医療装置位置検出システム、医療装置誘導システム、医療装置誘導システムの位置検出方法および医療装置誘導システムの誘導方法
【課題】 医療装置の方向を精度良く検出することができる医療装置位置検出システムおよび医療装置誘導システムの位置検出方法を提供する。
【解決手段】 被検体内に導入される医療装置3と、医療装置3内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、医療装置3を誘導する磁界応答部と、被検体内に磁界を形成する磁界発生部45と、医療装置3の方向を検出する方向検出磁界を磁界発生部45から発生させる方向検出磁界制御部49と、方向検出磁界による磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、方向検出磁界の方向記応答検出部の検出結果とに基づいて、医療装置3の方向を算出する方向算出部35と、が設けられたことを特徴とする。
【解決手段】 被検体内に導入される医療装置3と、医療装置3内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、医療装置3を誘導する磁界応答部と、被検体内に磁界を形成する磁界発生部45と、医療装置3の方向を検出する方向検出磁界を磁界発生部45から発生させる方向検出磁界制御部49と、方向検出磁界による磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、方向検出磁界の方向記応答検出部の検出結果とに基づいて、医療装置3の方向を算出する方向算出部35と、が設けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される医療装置を誘導する医療装置位置検出システム、医療装置誘導システム、医療装置誘導システムの位置検出方法および医療装置誘導システムの誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル内視鏡等の医療装置を体腔内で誘導する方法として、医療装置に磁石を内蔵させ、外部から磁石に磁界を加えることにより、医療装置の位置および向きを制御する医療装置の磁気誘導技術が開発されている。
【0003】
上述の磁気誘導技術の1つとして、回転磁界で医療装置を誘導する誘導システムにおいて、医療装置の画像の回転を補正する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、2枚の取得画像を対比して、座標変換の履歴から医療装置の理論的な回転量が算出されている。また、連続する画像を用いた画像マッチングによって、体壁と回転の負荷による医療装置の回転角と、回転磁界の回転角との回転角誤差が算出されている。このように算出された理論的な回転量と回転角誤差とを足し合わせることで、2枚の取得画像の間における、医療装置の実際の回転量が算出されている。
【0004】
また、磁気勾配で医療装置を誘導するシステムも開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−299612号公報
【特許文献2】特開2005−103091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1においては、医療装置の回転量を累積によって求めるため、時間が経過するとともに回転量の誤差が累積し大きくなる恐れがあった。このように回転量の誤差が累積した場合、医療装置の回転角と回転磁界の回転角との不一致により、医療装置を安定して制御できなくなる恐れがあった。
【0006】
また、上述の特許文献2においては、医療装置内の磁石の方向と、発生する磁界の方向の角度差が考慮されていないため、効率的に磁気引力を発生させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、医療装置の方向を精度良く検出することができる医療装置位置検出システムおよび医療装置誘導システムの位置検出方法、並びに、医療装置を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができる医療装置誘導システムおよび医療装置誘導システムの誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、被検体内に導入される医療装置と、該医療装置内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、前記医療装置を誘導する磁界応答部と、前記被検体内に磁界を形成する磁界発生部と、前記医療装置の方向を検出するための方向検出磁界を前記磁界発生部から発生させる方向検出磁界制御部と、前記方向検出磁界による前記磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、前記方向検出磁界の方向と前記応答検出部の検出結果とに基づいて、前記医療装置の方向を算出する方向算出部と、が設けられた医療装置位置検出システムを提供する。
【0009】
本発明によれば、被検体内の医療装置は、磁界発生部により形成された方向検出磁界内に位置することから、医療装置内の磁界応答部は方向検出磁界に応答する。この磁界応答部の応答は応答検出部により検出される。医療装置の方向は、医療装置の回転量を累積によって求める方法と比較して、方向検出磁界の方向と検出された磁界応答部の応答とに基づいて算出されることから、より高い精度で求められる。
【0010】
上記発明においては、前記医療装置における互いに異なる方向を有する3つの軸方向のうち、互いに異なる方向を有する2つの軸の方向が前記応答検出部により算出され、前記2つの軸からなる平面に対して交差する軸の方向が前記方向算出部により算出されることが望ましい。
本発明によれば、上記3つの軸方向のうち、上記2つの軸方向が方向検出磁界による磁界応答部の応答から算出されるため、医療装置内に別途検出部を設ける必要がなく、その構成が簡略化される。
【0011】
上記発明においては、前記応答検出部が前記被検体内の画像を取得する画像取得部からなることが望ましい。
本発明によれば、画像取得部により取得された画像に基づいて、方向検出磁界による医療装置の応答が検出される。そのため、医療装置内に別途検出部等を設ける必要がなく構成が簡略化されることから、医療装置が小型化される。
【0012】
上記発明においては、前記応答検出部前記磁界応答部に発生する力を測定する磁気力測定部からなることが望ましい。
本発明によれば、磁気力測定部により磁界応答部の応答が直接検出されることから、医療装置の方向検出の精度が高くなる。また、位置検出計算や、画像処理が不要となることから、医療装置の位置等を求める際のデータ処理が容易となる。
【0013】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、静磁界を発生するように前記磁界発生部を制御することが望ましい。
本発明によれば、磁界発生部から交番磁界を発生させる方法と比較して、静磁界を発生させる際における磁界発生部の制御が容易となる。
【0014】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、方向または強度が異なる複数の磁界を順次発生するように前記磁界発生部を制御し、前記方向算出部が、前記複数の磁界に対する前記応答検出部の各検出結果に基づいて前記医療装置の方向を算出することが望ましい。
【0015】
本発明によれば、方向検出磁界の磁界方向または磁界強度を変更することにより、医療装置の方向検出に必要な磁界応答部の応答に係る複数の情報が取得される。そのため、医療装置の位置検出精度を保ったまま、医療装置位置検出システムのシステム構成が簡略化される。
【0016】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、勾配磁界を発生するように前記磁界発生部を制御することが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界として形成された勾配磁界による磁界応答部の応答から、医療装置の方向が検出されるため、磁界発生部は、勾配磁界である方向検出磁界と、均一な磁界である他の磁界とを形成する発生部として共有される。
【0017】
上記発明においては、前記医療装置が略円筒形状で、前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略平行であることが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界を磁界応答部に作用させることにより、磁界応答部は略円筒形状の中心軸周りに回転される。応答検出部に検出された磁界応答部の回転角に基づいて、方向検出磁界の磁界方向と磁界応答部の磁化方向とのなす角が算出され、磁界応答部の磁化方向が求められる。
なお、求められた磁化方向は中心軸に対して略垂直であるとともに、上記2つの軸からなる面に対して交差することから、上記2つの軸からなる面は中心軸に対して略平行となる。
【0018】
上記発明においては、前記医療装置が略円筒形状で、前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略垂直であることが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界を磁界応答部に作用させることにより、磁界応答部は略円筒形状の中心軸周りに回転される。回転前の磁界応答部の磁化方向と回転後の磁界応答部の磁化方向とを含む面を求めることにより、上記2つの軸からなる面が求められる。回転前および回転後の磁界応答部の磁化方向は、中心軸に対して略垂直であるから、求められた上記2つの軸からなる面も中心軸に対して略垂直となる。
そのため、上記2つの軸からなる面を求めることにより、医療装置の中心軸の方向が求められる。
【0019】
上記発明においては、前記磁気力測定部が、前記磁界応答部に働く圧力、歪およびトルクの少なくとも一つを測定するセンサであり、前記磁界応答部が前記センサを介して前記医療装置に固定されることが望ましい。
本発明によれば、磁気力測定部により磁界応答部の応答が、圧力、歪およびトルクの少なくとも一つとして直接検出される。
また、磁界応答部の応答が、センサである磁気力測定部を介して医療装置に伝達されるため、医療装置の誘導に磁界応答部が用いられる。
【0020】
本発明は、上記本発明の医療装置位置検出システムと、前記医療装置を誘導する誘導磁界を前記磁界発生部から発生させる誘導磁界制御部と、が設けられ、前記方向算出部の算出結果に基づいて、前記誘導磁界制御部が前記磁界発生部を制御する医療装置誘導システムを提供する。
【0021】
本発明によれば、医療装置方向算出部の算出結果に基づいて、磁界発生部から発生された誘導磁界の磁界方向を調整することにより、誘導磁界を効率よく磁界応答部に作用させることができる。また、磁界応答部の方向に対して意図した通りに磁界を作用させることができ、医療装置を安定して制御することができる。
【0022】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度が、前記誘導磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度よりも小さいことが望ましい。
【0023】
本発明によれば、方向検出磁界は誘導磁界より磁界強度が小さいことから、方向検出磁界により医療装置の位置および方向は変化しにくく、誘導磁界による医療装置の誘導に影響を与えにくい。
例えば、磁気力測定部により磁界応答部に発生する力を測定する場合には、方向検出磁界の強度を、磁気力測定部が上記力を測定できる強度以上であって、医療装置が動かない強度以下とすることで、医療装置を動かすことなく、方向検出を高い精度で行うことができる。
【0024】
本発明は、磁界発生部が、医療装置に備えられた磁界応答部の磁化方向を検出する方向検出磁界を発生する検出磁界発生ステップと、前記磁界応答部の応答を検出する応答検出ステップと、前記磁界応答部の応答と、前記方向検出磁界の方向から、前記医療装置の方向を検出する方向検出ステップと、からなる医療装置誘導システムの位置検出方法を提供する。
【0025】
本発明によれば、医療装置は、磁界発生部により形成された方向検出磁界内に位置することから、医療装置内の磁界応答部は方向検出磁界に応答する。この磁界応答部の応答は応答検出部により検出される。医療装置の方向は、方向検出磁界の方向と、検出された磁界応答部の応答に基づいて算出されるため、医療装置の回転量を累積によって求める方法と比較して、より高い精度で求められる。
【0026】
本発明は、上記本発明の医療装置検出システムの誘導方法における前記方向検出ステップの後に、前記検出された医療装置の方向に基づいて、前記磁界発生部が前記医療装置を誘導する誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップを備える医療装置誘導システムの誘導方法を提供する。
本発明によれば、磁界発生部から発生された誘導磁界の向きを調整して、誘導磁界を効率よく磁界応答部に作用させることができる。また、磁界応答部の方向に対して意図した通りに磁界を作用させることができ、医療装置を安定して制御することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の医療装置位置検出システムおよび医療装置誘導システムの位置検出方法によれば、方向検出磁界の方向と検出された磁界応答部の応答とに基づいて、医療装置の方向を算出するため、医療装置の方向を精度良く検出することができるという効果を奏する。
本発明の医療装置誘導システムおよび医療装置誘導システムの誘導方法によれば、医療装置方向算出部の算出結果に基づいて、磁界発生部から発生された誘導磁界の磁界方向を調整するため、医療装置を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る医療装置誘導システムについて図1から図12を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図が示されている。
医療装置誘導システム1には、図1に示すように、被検体の体腔内に導入されるカプセル医療装置(医療装置)3と、カプセル医療装置3の位置および方向を検出するとともにカプセル医療装置3を誘導する外部装置5と、が設けられている。
【0029】
図2には、図1のカプセル医療装置における座標軸と、外部装置における座標軸とを説明する図が示されている。
カプセル医療装置3には、図2に示すように、up軸(以後、u軸と表記する。)、right軸(以後、r軸と表記する)、front軸(以後、f軸と表記する。)からなる右手座標軸が設定されている。具体的には、永久磁石21の磁化方向に延びるのがu軸、カプセル医療装置3の半径方向に延びるのがr軸、カプセル医療装置3の長手軸線方向に延びるのがf軸である。一方、外部装置5には、x軸、y軸、z軸からなる右手座標系が設定されている。
【0030】
図3には、図1のカプセ医療装置の内部構成を説明する模式図が示されている。
カプセル医療装置3は、図3に示すように、内部に各種の機器を収納する外装7と、被検体の体腔内画像を取得する撮像部(画像取得部、応答検出部)9と、外装7内部の各種機器に動力を供給する電源部11と、発振磁界を発生する発振コイル15と、画像データ等を体外に向けて送信する無線送信機17と、電源部11、撮像部9、発振コイル15および無線送信機17を制御する制御部19と、磁界に対して応答する永久磁石(磁界応答部)21とを備えている。
【0031】
外装7は、カプセル医療装置3のf軸を中心軸とする赤外線を透過する円筒形状のカプセル本体7aと、カプセル本体7aの前端を覆う透明で半球形状の先端部7bと、カプセル本体7aの後端を覆う半球形状の後端部7cとから形成され、水密構造で密閉されたカプセル容器を形成している。
また、外装7のカプセル本体7aの外周面には、f軸を中心として断面円形の線材を螺旋状に巻いた螺旋部23が備えられている。そのため、カプセル医療装置は、f軸を中心として回転されることにより、前進または後進することができる。
【0032】
撮像部9は、被検者の体腔内を撮影して画像を取得するものである。撮像部9には、f軸方向に対して略垂直に配置された基板25aの後端部7c側の面に配置された撮像素子であるイメージセンサ27と、被検者の体腔内面の像をイメージセンサ27に結像させるレンズ群29と、体腔内面を照明するLED(Light Emitting Diode)31とが備えられている。
【0033】
イメージセンサ27は、先端部7bおよびレンズ群29を介して結像された光を電気信号(画像信号)に変換して制御部19へ出力している。このイメージセンサ27としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を用いることができる。
また、LED31は基板25aに、f軸を中心として周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0034】
発振コイル15は発振磁界を発生するものであり、外装7のカプセル本体7aの半径方向内方に円筒状に巻かれて配置されている。
つまり、発振コイル15は中心軸線がf軸方向と略平行に配置され、発振コイル15の開口方向は、永久磁石21の磁化方向に対して直交する方向に配置されている。
【0035】
制御部19は、電源部11と発振コイル15とイメージセンサ27とLED31とに電気的に接続されている。また、制御部19は、イメージセンサ27が取得した画像信号を無線送信機17から送信するとともに、発振コイル15とイメージセンサ27とLED31とのオン・オフを制御している。
【0036】
永久磁石21は、外部装置5から受ける方向検出磁界M1および誘導磁界M2に応じて駆動力を発生するものである。永久磁石21は、無線送信機17の後端部7c側に配置されている。永久磁石21は、f軸方向に対して直交方向(例えば、図における上下方向)に磁化方向(磁極)を有するように配置または着磁されている。
【0037】
外部装置5には、図1に示すように、位置姿勢検出部33と、方向算出部35と、磁界制御部37と、電源39と、インターフェイス41と、画像データ受信部43と、磁界発生部45とが設けられている。
【0038】
図4は、図1の位置姿勢検出部の構成を説明する模式図である。
位置姿勢検出部33は、外部装置5の座標系におけるカプセル医療装置3の座標値(位置)と、カプセル医療装置3のf軸の方向、つまりカプセル医療装置3のu軸、r軸周りの回転位相と、の5自由度を検出するものである。これらの座標値および回転位相の算出方法については、公知の算出方法を用いることができ、特に限定するものではない。位置姿勢検出部33には、図4に示すように、複数の検出コイル47が設けられ、検出コイル47の検出信号が入力されている。
検出コイル47は、カプセル医療装置3の発振コイル15から発振された発振磁界を検出するものであり、カプセル医療装置3の作動範囲の周囲に配置されている。
【0039】
方向算出部35は、図1に示すように、カプセル医療装置3のu軸およびr軸の方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相(医療装置の方向)の1自由度を算出するものである。回転位相の算出方法の詳細については後述する。方向算出部35には、図1に示すように、方向算出部35からインターフェイス41のデータ処理部53にカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力されている。
【0040】
磁界制御部37は、図1に示すように、カプセル医療装置3の作動範囲内に方向検出磁界M1とおよび誘導磁界M2を形成する磁界形成信号を出力するものである。方向検出磁界M1は、カプセル医療装置3のf軸周りの位相、つまり永久磁石21の磁化方向を検出する際に用いられる磁界である。また、誘導磁界M2はカプセル医療装置3を誘導する磁界であり、カプセル医療装置3におけるf軸の向きを制御するとともに、f軸周りに回転駆動させる回転磁界である。
【0041】
磁界制御部37には、方向検出磁界M1の磁界方向および磁界強度を制御する磁界形成信号を生成する方向検出磁界制御部49と、誘導磁界M2の磁界方向および磁界強度を制御する磁界形成信号を出力する誘導磁界制御部51とが設けられている。
方向検出磁界制御部49は、カプセル医療装置3の方向検出時に、磁界発生部45が発生する磁界を制御する磁界形成信号を出力する。一方、誘導磁界制御部51は、カプセル医療装置3の誘導時に、磁界発生部45が発生する磁界を制御する磁界制御信号を出力する。
磁界制御部37には、方向算出部35からカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力され、インターフェイス41のデータ処理部53から操作者が入力した操作情報が入力されている。
【0042】
図5は、図2のカプセル医療装置における他の駆動方法を説明する図である。
なお、上述のように、誘導磁界M2が回転磁界であって、カプセル医療装置3が回転磁界により駆動されてもよいし、図5に示すように、誘導磁界M2が磁気勾配のある静磁界である勾配磁界であって、カプセル医療装置3が勾配磁界により駆動されてもよく、特に限定するものではない。図5においては、右側に向うほど勾配が急となる誘導磁界が形成され、カプセル医療装置3を右側に駆動する磁気引力が作用している状態が示されている。
このように磁界発生部45から勾配磁界を発生させることにより、交番磁界である回転磁界を発生させる方法と比較して、磁界発生部45の制御が容易となる。
【0043】
電源39は、図1に示すように、磁界制御部37の制御信号に基づいて、磁界発生部45から方向検出磁界M1および誘導磁界M2を発生させる交流電力を出力するものである。電源39には、図1に示すように、磁界制御部37から制御信号が入力され、電源39から磁界発生部45に交流電力が供給されている。
【0044】
図6は、図1のインターフェイスの構成を説明する模式図である。
インターフェイス41は、操作者からカプセル医療装置3の操作量が入力されるとともに、カプセル医療装置3が取得した画像を表示するものである。インターフェイス41には、図6に示すように、データ処理部53と、操作部55と、表示部57とが設けられている。
【0045】
データ処理部53は、表示部57に表示される画像データを算出するとともに、磁界制御部37に入力される操作情報を算出するものである。具体的には、データ処理部53は、画像データ受信部43から入力されたカプセル医療装置3の回転とともに回転する画像データを、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、静止した画像データに変換している。
また、データ処理部は、操作部55から入力されたカプセル医療装置の座標系(u軸、r軸、f軸からなる座標系)に基づく操作情報を、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、外部装置5の座標系(x軸、y軸、z軸からなる座標系)に変換している。
【0046】
データ処理部53には、画像データ受信部43から画像データが入力されるとともに、方向算出部35からカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力され、データ処理部53から表示部57に静止した画像データが出力されている。また、データ処理部53には、操作部55からカプセル医療装置3の座標系に基づく進行方向および進行速度に係る操作情報が入力され、外部装置5の座標系に基づく操作情報に変換されてから、磁界制御部37に出力されている。
【0047】
図7および図8は、図6の操作部の構成を説明する概略図である。
操作部55は、操作者からカプセル医療装置3の進行方向および進行速度(操作情報)が入力されるものである。操作部55には、図7および図8に示すように、カプセル医療装置3の進行方向が入力される方向制御部59と、カプセル医療装置3の前進および後進を含む進行速度が入力されるアクセル61とが設けられている。
【0048】
方向制御部59は互いに直交する2つの方向に沿って倒れるように設けられた棒状の部材である。方向制御部59を図におけるup側に倒すと、カプセル医療装置3はup軸の正方向に向きを変えるように制御され、方向制御部59を反対方向に倒すと、カプセル医療装置3はup軸の負方向に向きを変えるように制御される。同様に、図におけるright側に方向制御部59を倒すとカプセル医療装置3はright軸の正方向に向きを変え、反対方向に方向制御部59を倒すと、カプセル医療装置3はright軸の負方向に向きを変える。
【0049】
アクセル61は1つの方向に沿って倒れるように設けられた棒状の部材である。アクセルを図におけるfront側に倒すとカプセル医療装置3は前進、つまりf軸の正方向に進むように制御され、back側に倒すとカプセル医療装置3は後進、つまりf軸の負方向に進むように制御される。また、アクセル61の倒した方向にかかわらず、アクセル61を倒した角度に応じてカプセル医療装置3の進行速度が制御される。
【0050】
図9は、図6の表示部を説明する模式図である。
表示部57は、カプセル医療装置3により撮像された画像データを表示するものである。表示部57には、図6に示すように、データ処理部53から静止した画像データが入力され、静止した画像が表示される。具体的には、図9に示すように、表示部57におけるup軸およびright軸が、カプセル医療装置3のu軸およびr軸と一致するように静止画像が表示される。
【0051】
画像データ受信部43は、図1に示すように、カプセル医療装置3の無線送信機17から送信された画像データを受信するものである。画像データ受信部43に受信された画像データは、図6に示すように、インターフェイス41のデータ処理部53に入力されている。
【0052】
磁界発生部45は、電源39から供給される交流電力に基づいて、方向検出磁界M1や誘導磁界M2を形成するものである。磁界発生部45としては、ヘルムホルツコイルなどの公知のコイルを用いることができ、特に限定するものではない。
また、本実施形態では、同一のコイルにより方向検出磁界M1と誘導磁界M2を形成する場合に適用して説明するが、方向検出磁界M1を形成するコイルと、誘導磁界M2を形成するコイルとを別々に設けてもよく、特に限定するものではない。
【0053】
次に、上記の構成からなる医療装置誘導システム1におけるカプセル医療装置の作用について説明する。
まず、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法について説明し、その後に本実施形態の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相の検出方法および検出された回転位相に基づいたカプセル医療装置3の誘導方法について説明する。
【0054】
まず、図1に示されるように磁界発生部45により誘導磁界M2が形成される空間Sに被験者を配置する。
次いで、カプセル医療装置3の電源を入れ、カプセル医療装置3を被検者の口部または肛門から体腔内に投入する。また、外部装置5においても位置姿勢検出部33等への電力を供給開始する。
【0055】
体腔内に投入されたカプセル医療装置3においては、所定時間後に撮像部9の作動が開始され、LED31からの照明光により照明された体腔内面の画像が、イメージセンサ27により取得される。取得された画像データは、制御部19を介して無線送信機17に引き渡され、無線送信機17を介して画像データ受信部43に送信される。
【0056】
画像データは、画像データ受信部43からインターフェイス41のデータ処理部53に入力される。データ処理部53において、カプセル医療装置3の回転とともに回転する画像データは、方向算出部35により算出されたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、静止した画像データに変換される。変換された画像データは表示部57に出力され、表示部57に体腔内面の画像が表示される。
【0057】
表示部57に表示された体腔内面の画像を確認した操作者は、インターフェイス41の操作部55を操作することにより、カプセル医療装置3の進行方向および進行速度などの操作情報をデータ処理部53に入力する。操作部から入力される操作情報はカプセル医療装置の座標系に基づく操作情報であるので、データ処理部は、方向算出部35により算出されたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、外部装置5の座標系に基づく操作情報に変換する。
【0058】
変換された操作情報は磁界制御部37に入力される。磁界制御部37は、誘導磁界制御部51において、回転磁界である誘導磁界M2の回転軸方向、回転方向および回転速度等を決定し、誘導磁界M2を形成する磁界形成信号を電源39に出力する。電源39は入力された磁界形成信号に基づいて発生した交流電力を磁界発生部45に供給する。これにより、磁界発生部は励磁され、所望の誘導磁界M2が形成される。
なお、誘導磁界M2の回転軸方向は、カプセル医療装置3の方向(f軸の方向)や進行方向を制御するものであり、回転方向は、カプセル医療装置3の前進および後進を制御するものであり、回転速度はカプセル医療装置3の進行速度を制御するものである。
【0059】
次に、本実施形態の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相、つまり、方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
まず、磁界制御部37の方向検出磁界制御部49は、位置姿勢検出部33により算出されたカプセル医療装置3のf軸の方向に対して、垂直な面(u−r平面)内で磁界方向が任意方向で、磁界強度がH1の方向検出磁界M1を発生する磁界形成信号を磁界発生部45に出力する。これにより、磁界発生部45は方向検出磁界M1を発生する。
【0060】
図10は、磁界強度H1の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
カプセル医療装置3の永久磁石21に対して方向検出磁界M1が働いている状態で、イメージセンサ27により、図10に示すような、体腔内壁の画像が取得される。ここで、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向との角度ズレを検出するのに用いられる検出パターンPが設定される。
【0061】
そして方向検出磁界制御部49は、方向検出磁界M1の磁界方向はそのままで、磁界強度をH2に強くする磁界形成信号を磁界発生部45に出力する。これにより、磁界発生部45は磁界強度がH2の方向検出磁界M1を発生する(検出磁界発生ステップ)。
方向検出磁界M1の磁界強度が強くなると、永久磁石21に働くトルクTが強くなり、カプセル医療装置3はf軸周りに回転する。
【0062】
図11は、磁界強度H2の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
このようにカプセル医療装置3に磁界強度がH2の方向検出磁界M1を作用させた後、イメージセンサ27により、図11に示すような、体腔内壁の画像が取得される。このとき画像に写されている検出パターンPは、図10に示す画像と比較して、角度αだけ回転している。
方向算出部35は、図10および図11に示す画像を比較して、検出パターンPの回転角αを検出することにより、カプセル医療装置3のf軸周りの回転角αを求める(応答検出ステップ)。検出パターンPを複数個設定することで、より正確にαを求めることができる。
【0063】
図12は、永久磁石の磁界と、方向検出磁界と、永久磁石に働くトルクとの関係を示す図である。
方向算出部35は、方向検出磁界M1の磁界強度変化の前後における永久磁石21に働くトルクの関係式と、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角θの変化と回転角αとの関係式に基づいて、なす角θ(角度ズレ)を算出する(方向検出ステップ)。
ここで、磁界強度Hの方向検出磁界M1により、磁界強度Mの永久磁石21に働くトルクTは、図12に示す図から下記の式(1)により求められることが判る。
T=MHsinθ ・・・(1)
【0064】
方向検出磁界M1の磁界強度変化の前後において、永久磁石21に働くトルクTは変化しないため、下記の式(2)が導かれる。
MH1sinθ1=MH2sinθ2 ・・・(2)
ここで、θ1は、磁界強度H1の方向検出磁界M1が形成されている時の方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角であり、θ2は、磁界強度H2の方向検出磁界M1が形成されている時の方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角である。
また、回転角αはなす角θ1とθ2を用いて下記の式(3)のように表される。
θ1−θ2=α ・・・(3)
【0065】
方向算出部35は、上記の式(2)および式(3)に基づいて、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角θ1,θ2を算出する。
このように算出されたなす角θ1,θ2および方向検出磁界M1の磁界方向により、永久磁石21の磁化方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相(方向、姿勢)が求められる。
【0066】
方向算出部35により求められたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相は、磁界制御部37の誘導磁界制御部に入力される。誘導磁界制御部は、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて誘導磁界M2の磁界方向を決定し、磁界発生部から誘導磁界M2を発生させる(誘導磁界発生ステップ)。
【0067】
なお、カプセル医療装置3の誘導と方向検出は交互に繰り返して行われ、カプセル医療装置3の方向検出の結果は誘導磁界M2の制御にフィードバックされる。上述のなす角θが適切な値になるように誘導磁界M2の磁界方向を制御することで、カプセル医療装置3をより効率的かつ安定して制御することができる。
【0068】
上記の構成によれば、方向算出部35において永久磁石21の磁化方向と方向検出磁界M1の磁界方向とのなす角θ(角度差)が算出されるため、カプセル医療装置における位置姿勢(6自由度)の内、5自由度を検出する位置姿勢検出部を用いて6自由度の位置姿勢検出ができる。
なす角θは、方向検出磁界M1の磁界強度を強くした時のカプセル医療装置3(永久磁石21)の回転角αに基づいて、方向算出部35において算出される。このように、算出されたなす角θを用いることで、方向算出部35はカプセル医療装置3のf軸周りの向き(永久磁石21の磁化方向の向き)を算出できる。
【0069】
上述のように、カプセル医療装置3のf軸周りの向きが算出されることにより、データ処理部53において、カプセル医療装置の回転と共に回転する画像データを静止した画像データに補正する際に、より正確な回転補正を行うことができる。
【0070】
また、誘導磁界M2として回転磁界を発生した後に、続けて誘導磁界M2として勾配磁界を発生させて、カプセル医療装置に磁気引力を作用させる場合、効率的に磁気引力を発生させることができる。つまり、カプセル医療装置3のf軸周りの向きに合わせて(永久磁石21の磁化方向と平行となるように)、勾配磁界の磁界方向を決定することで、永久磁石に効率的に磁気引力を働かせることができ、効率的に磁気引力を発生することができる。
【0071】
被検体内のカプセル医療装置3は、磁界発生部45により形成された方向検出磁界M1内に位置することから、カプセル医療装置3内の永久磁石21は方向検出磁界M1によりf軸周りに回転される。この永久磁石21(カプセル医療装置3)の回転角αは撮像部9により撮像された画像から検出される。カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相は、カプセル医療装置3の回転量を累積によって求める方法と比較して、方向検出磁界M1の磁界方向と検出された永久磁石21のカプセル医療装置3の回転角αとに基づいて算出されることから、より高い精度で求められる。
【0072】
言い換えると、方向検出磁界M1を永久磁石21に作用させることにより、カプセル医療装置3はf軸周りに回転され、カプセル医療装置3の回転角αは撮像部9により撮像された画像から検出される。u軸およびr軸の方向は、検出された回転角αに基づいて算出される。
【0073】
カプセル医療装置3におけるu軸、r軸およびf軸の軸方向のうち、r軸およびf軸の軸方向が方向検出磁界M1による永久磁石21の回転角αから算出されるため、カプセル医療装置3内に別途検出部を設ける必要がなく、その構成を簡略化できる。
【0074】
撮像部9により取得された少なくとも2枚の画像を比較することにより、方向検出磁界M1によるカプセル医療装置3の回転角αが検出されるため、カプセル医療装置3内に別途検出部等を設ける必要がなく構成が簡略化されることから、カプセル医療装置3を小型化できる。
【0075】
方向検出磁界M1の磁界強度をH1からH2に強くすることにより、カプセル医療装置3の方向検出に必要な永久磁石21の回転に係る複数の情報が取得されるため、カプセル医療装置3の位置検出精度を保ったまま、医療装置誘導システム1のシステム構成を簡略化できる。
【0076】
方向算出部35により求められたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、磁界発生部45から発生された誘導磁界M2の磁界方向を、永久磁石21の磁化方向と平行となるように調整するため、誘導磁界M2を効率よく永久磁石21に作用させることができる。また、永久磁石21の磁化方向に対して意図した通りに誘導磁界M2を作用させることができ、カプセル医療装置3を安定して制御することができる。
【0077】
なお、上述の誘導磁界M2の制御に、下記に説明する制御を行ってもよく、特に限定するものではない。
回転磁界である誘導磁界M2を発生させ、カプセル医療装置3をf軸周りに回転させながら誘導する場合には、誘導磁界M2発生中に磁界発生部45に供給される電流は変化する。このように、供給される電流が変化する場合には、電源39に過大な負荷がかかるのを避けるため、磁界強度の強い誘導磁界M2の発生は行われない。
【0078】
かかる状態で誘導磁界M2の発生を停止させた場合には、永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角が大きな値のままカプセル医療装置3は停止する。すると、次に勾配磁界である誘導磁界M2を発生させた場合、永久磁石21に働く磁気引力が小さくなる。
【0079】
そこで、回転磁界である誘導磁界M2を停止する直前に、静磁界であって強い磁界を発生させることで、誘導磁界M2の発生停止時における永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角(ずれ量)を小さくすることができる。すると、次にカプセル医療装置3の位置を磁気引力で制御する場合に、永久磁石21に効率的に磁気引力を発生させることができ、カプセル医療装置3の位置を正確に制御することができる。
【0080】
〔第1の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図13および図14を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図13および図14を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図13および図14は、本変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【0081】
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法も第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相、つまり、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
カプセル医療装置3の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置3は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。かかる場合に、カプセル医療装置3の誘導が停止、つまり誘導磁界M2の回転が停止されると、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とは、図13に示す関係となる。
なお、誘導磁界M2はカプセル医療装置3のf軸を中心に回転する磁界である。
【0083】
図13においては、反時計回りに回転する誘導磁界M2によりカプセル医療装置3は回転駆動されていた場合を示し、永久磁石21の磁化方向よりも誘導磁界M2の磁界方向が反時計回りに進んだ状態となっている。このように、誘導磁界M2の磁界方向が永久磁石21の磁化方向よりも進むことにより、永久磁石21を回転する回転トルクが永久磁石21に発生する。
【0084】
その後、磁界強度を変更することなく、図14に示すように、誘導磁界M2を時計回りに回転させる。このとき、誘導磁界M2の回転を止めた位相からの回転角の計測を開始する。
そして、カプセル医療装置3の撮像部9により撮像された画像を観察し、カプセル医療装置3が時計回りに回転開始する誘導磁界M2の回転角θ3を計測する。
【0085】
ここで、カプセル医療装置3を反時計回りに回転させるのに必要な回転トルクと、時計回りに回転させる回転トルクとは、略同じ大きさであると見なせる。そのため、回転角θ3の半分の角度が誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角(角度ズレ)となる。
そこで、方向算出部35は、誘導磁界M2が回転停止したときの磁界方向から、時計回りにθ3/2だけ回転した方向を、永久磁石21の磁化方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相として算出する。
【0086】
上記の構成によれば、回転磁界である誘導磁界M2の回転方向を逆転させるだけで、永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角を算出できる。そのため、磁界を発生させる制御方法が、第1の実施形態と比較して簡単となる。
また、画像処理においては、カプセル医療装置3が回転を開始することを検出すればよい。したがって、第1の実施形態のように画像のパターンマッチングが複雑にならないので、より短時間で正確な角度検出が可能となる。
【0087】
なお、回転磁界は、上述のように誘導磁界M2であってもよいし、方向検出磁界M1であってもよく、特に限定するものではない。
【0088】
〔第1の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図15から図20を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図15から図20を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図15は、本変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR1を説明する斜視図である。図16は、本変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR2を説明する斜視図である。図17は、図16の回転磁界をZ軸から見た上面視図である。
【0089】
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法も第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置3におけるY軸周りの回転位相、つまり、回転磁界MRの磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
まず、図15に示すように、カプセル医療装置3におけるZ−X平面内においてY軸を中心として回転する回転磁界MR1を発生させる。次に、図16および図17に示すように、カプセル医療装置3におけるZ−X平面に対して角度αだけ回転した平面(以後、回転平面と表記する。)内において、Y軸との交点を中心として回転する回転磁界回転磁界MR2を発生させる。
ここで、図16および図17におけるX軸、Y軸およびZ軸は、図2におけるr軸、f軸およびu軸に相当するものである。
【0091】
各回転磁界MR1,MR2でカプセルを回転させ、発生する磁界の方向とXY平面との角度がθの時(回転磁界の方向が同じ時)の画像をそれぞれ取得する。
図18および図19は、回転磁界MR1,MR2を印加して画像を取得する時の、発生磁界とカプセル医療装置3、永久磁石21の関係をそれぞれ示した図である。
【0092】
図20は、回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向が同じ時に、カプセル医療装置3のイメージセンサ27により撮像された画像を比較したものであり、図20(a)は回転磁界MR1の画像、図20(b)は回転磁界MR2の画像を示すものである。
【0093】
取得した2枚の画像をパターンマッチングによって画像の移動方向(回転磁界の方向が変化したことによって、カプセル医療装置3が動いた方向)を検出することができる。さらに、検出された移動方向と、画像を取得するイメージセンサ27に対して位置決めされた永久磁石21の磁化方向との角度差φを求める。ここで、検出された移動方向はXY平面と平行となるので、求められた角度差φは、永久磁石21の磁化方向とXY平面との角度差となる。
【0094】
図18および図19に示すように、回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向とXY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φから、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向との角度差Δθが以下の式(4)で求まる。
Δθ=θ−φ ・・・(4)
また、発生磁界の方向と、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向に角度差Δθから、カプセル医療装置3のY軸周りの回転位相を求めることができる。
【0095】
なお、回転磁界MR1,MR2を発生した時にカプセル医療装置3が画像を取得する時の発生磁界の方向とXY平面との角度差は異なっていても良い。この場合、回転磁界MR1を発生した時の画像と回転磁界MR2を発生した時の画像を相対的に回転させることで、画像を取得した時の発生磁界の方向とXY平面との角度差の差分をキャンセし、発生磁界の方向とXY平面との角度差が同じ時に取得した画像と同様の処理を行うことができる。
【0096】
上記構成によれば、回転磁界MR1,MR2を発生した時に、カプセル医療装置3のイメージセンサ27で撮像されたそれぞれの画像から、回転磁界の方向とXY平面との角度差θの時の、永久磁石21の磁界方向とXY平面との角度差φが求められ、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向との角度差Δθを求めることができる。
【0097】
また、Δθを算出する過程に、回転磁界MR1,MR2の成す角αが含まれない。そのため、成す各Δθを求める際に、回転磁界MR1,MR2の面(回転面)の傾き(成す角α)が制限されず、回転磁界MR1,MR2の制御が容易となる。
【0098】
なお、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を、カプセル医療装置3の誘導とは切り離して単独で行ってもよいし、カプセル医療装置3を誘導する際に、カプセル医療装置3のY軸方向を転換させる時に、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行ってもよい。
つまり、カプセル医療装置3のY軸方向を転換させる際、カプセル医療装置3のY軸に垂直な面(Z−X面)と、回転磁界である誘導磁界M2の面との間に角度差が発生する。この角度差を利用して上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行うことができる。また、カプセル医療装置3の誘導中に、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行うことができるため、カプセル医療装置3の誘導および位置検出の効率がよくなる。
【0099】
なお、回転磁界MR1,MR2は、誘導磁界M2であってもよいし、方向検出磁界M1であってもよく、特に限定するものではない。
【0100】
〔第1の実施形態の第3変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第3変形例について図21から図23を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図21から図23を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
【0101】
図21は、本変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
カプセル医療装置103には、図21に示すように、永久磁石21の周囲に圧力センサ(磁気力測定部)122が配置されている。圧力センサ122は、永久磁石21に作用する磁気引力を検出するものである。本変形例においては、永久磁石21の周囲に等間隔に4つ配置されている例に適用して説明する。
【0102】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置103におけるf軸周りの回転位相、つまり、勾配磁界MSの磁界方向と永久磁石21の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置103の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
カプセル医療装置103の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置103は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。その後に、誘導磁界M2の発生が停止される。
【0103】
図22は、図21のカプセル医療装置に勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。図23は、図21のカプセル医療装置に他の勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
誘導磁界M2の停止後、図22に示すように勾配磁界MSを発生させ、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に働く磁気引力Fを永久磁石21に作用させる。ここで、図22に示す勾配磁界は、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に沿って磁力線が延びるとともに、上記磁界方向に向かって磁力線の密度が高くなる勾配磁界である。また、永久磁石21の磁化方向と、停止時における誘導磁界M2の磁界方向とのなす角はΔθである。
【0104】
あるいは、図23に示すように勾配磁界MSを発生させ、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に働く磁気引力Fを永久磁石21に作用させる。ここで、図23に示す勾配磁界は、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に沿って磁力線が延びるとともに、上記磁界方向に対して直交する方向に向かって磁力線の密度が高くなる勾配磁界である。
【0105】
永久磁石21に働く磁気引力Fは圧力センサ122に検出される。検出された磁気引力Fは、永久磁石21の磁化方向と、磁気引力の力方向とが同一方向であるときの理論磁気引力F0と比較される。具体的には、下記の式(5)に基づいて磁気引力Fは、理論磁気引力F0と比較されΔθが求められる。
F=F0cosΔθ ・・・(5)
このように求められたΔθと、停止時における誘導磁界M2の磁界方向とに基づいて、永久磁石21の磁化方向が算出される。
【0106】
上記の構成によれば、磁界発生部45において、カプセル医療装置103を誘導する勾配磁界を発生させる部分を、永久磁石21の磁化方向検出に用いる勾配磁界MSの発生に使用できるため、磁界発生部45の構成を簡略化できる。
言い換えると、方向検出のために形成された勾配磁界MSにより永久磁石21に働く磁気引力F(応答)から、カプセル医療装置103のf軸周りの位相が算出される。そのため、磁界発生部45は、勾配磁界MSと、カプセル医療装置103を誘導する他の均一な磁界を形成する発生部として共有することができる。
【0107】
圧力センサ122により永久磁石21に働く磁気引力が圧力として直接検出されることから、カプセル医療装置103のf軸周りの位相の算出精度が高くなる。また、位置検出演算や、画像処理が不要となることから、カプセル医療装置103の位置等を求める際のデータ処理が容易となる。
また、永久磁石21に働く磁気引力が、圧力センサ122を介してカプセル医療装置103に伝達されるため、カプセル医療装置103の誘導を継続することができる。
【0108】
〔第1の実施形態の第4変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第4変形例について図24を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図24を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
【0109】
図24は、本変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
カプセル医療装置203には、図24に示すように、永久磁石221の周囲に力センサ(磁気力測定部)222が配置されている。本実施例においては、磁化方向に平行な一対の面が形成されている永久磁石に適用して説明する。力センサ222は、永久磁石221に作用する磁気引力を検出するものである。本変形例においては、永久磁石221の一対の面に合計4つ配置されている例に適用して説明する。
【0110】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置203におけるf軸周りの回転位相、つまり、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石221の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置203の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
カプセル医療装置203の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置203は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。
【0111】
このとき、永久磁石221には誘導磁界M2により回転トルクTが発生しており、この回転トルクTによりカプセル医療装置203は回転駆動される。
力センサ222は、回転駆動される永久磁石221により押圧され力Fを検出する。力センサ222の検出信号は、撮像部9が撮像した画像データに重畳され外部装置5の画像データ受信部43に送信される。
【0112】
力センサ222により検出された力Fは、力センサ222の配置位置に基づいて永久磁石221に発生した回転トルクTを算出するのに用いられる。そして、算出された回転トルクTと、永久磁石221の磁界ベクトルMと、誘導磁界M2の磁界ベクトルHとの間の関係式(式(6))に基づいて、永久磁石221の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角θが算出される。
T=MHcosθ ・・・(6)
このように求められたθと、誘導磁界M2の磁界方向とに基づいて、永久磁石221の磁化方向が算出される。
【0113】
上記の構成によれば、カプセル医療装置203の誘導時に、永久磁石221の磁化方向と、誘導磁界M2の磁界方向とのなす角が算出され、永久磁石221の磁化方向が算出できる。
【0114】
永久磁石221に発生する回転トルクTを力センサ222により直接測定するので、永久磁石221の磁化方向を正確に算出できる。
また、永久磁石221の磁化方向の算出の際に行われるデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石221の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0115】
図25は、本発明の医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
なお、上述の第1の実施形態から第1の実施形態の第4変形例においては、医療装置としてカプセル医療装置を用いて説明したが、図25に示すように、内視鏡装置303を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0116】
内視鏡装置(医療装置)303には、図25に示すように、被験者の体腔内に挿入される内視鏡305と、内視鏡305の先端を誘導する永久磁石(磁界応答部)321と、前進または後進駆動力を発生させる螺旋部323とが設けられている。
内視鏡305には、体腔内を撮像するイメージングセンサ327と、イメージングセンサ327に体腔内の像を結像させるレンズ群329と、鉗子を内視鏡305の先端まで誘導する鉗子孔331とが設けられている。
【0117】
永久磁石321は内部に内視鏡305が挿通される円筒状に形成され、半径方向(例えば、図25において上下方向)に磁化されている。また、永久磁石321は、内視鏡305に対して中心軸線周りに回転可能に配置されるとともに、中心軸線方向への移動は規制されている。
螺旋部323は永久磁石321の外周面に螺旋状に配置され、内視鏡305に対して永久磁石321とともに回転可能に配置されている。
【0118】
このような内視鏡装置303を、本発明の医療装置誘導システムに対して用いることで、カプセル医療装置を用いた場合と同様に、内視鏡装置303の位置および方向を精度良く検出することができるとともに、内視鏡装置303を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができる。
【0119】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図26から図29を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図26から図29を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図26は、本実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図が示されている。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0120】
医療装置誘導システム301には、図26に示すように、被検体の体腔内に導入されるカプセル医療装置(医療装置)303と、カプセル医療装置303の位置および方向を検出するとともにカプセル医療装置303を誘導する外部装置305と、が設けられている。
【0121】
図27は、図26の医療装置誘導システムにおいて、第1の実施形態と異なる部分を説明する模式図が示されている。
カプセル医療装置303には、図27に示すように、磁化方向がカプセル医療装置303の半径方向と一致する永久磁石21と、中心軸線が永久磁石21の磁化方向と一致する発振コイル315と、が備えられている。
【0122】
外部装置305の位置姿勢検出部333は、外部装置305の座標系におけるカプセル医療装置303の座標値(位置)と、カプセル医療装置303のu軸の方向、つまりカプセル医療装置3のf軸、r軸周りの回転位相と、の5自由度を検出するものである。これらの座標値および回転位相の算出方法については、公知の算出方法を用いることができ、特に限定するものではない。位置姿勢検出部333には、複数の検出コイル47が設けられ、検出コイル47の検出信号が入力されている。
【0123】
方向算出部335は、図26に示すように、カプセル医療装置303のu軸周りの回転位相(医療装置の方向)、つまりカプセル医療装置303のf軸およびr軸の方向を算出するものである。算出方法の詳細については後述する。
【0124】
次に、本実施形態の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図28は、図26のカプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向と、カプセル医療装置のf軸方向との関係を説明する模式図である。図29は、図28のf軸方向から見た、カプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向の関係を説明する図である。
【0125】
まず、永久磁石21の磁化方向D1に対して、図28および図29に示すように、近い磁界方向を有する静磁界Mを発生させる。このときの静磁界Mの磁界強度は、カプセル医療装置303がf軸周りに回転するのに必要なトルクを発生させる磁界強度以上であって、カプセル医療装置303のf軸方向が移動する(旋回する)のに必要なトルクを発生させる磁界強度より弱い磁界強度であることが望ましい。
【0126】
このように、静磁界Mを発生させると永久磁石21にトルクが作用し、カプセル医療装置303は回転する。ここで、カプセル医療装置303の形状や、不均一性により、カプセル医療装置303のf軸周りの回転量は、u軸やr軸周りの回転量よりはるかに大きくなる。そのため、カプセル医療装置303は、静磁界Mによりf軸周りに回転すると見なせる。
具体的には、永久磁石21(カプセル医療装置303)は静磁界Mを発生させる前の方向D1から、静磁界Mを発生させることにより方向D2に回転する。
【0127】
この永久磁石21の回転は位置姿勢検出部333により検出され、検出された方向D1から方向D2への回転により、カプセル医療装置303の回転面(u−r面)が算出される。算出された回転面に対してf軸は垂直な位置関係を有するため、算出された回転面に基づいてf軸の方向が求められる。
磁気引力によりカプセル医療装置303を誘導する場合には、上述のように求められたf軸方向に基づいて、効率よく磁気引力を発生させる磁気勾配の方向が決定される。
【0128】
また、カプセル医療装置303をf軸周りに回転させる場合は、上述のように求められたu−r平面内に回転磁界を発生させることができる。
【0129】
なお、発生させる静磁界Mの磁界強度は、誘導磁界M2の磁界強度よりも小さくてもよい。
このようにすることで、カプセル医療装置303がほとんど旋回せず、正確なf軸方向を検出できる。
【0130】
また、上述のように、カプセル医療装置303のf軸方向を検出するために、静磁界Mを発生させてもよいし、カプセル医療装置303の誘導の際に発生させる誘導磁界M2を用いて、連続的にf軸方向を検出してもよく、特に限定するものではない。
このように、回転磁界を発生させながらf軸方向を検出する場合は、誘導を行いながらカプセル医療装置303のf軸方向を検出できるので効率がよい。
【0131】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置303の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができる。
【0132】
1方向の静磁界を発生させることにより、カプセル医療装置303のf軸方向が求められるため、他の方法と比較して効率がよい。
また、検出用の磁界を一回発生させることで、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができるため、求められたf軸方向の情報を、カプセル医療装置303の誘導制御へフィードバックするのに効率がよい。
【0133】
〔第2の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第1変形例について図30から図32を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図30から図32を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図30は、本変形例における方向検出時に発生される磁界の磁界方向を説明する模式図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法も第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0134】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、位置姿勢検出部333により予め検出された永久磁石21の磁化方向M(発振コイル315の中心軸線方向)に対して、同じ角度差を有する複数の方向検出磁界M1を発生させる。
【0135】
カプセル医療装置3は、発生した方向検出磁界M1によりf軸,u軸,r軸周りに方向が変化する。この時、カプセル医療装置の形状や不均一性により、カプセル医療装置のf軸周りの回転は、u軸やr軸周りの回転よりも応答性が良い。
【0136】
複数の方向検出磁界M1を印加した時の永久磁石21の磁化方向Mを、位置姿勢検出部333で求め、予め検出された方向検出磁界M1を印加する前の永久磁石21の磁化方向Mとの角度差を求める。この角度差が最大となる時の方向検出磁界M1の磁界方向と、予め検出された方向検出磁界M1を印加する前の永久磁石21の磁化方向Mからなる平面がu−r平面として算出される。算出された回転面に対してf軸は垂直な位置関係を有するため、算出された回転面に基づいてf軸の方向が求められる。
【0137】
磁気引力によりカプセル医療装置303を誘導する場合には、上述のように求められたf軸方向に基づいて、効率よく磁気引力を発生させる磁気勾配の方向が決定される。
具体的には、カプセル医療装置303の回転面は、位置姿勢検出部333により検出された方向検出磁界M1の発生前および発生後における永久磁石21の磁化方向Mに基づいて算出される。
【0138】
また、カプセル医療装置333をf軸周りに回転させる場合は、上述のように求められたu−r平面内に回転磁界を発生させることができる。
【0139】
一方、上述のように、カプセル医療装置303の回転面を、位置姿勢検出部333を用いて算出してもよいし、以下に説明するように、画像のパターンマッチングから求めてもよい。
図31は、複数の方向検出磁界M1を発生させる前に撮像された画像を説明する図である。図32は、複数の方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
【0140】
まず、複数の方向検出磁界M1を発生させる前に、被検体の体腔内を撮像部9により撮像し、撮像された画像において、図31に示すように、特定の検出パターンPを設定する。
そして、複数の方向検出磁界M1を発生させた状態で、被検体の体腔内を撮像部9により撮像する。このようにして撮像された画像において、検出パターンPは図32に示すように位置P1からP2に移動している。
【0141】
この検出パターンPの移動は、画像の中心を回転中心とする円周上を移動する回転方向成分MRと、画像の中心から径方向に移動する径方向成分MDに分離される。分離された成分のうち、複数の方向検出磁界M1ごとに得られた回転方向成分MRが最大となる方向検出磁界の磁界方向と、複数の方向検出磁界M1を発生させる前の位置姿勢検出部333によって予め検出された永久磁石21の磁化方向Mからなる平面をu−r平面として検出し、u−r平面に垂直な方向をf軸として検出する。
また、検出パターンPは複数個設定することで、より正確な回転方向成分MR,径方向成分MDを求めることができる。
【0142】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
【0143】
複数の方向検出磁界M1を用いて、カプセル医療装置303のf軸方向を算出するため、1つの方向検出磁界M1を用いる方法と比較して、正確なf軸方向を求めることができる。
【0144】
〔第2の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第2変形例について図33から図35を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図33から図35を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図33は、本変形例における位置検出に用いる磁界の発生前および発生後の永久磁石の磁化方向と、位置検出用の磁界の磁界方向との関係を説明する図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法も第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、位置姿勢検出部333により予め検出された永久磁石21の磁化方向M(発振コイル315の中心軸線方向)に対して、近い角度を有する方向検出磁界M1を発生させる。すると、カプセル医療装置303は方向検出磁界M1により回転する。
【0146】
図33は、方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
そして、以下に説明するように、画像のパターンマッチングからカプセル医療装置303における回転面における回転角αを求める。
具体的には、図33に示すように、撮像部9により撮像された画像において、検出パターンPは位置P1からP2に移動している。
この検出パターンPの移動を、画像の中心を回転中心とする円周上を移動する回転方向成分MRと、画像の中心から径方向に移動する径方向成分MDに分離し、分離された回転方向成分MRから回転角αが算出される。
【0147】
また、位置姿勢検出部333により、方向検出磁界M1の発生前および発生後における発振コイル315の中心軸線方向、つまり永久磁石21の磁化方向H1およびH2が検出される。
ここで、H1は、方向検出磁界M1の発生前における永久磁石21の磁化方向を表すベクトルであり、H1=(a1,b1,c1)である。H2は、方向検出磁界M1の発生後における永久磁石21の磁化方向を表すベクトルであり、H2=(a2,b2,c2)である。
【0148】
図34は、図33のカプセル医療装置における回転面および旋回面の算出方法を説明するベクトル線図である。
図34において、H1を含む回転面とH2を含む旋回面との交線に沿った単位ベクトルをVとすると、V−H1平面が回転面PRであり、V−H2平面が旋回面PTとなる。ベクトルVは、ベクトルH1が回転面PRに沿って回転角αだけ回転したときの方向を示す単位ベクトルであり、V=(x,y,z)と表される。
【0149】
また、回転面PRが紙面と一致する平面とすると、旋回面PTは紙面に対して交差する面となる。言い換えると、ベクトルH1およびVは紙面に沿ったベクトルであり、ベクトルH2は紙面と交差するベクトルである。
さらに、ベクトルH1とベクトルVとのなす角が上述の回転角αとなり、ベクトルH2とベクトルVとのなす角が旋回角βとなる。
【0150】
上述のベクトルH1とベクトルH2とベクトルVとの関係より下記の式(7),式(8),式(9)が導かれる。式(7)は、ベクトルH1とベクトルVとのなす角がαであることに基づき導かれた式である。式(8)は、ベクトルVが単位ベクトルであることに基づき導かれた式である。
回転面PRと旋回面PTは直交する。このとき、回転面PRに含まれ、回転面PRと旋回面PTの交線ベクトル(H1)に垂直なベクトル(H1−Vcosα)は、旋回面PTに含まれる任意のベクトル(H2)と垂直となる。したがって、式(9)は、ベクトルH2とベクトルH1−Vcosαとが垂直であることに基づき導かれた式である。
【数1】
【0151】
上述の式(7),式(8),式(9)からなる連立方程式から、2通りの(x,y,z)が求められる。そのうち、画像内の検出パターンPの回転方向、径方向への移動方向に基づき、(x,y,z)が一意に決定される。
決定された(x,y,z)=Vにより、回転面PRおよび旋回面PTが算出し、磁界発生後のカプセル医療装置303のf軸方向が算出される。
【0152】
なお、カプセル医療装置303のf軸方向の算出は、誘導磁界M2である回転磁界などが連続的に発生されている間に、連続的行われてもよい。
【0153】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
【0154】
カプセル医療装置の移動量を位置姿勢検出部333の検出情報と、撮像部9が撮像した画像のパターンマッチングから得られた情報とから求めるため、正確なカプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
1方向の静磁界を発生させることにより、カプセル医療装置303のf軸方向が求められるため、他の方法と比較して効率がよい。
【0155】
回転磁界を発生させながらf軸方向を検出する場合は、誘導を行いながらカプセル医療装置303のf軸方向を検出できるので効率がよい。
また、検出用の磁界を一回発生させることで、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができるため、求められたf軸方向の情報を、カプセル医療装置303の誘導制御へフィードバックするのに効率がよい。
【0156】
〔第2の実施形態の第3変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第3変形例について図35から図38を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図35から図38を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図35は、本変形例におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成と、永久磁石に働く方向検出磁界の磁界方向と、を説明する図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0157】
カプセル医療装置403には、図35に示すように、磁化方向がカプセル医療装置303の半径方向と一致する永久磁石21と、永久磁石21に働くr軸(紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)422とが備えられている。
力センサ422は、永久磁石21に作用する回転トルクを検出するものである。本変形例においては、永久磁石21のf軸に対して垂直な一対の面に少なくとも4つの力センサ422が配置されている例に適用して説明する。
【0158】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置403におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置403の誘導法の概略および画像の取得方法は、第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0159】
図36は、図35の方向検出磁界の磁化方向を説明する斜視図である。図37は、図36の方向検出磁界をZ軸方向から見た図である。図38は、図36の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
なお、図36から図38におけるX軸,Y軸,Z軸は、それぞれカプセル医療装置のf軸,r軸,u軸に対応するものである。
【0160】
まず、図35および図36に示すように、永久磁石21の磁化方向(Z軸方向)に対して角度αをなす方向検出磁界M1を印加する。方向検出磁界M1とZ軸とを含む平面は、図36および図37に示すように、X軸(カプセル医療装置403のf軸)に対して角度θだけZ軸周りに回転している。そして、方向検出磁界M1は、図36および図38に示すように、Z軸から角度αだけX−Y平面側に回転している。
【0161】
このように、永久磁石21に方向検出磁界M1が印加されると、永久磁石21に回転トルクが働き、力センサ422を押圧する。押圧力は力センサ422に検出され、力センサ422の検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
力センサ422の検出信号と、力センサ422の配置とに基づき、永久磁石21に働いた回転トルクTが求められる。一方、永久磁石21に働く回転トルクTは、方向検出磁界M1の磁界強度Hと、永久磁石21の磁界強度Mと、上述のなす角αおよびなす角θを用いて、下記の式(10)で表される。
T=HMsinαcosθ ・・・(10)
この式(10)を解くことにより、θは2つの解(±x)として求められる。
【0162】
続けて、上述の方向検出磁界M1の磁化方向とは異なる方向に磁化方向を有する方向検出磁界M1を印加し、再度、なす角θを算出する。このように2度求められたθのうち、外部装置305の座標系において、一致するθを用いて、カプセル医療装置403のX軸方向が算出される。
【0163】
また、上述のように異なる磁化方向を有する方向検出磁界M1を印加することなく、それまでの誘導履歴、例えばカプセル医療装置をどちら側に旋回誘導してきたか等の情報に基づいて、算出された2つのθから一方を選択してもよい。
【0164】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置403の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置403のX軸方向を求めることができる。
【0165】
永久磁石21に発生する回転トルクTを力センサ422により直接測定するので、永久磁石21の磁化方向を正確に算出できる。
また、永久磁石21の磁化方向の算出の際に行われるデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石21の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0166】
方向検出磁界M1の磁界強度を誘導磁界の磁界強度より小さくすることで、カプセル医療装置403の向きが変化しないので、より正確なカプセル医療装置403のX軸方向の算出ができる。
【0167】
図39は、本発明の第2実施形態に適用するカプセル医療装置の別の実施例を説明する模式図である。図40は、図39のカプセル医療装置の構成を説明する正面図である。
なお、上述の第2の実施形態から第2の実施形態の第3変形例においては、発振コイルの中心軸線が、永久磁石の磁化方向と略平行に配置された例に適用して説明しているが、図39および図40に示すように、発振コイルの中心軸線が、永久磁石の磁化方向とが大きく離れて(例えば略垂直に)配置されていてもよく、特に限定するものではない。
このように配置することで、永久磁石の磁化方向と、誘導磁界の磁化方向とのズレが小さい場合には、発振コイルの中心軸線と、誘導磁界の磁化方向とを含む平面に対して略垂直な方向がカプセル医療装置のf軸方向と算出することができる。
また、永久磁石の磁化方向と、誘導磁界の磁化方向とのズレが大きい場合には、上述の第2の実施形態から第2の実施形態の第3変形例を同様な方法で、カプセル医療装置のf軸方向と算出することが望ましい。
【0168】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図41から図43を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図41から図43を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図41は、本実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。図42は、図41のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0169】
医療装置誘導システム501のカプセル医療装置(医療装置)503には、図41および図42に示すように、磁化方向がカプセル医療装置503の半径方向と一致する永久磁石(磁界応答部)521と、永久磁石521に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)522R,522Fとが備えられている。
なお、医療装置誘導システム501には、位置姿勢検出部33は設けられていない。
【0170】
永久磁石521には、カプセル医療装置のf軸に対して略垂直な一対の面と、r軸に対して略垂直な一対の面とが形成されている。
f軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石521に働くr軸(図41における紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ522Rが少なくとも4つ配置されている。また、r軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石521に働くf軸(図42における紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ522Fが少なくとも4つ配置されている。
【0171】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置503におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置503の誘導法の概略および画像の取得方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0172】
図43は、図41のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
まず、図43に示されるように、任意の磁界方向を有する位置検出磁界MG1がカプセル医療装置503の永久磁石521に印加される。
永久磁石521に位置検出磁界MG1が印加されると、永久磁石521に回転トルクが働き、力センサ522R,522Fを押圧する。押圧力は力センサ522R,522Fに検出され、力センサ522R,522Fの検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
【0173】
力センサ522R,522Fの検出信号と、力センサ522R,522Fの配置とに基づき、永久磁石521に働いた回転トルクTが求められる。一方、永久磁石521に働く回転トルクTは、位置検出磁界MG1の磁界強度Hと、永久磁石521の磁界強度Mと、永久磁石521の磁化方向と位置検出磁界MG1の磁界方向とのなす角θG1を用いて、下記の式(11)で表される。
T=HMcosθG1 ・・・(11)
【0174】
この式(11)を解くことにより、永久磁石521の磁化方向と位置検出磁界MG1の磁界方向とのなす角θG1が求められる。このなす角θG1に基づいて、永久磁石521の磁化方向の可能性がある位置検出磁界MG1の磁界方向を中心軸線とした円錐面C1が求められる。
【0175】
続けて同様に、位置検出磁界MG1の磁界方向とは異なる磁化方向を有する位置検出磁界MG2および位置検出磁界MG3を永久磁石521に印加させ、位置検出磁界MG2の磁界方向を中心軸線とした円錐面C2および位置検出磁界MG3の磁界方向を中心軸線とした円錐面C3が求められる。
【0176】
このようにして求められた円錐面C1からC3から、これらの共通交線がカプセル医療装置503における永久磁石521の磁化方向として算出される。
さらに、算出された永久磁石521の磁化方向に対して、カプセル医療装置503におけるf軸方向が90°−θの関係を有することから、カプセル医療装置503におけるf軸方向も算出される。
【0177】
上記の構成によれば、力センサ522R,522Fの検出信号に基づき、方向検出磁界MG1,MG2,MG3の磁化方向と永久磁石521の磁化方向とのなす角θG1,θG2,θG3をそれぞれ算出することにより、カプセル医療装置503のf軸方向を算出することができる。
【0178】
力センサ522R,522Fにより、永久磁石521に発生する回転トルクを直接測定するため、なす角θG1,θG2,θG3を正確に算出することができる。
また、なす角θG1,θG2,θG3を算出するデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石521の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0179】
方向検出磁界MG1,MG2,MG3の磁界強度を誘導磁界の磁界強度より小さくすることで、カプセル医療装置503の向きが変化しないので、より正確なカプセル医療装置503のf軸方向の算出ができる。
【0180】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図44から図48を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図44から図48を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図44は、本実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。図45は、図44のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0181】
医療装置誘導システム601のカプセル医療装置(医療装置)603には、図44および図45に示すように、磁化方向がカプセル医療装置603のf軸方向と一致する永久磁石(磁界応答部)621と、永久磁石621に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)622とが備えられている。
なお、医療装置誘導システム601には、位置姿勢検出部33は設けられていない。
【0182】
永久磁石621には、カプセル医療装置のf軸に対して略垂直な一対の面が形成されている。
f軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石621に働くr軸およびu軸周りの回転トルクを検出する力センサ622が少なくとも8つ配置されている。
【0183】
図46は、図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置603におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、図46に示されるように、任意の磁界方向を有する位置検出磁界MG1がカプセル医療装置603の永久磁石621に印加される。
【0184】
永久磁石621に位置検出磁界MG1が印加されると、永久磁石621に回転トルクが働き、力センサ622を押圧する。押圧力は力センサ622に検出され、力センサ622の検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
以後、第3の実施形態と同様に、位置検出磁界MG1の磁界方向を中心軸線とした円錐面C1と、位置検出磁界MG2の磁界方向を中心軸線とした円錐面C2と、位置検出磁界MG3の磁界方向を中心軸線とした円錐面C3の共通交線が、カプセル医療装置603におけるf軸方向として算出される。
【0185】
図47は、図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界の別の印加例を説明するベクトル図である。図48は、図47のカプセル医療装置におけるf軸方向の決定方法を説明する図である。
なお、上述のように、位置検出磁界MG1,MG2,MG3を用いてカプセル医療装置603におけるf軸方向を算出してもよいし、図47に示すように、位置検出磁界MG1,MG2のみを用いてカプセル医療装置603におけるf軸方向を算出してもよく、特に限定するものではない。
このとき、図48に示すように、カプセル医療装置603におけるf軸方向は2つ求められる。そのため、位置検出磁界MG1,MG2に対する永久磁石に働く力の方向と、位置検出磁界MG1,MG2とカプセル医療装置のf軸方向の位置関係が一致するものを、カプセル医療装置603におけるf軸方向として決定する。
【0186】
図49は、本実施形態における医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。図50は、図49の内視鏡装置の構成を説明する正面視図である。
なお、上述の第4の実施形態においては、医療装置としてカプセル医療装置を用いて説明したが、図49および図50に示すように、内視鏡装置703を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0187】
内視鏡装置(医療装置)703には、図49および図50に示すように、被験者の体腔内に挿入される内視鏡705と、内視鏡705の先端を誘導する永久磁石(磁界応答部)721とが設けられている。
内視鏡705には、体腔内を撮像するイメージングセンサ727と、イメージングセンサ727に体腔内の像を結像させるレンズ群729と、鉗子を内視鏡705の先端まで誘導する鉗子孔731とが設けられている。
【0188】
永久磁石721は内部にイメージングセンサ727やレンズ群729や鉗子孔731などが挿通される円筒状に形成され、f軸方向(図49において左右方向)に磁化されている。また、永久磁石721と内視鏡705との間には、永久磁石721に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)722が配置されている。
力センサ722は、永久磁石721をr軸やu軸周りに回転させる回転トルクを検出するセンサであって、具体的には、永久磁石721が回転する際に力センサ722を押圧する力を検出するものである。
【0189】
このような構成を有する内視鏡装置703のf軸方向の算出方法は、上述の第4の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図である。
【図2】図1のカプセル医療装置における座標軸と、外部装置における座標軸とを説明する図である。
【図3】図1のカプセ医療装置の内部構成を説明する模式図である。
【図4】図1の位置姿勢検出部の構成を説明する模式図である。
【図5】図2のカプセル医療装置における他の駆動方法を説明する図である。
【図6】図1のインターフェイスの構成を説明する模式図である。
【図7】図6の操作部の構成を説明する概略図である。
【図8】図6の操作部の構成を説明する概略図である。
【図9】図6の表示部を説明する模式図である。
【図10】磁界強度H1の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
【図11】磁界強度H2の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
【図12】永久磁石の磁界と、方向検出磁界と、永久磁石に働くトルクとの関係を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の第1変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の第1変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【図15】本発明の第1の実施形態の第2変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界を説明する斜視図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の第2変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR2を説明する斜視図である。
【図17】図16の回転磁界をZ軸から見た上面視図である。
【図18】回転磁界MR1の発生する磁界の方向と、XY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φと、発生磁界の方向と永久磁石の磁化方向との角度差Δθとの関係を示す図である。
【図19】回転磁界MR2の発生する磁界の方向と、XY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φと、発生磁界の方向と永久磁石の磁化方向との角度差Δθとの関係を示す図である。
【図20】回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向が同じ時に、カプセル医療装置のイメージセンサにより撮像された画像を比較したものであり、図20(a)は回転磁界MR1の画像、図20(b)は回転磁界MR2の画像を示すものである。
【図21】本発明の第1の実施形態の第3変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
【図22】図21のカプセル医療装置に勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
【図23】図21のカプセル医療装置に他の勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
【図24】本発明の第1の実施形態の第4変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
【図25】本発明の医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図である。
【図27】図26の医療装置誘導システムにおいて、第1の実施形態と異なる部分を説明する模式図である。
【図28】図26のカプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向と、カプセル医療装置のf軸方向との関係を説明する模式図である。
【図29】図28のf軸方向から見た、カプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向の関係を説明する図である。
【図30】本発明の第2の実施形態の第1変形例における方向検出時に発生される磁界の磁界方向を説明する模式図である。
【図31】複数の方向検出磁界M1を発生させる前に撮像された画像を説明する図である。
【図32】複数の方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
【図33】本発明の第2の実施形態の第2変形例における位置検出に用いる磁界の発生前および発生後の永久磁石の磁化方向と、位置検出用の磁界の磁界方向との関係を説明する図である。
【図34】図33のカプセル医療装置における回転面および旋回面の算出方法を説明するベクトル線図である。
【図35】本発明の第2の実施形態の第3変形例におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成と、永久磁石に働く方向検出磁界の磁界方向と、を説明する図である。
【図36】図35の方向検出磁界の磁化方向を説明する斜視図である。
【図37】図38の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
【図38】図36の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
【図39】本発明の第2実施形態に適用するカプセル医療装置の別の実施例を説明する模式図である。
【図40】図39のカプセル医療装置の構成を説明する正面図である。
【図41】本発明の第3の実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。
【図42】図41のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
【図43】図41のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
【図44】本発明の第4の実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。
【図45】図44のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
【図46】図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
【図47】図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界の別の印加例を説明するベクトル図である。
【図48】図47のカプセル医療装置におけるf軸方向の決定方法を説明する図である。
【図49】本発明の第4の実施形態における医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
【図50】図49の内視鏡装置の構成を説明する正面視図である。
【符号の説明】
【0191】
1,301,501,601 医療装置誘導システム
3,103,203,303,403,503,603 カプセル医療装置(医療装置)
9 撮像部(画像取得部、応答検出部)
21,321,521,721 永久磁石(磁界応答部)
35 方向算出部
45 磁界発生部
49 方向検出磁界制御部
122 圧力センサ(磁気力測定部)
222,422,522R,522F,622,722 力センサ(磁気力測定部)
303,703 内視鏡装置(医療装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される医療装置を誘導する医療装置位置検出システム、医療装置誘導システム、医療装置誘導システムの位置検出方法および医療装置誘導システムの誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル内視鏡等の医療装置を体腔内で誘導する方法として、医療装置に磁石を内蔵させ、外部から磁石に磁界を加えることにより、医療装置の位置および向きを制御する医療装置の磁気誘導技術が開発されている。
【0003】
上述の磁気誘導技術の1つとして、回転磁界で医療装置を誘導する誘導システムにおいて、医療装置の画像の回転を補正する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、2枚の取得画像を対比して、座標変換の履歴から医療装置の理論的な回転量が算出されている。また、連続する画像を用いた画像マッチングによって、体壁と回転の負荷による医療装置の回転角と、回転磁界の回転角との回転角誤差が算出されている。このように算出された理論的な回転量と回転角誤差とを足し合わせることで、2枚の取得画像の間における、医療装置の実際の回転量が算出されている。
【0004】
また、磁気勾配で医療装置を誘導するシステムも開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−299612号公報
【特許文献2】特開2005−103091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1においては、医療装置の回転量を累積によって求めるため、時間が経過するとともに回転量の誤差が累積し大きくなる恐れがあった。このように回転量の誤差が累積した場合、医療装置の回転角と回転磁界の回転角との不一致により、医療装置を安定して制御できなくなる恐れがあった。
【0006】
また、上述の特許文献2においては、医療装置内の磁石の方向と、発生する磁界の方向の角度差が考慮されていないため、効率的に磁気引力を発生させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、医療装置の方向を精度良く検出することができる医療装置位置検出システムおよび医療装置誘導システムの位置検出方法、並びに、医療装置を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができる医療装置誘導システムおよび医療装置誘導システムの誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、被検体内に導入される医療装置と、該医療装置内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、前記医療装置を誘導する磁界応答部と、前記被検体内に磁界を形成する磁界発生部と、前記医療装置の方向を検出するための方向検出磁界を前記磁界発生部から発生させる方向検出磁界制御部と、前記方向検出磁界による前記磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、前記方向検出磁界の方向と前記応答検出部の検出結果とに基づいて、前記医療装置の方向を算出する方向算出部と、が設けられた医療装置位置検出システムを提供する。
【0009】
本発明によれば、被検体内の医療装置は、磁界発生部により形成された方向検出磁界内に位置することから、医療装置内の磁界応答部は方向検出磁界に応答する。この磁界応答部の応答は応答検出部により検出される。医療装置の方向は、医療装置の回転量を累積によって求める方法と比較して、方向検出磁界の方向と検出された磁界応答部の応答とに基づいて算出されることから、より高い精度で求められる。
【0010】
上記発明においては、前記医療装置における互いに異なる方向を有する3つの軸方向のうち、互いに異なる方向を有する2つの軸の方向が前記応答検出部により算出され、前記2つの軸からなる平面に対して交差する軸の方向が前記方向算出部により算出されることが望ましい。
本発明によれば、上記3つの軸方向のうち、上記2つの軸方向が方向検出磁界による磁界応答部の応答から算出されるため、医療装置内に別途検出部を設ける必要がなく、その構成が簡略化される。
【0011】
上記発明においては、前記応答検出部が前記被検体内の画像を取得する画像取得部からなることが望ましい。
本発明によれば、画像取得部により取得された画像に基づいて、方向検出磁界による医療装置の応答が検出される。そのため、医療装置内に別途検出部等を設ける必要がなく構成が簡略化されることから、医療装置が小型化される。
【0012】
上記発明においては、前記応答検出部前記磁界応答部に発生する力を測定する磁気力測定部からなることが望ましい。
本発明によれば、磁気力測定部により磁界応答部の応答が直接検出されることから、医療装置の方向検出の精度が高くなる。また、位置検出計算や、画像処理が不要となることから、医療装置の位置等を求める際のデータ処理が容易となる。
【0013】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、静磁界を発生するように前記磁界発生部を制御することが望ましい。
本発明によれば、磁界発生部から交番磁界を発生させる方法と比較して、静磁界を発生させる際における磁界発生部の制御が容易となる。
【0014】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、方向または強度が異なる複数の磁界を順次発生するように前記磁界発生部を制御し、前記方向算出部が、前記複数の磁界に対する前記応答検出部の各検出結果に基づいて前記医療装置の方向を算出することが望ましい。
【0015】
本発明によれば、方向検出磁界の磁界方向または磁界強度を変更することにより、医療装置の方向検出に必要な磁界応答部の応答に係る複数の情報が取得される。そのため、医療装置の位置検出精度を保ったまま、医療装置位置検出システムのシステム構成が簡略化される。
【0016】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部が、勾配磁界を発生するように前記磁界発生部を制御することが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界として形成された勾配磁界による磁界応答部の応答から、医療装置の方向が検出されるため、磁界発生部は、勾配磁界である方向検出磁界と、均一な磁界である他の磁界とを形成する発生部として共有される。
【0017】
上記発明においては、前記医療装置が略円筒形状で、前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略平行であることが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界を磁界応答部に作用させることにより、磁界応答部は略円筒形状の中心軸周りに回転される。応答検出部に検出された磁界応答部の回転角に基づいて、方向検出磁界の磁界方向と磁界応答部の磁化方向とのなす角が算出され、磁界応答部の磁化方向が求められる。
なお、求められた磁化方向は中心軸に対して略垂直であるとともに、上記2つの軸からなる面に対して交差することから、上記2つの軸からなる面は中心軸に対して略平行となる。
【0018】
上記発明においては、前記医療装置が略円筒形状で、前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略垂直であることが望ましい。
本発明によれば、方向検出磁界を磁界応答部に作用させることにより、磁界応答部は略円筒形状の中心軸周りに回転される。回転前の磁界応答部の磁化方向と回転後の磁界応答部の磁化方向とを含む面を求めることにより、上記2つの軸からなる面が求められる。回転前および回転後の磁界応答部の磁化方向は、中心軸に対して略垂直であるから、求められた上記2つの軸からなる面も中心軸に対して略垂直となる。
そのため、上記2つの軸からなる面を求めることにより、医療装置の中心軸の方向が求められる。
【0019】
上記発明においては、前記磁気力測定部が、前記磁界応答部に働く圧力、歪およびトルクの少なくとも一つを測定するセンサであり、前記磁界応答部が前記センサを介して前記医療装置に固定されることが望ましい。
本発明によれば、磁気力測定部により磁界応答部の応答が、圧力、歪およびトルクの少なくとも一つとして直接検出される。
また、磁界応答部の応答が、センサである磁気力測定部を介して医療装置に伝達されるため、医療装置の誘導に磁界応答部が用いられる。
【0020】
本発明は、上記本発明の医療装置位置検出システムと、前記医療装置を誘導する誘導磁界を前記磁界発生部から発生させる誘導磁界制御部と、が設けられ、前記方向算出部の算出結果に基づいて、前記誘導磁界制御部が前記磁界発生部を制御する医療装置誘導システムを提供する。
【0021】
本発明によれば、医療装置方向算出部の算出結果に基づいて、磁界発生部から発生された誘導磁界の磁界方向を調整することにより、誘導磁界を効率よく磁界応答部に作用させることができる。また、磁界応答部の方向に対して意図した通りに磁界を作用させることができ、医療装置を安定して制御することができる。
【0022】
上記発明においては、前記方向検出磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度が、前記誘導磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度よりも小さいことが望ましい。
【0023】
本発明によれば、方向検出磁界は誘導磁界より磁界強度が小さいことから、方向検出磁界により医療装置の位置および方向は変化しにくく、誘導磁界による医療装置の誘導に影響を与えにくい。
例えば、磁気力測定部により磁界応答部に発生する力を測定する場合には、方向検出磁界の強度を、磁気力測定部が上記力を測定できる強度以上であって、医療装置が動かない強度以下とすることで、医療装置を動かすことなく、方向検出を高い精度で行うことができる。
【0024】
本発明は、磁界発生部が、医療装置に備えられた磁界応答部の磁化方向を検出する方向検出磁界を発生する検出磁界発生ステップと、前記磁界応答部の応答を検出する応答検出ステップと、前記磁界応答部の応答と、前記方向検出磁界の方向から、前記医療装置の方向を検出する方向検出ステップと、からなる医療装置誘導システムの位置検出方法を提供する。
【0025】
本発明によれば、医療装置は、磁界発生部により形成された方向検出磁界内に位置することから、医療装置内の磁界応答部は方向検出磁界に応答する。この磁界応答部の応答は応答検出部により検出される。医療装置の方向は、方向検出磁界の方向と、検出された磁界応答部の応答に基づいて算出されるため、医療装置の回転量を累積によって求める方法と比較して、より高い精度で求められる。
【0026】
本発明は、上記本発明の医療装置検出システムの誘導方法における前記方向検出ステップの後に、前記検出された医療装置の方向に基づいて、前記磁界発生部が前記医療装置を誘導する誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップを備える医療装置誘導システムの誘導方法を提供する。
本発明によれば、磁界発生部から発生された誘導磁界の向きを調整して、誘導磁界を効率よく磁界応答部に作用させることができる。また、磁界応答部の方向に対して意図した通りに磁界を作用させることができ、医療装置を安定して制御することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の医療装置位置検出システムおよび医療装置誘導システムの位置検出方法によれば、方向検出磁界の方向と検出された磁界応答部の応答とに基づいて、医療装置の方向を算出するため、医療装置の方向を精度良く検出することができるという効果を奏する。
本発明の医療装置誘導システムおよび医療装置誘導システムの誘導方法によれば、医療装置方向算出部の算出結果に基づいて、磁界発生部から発生された誘導磁界の磁界方向を調整するため、医療装置を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る医療装置誘導システムについて図1から図12を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図が示されている。
医療装置誘導システム1には、図1に示すように、被検体の体腔内に導入されるカプセル医療装置(医療装置)3と、カプセル医療装置3の位置および方向を検出するとともにカプセル医療装置3を誘導する外部装置5と、が設けられている。
【0029】
図2には、図1のカプセル医療装置における座標軸と、外部装置における座標軸とを説明する図が示されている。
カプセル医療装置3には、図2に示すように、up軸(以後、u軸と表記する。)、right軸(以後、r軸と表記する)、front軸(以後、f軸と表記する。)からなる右手座標軸が設定されている。具体的には、永久磁石21の磁化方向に延びるのがu軸、カプセル医療装置3の半径方向に延びるのがr軸、カプセル医療装置3の長手軸線方向に延びるのがf軸である。一方、外部装置5には、x軸、y軸、z軸からなる右手座標系が設定されている。
【0030】
図3には、図1のカプセ医療装置の内部構成を説明する模式図が示されている。
カプセル医療装置3は、図3に示すように、内部に各種の機器を収納する外装7と、被検体の体腔内画像を取得する撮像部(画像取得部、応答検出部)9と、外装7内部の各種機器に動力を供給する電源部11と、発振磁界を発生する発振コイル15と、画像データ等を体外に向けて送信する無線送信機17と、電源部11、撮像部9、発振コイル15および無線送信機17を制御する制御部19と、磁界に対して応答する永久磁石(磁界応答部)21とを備えている。
【0031】
外装7は、カプセル医療装置3のf軸を中心軸とする赤外線を透過する円筒形状のカプセル本体7aと、カプセル本体7aの前端を覆う透明で半球形状の先端部7bと、カプセル本体7aの後端を覆う半球形状の後端部7cとから形成され、水密構造で密閉されたカプセル容器を形成している。
また、外装7のカプセル本体7aの外周面には、f軸を中心として断面円形の線材を螺旋状に巻いた螺旋部23が備えられている。そのため、カプセル医療装置は、f軸を中心として回転されることにより、前進または後進することができる。
【0032】
撮像部9は、被検者の体腔内を撮影して画像を取得するものである。撮像部9には、f軸方向に対して略垂直に配置された基板25aの後端部7c側の面に配置された撮像素子であるイメージセンサ27と、被検者の体腔内面の像をイメージセンサ27に結像させるレンズ群29と、体腔内面を照明するLED(Light Emitting Diode)31とが備えられている。
【0033】
イメージセンサ27は、先端部7bおよびレンズ群29を介して結像された光を電気信号(画像信号)に変換して制御部19へ出力している。このイメージセンサ27としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を用いることができる。
また、LED31は基板25aに、f軸を中心として周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0034】
発振コイル15は発振磁界を発生するものであり、外装7のカプセル本体7aの半径方向内方に円筒状に巻かれて配置されている。
つまり、発振コイル15は中心軸線がf軸方向と略平行に配置され、発振コイル15の開口方向は、永久磁石21の磁化方向に対して直交する方向に配置されている。
【0035】
制御部19は、電源部11と発振コイル15とイメージセンサ27とLED31とに電気的に接続されている。また、制御部19は、イメージセンサ27が取得した画像信号を無線送信機17から送信するとともに、発振コイル15とイメージセンサ27とLED31とのオン・オフを制御している。
【0036】
永久磁石21は、外部装置5から受ける方向検出磁界M1および誘導磁界M2に応じて駆動力を発生するものである。永久磁石21は、無線送信機17の後端部7c側に配置されている。永久磁石21は、f軸方向に対して直交方向(例えば、図における上下方向)に磁化方向(磁極)を有するように配置または着磁されている。
【0037】
外部装置5には、図1に示すように、位置姿勢検出部33と、方向算出部35と、磁界制御部37と、電源39と、インターフェイス41と、画像データ受信部43と、磁界発生部45とが設けられている。
【0038】
図4は、図1の位置姿勢検出部の構成を説明する模式図である。
位置姿勢検出部33は、外部装置5の座標系におけるカプセル医療装置3の座標値(位置)と、カプセル医療装置3のf軸の方向、つまりカプセル医療装置3のu軸、r軸周りの回転位相と、の5自由度を検出するものである。これらの座標値および回転位相の算出方法については、公知の算出方法を用いることができ、特に限定するものではない。位置姿勢検出部33には、図4に示すように、複数の検出コイル47が設けられ、検出コイル47の検出信号が入力されている。
検出コイル47は、カプセル医療装置3の発振コイル15から発振された発振磁界を検出するものであり、カプセル医療装置3の作動範囲の周囲に配置されている。
【0039】
方向算出部35は、図1に示すように、カプセル医療装置3のu軸およびr軸の方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相(医療装置の方向)の1自由度を算出するものである。回転位相の算出方法の詳細については後述する。方向算出部35には、図1に示すように、方向算出部35からインターフェイス41のデータ処理部53にカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力されている。
【0040】
磁界制御部37は、図1に示すように、カプセル医療装置3の作動範囲内に方向検出磁界M1とおよび誘導磁界M2を形成する磁界形成信号を出力するものである。方向検出磁界M1は、カプセル医療装置3のf軸周りの位相、つまり永久磁石21の磁化方向を検出する際に用いられる磁界である。また、誘導磁界M2はカプセル医療装置3を誘導する磁界であり、カプセル医療装置3におけるf軸の向きを制御するとともに、f軸周りに回転駆動させる回転磁界である。
【0041】
磁界制御部37には、方向検出磁界M1の磁界方向および磁界強度を制御する磁界形成信号を生成する方向検出磁界制御部49と、誘導磁界M2の磁界方向および磁界強度を制御する磁界形成信号を出力する誘導磁界制御部51とが設けられている。
方向検出磁界制御部49は、カプセル医療装置3の方向検出時に、磁界発生部45が発生する磁界を制御する磁界形成信号を出力する。一方、誘導磁界制御部51は、カプセル医療装置3の誘導時に、磁界発生部45が発生する磁界を制御する磁界制御信号を出力する。
磁界制御部37には、方向算出部35からカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力され、インターフェイス41のデータ処理部53から操作者が入力した操作情報が入力されている。
【0042】
図5は、図2のカプセル医療装置における他の駆動方法を説明する図である。
なお、上述のように、誘導磁界M2が回転磁界であって、カプセル医療装置3が回転磁界により駆動されてもよいし、図5に示すように、誘導磁界M2が磁気勾配のある静磁界である勾配磁界であって、カプセル医療装置3が勾配磁界により駆動されてもよく、特に限定するものではない。図5においては、右側に向うほど勾配が急となる誘導磁界が形成され、カプセル医療装置3を右側に駆動する磁気引力が作用している状態が示されている。
このように磁界発生部45から勾配磁界を発生させることにより、交番磁界である回転磁界を発生させる方法と比較して、磁界発生部45の制御が容易となる。
【0043】
電源39は、図1に示すように、磁界制御部37の制御信号に基づいて、磁界発生部45から方向検出磁界M1および誘導磁界M2を発生させる交流電力を出力するものである。電源39には、図1に示すように、磁界制御部37から制御信号が入力され、電源39から磁界発生部45に交流電力が供給されている。
【0044】
図6は、図1のインターフェイスの構成を説明する模式図である。
インターフェイス41は、操作者からカプセル医療装置3の操作量が入力されるとともに、カプセル医療装置3が取得した画像を表示するものである。インターフェイス41には、図6に示すように、データ処理部53と、操作部55と、表示部57とが設けられている。
【0045】
データ処理部53は、表示部57に表示される画像データを算出するとともに、磁界制御部37に入力される操作情報を算出するものである。具体的には、データ処理部53は、画像データ受信部43から入力されたカプセル医療装置3の回転とともに回転する画像データを、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、静止した画像データに変換している。
また、データ処理部は、操作部55から入力されたカプセル医療装置の座標系(u軸、r軸、f軸からなる座標系)に基づく操作情報を、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、外部装置5の座標系(x軸、y軸、z軸からなる座標系)に変換している。
【0046】
データ処理部53には、画像データ受信部43から画像データが入力されるとともに、方向算出部35からカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相が入力され、データ処理部53から表示部57に静止した画像データが出力されている。また、データ処理部53には、操作部55からカプセル医療装置3の座標系に基づく進行方向および進行速度に係る操作情報が入力され、外部装置5の座標系に基づく操作情報に変換されてから、磁界制御部37に出力されている。
【0047】
図7および図8は、図6の操作部の構成を説明する概略図である。
操作部55は、操作者からカプセル医療装置3の進行方向および進行速度(操作情報)が入力されるものである。操作部55には、図7および図8に示すように、カプセル医療装置3の進行方向が入力される方向制御部59と、カプセル医療装置3の前進および後進を含む進行速度が入力されるアクセル61とが設けられている。
【0048】
方向制御部59は互いに直交する2つの方向に沿って倒れるように設けられた棒状の部材である。方向制御部59を図におけるup側に倒すと、カプセル医療装置3はup軸の正方向に向きを変えるように制御され、方向制御部59を反対方向に倒すと、カプセル医療装置3はup軸の負方向に向きを変えるように制御される。同様に、図におけるright側に方向制御部59を倒すとカプセル医療装置3はright軸の正方向に向きを変え、反対方向に方向制御部59を倒すと、カプセル医療装置3はright軸の負方向に向きを変える。
【0049】
アクセル61は1つの方向に沿って倒れるように設けられた棒状の部材である。アクセルを図におけるfront側に倒すとカプセル医療装置3は前進、つまりf軸の正方向に進むように制御され、back側に倒すとカプセル医療装置3は後進、つまりf軸の負方向に進むように制御される。また、アクセル61の倒した方向にかかわらず、アクセル61を倒した角度に応じてカプセル医療装置3の進行速度が制御される。
【0050】
図9は、図6の表示部を説明する模式図である。
表示部57は、カプセル医療装置3により撮像された画像データを表示するものである。表示部57には、図6に示すように、データ処理部53から静止した画像データが入力され、静止した画像が表示される。具体的には、図9に示すように、表示部57におけるup軸およびright軸が、カプセル医療装置3のu軸およびr軸と一致するように静止画像が表示される。
【0051】
画像データ受信部43は、図1に示すように、カプセル医療装置3の無線送信機17から送信された画像データを受信するものである。画像データ受信部43に受信された画像データは、図6に示すように、インターフェイス41のデータ処理部53に入力されている。
【0052】
磁界発生部45は、電源39から供給される交流電力に基づいて、方向検出磁界M1や誘導磁界M2を形成するものである。磁界発生部45としては、ヘルムホルツコイルなどの公知のコイルを用いることができ、特に限定するものではない。
また、本実施形態では、同一のコイルにより方向検出磁界M1と誘導磁界M2を形成する場合に適用して説明するが、方向検出磁界M1を形成するコイルと、誘導磁界M2を形成するコイルとを別々に設けてもよく、特に限定するものではない。
【0053】
次に、上記の構成からなる医療装置誘導システム1におけるカプセル医療装置の作用について説明する。
まず、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法について説明し、その後に本実施形態の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相の検出方法および検出された回転位相に基づいたカプセル医療装置3の誘導方法について説明する。
【0054】
まず、図1に示されるように磁界発生部45により誘導磁界M2が形成される空間Sに被験者を配置する。
次いで、カプセル医療装置3の電源を入れ、カプセル医療装置3を被検者の口部または肛門から体腔内に投入する。また、外部装置5においても位置姿勢検出部33等への電力を供給開始する。
【0055】
体腔内に投入されたカプセル医療装置3においては、所定時間後に撮像部9の作動が開始され、LED31からの照明光により照明された体腔内面の画像が、イメージセンサ27により取得される。取得された画像データは、制御部19を介して無線送信機17に引き渡され、無線送信機17を介して画像データ受信部43に送信される。
【0056】
画像データは、画像データ受信部43からインターフェイス41のデータ処理部53に入力される。データ処理部53において、カプセル医療装置3の回転とともに回転する画像データは、方向算出部35により算出されたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、静止した画像データに変換される。変換された画像データは表示部57に出力され、表示部57に体腔内面の画像が表示される。
【0057】
表示部57に表示された体腔内面の画像を確認した操作者は、インターフェイス41の操作部55を操作することにより、カプセル医療装置3の進行方向および進行速度などの操作情報をデータ処理部53に入力する。操作部から入力される操作情報はカプセル医療装置の座標系に基づく操作情報であるので、データ処理部は、方向算出部35により算出されたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、外部装置5の座標系に基づく操作情報に変換する。
【0058】
変換された操作情報は磁界制御部37に入力される。磁界制御部37は、誘導磁界制御部51において、回転磁界である誘導磁界M2の回転軸方向、回転方向および回転速度等を決定し、誘導磁界M2を形成する磁界形成信号を電源39に出力する。電源39は入力された磁界形成信号に基づいて発生した交流電力を磁界発生部45に供給する。これにより、磁界発生部は励磁され、所望の誘導磁界M2が形成される。
なお、誘導磁界M2の回転軸方向は、カプセル医療装置3の方向(f軸の方向)や進行方向を制御するものであり、回転方向は、カプセル医療装置3の前進および後進を制御するものであり、回転速度はカプセル医療装置3の進行速度を制御するものである。
【0059】
次に、本実施形態の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相、つまり、方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
まず、磁界制御部37の方向検出磁界制御部49は、位置姿勢検出部33により算出されたカプセル医療装置3のf軸の方向に対して、垂直な面(u−r平面)内で磁界方向が任意方向で、磁界強度がH1の方向検出磁界M1を発生する磁界形成信号を磁界発生部45に出力する。これにより、磁界発生部45は方向検出磁界M1を発生する。
【0060】
図10は、磁界強度H1の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
カプセル医療装置3の永久磁石21に対して方向検出磁界M1が働いている状態で、イメージセンサ27により、図10に示すような、体腔内壁の画像が取得される。ここで、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向との角度ズレを検出するのに用いられる検出パターンPが設定される。
【0061】
そして方向検出磁界制御部49は、方向検出磁界M1の磁界方向はそのままで、磁界強度をH2に強くする磁界形成信号を磁界発生部45に出力する。これにより、磁界発生部45は磁界強度がH2の方向検出磁界M1を発生する(検出磁界発生ステップ)。
方向検出磁界M1の磁界強度が強くなると、永久磁石21に働くトルクTが強くなり、カプセル医療装置3はf軸周りに回転する。
【0062】
図11は、磁界強度H2の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
このようにカプセル医療装置3に磁界強度がH2の方向検出磁界M1を作用させた後、イメージセンサ27により、図11に示すような、体腔内壁の画像が取得される。このとき画像に写されている検出パターンPは、図10に示す画像と比較して、角度αだけ回転している。
方向算出部35は、図10および図11に示す画像を比較して、検出パターンPの回転角αを検出することにより、カプセル医療装置3のf軸周りの回転角αを求める(応答検出ステップ)。検出パターンPを複数個設定することで、より正確にαを求めることができる。
【0063】
図12は、永久磁石の磁界と、方向検出磁界と、永久磁石に働くトルクとの関係を示す図である。
方向算出部35は、方向検出磁界M1の磁界強度変化の前後における永久磁石21に働くトルクの関係式と、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角θの変化と回転角αとの関係式に基づいて、なす角θ(角度ズレ)を算出する(方向検出ステップ)。
ここで、磁界強度Hの方向検出磁界M1により、磁界強度Mの永久磁石21に働くトルクTは、図12に示す図から下記の式(1)により求められることが判る。
T=MHsinθ ・・・(1)
【0064】
方向検出磁界M1の磁界強度変化の前後において、永久磁石21に働くトルクTは変化しないため、下記の式(2)が導かれる。
MH1sinθ1=MH2sinθ2 ・・・(2)
ここで、θ1は、磁界強度H1の方向検出磁界M1が形成されている時の方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角であり、θ2は、磁界強度H2の方向検出磁界M1が形成されている時の方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角である。
また、回転角αはなす角θ1とθ2を用いて下記の式(3)のように表される。
θ1−θ2=α ・・・(3)
【0065】
方向算出部35は、上記の式(2)および式(3)に基づいて、方向検出磁界M1の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角θ1,θ2を算出する。
このように算出されたなす角θ1,θ2および方向検出磁界M1の磁界方向により、永久磁石21の磁化方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相(方向、姿勢)が求められる。
【0066】
方向算出部35により求められたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相は、磁界制御部37の誘導磁界制御部に入力される。誘導磁界制御部は、カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて誘導磁界M2の磁界方向を決定し、磁界発生部から誘導磁界M2を発生させる(誘導磁界発生ステップ)。
【0067】
なお、カプセル医療装置3の誘導と方向検出は交互に繰り返して行われ、カプセル医療装置3の方向検出の結果は誘導磁界M2の制御にフィードバックされる。上述のなす角θが適切な値になるように誘導磁界M2の磁界方向を制御することで、カプセル医療装置3をより効率的かつ安定して制御することができる。
【0068】
上記の構成によれば、方向算出部35において永久磁石21の磁化方向と方向検出磁界M1の磁界方向とのなす角θ(角度差)が算出されるため、カプセル医療装置における位置姿勢(6自由度)の内、5自由度を検出する位置姿勢検出部を用いて6自由度の位置姿勢検出ができる。
なす角θは、方向検出磁界M1の磁界強度を強くした時のカプセル医療装置3(永久磁石21)の回転角αに基づいて、方向算出部35において算出される。このように、算出されたなす角θを用いることで、方向算出部35はカプセル医療装置3のf軸周りの向き(永久磁石21の磁化方向の向き)を算出できる。
【0069】
上述のように、カプセル医療装置3のf軸周りの向きが算出されることにより、データ処理部53において、カプセル医療装置の回転と共に回転する画像データを静止した画像データに補正する際に、より正確な回転補正を行うことができる。
【0070】
また、誘導磁界M2として回転磁界を発生した後に、続けて誘導磁界M2として勾配磁界を発生させて、カプセル医療装置に磁気引力を作用させる場合、効率的に磁気引力を発生させることができる。つまり、カプセル医療装置3のf軸周りの向きに合わせて(永久磁石21の磁化方向と平行となるように)、勾配磁界の磁界方向を決定することで、永久磁石に効率的に磁気引力を働かせることができ、効率的に磁気引力を発生することができる。
【0071】
被検体内のカプセル医療装置3は、磁界発生部45により形成された方向検出磁界M1内に位置することから、カプセル医療装置3内の永久磁石21は方向検出磁界M1によりf軸周りに回転される。この永久磁石21(カプセル医療装置3)の回転角αは撮像部9により撮像された画像から検出される。カプセル医療装置3のf軸周りの回転位相は、カプセル医療装置3の回転量を累積によって求める方法と比較して、方向検出磁界M1の磁界方向と検出された永久磁石21のカプセル医療装置3の回転角αとに基づいて算出されることから、より高い精度で求められる。
【0072】
言い換えると、方向検出磁界M1を永久磁石21に作用させることにより、カプセル医療装置3はf軸周りに回転され、カプセル医療装置3の回転角αは撮像部9により撮像された画像から検出される。u軸およびr軸の方向は、検出された回転角αに基づいて算出される。
【0073】
カプセル医療装置3におけるu軸、r軸およびf軸の軸方向のうち、r軸およびf軸の軸方向が方向検出磁界M1による永久磁石21の回転角αから算出されるため、カプセル医療装置3内に別途検出部を設ける必要がなく、その構成を簡略化できる。
【0074】
撮像部9により取得された少なくとも2枚の画像を比較することにより、方向検出磁界M1によるカプセル医療装置3の回転角αが検出されるため、カプセル医療装置3内に別途検出部等を設ける必要がなく構成が簡略化されることから、カプセル医療装置3を小型化できる。
【0075】
方向検出磁界M1の磁界強度をH1からH2に強くすることにより、カプセル医療装置3の方向検出に必要な永久磁石21の回転に係る複数の情報が取得されるため、カプセル医療装置3の位置検出精度を保ったまま、医療装置誘導システム1のシステム構成を簡略化できる。
【0076】
方向算出部35により求められたカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相に基づいて、磁界発生部45から発生された誘導磁界M2の磁界方向を、永久磁石21の磁化方向と平行となるように調整するため、誘導磁界M2を効率よく永久磁石21に作用させることができる。また、永久磁石21の磁化方向に対して意図した通りに誘導磁界M2を作用させることができ、カプセル医療装置3を安定して制御することができる。
【0077】
なお、上述の誘導磁界M2の制御に、下記に説明する制御を行ってもよく、特に限定するものではない。
回転磁界である誘導磁界M2を発生させ、カプセル医療装置3をf軸周りに回転させながら誘導する場合には、誘導磁界M2発生中に磁界発生部45に供給される電流は変化する。このように、供給される電流が変化する場合には、電源39に過大な負荷がかかるのを避けるため、磁界強度の強い誘導磁界M2の発生は行われない。
【0078】
かかる状態で誘導磁界M2の発生を停止させた場合には、永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角が大きな値のままカプセル医療装置3は停止する。すると、次に勾配磁界である誘導磁界M2を発生させた場合、永久磁石21に働く磁気引力が小さくなる。
【0079】
そこで、回転磁界である誘導磁界M2を停止する直前に、静磁界であって強い磁界を発生させることで、誘導磁界M2の発生停止時における永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角(ずれ量)を小さくすることができる。すると、次にカプセル医療装置3の位置を磁気引力で制御する場合に、永久磁石21に効率的に磁気引力を発生させることができ、カプセル医療装置3の位置を正確に制御することができる。
【0080】
〔第1の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図13および図14を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図13および図14を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図13および図14は、本変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【0081】
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法も第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置3におけるf軸周りの回転位相、つまり、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
カプセル医療装置3の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置3は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。かかる場合に、カプセル医療装置3の誘導が停止、つまり誘導磁界M2の回転が停止されると、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とは、図13に示す関係となる。
なお、誘導磁界M2はカプセル医療装置3のf軸を中心に回転する磁界である。
【0083】
図13においては、反時計回りに回転する誘導磁界M2によりカプセル医療装置3は回転駆動されていた場合を示し、永久磁石21の磁化方向よりも誘導磁界M2の磁界方向が反時計回りに進んだ状態となっている。このように、誘導磁界M2の磁界方向が永久磁石21の磁化方向よりも進むことにより、永久磁石21を回転する回転トルクが永久磁石21に発生する。
【0084】
その後、磁界強度を変更することなく、図14に示すように、誘導磁界M2を時計回りに回転させる。このとき、誘導磁界M2の回転を止めた位相からの回転角の計測を開始する。
そして、カプセル医療装置3の撮像部9により撮像された画像を観察し、カプセル医療装置3が時計回りに回転開始する誘導磁界M2の回転角θ3を計測する。
【0085】
ここで、カプセル医療装置3を反時計回りに回転させるのに必要な回転トルクと、時計回りに回転させる回転トルクとは、略同じ大きさであると見なせる。そのため、回転角θ3の半分の角度が誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石21の磁化方向とのなす角(角度ズレ)となる。
そこで、方向算出部35は、誘導磁界M2が回転停止したときの磁界方向から、時計回りにθ3/2だけ回転した方向を、永久磁石21の磁化方向、つまりカプセル医療装置3のf軸周りの回転位相として算出する。
【0086】
上記の構成によれば、回転磁界である誘導磁界M2の回転方向を逆転させるだけで、永久磁石21の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角を算出できる。そのため、磁界を発生させる制御方法が、第1の実施形態と比較して簡単となる。
また、画像処理においては、カプセル医療装置3が回転を開始することを検出すればよい。したがって、第1の実施形態のように画像のパターンマッチングが複雑にならないので、より短時間で正確な角度検出が可能となる。
【0087】
なお、回転磁界は、上述のように誘導磁界M2であってもよいし、方向検出磁界M1であってもよく、特に限定するものではない。
【0088】
〔第1の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図15から図20を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図15から図20を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図15は、本変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR1を説明する斜視図である。図16は、本変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR2を説明する斜視図である。図17は、図16の回転磁界をZ軸から見た上面視図である。
【0089】
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置3の誘導法の概略および画像の取得方法も第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置3におけるY軸周りの回転位相、つまり、回転磁界MRの磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。
まず、図15に示すように、カプセル医療装置3におけるZ−X平面内においてY軸を中心として回転する回転磁界MR1を発生させる。次に、図16および図17に示すように、カプセル医療装置3におけるZ−X平面に対して角度αだけ回転した平面(以後、回転平面と表記する。)内において、Y軸との交点を中心として回転する回転磁界回転磁界MR2を発生させる。
ここで、図16および図17におけるX軸、Y軸およびZ軸は、図2におけるr軸、f軸およびu軸に相当するものである。
【0091】
各回転磁界MR1,MR2でカプセルを回転させ、発生する磁界の方向とXY平面との角度がθの時(回転磁界の方向が同じ時)の画像をそれぞれ取得する。
図18および図19は、回転磁界MR1,MR2を印加して画像を取得する時の、発生磁界とカプセル医療装置3、永久磁石21の関係をそれぞれ示した図である。
【0092】
図20は、回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向が同じ時に、カプセル医療装置3のイメージセンサ27により撮像された画像を比較したものであり、図20(a)は回転磁界MR1の画像、図20(b)は回転磁界MR2の画像を示すものである。
【0093】
取得した2枚の画像をパターンマッチングによって画像の移動方向(回転磁界の方向が変化したことによって、カプセル医療装置3が動いた方向)を検出することができる。さらに、検出された移動方向と、画像を取得するイメージセンサ27に対して位置決めされた永久磁石21の磁化方向との角度差φを求める。ここで、検出された移動方向はXY平面と平行となるので、求められた角度差φは、永久磁石21の磁化方向とXY平面との角度差となる。
【0094】
図18および図19に示すように、回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向とXY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φから、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向との角度差Δθが以下の式(4)で求まる。
Δθ=θ−φ ・・・(4)
また、発生磁界の方向と、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向に角度差Δθから、カプセル医療装置3のY軸周りの回転位相を求めることができる。
【0095】
なお、回転磁界MR1,MR2を発生した時にカプセル医療装置3が画像を取得する時の発生磁界の方向とXY平面との角度差は異なっていても良い。この場合、回転磁界MR1を発生した時の画像と回転磁界MR2を発生した時の画像を相対的に回転させることで、画像を取得した時の発生磁界の方向とXY平面との角度差の差分をキャンセし、発生磁界の方向とXY平面との角度差が同じ時に取得した画像と同様の処理を行うことができる。
【0096】
上記構成によれば、回転磁界MR1,MR2を発生した時に、カプセル医療装置3のイメージセンサ27で撮像されたそれぞれの画像から、回転磁界の方向とXY平面との角度差θの時の、永久磁石21の磁界方向とXY平面との角度差φが求められ、発生磁界の方向と永久磁石21の磁化方向との角度差Δθを求めることができる。
【0097】
また、Δθを算出する過程に、回転磁界MR1,MR2の成す角αが含まれない。そのため、成す各Δθを求める際に、回転磁界MR1,MR2の面(回転面)の傾き(成す角α)が制限されず、回転磁界MR1,MR2の制御が容易となる。
【0098】
なお、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を、カプセル医療装置3の誘導とは切り離して単独で行ってもよいし、カプセル医療装置3を誘導する際に、カプセル医療装置3のY軸方向を転換させる時に、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行ってもよい。
つまり、カプセル医療装置3のY軸方向を転換させる際、カプセル医療装置3のY軸に垂直な面(Z−X面)と、回転磁界である誘導磁界M2の面との間に角度差が発生する。この角度差を利用して上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行うことができる。また、カプセル医療装置3の誘導中に、上述の永久磁石21の磁化方向の検出を行うことができるため、カプセル医療装置3の誘導および位置検出の効率がよくなる。
【0099】
なお、回転磁界MR1,MR2は、誘導磁界M2であってもよいし、方向検出磁界M1であってもよく、特に限定するものではない。
【0100】
〔第1の実施形態の第3変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第3変形例について図21から図23を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図21から図23を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
【0101】
図21は、本変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
カプセル医療装置103には、図21に示すように、永久磁石21の周囲に圧力センサ(磁気力測定部)122が配置されている。圧力センサ122は、永久磁石21に作用する磁気引力を検出するものである。本変形例においては、永久磁石21の周囲に等間隔に4つ配置されている例に適用して説明する。
【0102】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置103におけるf軸周りの回転位相、つまり、勾配磁界MSの磁界方向と永久磁石21の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置103の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
カプセル医療装置103の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置103は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。その後に、誘導磁界M2の発生が停止される。
【0103】
図22は、図21のカプセル医療装置に勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。図23は、図21のカプセル医療装置に他の勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
誘導磁界M2の停止後、図22に示すように勾配磁界MSを発生させ、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に働く磁気引力Fを永久磁石21に作用させる。ここで、図22に示す勾配磁界は、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に沿って磁力線が延びるとともに、上記磁界方向に向かって磁力線の密度が高くなる勾配磁界である。また、永久磁石21の磁化方向と、停止時における誘導磁界M2の磁界方向とのなす角はΔθである。
【0104】
あるいは、図23に示すように勾配磁界MSを発生させ、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に働く磁気引力Fを永久磁石21に作用させる。ここで、図23に示す勾配磁界は、停止時における誘導磁界M2の磁界方向に沿って磁力線が延びるとともに、上記磁界方向に対して直交する方向に向かって磁力線の密度が高くなる勾配磁界である。
【0105】
永久磁石21に働く磁気引力Fは圧力センサ122に検出される。検出された磁気引力Fは、永久磁石21の磁化方向と、磁気引力の力方向とが同一方向であるときの理論磁気引力F0と比較される。具体的には、下記の式(5)に基づいて磁気引力Fは、理論磁気引力F0と比較されΔθが求められる。
F=F0cosΔθ ・・・(5)
このように求められたΔθと、停止時における誘導磁界M2の磁界方向とに基づいて、永久磁石21の磁化方向が算出される。
【0106】
上記の構成によれば、磁界発生部45において、カプセル医療装置103を誘導する勾配磁界を発生させる部分を、永久磁石21の磁化方向検出に用いる勾配磁界MSの発生に使用できるため、磁界発生部45の構成を簡略化できる。
言い換えると、方向検出のために形成された勾配磁界MSにより永久磁石21に働く磁気引力F(応答)から、カプセル医療装置103のf軸周りの位相が算出される。そのため、磁界発生部45は、勾配磁界MSと、カプセル医療装置103を誘導する他の均一な磁界を形成する発生部として共有することができる。
【0107】
圧力センサ122により永久磁石21に働く磁気引力が圧力として直接検出されることから、カプセル医療装置103のf軸周りの位相の算出精度が高くなる。また、位置検出演算や、画像処理が不要となることから、カプセル医療装置103の位置等を求める際のデータ処理が容易となる。
また、永久磁石21に働く磁気引力が、圧力センサ122を介してカプセル医療装置103に伝達されるため、カプセル医療装置103の誘導を継続することができる。
【0108】
〔第1の実施形態の第4変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第4変形例について図24を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、永久磁石の磁化方向の算出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図24を用いて永久磁石の磁化方向の算出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
【0109】
図24は、本変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
カプセル医療装置203には、図24に示すように、永久磁石221の周囲に力センサ(磁気力測定部)222が配置されている。本実施例においては、磁化方向に平行な一対の面が形成されている永久磁石に適用して説明する。力センサ222は、永久磁石221に作用する磁気引力を検出するものである。本変形例においては、永久磁石221の一対の面に合計4つ配置されている例に適用して説明する。
【0110】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置203におけるf軸周りの回転位相、つまり、誘導磁界M2の磁界方向と永久磁石221の磁化方向との角度ズレの検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置203の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
カプセル医療装置203の誘導は、第1の実施形態と同様に、カプセル医療装置203は回転磁界である誘導磁界M2により回転駆動され、所望の位置に誘導される。
【0111】
このとき、永久磁石221には誘導磁界M2により回転トルクTが発生しており、この回転トルクTによりカプセル医療装置203は回転駆動される。
力センサ222は、回転駆動される永久磁石221により押圧され力Fを検出する。力センサ222の検出信号は、撮像部9が撮像した画像データに重畳され外部装置5の画像データ受信部43に送信される。
【0112】
力センサ222により検出された力Fは、力センサ222の配置位置に基づいて永久磁石221に発生した回転トルクTを算出するのに用いられる。そして、算出された回転トルクTと、永久磁石221の磁界ベクトルMと、誘導磁界M2の磁界ベクトルHとの間の関係式(式(6))に基づいて、永久磁石221の磁化方向と誘導磁界M2の磁界方向とのなす角θが算出される。
T=MHcosθ ・・・(6)
このように求められたθと、誘導磁界M2の磁界方向とに基づいて、永久磁石221の磁化方向が算出される。
【0113】
上記の構成によれば、カプセル医療装置203の誘導時に、永久磁石221の磁化方向と、誘導磁界M2の磁界方向とのなす角が算出され、永久磁石221の磁化方向が算出できる。
【0114】
永久磁石221に発生する回転トルクTを力センサ222により直接測定するので、永久磁石221の磁化方向を正確に算出できる。
また、永久磁石221の磁化方向の算出の際に行われるデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石221の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0115】
図25は、本発明の医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
なお、上述の第1の実施形態から第1の実施形態の第4変形例においては、医療装置としてカプセル医療装置を用いて説明したが、図25に示すように、内視鏡装置303を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0116】
内視鏡装置(医療装置)303には、図25に示すように、被験者の体腔内に挿入される内視鏡305と、内視鏡305の先端を誘導する永久磁石(磁界応答部)321と、前進または後進駆動力を発生させる螺旋部323とが設けられている。
内視鏡305には、体腔内を撮像するイメージングセンサ327と、イメージングセンサ327に体腔内の像を結像させるレンズ群329と、鉗子を内視鏡305の先端まで誘導する鉗子孔331とが設けられている。
【0117】
永久磁石321は内部に内視鏡305が挿通される円筒状に形成され、半径方向(例えば、図25において上下方向)に磁化されている。また、永久磁石321は、内視鏡305に対して中心軸線周りに回転可能に配置されるとともに、中心軸線方向への移動は規制されている。
螺旋部323は永久磁石321の外周面に螺旋状に配置され、内視鏡305に対して永久磁石321とともに回転可能に配置されている。
【0118】
このような内視鏡装置303を、本発明の医療装置誘導システムに対して用いることで、カプセル医療装置を用いた場合と同様に、内視鏡装置303の位置および方向を精度良く検出することができるとともに、内視鏡装置303を安定して、かつ、効率よく誘導制御することができる。
【0119】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図26から図29を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図26から図29を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図26は、本実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図が示されている。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0120】
医療装置誘導システム301には、図26に示すように、被検体の体腔内に導入されるカプセル医療装置(医療装置)303と、カプセル医療装置303の位置および方向を検出するとともにカプセル医療装置303を誘導する外部装置305と、が設けられている。
【0121】
図27は、図26の医療装置誘導システムにおいて、第1の実施形態と異なる部分を説明する模式図が示されている。
カプセル医療装置303には、図27に示すように、磁化方向がカプセル医療装置303の半径方向と一致する永久磁石21と、中心軸線が永久磁石21の磁化方向と一致する発振コイル315と、が備えられている。
【0122】
外部装置305の位置姿勢検出部333は、外部装置305の座標系におけるカプセル医療装置303の座標値(位置)と、カプセル医療装置303のu軸の方向、つまりカプセル医療装置3のf軸、r軸周りの回転位相と、の5自由度を検出するものである。これらの座標値および回転位相の算出方法については、公知の算出方法を用いることができ、特に限定するものではない。位置姿勢検出部333には、複数の検出コイル47が設けられ、検出コイル47の検出信号が入力されている。
【0123】
方向算出部335は、図26に示すように、カプセル医療装置303のu軸周りの回転位相(医療装置の方向)、つまりカプセル医療装置303のf軸およびr軸の方向を算出するものである。算出方法の詳細については後述する。
【0124】
次に、本実施形態の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図28は、図26のカプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向と、カプセル医療装置のf軸方向との関係を説明する模式図である。図29は、図28のf軸方向から見た、カプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向の関係を説明する図である。
【0125】
まず、永久磁石21の磁化方向D1に対して、図28および図29に示すように、近い磁界方向を有する静磁界Mを発生させる。このときの静磁界Mの磁界強度は、カプセル医療装置303がf軸周りに回転するのに必要なトルクを発生させる磁界強度以上であって、カプセル医療装置303のf軸方向が移動する(旋回する)のに必要なトルクを発生させる磁界強度より弱い磁界強度であることが望ましい。
【0126】
このように、静磁界Mを発生させると永久磁石21にトルクが作用し、カプセル医療装置303は回転する。ここで、カプセル医療装置303の形状や、不均一性により、カプセル医療装置303のf軸周りの回転量は、u軸やr軸周りの回転量よりはるかに大きくなる。そのため、カプセル医療装置303は、静磁界Mによりf軸周りに回転すると見なせる。
具体的には、永久磁石21(カプセル医療装置303)は静磁界Mを発生させる前の方向D1から、静磁界Mを発生させることにより方向D2に回転する。
【0127】
この永久磁石21の回転は位置姿勢検出部333により検出され、検出された方向D1から方向D2への回転により、カプセル医療装置303の回転面(u−r面)が算出される。算出された回転面に対してf軸は垂直な位置関係を有するため、算出された回転面に基づいてf軸の方向が求められる。
磁気引力によりカプセル医療装置303を誘導する場合には、上述のように求められたf軸方向に基づいて、効率よく磁気引力を発生させる磁気勾配の方向が決定される。
【0128】
また、カプセル医療装置303をf軸周りに回転させる場合は、上述のように求められたu−r平面内に回転磁界を発生させることができる。
【0129】
なお、発生させる静磁界Mの磁界強度は、誘導磁界M2の磁界強度よりも小さくてもよい。
このようにすることで、カプセル医療装置303がほとんど旋回せず、正確なf軸方向を検出できる。
【0130】
また、上述のように、カプセル医療装置303のf軸方向を検出するために、静磁界Mを発生させてもよいし、カプセル医療装置303の誘導の際に発生させる誘導磁界M2を用いて、連続的にf軸方向を検出してもよく、特に限定するものではない。
このように、回転磁界を発生させながらf軸方向を検出する場合は、誘導を行いながらカプセル医療装置303のf軸方向を検出できるので効率がよい。
【0131】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置303の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができる。
【0132】
1方向の静磁界を発生させることにより、カプセル医療装置303のf軸方向が求められるため、他の方法と比較して効率がよい。
また、検出用の磁界を一回発生させることで、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができるため、求められたf軸方向の情報を、カプセル医療装置303の誘導制御へフィードバックするのに効率がよい。
【0133】
〔第2の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第1変形例について図30から図32を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図30から図32を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図30は、本変形例における方向検出時に発生される磁界の磁界方向を説明する模式図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法も第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0134】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、位置姿勢検出部333により予め検出された永久磁石21の磁化方向M(発振コイル315の中心軸線方向)に対して、同じ角度差を有する複数の方向検出磁界M1を発生させる。
【0135】
カプセル医療装置3は、発生した方向検出磁界M1によりf軸,u軸,r軸周りに方向が変化する。この時、カプセル医療装置の形状や不均一性により、カプセル医療装置のf軸周りの回転は、u軸やr軸周りの回転よりも応答性が良い。
【0136】
複数の方向検出磁界M1を印加した時の永久磁石21の磁化方向Mを、位置姿勢検出部333で求め、予め検出された方向検出磁界M1を印加する前の永久磁石21の磁化方向Mとの角度差を求める。この角度差が最大となる時の方向検出磁界M1の磁界方向と、予め検出された方向検出磁界M1を印加する前の永久磁石21の磁化方向Mからなる平面がu−r平面として算出される。算出された回転面に対してf軸は垂直な位置関係を有するため、算出された回転面に基づいてf軸の方向が求められる。
【0137】
磁気引力によりカプセル医療装置303を誘導する場合には、上述のように求められたf軸方向に基づいて、効率よく磁気引力を発生させる磁気勾配の方向が決定される。
具体的には、カプセル医療装置303の回転面は、位置姿勢検出部333により検出された方向検出磁界M1の発生前および発生後における永久磁石21の磁化方向Mに基づいて算出される。
【0138】
また、カプセル医療装置333をf軸周りに回転させる場合は、上述のように求められたu−r平面内に回転磁界を発生させることができる。
【0139】
一方、上述のように、カプセル医療装置303の回転面を、位置姿勢検出部333を用いて算出してもよいし、以下に説明するように、画像のパターンマッチングから求めてもよい。
図31は、複数の方向検出磁界M1を発生させる前に撮像された画像を説明する図である。図32は、複数の方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
【0140】
まず、複数の方向検出磁界M1を発生させる前に、被検体の体腔内を撮像部9により撮像し、撮像された画像において、図31に示すように、特定の検出パターンPを設定する。
そして、複数の方向検出磁界M1を発生させた状態で、被検体の体腔内を撮像部9により撮像する。このようにして撮像された画像において、検出パターンPは図32に示すように位置P1からP2に移動している。
【0141】
この検出パターンPの移動は、画像の中心を回転中心とする円周上を移動する回転方向成分MRと、画像の中心から径方向に移動する径方向成分MDに分離される。分離された成分のうち、複数の方向検出磁界M1ごとに得られた回転方向成分MRが最大となる方向検出磁界の磁界方向と、複数の方向検出磁界M1を発生させる前の位置姿勢検出部333によって予め検出された永久磁石21の磁化方向Mからなる平面をu−r平面として検出し、u−r平面に垂直な方向をf軸として検出する。
また、検出パターンPは複数個設定することで、より正確な回転方向成分MR,径方向成分MDを求めることができる。
【0142】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
【0143】
複数の方向検出磁界M1を用いて、カプセル医療装置303のf軸方向を算出するため、1つの方向検出磁界M1を用いる方法と比較して、正確なf軸方向を求めることができる。
【0144】
〔第2の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第2変形例について図33から図35を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図33から図35を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図33は、本変形例における位置検出に用いる磁界の発生前および発生後の永久磁石の磁化方向と、位置検出用の磁界の磁界方向との関係を説明する図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。また、カプセル医療装置303の誘導法の概略および画像の取得方法も第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0145】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置303におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、位置姿勢検出部333により予め検出された永久磁石21の磁化方向M(発振コイル315の中心軸線方向)に対して、近い角度を有する方向検出磁界M1を発生させる。すると、カプセル医療装置303は方向検出磁界M1により回転する。
【0146】
図33は、方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
そして、以下に説明するように、画像のパターンマッチングからカプセル医療装置303における回転面における回転角αを求める。
具体的には、図33に示すように、撮像部9により撮像された画像において、検出パターンPは位置P1からP2に移動している。
この検出パターンPの移動を、画像の中心を回転中心とする円周上を移動する回転方向成分MRと、画像の中心から径方向に移動する径方向成分MDに分離し、分離された回転方向成分MRから回転角αが算出される。
【0147】
また、位置姿勢検出部333により、方向検出磁界M1の発生前および発生後における発振コイル315の中心軸線方向、つまり永久磁石21の磁化方向H1およびH2が検出される。
ここで、H1は、方向検出磁界M1の発生前における永久磁石21の磁化方向を表すベクトルであり、H1=(a1,b1,c1)である。H2は、方向検出磁界M1の発生後における永久磁石21の磁化方向を表すベクトルであり、H2=(a2,b2,c2)である。
【0148】
図34は、図33のカプセル医療装置における回転面および旋回面の算出方法を説明するベクトル線図である。
図34において、H1を含む回転面とH2を含む旋回面との交線に沿った単位ベクトルをVとすると、V−H1平面が回転面PRであり、V−H2平面が旋回面PTとなる。ベクトルVは、ベクトルH1が回転面PRに沿って回転角αだけ回転したときの方向を示す単位ベクトルであり、V=(x,y,z)と表される。
【0149】
また、回転面PRが紙面と一致する平面とすると、旋回面PTは紙面に対して交差する面となる。言い換えると、ベクトルH1およびVは紙面に沿ったベクトルであり、ベクトルH2は紙面と交差するベクトルである。
さらに、ベクトルH1とベクトルVとのなす角が上述の回転角αとなり、ベクトルH2とベクトルVとのなす角が旋回角βとなる。
【0150】
上述のベクトルH1とベクトルH2とベクトルVとの関係より下記の式(7),式(8),式(9)が導かれる。式(7)は、ベクトルH1とベクトルVとのなす角がαであることに基づき導かれた式である。式(8)は、ベクトルVが単位ベクトルであることに基づき導かれた式である。
回転面PRと旋回面PTは直交する。このとき、回転面PRに含まれ、回転面PRと旋回面PTの交線ベクトル(H1)に垂直なベクトル(H1−Vcosα)は、旋回面PTに含まれる任意のベクトル(H2)と垂直となる。したがって、式(9)は、ベクトルH2とベクトルH1−Vcosαとが垂直であることに基づき導かれた式である。
【数1】
【0151】
上述の式(7),式(8),式(9)からなる連立方程式から、2通りの(x,y,z)が求められる。そのうち、画像内の検出パターンPの回転方向、径方向への移動方向に基づき、(x,y,z)が一意に決定される。
決定された(x,y,z)=Vにより、回転面PRおよび旋回面PTが算出し、磁界発生後のカプセル医療装置303のf軸方向が算出される。
【0152】
なお、カプセル医療装置303のf軸方向の算出は、誘導磁界M2である回転磁界などが連続的に発生されている間に、連続的行われてもよい。
【0153】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
【0154】
カプセル医療装置の移動量を位置姿勢検出部333の検出情報と、撮像部9が撮像した画像のパターンマッチングから得られた情報とから求めるため、正確なカプセル医療装置のf軸方向を求めることができる。
1方向の静磁界を発生させることにより、カプセル医療装置303のf軸方向が求められるため、他の方法と比較して効率がよい。
【0155】
回転磁界を発生させながらf軸方向を検出する場合は、誘導を行いながらカプセル医療装置303のf軸方向を検出できるので効率がよい。
また、検出用の磁界を一回発生させることで、カプセル医療装置303のf軸方向を求めることができるため、求められたf軸方向の情報を、カプセル医療装置303の誘導制御へフィードバックするのに効率がよい。
【0156】
〔第2の実施形態の第3変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の第3変形例について図35から図38を参照して説明する。
本変形例の医療装置誘導システムの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本変形例においては、図35から図38を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図35は、本変形例におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成と、永久磁石に働く方向検出磁界の磁界方向と、を説明する図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0157】
カプセル医療装置403には、図35に示すように、磁化方向がカプセル医療装置303の半径方向と一致する永久磁石21と、永久磁石21に働くr軸(紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)422とが備えられている。
力センサ422は、永久磁石21に作用する回転トルクを検出するものである。本変形例においては、永久磁石21のf軸に対して垂直な一対の面に少なくとも4つの力センサ422が配置されている例に適用して説明する。
【0158】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置403におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置403の誘導法の概略および画像の取得方法は、第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0159】
図36は、図35の方向検出磁界の磁化方向を説明する斜視図である。図37は、図36の方向検出磁界をZ軸方向から見た図である。図38は、図36の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
なお、図36から図38におけるX軸,Y軸,Z軸は、それぞれカプセル医療装置のf軸,r軸,u軸に対応するものである。
【0160】
まず、図35および図36に示すように、永久磁石21の磁化方向(Z軸方向)に対して角度αをなす方向検出磁界M1を印加する。方向検出磁界M1とZ軸とを含む平面は、図36および図37に示すように、X軸(カプセル医療装置403のf軸)に対して角度θだけZ軸周りに回転している。そして、方向検出磁界M1は、図36および図38に示すように、Z軸から角度αだけX−Y平面側に回転している。
【0161】
このように、永久磁石21に方向検出磁界M1が印加されると、永久磁石21に回転トルクが働き、力センサ422を押圧する。押圧力は力センサ422に検出され、力センサ422の検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
力センサ422の検出信号と、力センサ422の配置とに基づき、永久磁石21に働いた回転トルクTが求められる。一方、永久磁石21に働く回転トルクTは、方向検出磁界M1の磁界強度Hと、永久磁石21の磁界強度Mと、上述のなす角αおよびなす角θを用いて、下記の式(10)で表される。
T=HMsinαcosθ ・・・(10)
この式(10)を解くことにより、θは2つの解(±x)として求められる。
【0162】
続けて、上述の方向検出磁界M1の磁化方向とは異なる方向に磁化方向を有する方向検出磁界M1を印加し、再度、なす角θを算出する。このように2度求められたθのうち、外部装置305の座標系において、一致するθを用いて、カプセル医療装置403のX軸方向が算出される。
【0163】
また、上述のように異なる磁化方向を有する方向検出磁界M1を印加することなく、それまでの誘導履歴、例えばカプセル医療装置をどちら側に旋回誘導してきたか等の情報に基づいて、算出された2つのθから一方を選択してもよい。
【0164】
上記の構成によれば、5自由度を検出する位置姿勢検出部333を用いる医療装置誘導システム301によって、カプセル医療装置403の6自由度の位置姿勢検出が可能となる。つまり、カプセル医療装置403のX軸方向を求めることができる。
【0165】
永久磁石21に発生する回転トルクTを力センサ422により直接測定するので、永久磁石21の磁化方向を正確に算出できる。
また、永久磁石21の磁化方向の算出の際に行われるデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石21の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0166】
方向検出磁界M1の磁界強度を誘導磁界の磁界強度より小さくすることで、カプセル医療装置403の向きが変化しないので、より正確なカプセル医療装置403のX軸方向の算出ができる。
【0167】
図39は、本発明の第2実施形態に適用するカプセル医療装置の別の実施例を説明する模式図である。図40は、図39のカプセル医療装置の構成を説明する正面図である。
なお、上述の第2の実施形態から第2の実施形態の第3変形例においては、発振コイルの中心軸線が、永久磁石の磁化方向と略平行に配置された例に適用して説明しているが、図39および図40に示すように、発振コイルの中心軸線が、永久磁石の磁化方向とが大きく離れて(例えば略垂直に)配置されていてもよく、特に限定するものではない。
このように配置することで、永久磁石の磁化方向と、誘導磁界の磁化方向とのズレが小さい場合には、発振コイルの中心軸線と、誘導磁界の磁化方向とを含む平面に対して略垂直な方向がカプセル医療装置のf軸方向と算出することができる。
また、永久磁石の磁化方向と、誘導磁界の磁化方向とのズレが大きい場合には、上述の第2の実施形態から第2の実施形態の第3変形例を同様な方法で、カプセル医療装置のf軸方向と算出することが望ましい。
【0168】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図41から図43を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図41から図43を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図41は、本実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。図42は、図41のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0169】
医療装置誘導システム501のカプセル医療装置(医療装置)503には、図41および図42に示すように、磁化方向がカプセル医療装置503の半径方向と一致する永久磁石(磁界応答部)521と、永久磁石521に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)522R,522Fとが備えられている。
なお、医療装置誘導システム501には、位置姿勢検出部33は設けられていない。
【0170】
永久磁石521には、カプセル医療装置のf軸に対して略垂直な一対の面と、r軸に対して略垂直な一対の面とが形成されている。
f軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石521に働くr軸(図41における紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ522Rが少なくとも4つ配置されている。また、r軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石521に働くf軸(図42における紙面に対して垂直方向の軸)周りの回転トルクを検出する力センサ522Fが少なくとも4つ配置されている。
【0171】
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置503におけるf軸方向の検出方法について説明する。なお、カプセル医療装置503の誘導法の概略および画像の取得方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0172】
図43は、図41のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
まず、図43に示されるように、任意の磁界方向を有する位置検出磁界MG1がカプセル医療装置503の永久磁石521に印加される。
永久磁石521に位置検出磁界MG1が印加されると、永久磁石521に回転トルクが働き、力センサ522R,522Fを押圧する。押圧力は力センサ522R,522Fに検出され、力センサ522R,522Fの検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
【0173】
力センサ522R,522Fの検出信号と、力センサ522R,522Fの配置とに基づき、永久磁石521に働いた回転トルクTが求められる。一方、永久磁石521に働く回転トルクTは、位置検出磁界MG1の磁界強度Hと、永久磁石521の磁界強度Mと、永久磁石521の磁化方向と位置検出磁界MG1の磁界方向とのなす角θG1を用いて、下記の式(11)で表される。
T=HMcosθG1 ・・・(11)
【0174】
この式(11)を解くことにより、永久磁石521の磁化方向と位置検出磁界MG1の磁界方向とのなす角θG1が求められる。このなす角θG1に基づいて、永久磁石521の磁化方向の可能性がある位置検出磁界MG1の磁界方向を中心軸線とした円錐面C1が求められる。
【0175】
続けて同様に、位置検出磁界MG1の磁界方向とは異なる磁化方向を有する位置検出磁界MG2および位置検出磁界MG3を永久磁石521に印加させ、位置検出磁界MG2の磁界方向を中心軸線とした円錐面C2および位置検出磁界MG3の磁界方向を中心軸線とした円錐面C3が求められる。
【0176】
このようにして求められた円錐面C1からC3から、これらの共通交線がカプセル医療装置503における永久磁石521の磁化方向として算出される。
さらに、算出された永久磁石521の磁化方向に対して、カプセル医療装置503におけるf軸方向が90°−θの関係を有することから、カプセル医療装置503におけるf軸方向も算出される。
【0177】
上記の構成によれば、力センサ522R,522Fの検出信号に基づき、方向検出磁界MG1,MG2,MG3の磁化方向と永久磁石521の磁化方向とのなす角θG1,θG2,θG3をそれぞれ算出することにより、カプセル医療装置503のf軸方向を算出することができる。
【0178】
力センサ522R,522Fにより、永久磁石521に発生する回転トルクを直接測定するため、なす角θG1,θG2,θG3を正確に算出することができる。
また、なす角θG1,θG2,θG3を算出するデータ処理が、位置検出計算や画像処理が不要なため容易となる。したがって、永久磁石521の磁化方向の算出の応答性がよくなり、磁気勾配の発生方向の制御性や、取得した画像データの回転補正における制御性が向上する。
【0179】
方向検出磁界MG1,MG2,MG3の磁界強度を誘導磁界の磁界強度より小さくすることで、カプセル医療装置503の向きが変化しないので、より正確なカプセル医療装置503のf軸方向の算出ができる。
【0180】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図44から図48を参照して説明する。
本実施形態の医療装置誘導システムの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、カプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法が異なっている。よって、本実施形態においては、図44から図48を用いてカプセル医療装置におけるf軸方向の検出方法のみを説明し、医療装置誘導システムの構成等の説明を省略する。
図44は、本実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。図45は、図44のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0181】
医療装置誘導システム601のカプセル医療装置(医療装置)603には、図44および図45に示すように、磁化方向がカプセル医療装置603のf軸方向と一致する永久磁石(磁界応答部)621と、永久磁石621に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)622とが備えられている。
なお、医療装置誘導システム601には、位置姿勢検出部33は設けられていない。
【0182】
永久磁石621には、カプセル医療装置のf軸に対して略垂直な一対の面が形成されている。
f軸に対して略垂直な一対の面には、永久磁石621に働くr軸およびu軸周りの回転トルクを検出する力センサ622が少なくとも8つ配置されている。
【0183】
図46は、図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
ここで、本変形例の特徴であるカプセル医療装置603におけるf軸方向の検出方法について説明する。
まず、図46に示されるように、任意の磁界方向を有する位置検出磁界MG1がカプセル医療装置603の永久磁石621に印加される。
【0184】
永久磁石621に位置検出磁界MG1が印加されると、永久磁石621に回転トルクが働き、力センサ622を押圧する。押圧力は力センサ622に検出され、力センサ622の検出信号は、画像データに重畳されて外部装置の画像データ受信部43に送信される。
以後、第3の実施形態と同様に、位置検出磁界MG1の磁界方向を中心軸線とした円錐面C1と、位置検出磁界MG2の磁界方向を中心軸線とした円錐面C2と、位置検出磁界MG3の磁界方向を中心軸線とした円錐面C3の共通交線が、カプセル医療装置603におけるf軸方向として算出される。
【0185】
図47は、図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界の別の印加例を説明するベクトル図である。図48は、図47のカプセル医療装置におけるf軸方向の決定方法を説明する図である。
なお、上述のように、位置検出磁界MG1,MG2,MG3を用いてカプセル医療装置603におけるf軸方向を算出してもよいし、図47に示すように、位置検出磁界MG1,MG2のみを用いてカプセル医療装置603におけるf軸方向を算出してもよく、特に限定するものではない。
このとき、図48に示すように、カプセル医療装置603におけるf軸方向は2つ求められる。そのため、位置検出磁界MG1,MG2に対する永久磁石に働く力の方向と、位置検出磁界MG1,MG2とカプセル医療装置のf軸方向の位置関係が一致するものを、カプセル医療装置603におけるf軸方向として決定する。
【0186】
図49は、本実施形態における医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。図50は、図49の内視鏡装置の構成を説明する正面視図である。
なお、上述の第4の実施形態においては、医療装置としてカプセル医療装置を用いて説明したが、図49および図50に示すように、内視鏡装置703を用いてもよく、特に限定するものではない。
【0187】
内視鏡装置(医療装置)703には、図49および図50に示すように、被験者の体腔内に挿入される内視鏡705と、内視鏡705の先端を誘導する永久磁石(磁界応答部)721とが設けられている。
内視鏡705には、体腔内を撮像するイメージングセンサ727と、イメージングセンサ727に体腔内の像を結像させるレンズ群729と、鉗子を内視鏡705の先端まで誘導する鉗子孔731とが設けられている。
【0188】
永久磁石721は内部にイメージングセンサ727やレンズ群729や鉗子孔731などが挿通される円筒状に形成され、f軸方向(図49において左右方向)に磁化されている。また、永久磁石721と内視鏡705との間には、永久磁石721に働く回転トルクを検出する力センサ(磁気力測定部)722が配置されている。
力センサ722は、永久磁石721をr軸やu軸周りに回転させる回転トルクを検出するセンサであって、具体的には、永久磁石721が回転する際に力センサ722を押圧する力を検出するものである。
【0189】
このような構成を有する内視鏡装置703のf軸方向の算出方法は、上述の第4の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図である。
【図2】図1のカプセル医療装置における座標軸と、外部装置における座標軸とを説明する図である。
【図3】図1のカプセ医療装置の内部構成を説明する模式図である。
【図4】図1の位置姿勢検出部の構成を説明する模式図である。
【図5】図2のカプセル医療装置における他の駆動方法を説明する図である。
【図6】図1のインターフェイスの構成を説明する模式図である。
【図7】図6の操作部の構成を説明する概略図である。
【図8】図6の操作部の構成を説明する概略図である。
【図9】図6の表示部を説明する模式図である。
【図10】磁界強度H1の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
【図11】磁界強度H2の方向検出磁界M1が働いている際にカプセル医療装置が撮像した画像を説明する図である。
【図12】永久磁石の磁界と、方向検出磁界と、永久磁石に働くトルクとの関係を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の第1変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の第1変形例における方向検出磁界の磁界方向と永久磁石の磁化方向との角度ズレの検出方法を説明する図である。
【図15】本発明の第1の実施形態の第2変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界を説明する斜視図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の第2変形例における永久磁石の磁化方向を求める際に形成される回転磁界MR2を説明する斜視図である。
【図17】図16の回転磁界をZ軸から見た上面視図である。
【図18】回転磁界MR1の発生する磁界の方向と、XY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φと、発生磁界の方向と永久磁石の磁化方向との角度差Δθとの関係を示す図である。
【図19】回転磁界MR2の発生する磁界の方向と、XY平面との角度差θと、永久磁石とXY平面との角度差φと、発生磁界の方向と永久磁石の磁化方向との角度差Δθとの関係を示す図である。
【図20】回転磁界MR1,MR2の発生する磁界の方向が同じ時に、カプセル医療装置のイメージセンサにより撮像された画像を比較したものであり、図20(a)は回転磁界MR1の画像、図20(b)は回転磁界MR2の画像を示すものである。
【図21】本発明の第1の実施形態の第3変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
【図22】図21のカプセル医療装置に勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
【図23】図21のカプセル医療装置に他の勾配磁界を作用させた状態を説明する図である。
【図24】本発明の第1の実施形態の第4変形例のカプセル医療装置における永久磁石の周囲の構成を説明する断面視図である。
【図25】本発明の医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る医療装置誘導システムの概略を説明する模式図である。
【図27】図26の医療装置誘導システムにおいて、第1の実施形態と異なる部分を説明する模式図である。
【図28】図26のカプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向と、カプセル医療装置のf軸方向との関係を説明する模式図である。
【図29】図28のf軸方向から見た、カプセル医療装置に働く静磁界の磁界方向と、永久磁石の磁化方向の関係を説明する図である。
【図30】本発明の第2の実施形態の第1変形例における方向検出時に発生される磁界の磁界方向を説明する模式図である。
【図31】複数の方向検出磁界M1を発生させる前に撮像された画像を説明する図である。
【図32】複数の方向検出磁界M1を発生させた後に撮像された画像を説明する図である。
【図33】本発明の第2の実施形態の第2変形例における位置検出に用いる磁界の発生前および発生後の永久磁石の磁化方向と、位置検出用の磁界の磁界方向との関係を説明する図である。
【図34】図33のカプセル医療装置における回転面および旋回面の算出方法を説明するベクトル線図である。
【図35】本発明の第2の実施形態の第3変形例におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成と、永久磁石に働く方向検出磁界の磁界方向と、を説明する図である。
【図36】図35の方向検出磁界の磁化方向を説明する斜視図である。
【図37】図38の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
【図38】図36の方向検出磁界の磁化方向とZ軸とのなす角を説明する図である。
【図39】本発明の第2実施形態に適用するカプセル医療装置の別の実施例を説明する模式図である。
【図40】図39のカプセル医療装置の構成を説明する正面図である。
【図41】本発明の第3の実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。
【図42】図41のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
【図43】図41のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
【図44】本発明の第4の実施形態におけるカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する縦断面視図である。
【図45】図44のカプセル医療装置の永久磁石周辺の構成を説明する正面視図である。
【図46】図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界について説明するベクトル図である。
【図47】図44のカプセル医療装置に印加される位置検出磁界の別の印加例を説明するベクトル図である。
【図48】図47のカプセル医療装置におけるf軸方向の決定方法を説明する図である。
【図49】本発明の第4の実施形態における医療装置誘導システムに適用する医療装置として、カプセル医療装置の代わりに内視鏡装置を用いた場合を説明する図である。
【図50】図49の内視鏡装置の構成を説明する正面視図である。
【符号の説明】
【0191】
1,301,501,601 医療装置誘導システム
3,103,203,303,403,503,603 カプセル医療装置(医療装置)
9 撮像部(画像取得部、応答検出部)
21,321,521,721 永久磁石(磁界応答部)
35 方向算出部
45 磁界発生部
49 方向検出磁界制御部
122 圧力センサ(磁気力測定部)
222,422,522R,522F,622,722 力センサ(磁気力測定部)
303,703 内視鏡装置(医療装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に導入される医療装置と、
該医療装置内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、前記医療装置を誘導する磁界応答部と、
前記被検体内に磁界を形成する磁界発生部と、
前記医療装置の方向を検出するための方向検出磁界を前記磁界発生部から発生させる方向検出磁界制御部と、
前記方向検出磁界による前記磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、
前記方向検出磁界の方向と前記応答検出部の検出結果とに基づいて、前記医療装置の方向を算出する方向算出部と、
が設けられた医療装置位置検出システム。
【請求項2】
前記医療装置における互いに異なる方向を有する3つの軸方向のうち、
互いに異なる方向を有する2つの軸の方向が前記応答検出部により算出され、
前記2つの軸からなる平面に対して交差する軸の方向が前記方向算出部により算出される請求項1記載の医療装置位置検出システム。
【請求項3】
前記応答検出部が前記被検体内の画像を取得する画像取得部からなる請求項1または2に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項4】
前記応答検出部前記磁界応答部に発生する力を測定する磁気力測定部からなる請求項1または2に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項5】
前記方向検出磁界制御部が、静磁界を発生するように前記磁界発生部を制御する請求項1から4のいずれかに記載の医療装置位置検出システム。
【請求項6】
前記方向検出磁界制御部が、方向または強度が異なる複数の磁界を順次発生するように前記磁界発生部を制御し、
前記方向算出部が、前記複数の磁界に対する前記応答検出部の各検出結果に基づいて前記医療装置の方向を算出する請求項5に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項7】
前記方向検出磁界制御部が、勾配磁界を発生するように前記磁界発生部を制御する請求項1から4のいずれかに記載の医療装置位置検出システム。
【請求項8】
前記医療装置が略円筒形状で、
前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、
前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略平行である請求項2記載の医療装置位置検出システム。
【請求項9】
前記医療装置が略円筒形状で、
前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、
前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略垂直である請求項2記載の医療装置位置検出システム。
【請求項10】
前記磁気力測定部が、前記磁界応答部に働く圧力、歪およびトルクの少なくとも一つを測定するセンサであり、
前記磁界応答部が前記センサを介して前記医療装置に固定される請求項4に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の医療装置位置検出システムと、
前記医療装置を誘導する誘導磁界を前記磁界発生部から発生させる誘導磁界制御部と、が設けられ、
前記方向算出部の算出結果に基づいて、前記誘導磁界制御部が前記磁界発生部を制御する医療装置誘導システム。
【請求項12】
前記方向検出磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度が、前記誘導磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度よりも小さい請求項11記載の医療装置誘導システム。
【請求項13】
磁界発生部が、医療装置に備えられた磁界応答部の磁化方向を検出する方向検出磁界を発生する検出磁界発生ステップと、
前記磁界応答部の応答を検出する応答検出ステップと、
前記磁界応答部の応答と、前記方向検出磁界の方向から、前記医療装置の方向を検出する方向検出ステップと、
からなる医療装置誘導システムの位置検出方法。
【請求項14】
請求項13記載の医療装置誘導システムの位置検出方法における前記方向検出ステップの後に、
前記検出された医療装置の方向に基づいて、前記磁界発生部が前記医療装置を誘導する誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップを備える医療装置誘導システムの誘導方法。
【請求項1】
被検体内に導入される医療装置と、
該医療装置内に配置され、磁化方向を有することにより磁界に応答し、前記医療装置を誘導する磁界応答部と、
前記被検体内に磁界を形成する磁界発生部と、
前記医療装置の方向を検出するための方向検出磁界を前記磁界発生部から発生させる方向検出磁界制御部と、
前記方向検出磁界による前記磁界応答部の応答を検出する応答検出部と、
前記方向検出磁界の方向と前記応答検出部の検出結果とに基づいて、前記医療装置の方向を算出する方向算出部と、
が設けられた医療装置位置検出システム。
【請求項2】
前記医療装置における互いに異なる方向を有する3つの軸方向のうち、
互いに異なる方向を有する2つの軸の方向が前記応答検出部により算出され、
前記2つの軸からなる平面に対して交差する軸の方向が前記方向算出部により算出される請求項1記載の医療装置位置検出システム。
【請求項3】
前記応答検出部が前記被検体内の画像を取得する画像取得部からなる請求項1または2に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項4】
前記応答検出部前記磁界応答部に発生する力を測定する磁気力測定部からなる請求項1または2に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項5】
前記方向検出磁界制御部が、静磁界を発生するように前記磁界発生部を制御する請求項1から4のいずれかに記載の医療装置位置検出システム。
【請求項6】
前記方向検出磁界制御部が、方向または強度が異なる複数の磁界を順次発生するように前記磁界発生部を制御し、
前記方向算出部が、前記複数の磁界に対する前記応答検出部の各検出結果に基づいて前記医療装置の方向を算出する請求項5に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項7】
前記方向検出磁界制御部が、勾配磁界を発生するように前記磁界発生部を制御する請求項1から4のいずれかに記載の医療装置位置検出システム。
【請求項8】
前記医療装置が略円筒形状で、
前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、
前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略平行である請求項2記載の医療装置位置検出システム。
【請求項9】
前記医療装置が略円筒形状で、
前記磁界応答部の磁化方向が、前記略円筒形状の中心軸に対して略垂直であり、
前記応答検出部により検出される前記2つの軸からなる面が、前記中心軸に対して略垂直である請求項2記載の医療装置位置検出システム。
【請求項10】
前記磁気力測定部が、前記磁界応答部に働く圧力、歪およびトルクの少なくとも一つを測定するセンサであり、
前記磁界応答部が前記センサを介して前記医療装置に固定される請求項4に記載の医療装置位置検出システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の医療装置位置検出システムと、
前記医療装置を誘導する誘導磁界を前記磁界発生部から発生させる誘導磁界制御部と、が設けられ、
前記方向算出部の算出結果に基づいて、前記誘導磁界制御部が前記磁界発生部を制御する医療装置誘導システム。
【請求項12】
前記方向検出磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度が、前記誘導磁界制御部によって前記磁界発生部が発生する磁界の強度よりも小さい請求項11記載の医療装置誘導システム。
【請求項13】
磁界発生部が、医療装置に備えられた磁界応答部の磁化方向を検出する方向検出磁界を発生する検出磁界発生ステップと、
前記磁界応答部の応答を検出する応答検出ステップと、
前記磁界応答部の応答と、前記方向検出磁界の方向から、前記医療装置の方向を検出する方向検出ステップと、
からなる医療装置誘導システムの位置検出方法。
【請求項14】
請求項13記載の医療装置誘導システムの位置検出方法における前記方向検出ステップの後に、
前記検出された医療装置の方向に基づいて、前記磁界発生部が前記医療装置を誘導する誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップを備える医療装置誘導システムの誘導方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【公開番号】特開2008−119253(P2008−119253A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306821(P2006−306821)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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