医薬の流体を含む容器を充填し且つ密閉するためのクロージャー、及び容器を医薬の流体で充填し、容器を密封するための方法。
本発明は、医薬の流体を含む容器を充填し且つ密閉するためのクロージャー、容器を医薬の流体で充填するための方法、及び容器を密封するための方法に係る。前記クロージャーは、前記方法において使用され、且つ、容器に取り付けられる固定ピース(3)、及び充填装置のコネクター・ピースに接続されるコネクター・ピース(5)を有している。クロージャー・ボディ(6)が、固定ピースとコネクター・ピースの間に配置され、その中に、クロージャーを密閉するためのクロージャー・ピース(8)が、着座している。クロージャー・ピース(8)は、クロージャーを密封する位置とクロージャーを開ける位置との間で、摺動される。クロージャーは、取外し可能な保護キャップ(2)でタイトに密閉される。前記方法の特徴は、保護キャップが取り除かれた状態で、クリーン・ルームの中で、容器がクロージャーを介して充填され、それから、充填の後に、クロージャーは、クロージャー・ピースをクロージャーの中に押し込むことにより密閉されることにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用液体を含むコンテナを充填し且つ閉鎖するためのクロージャー(閉鎖用部材)に係る。更にまた、本発明は、そのようなクロージャーを備えた、医療用液体を受け取るためのコンテナに係る。更にまた、本発明は、無菌条件の下で、コンテナを医療用液体で充填するための方法、及びコンテナを閉鎖するための方法に係る。
【背景技術】
【0002】
充填液体製品の技術分野において、特に、医療用分野及び飲料産業において、コンテナの無菌充填は、極めて重要な製造方法である。無菌充填のための既知の方法によれば、充填されるコンテナが、特別な雰囲気に保たれたクリーン・ルームの中に移され、無菌のまたは予め殺菌処理された液体で充填される。充填される液体純度に対する要求に対応して、特別な雰囲気を備えた異なるクラスの部屋が、充填のために要求される。例えば、医療用溶液を充填するため、充填ノズル及びコンテナの開口部は、クラスAのクリーン・ルームの中に、配置されることが要求される。このクリーン・ルーム・クラスは、所定の条件に基づき、パーティクル及び細菌の許容可能な最大数について規定したものである。自明なことであるが、クラスAのクリーン・ルームは、クラスBのクリーン・ルーム(雰囲気の単位体積当りをより高いパーティクル数を許容する)により取り囲まれていることが要求される。
【0003】
既知の無菌充填の方法は、ほとんど細菌の無い状態で、コンテナを液体で充填することを可能にする。例えば、溶液コンテナの殺菌消毒のために、医療用技術分野において標準的に使用される従来の殺菌消毒方法とは異なり、無菌充填方法は、加熱/加圧処理無しで、十分に細菌の無い状態で充填された液体が得られると言う優位性をもたらす。この点において、無菌充填方法は、標準的な加熱殺菌消毒よりも優れている。これは、大きな体積の溶液のコンテナの場合に、特に明らかになる。例えば、腹膜透析のための溶液(数リットルの体積を備えている)のバッグが、加熱/加圧方法により殺菌されている。このため、バッグ中に存在する液体が対応する温度で処理されるために、長い加熱フェーズが必要になる。同時に、熱により生ずる内側の圧力のためにバッグが破裂しないようにするために、バッグの外側に高い圧力を作用させることが必要になる。
【0004】
US 2005/0075613 A1 は、医療用コンテナのためのポートを開示し、この医療用コンテナは、軸方向に変位可能なクロージャー・ストッパーを有している。コンテナの内側に過大な圧力が生じた場合には、クロージャー・ストッパーが変位され、それによって、過大な圧力が減少されることが可能になる。バッグからの液の取り出しまたはバッグへの充填は、クロージャー・ストッパーを貫通する針によって行われるように、意図されている。
【0005】
EP 1 132 107 A2 から、クロージャー要素を備えたコネクターが知られていて、このクロージャー要素は、移載システムのための、接続ピースとして使用されている。この既知のコネクターは、コンテナの充填のために意図されていない。クロージャー要素が変位された時、流れが通る開口が解放される。
【0006】
US 4 722 727 はバッグのためのポートを開示し、このポートは、クロージャー・ストッパーを備えたクロージャー・ボディを有していて、このクロージャー・ボディは、バッグの内側の中に伸びている。液体の除去のために、バッグの内側の中に配置されたクロージャー・ストッパーが、クロージャー・ボディの中から引き出される。この目的のために、クロージャー・ストッパーを、バッグの外側からバッグの壁面を介して、手動で操作することが必要である。
【0007】
US 4 494 363 から、予め殺菌されたフレキシブルなバッグの無菌充填のためのデバイス及び方法が知られている。この既知の方法によれば、バッグのポートが、殺菌された充填室の中に導入される。バッグを充填した後、ポートがクロージャー・ディスクで密封され、そのために、更なる工程が要求される。
【0008】
EP 1 514 835 A1 から、ボトルを充填するためのデバイス及び方法が知られている。それによれば、ボトルのボトルネックのみが、特別な雰囲気が流れるクリーン・ルームの中に移される。
【0009】
EP 1 230 144 B1 から、コンテナの無菌の充填のためのデバイス及び方法が、知られている。それによれば、コンテナが、クリーン・ルームの中に移され、このクリーン・ルームの中に、クロージャー・ステーションが設けられていて、このクロージャー・ステーションは、クロージャー・キャップ(密封キャップとも呼ばれている)を、コンテナに取り付ける。それから、最後に、コンテナがクリーン・ルームの外で閉じられ、クロージャー・キャップの上にクロージャー要素が取り付けられる。このクロージャー要素は、従来のスクリュー・タイプのクロージャーであることが可能である。
【0010】
EP 0 352 540 A2 は、透析器のためのクロージャー・キャップを開示している。キャップの内側に、密封要素が配置されていて、この密閉要素は、第一の位置において、殺菌消毒液体流れの通過を可能にし、第二の位置において、殺菌された透析装置を、密封状態に閉じる。この既知のクロージャー・キャップは、いわゆるイン・ライン殺菌消毒のために意図されていて、この場合、殺菌消毒は、透析装置の製造ラインで行われる。クロージャー・キャップは、液体の充填が無菌状態で行われるように、液体で充填されるコンテナを充填し、そして液体で充填した後のコンテナを閉鎖するためには、意図されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第 US 2005/0075613 A1 号明細書
【特許文献2】欧州特許公開第第 EP 1 132 107 A2 号明細書
【特許文献3】米国特許第 US 4 722 727 号明細書
【特許文献4】米国特許第 US 4 494 363 号明細書
【特許文献5】欧州特許公開第 EP 1 514 835 A1 号明細書
【特許文献6】欧州特許第 EP 1 230 144 B1 号明細書
【特許文献7】欧州特許公開第 EP 0 352 540 A2 号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の基礎を成す課題は、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のための、クロージャー(閉鎖用部材)を提供することにある。このクロージャーは、既知の方法における加熱殺菌消毒を省略することによって、装置の製作費用及び充填プロセスにおける消費エネルギーを減少させる。
【0013】
本発明の更なる課題は、方法を規定することにあり、この方法によれば、既知の方法における加熱殺菌消毒を省略することによって、装置の製作費用、及び医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖における消費エネルギーが減少される。
【0014】
本発明の更なる課題は、そのようなクロージャーを備えたコンテナを利用可能にすることにある。
【0015】
本発明によれば、これらの課題に対する解決策が、請求項1、13及び17の特徴によりもたらされる。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0016】
本発明に基づく、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のためのクロージャーは、固定ピース及び接続ピースを有していて、クロージャー・ボディが固定ピースと接続ピースの間に形成されている。固定ピースは、コンテナに取り付けられることが可能であり、経路を有している。これに対して、充填装置の接続部は、接続ピースに接続されることが可能である、これもまた経路を有している。クロージャー・ボディは、固定ピースと接続ピースの経路を接続するリセスを有していて、それによって、接続ピースに充填装置を接続した後に、コンテナが医療用液体で充填されることが可能になる。
【0017】
本発明に基づくクロージャーは、前記クロージャー・ボディのリセスの中に、クロージャー・ピースが配置されている、と言うことにより識別され、このクロージャー・ピースは、前記固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置と、前記接続ピースまたは固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で、変位可能である。
【0018】
特別な重要性を有する好ましい実施形態において、前記クロージャーは、取外し可能な保護キャップを有している。
【0019】
本発明に基づくクロージャーは、コンテナを医療用液体で充填するため及びコンテナの閉鎖するための、本発明に基づく方法との関係で、理解されることになる。本発明に基づく方法において、本発明に基づくクロージャーを備えた、当初はまだ空であるが既に殺菌されたコンテナは、クロージャー・キャップを有していて、このコンテナが、要求されるクリーン・ルーム・クラスのクリーン・ルームの中に移される。クロージャーを備えたコンテナは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中に移される。クロージャーの保護キャップは、細菌による汚染が無い状態で、接続ピースの開口部を閉じている。更にまた、接続ピースまたは固定ピースの経路はまだ、クロージャー・ボディの中に配置されたクロージャー・ピースにより閉じられていない。
【0020】
前記クロージャーを備えたコンテナは、次いで、第一のクリーン・ルームのクリーン・ルーム・クラスより高いクリーン・ルーム・クラスのクリーン・ルームの中に、好ましくはクリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中に、移される。もし、コンテナ全体ではなく、そのクロージャーのみが、より高いクリーン・ルーム・クラス、好ましくはクリーン・ルーム・クラスA、を備えたクリーン・ルームの中に配置されるとすれば、有利である。前記保護キャップは、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中へ移される直前に、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中で取り除かれることが可能であり、その結果として、前記接続ピースの開口が解放される。前記保護キャップは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームと、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームとの間の、連絡部の中で、取り除かれる。原則として、しかしながら、前記クロージャーが、クラスAのクリーン・ルームの中で取り除かれるのみであることもまた、可能である。
【0021】
充填装置の接続部を前記クロージャーの接続ピースに接続した後、コンテナは、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中で、医療用液体で充填される。コンテナの充填の後、前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記固定ピースまたは接続ピースの経路を閉鎖する位置の中に移動される。それは、好ましくは、軸方向に移動可能である充填装置の押し付けラムにより行われる。このようにして、前記接続ピースまたは固定ピースの経路が、タイトに密閉される。最後に、充填されて密封されたコンテナが、クリーン・ルームから取り出される。
【0022】
前記保護キャップは、第一の殺菌消毒プロセスの後に、汚染に対して前記クロージャーを保護する任務を有している。前記保護キャップは、前記クロージャーの開口部を閉じ、これに対して、前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記接続または固定ピースの経路を解放する。より高いクリーン・ルーム・クラスを備えたクリーン・ルームの中に移す直前にのみ、前記クロージャーの開口部が、前記保護キャップを取外すことにより解放される。汚染の可能性は、それによって、最小限に減少される。
【0023】
本発明に基づくクロージャーの更なる好ましい実施形態において、保護キャップが、クロージャー・ピース及びクロージャー・ボディの上に、ロック可能なやり方で、取り付けられる。保護キャップは、しかしながら、クランプされた状態で保持されることも可能である。決定的な因子は、保護キャップが捕捉された状態で、クロージャーに取り付けられていることである。クロージャー・キャップは、好ましくは、接続ピース及びクロージャー・ボディのみの周囲を取り囲み、それによって、固定ピースが解放されることになる。
【0024】
更なる好ましい実施形態において、クロージャー・ピースは、固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置において、スナップ・インの方式で、クロージャー・ボディのリセスの中に配置される。これは、保護キャップの取外しの後で、充填プロセスの開始時に、クロージャーが開かれていることを確保する。クロージャー・ピース及びクロージャー・ボディのスナップ・イン接続の代わりに、クロージャー・ピースが、クランプされた状態で、クロージャー・ボディの中に挿入されることもまた可能である。
【0025】
更なる好ましい実施形態は、クロージャー・ボディの中に、ガイド・ピースの軸方向のガイドをもたらす。クロージャー・ピースは、好ましくは、開口を備えたガイド・ピースを有していて、このガイド・ピースは、クロージャー・ボディのリセスの中に、移動可能に配置されている。クロージャー・ピースのガイド・ピースは、好ましくは、周囲の周りに分布されて配置されたリブを有していて、複数の開口部がこれらのリブの間にある。
【0026】
前記クロージャーを閉じるために、前記ガイド・ピースは、充填装置の押し付けラムにより、下方向に押される。前記ガイド・ピースの押し付けラムが、より良いグリップを得ることが可能であるようにするために、前記ガイド・ピースは、好ましくは、押し付けラムを収容するための中央リセスを有している。
【0027】
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、好ましくは、実質的に円筒形のバルブ・ピースを有していて、このバルブ・ピースを用いて、前記固定ピースの経路が閉じられることが可能である。しかしながら、それに代わって、前記接続ピースの経路を、円筒形のバルブ・ピースで閉じることも可能である。
【0028】
更なる好ましい実施形態では、以下のような措置がなされる。即ち、接続ピースとクロージャー・ボディが、実質的に中空円筒形のボディとして構成され、このボディの中に、クロージャー・ピースが挿入され、これに対して、固定ピースは、好ましくは、実質的に環状のボディとして構成され、このボディは、コンテナに取り付けられることが可能である。
【0029】
特に好ましい実施形態において、接続ピース、クロージャー・ボディ及び固定ピースは、一体物の射出成形された部品であって、それは、コスト効率良く、大量に、製造されることが可能である。
【0030】
本発明に基づくクロージャーは、非常に多様なデザインの医療用コンテナの充填及び閉鎖のために意図されている。コンテナは、リジッドなコンテナまたはフレキシブルなバッグであることが可能である。更にまた、本発明に基づくクロージャーを注射器またはアンプルに固定することも可能である。このようにして、非常に様々なコンテナ、無菌条件の下で、充填し且つ閉じることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のための、本発明に基づくクロージャーの実施形態の例を、断面図で示す。
【図2】図2は、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの斜視図を示す。
【図3】図3は、クロージャーが開かれた状態で、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの断面を、斜視図で示す。
【図4】図4は、クロージャーが閉じられ状態で、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの断面を、斜視図で示す。
【図5A】図5Aは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5B】図5Bは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5C】図5Cは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5D】図5Dは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図6】図6は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づくバッグを示す。
【図7】図7は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づく注射器を示す。
【図8】図8は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づくアンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態の例が、以下において、図面を参照しながら、より詳細に説明される。
【0033】
図1は、保護キャップが取り付けられた状態での、本発明に基づくクロージャーの実施形態の例を、断面図で示している。これに対して、図2は、保護キャップが取り除かれた状態での、クロージャーの斜視図を示している。
【0034】
本発明に基づくクロージャーは、クロージャー部1及び保護キャップ2を有していて、この保護キャップは、クロージャー部1の上に位置している。クロージャー部1は、中空円筒形のボディ3を有していて、このボディは、コンテナ(図1には示されていない)のパイプ接続4の上に、クロージャーを固定するための固定ピースとして使用される。パイプ接続4は、円筒形の固定ピース3の中に位置している、二つの部分は、互いに接着されまたは溶接されている。
【0035】
固定ピースから離れて、クロージャーは、接続ピース5を有していて、この接続ピースは、充填装置(図1には示されていない)の接続部の接続のために使用される。クロージャー・ボディ6が、固定ピース3と接続ピース5の間に形成されている。接続ピース5及びクロージャー・ボディ6は、実質的に中空円筒形のボディであって、このボディは、固定ピース3の実質的に環状のボディと比べて、より大きい内側の直径及び外側の直径を有している。接続ピース5及びクロージャー・ボディ6は、一体物の射出成形された部品として、固定ピース3とともに作られている。
【0036】
クロージャー・ピース8は、クロージャー・ボディ6のリセス7の中に位置し、このクロージャー・ピースは、固定ピース3の経路9を解放する位置と、固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で、リセス7の中で変位可能である。図1は、クロージャー・ピースを備えたクロージャーを、開かれた位置で示している。接続ピース5の経路10が、クロージャー・ボディのリセス7を介して、固定ピース3の経路9に接続されている。開かれた位置において、クロージャー・ピース8は、スナップ・インの方式で固定されている。
【0037】
クロージャー・ピース8は、開口13を備えたガイド・ピース11を有していて、このガイド・ピースから、周囲の周りに分布されて配置された四本のリブ12が、等しい間隔を開けて、径方向に突出している。これらのリブの端面は、クロージャー・ボディ6の壁面14(図3)に隣接する位置にある。リブ12は、それぞれ、外側に突出している肩部15を有していて、この肩部は、クロージャー・ボディ6の壁面の中の周囲の溝16の中に、スナップ・インの方式で係合する。
【0038】
クロージャー・ピース8のガイド・ピース11は、充填装置の押し付けラム(図示せず)を収容するための中央の円筒形のリセス17を、上側に有している。ガイド・ピース11はまた、実質的に円筒形の、好ましくは中空円筒形のバルブ・ピース18、を有していて、このバルブ・ピースを用いて、固定ピース3の経路9が閉じられることが可能である。
【0039】
クロージャーの閉鎖のために、押し付けラム(図示せず)により、クロージャー・ボディのリセスの中に、ガイド・ピース11が下方向に押される。バルブ・ボディの中での、バルブ・ピースのスナップ・イン接続が、このようにして、解除される。
【0040】
図4は、閉じられたクロージャーを示し、クロージャー・ピース8のバルブ・ピース18が、固定ピース3の経路9の中に位置している。クロージャーが閉じられたとき、リブ12は、突出している肩部20の上に突き当たり、この肩部は、固定ピース3の経路9の周囲を伸びている。バルブ・ピース18は、固定ピース3の経路の中に、密封状態で位置している。両方の部分は、好ましくは円錐形に構成されている。
【0041】
図2の中に示されたクロージャーの保護キャップ2は、蓋部21及び縁部22を有している、この縁部は、保護キャップがクロージャー部1の上に位置しているとき、接続ピース5及びクロージャー・ボディ6の周囲を取り囲む。無菌のメンブレン23が、保護キャップ2の蓋部21の中に挿入される。縁部22の下側の縁25は、クロージャー部1の周囲を取り囲む突出している肩部24に対して封止状態もたらす。保護キャップ2の縁部22の下側の縁25の内側に、肩部29が形成され、この肩部の上に、密封リング30が固定され、この密封リングは、クロージャー部1の突出している縁24の上側に対して、保護キャップ2を封止する。
【0042】
保護キャップ2及びクロージャー部1は、差し込み式の接続26により互いに接続されることが可能であり、この接続は、縁部22の下側の縁25から内側に突出しているロック要素27を有している。このロック要素は、外側に突出しているクロージャー部1の縁24の外側で、くり抜かれた溝28の中に係合する。
【0043】
医療用液体でコンテナを充填し且つコンテナを閉鎖するための本発明に基づく方法が、図5Aから5Dまでを参照しながら、以下において詳細に説明される。図5Aから5Dは、クロージャーを、コンテナのパイプ接続4の一部とともに示している。最初は未だ充填されていないコンテナは、そのようなものとして、図の中に表されていない。
【0044】
クロージャーを備えたコンテナは、充填ステーションに導入され、その中で、以下の工程が実行される。
【0045】
本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナは、先ず、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中に移される。クラスBのクリーン・ルームの中で、保護キャップ2は、まだ、クロージャーのクロージャー部1の上に位置している。クロージャーは、先行する殺菌消毒プロセスにおいてコンテナとともに殺菌されているので、それ故に、細菌に汚染されない状態で密封されている。加熱殺菌消毒の場合には、無菌のメンブレン23が、クロージャーの保護キャップ2の蓋部21の中に設けられている。メンブレンは、殺菌消毒の後、細菌に汚染されない状態でクロージャーを密封しているが、殺菌消毒の間に水蒸気またはガスは透過可能である。
【0046】
クロージャーは、次いで、クラスBのクリーン・ルームから、クラスAのクリーン・ルームの中に移される、このクラスAのクリーン・ルームは、クリーン・ルームBにより取り囲まれている。クロージャーを備えたコンテナ全体がクラスAのクリーン・ルームの中に移されることは、必要とされない。決定的な因子は、コンテナのクロージャーがクリーン・ルームの中に位置していると言うことである。
【0047】
微生物汚染に対する閾値、及び許容されるパーティクル濃度に対する閾値が、クラスA及びBのクリーン・ルームに対する、ECの製造方法ガイドライン(EC Guide to Good Manufacturing Practice)に基づいて要求される。これらの閾値については、当業者に知られている。一方または他方のクリーン・ルームが満足すべき規格は、原則として重要ではない。決定的な因子は、充填が行われるクリーン・ルームが、無菌充填が可能である程度の僅かな程度でしか、細菌および/またはパーティクルで汚染されていないと言うことである。
【0048】
クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中へ移す直前に、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中で、保護キャップ2がクロージャーのクロージャー部1から取り除かれる。保護キャップは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームと、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームとの間の、連絡部の中で取り除かれる。このとき、クロージャーは、未だ開いている(図5A)。バッグが、そのとき、クラスAのクリーン・ルームの中で充填される。バッグの充填は、充填装置により行われる。それについては、メイン・コンポーネントのみが表されている。
【0049】
充填装置は、充填チューブ31を有していて、このチューブの外側の直径及び内側の直径は、クロージャーのクロージャー部1の接続ピース5の外側の直径及び内側の直径に、それぞれ対応している。充填装置の充填チューブ31は、その端面がクロージャー部1の接続ピース5の端面に隣接する位置にくるまで、縦方向に移動される。二つの部分が、それにより、それらの端面で、互いに対してシールを形成する。充填の間、医療用液体は、開かれたクロージャー及びパイプ接続4を通って、コンテナ(図示せず)(図5B)の中に、流れる。
【0050】
充填装置の充填チューブ31の中には、押し付けラム32が配置されていて、この押し付けラムも、同様に、縦方向に移動されることが可能である。押し付けラム32は、クロージャーを閉じるために、下向きに移動される。押し付けラムは、それによって、クロージャー・ピース8をスナップ・イン位置から下向きに押し、それによって、クロージャー・ピースがクロージャーを閉じることになる(図5C)。
【0051】
充填チューブ31は、次いで、押し付けラム32により、再び、上向きに戻される(図5D)。クロージャーのタイトな閉鎖の後、クロージャーは、クラスAのクリーン・ルームの中から、クラスBのクリーン・ルームの中に戻される。
【0052】
クロージャーが、クリーン・ルームの中に移され、及びクリーン・ルームの中から移されるとき、クロージャーをグリップする目的のために、例えば、保持するためのジョーなどのツール(図5Aから5Dには示されていない)が設けられる。それについては、当業者に知られている。保護キャップ2は、クロージャーのクロージャー部1を保護し、特に、先行する加熱殺菌消毒の後に、クロージャー・ピースの上方の開口の領域を、汚染に対して保護する。クラスAのクリーン・ルームの中に入る直前に、クラスBのクリーン・ルームの中で、クロージャーの閉鎖の前の実際の充填プロセスのためのみに、保護キャップが取り除かれるので、汚染の可能性が最小限まで減少される。
【0053】
図6は、本発明に基づくクロージャーを備えた本発明に基づくコンテナの実施形態の例を示している。コンテナは、バッグ33であって、特に、腸管を介する栄養溶液、腸管を介さない栄養溶液、透析流体、または注入溶液を受け取るためのバッグである。このバッグは、フィルムのチューブ34、または、互いに重ねて配置されてエッジで溶接された二枚のフィルムから作られている。上側の溶接シーム35の中に、パイプ接続4が溶接されていて、このパイプ接続は、クロージャー部1の固定ピース3に、例えば接着または溶接により、接続されている。
【0054】
図7は、クロージャーを備えたコンテナの実施形態の更なる例を示している。このコンテナは、注射器36であって、この注射器は、コーン38、特にルアー・コーン(Luer cone)、及びフランジャ39を備えた注射器シリンダ37を有している。本発明に基づくクロージャーは、シリンダ37に固定され、コーン38は、クロージャー部1の固定ピース3の中に伸びている。
【0055】
図8は、コンテナとしてのアンプル40を示し、このアンプルは、同様に、コーン41、特にルアー・コーン、を有している。本発明に基づくクロージャーは、アンプルに固定され、コーン41は、再び、クロージャー部1の固定ピース3の中に伸びている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用液体を含むコンテナを充填し且つ閉鎖するためのクロージャー(閉鎖用部材)に係る。更にまた、本発明は、そのようなクロージャーを備えた、医療用液体を受け取るためのコンテナに係る。更にまた、本発明は、無菌条件の下で、コンテナを医療用液体で充填するための方法、及びコンテナを閉鎖するための方法に係る。
【背景技術】
【0002】
充填液体製品の技術分野において、特に、医療用分野及び飲料産業において、コンテナの無菌充填は、極めて重要な製造方法である。無菌充填のための既知の方法によれば、充填されるコンテナが、特別な雰囲気に保たれたクリーン・ルームの中に移され、無菌のまたは予め殺菌処理された液体で充填される。充填される液体純度に対する要求に対応して、特別な雰囲気を備えた異なるクラスの部屋が、充填のために要求される。例えば、医療用溶液を充填するため、充填ノズル及びコンテナの開口部は、クラスAのクリーン・ルームの中に、配置されることが要求される。このクリーン・ルーム・クラスは、所定の条件に基づき、パーティクル及び細菌の許容可能な最大数について規定したものである。自明なことであるが、クラスAのクリーン・ルームは、クラスBのクリーン・ルーム(雰囲気の単位体積当りをより高いパーティクル数を許容する)により取り囲まれていることが要求される。
【0003】
既知の無菌充填の方法は、ほとんど細菌の無い状態で、コンテナを液体で充填することを可能にする。例えば、溶液コンテナの殺菌消毒のために、医療用技術分野において標準的に使用される従来の殺菌消毒方法とは異なり、無菌充填方法は、加熱/加圧処理無しで、十分に細菌の無い状態で充填された液体が得られると言う優位性をもたらす。この点において、無菌充填方法は、標準的な加熱殺菌消毒よりも優れている。これは、大きな体積の溶液のコンテナの場合に、特に明らかになる。例えば、腹膜透析のための溶液(数リットルの体積を備えている)のバッグが、加熱/加圧方法により殺菌されている。このため、バッグ中に存在する液体が対応する温度で処理されるために、長い加熱フェーズが必要になる。同時に、熱により生ずる内側の圧力のためにバッグが破裂しないようにするために、バッグの外側に高い圧力を作用させることが必要になる。
【0004】
US 2005/0075613 A1 は、医療用コンテナのためのポートを開示し、この医療用コンテナは、軸方向に変位可能なクロージャー・ストッパーを有している。コンテナの内側に過大な圧力が生じた場合には、クロージャー・ストッパーが変位され、それによって、過大な圧力が減少されることが可能になる。バッグからの液の取り出しまたはバッグへの充填は、クロージャー・ストッパーを貫通する針によって行われるように、意図されている。
【0005】
EP 1 132 107 A2 から、クロージャー要素を備えたコネクターが知られていて、このクロージャー要素は、移載システムのための、接続ピースとして使用されている。この既知のコネクターは、コンテナの充填のために意図されていない。クロージャー要素が変位された時、流れが通る開口が解放される。
【0006】
US 4 722 727 はバッグのためのポートを開示し、このポートは、クロージャー・ストッパーを備えたクロージャー・ボディを有していて、このクロージャー・ボディは、バッグの内側の中に伸びている。液体の除去のために、バッグの内側の中に配置されたクロージャー・ストッパーが、クロージャー・ボディの中から引き出される。この目的のために、クロージャー・ストッパーを、バッグの外側からバッグの壁面を介して、手動で操作することが必要である。
【0007】
US 4 494 363 から、予め殺菌されたフレキシブルなバッグの無菌充填のためのデバイス及び方法が知られている。この既知の方法によれば、バッグのポートが、殺菌された充填室の中に導入される。バッグを充填した後、ポートがクロージャー・ディスクで密封され、そのために、更なる工程が要求される。
【0008】
EP 1 514 835 A1 から、ボトルを充填するためのデバイス及び方法が知られている。それによれば、ボトルのボトルネックのみが、特別な雰囲気が流れるクリーン・ルームの中に移される。
【0009】
EP 1 230 144 B1 から、コンテナの無菌の充填のためのデバイス及び方法が、知られている。それによれば、コンテナが、クリーン・ルームの中に移され、このクリーン・ルームの中に、クロージャー・ステーションが設けられていて、このクロージャー・ステーションは、クロージャー・キャップ(密封キャップとも呼ばれている)を、コンテナに取り付ける。それから、最後に、コンテナがクリーン・ルームの外で閉じられ、クロージャー・キャップの上にクロージャー要素が取り付けられる。このクロージャー要素は、従来のスクリュー・タイプのクロージャーであることが可能である。
【0010】
EP 0 352 540 A2 は、透析器のためのクロージャー・キャップを開示している。キャップの内側に、密封要素が配置されていて、この密閉要素は、第一の位置において、殺菌消毒液体流れの通過を可能にし、第二の位置において、殺菌された透析装置を、密封状態に閉じる。この既知のクロージャー・キャップは、いわゆるイン・ライン殺菌消毒のために意図されていて、この場合、殺菌消毒は、透析装置の製造ラインで行われる。クロージャー・キャップは、液体の充填が無菌状態で行われるように、液体で充填されるコンテナを充填し、そして液体で充填した後のコンテナを閉鎖するためには、意図されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第 US 2005/0075613 A1 号明細書
【特許文献2】欧州特許公開第第 EP 1 132 107 A2 号明細書
【特許文献3】米国特許第 US 4 722 727 号明細書
【特許文献4】米国特許第 US 4 494 363 号明細書
【特許文献5】欧州特許公開第 EP 1 514 835 A1 号明細書
【特許文献6】欧州特許第 EP 1 230 144 B1 号明細書
【特許文献7】欧州特許公開第 EP 0 352 540 A2 号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の基礎を成す課題は、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のための、クロージャー(閉鎖用部材)を提供することにある。このクロージャーは、既知の方法における加熱殺菌消毒を省略することによって、装置の製作費用及び充填プロセスにおける消費エネルギーを減少させる。
【0013】
本発明の更なる課題は、方法を規定することにあり、この方法によれば、既知の方法における加熱殺菌消毒を省略することによって、装置の製作費用、及び医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖における消費エネルギーが減少される。
【0014】
本発明の更なる課題は、そのようなクロージャーを備えたコンテナを利用可能にすることにある。
【0015】
本発明によれば、これらの課題に対する解決策が、請求項1、13及び17の特徴によりもたらされる。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0016】
本発明に基づく、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のためのクロージャーは、固定ピース及び接続ピースを有していて、クロージャー・ボディが固定ピースと接続ピースの間に形成されている。固定ピースは、コンテナに取り付けられることが可能であり、経路を有している。これに対して、充填装置の接続部は、接続ピースに接続されることが可能である、これもまた経路を有している。クロージャー・ボディは、固定ピースと接続ピースの経路を接続するリセスを有していて、それによって、接続ピースに充填装置を接続した後に、コンテナが医療用液体で充填されることが可能になる。
【0017】
本発明に基づくクロージャーは、前記クロージャー・ボディのリセスの中に、クロージャー・ピースが配置されている、と言うことにより識別され、このクロージャー・ピースは、前記固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置と、前記接続ピースまたは固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で、変位可能である。
【0018】
特別な重要性を有する好ましい実施形態において、前記クロージャーは、取外し可能な保護キャップを有している。
【0019】
本発明に基づくクロージャーは、コンテナを医療用液体で充填するため及びコンテナの閉鎖するための、本発明に基づく方法との関係で、理解されることになる。本発明に基づく方法において、本発明に基づくクロージャーを備えた、当初はまだ空であるが既に殺菌されたコンテナは、クロージャー・キャップを有していて、このコンテナが、要求されるクリーン・ルーム・クラスのクリーン・ルームの中に移される。クロージャーを備えたコンテナは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中に移される。クロージャーの保護キャップは、細菌による汚染が無い状態で、接続ピースの開口部を閉じている。更にまた、接続ピースまたは固定ピースの経路はまだ、クロージャー・ボディの中に配置されたクロージャー・ピースにより閉じられていない。
【0020】
前記クロージャーを備えたコンテナは、次いで、第一のクリーン・ルームのクリーン・ルーム・クラスより高いクリーン・ルーム・クラスのクリーン・ルームの中に、好ましくはクリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中に、移される。もし、コンテナ全体ではなく、そのクロージャーのみが、より高いクリーン・ルーム・クラス、好ましくはクリーン・ルーム・クラスA、を備えたクリーン・ルームの中に配置されるとすれば、有利である。前記保護キャップは、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中へ移される直前に、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中で取り除かれることが可能であり、その結果として、前記接続ピースの開口が解放される。前記保護キャップは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームと、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームとの間の、連絡部の中で、取り除かれる。原則として、しかしながら、前記クロージャーが、クラスAのクリーン・ルームの中で取り除かれるのみであることもまた、可能である。
【0021】
充填装置の接続部を前記クロージャーの接続ピースに接続した後、コンテナは、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中で、医療用液体で充填される。コンテナの充填の後、前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記固定ピースまたは接続ピースの経路を閉鎖する位置の中に移動される。それは、好ましくは、軸方向に移動可能である充填装置の押し付けラムにより行われる。このようにして、前記接続ピースまたは固定ピースの経路が、タイトに密閉される。最後に、充填されて密封されたコンテナが、クリーン・ルームから取り出される。
【0022】
前記保護キャップは、第一の殺菌消毒プロセスの後に、汚染に対して前記クロージャーを保護する任務を有している。前記保護キャップは、前記クロージャーの開口部を閉じ、これに対して、前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記接続または固定ピースの経路を解放する。より高いクリーン・ルーム・クラスを備えたクリーン・ルームの中に移す直前にのみ、前記クロージャーの開口部が、前記保護キャップを取外すことにより解放される。汚染の可能性は、それによって、最小限に減少される。
【0023】
本発明に基づくクロージャーの更なる好ましい実施形態において、保護キャップが、クロージャー・ピース及びクロージャー・ボディの上に、ロック可能なやり方で、取り付けられる。保護キャップは、しかしながら、クランプされた状態で保持されることも可能である。決定的な因子は、保護キャップが捕捉された状態で、クロージャーに取り付けられていることである。クロージャー・キャップは、好ましくは、接続ピース及びクロージャー・ボディのみの周囲を取り囲み、それによって、固定ピースが解放されることになる。
【0024】
更なる好ましい実施形態において、クロージャー・ピースは、固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置において、スナップ・インの方式で、クロージャー・ボディのリセスの中に配置される。これは、保護キャップの取外しの後で、充填プロセスの開始時に、クロージャーが開かれていることを確保する。クロージャー・ピース及びクロージャー・ボディのスナップ・イン接続の代わりに、クロージャー・ピースが、クランプされた状態で、クロージャー・ボディの中に挿入されることもまた可能である。
【0025】
更なる好ましい実施形態は、クロージャー・ボディの中に、ガイド・ピースの軸方向のガイドをもたらす。クロージャー・ピースは、好ましくは、開口を備えたガイド・ピースを有していて、このガイド・ピースは、クロージャー・ボディのリセスの中に、移動可能に配置されている。クロージャー・ピースのガイド・ピースは、好ましくは、周囲の周りに分布されて配置されたリブを有していて、複数の開口部がこれらのリブの間にある。
【0026】
前記クロージャーを閉じるために、前記ガイド・ピースは、充填装置の押し付けラムにより、下方向に押される。前記ガイド・ピースの押し付けラムが、より良いグリップを得ることが可能であるようにするために、前記ガイド・ピースは、好ましくは、押し付けラムを収容するための中央リセスを有している。
【0027】
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、好ましくは、実質的に円筒形のバルブ・ピースを有していて、このバルブ・ピースを用いて、前記固定ピースの経路が閉じられることが可能である。しかしながら、それに代わって、前記接続ピースの経路を、円筒形のバルブ・ピースで閉じることも可能である。
【0028】
更なる好ましい実施形態では、以下のような措置がなされる。即ち、接続ピースとクロージャー・ボディが、実質的に中空円筒形のボディとして構成され、このボディの中に、クロージャー・ピースが挿入され、これに対して、固定ピースは、好ましくは、実質的に環状のボディとして構成され、このボディは、コンテナに取り付けられることが可能である。
【0029】
特に好ましい実施形態において、接続ピース、クロージャー・ボディ及び固定ピースは、一体物の射出成形された部品であって、それは、コスト効率良く、大量に、製造されることが可能である。
【0030】
本発明に基づくクロージャーは、非常に多様なデザインの医療用コンテナの充填及び閉鎖のために意図されている。コンテナは、リジッドなコンテナまたはフレキシブルなバッグであることが可能である。更にまた、本発明に基づくクロージャーを注射器またはアンプルに固定することも可能である。このようにして、非常に様々なコンテナ、無菌条件の下で、充填し且つ閉じることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のための、本発明に基づくクロージャーの実施形態の例を、断面図で示す。
【図2】図2は、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの斜視図を示す。
【図3】図3は、クロージャーが開かれた状態で、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの断面を、斜視図で示す。
【図4】図4は、クロージャーが閉じられ状態で、保護キャップが取り除かれた状態での、図1のクロージャーの断面を、斜視図で示す。
【図5A】図5Aは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5B】図5Bは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5C】図5Cは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図5D】図5Dは、本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナの充填及び閉鎖のための各工程を示す。
【図6】図6は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づくバッグを示す。
【図7】図7は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づく注射器を示す。
【図8】図8は、本発明に基づくクロージャーを備えた、本発明に基づくアンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態の例が、以下において、図面を参照しながら、より詳細に説明される。
【0033】
図1は、保護キャップが取り付けられた状態での、本発明に基づくクロージャーの実施形態の例を、断面図で示している。これに対して、図2は、保護キャップが取り除かれた状態での、クロージャーの斜視図を示している。
【0034】
本発明に基づくクロージャーは、クロージャー部1及び保護キャップ2を有していて、この保護キャップは、クロージャー部1の上に位置している。クロージャー部1は、中空円筒形のボディ3を有していて、このボディは、コンテナ(図1には示されていない)のパイプ接続4の上に、クロージャーを固定するための固定ピースとして使用される。パイプ接続4は、円筒形の固定ピース3の中に位置している、二つの部分は、互いに接着されまたは溶接されている。
【0035】
固定ピースから離れて、クロージャーは、接続ピース5を有していて、この接続ピースは、充填装置(図1には示されていない)の接続部の接続のために使用される。クロージャー・ボディ6が、固定ピース3と接続ピース5の間に形成されている。接続ピース5及びクロージャー・ボディ6は、実質的に中空円筒形のボディであって、このボディは、固定ピース3の実質的に環状のボディと比べて、より大きい内側の直径及び外側の直径を有している。接続ピース5及びクロージャー・ボディ6は、一体物の射出成形された部品として、固定ピース3とともに作られている。
【0036】
クロージャー・ピース8は、クロージャー・ボディ6のリセス7の中に位置し、このクロージャー・ピースは、固定ピース3の経路9を解放する位置と、固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で、リセス7の中で変位可能である。図1は、クロージャー・ピースを備えたクロージャーを、開かれた位置で示している。接続ピース5の経路10が、クロージャー・ボディのリセス7を介して、固定ピース3の経路9に接続されている。開かれた位置において、クロージャー・ピース8は、スナップ・インの方式で固定されている。
【0037】
クロージャー・ピース8は、開口13を備えたガイド・ピース11を有していて、このガイド・ピースから、周囲の周りに分布されて配置された四本のリブ12が、等しい間隔を開けて、径方向に突出している。これらのリブの端面は、クロージャー・ボディ6の壁面14(図3)に隣接する位置にある。リブ12は、それぞれ、外側に突出している肩部15を有していて、この肩部は、クロージャー・ボディ6の壁面の中の周囲の溝16の中に、スナップ・インの方式で係合する。
【0038】
クロージャー・ピース8のガイド・ピース11は、充填装置の押し付けラム(図示せず)を収容するための中央の円筒形のリセス17を、上側に有している。ガイド・ピース11はまた、実質的に円筒形の、好ましくは中空円筒形のバルブ・ピース18、を有していて、このバルブ・ピースを用いて、固定ピース3の経路9が閉じられることが可能である。
【0039】
クロージャーの閉鎖のために、押し付けラム(図示せず)により、クロージャー・ボディのリセスの中に、ガイド・ピース11が下方向に押される。バルブ・ボディの中での、バルブ・ピースのスナップ・イン接続が、このようにして、解除される。
【0040】
図4は、閉じられたクロージャーを示し、クロージャー・ピース8のバルブ・ピース18が、固定ピース3の経路9の中に位置している。クロージャーが閉じられたとき、リブ12は、突出している肩部20の上に突き当たり、この肩部は、固定ピース3の経路9の周囲を伸びている。バルブ・ピース18は、固定ピース3の経路の中に、密封状態で位置している。両方の部分は、好ましくは円錐形に構成されている。
【0041】
図2の中に示されたクロージャーの保護キャップ2は、蓋部21及び縁部22を有している、この縁部は、保護キャップがクロージャー部1の上に位置しているとき、接続ピース5及びクロージャー・ボディ6の周囲を取り囲む。無菌のメンブレン23が、保護キャップ2の蓋部21の中に挿入される。縁部22の下側の縁25は、クロージャー部1の周囲を取り囲む突出している肩部24に対して封止状態もたらす。保護キャップ2の縁部22の下側の縁25の内側に、肩部29が形成され、この肩部の上に、密封リング30が固定され、この密封リングは、クロージャー部1の突出している縁24の上側に対して、保護キャップ2を封止する。
【0042】
保護キャップ2及びクロージャー部1は、差し込み式の接続26により互いに接続されることが可能であり、この接続は、縁部22の下側の縁25から内側に突出しているロック要素27を有している。このロック要素は、外側に突出しているクロージャー部1の縁24の外側で、くり抜かれた溝28の中に係合する。
【0043】
医療用液体でコンテナを充填し且つコンテナを閉鎖するための本発明に基づく方法が、図5Aから5Dまでを参照しながら、以下において詳細に説明される。図5Aから5Dは、クロージャーを、コンテナのパイプ接続4の一部とともに示している。最初は未だ充填されていないコンテナは、そのようなものとして、図の中に表されていない。
【0044】
クロージャーを備えたコンテナは、充填ステーションに導入され、その中で、以下の工程が実行される。
【0045】
本発明に基づくクロージャーを備えたコンテナは、先ず、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中に移される。クラスBのクリーン・ルームの中で、保護キャップ2は、まだ、クロージャーのクロージャー部1の上に位置している。クロージャーは、先行する殺菌消毒プロセスにおいてコンテナとともに殺菌されているので、それ故に、細菌に汚染されない状態で密封されている。加熱殺菌消毒の場合には、無菌のメンブレン23が、クロージャーの保護キャップ2の蓋部21の中に設けられている。メンブレンは、殺菌消毒の後、細菌に汚染されない状態でクロージャーを密封しているが、殺菌消毒の間に水蒸気またはガスは透過可能である。
【0046】
クロージャーは、次いで、クラスBのクリーン・ルームから、クラスAのクリーン・ルームの中に移される、このクラスAのクリーン・ルームは、クリーン・ルームBにより取り囲まれている。クロージャーを備えたコンテナ全体がクラスAのクリーン・ルームの中に移されることは、必要とされない。決定的な因子は、コンテナのクロージャーがクリーン・ルームの中に位置していると言うことである。
【0047】
微生物汚染に対する閾値、及び許容されるパーティクル濃度に対する閾値が、クラスA及びBのクリーン・ルームに対する、ECの製造方法ガイドライン(EC Guide to Good Manufacturing Practice)に基づいて要求される。これらの閾値については、当業者に知られている。一方または他方のクリーン・ルームが満足すべき規格は、原則として重要ではない。決定的な因子は、充填が行われるクリーン・ルームが、無菌充填が可能である程度の僅かな程度でしか、細菌および/またはパーティクルで汚染されていないと言うことである。
【0048】
クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームの中へ移す直前に、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームの中で、保護キャップ2がクロージャーのクロージャー部1から取り除かれる。保護キャップは、好ましくは、クリーン・ルーム・クラスBのクリーン・ルームと、クリーン・ルーム・クラスAのクリーン・ルームとの間の、連絡部の中で取り除かれる。このとき、クロージャーは、未だ開いている(図5A)。バッグが、そのとき、クラスAのクリーン・ルームの中で充填される。バッグの充填は、充填装置により行われる。それについては、メイン・コンポーネントのみが表されている。
【0049】
充填装置は、充填チューブ31を有していて、このチューブの外側の直径及び内側の直径は、クロージャーのクロージャー部1の接続ピース5の外側の直径及び内側の直径に、それぞれ対応している。充填装置の充填チューブ31は、その端面がクロージャー部1の接続ピース5の端面に隣接する位置にくるまで、縦方向に移動される。二つの部分が、それにより、それらの端面で、互いに対してシールを形成する。充填の間、医療用液体は、開かれたクロージャー及びパイプ接続4を通って、コンテナ(図示せず)(図5B)の中に、流れる。
【0050】
充填装置の充填チューブ31の中には、押し付けラム32が配置されていて、この押し付けラムも、同様に、縦方向に移動されることが可能である。押し付けラム32は、クロージャーを閉じるために、下向きに移動される。押し付けラムは、それによって、クロージャー・ピース8をスナップ・イン位置から下向きに押し、それによって、クロージャー・ピースがクロージャーを閉じることになる(図5C)。
【0051】
充填チューブ31は、次いで、押し付けラム32により、再び、上向きに戻される(図5D)。クロージャーのタイトな閉鎖の後、クロージャーは、クラスAのクリーン・ルームの中から、クラスBのクリーン・ルームの中に戻される。
【0052】
クロージャーが、クリーン・ルームの中に移され、及びクリーン・ルームの中から移されるとき、クロージャーをグリップする目的のために、例えば、保持するためのジョーなどのツール(図5Aから5Dには示されていない)が設けられる。それについては、当業者に知られている。保護キャップ2は、クロージャーのクロージャー部1を保護し、特に、先行する加熱殺菌消毒の後に、クロージャー・ピースの上方の開口の領域を、汚染に対して保護する。クラスAのクリーン・ルームの中に入る直前に、クラスBのクリーン・ルームの中で、クロージャーの閉鎖の前の実際の充填プロセスのためのみに、保護キャップが取り除かれるので、汚染の可能性が最小限まで減少される。
【0053】
図6は、本発明に基づくクロージャーを備えた本発明に基づくコンテナの実施形態の例を示している。コンテナは、バッグ33であって、特に、腸管を介する栄養溶液、腸管を介さない栄養溶液、透析流体、または注入溶液を受け取るためのバッグである。このバッグは、フィルムのチューブ34、または、互いに重ねて配置されてエッジで溶接された二枚のフィルムから作られている。上側の溶接シーム35の中に、パイプ接続4が溶接されていて、このパイプ接続は、クロージャー部1の固定ピース3に、例えば接着または溶接により、接続されている。
【0054】
図7は、クロージャーを備えたコンテナの実施形態の更なる例を示している。このコンテナは、注射器36であって、この注射器は、コーン38、特にルアー・コーン(Luer cone)、及びフランジャ39を備えた注射器シリンダ37を有している。本発明に基づくクロージャーは、シリンダ37に固定され、コーン38は、クロージャー部1の固定ピース3の中に伸びている。
【0055】
図8は、コンテナとしてのアンプル40を示し、このアンプルは、同様に、コーン41、特にルアー・コーン、を有している。本発明に基づくクロージャーは、アンプルに固定され、コーン41は、再び、クロージャー部1の固定ピース3の中に伸びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のためのクロージャーであって;
経路(9)を備えた固定ピース(3)を有し、この経路は、コンテナに取り付けられることが可能であり;
経路(10)を備えた接続ピース(5)を有し、この経路に、充填装置の接続部が接続されることが可能であり;
固定ピースと接続ピースの間に、クロージャー・ボディ(6)が形成され、このクロージャー・ボディは、固定ピースと接続ピースの経路を接続するリセス(7)を有し、それによって、充填装置を接続ピースに接続した後に、コンテナが医療用液体で充填されることが可能である;
クロージャーにおいて、
クロージャー・ボディ(6)のリセス(7)の中に、クロージャー・ピース(8)が配置され、このクロージャー・ピースは、リセスの中で、固定ピース(3)または接続ピースの経路(9)を解放する位置と、接続ピースまたは固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で変位可能であること、を特徴とするクロージャー。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載のクロージャー:
前記クロージャーは、取外し可能な保護キャップ(2)を有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載のクロージャー:
前記保護キャップ(2)は、前記クロージャーの接続ピース(5)及びクロージャー・ボディ(6)の上に、ロック可能なやり方で取り付けられる。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3の何れか1項に記載のクロージャー:
前記保護キャップ(2)は、前記接続ピース(5)をカバーする蓋部(21)、及び縁部(22)を有し、この縁部は、前記クロージャーの接続ピース(5)及びクロージャー・ボディ(6)の周囲を取り囲んでいる。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項1から4の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、前記固定ピース(3)または接続ピースの経路(9)を解放する位置において、前記クロージャー・ボディのリセス(7)の中に、スナップ・インの方式で配置されている。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、複数の開口(13)を備えたガイド・ピース(11)を有し、このガイド・ピースは、前記クロージャー・ボディ(6)のリセス(7)の中に、移動可能に配置されている。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項6に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)のガイド・ピース(11)は、周囲の周りに分布されて配置されたリブ(12)を有している。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項6または7に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)のガイド・ピース(11)は、押し付けラムを収容するための中央リセス(17)を有している。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項1から8の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、実質的に円筒形のバルブ・ピース(18)を有し、このバルブ・ピースを用いて、前記固定ピースの経路が閉じられることが可能である。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1から9の何れか1項に記載のクロージャー:
前記接続ピース(5)及び前記クロージャー・ボディ(6)は、実質的に中空円筒形のボディとして構成され、その中に、前記クロージャー・ピース(8)が挿入されている。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項1から10の何れか1項に記載のクロージャー:
前記固定ピース(3)は、実質的に環状のボディとして構成されている。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項1から11の何れか1項に記載のクロージャー:
前記接続ピース(5)、前記クロージャー・ボディ(6)、及び前記固定ピース(3)は、一体物の射出成形された部品である。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載のクロージャーを備えた、医療用液体を受け取るためのコンテナ。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、パイプ接続(4)を備えたバッグ(33)であって、このパイプ接続に、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、注射器(36)であって、この注射器に、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項16】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、アンプル(40)であって、このアンプルに、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項17】
コンテナを医療用液体で充填するため及びこのコンテナを閉鎖するための方法であって、前記以下の工程を有する方法:
クロージャーを有するコンテナを用意する;
ここで、このクロージャーは、コンテナに取り付けられる経路を備えた固定ピース、及び充填装置の接続部に接続されることが可能な経路を備えた接続ピースを有し、固定ピースと接続ピースの間にクロージャー・ボディが形成され、このクロージャー・ボディは、固定ピース及び接続ピースの経路を接続するリセスを有し、それによって、クロージャー・ボディのリセスの中で、クロージャー・ピースが、固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置の間に配置され、且つ、固定ピースまたは接続ピースの経路を閉鎖する位置へ変位可能であり、取外し可能な保護キャップがクロージャーの上に配置されている;
前記クロージャーを備えた、充填されていないコンテナを、要求されるクリーン・ルーム・クラスを備えた第一のクリーン・ルームの中に、配置する;
前記保護キャップを取り外す;
前記クロージャーを備えたコンテナを、第一のクリーン・ルームのクリーン・ルーム・クラスより高いクリーン・ルーム・クラスの第二のクリーン・ルームの中に、移送する;
充填装置の接続部を、前記クロージャーの接続ピースに接続する;
コンテナを医療用液体で充填する;
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースを、前記接続ピースまたは固定ピース経路を閉鎖する位置の中に移動させる;
前記充填され且つ密封されたコンテナを、クリーン・ルームから取り出す。
【請求項18】
下記特徴を有する請求項17に記載の方法:
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記充填装置の押し付けラムにより移動され、この押し付けラムは、軸方向に移動される。
【請求項19】
下記特徴を有する請求項17または18に記載の方法:
前記第一のクリーン・ルームは、クリーン・ルーム・クラスBを有している。
【請求項20】
下記特徴を有する請求項17から19のいずれか1項に記載の方法:
前記第二のクリーン・ルームは、クリーン・ルーム・クラスAを有している。
【請求項1】
医療用液体を含むコンテナの充填及び閉鎖のためのクロージャーであって;
経路(9)を備えた固定ピース(3)を有し、この経路は、コンテナに取り付けられることが可能であり;
経路(10)を備えた接続ピース(5)を有し、この経路に、充填装置の接続部が接続されることが可能であり;
固定ピースと接続ピースの間に、クロージャー・ボディ(6)が形成され、このクロージャー・ボディは、固定ピースと接続ピースの経路を接続するリセス(7)を有し、それによって、充填装置を接続ピースに接続した後に、コンテナが医療用液体で充填されることが可能である;
クロージャーにおいて、
クロージャー・ボディ(6)のリセス(7)の中に、クロージャー・ピース(8)が配置され、このクロージャー・ピースは、リセスの中で、固定ピース(3)または接続ピースの経路(9)を解放する位置と、接続ピースまたは固定ピースの経路を閉鎖する位置との間で変位可能であること、を特徴とするクロージャー。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載のクロージャー:
前記クロージャーは、取外し可能な保護キャップ(2)を有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載のクロージャー:
前記保護キャップ(2)は、前記クロージャーの接続ピース(5)及びクロージャー・ボディ(6)の上に、ロック可能なやり方で取り付けられる。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3の何れか1項に記載のクロージャー:
前記保護キャップ(2)は、前記接続ピース(5)をカバーする蓋部(21)、及び縁部(22)を有し、この縁部は、前記クロージャーの接続ピース(5)及びクロージャー・ボディ(6)の周囲を取り囲んでいる。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項1から4の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、前記固定ピース(3)または接続ピースの経路(9)を解放する位置において、前記クロージャー・ボディのリセス(7)の中に、スナップ・インの方式で配置されている。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、複数の開口(13)を備えたガイド・ピース(11)を有し、このガイド・ピースは、前記クロージャー・ボディ(6)のリセス(7)の中に、移動可能に配置されている。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項6に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)のガイド・ピース(11)は、周囲の周りに分布されて配置されたリブ(12)を有している。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項6または7に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)のガイド・ピース(11)は、押し付けラムを収容するための中央リセス(17)を有している。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項1から8の何れか1項に記載のクロージャー:
前記クロージャー・ピース(8)は、実質的に円筒形のバルブ・ピース(18)を有し、このバルブ・ピースを用いて、前記固定ピースの経路が閉じられることが可能である。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1から9の何れか1項に記載のクロージャー:
前記接続ピース(5)及び前記クロージャー・ボディ(6)は、実質的に中空円筒形のボディとして構成され、その中に、前記クロージャー・ピース(8)が挿入されている。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項1から10の何れか1項に記載のクロージャー:
前記固定ピース(3)は、実質的に環状のボディとして構成されている。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項1から11の何れか1項に記載のクロージャー:
前記接続ピース(5)、前記クロージャー・ボディ(6)、及び前記固定ピース(3)は、一体物の射出成形された部品である。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載のクロージャーを備えた、医療用液体を受け取るためのコンテナ。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、パイプ接続(4)を備えたバッグ(33)であって、このパイプ接続に、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、注射器(36)であって、この注射器に、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項16】
下記特徴を有する請求項13に記載のコンテナ:
前記コンテナは、アンプル(40)であって、このアンプルに、前記クロージャーの固定ピース(3)が固定されている。
【請求項17】
コンテナを医療用液体で充填するため及びこのコンテナを閉鎖するための方法であって、前記以下の工程を有する方法:
クロージャーを有するコンテナを用意する;
ここで、このクロージャーは、コンテナに取り付けられる経路を備えた固定ピース、及び充填装置の接続部に接続されることが可能な経路を備えた接続ピースを有し、固定ピースと接続ピースの間にクロージャー・ボディが形成され、このクロージャー・ボディは、固定ピース及び接続ピースの経路を接続するリセスを有し、それによって、クロージャー・ボディのリセスの中で、クロージャー・ピースが、固定ピースまたは接続ピースの経路を解放する位置の間に配置され、且つ、固定ピースまたは接続ピースの経路を閉鎖する位置へ変位可能であり、取外し可能な保護キャップがクロージャーの上に配置されている;
前記クロージャーを備えた、充填されていないコンテナを、要求されるクリーン・ルーム・クラスを備えた第一のクリーン・ルームの中に、配置する;
前記保護キャップを取り外す;
前記クロージャーを備えたコンテナを、第一のクリーン・ルームのクリーン・ルーム・クラスより高いクリーン・ルーム・クラスの第二のクリーン・ルームの中に、移送する;
充填装置の接続部を、前記クロージャーの接続ピースに接続する;
コンテナを医療用液体で充填する;
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースを、前記接続ピースまたは固定ピース経路を閉鎖する位置の中に移動させる;
前記充填され且つ密封されたコンテナを、クリーン・ルームから取り出す。
【請求項18】
下記特徴を有する請求項17に記載の方法:
前記クロージャー・ボディのクロージャー・ピースは、前記充填装置の押し付けラムにより移動され、この押し付けラムは、軸方向に移動される。
【請求項19】
下記特徴を有する請求項17または18に記載の方法:
前記第一のクリーン・ルームは、クリーン・ルーム・クラスBを有している。
【請求項20】
下記特徴を有する請求項17から19のいずれか1項に記載の方法:
前記第二のクリーン・ルームは、クリーン・ルーム・クラスAを有している。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2010−516360(P2010−516360A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546680(P2009−546680)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000446
【国際公開番号】WO2008/089948
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(501276371)フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (31)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000446
【国際公開番号】WO2008/089948
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(501276371)フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (31)
【Fターム(参考)】
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