説明

半割すべり軸受及びその製造方法

【課題】半円筒形の軸受本体3の合わせ面5の外周縁から周方向に形成された凹部7を備える半割すべり軸受1において、当該合わせ面5の形成時に凹部7の内側へバリが形成されることを防止する。
【解決手段】軸受本体3の前駆体としての半円筒状の部材23の周方向端面に開口する前記凹部7の周縁において、部材23の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の全域を面取りし、凹部7の周縁において面取りの形成された縁へ最初に切削刃31が到達するように、周方向端面を切削して合わせ面を形成して、軸受本体を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半割すべり軸受及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半割すべり軸受は、例えば、自動車用エンジンのコネクティングロッドに組み付けられ、コネクティングロッドに挿通されたクランクシャフトのクランクピンをコネクティングロッドに対して円滑に回転させるために用いられる。
【0003】
この半割すべり軸受は、半円筒形の軸受本体を主要構成要素とし、その合わせ面の外周側の端縁から周方向に凹部が形成されている(特許文献1参照)。この凹部はダイスを押圧して軸受本体の材料を塑性変形することにより形成され、その結果、凹部の下縁に突出部が形成される。この突出部は位置決め部材として用いられる。
また、合わせ面の外周側の端縁を周方向に切削して凹部を形成することもあり、このように形成された凹部(突出部を備えないもの)は、相手側部材から突出するボルト等との干渉を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−50226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半割すべり軸受は、その合わせ面において相手側部材(同じく半円筒形の部材)へ付き当てられるので、合わせ面には高い平坦性が求められる。従って、最終工程において合わせ面を切削して、その平坦性を確保する。換言すれば、最終工程で凹部を形成すると凹部形成時の歪が合わせ面に現れるおそれがあるので、合わせ面に凹部を形成した後、合わせ面を切削してその平坦性を確保することが好ましい。
合わせ面に凹部が開口していると、この開口部が空間部となって、合わせ面切削時にバリが形成されることがある。即ち、合わせ面へ切削刃を当てつけ、これを軸受本体の軸方向へ相対移動することにより合わせ面の平坦化を行なう際、切削刃の移動方向の下流側に凹部が空間として存在するので、凹部の上流側に位置する周縁にバリが形成されるおそれがある。
【0006】
このバリは、半割すべり軸受の内周面や外周面(ハウジング取付け部)に付着して、半割すべり軸受の信頼性を低下する原因となりかねない。
そこで、このバリを除去するトリミング作業が必要となるが、半割すべり軸受に高い信頼性を確保するには、トリミング作業に多大な工数を要することとなる。
さらに言えば、そもそもバリの発生がなければ、トリミング作業を省略できることはもとより、半割すべり軸受の信頼性確保の上でこれに越したることはない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を考慮してなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
半円筒形の軸受本体の合わせ面の外周縁から周方向に形成された凹部を備える半割すべり軸受の製造方法であって、
前記軸受本体の前駆体としての半円筒状の部材の周方向端面に開口する前記凹部の周縁において、前記部材の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の全域が面取りされている前記部材を準備するステップと、
前記凹部の周縁において前記面取りの形成された縁へ最初に切削刃が到達するように、前記周方向端面を切削して合わせ面を形成して、軸受本体を作製するステップと、
を含む半割すべり軸受の製造方法。
【0008】
このように規定される第1の局面の発明によれば、凹部の周縁において上流側の縁(先に切削刃が到達する縁)がその全縁に渡り面取りされているので、合わせ面の切削形成時、該上流側の縁の下流側に空間(即ち凹部)が存在したとしても、バリの発生が抑制される。この面取りにより形成される面を以下、「面取り面」ということがある。
【0009】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に規定の製造方法において、前記部材を準備するステップは、
前記部材の周方向端面の外周縁から周方向に凹部を形成するステップと、
前記凹部の形成後に、前記周方向端面に開口する前記凹部の周縁の面取りを行なうステップと、
を含む。
このように規定される第2の局面に規定の製造方法によれば、面取りの形成自由度が向上し、高い生産性を確保できる。一方、周方向端面に対して予め面取り面を形成しておいて、その面取り面を形成した領域へ凹部を形成しても、凹部の上流側の縁に面取り面が形成されることとなるので、合わせ面の切削形成時におけるバリの発生を未然に防止できるが、予め形成した面取り領域に対して高い精度で凹部の位置合わせを行なう必要がある。また、この第2の局面に規定の製造方法によれば、凹部形成時における面取りした領域の変形ということがないので、バリの形成を誘発するリスクを顕著に低減させることができる。
【0010】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第2の局面に規定の製造方法において、前記周方向端面に対する面取りの角度(以下、「面取り角」ということがある)を30〜65度とする。
バリの発生をより確実に防止するためには、面取り角はゼロに近いほど好ましいが、他方、合わせ面に占める面取り領域の面積が大きくなり、面取り角が30度を超えると、合わせ面に本来的に要求される機械的特性に支障が生じるおそれがある。
他方、面取り角が直角に近づくほどバリの発生確率が高くなるが、本発明者らの検討によれば、面取り角が65度以内であれば、バリが殆ど発生しなかった。
この面取り面は平面に限定されず、曲面であってもよい。
ここで、面取り面が複数の面からなる場合、各々の面における面取り角が総て同じであっても良いし、異なっていても良い。異なっている場合、面取り角を30〜65度とした面と30〜65度以外とした面とが混在しても良い。少なくとも、周方向端面を切削する時の切削刃が移動する方向と交差する面であって最初に切削刃が到達する縁に形成された面である面取り面に係る面取り角が、30〜65度であることが好ましい。
成形容易性の見地から、この面取りは、切削加工により行なうことが好ましい(第4の局面)。
また、この面取り面は、凹部の全周縁に形成することが好ましい(第5の局面)。これにより、面取りを行なう際に要求される位置合わせ精度を低くすることができるので、成形性の向上ひいては生産性の向上を図れる。
【0011】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面の外周側から周方向に形成された凹部と、
前記合わせ面に開口する前記凹部の周縁において、前記軸受本体の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の全域が切り欠かれている、半割すべり軸受。
このように構成される半割すべり軸受は、凹部の周縁においてバリ発生確率の高い部分が切り欠かれているので、そこでのバリの発生が抑制されており、もって、高い信頼性がある。
この切り欠きは面取りとすることが好ましい(第7の局面)。
【0012】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、第7の局面に規定の半割すべり軸受において、前記合わせ面に開口する凹部の周縁の全縁が面取りされている。
このように規定される第8の局面に規定の半割すべり軸受は、既述の第6の局面に規定の製造方法を経たものであり、高い生産性が確保されているので安価に提供可能となる。
【0013】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、第7の局面に規定の半割すべり軸受において、前記合わせ面に対する面取り面の角度(面取り角)を30〜65度とする。面取り角をかかる範囲に設定することにより、バリの発生防止が確実となり、かつ合わせ面にも十分な機械的安定性が確保される。よって、面取り角をかかる範囲とした半割すべり軸受は信頼性の高いものとなる。
ここで、面取り面が複数の面からなる場合、各々の面における面取り角が総て同じであっても良いし、異なっていても良い。異なっている場合、面取り角を30〜65度とした面と30〜65度以外とした面とが混在しても良い。合わせ面に開口する凹部の周縁における、軸受本体の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の面取り角が、30〜65度であることが好ましい。
【0014】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
軸受本体の合わせ面の外周縁から周方向に形成された凹部を備える半円筒形の半割すべり軸受の製造方法であって、
前記軸受本体の前駆体としての半円筒状の部材の周方向端面の一端側に前記凹部を形成するステップと、
前記凹部と前記部材の前記一端側の端部との間に存在する周方向端面を切り欠くステップと、
前記周方向端面を前記一端側から切削して合わせ面を形成して、軸受本体を作製するステップと、
を含む半割すべり軸受の製造方法。
このように規定される第10の局面に規定の製造方法によれば、凹部の上流側に合わせ面が存在しないので、そもそもバリが発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はこの発明の実施の形態の半割すべり軸受を示す斜視図である。
【図2】図2は同じく凹部7の拡大平面図である。
【図3】図3は、図2におけるIII−III矢視線断面である。
【図4】図4は半割すべり軸受の製造方法を示す模式図である。
【図5】図5は同じく製造方法を示す模式図である。
【図6】図6は同じく製造方法を示す模式図である。
【図7】図7は合わせ面の切削加工を示す模式図である。
【図8】図8は合わせ面と傾斜面との角度θ1とバリ発生確率を示すグラフである。
【図9】図9は他の実施形態の半割すべり軸受の主要部を示す斜視図である。
【図10】図10は他の実施形態の半割すべり軸受の主要部を示す斜視図である。
【図11】図11は他の実施形態の半割すべり軸受の主要部を示す斜視図である。
【図12】図12は他の実施形態の半割すべり軸受の主要部を示す斜視図である。
【図13】図13は他の実施形態の半割すべり軸受の主要部を示す斜視図である。
【図14】図14は図13におけるA−A矢視線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施の形態に基づき更に詳細に説明する。
図1にこの発明の実施の形態の半割すべり軸受1の斜視図を示す。
この半割すべり軸受1は、半円筒形の軸受本体3を主要部として、この軸受本体3の合わせ面5,5(図1の上端平坦面)に凹部7を備える。凹部7の下縁から位置決め部材9が突出されている。
凹部7は、一方の合わせ面5の外周縁の中央部分から、該合わせ面5に対して垂直方向に、即ち軸受本体3の周方向に形成されている。この凹部7の幅(軸受本体3の軸方向長さ)や深さ(軸受本体3の周方向の長さ)は、位置決め部材9に要求される幅や突出長さに応じて任意に選択できる。例えば、凹部7の幅は合わせ面5の幅(同じく軸受本体3の軸方向長さ)の5〜50%とすることができる。
凹部7の位置も、位置決め部材9を形成すべき位置に応じて、任意に選択できる。凹部の個数も、用途に応じて任意に選択できる。また、周方向両側の合わせ面に凹部を形成しても良い。図1の例では合わせ面5の中央に凹部7を形成したが、図13の例では合わせ面5の一端側に凹部が形成されている。
図1の例では、位置決め部材9を膨出させるダイスの軌跡として凹部7が形成されるので(図4(B)参照)、かかる凹部7は、図2に示すように、合わせ面5に開口する形状が位置決め部材9まで維持される。
なお、位置決め部材9を伴わない凹部の場合は、合わせ面5の外周縁から当該合わせ面に対して垂直方向へ例えば切削を施して形成される。この場合の凹部は相手側部材から突き出たボルト等との干渉を避けるためのものであり、その目的に応じて任意の形状が採用される。
【0017】
図1の例では、合わせ面5に開口する凹部7の全周縁が切り欠かれ、いわゆる面取りされている。より具体的には、凹部7の開口部周縁のリード面11と、該リード面11から軸方向に連続して傾斜面13、14が形成される。このリード面11と傾斜面13、14とが面取り面10となる。
なお、軸受本体3の材質やその厚さはその用途、目的に応じて任意に選択される。軸受本体3を2層構造(バイメタルタイプ)とし、その内周層(摺動層)をAl合金やCu合金製とし、外周層(凹部の形成される層)をFe合金製とすることができる。
軸受本体3の径、長さも同じくその用途、目的に応じて任意に選択される。
【0018】
次に、図1の例の半割すべり軸受1の製造方法を説明する。
先ず、軸受本体3の前駆体として半円筒状の部材23を準備し(図4(A))、ダイス24をその合わせ面25の外周縁へ干渉させて、突出部9を形成する(図4(B))。
このとき、ダイス25の軌跡として凹部7が形成される。
なお、汎用的な製造方法では、図4(B)に示す構造のワークの周方向端面25を切削して合わせ面を形成することとなる。
次に、図5(A)に示すように、部材23の周方向端面25(仕上げ前合わせ面)において凹部7が開口する部分を切削する。
この例では、円錐台形の切刃で、周方向端面25をその厚さ方向に対して少し傾斜させて、切削している。その結果、図5(B)に示すように、凹部7の周縁に平坦でかつ周方向端面25の厚さ方向に対して傾斜したリード面11が形成される。このリード面11は円錐台形切刃の先端部で形成される。リード面11の両脇には傾斜面13、14が形成されている。この傾斜面13は円錐台形の切刃の側面で形成される。
【0019】
次に、図5(B)の部材23の周方向端面25を、図6(A)に仮想2点鎖線で示す平面に沿うように、切削して合わせ面5を形成する。この仮想2点鎖線は半割すべり軸受1を相手側部材へ組み付けてなるアッセンブリの軸線を通過するものとすることが好ましい。また、面取り面10が内周面に達していないことが好ましい。即ち、上記を例にして説明すると、合わせ面5が形成された時点で、リード面11や傾斜面13、14が内周面に開口した図5(B)のような形状になっていないことが好ましい。面取り面10が内周面に達していない(合わせ面5が軸方向全長に渡って途切れることなく1面状で存在)形状であると、半割り軸受1において、油流れを乱す要因を削減することができる。また、オイルリークや油圧低下のリスクを極力低減することができて、半割り軸受1の使用において非常に好ましい。
切削の結果を図6(B)に示す。
この図6(B)の構造は、図2に示す構造と実質的に等しいので、両者において同一の要素には同一の符号を付してある。
【0020】
ここに、図6(A)に示す合わせ面の切削加工の様子を図7に模式的に示す。図7中の符号31は切削刃を示し、半円筒状の部材23に対して矢印に示す方向に相対移動される。
切削刃31は、周方向端面25に対して、切削刃31の当接方向(図7では斜め左下方向)へ力を加え、周方向端面25の材料を剥ぎとっていく。
本発明者らは、周方向端面25に対する傾斜面13の角度(面取り角)θ1を変化させたときの、バリの発生確率を検討した。結果を図8に示す。図8において各面取り角においてサンプル数は20である。
図8の結果より、面取り角θ1が65度を超えると、この傾斜面13にもバリが発生するおそれがあることがわかる。
本発明者らの検討によれば、面取り角θ1が30度未満となると、傾斜面13、更には対面側の傾斜面14の面積が大きくなって、換言すれば、合わせ面5の面積が減少するので、合わせ面5の機械的強度維持の観点から必ずしも好ましくはない。
即ち、周方向端面25に対する傾斜面13の面取り角θ1の好ましい範囲は30〜65度であり、更に好ましい面取り角は45度及びその前後である。
【0021】
バリの発生如何の観点からすれば、下流側の傾斜面14の角度は特に問題にされない。
図9には、合わせ面5に開口する凹部7の周縁において、合わせ面の切削加工形成時に上流側に位置する部分のみに面取り面40、即ちリード面41と傾斜面43を形成した例を示す。リード面41は凹部7の周縁において内側(軸受本体の中心側)の部分の一部にも形成されている。
図9に示した面取り面40は、図5(A)に示す切削時に、切刃の幅を狭くして、凹部7の周縁の一部のみに加工を施すことにより得られる。
かかる構成を採用することにより、合わせ面に広い面積を確保できる。
【0022】
図10の例では、合わせ面5に開口する凹部7の周縁において、上流側及び下流側の縁へ直接傾斜面53、54が形成されており、凹部7の周縁において内側には何ら面取りが形成されていない。かかる構成を採用することによっても、合わせ面5に広い面積を確保できる。
図10に示した面取り面50は、図5(A)に示す切削時に、切刃の側面のみが凹部7の周縁に干渉するようにし、かつ、合わせ面5の厚さ方向に対する位置合わせを制御することにより得られる。
なお、傾斜面53又は傾斜面54をあえて省略することが、合わせ面5の面積拡大の見地から、更に好ましい。
【0023】
図11の例は、図5(A)の切削加工時に、エンドミル等の棒状の回転切削工具を、その回転軸を合わせ面と平行(軸受本体3の半径方向)にして合わせ面に垂直な方向へ移動させて形成した面取り面60を示す。この面取り面60は、凹部7の周縁において、軸受本体3の軸方向上流側及び下流側において曲面を有する。当該部位が傾斜面に相当する。
また、図12の例は、図5(A)の切削加工時に、エンドミル等の棒状の回転切削工具を、その回転軸を合わせ面と垂直にして合わせ面に平行な方向へ移動させて形成した面取り面70を示す。この面取り面70では、合わせ面5に開口する全周縁を含む面が傾斜面に相当する。
図11及び図12の例で示した形成方法において例えば回転切削工具の大きさを変えたとしても、勿論、凹部7の周縁において少なくとも上流側の部分が面取りされて、バリの発生が予防されておればよい。
【0024】
図13、14には、他の実施の形態の半割すべり軸受の例を示した。
この例では、凹部7が合わせ面5の一端側に偏在して形成されている。そして、軸受本体3の端部と凹部7との間に存在する狭い壁部85の上面が、図14から明らかな通り、合わせ面5の厚さ方向に対して傾斜して切り欠かれている。
かかる切り欠き面80は、図5(A)の切削加工時に、狭い壁部85の上面のみを切削することにより得られる。かかる切削作業には高い位置合わせが要求されないので、成形性に優れる。かかる切り欠き面80を形成した後、狭い壁部85側から周方向端面25を切削して合わせ面5を形成する。
なお、切り欠き面80の内側(軸受本体3の半径方向中心側)には合わせ面5としての平坦面を残存させることが好ましい。
【0025】
この例では、合わせ面5に開口する凹部7の周縁において上流側の部分(即ち狭い壁部85)の上面が合わせ面切削用の切削刃に干渉しないように切り欠かれている。よって、バリを発生させる材料が存在しないので、バリと無縁である。
【0026】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0027】
1 半割すべり軸受
3 軸受本体
5 合わせ面
7 凹部
9 位置決め部材
11、41 リード面
13、14、43、53、54 傾斜面
10、40、50、60、70 面取り面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受本体の合わせ面の外周縁から周方向に形成された凹部を備える半円筒形の半割すべり軸受の製造方法であって、
前記軸受本体の前駆体としての半円筒状の部材の周方向端面に開口する前記凹部の周縁において、前記部材の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の全域が面取りされている前記部材を準備するステップと、
前記凹部の周縁において、前記面取りの形成された縁へ最初に切削刃が到達するように、前記周方向端面を切削して合わせ面を形成して、軸受本体を作製するステップと、
を含む半割すべり軸受の製造方法。
【請求項2】
前記部材を準備するステップは、
前記部材の周方向端面の外周縁から周方向に凹部を形成するステップと、
前記凹部の形成後に、前記周方向端面に開口する前記凹部の周縁の面取りを行なうステップと、
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記周方向端面に対する面取りの角度は30〜65度とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記面取りを形成するステップは切削による、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記周方向端面に開口する前記凹部の周縁の全周へ前記面取りを形成する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面の外周側から周方向に形成された凹部と、
前記合わせ面に開口する前記凹部の周縁において、前記軸受本体の軸方向と交差する少なくとも一方の縁の全域が切り欠かれている、半割すべり軸受。
【請求項7】
前記切り欠きにより前記凹部の周縁が面取りされている、請求項6に記載の半割すべり軸受。
【請求項8】
前記合わせ面に開口する凹部の周縁の全縁が面取りされている、請求項7に記載の半割すべり軸受。
【請求項9】
合わせ面に開口する凹部の周縁の面取り角度は30〜65度である、請求項8に記載の半割すべり軸受。
【請求項10】
軸受本体の合わせ面の外周縁から周方向に形成された凹部を備える半円筒形の半割すべり軸受の製造方法であって、
前記軸受本体の前駆体としての半円筒状の部材の周方向端面の一端側に前記凹部を形成するステップと、
前記凹部と前記部材の前記一端側の端部との間に存在する周方向端面を切り欠くステップと、
前記周方向端面を前記一端側から切削して合わせ面を形成して、軸受本体を作製するステップと、
を含む半割すべり軸受の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−11333(P2013−11333A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145860(P2011−145860)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】