましい実施形態においては、前記治療剤は、ポリマーと混合されるか、当業者に公知の他の手段によって混合されてステント中に含まれる。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、ステント表面のポリマーコーティングから運搬される。他の好ましい変形において、前記治療剤はポリマーコーティングを用いずに運搬される。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、前記ステントの少なくとも1つの部分または1つの表面から運搬される。前記治療剤は、ステントの少なくとも一部の、前記治療剤の運搬に用いられるポリマーまたは担体に化学的に結合されうる、および/または前記治療剤は、ステント本体の少なくとも一部を含むポリマーに化学的に結合されうる。好ましい実施形態においては、1以上の治療剤が運搬されうる。
【0219】
特定の実施形態において、本明細書中に記載の上記の任意の装置は治療剤運搬装置(その他の機能に加えて)としての使用に適しうる。生物学的にまたは医薬的に活性な薬剤および/または不活性な(受動的な)薬剤などの治療剤が、ポリマーマトリックス中に物理的に埋め込まれている、もしくは分散されている、または本明細書中に記載のポリマーと物理的に混合されている、制御された治療剤運搬システムが調製されうる。制御された治療剤運搬システムは、治療剤を生体吸収性ステント装置(本明細書中に記載のポリマーの少なくとも1つを含む)などの埋め込み型医療装置の表面に、これらのポリマーをコーティングとして用いることなく直接塗布することによって、または他のポリマーもしくは物質をコーティングに用いることによっても調製されうる。
【0220】
特定の実施形態において、本明細書中に記載の上記の任意の装置は治療剤運搬装置(その他の機能に加えて)としての使用に適しうる。生物学的にまたは医薬的に活性な薬剤および/または不活性な(受動的な)薬剤などの治療剤が、ポリマーマトリックス中に物理的に埋め込まれている、もしくは分散されている、または本明細書中に記載のポリマーと物理的に混合されている、制御された治療剤運搬システムが調製されうる。制御された治療剤運搬システムは、治療剤を生体吸収性ステント装置(本発明のポリマーの少なくとも1つを含む)などの埋め込み型医療装置の表面に、これらのポリマーをコーティングとして用いることなく直接塗布することによって、または他のポリマーもしくは物質をコーティングに用いることによっても調製されうる。
【0221】
前記治療剤は、始めにモノマーに共有結合し、次いでこれが重合するか、または重合が始めに行われ、その後治療剤の共有結合が行われる。加水分解に安定な複合体は、治療剤が複合体の形態で活性な場合に用いられる。加水分解性の複合体は、治療剤が複合体の形態で不活性な場合に用いられる。
【0222】
治療剤運搬化合物はまた、当業者に公知の通常の方法を用いて、運搬される治療剤をポリマーの実施形態と物理的に混合することによって形成されうる。この治療剤運搬実施形態においては、前記ポリマーが治療剤の共有結合のためのペンダント基を有することは本質的ではない。
【0223】
治療剤を含む本明細書中に記載されるポリマー組成物は、ポリマー複合体(polymer conjugate)の形態であってもポリマーと治療剤との物理的混合物であっても、局所的な運搬が求められる用途に、および全身への運搬が求められる状況においても適している。前記ポリマー複合体および物理的混合物は、本質的に従来の、当業者に公知の手順によって、必要とする患者の体内に埋め込まれうる。
【0224】
したがって、埋め込み型医療装置は、開示されたポリマーの実施形態がこれに物理的に混合された、またはこれに共有結合した治療剤を有する、本明細書中に記載の治療剤運搬システムの実施形態(例えば薬剤溶出ステント)から作製される、またはこれでコートされることによって、治療剤を埋め込みの部位に運搬する働きもするように作製されうる。共有結合による連結は、ポリマーが反応活性なペンダント気を有している必要がある。塞栓治療粒子もまた治療剤の運搬のために作製されうる。
【0225】
本明細書中で開示されたポリマーの実施形態に物理的に混合されるか、または共有結合しうる生物学的にまたは医薬的に活性な治療剤の例としては、アシクロビル、セフラジン、マルファレン、プロカイン、エフェドリン、アドリアマイシン、ダウノマイシン、プラムバジン、アトロピン、キニーネ、ジゴキシン、キニジン、生物活性ペプチド、クロリンe6、セフラジン、セファロチン、プロリンおよびcis−ヒドロキシ−L−プロリンなどのプロリン類似体、マルファレン、ペニシリンVおよび他の抗生物質、アスピリンおよび他の非ステロイド性抗炎症剤、ニコチン酸、ケモデオキシコール酸、クロラムブシル、抗腫瘍および抗増殖剤(再狭窄を防ぐ抗増殖剤など)、エストロゲンなどのホルモンなどが挙げられる。本発明の目的のためには、生物活性化合物は、細胞接着メディエータ、生物活性リガンドなどを含むものとしてさらに定義される。
【0226】
本明細書中に記載される本発明はまた、本明細書中に記載されるポリマー−治療剤の組み合わせを含む多様な医薬的な投与形態を含む。前記組み合わせは、埋め込みのためのバルクマトリックスまたは通常の手段による投与のための微粒子であってよく、いずれの場合も投与形態は従来認識されているもの、例えば、錠剤、カプセル、経口用液体および溶液、液滴、非経口用溶液および懸濁液、エマルション、経口用パウダー、吸入可能溶液または粉末、エアロゾル、局所用溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ローション、軟膏、経皮用液などを含む。
【0227】
投与形態は、1以上の医薬的に(製薬上)許容される担体を含みうる。このような材料は、採用される投与量および濃度で受容者に対して無毒であり、希釈剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、封入材料、浸透促進剤、溶媒、軟化剤、増粘剤、分散剤、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸塩などの緩衝液、アスコルビン酸などの抗酸化剤、防腐剤、ポリアルギニンなどの低分子量(約10残基未満)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリ(ビニルピロリドン)などの他の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸、単糖、二糖、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの対イオンおよび/またはトゥイーン、プルロニクスまたはPEGなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0228】
本明細書中に記載されるポリマー組成物および物理的混合物に組み込まれる治療剤は、生理的に許容される担体、賦形剤、安定剤などの中に提供されてもよく、本発明において調製されるポリマー製剤に追加される持続放出または除放の製剤中に提供されてもよい。水分散液のための液体の担体および希釈剤もまたポリマー組成物および物理的混合物と共に用いるのに適する。
【0229】
治療を必要とする患者、典型的には哺乳類の患者は、開示されたポリマー−治療剤の組み合わせを用いて、最適な効果を与える投与量が投与されうる。投与量および投与方法は患者によって変化し、治療を受ける哺乳類の種類、性別、体重、食事、併用投薬、全体的な臨床状態、採用される特定の化合物、これらの化合物が採用される特定の使用などの因子、および医療分野における通常の知識を有する者が認識するであろう他の因子に依存するであろう。前記ポリマー−治療剤の組み合わせは、治療剤の活性の保持、およびポリマーの完全性の維持に適した条件下で貯蔵されるように調製されうる。典型的には、常温または冷蔵温度での貯蔵に適する。
【0230】
選択される特定の化合物に依存して、経皮デリバリーは選択肢でありうる;薬剤の相対的に安定した運搬を提供し、これは状況次第で好ましい。経皮デリバリーは、典型的には、アルコールビヒクル、任意で界面活性剤などの浸透促進剤および他の任意の成分を含む溶液中での化合物の使用を含む。マトリックスおよびリザーバー型経皮デリバリーシステムは、適切な経皮システムの例である。経皮デリバリーは、投与形態が患者に対して治療剤の全身的投与量を運搬する点で通常の局所的治療と異なる。
【0231】
本明細書中に記載されるポリマー−薬剤製剤はまた、小型単ラメラ小胞、大型単ラメラ小胞、および多重ラメラ小胞などのリポソーム運搬システムの形態で投与されうる。リポソームは、本明細書中に記載の任意の適当な投与経路で用いられうる。例えば、リポソームは、経口、非経口、経皮または吸入を介して投与されうるように製剤されうる。したがって治療剤の毒性は、患部への選択的な運搬によって低減されうる。例えば、前記治療剤がリポソーム封入されており、静脈注射される場合、用いられるリポソームは、血管細胞によって取り込まれ、局所的に高い濃度の治療剤が血管壁の内部で時間とともに放出され、治療剤の作用の改善がもたらされる。リポソーム封入治療剤は、好ましくは非経口で、特には静脈注射によって投与される。
【0232】
リポソームは、治療剤の放出のための特定の部位に標的化されうる。これは、活性部位での治療剤の治療に有用な投与量を提供するためにしばしば必要な過剰の投与量を、そして結果として、より高い投与量に伴う毒性および副作用を未然に防ぐ。
【0233】
本明細書中に記載のポリマー中に組み込まれる治療剤は、望ましくは、その所望の標的への全身的な運搬を促進する薬剤を、運搬剤が上述の治療剤と同じ適格基準に合致するかぎり、さらに含みうる。運搬される活性な治療剤は、このように治療剤分子が結合する抗体、抗体フラグメント、成長因子、ホルモン、または他の標的部分とともに組み込まれうる。
【0234】
本明細書中に記載されるポリマー−治療剤の組み合わせはまた、バルブ、ステント、チューブ、プロテーゼなどの成形品に形成されうる。心臓血管ステントは、再狭窄を防ぐ治療剤と組み合わせられうる。埋め込み型医療装置は、感染を防ぐ治療剤と組み合わせられうる。
【0235】
治療上有効な投与量は、インビトロまたはインビボの方法によって決定されうる。本発明のそれぞれの特定の化合物について、必要な最適な投与量の個別の決定が行なわれうる。治療上有効な投与量の範囲は、投与経路、治療目的、および患者の状態によって当然影響されうる。多様な適切な投与経路において、吸収効率は、薬理学において公知の方法によって各薬剤について個々に決定されなければならない。したがって、最適な治療効果を得るために、治療者は必要に応じて投与量を調節し、投与経路を修正することが必要である。
【0236】
有効な投与量レベル、すなわち、所望の結果を達成するために必要な投与レベルの決定は、当業者の範囲内であろう。典型的には、化合物の適用は、より低い投与量レベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量レベルを増加させる。本発明の製剤からの放出速度もまた、治療される状態に応じて有利なプロファイルを決定するために当業者の範囲内で変化される。
【0237】
典型的な投与量は、約0.001mg/k/g〜約1,000mg/k/g、好ましくは約0.01mg/k/g〜約100mg/k/g、より好ましくは約0.10mg/k/g〜約20mg/k/gの範囲でありうる。有利には、本発明の化合物は一日数回で投与され、他の投薬計画もまた有用でありうる。
【0238】
本明細書中に記載の方法を実行する際、前記ポリマー−治療剤の組み合わせは単独で、または他の治療剤もしくは診断剤と組み合わせて用いられうる。本発明の化合物は、インビボで、通常は人、羊、馬、牛、豚、犬、猫、ラット、およびマウスなどの霊長類などの哺乳類において、あるいはインビトロで利用されうる。
【0239】
本明細書中に記載される放射線不透過性生体吸収性ポリマーを治療剤運搬用途に用いる利点は、治療剤の放出および埋め込み型治療剤運搬システムの存在のモニタリングの容易さである。ポリマーマトリックスの放射線不透過性は、共有結合したハロゲン置換基によるものであるため、放射線不透過性のレベルは、埋め込み後任意の時間にインプラント部位に依然として存在する分解性治療剤運搬マトリックスの残量に直接的に関連する。好ましい実施形態においては、分解性治療剤運搬システムからの治療剤の放出速度は、ポリマーの吸収速度と関連付けられるであろう。このような好ましい実施形態においては、放射線不透過性の残りの程度の直接的、定量的な測定によって、主治医が埋め込み型治療剤運搬システムからの治療剤の放出のレベルをモニターする方法が提供されるであろう。
【0240】
後述する以下の非制限的な例を用いて本発明の特定の形態を説明する。特にことわりのない限り、部および百分率はすべてモル百分率であり、特にことわりのない限り、温度はすべて摂氏温度である。特にことわりのない限り、溶媒はすべてHPLCグレードであり、他の試薬はすべて分析グレードであり、市販のものをそのまま用いた。
【実施例】
【0241】
<実施例>
実施例1:L−チロシン−N−[2−(4−ヒドロキシフェノキシ)−l−オキシエチル] エチルエステル(PTE)の合成
1Lの丸底フラスコに、16.8g(0.100mol)の(4−ヒドロキシフェノキシ)酢酸(HPA)、24.6g(0.105mol)のチロシンエチルエステル塩酸塩(TE.HCl)、1.35g(0.01mol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび150mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れた。このフラスコの内容物を、氷水浴を用いて5℃まで冷却しながら撹拌した。この撹拌された混合物に、10.6g(0.105mol)のトリエチルアミンを加え、次に21.1g(0.110mol)のN−(3−ジメチル−アミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)を加えた。.これを5℃で1時間撹拌し、その後、室温で5時間撹拌した。
【0242】
この反応混合物に、450mLの0.2M HClを加え、および5分間撹拌し、層分離させた。サイフォン(siphoning)を用いて廃棄することにより、水層を除去した。有機層に150mLのHClを加え、5分間撹拌し、層分離させて有機層を除去し、廃棄した。この手順を150mLの5%重曹溶液を用いて繰り返し、その後、生成物が固体化するまで250mLの純水と共に撹拌した。濾過し、真空オーブン中、40℃で24時間乾燥させることにより、生成物を単離した。H−NMRスペクトル(300MHz,DMSO−d6)は下記の通りである:δ9.23(s,1H,フェノール),8.98(s,1H,フェノール),8.19(d,J=7.9,1H,アミド),6.98(d,J=8.4,2H,アリール),6.77-6.59(m,6H,アリール),4.46(d,J=5.8,1H,α-プロトン),4.35(s,2H,-O-CH2-HPA),4.06(q,J=7.1,2H,-O-CH2-),2.92(t,J=6.7,2H,-CH2-),1.24-1.05(m,3H,-CH3).融点は、132−135℃であった。
【0243】
実施例2:L−チロシン−N−[2−(4−ヒドロキシフェノキシ)−l−オキシエチル]−ヘキシルエステル、PTH
本実施例において、TE.HClの代わりに26.5g(0.105mol)のチロシンヘキシルエステル(TH)を使用し、トリエチルアミンを添加しなかったこと以外、PTEと類似の手順を用いてPTHを合成した。収率:79mol%、融点=94−97℃.1H-NMR(300MHz,DMS0-d6)δ9.23(s,1H,フェノール),8.97(s,1H,フェノール),8.19(d,J=7.9,1H,アミド),6.97(d,J=8.4,2H,アリール),6.76-6.60(m,6H,アリール),4.54-4.40(m,1H,α-プロトン),4.34(s,2H,-O-CH2-HPA),4.08-3.94(m,2H,-O-CH2-),3.01-2.83(m,2H,-CH2-),1.49(dd,J=13.2,6.5,2H,-CH2-),1.35-1.14(m,6H,-CH2-),0.85(t,J=6.7,3H,-CH3).
実施例3:3,5−ジヨード−L−チロシン−N−[2−(4−ヒドロキシフェノキシ)−l−オキソエチル]エチルエステル(PITE)
本実施例において、THの代わりに48.4g(0.105mol)の3,5−ジヨード−チロシンエチルエステル(ITE)を用いたこと以外、PTHと類似の手順を用いてPITEを合成した。本実施例においてITEは溶媒中で完全に溶解せず、反応は懸濁液中で行った。H−NMR スペクトル(400MHz,DMSO−d6)は以下の通りである:δ9.34(s,1H,フェノール),8.96(s,1H,フェノール),8.32(d,J=7.9,1H,アミド),7.60(s,2H,アリール-I2TE),6.74-6.63(m,4H,アリール-HPA),4.44(d,J=5.8,1H,α-プロトン),4.35(s,2H,-O-CH2-HPA),4.06(q,J=7.1,2H,-O-CH2-),2.92(t,J=6.7,2H,-CH2-I2TE),1.24-1.05(m,3H,-CH3).
実施例4:PITE−PHMC12k
メカニカルスターラー、シリンジポンプおよび温度計を備えた1Lの4つ口丸底フラスコに、20gのPITEおよび5g(20重量%)のポリ(ヘキサメチレンカーボネート)−ジオール(Mn=12,000)を入れた。ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)−ジオールは、WO10/42917の実施例6の方法に従って調製したものであり、この文献のすべては、参照により援用される。その後、このフラスコに150mLの塩化メチレンおよび10.3mLのピリジンを加えた。透明な溶液を撹拌しながら、これに4.4gのトリホスゲンを含む17mLの塩化メチレン溶液を、シリンジポンプを用いて2−3時間かけて加えた。添加終了後、反応混合物を15分間撹拌した。得られた粘性のある溶液を15mLのTHFおよび1.5mLの水の混合物でクエンチした。15分後、クエンチ反応混合物を1Lのラボラトリーブレンダー(laboratory blender)中で、250mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られたオイル状の沈殿物を、ブレンダー中、2−プロパノールを用いて繰り返しすりつぶすことによって固体化させた。得られた粉末状の生成物を真空オーブン中、40℃で一定重量まで乾燥させた。得られたPITE15PHMC12kポリマーを、ガラス転移温度およびNMRスペクトルによってその特性を評価した。上記の「IDTE−PHMC12k」の表記によって示されるように、本明細書中でPHMCを含むポリマーは、上記のPCLを含むポリマーと同様に表されうる。
【0244】
実施例5:PITE−HDAT12kポリマー
メカニカルスターラー、シリンジポンプ、および温度計を備えた1Lの4つ口丸底フラスコに、20gのPITE(90wt.%)および2.22g(10wt.%)のポリ(HDATカーボネート)−ジオール(Mn=19,000)を入れた。ポリ(HDATカーボネート)−ジオールは、WO10/42918の実施例9の方法に従って調製したものであり、この文献のすべては、参照により援用される。その後、このフラスコに180mLの塩化メチレンおよび10.2mLのピリジンを加えた。透明な溶液を撹拌しながら、これに3.8gのトリホスゲンを含む12mLの塩化メチレン溶液を、シリンジポンプを用いて2−3時間かけて加えた。添加終了後、反応混合物を15分間撹拌した。得られた粘性のある溶液を15mLのTHFおよび1.5mLの水の混合物でクエンチした。15分後、クエンチ反応混合物を1Lのラボラトリーブレンダー中で、250mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られたオイル状の沈殿物を、ブレンダー中、2−プロパノールを用いて繰り返しすりつぶすことによって固体化させた。得られた粉末状の生成物を真空オーブン中、40℃で一定重量まで乾燥させた。
【0245】
実施例6:PITE−PCL10k−PCL1.25kポリマー
メカニカルスターラー、シリンジポンプおよび温度計を備えた1Lの4つ口丸底フラスコに、20gのPITE(85wt.%)、1.89g(8wt.%)のPCL−10000および1.65g(7wt.%)のPCL−1250を入れた。その後、このフラスコに133mLの塩化メチレンおよび26.5mLのピリジンを加えた。透明な溶液を撹拌しながら、これに3.8gのトリホスゲンを含む12mLの塩化メチレン溶液を、シリンジポンプを用いて2−3時間かけて加えた。添加終了後、反応混合物を15分間撹拌した。得られた粘性のある溶液を200mLの水でクエンチし、層を分離した。上層を分離し、廃棄した。下層を1Lのラボラトリーブレンダー中で、220mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られたオイル状の沈殿物が硬くなるまで、ブレンダー中、2−プロパノールを用いて繰り返しすりつぶした。得られた粉末状のIDTE−PCL10k−PCLl.25kポリマーを真空オーブン中、40℃で一定重量まで乾燥させた。
【0246】
実施例7:PITE−PCL10k−PCLl.25kポリマー
40−60ミクロンのフリットガラス漏斗を用いて反応混合物を濾過したこと以外は、PITE、PCL−10000およびPCL1250を用いた実施例6に記載されたように、PITE−PCL10k−PCLl.25kポリマーを調製した。粒子径が制御された環境中において、沈殿物の濾過およびさらなる後処理を行った。得られたPITE−PCL10k−PCLl.25kポリマーの機械的特性を、粒子径が制御されていない条件下で調製された対応するポリマー(実施例6)と比較した。
【0247】
実施例8:プロパン−ジオールとIPTEのモノエステル(IPTE−prD)
250mLの丸底フラスコに、14.4g(190mmol)の1,3−プロパンジオール、37.9mmolのIPTE、1.44g(7.60mmol)のPTSAおよび150mLのクロロホルムを入れた。このフラスコに、水よりも重い溶媒を用いる、改良されたディーン−シュタークトラップ(Dean−Stark trap)を備え付けた。磁気スターラーを用いて撹拌しながら、このフラスコの内容物を還流させた。予想される量の水(約0.8mL)が集められるまで、反応を続けた。反応混合物を蒸発させて乾燥し、その後、100mLの5%NaHCO溶液と共に10分間撹拌し、水層を分離した。この操作を合計で3回繰り返し、次に、100mLの純水で洗浄した。濾過することにより、生成物を単離し、水で洗浄し、さらに真空オーブン中、40℃で乾燥させた。
【0248】
実施例9:IPTE−PrDとHPAのエステル化(IPTE−PrD−HPA)
オーバーヘッドスターラー、ディーン−シュタークトラップおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコに、19g(0.04mol)の1,3−プロパンジオール、13.6g(0.081mol)の(4−ヒドロキシフェノキシ)酢酸(HPA)、0.76g(4.0mmol)のPTSA、および200mLのヘプタンを入れた。このフラスコを、ヘプタンおよび水がディーン−シュタークトラップ中に蒸留されるように、オーバーヘッドスターラーで撹拌しながらマントルヒーターを用いて加熱した。水の回収が止まるまで、加熱を続けた(約1.45mLの水が回収されるはずである)。反応混合物を冷却し、上澄みをデカンテーションで分離した。生成物を回収し、乾燥させ、適当な溶媒から再結晶することにより、精製した。
【0249】
実施例9:1,3−プロパンジオールとHPAのエステル化(P−PrD−P)
オーバーヘッドスターラー、ディーン−シュタークトラップおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコに、3.04g(0.040mol)の1,3−プロパンジオール、13.6g(0.081mol)の(4−ヒドロキシフェノキシ)酢酸(HPA)、0.76g(4.0mmol)のPTSA、および200mLのヘプタンを入れた。このフラスコを、ヘプタンおよび水がディーン−シュタークトラップ中に蒸留されるように、オーバーヘッドスターラーで撹拌しながらマントルヒーターを用いて加熱した。水の回収が止まるまで、加熱を続けた(約1.45mLの水が回収されるはずである)。反応混合物を冷却し、上澄みをデカンテーションで分離した。生成物を回収し、乾燥させ、適当な溶媒から再結晶することにより、精製した。
【0250】
実施例10:(IDAT−PrD−HPA))とPCLの重合
メカニカルスターラー、滴下漏斗および温度計を備えた1Lの4つ口丸底フラスコに、10gの精製したLDAT−PrD−HPA(85wt.%)、0.94gのポリカプロラクトン−ジオール(Mn=10,000)(8wt.%)および0.82g(7wt.)のポリカプロラクトン−ジオール(Mn=1250)を入れた。その後、このフラスコに、68mLの塩化メチレンおよび5.3mLのピリジンを加えた。透明な溶液を撹拌しながら、これに1.86gのトリホスゲンを含む5.2mLの塩化メチレン溶液を、滴下漏斗を用いて2−3時間かけて加えた。ポリマー溶液を15分間撹拌した。このポリマー溶液を6.1mLのTHFおよび0.7mLの水の混合物でクエンチした。15分後、クエンチ反応混合物を1Lのラボラトリーブレンダー中で、120mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られたオイル状の沈殿物が硬くなるまで、ブレンダー中、2−プロパノールを用いて繰り返しすりつぶした。得られた粉末状の生成物をを真空オーブン中、40℃で一定重量まで乾燥させた。
【0251】
Mn=10,000のPCL−ジオールをMn=3,000、5,500、および8,500のPCL−ジオールに置き換え、同様の手順を用いて3つの付加したコポリマーを調製した。
【0252】
実施例11:(IDAT−PrD−HPA))とPCLの重合
40−60ミクロンのフリットガラス漏斗を用いて反応混合物を濾過したこと以外は、(IDAT−PrD−HPA)、PCL−10000およびPCL1250を用いた実施例10に記載されたように、(IDAT−PrD−HPA)−PCL10k−PCLl.25kポリマーを調製した。粒子径が制御された環境中において、沈殿物の濾過およびさらなる後処理を行った。得られた(IDAT−PrD−HPA)−PCL10k−PCLl.25kポリマーの機械的特性を、粒子径が制御されていない条件下で調製された対応するポリマー(実施例11)と比較した。
【0253】
実施例12:1,5−ペンタンジオールのIPTEジ−エステルの調製
オーバーヘッドスターラーおよびディーン−シュタークトラップを備えた500mLのフラスコに、1,5−ペンタンジオール(8.75g、84mmol)、IPTE(0.17mol)、4−トルエンスルホン酸(1.6g、8.4mmol)および200mLのヘプタンを入れた。窒素雰囲気を維持するため、窒素注入具をコンデンサーの上部に配置した。マントルヒーターを用いてフラスコを加熱した。回収された水を定期的に測定し、回収される水の理論量よなるまで還流を続けた。試薬中に存在する水に起因して、予想よりも多い水が回収されうる。水の発生が止まった時に反応を停止した(微量の遊離したヨウ素に起因して、ヘプタンがピンク色から紫色に変化した。)。反応混合物を撹拌しながら冷却した。粗生成物を濾過することにより回収した。粗生成物を精製するため、100mLのアセトンに溶解させた。この溶液を撹拌しながら、これに、400mLの5%NaHCO溶液を加え、生成物が結晶化するまで撹拌を続けた。生成物を濾過することにより回収し、50mLの5%NaHO溶液で洗浄し、次に、50mLのDI水で2回洗浄した。生成物を真空オーブンで乾燥し、H NMRおよびHPLCによってその特性を評価した。類似の手順を用いて、ヘキサンジオールおよびプロパンジオールのIPTEジエステルを調製した。
【0254】
実施例13:ポリ(IPTE−LA)の調製
100mLの丸底フラスコに、0.012molの3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシ−フェノキシ)酢酸(HPA)、プロピオン酸、2.16g(0.02mol)の乳酸、1.41g(0.008mol)のジメチルアミノピリジニウムp−トルエンスルホン酸塩(DPTS)および50mLの塩化メチレンを入れた。このフラスコの内容物を窒素雰囲気下で撹拌し、N,N’−ジイソプロピル−カルボジイミド(15g,0.12mol)をこのフラスコに加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で24時間撹拌した。反応を停止し、反応混合物をフリットガラス漏斗によって濾過した。残渣(ジイソプロピル尿素)は廃棄した。高速ブレンダー中で、ろ液を250mLのイソプロパノールを用いて沈殿させ、50mLのイソプロパノールを用いてすりつぶす操作を2回行った。沈殿物を単離し、真空オーブン中で乾燥させた。このポリマーについて、HNMRおよびGPCを用いて特性を評価した。
【0255】
実施例14:低分子量PLLA−ジオールの調製
100mLの丸底フラスコに、1,3−プロパンジオール(1.02g、13.4mmol)、L−ラクチド(36.3g、252mmol)および第一錫オクトアート(stannous octoate)(0.5g、1.26mmol)を入れた。このフラスコの内容物を撹拌し、真空下で乾燥した。その後、このフラスコをその温度が130−140℃で保持されているシリコンオイルバスにつけた。ラクチドが溶融し始め、透明な液体が得られた。2時間後に観察すると、反応混合物は不透明(白色)であり、約130℃が依然として液体であった。この混合物を24時間反応させた。冷却したところ、白色固体が得られた。未反応の1,3−プロパン−ジオールが残っていないことがH NMRにより確認された。移動相としてTHFを用いたGPCにおいて、ポリスチレン標準でMn=3800およびMw=7500の二峰性のピークがみられた。
【0256】
実施例15:トリホスゲンを用いたPLLA−ジオールの重合
250mLの丸底フラスコに、7.50g(0.005mol)のPLLA−ジオール(Mn 1500)を入れた。このフラスコに、60mLの塩化メチレンおよび1.53g(0.019mol)のピリジンをさらに添加し、オーバーヘッドスターラーで撹拌した。得られた透明な溶液に、0.42g(ホスゲン0.006当量)のトリホスゲンを含む2mLの塩化メチレンを、シリンジポンプを用いて2時間かけてゆっくりと添加した。15分間撹拌した後、GPCによるMWは60,000であった。反応混合物を0.2MのHClで2回洗浄し、メタノールで沈殿させた。はじめに生成した粘性のあるオイルは、1時間撹拌した後、固体化し、白色の結晶質固体となった。これを40℃の真空オーブンで24時間乾燥させた。
【0257】
実施例16:IPTEを有するヨウ素化PLLA−ジフェノールの調製
ディーン−シュタークトラップを備えた250mLの丸底フラスコに、PLLA−ジオール(8.5g,5.0mmol)、IPTE(11mol)、4−トルエンスルホン酸(0.1g、0.5mmol)およびトルエン(125mL)を入れた。磁気スターラーを用いて反応混合物を撹拌し、加熱して18時間還流した。約0.2mLの水がディーン−シュタークトラップ中に回収された。反応混合物を冷却し、蒸発させて乾燥させた。反応残渣を50mLのアセトンに溶解させた。この溶液を撹拌しながら、これに200mLの5%NaHCO溶液を添加し、1時間撹拌を続けた。濾過することにより固体を単離し、50mLの5%NaHCO溶液で洗浄し、50mLの純水で2回洗浄した。生成物を40℃の真空オーブンで24時間乾燥させた。
【0258】
実施例17:ポリ(PHMC2Kカーボネート)の調製
オーバーヘッドスターラーを備えた1Lの4つ口フラスコに、53.4g(27mmol)のポリ(ヘキサメチレンカーボネート2000)(PHMC2K、200mLの塩化メチレンおよび8.23g(0.104mol)のピリジンを入れた。攪拌すると透明な溶液が得られた。20mLのサンプル瓶に、トリホスゲン2.33g(ホスゲン3.2当量)を塩化メチレン8mLに溶解させ、シリンジポンプを用いて反応フラスコに2時間かけて添加した。反応混合物を15分間攪拌し、次いでTHF−水の9:1混合物250mLでクエンチした。これをメタノール1500mLでオーバーヘッドスターラーを用いてビーカーに沈殿させた。1時間静置し、その後上澄みをデカンテーションで除いて捨てた。底部のにかわ状の沈殿をメタノール200mLで攪拌しながら洗浄した。次いで、これを200mLのDI水で洗浄した。残留物をPTFE皿に移し、真空下、24時間50℃で乾燥させた。ポリマー生成物は乾燥中ゲルになり、冷却すると硬化した。DSCにより融点が31.5℃であることが示された。
【0259】
実施例17:プロパン−ジオールとIPTEのモノエステル
250mLの丸底フラスコに、14.4g(190mmol)の1,3−プロパンジオール、(37.9mmol)のIPTE、1.44g(7.60mmol)のPTSAおよび150mLのクロロホルムを加えた。このフラスコに、水よりも重い溶媒を用いる、改良されたディーン−シュタークトラップを備え付けた。磁気スターラーを用いて撹拌しながら、このフラスコの内容物を還流させた。予想される量の水(約0.8mL)が集められるまで、反応を続けた。反応混合物を蒸発させて乾燥し、その後、100mLの5%NaHCO溶液と共に10分間撹拌し、水層を分離した。この操作を合計で3回繰り返し、次に、100mLの純水で洗浄した。濾過することにより、生成物を単離し、水で洗浄し、さらに真空オーブン中、40℃で乾燥させた。
【0260】
当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく多くのおよび多様な修正がなされうることが理解できるであろう。したがって、本明細書中に記載された本発明の多様な実施形態は、説明のためだけのものであって本発明の技術的範囲を制限しようとするものではないことは明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)の第1繰り返し単位:
【化1】

式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【化2】

から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIa)の第2繰り返し単位:
【化3】

式中:
およびXは独立してO、SおよびNRからなる群から選択され、ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択され;
Arはハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【化4】

からなる群から選択され;
は置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択される、;
を含む、生体適合性ポリマー。
【請求項2】
式(IIa)のXおよびXはいずれも酸素原子である、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項3】
Arは少なくとも1つのハロゲン原子が置換したフェニル環である、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項4】
Arは、Xに対してオルト位に2つのヨウ素原子が置換したフェニル環である、請求項3に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項5】
は、1〜10の炭素原子を含むオキシアルキル、アミノアルキルまたはチオアルキル基である、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項6】
は、2つの炭素原子を含むオキシアルキル基である、請求項5に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項7】
は、構造:
【化5】

を有するカルボニルである、請求項1に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項8】
iは1であり、−O−基はo−位にある、請求項7に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項9】
iは1であり、−O−基はm−位にある、請求項7に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項10】
iは1であり、−O−基はp−位にある、請求項7に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項11】
式(Ia)の第1繰り返し単位:
【化6】

式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
はそれぞれ独立して
【化7】

から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択され;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IIIa)の第2繰り返し単位:
【化8】

式中:
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【化9】

からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
はカルボニル基である;
を含む、生体適合性ポリマー。
【請求項12】
それぞれのX、X、X、X、X、およびXは酸素原子である、請求項11に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項13】
ArおよびArはそれぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたフェニル環である、請求項11または12に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項14】
ここで、ArおよびArはいずれも、2つのヨウ素原子で置換されたフェニル環である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項15】
およびRはそれぞれ独立して、11〜14の炭素原子を含むアルキレン基である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項16】
およびRはいずれも、エチレン基である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項18】
前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む、請求項17に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項19】
前記アルキレンジオールはヘキサンジオールである、請求項18に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項20】
前記ヒドロキシ−キャップマクロマーに対する前記ポリマーの重量比は、約25:75〜約99:1である、請求項17または18に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項21】
(IIIb)の構造を有する少なくとも1つの繰り返し単位を含む、請求項11に記載の生体適合性ポリマー:
【化10】

ここで、HX−D−XHは24以下の炭素原子を含むアルキレンジオール、24以下の炭素原子を含むアルキレンジアミン、24以下の炭素原子を含むアルキレンジメルカプタン、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミンエンドキャップマクロマーを定義する。
【請求項22】
前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む、請求項21に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項23】
式(Ia)の第1繰り返し単位:
【化11】

式中:
iは1〜4から選択される整数であり;
およびyはそれぞれ独立して0、1、2、3および4から選択され;
およびXはそれぞれ独立して臭素(Br)またはヨウ素(I)であり;
Xは酸素(O)、硫黄(S)またはNRであり;
は置換されていてもよいC1−30アルキルであり;
は水素または30以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキルアリール基であり、ここで、前記ヘテロアルキル基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜10のヘテロ原子を含み、前記ヘテロアルキルアリール基はO、NRおよびSから独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含み;
ここで、左方のフェニル環上の前記−Xおよび−O−基は、それぞれ独立してo−位、m−位、またはp−位にある;および
式(IVa)の第2繰り返し単位:
【化12】

式中:
fは0または1であり;
、X、X、X、X、およびXは独立して、O、SおよびNR(ここで、Rは水素および1〜30の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
ArおよびArは独立してハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される1〜4の置換基によって置換されていてもよい、フェニル、
【化13】

からなる群から選択され;
およびRは独立して、置換されていてもよい1〜10の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択され;
Bはカルボキシ基、
【化14】

(ここで、Bは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群から選択されるか、または、
【化15】

がキャップマクロマー構造を示すように、B、X、X、XおよびXが選択される)
の構造を有する基からなる群から選択され;
はそれぞれ独立して
【化16】

から選択され:
10はH、C1−30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC−C30ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され;
12はC−C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C−C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C−C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C−C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC−C30ヘテロアリールから選択される;
を含む生体適合性ポリマー。
【請求項24】
前記キャップマクロマー構造はマクロマージカルボキシレートである、請求項23に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項25】
、X、X、X、X、およびXは酸素原子である、請求項23または24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項26】
ArおよびArはそれぞれ独立して、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたフェニル環である、請求項23〜25のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項27】
ArおよびArはいずれも、2つのヨウ素原子で置換されたフェニル環である、請求項23〜26のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項28】
およびRはそれぞれ独立して、1〜10の炭素原子を含むアルキル基である、請求項23〜27のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項29】
およびRはいずれも、2つの炭素原子を含むアルキル基である、請求項23〜28のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項30】
は18以下の炭素原子を含むアルキル基である、請求項23〜29のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項31】
は3つの炭素原子、5つの炭素原子および6つの炭素原子からなる群から選択されるいずれかの数の炭素原子を含むアルキル基である、請求項23〜30のいずれか1項に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項32】
前記マクロマージカルボキシレートはポリ乳酸マクロマーブロックを含む、請求項24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項33】
前記マクロマージカルボキシレートはポリグリコール酸マクロマーブロックを含む、請求項24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項34】
前記マクロマージカルボキシレートはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)マクロマーブロックを含む、請求項24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項35】
前記マクロマージカルボキシレートはポリ−カプロラクトンマクロマーブロックを含む、請求項24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項36】
前記マクロマージカルボキシレートはヒドロキシエンドキャップポリアルキレンジオール、ポリアルキレンオキシドおよびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む、請求項24に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項37】
前記アルキレンジオールはヘキサンジオールである、請求項36に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項38】
前記ポリマーは、ヒドロキシエンドキャップマクロマー、メルカプトエンドキャップマクロマーまたはアミノエンドキャップマクロマーを用いたブロックコポリマーである、請求項23に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項39】
前記ヒドロキシエンドキャップマクロマーブロックは、ヒドロキシエンドキャップポリ−カプロラクトン、ヒドロキシエンドキャップポリ乳酸、ヒドロキシエンドキャップポリグリコール酸、ヒドロキシエンドキャップポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ヒドロキシエンドキャップポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキシド)およびヒドロキシエンドキャップポリジオキサノンからなる群から選択される少なくとも1つのマクロマーブロックを含む、請求項38に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項40】
前記アルキレンジオールはヘキサンジオールである、請求項39に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項41】
前記ヒドロキシ−キャップマクロマーに対する前記ポリマーの重量比は、約25:75〜約99:1である、請求項39に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項42】
は、以下の構造:
【化17】

を有するカルボニル基である、請求項23に記載の生体適合性ポリマー。
【請求項43】
は、構造:
【化18】

を有する基であり:
ここで、R12は、1〜18の炭素原子を含むアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニル基からなる群から選択される、請求項23に記載の生体適合性ポリマー。

【公表番号】特表2013−501107(P2013−501107A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523123(P2012−523123)
【出願日】平成22年7月31日(2010.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/044050
【国際公開番号】WO2011/014859
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(510144959)ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー (6)
【Fターム(参考)】