説明

医薬品収納システム

【課題】不正な医薬品が、医薬品の収納箱等に入ってしまうような事件事故を堅固に防止するための対応が必要とされる。
【解決手段】医薬品は、当該医薬品を識別する暗号化された識別情報が記憶された記憶部42を有する情報タグ3を備える。収納管理装置1は、情報タグ3の記憶部42に記憶された識別情報を取得する識別情報取得部12と、識別情報を復号化する復号部13と、復号化された識別情報に基づいて、医薬品が収容体への収納に適合するか否かを判定する判定部14と、判定部14により判定された結果を報知する報知部16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の収納体への収納を管理する医薬品収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や医薬品の包装体にICタグ等の情報タグを取り付けて、その情報タグに医薬品の種類や入数等の情報を記憶して管理する方法が知られている。例えば、下記の特許文献1に記載された医薬品の管理方法では、医薬品の包装体に情報タグを取り付け、包装体内の医薬品の入数を確認したり、医薬品の出し入れ状況を管理したりしている。また、下記の特許文献2に記載された医薬品の管理方法では、医薬品に関しての製造番号、使用期限、搬送先等の情報を情報タグに記憶し、この情報タグを医薬品に取り付けることによって病院内における医薬品の物流を管理している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−63535号公報
【特許文献2】特開2003−63654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1及び特許文献2に記載されているような医薬品の管理方法では、医薬品に関わる情報を記憶した情報タグを用いて、医薬品の確認や物流の管理を可能にしている。しかしながら、収納すべきでない不正な医薬品が、医薬品の例えば収納箱に紛れ込むような事態への対応については不十分である。不正な医薬品が収納箱に紛れ込むような要因としては、例えば、医薬品の配送担当者のミスによるものや、或いは悪意ある第三者によって故意に危険な医薬品が投入されるような社会的に重大な影響を及ぼすもの等々が考えられる。このため、不正な医薬品が、医薬品の収納箱等に入ってしまうような事件事故を堅固に防止するための対応が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
医薬品と、当該医薬品の収納体への収納を管理する収納管理装置とを含む医薬品収納システムであって、前記医薬品は、当該医薬品を識別する暗号化された識別情報が記憶された記憶部を有する情報タグを備え、前記収納管理装置は、前記情報タグの前記記憶部に記憶された前記識別情報を取得する識別情報取得部と、前記取得した識別情報を復号化する復号部と、前記復号化された識別情報に基づいて、前記医薬品が前記収納体への収納に適合するか否かを判定する判定部と、前記判定部により判定された結果を報知する報知部と、を有することを特徴とする医薬品収納システム。
【0007】
上記した医薬品収納システムによれば、収納管理装置の識別情報取得部が、医薬品に備えられた情報タグの記憶部から、医薬品を識別する暗号化された識別情報を取得する。そして、収納管理装置の判定部が、復号部によって復号化された識別情報に基づいて、医薬品が収容体への収納に適合するか否かを判定する。この判定結果は報知部によって報知される。
収納体へ収納される医薬品は、医薬品に備えられた情報タグの識別情報に基づいて、収納体に適合するか否かが判断されることから、医薬品の収納箱等に誤って不正な医薬品が入ってしまうような事故を防止することができる。また、情報タグの識別情報は暗号化されていることから、例えば、悪意ある第三者によって医薬品の識別情報が偽造され、この識別情報を有する医薬品が収納箱に紛れ込んでしまうような重大な事件を防止することができる。
【0008】
[適用例2]
前記情報タグの前記記憶部は、強誘電体メモリにより構成されることを特徴とする上記医薬品収納システム。
【0009】
上記した医薬品収納システムによれば、強誘電体メモリは耐タンパ性に優れることから、情報タグの記憶部に記憶された識別情報の秘匿性を高めることができる。
【0010】
[適用例3]
前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品が前記収納体に収納されるときに、当該医薬品の識別情報を取得することを特徴とする上記医薬品収納システム。
【0011】
上記した医薬品収納システムによれば、医薬品が収納体に収納されるときに、医薬品の識別情報を取得する。これにより、医薬品が収納体に収納される前に医薬品の適合性を検証することができ、収納体に誤って不正な医薬品が入ってしまうことを防止できる。
【0012】
[適用例4]
前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品が前記収納体に収納された後に、当該収納体に収納されている全ての前記医薬品の前記識別情報を取得することを特徴とする上記医薬品収納システム。
【0013】
上記した医薬品収納システムによれば、医薬品が収納体に収納された後に、収納されている全ての医薬品の識別情報を取得する。これにより、収納体に収納されている全ての医薬品の適合性をまとめて検証することができ、収納体に入ってしまった不正な医薬品を発見することができる。
【0014】
[適用例5]
前記情報タグの前記記憶部は、前記医薬品に関わる医薬品情報を更に記憶し、前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品情報を更に取得し、前記収納管理装置の前記報知部は、前記取得した医薬品情報を更に報知することを特徴とする上記医薬品収納システム。
【0015】
上記した医薬品収納システムによれば、報知部が、医薬品に関わる医薬品情報を報知する。これにより、医薬品が適合するか否かの判定結果と共に、その医薬品情報も報知することができ、当該医薬品について詳しく確認することができる。
【0016】
[適用例6]
前記収納管理装置の前記報知部は、前記収納体に収容された前記医薬品の数量に関わる情報を更に報知することを特徴とする上記医薬品収納システム。
【0017】
上記した医薬品収納システムによれば、報知部が、医薬品の数量に関わる情報を報知する。これにより、収納体に収容されている医薬品の数量が適正であるか否かを確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る医薬品収納システムについて図面を参照して説明する。
【0019】
<医薬品収納システムの概略構成>
最初に、本実施形態に係る医薬品収納システム100の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る医薬品収納システム100の概略構成例を示す図である。同図に示すように、医薬品収納システム100は、複数の医薬品Mと、これらの医薬品Mが収納体としての収納箱7に収納されるのを管理するための収納管理装置1とにより構成されている。図1の例では、収納管理装置1が収納箱7の側面に一体に組み込まれている。
それぞれの医薬品Mには情報タグの例としてのICタグ3が取り付けられており、このICタグ3は、収納箱7に組み込まれた収納管理装置1と通信が可能である。また、収納管理装置1には、小型の液晶ディスプレイ等からなる表示パネル20が備えられている。
【0020】
なお、ここでは、複数の医薬品Mが収納箱7に収納される例を示しているが、これに限られず、1つの医薬品Mのみを収納可能な収納箱7に対して本収納管理装置1を適用しても良い。また、ここでは、収納箱7に収納管理装置1が組み込まれている例を示しているが、これに限られず、本収納管理装置1を、収納箱7とは別体の例えば携帯型の端末装置に組み込んで用いても良い。
【0021】
<医薬品収納システムの機能構成>
次に、医薬品収納システム100の機能構成について説明する。
図2は、医薬品収納システム100の機能構成例を示すブロック図である。同図に示すように、医薬品収納システム100は、医薬品Mに取り付けられたICタグ3における機能と、収納管理装置1における機能とにより構成される。
【0022】
先ず、医薬品Mに取り付けられているICタグ3の構成及び機能について説明する。
図3は、ICタグ3の概要図である。同図に示すように、ICタグ3は、基材31、アンテナ32、スルーホール33、パターンランド34、ICチップ35等により構成されている。ICタグ3は、基材31上に設けられたコイル状のアンテナ32と、ICチップ35に含まれる図示しない容量素子とにより、一定周波数の共振回路を形成し、当該周波数により外部の収納管理装置1と無線通信する。
【0023】
基材31は、例えば合成樹脂製のフィルムであり、アンテナ32が配線されている。基材31の裏面には、医薬品Mへ貼り付けるための粘着剤付きのフィルムがラミネートされている。アンテナ32は、基材31の表裏にラミネートされたアルミ箔や、胴箔等の金属箔をエッチング又は印刷することにより、形成されている。スルーホール33は、基材31の表裏に設けられたアンテナ32の導通を取るためのカーボンブラック等の導電剤により構成されたスルーホールである。パターンランド34は、アンテナ32にICチップ35を搭載及び接続するためのものである。ICチップ35は、基材31に対しフリップチップ実装、COB(Chip On Board)実装等により実装される。
【0024】
ICチップ35は、図2に示すように、RF部41、記憶部42、制御部43等により構成されている。
RF部41には、容量素子が含まれており、アンテナ32のコイルとの間で、一定周波数の共振回路を形成する。
記憶部42は、強誘電体メモリ5となるFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)により構成される。このFeRAMは、再書き込み記憶保持を必要とする耐タンパ性を有する不揮発性メモリである。なお、FeRAMの詳細については後述する。
記憶部42には、識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bが記憶されている。識別情報(暗号文)42aは、医薬品Mを識別するためのものであり、所定の暗号化アルゴリズムにより暗号化されている。また、医薬品情報42bには、例えば、「医薬品名」、「効能」、「用法」、「使用期限」等の情報が含まれている。
制御部43は、複数のロジック素子により構成され、収納管理装置1から発振される電磁波を受けたアンテナ32における誘電起電力により動作し、RF部41及びアンテナ32を送受信回路として機能させる。
【0025】
次に、収納管理装置1の機能について説明する。
収納管理装置1は、図2に示すように、識別情報取得部12、復号部13、判定部14、記憶部15、報知部16、制御部17、表示パネル20等により構成されている。
識別情報取得部12は、RF部12a及び通信制御部12bを備えている。識別情報取得部12は、医薬品Mに取り付けられているICタグ3との間で無線通信を行い、ICタグ3の記憶部42に記憶されている識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bを取得する。具体的には、送受信回路であるRF部12aにより、通信制御部12bからの送信又は受信コマンドに応じて、送信及び受信回路を切替え、アンテナ11を介して無線通信を行う。また、通信制御部12bにより、制御部17からの通信コマンドに従い、RF部12aの送信又は受信回路の切替えを行い、ICタグ3との無線通信を制御する。
【0026】
復号部13は、識別情報取得部12により読み取った識別情報(暗号文)42aを、所定の復号化アルゴリズムにより復号化して識別情報(平文)とする。
判定部14は、復号部13により復号化した識別情報(平文)を、記憶部15に記憶されている対象医薬品識別情報15aと比較することにより、医薬品Mが収納箱7に適合する(収納する対象となる)か否かを判定する。
記憶部15は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリのような不揮発性メモリにより構成されるが、上記した強誘電体メモリとなるFeRAMにより構成されても良い。記憶部15には、上記した対象医薬品識別情報15a等が記憶される。この対象医薬品識別情報15aは、収納箱7への収納対象となる医薬品の識別情報等を含んでいる。
報知部16は、ユーザへのメッセージ等を表示パネル20へ表示する。なお、ここで、報知部16が、図示しないスピーカ等を用いて、ユーザへのメッセージ等を音により知らせても良い。
制御部17は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えて、上記した各部等を制御する。
【0027】
<FeRAMの構成>
次に、強誘電体メモリとなるFeRAMについて説明する。
FeRAMは、強誘電体材料によりメモリセルが構成されており、強誘電体材料をデータ保持用のキャパシタに利用したメモリである。強誘電体膜は、自発分極特性を有し、印加される電界方向に応じて分極方向が反転する性質を有している。FeRAMは、この分極反転を記憶保持に利用している。また、FeRAMは、データ保持のための電源を不要とする不揮発性メモリである。
【0028】
図4は、FeRAMを構成するメモリセルを示す図である。同図に示すように、メモリセル50は、トランジスタ51と、強誘電体膜から構成される強誘電体キャパシタ52とから構成されている。トランジスタ51のゲート端子にWL(ワード線)53が接続され、トランジスタ51のドレイン端子(又はソース端子)にBL(ビット線)54が接続され、トランジスタ51のソース端子(又はドレイン端子)に強誘電体キャパシタ52の一方側の端子が接続され、強誘電体キャパシタ52の他方側の端子にPL(プレート線)55が接続されている。
【0029】
次に、メモリセル50にデータを書き込む動作について説明する。
メモリセル50は、強誘電体キャパシタ52の両端子間に所定電圧(Vcc)が印加されることにより、「1」及び「0」のデータが書き込まれる。例えば、メモリセル50は、WL53が選択状態(トランジスタ51オン状態)にされ、BL54が0Vにされ、PL55にVccが印加されることにより「0」が書き込まれる。また、BL54にVccが印加され、PL55が0Vにされることにより「1」が書き込まれる。また、メモリセル50は、WL53が非選択状態(トランジスタ51オフ状態)になっても書き込まれたデータを保持する。
【0030】
次に、メモリセル50に書き込まれているデータを読み出す動作について説明する。
メモリセル50には、図示しないセンスアンプ回路が備えられており、BL54がオープン状態(0V)にされ、WL53が選択状態にされ、PL55にVccが印加されることにより、BL54を介してセンスアンプ回路に所定の電圧が供給される。センスアンプ回路は、強誘電体キャパシタ52の分極状態に応じて異なる電圧が供給され、それぞれの電圧に基づいて増幅を行う。メモリセル50は、センスアンプ回路による増幅後の電圧に応じて「1」又は「0」が読み出される。
【0031】
ここで、メモリセル50は、データの読み出し動作において、「1」が読み出された場合、強誘電体キャパシタ52の分極が「1」から「0」の状態に反転されることで破壊読み出しの動作を行う。そして、メモリセル50は、強誘電体キャパシタ52の分極を「1」の状態に維持するために、「1」のデータを読み出した後、再び「1」のデータを書き込むことで再書き込み動作を行うように制御されている。
【0032】
このように、上記したFeRAMは、自発分極特性を利用したメモリであることから、物理的にチップ内の情報を読み出すことが困難である。また、FeRAMは、破壊読み出しの動作を行って再書き込みの動作を行うように制御されていることから、内部解析(リバース・エンジニアリング)や改変に対する防護力となる耐タンパ性において優れている。
【0033】
<医薬品収納システムの動作>
次に、医薬品収納システム100における収納管理装置1の動作について説明する。
図5は、収納管理装置1の動作例を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、ユーザが、医薬品Mに取り付けられたICタグ3を収納管理装置1のアンテナ11に近付けて、識別情報取得部12のRF部12aと通信可能になったときに動作が開始される。
【0034】
先ず、ステップS110では、収納管理装置1は、識別情報取得部12により、アンテナ11に近付けられた医薬品MのICタグ3から、ICチップ35の記憶部42に記憶されている識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bを取得する。
【0035】
ステップS120では、収納管理装置1は、復号部13により、ステップS110において取得した識別情報(暗号文)42aを復号化して識別情報(平文)とする。
【0036】
ステップS130では、収納管理装置1は、判定部14により、ステップS120において復号化した識別情報(平文)と、記憶部15に記憶されている対象医薬品識別情報15aとを比較し、医薬品Mが収納箱7に適合するか否かを判定する。
医薬品Mが収納箱7に適合すると判定された場合、ステップS140において、報知部16により、表示パネル20に、「収納OK」の旨のメッセージと医薬品情報42bとを表示する。
他方、医薬品Mが収納箱7に適合しないと判定された場合、ステップS150において、報知部16により、表示パネル20に「収納NG」の旨のメッセージと医薬品情報42bとを表示する。
【0037】
上述したように、本実施形態に係る医薬品収納システム100では、医薬品MのICタグ3の記憶部42に識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bが記憶されている。この医薬品Mを収納箱7に収納する際、収納箱7に組み込まれた収納管理装置1により、医薬品Mが収納箱7に適合するか否かが判定される。そして、その判定結果が医薬品情報42bと共に表示パネル20に表示される。
これにより、例えば医薬品の配送担当者が誤って収納箱7に収納すべきでない医薬品を入れようとしたとき、その場で、表示パネル20に「収納NG」の旨のメッセージと、例えば「医薬品名」、「効能」、「用法」、「使用期限」等の医薬品情報42bとが表示される。この結果、配送担当者は、今入れようとしている医薬品が収納箱7に入れるべきでない医薬品であることと、その医薬品の内容を知ることができ、収納箱7に誤って不正な医薬品が入ってしまうような事故を防止することができる。
【0038】
また、医薬品MのICタグ3の記憶部42は、FeRAMからなる強誘電体メモリ5により構成されている。このFeRAMは、上記したように、チップ内の情報を読み出すことが困難であり、耐タンパ性において優れている。更に、ICタグ3の記憶部42には、識別情報(暗号文)42aが暗号化されて記憶されている。
これらにより、悪意ある第三者がICタグ3の記憶部42の識別情報(暗号文)42aを盗み出すことが極めて困難になる。この結果、悪意ある第三者によって医薬品の識別情報(暗号文)42aが偽造され、この識別情報(暗号文)42aを有する医薬品が収納箱7に紛れ込んでしまうような重大な事件を防止することができる。
【0039】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る医薬品収納システム200について図面を参照して説明する。
【0040】
図6は、第2実施形態に係る医薬品収納システム200の概略構成例を示す図である。第2実施形態に係る医薬品収納システム200の概略構成及び機能構成は、図1及び図2に示す第1実施形態に係る医薬品収納システム100の概略構成及び機能構成とほぼ同様であるが、一部の概略構成及び機能構成が異なる。
【0041】
図6に示すように、第2実施形態に係る医薬品収納システム200では、収納管理装置1が、収納箱7内の医薬品Mと対向する蓋8の面に組み込まれている。そして、医薬品収納システム200における収納管理装置1の識別情報取得部12では、収納箱7に収納済みの全ての医薬品MのICタグ3から、それぞれの識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bを取得する機能を備えている。なお、収納管理装置1の位置は、蓋8の面に限られず、例えば収納箱7の内側に配置されていても良い。
【0042】
図7は、第2実施形態に係る収納管理装置1の動作例を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、医薬品Mが全て収納箱7に収納された後、例えば、ユーザが蓋8を閉めて図示しない操作ボタンを押したり、蓋8が閉められたことを図示しないセンサ等により検出したりすることにより動作が開始される。
【0043】
先ず、ステップS210では、収納管理装置1は、識別情報取得部12により、収納箱7に収納済みの全ての医薬品MのICタグ3から、それぞれのICチップ35の記憶部42に記憶されている識別情報(暗号文)42a及び医薬品情報42bを取得する。
【0044】
ステップS220では、収納管理装置1は、復号部13により、ステップS210において取得した1つの医薬品Mの識別情報(暗号文)42aを復号化して識別情報(平文)とする。
【0045】
ステップS230では、収納管理装置1は、判定部14により、ステップS220において復号化した識別情報(平文)と、記憶部15に記憶されている対象医薬品識別情報15aとを比較し、当該医薬品Mが収納箱7に適合するか否かを判定する。
医薬品Mが収納箱7に適合すると判定された場合、ステップS240において、医薬品Mが「収納OK」である旨の識別と当該医薬品Mの医薬品情報42bとを、記憶部15に記憶する。
他方、医薬品Mが収納箱7に適合しないと判定された場合、ステップS250において、医薬品Mが「収納NG」である旨の識別と当該医薬品Mの医薬品情報42bとを、記憶部15に記憶する。
【0046】
ステップS260では、収納管理装置1は、収納箱7に収納済みの全ての医薬品Mについて、医薬品の適合性の判定処理が終了したか否かを判定する。全ての医薬品Mについて判定処理が終了している場合は、次のステップS270へ進む。
他方、判定処理が終了していない医薬品がある場合は、ステップS220に戻り、次の医薬品Mの識別情報(暗号文)42aを復号化する。
【0047】
ステップS270では、収納管理装置1は、ステップS240及びステップS250において記憶部15に記憶した各医薬品Mの「収納OK」又は「収納NG」である旨の識別と、各医薬品情報42bとに基づいて、報知部16により、表示パネル20に各医薬品Mについての判定結果(「収納OK」又は「収納NG」)のメッセージと、医薬品情報42bとを表示する。
【0048】
上述したように、本実施形態に係る医薬品収納システム200では、収納箱7に収納された全ての医薬品Mについて、収納箱7の蓋8に組み込まれた収納管理装置1により、各医薬品Mが収納箱7に適合するか否かが判定される。そして、全ての医薬品Mの判定結果が医薬品情報42bと共に表示パネル20に表示される。
これにより、例えば医薬品の配送担当者が収納箱7に全ての医薬品を収納し、その中に誤って収納すべきでない医薬品が入ってしまった場合、表示パネル20に表示される全ての医薬品の一覧において、このような医薬品には「収納NG」の旨のメッセージと医薬品情報42bとが表示される。この結果、配送担当者は、収納箱7に入れるべきでない医薬品があることと、その医薬品の内容を知ることができ、収納箱7に誤って不正な医薬品が入ってしまうような事故を防止することができる。
【0049】
(変形例1)
上述した実施形態において、医薬品MのICタグ3の記憶部42に、医薬品情報42bを記憶しないで識別情報(暗号文)42aのみを記憶するようにしても良い。そして、医薬品Mが収納箱7に適合するか否かを判定して判定結果を表示パネル20に表示するとき、当該医薬品Mについて「収納OK」又は「収納NG」のみを表示するようにしても良い。
【0050】
(変形例2)
上述した実施形態の収納管理装置1において、収納箱7に収納された医薬品Mの数量を数えて、その数量と、予め記憶部15に記憶した収納箱7に収納すべき数量の情報とを比較して、比較結果を表示パネル20等に表示しても良い。これにより、収納箱7に収納された医薬品Mの数量が適正であるか否かを検証することができ、例えば、収納箱7に収納すべき医薬品Mが、漏れたり、盗難されたり、或いは余分に収納されたりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係る医薬品収納システムの概略構成例を示す図。
【図2】医薬品収納システムの機能構成例を示すブロック図。
【図3】ICタグの概要図。
【図4】FeRAMを構成するメモリセルを示す図。
【図5】第1実施形態に係る収納管理装置の動作例を示すフローチャート。
【図6】第2実施形態に係る医薬品収納システムの概略構成例を示す図。
【図7】第2実施形態に係る収納管理装置の動作例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
1…収納管理装置、3…ICタグ、5…強誘電体メモリ、7…収納箱、8…蓋、11…収納管理装置のアンテナ、12…収納管理装置の識別情報取得部、12a…識別情報取得部のRF部、12b…識別情報取得部の通信制御部、13…収納管理装置の復号部、14…収納管理装置の判定部、15…収納管理装置の記憶部、15a…対象医薬品識別情報、16…収納管理装置の報知部、17…収納管理装置の制御部、20…表示パネル、31…ICタグの基材、32…ICタグのアンテナ、33…ICタグのスルーホール、34…ICタグのパターンランド、35…ICタグのICチップ、41…ICチップのRF部、42…ICチップの記憶部、42a…識別情報(暗号文)、42b…医薬品情報、43…ICチップの制御部、100,200…医薬品収納システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品と、当該医薬品の収納体への収納を管理する収納管理装置とを含む医薬品収納システムであって、
前記医薬品は、当該医薬品を識別する暗号化された識別情報が記憶された記憶部を有する情報タグを備え、
前記収納管理装置は、
前記情報タグの前記記憶部に記憶された前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記取得した識別情報を復号化する復号部と、
前記復号化された識別情報に基づいて、前記医薬品が前記収納体への収納に適合するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により判定された結果を報知する報知部と、を有することを特徴とする医薬品収納システム。
【請求項2】
前記情報タグの前記記憶部は、強誘電体メモリにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の医薬品収納システム。
【請求項3】
前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品が前記収納体に収納されるときに、当該医薬品の識別情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品収納システム。
【請求項4】
前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品が前記収納体に収納された後に、当該収納体に収納されている全ての前記医薬品の前記識別情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品収納システム。
【請求項5】
前記情報タグの前記記憶部は、前記医薬品に関わる医薬品情報を更に記憶し、
前記収納管理装置の前記識別情報取得部は、前記医薬品情報を更に取得し、
前記収納管理装置の前記報知部は、前記取得した医薬品情報を更に報知することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬品収納システム。
【請求項6】
前記収納管理装置の前記報知部は、前記収納体に収容された前記医薬品の数量に関わる情報を更に報知することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬品収納システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−220922(P2009−220922A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65284(P2008−65284)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】