説明

半導体パッケージ、ボード、電子機器、及び半導体パッケージとプリント板の接続方法

【課題】半導体パッケージ内の特定の信号に対してプレーンを設け、このプレーンをパッケージ側面に設けた板状のフラットプレート端子によりプリント板に接続することにより、耐ノイズ性を高めた半導体パッケージ、ボード、電子機器、及び半導体パッケージとプリント板の接続方法を提供する。
【解決手段】半導体パッケージ10は、半導体チップ11を搭載し、半導体チップ11の入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子であるボール14を裏面に設け、半導体チップ11の電源と接続する電源プレーン12を半導体チップ11の背面に平行に設け、半導体チップ11のグランドと接続するグランドプレーン13を半導体チップ11の背面に平行に設け、電源プレーン12と外部を電気的に接続する板状のフラットプレート端子15−1を側面に設け、グランドプレーン13と外部を電気的に接続する板状のフラットプレート端子15−2を側面に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体パッケージ、ボード、電子機器、及び半導体パッケージとプリント板の接続方法に関し、特に、電源やグランドのような特定の信号の耐ノイズ性を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路は集積度の向上に伴って信号本数の増加し、さらに必要電源種類の増加や必要電流容量の増加により電源ピンやグランドピンが増加し一層多ピン化が進んでいる。半導体集積回路のパッケージ(半導体パッケージという)も多ピン化が進み、多数のピンを効率よくプリント板に実装する構造のパッケージとしてピンが格子状に配列されたPGA(ピングリッドアレイ)タイプやBGA(ボールグリッドアレイ)タイプのパッケージが使用されている。
【0003】
PGAやBGAパッケージは必要な電力を供給しノイズ耐力を確保するため、多数の電源ピンとグランドピンを信号ピン間に配列している。PGAやBGAパッケージを実装するプリント板の多くは積層型のものであり、電源層やグランド層を信号層とともに積層する。PGAやBGAパッケージに実装された半導体のピンはパッケージ内のインナーリードとパッケージのリード又はボールを介してプリント板の実装面の接続部分に電気的に接続し、さらにビアホールを介して各信号層の配線と電気的に接続する。
【0004】
また、BGAパッケージは多数の信号ピンがあるため、BGAパッケージ実装領域下のプリント板は多数の信号用のビアホールが設けられる。図7はBGAパッケージが実装された領域付近のプリント板の電源層のパターンを示した図であり、図7の白丸は信号線のためのビアホールを通すための穴であり、黒丸は電源のビアホールである。電源は黒丸のビアホールを介してBGAパッケージのボールと接続する。図7は電源層について示したがグランド層も同様である。
【0005】
多ピン化とともに高速動作をするようになり、半導体パッケージはノイズを低減するための工夫がされている。例えば、特開平3−120748号公報の発明は、デュアルインラインパッケージの雑音トラブルを解決するために、電源プレーンと接地プレーンをインナーリードに配設した構造としている。また、特開平11−74308号公報の発明はBGAパッケージに対して、半導体の実装面の絶縁機材の信号線層面の反対側に接地系の配線層を配設した構造とし、低コストで耐ノイズ性を実現している。
【0006】
【特許文献1】特開平3−120748号公報
【特許文献2】特開平11−74308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来の技術では図7のように多ピンの半導体パッケージの実装領域におけるプリント板の電源層やグランド層は穴あき状態となってしまい、耐ノイズ性が劣化するという問題がある。上記特許文献の発明は半導体パッケージに電源プレーンやグランドプレーンを設けているが、半導体パッケージに電源プレーンやグランドプレーンを設けただけでは上記耐ノイズ性の劣化を改善できないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、半導体パッケージ内の特定の信号(電源やグランド)に対してプレーンを設け、このプレーンをパッケージ側面に設けた板状のフラットプレート端子によりプリント板に接続することにより、半導体パッケージの耐ノイズ性を高めた半導体パッケージ、ボード、電子機器、及び半導体パッケージとプリント板の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設けた半導体パッケージであって、
プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の半導体パッケージは、本発明の第1の半導体パッケージにおいて、前記プレート端子は、前記半導体パッケージの側面から外部へ出て前記信号端子の方向に鈍角に折り曲がり、さらに前記の複数の信号端子が並ぶ面の延長上の位置で折れ曲がった形状を特徴とする。
【0011】
本発明の第3の半導体パッケージは、本発明の第1の半導体パッケージにおいて、前記特定の信号は、グランド又は電源であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設けた半導体パッケージであって、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の半導体パッケージは、本発明の第4の半導体パッケージにおいて、前記半導体チップは前記電源に加えて第2の電源を有し、前記半導体チップの第2の電源と接続する第2の電源プレーンを前記半導体チップの背面に平行に設け、第2の電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第3のプレート端子を第1のプレート端子又は第2のプレート端子と別の側面に設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の半導体パッケージは、本発明の第4の半導体パッケージにおいて、前記半導体チップは前記電源に加えて第2の電源を有し、前記電源プレーンを前記半導体チップの電源に接続する第1の電源プレーンと前記半導体チップの第2の電源に接続する第2の電源プレーンに分割し、前記第1のプレート端子を第1の電源プレーンと接続する第3のプレート端子と第2の電源プレーンに接続する第4のプレート端子に分割したことを特徴とする。
【0015】
本発明の第1のボードは、半導体パッケージをプリント板に搭載したボードであって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的にプリント板へ接続する複数の信号端子をプリント板に対向する面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、特定の信号をプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする。
【0016】
本発明の第2のボードは、本発明の第1のボードにおいて、前記半導体チップの特定の信号を、前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする。
【0017】
本発明の第3のボードは、半導体パッケージをプリント板に搭載したボードであって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする。
【0018】
本発明の第10のボードは、本発明の第3のボードにおいて、前記プリント板は信号と電源層とグランド層を有し、電源層は前記第1のプレート端子と複数のビアホールを介して接続し、グランド層は前記第2のプレート端子と複数のビアホールを介して接続することを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の電子機器は、半導体パッケージをプリント板に搭載したボードを搭載する電子機器であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子と、半導体チップの特定の信号と接続し半導体チップの背面に平行に設けられたプレーンを有し、プレーンと半導体パッケージの外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を半導体パッケージの側面に設けたことを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の電子機器は、本発明の第1の電子機器において、前記半導体チップの特定の信号を前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の電子機器は、半導体パッケージをプリント板に搭載したボードを搭載する電子機器であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする。
【0022】
本発明の第1の接続方法は、半導体パッケージとプリント板の接続方法であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的にプリント板へ接続する複数の信号端子をプリント板に対向する面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、特定の信号をプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の接続方法は、本発明の第1の接続方法において、前記半導体チップの特定の信号を前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする。
【0024】
本発明の第3の接続方法は、半導体パッケージとプリント板の接続方法であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、半導体パッケージ内に電源プレーン又はグランドプレーンのように特定の信号に対してプレーンを設け、このプレーンをパッケージ側面からプリント板上に十分な幅を持って接続できる板状のプレート端子を設けた構造を有する。従って本発明は、電源やグランドのような特定の信号を従来の信号端子に比べて高いノイズ耐力を持つフラットプレート端子でプリント板に接続することができるので、耐ノイズ性を高めることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の半導体パッケージ10の構造を示した図であり、図1(a)は半導体パッケージ10を側面から見た断面図であり、図1(b)は半導体パッケージ10を上面から見た図である。図1では半導体パッケージ10としてBGAパッケージを例に示しているが、半導体パッケージ10はBGAパッケージに限定するものではなく、PGAパッケージのように信号端子を配列状に設けたものであればよい。
【0027】
図1を参照すると、半導体パッケージ10は半導体チップ11と電源プレーン12とグランドプレーン13とボール14とフラットプレート端子15−1とフラットプレート端子15−2を含む。なお、フラットプレート端子15−1とフラットプレート端子15−2を区別せずに呼ぶ場合はフラットプレート端子15と記載する。
【0028】
半導体チップ11はLSI(大規模集積回路)のような半導体のベアチップであり、図示しないがインナーリードにより半導体チップ11の各入出力ピンは該当するボール14と接続され、ボール14を介して図示しないプリント板に接続可能である。
【0029】
ボール14は半導体チップ11のピン数に応じて半導体パッケージ10の裏面(プリント板と向き合う面)に格子状に配設された信号端子であり、導電性を持ち熱等を加えることによりプリント板表面に設けられた導電性のある部品に接着される。ボール14により半導体パッケージ10はプリント板に電気的に接続され且つ固着される。なお、PGAパッケージのように信号端子が棒状のリードである場合はプリント板にハンダで接着される。
【0030】
電源プレーン12とグランドプレーン13は、半導体チップ11を覆う大きさを持った薄い板状の導電体であり、半導体チップ11の背面(図1では上方向)に配置される。ただし電源プレーン12とグランドプレーン13と半導体チップ11との大小関係は特に限定するものではなく、配置関係も中心を一致させる必要はなく電源/グランドの配線の製造の効率を配慮して決めればよい。
【0031】
半導体チップ11の表面(図1では下方向)には図示しないが半導体チップ11の信号ピンとボール14と接続する配線パターンが配設される。電源プレーン12は半導体チップ11の全ての電源ピンと接続され、プリント板からフラットプレート端子15−1を介して半導体チップ11に電源を供給する。グランドプレーン13は半導体チップ11の全てのグランドピンと接続され、フラットプレート端子15−2を介してプリント板のグランドと接続される。
【0032】
フラットプレート端子15は、薄い板状のプレート端子であり導電性を持ち、図1のような形状に形成される。フラットプレート端子15は電源プレーン12又はグランドプレーン13とプリント板とを板状の形状で接続するので耐ノイズ性に優れるとともに、十分な電源容量を半導体チップ11に供給できる。
【0033】
図1では、電源プレーン12やグランドプレーン13の大きさに合わせた幅を持ったフラットプレート端子15を示しているが、フラットプレート端子15の幅は電源プレーン12やグランドプレーン13の大きさに合わせる必要はなく、必要とされる耐ノイズ性や電源容量に応じて幅を決めればよい。
【0034】
次に、半導体パッケージ10を実装するプリント板について説明する。図示しないが、プリント板は半導体パッケージ10のボール14と接着する部分と、フラットプレート端子15と接着する構成部品を持つ。ボール14と接着する構成部品はプリント板の1つのビアホールと接続しビアホールを介してプリント板の信号層の配線と接続する。フラットプレート端子15と接着する部分はプリント板の複数のビアホールと接続しプリント板の電源層或いはグランド層に接続する。
【0035】
図2は、プリント板の電源層のパターンを示した図である。黒い丸は信号用のビアホールの穴であり、白い丸は電源用のビアホールと接続する部分である。図2の例では図の右側の部分に電源用のビアホールがまとめられているが、これは電源用のフラットプレート端子15−1と接続するためのビアホールである。
【0036】
図2の例では、電源は主にこの部分のビアホールを使用して半導体パッケージ10に供給され、補助的にいくつかのボール14を使用して供給されるようになっているが、半導体パッケージ10に供給する電源を全てフラットプレート端子15−1から供給するようにしてもよい。図2では電源層のパターンについて説明したがグランド層のパターンも同様であるので説明は省略する。
【0037】
このように、フラットプレート端子15付近はボール14と接続するための信号用のビアホールがないため、この領域の電源層/グランド層には多くの穴を開けなくてもよく、電源/グランドを供給するのにより適したパターンを実現することができる。従って、耐ノイズ性に優れた電源/グランドの供給が可能となる。
【0038】
また、フラットプレート端子15により電源/グランドが大幅に強化されるため、従来と同レベルの耐ノイズ性を確保するのであれば、電源/グランドを供給するために使用するボール14数を大幅に削減することができる。従って、削減した電源/グランド用のボール14を電源やグランド以外の信号として利用することができるので、半導体パッケージ10の信号線数を増やすこともできる。
【0039】
以上の説明では、電源は1種類と想定して説明したが、半導体によっては2種類以上の電源の供給を必要とするものがある。この場合について電源が2種類必要な場合を例に説明する。図3は、2種類の電源供給を受ける第1の電源プレーン22−1と第2の電源プレーン22−2を積層し、さらに第1のグランドプレーン23−1と第2のグランドプレーン23−2を積層した半導体パッケージ20の構造を示した図である。図3(a)は側面から見た断面図であり図3(b)は上面から見た透視図である。
【0040】
第1の電源プレーン22−1は図の右側に配置されたフラットプレート端子25−1と接続し、第1のグランドプレーン23−1は図の左側に配置されたフラットプレート端子25−2と接続する。ここまでの構造は図1と同じである。図3では、さらに第2の電源プレーン22−2は図の下側に配置されたフラットプレート端子25−3と接続し、第2のグランドプレーン23−2は図の上側に配置されたフラットプレート端子25−4と接続する。
【0041】
このように図3の半導体パッケージ20は、四方にフラットプレート端子25を有した構成となっているが、プリント板との接続やプリント板の電源層/グランド層のパターンは図1の半導体パッケージ10の場合と同じであるので説明は省略する。ただし、プリント板は2種類の電源を供給する必要があるので電源層を2層以上持つか又は電源層を2つの領域に分ける必要がある点で相違する。
【0042】
図4は、2種類の電源供給を受ける第1の電源プレーン32−1と第2の電源プレーン32−2を同層に配設した半導体パッケージ30の構造を上面からの透視図で示した図である。図4は、図1の電源プレーン12を電源プレーン32−1と第2の電源プレーン32−2に分割した構造を採り、電源プレーン32−1はフラットプレート端子35−1と接続し、第2の電源プレーン32−2はフラットプレート端子35−2と接続しそれぞれのフラットプレート端子35−1、35−2によりプリント板に接続される。グランドプレーン13はフラットプレート端子35−3を介してプリント板に接続する。
【0043】
以上説明したように、本発明の半導体パッケージは半導体パッケージ10、半導体パッケージ20、半導体パッケージ30のいずれの構成においても、電源やグランドをフラットプレート端子15、25、35によりプリント板に接続することができる。フラットプレート端子15、25、35は半導体パッケージの外周方向に伸びプリント板と接続するので、プリント板の電源層やグランド層が信号用のビアホールを避けるために穴あき形状となってしまう半導体パッケージの実装領域を避けて、プリント板の電源層やグランド層と接続が可能となる。これにより、本発明の半導体パッケージは、プリント板との間で電源とグランドを安定して接続することができ、耐ノイズ性を改善できる。
【0044】
また、電源やグランドをボール14ではなくフラットプレート端子15、25、35によりプリント板に接続できるので、従来ボール14に割り付けていた電源やグランドのボール14数を削減することができる。これにより、削減したボール14の領域をプリント板の配線領域として利用できるようになるので、プリント板の配線効率が向上する。或いは削減した電源やグランドのボール14を通常の信号として使用することができるので、半導体チップ11はより多くの信号を入出力ピンとして利用することができる。
【0045】
以上の説明では電源とグランドに対して専用のプレーンを半導体パッケージ内に設け、専用のプレーンに応じてフラットプレート端子を設けたものを示してきたが、電源やグランド以外の特別な信号に対して専用のプレーンとフラットプレート端子を設けた構成に対しても本発明を適用できる。特別な信号の層がプリント板に設けられていない場合でも専用のプレーンとフラットプレート端子によりボール14に比べて安定してプリント板に接続することができる。
【0046】
また、各電源プレーン12、22、32と各グランドプレーン13、23と接続する各フラットプレート端子15、25、35の側面方向について一例を示して説明したが、フラットプレート端子15、25、35を取り付ける側面方向は図1、図2、図3で説明した方向に限定するわけではない。
【0047】
例えば、図1の半導体パッケージ10は、電源用のフラットプレート端子15−1とグランド用のフラットプレート端子15−2と対向しない側面方向に取り付けてもよいし、図3の2つの電源用のフラットプレート端子35−1と35−2のように同じ側面方向に2分割して取り付けてもよい。図3の半導体パッケージ20も半導体パッケージ10と同様で、特にフラットプレート端子を取り付ける側面方向を限定したものではない。図4の半導体パッケージ30は電源プレーン32−1と32−2を同層に分割するが、フラットプレート端子35−1と35−2は図4のように同一側面方向の左側に分割して取り付ける必要はなく、図4の上への側面方向に側面幅を持った形状で取り付けてもよい。
【0048】
次に、上述の半導体パッケージを搭載したボードについて説明する。図5は半導体パッケージを搭載したボードの一例を示した図である。図5の例では、半導体パッケージ搭載ボード40はプリント板41に半導体パッケージ10と半導体パッケージ20とコネクタ42とその他の電子部品を搭載している。図5の例では半導体パッケージ搭載ボード40は本発明の半導体パッケージを2つ搭載するが、少なくとも半導体パッケージ10、20、30のうち1つ搭載すればよい。
【0049】
プリント板41は、電源層とグランド層を持っており、半導体パッケージ10、20、30のフラットプレート15、25、35と接続して電気的に接続できる構造を持っている。コネクタ42は半導体パッケージ搭載ボード40を搭載する電子機器と接続するためのコネクタであるが、コネクタ42の代わりにケーブルで電子機器と接続するように構成してもかまわない。また、半導体パッケージ搭載ボード40が電子機器の主たるボード(マザーボード)である場合はコネクタやケーブルはない場合もある。
【0050】
図6は、本発明の半導体パッケージ搭載ボード40を搭載した電子機器50を示した図である。電子機器50は少なくとも半導体パッケージ搭載ボード40を1以上搭載する。電子機器50としては、情報処理装置、通信装置、交換機、電化製品、各種装置に組み込まれる電子機器等が有り、特に分野を限定することなく半導体パッケージ搭載ボード40を搭載した装置であれば本発明を適用できる。
【0051】
本発明の電子機器50は半導体パッケージ搭載ボード40を搭載し、本発明の半導体パッケージ搭載ボード40は半導体パッケージ10、20、30のいずれか1以上を搭載するので、本発明の電子機器50及び本発明の半導体パッケージ搭載ボード40は電源やグランドの耐ノイズ性を向上しノイズに強い安定した動作を実現できる。
【0052】
以上のように、半導体パッケージをプリント板に接続する方法において、本発明は半導体チップ11の特定の信号である電源やグランドを専用に設けたフラットプレート端子15、25、35を介してプリント板に接続することができ、また、半導体パッケージ10、20、30の裏面の信号端子とフラットプレート端子15、25、35の双方を介してプリント板に接続することができる。
【0053】
従って、本発明は必要とされるノイズ耐力に応じて、電源やグランドをフラットプレート端子15、25、35のみを介してプリント板に接続したり、電源やグランドをフラットプレート端子15、25、35のみでは不足するノイズ耐力に応じた数だけ信号端子を用いてプリント板に接続したりすることで十分で効率のよい接続方法を選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は半導体パッケージと、半導体パッケージを搭載したボードと、そのボードを搭載した電子機器全般に適用することができる。すなわち、半導体を搭載する機器や装置に対して適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の半導体パッケージ10の構造を示した図である。
【図2】本発明のプリント板の電源層のパターンの一例を示した図である。
【図3】本発明の2層の電源プレーンを持った半導体パッケージ20の構造を示した図である。
【図4】本発明の1層に2つの電源プレーンを持った半導体パッケージ30の構造を示した図である。
【図5】本発明の半導体パッケージ搭載ボード40の一例を示した図である。
【図6】本発明の半導体パッケージ搭載ボード40を搭載した電子機器50を示した図である。
【図7】従来の半導体パッケージを搭載したプリント板の電源層のパターンの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
10 半導体パッケージ
11 半導体チップ
12 電源プレーン
13 グランドプレーン
14 ボール
15−1、15−2 フラットプレート端子
20 半導体パッケージ
22−1、22−2 電源プレーン
23−1、23−2 グランドプレーン
25−1、25−2、25−3、25−4 フラットプレート端子
30 半導体パッケージ
32−1、32−2 電源プレーン
35−1、35−2、35−3 フラットプレート端子
40 半導体パッケージ搭載ボード
41 プリント板
50 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設けた半導体パッケージであって、
プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設けたことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記プレート端子は、前記半導体パッケージの側面から外部へ出て前記信号端子の方向に鈍角に折り曲がり、さらに前記の複数の信号端子が並ぶ面の延長上の位置で折れ曲がった形状を特徴とする請求項1の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記特定の信号は、グランド又は電源であることを特徴とする請求項1の半導体パッケージ。
【請求項4】
半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設けた半導体パッケージであって、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設けたことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項5】
前記半導体チップは前記電源に加えて第2の電源を有し、前記半導体チップの第2の電源と接続する第2の電源プレーンを前記半導体チップの背面に平行に設け、第2の電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第3のプレート端子を第1のプレート端子又は第2のプレート端子と別の側面に設けたことを特徴とする請求項4の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記半導体チップは前記電源に加えて第2の電源を有し、前記電源プレーンを前記半導体チップの電源に接続する第1の電源プレーンと前記半導体チップの第2の電源に接続する第2の電源プレーンに分割し、前記第1のプレート端子を第1の電源プレーンと接続する第3のプレート端子と第2の電源プレーンに接続する第4のプレート端子に分割したことを特徴とする請求項4の半導体パッケージ。
【請求項7】
半導体パッケージをプリント板に搭載したボードであって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的にプリント板へ接続する複数の信号端子をプリント板に対向する面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、特定の信号をプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とするボード。
【請求項8】
前記半導体チップの特定の信号を、前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする請求項7のボード。
【請求項9】
半導体パッケージをプリント板に搭載したボードであって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とするボード。
【請求項10】
前記プリント板は信号と電源層とグランド層を有し、電源層は前記第1のプレート端子と複数のビアホールを介して接続し、グランド層は前記第2のプレート端子と複数のビアホールを介して接続することを特徴とする請求項9のボード。
【請求項11】
半導体パッケージをプリント板に搭載したボードを搭載する電子機器であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子と、半導体チップの特定の信号と接続し半導体チップの背面に平行に設けられたプレーンを有し、プレーンと半導体パッケージの外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を半導体パッケージの側面に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
前記半導体チップの特定の信号を前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする請求項11の電子機器。
【請求項13】
半導体パッケージをプリント板に搭載したボードを搭載する電子機器であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする電子機器。
【請求項14】
半導体パッケージとプリント板の接続方法であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的にプリント板へ接続する複数の信号端子をプリント板に対向する面に設け、半導体チップの特定の信号と接続するプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、プレーンと外部とを電気的に接続する板状のプレート端子を側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、特定の信号をプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする接続方法。
【請求項15】
前記半導体チップの特定の信号を前記プレート端子を介して前記プリント板に接続するとともに、前記信号端子を介して前記プリント板に接続することを特徴とする請求項14の接続方法。
【請求項16】
半導体パッケージとプリント板の接続方法であって、
半導体パッケージは、半導体チップを搭載し、半導体チップの入出力ピンを電気的に外部へ接続する複数の信号端子を裏面に設け、半導体チップの電源と接続する電源プレーンを半導体チップの背面に平行に設け、半導体チップのグランドと接続するグランドプレーンを半導体チップの背面に平行に設け、
電源プレーンと外部を電気的に接続する板状の第1のプレート端子を側面に設け、グランドプレーンと外部を電気的に接続する板状の第2のプレート端子を第1のプレート端子と異なる側面に設け、
半導体チップの信号を複数の信号端子を介してプリント板に接続するとともに、半導体チップの電源を電源プレーンと第1のプレート端子を介してプリント板に接続し半導体チップのグランドをグランドプレーンと第2のプレート端子を介してプリント板に接続することを特徴とする接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−4634(P2008−4634A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170411(P2006−170411)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】