説明

半導体パッケージに用いられるテープ及びそのカット方法

【課題】半導体パッケージに用いられるテープ及びそのカット方法を提供する。
【解決手段】複数の分断領域を有する基材10と、基材10上の各分断領域に形成されたリード線1、及び相応のリード線1に連結する細線2と、を備える半導体パッケージに用いられるテープに関し、少なくとも1つの分断領域において、細線2がリード線1の中心線11から離れているオフセット細線配列構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージに用いられるテープ及びそのカット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動式テープボンディング(Tape Automated Bonding,TAB)を導入し、従来のワイヤボンディング(wire bonding)技術を取り替える。現在、TABは液晶ディスプレイ、腕時計、カメラ、メモリカード、電卓、パソコン、及び他の電子装置における半導体パッケージ、例えばテープ・キャリアー・パッケージ(tape carrier package,TCP)と膜上チップ(chip on film,COF)に用いられる。TABはICチップから基板までの高密度の相互連結を提供し、配線パターンを有する一端をICチップに自動的にボンディングさせ、配線パターンを有する他端を基板に自動的にボンディングさせる。
【0003】
図5は基材におけるリード線パターンを有する従来の(TAB/COF)テープの概略図であり、その中でリード線1の間隔Aは27μmで、2本の隣接するリード線1の中心線の間隔Bは58μmである。各リード線1の端部に設けられた細線2が均一に相応のリード線1の中心線位置に設けられ、細線2の中心配列構造を形成することを特徴とする。実際の生産では、該配列構造に、例えば、分断ブレードの寿命が短く、バリが発生しやすい等の技術的欠陥が存在していることが明らかである。
【0004】
分断ブレードでTAB/COFを順次分断する時に、分断ブレードが細線をカットする位置が同じであるため、細線2をカットする部分の刃の摩耗を繰り返し、普段、分断ブレードの使用寿命が100K回程度しかない。直ちに分断ブレードを交換しなければ、摩耗された分断ブレードは分断領域でバリを発生させ、バリの長さが≧15μmの場合、隣接する2つのリード線1の短絡が起こされ、X方向2輝線(X2Line)との欠陥が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、半導体パッケージに用いられるテープ及びそのカット方法を提供し、分断位置が同じであるため分断ブレードの使用寿命を短縮するという問題を解決すると共に、バリが生じやすく、X2Line欠陥が起される等の技術問題を効果的に解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的と/又は他の目的を果たすために、本発明のある態様では、複数の分断領域を有する基体と、基体上の各分断領域に形成されたリード線、及び相応のリード線に連結する細線と、を備え、少なくとも1つの分断領域において、細線がリード線の中心線から離れている半導体パッケージに用いられるテープが提供される。
【0007】
前記少なくとも1つの分断領域における全ての細線が、相応のリード線の中心線に対して同じ方向へ離れてもよく、前記少なくとも1つの分断領域における隣接する細線が、リード線の中心線に対して反対の方向へ離れてもよい。
【0008】
1つの態様において、細線の中心線は相応のリード線の中心線から11μm〜15μm離れてる。この距離は13μmであるのが望ましい。
【0009】
前記目的と/又は他の目的を果たすために、本発明のもう1つの態様では、複数の分断領域を有する基体と、基体上の各分断領域に形成されたリード線、及び相応のリード線に連結する細線と、を備え、少なくとも1つの分断領域において、細線が相応のリード線の中心線から離れている半導体パッケージに用いられるテープをカットする方法が提供される。
【0010】
1つの態様において、隣接する2つの分断領域における細線の配列構造は異なる。
【0011】
前記少なくとも1つの分断領域における全ての細線が相応のリード線の中心線から同じ方向へ離れることが望ましい。前記少なくとも1つの分断領域における隣接する細線が相応のリード線の中心線から反対の方向へ離れることが選択できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体パッケージに用いられるテープ及びそのカット方法によれば、分断位置が同じであるため分断ブレードの使用寿命を短縮するという問題を解決できると共に、バリが生じやすく、X2Line欠陥が起される等の技術問題を効果的に解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、本発明の特定な例示的実施例を説明する。当業者にとって、本発明は多くの異なる形態により実現でき、ここで説明する実施例に限られると解釈してはならないことが明らかである。本文において、同じ参照符号は同じ要素を指す。
【0014】
まず、具体例を結合して、本発明の実施例に採用される半導体パッケージに用いられるテープのいくつかのオフセット細線配列構造を説明する。これらの例は、液晶ディスプレイにおけるTAB/COFテープを含む。
【0015】
(実施例1)
図1は本発明の実施例にかかる半導体パッケージに用いられるテープの左オフセット細線配列構造の概略図である。図1に示すように、例えばTAB/COFテープであるテープは基材10と、基材10に均一に設けられたリード線1と、を備える。細線2は各リード線1の一端に連結される。同一の分断領域において、全ての細線2が相応のリード線1の中心線11から左方向へ離れ、左オフセット細線配列構造を形成する。細線2の中心線21と相応のリード線1の中心線11の間の距離Cは11μm〜15μmであり、13μmが一番望ましい。
【0016】
(実施例2)
図2は本発明の実施例にかかる半導体パッケージに用いられるテープの右オフセット細線配列構造の概略図である。図1に示す構造とは、全ての細線2がリード線1の中心線11から右方向へ離れ、右オフセット細線配列構造を形成する点で異なる。細線2の中心線21とリード線1の中心線11の間の距離Cは11μm〜15μmであり、13μmが一番望ましい。
【0017】
(実施例3)
図3,4は本発明の実施例にかかる半導体パッケージに用いられるテープの左右オフセット細線配列構造の概略図である。図3,4に示すように、リード線1はテープの基材10に均一に設けられ、同一の分断領域において、隣接する2本の細線2はリード線1の中心線11から反対の方向へ離れ、左右オフセット細線配列構造を形成する。隣接する2本のリード線1(例えば最も左側に位置する2本のリード線1)について、リード線1から離れる時、該2本の細線2は互いに近づく(図3に示すように)と、リード線1から離れる時、該2本の細線2は互いに離れる(図4に示すように)と、2種類の配列構造が形成できる。該左右オフセット細線配列構造において、細線2の中心線とリード線1の中心線の間の距離Cは11μm〜15μmであり、13μmが望ましい。細線2の幅Dが4μm〜6μmである場合、2本の隣接する細線2の最大距離Eが76μm〜78μmとなる。一方、従来技術の中心細線配列構造において、隣接する2本の細線2の距離は約43μmである。
【0018】
以下、左オフセット細線に基づいて、本発明の実施例にかかる半導体パッケージに用いられるテープ(例えばTAB/COFテープ)のカット方法を説明する。TAB/COFテープの基材に連続に配列された分断領域において、例えば、奇数番号の分断領域に、図1に示すような左オフセット細線配列構造が採用され、隣接の偶数番号の分断領域に、図5に示すような中心細線配列構造が採用される。分断ブレードで順次に分断する場合、奇数番号の分断領域を分断する時、分断ブレードが細線2をカットする位置はリード線1の中心線11から11μm〜15μm離れ、偶数番号の分断領域を分断する時、分断ブレードが細線2をカットする位置はリード線1の中心線11にある。このように、各領域を分断する分断位置が異なり、且つ位置が順次に変換し、分断ブレードの刃を均一に摩耗させ、分断ブレードの使用寿命を延長できる。同時に、分断において、バリの発生が減少され、製品のX2Lineの欠陥が回避できる。
【0019】
本発明の他の実施例において、奇数番号の分断領域と偶数番号の分断領域において、それぞれ異なる細線配列構造が採用される。従って、左オフセット細線配列構造と、右オフセット細線配列構造と、左右オフセット細線配列構造(例えば前記2種類)と、従来技術の中心細線配列構造との多種の組み合わせは、2つの隣接する分断領域に応用でき、且つ、分断ブレードの使用寿命を延長し、バリの発生を減少できる。更に、2つの隣接する分断領域は、同様の細線配列構造を有することができるが、テープの全ての分断領域にとって、細線配列構造は完全に同様ではない。
【0020】
実験結果によれば、本発明にかかる半導体パッケージに用いられるテープのカット方法を採用した後、分断ブレードの使用寿命が倍以上延長され、使用回数が従来の100K回から200K回に増え、且つ、バリの発生も減少され、生産コストを低減すると共に、バリの発生によるX2Lineの欠陥も回避された。
【0021】
上記実施例は本発明の技術案を説明するものであり、限定するものではない。最良な実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者にとって、必要に応じて異なる材料や設備などをもって本発明を実現できる。即ち、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の形態で実施しえるものである。
【0022】
本願は2007年2月6日に中国国家知識産権局に提出した200720103481.4号実用新案出願の優先権を主張し、前記出願の全ての内容をここで援用した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例にかかる左オフセット細線配列構造の概略図である。
【図2】本発明の実施例にかかる右オフセット細線配列構造の概略図である。
【図3】本発明の実施例にかかる左右オフセット細線配列構造の概略図である。
【図4】本発明の実施例にかかる左右オフセット細線配列構造の概略図である。
【図5】従来技術のTAB/COFテープの線配列構造の概略図である。
【符号の説明】
【0024】
1 リード線、 2 細線、 10 TAB/COFの基材、 11 リード線の中心線、 21 細線の中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分断領域を有する基体と、
基体上の各分断領域に形成されたリード線、及び相応のリード線に連結する細線と、
を備え、
少なくとも1つの分断領域において、細線が前記相応のリード線の中心線から離れていることを特徴とする半導体パッケージに用いられるテープ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの分断領域において、全ての細線は前記相応のリード線の中心線に対して同じ方向へ離れていることを特徴とする請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの分断領域において、隣接する細線は前記相応のリード線の中心線に対して反対の方向へ離れていることを特徴とする請求項1に記載のテープ。
【請求項4】
前記細線の中心線は、前記相応のリード線の中心線から11μm〜15μm離れていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ。
【請求項5】
細線の中心線は前記相応のリード線の中心線から13μm離れていることを特徴とする請求項4に記載のテープ。
【請求項6】
前記テープはTAB/COFテープであることを特徴とする請求項1に記載のテープ。
【請求項7】
隣接する2つの分断領域において、細線の異なる配列構造が採用される請求項1に記載のテープ。
【請求項8】
複数の分断領域を有する基体と、
基体上の各分断領域に形成されたリード線、及び相応のリード線に連結する細線と、
を備え、
少なくとも1つの分断領域において、細線が前記相応のリード線の中心線から離れている半導体パッケージに用いられるテープをカットする方法。
【請求項9】
隣接する2つの分断領域において、異なる細線の配列構造が採用される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの分断領域において、全ての細線はリード線の中心線に対して同じ方向へ離れていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの分断領域において、隣接する細線はリード線の中心線に対して反対の方向へ離れていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記細線の中心線は、前記相応のリード線の中心線から11μm〜15μm離れていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記細線の中心線は前記相応のリード線の中心線から13μm離れていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記テープはTAB/COFテープであることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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