説明

半導体チップ、マルチチップパッケージモジュール、及びそれらの派生システム製品を追跡し且つ認証するためのシステム及び方法

【課題】第1通信機能が設けられているマルチチップパッケージ(MCP)モジュール又は該MCPモジュール内部に形成されている指定した半導体チップに対してアイデンティティの認証及び追跡を与える方法を提供する。
【解決手段】MCPベース10上に識別情報を格納するメモリユニットを包含している通信要素14を設けること、通信要素14と指定した半導体チップ12との間に電気接続16を与えること、電気接続16を介して通信要素14のメモリユニット内に格納されている情報をアクセスすること、且つ該通信要素14内に格納されている情報を第1通信機能を介してMCPモジュール外部のシステムへ供給すること、を包含しており、該情報は該MCPモジュール又は該MCPモジュールの指定した半導体チップ12を、少なくとも、追跡又は認証するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路チップ及びモジュール内に埋め込まれている有線/無線通信要素及び識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用電子製品は、製造プロセスを介して又はサプライ・ディストリビューション・チェーンを介して製品を追跡即ちトラッキングすることを可能とするために製品ID(identity)即ちアイデンティティ又はその他の製品情報を格納する電子追跡装置即ち電子タグを使用してタグ付けすることが可能である。該タグの情報内容は、製造業者、ディストリビューター、リテーラー、又はその製品の制御しているその他のエンティティによって供給することが可能である。電子タグは、タグが所定の範囲内にある場合に電子読取器(通信器)によって電子的に読み取られる。
【0003】
無線周波数識別(RFID)技術は、製品ID及びその移動を追跡するために一般的に使用される電子追跡技術である。RFIDタグは、トランシーバー装置と、読取器がそのタグの所定の範囲内に存在する場合にRFIDタグとRFID読取器との間での無線周波数(RF)通信を可能とさせるアンテナと、を具備している。RFIDトランシーバー装置は、ID即ち製品情報を格納する格納要素と、入ってい来る信号を受け取り、応答信号を発生し且つその応答信号を送信するための回路と、を具備している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグが電子製品に取り付けられる場合には、そのRFIDタグはしばしば容易に不正変更されることがある。例えば、RFIDタグが単にシャシー上、又は電子製品のプリント回路基板上に配置されている場合には、そのRFIDタグはその製品の追跡を阻止するために取り外される場合がある。更に、RFIDタグが使用される場合には、タグ内容を取得するため、又はタグ内容を更新するために、そのタグと通信を行うためにRFIDタグの所定の範囲内にRFID読取器が存在せねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1実施形態によれば、マルチチップパッケージ(MCP)モジュール又は該MCPモジュールのMCPベース内に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップから選択して指定した半導体チップに対してアイデンティティ(identity)の認証(authentication)を与える方法が提供され、該MCPモジュールは第1通信機能を具備しており、該方法は、該MCPベース上に形成されている通信要素であって該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールの少なくとも識別情報を包含している情報を格納するためのメモリユニットを包含している通信要素を設けること、該通信要素と該指定した半導体チップとの間の電気的接続を与えること、該電気的接続を介して該通信要素内の該メモリユニット内に格納されている情報を該指定した半導体チップによってアクセスすること、且つ該MCPモジュールの第1通信機能を介して該MCPモジュール外部のシステムへ該通信要素内に格納されている情報を与えること、を包含しており、該情報は、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの指定した半導体チップを追跡するため又は認証するために使用される。
【0006】
本発明の別の側面によれば、マルチチップパッケージ(MCP)モジュール又は該MCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップから選択して指定した半導体チップに対してアイデンティティ(ID)の追跡及び認証を与える方法が提供され、該MCPモジュールは第1通信機能が設けられており、該方法は、該MCPベース上に形成されている無線通信要素であって、該無線通信要素は該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールの少なくともアイデンティティ情報を包含している情報を格納するメモリユニットを包含しており且つ無線通信ユニットを包含している無線通信要素を設けること、該MCPベース上に形成されており且つ該指定した半導体チップと通信を行って第2通信機能を与える無線通信トランシーバーを設けること、該第2通信機能を介して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へ該無線通信トランシーバーによってアクセスすること、及び該MCPモジュールの第1通信機能を介して該MCPモジュールの外部のシステムへ該通信要素内に格納されている情報を与えること、を包含しており、該情報は、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの指定した半導体チップを追跡又は認証するために使用される。
【0007】
本発明の別の側面によれば、第1通信機能が設けられているMCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップを包含しているマルチチップパッケージ(MCP)モジュールが提供され、該MCPモジュールは、該MCPベース上に形成されている通信要素であって少なくとも指定した半導体チップ又はMCPモジュールのアイデンティティ情報を包含している情報を格納するメモリユニットを包含している通信要素、及び該通信要素と該MCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップから選択して指定した半導体チップとの間の電気的接続、を有している。該指定した半導体チップは、該電気的接続を介して該通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスし、且つ該通信要素内に格納されている情報を該MCPモジュールの第1通信機能を介して該MCPモジュールの外部のシステムへ供給し、該情報は、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの指定した半導体チップを追跡又は認証するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例に基く追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図。
【図2】本発明の第2実施例に基く追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図。
【図3】本発明の第3実施例に基く追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図。
【図4】本発明の第4実施例に基く代替的なアンテナ構造を例示しており且つ図1のMCPベースを組み込んだMCPモジュールを例示した概略図。
【図5】本発明の第5実施例に基く代替的なアンテナ構造を例示しており且つ図2のMCPベースを組み込んだMCPモジュールを例示した概略図。
【図6】本発明の第6実施例に基くMCPモジュールを例示した概略図。
【図7】本発明の第7実施例に基く追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図。
【図8】本発明の第8実施例に基く追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図。
【図9】本発明の1実施例に基く本発明動作方法及び遠隔検証(verification)システムの動作環境を例示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、マイクロ電子装置、及び/又は該マイクロ電子装置を組み込んだ派生的システム製品を追跡するか又は認証するためのシステム及び方法が、該マイクロ電子装置、及び/又は該マイクロ電子装置を組み込んだ派生的システム製品に対するアイデンティティ又はその他の識別情報を局所的に又は遠隔的に認証又は追跡することを可能とさせるために該マイクロ電子装置のパッケージングにおける無線通信要素を組み込んでいる。本発明の実施例においては、該マイクロ電子装置は、マルチチップパッケージ(MCP)内に形成されている1個又はそれ以上の集積回路を包含しており、且つ該無線通信要素は該MCPモジュールの一部として形成されている。無線通信要素内に格納されているアイデンティティ情報は、該無線通信要素によって直接的にアクセスすることが可能であるか、又は該情報は該マイクロ電子装置の通信機能を介してアクセスすることが可能である。この様に、該マイクロ電子装置及びその派生的システム製品に対するアイデンティティ又は識別情報を局所的に又は遠隔的に検証又は認証して該マイクロ電子装置及び/又は派生的システム製品の真正性を確保することが可能である。更に、マイクロ電子装置及び/又は派生的システム製品の物理的な位置を該格納されているアイデンティティ又は識別情報を使用して追跡することが可能である。更に、該マイクロ電子装置のMCPモジュール内に無線通信要素を埋め込むことにより、該無線通信要素はタンパリング即ち不正変更が行われることから保護され、更に該マイクロ電子装置及び/又はその派生的システム製品の真正性を確保することとなる。
【0010】
本発明の追跡及び認証システム及び方法によって与えられる利点は多数である。本発明のシステム及び方法は、集積回路(IC)チップ(半導体チップとも呼称される)、チップセット、又はマイクロ電子装置又は電子システム製品、又はICチップ又はマイクロ電子装置のオリジナルの装置製造業者(OEM)、又はICチップ又はマイクロ電子装置を使用するシステム製品のOEMの真正性を検証することを可能とする。本システム及び方法は、又、MCPモジュール又は指定した半導体チップ、マイクロ電子装置又はシステムのオリジナルの所有者の製造及び/又はディストリビューション履歴を格納し且つ追跡することを可能とする。例えば、本発明によれば、マイクロ電子装置における予め選択した肝要なICの識別情報が無線通信要素内に格納されており且つマイクロ電子装置又は該選択した肝要なICチップ自身を含むマルチチップパッケージから該マイクロ電子装置を組み込んだ電子システム製品にわたる範囲の派生的システム製品の真正性を該マイクロ電子装置の機能及び動作とは独立的に且つ遠隔的に検証することが可能である。遠隔的アイデンティティ検証及び位置追跡は便利に且つ正確に実施することが可能である。本発明の追跡及び認証システム及び方法は不正変更耐性を確保して付加されたセキュリティ即ち安全性を提供する。
【0011】
本開示においては、「マルチチップパッケージ」又は「MCP」とは、殆どの場合に標準の単一チップパッケージである半導体パッケージ内に収納されている2個又はそれ以上の集積回路(IC)チップ又はダイを含むパッケージング形態のことを意味しており、従って、MCPはMCPのICチップの全てがあたかも単一のダイとして集積化され且つパッケージ化されているかのようである。幾つかの場合において、ICチップはその上に形成されているICチップ間に相互接続体が設けられている多層相互接続基板へ電気的に接続されている。該多層相互接続基板は、プリント回路基板の如き積層体として形成されるか、又はセラミック又はシリコンを使用して形成することが可能である。ICチップは、ワイヤボンディングを介して、又はフリップチップボンディング、又は半田バンプ、又は金バンプ、又は該多層相互接続基板上の予め形成されたボンディングパッドへの導電性接着性ボンディングを介して該多層相互接続基板へ接続させることが可能である。その他の場合には、該ICチップは、ワイヤボンディングを介して形成されたダイ間接続部を具備するダイパドルへ取り付けられる。該ICチップは、単一のダイパドルへ、又は個別的なICチップに対して別々のダイパッドを具備する「スプリットパッド」ダイパドルへ取り付けることが可能である。本開示においては、ICチップがその上に取り付けられているダイパドル及び多層相互接続基板をまとめて「MCPベース」と呼称する。
【0012】
MCPは封止体によって保護させるか又は封止しないままとさせることが可能である。封止される場合には、その封止体はポリマーモールディング化合物又は等価なポリマーとすることが可能である。MCPはセラミックパッケージボディ、プラスチックパッケージボディ、又はメタルパッケージボディを使用して形成することが可能である。本開示においては、「MCPパッケージボディ」とは、その中にMCPベースと、リードフレーム又はボンディングパッドと、外部リード(ボール又はピン)とが形成されているハウジングのことを意味している。
【0013】
MCPベースが多層相互接続基板である場合、ダイはMCPベース内に形成されているメタル相互接続体へ電気的に接続されており、そのことは高密度のダイ対ダイルーチング(経路付け)を実現する。ICチップは、ワイヤボンディグを介して又はフリップチップボンディグ又は半田バンプ又は金バンプ又はMCPベース上の予め形成したボンディングパッドへの導電性接着ボンディグを介してMCPベースを電気的に接続させることが可能である。幾つかの場合において、極めて簡単なMCP形態の場合に、ダイ対ダイのルーチングは、多層相互接続基板を使用する代わりに、ボンドワイヤを使用してMCPパッケージボディ内部において実現することが可能である。
【0014】
MCPは、あたかも全てのチップが1個の単一のダイ内に集積化され且つそのようなものとしてパッケージ化されたもののように動作する。何故ならば、爾後の基板組立操作を簡単化させるために同じフォームファクタ(形状係数)とフットプリントとが維持されるからである。従って、MCPは、最終的な製品として1個の単一のパッケージを見るに過ぎないエンドユーザに対してトランスペアレント即ち透明であるパッケージレベル集積化を与える。MCPは、又、受動的部品の使用を組み込むことが可能である。MCPの終了した形態は、しばしば、「MCPモジュール」として呼称され、且つプラスチックカッドフラットパッケージ(PQFP)又はプラスチックボールグリッドアレイ(BGA)マルチチップパッケージ、又はセラミックBGAパッケージ又はチップオンボード(COB)マルチチップパッケージ又はその他の適宜の半導体パッケージ形態などの多様なパッケージ形態とすることが可能である。本開示においては、「MCP」又は「MCPモジュール」とは、MCPを収納しており且つその上に形成されている2個又はそれ以上の集積回路チップを包含している封止されているか又は封止されていないICパッケージのことを意味しており、その場合に、該集積回路チップは電気的に相互接続されている場合といない場合とがある。
【0015】
図1は、本発明の第1実施例に基づく追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図である。図1を参照すると、MCPベース10は多層相互接続基板(MCP基板)を包含しており、その上には集積回路(IC)チップ12が取り付けられている。本実施例において、ICチップ12は混合信号プロセッサチップであり且つMCP10へフリップチップボンディングされている。ICチップ12は、図示した如くに、多層相互接続基板のメタル相互接続体を介して、又は代替的実施例におけるワイヤボンディングを介して、MCPベース10のI/Oパッドへ接続されている入力/出力(I/O)パッドを具備している。本発明の追跡及び認証システム及び方法を実現するために、無線通信要素14もMCPベース10上に形成されている。無線通信要素14は、又、図示した如くに多層相互接続基板を介して、又は代替的実施例におけるワイヤボンディングを介して、MCPベース10のI/Oパッドへ接続されているI/Oパッドを具備している場合がある。無線通信要素14は、有線又は無線通信又はその他の無線機能を容易化するための回路と、ICチップ12のアイデンティティ又は識別情報を格納するメモリユニットとを包含している。幾つかの実施例においては、無線通信要素14はGPS(全地球位置決めシステム)機能ブロックを包含している。MCPベース10は、リードフレーム又はボンディングパッド、パッケージボディ及びMCPモジュールを形成するためのオプションの封止体が組み込まれている。
【0016】
本開示において、ICチップの「アイデンティティ(identity)」及び「識別情報(identification information)」は、形成されるべきICチップ及び/又はMCPモジュールの識別番号、部品番号、モデル番号、モデル名、ブランド名、メーカー、ロゴデザイン、及び製造及び/ディストリビューション履歴を包含している。更に、アイデンティティ又は識別情報は、同一のMCPモジュール内に形成されている或るICチップから、又はそのMCPモジュールが接続されるべきシステムから、の質問に対する応答としてアイデンティティコードを発生するためのソフトウエアコード又はアルゴリズムを包含することが可能である。本発明の実施例においては、識別情報のデータフォーマットは、ランダム又はシリアルの数字番号又はキャラクタ、ロゴマーク、グラフィック記号、2Dグラフィックコード、又はこれらのフォーマットの任意の多様な順列を包含している。現在既知であるか又は開発されるべきその他のエンコーディング又はアルゴリズムを使用することも可能である。代替的実施例においては、本発明の追跡及び認証システム及び方法は、暗号又はソフトウエアキー又は現在既知であるか又は開発されるべきその他の可能なセキュリティ保護方法の使用を介して無線通信要素内に格納されているアイデンティティ又は識別情報を保護する。
【0017】
又、本実施例においては、無線通信要素は現在既知であるか又は開発されるべき無線通信技術の内の一つ又はそれ以上を使用する無線通信が可能である。例えば、1実施例においては、無線通信要素は、RFID(無線周波数識別)技術などに基づくような無線周波数(RF)通信要素、又はWi−Fi技術などの無線ローカルエリアネットワーク通信技術を介して無線通信を実施する。別の実施例においては、該無線通信要素はブルトース無線技術を使用する。ブルトース無線技術は2.4ギガヘルツ(GHz)における無免許産業科学医学(ISM)帯域において動作するデータ及び音声の短距離無線通信用のオープン仕様である。そのグロスのデータレートは毎秒1メガビット(Mb/s)である場合がある。更に別の実施例においては、該無線通信要素はジグビー(ZigBee)通信技術を使用する。ジグビーは制御及びモニタリング適用例において特に有用である低コスト低パワーの無線メッシュネットワークプロトコルを使用する無線制御技術である。更に別の実施例においては、該無線通信要素はWiMAX通信を使用する。更に、本実施例においては、該無線通信要素は、又、更に詳細に以下に説明するように、形成すべきMCPモジュールのICチップを介しての有線通信を行うことが可能である。
【0018】
ICチップ12として同一のMCPベース上に無線通信要素14を形成することは、多層相互接続基板上の又は内に形成されているメタル相互接続体を介して2個のコンポーネント間での通信を与えるというユニークな利点を有している。本実施例においては、メタルライン16は、ICチップ12と無線通信要素14との間のダイ対ダイ相互接続を与える。より詳細に説明すると、メタルライン16は、無線通信要素14とICチップ12と間に2方向通信を与える。その他の実施例においては、メタルライン16は、多数の並列メタルラインを包含するメタルバスとして実現することが可能である。ダイ対ダイ相互接続16を与えることにより、無線通信要素14内に格納されている情報はICチップ12によって読み出され且つICチップ12の通信機能を介してMCPモジュールの外部のシステムへ通信させることが可能である。例えば、ICチップ12が無線又は有線での通信が可能である場合には、ICチップ12は無線通信要素14内に格納されている識別情報を検索し且つ該情報を、ICチップ12の通信機能又はMCPモジュールの通信機能を介してMCP基板10から形成すべきMCPモジュール外部のシステムへ通信すべく動作することが可能である。更に、ICチップ12は、又、情報をメタルライン16を介して無線通信要素14内に格納させることも可能である。
【0019】
図2は、本発明の第2実施例に基づく追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図である。図2を参照すると、MCPベース20は、多層相互接続基板(MCP基板)を包含しており、その上には多数のICチップ22−27が取り付けられている。本例示においては、多数のICチップは、デジタル混合信号処理モジュールを形成するために、混合信号プロセッサ、デュープレクサー、モジュレータ、デジタルベースバンドプロセッサ、及びパワーアンプを包含している。ICチップ22−27は、MCPベース20の多層相互接続基板内に形成されているメタルラインを介して相互接続されている。MCPベース又はMCP基板20は、リードフレーム又はボンディングパッド、パッケージボディ及びMCPモジュールを形成するためのオプションの封止体とが組み込まれている。MCPベース上に形成されている相互接続されたICチップは、MCPモジュール外部の装置及びシステムに対してユニットとして動作し、従って、個々のICチップの数はそのように形成されたMCPモジュールを使用するユーザによってトランスペアレント即ち透明なものとなる。
【0020】
本発明の追跡及び認証システム及び方法を実現するために、無線通信要素28がMCPベース20上に形成されている。無線通信要素28は、図示した如くに多層回路基板を介して又は代替的実施例におけるワイヤボンディグを介してフリップチップ取り付け方法によってMCPベース20のI/Oパッドへ接続されているI/Oパッドを具備している場合がある。無線通信要素28は、有線又は無線通信又はその他の無線機能を容易化するための回路、及び1個又はそれ以上のICチップ22−27のアイデンティティ又は識別情報を格納するメモリユニットを包含している。1実施例においては、ICチップ22などの多数のICチップ22−27の内の一つが指定したICチップ又は指定した半導体チップとして選択され、且つ無線通信要素28はその指定したICチップに関連する識別情報を格納する。無線通信要素28も形成されるべきMCPモジュールに関連する識別情報を格納することが可能である。
【0021】
本実施例においては、メタルライン29が指定したICチップ12と無線通信要素28との間のダイ対ダイ相互接続を与える。無線通信要素28内に格納されている情報は、相互接続ワイヤ29を介してICチップ22によって読み出し且つICチップ22の通信機能又はMCPモジュール内に組み込まれている通信機能を介して形成されるべきMCPモジュール外部のシステムへ通信させることが可能である。例えば、ICチップ22が無線又は有線の通信が可能である場合、又はICチップ22−27によって形成されたMCPモジュールが無線又は有線の通信が可能である場合には、ICチップ22は、無線通信要素28内に格納されている識別情報を検索し且つ該情報をICチップ22又はMCPモジュールの通信機能を介して形成されているMCPモジュール外部のシステムへ通信すべく動作することが可能である。
【0022】
1実施例においては、該多層相互接続基板は、薄膜処理技術又はファインピッチPCB(プリント回路基板)又は等価な処理技術の使用により予め製造されている。その他の実施例においては、MCPベースは、シリコン基板又はファインピッチPCB基板又はセラミック基板又はその他の薄膜処理適合性基板物質を使用して形成することが可能である。導電性基板を使用することが可能であるが、相互接続構造を形成する前に絶縁しなければならない。該多層相互接続体は、交互にメタル層と絶縁誘電体層とを形成することによって構築することが可能である。該メタル層は、メタルトレースリソグラフィマスキング、メタルエッチによって画定することが可能である。異なるメタル層間の相互接続チャンネルは、ホトレジストマスキング及び誘電体エッチ、それに続いての薄膜メタリゼーション付着プロセスを使用してのメタル層付着を介して誘電体層を介して構成することが可能である。
【0023】
1実施例においては、無線通信要素とICチップの間のダイ対ダイ相互接続を与えるメタルライン(メタルライン16又は29)は、MCPベースの予め形成されている相互接続構成体の一部である。その他の実施例においては、ダイ対ダイ接続は、ワイヤボンドを使用するか、又は半田バンプ接続又は金バンプ接続を使用するか、又は導電性銀ペースト又はインク、又はその他の導電性ペースト、又は相互接続を連結するための半田バンプ(又はボール)を具備する可撓性コネクタを使用して、実現される。2個の集積回路コンポーネントの間の電気的接続を与えるために開発されるべきその他の方法も使用することが可能である。
【0024】
本発明の1実施例においては、追跡及び認証システム及び方法は、無線通信要素用のアンテナを形成するためにMCPベースの多層相互接続構成体を使用する。図3は本発明の第3実施例に基づく追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図である。図3を参照すると、MCPベース30は図2のMCPベース20と同じ態様で構成されており、類似した要素については更に説明することを割愛する。MCPベース30は多層相互接続基板として構成されており、従ってMCP基板30と呼称する。MCP基板30は、リードフレーム又はボンディングパッド、パッケージボディ及びオプションとしてのMCPモジュールを形成するための封止体が組み込まれている。
【0025】
MCP基板30において、無線通信要素38用のアンテナ構成体31は多層相互接続基板の上か又はその中に形成されており、従って、該アンテナ構成体はMCP基板の使用可能な不動産内に形成されている。同じタイプのアンテナ構成体を図1のMCP基板の上又はその中に形成することも可能である。該アンテナは一つのメタル層を使用して又は該多層相互接続基板の複数のメタル層を使用して形成することが可能である。この様に、アンテナ31を包含している無線通信要素38が形成すべきMCPモジュールの寸法を変更したり又は増加したりすること無しにMCP基板内に形成されている。換言すると、該無線通信要素及びそれと関連するアンテナはMCPモジュールのオリジナルの構成を変更すること無しにMCPモジュール内に埋め込むことが可能であり、且つ無線通信要素の組み込みはMCPモジュールのエンドユーザにとって目に見えないものとなる。MCP基板の一つ又はそれ以上のメタル層を使用してアンテナを形成することにより、所望のアンテナ寸法をMCPモジュール内に実現することが可能である。アンテナ構成体31が設けられると、無線通信要素38内に格納されている識別情報もその信号動作範囲内にある無線読取器によって直接的に動作させるか又は検索させることが可能である。
【0026】
図4は図1のMCPベースを組み込んだMCPモジュールを例示しており、且つ本発明の第4実施例に基づく代替的なアンテナ構成体を例示している概略図である。図4を参照すると、本実施例においては、MCPベース10はデュアルインラインパッケージ(DIP)内にパッケージされており且つ封止するか又は蓋で被覆してMCPモジュール40を形成することが可能である。その他の実施例においては、MCPベースは、セラミック、メタル、又はプラスチックパッケージを含むその他の半導体パッケージ内にパッケージさせることが可能である。MCPベース10上のボンディングパッドがボンドワイヤを使用してMCPモジュール40のパッケージボディ42上に形成されているボンディングパッド又はリードフィンガへ接続されている。MCPモジュール40において、アンテナ構成体41がMCPモジュール40のパッケージボディ42内に形成されており且つボンドワイヤ51及び52を介して無線通信要素14へ接続されている。その他の実施例においては、アンテナ構成体41は、半田バンプ又は導電性接着剤によって形成されている電気的接続部を介して無線通信要素14へ接続されている。MCPモジュール40は、MCPモジュールの構成体内に集積化させることが可能な無線通信要素用のアンテナを形成する別の方法を例示しており、従って、本発明の追跡及び認証方法及びシステムを実現するために何ら付加的なアンテナ部品が必要とされるものではない。その他の実施例においては、アンテナ構成体は、剛性又は可撓性の非導電性基板サポートを具備するメタルフォイル又は表面装着ユニットの独立したユニットとして予め製造することが可能である。その予め製造したアンテナ構成体は、次いで、無線通信要素へ接続されるべきMCPモジュールのI/Oパッドへ取り付けることが可能である。代替的に、アンテナ構成体41は、MCPモジュールのリードフレーム上にそれから電気的に絶縁して形成することが可能である。
【0027】
幾つかの実施例においては、MCPモジュール40内の無線通信要素14は、半田バンプジョイントによってMCPベース10へ取り付けられており且つMCPベース10上に形成されている相互接続体16を介してメインのICプロセッサチップへ物理的に相互接続されているフリップチップである。無線通信要素14はMCPベース10上に形成されているメタル層接続体(例えば、メタルライン53)を介してICチップ12を介して電力供給することが可能である。代替的に、無線通信要素とICチップ12の両方が、例えば図4における点線55のように、MCPベース上に形成されている独立した相互接続トレースを介して外部パッケージピンから同一の電源入力(Vcc)を共有することが可能である。更に別の代替的実施例においては、無線通信要素14が別の外部パッケージピンから電源(Vcc)によって独立的に電力が供給される。
【0028】
図5は、図2のMCPベースを組み込んだMCPモジュールを例示しており且つ本発明の第5実施例に基づく代替的なアンテナ構成体を例示している概略図である。図5を参照すると、本実施例においては、MCPベース20はデュアルインラインパッケージ(DIP)内にパッケージされており且つ封止されるか又は蓋で被覆されてMCPモジュール60を形成している。その他の実施例においては、MCPベース20はその他の半導体パッケージ内にパッケージさせることが可能である。MCPベース20上のボンディングパッドは、ボンドワイヤを使用してMCPモジュール60のパッケージ62上のボンディングパッド又はリードフィンガへ接続されている。MCPモジュール60において、アンテナ構成体61が、図5に示した如く、MCPベース上に形成されている。従って、無線通信要素28の質問することがアンテナ61及び無線通信要素28の無線通信機能を介して可能とされている。代替的に、無線通信要素28はMCPモジュール60のICチップ22−27において質問されることが可能であり、且つ格納されている情報がMCPモジュール60の通信機能を介して与えられる。本例示においては、MCPモジュール60は無線通信可能であり、且つパッケージピン63はMCPモジュール外部のアンテナへ接続されるものである。その場合には、無線通信要素28内に格納されている情報の識別はワイヤ29を介して指定したICチップ22によって検索することが可能であり、且つデュープレクサ26及びアンテナ65を介してMCPモジュール60外部のシステムへ与えることが可能である。
【0029】
MCPモジュールのICチップと無線通信要素とを同一場所に配置させることにより、無線通信要素はMCPモジュールのICチップへ供給されるのと同一のパワー即ち電力を受け取ることが可能である。従って、無線通信用要素は、MCPモジュールの電源によって電力供給されるアクティブ装置か、又は質問する装置によって電力供給されるパッシブ装置とすることが可能である。
【0030】
本発明の追跡及び認証システム及び方法は、1個又はそれ以上のICチップを使用して形成されるMCPモジュールへ適用することが可能である。単一のICチップのみがMCPモジュール内に包含されている場合には、無線通信要素は第2ICチップとなり、それによりマルチチップパッケージを形成する。その場合には、単一のICチップ及び無線通信要素は、図6に示した如く、多層相互接続基板の代わりに、ダイパドルへ取り付けることが可能である。図6を参照すると、ICチップ72を収納するために使用されるパッケージはICチップ72を受け付けるために充分なI/Oの数又はI/Oデザインを有することが必要であるに過ぎない。ICチップ72及び無線通信要素はダイアッタチを使用してダイパドルへ取り付けられている。ワイヤボンド76は、無線通信要素74とICチップ72との間のダイ対ダイ接続を実現している。付加的に、オプションとして、パワーはボンドワイヤ接続75を介してなどにより無線通信要素74へ供給することが可能である。無線通信要素74用のアンテナ78は、パッケージボディ71内又はその上に形成され、且つリードフレームから電気的に絶縁されており且つボンドワイヤ77,79を介して無線通信要素へ電気的に接続されている。使用される最終的なパッケージタイプに依存して、無線通信要素74及びICチップ72はパッケージ基板へフリップチップで取り付けることも可能である。
【0031】
幾つかの実施例においては、該無線通信要素はRFIDチップであり、且つアンテナと結合されているRFIDチップはRFID読取器と無線周波数を使用して無線により通信を行うことが可能なRFIDタグを形成する。RFID読取器はRFIDタグ内に格納されている情報を検索し且つその検索した情報を有線又は無線ネットワーク上へ送信する。
【0032】
幾つかの実施例においては、RFIDチップ用のアンテナは、例えば、パッケージボディ内又はその上にアンテナを形成し且つ図4及び6に示した如くにリードフレームから電気的に絶縁させることにより、MCPパッケージの構成体と同時的に製造される。該アンテナは、図4に示した如くに、MCPパッケージボディ上のアンテナボンディングパッドからMCPベース上に形成されているボンディングパッドへワイヤボンディングを介して無線通信要素へ接続させることが可能である。該アンテナは、図6に示されているように、無線通信要素上に形成されているコンタクトパッドへのワイヤボンディングを介して無線通信要素へ接続させることも可能である。該アンテナ接続は、半田又は金バンプ又は導電性接着剤ジョイントを具備する可撓性コネクタを使用して完成することも可能である。
【0033】
上述した実施例においては、MCPモジュールは混合信号プロセッサチップを組み込んで示されている。上述した実施例は単に例示的なものであり、制限的なものであることが意図されているものではない。実際に、MCPモジュールは任意の機能を実行する任意のタイプの集積回路チップを包含することが可能である。例えば、その他の実施例において、MCPモジュールは、電子モジュール、電子・光学的モジュールとして、電子・機械的モジュール又は電子・化学的モジュール、又はその任意の組み合わせとして構成することが可能である。マイクロプロセッサチップセット、グラフィックチップセット、無線通信チップセット、化学的センサモジュール、ガスセンサモジュール、イメージセンサモジュール、又はパワー調整モジュールを組み込むために典型的なMCPモジュールが使用される。
【0034】
本発明の追跡及び認証システム及び方法は、動作上多数の利点を提供する。第1に、本発明のシステム及び方法は、無線通信要素が設けられているMCPモジュールを組み込んでいるマイクロ電子装置、電子サブシステム又はシステム製品、電子システム、又はツール又は機器の製造又はディストリビューション(配送)のチップレベルでのトラッキング即ち追跡を可能とさせる。第2に、MCPマイクロ電子装置の内の一つにおいて無線通信要素が埋め込まれている最終的なシステム製品は、システム製品の寿命サイクルを介してトレース可能なものとなる。このトレース可能性は、信頼性のある電子廃棄物管理が実現可能であることを確保する。第3に、本発明の追跡及び認証システム及び方法は、リサイクルされる半導体パッケージ又はMCPモジュール又はサブシステム又はシステムのトレース及び追跡を行うことを可能とさせる。第4に、無線通信要素がMCPモジュール内に埋め込まれているので、不正変更に対する耐久性は本質的なものである。不正変更に対する耐久性のある追跡装置は、保護されている又はプロプライアタリ即ち私的なサービス又は通信システムへの不法なアクセスなどの偽造又はその他の不法な侵入を遅らせるか又は除去することとなる。最後に、識別情報は、MCPモジュール又はMCPモジュールが組み込まれているシステム製品の地理的位置を探し出し且つ認証するためにMCPモジュールを介して有線又は無線通信ネットワークによって使用することが可能である。本発明のシステム及び方法は、ここには記載されていないが多数のその他の利点及び有用性を提供することが可能なものである。例えば、本発明のシステム及び方法は、喪失したか又は置き忘れた高価なモバイル技術ガジェットのトレース及び追跡を行うことを助けるために適用することが可能である。
【0035】
本発明の別の側面によれば、上述した実施例におけるMCPモジュール内に埋め込まれている無線通信要素は、アンテナに結合されておらず且つ通信回路を包含していないメモリのみの識別(純粋ID)要素として構成されている。該純粋ID要素は、「通信要素」とも呼称され、指定したICチップが格納されている識別情報へアクセスすることを可能とさせるためにMCPモジュール上の指定したICチップと電気的に相互接続される。ダイ対ダイ相互接続は、半田ボンド又はワイヤボンドを具備している多層相互接続基板又はパッケージボディ内に形成されているメタル相互接続体を含み、上述した接続方法のいずれか一つを使用して達成することが可能である。該格納されている識別情報は、暗号化又は質問時にオンザフライ即ち即興的に識別情報を発生するアルゴリズムを使用することによって、上述したセキュリティ方法を使用して安全なものとすることが可能である。そのようにして構成されると、識別情報は純粋ID要素が埋め込まれているMCPモジュールを包含するシステム製品の有線又は無線通信機能を介してのみトランスポート又は通信される。MCPモジュールを含むシステム製品の通信機能を介して、純粋ID要素の格納されている識別情報をMCPモジュールを含むシステム製品と接続されているネットワークへ供給することが可能である。
【0036】
例えば、幾つかの実施例においては、MCPモジュールは携帯電話内に組み込むことが可能である。無線通信要素又は純粋ID(Pure ID)要素の格納されている識別情報は、携帯電話の信号処理チップによって検索し且つ携帯電話の無線通信能力を介して無線ネットワークへ通信することが可能である。無線通信要素がそれ自身のアンテナを具備している場合には、格納されている識別情報は、無線読取装置の使用を介してなどの、無線通信要素で直接的に無線通信によって検索することも可能である。
【0037】
本発明の更に別の側面によれば、上述した実施例におけるMCPモジュール内に埋め込まれている無線通信要素は、MCPベース上に形成されている無線トランシーバで無線により通信すべく構成されている。図7は、本発明の第7実施例に基づく追跡及び認証システム及び方法を実現するためのMCPベースの概略図である。図7を参照すると、MCPベース又はMCP基板80は、ICチップ82及びその上に取り付けられている無線通信要素84を包含している。本実施例においては、無線通信要素84は、トランシーバ85を組み込んでおり、一方ICチップ82はトランシーバ83を組み込んでいる。ICチップ82は、例えばソフトウエアプログラム制御又はハードウエアデザインなどにより、トランシーバ83,85を介して無線通信要素84と通信することが可能である。代替的な実施例においては、トランシーバ83は、図8に示した如く、ICチップ82内に組み込まれているものではなく、MCP基板上のスタンドアローン部品とすることが可能である。トランシーバ83は無線通信要素84のトランシーバ85と無線により通信を行い且つ検索された情報をMCPベース上に形成されている相互接続線87を介してICチップ82へ供給する。
【0038】
MCPモジュールが本発明の追跡及び認証システム及び方法を実行すべく構成されている場合には、MCPモジュール又は関連する装置及びシステムは、無線通信要素又は純粋ID要素内に格納されている情報を使用して認証することが可能である。図9は、本発明の追跡及び認証システム及び方法が本発明の1実施例に基づいて動作する動作環境を例示している。図9を参照すると、無線通信要素112を組み込んでいるMCPモジュール110は電子装置114内に埋め込まれている。本例示においては、電子装置114はそれ自身のアンテナ115を介して無線通信が可能である。又、本例示においては、無線通信要素112は、要素112が無線により通信することが可能であるようにアンテナ113が設けられている。代替的に、無線通信要素112は、何ら関連するアンテナ無しで純粋ID要素として構成することも可能である。該純粋ID要素は、格納されている識別情報を検索するためにMCPモジュール110上に形成されているその他のICチップによってアクセスされる。1つの例示的実施例においては、電子装置114は携帯電話であり、MCPモジュール110は携帯電話の信号処理及び通信チップセットを包含している。その他の実施例においては、電子装置114は、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、パソコン、ノートブック、ハンドコンピュータ、極薄ハンドコンピュータ、スマート携帯電話、電子書籍読取器、インテリジェントスマートカード、HDTV又はLCDTV、又は自動車、又は船舶、又は航空機、又は製造処理装置、又は武器又は武器システム内に組み込まれているマイクロ電子装置とすることが可能である。
【0039】
1実施例においては、無線通信要素112内に格納されている識別情報はMCPモジュール110のICチップによってアクセスされ、且つその検索された情報は電子装置114のアンテナ115から無線ネットワークへ、例えばベースステーション116を介して、無線により通信される。ベースステーション116から、該情報はサーバー118を介してコンピュータネットワーク122へパスさせることが可能である。コンピュータネットワーク122から、その検索された識別情報はインターネットへ、そしてインターネットへ接続されているその他のゲートウエイ又はネットワークへパスさせることも可能である。
【0040】
別の実施例においては、無線通信要素112内に格納されている識別情報はMCPモジュール110のICチップによってアクセスされ且つ有線接続を介してサーバー124を介してコンピュータネットワーク126へ通信される。コンピュータネットワーク126から、その検索された情報はその他のゲートウエイ又はネットワークへパスさせることも可能である。
【0041】
無線通信要素112が純粋ID要素として構成されている場合には、格納されている識別情報は上述した方法の内の一つを使用して検索され、その場合に、MCPモジュール110のICチップは純粋ID要素から格納されている情報を検索し、且つMCPモジュール110の通信機能が、その検索された情報をコンピュータネットワーク又は電子装置115外部のインターネットへトランスポート又は通信させるために使用される。
【0042】
無線通信要素112がアンテナ113を具備している場合には、無線通信要素112内に格納されている識別情報は、無線読取器装置130によって直接的にアクセスすることが可能である。無線読取器装置130は無線通信要素112と無線により通信を行って格納されている識別情報を検索する。無線読取器装置130は、例えばベースステーション132などの、無線ネットワークとの通信能力を具備している場合がある。ベースステーション132から、検索された情報は、サーバー134を介してコンピュータネットワーク136へパスさせることが可能である。コンピュータネットワーク136から、その検索された識別情報は、インターネットへ、そしてインターネットへ接続されているその他のゲートウエイ又はネットワークへパスさせることも可能である。
【0043】
幾つかの実施例においては、無線読取器装置は無線通信を介して無線通信要素へ命令を供給する。該命令は、少なくとも、読取コマンド、書込コマンド、ロック(lock)コマンド、又はキル(kill)コマンドを包含することが可能である。
【0044】
更に、幾つかの実施例においては、純粋ID要素又は無線通信要素のメモリユニットが書込保護機能で構成されており、その場合に、該メモリユニットは、安全化された質問又は安全化された認証手順を介してのみアクセス可能である。安全化された質問又は認証手順は、パスワード又はセキュリティキー、又はRSAセキュリティアルゴリズム又はその他の暗号保護方法を使用することを包含することが可能である。
【0045】
図9に示したコンピュータネットワーク122,126,136は、ローカルエリアネットワーク(LAN)等の物理的なネットワークか、又は衛星又は携帯電話通信ネットワーク等の無線通信ネットワーク、又は有線ネットワークと無線ネットワークとの組合せとすることが可能である。
【0046】
一つの例示的実施例においては、携帯電話(装置114)が無線通信要素112内に格納されている識別情報を認証のためにコンピュータネットワーク122へパスする。携帯電話114は、その識別情報が検証された場合にのみ携帯電話通信ネットワークへアクセスすることが許可される。この様に、無線サービスプロバイダーは、例えば認証されていない通信チップセットを使用する装置によってなされるアクセスなどの、ネットワークへの認証されていないアクセスを防止することが可能である。
【0047】
別の例示的実施例においては、サプライチェーンにおけるユーザが、装置を購入するか又はその装置を在庫することを許容する前に、電子装置114の真正性を検証するために無線読取器装置130を使用する場合がある。この様に、偽造電子装置が識別情報の検証に失敗する場合に、偽造電子装置を容易に識別することが可能である。
【0048】
上述した実施例において、無線通信装置内に格納されている識別情報は、MCPモジュールのICチップによるか、又は無線読取器装置によるかのいずれかによって、検索される。その他の実施例においては、情報は無線通信装置のメモリユニット内に書き込み且つ格納させることも可能である。例えば、図9のMCPモジュール110は、コンピュータネットワーク122から制御信号とデータとを受け取る場合があり、且つMCPモジュールの指定したICチップはそれに応答して無線通信要素112と通信を行ってその検索されたデータを無線通信要素のメモリユニット内に格納する場合がある。換言すると、無線通信要素及び指定したICチップは2方向通信を実行し、且つ情報は無線通信要素のメモリユニットから検索するか又はそれに書き込むことが可能である。
【0049】
上の説明においては、アイデンティティ又は識別情報は、無線通信要素又は純粋ID要素のメモリユニット内に格納される。本説明においては、メモリユニットは集積回路において使用される任意の電荷格納装置のことを意味しており、レジスタ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、揮発性又は非揮発性メモリ、又は1又はそれ以上のビットのデータを格納するためのその他の適宜の電荷格納装置を包含している。
【0050】
上述した詳細な説明は、本発明の特定の実施例を例示するために提供されているものであり制限的なものであることを意図したものではない。本発明の特許請求の範囲内において多数の修正例及び変形例が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10,20,30:MCPベース
12,22−27:ICチップ
14,28,38:無線通信要素
16,29:メタルライン
31,41,61:アンテナ
40,60:MCPモジュール
42:パッケージボディ
51,52:ボンドワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信機能が設けられているマルチチップパッケージ(MCP)モジュール又は該MCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップから選択した指定した半導体チップに対してアイデンティティ追跡及び認証を与える方法において、
該MCPベース上に形成して通信要素を設け、該通信要素は、少なくとも、該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールのアイデンティティ情報を含む情報を格納するメモリユニットを包含しており、
該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を設け、
該指定した半導体チップによって該電気接続を介して該通信要素の該メモリユニット内に格納されている情報へアクセスし、
該通信要素内に格納されていた該情報を該MCPモジュールの第1通信機能を介して該MCPモジュール外部のシステムへ供給し、該情報が、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの該指定した半導体チップを追跡するか又は認証するために使用される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1において、該MCPベースが多層相互接続基板を有しており、且つ該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を与えることが、
該通信要素と該指定した半導体チップとの間に該多層相互接続基板上又はその中に形成される電気接続を与える、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1において、該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を与えることが、
ボンドワイヤ、半田バンプ、金バンプ、導電性ペースト、導電性インク、又は半田ジョイントバンプを具備している可撓性コネクタを使用して該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を与える、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1において、該MCPベースはダイパドルを有しており、且つ該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を与えることが、
ボンドワイヤ、半田バンプ、金バンプ、導電性ペースト、導電性インク、又は半田ジョイントバンプを具備している可撓性コネクタを使用して該通信要素と該指定した半導体チップとの間に電気接続を与える、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1において、更に、
該通信要素と該指定した半導体チップとの間に該電気接続を介して2方向通信を与え、且つ
該指定した半導体チップからの情報を該通信要素の該メモリユニット内に格納されるべく該通信要素へ供給する、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1において、該MCPモジュールの第1通信機能が無線通信又は有線通信を包含していることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1において、該MCPモジュール外部のシステムへ該情報を供給することが、該情報をローカルエリアネットワーク、無線通信ネットワーク、衛星通信ネットワーク、携帯電話通信ネットワーク、又は有線ネットワークと無線ネットワークとの組合せの内の一つへ供給することを包含していることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1において、更に、
該通信要素又は該指定した半導体チップに関するアルゴリズムを使用して該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールに対するIDを発生する、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1において、該通信要素の該メモリユニット内に格納されている情報が、アイデンティティ情報、部品番号、モデル番号、モデル名、ブランド名、メーカー、ロゴデザイン、及びオリジナル装置製造業者(OEM)、MCPモジュール及び/又は指定した半導体チップの製造及び/又はディストリビューション履歴、マイクロ電子装置又はシステムのオリジナルの所有者を包含しており、該アイデンティティ情報がMCPベース上の1個又はそれ以上の半導体チップから又はMCPモジュール外部のシステムからの質問に応答してアイデンティティコードを発生するためのアイデンティティコード又はアルゴリズムを有していることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1において、更に、
該MCPベース内に形成されているMCPモジュールのパワー端子から該通信要素への電源接続を与えること、
を包含していることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1において、更に、
安全化されている質問又は安全化されている認証手順を介して該通信要素の該メモリユニット内に格納されている情報へアクセスする、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1において、更に、
無線通信要素を形成するために該通信要素へ無線通信回路を設け、
該無線通信要素をアンテナへ接続し、
該無線通信要素を無線通信装置として使用して無線通信を介して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスする、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12において、該無線通信装置が有線又は無線通信ネットワークと通信を行い、且つ該方法が、更に、
該無線通信装置を介して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報を該有線又は無線通信ネットワークへ供給する、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12において、該無線通信要素が、無線周波数通信、ブルトース無線通信、Wi−Fi通信、WiMax通信又はZigBee無線通信を介しての無線通信をサポートする構成とされていることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12において、更に、
無線読取器装置を使用して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスし、該無線読取器装置が有線又は無線のネットワークへ結合されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項12において、更に、
該MCPベースの上又は中に該アンテナを形成し、
該アンテナを該無線通信要素へ電気的に接続させる、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項12において、更に、
該MCPモジュールの封止物質の上又は中に該MCPモジュールのリードフレームから電気的に絶縁して該アンテナを形成し、
該アンテナを該無線通信要素へ電気的に接続する、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項12において、更に、
該MCPモジュールのパッケージボディ内に該アンテナを形成し、該アンテナが電気接続を介して該無線通信要素へ電気的に接続されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18において、更に、
該アンテナを該MCPモジュールのパッケージボディ上に形成されているアンテナボンディグパッドから該無線通信要素へ又は可撓性コネクタ上に形成されている半田バンプ又は導電性接着剤によって形成されている電気接続を介して該MCPベース上に形成されている対応する相互接続体へ電気的に接続し、
該MCPベース上に形成されている相互接続体をワイヤボンド又は半田バンプ又は導電性接着剤を使用して該無線通信要素上の対応するボンディングパッドへ電気的に接続する、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12において、該無線通信要素がRFIDチップを有しており、且つ該方法が、更に、
RFID読取器を使用して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスする、
ことを包含していることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項12において、更に、
無線通信を介して該無線通信要素へ命令を供給し、該命令が、少なくとも、読取コマンド、書込コマンド、ロックコマンド、又はキルコマンドを包含している、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項12において、該無線通信要素がグローバルポジショニングシステム(GPS)機能ブロックを有していることを特徴とする方法。
【請求項23】
第1通信機能を具備しているマルチチップパッケージ(MCP)モジュール又は該MCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップから選択した指定した半導体チップに対してアイデンティティの追跡及び認証を与える方法において、
該MCPモジュール上に形成され無線通信要素を与え、該無線通信要素は、少なくとも、該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールのアイデンティティ情報を格納するメモリユニットを包含しており且つ無線通信回路を包含しており、
該MCPベース上に形成され且つ該指定した半導体チップと通信する無線通信トランシーバを設け、該無線通信トランシーバは第2通信機能を与え、
該無線通信トランシーバによって該第2通信機能を介して該無線通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスし、
該無線通信要素内に格納されている情報を該MCPモジュールの第1通信機能を介して該MCPモジュール外部のシステムへ供給し、該情報が、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの該指定した半導体チップを追跡し又は認証するために使用される、
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23において、該第2通信機能が、無線周波数通信、ブルトース無線通信、Wi−Fi通信、WiMax通信、又はZigBee無線通信の内の一つを有していることを特徴とする方法。
【請求項25】
第1通信機能が設けられているMCPモジュールのMCPベース上に形成されている1個又はそれ以上の半導体チップを包含しているマルチチップパッケージ(MCP)モジュールにおいて、
該MCPベース上に形成されている通信要素であって、少なくとも該指定した半導体チップ又は該MCPモジュールのアイデンティティ情報を包含している情報を格納するメモリユニットを包含している通信要素、
該通信要素と該MCPモジュールのMCPベース上に形成されている該1個又はそれ以上の半導体チップから選択して指定した半導体チップとの間の電気接続、
を有しており、
該指定した半導体チップが該電気接続を介して該通信要素のメモリユニット内に格納されている情報へアクセスし、且つ該MCPモジュールの第1通信機能を介して該通信要素内に格納されている情報を該MCPモジュール外部のシステムへ供給し、該情報が、少なくとも、該MCPモジュール又は該MCPモジュールの該指定した半導体チップを追跡又は認証するために使用される、
ことを特徴とするMCPモジュール。
【請求項26】
請求項25において、該MCPベースが多層相互接続基板を有しており、且つ該電気接続が該多層相互接続基板の上又は中に形成されていることを特徴とするMCPモジュール。
【請求項27】
請求項25において、該MCPベースがダイパドルを有していることを特徴とするMCPモジュール。
【請求項28】
請求項25において、該通信要素と該指定した半導体チップとの間に形成されている電気接続が、ボンドワイヤ半田バンプ、金バンプ、導電性ペースト、導電性インク、又は半田ジョイントバンプを具備する可撓性コネクタの内の一つを有していることを特徴とするMCPモジュール。
【請求項29】
請求項25において、該電気接続が該通信要素と該指定した半導体チップとの間の2方向通信を与え、且つ該指定した半導体チップが該通信要素のメモリユニット内に格納されるべき情報を該電気接続上の該通信要素へ供給することを特徴とするMCPモジュール。
【請求項30】
請求項25において、該通信要素は、更に、無線通信要素を形成するための無線通信回路を包含しており、該無線通信はアンテナへ接続されており、且つ該無線通信要素のメモリユニット内に格納される情報は該無線通信要素が無線通信装置を使用する無線通信を介してアクセスされることを特徴とするMCPモジュール。
【請求項31】
請求項30において、該MCPベースは多層相互接続基板を有しており、且つ該アンテナは該多層相互接続基板の上又は中に形成されていることを特徴とするMCPモジュール。
【請求項32】
請求項30において、該アンテナは該MCPモジュールのリードフレームの上で且つそれから電気的に絶縁して、該MCPモジュールの封止物質内に、又は該MCPモジュールのパッケージボディ内部に形成されていることを特徴とするMCPモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−199251(P2011−199251A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229017(P2010−229017)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(510270317)アールエフマーク, インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RFMarq, Inc.
【Fターム(参考)】