医療装置用のシース
【課題】ガイドワイヤを通じて前進可能で、必要な領域へ管腔内医療装置を搬送し、その後患者の血管から延伸する大きな基端のガイドワイヤ領域を必要とせずに、患者の血管内から除去できることが可能であり得る急速交換シースを提供すること。
【解決手段】急速交換シースは長尺管状部材10、ガイドワイヤ20、支持ワイヤ25から構成される。ガイドワイヤは管状部材の先端部の第一開口部15と先端部から基端方向の短い距離にある第二開口部16とを通過する。支持ワイヤは管状部材のルーメン11で受け取られ、先端部から基端方向の短い距離の第三開口部17を通って基端方向に延伸する。支持ワイヤは先端部において拡張可能なフィルタ50など血管管腔医療装置を受け取るのに適している。患者血管内で医療装置を留置そして/また拡張する為のシースの使用方法もまた開示した。
【解決手段】急速交換シースは長尺管状部材10、ガイドワイヤ20、支持ワイヤ25から構成される。ガイドワイヤは管状部材の先端部の第一開口部15と先端部から基端方向の短い距離にある第二開口部16とを通過する。支持ワイヤは管状部材のルーメン11で受け取られ、先端部から基端方向の短い距離の第三開口部17を通って基端方向に延伸する。支持ワイヤは先端部において拡張可能なフィルタ50など血管管腔医療装置を受け取るのに適している。患者血管内で医療装置を留置そして/また拡張する為のシースの使用方法もまた開示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内管の必要な領域に対する、血管形成、アテローム切除術、又はカテーテルに配置されたステント等、管腔内医療装置の配置の為の装置及びその使用方法に関するものである。より詳細には、本発明は“有線を通じた”医療機器の操作及び交換のうちの少なくとも一方の為に医療装置の配置に使われる急速交換シースを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
血管管腔手法を使用する血管内の血栓症やアテローム硬化症の治療法は、選択された患者にとって外科的な手法に代わる効果的で信頼できる手段であると最近証明されてきた。例えば、ステント配置の有無に拘わらず直接アテローム切除術及び経皮経管冠動脈形成(PTCA)は冠動脈閉鎖症の患者の治療に有用である。アテローム削除術は物理的に、カテーテル搬送動脈内膜切除装置を使用しアテローム硬化症動脈を切除や、粉砕や、削り取りによりプラークを除去する。血管形成は、機械的な力を血管壁上に加えることにより狭窄血管の管腔直径を拡張する。冠動脈脈管構造での血管形成や、ステント法、アテローム切除術の使用に加え、これらの血管管腔技術はまた、例えば、頚動脈狭窄や、末梢動脈塞栓性疾患(特に大動脈、腸骨動脈、大腿動脈)や、アテローム硬化症又は繊維筋性疾患により引き起こされる腎動脈狭窄、上動脈症候群や、血栓崩壊に耐性を持つ閉塞性腸骨静脈血栓症など他の血管病変の治療に有用であることが証明されてきた。
【0003】
血管管腔技術に関する合併症の一つに、血管処置中に発生する塞栓症物質による損傷があり、細い血管下流の狭窄及び虚血又は血管が血液を供給する組織の梗塞を引き起こすことが周知である。1995年にワクスマン(Waksman)等により、冠動脈の直接アテローム切除術や伏在静脈グラフト後に末梢塞栓が多く発症することが開示された。本願に組入れられている、ワクスマン(Waksman)等の1995年発行のAmerican Heart Journal 129(3)の430−5ページを参照すると、この研究では、末梢塞栓がアテローム削除術を受けた患者の28%(111名中31名)に発症していることがわかった。1999年1月のジョーダン,ジュニア(Jordan,Jr)等の開示では、ステントを使用する経皮的血管形成術による頚動脈狭窄の治療は、頚動脈内膜剥離術を使用した場合と比べて確認された微小塞栓の発症率が8倍以上あった。本願に組入れられている、ジョーダン,ジュニア(Jordan,Jr)等の1999年発行のCardiovascular surgery 7(1)33−8ページを参照すると、この研究において、経頭蓋ドップラーモニタリングにより検知された微小塞栓は脳梗塞を潜在的に引き起こすことが示された。塞栓症物質はカルシウム、血管管腔の破片、アテローム硬化症のプラーク、トロンビン、空気、の一つ又は組み合わせからなる。
【0004】
血管塞栓を取り込む為の血液濾過を実現する為に、多くの装置が設計されてきた。血管管腔の血液濾過の為に、ガイドワイヤの先端部に取り付けられたフィルタが、提案されてきた。ガイドワイヤに取り付けられたフィルタを含む、これらの装置の大部分は、血管内に配置されたストラット又は事前形成されたバスケットによって機械的に作動させられる。それらのフィルタは、先端部にワイヤのシャフトに付着し、基端部の放射状方向に外方に拡張するワイヤストラットに付着する一般的なメッシュ“パラシュート”である。放射状ストラットは血管壁の方向にフィルタの基端部を広げる。血管を通る血液の流れはメッシュに押し込まれる為、塞栓症物質がフィルタ内に捕捉される。これらの装置は自立的であり、血管内に滞留し得る。しかし、現在の装置に関する一つの大きな欠陥は、フィルタの大きさに対応する為に従来のガイドワイヤと比較すると、ガイドワイヤの操作性が変更され得ることである。ガイドワイヤは血管周囲を屈曲し、よじれ、環状になり得るため、複雑な欠陥損傷部を通過してフィルタを挿入することは困難である。
【0005】
血管管腔処置中、ガイドワイヤを通じてある血管管腔装置を他の血管管腔装置に変更することはまれである。しかし、ガイドワイヤの位置は、装置の交換中にしばしば失われ、不正確な位置となる。例えば、冠動脈血管再開通術中に、大きな半径のガイドを血管形成専用装置の搬送の為に、小さな半径のガイドを深部までの挿管や圧力制動を防ぐ為に、様々なガイドの形状や、横穴を備えるガイドカテーテルなど、様々な特性を処理する為に、あるガイドカテーテルを他のカテーテルに交換することが必要となる。ガイドワイヤの位置を正確なまま、有るガイドカテーテルから他のカテーテルへの交換を試みた場合、先端ガイドワイヤの接近を維持することほど困難な介入操作がないことは周知である。
【0006】
必要とされるのは、ガイドワイヤを通じて前進可能で、必要な領域へ管腔内医療装置を搬送し、その後患者の血管から延伸する大きな基端のガイドワイヤ領域を必要とせずに、患者の血管内から除去できることが可能であり得る急速交換シースである。現存する装置はこの目的に適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、血管形成用カテーテル、ステント配置用カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、ガイドワイヤ、フィルタカテーテル、フィルタガイドワイヤ、支持ワイヤ、フィルタを備える支持ワイヤ、吸引カテーテルなど、様々な管腔内医療装置の配置や交換の為の急速交換シースを実現することである。これらの装置は、他の装置への交換や、一つのガイドワイヤから別のガイドワイヤへの交換など、同様の装置への交換も可能であり得る。シースは基端部と先端部に連通するルーメンを備える長尺状の管状部材からなる。シースは、先端部においてガイドワイヤ、支持ワイヤ、医療装置の通過に適した第一開口部と、先端部から短い距離に位置する第二開口部とを備える。シースは第一開口部、管状部材、第二開口部を通過するガイドワイヤを備える。シースは、基端部、先端部、先端部に取り付けられた拡張可能なフィルタからなる支持ワイヤを備え得る。管腔内医療装置を受け取りに適したフィルタやガイドワイヤは、管状部材のルーメン内部に位置される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例では、パラシュート、バスケット、巻軸等のフィルタ装置は、拡張可能なフレームとフレームを覆って配置するメッシュを備える。フィルタ装置は血管壁とより適切な接触を実現する為に拡張シールを備え得る。フィルタメッシュの構築や使用については、バルブト(Barbut)等により1995年11月7日に出願された米国特許出願第08/533137号、バルブト(Barbut)等により1995年12月28日に出願された米国特許出願第08/580223号、バルブト(Barbut)等により1996年1月9日に出願された米国特許出願第08/584759号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5769816号、バルブト(Barbut)等により1996年5月14日に出願された米国特許出願第08/645762号、マアフス(Maahs)等による米国特許第5846260号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5662671号、からなる前の出願で十分に議論されており、これらの内容は完全に参照として本願に併合している。
【0009】
別の実施例では、急速交換シースは、第一開口部から基端方向の短い距離にある第三開口部を備える長尺状の部材からなる。一実施例では、長尺状部材は基端部と先端部を連通し、拡張及び流体又は血液の吸引に適応しているルーメンを備える。一実施例では、管状部材の基端部は血管内部への挿入中に血液の逆流を防ぐ止血バルブを備える。
【0010】
本発明の方法は、体腔内部に医療装置を配置する為に、及び血管管腔処置中に塞栓から患者を守る為に有用である。急速交換シースは、冠状動脈、大動脈、総頚動脈、外及び内頚動脈、腕頭動脈、中大脳動脈、脳底動脈、鎖骨下動脈、腋窩動脈、腸骨動脈、腎動脈、大腿動脈、膝窩動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、前脛骨動脈、後脛骨動脈及び、酸素を多く含んだ血液が流れる他の全ての動脈内部に医学機器を配置する為に挿入できる。シースはプロテインCやプロテインSの欠乏症を含む、凝固性亢進状態を伴う患者にフィルタの配置や肺塞栓を防ぐ為に予防的に使用できる。また血管管腔処置中に、接近の為や、トロンビンによる末梢血栓や、上大静脈、下大静脈、外及び内頚静脈、腕頭静脈、肺動脈、鎖骨下静脈、上腕静脈、腋窩静脈、腸骨静脈、腎静脈、大腿静脈、大腿深静脈、大伏在静脈、門脈、脾静脈、肝静脈、奇静脈、からの静脈循環内の異物による末梢塞栓を防ぐ為に使用することができる。
【0011】
上記の管状部材内に2つの開口部を備えている急速交換シースを使用して血管管腔損傷部を治療する第1方法では、ガイドワイヤが、大腿静脈や鎖骨下動脈/静脈など、末梢血管上の切開を通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。ガイドワイヤの基端部は第一開口部、長尺状の部材のルーメンを通じて、及び第二開口部を通じて通過する。管状部材は、必要な領域内に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。血管形成カテーテルなど管腔内医療装置は、管状部材のルーメン内に挿入され、必要な領域に位置するまで前進させられる。医療機器が血管内に配置された後、ガイドワイヤは回収され得、管状部材も回収され得る。
【0012】
他の方法では、ガイドワイヤの挿入の後、つぶした状態のフィルタを備える支持ワイヤを備える管状部材は、必要な領域に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。支持ワイヤの先端部は第一開口部の下まで延伸している。血管管腔医療装置は支持ワイヤを通じて挿入され、必要な位置に位置するまで前進させられる。フィルタはカルシウム、トロンビン、アテロームプラーク、気体、泡、そしてまた、血管管腔処置中に発生する壊死組織片等、閉塞物質を捕捉する為に拡張する。
【0013】
第一開口部、第二開口部、第三開口部を備える長尺状部材を使用する他の方法では、ガイドワイヤはまず必要な領域まで前進させられる。ガイドワイヤの基端部は管状部材の第一開口部と第二開口部を通過する。先端部内につぶしたフィルタを備える支持ワイヤは、第一開口部と第三開口部の間に位置する捕捉スリーブ内に受け取られ、第三開口部を通じて延伸する。長尺状部材は必要な領域に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。一実施例では、ガイドワイヤと長尺状部材は配置後に除去され、その領域に支持ワイヤだけが残される。血管管腔装置は支持ワイヤを通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。第二の医療装置の配置が求められる場合、第一の医療装置が支持ワイヤを通じて、また長尺状部材が依然として必要な領域にある場合は長尺状部材のルーメンから、回収され、第二装置は必要な領域内部に位置するよう支持ワイヤを通じて挿入される。
【0014】
血管管腔処置中に医療装置の配置の為に本開示の急速交換シースと方法を使用することはいくつかの利点がある。例えば、例えば、シースは、(1)血管内の必要な領域にガイドワイヤを通じた接近を実現し、(2)シース内に安全に保持され必要な領域まで選択された血管管腔医療装置の配置を可能にし、(3)シース及び血管管腔装置が配置されるとすぐにガイドワイヤの除去を可能にし、(4)患者体内の外方にあるガイドワイヤの延伸した領域の使用を避けると同時にシースの除去を実現し、(5)挿入中フィルタを保持する支持ワイヤを保護し、それにより血管内で周囲にて屈曲したり、よじれたり、環状になったりすることを最小限に抑え、(7)成人や小児患者で使用を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図を参照すると、血管形成カテーテル30の配置の為の急速交換シースの実施例が図1Aに示されている。シースは基端部と先端部12に連通するルーメン11備える長尺管状部材10からなる。管状部材10は先端部12において第一開口部15と、先端部12から基端方向の短い距離にある第二開口部16とを備える。開口部16は開口部15の基端方向に1ミリメータから50センチの距離で設置することが可能であり、開口部15の基端方向に2,4,6,8,10,12,14,16,18センチメータの距離、他のいかなる適した距離に設置することが可能である。ルーメン11は血管形成カテーテル30等、血管管腔医療機器を受け取るのに適応されている。血管形成バルーン33は血管形成カテーテルの先端部32に取り付けられている。基端部と先端部21を備えるガイドワイヤ20は管状部材10の開口部16、ルーメン11、開口部15を通過する。
【0016】
図1Bは、血管形成カテーテル30配置用の急速交換シースの他の実施例を示している。シースは先端部26上に取り付けられた拡張可能フィルタ50を備える支持ワイヤ25からなる。支持ワイヤは血管形成カテーテル30の受け取りに適応されている。
【0017】
図1Aにおける医療装置の配置用の急速交換シースの使用では、ガイドワイヤ20は最初に大腿動脈や鎖骨下動脈等の末梢動脈上の切断面を通して挿入され、図2Aで示される必要な領域内部に挿入される。ガイドワイヤ20の先端部21はアテローム損傷部101を過ぎるまで前進させられる。ガイドワイヤ20の基端部は図2 Bで示される管状部材10の第一開口部15、ルーメン11、第二開口部16を通過する。管状部材は損傷部101の近傍に位置するまで、ガイドワイヤを通じて前進する。ガイドワイヤ20は血管から除去され得る。血管形成カテーテル30など、医療機器はルーメン11内部から挿入され、図2Cで示すように損傷部101内部に位置するまで前進する。別の方法として、血管形成カテーテル30はガイドワイヤを通じて管状部材が前進する前に、管状部材10のルーメン11内部に挿入される。血管形成バルーン33は管腔開通性の回復の為に損傷部101に対して拡張する。
【0018】
図1Bの医療機器配置用の急速交換シースの使用では、ガイドワイヤが患者の血管内部へ挿入され、必要な領域に前進させられる。ガイドワイヤ20の基端部は図3Aに示される管状部材10の第一開口部15、ルーメン11、第二開口部16を通じて挿入される。つぶした状態でフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25はルーメン11に挿入され、損傷部101の近傍まで前進する。別の方法では、ガイドワイヤ20を通じて管状部材10が前進する前に、支持ワイヤ25がルーメン11内部に設置される。図3Bでは、浸透性のメッシュを備えるフィルタ50は損傷部101まで先端に前進させられ、カルシウム、アテロームプラーク、トロンビン、組織片、など血管管腔処置中に発生する塞栓症物質を捕捉する為に拡張する。ガイドワイヤ20はフィルタ50を設置の前後に除去される。先端部にステント45を取り付けているステント配置カテーテル40は挿入され、損傷部101内部に位置するまで支持ワイヤ25を通じて前進される。ステント45はルーメン11内部に挿入を円滑にする為につぶした状態で設置され、カテーテルの基端部の作動機構により拡張状態で留置される。一実施例では、ステントは体温でステントが自己拡張可能な、ニチノールなどの形状記憶合金で製作されている。他の場合では、ステントはバルーンにより拡張される。
【0019】
一例としては、本開示のフィルタを大動脈で使用する時、装置に必要とされるメッシュの領域は、バルブト(Barbut)等により1995年11月7日に出願された米国特許出願第08/533137号、バルブト(Barbut)等により1995年12月28日に出願された米国特許出願第08/580223号、バルブト(Barbut)等により1996年1月9日に出願された米国特許出願第08/584759号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5769816号、バルブト(Barbut)等により1996年5月14日に出願された米国特許出願第08/645762号、マアフス(Maahs)等による米国特許第5846260号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5662671号、からなる我々の以前の出願に開示されているベルヌーイ方程式から計算され、これらは完全に本願に併合されている。
【0020】
頚動脈や大動脈などの動脈に使用されるフィルタの実施例では、以下の範囲の寸法を備えるメッシュが望ましい、メッシュの領域が約0.0258−約32.258cm2(0.004−5平方インチ)、より望ましくは約0.0451−約25.806cm2(0.007−4平方インチ)、さらに望ましくは約0.0645−約19.355cm2(0.010−3平方インチ)、さらに望ましくは約0.0967−約12.903cm2(0.015−2平方インチ)、さらに望ましくは約0.1290−約6.4516cm2(0.020−1平方インチ)、さらに望ましくは約0.1612−約0.4903cm2(0.025−0.076平方インチ)、メッシュの厚が60−280μm、望ましくは70−270μm、さらに望ましくは80−260μm、さらに望ましくは90−250μm、さらに望ましくは100−250μm、さらに望ましくは120−230μm、さらに140−210μm、繊維の直径が30−145μm、望ましくは40−135μm、さらに望ましくは50−125μm、さらに望ましくは60−115μm、さらに望ましくは70−105μmであり、孔径が500μm以下であり、望ましくは400μm以下であり、さらに望ましくは300μm以下であり、さらに望ましくは200μm以下であり、さらに望ましくは100μm以下であり、さらに望ましくは50μm以下であり少なくとも一つの赤血球より通常大きい。本発明の好ましい実施例の一つにメッシュの面積が約12.903―約51.613cm2(2−8平方インチ)、メッシュの厚が60−200μm、繊維の直径は30−100、孔径が50−300μmである。本発明のさらに好ましい実施例では、メッシュの面積が約19.355−約32.258cm2(3−5平方インチ)、メッシュ厚が60−150μm、繊維の直径が50−80μm、孔径が100−250μmである。他の実施では、フィルタは血液が流れることが可能な孔を備えるレーザーカットの薄いフィルムからなる。一般的な寸法は、孔径が20−500μm、厚が約0.254−約76.2μm(0.00001−0.003インチ)そして面積は上記のメッシュと同様である。
【0021】
一度適切な物理的特性が決定されると、適切なメッシュが周知の標準メッシュから得られる。例えば、サアチコーポレーション エンド テツコ インク(Saati Corporations and Tetko Inc)で製造されたメッシュなど、ポリエステルメッシュが使用され得る。これらはシート状で利用でき、容易に切断可能であり、必要な形状に形成できる。好ましい実施例では、メッシュは円錐形に超音波溶接され、又は接着される。望ましい物理特性を備える他の周知のメッシュもまた適している。ヘパリンやヘパリノイドなどの抗凝固剤は、メッシュ上で血液凝固の可能性を減少する為に使用される。ヘパリン以外の抗凝固剤、例えば商標名レオプロ(ReoPro)(セントコーロ社(Centocor))、もまた使用され得る。抗凝固剤はメッシュ上に印刷され、吹付けされる。抗凝固剤を含む化学浸漬もまた使用される。メッシュに薬品を塗布する他の周知の方法も使用される。
【0022】
本開示の急速交換シースは様々な動脈、静脈の閉塞血管損傷の治療に有用である。例えば、図4に示す左総頚動脈99内のアテロームプラークの除去は、図1Bの急速交換シースが左鎖骨下動脈98の切開を通じて挿入される。ガイドワイヤ20の挿入後、管状部材10はガイドワイヤの基端部を通じて挿入され、下行大動脈103を経由して損傷部101の近傍まで前進させられる。つぶした状態のフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25は、管状部材10のルーメン11に挿入される。別の方法では、支持ワイヤ25はガイドワイヤ20を通じて管状部材10を前進させる前に、ルーメン11内部に位置させられる。血管形成カテーテル30など、血管管腔装置は管状シース10の除去の前後に支持ワイヤ25を通じて挿入される。
【0023】
図5A、5B、5Cは第一開口部15と第二開口部16の基端方向の短い距離に第三開口部17を備える急速交換シースの他の実施例を示す。ガイドワイヤ20は第二開口部16、ルーメン11、第一開口部15を通じて挿入される。図5A内で、支持ワイヤ25は開口部15や開口部17を通じて後進させられることも、第三開口部17、ルーメン11を通じて挿入され、最終的には第一開口部15を通じて前進され、又はされ得る。図5B,5Cでは、シースは第三開口部17の基端から延伸した第二管状部材19を備える。これらの二つの実施例において、支持ワイヤ25は第二管状部材19のルーメン18、第三開口部17、ルーメン11を通じて挿入可能であり、第一開口部15を通過して前進可能であり、逆の方法を用いて後進できる。図5A,5Bでは、各実施例は、先端領域内にルーメン11を備える長尺管状部材10からなる。ルーメン11は基端に第三開口部17と先端に第一開口部15に連通している。対照的に、図5 Cの実施では、長尺管状部材10は基端部(図示せず)と、第三開口部17と、第二管状部材19のルーメン18と、先端開口部15と連通しているルーメン11を備える。ルーメン11は流体又は気体のいずれか一方又は双方の投入も吸引も可能にする。
【0024】
血管損傷部の治療に図5Cの実施例を使用する際、ガイドワイヤは最初に末梢血管を通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。図6Aでは、ガイドワイヤ20の基端部は第一開口部15、ルーメン11、管状部材10の第二開口部16を通じて挿入される。つぶした状態のフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25はガイドワイヤ20を通じて管状部材10の挿入前にルーメン11内に挿入される。この方法により、ルーメン11内部に支持ワイヤとフィルタを保持する為、支持ワイヤの操作性は、従来のガイドワイヤと比べると、変更されないだろう。支持ワイヤはより血管内で屈曲し、よじれ、環状になりにくく、複雑な血管損傷部を通じたフィルタの容易な挿入を可能にする。管状部材10が損傷部101の基端に前進した後、ガイドワイヤ20は図6Bで示すように除去される。フィルタ50は損傷部101へ先端に前進し、血管管腔処置中に発生した塞栓症物質を捕捉する為に拡張させられる。フィルタ50は、拡張状態で、血管管腔との均一な接触を保ち、血管内のフィルタの移動を防ぐ為、拡張シール51をまた備える。先端部上にアテロール装置61を保持するアテロールカテーテル60は、ルーメン11内部の支持ワイヤ25を通じて図6Cで示す様、損傷部101内部に位置する為に前進させられる。適切なアテローム装置の設計と構築に記載のついては米国特許第5662671を参照、これらは完全に本願に併合されている。
【0025】
血管再通術が、図6Cのアテローム装置を使用した閉塞病変部の除去により達成された後、アテロームカテーテル60が除去される。つぶした状態のステント45を保持するステント配置カテーテル40は支持ワイヤ25を通じて挿入され、図6Dで示されるように必要な領域に位置するよう前進させられる。ステント45は、アテローム切除術後、管腔の開通性を保持する為に損傷部101内部で拡張する。この方法で、血管管腔装置の交換は支持ワイヤの位置が正確に容易に到達可能であり(医療機器の挿入の為のガイドワイヤの機能)、他のガイドワイヤ挿入の必要が無くなる。ステント配置後、カテーテル40は図6Eで示すように回収される。生理的食塩水や乳酸リンゲル液などの、流体は損傷部101を洗浄する為に、又はフィルタ50内部に塞栓破片を洗い流す為に、注入され得る。別の方法では、ルーメン11の基端部は領域101内部で塞栓症物質を吸引する為の吸水管を取り付けている。フィルタ50はアテロール切除術やステント配置中に塞栓症物質を捕捉する為に拡張状態を保持し、末梢塞栓のリスクを最小化する。
【0026】
別の方法では、図6Bのフィルタ50が損傷部101の下流に位置し拡張した後、管状シースは図7Aに示すように、血管から除去される。図7Bで示すように、アテロールカテーテル60は損傷部101内部に留置する為に支持ワイヤ25を通じて前進させられる。ステント45を配置することが必要な時は、カテーテル60は除去され、図7Cに示すように、ステント配置カテーテル40が損傷部101内部にステントを留置する為に支持ワイヤ25を通じて挿入される。
【0027】
2重急速交換シース(“doubleRX”)の別の実施例を図8で示す。シース10は、RX噛合部位22と、シースの遠心端で係合する為、そして従来のガイドワイヤ20を追跡する為の管状部材とからなる。第二RX噛合部位、即ち格納領域19、また管状部材は、フィルタワイヤ25や別の装置の格納と配置の為にシース10の先端部に搬送される。シース10の本体はシースの長さが大部分である。
【0028】
使用において、従来のガイドワイヤ20は、図8Aで示すように、損傷部101などフィルタを留置する場所に接近する為に使用される。シース10(第二RX部位19にフィルタワイヤ25を備える)はガイドワイヤ20を通じて配置部位101に搬送される。従来のガイドワイヤは、図8Bに示すように、回収され、患者から除去され得る。図8Cで示す様に、フィルタワイヤ25の基端部は保持する位置で把持され、シース10はフィルタ50を配置する為に基端方向に引かれる。別の方法では、フィルタワイヤはフィルタを配置する為に先端に押され得る。シース10は図8Dに示されるように患者から除去される。管腔内カテーテル、任意に保持される治療用装置(血管形成用カテーテル、ステント配置カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、フィルタカテーテル、ガイドワイヤ、吸引カテーテル)、は配置されたフィルタ50を伴いフィルタワイヤ25を通じて前進させられる。介入処置は、処置中に除去された塞栓を捕捉すべく留置されたフィルタ50を伴い血管内で実施される。フィルタの回収は、図8Eに示されるように、(従来のガイドワイヤの為のRX噛合部位無しなどの)フィルタの格納の為のただ一つのRX部位を伴う第二、分離シース23により実現される。本開示の2重RX設計の主要な利点は、従来のガイドワイヤとフィルタワイヤと、又はサポートワイヤとを最小限の長さにすることが可能であり、両方のワイヤの制御を最大限にする。
【0029】
シースの長さは約40−200cmであり、好ましくは約60−80cmである。シース内方の直径は約0.05−1.0cmであり、小型の血管では好ましくは約0.07−0.2cmであるのに対し、大型の血管では好ましくは約0.3−0.7cmである。ガイドワイヤの長さは約30−300cmの間であり、好ましくは約70−200cmである。ガイドワイヤの外方の直径は約0.203−約0.965mm(0.008−0.038インチ)であり、好ましくは約0.254−約0.356mm(0.010−0.014インチ)である。フィルタ装置の拡張フレームの直径は、少なくとも0.2cm、好ましくは少なくとも1.5cm、さらに好ましくは少なくとも2cm、さらに好ましくは少なくとも2.5cm、さらに好ましくは少なくとも3cm、さらに好ましくは少なくとも3.5cm、さらに好ましくは少なくとも4cm、さらに好ましくは少なくとも4.5cm、さらに好ましくは少なくとも5cm、さらに好ましくは少なくとも5.5cm、さらに好ましくは少なくとも6cmの外部の直径まで拡張する能力を備え得る。頚動脈での使用では、フィルタデバイス上の拡張フレームの直径は外部直径を5−7mmまで拡張可能であり得る。これらの範囲は様々な動脈や静脈に、小児用や成人用に適した直径を網羅する。前述の範囲は典型的な装置の寸法を説明する目的で示した。本発明の原理に基づいて構成された装置の実際の寸法はこれらの基本原理から離れることなくリストされた範囲の外部に変化され得る。
【0030】
先の発明は、理解を目的とし図示と例により一部の詳細を説明してきた為、有る変更や改変は実際的であり得、添付した請求項の範囲に収まる。開示された形態や実施例、開示された参照は、他の実施例の携帯でも組み合わせて使用できることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1Aは本発明に基づく血管形成カテーテルを配置した急速交換シースの実施例図、図1Bはルーメン内に支持ワイヤを保持する急速交換シースの他の実施例図。
【図2】図2Aは血管内に挿入されたガイドワイヤの図、図2Bは図2Aのガイドワイヤを通じて挿入された急速交換シースの図、図2Cは図1Aの急速交換シースを使用して必要な領域に留置された血管形成カテーテルの図。
【図3A】血管内に挿入された図1Bの急速交換シースの図。
【図3B】必要な領域の下流に留置された図2Aのフィルタの図。
【図3C】図1Bの急速交換シースを使用して必要な領域内に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図4】左総頚動脈内の血管損傷部の治療の為に左大腿動脈を通じて挿入された図1Bの急速交換シースの図。
【図5】図5Aは長尺状部材上に第三開口部を備える急速交換シースの他の実施例図、図5Bは第三開口部から基端に延伸した管状部材を備える急速交換シースの他の実施例図、図5Cは拡張や吸引に適応した基端ルーメンを備える急速交換シースの他の実施例図。
【図6A】血管内に挿入された図5Cの急速交換シースの図。
【図6B】必要な領域の下流にフィルタを留置した図。
【図6C】図5Cの急速交換シースを使用して必要な領域内に留置されたアテローム切除装置の図。
【図6D】図6Cの急速交換シースを使用して必要な領域に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図6E】必要な領域に留置された図6Dのステントの図。
【図7A】血管損傷部に留置された支持ワイヤの図。
【図7B】図7Aの支持ワイヤを通じて挿入され、血管損傷部に留置されたアテローム削除装置の図。
【図7C】図7Aの支持ワイヤを通じて挿入され、血管損傷部に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図8】本発明に基づくカテーテル配置の為の急速交換シースの他の実施例の図。
【図8A】血管内にフィルタワイヤを搬送する為に使用する図8のシースの図。
【図8B】ガイドワイヤを除去中の図8Aのシースの図。
【図8C】フィルタ配置後の図8Bのシースの図。
【図8D】シース除去後の図8Cのフィルタワイヤの図。
【図8E】図8Dに示したフィルタワイヤを捕捉シースにより回収する状態を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内管の必要な領域に対する、血管形成、アテローム切除術、又はカテーテルに配置されたステント等、管腔内医療装置の配置の為の装置及びその使用方法に関するものである。より詳細には、本発明は“有線を通じた”医療機器の操作及び交換のうちの少なくとも一方の為に医療装置の配置に使われる急速交換シースを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
血管管腔手法を使用する血管内の血栓症やアテローム硬化症の治療法は、選択された患者にとって外科的な手法に代わる効果的で信頼できる手段であると最近証明されてきた。例えば、ステント配置の有無に拘わらず直接アテローム切除術及び経皮経管冠動脈形成(PTCA)は冠動脈閉鎖症の患者の治療に有用である。アテローム削除術は物理的に、カテーテル搬送動脈内膜切除装置を使用しアテローム硬化症動脈を切除や、粉砕や、削り取りによりプラークを除去する。血管形成は、機械的な力を血管壁上に加えることにより狭窄血管の管腔直径を拡張する。冠動脈脈管構造での血管形成や、ステント法、アテローム切除術の使用に加え、これらの血管管腔技術はまた、例えば、頚動脈狭窄や、末梢動脈塞栓性疾患(特に大動脈、腸骨動脈、大腿動脈)や、アテローム硬化症又は繊維筋性疾患により引き起こされる腎動脈狭窄、上動脈症候群や、血栓崩壊に耐性を持つ閉塞性腸骨静脈血栓症など他の血管病変の治療に有用であることが証明されてきた。
【0003】
血管管腔技術に関する合併症の一つに、血管処置中に発生する塞栓症物質による損傷があり、細い血管下流の狭窄及び虚血又は血管が血液を供給する組織の梗塞を引き起こすことが周知である。1995年にワクスマン(Waksman)等により、冠動脈の直接アテローム切除術や伏在静脈グラフト後に末梢塞栓が多く発症することが開示された。本願に組入れられている、ワクスマン(Waksman)等の1995年発行のAmerican Heart Journal 129(3)の430−5ページを参照すると、この研究では、末梢塞栓がアテローム削除術を受けた患者の28%(111名中31名)に発症していることがわかった。1999年1月のジョーダン,ジュニア(Jordan,Jr)等の開示では、ステントを使用する経皮的血管形成術による頚動脈狭窄の治療は、頚動脈内膜剥離術を使用した場合と比べて確認された微小塞栓の発症率が8倍以上あった。本願に組入れられている、ジョーダン,ジュニア(Jordan,Jr)等の1999年発行のCardiovascular surgery 7(1)33−8ページを参照すると、この研究において、経頭蓋ドップラーモニタリングにより検知された微小塞栓は脳梗塞を潜在的に引き起こすことが示された。塞栓症物質はカルシウム、血管管腔の破片、アテローム硬化症のプラーク、トロンビン、空気、の一つ又は組み合わせからなる。
【0004】
血管塞栓を取り込む為の血液濾過を実現する為に、多くの装置が設計されてきた。血管管腔の血液濾過の為に、ガイドワイヤの先端部に取り付けられたフィルタが、提案されてきた。ガイドワイヤに取り付けられたフィルタを含む、これらの装置の大部分は、血管内に配置されたストラット又は事前形成されたバスケットによって機械的に作動させられる。それらのフィルタは、先端部にワイヤのシャフトに付着し、基端部の放射状方向に外方に拡張するワイヤストラットに付着する一般的なメッシュ“パラシュート”である。放射状ストラットは血管壁の方向にフィルタの基端部を広げる。血管を通る血液の流れはメッシュに押し込まれる為、塞栓症物質がフィルタ内に捕捉される。これらの装置は自立的であり、血管内に滞留し得る。しかし、現在の装置に関する一つの大きな欠陥は、フィルタの大きさに対応する為に従来のガイドワイヤと比較すると、ガイドワイヤの操作性が変更され得ることである。ガイドワイヤは血管周囲を屈曲し、よじれ、環状になり得るため、複雑な欠陥損傷部を通過してフィルタを挿入することは困難である。
【0005】
血管管腔処置中、ガイドワイヤを通じてある血管管腔装置を他の血管管腔装置に変更することはまれである。しかし、ガイドワイヤの位置は、装置の交換中にしばしば失われ、不正確な位置となる。例えば、冠動脈血管再開通術中に、大きな半径のガイドを血管形成専用装置の搬送の為に、小さな半径のガイドを深部までの挿管や圧力制動を防ぐ為に、様々なガイドの形状や、横穴を備えるガイドカテーテルなど、様々な特性を処理する為に、あるガイドカテーテルを他のカテーテルに交換することが必要となる。ガイドワイヤの位置を正確なまま、有るガイドカテーテルから他のカテーテルへの交換を試みた場合、先端ガイドワイヤの接近を維持することほど困難な介入操作がないことは周知である。
【0006】
必要とされるのは、ガイドワイヤを通じて前進可能で、必要な領域へ管腔内医療装置を搬送し、その後患者の血管から延伸する大きな基端のガイドワイヤ領域を必要とせずに、患者の血管内から除去できることが可能であり得る急速交換シースである。現存する装置はこの目的に適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、血管形成用カテーテル、ステント配置用カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、ガイドワイヤ、フィルタカテーテル、フィルタガイドワイヤ、支持ワイヤ、フィルタを備える支持ワイヤ、吸引カテーテルなど、様々な管腔内医療装置の配置や交換の為の急速交換シースを実現することである。これらの装置は、他の装置への交換や、一つのガイドワイヤから別のガイドワイヤへの交換など、同様の装置への交換も可能であり得る。シースは基端部と先端部に連通するルーメンを備える長尺状の管状部材からなる。シースは、先端部においてガイドワイヤ、支持ワイヤ、医療装置の通過に適した第一開口部と、先端部から短い距離に位置する第二開口部とを備える。シースは第一開口部、管状部材、第二開口部を通過するガイドワイヤを備える。シースは、基端部、先端部、先端部に取り付けられた拡張可能なフィルタからなる支持ワイヤを備え得る。管腔内医療装置を受け取りに適したフィルタやガイドワイヤは、管状部材のルーメン内部に位置される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例では、パラシュート、バスケット、巻軸等のフィルタ装置は、拡張可能なフレームとフレームを覆って配置するメッシュを備える。フィルタ装置は血管壁とより適切な接触を実現する為に拡張シールを備え得る。フィルタメッシュの構築や使用については、バルブト(Barbut)等により1995年11月7日に出願された米国特許出願第08/533137号、バルブト(Barbut)等により1995年12月28日に出願された米国特許出願第08/580223号、バルブト(Barbut)等により1996年1月9日に出願された米国特許出願第08/584759号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5769816号、バルブト(Barbut)等により1996年5月14日に出願された米国特許出願第08/645762号、マアフス(Maahs)等による米国特許第5846260号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5662671号、からなる前の出願で十分に議論されており、これらの内容は完全に参照として本願に併合している。
【0009】
別の実施例では、急速交換シースは、第一開口部から基端方向の短い距離にある第三開口部を備える長尺状の部材からなる。一実施例では、長尺状部材は基端部と先端部を連通し、拡張及び流体又は血液の吸引に適応しているルーメンを備える。一実施例では、管状部材の基端部は血管内部への挿入中に血液の逆流を防ぐ止血バルブを備える。
【0010】
本発明の方法は、体腔内部に医療装置を配置する為に、及び血管管腔処置中に塞栓から患者を守る為に有用である。急速交換シースは、冠状動脈、大動脈、総頚動脈、外及び内頚動脈、腕頭動脈、中大脳動脈、脳底動脈、鎖骨下動脈、腋窩動脈、腸骨動脈、腎動脈、大腿動脈、膝窩動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、前脛骨動脈、後脛骨動脈及び、酸素を多く含んだ血液が流れる他の全ての動脈内部に医学機器を配置する為に挿入できる。シースはプロテインCやプロテインSの欠乏症を含む、凝固性亢進状態を伴う患者にフィルタの配置や肺塞栓を防ぐ為に予防的に使用できる。また血管管腔処置中に、接近の為や、トロンビンによる末梢血栓や、上大静脈、下大静脈、外及び内頚静脈、腕頭静脈、肺動脈、鎖骨下静脈、上腕静脈、腋窩静脈、腸骨静脈、腎静脈、大腿静脈、大腿深静脈、大伏在静脈、門脈、脾静脈、肝静脈、奇静脈、からの静脈循環内の異物による末梢塞栓を防ぐ為に使用することができる。
【0011】
上記の管状部材内に2つの開口部を備えている急速交換シースを使用して血管管腔損傷部を治療する第1方法では、ガイドワイヤが、大腿静脈や鎖骨下動脈/静脈など、末梢血管上の切開を通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。ガイドワイヤの基端部は第一開口部、長尺状の部材のルーメンを通じて、及び第二開口部を通じて通過する。管状部材は、必要な領域内に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。血管形成カテーテルなど管腔内医療装置は、管状部材のルーメン内に挿入され、必要な領域に位置するまで前進させられる。医療機器が血管内に配置された後、ガイドワイヤは回収され得、管状部材も回収され得る。
【0012】
他の方法では、ガイドワイヤの挿入の後、つぶした状態のフィルタを備える支持ワイヤを備える管状部材は、必要な領域に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。支持ワイヤの先端部は第一開口部の下まで延伸している。血管管腔医療装置は支持ワイヤを通じて挿入され、必要な位置に位置するまで前進させられる。フィルタはカルシウム、トロンビン、アテロームプラーク、気体、泡、そしてまた、血管管腔処置中に発生する壊死組織片等、閉塞物質を捕捉する為に拡張する。
【0013】
第一開口部、第二開口部、第三開口部を備える長尺状部材を使用する他の方法では、ガイドワイヤはまず必要な領域まで前進させられる。ガイドワイヤの基端部は管状部材の第一開口部と第二開口部を通過する。先端部内につぶしたフィルタを備える支持ワイヤは、第一開口部と第三開口部の間に位置する捕捉スリーブ内に受け取られ、第三開口部を通じて延伸する。長尺状部材は必要な領域に位置するまでガイドワイヤを通じて前進させられる。一実施例では、ガイドワイヤと長尺状部材は配置後に除去され、その領域に支持ワイヤだけが残される。血管管腔装置は支持ワイヤを通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。第二の医療装置の配置が求められる場合、第一の医療装置が支持ワイヤを通じて、また長尺状部材が依然として必要な領域にある場合は長尺状部材のルーメンから、回収され、第二装置は必要な領域内部に位置するよう支持ワイヤを通じて挿入される。
【0014】
血管管腔処置中に医療装置の配置の為に本開示の急速交換シースと方法を使用することはいくつかの利点がある。例えば、例えば、シースは、(1)血管内の必要な領域にガイドワイヤを通じた接近を実現し、(2)シース内に安全に保持され必要な領域まで選択された血管管腔医療装置の配置を可能にし、(3)シース及び血管管腔装置が配置されるとすぐにガイドワイヤの除去を可能にし、(4)患者体内の外方にあるガイドワイヤの延伸した領域の使用を避けると同時にシースの除去を実現し、(5)挿入中フィルタを保持する支持ワイヤを保護し、それにより血管内で周囲にて屈曲したり、よじれたり、環状になったりすることを最小限に抑え、(7)成人や小児患者で使用を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図を参照すると、血管形成カテーテル30の配置の為の急速交換シースの実施例が図1Aに示されている。シースは基端部と先端部12に連通するルーメン11備える長尺管状部材10からなる。管状部材10は先端部12において第一開口部15と、先端部12から基端方向の短い距離にある第二開口部16とを備える。開口部16は開口部15の基端方向に1ミリメータから50センチの距離で設置することが可能であり、開口部15の基端方向に2,4,6,8,10,12,14,16,18センチメータの距離、他のいかなる適した距離に設置することが可能である。ルーメン11は血管形成カテーテル30等、血管管腔医療機器を受け取るのに適応されている。血管形成バルーン33は血管形成カテーテルの先端部32に取り付けられている。基端部と先端部21を備えるガイドワイヤ20は管状部材10の開口部16、ルーメン11、開口部15を通過する。
【0016】
図1Bは、血管形成カテーテル30配置用の急速交換シースの他の実施例を示している。シースは先端部26上に取り付けられた拡張可能フィルタ50を備える支持ワイヤ25からなる。支持ワイヤは血管形成カテーテル30の受け取りに適応されている。
【0017】
図1Aにおける医療装置の配置用の急速交換シースの使用では、ガイドワイヤ20は最初に大腿動脈や鎖骨下動脈等の末梢動脈上の切断面を通して挿入され、図2Aで示される必要な領域内部に挿入される。ガイドワイヤ20の先端部21はアテローム損傷部101を過ぎるまで前進させられる。ガイドワイヤ20の基端部は図2 Bで示される管状部材10の第一開口部15、ルーメン11、第二開口部16を通過する。管状部材は損傷部101の近傍に位置するまで、ガイドワイヤを通じて前進する。ガイドワイヤ20は血管から除去され得る。血管形成カテーテル30など、医療機器はルーメン11内部から挿入され、図2Cで示すように損傷部101内部に位置するまで前進する。別の方法として、血管形成カテーテル30はガイドワイヤを通じて管状部材が前進する前に、管状部材10のルーメン11内部に挿入される。血管形成バルーン33は管腔開通性の回復の為に損傷部101に対して拡張する。
【0018】
図1Bの医療機器配置用の急速交換シースの使用では、ガイドワイヤが患者の血管内部へ挿入され、必要な領域に前進させられる。ガイドワイヤ20の基端部は図3Aに示される管状部材10の第一開口部15、ルーメン11、第二開口部16を通じて挿入される。つぶした状態でフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25はルーメン11に挿入され、損傷部101の近傍まで前進する。別の方法では、ガイドワイヤ20を通じて管状部材10が前進する前に、支持ワイヤ25がルーメン11内部に設置される。図3Bでは、浸透性のメッシュを備えるフィルタ50は損傷部101まで先端に前進させられ、カルシウム、アテロームプラーク、トロンビン、組織片、など血管管腔処置中に発生する塞栓症物質を捕捉する為に拡張する。ガイドワイヤ20はフィルタ50を設置の前後に除去される。先端部にステント45を取り付けているステント配置カテーテル40は挿入され、損傷部101内部に位置するまで支持ワイヤ25を通じて前進される。ステント45はルーメン11内部に挿入を円滑にする為につぶした状態で設置され、カテーテルの基端部の作動機構により拡張状態で留置される。一実施例では、ステントは体温でステントが自己拡張可能な、ニチノールなどの形状記憶合金で製作されている。他の場合では、ステントはバルーンにより拡張される。
【0019】
一例としては、本開示のフィルタを大動脈で使用する時、装置に必要とされるメッシュの領域は、バルブト(Barbut)等により1995年11月7日に出願された米国特許出願第08/533137号、バルブト(Barbut)等により1995年12月28日に出願された米国特許出願第08/580223号、バルブト(Barbut)等により1996年1月9日に出願された米国特許出願第08/584759号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5769816号、バルブト(Barbut)等により1996年5月14日に出願された米国特許出願第08/645762号、マアフス(Maahs)等による米国特許第5846260号、バルブト(Barbut)等による米国特許第5662671号、からなる我々の以前の出願に開示されているベルヌーイ方程式から計算され、これらは完全に本願に併合されている。
【0020】
頚動脈や大動脈などの動脈に使用されるフィルタの実施例では、以下の範囲の寸法を備えるメッシュが望ましい、メッシュの領域が約0.0258−約32.258cm2(0.004−5平方インチ)、より望ましくは約0.0451−約25.806cm2(0.007−4平方インチ)、さらに望ましくは約0.0645−約19.355cm2(0.010−3平方インチ)、さらに望ましくは約0.0967−約12.903cm2(0.015−2平方インチ)、さらに望ましくは約0.1290−約6.4516cm2(0.020−1平方インチ)、さらに望ましくは約0.1612−約0.4903cm2(0.025−0.076平方インチ)、メッシュの厚が60−280μm、望ましくは70−270μm、さらに望ましくは80−260μm、さらに望ましくは90−250μm、さらに望ましくは100−250μm、さらに望ましくは120−230μm、さらに140−210μm、繊維の直径が30−145μm、望ましくは40−135μm、さらに望ましくは50−125μm、さらに望ましくは60−115μm、さらに望ましくは70−105μmであり、孔径が500μm以下であり、望ましくは400μm以下であり、さらに望ましくは300μm以下であり、さらに望ましくは200μm以下であり、さらに望ましくは100μm以下であり、さらに望ましくは50μm以下であり少なくとも一つの赤血球より通常大きい。本発明の好ましい実施例の一つにメッシュの面積が約12.903―約51.613cm2(2−8平方インチ)、メッシュの厚が60−200μm、繊維の直径は30−100、孔径が50−300μmである。本発明のさらに好ましい実施例では、メッシュの面積が約19.355−約32.258cm2(3−5平方インチ)、メッシュ厚が60−150μm、繊維の直径が50−80μm、孔径が100−250μmである。他の実施では、フィルタは血液が流れることが可能な孔を備えるレーザーカットの薄いフィルムからなる。一般的な寸法は、孔径が20−500μm、厚が約0.254−約76.2μm(0.00001−0.003インチ)そして面積は上記のメッシュと同様である。
【0021】
一度適切な物理的特性が決定されると、適切なメッシュが周知の標準メッシュから得られる。例えば、サアチコーポレーション エンド テツコ インク(Saati Corporations and Tetko Inc)で製造されたメッシュなど、ポリエステルメッシュが使用され得る。これらはシート状で利用でき、容易に切断可能であり、必要な形状に形成できる。好ましい実施例では、メッシュは円錐形に超音波溶接され、又は接着される。望ましい物理特性を備える他の周知のメッシュもまた適している。ヘパリンやヘパリノイドなどの抗凝固剤は、メッシュ上で血液凝固の可能性を減少する為に使用される。ヘパリン以外の抗凝固剤、例えば商標名レオプロ(ReoPro)(セントコーロ社(Centocor))、もまた使用され得る。抗凝固剤はメッシュ上に印刷され、吹付けされる。抗凝固剤を含む化学浸漬もまた使用される。メッシュに薬品を塗布する他の周知の方法も使用される。
【0022】
本開示の急速交換シースは様々な動脈、静脈の閉塞血管損傷の治療に有用である。例えば、図4に示す左総頚動脈99内のアテロームプラークの除去は、図1Bの急速交換シースが左鎖骨下動脈98の切開を通じて挿入される。ガイドワイヤ20の挿入後、管状部材10はガイドワイヤの基端部を通じて挿入され、下行大動脈103を経由して損傷部101の近傍まで前進させられる。つぶした状態のフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25は、管状部材10のルーメン11に挿入される。別の方法では、支持ワイヤ25はガイドワイヤ20を通じて管状部材10を前進させる前に、ルーメン11内部に位置させられる。血管形成カテーテル30など、血管管腔装置は管状シース10の除去の前後に支持ワイヤ25を通じて挿入される。
【0023】
図5A、5B、5Cは第一開口部15と第二開口部16の基端方向の短い距離に第三開口部17を備える急速交換シースの他の実施例を示す。ガイドワイヤ20は第二開口部16、ルーメン11、第一開口部15を通じて挿入される。図5A内で、支持ワイヤ25は開口部15や開口部17を通じて後進させられることも、第三開口部17、ルーメン11を通じて挿入され、最終的には第一開口部15を通じて前進され、又はされ得る。図5B,5Cでは、シースは第三開口部17の基端から延伸した第二管状部材19を備える。これらの二つの実施例において、支持ワイヤ25は第二管状部材19のルーメン18、第三開口部17、ルーメン11を通じて挿入可能であり、第一開口部15を通過して前進可能であり、逆の方法を用いて後進できる。図5A,5Bでは、各実施例は、先端領域内にルーメン11を備える長尺管状部材10からなる。ルーメン11は基端に第三開口部17と先端に第一開口部15に連通している。対照的に、図5 Cの実施では、長尺管状部材10は基端部(図示せず)と、第三開口部17と、第二管状部材19のルーメン18と、先端開口部15と連通しているルーメン11を備える。ルーメン11は流体又は気体のいずれか一方又は双方の投入も吸引も可能にする。
【0024】
血管損傷部の治療に図5Cの実施例を使用する際、ガイドワイヤは最初に末梢血管を通じて挿入され、必要な領域まで前進させられる。図6Aでは、ガイドワイヤ20の基端部は第一開口部15、ルーメン11、管状部材10の第二開口部16を通じて挿入される。つぶした状態のフィルタ50を搬送する支持ワイヤ25はガイドワイヤ20を通じて管状部材10の挿入前にルーメン11内に挿入される。この方法により、ルーメン11内部に支持ワイヤとフィルタを保持する為、支持ワイヤの操作性は、従来のガイドワイヤと比べると、変更されないだろう。支持ワイヤはより血管内で屈曲し、よじれ、環状になりにくく、複雑な血管損傷部を通じたフィルタの容易な挿入を可能にする。管状部材10が損傷部101の基端に前進した後、ガイドワイヤ20は図6Bで示すように除去される。フィルタ50は損傷部101へ先端に前進し、血管管腔処置中に発生した塞栓症物質を捕捉する為に拡張させられる。フィルタ50は、拡張状態で、血管管腔との均一な接触を保ち、血管内のフィルタの移動を防ぐ為、拡張シール51をまた備える。先端部上にアテロール装置61を保持するアテロールカテーテル60は、ルーメン11内部の支持ワイヤ25を通じて図6Cで示す様、損傷部101内部に位置する為に前進させられる。適切なアテローム装置の設計と構築に記載のついては米国特許第5662671を参照、これらは完全に本願に併合されている。
【0025】
血管再通術が、図6Cのアテローム装置を使用した閉塞病変部の除去により達成された後、アテロームカテーテル60が除去される。つぶした状態のステント45を保持するステント配置カテーテル40は支持ワイヤ25を通じて挿入され、図6Dで示されるように必要な領域に位置するよう前進させられる。ステント45は、アテローム切除術後、管腔の開通性を保持する為に損傷部101内部で拡張する。この方法で、血管管腔装置の交換は支持ワイヤの位置が正確に容易に到達可能であり(医療機器の挿入の為のガイドワイヤの機能)、他のガイドワイヤ挿入の必要が無くなる。ステント配置後、カテーテル40は図6Eで示すように回収される。生理的食塩水や乳酸リンゲル液などの、流体は損傷部101を洗浄する為に、又はフィルタ50内部に塞栓破片を洗い流す為に、注入され得る。別の方法では、ルーメン11の基端部は領域101内部で塞栓症物質を吸引する為の吸水管を取り付けている。フィルタ50はアテロール切除術やステント配置中に塞栓症物質を捕捉する為に拡張状態を保持し、末梢塞栓のリスクを最小化する。
【0026】
別の方法では、図6Bのフィルタ50が損傷部101の下流に位置し拡張した後、管状シースは図7Aに示すように、血管から除去される。図7Bで示すように、アテロールカテーテル60は損傷部101内部に留置する為に支持ワイヤ25を通じて前進させられる。ステント45を配置することが必要な時は、カテーテル60は除去され、図7Cに示すように、ステント配置カテーテル40が損傷部101内部にステントを留置する為に支持ワイヤ25を通じて挿入される。
【0027】
2重急速交換シース(“doubleRX”)の別の実施例を図8で示す。シース10は、RX噛合部位22と、シースの遠心端で係合する為、そして従来のガイドワイヤ20を追跡する為の管状部材とからなる。第二RX噛合部位、即ち格納領域19、また管状部材は、フィルタワイヤ25や別の装置の格納と配置の為にシース10の先端部に搬送される。シース10の本体はシースの長さが大部分である。
【0028】
使用において、従来のガイドワイヤ20は、図8Aで示すように、損傷部101などフィルタを留置する場所に接近する為に使用される。シース10(第二RX部位19にフィルタワイヤ25を備える)はガイドワイヤ20を通じて配置部位101に搬送される。従来のガイドワイヤは、図8Bに示すように、回収され、患者から除去され得る。図8Cで示す様に、フィルタワイヤ25の基端部は保持する位置で把持され、シース10はフィルタ50を配置する為に基端方向に引かれる。別の方法では、フィルタワイヤはフィルタを配置する為に先端に押され得る。シース10は図8Dに示されるように患者から除去される。管腔内カテーテル、任意に保持される治療用装置(血管形成用カテーテル、ステント配置カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、フィルタカテーテル、ガイドワイヤ、吸引カテーテル)、は配置されたフィルタ50を伴いフィルタワイヤ25を通じて前進させられる。介入処置は、処置中に除去された塞栓を捕捉すべく留置されたフィルタ50を伴い血管内で実施される。フィルタの回収は、図8Eに示されるように、(従来のガイドワイヤの為のRX噛合部位無しなどの)フィルタの格納の為のただ一つのRX部位を伴う第二、分離シース23により実現される。本開示の2重RX設計の主要な利点は、従来のガイドワイヤとフィルタワイヤと、又はサポートワイヤとを最小限の長さにすることが可能であり、両方のワイヤの制御を最大限にする。
【0029】
シースの長さは約40−200cmであり、好ましくは約60−80cmである。シース内方の直径は約0.05−1.0cmであり、小型の血管では好ましくは約0.07−0.2cmであるのに対し、大型の血管では好ましくは約0.3−0.7cmである。ガイドワイヤの長さは約30−300cmの間であり、好ましくは約70−200cmである。ガイドワイヤの外方の直径は約0.203−約0.965mm(0.008−0.038インチ)であり、好ましくは約0.254−約0.356mm(0.010−0.014インチ)である。フィルタ装置の拡張フレームの直径は、少なくとも0.2cm、好ましくは少なくとも1.5cm、さらに好ましくは少なくとも2cm、さらに好ましくは少なくとも2.5cm、さらに好ましくは少なくとも3cm、さらに好ましくは少なくとも3.5cm、さらに好ましくは少なくとも4cm、さらに好ましくは少なくとも4.5cm、さらに好ましくは少なくとも5cm、さらに好ましくは少なくとも5.5cm、さらに好ましくは少なくとも6cmの外部の直径まで拡張する能力を備え得る。頚動脈での使用では、フィルタデバイス上の拡張フレームの直径は外部直径を5−7mmまで拡張可能であり得る。これらの範囲は様々な動脈や静脈に、小児用や成人用に適した直径を網羅する。前述の範囲は典型的な装置の寸法を説明する目的で示した。本発明の原理に基づいて構成された装置の実際の寸法はこれらの基本原理から離れることなくリストされた範囲の外部に変化され得る。
【0030】
先の発明は、理解を目的とし図示と例により一部の詳細を説明してきた為、有る変更や改変は実際的であり得、添付した請求項の範囲に収まる。開示された形態や実施例、開示された参照は、他の実施例の携帯でも組み合わせて使用できることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1Aは本発明に基づく血管形成カテーテルを配置した急速交換シースの実施例図、図1Bはルーメン内に支持ワイヤを保持する急速交換シースの他の実施例図。
【図2】図2Aは血管内に挿入されたガイドワイヤの図、図2Bは図2Aのガイドワイヤを通じて挿入された急速交換シースの図、図2Cは図1Aの急速交換シースを使用して必要な領域に留置された血管形成カテーテルの図。
【図3A】血管内に挿入された図1Bの急速交換シースの図。
【図3B】必要な領域の下流に留置された図2Aのフィルタの図。
【図3C】図1Bの急速交換シースを使用して必要な領域内に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図4】左総頚動脈内の血管損傷部の治療の為に左大腿動脈を通じて挿入された図1Bの急速交換シースの図。
【図5】図5Aは長尺状部材上に第三開口部を備える急速交換シースの他の実施例図、図5Bは第三開口部から基端に延伸した管状部材を備える急速交換シースの他の実施例図、図5Cは拡張や吸引に適応した基端ルーメンを備える急速交換シースの他の実施例図。
【図6A】血管内に挿入された図5Cの急速交換シースの図。
【図6B】必要な領域の下流にフィルタを留置した図。
【図6C】図5Cの急速交換シースを使用して必要な領域内に留置されたアテローム切除装置の図。
【図6D】図6Cの急速交換シースを使用して必要な領域に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図6E】必要な領域に留置された図6Dのステントの図。
【図7A】血管損傷部に留置された支持ワイヤの図。
【図7B】図7Aの支持ワイヤを通じて挿入され、血管損傷部に留置されたアテローム削除装置の図。
【図7C】図7Aの支持ワイヤを通じて挿入され、血管損傷部に留置されたステント配置カテーテルの図。
【図8】本発明に基づくカテーテル配置の為の急速交換シースの他の実施例の図。
【図8A】血管内にフィルタワイヤを搬送する為に使用する図8のシースの図。
【図8B】ガイドワイヤを除去中の図8Aのシースの図。
【図8C】フィルタ配置後の図8Bのシースの図。
【図8D】シース除去後の図8Cのフィルタワイヤの図。
【図8E】図8Dに示したフィルタワイヤを捕捉シースにより回収する状態を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部と、先端部と、その先端領域にルーメンとを備え、かつ前記先端部に第一開口部と、前記先端部よりも基端側に第二開口部と、前記第二開口部よりも基端側で前記基端部よりも先端側に第三開口部とを備える長尺管状部材であって、該ルーメンは、その先端側が前記第一開口部と連通され、その基端側が前記第三開口部と連通され、かつその基端側が傾斜面によって閉塞されることと、
前記第一開口部、前記長尺管状部材のルーメン、及び前記第二開口部を通過するように構成された第一長尺状部材と、
前記第一開口部、前記長尺管状部材のルーメン、及び前記第第三開口部を通過するように構成された第二長尺状部材と、
からなる医療装置配置用のシース。
【請求項2】
前記第三開口部が前記長尺管状部材から側方に開口される請求項1に記載のシース。
【請求項3】
前記長尺管状部材が前記第三開口部よりも基端側に中実部を備える請求項1または2に記載のシース。
【請求項4】
前記長尺管状部材は外径を有し、前記第三開口部よりも先端側の外径が前記第三開口部よりも基端側の外径と実質的に同じである請求項1から3の何れか一つに記載のシース。
【請求項5】
前記第二開口部が前記長尺管状部材から側方に開口される請求項1から4の何れか一つに記載のシース。
【請求項6】
前記第二開口部が前記長尺管状部材の先端部から短い距離にある請求項1から5の何れか一つに記載のシース。
【請求項7】
前記長尺管状部材の先端部からの前記短い距離が10cmである請求項6に記載のシース。
【請求項8】
前記第三開口部が前記長尺管状部材の先端部から短い距離にある請求項1から7の何れか一つに記載のシース。
【請求項9】
シースが急速交換シースである請求項1から8の何れか一つに記載のシース。
【請求項10】
前記第一長尺状部材がガイドワイヤである請求項1から9の何れか一つに記載のシース。
【請求項11】
前記第二長尺状部材が支持ワイヤである請求項1から10の何れか一つに記載のシース。
【請求項12】
前記支持ワイヤが管腔内医療装置の受け取りに適している請求項11に記載のシース。
【請求項13】
前記管腔内医療装置が血管形成用カテーテル、ステント配置用カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、フィルタカテーテル、ガイドワイヤ、吸引カテーテルからなるグループから選択される請求項12に記載のシース。
【請求項14】
前記支持ワイヤの先端部に取り付けられたフィルタを更に備える請求項11に記載のシース。
【請求項15】
前記支持ワイヤと前記フィルタが前記長尺管状部材のルーメンに位置する請求項14に記載のシース。
【請求項16】
前記フィルタが前記長尺状部材の前記第一開口部を通過する請求項14に記載のシース。
【請求項17】
前記長尺管状部材の基端部に止血バルブを備える請求項1に記載のシース。
【請求項1】
基端部と、先端部と、その先端領域にルーメンとを備え、かつ前記先端部に第一開口部と、前記先端部よりも基端側に第二開口部と、前記第二開口部よりも基端側で前記基端部よりも先端側に第三開口部とを備える長尺管状部材であって、該ルーメンは、その先端側が前記第一開口部と連通され、その基端側が前記第三開口部と連通され、かつその基端側が傾斜面によって閉塞されることと、
前記第一開口部、前記長尺管状部材のルーメン、及び前記第二開口部を通過するように構成された第一長尺状部材と、
前記第一開口部、前記長尺管状部材のルーメン、及び前記第第三開口部を通過するように構成された第二長尺状部材と、
からなる医療装置配置用のシース。
【請求項2】
前記第三開口部が前記長尺管状部材から側方に開口される請求項1に記載のシース。
【請求項3】
前記長尺管状部材が前記第三開口部よりも基端側に中実部を備える請求項1または2に記載のシース。
【請求項4】
前記長尺管状部材は外径を有し、前記第三開口部よりも先端側の外径が前記第三開口部よりも基端側の外径と実質的に同じである請求項1から3の何れか一つに記載のシース。
【請求項5】
前記第二開口部が前記長尺管状部材から側方に開口される請求項1から4の何れか一つに記載のシース。
【請求項6】
前記第二開口部が前記長尺管状部材の先端部から短い距離にある請求項1から5の何れか一つに記載のシース。
【請求項7】
前記長尺管状部材の先端部からの前記短い距離が10cmである請求項6に記載のシース。
【請求項8】
前記第三開口部が前記長尺管状部材の先端部から短い距離にある請求項1から7の何れか一つに記載のシース。
【請求項9】
シースが急速交換シースである請求項1から8の何れか一つに記載のシース。
【請求項10】
前記第一長尺状部材がガイドワイヤである請求項1から9の何れか一つに記載のシース。
【請求項11】
前記第二長尺状部材が支持ワイヤである請求項1から10の何れか一つに記載のシース。
【請求項12】
前記支持ワイヤが管腔内医療装置の受け取りに適している請求項11に記載のシース。
【請求項13】
前記管腔内医療装置が血管形成用カテーテル、ステント配置用カテーテル、アテローム切除術用カテーテル、血管内部超音波カテーテル、フィルタカテーテル、ガイドワイヤ、吸引カテーテルからなるグループから選択される請求項12に記載のシース。
【請求項14】
前記支持ワイヤの先端部に取り付けられたフィルタを更に備える請求項11に記載のシース。
【請求項15】
前記支持ワイヤと前記フィルタが前記長尺管状部材のルーメンに位置する請求項14に記載のシース。
【請求項16】
前記フィルタが前記長尺状部材の前記第一開口部を通過する請求項14に記載のシース。
【請求項17】
前記長尺管状部材の基端部に止血バルブを備える請求項1に記載のシース。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【公開番号】特開2009−95682(P2009−95682A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283510(P2008−283510)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【分割の表示】特願2002−562275(P2002−562275)の分割
【原出願日】平成14年1月7日(2002.1.7)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【分割の表示】特願2002−562275(P2002−562275)の分割
【原出願日】平成14年1月7日(2002.1.7)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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