説明

医薬として使用されるクリポウェリン及びその合成誘導体

本発明は、ヒト疾病の治療のためのクリポウェリン及びその合成誘導体、特に、ヒト及び動物における癌又はその他の増殖性疾患の治療に使用される医薬を製造するための使用に関する。本発明は、さらに、新規クリポウェリン誘導体及びその作製方法に関する。
体及びその作製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの疾病を治療するためのクリポウェリン及びその合成誘導体に関し、並びに、特に、ヒト及び動物中の癌又はその他の増殖性疾患を治療するための医薬を調製するためのそれらの使用に関する。さらに、本発明は、新規クリポウェリン誘導体及びそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリポウェリン及びその半合成誘導体及び動物有害生物を駆除するためのこれらの使用が、WO97/34910に記載されている。さらに、クリポウェリン骨格(アグリコン)を与える全合成が最近記載された(Moon,B. et al.,Org.Lett.7,1031−1034,2005; Enders,D. et al.,Angew.Chem.7,1031−1034,2005; Enders,D. et al.,J. Org.Chem.70,10538−10551,2005)。
【0003】
これらの化合物がチュブリンと相互作用し、微小管を安定化させることがここに見出された。
【0004】
微小管は、構造の制御、代謝及び細胞の分裂において中心的な役割を果たしている。細胞内において、チュブリンは、紡錘糸を形成する微小管中で重合される。紡錘糸がその目的を果たすと、微小管は脱重合化される。新生物細胞中の微小管の重合又は脱重合を妨害し、これによりこれらの細胞の増殖を阻害する活性化合物は、現在利用可能な最も効果的な化学療法抗癌剤である(Jordan,M.A. und Wilson,L.,Nature Rev. 4,253−265,2004)。これらの最も知られた例は、ディスコデルモライド及びエポチロン(Nicolaou et al.,Angew.Chem.110,2120−2153,1998)及びパクリタキセル(Taxol)である。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、第一に、ヒトの疾病を治療するための一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0006】
【化22】

【0007】
(式中、
Rは、水素又は基−ORを表し、
は、水素又はヒドロキシルを表し、
Aは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Bは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Qは、酸素又は硫黄を表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−1、−COR4−1、−CO4−1、−CONHR4−1若しくは−CONR4−15−1の1つを表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−2、−COR4−2、−CO4−2、−CONHR4−2若しくは−CONR4−25−2の1つを表し、並びに
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−3、−COR4−3、−CO4−3、−CONHR4−3若しくは−CONR4−35−3の1つを表し、
(R4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、場合によってハロゲン置換されたアルキル又は場合によって置換されたアリールを表す。)
又は
及びRは、両者で、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたアルキレンを表し、
Y=Xは、基
【0008】
【化23】

を表し、
(R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、NR、SOOH、SONR、ホルミル、COOH、CONR、C1−4−アルキル、ハロ−C1−4−アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルコキシ、ハロ−C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルチオ、ハロ−C1−4−アルキルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、ハロ−C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、ハロ−C1−4−アルキルスルホニル、C1−4−アルキルオキシスルホニル、C3−7−シクロアルキル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキル、場合によって置換されたアリールオキシ、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキルオキシ、場合によって置換されたヘタリール、場合によって置換されたヘタリールオキシ、場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキル若しくは場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキルオキシを表し、
及びRは、基−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表し、
及びRは、互いに独立に、水素、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4アルキルカルボニル、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、C3−7−シクロアルキル、C3−7−シクロアルキルカルボニル、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル若しくはフェニル−C1−2−アルキルを表し、
又は
及びRは、結合している窒素原子と一緒の基として、例えば、酸素、硫黄及び窒素からなる群から得られる1つ若しくはそれ以上の複素原子によって場合によって分断された、場合によって置換された5員、6員若しくは7員環を形成する。)、並びに
【0009】
【化24】

は、基
【0010】
【化25】

も表し得る。)
【0011】
本発明の化合物中のグリコシル基は、その中の1つ又はそれ以上のヒドロキシル基が、場合によって、アシル、アルキル又はアラルキル基によって置換され得る単糖又は二糖基、特に単糖である。単糖は、その中のアミノ基が、アシル基によって、場合によって置換され得るアミノ糖でもあり得る。
【0012】
適宜、式(I)の化合物は、例えば、式(I−A)、(I−B)、(I−C)及び(I−D)
【0013】
【化26】

の立体異性体として、異なる立体異性体形態の混合物として存在し得る。
【0014】
本発明は、ヒトの疾病を治療するための式(Ib)及び(Ic)の化合物−クリポウェリンI(例えば、Velten,R. et al.Tetrahedron Lett.39,1737−1740,1998の文献では、クリポウェリンAとしても知られる。)及びクリポウェリンII(前記文献では、クリポウェリンBとしても知られる。)
【0015】
【化27】

にも関する。
【0016】
ある種の基に対する好ましい、特に好ましい、及び極めて特に好ましい意味が、以下に記載されている。
【0017】
Rは、好ましくは、基−ORを表す。
【0018】
R’は、好ましくは、水素を表す。
【0019】
Aは、好ましくは、カルボニルを表す。
【0020】
Bは、好ましくは、基−CH(OR)−を表す。
【0021】
Qは、好ましくは、酸素を表す。
【0022】
は、好ましくは、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−SO4−1、−COR4−1若しくは−CONHR4−1の1つを表す。
【0023】
は、好ましくは、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−2若しくは−CONHR4−2の1つを表す。
【0024】
は、好ましくは、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−3若しくは−CONHR4−3の1つを表す。
【0025】
4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、好ましくは、場合によってフッ素若しくは塩素置換されたC1−8アルキル又は場合によってフッ素、塩素、ニトロ、C1−4アルキル若しくはC1−4アルコキシ置換されたフェニルを表す。
【0026】
及びRは、両者で、好ましくは、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたC1−3アルキレンを表すことができる。
【0027】
Y=Xは、好ましくは、基
【0028】
【化28】

を表す。
【0029】
及びRは、互いに独立に、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、N−メチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、n−ヘプタフルオロプロピル、イソヘプタフルオロプロピル、イソヘキサフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、ペンタフルオロエチルカルボニル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキル、特にベンジル若しくはフェネチル、場合によって置換されたフェノキシ、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキルオキシ、特にフェニルメトキシ若しくはフェニルエトキシ、場合によって置換された、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル若しくはフリル、場合によって置換された、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ若しくはピラジニルオキシ、場合によって置換された、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピリミジルメチル、ピラジニルメチル若しくはチアゾリルメチル、場合によって置換された、ピリジルメトキシ、ピリミジルメトキシ若しくはピラジニルメトキシを表し、これらは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、C1−4−アルキル、特にメチル、エチル若しくはイソプロピル、C3−6シクロアルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、C3−6−シクロアルコキシ、特にシクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ若しくはシクロヘキソキシ、C3−6−シクロアルキル−C1−2−アルコキシ、特にシクロプロピルメトキシ若しくはシクロプロピルエトキシ、C1−4−ハロアルキル、特にトリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOOH、COOH、ホルミル、C1−4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ若しくはイソプロポキシ、C1−2−アルキレンジオキシ、特にメチレンジオキシ若しくはエチレンジオキシ、C1−4−ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ若しくはジフルオロメトキシ、C1−4−アルキルチオ、特にメチルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、特にメチルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、特にメチルスルホニル、C1−4−ハロアルキルチオ、特にトリフルオロメチルチオ、C1−4−ハロアルキルスルホキシル、特にトリフルオロメチルスルホキシル、C1−4−ハロアルキルスルホニル、特にトリフルオロメチルスルホニル、C1−4−アルキルアミノ、特にメチルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、特にN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、C1−4−アルキルカルボニル、特にメチルカルボニル若しくはエチルカルボニル、C3−6−シクロアルキルカルボニル、特にシクロプロピルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−4−アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル若しくはエトキシカルボニルからなる群から得られる基によって、場合によって置換され得、
又は
基−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表す。
【0030】
及びRは、互いに独立に、好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルカルボニル、ベンジル又はフェネチルを表す。
【0031】
及びRは、結合している窒素原子と一緒の基として、好ましくは、N−ピロリジノ、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−(N’−メチル)ピペリジノ又は(G−6)から(G−13)からなる群から得られる基を表す。
【0032】
【化29】

(Zは、酸素、メチレン又はN−R10を表し、
は、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、メチレン又はN−R10を表し、
10は、水素又はC1−4アルキル、特にメチルを表し、
n及びmは、互いに独立に、0又は1を表す。)
【0033】
は、特に好ましくは、場合によって置換された単糖基を表す。
【0034】
好ましい単糖基は、例えば、グルコピラノシル、ガラクトピラノシル若しくはマンノピラノシルなどのピラノシル基、グルコフラノシル、リボフラノシル若しくはアラビノフラノシルなどのフラノシル基又は、例えば、α−グルコシド若しくはβ−グルコシド様式の何れかで、アグリコンに結合された、2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル又は2−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル基などのアミノ糖基である。これらの基において、1つ又はそれ以上のヒドロキシル基は、アシル、アルキル又はアラルキル基によって、場合によって置換され得る。本発明において単糖基に対して好ましいアシル置換基は、例えば、アセチル、トリクロロアセチル、ベンゾイル、p−ニトロベンゾイル又はp−メトキシベンゾイルである。単糖基の好ましいアルキル置換基は、メチル、エチル、プロピル又はブチルなどの、炭素原子の低い数を有するものである。単糖基の好ましいアラルキル置換基は、ベンジルまたはp−メトキシベンジル基である。
【0035】
特に好ましい単糖基は、例えば、グルコピラノシル、ガラクトピラノシル若しくはマンノピラノシルなどのヘキソピラノシル基、又は、例えば、α−グルコシド若しくはβ−グルコシド様式の何れかで、アグリコンに結合された、2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル又は2−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル基などのアミノ糖基である。
【0036】
極めて特に好ましい単糖基は、グルコピラノシル、ガラクトピラノシル、マンノピラノシル、又は、α−グルコシド若しくはβ−グルコシド様式の何れかで、アグリコンに結合された、2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル若しくは2−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル基である。これらの基において、1つ又はそれ以上のヒドロキシル基は、場合によって、アセチル、トリクロロアセチル、ベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル又はp−メトキシベンジルによって置換され得る。
【0037】
は、特に好ましくは、水素を表す。
【0038】
4−1、R4−2及びR4−3は、互いに独立に、特に好ましくは、メチル、トリフルオロメチル、エチル又は場合によって、フッ素、塩素、ニトロ、メチル、エチル、メトキシ置換されたフェニルを表す。
【0039】
及びRは、特に好ましくは、両者で、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−CH(CH)CH−又は−CH(CH)CH(CH)−の1つも表し得る。
【0040】
及びRは、互いに独立に、特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、ニトロ、シアノ、N,N−ジメチルアミノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、シクロプロピルを表し、又は−O−CH−O−を表す。
【0041】
及びRは、互いに独立に、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルカルボニル又はベンジルを表す。
【0042】
及びRは、結合している窒素原子と一緒の基として、特に好ましくは、N−ピロリジノ、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ又はN−(N’−メチル)ピペリジノを表す。
【0043】
及びRは、互いに独立に、極めて特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、ニトロ、N,N−ジメチルアミノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニルを表し、又は−O−CH−O−を表す。
【0044】
及びRは、互いに独立に、極めて特に好ましくは、メチル、メトキシカルボニル又はシクロプロピルカルボニルを表す。
【0045】
式(I)の特に好ましい化合物は、式(I−A−1)及び(I−B−1)
【0046】
【化30】

の立体異性体である。
【0047】
式(I)の極めて特に好ましい化合物は、式(I−A−1)
【0048】
【化31】

の立体異性体である。
【0049】
上記の一般的な又は好ましい基の定義又は例示は、最終産物並びに対応する出発材料及び中間体の両方に適用される。これらの基の定義は、所望に応じて、互いに組み合わせることもできる。すなわち、各好ましい範囲の間での組み合わせを含む。
【0050】
本発明において好ましいのは、好ましいとして上記されている意味の組み合わせを含有する式(I)の化合物である。
【0051】
本発明において特に好ましいのは、特に好ましいとして上記されている意味の組み合わせを含有する式(I)の化合物である。
【0052】
本発明において極めて特に好ましいのは、極めて特に好ましいとして上記されている意味の組み合わせを含有する式(I)の化合物である。
【0053】
本発明は、一般式(I)
【0054】
【化32】

【0055】
(A、B、R、R’Q、X及びYは、R及びRが基−O−CH−O−を表さないことを除いて、上記定義のとおりである。)
の新規化合物にも関する。
【0056】
一般式(I)の本発明の化合物は、酸付加塩の形態でも存在することが可能である。塩形成のために使用することが可能な酸は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、シュウ酸、フマル酸、アジピン酸、ステアリン酸、酒石酸、オレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はトルエンスルホン酸などの有機酸である。
【0057】
一般式(I)の化合物の適切な塩としては、慣用の無毒の塩、すなわち、様々な塩基との塩及び付加された酸との塩を挙げることができる。アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム又はセシウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、アンモニウム塩などの、無機塩基との塩、有機塩基との、及び有機アミンとの塩、例えば、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、ピコリニウム、エタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム又はN,N’−ジベンジルエチレンジアンモニウム塩、無機酸との塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ジヒドロ硫酸塩、トリヒドロリン酸塩、有機カルボン酸又は有機スルホ酸との塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との塩、例えば、アルギナート、アスパルタート又はグルタマートが好ましい。
【0058】
本発明の式(I)の化合物は、適宜、同像(like image)及び鏡像(鏡像異性体)である、又は同像及び鏡像でない(ジアステレオマー)の何れかである立体異性体形態で存在し得る。本発明は、鏡像異性体及びジアステレオマーの両方並びにこれらのそれぞれの混合物を提供する。ジアステレオマーのようなラセミ形態は、公知の様式で、立体異性的に均一な成分に分割することが可能である。適宜、異性体は、それ自体公知の方法によって、互いに転化させ得る。本発明は、純粋な異性体及び異性体混合物の両方に関する。
【0059】
本発明は、さらに、
a)一般式(II)の化合物
【0060】
【化33】

【0061】
(Halは、ハロゲン、好ましくは臭素を表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
を、第一の反応工程において、適宜希釈剤の存在下で、及び適宜酸性反応補助剤の存在下で及び適宜水を除去しながら、3−ブテン−1−アミンと反応させて、一般式(III)
【0062】
【化34】

(Halは、ハロゲン、好ましくは臭素を表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
の対応する化合物を得、
並びに、これらの化合物は、次いで、第二の反応工程において、適宜原位置で、及び適宜希釈剤の存在下で、及び適宜水素添加剤の存在下で、一般式(IV)の化合物
【0063】
【化35】

(Halは、ハロゲン、好ましくは臭素を表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
へ転化され、
並びに、これらの化合物を、次いで、第三の反応工程において、適宜希釈剤の存在下で、及び適宜塩基性反応補助剤の存在下で、一般式(V)の化合物
【0064】
【化36】

(LGは、適宜原位置で生成される、離核性脱離基であり、並びに
B、R及びQは、上記定義のとおりである(一般式(V)中のQは、好ましくは酸素を表す。)。)
と反応させ、
適宜希釈剤の存在下で、及び適宜塩基性反応補助剤の存在下で、一般式(VI)の化合物
【0065】
【化37】

(Halは、ハロゲン、好ましくは臭素を表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである(一般式(VI)中のQは、好ましくは酸素を表す。)。)
を得、
並びに、これらの化合物は、第四の反応工程において、メタセシス反応の反応条件下で、適宜適切な触媒の存在下で、及び適宜希釈剤の存在下で、一般式(VII)の化合物
【0066】
【化38】

(Halは、ハロゲン、好ましくは臭素を表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである(一般式(VII)中のQは、好ましくは酸素を表す。)。)
へ転化され、
並びに、これらの化合物は、次いで、第五の反応工程において、Heck反応の反応条件下で、適宜適切な貴金属塩の存在下で、及び適宜適切な触媒の存在下で、及び適宜希釈剤の存在下で、一般式(Ia)の化合物へ転化され、及び/又は
b)一般式(Ia)の化合物
【0067】
【化39】

(B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
を、第一の反応工程において、C=C二重結合の酸化によって、適宜希釈剤の存在下で、一般式(I)
【0068】
【化40】

(R’は、ヒドロキシルを表し、
Aは、CH−OHを表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
の化合物へ転化し、
並びに、これらの化合物を、次いで、第二の反応工程において、希釈剤の存在下で、CH−OH基Aの酸化によって、
R’がヒドロキシルを表し、並びに
A、B、R、Q、X及びYが、上記定義のとおりである、一般式(I)の化合物へと転化し、
並びに、これらの化合物を、次いで、第三の反応工程において、ランタノイド金属の適切な塩、特にヨウ化サマリウム(II)の存在下で、適宜希釈剤の存在下で、
R’が水素を表し、並びに
A、B、R、Q、X及びYが上記定義のとおりである一般式(I)の化合物へ転化する、一般式(I)
【0069】
【化41】

(A、B,R,R’、Q、X及びYは、上で定義されているとおりであるが、但し、R及びRは、基−O−CH−O−を表さない。)
の新規化合物を調製する方法に関する。
【0070】
一般式(Ia)の新規化合物を調製するために、例えば、1−エチル−2−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート(FEP)の存在下で、式(II)の化合物として2−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド、3−ブテン−1−アミン及び、一般式(V)の化合物として例えば(4S,5R)−5−アリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸が使用される場合には、5つの反応工程からなる調製方法a)は、以下の反応スキームIによって表すことが可能である。
【0071】
【化42】

【0072】
調製方法a)は、Endersら(J. Org.Chem.70,10538−10551,2005)によって最近公表されたクリポウェリン骨格の全合成に基づいている。
【0073】
驚くべきことに、及び本発明によれば、上記調製方法によるクリポウェリン骨格の調製は、これまで非公知であった一般式(I)の新規化合物に対する入手方法を与え、従って、天然に存在するクリポウェリンA及びBの公知の置換基パターン(X−Y=−O−CH−O−)に限定されないことが見出された。
【0074】
式(II)は、本発明の方法(a)を実施するための出発材料として必要される化合物の一般的な定義を与える。
【0075】
この式(II)において、X及びYは、好ましくは、好ましい置換基として一般式(I)の本発明の新規化合物の記述に関して、既に挙げられた基を表す。
【0076】
一般式(II)の化合物の幾つかは、市販の化合物、例えば、場合によって4−置換、5−置換又は4,5−二置換された2−ブロモベンズアルデヒド及び窒素含有アルデヒド(例えば、3−ブロモ−4−ピリジンアルデヒド(X=CH、Y=N):Corey,E. J. et al.,Tetrahedron Letters 24,3291−3294,1983; Mandal,A. B. et al.,Tetrahedron Letters 46,6033−6036,2005;4−ブロモ−3−ピリジンアルデヒド(X=N,Y=CH):Phuan,P.−W.; Kozlowski,M. C,Science of Synthesis 15,947−985,2005; Numata,A. et al.,Synthesis 2,306−311,1999、(これらは、文献により公知の方法を用いて、場合によって置換され得る。例えば、aromatic aldehydes from methylarenes:Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of organic chemistry],Volume VII/ 1,211;by the Gattermann−Koch−Synthese:Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Volume VII/1,16;by the Sommelet−Reaction:Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Volume VII/1,194;C. Ferri “Reaktionen der Organischen Synthese”[Reactions of organic synthesis]も参照; Georg Thieme Verlag Stuttgart,1978,p.415及びこれらに引用されている文献を参照。))から取得することが可能である。
【0077】
本発明の方法a)に対する出発材料として必要とされる別の化合物は、市販の3−ブテン−1−アミンである。
【0078】
本発明の方法(a)に対する出発材料として必要とされるさらなる化合物(V)は、不飽和カルボン酸誘導体である。これらの幾つかは、例えば、5−ヘキセン酸のように市販されており、又は、これらは、例えば、(4S,5R)−5−アリル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸(Enders,D. et al.,J. Org. Chem. 70,10538−10551,2005; Enders,D. et al.,Angew.Chem.,Intern.Ed. 44,3766−3769,2005)又は3S−ヒドロキシ−5−ヘキセン酸(Maddre11,S.,Tetrahedron Letters 37,6001−6004,1996)のように、文献により公知の方法によって取得することが可能である。
【0079】
Rが、例えば、ヒドロキシルを表し、及びBが基CHOHを表す一般式(V)の本発明の化合物からさらなる誘導体を調製する場合には、適切な保護基(SG)を使用することが有利である(スキームII)。置換されたメチルエーテル及びエーテル、置換されたエチルエーテル、置換されたベンジルエーテル、シリルエーテル、エステル、カルボナート又はスルホナートは、例えば、ヒドロキシル基に対する保護基として知られている(Greene T. W.,Wuts P. G. W. in Protective Groups in Organic Synthesis; John Wiley & Sons,Inc. 1999,“Protection for the hydroxyl group including 1,2−and 1,3−diols”参照)。
【0080】
置換されたメチルエーテル型の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル(MOM)、メチルチオメチルエーテル(MTM)、(フェニルジメチルシリル)メトキシ−メチルエーテル(SNOM−OR)、ベンジルオキシメチルエーテル(BOM−OR)、p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル(PMBM−OR)、p−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、o−ニトロベンジルオキシメチルエーテル(NBOM−OR)、(4−メトキシフェノキシ)メチルエーテル(p−AOM−OR)、グアイアコルメチルエーテル(GUM−OR)、tert−ブトオキシメチルエーテル、4−ペンチルオキシメチルエーテル(POM−OR)、シリルオキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM−OR)、2,2,2−トリクロロエトキシメチルエーテル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルエーテル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル(SEM−OR)、メトキシメチルエーテル(MM−OR)が挙げられる。
【0081】
【化43】

【0082】
置換されたエチルエーテル型の保護基(SG)としては、例えば、1−エトキシエチルエーテル(EE−OR)、1−(2−クロロエトキシ)エチルエーテル(CEE−OR)、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチルエーテル(SEE−OR)、1−メチル−1−メトキシエチルエーテル(MIP−OR)、1−メチル−1ベンジルオキシエチルエーテル(MBE−OR)、1−メチル−lベンジルオキシ−2−フルオロ−エチルエーテル(MIP−OR)、1−メチル−1−フェノキシエチルエーテル、2,2,2−トリクロロエチルエーテル、1,1−ジアニシル−2,2,2−トリクロロエチルエーテル(DATE−OR)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピルエーテル(HIP−OR)、2−トリメチルシリルエチルエーテル、2−(ベンジルチオ)エチルエーテル、2−(フェニルセレニル)エチルエーテルが挙げられる。エーテル型のさらなる保護基(SG)としては、例えば、テトラヒドロピラニルエーテル(THP−OR)、3−ブロモ−テトラヒドロピラニルエーテル(3−BrTHP−OR)、テトラヒドロ−チオピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、2−及び4−ピコリルエーテル、3−メチル−2−ピコリル−N−オキシドエーテル、2−キノリニルメチルエーテル(Qm−OR)、1−ピレニルメチルエーテル、ジペンチルメチルエーテル(DPM−OR)、p−,p’−ジニトロベンズヒドリルエーテル(DNB−OR)、5−ジベンゾスベリルエーテル、トリフェニルメチルエーテル(Tr−OR)、α−ナフチルジフェニルメチルエーテル、p−メトキシ−フェニルジフェニルメチルエーテル(MMTrOR)、ジ(p−メトキシ−フェニル)フェニルメチルエーテル(DMTr−OR)、トリ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルエーテル(TMTr−OR)、4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチルエーテル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロ−フタルイミドフェニル)メチルエーテル(CPTr−OR)、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)−メチルエーテル(TBTr−OR)、4,4’−ジメトキシ−3’’−[N−(イミダゾリルメチル)]トリチルエーテル(IDTr−OR)、4,4’−ジメトキシ−3’’−[N−(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチルエーテル(IETr−OR)、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチルエーテル(Bmpm−OR)、9−アンスリルエーテル、9−(9−フェニル)キサンテニルエーテル(Pixyl−OR)、9−(9−フェニル−10−オキソ)アンスリルエーテル(トリチロンエーテル)、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル(MTHP−OR)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル−S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル(CTMP−OR)、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル−エーテル(Fpmp−OR)、1,4−ジオキサン−2−イル−エーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、テトラヒドロチオフラニルエーテル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタンベンゾフラン−2−イル−エーテル(MBF−OR)、tert−ブチルエーテル、アリルエーテル、プロパルギルエーテル、p−クロロ−フェニルエーテル、p−メトキシフェニルエーテル、p−ニトロフェニルエーテル、p−2,4−ジニトロフェニルエーテル(DNP−OR)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニルエーテル、ベンジルエーテル(Bn−OR)が挙げられる。置換されたベンジルエーテル型の保護基(SG)は、例えば、p−メトキシベンジルエーテル(MPM−OR)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル(DMPM−OR)、o−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−アミノアシルベンジルエーテル(PAB−OR)、p−アジドベンジルエーテル(Azb−OR)、4−アジド−3−クロロベンジルエーテル、2−トリフルオロメチルベンジルエーテル、p−(メチルスルフィニル)ベンジルエーテル(Msib−OR)が挙げられる。シリルエーテル型の保護基(SG)としては、例えば、トリメチルシリルエーテル(TMS−OR)、トリエチルシリルエーテル(TES−OR)、トリイソプロピルシリルエーテル(TIPS−OR)、ジメチルイソプロピルシリルエーテル(IPDMS−OR)、ジエチルイソプロピルシリルエーテル(DEIPS−OR)、ジメチルヘキシルシリルエーテル(TDS−OR)、tert−ブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS−OR)、tert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS−OR)、トリベンジルシリルエーテル、トリ−p−キシリルシリルエーテル、トリフェニルシリルエーテル(TPS−OR)、ジフェニルメチルシリルエーテル(DPMS−OR)、ジ−tert−ブチルメチルシリルエーテル(DTBMS−OR)、トリス(トリメチルシリル)シリルエーテル(シリルエーテル)、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリルエーテル(HSDMS−OR)、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリルエーテル(HSDIS−OR)、tert−ブチルメトキシフェニルシリルエーテル(TBMPS−OR)、tert−ブトキシジフェニルシリルエーテル(DPTBOS−OR)が挙げられる。エステル型の保護基(SG)としては、例えば、ホルマートエステル、ベンゾイルホルマートエステル、アセタートエステル(Ac−OR)、クロロアセタートエステル、ジクロロアセタートエステル、トリクロロアセタートエステル、トリフルオロアセタートエステル(TFA−OR)、メトキシアセタートエステル、トリフェニルメトキシアセタートエステル、フェノキシアセタートエステル、p−クロロフェノキシアセタートエステル、フェニルアセタートエステル、ジフェニルアセタートエステル (DPA−OR)、ニコチナートエステル、3−フェニルプロピオナートエステル、4−ペントアートエステル、4−オキソペントアートエステル(レブリナート) (Lev−OR)、4,4−(エチレンジチオ)−ペンタノアートエステル(LevS−OR)、5−[3−ビス(4−メトキシフェニル)ヒドロキシメトキシフェノキシ]レブリナートエステル、ピバロアートエステル(Pv−OR)、1−アダマンタノアートエステル、クロトナートエステル、4−メトキシクロトナートエステル、安息香酸エステル(Bz−OR)、p−フェニル安息香酸エステル、2,4,6−トリメチル−安息香酸エステル(メシトアート)、4−(メチルチオメトキシ)−ブチラートエステル(MTMB−OR)、2−(メチルチオメトキシメチル)−安息香酸エステル(MTMT−OR)が挙げられる。エステル型の保護基(SG)としては、例えば、炭酸メチル、炭酸メトキシメチル、炭酸9−フルオレニルメチル(Fmoc−OR)、炭酸エチル、炭酸2,2,2−トリクロロエチル(Troc−OR)、炭酸1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロ−エチル(TCBOC−OR)、炭酸2−(トリメチルシリル)エチル(TMSEC−OR)、炭酸2−(フェニルスルホニル)エチル(Psec−OR)、炭酸2−(トリフェニルホスホニオ)エチル(Peoc−OR)、炭酸tert−ブチル(Boc−OR)、炭酸イソブチル、炭酸ビニル、炭酸アリル(Alloc−OR)、炭酸p−ニトロフェニル、炭酸ベンジル(Z−OR)、炭酸p−メトキシベンジル、炭酸3,4−ジメトキシベンジル、炭酸o−ニトロベンジル、炭酸p−ニトロベンジル、炭酸2−ダンシルエチル(Dnseoc−OR)、炭酸2−(4−ニトロフェニル)エチル(Npeoc−OR)、炭酸2−(2,4−ジニトロフェニル)エチル(Dnpeoc)が挙げられる。サルファート型の保護基(SG)としては、例えば、アリルスルホナート(Als−OR)、メタンスルホナート(Ms−OR)、ベンジルスルホナート、トシラート(Ts−OR)、2−[(4−ニトロフェニル)エチル]スルホナート(Npes−OR)が挙げられる。
【0083】
一般式(I)の上記化合物からさらなる誘導体を調製する場合には、まず、Rが、例えば、ヒドロキシルを表し、及びBが基CHOH、適切な保護基、例えば、上記保護基の1つを表す一般式(V)の化合物を使用することが有利であり得る。ここでは、対応して互いに適合性を有するべき2つの異なる保護基SG及びSG’(すなわち、これらは、選択的に、及び互いに独立に除去可能であるべきである。)を使用することが、都合がよい場合もあり得る。次いで、誘導体化、例えば、化学合成又は微生物の生物変換によるグリコシド化(スピノシン誘導体中への置換基の導入も;例えば、WO03/010155A1参照)を実施することが可能である。
【0084】
一般に、希釈剤の存在下で本発明の調製方法a)を実施することが有利である。希釈剤は、反応混合物が反応全体を通じて容易に撹拌可能な状態を保つ量で有利に使用される。本発明の方法a)を実施するための適切な希釈剤は、全ての不活性な有機溶媒である。
【0085】
例としては、以下のもの:ハロゲン化された炭化水素、特に、テトラエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンなどの塩化された炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール;エチルプロピルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、n-ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロジエチルエーテル並びにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのポリエーテルなどのエーテル;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン及びテトラメチレンジアミンなどのアミン;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、クロロニトロベンゼン、o-ニトロトルエンなどのニトロ化された炭化水素;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、m-クロロベンゾニトリルなどのニトリル、並びに
テトラヒドロチオフェンジオキシド及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジイソアミルスルホキシドなどの化合物;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン及びペンタメチレンスルホンなどのスルホン;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及び産業用炭化水素、例えば、例えば40℃から250℃の範囲の沸点を有する成分を有する揮発油、シメン、70℃から190℃の沸点範囲を有する石油留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン、キシレンなどの脂肪族、環状脂肪族又は芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジブチル、炭酸エチレンなどのエステル;ヘキサメチレンリン酸トリアミド、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、Ν,Ν-ジメチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジン、オクチルピロリドン、オクチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジオン、Ν-ホルミルピペリジン、N,N’-1,4-ジホルミルピペラジンなどのアミド;アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトンを挙げることができる。
【0086】
もちろん、本発明の方法に対して挙げられた溶媒及び希釈剤の混合物を使用することも可能である。
【0087】
しかしながら、本発明の方法a)における第一の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、テトレエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンなどの塩素化された炭化水素、特に、ジクロロメタンである。
【0088】
調製方法a)の第一の反応工程に従う一般式(II)の化合物の反応は、3−ブテン−1−アミンの存在下で、適宜酸性補助剤の存在下で、及び上記希釈剤の1つの中で、一般式(II)の化合物を反応させることによって実施される。
【0089】
反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+200℃の間、好ましくは+10℃と180℃の間、特に好ましくは15℃と100℃の間の温度で実施される。反応は、好ましくは、例えば、水分離装置又は、例えば、分子篩などの脱水剤を用いて、水を分離し、又は除去できる反応条件下で行われる。調製方法a)の第一の反応工程では、分子篩4オングストロームを使用することが好ましい。
【0090】
原則的には、反応は、大気圧下で実施することが可能である。反応は、好ましくは、大気圧下又は最大15バールの圧力下、及び適宜、保護気体(窒素、ヘリウム又はアルゴン)の雰囲気下で行われる。
【0091】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(III)の化合物は、再結晶、真空蒸留又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である。しかしながら、あるいは、一般式(III)の化合物は、第二の反応工程を実施するために、さらなる精製を行わずに使用することが可能である(調製例参照)。
【0092】
調製方法a)の第二の反応工程に従う一般式(III)の化合物の反応は、上にさらに挙げられている希釈剤の1つの中の水素添加剤の存在下で、一般式(III)の化合物を反応させることによって実施される。
【0093】
しかしながら、本発明の調製方法a)の第二の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、特にメタノールなどのアルコールである。
【0094】
一般式(III)の化合物に水素を添加するのに適切であるのは、例えば、アルカリ金属水素化物、特に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ホウ素トリエチルリチウム(Li[EtBH])、水素化ホウ素トリsec−ブチルリチウム(Li[sec−BuBH])、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化アルキルアルミニウム、特に、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)又は、とりわけ、トリアセトキシ水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどの様々な水素添加剤である(H. de Koning,W. N. Speckamp,Houben Weyl,Methoden der Organishen Chemie[Methods of organic chemistry],volueme E 21,p.1953及びその中に引用されている文献)。もちろん、水素添加のために、「水素化ホウ素樹脂」、例えば、「Amberlite(R)IRA−406上の水素化ホウ素」を使用することも可能である(Sande,A.R. et al.,Tetrahedron Lett.25,3501,1984参照)。
【0095】
水素添加を実施するために好ましいのは、水素化アルカリ金属、特に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)及び水素化アルミニウムリチウム(LiaAlH)の使用である。
【0096】
反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+200℃の間、好ましくは+10℃と140℃の間、特に好ましくは15℃と80℃の間の温度で実施される。反応は、好ましくは、大気圧下又は最大15バールの圧力下、及び適宜、保護気体(窒素、ヘリウム又はアルゴン)の雰囲気下で行われる。
【0097】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(IV)の化合物N−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イルアミンは、再結晶、真空蒸留又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である。しかしながら、あるいは、一般式(IV)の化合物は、第三の反応工程を実施するために、さらなる精製を行わずに使用することが可能である(調製例参照)。
【0098】
調製方法a)の第三の反応工程に従う一般式(IV)の化合物の反応は、カルボン酸に対するカップリング剤の存在下で、適宜塩基性補助剤の存在下で、上にさらに挙げられている希釈剤の1つの中で、一般式(IV)の化合物を、上にさらに挙げられている一般式(V)の化合物と反応させることによって実施される。
【0099】
調製方法a)を実施するための適切なカップリング剤は、アミド結合を形成するのに適した全てのカップリング剤である(例えば、Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,volume 15/2; Bodansky et al.,Peptide Synthesis 2nd ed.(Wiley & Sons,New York 1976)又はGross,Meienhofer,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology(Academic Press,New York 1979)を参照)。以下の方法を用いることが好ましい。アルコール成分としての、ペンタクロロフェノール(Pcp)又はペンタフルオロフェノール(Pfp)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキサミド(HONB)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又は3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン、DCC添加法を用いた又はn−プロパンホスホン酸無水物(PPA)を用いたジシクロヘキシルカルボミジミド(DCCI)などのカルボジイミドとのカップリングを使用する活性化エステル法、並びに塩化ピバロイル、クロロギ酸エチル(EEDQ)及びクロロギ酸イソブチル(IIDQ)又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノホスホニウム)ヘキサフルオロホスファート(BOP)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BPO−Cl)、ベンゾトリアゾール−1−イルトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP(R))、ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBroP(R))などのホスホニウム試薬とのカップリング、又はシアノリン酸ジエチル(DEPC)及びジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などのホスホン酸試薬、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウラニウムテトラフルオロボラート(TNTU)、2−(2−オキソ−1(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−ビスペンタメチレンテトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TOPPipU)、O−(N−スクシンイミジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TSTU)又は2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)などのウロニウム試薬、又は、例えば、1−エチル−2−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート(FEP)などのオニウム型の試薬を使用する混合無水物法。
【0100】
カルボン酸に対する好ましい活性化剤は、例えば、1−エチル−2−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート(FEP)である(Li,P.,Xu,J.C.,J.Peptide Res.58,129−139,2001参照)。
【0101】
しかしながら、本発明の方法a)における第三の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、テトレエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンなどの塩素化された炭化水素、特に、ジクロロメタンである。
【0102】
本発明の方法を実施するための適切な塩基性反応補助剤は、アミン、特に三級アミンなどの全ての適切な酸結合剤であり、また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物である。
【0103】
例として挙げられるのは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウムの水酸化物、水素化物、酸化物及び炭酸塩であり、さらに、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デク−5−エン(MTBD);ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン(DBU)、シクロヘキシルテトラブチルグアニジン(CyTBD)、シクロヘキシルテトラメチルグアニジン(CyTMG)、N,N,N,N−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン、ペンタメチルピペリジンなどのアミジン塩基又はグアニジン塩基、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリベンジルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、N,N-ジメチル-p-アミノピリジン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルイミダゾール、N-メチルピラゾール、N-メチルモルホリン、N-メチルヘキサメチレンジアミン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、α-ピコリン、β-ピコリン、イソキノリン、ピリミジン、アクリジン、N,N,N’,N’-テトラメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチレンジアミン、キノキサリン、N-プロピルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N’-ジメチル-シクロヘキシルアミン、2,6-ルチジン、2,4-ルチジン又はトリエチルジアミンなどの三級アミンなどの他の塩基性化合物である。
【0104】
トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリベンジルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリアミルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチル−p−アミノピリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルイミダゾール、N−メチルピラゾール、N−メチルホルホリン、N−メチルヘキサメチレンジアミンなどの三級アミンを使用することが好ましい。トリエチルアミン及びN,N−ジイソプロピルエチルアミンが特に好ましい。
【0105】
反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−40℃と+150℃の間、好ましくは−20℃と120℃の間、特に好ましくは−5℃と80℃の間の温度で実施される。反応は、好ましくは、大気圧下又は最大15バールの圧力下、及び適宜、保護気体(窒素、ヘリウム又はアルゴン)の雰囲気下で行われる。
【0106】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(VI)の化合物、例えば、(4S,5R)−5−アリル−N−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサミドは、再結晶又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である(調製例を参照)。
【0107】
調製方法a)における第四の反応工程に従う一般式(IV)の化合物の反応は、メタセシス反応の反応条件下で、適宜、適切な触媒の存在下で、及び適宜、希釈剤の存在下で、一般式(VI)の化合物、例えば、(4S,5R)−5−アリル−N−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサミドを反応させて、一般式(VII)の化合物、例えば、(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゾニン−4−オンを得ることによって実施される。
【0108】
メタセシス反応は文献公知であり、公知の触媒を用いて、この反応に適していることが公知の反応条件下で実施することが可能である(例えば、Van de Weghe,P. et al.,Current Topics Med. Chem. 5,1461−1472,2005; Deiters,A. et al.,Chem.Rev.(Washington,DC,United States) 104,2199−2238,2004; Nakamura,I.; Yamamoto,Y.,Chem.Rev.(Washington,DC,United States) 104,2127−2198,2004参照)。
【0109】
例として、及び好ましいものとして、ここでは、第一及び第二世代のGrubbs触媒としても知られるルテニウム触媒が使用される(例えば、Schmidt,B.,Angew.Chem,Intern.Edition 42,4996−4999,2003)。
【0110】
しかしながら、本発明の方法a)における第四の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、テトレクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンなどの塩素化された炭化水素、特に、ジクロロメタンである。
【0111】
本発明の調製方法a)の第四の反応工程に従う一般式(VII)の化合物の反応は、適切な触媒、例えば、第二世代のGrubbs触媒の存在下で、一般式(VII)の化合物を反応させることによって実施される。
【0112】
反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+200℃の間、好ましくは0℃と150℃の間、特に好ましくは+10℃と100℃の間の温度で実施される。きわめて特に好ましくは、反応は、まず、ジクロロメタンの還流温度で実施され、次いで室温で実施される。
【0113】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(VII)の化合物、例えば、(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゾニン−4−オンは、再結晶又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である(調製例を参照)。
【0114】
調製方法a)における第五の反応工程に従う一般式(VII)の化合物の反応は、Heck反応の反応条件下で、適宜、適切な貴金属塩の存在下で、及び適宜、適切な触媒の存在下で、及び適宜希釈剤の存在下で、一般式(VII)の化合物、例えば、(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ−[4,5−c]アゾニン−4−オンを反応させて、一般式(Ia)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]−ベンゾアゼシン−4−オンを得ることによって実施される。
【0115】
Heack反応は文献公知であり、公知の触媒を用いて、本反応に適していることが知られた反応条件下で実施することが可能である(例えば、Dounay,A. B.; Overman,L. E.,Chem. Rev. 103,2945−2963,2003; Li,Chao−Jun.,Chem. Rev. 105,3095−3165,2005参照)。
【0116】
例えば、ピリジン窒素及びリン供与原子を含有するキラルP、Nリガンド(概説:Chelucci,G. et al.,Tetrahedron 59,9471−9515,2003; Alonso,F. et al.,Tetrahedron 61,11771−11835,2005;solid−phase synthesis:Brase,S. et al.,Tetrahedron 59,885−939,2003を参照)。
【0117】
本発明の方法a)における第五の反応工程を実施するために使用される好ましいリガンドは、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンである。
【0118】
さらに、本発明の方法a)における第五の反応工程を実施するために、例えば、パラジウム塩、例えば、酢酸パラジウム(II)又は銀塩、例えば炭酸銀などの適切な貴金属塩が使用される。
【0119】
しかしながら、本発明の方法a)における第五の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン又はキシレン、特にトルエンなどの芳香族炭化水素である。
【0120】
反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+200℃の間、好ましくは0℃と180℃の間、特に好ましくは+10℃と150℃の間の温度で実施される。極めて特に好ましくは、反応は、トルエンの還流温度で実施される。
【0121】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(Ia)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オンは、再結晶又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である(調製例を参照)。
【0122】
一般式(I)の新規化合物を調製するために、C=C二重結合に対する適切な酸化剤の存在下で、及び希釈剤の存在下で、式(Ia)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オンが使用される場合には、3つの反応工程を含む調製方法b)は、以下の反応スキームIIIによって表すことが可能である。
【0123】
【化44】

【0124】
調製方法b)は、Endersら(J. Org.Chem.70,10538−10551,2005)によって最近公表されたクリポウェリン骨格の全合成に基づいている。
【0125】
式(Ia)は、本発明の方法(b)を実施するための出発材料として必要される化合物の一般的な定義を与える。
【0126】
この式(Ia)において、X及びYは、好ましくは、好ましい置換基として一般式(Ia)の本発明の新規物質の記述に関して、既に挙げられた基を表す。
【0127】
一般式(Ia)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オンは、上にさらに記載されている、本発明の調製方法a)によって取得することが可能である。
【0128】
一般に、希釈剤の存在下で本発明の調製方法b)を実施することが有利である。
【0129】
本発明の方法b)における第一の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン又はメチルブチルケトン、特に、水と組み合わせたアセトンなどのケトンである。
【0130】
本発明の調製方法b)における第一の反応工程に従う一般式(Ia)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オンの反応は、適切な酸化剤の存在下で、一般式(Ia)の化合物を反応させることによって実施される。
【0131】
様々な多数の酸化剤が、アルコール基を酸化するために適していることが公知である(例えば、Organic Synthesis by Oxidation with Metal Compounds; Mijs,de Jonge; Plenum Verlag:New York,1986; Manganese Compounds as Oxidising Agents in Organic Chemistry; Arndt,Open Court Publishing Company:La Salle,IL,1981; The Oxidation of Organic Compounds by Permanganate Ion and Hexavalent Chromium; Lee,Open Court Publishing Company:La Salle,IL,1980中の酸化剤を参照)。従って、酸化は、例えば、特に、過マンガン酸塩、塩素又は臭素などのハロゲン、二酸化マンガン又は四酸ルテニウムなどの金属酸化物の存在下で実施することが可能である。
【0132】
例えば、酸性重クロム酸塩の使用など、専ら二級アルコールを酸化するための多数の異なる酸化剤も文献に記載されている(Chromium Oxidations in Organic Chemistry; Cainelli,Cardillo,Springer Verlag:New York,1984; Reagents fur Organic Synthesis; Fieser,Vol. 1,Wiley:New York,1967,S. 142−147,1059−1064及びこのシリーズのさらなる巻参照)。クロム酸及び硫酸の水溶液は、Jones試薬として知られている。公知のとおり、3つの他のクロム(VI)試薬、例えば、ジピリジン/酸化クロム(VI)(Collins試薬;Collins et al.,Tetrahetron Lett.,3363,1968参照)、クロロクロム酸ピリジニウム(Corey試薬)及び重クロム酸ピリジニウムも使用される(Warrener et al.,Aust.J.Chem.(1978),31,1113中のJones、Collins及びCorey試薬の比較研究のコミュニケーション参照)。酸感受性基質の場合、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)中の酸化クロム(VI)(Cardillo et al.,Synthesis,394,1976)、酸化クロム(VI)/ピリジン錯体(Poos et al.,J. Am.Chem.Soc.75,422,1953)又はクロム酸トリメチルシリル(Moiseenkov et al.,J. Org.Chem.USSR 23,1646,1987)の使用も、記載されている。二級アルコールの相対的に大量を酸化するために、酢酸中の次亜塩素酸ナトリウムが挙げられている(Stevensens et al.,J.Org.Chem.45,2030,1980; Schneider et al.,J. Org.Chem.47,364,1982参照)。適宜、酸化剤は、ポリマーに付着されて存在することも可能である(概説:McKillop,Young,Synthesis,401−422,1979参照)。このように、クロム酸と過マンガン酸塩は酸化剤として使用されてきた。過マンガン酸塩、クロム酸(Hutchins et al.,Tetrahedron Lett.,4167,1977; Landini et al.,Synthesis,134,1979)及び四酸化ルテニウム(Morris,Kiely,J. Org.Chem.52,1149,1987)を用いた多数の相転移反応も公知である。超音波によって誘導される酸化反応さえ実行可能であり、従って、過マンガン酸カリウムの使用が挙げられる(Yamwaki et al.,Chem. Lett.,379,1983)。
【0133】
さらに、二級アルコールの対応する酸化用であるので、一級アルコールをアルデヒドに酸化することができる酸化剤の多くが適切である。一級アルコールに対するこのような酸化剤は、例えば、重クロム酸ピリジニウム、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(Pr、RuO)、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)、Celite上の炭酸銀(Fetizon et al.,Acad.Sei.,Ser.C 267,900,1968)、水中のNaCr(Lee et al.,J. Org.Chem.35,3589,1970)、塩化オキサリル存在下の四酢酸鉛/ピリジン、過酸化ベンゾイル/臭化ニッケル(II)又はジメチルスルホキシド(Swern酸化)、ピリジン中の硫酸銅(II)五水和物、70%強度の酢酸中の酢酸銅(II)、水中の塩化鉄、氷酢酸中の酸化クロム(VI)又はピリジン中の三酸化二クロムである。一級ヒドロキシル基の存在下でさえ、二級ヒドロキシル基を特異的に酸化できる試薬には、例えば、過酸化水素/モリブデン酸アンモニウム(Trost et al.,Isr.J.Chem.24,134,1984)、ホウ酸ナトリウム(NaBrO)−CANが含まれる。他の酸化可能な基の存在下でさえ、N−ハロスクシンイミド(ハロゲン=塩素、臭素、ヨウ素)は、ヒドロキシル基に対する酸化剤として使用することが可能である。例えば、N−ヨードスクシンイミド/ヨウ化テトラブチルアンモニウムの組み合わせは、高収率で二級アルコールを酸化するのに適している(Hanessian et al.,Synthesis,394,1981)。
【0134】
さらなる公知の酸化法には、例えば、銀又は銅触媒などの触媒の存在下での、酸化的脱水素も含まれる(M. Muhler in:Handbook of Heterogenous Catalysis,VCH,Weinheim,1997)。感受性化合物、例えば、炭水化物(Besson,M. et al.,J. Catal.152,116−122,1995)又はステロイド(Akihisa,T. et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.59,680−685,1986)のクラスの酸化さえ可能とする、白金/炭素又はパラジウム/炭素触媒を使用する他の穏やかな酸化法は公知である。酸化用の効率的な市販の触媒の例は、過酸化水素水溶液(30%w/w)中での一級及び二級アルコールの触媒的酸化を可能とする無機TS−1触媒(酸化チタンシリカライト)である(Murugawel,R. et al.,Angew. Chem.Int. Ed.Engl.36,477−479,1997)。
【0135】
本発明の方法b)における第一の反応工程を実施するための好ましい酸化剤は、N−メチルモルポリン−N−オキシド(NMO)の存在下のオスミウム化合物、特にKOSOである。
【0136】
本発明の方法b)における第二の反応工程を実施するための好ましい酸化剤は、塩化オキサリルの存在下でのジメチルスルホキシド、すなわち、Swern酸化である。
【0137】
第一の反応段階の反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+200℃の間、好ましくは0℃と180℃の間、特に好ましくは+10℃と150℃の間の温度で実施される。極めて特に好ましくは、反応は、室温で実施される。
【0138】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(I;R’=OH、A=CHOH)の化合物は、再結晶、真空蒸留又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である。しかしながら、あるいは、一般式(I;R’=OH、A=CHOH)の化合物は、第二の反応工程を実施するために、さらなる精製を行わずに使用することが可能である(調製例参照)。
【0139】
調製方法b)の第二の反応工程に従う一般式(I;R’=OH、A=CHOH)の化合物の反応は、上でさらに挙げられている希釈剤の1つの中で、別の酸化剤の存在下で、及び塩基性反応補助剤の存在下で、一般式(I;R’=OH、A=CHOH)の化合物を反応させることによって実施される。
【0140】
しかしながら、本発明の方法b)における第二の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンなどの塩素化された炭化水素、特に、ジクロロメタンである。
【0141】
酸化のために使用される好ましい反応条件は、文献公知であるSwern酸化の反応条件である。
【0142】
好ましい塩基性補助剤は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリベンジルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリアミルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチル−p−アミノピリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルイミダゾール、N−メチルピラゾール、N−メチルモルホリン、N−メチルヘキサメチレンジアミンなどの三級アミンである。トリエチルアミン及びN,N−ジイソプロピルエチルアミンが特に好ましい。
【0143】
第二の反応工程の反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−100℃と+150℃の間、好ましくは−90℃と100℃の間、特に好ましくは−80℃と50℃の間の温度で実施される。反応は、好ましくは、大気圧下又は最大15バールの圧力下、及び適宜、保護気体(窒素、ヘリウム又はアルゴン)の雰囲気下で行われる。
【0144】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。一般式(I;R’=OH、A=CO)の得られた化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−11−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオンは、再結晶、真空蒸留又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である(調製例を参照)。
【0145】
調製方法b)における第三の反応工程に従う一般式(I;R’=OH、A=CO)の化合物の反応は、上にさらに挙げられている希釈剤の1つの中で、ランタノイド金属の適切な塩の存在下で、一般式(I;R’=OH、A=CO)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−11−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12[3aH]−ジオンを反応させることによって実施される。
【0146】
公知のランタノイド金属は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメシウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムである。ランタノイド金属の好ましい塩は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩又は炭酸塩である。本発明の調製方法b)において、ヨウ化サマリウム(II)は、ランタノイド金属の特に好ましい塩として使用される。
【0147】
本発明の方法b)における第三の反応工程を実施するための好ましい希釈剤は、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどのエーテルの混合物である。tert−ブタノール及びテトラヒドロフランの混合物を使用することが好ましい。
【0148】
第三の反応段階の反応時間は、10分から48時間までである。反応は、−10℃と+150℃の間、好ましくは0℃と100℃の間、特に好ましくは10℃と50℃の間の温度で実施される。反応は、好ましくは、室温で実施される。さらに、反応は、大気圧下又は最大15バールの圧力下、及び適宜、保護気体(窒素、ヘリウム又はアルゴン)の雰囲気下で行われる。
【0149】
反応が終了した後、全ての反応混合物を濃縮する。得られた一般式(I、R’=H、A=CO)の化合物、例えば、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオンは、再結晶、真空蒸留又はカラムクロマトグラフィーによる慣用の様式で精製することが可能である(調製例を参照)。
【0150】
Qが硫黄を表す本発明に係る一般式(I)の化合物を調製する場合、適切な出発材料、例えば、R’が水素又はヒドロキシルを表し、及びAが、適宜、文献公知の方法によって保護されているカルボニル官能基を表す一般式(Ia;Q=酸素)及び(I;Q=酸素)の化合物として使用することが可能である(反応スキームIV参照)。
【0151】
【化45】

【0152】
例えば、硫化水素(HS)、硫化水素/塩化水素(HS/HCl)、過硫化水素/塩化水素(H/HCl)、硫化ジ(ジエチルアルミニウム)[(EtAl)S]、ポリマー性硫化エチルアルミニウム[(EtAlS)]、二硫化ケイ素(SiS)、三硫化二ホウ素(B)、五塩化リン/硫化二アルミニウム/硫酸ナトリウム(PCl/Al/NaSO)、硫化ナトリウム/硫酸(NaS/HSO)、五硫化二リン(P)、五硫化二リン/ピリジン(P/Py)、塩化ジエチルチオカルバモイル、五硫化二リン/トリエチルアミン(P/NEt)、五硫化二リン/n−ブチルリチウム(P/n−BuLi)、五硫化二リン/炭酸水素ナトリウム(P/NaHCO;「Scheeren試薬」、Na2+[P10O]2−の形成)、五硫化二リン/メタノール(P/MeOH)、SCN−CO−OEt、PSCl(NMe3−x(x=0−3)、硫化剤としての又は五硫化リン代替物としての硫化ビス(1,5−シクロオクタンジイルボリル)[(9−BBN)S]、2,4−ビス(メチルチオ)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド「Davy試薬メチル」(DR−Me)、2,4−ビス(エチルチオ)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド「Davy試薬エチル」(DR−Et)、2,4−ビス(p−トリルチオ)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド「Davy試薬エチル」(DR−p−トリル)又は「Heimgartner試薬」(DR−T)、2,4−ビス(4−フェノキシフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン「Belleau試薬(BR)」、2,4−ビス(4−フェニルチオフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン「Lawesson試薬(LR)」などの様々な多数の硫化剤が文献に記載されている(Davy’s試薬:Heimgartneret,H. al.,Helv. Chim. Acta 70,1001,1987; Belleau試薬:Jensen,O. E. et al.,Tetrahedron 41,5595,1985; Lawesson試薬:Cherkasov,R. A. et al.,Tetrahedron 41,2567,1985;硫化ジボリル:Metzner et al.In Sulfur Reagents in Organic Synthesis,B. Harcourt:London 1994,Academic Press,S. 44−54)。
【0153】
例えば、RBF4−(R=メチル、エチル)でのO−アルキル化(H.Meerwein et al.,Justus Liebigs Ann.Chem.(1961),641,p.1)及びこれに続く、無水NaSHとの中間体の反応(R.E.Eibeck,Inorg.Syn.(1963)7,p.128)、クロロイミニウム塩の原位置での形成及び、テトラチオモリブダート、特にベンジルトリエチルアンモニウムテトラチオモリブダート[(PhCHNEtMoS]又はヘキサメチルジシラチアン(TMSS)とのその後の反応など、別の反応系列も可能である。
【0154】
式(Ib)及び(Ic)の化合物は、WO97/34910に記載されている方法によって調製することが可能である。特に、これらは、Moonらによって記載された方法によって調製することも可能である(Organic Letters 7,1031−1034,2005)。
【0155】
式(I)の化合物は、微小管を安定させる。従って、式(I)の化合物は、癌及びその他の増殖性疾患の種類の多数を治療するために使用することが可能である。このような疾患の例は、
膀胱、乳房、大腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺及び皮膚の癌腫(扁平上皮癌を含む。)などの癌腫;
白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫及びバーキット(Burketts)リンパ腫などのリンパ球系細胞の造血性腫瘍;
急性及び慢性骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病など、骨髄系細胞株の造血性腫瘍;
繊維肉腫及び横紋筋肉腫など、間葉起源の腫瘍;
星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及びシュワン細胞腫など、中枢及び末梢神経系の腫瘍;
繊維肉腫、横紋筋肉腫及び骨肉腫など、間葉起源の腫瘍;並びに
悪性黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫及び濾胞性甲状腺癌などのその他の腫瘍;
である。
【0156】
適宜、式(I)の化合物は、血管新生を阻害することも可能であり、従って、式(I)の化合物は腫瘍の増殖に影響を与えることが可能である。抗血管新生剤に応答するその他の疾患、例えば、網膜の血管新生反応を伴う失明のある種の形態、関節炎、特に炎症性関節炎、多発性硬化症、再狭窄及び乾癬を治療する際には、このような抗血管新生特性も有用である。
【0157】
式(I)の化合物は、アポトーシス(正常な発育及び恒常性にとって不可欠である、細胞の死をもたらす生理的プロセス)を誘導又は阻害する。アポトーシスの経路の変化は、ヒト疾患の多数の発病に寄与している。従って、アポトーシスの調節物質として、前記化合物は、アポトーシスの異常を伴うヒトの疾患の多数、例えば、前癌性の病変、免疫応答を伴う疾患、ウイルス感染症、筋骨格系の変性疾患及び腎臓疾患の治療において有用であり得る。
【0158】
式(I)の化合物の有効量は、当業者によって決定することが可能であり、1から4回/日など、単回投薬で、又は各々分割した投薬の形態で投与可能な、約0.05から200mg/kg/日のヒトに対する典型的投薬量が含まれる。好ましくは、化合物は、単回投薬で、又は2から4回の分割した投薬で、100mg/kg/日未満の投薬量で投与される。ある患者に対する具体的な用量及び投薬頻度は変動し、使用される具体的な化合物の有効性、本化合物の代謝的安定性及び作用の持続時間、患者の種、年齢、体重、全般的な健康状態、性別及び食事、投与の様式及び時間、排除速度、医薬の組み合わせ並びに具体的な疾患の重度など、多数の要因に依存し得ることが明らかである。
【0159】
従って、本発明は、本文脈において有効な量で、式(I)の少なくとも1つの化合物を含み、並びに癌及びその他の増殖疾患の治療を可能とし、並びに医薬として許容される担体又は医薬として許容される希釈剤を含むヒトに対する医薬を提供する。本発明の組成物は、以下に記載されている他の治療剤を含み得、医薬製剤の分野において周知である技術、又は標準的な医薬的慣行によって必要とされる技術を用いて、例えば、所望の投与に適した種類の医薬添加物(例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定化剤、着香剤など)などの、慣用の固体又は液体担体又は賦形剤を用いて調合することが可能である。
【0160】
式(I)の化合物は、医薬として許容される非毒性の担体又は希釈剤を含む投薬単位製剤中、あらゆる適切な手段によって、例えば経口的に(錠剤、カプセル、顆粒又は粉末の形態など)、舌下、口頬、皮下、静脈内、筋肉内又は胸骨内注射又は注入技術によるなど非経口的に(例えば、無菌の注射可能な水性又は非水性溶液又は懸濁液として)、経鼻(吸入スプレーを用いるなど);局所的に(クリーム又は軟膏の形態など)、又は経直腸的に(坐薬の形態など)投与することが可能である。式(I)の化合物は、例えば、即時放出又は遅延した放出に適した形態で、投与することが可能である。即時放出又は遅延した放出は、式(I)の化合物を含む適切な医薬を用いることによって達成することが可能であり、又は、特に、遅延した放出の場合には、皮下インプラント又は浸透圧ポンプなどの装置を用いることによって達成することが可能である。式(I)の化合物は、リポソーム形態で投与することも可能である。活性物質は、例えば、化合物又は前記式の化合物の混合物の単位用量当り約5から約500mgを含む錠剤、カプセル、溶液又は懸濁液などの組成物中で使用することが可能であり、又は局所形態で(式(I)の化合物の重量に対して0.01から5%、1日当たり1から5回の治療)使用することが可能である。活性物質は、慣用の様式で、生理的に許容される担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定化剤、着香剤などと、又は局所的担体と混合することが可能である。式(I)の化合物は、非経口投与用の組成物(無菌の溶液又は懸濁液など)中に調合することも可能である。式(I)の化合物の約0.1から500mgは、標準的な医薬的慣行によって必要とされるように、単位投薬形態で、生理的に許容される担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定化剤などと混合することが可能である。これらの組成物又は調製物中の活性物質の量は、好ましくは、表記範囲の適切な投薬量が得られるような量である。
【0161】
経口投与のための典型的な組成物には、例えば、嵩を増加させるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム、粘度増加剤としてのメチルセルロース、及び本分野で公知のものなどの甘味剤又は着香剤を含み得る懸濁液、並びに例えば、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム及び/又はラクトース及び/又は、本分野で公知のものなどの、他の賦形剤、結合剤、増量剤、しゃく解剤(peptizer)、希釈剤及び流動促進剤を含み得る即時放出の錠剤が含まれる。成型された錠剤、圧縮された錠剤又は凍結乾燥された錠剤は、使用し得る典型的な形態である。典型的な組成物には、マニトール、ラクトース、スクロース及び/又はシクロデキストリンなど、素早く溶解可能な溶媒とともに式(I)の化合物を調合する組成物が含まれる。このような製剤は、セルロース(Avicel)又はポリエチレングリコール(PEG)など、高分子量の賦形剤も含み得る。このような製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、無水マレイン酸共重合体(例えば、Gantrez)及びポリアクリラート共重合体(例えば、Carbopol934)などの放出を調節するための薬剤など、粘膜への付着を補助するための賦形剤も含有し得る。調製及び使用を促進するために、潤滑剤、流動促進剤、着香剤、着色剤及び安定化剤も添加し得る。
【0162】
経鼻エアロゾル及び吸入投与用の典型的組成物には、例えば、ベンジルアルコール及び他の適切な防腐剤、生物学的利用性を増加させるための吸収増強剤及び/又は本分野で公知のものなど、他の可溶化剤及び分散剤を含む生理的食塩水中の溶液が含まれる。
【0163】
非経口投与用の典型的な組成物には、例えば、Cremophor、マニトール、1,3−ブタンジオール、水、Ringer溶液、等張の塩化ナトリウム溶液若しくは他の適切な分散剤;又は合成モノグリセリド若しくはジグリセリドなど、湿潤剤及び懸濁剤、並びにオレイン酸などの脂肪酸など、非経口的に許容される非毒性の適切な希釈剤又は溶媒を含み得る注射可能な溶液又は懸濁液が含まれる。
【0164】
直腸投与用の典型的な組成物には、例えば、常温では固体であるが、直腸腔内で液化及び/又は溶解して医薬を放出する、カカオバター、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリコールなど、適切な非刺激性賦形剤を含有し得る坐薬が含まれる。
【0165】
局所投与用の典型的な組成物は、Plastibase(ポリエチレンでゲル化された鉱物油)など、局所的担体を含む。式(I)の化合物は、例えば乾癬を伴うプラークを治療するために局所的に投与することが可能であり、クリーム又は軟膏などとして調合することが可能である。
【0166】
式(I)の化合物は、単独で、又は他の抗癌剤及び細胞毒製剤及び癌又は他の増殖疾患を管理するのに適した治療と組み合わせて投与することが可能である。特に有用なのは、第二の選択された医薬が、異なる様式で、又はG2−M期の間に活性である式(I)の本化合物とは細胞周期の異なる期(例えば、S期)の間に作用する抗癌及び細胞毒性医薬の組み合わせである。抗癌及び細胞毒性剤のクラスの例には、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホナート、ニトロソ尿素、エチレンイミン及びトリアゼンなどのアルキル化剤;フォラートアンタゴニスト、プリン類縁体及びピリミジン類縁体などの代謝拮抗剤;アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン及びプリカマイシンなどの抗生物質;L−アスパルターゼなどの酵素;ファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;グルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン及び黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、酢酸オクトレオチドなどのホルモン剤;エクチナサイジン又はそれらの類縁体及び誘導体などの微小管破壊剤;パクリタキセル(Taxol)、ドセタキセル(Taxotere)及びエポチロンA−F又はそれらの類縁体若しくは誘導体などの微小管安定化剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサンなどの植物由来産物;及びトポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質転移酵素阻害剤;並びにヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位錯体などの様々な薬剤;並びに生物学的反応を修飾する薬剤、増殖因子、免疫調節物質及びモノクローナル抗体などの抗癌及び細胞毒製剤として使用されるその他の薬剤が含まれる。式(I)の化合物は、放射線療法と組み合わせて使用することも可能である。
【0167】
抗癌剤及び細胞毒製剤のこれらのクラスの代表的な例には、塩酸メクロルエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、イフォスファミド、ブサルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、チオテパ、デカルバジン、メトトレキサート、チオグアニン、メルカプトプリン、フルダラビン、ペンタスタチン、クラドリビン、シタラビン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、硫酸ブレオマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、サフラシン、サフラマイシン、キノカルシン、ディスコデルモリデス(discodermolides)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、酒石酸ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、タモキシフェン、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フルタミド、ブセレリン、リュープロリド、プテリジン、ジイネセス(diyneses)、レバミソール、アフラコン、インターフェロン、インターロイキン、アルデスロイキン、フィルグラスチム、サルグラモスチム、リツキシマブ、BCG、トレチノイン、塩酸イリノテカン、ベタメサゾン、塩酸ゲムシタビン、アルトレタミン及びトポテカ並びにこれらの全ての類縁体又は誘導体が含まれる。
【0168】
これらのクラスの好ましいメンバーには、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、マイトマイシンC、エクチナサイジン743、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン又はポドフィロトキシン誘導体(エトポシド、リン酸エトポシド又はテニポシドなど)、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、リューロシジン、ビンデシン及びリューロシンが含まれる。
【0169】
本発明の組み合わせは、上に列記されている疾患と関連する治療を施す上での具体的な有用性によって選択された他の治療剤と一緒に調合又は投与することも可能である。式(I)の化合物は、例えば、悪心、過敏症及び胃炎を予防するために、制吐剤並びにH1及びH2抗ヒスタミンなどの薬剤とともに調合することが可能である。
【0170】
式(I)の化合物と組み合わせて使用される場合には、上に列記されている治療剤は、米医薬品便覧(PDR)に記載されている量、又はその他、当業者によって決定される量で投与することが可能である。
【実施例】
【0171】
調製例:
【0172】
【化46】

【0173】
(実施例1−1)
(3aS,13aR)−11−ヒドロキシ−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−オン
(X=CH、Y=CMe、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=OH、Q=O)
OsO・2HO4mg及びN−メチルモルホリンN−オキシド67mgを、アセトン1.25mL及び水0.85mLの混合物中の(3aS,13aR)−2,2,9−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]−ベンゾアゼシン−4−オン56mgの溶液に添加する。20℃での撹拌の3時間後、NaSO50mgを添加し、反応混合物を5分間撹拌し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた残留物を、次の工程のために、そのまま使用する。−78℃まで冷却した、ジクロロメタン1.5mL中の塩化オキサリル0.04mLの溶液に、ジメチルスルホキシド0.07mLを添加する。15分後、ジクロロメタン1mL中に溶解した上記残留物を、ゆっくり滴加する。混合物を−78℃で30分間撹拌し、トリエチルアミン0.25mLを添加し、混合物を−78℃でさらに10分間撹拌する。20℃まで加温した後、水とジクロロメタンの間に混合物を分配し、合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製する。これにより、(3aS,13aR)−11−ヒドロキシ−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−オン25mgが油として得られる。
【0174】
H−NMR(CDCN):δ[ppm]=1.47(s,3H),1.48(s,3H),2.03−2.09(m,1H),2.34(s,3H),2.73(dd,1H),3.00−3.09(m,1H),3.14−3.23(m,1H),3.45(t,1H),3.81−3.89(m,1H),3.99−4.07(m,1H),4.09(d,1H),4.24(s,1H),4.62(d,1H),4.73(d,1H),7.10(m,2H),7.45(s,1H)。
logP(pH2.7):1.61。
【0175】
実施例I−2からI−4は、実施例I−1と同様に調製される。
【0176】
(実施例1−2)
(3aS,13aR)−8−フルオロ−11−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン
(X=CF、Y=CH、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=OH、Q=O)
(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン37mgから開始して、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン7mgを油として得る。
【0177】
H−NMR(CDCN):δ[ppm]=1.47(s,3H),1.48(s,3H),2.05−2.11(m,1H),2.73(dd,1H),3.02−3.12(m,1H),3.15−3.23(m,1H),3.44(t,1H),3.86−3.93(m,1H),3.99−4.05(m,1H),4.09(d,1H),4.36(s,1H),4.62(d,1H),4.80(d,1H),6.98(m,1H),7.04(m,1H),7.65(dd,1H)。
logP(pH2.7):1.49。
【0178】
(実施例I−3)
12−ヒドロキシ−9,10,12−トリヒドロ−5H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7,11(8H)−ジオン
(X―Y=C−O−CH−O−C、A=C=O、R’=OH、R=H、B=CH、Q=O)
5,8,9,10−テトラヒドロ−7H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7−オン24mgから開始して、12−ヒドロキシ−9,10,12−トリヒドロ−5H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7,11(8H)−ジオン9mgを油として得る。
【0179】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=2.10−2.23(m,4H),2.32−2.37(m,2H),2.55−2.58(m,1H),2.65−2.71(m,1H),3.15(s,1H),3.35(ddd,1H),3.70−3.78(m,1H),4.00(d,1H),5.27(d,1H),5.95(d,1H),5.97(d,1H),6.79(s,1H),7.16(s,1H)。
logP(pH2.7):0.99。
【0180】
(実施例I−4)
(3aS,14aR)−12−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6,12,14,14a−テトラヒドロ−4H−5,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d:4’,5’−k][2]ベンゾアゼシン−4,13(3aH)−ジオン
(X−Y=C−O−CH−O−C、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=OH、Q=O)(Enders,D. et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 44,3766−3769,2005を参照)
H−NMR(CDCN):δ[ppm]=1.47(s,3H),1.47(s,3H),2.04−2.10(m,1H),2.71(dd,1H),2.98−3.07(m,1H),3.15−3.24(m,1H),3.42(t,1H),3.81−3.88(m,1H),3.97−4.04(m,1H),3.99(d,1H),4.28(s,1H),4.60(d,1H)4.67(d,1H),5.94(d,1H),5.98(d,1H),6.71(s,1H),7.14(s,1H)。
logP(pH2.7):1.38。
【0181】
(実施例I−5)
(3aS,13aR)−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン
(X=CH、Y=CMe、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=H、Q=O)
(3aS,13aR)−11−ヒドロキシ−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]−ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン25mgを、テトラヒドロフラン1mL中に溶解し、tert−ブタノール21μLを添加する。少なくとも1分間、溶液の色が緑の状態を保つまで、ヨウ化サマリウム(II)溶液(テトラヒドロフラン中0.1N)を添加する。20℃で16時間撹拌した後、ジエチルエーテルと水の間に混合物を分配し、合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製する。これにより、(3aS,13aR)−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン14mgが油として得られる。
【0182】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=1.52(s,3H),1.58(s,3H),2.31(s,3H),2.36−2.43(m,1H),2.83(dd,1H),2.97−3.00(m,1H),3.24−3.31(m,1H),3.28(t,1H),3.46(dd,1H),3.85(dd,1H),4.12(d,1H),4.26(ddd,1H),4.47(d,1H),5.08(d,1H),6.81(s,1H),7.08(s,2H)。
logP(pH2.7):1.92。
【0183】
実施例I−6からI−7は、実施例I−5と同様に調製される。
【0184】
(実施例I−6)
(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン
(X=CF、Y=CH、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=H、Q=O)
(3aS,13aR)−8−フルオロ−11−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン9mgから開始して、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−ジオン1mgを油として得る。
【0185】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=1.52(s,3H),1.59(s,3H),2.40−2.44(m,1H),2.84(dd,1H),2.96−3.02(m,1H),3.25−3.30(m,1H),3.28(t,1H),3.54(dd,1H),3.87(dd,1H),4.11(d,1H),4.24(ddd,1H),4.46(d,1H),5.13(d,1H),6.91−6.93(m,2H),6.97(dd,1H)。
logP(pH2.7):1.69。
【0186】
(実施例I−7)
9,10,12−トリヒドロキシ−5H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7,11(8H)−ジオン
(X―Y=C−O−CH−O−C、A=C=O、R=H、B=CH、R’=H、Q=O)
12−ヒドロキシ−9,10,12−トリヒドロ−5H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7,11(8H)−ジオン7mgから出発して、9,10,12−トリヒドロ−5H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7,11(8H)−ジオン3mgを油として得る(Moon,B.,et al.,Org.Lett.(2005),7,1031−1034も参照)。
【0187】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=2.04−2.24(m,4H),2.31−2.41(m,2H),2.66−2.71(m,1H),2.90−2.95(m,1H),3.34(ddd,1H),3.54−3.55(m,1H),3.88(d,1H),3.90(ddd,1H),5.33(d,1H),5.93(d,1H),5.96(d,1H),6.47(s,1H),6.75(s,1H)。
logP(pH2.7):1.30。
【0188】
実施例I−7のX線構造の決定
X線構造を決定するのに適した結晶は、酢酸エチルからの結晶化によって得た。格子定数及び反射強度は、Bruker−Nonius回折計を用いて測定した。構造は、直接法(プログラムシステムSHELXTLバージョン6.10)を用いて解明した。Fに対してプログラムSHELXTLバージョン6.10を使用して、構造を精密化した。
【0189】
結晶データ及び精密化された構造:
実験式 C1617NO
分子量 287.31
温度 90K
波長 1.54178オングストローム
結晶系 単斜
空間群 P21/c
セルサイズ a=11.973(8)オングストローム α=90°。
b=9.6462(5)オングストローム β=104.711(5)°。
c=11.5904(7)オングストロームγ=90°。
セル容積 1297.37(13)オングストローム
セル当りのフォーミュラーユニットZ 4
密度(計算値) 1.471Mg/m
吸収係数 0.875mm−1
F(000) 608
結晶サイズ 0.20×0.10×0.08mm
データ収集のためのθ域 3.81から71.60°
インデックス範囲 −1314、−1111、−1014
測定された反射 10713
独立の反射 2319[R(int)=0.0467]
θ=71.60°に対する完全性 91.7%
吸収補正 SADABS(Bruker−AXS)
精密化の方法 Fに対する完全マトリックス最小二乗
データ/制限/パラメータ 2319/0/258
F2に対する適合度 1.047
最終のR指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0458、wR2=0.1223
R値(全データ) R1=0.0510、wR2=0.1267
最も大きな最大及び最小 0.313及びー0.305e.オングストロームー3
【0190】
(実施例I−8)
(3aS,14aR)−2,2−ジメチル−6,12,14,14a−テトラヒドロ−4H−5,12−エタノビス[1,3]ジオキソロ[4,5−d:4’,5’−k][2]ベンゾアゼシン−4,13(3aH)−ジオン
(X−Y=C−O−CH−O−C、A=C=O、R−B=O−CMe−O−HC、R’=H、Q=O)(Enders,D. et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 44,3766−3769,2005を参照)
H−NMR(CDCN):δ[ppm]=1.46(s,3H),1.46(s,3H),2.26−2.32(m,1H),2.62(dd,1H),2.96−3.02(m,1H),3.18−3.23(m,1H),3.28(t,1H),3.51(dd,1H),3.91(dd,1H),3.95(d,1H),3.97(ddd,1H),4.55(d,1H),4.85(d,1H),5.92(d,1H),5.95(d,1H),6.54(s,1H),6.70(s,1H)。
logP(pH2.7):1.60。
【0191】
(実施例I−9)
(4S,5R)−4,5−ジヒドロキシ−10−メチル−5,6,8−トリヒドロ−1H−2,8−エタノ−2−ベンゾアゼシン−3,7(4H)−ジオン
(X=CH、X=CMe、A=C=O、R=OH、B=CH−OH、R’=H、Q=O)
(3aS,13aR)−2,2,9−トリメチル−6,11,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]−ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4,12(3aH)−オン11mgを水1.5mL中に採取し、Dowex50の25mgを添加し、混合物を4.5時間撹拌する。凍結乾燥によって水を除去し、クロロホルム中に残留物を採取し、ろ過する。減圧下でろ液を濃縮することによって、(4S,5R)−4,5−ジヒドロキシ−10−メチル−5,6,8−トリヒドロ−1H−2,8−エタノ−2−ベンゾアゼシン−3,7(4H)−ジオン3mgを、油として得る。
【0192】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=2.31(s,3H),2.42−2.44(m,1H),2.66(dd,1H),2.95−3.00(m,1H),3.00−3.03(m,1H),3.28(br.s,1H),3.39−3.45(m,2H),3.52(t,1H),3.92−3.94(m,1H),4.04−4.08(m,1H),4.05(d,1H),4.36(t,1H),5.42(d,1H),6.82(s,1H),7.10(m,2H)。
logP(pH2.7):1.33。
【0193】
(実施例I−10)
(3aS,14aR)−2,2−ジメチル−6,12,14,14a−テトラヒドロ−4H−5,12−エタノビス[1,3]ジオキソロ[4,5−d:4’,5’−k][2]ベンゾアゼシン−4,13(3aH)−ジオン
(X―Y=C−O−CH−O−C、A=C=O、R=OH、B=CH−OH、R’=H、Q=O)(Enders,D. et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 44,3766−3769,2005を参照)
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=2.42−2.48(m,1H),2.66(dd,1H),2.92−3.00(m,1H),3.00−3.03(m,1H),3.24(br.s,1H),3.38−3.42(m,2H),3.45(t,1H),3.90−3.93(m,1H),3.97(d,1H),4.05−4.11(m,1H),4.36(t,1H),5.36(dd,1H),5.93(d,1H),5.97(d,1H),6.48(s,1H),6.67(s,1H)。
logP(pH2.7):0.89。
【0194】
【化47】

【0195】
(実施例Ia−1)
(3aS,13aR)−2,2,9−トリメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン
(X=CH、Y=CMe、R−B=O−CMe−O−HC、Q=O)
アルゴン下で、(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7.10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゾニン−4−オン250mg、酢酸パラジウム(II)21mg、炭酸銀524mg及び1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン52mgに、トルエン9mLを添加し、還流しながら、混合物を、4時間加熱した。シリカゲルを通して全混合物をろ過し、酢酸エチルでろ過ケーキを洗浄する。減圧下でろ液を濃縮し、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製する。これにより、(3aS,13aR)−2,2,9−トリメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン83mgが油として得られる。
【0196】
logP(pH2.7):2.62。
【0197】
実施例Ia−2からIa−6は、実施例Ia−1と同様に調製される。
【0198】
(実施例1a−2)
(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン
(X=CF、Y=CH、R−B=O−CMe−O−HC、Q=O)
(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−d]アゾニン−4−オン108mgから開始して、(3aS,13aR)−8−フルオロ−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−d][2]ベンゾアゼシン−4−オン46mgを油として得る。
【0199】
logP(pH2.7):2.39。
【0200】
(実施例Ia−3)
(3aS,13aR)−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−c]ピリド[3,4−h]アゼシン−4−オン
(X=CH、Y=N、R−B=O−CMe−O−HC、Q=O)
(3aS,10aR)−5−[(3−ブロモピリジン−4−イル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゾニン−4−オン169mgから開始して、(3aS,13aR)−2,2−ジメチル−3a,6,13,13a−テトラヒドロ−4H−5,11−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−c]ピリド[3,4−h]アゼシン−4−オンの約1%を含む未精製生成物120mgを得る。
【0201】
logP(pH2.7):0.49。
【0202】
(実施例Ia−4)
10,11−ジメトキシ−1,4,5,6−テトラヒドロ−3H−2,8−エタノ−2−ベンゾアゼシン−3−オン
(X,Y=C−O−Me、R=H、B=CH、Q=O)
1−(2−ブロモ−4,5−ジメトキシベンジル)−1,3,4,5,8,9−ヘキサヒドロ−2H−アゾニン−2−オン200mgから開始して、10,11−ジメトキシ−1,4,5,6−テトラヒドロ−3H−2,8−エタノ−2−ベンゾアゼシン−3−オン5mgを油として得る。
【0203】
H−NMR(CDCN):δ[ppm]=1.68−1.79(m,2H),1.88−2.05(m,3H),2.10−2.15(m,1H),2.46(m,1H),2.64(m,1H),2.95(m,1H),3.74(s,3H),3.77(s,3H),4.33(d,1H),4.35(m,1H),4.86(d,1H),5.19(dd,1H),6.42(s,1H),6.69(s,1H)。
logP(pH2.7):1.82。
【0204】
(実施例Ia−5)
5,8,9,10−テトラヒドロ−7H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7−オン
(X−Y=C−OCH−O−C、R=H、B=CH、Q=O)
1−[(6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチル]−1,3,4,5,8,9−ヘキサヒドロ−2H−アゾニン−2−オン300mgから開始して、5,8,9,10−テトラヒドロ−7H−6,12−エタノ[1,3]ジオキソロ[4,5−k][2]ベンゾアゼシン−7−オン37mgを油として得る。
【0205】
logP(pH2.7):2.01。
【0206】
(実施例Ia−6)
(3aS,14aR)−2,2−ジメチル−3a,6,14,14a−テトラヒドロ−4H−5,12−エタノビス[1,3]ジオキソロ[4,5−d:4’,5’−k][2]ベンゾアゼシン−4−オン
(X−Y=C−O−CH−O−C、R−B=O−CMe−O−HC、Q=O)(VRF3303)
(Enders,D. et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 44,3766−3769,2005参照)
logP(pH2.7):2.19。
【0207】
出発材料の調製
一般式(VI)の化合物
VI−1
(4S,5R)−5−アリル−N−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イル−2,2,−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサミド
分子篩4オングストローム1.1g及び3−ブテン−1−アミン234mgを、ジクロロメタン6mL中の2−ブロモ−4−メチルベンズアルデヒド545mgの溶液に添加する。20℃での撹拌の16時間後、ろ過により分子篩を除去し、減圧下で溶媒を除去する。メタノール中に残留物を採取し、水素化ホウ素ナトリウムを一度に少しずつ添加する。気体の発生が停止した後、さらなる時間、撹拌を継続する。減圧下で混合物を濃縮し、水とジクロロメタンの間に残留物を分配する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮する。0℃で、ジクロロメタン12mL中の(4S,5R)−5−アリル,2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸400mgの溶液に、残留物及び1−エチル−2−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート915mgを添加する。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン1.2mLを滴加する。20℃での撹拌の16時間後、減圧下で混合物を濃縮し、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製する。これによって、(4S,5R)−5−アリル−N−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサミド577mgを油として得る。
【0208】
下表2に列記されている一般式(VI)の化合物は、同様にして調製することが可能である。
【0209】
【表1】

a)logP値:移動相0.1%ギ酸水溶液及びアセトニトリル(0.1%ギ酸を含む。);10%アセトニトリルから95%アセトニトリルへの線形グラジエントを用いて、pH2.7で、逆相カラム(C18)上でのHPLCによって、測定を行う。公知のlogP値を有する直鎖アルカン−2−オン(3から16個の炭素原子を有する)を用いて、較正を行う。
「Enders,D. et al.,Angew. Chem. Int. Ed. 44,3766−3769,2005」を参照されたい。
【0210】
一般式(VII)の化合物
VII−1
(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゼニン−4−オン
(4S,5R)−5−アリル−N−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−N−ブト−3−エン−1−イル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキサミド474mgを、ジクロロメタン1.5L中に溶解する。溶液と一緒に、反応容器を空にし、計4回、アルゴンを流す。2時間にわたって、還流するために溶液を加熱し、ジクロロメタン10mL中のGrubbsII触媒95mgの溶液を一度に少しずつ添加する。添加が終了した後、さらなる時間、混合物を還流下で沸騰させ、次いで、20℃まで冷却する。DMSO400μLを添加し、20℃で16時間、混合物を撹拌する。減圧下でろ液を濃縮し、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製する。これにより、(3aS,10aR)−5−(2−ブロモ−4−メチルベンジル)−2,2−ジメチル−3a,5,6,7,10,10a−ヘキサヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−c]アゼニン−4−オン297mgを油として得る。
【0211】
下表3に列記されている一般式(VII)の化合物は、同様にして調製することが可能である。
【0212】
【表2】




【0213】
生物学的実施例:
(実施例1)
精製されたウシチュブリンに対するCytoskeletonから得たマイクロチュブリン重合試験(CytoDYNAMIX Screen 03,Order No.CDS034−B、Tebu−bio GmbH,Offenbachから販売されている。)において、本発明の化合物を試験した。試験化合物と溶媒DMSO(ジメチルスルホキシド)を除き、使用した緩衝液並びに対照パクリタキセル及びコルヒチンを含む、チュブリン重合に必要とされる全ての試薬は、本CytoDYNAMIX Screen03キットから得た。試験化合物の原溶液(10mM)は、DMSO中に調製し、−20℃で保存した。
【0214】
試験は、製造業者の指示書に従って行った。まず、チュブリン重合緩衝液(TPB)を調製し、4℃で保存した。TPBは、一般的なチュブリン緩衝液(BST01−001)910μL、60%強度のグリセロール緩衝液80μL(BST05−001)及びGTP溶液(BST06−001)10μLを含んだ。同じく本試験で調べた比較用対照は、第一に、チュブリン重合の増強剤としてのパクリタキセルであり、第二に、チュブリン重合の阻害剤としてのコルヒチンであり、ともに、3μMの最終濃度であった。まず、10倍濃縮液として、試験化合物をTPB緩衝液に添加し、試験化合物の最終濃度は、各事例において、10μMであった。試験化合物又は対照化合物を一切含有しないチュブリン溶液に対して、試験化合物を比較した。全てのバッチにおいて、最終DMSO濃度は、各事例において、0.5%であった。
【0215】
各バッチから、各事例において、96ウェルプレートの空洞中に、10μLをピペットで添加した。次いで、37℃で10分間、プレートを温置した。各事例において1mgのチュブリンを加えたチューブ(注文番号TL238)を、各事例において、4℃のTPB310μL中に再懸濁した。3回、試料を、氷上にピペットで移し、再度除去し、次いで、1分間、チューブを氷上に維持した。
【0216】
各事例において、次いで、10分間37℃で予め温めたプレートの各ウェル中に、チュブリン溶液100μLをピペットで添加し、次いで、測定を開始した。ウシチュブリンの重合の進行は、測定モードのSpectrafluor Plusで、340nmの波長での吸光度をモニターした。反応の開始後、60分の期間にわたって、2分毎に、各空洞に対して測定を行った。
【0217】
式(I)の化合物の微小管に対する作用を、上記のように示すことが一般的に可能である。
【0218】
(実施例2)
ヒト腫瘍細胞株HeLa、SW620及びA375(全て、ATTC、American Type Culture Collectionから入手)に対して有し得る細胞毒性又は増殖阻害活性について、本発明の一般式(I)の化合物を検査した。この目的のために、1000細胞/マイクロタイタープレートウェルの細胞密度で、Greiner(ManufacturerNo.781092)から得たマイクロタイタープレート中に細胞を播種し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃で、細胞培地中で培養する。細胞培地及び添加物はinvitrogenから購入し、ウシ胎児血清はBiochromから購入した。Hela及びA375細胞に対する細胞培地は、ATCCによって記載されているとおりに使用した(HeLa:MEM、注文番号10370−047、1%炭酸水素ナトリウム、1%非必須アミノ酸、1%ピルビン酸ナトリウム、10%ウシ胎児血清、0.1%ゲンタマイシンを添加;A375:DMEM、注文番号41965−039、2%炭酸水素ナトリウム、1%L−Glutamax、10%ウシ胎児血清、0.1%ゲンタマイシンを添加)。SW620細胞に対する培地は、DMEM、注文番号41965−039、1%非必須アミノ酸、10%ウシ胎児血清、0.1%ゲンタマイシンからなった。
【0219】
マイクロタイタープレート中に細胞を播種してから24時間後、試験化合物の最大100μMから5nMの最小濃度までの様々な濃度を細胞に添加した。試験化合物の原溶液(10mM)は、DMSO中に調製し、−20℃で保存した。細胞毒性試験については、適切な細胞培地中に、試験化合物を希釈した。
【0220】
温置のさらなる48時間後に、培地で細胞を洗浄し、製造業者の指示書に従って、二色蛍光細胞毒性/生存性試験(Molecular Probeから入手したLIVE/DEAD生存性/細胞毒性ASSAYキット、注文番号L−3224)の補助を得て分析を行った。この目的のために、培地を吸引し、各事例において、LIVE/DEAD試薬/マイクロタイタープレートウェル30μLを細胞に添加し、次いで、これを30分間温置した。次いで、PBS(リン酸緩衝化生理的食塩水)で細胞を洗浄した。蛍光プレートリーダー(Flexstation、Molecular Devicesから入手)を用いて、485nmの励起波長及び525nmの発光波長で、LIVE/DEAD試薬の成分として、生色素カルセイン−AMの緑色蛍光を測定することによって、生細胞の数を分析した(Oral,H. B. Endothelium 6,(1998),143−151参照)。
【0221】
試験化合物を添加せず、細胞培地のみを加えた細胞を平行して処理し、増殖対照として分析した。細胞毒性又は増殖阻害作用を有する抗癌剤のために使用した基準化合物は、コルヒチン(Merck/Calbiochem、注文番号234115)及びタキソール(バッカチンIII N−ベンジル−b−フェニルイソセリンエステル、Merck/Calbiochem、注文番号580555)(Schiff,P.B. and Horwitz,S.B.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A. 77,1561−1565,1980; Holmes,F.A. et al.,Journal of the National Cancer Institute 83,1797−1805,1991参照)であった。
【0222】
試験化合物の細胞毒性効果は、対数GI50値(試験化合物なしの対照に比べて、50%減少した細胞増殖が測定される増殖阻害対数濃度値)として表された(Xia et al.,Journal of Medicinal Chemistry 44,3932−3936,2001; Smith,J.A. et al.,Gynecologic Oncology 98,141−145,2005参照)。
【0223】
表4
様々なヒト腫瘍細胞株に対する、LIVE/DEAD細胞毒性アッセイのプロトコールに従った、試験化合物の存在下での細胞増殖の阻害、logGI50値(M):
【0224】
【表3】

【0225】
マイクロタイタープレート中での細胞増殖分析に代えて、異なる細胞をスライド上で培養し、48時間の期間、10μMの試験化合物とともに同様に温置した。既述のように、製造業者の指示に従ってLIVE/DEAD Assayキットから得た試薬で細胞を処理した後、蛍光顕微鏡を用いて研究した(図2)。生きた細胞(生色素カルセインーAMの緑色蛍光の測定)は、488nmの励起波長及び510nmの発光波長で、Axiovert−100顕微鏡(Zeiss製)を用いて分析し、死亡した細胞(色素エチジウムホモ二量体の赤色蛍光の測定)は、543nmの励起波長及び570nmの発光波長で分析した。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1−1】チュブリン重合に対する試験化合物の効果についての試験結果を示す図である。
【図1−2】スライド上で培養された種々の細胞を、試験化合物で処理した後、蛍光染色して蛍光顕微鏡下に観察した結果を示し、試験化合物で処理された細胞の死滅状況を示す。
【図1−3】スライド上で培養された種々の細胞を、試験化合物で処理した後、蛍光染色して蛍光顕微鏡下に観察した結果を示し、試験化合物で処理された細胞の死滅状況を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの疾病を治療するための式(I)の化合物。
【化1】

(式中、
Rは、水素又は基−ORを表し、
は、水素又はヒドロキシルを表し、
Aは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Bは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Qは、酸素又は硫黄を表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−1、−COR4−1、−CO4−1、−CONHR4−1若しくは−CONR4−15−1の1つを表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−2、−COR4−2、−CO4−2、−CONHR4−2若しくは−CONR4−25−2の1つを表し、並びに
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−3、−COR4−3、−CO4−3、−CONHR4−3若しくは−CONR4−35−3の1つを表し、
(R4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、場合によってハロゲン置換されたアルキル又は場合によって置換されたアリールを表す。)
又は
及びRは、両者で、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたアルキレンを表し、
Y=Xは、基
【化2】

を表し、
(R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、NR、SOOH、SONR、ホルミル、COOH、CONR、C1−4−アルキル、ハロ−C1−4−アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルコキシ、ハロ−C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルチオ、ハロ−C1−4−アルキルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、ハロ−C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、ハロ−C1−4−アルキルスルホニル、C1−4−アルキルオキシスルホニル、C3−7−シクロアルキル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキル、場合によって置換されたアリールオキシ、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキルオキシ、場合によって置換されたヘタリール、場合によって置換されたヘタリールオキシ、場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキル若しくは場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキルオキシを表し、
又は
及びRは、基−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表し、
及びRは、互いに独立に、水素、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4アルキルカルボニル、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、C3−7−シクロアルキル、C3−7−シクロアルキルカルボニル、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル若しくはフェニル−C1−2−アルキルを表し、
又は
及びRは、結合している窒素原子と一緒の基として、1つ若しくはそれ以上の複素原子によって場合によって分断された、場合によって置換された5員、6員若しくは7員環を形成する。)、及び
【化3】

は、基
【化4】

も表し得る。)
【請求項2】
Rが、基−ORを表し、
R’が、水素を表し、
Aが、カルボニルを表し、
Bが、基−CH(OR)を表し、
Qが、酸素を表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−SO4−1、−COR4−1若しくは−CONHR4−1の1つを表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−2若しくは−CONHR4−2の1つを表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−3若しくは−CONHR4−3の1つを表し、
(R4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、場合によってフッ素若しくは塩素置換されたC1−8アルキル又は場合によってフッ素、塩素、ニトロ、C1−4アルキル若しくはC1−4アルコキシ置換されたフェニルを表す。)
又は
及びRが、両者で、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたC1−3アルキレンを表し、
Y=Xが、基
【化5】

を表し、
及びRが、互いに独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、N−メチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、n−ヘプタフルオロプロピル、イソヘプタフルオロプロピル、イソヘキサフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、ペンタフルオロエチルカルボニル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n− ブチルチオ、sec−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキル、特にベンジル若しくはフェネチル、場合によって置換されたフェノキシ、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキルオキシ、特にフェニルメトキシ若しくはフェニルエトキシ、場合によって置換された、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル若しくはフリル、場合によって置換された、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ若しくはピラジニルオキシ、場合によって置換された、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピリミジルメチル、ピラジニルメチル若しくはチアゾリルメチル、場合によって置換された、ピリジルメトキシ、ピリミジルメトキシ若しくはピラジニルメトキシを表し、これらは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、C1−4−アルキル、特にメチル、エチル若しくはイソプロピル、C3−6シクロアルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、C3−6−シクロアルコキシ、特にシクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ若しくはシクロヘキソキシ、C3−6−シクロアルキル−C1−2−アルコキシ、特にシクロプロピルメトキシ若しくはシクロプロピルエトキシ、C1−4−ハロアルキル、特にトリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOOH、COOH、ホルミル、C1−4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ若しくはイソプロポキシ、C1−2−アルキレンジオキシ、特にメチレンジオキシ若しくはエチレンジオキシ、C1−4−ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ若しくはジフルオロメトキシ、C1−4−アルキルチオ、特にメチルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、特にメチルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、特にメチルスルホニル、C1−4−ハロアルキルチオ、特にトリフルオロメチルチオ、C1−4−ハロアルキルスルホキシル、特にトリフルオロメチルスルホキシル、C1−4−ハロアルキルスルホニル、特にトリフルオロメチルスルホニル、C1−4−アルキルアミノ、特にメチルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、特にN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、C1−4−アルキルカルボニル、特にメチルカルボニル若しくはエチルカルボニル、C3−6−シクロアルキルカルボニル、特にシクロプロピルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−4−アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル若しくはエトキシカルボニルからなる群から得られる基によって、場合によって置換され得、
又は
基−O−CH−O−、−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表し、
及びRが、互いに独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル若しくはtert−ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルカルボニル、ベンジル又はフェネチルを表し、
及びRが、結合している窒素原子と一緒の基として、N−ピロリジノ、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−(N’−メチル)ピペリジノ又は(G−6)から(G−13)
【化6】


(Zは、酸素、メチレン又はN−R10を表し、
は、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、メチレン又はN−R10を表し、
10は、水素又はC−C−アルキル、特にメチルを表し、
n及びmは、互いに独立に、0又は1を表す。)
からなる群から得られる基を表す、
ことを特徴とする、ヒトの疾病を治療するための請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物と、及び1つ又はそれ以上の、医薬として許容される担体又は希釈剤とを含むヒト医薬。
【請求項4】
ヒト又は動物中の癌又はその他の増殖性疾患の治療用医薬を調製するための、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項5】
式(I)の化合物。
【化7】

(Rは、水素又は基−ORを表し、
は、水素又はヒドロキシルを表し、
Aは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Bは、メチレン、カルボニル、チオカルボニル又は基−CH(OR)を表し、
Qは、酸素又は硫黄を表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−1、−COR4−1、−CO4−1、−CONHR4−1若しくは−CONR4−15−1の1つを表し、
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−2、−COR4−2、−CO4−2、−CONHR4−2若しくは−CONR4−25−2の1つを表し、並びに
は、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換されたグリコシル基又は基−SO4−3、−COR4−3、−CO4−3、−CONHR4−3若しくは−CONR4−35−3の1つを表し、
(R4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、場合によってハロゲン置換されたアルキル又は場合によって置換されたアリールを表す。)
又は
及びRは、両者で、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたアルキレンを表し、
Y=Xは、基
【化8】

を表し、
(R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、NR、SOOH、SONR、ホルミル、COOH、CONR、C1−4−アルキル、ハロ−C1−4−アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルコキシ、ハロ−C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルチオ、ハロ−C1−4−アルキルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、ハロ−C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、ハロ−C1−4−アルキルスルホニル、C1−4−アルキルオキシスルホニル、C3−7−シクロアルキル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキル、場合によって置換されたアリールオキシ、場合によって置換されたアリール−C1−4−アルキルオキシ、場合によって置換されたヘタリール、場合によって置換されたヘタリールオキシ、場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキル若しくは場合によって置換されたヘタリール−C1−4−アルキルオキシを表し、
又は
及びRは、基−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表し、
及びRは、互いに独立に、水素、C1−4アルキル、ハロ−C1−4アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、ハロ−C1−4アルコキシカルボニル、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、C3−7−シクロアルキル、C3−7−シクロアルキルカルボニル、C3−7−シクロアルキル−C1−2−アルキル若しくはフェニル−C1−2−アルキルを表し、
又は
及びRは、結合している窒素原子と一緒の基として、1つ若しくはそれ以上の複素原子によって場合によって分断された、場合によって置換された5員、6員若しくは7員環を形成する。)、及び
【化9】

は、基
【化10】

も表し得る。)
【請求項6】
Rが、基−ORを表し、
R’が、水素を表し、
Aが、カルボニルを表し、
Bが、基−CH(OR)−を表し、
Qが、酸素を表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−SO4−1、−COR4−1若しくは−CONHR4−1の1つを表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−2若しくは−CONHR4−2の1つを表し、
が、水素、2−テトラヒドロピラニル、場合によって置換された単糖基又は基−COR4−3若しくは−CONHR4−3の1つを表し、
(R4−1、R4−2、R4−3、R5−1、R5−2及びR5−3は、互いに独立に、場合によってフッ素若しくは塩素置換されたC1−8アルキル又は場合によってフッ素、塩素、ニトロ、C1−4アルキル若しくはC1−4アルコキシ置換されたフェニルを表す。)
及びRが、両者で、カルボニル、チオカルボニルを表し、若しくは場合によってメチル置換されたC1−3アルキレンを表し、
Y=Xが、基
【化11】

を表し、
及びRが、互いに独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ、N−メチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、n−ヘプタフルオロプロピル、イソヘプタフルオロプロピル、イソヘキサフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、ペンタフルオロエチルカルボニル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキル、特にベンジル若しくはフェネチル、場合によって置換されたフェノキシ、場合によって置換されたフェニル−C1−4アルキルオキシ、特にフェニルメトキシ若しくはフェニルエトキシ、場合によって置換された、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、チエニル若しくはフリル、場合によって置換された、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ若しくはピラジニルオキシ、場合によって置換された、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピリミジルメチル、ピラジニルメチル若しくはチアゾリルメチル、場合によって置換された、ピリジルメトキシ、ピリミジルメトキシ若しくはピラジニルメトキシを表し、これらは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、C1−4−アルキル、特にメチル、エチル若しくはイソプロピル、C3−6シクロアルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、C3−6−シクロアルコキシ、特にシクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ若しくはシクロヘキソキシ、C3−6−シクロアルキル−C1−2−アルコキシ、特にシクロプロピルメトキシ若しくはシクロプロピルエトキシ、C1−4−ハロアルキル、特にトリフルオロメチル、アミノ、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、SOOH、COOH、ホルミル、C1−4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ若しくはイソプロポキシ、C1−2−アルキレンジオキシ、特にメチレンジオキシ若しくはエチレンジオキシ、C1−4−ハロアルコキシ、特にトリフルオロメトキシ若しくはジフルオロメトキシ、C1−4−アルキルチオ、特にメチルチオ、C1−4−アルキルスルフィニル、特にメチルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、特にメチルスルホニル、C1−4−ハロアルキルチオ、特にトリフルオロメチルチオ、C1−4−ハロアルキルスルホキシル、特にトリフルオロメチルスルホキシル、C1−4−ハロアルキルスルホニル、特にトリフルオロメチルスルホニル、C1−4−アルキルアミノ、特にメチルアミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、特にN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、C1−4−アルキルカルボニル、特にメチルカルボニル若しくはエチルカルボニル、C3−6−シクロアルキルカルボニル、特にシクロプロピルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−4−アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル若しくはエトキシカルボニルからなる群から得られる基によって、場合によって置換され得、
又は
基−O−CHF−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−O−CF−CF−O−を表し、
及びRは、互いに独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル若しくはtert−ブチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロプロピル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルカルボニル、ベンジル又はフェネチルを表し、
及びRが、結合している窒素原子と一緒の基として、N−ピロリジノ、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−(N’−メチル)ピペリジノ又は(G−6)から(G−13)
【化12】

(Zは、酸素、メチレン又はN−R10を表し、
は、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、メチレン又はN−R10を表し、
10は、水素又はC−C−アルキル、特にメチルを表し、
n及びmは、互いに独立に、0又は1を表す。)
からなる群から得られる基を表す、
ことを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
a)一般式(II)の化合物
【化13】

(Halは、ハロゲンを表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
を、第一の反応工程において、適宜希釈剤の存在下で、及び適宜酸性反応補助剤の存在下で及び適宜水を除去しながら、3−ブテン−1−アミンと反応させて、一般式(III)
【化14】

(Halは、ハロゲンを表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
の対応する化合物を得、
並びに、これらの化合物は、次いで、第二の反応工程において、適宜原位置で、及び適宜希釈剤の存在下で、及び適宜水素添加剤の存在下で、一般式(IV)の化合物
【化15】

(Halは、ハロゲンを表し、並びに
X及びYは、上記定義のとおりである。)
へ転化され、
並びに、これらの化合物を、次いで、第三の反応工程において、適宜希釈剤の存在下で、及び適宜塩基性反応補助剤の存在下で、一般式(V)の化合物
【化16】

(LGは、適宜原位置で生成される、離核性脱離基であり、並びに
B、R及びQは、上記定義のとおりである。)
と反応させ、
適宜希釈剤の存在下で、及び適宜塩基性反応補助剤の存在下で、一般式(VI)の化合物
【化17】

(Halは、ハロゲンを表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
を得、
並びに、これらの化合物は、第四の反応工程において、メタセシス反応の反応条件下で、適宜適切な触媒の存在下で、及び適宜希釈剤の存在下で、一般式(VII)の化合物
【化18】

(Halは、ハロゲンを表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
へ転化され、
並びに、これらの化合物は、次いで、第五の反応工程において、Heck反応の反応条件下で、適宜適切な貴金属塩の存在下で、及び適宜適切な触媒の存在下で、及び適宜希釈剤の存在下で、一般式(Ia)の化合物へ転化され、及び/又は
b)一般式(Ia)の化合物
【化19】

(B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
を、第一の反応工程において、C=C二重結合の酸化によって、適宜希釈剤の存在下で、一般式(I)
【化20】

(R’は、ヒドロキシルを表し、
Aは、CH−OHを表し、並びに
B、R、Q、X及びYは、上記定義のとおりである。)
の化合物へ転化し、
並びに、これらの化合物を、次いで、第二の反応工程において、希釈剤の存在下で、CH−OH基Aの酸化によって、
R’がヒドロキシルを表し、並びに
A、B、R、Q、X及びYが、上記定義のとおりである、一般式(I)の化合物へと転化し、
並びに、これらの化合物を、次いで、第三の反応工程において、ランタノイド金属の適切な塩、特にヨウ化サマリウム(II)の存在下で、適宜希釈剤の存在下で、R’が水素を表し、並びにA、B、R、Q、X及びYが上記定義のとおりである一般式(I)の化合物へ転化すること、
特徴とする、一般式(I)
【化21】

(A、B,R,R’、Q、X及びYは、請求項5又は6に定義されているとおりである。)
の化合物を調製する方法。
【請求項8】
Halが臭素を表すことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Qが酸素を表すことを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【公表番号】特表2008−546726(P2008−546726A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517372(P2008−517372)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005650
【国際公開番号】WO2006/136309
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】