説明

半導体を含む金属材料の形成方法

【課題】シリコンを含有する半導体領域及びゲルマニウムを含有する半導体領域を含む基板から、ニッケルシリサイド及びニッケルジャーマナイドの共集積化を行うに際し、金属系材料の間で短絡の危険なしに、実装が単純かつ容易な金属系材料の形成方法を提供する。
【解決手段】第1半導体材料から作られた領域と、誘電体材料から作られたパターンによって分離されたゲルマニウムを含む第2半導体材料から作られた領域と、を含む基板を準備し、金属層を堆積し(F2)、第1熱処理(F3)を行うことを含む。金属層は、第1半導体材料と、ゲルマニウムを含む第2半導体材料と、反応して、それぞれ、第1金属系材料と、ゲルマニウムを含有する第2金属系材料と、を形成する。第1熱処理(F3)は、0.01%〜5%の酸素量を含む雰囲気中で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスにおける第1及び第2金属系材料の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の性能、例えば、消費及び/又は動作周波数などの継続的な改善は、必然的に、集積回路部品の継続的な小型化につながる。より優れた性能を備えたデバイスを製造するために、新しいアーキテクチャや新しい材料がトランジスタに集積されてきた。
【0003】
しかしながら、トランジスタの寸法の縮小化は、アクセス抵抗の増加につながり、使用可能な電流量を減少させるので、性能が低下する。トランジスタのアクセス抵抗を可能な限り低減するために、半導体材料で作られたコンタクト領域は、金属挙動を有する金属間化合物に変えられる。この金属間化合物(以下、金属材料と呼ぶ)の抵抗は低減していく必要がある。従来方法では、この金属材料、一般にシリサイドは、半導体材料、この場合、コンタクト領域のシリコンと金属反応させて得られる。従来使用されるチタンシリサイド(TiSi)又はコバルトシリサイド(CoSi)は、より良好な技術的特性を示すシリサイド、例えば、ニッケルシリサイド(NiSi)に取って代わられつつある。実際、ニッケルシリサイドは、低抵抗、低シリコン消費量、及び低形成温度を示す。
【0004】
同様に、ゲルマニウムは、トランジスタのシリコンに取って代わっており、又は、シリコンの電気的性能を改善するために、シリコンに関連付けられる。実際、電荷キャリア、特に、正孔の移動度はシリコンよりゲルマニウムの方が高いため、ゲルマニウムは、高供給電流を要する高周波応用には特に魅力的である。従って、ゲルマニウムを含有する半導体材料からの金属材料形成を達成することが重要である。
【0005】
ゲルマニウムの存在下では、金属間化合物NiSi1−XGe及びNiGeの形成には低温が要求されることから、ニッケルが最も頻繁に使用される。しかしながら、ニッケルは、ニッケルシリサイド及びジャーマナイド(germanide)が成長する際の主な拡散種であるが、ジャーマナイドが成長するとき、特に、誘電体材料から作られるトランジスタの絶縁領域に沿って、ゲルマニウムも広く拡散する。
【0006】
図1及び図2は、従来方法の基板1上のニッケルジャーマナイド及びシリサイドの成長を表す。
【0007】
図1に示すように、シリコン領域3、ゲルマニウム領域4、及び誘電体材料から作られた絶縁パターン5上に、ニッケル層2が同時に堆積されており、絶縁パターン5は、半導体材料(Si及び/又はGe)から作られた隣接領域3及び4を囲み、且つ電気的に分離する。
【0008】
図2は、ニッケル層2が形成されたアセンブリに熱処理を施すことで、ニッケル層2が領域3のシリコン及び領域4のゲルマニウムと反応して、それぞれ、ニッケルシリサイド6及びニッケルジャーマナイド7を形成した後の集合体を表す。
【0009】
ニッケル層ではゲルマニウムが多く拡散することから、この方法は、以下の結果、すなわち、
−短絡を生じさせるような、誘電体パターン5上のニッケルジャーマナイド7の形成、
−ゲルマニウムがニッケルジャーマナイド7へ運ばれることで、ニッケルジャーマナイド7の真下に位置するゲルマニウム層の空乏8の形成
、という結果をもたらす。
【0010】
誘電体パターン5上のニッケルジャーマナイドの形成は、ニッケルジャーマナイド7が横方向に成長したことを示す。この成長は、パターン5より高いレベル及び低いレベルに位置するゲルマニウム層とは無関係に観察される。
【0011】
ゲルマニウムの拡散から生じる問題を軽減するために、特許文献1では、自己整合されたニッケルジャーマナイドの形成方法が提案されている。この文献には、ゲルマニウム領域上にニッケル層を形成し、150℃〜325℃の温度で不活性雰囲気中の第1熱処理を行うことが記載されている。この第1熱処理中、ニッケル層は、ゲルマニウム層と反応して、ニッケルジャーマナイドを形成する。このステップのサーマルバジェットは、ゲルマニウム原子の拡散を制限しながら、ニッケルとゲルマニウムの反応を可能にするように選択される。従って、誘電体材料領域の上方のニッケルジャーマナイドの形成が制限される。次に、ゲルマニウムと反応しなかったニッケルが除去され、第2熱処理が行われる。予め形成されたニッケルを多く含むジャーマナイドをニッケルジャーマナイドの他の形態より抵抗が低いニッケルモノジャーマナイド(NiGe)に変えるように、この第2熱処理の温度はより高い温度、325℃〜400℃である。
【0012】
このように、極めて厳しい温度範囲内で2つの熱処理を連続して行うことで、自己整合されたニッケルモノジャーマナイドNiGeを形成することができる。しかしながら、このアプローチは、ニッケルシリサイド及びニッケルジャーマナイドを共集積化する場合、達成することが極めて難しい。ニッケルシリサイドの形成に必要なサーマルバジェットは、実際、ニッケルジャーマナイドの形成に必要なサーマルバジェットより高い。これにより、ニッケルジャーマナイドに要求される第1サーマルバジェットは、ニッケルを極めて多く含んだニッケルシリサイドを形成する。このニッケルシリサイドは、ニッケルの含有量が極めて多いため、このシリサイドに対して、未反応のニッケルを選択的に除去することができない。これにより、ニッケルシリサイド層が不連続になる。
【0013】
従って、この方法は、シリコンを含有する半導体領域及びゲルマニウムを含有する半導体領域を含む基板から、ニッケルシリサイド及びニッケルジャーマナイドの共集積化を行うのに有用ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第20070032025号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、これらの金属系材料の間で短絡の危険なしに、実装が単純かつ容易な金属系材料の形成方法を提供することである。
【0016】
とりわけ、本発明の目的は、シリコンを含む金属材料及びゲルマニウムを含む金属材料の共集積化にサーマルバジェットが適合した方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、第1半導体材料から作られた領域と、誘電体材料から作られたパターンによって分離されたゲルマニウムを含む第2半導体材料から作られた領域と、を含む基板を準備し、金属層を堆積し、第1熱処理を行うことによって、これらの目的を達成する。金属層は、第1半導体材料と、ゲルマニウムを含む第2半導体材料と、少なくとも部分的に反応して、それぞれ、第1金属系材料と、ゲルマニウムを含有する第2金属系材料と、を形成する。第1熱処理は、0.01%〜5%の酸素量を含む雰囲気中で行われる。
【0018】
他の利点及び特徴は、非制限的な例示の目的でのみ与えられ、添付の図面に表された本発明の特定の実施形態の以下の記載から、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】先行技術の金属系材料の形成方法のステップの概略断面図。
【図2】先行技術の金属系材料の形成方法のステップの概略断面図。
【図3】本発明の金属系材料の形成方法のフローチャート。
【図4】図3の方法のステップの概略断面図。
【図5】図3の方法のステップの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による方法の開始点を構成する。基板1の表面が、第1半導体材料で作られた領域3と、第2半導体材料で作られた領域4とを備える。従来方法では、基板1は、半導体材料から作られた複数の領域を備える。共集積化の場合、基板は、シリコンを含有する半導体材料の領域3と、ゲルマニウムを含有する半導体材料の領域4とを備える。別の実施形態によれば、領域はすべて、ゲルマニウムを含有する半導体材料のみから作られ得る。
【0021】
共集積化の場合、第1半導体材料は、ゲルマニウムを含むことが好ましい。第1半導体材料は、例えば、ゲルマニウム含有量とも呼ばれるゲルマニウムの原子パーセント(X)が30%以上(X≧0.3)のシリコン−ゲルマニウム合金Si1−XGe、又は純粋ゲルマニウムGeである。第2半導体材料は、シリコンを含むことが好ましい。第2材料の半導体は、例えば、最大ゲルマニウム濃度が30%(X≦0.3)のシリコン−ゲルマニウムSi1−XGe合金、又は純粋シリコンSiである。第1及び第2半導体材料は、ドープされても真性であってもよい。
【0022】
従来方法では、領域3及び4は、絶縁性の誘電体材料から作られたパターン5によって分離される。このようにして、そのパターンは、これらの2つの領域の間での材料の拡散を防ぐ。領域3及び4は、例えば、SiGeから作られたゲート電極と、Siから作られたソース及びドレイン電極とを形成し、またその逆であってもよい。この場合、誘電体材料パターン5は、ゲート誘電体と、ゲート電極を画成するスペーサとによって形成される。図1に示すように、領域3及び4は、例えば、シリコン及びゲルマニウムから作られる活性領域である。次に、パターン5は、活性領域を分離する横方向電気絶縁パターンである。
【0023】
基板1は、一般に、活性領域間に誘電体材料から作られた複数のパターン5を含む。これらのパターン5は、例えば、酸化シリコンSiO、窒化シリコンSi、又は高誘電定数を有する誘電体材料HfO、Alなどのマイクロ電子産業の従来の材料から作られる。
【0024】
図3〜5は、半導体から金属系材料を形成する方法のステップを示す。
【0025】
図3では、まず、表面、特に、領域3及び4にある不純物及び自然酸化物を取り除くために、基板1上で洗浄ステップF1が行われる。洗浄は、従来の方法、例えば、ウェットエッチング及び/又はプラズマエッチングによって行われる。洗浄は、例えば、フッ化水素酸及び/又はアルゴンプラズマを用いた処理を含むこともできる。
【0026】
次に、ステップF2の間、領域3及び4、並びにパターン5上に、金属層2が堆積される。金属層は、ニッケル系であり、基板1の全表面上に堆積されることが好ましい。ニッケル系層2は、ジャーマナイド又はシリサイドが非制御下で形成されることがないほど十分に低い温度で堆積が可能な任意の適切な技術によって、従来方法で堆積される。堆積温度は、100℃以下に選択されることが好ましい。層2の堆積は、例えば、化学気相成長、スパッタリング、物理気相成長、又は電子ビーム蒸着によって行われる。
【0027】
層2は、例えば、純粋ニッケル層である。層2はまた、ニッケル含有量が50重量%以上の多量のニッケルと、合金元素とを含有することもできる。合金元素は、プラチナ、パラジウム、又はこれらの材料の混合物であることが好ましい。特に、層2に合金元素を添加すると、ジャーマナイド及びシリサイドの温度安定性の範囲を広げることができる。ニッケル系層2の厚さは、1nm〜100nm、好ましくは、5nm〜20nmである。
【0028】
次に、金属層2と接触する半導体領域3及び4を金属系材料6及び7(図4)のそれぞれに少なくとも部分的に変えるように、図3のF3に示す第1熱処理が行われる。金属系材料とは、金属材料、すなわち、金属タイプの電気的挙動を有し、半導体を含む材料である。このように、第1熱処理が行われると、層2は、シリコンを含有する半導体材料領域3及びゲルマニウムを含有する半導体材料領域4と反応して、シリコンを含有する金属材料6及びゲルマニウムを含有する金属材料7をそれぞれ形成する。
【0029】
この第1熱処理は、急速熱処理、例えば、ランプベースの急速加熱アニール又はスパイクアニールによって実行され得る。
【0030】
第1熱処理は、ガス状のブロック元素を含む制御雰囲気下で行われる。ブロック元素は、酸素であることが好ましい。アニール雰囲気中の酸素により、領域4の上方にジャーマナイド7が形成されるが、誘電体領域5に沿ったゲルマニウムの拡散がブロックされるため、これらの領域5の上方にジャーマナイド7が形成されるのを防ぐことができる。
【0031】
酸素量は、領域4の半導体材料から生じるゲルマニウム原子が横方向に拡散したり外部拡散するのを防ぐのに十分に多量であることが好ましい。しかしながら、酸素含有量は、領域4のニッケル原子及びゲルマニウム原子間の体積反応をブロックせず、また、領域3及び/又は4(例えば、領域4がSiGeから作られている場合)のシリコン中のニッケルの体積反応をブロックしないように、十分に少量であることが好ましい。
【0032】
さらに、酸素含有量は、シリコン及びゲルマニウムを含む金属材料の形成条件を著しく変化させず、また、これらの金属材料6及び7の最終的な電気特性を著しく変化させないように、十分に少量であることが好ましい。
【0033】
特に、アニール雰囲気中の酸素含有量に応じて、第1熱処理は、酸化物を形成する。酸素の量は、金属層2をすべて酸化して、半導体材料、特に、領域3のシリコンの酸化を開始しないように、十分に少量である必要がある。
【0034】
第1熱処理の雰囲気中の酸素量は、0.01%より多く、5%未満である。この値は、アニール雰囲気中の気体酸素の体積パーセントに相当する。この体積パーセントは、0.01%〜0.5%であることが好ましい。酸素量は、例えば、約0.1%である。次に、領域4の周辺のゲルマニウム原子の外部拡散をブロックし、ニッケル系層2の過剰酸化を防ぐための酸素は少量で十分である。
【0035】
層2が純粋ニッケルから作られ、領域3及び4がそれぞれ純粋シリコン及び純粋ゲルマニウムから作られれば、第1熱処理が行われたとき、領域3は、ニッケルシリサイド6を形成するように反応し、領域4はニッケルジャーマナイド7を形成するように反応する。この熱処理中、酸素は、ゲルマニウムと反応して、誘電体材料パターン5の上方への拡散を防ぐ。
【0036】
また、熱処理の条件(持続時間、温度)に従って、金属材料6及び7は、異なる冶金特性を示すことができる。第1熱処理の条件は、少なくとも可能な抵抗性金属材料6及び7を得るように選択されることが好ましい。従って、ニッケルモノシリサイド(NiSi)及びニッケルモノジャーマナイドを得ることが望ましい。このようにして、ゲルマニウムを含有する半導体材料がシリコン−ゲルマニウム合金であれば、所望の金属材料は、半導体原子(Si及びGe)と同程度のニッケル原子を含むことが好ましい。
【0037】
第1熱処理の条件で金属材料6及び7の所望の段階を形成できれば、熱処理の持続時間及び温度は、金属材料層6及び7のディウェッティングを起こさないように十分に低い。次に、これらの層にディウェッティングが生じると、層の凝塊が形成される。金属材料(6、7)と基板1の領域3及び4の半導体材料との間の界面に不連続性が生じ、電気的接触の品質に悪影響を及ぼす。
【0038】
金属材料6及び7の温度安定性の範囲は、前述したように、ニッケル系層2にプラチナ(Pt)又はパラジウム(Pd)を添加することによって改善することができる。それにより、ディウェッティング現象は弱まる。
【0039】
第1熱処理は、ゲルマニウム含有量が30%以上のゲルマニウムを含む半導体だけで基板が形成される場合、200℃〜600℃の温度で行われる。シリコン及びゲルマニウムを含む金属材料を共集積化する場合、第1熱処理は、350℃〜500℃の温度で行われる。
【0040】
ニッケル系層2が1nm〜100nmの厚さを有する場合、第1熱処理の持続時間は、10秒〜200秒で推移する。層2の厚さは、5nm〜20nmで推移し、持続時間は、30秒〜2分で推移することが好ましい。
【0041】
熱処理条件及びニッケル系層の厚さに応じて、ニッケルとシリコン及びゲルマニウムとの反応速度論では、金属層の一部が反応しないこともある。そこで、第1及び第2半導体材料に対して完全に又は部分的に反応させ、又は、2つの材料の一方を完全に反応させ、2つの材料のもう一方を部分的に反応させることができる。しかしながら、いずれの場合も、酸素含有雰囲気中の第1熱処理後、領域4のゲルマニウムが、誘電体パターン5の上方の金属2に拡散して、これらのパターンの上方にジャーマナイドが形成されることはない。
【0042】
図3及び図4に示すように、この第1熱処理が完了すると、この方法は、シリコンを含有する半導体材料及びゲルマニウムを含有する半導体材料と反応しなかった残存金属層2の除去ステップF4を含む。次に、この残存層は、パターン5を形成する誘電体材料及び金属材料6及び7(図5)に対して選択的に除去される。この選択的除去は、例えば、適切な組成の化学溶液に基板1を接触させることによって従来方法で行われる。
【0043】
例えば、主にニッケルからなる層をニッケルシリサイドに対して選択的にエッチング可能な水溶液は、ハロゲン化酸、例えば、塩化水素酸(HCl/HO混合物)、フッ化水素酸(HF/HO混合物)、又は臭化水素酸(HBr/HO混合物)をベースにしたものである。これらの溶液は、硫酸HSO又はリン酸HPOを含有してもよい。特許文献1には、水溶液手段による選択的除去に使用可能な化学溶液の例が多数記載されている。
【0044】
第1熱処理が行われると、金属層2は、使用される酸素含有量に応じて表面上が部分的に酸化され得る。形成される酸化物は除去することができず、残存層2の除去ステップを乱す。表面に形成された酸化物は、実際、深く金属がエッチングされるのを保護する。酸素含有量が適切に選択されると、金属層の酸化を低減させることと、パターン5の上方でゲルマニウムの拡散を十分に防ぐこととの間でバランスをとることができる。
【0045】
第1熱処理の条件で、所望の電気特性を有する金属材料6及び7が得られなければ、第1熱処理の条件は、ニッケルを多く含む、すなわち、Si及び/又はGe原子よりニッケル原子を多く含む金属材料6及び7を含むように選択される。
【0046】
第1熱処理後、金属材料6及び7の少なくとも1つが、ニッケルを多く含む組成、すなわち、Ni(X>Y、並びにA=Si及び/又はA=Ge)を示せば、ステップF5(図3)において、第2熱処理を行うことができる。第2熱処理の目的は、ニッケルを多く含む金属材料6及び7を、等しいニッケル及び半導体材料(Si又はGe)組成を有し、低抵抗を示す金属材料に変化させることである。ニッケルモノシリサイドNiSi及びニッケルモノジャーマナイドNiGeは、第2熱処理を用いて得られる。
【0047】
この第2熱処理は、第1熱処理と同じ技術、すなわち、急速熱処理、例えば、ランプベースの急速アニールやスパイクアニールを用いて行うことができる。この第2熱処理は、不活性制御雰囲気中、例えば、アルゴン又は窒素中で行われる。
【0048】
第2熱処理は、ゲルマニウムのみを含む半導体で形成された基板の場合、任意である。第1熱処理の温度は、実際、所望の段階でジャーマナイドを形成するのに十分であり得る。一方、シリコンを含む半導体を有する基板の場合、ニッケルモノシリサイドの形成を終了させることが必要な場合もある。
【0049】
一般に、第2熱処理の温度は、第1熱処理の温度より高い。第2熱処理は、400℃〜600℃の温度で行われる。
【0050】
ニッケル系層2が1nm〜100nmの厚さを有する場合、第2熱処理の持続時間は、10秒〜200秒の間で推移する。層2の厚さは、5nm〜20nmの間で推移し、持続時間は、30秒〜2分の間で推移することが好ましい。
【0051】
例えば、シリコン及びゲルマニウム領域上に、30nmの厚さを有するニッケル層が堆積される(図3のF2)。次に、350℃で2分間、第1ランプベースの熱処理(F3)が、0.1%の濃度の酸素中で行われる。これらの条件下で、ニッケルモノジャーマナイドNiGeが領域4に直接形成される。この第1熱処理中、シリコン領域3は、ニッケルシリサイド6を形成する。ニッケルシリサイドが、ニッケルモノシリサイドNiSi及びニッケルダイシリサイドNiSiの混合物であれば、ニッケルダイシリサイドNiSiをニッケルモノシリサイドNiSiに変えるために、第2熱処理が行われる。次に、この第2熱処理のサーマルバジェットは、形成済みのニッケルモノジャーマナイドNiGeが、特に、ディウェッティングによって劣化されないように選択される。従来方法では、第2熱処理が実行される前、未反応ニッケルは、基板上に存在する金属材料6及び7に対して選択的に除去される。未反応ニッケルの選択的除去は、例えば、4分間、55℃で、体積比1/10のHCl/HO混合物によって行われる。
【0052】
領域4の半導体材料がシリコン−ゲルマニウム合金であれば、金属材料7もまた、シリコン−ゲルマニウム合金を含有する。また、ニッケル系層2が、シリコン及びゲルマニウムと反応可能な他の金属元素、例えば、コバルト又はプラチナを含有すれば、得られる材料6及び7は、これらの金属の混合物である。例示的な目的のために、シリコンは、ニッケルシリサイドを主に含有するシリサイドを形成するように、層2と反応することもできる。
【0053】
記載されている方法は、ゲルマニウムを含有する任意の半導体とともに使用することもできる。シリコンを含有する金属材料及びゲルマニウムを含有する金属材料の同時形成は特に興味深い。このような共集積化、例えば、シリサイド/ジャーマナイドは、第1熱処理の温度が、残存ニッケル系層が除去されるときに完全な状態で残る第1ニッケルシリサイドを形成するのに十分な高さであることによって可能となる。
【0054】
また、この同じ温度は、先行技術では2回のアニールが必要であるのに対して、要求されるジャーマナイドを単一のステップで形成するのに十分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2金属系材料(6,7)を半導体デバイスに形成する方法であって、
第1半導体材料から作られた領域(3)と、誘電体材料から作られたパターン(5)によって分離されるゲルマニウムを含む第2半導体材料から作られた領域(4)と、を含む基板(1)を準備するステップと、
金属層(2)を堆積するステップ(F2)と、
前記金属層(2)が、前記第1半導体材料と、ゲルマニウムを含む前記第2半導体材料と、少なくとも部分的に反応して、それぞれ、前記第1金属系材料(6)と、ゲルマニウムを含有する前記第2金属系材料(7)と、を形成する、第1熱処理(F3)を行うステップと、を備え、
前記第1熱処理は、0.01%〜5%の酸素量を含む雰囲気中で行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属層(2)は、ニッケル系であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1半導体材料は、シリコンを含み、
前記第2半導体材料は、30%以上のゲルマニウムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1熱処理中に反応しなかった前記金属層(2)の除去(F4)を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記金属層(2)は、合金元素を含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記合金元素は、プラチナ又はパラジウムから選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1金属系材料(6)及び前記第2金属系材料(7)の少なくとも1つの抵抗を低減する第2熱処理(F5)を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129909(P2011−129909A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−274264(P2010−274264)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】