説明

半導体制御装置

【課題】小型で耐久性、ロバスト性に優れた半導体制御装置を提供する。
【解決手段】複数の半導体開閉素子10(1〜4)の内、略半数ずつを第1の回路基板13Aと第2の回路基板13Bとに略均等に分配して、それぞれ第1の制御回路部100Aと、第2の制御回路部100Bとを構成し、第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとのそれぞれの実装面を内側に対向せしめて、両者の間を金属製の端子部材14、15、16、17によって架橋した階層構造となし、これらを樹脂部材からなる樹脂部180によって一体的に覆うと共に、端子部材14、15、16を略平板状の金属部材を断面略ハット型に屈曲させて一部を樹脂部180の側面方向に露出せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体開閉素子を含む半導体制御装置に係り、搭載性、外乱耐久性に優れた半導体制御装置に関するものであり、特にグロープラグ通電制御装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、半導体開閉素子のスイッチング機能を利用して、燃料噴射制御、点火制御、モータ制御、油圧制御、電力分配制御等の様々な制御を行う半導体装置が種々と搭載されている。近年、これらの半導体装置の更なる高機能化、応答性向上を図るべく、半導体素子には高い信頼性とともに高電力化、高周波化、小型化等が要求されている。
このため、これらの半導体開閉素子としては、パワーMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、BSIT(バイポーラモード静電誘導トランジスタ)等のパワーデバイスが用いられている。
これらのパワーデバイスの多くは、作動に伴って発熱し、制御回路の性能や信頼性に影響を与える虞があることから、これらの発熱性の半導体素子を含む半導体装置には種々と放熱対策が講じられている。
【0003】
特許文献1には、パワー制御素子を含み、ディーゼルエンジン予熱用ヒータに加える電力の制御を行う制御回路の少なくとも一部をなす回路部品と、樹脂または樹脂を含む複合材からなる配線基板であって、上記パワー制御素子を含む上記回路部品を自身の両面にわたって実装してなる配線基板と、上記パワー制御素子周囲の空気を外部との間で流通を制限しつつ、少なくとも上記パワー制御素子を包囲する樹脂製のケース部材、または、少なくとも上記パワー制御素子の周囲に充填されてこのパワー制御素子を包囲する樹脂充填材の少なくともいずれかと、上記パワー制御素子の周囲に配置され、上記ケース部材及び上記樹脂充填材よりも熱伝導性が高く、上記パワー制御素子が発する熱を一時蓄熱して、このパワー制御素子の温度上昇を遅らせる温度上昇遅延手段と、を有するディーゼルエンジン予熱用ヒータの通電制御装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、グロープラグへの通電を切り替えるパワー部と、一端側が前記パワー部と電気的に接続され、他端側がバッテリー接続用の第一ターミナルとなる第一バスバー部と、一端側が前記パワー部と電気的に接続され、他端側がグロープラグ接続用の第二ターミナルとなる第二バスバー部と、前記パワー部が固定され、前記パワー部が発する熱を外部に放射する放熱部を有し、前記第一バスバー部および前記第二バスバー部を保持するハウジングと を備えることを特徴とするグロープラグ通電制御装置が開示されている。
【0005】
特許文献1にあるような、従来の通電制御装置では、複数の半導体開閉素子を、制御用集積回路等の能動部品や、コンデンサ、抵抗、コイル等の受動部品と共に、ガラスエポキシ樹脂基板等の配線基板上に実装して、樹脂製又は金属製の筐体内に収容し、筐体内に樹脂製絶縁材料を充填し、回路基板に接続された金属製の外部接続端子をコネクタ内に引き出して、電源や、負荷として設けられたグロープラグや、エンジン制御装置との接続を図っている。
【0006】
また、特許文献2にあるような、グロープラグへの通電を切り替えるパワー部をバスバー部に接続して筐体内に収容した構成においても、特許文献1にあるのと同様、外部接続端子をコネクタ内に引き出して、電源や、負荷として設けられたグロープラグや、エンジン制御装置との接続を図っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、グロープラグ通電制御装置等の車載用の半導体制御装置においては、急停止・急発進等に伴う加速度による衝撃や、悪路走行時の激しい振動や、エンジンからの受熱等過酷な使用環境に晒されており、そのような過酷な使用環境下でも確実な信号の授受を保証しなければならい。
このため、外部接続端子、及び、相手方のコネクタに嵌合して外部接続端子と相手方の外部接続端子とを接続するコネクタには、極めて高い寸法精度が要求され、製造コストの増加を招いている。
【0008】
また、一般的に、雌雄のコネクタの嵌合により接続状態となる外部接続端子は、一方が略平板状に形成された雄端子と、他方がこれと弾性的に接触する雌端子とによって構成されている。
略平板状に形成された雄端子は、一端がコネクタの根本に固定され、他端が開放された、いわゆる片持ちカンチレバー構造となっているため、外部からの振動に共振して雌端子との接触状態が離れ、信号や電力の瞬間的な遮断が発生し、通電制御装置の誤作動を招く虞がある。
このような問題に対して、一の信号に対して共振周波数の異なる複数の外部接続端子を用いて2系統で信号を伝達することにより、外部振動との共振を避けることも可能であるが、同サイズの外部接続端子を2系統用意した場合には体格の増加となり、外部接続端子の幅を半減して2系統用意した場合には、体格の増加は伴わないが、耐久性の低下を招く虞がある。
【0009】
さらに、車両の様々な機能が機械的な制御から電子制御に切り替わり、様々な通電制御装置が用いられるようになり、通電制御装置のさらなる小型化が望まれている。
加えて、外部へのノイズの放射が少なく、また、外部からのノイズの影響を受け難い構造の通電制御装置が望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑みなされたものであって、少なくとも複数の半導体開閉素子と、これらを制御する制御用集積回路とを具備する半導体制御装置のさらなる小型化と、外部からの振動等の外乱に対するロバスト性の向上との両立を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明では、少なくとも、複数の半導体開閉素子と、これらを開閉制御する半導体制御集積回路と、抵抗、コンデンサ、コイルのいずれかから選択した受動部品と、外部との接続を行う接続端子とを具備する半導体制御装置であって、
上記複数の半導体開閉素子の内、略半数ずつを第1の回路基板と第2の回路基板とに略均等に分配して、それぞれ第1の制御回路部と、第2の制御回路部とを構成し、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部とのそれぞれの実装面を内側に対向せしめて、両者の間を金属製の端子部材によって架橋した階層構造となし、これらを樹脂部材からなる樹脂部によって一体的に覆うと共に、上記端子部材を略平板状の金属部材を断面略ハット型に屈曲させて一部を上記樹脂部の側面方向に露出せしめる。
【0012】
請求項2の発明では、セラミック基板、若しくはガラスエポキシ樹脂基板のいずれかからなる絶縁性基板に配線パターンを形成して上記回路基板となす。
【0013】
請求項3の発明では、絶縁性基板を用いることなくリードフレームによって配線パターンを形成して上記回路基板となし、上記半導体開閉素子、上記受動部品及び上記制御用集積回路をリードフレームに実装する。
【0014】
請求項4の発明では、上記半導体制御装置が、内燃機関の気筒毎に設けられ通電により発熱する複数のグロープラグへの通電を上記半導体開閉素子の開閉によって制御するグロープラグ通電制御装置である。
【0015】
請求項5の発明では、上記半導体制御装置が、電気抵抗、静電容量、インピーダンスのいずれかの電気的信号を基に被検出対象の温度、濃度、湿度、圧力のいずれかの物理量を検出するセンサを制御するセンサ制御装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、上記端子部材が、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部との間で電気信号を伝達するための通電部材としての役割と、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部とを階層構造で支える支柱部材としての役割と、外部に設けた電源や負荷等との入出力端子としての役割とを果たし、階層構造であるため、実装密度が高く、半導体制御装置の小型化が容易である。
さらに、複数の上記端子部材が、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部とに実装された各部品の側面を覆うように配設されているので、これが電磁シールドの機能を発揮し、外部からの電磁波ノイズの影響を廃除すると共に、上記複数の半導体開閉素子が開閉制御されたときに、発生する高周波ノイズが外部に放射されるのを抑制することができると期待される。
また、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部とのそれぞれに上記複数の半導体開閉素子が略均等に案分され実装されているので、発熱量の均一化を図り、熱ストレスによる内部配線の断線の予防を図り信頼性の高い半導体制御装置が実現できる。
加えて、上記端子部材が、上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部との両方に支えられた状態で、かつ、上記樹脂部によって支持された状態で外部との接続が図られているので、従来のカンチレバー構造の接続端子に比べ、外部からの振動に対する耐久性が高く、信頼性の高い半導体制御装置が実現できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上記絶縁性基板によって、上記端子部材の保持が容易となり、生産性の向上を図ることも可能となる。
また、上記絶縁性基板によって機械的強度が高くなるので、熱ストレスに対する耐久性が高くなる。
【0018】
請求項3の発明によれば、半導体制御装置のさらなる小型化を図ることができる。又、材料削減による生産コスト低減効果が大きい。
【0019】
請求項4の発明によれば、小型で、搭載性にすぐれ、外部からの振動や衝撃に対して電気信号の瞬断を招く虞のない信頼性の高いグロープラグ通電制御装置が実現できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、小型で党再生に優れ、外部からの振動や衝撃に対して電気信号の瞬断を招く虞のない信頼性の高いセンサ制御装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用し得るグロープラグ通電制御装置を含むグロープラグ通電制御システム全体を示す構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態における半導体制御装置として例示するグロープラグ通電制御装置1の概要を示し、(a)は、上面図、(b)は、本図(a)中A−Aに沿った断面図。
【図3】図1のグロープラグ通電制御装置1の詳細な構造を製造方法の工程順を追って示し、(a−1)、(a−2)は、それぞれ第1の基板、第2の基板の実装状態を示す平面図、(b−1)、(b−2)は、それらの側面図、(c−2)は、第1の基板と第2の基板を2層構造としたときの平面図、(c−1)は、そのA方向から見た側面図、(c−3)は、そのB方向から見た側面図。
【図4】図2に続く工程を示し、(a)は、樹脂成形工程の概要を示す断面図、(b−1)、(b−2)は、本実施形態におけるグロープラグ通電制御装置の外観を示す斜視図、(c)は、ソケット部の概要を示す斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態における半導体制御装置として例示するグロープラグ通電制御装置1aの概要を示し、(a)は、上面図、(b)は、本図(a)中A−Aに沿った断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態における半導体制御装置として例示するグロープラグ通電制御装置1bの概要を製造方法の工程順を追って示し、(a−1)は、半導体開閉素子に用いられるn−チャンネルMOSFETの模式図、(a−2)は、その等価回路図、(b−1)は、第1の回路部の平面図、(b−2)は、第2の回路部の平面図、(c−1)、(c−2)は、それぞれの断面図、(d)、端子部の概要を示す斜視図、(e)は、第1の回路部と第2の回路部とを接続した状態を示す断面図。
【図7】図6に続く製造工程の順を追って示し、(a)は、本実施形態におけるグロープラグ通電制御装置の断面図、(b)は、本実施形態におけるソケット部の概要を示す断面図、(c)は、グロープラグ通電制御装置1bをソケット部2bに組み付けた状態を示す断面図。
【図8】比較例と共に本発明の信頼性向上の効果を示し、(a)は、本発明の実施例における要部断面図、(b)は、振動衝撃を加えたときのタイムチャート、(c)は、比較例における要部断面図、(c)は、振動衝撃を加えたときのタイムチャート。
【図9】本発明の小型化に資する効果を示す模式図。
【図10】本発明の第4の実施形態として、センサ制御装置に適用した場合を示し、(a)は回路構成図、本発明を適用した場合において、(b−1)は、第1の制御回路部を示す回路構成図、(b−2)は、第2の制御回路部を示す回路構成図。
【図11】(a)は、第1の制御回路と第2の制御回路とを階層構造としたときの側面図、(b−1)、(b−2)は、パッケージ化したときの斜視図、(c)は、本実施形態におけるセンサ制御装置全体の構成を示す構成図。
【図12】比較例として示す従来のグロープラグ通電制御装置1zの概要を示し、(a)は、平面図、(b)は、断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、内燃機関の着火補助や燃焼排気の加温等に用いられるグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置を初めとする、少なくとも複数の半導体開閉素子とそれらを制御する制御集積回路とを具備する半導体制御装置のさらなる小型化と、外部からの振動や温度変化等の外乱の影響を抑制してロバスト性の向上との両立を図るものである。
ここで、図1を参照して、本発明を適用し得るグロープラグ通電制御装置を含むグロープラグ通電制御システム全体の概要について説明する。
なお、本図においては、4気筒エンジンの気筒毎に設けた複数のグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御システムを例として説明するが、当然のことながら、本発明は、4気筒に限定するものではない。
グロープラグ40(1〜4)は、内部に通電により発熱する図略の抵抗発熱体を具備し、図略の内燃機関(E/G)の各気筒に設けられ、電気的にはエンジンヘッドを介して接地状態となっている。
なお、本発明においては、グロープラグ40(1〜4)を構成する抵抗発熱体は、いわゆる金属ヒータとセラミックヒータとのいずれでも良い。
各グロープラグ40(1〜4)は、それぞれに接続された半導体開閉素子10(1〜4)の開閉によって通電制御され、例えば、PWM制御などによって所定の温度に昇温、維持される。
【0023】
本図においては、半導体開閉素子10(1〜4)として、n―チャンネルパワーMOSFETを用いた例を示しているが、p−チャンネルパワーMOSFETでも良い。半導体開閉素子10(1〜4)のドレイン端子Dは、外部の電源BATTに電力用ハーネス32を介して接続され、ソース端子Sは、通電用ハーネス30を介してグロープラグ40(1〜4)に接続され、ゲート端子Gは制御用集積回路11の出力端子G1〜G4に接続されている。
なお、本図に示すように、n―チャンネルMOSFETを構成する複数の半導体セルの一部を利用してカレントミラー回路を形成し、それぞれのミラー電流I〜Iが制御用集積回路11に入力され、グロープラグ10(1〜4)に流れる電流がモニタされ、グロープラグ10(1〜4)の温度制御や異常の有無の検出に利用される。
【0024】
制御用集積回路11には、駆動信号用ハーネス31を介して外部のエンジン制御装置5から機関E/Gの運転状況に応じて発振される駆動信号SIが入力されている。制御用集積回路11には、駆動信号SIにしたがって各半導体開閉素子10(1〜4)を所定の間隔で開閉駆動するためのゲート電圧G〜Gを出力する駆動回路部DRVが設けられている。
さらに、制御用集積回路11には、グロープラグ40(1〜4)に印加するプラグ電圧として半導体開閉素子10のソース端子Sにおける電圧V〜Vが入力されている。
【0025】
制御用集積回路11には、自己診断部DIUが設けられ、プラグ電流I1〜I4とプラグ電圧V〜V4とから、グロープラグ40(1〜4)の抵抗値変化を検出し、異常の有無を判定して自己診断信号DIとして、自己診断信号用ハーネス34を介して、ECU5に異常の有無を伝達する。
以下に示す本発明の第1〜第3の実施形態におけるグロープラグ通電性御装置1、1a、1b、及び、比較例として示す従来のグロープラグ通電制御装置1zは、電気的には、いずれも図1に示す回路と略等価な回路によって構成されており、それぞれの実施形態において用いられる部材の形状や材質、配置方法等にそれぞれ固有の特徴を有し、本発明の効果を発揮するものである。
【0026】
図2を参照して、本発明の第1の実施形態におけるグロープラグ通電制御装置1(以下、適宜GCU1と称す。)について説明する。
本実施形態におけるGCU1は、複数の半導体開閉素子10(1〜4)と、これらを開閉制御する半導体制御集積回路11と、必要に応じて適宜選択される抵抗、コンデンサ等の受動部品12A、12Bと、複数の半導体開閉素子10(1〜4)の略半数ずつを第1の回路基板13Aと第2の回路基板13Bとに略均等に分配して実装して、第1の制御回路部100Aと、第2の制御回路部100Bとを構成し、第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとを互いの実装面を対向せしめると共に、両者の間を架橋し、その間で電気信号を伝達するための通電部材としての役割と回路基板13Aと回路基板13Bとを階層構造で支える支柱部材としての役割を兼用する端子部材14(140〜142)、15(150〜153)、16(160、161)、17(170〜175)と、階層構造で配置された第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとをエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる樹脂部材を用いて一体的に封止すると共に、略平板状の金属部材を断面略ハット型に屈曲させて形成した端子部材14、15、16の一部を樹脂部180の外部に露出せしめて入出力端子としての役割を有してなることを特徴としている。
【0027】
また、金属製の端子部材14、15、16、17が、第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとに実装された各部品の側面を覆うように配設されているので、これが電磁シールドの機能を発揮し、外部からの電磁波ノイズの影響を廃除すると共に、複数の半導体開閉素子10(1〜4)が開閉制御されたときに、発生する高周波ノイズが外部に放射されるのを抑制することができると期待される。
【0028】
第1の回路基板13Aには、ガラスエポキシ樹脂基板等の絶縁性基板に所定の配線パターンが形成されたプリント基板等が用いられ、半導体開閉素子10(1)、10(2)、制御用集積回路11、受動部品12Aが実装されている。
第2の回路基板13Bには、ガラスエポキシ樹脂基板に所定の回路が形成されたプリント基板等が用いられ、半導体開閉素子10(2)、10(2)、受動部品12Bが実装されている。
なお、本実施形態においては、回路基板13A、13Bにガラスエポキシ基板を用いた例を示したが、セラミック基板等を用いても良い。
このような基板を用いることによって、製造工程中の取り扱いが容易になる上に、GCU1の機械的強度の向上を図ることができる。
【0029】
第1の回路基板A側に実装された制御用集積回路11によって、第1の回路基板13Aに実装された半導体開閉素子10(1)、10(2)と、第2の回路基板13Bに実装された半導体開閉素子10(3)、10(4)との両方を開閉制御するため、中継端子170、171、172、173、174、175を介して、第2の回路基板13B側に実装された半導体開閉素子10(3)へのゲート電圧VGG3、プラグ電圧V、ミラー電流Iの検出及び半導体開閉素子10(4)へのゲート電圧VGG4、プラグ電圧V4、ミラー電流I4の検出が可能となる。
なお、第1の回路基板A側に実装された半導体開閉素子10(1)、10(2)と制御用集積回路11とは、回路基板13Aに形成された配線パターンを介して接続されている。
第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとは、アルミニウムや銅などの導電性を有する略平板状の金属部材を両端がそれぞれの回路基板13A、13Bに固定され、中心部分が側面方向に向かって屈曲する断面略ハット型に形成した端子部材14、15、16を介して互いに固定され、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂TSRからなる樹脂部180によって周囲を覆われ封止状態となっている。
【0030】
駆動信号入力端子140、自己診断信号出力端子141、接地端子142は、略平板状の金属部材を断面略ハット型に屈曲して設けられ、第1の回路基板13A側の端部が第1の回路基板Aに挿通固定されると共に、制御用集積回路11のSI入力端子、DI出力端子、接地端子GNDのそれぞれに接続され、第2の回路基板13B側の端部が第2の回路基板Bに挿通固定され、第1の回路基板13Aと第2の回路基板13Bとの間が側面方向に張り出して樹脂部180から外部に露出し、ソケット部2側に設けた駆動信号入力端子240及び自己診断信号出力端子241、接地端子242のそれぞれと弾性的に接続された状態となっている。
このとき、ソケット部2側の端子部材240、241、242と接触する制御側の端子140、141、142の裏面は樹脂部180によって支持固定されているので、従来のカンチレバー構造の端子に比べ遙かに振動の影響を受け難くなっている。
【0031】
出力端子150、151、152、153、及び、電源入力端子160、161も上述と同様に、断面略ハット型に形成され、樹脂部180の側面方向に引き出され外部に露出する部分が、樹脂部180によって支持固定された状態でソケット部2側に設けた出力端子250、251、252、253、及び、電源入力端子260、261とのそれぞれに弾性的に接続され導通状態となっている。
なお、駆動信号SIを伝達する駆動信号入力端子140、自己診断信号DIを伝達する自己診断信号出力端子141、接地端子142には大きな電流が流れないので幅の細い信号用端子部材14が用いられ、出力端子150、151、152、153及び電源入力端子160、161には、大きな電流が流れるので、幅の広い電力用端子部材15、16が用いられている。
特に、複数のグロープラグ40(1〜4)への通電が同時に行われる場合には、電源入力端子160、161に大きな電流が流れるため、電源入力端子160、161の二つを同時に接続することによって配線抵抗を小さくし、電力損失を少なくしている。
【0032】
ソケット部2は、PPS、PBT等の熱可塑性樹脂TSRを用いて、周壁部200と底部220とによって内側にGCU1を収容する空間部210を区画した筐体状に形成され、上記の如くGCU1の端子部材14、15、16と外部との接続を可能にする端子部材24(240〜242)、25(250〜253)、26(260、261)がインサート成型により埋設されている。
各端子部材24、25、26は、アルミニウム等の電気導電性に優れた金属材料からなる平板を屈曲させて形成されている。
周壁部220の内側側面には、端子部材24、25、26の一端が露出し、断面略U字形に屈曲するように形成され、GCU1側の端子部材14、15、16と弾性的に当接して導通を図っている。
また、端子部材24、25、26の他端は、周壁部200及び底部220の内部を通過して、一方向に引き出され、外部との導通を図るハーネス30〜35のそれぞれに接続されている。
【0033】
周壁部200の頂面の一部には、周壁部200から空間部210に向かって突出し、上面にテーパ面を設けた鈎爪部230を形成してある。
鈎爪部230は、GUC1をソケット部2内に収容する際に、テーパ面と樹脂の可撓性とによってGCU1の空間部210への収容を可能にし、空間部210内にGCU1が収容されたときには、端子部材25、26による弾性的な保持力に加え、GCU1の樹脂部180の角部を拘束し、空間部210からGCU1が脱落したり、外部からの振動によってソケット部2内でGCU1が移動したりするのを防いでいる。
また、周壁部200の一つの角部に、GCU1の交換のために引抜用溝部231を設けたり、GCU1の方向性を明確にするための切欠部232を形成したりしても良い。
さらに、本実施形態においては、GCU1の両側の2面に接続端子14、15、16を引き出した例を示したが、接続端子の数に応じて、1面に集約して引き出すようにしても良いし、周壁部200の4方向の側面の全てにおいて接続端子を引き出すようにしても良い。
【0034】
ここで、図3、図4を参照して、本実施形態におけるGCU1及びソケット部2のより詳細な構成を製造工程の順を追って説明する。
先ず、図2(a−1)、(a―2)、(b−1)、(b−2)に示すように、回路基板13Aと回路基板13Bとのそれぞれに、GCU1を構成する半導体開閉素子10(1〜4)、制御用集積回路11、コンデンサ及び抵抗等の受動部品12A、12Bをそれぞれの回路基板13A、13B上に振り分けて実装する。
このとき、両者の発熱量がほぼ等しくなるように各部品を配置するのが望ましい。発熱量を均等にすることによりパッケージ化した後に、熱歪みにより断線するのを防止するためである。
【0035】
なお、受動部品12A、12Bとしては、例えば、pチャンネルMOSFETを駆動するために、ゲート電圧VGGを電源電圧より高くするためのチャージポンプを構成するコンデンサや、ミラー電流を検出するための検出抵抗や、インピーダンス調整のための終端抵抗等が挙げられる。
また、必要に応じて、ノイズ除去のためのフィルタを構成するコイルL、コンデンサC、抵抗R等の受動部品を適宜追加することもできる。
各部品の実装には、ハンダ付け等の一般的なプリント基板を製造する際の公知の手法が適宜用いられる。
【0036】
また、回路基板13A、13Bには、接続端子14(140〜142)、15(150〜153)、16(160、161)、17(170〜175)の端部を挿入するためのスルーホール140H、141H、142H、150H、151H、152H、153H、160H、161H、170H、171H、172H、173H、174H、175H、175Hが穿設されている。
各部品が実装された第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとを互いに、実装部品が内側となるように対向せしめ、接続端子14、15、16、17を介して、(c−1)、(c−2)、(c−3)に示すように、階層構造とする。
このとき、各接続端子15、16、17をそれぞれのスルーホールの周囲に設けた電極パターンにハンダ付けすることによって各回路基板13A、13Bに形成した配線パターンとの導通を図ると共に、各回路基板13A、13Bを各接側端子15、16、17に固着させることができる。
【0037】
次いで、図3に示すように、内側に樹脂部180を形成するためのキャビティCAV180を区画した、金型M、M内に、第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとが一体となった状態で載置し、キャビティCAV180内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂TSRを充填する。
このとき、金型M、Mに各接続端子14、15、16、17を保持するための溝部HLD14、HLD15、HLD16、HLD17を穿設しておくことにより、樹脂充填時の接続端子15、16、17、18の脱落等を防ぐことができる。
樹脂部180を固化させた後、金型M、M2を引き離すことにより、本図(b−1)、(b−2)に示すような、側面方向に接続端子140〜142、150〜153、160、162が引き出されたGCU1が完成する。
【0038】
本工程は、一般的なリードフレーム上に集積回路を形成してパッケージ化する方法と類似した方法であるが、従来のリードフレーム上に形成した集積回路をパッケージ化する場合には、樹脂によって集積回路をモールドした後、リードフレームをカットしたり、端子部を所定の形状に加工したりする必要があり、この際、パッケージに加わったストレスにより内部配線の一部が断線する虞がある。
しかし、本実施例においては、予め所定の形状(断面略ハット型)に形成された接続端子14、15、16、17を用いているので、樹脂部180を形成した後、リードの加工をする必要がなく、ストレスによる内部配線の断線を引き起こす虞がない。
このようにして完成したGCU1をソケット部2に挿入することにより、図1、及び、本図(c)に示すような、グロープラグ通電制御システムを構成することができる。
【0039】
図5を参照して本発明の第2の実施形態におけるGCU1aについて説明する。本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成を基本とし、第1の制御回路部100Aと第2の制御回路部100Bとの間に、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属材料を用いて、それぞれの半導体開閉素子10(1〜4)のパッケージ表面に当接し、樹脂部180の側面方向に広がり、側面部で上方に向かって屈曲して延びる略コ字形に形成したヒートシンク185を設けた点が相違する。
なお、本実施形態においては、ヒートシンク185を接続端子14、15、16が引き出されていない側面方向に向かって広げることにより、接続端子との絶縁性を考慮することなく容易に半導体開閉素子10(1〜4)の熱を外部に放出し易くすることができ、さらなる信頼性の向上を図ることができる。
【0040】
図6、図7を参照して、本発明の第3の実施形態におけるGCU1bについて、製造工程の順を追って説明する。
上記実施形態においては、第1の制御回路部100A、第2の制御回路部100Bを、第1の回路基板13A、第2の回路基板13Bを用いて形成した例を示したが、本実施形態においては、基板を用いることなくリードフレームに各部品を直接実装した点が相違する。このような構成とすることにより、さらなる小型化を実現できる。
また、発熱性の半導体開閉素子10(1〜4)を実装する部分のリードフレームの厚みを厚くしてヒートシンクとしての効果を発揮させることもできる。
本実施形態において、半導体開閉素子10として、いわゆるブレーナードゲート型n―チャンネル縦型MOSFETを用いた場合を例に説明するが、トレンチゲート型n―チャンネル縦型MOSFETや、PチャンネルMOSFETを用いることもできる。
【0041】
本図(a−1)、(a−2)に示すように、縦型n―チャンネルMOSFETは、n+基板上に、積層構造でNPN半導体回路が形成されており、ドレイン側が下面となっているので、本図(b−1)、(b−2)に示すように、幅広のリードフレームELDにベアチップを実装することによってドレインとの導通を図り、電源電圧VDDの入力を可能としている。
さらに、本図(b−1)、(b−2)に示すように、各半導体開閉素子10(1〜4)のソースSと、ソース電圧VSS1〜VSS4を出力するためのリードフレームELS1〜ELS4とがアルミニウム、金、銅等からなるボンディングワイヤWRBNDによって接続され、制御用集積回路11の実装された第1の制御回路100Ab側の半導体開閉素子10(1)、10(2)のソースSは、制御用集積回路11のそれぞれのソース電圧VSS1、VSS2を検出する端子にボンディングワイヤWRBNDによって直接接続され、第2の制御回路100Bb側の半導体開閉素子10(3)、10(4)のソースSはソース電圧VSS3、VSS4を第1の制御回路100Ab側に伝達する第2の制御回路100Bb側のリードフレームELV3、ELV4にボンディングワイヤWRBNDによって接続され、第1の制御回路100Ab側のリードフレームELV、ELVは、ボンディングワイヤWRBNDによって制御用集積回路11のそれぞれのソース電圧VSS3、VSS4を検出する端子に接続され、第1の制御回路100Ab側の半導体開閉素子10(1)、10(2)のゲートGは、ボンディングワイヤWRBNDによって制御用集積回路11のそれぞれのゲート電圧VGG1、VGG2を出力する端子に接続され、第2の制御回路100Bb側の半導体開閉素子10(3)、10(4)のゲートは、それぞれのゲート電圧VGG3、VGG4を、第1の制御回路100Ab側から伝達するための第2の制御回路100Bb側のリードフレームELG3、ELG4に接続され、第1の制御回路100AB側のリードフレームELG3、ELG4は、制御用集積回路11のそれぞれのゲート電圧VGG3、VGG4を出力する端子にボンディングワイヤWRBNDによって接続され、第1の制御回路100Ab側の半導体開閉素子10(1)、10(2)のミラー電流検出端子SENは、制御用集積回路11のミラー電流I、I2を検出する端子にボンディングワイヤWRBNDによって接続され、第2の制御回路100Bb側の半導体開閉素子10(3)、10(4)のミラー電流検出端子SENは、ミラー電流I、Iを第2の制御回路100Bb側に伝達するための第2の制御回路側のリードフレームELI3、ELI4にボンディングワイヤWRBNDによって接続され、第1の制御回路100Ab側のリードフレームELI3、ELI4は、制御用集積回路11のミラー電流I3、I4を検出する端子にンディングワイヤWRBNDによって接続されている。
【0042】
このようにして、半導体開閉素子10(1)〜10(4)及び制御用集積回路11が実装された第1の制御回路100Ab、第2の制御回路100Bbの表面には、本図(c−1)、(c−2)に示すように、ボンディングワイヤWRBNDの損傷を防ぐと共に、フレーム枠FLMから各リードEL、ELS1〜ELS4、ELSI、ELDI、ELG3、ELG4、ELV3、ELV4、ELI1〜ELI4を切り離したときに、それぞれのリードが、ばらばらにならないよう、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等のゲル状の封止用部材GLFXを用いて、実装部分を覆ってある。
ゲル状の封止部材GLFXで覆うことによって、熱ストレスを緩和することもできる。
【0043】
このようにしてできあがった第1の制御回路部100Abと第2の制御回路部100Bbとを、本図(d)に示すような、断面略ハット型の端子部材140〜142、150〜153、160〜161、170〜175を用いて、本図(e)に示すように、階層構造とし、各端子部材140〜142、150〜153、160〜161、170〜175を対応するリードELSI、ELDI、ELGND、ELS1、ELS3、ELS2、ELS4、EL、EL、EL、ELG3、ELV3、ELG4、ELI4、ELV4、ELI4に接続する。
このとき、各端子部材と各リードとは、ハンダ付け、レーザ溶接、ロウ付け等の公知の接合方法によって接続することができる。
また、本実施形態においては、電源電圧VDDを入力するリードフレームELに接続される端子部材160〜162を幅広で肉厚の金属塊を用いることにより、半導体開閉素子10(1)〜10(4)で発生した熱を放熱又は伝達するためのヒートシンクを兼ねている。
【0044】
このようにして、第1の制御回路部100Abと第2の制御回路部100Bbとが、端子部材140〜142、150〜153、160〜161、170〜175によって一体に架橋されたものを第1の実施形態と同様金型内に収容して、樹脂部180bを形成してGCU1bが完成する。
このとき、本実施形態においては、図7(a)に示すように、樹脂部180bの上面を鍔状に広げて、ソケット部2bの周壁部200bを覆うように鍔部182を形成した点が上記実施形態と相違する。
また、本実施形態においては、鍔部182の先端に内側に向かって突出する鈎爪部181が形成されている。
さらに、本実施形態においては、ソケット部2bの周壁部200bの外側に向かって突出してGCU1bの鈎爪部181と嵌合する嵌合部230bが形成されている。
【0045】
このように構成することによって、図7(c)に示すように、GCU1bをソケット部2b内に収容したときに、鍔部182によってソケット部2bの周壁部200bが覆われ、それぞれの接続端子の気密性、水密性を保ち、外部から水滴などの侵入を防ぐことができる。
また、本実施形態において、鍔部182と周壁部200bとの間に、弾性部材からなるパッキング183を介装し、水密性をさらに向上させることもできる。
加えて、本図(a)、(c)に示すように、GCU1bの樹脂部180bの上面に放熱性を高めるために表面積を大きくした熱伝導率の高い金属塊からなるヒートシンク185bを接合するようにしても良い。
【0046】
図8を参照して、本発明の外乱に対する安定性向上効果について説明する。
本図(a)は、第1の実施形態におけるGCU1とソケット部2との嵌合部分を拡大した要部断面図である。
本図に示すように、GCU1側の接続端子14、15、16は、樹脂部180によって支持固定された状態でソケット部2側の接続端子24、25、26と弾性的に当接し、導通状態となっているのに加え、鈎爪部230によって樹脂部180の角部が拘束されている。
この状態で外部から振動衝撃Fが加わったときの信号の伝達状態を本図(b)に示す。本図(b)に示すようにECU側の信号がGCU側に伝達されたときに、外部からの振動衝撃Fが加わっても、接続端子14、15、16と接続端子24、25、26との導通が維持され、GCU側には、ごく僅かな信号の乱れが発生するが、瞬間的な断線に至ることがなくECU5とGCU1との間で確実に信号の授受がなされる。
一方、比較例として示す従来のグロープラグ通電制御装置1zでは、本図(c)に示すように、GCU側の接続端子14z、15z、16zが片持ちカンチレバー構造となっているため、外部からの強い衝撃や、接続端子14z、15z、16zの共振周波数に一致する振動が加わると、接続端子14z、15z、16zが大きく撓んで、本図(d)に示すように、ECU側から伝達された信号がGCU側で瞬間的に途切れる瞬断現象を招く虞が有る。
【0047】
図9を参照して、本発明の小型化に対する効果について説明する。本図において、比較例1の外形線を2点鎖線で示し、本発明の第1、第2の実施形態におけるGCU1、1aの外形線を実施例1、2として、点線で示し、本発明の第3の実施形態におけるGCU1bの外形線を実施例3として実線で示す。
本図に示すように、実施例1、2において約30%の体格低減を図ることができ、実施例3において約50%の体格低減を図ることができる。
【0048】
ここで、比較例とした従来のグロープラグ通電制御装置1zの概要について図12を参照して簡単に説明する。比較例1zは、回路的には図1に示したものと等価である。
本図(a)に示すように、比較例1zにおいては、ガラスエポキシ樹脂からなる回路基板13zに、半導体開閉素子10z(1)、10z(2)、10z(3)、10z(4)と、制御用集積回路11zと、抵抗やコンデンサ等の受動部品12zが実装されている。
さらに、駆動信号入力用端子140z、自己診断信号出力用端子141z、接地用端子142zが、コネクタ190z内に収容され、各グロープラグへの電力を供給する出力端子150z、151z、152z、153zがコネクタ191z内に収容され、電源電圧を入力するための電源用端子160z、161zがコネクタ192z内に収容されている。なお、各接続端子124z、15z、16zは、アルミニウムや銅等の電気伝導性の高い金属材料を略平板状に形成したバスバーが用いられている。
上述の如く各部品を実装した回路基板13zは、本図(b)に示すように筐体180z内に収容され、筐体180内には、エポキシ樹脂等に充填部材181zが充填されている。また、回路基板13zの裏面側には、放熱性を高くするためのヒートシンク185zが設けられている。
【0049】
本発明は、グロープラグ通電制御装置等の複数の発熱性のパワーデバイスが設けられた半導体装置において特に好適に用いられるものであるが、GCU以外にも、比較的発熱量の少ない複数の半導体素子とその制御装置を含む半導体制御装置にも本発明を適用することは可能である。
例えば、被測定ガス中に含まれる粒子状物質の量を一対の電極間に堆積した粒子状物質の量に応じて変化する電極間の抵抗や静電容量等の電気特性を検出するPMセンサや、被測定対象の温度変化に伴う抵抗値変化を検出して温度を検出する温度センサなどのセンサ制御装置6に本発明を適用することもできる。 図10、図11にその具体的な構成を示す。
【0050】
図10(a)は、本発明を適用し得るセンサ制御装置6の一例を示す回路図である。本図に示すように、センサ制御装置6は、PMセンサや温度センサ等の抵抗値変化を検出するセンサ8の抵抗変化を検出するために用いられ、基板60上に形成された、電源電圧+B(例えば、+12V)を所定の電圧(例えば+5V)に制御する電源回路61とセンサ8の抵抗値変化を検出するための検出回路62と、検出回路62によって検出されたセンサ8の抵抗値変化から温度を算出するための演算処理を行う演算回路(マイコン)63と、マイコン63の演算結果を出力するための出力回路64と、演算結果の補正等マイコン63のプログラム等を書き換えるための書き込み端子65とによって構成されている。
本発明において、各回路61〜65の具体的な構成を限定するものではないが、各回路を明確にするため、それぞれを構成する部品を列挙する。
電源回路64は、整流素子611、コンデンサ612、614、制御素子613によって構成されている。
検出回路62は、抵抗622、624、コンデンサ623、制御素子621によって構成され、センサ8に所定の電圧を印加して、制御素子621によって検出タイミングを制御し、センサ8の抵抗値の変化を検出抵抗622、624によって電圧変換して検出し、マイコン63に伝達する。
マイコン63では、入力VINを所定の演算を行い、出力VOUTに変換する。
出力回路64は、抵抗641、642、増幅素子643、テイク644、コンデンサ645とによって構成され、マイコンの出力VOUTを増幅して、外部のECU等に出力する。
【0051】
本発明においては、図10(a)に示した制御回路6を階層構造として制御装置の小型化を図るべく、図10(b−1)、(b−2)に示すように、第1の制御回路部600Aと第2の制御回路部600Bとに按分し、それぞれの回路を階層構造で架橋するための支柱としての機能と、上下の回路の電気信号を伝達する中継端子としての機能と外部との入出力を図る外部端子としての機能を兼用した接続端子EL+B、ELSEN、ELOUT、ELGND、ELVCC、ELVOUT、EL651、EL652、EL653、EL654、EL655を介して接続する。
図11(a)に示すように、接続端子EL+B、ELSEN、ELOUT、ELGND、EL651、EL652、EL653、EL654、EL655は、断面略ハット型に屈曲して形成され、接続端子ELVCC、ELVOUTは、平板状に形成されている。
階層構造となった第1の制御回路部600Aと第2の制御回路部600Bとは、本図(b−1)、(b−2)に示すように、モールド樹脂66によって周囲を覆われ、接続端子EL+B、ELSEN、ELOUT、ELGND、EL651、EL652、EL653、EL654、EL655の一部が、外部との接続を図るべく、モールド樹脂66から露出している。
このようにして構成されたセンサ制御装置6は、内部に接続端子EL+B、ELSEN、ELOUT、ELGND、EL651、EL652、EL653、EL654、EL655と弾性的に接続する接続端子接続端子711、712、713、714、715、716、717、718及びリード部721、722、723、724、725、726、727、728がインサート成形されたソケット部7に組みつけられ、外部電源+B、ECU5c、センサ8、書換コンソール(CON)9等に接続される。
【0052】
本実施形態におけるソケット部7は、PPS、PBT等の熱可塑性樹脂TSRを用いて、周壁部700と底部とによって内側にセンサ制御回路6を収容する空間部を区画した筐体状に形成され、上記の如くセンサ制御回路6の端子部材と外部との接続を可能にする端子部材71(711〜718)、リード部材72(721〜728)がインサート成型により埋設されている。
各端子部材71(711〜718)は、アルミニウム等の電気導電性に優れた金属材料からなる平板を適宜、屈曲させて形成されている。
周壁部700の内側側面には、端子部材71の一端が露出し、例えば断面略C字形に屈曲するように形成され、センサ制御回路6側の端子部材と弾性的に当接して導通を図っている。
また、端子部材71の他端は、周壁部700及び底部の内部を通過して、一方向又は複数方向に引き出され、外部との導通を図るハーネスを介して外部電源+B、ECU5c、センサ8に接続されている。
【0053】
また、周壁部700の頂面の一部には、周壁部700から空間部内側に向かって突出し、上面にテーパ面を設けた鈎爪部を形成してある。
鈎爪部は、センサ制御回路6をソケット部2内に収容する際に、テーパ面と樹脂の可撓性とによってセンサ制御回路6の空間部内への収容を可能にし、空間部内にセンサ制御回路6が収容されたときには、端子部材71による弾性的な保持力に加え、センサ制御回路6の樹脂部の角部を拘束し、空間部から制御回路6が脱落したり、外部からの振動によってソケット部7内でセンサ制御回路6が移動したりするのを防いでいる。
また、周壁部700の一つの角部に、センサ制御回路6の交換のために引抜用溝部を設けたり、センサ制御回路7の方向性を明確にするための切欠部を形成したりしても良い。
さらに、本実施形態においては、センサ制御回路7の互いに直交する2面に接続端子を引き出した例を示したが、接続端子の数に応じて、1面に集約して引き出すようにしても良いし、周壁部700の4方向の側面の全てにおいて接続端子を引き出すようにしても良い。
本実施形態においても、上記実施形態と同様、階層構造とすることにより装置の実装密度を上げ、体格を小さくすることができる上に、振動などの外乱による信号の伝達エラーを防止できる。
また、本実施形態においては、物理量として、電気抵抗を検出するセンサ8を制御するセンサ制御回路6を例に説明したが、本発明は、センサの検出対象として、電気抵抗に限定するものではなく、静電容量、インピーダンス等の電気的信号を基に被検出対象の温度、濃度、湿度、圧力のいずれかの物理量を検出するセンサの制御装置に対して適宜採用し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
1 半導体制御装置(GCU)
10 半導体開閉素子
11 半導体制御集積回路
12A、12B 実装部品(受動部品)
13A、13B 回路基板
100A 第1の制御回路部
100B 第2の制御回路部
14、15、16、17 端子部材
140 駆動信号(SI)入力端子(制御側、雄側)
141 自己診断信号(DI)出力端子(制御側、雄側)
142 接地端子(制御側、雄側)
150、151、152、153 出力端子(制御側、雄側)
160、161 電源入力端子(制御側、雄側)
170、171、172、173、174 中継端子
180 樹脂部
2 ソケット部(筐体様接続手段)
200 周壁部
210 空間部
220 底部
230 鈎爪部
231 制御装置引抜用溝部
232 方向性確認用切欠部
240 駆動信号(SI)入力端子(ソケット側、雌側)
241 自己診断信号(DI)出力端子(ソケット側、雌側)
242 接地端子(ソケット側)
250、251、252、253 出力端子(ソケット側、雌側)
260、261 電源入力端子(ソケット側、雌側)
30(1〜4) 通電用ハーネス
31 駆動信号用ハーネス
32 自己診断信号用ハーネス
33 接地用ハーネス
34 電源用ハーネス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2007−255275号公報
【特許文献2】特開2009−162219号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、複数の半導体開閉素子と、これらを開閉制御する半導体制御集積回路と、抵抗、コンデンサ、コイルのいずれかから選択した受動部品と、外部との接続を行う接続端子とを具備する半導体制御装置であって、
上記複数の半導体開閉素子の内、略半数ずつを第1の回路基板と第2の回路基板とに略均等に分配して、それぞれ第1の制御回路部と、第2の制御回路部とを構成し、
上記第1の制御回路部と上記第2の制御回路部とのそれぞれの実装面を内側に対向せしめて、両者の間を金属製の端子部材によって架橋した階層構造となし、
これらを樹脂部材からなる樹脂部によって一体的に覆うと共に、
上記端子部材を略平板状の金属部材を断面略ハット型に屈曲させて一部を上記樹脂部の側面方向に露出せしめたことを特徴とする半導体制御装置。
【請求項2】
セラミック基板、若しくはガラスエポキシ樹脂基板のいずれかからなる絶縁性基板に配線パターンを形成して上記回路基板となした請求項1に記載の半導体制御装置。
【請求項3】
絶縁性基板を用いることなくリードフレームによって配線パターンを形成して上記回路基板となし、上記半導体開閉素子、上記受動部品及び上記制御用集積回路をリードフレームに実装せしめた請求項1に記載の半導体制御装置。
【請求項4】
上記半導体制御装置が、内燃機関の気筒毎に設けられ通電により発熱する複数のグロープラグへの通電を上記半導体開閉素子の開閉によって制御するグロープラグ通電制御装置である請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体制御装置。
【請求項5】
上記半導体制御装置が、電気抵抗、静電容量、インピーダンスのいずれかの電気的信号を基に被検出対象の温度、濃度、湿度、圧力のいずれかの物理量を検出するセンサを制御するセンサ制御回路である請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−4861(P2013−4861A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136385(P2011−136385)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】