説明

医薬組成物

(R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンについて、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収を十分に改善する製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有効成分の吸収性が改善された医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高脂溶性の薬物は消化管内での吸収性が低い。この問題を解決するため、剤形の観点からは、かかる薬物の吸収を改善する油性製剤等の剤形を採用する事が従来から行なわれている。また、投与方法の観点からは、かかる薬物の吸収を助ける胆汁が分泌されている食後に、対象に投与する事が行なわれている。例えば、国際公開01/74331号パンフレット(特許文献1)には、主薬として特定の高脂溶性薬物を含有し、グリセリントリ中鎖脂肪酸エステルおよび/またはプロピレングリコール中鎖脂肪酸エステル、グリセリントリ長鎖脂肪酸エステル、ならびに界面活性剤を含有する油性組成物を含有するカプセル剤が開示されている。また、国際公開01/76582号パンフレット(特許文献2)には、主薬として特定の高脂溶性薬物を含有し、グリセリンモノ脂肪酸エステルおよび/またはプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ならびに界面活性剤を含有する油性組成物を含有するカプセル剤が開示されている。
しかし、一般に、十分に吸収を改善する剤形は薬物によって異なるので、個々の薬物について、多数の検討が必要とされる。上記の文献には、本発明で用いられる有効成分に適した剤形の開示はない。
また、これまであまり問題にされていなかったが、食後に投与することで薬剤の吸収を改善する場合、食事の量および質によって、その改善の程度は異なると考えられる。しかし、薬剤の吸収を高めるために、食事の量および質を調整することは、極めて困難である。上記の文献には、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収性を改善する剤形の具体的な記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/74331号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/76582号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は特定のジヒドロベンゾフラン化合物について、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収を十分に改善する医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定のジヒドロベンゾフラン化合物について上記の課題を解決すべく種々の剤形について鋭意研究した結果、該薬剤と親油性成分および界面活性剤とを含有する医薬組成物を投与した場合、該薬剤の吸収が改善され、しかもこの効果は食事の量および質に関わらず安定して得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] (1)(R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン(以下、単に化合物Aと称する場合がある。)、
(2)親油性成分、および
(3)界面活性剤
を含有する医薬組成物;
[2] 親油性成分が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物から選択される親油性成分である上記[1]記載の医薬組成物;
[3] 界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である上記[1]記載の医薬組成物;
[4] (R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンを1〜30重量%含有する上記(1)記載の医薬組成物;
[5] 親油性成分と界面活性剤の重量比が1:10〜10:1である上記[1]記載の医薬組成物;および
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の医薬組成物を含有するカプセル剤等を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は特定のジヒドロベンゾフラン化合物について、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収を十分に改善する製剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で用いられる(R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンは、国際公開第00/34262号パンフレット、国際公開第03/051355号パンフレット等に開示されている公知の化合物であり、国際公開第00/34262号パンフレットに記載されている方法等に従って容易に製造することができる。
本発明の医薬組成物は、当該化合物を、通常1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは5〜30重量%含有する。
【0008】
本発明で用いられる親油性成分としては、化合物Aの良溶媒であれば特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルが化合物Aの安定性の観点から好ましい。これらは、単独で用いてもよく、混合物を用いてもよい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリン長鎖脂肪酸エステルまたはグリセリン中鎖脂肪酸エステルが好ましく、グリセリン中鎖脂肪酸エステルが更に好ましい。ここで、中鎖脂肪酸とは、炭素数8〜12の飽和脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸)をいい、長鎖脂肪酸とは炭素数14以上の脂肪酸(例、リノール酸)をいう。
グリセリン中鎖脂肪酸エステルは、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、およびそれらの混合物のいずれであってもよい。これらは市販品にて入手可能であり、例えばトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリド(商品名:NIKKOL トリエスター F−810 日光ケミカルズ(株))を用いることができる。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコール中鎖脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール中鎖脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコール長鎖脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール長鎖脂肪酸ジエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとポリエチレングリコール脂肪酸エステルとの混合物としては、例えば、長鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸ジグリセリド、長鎖脂肪酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール長鎖脂肪酸モノエステル、およびポリエチレングリコール長鎖脂肪酸ジエステルの混合物;ならびに中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール中鎖脂肪酸モノエステル、およびポリエチレングリコール中鎖脂肪酸ジエステルの混合物が挙げられる。これらはグリセリン長鎖脂肪酸エステルまたはグリセリン中鎖脂肪酸エステルとポリエチレングリコール脂肪酸エステルとを混合することによって容易に得られるが、Labrafil(商品名、Gattefosse社)、およびLabrasol(商品名、Gattefosse社)などの市販品を用いてもよい。
【0009】
本発明で用いられる界面活性剤としては、常温で液体〜半固体である界面活性剤であれば特に限定されないが、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、天然物由来の界面活性剤などが用いられる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどが用いられる。
非イオン性界面活性剤の中でも、例えば、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが好ましく用いられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に、モノステアリン酸ソルビタン(商品名:SS−10、日光ケミカルズ(株))、セスキオレイン酸ソルビタン(商品名:SO−15、日光ケミカルズ(株))、トリオレイン酸ソルビタン(商品名:SO−30、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に、ポリソルベート20(商品名:TL−10、日光ケミカルズ(株))、ポリソルベート40(商品名:TP−10、日光ケミカルズ(株))、ポリソルベート60(商品名:TS−10、日光ケミカルズ(株))、ポリソルベート80(商品名:TO−10、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に、ショ糖パルミチン酸エステル類(例えば商品名:P−1670、三菱化学フーズ(株))、ショ糖ステアリン酸エステル類(例えば商品名:S−1670、三菱化学フーズ(株))などが好適である。ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などが好適である。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、特に、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)(商品名:MYL−10、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリオキシエチレンヒマシ油としては、特に、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35(Polyoxy 35 Castor Oil、商品名:クレモホールELもしくはEL−P、ビーエーエスエフジャパン(株))などが好適である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などが好適である。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール共重合体としては、特に、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(商品名:アデカプルロニックF−68、旭電化工業(株))などが好適である。グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸グリセリル(MGSシリーズ、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に、テトラグリセリンモノステアリン酸(MS−310、阪本薬品工業(株))デカグリセリンモノラウリン酸(Decaglyn 1-L、日光ケミカルズ(株))などが好適である。
【0010】
アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル類(例、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン)、スルホン酸塩(例、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、エアロゾルOT型)、リン酸エステル類(例、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩)、ジチオリン酸エステル塩などが用いられる。
アニオン性界面活性剤の中でも、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、グリココール酸ナトリウムやデオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩類やステアリン酸やカプリン酸ナトリウムなどの脂肪酸やその塩類が好適である。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤)、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型界面活性剤)などが用いられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などが用いられる。
天然由来の界面活性剤としては、卵黄レシチン(商品名:PL−100H、キューピー(株))や大豆レシチン(商品名:レシノールS−10、日光ケミカルズ(株))などのレシチンリン脂質類などが用いられる。
かかる界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、親油性成分中の物質が界面活性剤作用を奏する場合があり、このような場合はかならずしも界面活性剤を別途配合しなくてもよい。このようにして得られた医薬組成物もまた本発明の範囲内である。このような親油性成分としては、Labrasol等が挙げられる。
【0011】
本発明の医薬組成物における、親油性成分と界面活性剤の重量比は、特に限定されないが、好ましくは1:10〜10:1、更に好ましくは1:8〜8:1、特に好ましくは1:5〜5:1である。
【0012】
本発明の医薬組成物は、所望により、水溶性成分(例、プロピレングリコール、エタノール)、水、化合物A以外の有効成分、補助剤[例、抗酸化剤(例、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸塩類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、D−α−トコフェロール、没食子酸プロピル、ジメチルイソソルビド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩)、pH調整剤、pH緩衝剤(ブリトン−ロビンソン(Britton-Robinson)緩衝液)]を含有してもよい。特に、抗酸化剤の添加は、化合物Aの安定性の観点から好ましい。
本発明の医薬組成物のpHは、化合物Aの安定性の観点からは、中性からアルカリ性(例えば、pH約6〜約11)が好ましい
【0013】
本発明の医薬組成物は、主薬、親油性成分、界面活性剤、および所望により配合される成分を慣用の方法で混合することによって得られる。
本明細書中医薬品組成物とは、溶液および懸濁液の両方を包含する。好ましくは溶液である。また、本発明の医薬品組成物は、好ましくは自己乳化型である。
本発明の医薬品組成物の性状は、特に限定されないが、常温で液体〜半固体が好ましい。常温で液体〜半固体であっても、例えば保管温度の低下(例:15℃以下)において、半固体〜固体となってもよい。かかる医薬品組成物が状態変化した場合においても、再度温度を上げる(例:25℃付近)とすることによって、容易に元の液体〜半固体の状態に戻り、本発明の医薬品組成物としての好ましい性状および機能は維持される。
【0014】
本発明の医薬組成物は、そのまま液剤として対象に投与してもよいが、慣用の方法により液体・半固形製剤用のカプセル(例、Licaps(商品名、CAPSGEL社)などのハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、ゼラチン、寒天および天然ゲル化剤などを主原料としたハードまたはソフトカプセル、ポリビニルアルコールコポリマーを主原料としたPONDAC(商品名、日新化成(株))などのゼラチン以外を主原料としたハードまたはソフトカプセル)に充填した製剤としてもよい。好ましくは、本発明の医薬組成物は、カプセル剤として投与する。カプセルの形状は、特に限定されないが、球形型、楕円(ラグビーボール様)型および立方体型が好適である。また、本発明の医薬品組成物を充填するカプセルの大きさは、特に限定されないが、好ましくは長径が27mm以下、更に好ましくは22mm以下、特に好ましくは20mm以下である。さらに、本発明の医薬品組成物を経口投与する際の嚥下を容易にするために、1回に服薬する製剤を複数個(例:5個以上)とすることを前提として、好ましくは長径10mm以下、更に好ましくは長径8mm以下、特に好ましくは長径6mm以下の液体・半固形製剤用カプセルに充填した製剤としてもよい。さらに、これらのカプセル剤は、1回の製剤服用量を1包装としてもよく、慣用の方法で汎用のカプセルに充填してカプセル剤としてもよい。
【0015】
本発明で主薬として用いる化合物Aは、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して、幹細胞(例、胚性幹細胞、神経幹細胞等)増殖促進物質、神経前駆細胞分化促進物質として、または神経栄養因子様物質、神経栄養因子活性増強物質、神経変性抑制物質として、神経細胞死を抑制し、神経新生および神経軸索進展により神経組織・機能の再生を促進する。また、さらに移植治療に用いられる、神経幹細胞・神経細胞(神経前駆細胞を含む)の胎児脳・患者脳組織および胚性幹細胞からの調製にも有用であると同時に、移植後の神経幹細胞・神経細胞の生着・分化および機能発現を促進する。
したがって、当該化合物Aを含有する本発明の医薬組成物およびカプセル剤は、例えば、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、脊髄小脳変性症等)、精神神経疾患(例、統合失調症等)、頭部外傷、脊髄損傷、脳血管障害、脳血管性痴呆、老年性記憶障害(AAMI:age-associated memory impairment)等に対して有効であり、これらの中枢神経系疾患の予防・治療剤として用いられる。
本発明の医薬組成物およびカプセル剤の投与量は、投与対象の年齢・体重・疾患等に応じて設定することができるが、通常、化合物Aとして約0.1〜約20mg/kg体重、好ましくは約0.2〜約10mg/kg体重、さらに好ましくは約0.5〜約10mg/kg体重を1日1回〜数回に分けて投与する。本発明の医薬組成物およびカプセル剤は、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収性を改善することができるが、投与は、化合物Aの吸収性が高くなる食後に行なうことが特に好ましい。
【実施例】
【0016】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特記しない限り、各成分はそれぞれの組成物に基づく重量%で示す。
また、本実施例中、製剤添加剤としては、日本薬局方第15改正あるいは医薬品添加物規格2003適合品を用いた
【0017】
参考例1
(R)−(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンの製造
アルゴン雰囲気下で、(+)−2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−アミン(6.00g,20.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に4,5−ジメトキシフタル酸無水物(4.43g,21.3mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)塩酸塩(4.67g,24.4mmol)と1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBt)一水和物(3.74g,24.4mmol)を加えた。混合物を14時間加熱還流した後、室温まで冷却した。反応混合物に水、8規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、減圧濃縮して、(+)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの粗生成物8.40gを得た。塩化アルミニウム(13.6g,102mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に水素化アルミニウムリチウム(3.87g,102mmol)を加え、10分間撹拌した。これに前述の粗生成物のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を加え、混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を1規定水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 8:1)に供し目的物 6.23g(収率68%)を得た。融点157−159℃。[α]=+62.3°(c=0.488,メタノール)
1H-NMR (CDCl3) δ : 1.02 (3H, s), 1.51 (3H, s), 1.76 (3H, s), 2.17 (3H,s), 2.18 (3H, s), 2.31 (3H, s), 3.87 (6H, s), 4.10 (1H, s), 4.45 (4H, s), 6.70-7.15 (6H, m)。
【0018】
実施例1
カプリロカプリルマクロゴール−8 グリセリド(商品名:Labrasol)中に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例2
カプリロカプリルマクロゴール−8 グリセリド(商品名:Labrasol)にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を100mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例3
カプリロカプリルマクロゴール−8 グリセリド(商品名:Labrasol)にD−α−トコフェロールを100mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例4
カプリロカプリルマクロゴール−8 グリセリド(商品名:Labrasol)の没食子酸プロピルを10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例5
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(Caprylic/Capric Triglyceride)(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)中に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例6
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を100mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例7
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)にD−α−トコフェロールを100mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例8
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)に没食子酸プロピルを10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例9
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノールの混液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例10
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60/25%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノールの混液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
【0019】
実施例11
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノールの混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例12
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/20%プロピレングリコール/5%無水エタノール/5%精製水の混液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例13
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/20%プロピレングリコール/5%無水エタノール/5%精製水の混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例14
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/20%プロピレングリコール/10%無水エタノールの混液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例15
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/20%プロピレングリコール/10%無水エタノールの混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例16
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/14%プロピレングリコール/8%無水エタノール/8%精製水の混液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例17
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%リノレオイルマクロゴール−6 グリセリド(商品名:Labrafil M 2125 CS)/14%プロピレングリコール/8%無水エタノール/8%精製水混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を10mg/gで溶解させた液に化合物Aを10mg/g(1%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例18
75%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)混液に化合物Aを30mg/g(3%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例19
50%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/50%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)混液に化合物Aを30mg/g(3%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例20
50%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/50%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)混液に化合物Aを100mg/g(10%)で懸濁させて油性組成物とした。
【0020】
実施例21
50%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/50%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を10mg/g溶解させた液に化合物Aを100mg/g(10%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例22
25% ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/75% トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)混液に化合物Aを40mg/g(4%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例23
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例24
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を1%溶解させた液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例25
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液に化合物Aを50mg/g(5%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例26
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液に化合物Aを100mg/g(10%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例27
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液にジブチルヒドロキシトルエン(2,6-Di-t-butyl-4-methylphenol)を1%溶解させた液に化合物Aを100mg/g(10%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例28
55%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/25%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%プロピレングリコール/10%無水エタノール混液に化合物Aを200mg/g(20%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例29
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/30%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/30%ジメチルイソソルビド混液に化合物Aを50mg/g(5%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例30
40%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/20%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/40%ジメチルイソソルビド混液に化合物Aを50mg/g(5%)で溶解させて油性組成物とした。
【0021】
実施例31
50%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/20%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/30%ジメチルイソソルビド中混液に化合物Aを50mg/g(5%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例32
60%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/20%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/20%ジメチルイソソルビド混液に化合物Aを50mg/g(5%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例33
60%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/10%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/30%ジメチルイソソルビド混液に化合物Aを50mg/g(5%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例34
23%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/68%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/9%精製水の混液に化合物Aを30mg/g(3%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例35
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%精製水の混液に化合物Aを30mg/g(3%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例36
68%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/23%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/9%精製水の混液に化合物Aを30mg/g(3%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例37
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩水溶液(0.1w/v%水溶液)の混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例38
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F-810)/10%pH3ブリトン−ロビンソン緩衝液の混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例39
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%pH7ブリトン−ロビンソン緩衝液の混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例40
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%pH9ブリトン−ロビンソン緩衝液の混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
【0022】
実施例41
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%アスコルビン酸ナトリウム水溶液(1w/v%水溶液)の混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例42
45%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/45%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%アスコルビン酸ナトリウム水溶液(1w/v%水溶液)の混液に化合物Aを200mg/g(20%)で懸濁させて油性組成物とした。
実施例43
44.5%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40/44.5%トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(商品名:NIKKOL トリエスター F−810)/10%アスコルビン酸ナトリウム水溶液(1w/v%水溶液)/1%D−α−トコフェロールの混液に化合物Aを20mg/g(2%)で溶解させて油性組成物とした。
実施例44
後述する試験例において試験動物への化合物Aの投与量が試験動物体重1kgあたり10mgとなるように、実施例23の油性組成物4.95g、5.23g、5.39g、5.63g、および6.28gをそれぞれ日本薬局方ゼラチンカプセル(1/2オンス、TORPAC社)に充填してカプセル剤5個を製造した。
実施例45
後述する試験例において試験動物への化合物Aの投与量が試験動物体重1kgあたり10mgとなるように、実施例25の油性組成物2.24g、2.24g、2.31g、2.51g、および2.75gをそれぞれ日本薬局方ゼラチンカプセル(1/4オンス、TORPAC社)に充填してカプセル剤5個を製造した。
実施例46
後述する試験例において試験動物への化合物Aの投与量が試験動物体重1kgあたり10mgとなるように、実施例26の油性組成物1.04g、1.10g、1.10g、および1.24gをそれぞれ日本薬局方ゼラチンカプセル(1/4オンス、TORPAC社)に充填してカプセル剤4個を製造した。
実施例47
後述する試験例において試験動物への化合物Aの投与量が試験動物体重1kgあたり10mgとなるように、実施例28の油性組成物0.61g、0.65g、0.65g、および0.74gをそれぞれ日本薬局方ゼラチンカプセル(1/4オンス、TORPAC社)に充填してカプセル剤4個を製造した。
実施例48
後述する試験例において試験動物への化合物Aの投与量が試験動物体重1kgあたり10mgとなるように、実施例20の油性組成物1.00g、1.13g、1.21g、および1.26gをそれぞれ日本薬局方ゼラチンカプセル(1/4オンス、TORPAC社)に充填してカプセル剤4個を製造した。
【0023】
試験例1
実験方法
(1)実施例1および実施例12の油性組成物を用いた。なお対照製剤は、化合物Aの0.5%メチルセルロース懸濁液(濃度10mg/5mL)を用いた。
(2)絶食下の雄性IGS/SDラット(各群5匹、9週齢)に実施例1および実施例12の油性組成物ならびに対照製剤を経口ゾンデを用いて化合物Aの濃度が10mg/kg体重となるように強制的に経口(胃内)投与した。なお実施例12については、剤形が濃縮エマルションであるため、製剤投与と同時に水2mLを経口投与した。投与0.5、1、2、4、8、24時間後に尾静脈より約0.6mL採血し、遠心処理により血漿を分離してHPLCにより化合物Aの血漿中濃度を測定した。また定量により得られた血漿中濃度推移からAUC0−24hを、対照製剤のAUC0−24hおよびCmaxを1としたときの本発明製剤のAUC比およびCmax比を求めた。
結果を表1に示す。
【表1】

【0024】
試験例2
実験方法
(1)実施例44、実施例45、実施例46および実施例47のカプセル剤を用いた。なお対照製剤は、化合物Aの0.5%メチルセルロース懸濁液(濃度10mg/5mL)を用いた。
(2)絶食下の雄性ビーグル犬(各群4頭)に、本発明のカプセル剤を水15mLとともに、対照製剤は経口ゾンデを用いて、化合物Aの濃度が10mg/kg体重となる量を強制的に経口(胃内)投与した。投与前、投与0.5、1、2、4、7、24時間後に前脚部静脈より約1.5mL採血し、遠心処理により血漿を分離してHPLCにより化合物Aの血漿中濃度を測定した。また定量により得られた血漿中濃度推移からAUC0−24hを、対照製剤のAUC0−24hおよびCmaxを1としたときの本発明製剤のAUC比およびCmax比を求めた。
結果を表2に示す。
【表2】

【0025】
試験例3
実験方法
(1)実施例45、実施例46および実施例47のカプセル剤を用いた。なお対照製剤は、化合物Aの0.5%メチルセルロース懸濁液(濃度10mg/5mL)を用いた。
(2)投与試験の前日より絶食した雄性ビーグル犬(各群2〜4頭)に投与前に設定量(60gまたは300g)の餌を与えて、食後30分に本発明のカプセル剤を水15mLとともに、対照製剤は経口ゾンデを用いて、化合物Aの濃度が10mg/kg体重となる量を強制的に経口(胃内)投与した。投与前、投与0.5、1、2、4、7、24時間後に前脚部静脈より約1.5mL採血し、遠心処理により血漿を分離してHPLCにより化合物Aの血漿中濃度を測定した。また定量により得られた血漿中濃度推移からAUC0−24hを、各製剤におけるAUC0−24hおよびCmaxの60g摂餌と300g摂餌との比を求めた。
結果を表3に示す。
【表3】

【0026】
試験例4
実験方法
(1)実施例48のカプセル剤を用いた。なお対照製剤は、化合物Aの0.5%メチルセルロース懸濁液(濃度10mg/5mL)を用いた。
(2)投与試験の前日より絶食した雄性ビーグル犬(各群4頭)に投与前に60gの餌を与えて、食後30分に本発明のカプセル剤を水15mLとともに、対照製剤は経口ゾンデを用いて、化合物Aの濃度が10mg/kg体重となる量を強制的に経口(胃内)投与した。投与前、投与0.5、1、2、4、7、24時間後に前脚部静脈より約1.5mL採血し、遠心処理により血漿を分離してHPLCにより化合物Aの血漿中濃度を測定した。また定量により得られた血漿中濃度推移からAUC0−24hを、対照製剤のAUC0−24hおよびCmaxを1としたときの本発明製剤のAUC比およびCmax比を求めた。
結果を表4に示す。
【表4】


試験例より明らかなように、化合物A、親油性成分および界面活性剤を含有する本発明の医薬組成物は、絶食下において対照製剤と比較して高い経口吸収性を示した。また、摂食下においても対照製剤と比較して高い吸収性を示し、かつ、摂食量による吸収性の変動が極めて小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は特定のジヒドロベンゾフラン化合物について、食事の量および質に関わらず安定して薬剤の吸収を十分に改善する医薬組成物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリン、
(2)親油性成分、および
(3)界面活性剤
を含有する医薬組成物。
【請求項2】
親油性成分が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物から選択される親油性成分である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
(R)−5,6−ジメトキシ−2−[2,2,4,6,7−ペンタメチル−3−(4−メチルフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル]イソインドリンを1〜30重量%含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
親油性成分と界面活性剤の重量比が1:10〜10:1である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物を含有するカプセル剤。

【公表番号】特表2010−509188(P2010−509188A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517780(P2009−517780)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/JP2007/072141
【国際公開番号】WO2008/056822
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】