説明

半固体粘膜接着製剤

改善された技術的または官能的特徴をもつ膣内適用のための半固形粘膜接着性製剤であって、少なくとも2種類の生体接着性ゲル化ポリマー、ならびにヒトまたは動物の様々な病変および疾患の予防および/または治療に有用な有効成分を含む前記製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本願発明は、少なくとも2種類の生体接着性ゲル化ポリマーおよび有効成分を含む膣内適用のための半固形粘膜接着性製剤に関する。同様に、本願発明はそれらの調製方法、ならびにヒトまたは動物の様々な病変および疾患の予防または治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野
生体接着という用語は、程度の差はあれ長期間にわたり組織とその材料との密な接触をもたらす、生体膜に接着する天然または合成の材料の能力を規定するために使用される。粘膜接着は前記組織が粘膜である生体接着の特別なケースに関する。
【0003】
これらの概念は薬物投与におけるそれらの潜在的な適用により著しく大きな注目を受けた。生体接着メカニズムに関して議論があるとはいえ、ほとんどの研究者が、この現象が吸収部位にて医薬形態の滞留時間を延ばし、そして薬物の生物学的利用能の増加をもたらすかもしれないと着目していることを認める。
【0004】
制御放出性の生体接着性製剤は、薬物ポリマー複合体と組織表面の間の接触の密着度および継続時間を増加させて特定の組織に位置して、効果的なレベルと有毒なレベルの間に薬物濃度を維持するのを支援して、治療の効果および/または安全を改善することができる。
【0005】
さらに、生体接着性組成物は局所(例えば、膣内)投与される場合、肝臓を通る初回通過代謝を受けない。
【0006】
生体接着性医薬品は、様々な形態(粒子、懸濁液、錠剤、坐剤、ゲルなど)で存在し、そして様々な経路(眼内、経鼻、膣内、消化管、直腸、経皮など)によって投与されうる。
【0007】
治療が成功するようにいくつかの困難を克服しなければならないが、薬物の膣内経路による薬物投与は特定の症例において好ましい選択肢であるかもしれない。
【0008】
この経路に使用される製剤は、患者の治療を終了させない副作用を引き起こさないために慎重に設計されるべきである。錠剤と坐剤は不快症状(刺激)を引き起こすかもしれず、オビュール(ovules)およびクリームは過剰な膣内の流動を引き起こすかもしれないことがわかった。
【0009】
さらに、膣の解剖的および生理学的な特徴のために、組成物がその壁面に接着したままで長期間この領域で薬物を放出することを実現することは非常に困難であるため、組成物に良好な生体接着性特性があることは好ましい。
【0010】
文献EP 0431719、EP 0500807、EP 0719146、WO 96/10989、WO 99/13862およびWO 01/24788は、様々な有効成分を含む架橋カルボン酸ポリマー(Polycarbophil)およびゲル化ポリマー(好ましくは、Carbopol(登録商標)934P)を用いた生体接着性製剤を開示する。
【0011】
文献FR 2609391およびGB 2199495は、少なくとも1種類の親水性ポリマー(NaCMC、HPMC、またはCarbopol(登録商標))、および薬物(ナイスタチンかイミダゾール型の抗真菌剤)で形成された膣内適用生体接着性坐剤を開示する。
【0012】
文献WO 85/02092は、架橋カルボキシ−機能性ポリマー(Polycarbophil)および治療薬を含む皮膚または粘膜への適用のための生体接着性組成物を開示する。
【0013】
文献US 5942243は、1種類以上の薬物(クロトリマゾール、ノノキシノール−9、プロゲステロンなど)および熱可塑性コポリマーを含むハイドロゲル形態の粘膜接着性組成物を開示する。
【0014】
文献EP 0818194は、カルボキシル基で架橋したポリマー(Stablese、Carbopol(登録商標)934P)、水溶性ポリマー(Gantrez、NaCMC)、およびポリヒドロキシル化化合物(グリセリン、プロピレングリコール)を好ましくは含む生体膜接着性水和組成物を開示する。それらは薬物(抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス薬、殺精子剤など)を場合により含みうる。
【0015】
文献WO 97/15314は、過酸化物(過酸化水素)の源、緩衝系(クエン酸/クエン酸塩)、水溶性生体接着性ポリマー(Carbopol(登録商標)974P)、および、場合により追加の治療薬(ノノキシノール9など)を含むゲルの形態の膣内医薬組成物を開示する。
【0016】
文献WO 98/20872は、ハイドロゲル形成剤(Carbopol(登録商標)、ポビドン、NaCMCなど)中に殺菌剤脂質(モノカルピン(monocarpin))を含む局所製剤を開示する。
【0017】
文献WO 98/05303は、粘膜症の局所治療に役立つPolycarbophilおよび抗真菌剤または(イミダゾールまたはトリアゾール型の)抗原虫薬の粘膜接着性複合体、ならびにそれらを含むゲル製剤を開示する。
【0018】
文献WO 00/47144は、カラゲーニン、アガロース、アクリル酸ポリマー(Pemulen)、またはPolycarbophil、および治療薬の相乗製剤ベースの膣内生体接着性組成物を開示する。
【0019】
文献WO 00/50078は、少なくとも1種類の抗原および生体接着剤(HPMC、Carbopol(登録商標)、Polycarbophil)を含む粘膜上への適用のためのミクロスフェアを開示する。
【0020】
要するに、必ずしも成功したとは限らないが、多くの生体接着性医薬製剤がここ数年で研究されてきた。そのため、特に膣内適用のための、最適な生体接着性と官能特性を持つ新規組成物を必要としている。
【0021】
膣は、3つの組織層:粘膜、筋肉および外膜、から成る中空の線維筋性の管である。
【0022】
膣粘膜は、分泌腺を欠き、層状の非角化扁平上皮によって形成される。
【0023】
膣上皮はホルモンに敏感であり、形態学的にも機能的にも、周期的、かつ年齢依存性の変化を示す。物理的な萎縮は思春期まで生じる。上皮は、卵巣ホルモンの作用により思春期の間にその厚さを増し、そしていったん閉経が始まれば程度の差はあるが萎縮し始めるのに抵抗を増す。
【0024】
膣粘膜は、膣上皮に似た上皮を含み、外陰粘膜を形成して、外性器内に外側に向かって続いている。
【0025】
膣は、ラクトバチルス(lactobacillus)が優勢である混成細菌フローラが定着している。閉経に至るまで、通常のpHは3.5〜4.5の間にある。閉経後の女性において、膣のpHは比較的に高くなり、ラクトバチルスのコロニーを失う。
【0026】
特定の状況下、外陰膣部位の生理学的な機能が炎症または感染性病変の保持を容易にするかもしれない。
【0027】
膣粘膜に影響を与え、外陰部にも影響を与えるかもしれない炎症状態は外陰膣炎と呼ばれる。それらは感染症、過敏、アレルギー、または全身性疾患を含めた複数の原因に伴うものであるかもしれない。
【0028】
特に小児外陰膣炎において、過剰な膣の痒みの症状の放出のために、通常(皮膚または外部粘膜上への)アドレノコルチコイドの局所投与に頼る。
【0029】
外陰膣感染は、それらの病因に依存して、経口または膣内経路による異なる薬物、例えば消毒薬、抗生物質、抗真菌剤、または抗ウイルス薬、での治療を必要とする。
【0030】
萎縮性外陰膣炎は、それらの原因によって有効成分を含まないかまたはエストロゲンを含む局所用水和ゲル(膣内)によって通常治療される。
【0031】
局所的な不具合にも全身的な疾患にも対処するための、膣内経路による治療に関する他の適用も存在する。
【0032】
妊娠することまたは妊娠を維持することの困難性または不可能性は、妊娠可能年齢の女性の黄体期(luteum phase)の刺激/後押しを必要とするかもしれない。
【0033】
同様に、度重なる流産または流産の脅威において、膣内経路による天然プロゲステロンの経験的投与が使用される。
【0034】
ホルモン投与は、生殖補助プログラムにおいて、好ましくは天然プロゲステロンを経口経路および膣内経路の両方によって(様々な技術により)一般に使用される。エストリオールがこれらのプログラムのいくつかにおいて膣内経路によって同様に投与される。
【0035】
妊娠の誘導または完結のために、子宮頚部の成熟および拡張、そして子宮刺激を目的としてプロスタグランジンまたはそのアナログが投与される。
【0036】
瘢痕性病変、例えば会陰切開分娩後または頸部円錐切除後、において、治癒を助ける薬物が通常局所的に投与される。
【0037】
さらに、避妊方法の必要性を考慮して、膣内経路によるゲスターゲンとエストロゲンの投与が提案された。
【発明の開示】
【0038】
本発明の概要
そのため、高い生体接着能力、非刺激物または患者にとって不快な容易に適用される膣内粘膜接着性医薬組成物であって、所望の予防的および/または治療的目的に合致した有効成分の放出を許容するものの必要性が存在する。
【0039】
当該発明の発明者らは、ジビニル・グリコールで架橋した少なくとも1つのポリアクリル酸タイプの第1の生体接着性ゲル化ポリマーと、アリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋したアクリル酸に由来する少なくとも1つの第2の生体接着性ゲル化ポリマーの組み合わせが、得られるべき良好な生体接着能力をもつ半固形製剤をもたらすことを見出した。すなわち、それは、患者により大きな不快感を起こすことなくその上での最善の作用を確保する、薬理学的活性物質と生体膜との長期間の直接的な接触を可能にする。
【0040】
ポリマーのこの組み合わせは、得られる製剤が水和していて、それらの高い生体接着と共に、予防的または治療的の処置の結果を改善することに貢献する好ましい官能特性を持っていることを同様に意味する。
【0041】
その結果、本発明の第1の側面は、少なくとも以下の:
− 製剤の0.1重量%〜5重量%の分量のジビニル・グリコールで架橋されたポリアクリル酸タイプの第1の生体接着性ゲル化ポリマー、
− 製剤の0.1重量%〜5重量%の分量のアリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋されたアクリル酸に由来する第2の生体接着性ゲル化ポリマー、
− 製剤の0重量%〜20重量%の分量の水和剤/湿潤剤、
− 製剤の0重量%〜50重量%の分量の油脂/脂溶性成分、
− 製剤の0重量%〜70重量%の分量の可溶化剤/乳化剤、
− 製剤のpHを2〜6に位置づけるために十分な量の中和剤、
− 薬理学的活性物質、
− 製剤を完成させるのに十分な量の水、
を含む半固形の粘膜接着性製剤に関する。
【0042】
さらに、当該発明のポリマーの組み合わせは得られた粘膜接着性ゲルが高い汎用性を示すことを意味する。よって、それらは優れた生体接着を維持し、かつ、予防的または治療的効能を達成する非常に様々な分量の薬物(製剤100グラム当たり数百分の一〜数十分の一グラムの有効成分)を含むことができる。
【0043】
同様に、当該発明の粘膜接着性製剤の成分の質的および量的な選定が、薬物の輸送特性を、適用に一定の間隔をあけ(1日に、もしくはそれ以上に1回の適用)、そして/または安全な製品を得ることを可能にして、各々の症例で模索された予防的および/または治療的目的に合わせることを可能にする。
【0044】
要するに、当該発明の製剤は膣内経路によって容易に適用されることができて、良好な生体接着能力を有し、患者に過敏または不快感を引き起こすことなく、水和特性を有し、そして各々の臨床条件について所望の特徴に合致した薬理学的活性物質の制御放出を可能にする。
【0045】
当該発明の他の側面は、当該発明の粘膜接着性製剤の調製方法に関する。
【0046】
当該発明の他の側面は、様々な膣の病理および疾患の予防および治療のための薬物の調製における当該発明の粘膜接着性ゲルの使用に関する。
【0047】
本発明の詳細な説明
本願発明で使用されるべき好ましい生体接着性ゲル化ポリマーの種類は、B.F.Goodrich Chemical社製からCarbopol(登録商標)(Carbomer)という名称で市販されているアリル・スクロースまたはペンタエリトリトールのアリル・エーテルによって架橋されたアクリル酸ポリマーを含むものである。Carbopol(登録商標)934Pは、膣内投与の理想的な候補と通常考えられる。驚いたことに、当該発明の製剤の開発中、他のポリマー、例えばCarbopol(登録商標)971Pが非常に良好な結果を上げて使用されうることを見出した。
【0048】
当該発明で使用される生体接着性ゲル化ポリマーのもう一方の好ましい種類は、Noveon(登録商標) AA-1 Polycarbophil USP(Polycarbophil AA1)の商標で市販されているジビニル・グリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーを含むものである。
【0049】
特にCarbopol(登録商標)971P NFとPolycarbophil AA1の組み合わせは、当該製剤に優れた生体接着性特性を与える。
【0050】
当該発明の態様は、少なくとも以下の:
− 製剤の0.1重量%〜5重量%の分量の、ジビニル・グリコールで架橋されたポリアクリル酸タイプの第1の生体接着性ゲル化ポリマー、特にPolycarbophil AA1、
− 製剤の0.1重量%〜5重量%の分量の、アリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋されたアクリル酸に由来する第2の生体接着性ゲル化ポリマー、特にCarbopol(登録商標)971P、
− 製剤の0重量%〜20重量%の分量の、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4、PEG-6、PEG-8)、ポリグリセロール、(例えば、ジグリセロールまたはトリグリセロール)、ソルビトール、ペンタエリトリトール、メチル・グルコース・エーテル誘導体から成る群から選ばれる水和剤/湿潤剤、
− 製剤の0重量%〜50重量%の分量の、パラフィン、ワセリン、鉱油、植物油(例えば、パーム、トウモロコシ、落花生)、硬化植物油からなる群から選ばれる油脂/脂溶性成分、
製剤の0重量%〜70重量%の分量の、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(例えば、Labrafil M1944)、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体(例えば、Cremophor EL)、リン脂質およびその混合物(例えば、卵レシチン、大豆レシチンなど)、ポリオキシエチレン・ソルビタンの脂肪酸エステル(例えば、Polysorbates 60および80)、アルキル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、ソルビタン・エステル、グリセリル・モノステアラート、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、ポリオキシエチレン・ステアラート)から成る群から選ばれる可溶化剤/乳化剤、
− 製剤のpHを2〜6に位置づけるために十分な量の、NaOH、KOH、およびトリエタノールアミンの水溶液から成る群から選ばれる中和剤、
− 薬理学的活性物質、ならびに
− 製剤を完成させるのに十分な量の水、
を含む半固形の粘膜接着性製剤に関する。
【0051】
より好ましい態様において、Polycarbophil AA1は製剤の0.5重量%〜2.5重量%、より好ましくは0.75重量%〜1.5重量%の分量で使用されるのに対して、Carbopol(登録商標)971Pは製剤の0.1重量%〜1重量%、より好ましくは0.25重量%〜0.5重量%の分量で使用される。
【0052】
当該発明の製剤が水和剤を含む場合、好ましくは、これは上記製剤の5重量%〜15重量%の分量で存在する。
【0053】
それらが油脂および/または可溶化成分を含む場合、好ましくは、これは製剤の5重量%〜50重量%、より好ましくは10重量%〜40重量%の分量で存在する。
【0054】
乳化剤を同様に含む必要がある場合、好ましくは、これは製剤の0.1重量%〜15重量%の分量で存在する。
【0055】
前述の成分に加えて、当該発明の製剤は他の医薬として許容される添加剤を同様に含みうる。
【0056】
通常の添加剤は、製剤の0.02重量%〜1重量%の分量で、パラベンおよびその塩(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、ソルビン酸およびその塩、安息香酸およびその塩などから選ばれる防腐剤を含む。
【0057】
使用されうる他の添加剤は、pH調整剤、調味料、着色料、および浸透剤である。
【0058】
pH調整剤は、HCl、乳酸、および酢酸の水溶液から選ばれる酸性化剤を含む。
【0059】
当該発明の製剤を使って投与されうる薬理学的活性物質は、これだけに極端に制限されることなく、以下の:ホルモン、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、性感染症に対する活性物質(抗STD)、殺精子剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、平滑筋弛緩剤(鎮痙剤)、陣痛誘発剤(プロスタグランジン)など、を含む。
【0060】
限定されない例として、我々は以下のものを挙げることができる:
エストロゲン:エストリオール、17-β-エストラジオール。
【0061】
プロゲスターゲン:プロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン。
【0062】
抗原虫薬:メトロニダゾール。
【0063】
抗菌剤:クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ペニシリン(アンピシリン、メチシリン)、セフォロスポリン、テトラサイクリン(ドキシサイクリン)、バシトラシン、リンコマイシン、コリスチン、ポリミキシンB、バンコマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、トレプトマイシン、エリスロマイシン、アミカシン、トブラマイシン。
【0064】
抗真菌剤:クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、フェンチコナゾール、チオコナゾール、セルタコナゾール、オキシコナゾール、イトラコナゾール、ブタコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、トロコナゾール、フルコナゾール、エコナゾール、ナイスタチン、アンホテリシンB。
【0065】
殺精子剤特性を持つ抗ウイルス薬(抗HIV、抗ヘルペス):ノノキシノール−9、オクトキシノール-9、メンフェゴール。
【0066】
局所麻酔剤:テトラカイン、メピバカイン、リドカイン、ベンゾカイン、プロカイン。
【0067】
抗炎症性コルチコステロイド(グルココルチコイド):ベータ・メタソン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、モメタソン。
【0068】
非ステロイド系抗炎症薬:ジクロフェナク、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、メロキシカム、ピロキシカム。
【0069】
平滑筋弛緩薬(β-アドレナリン作動薬):テルブタリン、リトドリン、イソクスプリン、フェノテロール、サランブトール、ヘキソプレナリン、メタプロテレノール、ビトルテロール、およびピルブテルプル。
【0070】
陣痛誘発剤(プロスタグランジンおよびアナログ):PGE2(ジノプロストン)、PGF2α(ジノプロスト)、カルボプロスト、スルプロストン、ミソプロストール、ゲメプロスト。
【0071】
当該発明の特に好ましい態様は、製剤の10〜50重量%の天然微粉末化プロゲステロンを含む生体接着性製剤に関する。これらの組成物は、黄体期欠損の治療、特に体外受精法(IVF)、に役立つ。
【0072】
他の特に好ましい態様は、製剤の0.001〜1重量%の分量のエストリオールを含む粘膜接着性製剤に関する。これらの組成物はエストロゲン不足による泌尿生殖器の萎縮の治療または予防に役立つ。
【0073】
他の特に好ましい態様は、製剤の1〜50重量%のクロトリマゾールを含む生体接着性製剤に関する。これらの組成物は膣カンジダ症の治療または予防に役立つ。
【0074】
他の特に好ましい態様は、製剤の1〜30重量%のクリンダマイシンを含む粘膜接着性製剤に関する。これらの組成物は病原菌による膣炎の治療または予防に役立つ。
【0075】
本発明の粘膜接着性組成物は、比較的に効果的で安全な用法・用量を得ることを可能にする、膣表面全体の上に層を形成するのに十分な分量、通常1〜5グラムで用いられる。
【0076】
この目的で使用されることができるデバイスは、当該技術分野の中で知られるもののいずれか、例えばプランジャをもつアプリケーター、である。
【0077】
当該発明の粘膜接着性製剤を調製するために使用されることができる方法の1つは、以下のステップ:
1−蒸留水中に防腐剤を溶かし、必要であれば、ポリマーが以降のステップでゲル化しないように好適なpH(約2.5〜3.5)を得るまで酸性化剤を加え、
2−先のステップの溶液にゲル化ポリマーを添加し、完全な分散液を得るまで強く撹拌し、
3−先のステップの混合物に中和剤を添加し、ポリマーのゲル化およびに膣内適用に好適なpH(約4〜5)に達するまでそれを撹拌し、そして
4−先のステップから得られたゲルに上記製剤の他の成分を加える、
を含む。
【0078】
あるいは、そして特に、水溶性の活性物質の場合、他の成分はゲルを形成する前に組み込まれる。
【0079】
さらに、脂溶性有効成分を、ゲル中に組み込まれる前に水和剤/湿潤剤中に溶解または分散させる。
【0080】
当該発明の粘膜接着性製剤を得るために使用されうる他の方法は、以下のステップ:
1’−蒸留水中に防腐剤を溶かし、ポリマーが以降のステップでゲル化しないような好適なpHを得るまで酸性化剤を添加し、
2’−先のステップの溶液にゲル化ポリマーを添加し、完全な分散液を得るまで強く撹拌し、
3’−油脂/脂溶性成分、および可溶化剤/乳化剤から成る混合物に有効成分を加え、
4’−ステップ2’の混合物をステップ1’の分散液に添加し、
5’−ポリマーのゲル化および膣内適用に好適なpHに達するまで中和剤を添加する、
を含む。
【0081】
前述のものを害することなく、当業者に知られるいずれかの他の方法が当該発明の製剤を調製するために使用されうる。
【0082】
分析
当該発明の製剤の特性を、以下の限定されないインビトロおよびインビボの分析を通して明らかにする:
1−インビトロにおける生体接着性アッセイ
この特性を計測するのに使用される装置は、質感分析器(texture analyser)、例えば英国のStable Micro Systems製のTA-XT 2I組織分析器であり、そして方法は、以下に記載の特定の変更を伴うJ. Pharm. Sci. 2, 1999中にPeh, K.らによって説明されたものである。
【0083】
蒸留水でわずかに湿らせたなめし革膜をユニットの可動式上部支持具に取り付ける。直径約4cmの円形を形づくるのに必要な量のゲルを上記組織分析器の下部プラットフォーム内に挿入する。
【0084】
前記膜が前記ゲルと接触するようになるまで、当該膜を下方に動かし、そして規定の力を加えた(30秒間0.1kg)。次に、規定の速度(1mm/s)で膜を上方へ動かして、分離を開始する。
【0085】
様々な製剤の粘膜接着性を評価するために、接着力および接着効果を測定する。ゲルが膜から完全に離れた時に接着力に相当する測定が得られる。接着効果はゲルが離れるのに対抗する力を時間に対して表した場合に、得られた曲線下の面積から計算される。各ゲルを5回一組で分析する。
【0086】
(25℃の温度で)前述の方法を使用して、以下に規定される製剤A〜Hの生体接着性を測定した。
【0087】
製剤A:
クロトリマゾール 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤B:
プロゲステロン 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
プロピレングリコール 10%
Cremophor 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤C:
プロゲステロン 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
プロピレングリコール 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤D:
エストリオール 0.05%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
Cremophor 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤E:
エストリオール 0.05%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤F;市販の(Crinone(登録商標))
プロゲステロン 8%
製剤G:
プロゲステロン 8%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
プロピレングリコール 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤H:
プロゲステロン 8%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
プロピレングリコール 10%
Cremophor 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
得られた結果を表I、ならびに図1および2に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
これらの結果の分析は、市販の製剤(製剤F)を用いて得られた値を上回り、当該発明のゲルが優れた生体接着能力を有するという結論を導く。
【0090】
この特徴は活性成分の高添加においてさえも維持され(製剤A、B、およびC)、それぞれ、プロゲステロンによるIVF治療、およびクロトリマゾールによる抗真菌薬処置の場合に上記製剤の毎日の適用または単回適用が模索される状況において有用である。
【0091】
2−インビボにおける生体接着性アッセイ
当該研究に、20匹の卵巣摘出した、および20匹の卵巣摘出していない、合計40匹の雌ウィスター・ラットを使用した。20匹の手術を受けたラットを、それぞれ動物5匹ずつの4群に無作為に分配した(群1A〜4A)。20匹の手術を受けていないラットを同じ方法で分配した(群1B〜4B)。
【0092】
実施例5の製剤を、8群40匹のラットに150μLの量で、膣内経路によってカニューレを使って局所投与した。ゲルが漏れるのを防ぐために、動物を一時的に尾から軽くつるしたままにしてもよい。
【0093】
投与の1時間後に、膣スメア法を群1Aおよび1Bの各々のラットに実施した。同じことを、2時間後に群2Aおよび2Bの各々のラットについて、4時間後に群3Aおよび3Bのラットについて、ならびに6時間後に群4Aおよび4Bの動物について実施した。
【0094】
自然な排除は40匹のラットの膣粘膜へのゲルの残留を許容し、そして1週間後に、それらの全てに研究している製剤を150μLの量で投与した。
【0095】
投与の8時間後に、膣スメア法を群1Aおよび1Bの各々のラットで実施した。投与の10時間後に群2Aおよび2Bの各々のラットで、11時間後に群3Aおよび3Bのラットについて、そして12時間後に群4Aおよび4Bの動物についてスメア法を実施した。
【0096】
再び、自然な排除が全てのラットの膣粘膜へのゲルの残留を許容し、そして前記段落の方法を繰り返し、この場合、それぞれ群1、2、3、および4について15、18、21、および24時間後にスメア法を実施した。
【0097】
よって、以下の研究計画:
群1A:1、8、および15時間後にスメア法を実施した卵巣摘出ラット、
群2A:2、10、および18時間後にスメア法を実施した卵巣摘出ラット、
群3A:4、11、および21時間後にスメア法を実施した卵巣摘出ラット、
群4A:6、12、および24時間後にスメア法を実施した卵巣摘出ラット、
群1B:1、8、および15時間後にスメア法を実施した非卵巣摘出ラット、
群2B:2、10、および18時間後にスメア法を実施した非卵巣摘出ラット、
群3B:4、11、および21時間後にスメア法を実施した非卵巣摘出ラット、
群4B:6、12、および24時間後にスメア法を実施した非卵巣摘出ラット、
をもたらした。
【0098】
塗抹標本をアルシアン・ブルーで染色して、Journal of Controlled Release 77, 1-6(2001)中にKockischらによって提案された方法に従って粘膜接着性を評価した。
【0099】
結果を図3および4に示す。
【0100】
卵巣摘出ラットに対するそれらの投与の24時間後の、および手術を受けていないラットにおいて12時間後の粘膜にゲルがまだ接着したままであり、結果の分析はインビトロでの分析で示された高い生体接着能力がインビボにおいても証明されたという結論を導いた。
【0101】
3−エストリオール製剤のインビトロでの移動アッセイ
移動特性を測定するために使用した装置は、微量透析器、例えば米国のMembrane Filtration Products社によるQuix Sep(登録商標)であり、そして方法は、以下に記載の特定の変更を伴い、Proceed. Int. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 1998中にSenel, S.らによって、または、Int. J. Pharm., 2002中にJ. Y.らによって説明された方法に類似している。
【0102】
約1gのゲルを、微量透析デバイス中に置き、そして6,000〜8,000Damの分子排除サイズのCellu Sep(登録商標)T2膜で覆う。
【0103】
前記システムを25〜50mlの緩衝液中に入れ、媒質撹拌機にかけた状態に保つ。
【0104】
1mlの溶液媒体を規定の時間に採取し、そしてそれを新鮮な溶液と交換する。
【0105】
得られたサンプルを、蛍光分光分析(χ励起=280nm、χ発光=312nm)によって定量する。
【0106】
標準溶液(0.05〜10μg/ml)についての蛍光値によって検量線を作成して、様々なサンプルのエストリオール濃度を得るために使用する。
【0107】
以下に規定される製剤J〜Rの移動特性を前述の方法を使って測定する。
【0108】
製剤J:
エストリオール 0.05%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.0%
プロピレングリコール 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤K:
エストリオール 0.05%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤L:
10%のCremophorも含むことを除いて、製剤Kと同じである。
【0109】
製剤M:
5%のパラフィンも含むことを除いて、製剤Kと同じである。
【0110】
製剤N:
10%のグリセリンの代わりに10%のプロピレングリコールを伴うことを除いて、製剤Kと同じである。
【0111】
製剤O:
5%のLabrafilを含むことを除いて、製剤Kと同じである。
【0112】
製剤P:
5%のワセリンを含むことを除いて、製剤Kと同じである。
【0113】
製剤Q:
エストリオール 0.005%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.0%
グリセリン 10%
NaOH pH4.5に適量
水 100%に適量
製剤R:
10%のCremophorを含むことを除いて、製剤Qと同じである。
【0114】
得られた結果を図5および6に示す。
【0115】
それらのアッセイは、ポリマーおよび他の賦形剤の質的および量的な選定が各々の場合において模索されている目的に合致した有効成分の様々な移動特性を我々に与えてくれるという結論を導いた。
【0116】
この特徴は、用量依存的な副作用をもつ薬物を含むゲルにおいて、例えばエストロゲンの場合、特に重要である。
【0117】
4−エストリオール製剤のインビボにおける移動および効果の試験
当該研究は、卵巣摘出ウィスターHan雌ラットを合計32匹使用し、それらを各々8匹ずつ以下の4群に分配した(2匹/檻):
群1:製剤T(0.125mgのエストリオール)で処置した
群2:製剤E(0.125mgのエストリオール)で処置した
群3:製剤Q(0.0125mgのエストリオール)で処置した
群4:製剤S(0.005mgのエストリオール)で処置した
製剤E:先に詳述した。
【0118】
製剤Q:先に詳述した。
【0119】
製剤S:それぞれ0.05%および0.005%のエストリオールの代わりに0.002%のエストリオールを含むことを除いて、製剤EおよびQと同じである。
【0120】
製剤T:0.1%のエストリオールを含む市販のもの(Ovestinon(登録商標))。
【0121】
前記医薬製剤を、最初の製剤について125μL、そして残りの3種類の製剤について250μLの量で、膣内経路によってカニューレで局所投与した。
【0122】
卵巣摘出術の15日後に、角化細胞の不存在を測定して全てのラットで更年期状態を確認するまで、毎日の膣スメア法を各ラットで実施した。
【0123】
非角化細胞を検出したのと同じ日に、0.1mL血液サンプルを各ラットから抜いて、酸素免疫測定法(EIA)(Oxford Biomedical Commercial Kit)によってエストリオールの基準レベルを測定した。
【0124】
翌日、4種類の製剤を4つの実験群に与え、そして0.25mLの血液サンプルを30分後、ならびに1、2、4、6、8、24、および48時間後に採取した。
【0125】
最初の膣スメア法を、最後のサンプリング(48時間)と同時に実施した。角化細胞の出現まで毎日の膣スメア法を行い続けて、その後実施するのをやめた。
【0126】
エストリオールの血漿レベルの測定
前記血液サンプルを12000rpmで2分間遠心分離機にかけて血漿を得、その血漿を−20℃で凍らせた。最後の血液サンプルを抜いた時点で(48時間)、その血漿サンプルからエストリオールを抽出し、それをEIAによって直ちに測定した。
【0127】
得られた結果を表IIに示す。
【0128】
【表2】

【0129】
エストロゲン活性の測定
外陰部を通して、1mLの無菌生理食塩溶液をラットの膣に導入し、浸出物の抽出を慎重に実施した。そして塗抹を広げた。各々のラットに関して2つの塗抹を実施し、それを固定し、そして一方はDiff-Quick法を、もう一方はPapanicolau法を使用して染色した。
【0130】
前記製剤の各々による治療の効果を、Allen-Doisy試験による角化膣上皮の出現によって観察した。これはエストロゲン活性試験である。白血球の消失と膣スメア法での角化細胞の出現は陽性の結果を構成する。
【0131】
得られた結果を表IIIに示す。
【0132】
【表3】

【0133】
得られた結果の分析は、2〜50倍低い濃度を有するにもかかわらず当該発明の製剤(E、Q、S)が市販の製剤(製剤T)の治療効果に類似した治療効果を示すという結論を導いた。
【実施例】
【0134】
本発明を以下の限定されない実施例によって例証する:
1−0.002%エストリオール・ゲルの製造方法
好適な容量のタンク中で、2kgのグリセリンと0.4gのエストリオールを混ぜ合わせる。それを完全に溶かすまで300r.p.m.で撹拌する(約12時間)。
【0135】
ターボ型撹拌システムを備えた好適な容量の他のタンク中で、17.2kgの脱塩水を添加し、そして900r.p.m.の一定した撹拌状態で、(32gのメチルパラベンに相当する)36.63gのメチルパラベン・ナトリウムと、(4gのプロピルパラベンに相当する)4.49gのプロピルパラベン・ナトリウムをゆっくりと加える。そしてそれを37%のHClで酸性にする(pH=3.0〜3.5に適量)。
【0136】
5分間、500r.p.m.で撹拌する。撹拌した状態で、300gのPolycarbophilと100gのCarbopol(登録商標)971Pをゆっくり加える。混ぜ合わせが終わったら、完全な混合物を達成するまで、900r.p.m.で30分間撹拌し続ける。
【0137】
タンクを覆い、そして2時間休ませるために前段階を放置し、ゲル化剤の完全な湿潤を達成する。
【0138】
グリセリン中のエストリオール溶液を、ターボ撹拌器を接続した状態で、ゲル化剤を用いて得られた分散液に加える。20分間撹拌する。
【0139】
10%水酸化ナトリウム溶液を、撹拌し続けている状態で前ステップにて得られた分散液にゆっくり加える。撹拌を15分間続ける。
【0140】
得られたゲルのpHを調節する必要がある場合、10%NaOHまたは10%HClを用いて調節して、4.5〜5.5の最終pH値を得る。脱塩水を用いて重量を調整し、そしてよく混合する。ゲルを真空(0.8bar)中で2時間脱気する。
2−プロゲステロン製剤
プロゲステロン 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
プロピレングリコール 10%
Cremophor 10%
メチルパラベン 0.15%
プロピルパラベン 0.05%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
KOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
3−プロゲステロン製剤
プロゲステロン 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
大豆レシチン 0.4%
Labrafil 37.5%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
4−プロゲステロン製剤
プロゲステロン 12.5%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
大豆レシチン 0.4%
Labrafil 25%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
5−プロゲステロン製剤
プロゲステロン 15%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
Polysorbate 60 8%
Labrafil 45%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
6−プロゲステロン製剤
プロゲステロン 20%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
Polysorbate 80 10%
落花生油 50%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
7-エストリオール製剤
エストリオール 0.05%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
メチルパラベン 0.15%
プロピルパラベン 0.05%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
KOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
8-エストリオール製剤
エストリオール 0.005%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.5%
Polycarbophil AA-1 1.5%
グリセリン 10%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
9-クロトリマゾール製剤
クロトリマゾール 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
グリセリン 10%
Cremophor 10%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
KOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
10-クロトリマゾール製剤
クロトリマゾール 25%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
大豆レシチン 0.4%
Labrafil 37.5%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.02%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
11-クリンダマイシン製剤
クリンダマイシン 10%(w/w)
Carbopol(登録商標)971P 0.25%
Polycarbophil AA-1 0.75%
プロピレングリコール 10%
メチルパラベン 0.16%
プロピルパラベン 0.05%
HCl 37% pH2.5〜3.5に適量
NaOH 10% pH4.5に適量
水 100%に適量
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】当該発明による5種類の製剤(A、B、C、D、およびE)のインビトロにおける(面積に関して示された)生体接着性を説明するグラフ。
【図2】当該発明による2種類の製剤(GおよびH)と、市販の製品(F)のインビトロにおける生体接着性の比較を説明するグラフ。
【図3】卵巣摘出ラットの膣粘膜への0.005%エストリオール製剤のインビボにおける生体接着性を説明するグラフ。
【図4】非卵巣摘出ラットの膣粘膜への0.005%エストリオール製剤のインビボにおける生体接着性を説明するグラフ。
【図5】当該発明による4種類の製剤(K、L、Q、R)のインビトロにおける移動特徴を説明するグラフ。
【図6】様々な賦形剤(J、K、M、N、O、P)を伴う6種類の0.05%エストリオール製剤のインビトロにおける移動特徴を説明するグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
− 当該製剤の0.1重量%〜5重量%の分量の、少なくとも1種類の第1の生体接着性ゲル化ポリマーであって、ジビニル・グリコールで架橋したポリアクリル酸型のもの、
− 当該製剤の0.1重量%〜5重量%の分量の、少なくとも1種類の第2の生体接着性ゲル化ポリマーであって、アリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋したアクリル酸由来のもの、
− 当該製剤の0重量%〜20重量%の分量の、少なくとも1種類の水和剤/湿潤剤、
− 当該製剤の0重量%〜50重量%の分量の、少なくとも1種類の油脂/脂溶性成分、
− 当該製剤の0重量%〜70重量%の分量の、少なくとも1種類の可溶化剤/乳化剤、
− 当該製剤のpHを2〜6に位置づけるために十分な量の、少なくとも1種類の中和剤、
− 少なくとも1種類の薬理学的活性物質、
− 当該製剤を完成させるのに十分な量の水、
を含むことを特徴とする半固形粘膜接着性製剤。
【請求項2】
前記のジビニル・グリコールで架橋したアクリル酸ポリマーがPolycarbophil AA1であることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記のアリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋したアクリル酸ポリマーが、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、Carbopol(登録商標)980、およびCarbopol(登録商標)981から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記のアリル・スクロースまたはアリル・ペンタエリトリトールで架橋したアクリル酸ポリマーがCarbopol(登録商標)971Pであることを特徴とする、請求項1または3に記載の製剤。
【請求項5】
前記水和剤/湿潤剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ソルビトール、ペンタエリトリトール、およびメチル・グルコース・エーテル誘導体から成る群から選ばれる、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記油脂/脂溶性成分が、パラフィン、ワセリン、鉱油、植物油、および硬化植物油から成る群から選ばれる、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記可溶化剤/乳化剤が、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ヒマシ油、リン脂質、およびその混合物のポリオキシエチレン化誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン、アルキル硫酸ナトリウム、ソルビタン・エステル、グリセリル・モノステアラート、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、およびポリオキシエチレン・ステアラートの脂肪酸から成る群から選ばれる、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記中和剤が、NaOH、KOH、およびトリエタノールアミンの水溶液から成る群から選ばれる、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記薬理学的有効成分が、ホルモン、抗菌剤、抗真菌剤、抗原虫薬、抗STD剤、殺精子剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、陣痛誘発剤、および平滑筋弛緩薬から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
当該製剤の0.02重量%〜1重量%の分量で、パラベンおよびその塩、安息香酸およびその塩、ならびにソルビン酸およびその塩から選ばれる防腐剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記有効成分が、薬理学的に有効で無毒な分量の、ホルモンであるプロゲステロンであって、かつ、7〜20ng/mlの血清プロゲステロン・レベルを得るために投与されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記プロゲステロンが天然の微粉末化プロゲステロンである、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記有効成分が、医薬として有効で無毒な分量の、ホルモンであるエストリオールであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項14】
前記有効成分が、治療として有効で無毒な分量の、抗真菌剤であるクロトリマゾールであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記有効成分が、治療として有効で無毒な分量の、抗菌剤であるクリンダマイシンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
以下のステップ:
1−蒸留水中に防腐剤を溶かし、必要であれば、以降のステップでポリマーがゲル化しないように好適なpH(約2.5〜3.5)を得るまで酸性化剤を添加し、
2−先のステップの溶液にゲル化ポリマーを添加し、完全な分散液を得るために強く撹拌し、
3−先のステップの混合物に中和剤を添加し、ポリマーのゲル化および膣内適用に好適なpH(約4〜5)に達するまでそれを撹拌し、そして
4−先のステップから得られたゲルに当該製剤の他の成分を混ぜ合わせる、
を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤の製造方法。
【請求項17】
前記薬理学的活性物質を、前記ゲル中に混ぜ合わせる前に水和剤/湿潤剤中に溶解または分散させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
以下のステップ:
1’−蒸留水中に防腐剤を溶かし、必要であれば、ポリマーが以降のステップでゲル化しないように好適なpHを得るまで酸性化剤を添加し、
2’−先のステップの溶液にゲル化ポリマーを添加し、完全な分散液を得るために強く撹拌し、
3’−油脂成分および可溶化剤/乳化剤によって形成された混合物に有効成分を混ぜ合わせ、
4’−ステップ1’の分散液にステップ2’の混合物を添加し、そして
5’−ポリマーのゲル化に好適なpHを達成するまで中和剤を添加する、
を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤の製造方法。
【請求項19】
粘膜に適用される薬物の製造における、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項20】
黄体期欠損の治療または予防のための薬剤の製造における、請求項11または12に記載の製剤の使用。
【請求項21】
エストロゲン不足に起因する泌尿生殖器の萎縮の治療または予防のための薬物の製造における、請求項13に記載の製剤の使用。
【請求項22】
膣カンジダ症の治療または予防のための薬物の製造における、請求項14に記載の製剤の使用。
【請求項23】
病原菌に起因する膣炎の治療または予防のための薬物の製造における、請求項15に記載の製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−528864(P2007−528864A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519939(P2006−519939)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/ES2004/000336
【国際公開番号】WO2005/007194
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505338589)イタルファルマコ,ソシエダ アノニマ (2)
【Fターム(参考)】