説明

半導体基板をキュアリングするために紫外線照射を管理する方法

【課題】半導体基板上に形成された薄膜の紫外線による安定したキュアリングを実行するための方法を与える。
【解決手段】半導体基板をキュアリングするために紫外線照射を管理する方法は、チャンバ内に配置された半導体基板をキュアリングするために、チャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させる工程と、透過窓ガラスの上流側の照度及び透過窓ガラスの下流側の照度をモニターする工程と、透過窓ガラスをクリーニングするタイミング及び/または間隔、透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした照度に基づき紫外線の出力を決定する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体基板をキュアリングするための紫外線照射を制御する方法、及び、紫外線照射制御方法を使って半導体基板を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線によりさまざまな被処理体を改変するため、及び光化学的反応により物質を製造するために、紫外線処理装置が使用されてきた。デバイスの高集積化のトレンドにより、微細配線構造及び多層配線構造がもたらされた。消費電力を削減しながらデバイス速度を増加させるために、層間容量を減少させる必要がある。層間容量を減少させるために、低誘電率材料が使用されている。しかし、誘電率が低下するに従い、使用する低誘電率材料の機械的強度(弾性率またはEMで示す)が低下し、化学的機械的研磨、配線結合及び実装などの後工程で受けるストレスに耐えることが困難となる。この問題を解決するひとつの方法は、紫外線照射により低誘電率材料をキュアリングすることである。それにより、機械的強度を増加させることができる(例えば、米国特許第6759098号及び米国特許第6296909号参照)。紫外線による照射の際、低誘電率材料は収縮しかつ硬化して、機械的強度(EM)が50から200%増加する。
【0003】
近年の高集積デバイスに課されているのは、熱CVDまたはPECVDによる熱またはプラズマのダメージ若しくは欠陥が無い、薄膜形成方法である。この要求を満たすアプローチとして、光化学反応に関連する光CVDが研究されている。
【0004】
被処理体または反応空間が任意の光CVD法の下で、光エネルギーにより照射される場合、紫外線ランプは反応空間から分離されなければならない。その理由は、(1)反応空間内の圧力及び雰囲気は制御されなければならず、(2)紫外線ランプは生成されるガスにより汚れ、(3)生成されるガスは安全に排気されなければならないためである。光エネルギーを透過する人工石英から成る光透過型の窓ガラスが、反応空間を2つに分けるパーティションを構成するよう使用される(多くの種類のガラスが使用可能であるが、人工石英は、比較的安価でかつ真空雰囲気中で紫外線まで広範囲のスペクトルのさまざまな光を透過することができるため、好ましい)。
【特許文献1】米国特許第6759098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、透過窓の材料に応じて、光エネルギーを伝搬する透過光が紫外線の場合には、透過窓の上に蓄積した堆積物のために、その透過率が低下する傾向がある。したがって、大量のアウトガス(照射膜から生成される分解ガス)が発生するキュアリング処理においてクリーニングが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のひとつの態様において、適切なサイクルでクリーニングを実行するために、一定のまたは特定のタイミングで透過率がモニターされる。
【0007】
本発明のひとつの態様において、紫外線照射装置は、一定のまたは特定のタイミングで照度をモニターするように、紫外線ソースのすぐ近く及び透過窓ガラスの下流側で、紫外線の照度を計測するための紫外線照度計を具備する。
【0008】
透過率の低下の度合いは、使用する紫外線の波長によって変化するため、本発明のひとつの実施形態において、透過率は、効果的なまたは特定の方法で適用可能な紫外線の波長を測定することができる紫外線照度計を使って測定される。
【0009】
測定の精度は、紫外線照度計の定期的なキャリブレーションを通じて保証される。
【0010】
本発明のひとつの態様において、透過窓ガラスの汚染または劣化により生じる照度の低下率を測定するべく、紫外線ソースの照度は、透過窓ガラスの下流側で測定された照度と比較される。
【0011】
本発明のひとつの態様において、ランプベースの光源が照度情報のフィードバックを受信し、かつ、一定レベルに照度を維持するべく照度の低下を補償するよう出力を増加するメカニズムが与えられる。
【0012】
窓ガラスがクリーニングされると、照度は、キュアリングの開始時点で測定したのとほぼ同じレベルまで回復する。本発明のひとつの態様において、クリーニング後に照度の変化がほとんど観測されないポイントが、エンドポイントとして定義され、クリーニングはこのエンドポイントに達したときに終了する。
【0013】
本発明のひとつの態様において、照度は、キュアリング中にモニターされており、クリーニング時間及び頻度は、モニターした照度があるレベル(キュアリングされた膜の品質に影響がないレベル)に達するまでクリーニングが実行されないような方法で制御される。
【0014】
本発明のひとつの態様において、トリガーとして特定の照度値を使用することにより、クリーニング時間及び頻度を自動的に制御することも可能である。
【0015】
透過窓ガラスは、紫外線の一部を吸収し、かつ、ヒータ台により生成される熱からのダメージにさらされるため、その透過率は時間とともに低下する。結果として、キュアリング対象物に到達する紫外線の照度は低下する。本発明のひとつの態様において、人工石英にさらされるダメージの状態を把握し、交換が必要な時点を決定するために、透過率がモニターされる。例えば、交換のタイミングは、透過窓ガラスの劣化により生じる透過率の低下をモニターし、かつ、透過率が特定の値またはそれ以下に低下したとき、当該透過窓ガラスを交換することにより制御することができる。
【0016】
本発明及び従来技術に対する利点を要約する目的で、本発明のある目的及び利点がここで開示される。もちろん、本発明の特定の実施形態に従って、これらのすべての目的または利点が必ずしも達成されるものではない。よって、ここに教示または示唆されるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、ここに教示されるような利点を達成しまたは最適化するような方法で本発明を実施または実行することが可能であることは当業者の知るところである。
【0017】
本発明の他の態様、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、この好適実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明のひとつの実施形態において、半導体基板をキュアリングするために紫外線照射を管理する方法は、(a)チャンバ内に配置された半導体基板をキュアリングするべく、チャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させる工程と、(b)該透過窓ガラスの上流側の照度及び該透過窓ガラスの下流側の照度をモニターする工程と、(c)該透過窓ガラスのクリーニングのタイミング及び/または間隔、該透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした照度に基づき紫外線の出力を決定する工程と、を備える。
【0020】
本発明のひとつの実施形態において、上記モニターする工程は、透過窓ガラスの上流側に設けられた照度計により透過窓ガラスの上流側の照度、及び、透過窓ガラスの下流側に設けられた照度計により透過窓ガラスの下流側の照度をそれぞれ計測し、それによって紫外線の透過率を得る工程を含む。
【0021】
本発明の上記いずれかに記載の実施形態において、紫外線を通過させる工程及びモニターする工程は、半導体基板のキュアリング開始時点、半導体基板のキュアリング終了時点、透過窓ガラスのクリーニング開始時点、及び透過窓ガラスのクリーニング終了時点から成る集合から選択される少なくともひとつの時点に実行される。
【0022】
本発明の上記いずれかに記載の実施形態において、上記決定する工程は、(A)透過窓ガラスの下流側の照度を第1基準値と比較する工程と、(B)透過窓ガラスの上流側の照度を第2基準値と比較する工程と、(C)透過窓ガラスの下流側の照度が第1基準値と等しいかまたは第1基準値より低く、かつ、透過窓ガラスの上流側の照度が第2基準値と等しくないかまたは第2基準値より低くなければ、透過窓ガラスのクリーニングを開始するよう決定する工程と、(D)透過窓ガラスの上流側の照度が第2基準値と等しいかまたは第2基準値より低ければ、紫外線ランプを交換するよう決定する工程を含む。
【0023】
クリーニングが開始されたとき、上記紫外線を通過させる工程及びモニターする工程がクリーニング中に繰り返されるところの本発明の実施形態において、上記決定する工程は、さらに、(E)モニターされた透過窓ガラスの下流側の照度を第3基準値と比較する工程と、(F)透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値と等しいかまたは第3基準値より高ければ、透過窓ガラスのクリーニングを終了するよう決定する工程を含む。
【0024】
本発明の上記実施形態において、透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値と等しくないかまたは第3基準値より高くなければ、上記決定する工程は、さらに、(G)透過窓ガラスの下流側で連続してモニターされた照度を比較する工程と、(H)透過窓ガラスの下流側で連続してモニターされた照度の間の差が標準値と等しいかまたは標準値より小さければ透過窓ガラスのクリーニングを終了するよう決定する工程を含む。
【0025】
本発明の上記実施形態において、上記決定する工程はさらに、(I)クリーニング終了時の透過窓ガラスの下流側の照度と、第3基準値との間の差を補償するべく、紫外線の出力を増加させるよう決定する工程を含む。
【0026】
本発明の上記実施形態において、決定する工程はさらに、(J)紫外線ランプの出力増加時の透過窓ガラスの下流側の照度を第4基準値と比較する工程と、(K)紫外線ランプの出力増加時の透過窓ガラスの下流側の照度が標準値と等しいかまたは標準値より低ければ、透過窓ガラスを交換するよう決定する工程を含む。
【0027】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記紫外線を通過させる工程及びモニターする工程は、チャンバ内に別の半導体基板が搬入された後に繰り返される。
【0028】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記決定する工程は、モニターする工程の各々において透過窓ガラスの下流側でモニターされた照度を比較し、それにより透過窓ガラスを交換するタイミングを決定する工程を含む。
【0029】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記決定する工程は、モニターする工程の各々においてモニターされた照度を比較し、それにより透過窓ガラスをクリーニングするタイミングを決定する工程を含む。
【0030】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記紫外線を通過させる工程及びモニターする工程は、クリーニング中に間欠的にまたは連続的に実行され、それによりクリーニングのエンドポイントが決定される。
【0031】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記決定する工程は、紫外線の出力を決定する工程を含み、当該方法は、さらに、透過窓ガラスを通過する紫外線の照度を維持するよう、上記紫外線の決定された出力に基づいて紫外線の出力を増加させる工程を含む。
【0032】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記決定する工程は、クリーニングを開始する照度の閾値を設定し、透過窓ガラスの下流側でモニターされた照度をその閾値と比較することにより、クリーニングのタイミングを決定する工程を含む。
【0033】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、上記決定する工程は、透過窓ガラスを交換する照度の閾値を設定し、透過窓ガラスの下流側でモニターされた照度をその閾値と比較することにより、透過窓ガラスを交換するタイミングを決定する工程を含む。
【0034】
本発明の上記実施形態のいずれかにおいて、紫外線の波長は、170nmから300nmである。
【0035】
本発明の他の実施形態において、紫外線により半導体基板をキュアリングする方法は、(i)チャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させることによりチャンバ内に配置された半導体基板をキュアリングする工程と、(ii)透過窓ガラスをクリーニングする工程と、(iii)上記したいずれかの方法を実行し、それにより透過窓ガラスのクリーニングのタイミング及び/または間隔、透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした透過率に基づき紫外線の出力を決定する工程と、(iv)工程(iii)に従って、工程(ii)のタイミング及び/または間隔を制御し、透過窓ガラスを交換し、紫外線ランプを交換し、及び/または工程(i)の紫外線の出力を増加させる工程を備える。
【0036】
この詳細な説明において、“照度”は、吸光度若しくは強度、またはある場合において透過率と読み替えることができる。また、この詳細な説明中で、条件及び/または構造が特定されていない場合には、当業者は、以下の記載を参照して、経験的にその条件及び/または構造を容易に導くことが可能である。さらに、説明中で、実施形態に適用される数値は、他の実施形態においても±50%だけ修正して適応可能であり、実施形態で適用される範囲は終点を含んでも含まなくてもよい。
【0037】
以下、図面及び実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、図面及び実施例に限定されない。
【0038】
本発明を実施するための最良の形態を、図1及び図2を参照して以下で説明する。
【0039】
図1に示すように、本発明で使用される紫外線照射装置は、紫外線ランプ7が取り付けられた紫外線ユニット1、照射窓2、リアクタボディ3、該リアクタボディの内壁に設けられ、かつ、ガス導入管5に結合されたガス吸気リング(図示せず)、ヒータ台4、排気口6に結合された真空ポンプ(図示せず)、及び排気口内部に設置された圧力制御バルブ(図示せず)を含む。図1に示す装置は、ロードロックチャンバ12に結合され、該ロードロックチャンバ内部の基板搬入/搬出ロボット11が基板を搬入/搬出するのに使用される。装置はこの図に限定されず、紫外線を照射することが可能なあらゆる装置を使用することができる。
【0040】
例えば、ここに参考文献として組み込む、本発明の出願人の米国特許出願第11/690624号(2007年3月22日出願)及び米国特許出願第11/684524号(2007年3月9日出願)に開示されている紫外線照射装置などが、本発明の実施形態において使用可能である。
【0041】
図1の装置をさらに詳細に説明する。リアクタボディ3は、真空から大気圧付近の範囲にわたり内部圧力を制御することができるよう設計されており、紫外線ユニット1がその上部に設置されている。
【0042】
紫外線ランプ7は、紫外線を連続的またはパルス状に放出することができ、ヒータ台4は紫外線ランプ7に対向しかつ平行となるように設置されている。一方、照射窓ガラス2は紫外線ランプ7とヒータ台4との間に、該紫外線ランプ7及びヒータ台4と対向しかつ平行となるように設置されている。均一な紫外線照射を達成するべく照射窓2が使用される。照射窓2の材料は、紫外線透過中に外気からリアクタを分離することができるものであればよく、人工石英のような任意の材料を使用することができる。ひとつの実施形態において、複数の管状の紫外線ランプ7が紫外線照射ユニットの内部で平行に配置されている。図1に示すように、これらのランプは均一な照度を達成するよう最適に配置され、各紫外線ランプにより放出された紫外線を薄膜上に適宜反射するよう誘導するべく反射板8が設けられている。この反射板8は、均一な照度を達成するよう、その角度が調節可能なように設計されている。当該装置は、照射窓2が設けられるフランジ(図示せず)により、その内部の圧力が真空から大気圧付近までの範囲にわたって制御される基板処理部分と、紫外線を連続的にまたはパルス状に放出するための紫外線ランプが内部に設置された紫外線照射部とに分離されている。紫外線ランプ7は、簡単に除去及び交換することが可能である。ガスはフランジを通じて導入され、均一な処理雰囲気を達成するよう複数のガス吸気口(図示せず)が対称的な配置で設けられている。
【0043】
特定の紫外線照射処理は以下のとおりである。Ar、CO、CO、C、CH、H、He、Kr、Ne、N、O、Xe、アルコールガス及び有機ガスから選択されるガスを使って、チャンバ内の圧力を、約0.1Torrから大気圧付近(1Torr、10Torr、50Torr、100Torr、1000Torr及びこれらの任意の2数間の値を含む)の圧力とし、ゲートバルブ9を通じて基板搬送口から基板を搬入し、約0℃から約650℃(10℃、50℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃及びこれらの任意の2数間の値を含み、好適には300℃から450℃)の温度に設定されたヒータ台4上に被処理体である半導体基板を配置し、紫外線ランプ7から適当な距離(1cmから100cm)を維持しながら、波長が約100nmから約400nm(150nm、200nm、300nm、350nm及びこれらの任意の2数間の値を含み、好適には約200nm)で、出力が約1mW/cmから約1000mW/cm(10mW/cm、50mW/cm、100mW/cm、200mW/cm、500mW/cm、800mW/cm及びこれらの任意の2数間の値を含む)で、周波数が約1Hzから約1000Hz(10Hz、100Hz、200Hz、500Hz及びこれらの任意の2数間の値を含む)の紫外線を、連続的またはパルス状で、半導体基板上に形成された薄膜に対して照射する。照射時間は約1秒から約60分(5秒、10秒、20秒、50秒、100秒、200秒、500秒、1000秒、2000秒及びこれらの任意の2数間の値を含む)である。当該チャンバは排気口を通じて排気される。
【0044】
ひとつの実施形態において、この半導体製造装置は上記した一連の処理工程を自動シーケンスにより実行する。ここで、処理工程は、ガスを導入する工程と、紫外線を照射する工程と、紫外線照射を停止する工程と、ガスを停止する工程を含む。紫外線の強度(照度)は1から100%の範囲で変更可能であり、適用可能なレシピに従って制御される。
【0045】
図1に示す装置はまた、一定のレベルに紫外線の照度を維持することにより紫外線装置の安定動作をもたらすべく、紫外線ランプへの入力パワーを調節するためのメカニズムを備える。特定的に、入力パワーはランプまたはガラスの劣化により生じる透過窓ガラスの上流側での照度の低下を補償するべく増加される。この装置は、透過窓ガラスの前後での照度を測定するための、内壁に取り付けられた紫外線照度計21a,21bを備え、それにより紫外線照度を測定することができる。透過窓ガラス2の上流側に設けられた照度計21aは、紫外線ランプの劣化を直接検出するべく、ランプの照度をモニターする。もう一つの照度計21bは、上部照度計による測定値との差を計算するべく、透過窓ガラス2の下流側の照度を測定する。その差は、ガラスの劣化により生じる透過率の低下量を決定するのに使用される。紫外線照度計は測定データを照度モニターユニット22を通じて紫外線装置のパワー制御システム23へフィードバックし、キュアリング対象物が配置された透過窓ガラスの下流側の照度を一定レベルに維持するのに寄与する。
【0046】
紫外線照射の結果、半導体基板上の薄膜からアウトガスが生成されれば、それが、チャンバの内壁並びに、人工石英等から成る照射窓ガラス上に堆積する。照射窓上に堆積した汚染物質は紫外線を吸収し、キュアリング効率を低下させる。図2は、キュアリング前後での照射窓ガラスの紫外線透過率の変化の例を示している。図1に示す装置により使用されたキュアリング条件は以下の通りである。
【0047】
<基板>
基板上の薄膜の種類:SiOC
膜厚:100nmから1000nm
成膜方法:プラズマCVD
<キュアリング条件>
紫外線ランプ出力:0.1kWから30kW
透過窓ガラスの材料:人工石英ガラス
透過窓ガラスの厚さ:20mm
基板と透過窓ガラスの間隔:1cmから10cm
紫外線ランプと透過窓ガラスの間隔:1cmから50cm
リアクタボディ内の雰囲気:N
圧力:1Torrから760Torr
キュアリング温度:200℃から600℃
キュアリング時間:30秒から1000秒
紫外線照度計:浜松ホトニクス社製C7460
【0048】
図2の縦軸は、透過率を示し、特定的に、透過窓ガラスの下流側に設けられた照度計により測定される照度のパーセンテージである。ここで、100%は透過窓ガラスの上流側に設けられた照度計により測定された照度を表す。図2に示すように、紫外線キュアリング前は、透過窓ガラスの紫外線透過率は波長に依存して変化し、透過窓ガラスの紫外線透過率は波長が300nmまたはそれ以下になると低下し始める。しかし、キュアリング後は透過率がさらに低下し、波長が300nmまたはそれ以下で透過率の低下が顕著になる。特に、波長が250nmまたはそれ以下において透過率の低下は著しく、波長が200nmまたはそれ以下ではさらに著しい。これらの低下は、生成されるアウトガスが増加し、透過窓ガラスの表面が汚染されることにより生じる。汚染物質は波長が300nmまたはそれ以下の紫外線を吸収し、この傾向は、波長が250nmまたはそれ以下の紫外線に対して顕著であり、特に波長が200nmまたはそれ以下の紫外線に対してより顕著であることを示している。この結果は、波長が300nmまたはそれ以下の紫外線を使用する紫外線装置において紫外線の波長が短くなるに従い、より徹底的にクリーニングする必要があることを示唆している。図5は、図2に適用されたのと同じ条件で紫外線が照射された場合の透過窓ガラスの紫外線透過率を示している。グラフから、170nmでの透過率は約60%であることがわかる。伝達効率も考慮すれば、使用すべき紫外線の波長は、170nmから300nmであり、170nmから250nmが好ましく、170nmから200nmがより好ましいと言える。
【0049】
また、ひとつの実施形態において、クリーニング開始時の透過率が設定され、キュアリング後の透過率がモニターされ、特定の透過率に達した場合にクリーニングが実行されるような方法でプログラム化されてもよい。例えば、クリーニング開始時の透過率が89%に設定されれば、200nmの紫外線を使用する場合、各キュアリングサイクルが終了するたびにクリーニングが実行されるが、波長が250nmまたはそれ以上の紫外線を使用する場合のクリーニング頻度は、キュアリングサイクルの数回に1度に低下する。しかし、図2に示す傾向は、最適なキュアリング時間が波長に依存して変化すれば、厳密に一致するものではない点に注意を要する。上記したように、クリーニングを開始すべき時点は、キュアリング後の透過率のみに基づいて決定することができる。しかし、キュアリング前後の透過率の差を計算し、その差をクリーニングの開始の指標として使用することも可能である。透過率の差を指標として使用することにより、波長ごとの透過窓ガラスの透過率の変化が勘案され、クリーニングタイミングをより正確に決定することが可能となる。
【0050】
紫外線ランプの劣化は、透過窓ガラスの上流側の照度計により測定された初期照度を100%と定義し、透過窓ガラスの上流側の照度計により測定される照度をその初期値に対して連続的にモニターすることにより決定することができる。
【0051】
透過窓ガラスから汚染物質を除去するためにクリーニングが実行される。ひとつの実施形態において、クリーニングガスとしてOが使用される。紫外線によりそのOからオゾンが生成され、そのオゾン反応により汚染物質が除去される。本発明のひとつの実施形態であるこの種のクリーニングでは、例えば、以下の条件が使用される。
【0052】
クリーニングガス:O(0.5slmから5slm)
圧力:5Torrから760Torr
ヒータ台温度:200℃から400℃
リアクタ側壁温度:100℃から180℃
時間:15秒から1000秒
紫外線:キュアリング処理で使用されたものと同じ
クリーニング頻度:キュアリングサイクルが1回から数回の後に1度(例えば、2から5サイクルごとに1度)
【0053】
チャンバの内壁に堆積した汚染物質はやがて内壁から分離して粒子となる。この汚染物質もまた上記クリーニングにより除去可能である。十分なクリーニングが実行されたか否かを決定するために、透過窓ガラスを通過する紫外線の照度が測定され、当該照度がキュアリング前に測定されたレベルまで回復したか否かがチェックされる。図3は、図2に適用されたのと同じキュアリング条件及び以下のクリーニング条件のもとでキュアリング及びクリーニングサイクルが実行された場合、透過窓ガラスの下流側の照度計により測定された照度を示している。
【0054】
クリーニングガス:O(0.5slmから5slm)
圧力:5Torrから760Torr
ヒータ台温度:200℃から400℃
リアクタ側壁温度:100℃から180℃
時間:15秒から1000秒
紫外線の波長:キュアリング用に使用された紫外線と同じ波長(255nm)
【0055】
図3に示すように、クリーニングにより、透過窓ガラスの透過率はほぼキュアリング前のレベルまで回復している。図3において、クリーニング開始時点の照度はキュアリング終了時点の照度より高い。これは、紫外線がキュアリングの間に膜から生成されたアウトガスにより吸収されたためであり、それによりキュアリングの終了時点において、見かけ上の照度がより低くなっている。結果として、クリーニング開始時点の照度はより高くなる。一方、クリーニング終了時点の照度がキュアリング開始時点の照度より高くなる理由は、膜が堆積されたウエハは紫外線照射前の工程ですでに加熱されており、それゆえキュアリング処理以前にすでにある程度のガスが放出されているからである。この放出ガスは見かけ上の照度の低下を生じさせる。見かけ上の照度の上記変化は、透過窓ガラス上の汚染物質の程度と直接的な関係はない。グラフは、第2クリーニングサイクル後の照度が第1クリーニングサイクル後の照度より低いことを示している。上記のような場合、透過窓ガラスの下流側の照度は、モニターした照度に基づいて、紫外線の強度を高めるよう紫外線制御器に指令する信号を出力することにより、一定レベルに維持することができる。他に、クリーニングを終了する時点を変更して、クリーニング時間を延長する方法がある。
【0056】
しかし、クリーニング後に照度が十分なレベルまで回復しなければ、透過窓ガラスの劣化がひとつの可能性として考えられる。上記した方法でうまくいかなければ、透過窓ガラスを交換しなければならない。特定的に、紫外線照射装置はランプへの入力パワーを変更するメカニズムを備えており、このメカニズムによれば、照度の低下に応じた量だけランプの出力を上昇させることにより、キュアリング対象物の照度を一定レベルに維持することが可能である。例えば、ランプが最大出力パワーの80%で動作する場合、ランプまたはガラスの劣化により照射対象物の照度が低下したと仮定する。この場合、照度を調節するべく、ランプへの入力パワーは最大出力まで上昇される。しかし、照度の低下が実質的なものとなり、全出力に対応するパワーを入力しても所望の照度をもはや達成することができない場合には、ランプまたは透過窓ガラス(あるいはその両方)を交換しなければならない。概して、人工石英ガラスはある程度の紫外線を吸収することが知られており、その結果、劣化しやすい。これは、吸収された紫外線がガラスの結晶構造を破壊するためであると考えられる。便宜上、透過窓ガラスの下流側の照度計だけを使って劣化を検出することは可能であるが、透過窓ガラスの前後に配置した照度計を組み合わせて使用することは、ランプまたは透過窓ガラスが劣化したか否かを決定するのに有効な方法である。透過窓ガラスの上流側の照度計はランプの劣化を検出するためにランプの照度を直接モニターするが、透過窓ガラスの下流側の照度計は透過窓ガラスの下流側の照度を測定し、上流側の照度計による計測値との差をモニターし、透過窓ガラスの劣化により生じる透過率の低下量を示すのに使用される。また、キュアリング対象物が配置された透過窓ガラスの下流側の照度を一定レベルに維持するのに寄与するよう、紫外線装置のパワー制御システムへ測定データをフィードバックすることができるメカニズムが紫外線照度計に設けられてもよい。
【0057】
上記したように、透過窓ガラスは高エネルギーの紫外線により、及び、ヒータ台から生成された熱によりダメージを受け、その結果、その透過率は時間とともに徐々に低下する。図4は、波長172nmの紫外線が以下の条件で照射された場合の透過窓ガラスの透過率が時間とともに変化する例を示している。
【0058】
<照射条件>
紫外線ランプ:出力1.5W、波長172nm
透過窓ガラスの材料:人工石英ガラス
透過窓ガラスの厚さ:20mm
リアクタボディ内の雰囲気:N
圧力:5Torr
温度:400℃
【0059】
図4において、透過率は、約150時間後から450時間後までの間ほぼ平坦のままであるが、その後突然低下する。この場合、透過窓ガラスを交換する適切なタイミングは約450時間経過後である。
【0060】
ひとつの実施形態において、照度は連続的にモニターされるが、常時モニターする代わりに特定のタイミングでモニターしてもよい。例えば、キュアリングの開始時点またはクリーニングの終了時点の照度は、測定値が通常であるか否かを決定するためにモニターされてもよい。
【0061】
他に注意すべき点は、透過窓ガラスの汚染及び劣化と同様に、紫外線照度計のプローブの汚染及び劣化もまた照度の低下を引き起こすということである。しかし、ガラスの汚染とプローブの劣化は、標準的なプローブを使って定期的にプローブをキャリブレーションすることにより区別することができる。紫外線照度計プローブの汚染も、透過窓ガラスのクリーニングに適用したのと同じ方法でクリーニング可能である。このプローブは、典型的に、人工ガラスから成る。ひとつの実施形態において、プローブは人工石英から成る窓ガラスによりリアクタから分離されている。したがって、透過窓ガラスがクリーニングされるのと同じ方法でその窓ガラスをクリーニングすることができる。
【0062】
紫外線照度計は、特定の波長を選択的に測定するもの、及び、波長範囲にわたってプロファイルを測定する分光光度計に類似のものを含む。紫外線照度計の測定波長と、使用する紫外線の波長とが一致することが望ましい。例えば、波長が約172nm、254nmまたは365nmの紫外線を選択的に測定するセンサーが照度を測定するのに使用される。プロファイルの変化から劣化の度合いを決定するために、分光光度計を使って200nmから1000nmの範囲にわたってスペクトルのプロファイルを測定することも可能である。例えば、Xeエキシマ紫外線ランプ(波長λ=172nm)が使用される場合、172nmの照度計を使って照度が測定される。一方、高圧水銀ランプ(波長λ=200から400nm)が使用される場合、254nmの照度計を使用すれば十分である。
【0063】
ひとつの実施形態において、紫外線照射装置は、紫外線ソースの照度を直接測定するセンサーと、透過窓ガラスを通過した紫外線の照度を測定するもうひとつのセンサーを具備している。これらのセンサーからのデータを連続的にモニターし、透過窓ガラスの下流側の照度に対して紫外線ソースの照度を比較することにより、透過窓ガラスの汚染または劣化により生じる照度の低下率を測定することができる。ひとつの実施形態において、照度の任意の低下を補償するべく出力を上昇させるために、ランプ式の紫外線ソースに照度情報がフィードバックされ、それにより、照度が一定レベルに維持される。ひとつの実施形態において、クリーニングのエンドポイントは、クリーニング時間及び頻度を制御するために照度情報に基づいて特定される。ひとつの実施形態において、透過窓ガラスの交換タイミングは、劣化により生じるガラスの透過率の低下をモニターし、透過率が特定のレベルまたはそれ以下に低下した場合にガラスを交換することにより制御される。上記により、ひとつの実施形態に係る紫外線照射装置は安定に動作することができる。
【0064】
図6は、本発明のひとつの実施形態に従う紫外線照射装置を管理するフローチャートである。管理方法は、(a)チャンバ内に配置された半導体基板をキュアリングするためにチャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させる工程と、(b)透過窓ガラスの上流側の照度及び透過窓ガラスの下流側の照度をモニターする工程と、(c)透過窓ガラスのクリーニングのタイミング及び/または間隔、透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした照度に基づき紫外線の出力を決定する工程を含む。上記において、紫外線を通過させる工程及びモニターする工程は、半導体基板のキュアリングの開始時点、半導体基板のキュアリングの終了時点、透過窓ガラスのクリーニングの開始時点、及び透過窓ガラスのクリーニングの終了時点から成る集合の少なくともひとつの時点において実行されるか、または、連続的に若しくはスケジュールされたタイミングで間欠的に実行されてもよい。
【0065】
モニターするタイミングはその目的に応じて選択される。例えば、クリーニングの終了時点を決定する必要があれば、モニターはクリーニング中に効果的に実行される。クリーニングの頻度を決定する必要があれば、モニターはキュアリングの終了時点で効果的に実行される。透過窓ガラスを交換するタイミングを決定する必要があれば、モニターはクリーニングの終了時点またはキュアリングの開始時点で効果的に実行される。しかし、図3に示すように、クリーニングの終了時点での照度及びキュアリングの開始時点での照度はわずかに異なる。よって、モニターのタイミングに応じて、いずれの動作を選択すべきかを決定するために使用する基準値が異なる。また、時間とともに透過窓ガラスの劣化を適切に評価することができるように、別の搬入サイクルにおいて同じタイミングでモニターを実行することも有効である。キュアリングまたはクリーニングをしないときに、照度または透過率をチェックするために特定的に紫外線が照射されてもよい。他に、キュアリングまたはクリーニングに使用される紫外線が照度または透過率をチェックするために使用されてもよい。
【0066】
図6を参照して、ステップS1において、紫外線照射管理処理が開始され、紫外線は透過窓ガラスを通過し、透過窓ガラスの上流側及び下流側の照度がモニターされる。ステップS2において、透過窓ガラスの下流側の照度が第1基準値R1と比較され、透過窓ガラスの下流側の照度が第1基準値R1と等しいかまたはそれ以下であれば、ステップS3が開始される。透過窓ガラスの下流側の照度が第1基準値R1と等しくなくまたはそれ以下でもなければ、透過窓ガラスの透過率が良好の状態であることを意味し、ステップS5において(クリーニングせずにキュアリングのために次の半導体基板をチャンバに搬入する)次のサイクルが開始される。第1基準値R1は予め決定することができる。ステップS3において、透過窓ガラスの上流側の照度は第2基準値R2と比較され、透過窓ガラスの上流側の照度が第2基準値R2と等しくないかまたはそれ以下でなければ、ステップS6で透過窓ガラスのクリーニングが開始される。透過窓ガラスの上流側の照度が第2基準値R2と等しいかまたはそれ以下であれば、透過窓ガラスの下流側の照度の減少が、透過窓ガラスの表面の堆積物によるものではなく、紫外線ランプの劣化によるものであることを意味しており、したがって、紫外線ランプがステップS4で交換される。第2基準値R2は、上記を鑑み予め選択される。
【0067】
クリーニングがステップS6で開始された後、紫外線を通過させる工程及びモニターする工程がクリーニング中に繰り返され、ステップS7において、モニターされた透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値R3と比較される。透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値R3と等しいかまたはそれ以上であれば、透過窓ガラスが十分に清掃されたことを意味し、したがって透過窓ガラスのクリーニングはステップS8で終了する。その後、(キュアリングのために次の半導体基板をチャンバ内に搬入する)次のサイクルがステップS9で開始される。透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値R3と等しくないかまたはそれ以上でなければ、透過窓ガラスの下流側で連続的にモニターされた照度はステップS10において比較される。透過窓ガラスの下流側で連続的にモニターされた照度の差が標準値と等しいかまたはそれ以下であれば、透過窓ガラスは清掃されたがいまだ良好な透過率を回復していないことを意味し、したがって、透過窓ガラスのクリーニングはステップS11で終了する。透過窓ガラスの下流側で連続的にモニターされた照度の差が標準値より大きければ、透過窓ガラスはさらにクリーニング可能であるから、クリーニングはステップS6において続行される。第3基準値R3及び標準値は上記に鑑み予め選択される。
【0068】
透過窓ガラスがステップS11でさらにクリーニングされない場合、クリーニングの終了時点での透過窓ガラスの下流側の照度と第3基準値R3との差を補償するべく、ステップS12において、紫外線の出力が増加される。ステップS13において、紫外線ランプの出力増加と同時に透過窓ガラスの下流側の照度が第4基準値R4と比較される。紫外線ランプの出力増加時の透過窓ガラスの下流側の照度が標準値と等しいかまたはそれ以下であれば、クリーニング及び紫外線ランプの出力増加では補償できない程度にまで透過窓ガラスが劣化していることを意味しており、したがってステップS14において透過窓ガラスが交換される。紫外線ランプの出力増加と同時に透過窓ガラスの下流側の照度が標準値と等しくないかまたはそれ以下でなければ、(キュアリングのために次の半導体基板をチャンバ内に搬入する)次のサイクルがステップS15において開始される。第4の基準値R4は上記を鑑み予め選択される。
【0069】
上記において、紫外線を通過させる工程及びモニターする工程は、別の半導体基板がチャンバ内に搬入された後に繰り返され、少なくとも一つの基準値が先のモニター結果に基づいて選択可能である。上記において、照度は紫外線照射を管理するために使用される。しかし、同じ目的で、透過率または吸光度が使用されてもよい。
【0070】
本発明の思想から離れることなくさまざまな修正及び変更が可能であることは当業者の知るところである。したがって、本発明の形式は例示に過ぎず、本発明の態様を制限することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明のひとつの実施形態で使用可能な紫外線照射装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明のひとつの実施形態に従う、キュアリングの前後における、透過窓ガラスを通過する紫外線の波長と、紫外線透過窓ガラスの透過率との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明のひとつの実施形態に従う、キュアリング及びクリーニングの後に、透過窓ガラスの下流側で測定された紫外線(波長=254nm)の強度の変化を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明のひとつの実施形態に従う、172nmの波長の紫外線を使って紫外線透過ガラスの透過率(初期透過率100%)の時間変化を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明のひとつの実施形態に従う、石英ガラスを通過する紫外線の波長と、人工石英ガラスの透過率との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明のひとつの実施形態に従う、紫外線照射管理のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板をキュアリングするために紫外線照射を管理する方法であって、
チャンバ内に配置された半導体基板をキュアリングするために、前記チャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させる工程と、
前記透過窓ガラスの上流側の照度及び前記透過窓ガラスの下流側の照度をモニターする工程と、
前記透過窓ガラスのクリーニングのタイミング及び/または間隔、前記透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした前記照度に基づき紫外線の出力を決定する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モニターする工程は、前記透過窓ガラスの上流側に設けられた照度計により前記透過窓ガラスの上流側の照度、及び、前記透過窓ガラスの下流側に設けられた照度計により前記透過窓ガラスの下流側の照度を測定し、それにより紫外線の透過率を得る工程を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記紫外線を通過させる工程及び前記モニターする工程は、前記半導体基板のキュアリングの開始時点、前記半導体基板のキュアリングの終了時点、前記透過窓ガラスのクリーニング開始時点、及び前記透過窓ガラスのクリーニング終了時点から成る集合から選択される少なくともひとつの時点において実行される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記決定する工程は、
前記透過窓ガラスの下流側の照度を第1基準値と比較する工程と、
前記透過窓ガラスの上流側の照度を第2基準値と比較する工程と、
前記透過窓ガラスの下流側の照度が前記第1基準値と等しいかまたはそれ以下であり、かつ、前記透過窓ガラスの上流側の照度が前記第2基準値と等しくないかまたはそれ以下でなければ、前記透過窓ガラスのクリーニングを開始することを決定する工程と、
前記透過窓ガラスの上流側の照度が前記第2基準値と等しいかまたはそれ以下であれば前記紫外線ランプを交換することを決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
クリーニングが開始され、クリーニング中に前記紫外線を通過させる工程及び前記モニターする工程が繰り返される場合、前記決定する工程はさらに、
前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度を第3基準値と比較する工程と、
前記透過窓ガラスの下流側の照度が前記第3基準値と等しいかまたはそれ以上であれば、前記透過窓ガラスのクリーニングの終了を決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記透過窓ガラスの下流側の照度が第3基準値と等しくないかまたはそれ以上でない場合、前記決定する工程はさらに、
前記透過窓ガラスの下流側で連続的にモニターした照度を比較する工程と、
前記透過窓ガラスの下流側で連続的にモニターした照度間の差が標準値と等しいかまたはそれ以下であれば、前記透過窓ガラスのクリーニングの終了を決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記決定する工程はさらに、
クリーニングの終了時点での前記透過窓ガラスの下流側の照度と前記第3基準値との差を補償するべく、前記紫外線ランプの出力を増加するよう決定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記決定する工程は、さらに、
前記紫外線ランプの出力増加と同時に前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度を第4基準値と比較する工程と、
前記紫外線ランプの出力増加と同時に前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度が標準値と等しいかまたはそれ以下であれば、前記透過窓ガラスを交換するよう決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
異なる半導体基板がチャンバ内に搬入された後に、前記紫外線を通過させる工程及び前記モニターする工程が繰り返される、
ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項10】
前記決定する工程は、各モニターする工程において前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度を比較し、それにより前記透過窓ガラスを交換するタイミングを決定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記決定する工程は、各モニターする工程においてモニターした照度を比較し、それにより、前記透過窓ガラスをクリーニングするタイミングを決定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記紫外線を通過させる工程及び前記モニターする工程は、クリーニング中に間欠的にまたは連続的に実行され、それにより、クリーニングの終了時点が決定される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記決定する工程は、紫外線の出力を決定する工程を含み、当該方法はさらに、前記透過窓ガラスを通過する紫外線の照度を維持するべく、紫外線の決定された出力に基づいて紫外線の出力を増加する工程を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項14】
前記決定する工程は、クリーニングを開始するための照度の閾値を設定し、かつ、前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度を前記閾値と比較することにより、クリーニングのタイミングを決定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記決定する工程は、前記透過窓ガラスを交換するための照度の閾値を設定し、かつ、前記透過窓ガラスの下流側でモニターした照度を前記閾値と比較することにより、前記透過窓ガラスを交換するタイミングを決定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記紫外線の波長は、170nmから300nmである、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
紫外線により半導体基板をキュアリングするための方法であって、
(i)チャンバ内に設けられた透過窓ガラスに紫外線を通過させることにより、前記チャンバ内に配置された前記半導体基板をキュアリングする工程と、
(ii)前記透過窓ガラスをクリーニングする工程と、
(iii)請求項1に記載の方法を実行する工程であって、それにより、前記透過窓ガラスのクリーニングのタイミング及び/または間隔、前記透過窓ガラスを交換するタイミング、紫外線ランプを交換するタイミング、及び/またはモニターした透過率に基づき紫外線の出力を決定するところの工程と、
(iv)上記工程(iii)に従い、上記工程(ii)のタイミング及び/または間隔を制御し、前記透過窓ガラスを交換し、前記紫外線ランプを交換し、及び/または上記工程(i)の紫外線の出力を増加する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−272595(P2009−272595A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178594(P2008−178594)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000227973)日本エー・エス・エム株式会社 (68)
【Fターム(参考)】