説明

半導体発光素子およびストロボ装置

【課題】撮像エリア内において所望の配光を形成することができるストロボ装置および該ストロボ装置に用いられる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】
半導体発光素子は、第1の導電型を有する第1半導体層と、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2半導体層と、第1半導体層と第2半導体層との間に設けられた活性層と、第1および第2半導体層の各々の表面に設けられた第1電極および第2電極と、を含む。第1電極は、互いに分離した複数の電極片を有する。複数の電極片の各々は、給電用パッド部と給電用パッド部に接続され且つ給電用パッド部から遠ざかる方向に伸長する伸長部とからなり、且つ隣接する他の電極片と伸長部の終端部同士が間隙を隔てて対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子および半導体発光素子を有するストロボ装置に関する。
【従来技術】
【0002】
発光ダイオードを光源とするストロボ装置を備えた撮像装置が知られている。また、ストロボ装置において撮像エリア(画角)内の被写体に適切に照明光を照射するべく可変配光機構を有するものも公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の発光ダイオードで光源を構成し、点灯させる発光ダイオードの数量を撮像レンズの焦点距離情報に応じて変化させることにより必要な照明光の照射角を得ることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、単一の発光素子の発光領域をカソード電極の分割によって分割し、撮像装置の画角に応じていずれかの発光領域を発光させるようにした照明装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、カメラと共に使用される照明装置において、発光素子は2つ以上の発光ゾーンを含み、発光ゾーンは個別且つ選択的に制御されて、強度が制御された光を発光することが記載されている。
【0006】
また、特許文献4には発光素子の表面に複数の分散電極を形成し、分散電極の各々に駆動回路を接続して構成した照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−338280号公報
【特許文献2】特開2008−102199号公報
【特許文献3】特表2008−529095号公報
【特許文献4】特開2008−28269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の照明装置の如く、光源を複数の発光素子で構成する場合、各発光点が互いに完全に分離されている故、配光制御は容易となる。しかしながら、各発光素子の実装位置にずれが生じ易く、配光形成に支障をきたす場合ある。また、発光素子を搭載する実装基板の面積が大きくなる故、装置の小型化が困難であり、部品点数も多くなるといった問題がある。上記の特許文献2乃至4に示されるように、発光素子の発光領域を分割して各発光領域を個別に制御し得るように構成することは上記の問題を解消する上で有効である。
【0009】
ストロボ装置において可変配光を実現する上で重要となることは、撮像エリア(画角)内において所望の発光強度分布を形成できることである。例えば、被写体が撮像エリア内の中心よりも左側に位置している場合には、撮像エリア内の左側がより明るくなるように配光を形成する必要がある。発光素子上において分割された発光領域を単に個別制御するだけでは、このような配光を形成することは容易ではない。このような配光制御を行うためには、複数の発光領域が複数光源とみなせるように構成されていることが好ましい。すなわち、複数の発光領域から同時に放射された光が複数の発光点として認識されるように発光素子が構成されていることが好ましい。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、撮像エリア内において所望の配光を形成することができるストロボ装置および該ストロボ装置に用いられる半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る半導体発光素子は、第1の導電型を有する第1半導体層と、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、前記第1および第2半導体層の各々の表面に設けられた第1電極および第2電極と、を含む半導体発光素子であって、前記第1電極は、互いに分離した複数の電極片を有し、前記複数の電極片の各々は、給電用パッド部と前記給電用パッド部に接続され且つ前記給電用パッド部から遠ざかる方向に伸長する伸長部とからなり、且つ隣接する他の電極片と前記伸長部の終端部同士が間隙を隔てて対向していることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係るストロボ装置は、上記の半導体発光素子を有するストロボ装置であって、前記複数の電極片の各々を介して前記半導体発光素子に駆動電流を供給する制御部を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る半導体発光素子および該半導体発光素子を有するストロボ装置によれば、第1および第2の電極片を構成する伸長部は、電流投入点である給電パッドから離間する方向に伸長しており、その伸長方向に沿って増大する抵抗成分を有する。それ故、各伸長部の終端部における電流密度が相対的に小さくなる。各伸長部の終端部同士が間隙を隔てて対向しているため、半導体膜内にはこの間隙部において電流密度が相対的に低い部分すなわち、発光強度が相対的に低い部分が形成される。半導体発光素子上に形成される複数の発光部は、この発光強度が相対的に低い部分を挟むように配置される。これにより、複数の発光部から同時に放射された光は、複数の発光点として認識され得る。すなわち、複数の発光部は独立した複数の光源とみなせるので、所望の配光を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るストロボ装置1の構成を示す機能ブロック図
【図2】図2(a)は、本発明の実施例に係る光源部の詳細な構成を示す平面図、図2(b)は図2(a)における2b−2b線に沿った断面図、図2(c)は本発明の実施例に係るLEDチップ内を流れる駆動電流の様子を示す断面図である。
【図3】図3(a)は配光パターンの各々に対応する各発光部の駆動電流制御の態様を示す図である。図3(b)〜図3(d)は、それぞれ、配光パターンの各々に対応するLEDチップ上の発光強度分布を示す図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、配光パターンの各々に対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【図5】本発明の実施例2に係る光源部の構成を示す平面図である。
【図6】図6(a)は配光パターンの各々に対応する各発光部の駆動電流制御の態様を示す図である。図6(b)〜図6(e)は、それぞれ、配光パターンの各々に対応するLEDチップ上の発光強度分布を示す図である。
【図7】第4の配光パターンに対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【図8】本発明の実施例3に係る光源部の構成を示す平面図である。
【図9】図9(a)は、撮像エリアの範囲に応じた発光部毎の電流制御の態様を示す図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)に示す電流制御に対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【図10】フラッシュ発光モードおよび連続発光モードにおける発光部毎の電流制御の態様を示す図である。
【図11】本発明の実施例4に係る光源部2の構成を示す平面図、図11(b)は図11(a)における11b−11b線に沿った断面図である。
【図12】図12(a)は、プリ発光モードおよびフラッシュ発光モードにおける発光部毎の電流制御の態様を示す図、図12(b)および図12(c)は、それぞれ、プリ発光時およびフラッシュ発光時における照明光の照射範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係るストロボ装置について図面を参照しつつ説明する。尚、各図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るストロボ装置1の構成を示す機能ブロック図である。ストロボ装置1は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置に付随して設けられており、撮影時等において撮像エリアに向けて照明光を照射するための装置である。
【0017】
電源10は、光源部20において照明光を生成するための直流電源である。電源10は、ストロボ装置1が付随する撮像装置の電源を兼ねていてもよい。昇圧回路11は、電源10において生成された直流電圧を光源部20において照明光を生成するために必要とされる電圧にまで昇圧する。すなわち、昇圧回路11は、光源部20を構成する発光ダイオードの順方向電圧VFよりも大きい電圧を生成する。昇圧回路11は、例えばチャージポンプ方式やチョッパ方式のDC−DCコンバータにより構成される。昇圧回路11において昇圧された直流電圧は、光源部20を構成するLED(Light Emitting Diode)チップ220のアノード電極に供給される。
【0018】
光源部20は、電源10から供給される電力を駆動電力として照明光を生成し、これを撮像エリアに向けて照射する。光源部20は、単一のLEDチップ220を含んでいる。LEDチップ220は、互いに分離され且つ独立に制御可能な複数の発光部を有する。尚、本実施例においては、LEDチップ220が2つの発光部を有する場合が例示されている。互いに分離された発光部は、それぞれ、駆動回路30に接続されている。尚、光源部20のより詳細な構成については後述する。
【0019】
駆動回路30は、制御部40からの制御信号に基づいて、LEDチップ220に形成された複数の発光部の駆動電流を独立に制御する。駆動回路30は、例えば、LEDチップ220のカソード電極の各々に接続された可変定電流回路を有している。複数の発光部の各々は、独立に制御された駆動電流の大きさに応じた発光強度で発光する。すなわち、複数の発光部は、互いに異なった発光強度で発光することができる。
【0020】
制御部40は、例えば撮像装置全体の動作制御を行う上位装置からの制御信号やユーザからの操作入力に基づいて、LEDチップ220の発光制御を行う。すなわち、制御部40は、外部からの指令に基づいて、LEDチップ220の各発光部の点灯/非点灯や発光強度等を設定して、昇圧回路11および駆動回路30に制御信号を供給する。昇圧回路11は、制御部40から供給される制御信号に応じて昇圧動作及び設定電圧値での昇圧停止を行う。駆動回路30は、制御部40から供給される制御信号(電流指令値)に基づいて、LEDチップ220の各発光部に投入する電流量を制御する。
【0021】
保護回路50は、LEDチップ220の保護を行う目的で設置される。例えばツェナーダイオード、バリスタ、コンデンサ等のLEDチップ220に印加されるサージ電圧を吸収するための素子、熱伝導チップ(特開2010−267834)等のLEDチップ220からの熱を放熱する素子、サーミスタ等のLEDチップ220のジャンクション温度を検知する検温素子を含んでいてもよい。
【0022】
キャパシタ60は、光源部20においてフラッシュ光(閃光)を生成する場合において必要に応じて設けられる電荷蓄積手段である。フラッシュ光は、より大きな駆動電流を必要とする故、電源10から直接的に駆動電流を供給した場合、電源10を共有する他の装置(例えば撮像装置)の動作が不安定となる場合がある。そこで、フラッシュ光を生成する場合には、一旦キャパシタ60に電荷を蓄積しておき、キャパシタ60からLEDチップ内の各発光部に駆動電流を供給する。切り替えスイッチ70は、制御部40からの制御信号に応じてキャパシタ60の接続先を昇圧回路11およびアノードラインのいずれかに切り替えることにより、キャパシタ60の充放電を行う。尚、昇圧回路の昇圧停止機能を駆動回路中に含むことも可能であり、この場合切り換えスイッチ70は無くともよい。
【0023】
図2(a)は、光源部20のより詳細な構成を示す平面図、図2(b)は図2(a)における2b−2b線に沿った断面図、図2(c)はLEDチップ220内を流れる駆動電流の様子を示す断面図である。
【0024】
基板210は、例えば、セラミックやガラスエポキシ樹脂等の絶縁体からなる板材により構成されている。基板210は、LEDチップ220を搭載するチップ搭載面に導電体からなるダイパッド211と、LEDチップ220に形成された第1の発光部301および第2の発光部302に対応する2つのボンディングパッド212を有している。ダイパッド211は昇圧回路11に接続され、ボンディングパッド212は駆動回路30に接続されている。ダイパッド211上には、単一のLEDチップ220が搭載されている。LEDチップ220の実装面側に設けられたアノード電極222が導電性のダイアタッチ材(図示せず)を介してダイパッド211に接合されている。LEDチップ220の光取り出し面側に設けられたカソード電極223がボンディングワイヤ230を介してボンディングパッド212に接続されている。尚、電気的接続関係が同一である限り、ボンディングワイヤ230を介しての接続に代えてリフローによるハンダ接続を用いるなど、適当な方法であってよい。
【0025】
LEDチップ220は、例えばGaN系半導体からなるn型半導体層、活性層、p型半導体層を積層して構成される半導体膜221と、半導体膜221の実装面側に配置されたp型半導体層のほぼ全面を覆うように設けられたアノード電極(p電極)222と、半導体膜221の光取り出し面側に配置されたn型半導体層の表面に設けられたカソード電極(n電極)223と、を有する。尚、アノード電極およびカソード電極がそれぞれ半導体膜の表面および裏面に配置される所謂縦型の構成が例示されているが、アノード電極およびカソード電極は、半導体膜の同じ側の面に配置される所謂横型の構成を有していてもよい。
【0026】
カソード電極223は、n型半導体層の表面上において互いに分離された第1の電極片223aおよび第2の電極片223bにより構成されている。これにより、LEDチップ220内に互いに分離された第1の発光部301および第2の発光部302が形成される。第1および第2の電極片223a、223bは、それぞれ、パッド部224a、224bおよび伸長部225a、225bを含んでいる。
【0027】
パッド部224a、224bは、それぞれ、LEDチップ220の周縁部に配置されている。パッド部224a、224bは、それぞれ、ボンディングワイヤ230を介して基板210上のボンディングパッド212に接続されている。伸長部225a、225bは、それぞれ、パッド部224a、224bに接続され、LEDチップ220の周縁部から中央部に向けて(すなわち、パッド部224a、224bから遠ざかる方向に向けて)伸長している。伸長部225a、225bは、図2(a)に示すような櫛歯状パターンを有していてもよい。伸長部225a、225bは、チップ表面の中心線よりも手前で終端しており、これらは互いに結合または交差していない。すなわち、第1の電極片の伸長部225aの終端部と第2の電極片の伸長部225bの終端部は、チップ中央部において間隙を介して対向している。伸長部225a、225bは、それぞれの終端部から拡散する電流が合流しない程度の距離をおいて離間していることが好ましい。第1および第2の電極片223a、223bは、伸長部225a、225bの伸長方向に沿って並置されている。第1および第2の電極片223a、223bにより構成されるカソード電極223は、LEDチップ220の光取り出し面(n型半導体層の表面)の中心点を中心とする点対称パターンを形成している。
【0028】
第1および第2の電極片223a、223bは、それぞれのパッド部224a、224bに接続されたボンディングワイヤ230を介して駆動回路30に接続されており、第1および第2の発光部301、302には、独立に制御された駆動電流が供給される。
【0029】
各発光部に駆動電流を投入すると、図2(c)に示すように、電流投入点となるパッド部224a、224bの直下における電流密度が相対的に高くなる。伸長部225a、225bは、その伸長方向に沿って増大する抵抗成分を有していることから、伸長部225a、225bの終端直下の電流密度は相対的に低くなる。伸長部225a、225bの終端部は、チップ表面の中央部に集約されていることから、チップ中央部において低電流密度領域が形成される。すなわち、LEDチップの光取り出し面内における発光強度は、パッド部224a、224bが設けられているチップ周縁部において相対的に高くなり、チップ中央部に向かうにつれて徐々に低くなる(図3(b)参照)。このように、本実施例に係るカソード電極223の構成によれば、第1の発光部301と第2の発光部302との間には、発光強度が相対的に低い部分が形成される故、これら2つの発光部から同時に放射された光は、2つの発光点として認識され得る。尚、伸長部225a、225bが櫛歯状パターンを有することにより、伸長部225a、225bの伸長方向と交差する方向(すなわち、櫛歯が並ぶ方向)における電流密度分布が均一となり、当該方向における発光強度分布は均一となる。
【0030】
基板210上には、LEDチップ220を埋設するように蛍光体含有樹脂240が設けられている。蛍光体含有樹脂240は、シリコーン樹脂等の光透過性樹脂にYAG:Ce蛍光体を分散した樹脂材料により構成される。YAG:Ce蛍光体は、LEDチップ220から放射されるピーク波長が例えば約460nmの青色光を吸収してこれを例えば波長560nm前後に発光ピークを持つ黄色光に変換する。光源部20からは、蛍光体により波長変換された黄色光と、波長変換されずに蛍光体含有樹脂240を透過した青色光が混ざることにより白色光が得られるようになっている。尚、白色光を得たい場合、蛍光体はYAG:Ce蛍光体以外にも、LEDチップ220の発する青色光を吸収して黄色蛍光を発するものや、赤色及び緑色を発する蛍光体の適当な比率の混合物など、公知のものを利用できる。また、白色以外の光を得たい場合は、LEDチップ220を埋設する樹脂にLEDチップ220からの光と補色関係に無い蛍光を放つ蛍光体を含有するか、蛍光体を含有しない透明樹脂とするか、あるいは樹脂自体をなくしても良い。
【0031】
蛍光体含有樹脂240を用いる場合、その厚みは、後述する撮像エリア内における配光形成に支障がないよう薄いほうがより望ましい。好ましくは300μm以下である。
【0032】
蛍光体含有樹脂240の上方(投光方向前方)には、レンズ250が設けられている。レンズ250は、アクリル、カーボネート、シリコーン、エポキシ、ウレタン、液晶ポリマ等の空気のよりも屈折率の高い光透過性樹脂により構成されている。レンズ250は、照明光の照射範囲が撮像エリア全体をカバーするようにLEDチップ220からの光を光照射面上に投影する。レンズ250は、LEDチップ220に形成される複数の発光部に対して単一の焦点を有し、LEDチップ220の光取り出し面上に現われる発光強度分布を光照射面上に再現する。尚、配光を制御するレンズ面はLEDチップ側または光放射面側のいずれに設けられていてもよい。
【0033】
以下に、上記した構成を有するストロボ装置1の動作について説明する。本発明の実施例に係るストロボ装置1によれば、例えば、以下に例示するような代表的な3つの配光パターンを実現することができる。図3(a)は上記3つの配光パターンの各々に対応する発光部毎の駆動電流制御の態様を示す図であり、第1および第2の発光部301、302の各々に投入される電流量の相対的な関係が示されている。図3(a)において、丸印は投入電流量が比較的大であることを示し、三角印は投入電流量が比較的小であることを示す。図3(b)〜図3(d)は、それぞれ、上記3つの配光パターンの各々に対応するLEDチップ220の光取り出し面上の発光強度分布を示す図であり、パッド部224a−224b間を結ぶライン上の発光強度分布を示したものである。図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、上記3つの配光パターンの各々に対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【0034】
第1の配光パターンは、撮像エリア(画角)内の左右の明るさに偏りのない配光を形成するものである。制御部40は、図4(a)に示すように、被写体Oが撮像エリアX内の中央に位置していることを示す制御信号を、撮像装置全体の動作制御を行うCPU(図示しない)等から受信すると、第1および第2の発光部301、302が互いに同じ発光強度となる電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて第1および第2の発光部301、302に投入される電流量が互いに等しくなるように駆動電流の制御を行う。これに応じてLEDチップ220上の第1および第2の発光部301、302は、互いに同じ発光強度で発光する。その結果、図3(b)に示すように、LEDチップ220の光取り出し面において、両端部にピークが現われる発光強度分布が形成される。図4(a)に示すように、LEDチップ220から放射された光は、レンズ250を介して撮像エリアX全体をカバーするように被写体Oに照射される。照明光は撮像エリアX内において偏りのない配光によって撮像エリアXの中央に位置する被写体Oに照射される。
【0035】
第2の配光パターンは、撮像エリア内の左側がより明るくなるような配光を形成するものである。制御部40は、図4(b)に示すように、被写体Oが撮像エリアX内の左端に位置していることを示す制御信号を受信すると、第1の発光部301における発光強度が相対的に高くなるように電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、第1の発光部301への投入電流量が第2の発光部302への投入電流量よりも大きくなるように駆動電流の制御を行う。これに応じてLEDチップ220上の第1の発光部301は、第2の発光部302よりも高い発光強度で発光する。その結果、図3(c)に示すように、LEDチップ220の光取り出し面において、左側にピークが現われる発光強度分布が形成される。図4(b)に示すように、LEDチップ220から放射された光は、レンズ250を介して撮像エリアX全体をカバーするように被写体Oに照射される。照明光は撮像エリアX内において左側がより明るくなるような配光によって撮像エリアX内の左端に位置する被写体Oに照射される。
【0036】
第3の配光パターンは、撮像エリア内の右側がより明るくなるような配光を形成するものである。制御部40は、図4(c)に示すように、被写体Oが撮像エリアX内の右端に位置していることを示す制御信号を受信すると、第2の発光部302における発光強度が相対的に高くなるように電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、第2の発光部302への投入電流量が第1の発光部301への投入電流量よりも大きくなるように駆動電流の制御を行う。これに応じてLEDチップ220上の第2の発光部302は、第1の発光部301よりも高い発光強度で発光する。その結果、図3(c)に示すように、LEDチップ220の光取り出し面において、右側にピークが現われる発光強度分布が形成される。図4(c)に示すように、LEDチップ220から放射された光は、レンズ250を介して撮像エリアX全体をカバーするように被写体Oに照射される。照明光は撮像エリアX内において右側がより明るくなるような配光によって撮像エリアX内の右端に位置する被写体Oに照射される。
【0037】
このように、本発明の実施例1に係るLEDチップ220は、チップ表面に互いに分離された第1および第2の電極片223a、223bを有し、その結果、互いに分離された2つの発光部301、302を有する。第1および第2の電極片223a、223bは、それぞれ、LEDチップの周縁部に設けられたパッド部224a、224bと、パッド部224a、224bに接続され且つパッド部224a、224bから遠ざかる方向(すなわち、チップ中央部に向けて)伸長している伸長部225a、225bと、を有している。伸長部225a、225bは、その終端部同士がLEDチップの中央部において間隙をおいて対向している。伸長部225a、225bはその伸長方向に沿って増大する抵抗成分を有する故、終端部における電流密度が相対的に小さくなる。従って、LEDチップの中央部に電流密度が相対的に低い部分、すなわち発光強度が相対的に低い部分が形成される。そして、LEDチップ上に形成される2つの発光部301、302は、発光強度が相対的に低い部分を挟むように配置される。これにより、2つの発光部301、302から同時に放射された光は、2つの発光点として認識され得る。すなわち、2つの発光部は独立した2つの光源とみなせるので、図4(a)乃至図4(c)に示すように、所望の配光を容易に形成することが可能となる。
【実施例2】
【0038】
図5は、本発明の実施例2に係るストロボ装置に設けられる光源部20Aの構成を示す平面図である。光源部20Aを構成するLEDチップ220Aは、上記した実施例1に係るLEDチップ220に対してカソード電極の構成が改変されている。LEDチップ220Aのカソード電極223Aは、第1の電極片223a、第2の電極片223bおよび補助電極片223zを有する。第1および第2の電極片223a、223bの構成は、上記した実施例1に係るLEDチップ220のものと同様である。補助電極片223zは、第1の電極片の伸長部225aの終端部と第2の電極片の伸長部225bの終端部の間に形成される間隙内を伸長する伸長部225zと、伸長部225zに接続され且つチップ周縁部に配置されたパッド部224zとにより構成されている。パッド部224zは、ボンディングワイヤ230を介して基板210上のボンディングパッド212に接続され、駆動回路30に接続されている。このように、LEDチップ上に第1および第2の電極片223a、223bから分離した補助電極片223zが設けられることにより、LEDチップ上には第1の発光部301と第2の発光部302との間に独立に制御可能な補助発光部310が形成される。尚、光源部20A以外の他の構成部分は上記した実施例1のストロボ装置と同様である。
【0039】
実施例2に係るLEDチップ220Aを備えたストロボ装置によれば、例えば、以下に例示すような代表的な4つの配光パターンを実現することができる。図6(a)は上記4つの配光パターンの各々に対応する発光部毎の駆動電流制御の態様を示す図であり、第1および第2の発光部301、302および補助発光部310の各々に投入される電流量の相対的な関係が示されている。図6(a)において、丸印は投入電流量が比較的大であることを示し、三角印は投入電流量が比較的小であることを示す。図6(b)〜図6(e)は、それぞれ、上記4つの配光パターンの各々に対応するLEDチップ220Aの光取り出し面上の発光強度分布を示す図であり、パッド部224a−224b間を結ぶライン上の発光強度分布を示したものである。図7は、後述する第4の配光パターンに対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【0040】
第1乃至第3の配光パターンは、上記した実施例1に係るストロボ装置によるものと同様である。すなわち、第1の配光パターンは撮像エリア内の左右の明るさに偏りのない配光を形成するものである(図6(b)参照)。このような配光を形成する場合、第1の発光部301および第2の発光部302への投入電流量を等しくして、補助発光部310への投入電流量を相対的に小さくする。第2の配光パターンは撮像エリア内の左側がより明るくなるような配光を形成するものである(図6(c)参照)。このような配光を形成する場合、第1の発光部301への投入電流量を相対的に大きくし、第2の発光部302および補助発光部310への投入電流量を相対的に小さくする。第3の配光パターンは、撮像エリア内の右側がより明るくなるような配光を形成するものである(図6(d)参照)。このような配光を形成する場合、第2の発光部302への投入電流量を相対的に大きくし、第1の発光部301および補助発光部310への投入電流量を相対的に小さくする。
【0041】
第4の配光パターンは撮像エリア内の左右両側および中央に発光強度のピークを有する配光を形成するものである(図6(e)参照)。このような配光を形成する場合、第1の発光部301、第2の発光部302および補助発光部310への投入電流量を互いに等しくする。かかる第4の配光パターンによれば、例えば図7に示すように、撮像エリアX内の中央に位置する被写体Oをより高い発光強度の照明光で照明することが可能となる。
【0042】
上記した実施例1に係るLEDチップ220のカソード電極の構成によれば、チップ中央部に低電流密度領域が形成される故、第1および第2の発光部301、302を同時に発光させた場合には、チップ中央部に発光強度が相対的に低い部分が形成されることとなる。それ故、撮像エリアの中央部を相対的に明るくするような配光を形成することは困難である。一方、実施例2に係るLEDチップ220Aのカソード電極は、実施例1における低電流密度領域内(すなわち、第1の電極片223aと第2の電極片223bとの間の間隙部)を伸長する伸長部225zを有する補助電極片223cを更に有する。かかる電極構成によればLEDチップ中央部にも駆動電流を投入することが可能となり、撮像エリアの中央部を相対的に明るくするような配光を形成することが可能となる。
【実施例3】
【0043】
図8は、本発明の実施例3に係るストロボ装置に設けられる光源部20Bの構成を示す平面図である。光源部20Bを構成するLEDチップ220Bは、互いに分離された第1乃至第6の電極片223a〜223fからなるカソード電極を有する。6つの電極片223a〜223fは、それぞれ、上記した実施例1に係る第1の電極片223aおよび第2の電極片223bと同様、櫛歯状パターンを有する伸長部225a〜225fと、パッド部224a〜224fとにより構成されている。6つの電極片223a〜223fは、実施例1における第1の電極片223aと第2の電極片223bからなるペアを図中縦方向に並べたような配列で設けられている。第1乃至第6の電極片223a〜223fにより構成されるカソード電極は、LEDチップの光取り出し面の中心点を中心とする点対称パターンを形成している。
【0044】
互いに隣接する電極片223a−223b、223c−223d、223e−223fは、各伸長部の終端部がチップ中央部において間隙を介して対向するように配置されている。各伸長部225a〜225fの終端部は、チップ中央部に集約されていることから、チップ中央部において低電流密度領域が形成される。
【0045】
各パッド部224a〜224fは、ボンディングワイヤ230を介して駆動回路30に接続されている。このように、LEDチップ220B上に互いに分離した6つの電極片223a〜223fが設けられることにより、LEDチップ220B上には独立して制御可能な第1乃至第6の発光部301〜306が形成される。各発光部に駆動電流を投入すると、パッド部224a〜224fが設けられたチップ周縁部における発光強度が相対的に高くなり、チップ中央部に向かうにつれて発光強度が徐々に低くなるような発光強度分布が形成される。尚、光源部20B以外の他の構成部分は上記した実施例1のストロボ装置と同様である。
【0046】
撮像装置においてレンズ系の焦点距離が変化すると、撮像エリア(画角)の範囲(サイズ)もこれに応じて変化する。本実施例に係るLEDチップ220Bを備えたストロボ装置によれば、撮像エリアの範囲(サイズ)の変化に応じて照明光の照射範囲を変化させるといった配光制御を好適に行うことが可能となる。
【0047】
図9(a)は、撮像エリアの範囲(サイズ)に応じた発光部毎の電流制御の態様の一例であり、図9(b)および図9(c)は、図9(a)に示す電流制御に対応する照明光の照射範囲を示す図である。
【0048】
制御部40は、撮像装置全体の動作制御を行うCPU等から撮像エリアの範囲に関する情報を受信すると、撮像エリアの範囲(サイズ)に応じた電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて第1乃至第6の発光部301〜306に投入する電流量を制御する。
【0049】
例えば、撮像装置のレンズ系が広角側に移動して焦点距離が比較的小さくなったことにより撮像エリア(画角)の範囲が比較的大きくなっている場合には、図9(a)上段に示すように、第1乃至第6の発光部301〜306の各々への投入電流量が比較的大となるように制御される。第1乃至第6の発光部301〜306は、それぞれ、比較的高い発光強度で発光し、図9(b)に示すように比較的サイズの大きい撮像エリアXの全体に照明光が照射される。
【0050】
一方、撮像装置のレンズ系が望遠側に移動して焦点距離が比較的大きくなったことにより撮像エリア(画角)の範囲が比較的小さくなっている場合には、図9(a)下段に示すように、第1および第2の発光部301、302と、第5および第6の発光部305、306への投入電流量が比較的小となるように且つ第3および第4の発光部303、304への投入電流量が比較的大となるように制御される。これにより、図9(c)に示すように、撮像エリアXの上段と下段の照明光の照射範囲が図9(b)の場合と比較して小さくなるものの、焦点距離に応じて縮小した撮像エリアXの全体に照明光が照射される。このように、実施例3に係るLEDチップ220Bを備えたストロボ装置によれば、撮像装置の焦点距離に応じて変化する撮像エリア(画角)の範囲(サイズ)に応じて照明範囲を変更するといった配光制御を好適に行うことができる。
【0051】
撮像エリアの範囲が小さくなるモードでは、被写体が遠方に位置していることが想定される。この場合、露光量を確保するべく光源部20Bにおける発光時間を長くする必要がある。キャパシタを用いてフラッシュ光を生成する場合には、キャパシタに蓄積できる電荷量は有限である故、発光時間の確保が問題となる。上記の如く撮像エリアの範囲の縮小に伴って照明光の照射範囲を縮小することにより、光源部20Bにおける発光時間をより長くすることが可能となる。尚、撮像エリアの範囲に応じて照明範囲を変更するといった配光制御は、上記した実施例1および実施例2に係るLEDチップにおいても実現することが可能である。
【0052】
また、実施例3に係るLEDチップ220Bを備えたストロボ装置によれば、光源部20Bが、比較的高い発光強度の閃光(フラッシュ光)を発するフラッシュ発光モードのみならず、比較的低い発光強度で連続発光する連続発光モードにおいて好適な照明光を生成することが可能となる。図10は、フラッシュ発光モードおよび連続発光モードにおける発光部毎の電流制御の態様を示す図であり、各発光部に投入される電流量の相対的な関係が示されている。図10において、丸印は投入電流量が比較的大であることを示し、三角印は投入電流量が比較的小であることを示し、バツ印は投入電流量がゼロであることを示す。
【0053】
制御部40は、フラッシュ発光モードが選択されていることを示す制御信号を外部より受信した場合には、フラッシュ発光モードに対応した電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、例えば数十msec以下の短い期間の間、第1乃至第6の発光部301〜306への投入電流量が比較的大(例えば1A程度)となるように電流制御を行う。第1乃至第6の発光部301〜306は、上記の期間において比較的高い発光強度の閃光を発する。
【0054】
一方、制御部40は、連続発光モードが選択されていることを示す制御信号を外部より受信した場合には、連続発光モードに対応した電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、第3および第4の発光部303、304への投入電流量を比較的小(例えば10mA)とし、残りの発光部への投入電流量がゼロとなるように電流制御を行う。第3および第4の発光部303、304は、比較的低い発光強度で連続発光する。
【0055】
LEDチップを使用したストロボ装置においては、フラッシュ発光モードのみならず、トーチライト発光モードやビデオライト発光モードのように連続発光モードでの動作が要求される。連続発光モードは近接撮影時等における照明光を意図しており、フラッシュ発光モードと比較して発光強度を十分に抑える必要がある。ストロボ装置に適用されている従来のLEDチップは、一般照明や自動車のヘッドライトにも適用可能な高輝度タイプであり、大電流駆動を前提としている。このため、発光強度を十分に抑えるために投入電流量を小さくすると、LEDチップ内の電流密度が著しく低くなり、安定的は発光を得ることが困難となる。
【0056】
本実施例に係るストロボ装置においては、連続発光モードにおいては、LEDチップの一部の発光部のみを点灯させるようにしたので、投入電流量を小さくした場合でも電流密度の著しい低下を防止することができる。これにより、連続発光モードにおける動作安定性を向上させることができる。また、点灯している一部の発光部から放射される光の一部は、非点灯の発光部に吸収されるか、光照射方向以外の方向へ導光されて抜けるので、発光強度の更なる抑制を図ることが可能となる。このように、本実施例に係るストロボ装置によれば、フラッシュ発光モードおよび連続発光モードの双方において好適な照明光を得ることが可能となる。
【実施例4】
【0057】
図11(a)は本発明の実施例4に係るストロボ装置に設けられる光源部20Cの構成を示す平面図、図11(b)は図11(a)における11b−11b線に沿った断面図である。光源部20Cを構成するLEDチップ220Cは、撮影時にフラッシュ発光を行うフラッシュ発光部320と、フラッシュ発光に先立ってプリ発光を行うプリ発光部330と、を有している。プリ発光とは、撮像装置において露光調整等を行うために撮影前に1回または複数回の発光を行う機能である。
【0058】
フラッシュ発光部320は、実施例1に係るLEDチップ220と同様の構成の第1および第2の電極片223a、223bを有する。すなわち、フラッシュ発光部320は、独立に制御可能な2つの発光部を有し、図4(a)〜図4(c)に示されるような配光パターンを形成することが可能となっている。
【0059】
プリ発光部330は、例えばフラッシュ発光部320を間に挟むようにLEDチップ220Cの両端部に配置される。プリ発光部330は、LEDチップ220Cの周縁部に設けられたパッド部227と、パッド部227に接続され且つプリ発光部330内に延在する櫛歯状のパターンを有する延在部228からなる電極片226を有する。パッド部227は、ボンディングワイヤ230を介して基板210上のボンディングパッド212に接続され、駆動回路30に接続されている。プリ発光部330は、フラッシュ発光部320とは独立に制御可能となっている。尚、電極片226は、プリ発光部330内における発光強度が略均一となるように構成されていてもよい。
【0060】
LEDチップ220Cは、基板210上のダイパッド211上に導電性のダイアタッチ材(図示せず)を介して接合されている。LEDチップ上に設けられたパッド部224a、224b、227は、それぞれ、ボンディングワイヤ230を介して基板210上のボンディングパッド212に接続され、駆動回路30に接続される。基板210上には、LEDチップ220Cを埋設するように蛍光体含有樹脂240が設けられている。蛍光体含有樹脂240の上方(投光方向前方)には、レンズ250Cが設けられている。
【0061】
レンズ250Cは、フラッシュ発光部320から発せられた光を撮像エリア全体をカバーするように投影するレンズ面251と、プリ発光部330の各々から発せられた光を撮像エリア全体をカバーするように投影するレンズ面252とを有する。すなわち、レンズ250Cは、フラッシュ発光部320に対応する焦点と、プリ発光部330の各々に対応する焦点を有する。
【0062】
図12(a)は、プリ発光モードおよびフラッシュ発光モードにおける発光部毎の電流制御の態様を示す図である。図12(a)において丸印は当該発光部に駆動電流の投入が行われることを示し、バツ印は当該発光部に駆動電流の投入が行われないことを示している。
【0063】
制御部40は、シャッター操作等の操作入力を検知すると、プリ発光モードに対応した電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、プリ発光部330においてのみ駆動電流が投入されるように電流制御を行う。プリ発光部330は、かかる電流制御に応じて1回または複数回にわたり閃光を発生させる。光源部20Cは、撮像エリア全体をカバーするようにフラッシュ発光モード時と同等の発光強度の閃光を撮像エリアに向けて照射する。プリ発光が行われている期間、撮像装置は露光調整などを行う。
【0064】
プリ発光モードが終了した後、制御部40は、フラッシュ発光モードに対応した電流指令値を生成し、これを駆動回路30に供給する。駆動回路30は、かかる電流指令値に基づいて、フラッシュ発光部330においてのみ駆動電流が投入されるように電流制御を行う。フラッシュ発光部330は、かかる電流制御に応じて閃光を発生させる。光源部20Cは、撮像エリア全体をカバーするように撮像エリアに向けて閃光を照射する。フラッシュ発光が行われている期間、撮像装置は被写体の撮影を行う。
【0065】
図12(b)および図12(c)は、それぞれ、プリ発光時およびフラッシュ発光時において光源部20Cから撮像エリアXに向けて照射される照明光(閃光)の照射範囲を示す図である。レンズ250Cは、上記したようにフラッシュ発光部320およびプリ発光部330の各々に対応する焦点を有し、フラッシュ発光部320から発せられる閃光の照射範囲と、プリ発光部330から発せられる閃光の照射範囲とが一致するように配向を行う。
【0066】
一般的に、プリ発光の終了後フラッシュ発光が開始されるまでの期間は数十msec程度である。このため、LEDチップ内においてプリ発光を行う領域とフラッシュ発光を行う領域とが同一である場合、プリ発光時おける発熱の影響によりフラッシュ発光時において最大の光量が得られなくなる場合がある。本実施例に係るストロボ装置においては、単一のLEDチップ上にプリ発光部とフラッシュ部を有しており、プリ発光モードにおいては、プリ発光部のみが駆動される。このため、フラッシュ発光時においてプリ発光時における発熱の影響は殆どなく、最大光量のフラッシュ発光を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 ストロボ装置
20 光源部
30 駆動回路
40 制御回路
220 LEDチップ
223 カソード電極
223a〜223f 第1乃至第6の電極片
223z 補助電極片
224a〜224f パッド部
225a〜225f 伸長部
250 レンズ
301〜306 第1乃至第6の発光部
310 補助発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する第1半導体層と、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、前記第1および第2半導体層の各々の表面に設けられた第1電極および第2電極と、を含む半導体発光素子であって、
前記第1電極は、互いに分離した複数の電極片からなり、
前記複数の電極片の各々は、給電用パッド部と前記給電用パッド部に接続され且つ前記給電用パッド部から遠ざかる方向に伸長する伸長部とからなり、且つ隣接する他の電極片と前記伸長部の終端部同士が間隙を隔てて対向していることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記複数の電極片は、前記第1半導体層の表面において点対称パターンを形成していることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記給電用パッドの各々は、前記第1半導体層の周縁部に配置され、
前記伸長部の各々は、前記第1半導体層の周縁部から中央部に向けて伸長していることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記伸長部の各々は、櫛歯状パターンを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記第1電極は、前記間隙内を伸長する補助電極片を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体発光素子を備えたストロボ装置であって、
前記複数の電極片の各々を介して前記半導体発光素子に駆動電流を供給する制御部を含むことを特徴とするストロボ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記半導体発光素子が閃光を発するように前記複数の電極片の各々に駆動電流を供給するフラッシュ発光モードと、前記半導体素子が連続光を発するように前記複数の電極片の一部に前記フラッシュ発光モードにおける駆動電流よりも小さい駆動電流を供給する連続発光モードと、を切替えることを特徴とする請求項6に記載のストロボ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記半導体発光素子が閃光を発するように、前記複数の電極片のいずれかに駆動電流を供給する第1ステップの後に、前記半導体素子が閃光を発するように前記第1ステップにおいて駆動電流の供給が行われた電極片とは異なる電極片に駆動電流を供給する第2ステップを実行することを特徴とする請求項6に記載のストロボ装置。
【請求項9】
前記第1ステップにおいて発せられた閃光と、前記第2ステップにおいて発せられた閃光を互いに同一の照射範囲に投影するレンズを更に有することを特徴とする請求項8に記載のストロボ装置。
【請求項10】
前記半導体発光素子の上方に、前記複数の電極片に対して単一焦点のレンズを更に有することを特徴とする請求項6または7に記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−252078(P2012−252078A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123270(P2011−123270)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】